説明

切除腔壁の治療のための留置治療装置及び処置方法

生体内の腫瘍の少なくとも一部を外科的に切除することにより作られた切除腔における内壁を治療する留置治療装置(1)は、この装置(1)、装置の部品、及び装置(1)の付属品の材料を、生体内で生物学的に分解可能としたことを特徴とする。さらに、生体内の腫瘍を治療するための外科的処置方法は、(a)前記腫瘍の少なくとも一部を外科的に切除しそれにより生体の残存組織中に切除腔を作るステップと、(b)前記切除腔の中に生分解性の治療装置を留置して、生分解性の装置が前記切除腔を埋めるようにするステップと、および(c)前記留置した治療装置を用いて前記切除腔周囲の組織を治療するステップとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は生体内の腫瘍の少なくとも一部を外科的に切除して生じた切除腔壁を治療するための留置治療装置及び処置方法に関する。
【背景技術】
【0002】
腫瘍の外科的切除による切除腔の周囲における組織の治療は近年急速に洗練され、外科的、化学療法的、および、例えば近接照射療法的な技術の改良がより良い治療成績につながっている。また、放射線治療に使用するための留置治療装置も供給されている。
【0003】
乳房部分加速照射法の概念は、近年の病理学的データ及び乳房温存術後に報告された乳房内失敗例により支持される。マルチカテーテル埋め込みを利用した技術、術中一回放射線照射の手法、および部分乳房外部ビーム放射線治療(強度変調放射線治療)を含め、乳房部分治療の幾つかの手法が確立されている。マルチカテーテル間質放射線治療は現在おそらく最も広く使用されている技術である。
【0004】
従来マルチカテーテルの間質内埋め込みは、術者の経験に大きく依存しており、それにより標的カバー範囲、均質性、及び全体の治療成績が変動する可能性があった。3D線量照射法と組み合わせた種々の画像誘導法を使用したカテーテル留置技術の改良が、今や再現可能なカテーテル留置、および向上した治療成績のためのツールを提供している。近年、バルーンカテーテル装置の認可により、近接照射治療の簡素化に向けての進歩がなされた。バルーンが膨張した後周囲の乳房組織がバルーン表面に合致するように、バルーンカテーテルを腫瘍摘出腔内に留置する。バルーン表面から1cmの深度の周域に、中心の単独または周縁の多数の高活性(高線量率)の線源から、放射線を処方し照射して治療する。
【0005】
この装置は、再現可能で一定の標的カバー範囲と共に適切な均質性をもたらし、手術後の外部放射線治療を避けるために特定の患者に使用することができることが、初期の臨床経験は示しているように見える。これらの手法は外部放射線治療に比べてより短い時間内で全ての放射線を送達することができるので、患者にとっての利便性は最大となる。この術中の手法には幾つかの問題が生じた。装置の留置を通常手術実施中もしくは術後に行うので、最終的な顕微鏡的周縁、及び腋下リンパ節の状況は常に把握可能ではない。それ故、この情報を患者に適切な治療を選択するのには使用できない。他のあり得る欠点は、近年まで球形のバルーン形状しか入手できず、これが切除組織の様々な形状(卵形、管状形等)には、通常合致しないことである。最後に、外科的切除施術中にバルーンカテーテルを埋め込むとき、放射線治療を行う前にカテーテルが数週間の間所定位置に放置される。これは手術創感染につながり得る。
【0006】
米国特許第6,673,006号は、放射線治療装置に使用するための、および特に近接照射治療装置に使用するための間隔保持(スペーシング)装置について記載している。
【0007】
米国特許第5,931,774号は、増殖性疾患の治療のための埋め込み可能な装置について記載している。この発明は患者の増殖性疾患の治療のための埋め込み型装置を提供している。この装置は治療液を受容するための治療液容器、バルーン体を有する膨張可能なバルーン、および治療液容器とバルーンとの間を接続するカテーテルを備える。
【0008】
さらに他の装置として、以下の文献に記載されている。すなわち、米国特許第6,413,204号、同第6,083,148号、同第6,022,308号、および同第5,913,813号。
【0009】
上述した既知の装置のうち幾つかは、直径が小さく、血管内治療に適用するものであり、本発明が対象とする(放射線)治療に使用することは出来ない。その他の幾つかは円筒形型の単一のバルーンを有し、多くの標的の複雑な形状に対して不適合な線量しか照射できない。最後に、膨張した時に、球形のバルーンは、皮膚または胸壁に極めて接近し、起こりうる短期(滲出)または長期(毛細血管拡張)の合併症につながる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明の課題は、外部部分乳房放射線治療または間質近接照射治療で使用するものと同様の一回線量照射で、短期間(5〜10日)に治療を終わらせるような、切除腔壁へのより一層均一な線量照射を達成するにある。このシステムはまた、高い局所再発のリスクがあり、より高い局所線量照射が必要である、若い乳癌の患者(50歳未満)に対して、外部放射線治療を行う前または後に、腫瘍摘出腔に増量放射線を照射することにも使用できる。既存のバルーンシステムに比べて、この装置の利点は、様々な形状の中から切除腔に最も適合する最善の装置を外科医が選択できることにある。外科医は装置の部品を切断したり伸張したりすることさえできる。装置を切除腔に導入した後、切開部周縁を装置の周囲にきつく縫合することができる。幾つかの例では、切開部の壁を装置の表面に縫合することさえできる。数週間後または数ヶ月後に、選択した治療方針(単独近接照射治療、または増量照射として外部放射線治療との組み合わせ)に従い、この装置を使用して留置治療装置の周囲をきつく取り囲む切除腔の周辺に放射線を照射し、最適な線量照射を可能とすることができる。
【0011】
乳癌の場合、初期病変部の外科的切除の後に治療されるべき乳房組織の範囲は、恐らく現在よく分かっている。乳房温存術が70年代に開始された時、乳房切除術で取り除いた手術標的にならって、当然のように全乳房放射線照射が適用され、乳房切除術単独で得られるものと匹敵する局所コントロール率につながった。この新規の乳房温存術を調査する多くの研究による長期追跡は、この腫瘍摘出術後の全乳房放射線治療の有効性を証明している。手術単独では幾つかの分類の患者において10年で35%以上の再発率があることが示されている。しかし、全乳房放射線治療で使用される接線方向領域は、過剰な肺および心臓の体積部分を含む可能性があり、例えば心臓血管死亡率の上昇等の有意な長期罹病率につながることも同様に証明されている。左乳癌を胸部膨張の間に治療すること、またそれだけでなく更なる乳房放射線治療のための選択基準を模索することなどによる心臓保護等の、幾つかの解決法が発見されている。多くの局所再発は、顕微鏡的周辺部の不適切な評価、病変部の多病巣性認識できないこと、および/または顕微鏡的な病変部進行度を認識できないこと等により起こることが示されている。それに加え、比較的近年の利用可能な病理学的及び臨床的データによれば、若干の特定患者における初期乳癌の腫瘍摘出後の補助的な放射線治療による治療を必要とする標的領域は乳房全体より小さく、とくに、測定した顕微鏡的周辺部によって反映される外科的切除範囲と相関しているように見える。
【0012】
例えば、顕微鏡的陰性断端で切除した後の腫瘍摘出腔プラス1〜2cmの周辺領域として定義される部分乳房放射線治療の標的は、特定患者には適切であることをこのデータは示している(54歳以上、組織学的リンパ節転移陰性(pN0(sn)、病理分類i+の許容度)、組織学的腫瘍径3cm以下、切除範囲1mm以上、明らかな孤立性腫瘍、組織学的多病巣性なし、広範囲の乳管内病変成分なし(非浸潤性乳管癌病変の25%以上)、傍腫瘍リンパ節又は血管浸潤なし、小葉癌なし、その他)。
【0013】
T2〜T3の大きな前立腺癌を発症している患者では、外科的切除後の50%に至るまでに陽性断端(切除周辺に癌細胞が存在すること)が発見され得る。これはPSA値がその後数ヶ月又は数年の間に次第に上昇する局所再発の確率上昇につながる。外科的切除を避けることができるという意味で、これらの患者は局所コントロール率を改善するために外科的切除後直ちに外部放射線治療が必要とする。したがって、術者が切除腔を選択的に治療し、外部照射の必要性を避けることは都合がよい。前立腺癌細胞は高線量の放射線治療に感受性があるため、乳房部分照射と同様に高線量で短い治療期間(2〜3週間)を提案することができる。
【0014】
同様の状況は、腫瘍の浸潤性が極めて強いために陰性断端を得るのが難しい、髄芽腫等の一部の脳腫瘍でも起きる。脳内埋め込みは切除腔壁を選択的に治療することが可能であり、一部の状況では外部照射を減少又は回避することができる。
【0015】
本発明は、生体内腫瘍の少なくとも一部の外科的切除により生じた切除腔内壁を治療するための留置治療装置および処置を提供する。本発明は、例えば乳房、前立腺、脳、またはいかなる生体内の腫瘍摘出により生じた切除腔内壁を最適にカバーできる、切除腔治療用の新規な装置である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上述の課題を解決するため、本発明留置治療装置は、装置、部品、および付属品の材料を、生体内で生物学的に分解可能としたことを特徴とする。
【0017】
さらにこの課題を解決するため、本発明による生体内腫瘍を治療する外科的処置方法は、(a)前記腫瘍の少なくとも一部を外科的に切除し、これにより生体の残存組織内に切除腔を形成するステップと、(b)前記切除腔の中に生分解性留置した治療装置を留置し、生分解性装置により前記切除腔を埋める留置ステップと、(c)前記留置した治療装置により前記切除腔周囲の残存組織を治療する治療ステップとを有することを特徴とする。本発明によれば、(d)治療前に、X線、CTスキャン、MR、超音波、又は任意の適切な画像技術を使用して治療パラメータを最適化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
生分解性材料を以下のポリマーから形成すると好適である。すなわち、
【0019】
例えば、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)等の合成ポリマー;一般的には:グリコール酸及び乳酸を基としたポリマー及び共ポリマー、ポリカプロラクトン;一般的には:ポリヒドロキシアルカン酸塩(PHA)、(ポリ(ヒドロキシカルボン酸)=全ポリエステル)、ポリ(エチレングリコール)、ポリビニルアルコール、ポリ(オルソエステル)、ポリ(無水物)、ポリ(炭酸塩)、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミン、ポリ(イミノ炭酸塩)、ポリ(エチレンイミン)、ポリジオキサン、ポリオキシエチレン(ポリエチレンオキサイド)、ポリ(フォスファジン)、ポリスルホン、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリル酸塩(PMMA)、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、(ポリシアノアクリル酸塩)、ポリHEMA、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリテレフタル酸塩、ポリフッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルケトン、ポリ塩化ビニル、シリーコン、ポリケイ酸塩(生物活性ガラス)、シロキサン(ポリジメチルシロキサン)、ヒドロキシアパタイト、ポリアミノ酸等の自然由来のポリマー(天然又は人工)、ポリエステル、ポリβ-アミノエステル;一般的に:アルブミン等のポリ(ペプチド)、アルギン酸塩、セルロース、セルロースのバイオ複合材料、酢酸セルロース、キチン、キトサン、コラーゲン、フィブリン/フィブリノーゲン、ゼラチン、リグニン、少量、中量、大量の澱粉を含む澱粉複合材料;発泡澱粉、大豆製プラスチック、中性多糖類(ジェランガム、プルラン、ラミナリン、及びカードラン)。ポリ(リジン)、ポリ(グルタミン酸塩)、ポリ(マロン酸)、ポリ(ヒアルロン酸)、ポリ核酸、多糖類、ポリ(ヒドロキシアルカノアート)、ポリイソプレノイド、澱粉製ポリマー、及びこれらの共ポリマー等の蛋白質製ポリマーで、直線型、分岐型、超分岐型、デンドリマー型、クロスリンク型、官能基型(表面、官能基、親水性−疎水性)のポリマー。
【0020】
生分解性材料は、数週間又は数ヶ月で分解するマグネシウム、またはその合金等の、生分解性金属で形成すると好適である。この構造体は骨組又は多孔質材とすることができる。
【0021】
生分解性材料はマグネシウム及びその合金等の生分解性金属と、数週間又は数ヶ月で分解する上述のポリマーの組み合わせで形成すると好適である。
【0022】
切除腔壁に治療物を供給するよう、生体内の切除腔を埋める生分解性構造体とするとよい。
【0023】
切除腔の形状にできるだけ適合させるため、および治療を行うカテーテルの適切な位置を維持できるようにするために、生分解性構造体の長さ、幅、形状を変化させることができる融通性をもたせるように、組立または分解、切断、研削することができる、幾つかの下位部分から構成するモジュール式の生分解性構造体とすると好適である。
【0024】
生体内で形状、および/または体積を調整することができる生分解性構造体(直径または長さの増減、記憶効果による形態の修正)にすると好適である。
【0025】
少なくとも1個の放射線不透過性のマーカーを留置治療装置に設けると好適である。例えば、留置治療装置の中心に1個、又は両端に2個とするように、1個または2個のマーカーを留置治療装置の中心に置く。これによりMRまたはCTスキャン画像で見えるように装置が見えないX線画像でも、留置治療装置の位置を見ることが可能となる。
【0026】
従属請求項は、生分解性材料の用途の可能性を記載する。
【0027】
生きている患者の体内にある腫瘍を治療するための外科的処置は、脳、乳房、前立腺、又はいかなる腫瘍切除腔にも応用でき、前記留置治療装置は、前記切除腔と同程度の体積を有するという特徴を持ち、これにより周囲の正常組織への圧迫またはゆがみを回避する。もし留置物の大きさが大き過ぎる、もしくは適合していない場合は、生分解性材料を埋め込む前に、外科医が適正な長さおよび直径となるまで留置物を切断し、留置物の体積を減らすことができる。留置物の大きさを適合させることが可能であるキットは利用可能である。
【0028】
さらに、本発明処置によれば、生体に対する更なる外科的切開部を形成することなく、または小さな外科的切開部のみで、非侵襲的にまたは最小限の侵襲的に治療を行うことができる。小さな外科的切開を行う場合、カテーテルの近位端(基端部)を生体の皮下に留置することができ、これにより腫瘍切除の数週間後または数ヶ月後に小切開部から近位端を引き出すことができ、またこのカテーテルの近位端に治療を行うための他のカテーテルを挿入することができる。
【0029】
さらに、生分解性構造体で画定される切除腔の内部に、施術の数日後、数週間後、または数ヶ月後に第2の治療装置を遅れて導入または留置することができるように、任意の中空の形状(管状、葉巻状、その他の形状)の生分解性装置を切除腔内に挿入することができる。第2の治療装置は、膨張式のバルーン、ステント(自己拡張型、バルーン拡張型、生分解性)、または明確な切除腔内治療を可能とする他の任意の構造体を有する、カテーテルとすることができる。
【0030】
前記留置治療装置を使用して、前記切除腔周囲の前記残存組織にレーザー光を当てる、前記切除腔周囲の前記残存組織に放射線を当てる、または前記切除腔周囲の前記残存組織にレーザー光および放射線を同時に当てることが同様に可能である。
【0031】
他の好適な処置は、外科医が傷口の大きさを評価し、その生分解性成形体を形成し、1個から数個の適切なカテーテルを成形生分解性構造体に挿入し、装置を切除腔の中に留置する。そのようなシステムをキットとして供給することができる。
【0032】
分解性の装置は、規則的または不規則な構造の骨組として形成する、または非常に小さいもしくは非常に大きい細孔もしくは穴を有する多孔質材または発泡体から形成するのが好適である。CO等の臨界前または超臨界のガス、高温での熱処理、または当業者に知られている任意の他の方法を用いて、ポリマーで形成した骨組または発泡体を、例えば成形体内に得ることができる。骨組、多孔質材、又は発泡体の穴は、独立していても、互いに連続していてもよい。後者の場合、この構造は体液の装置内への拡散を可能とする。
【0033】
装置が、装置に対して変位できる治療カテーテル、または伸縮自在の構造のカテールを有する場合、留置物を留置した後にカテーテルを短くしたり長くしたりすることが簡単にできる。これにより、装置のいかなる部分も外部に露出せずに、留置治療装置が4〜8週間またはそれ以上(6〜8ヶ月)にわたり生体内の切除腔(乳房、会陰部、その他)の中に完全に留置され、皮膚に近いカテーテルの一方の端部を最適な位置に配置できる。治療の時期がきたとき、適切な治療のために適切なカテーテル長さを留置治療装置内に残したまま、生体構造(乳房、会陰部、その他)の外部に必要な距離だけカテーテルを引き出すよう、カテーテルが皮膚の近傍にある部分を切開する。これらのカテーテルは他の近接照射治療のカテーテルを内に導入するためにも使用することができる。最後に、治療の5〜10日後、留置システムから導出しているカテーテルを引き出すことによりカテーテルを取り外し、皮膚を閉鎖する。切除腔内への留置物の適切な留置をMRI、超音波、CTスキャン、その他の画像技術により確認することが出来る。これにより留置物が治療処置の数週間後または数ヶ月後に拡張または縮小した場合に留置物に対して線量照射を適合させることができ、また実際の形状の状況を考慮に入れて患者を治療することができる。
【0034】
この装置は、カテーテルの一方の端部がまだ生体構造(乳房、会陰部、その他)の内部にある時に、カテーテルを縫合で拘束することを可能にするループ、もしくは丸環ねじを一方の端部に持つ治療カテーテルとすることができる。
【0035】
この装置は、カテーテルの一方の端部が生体構造(乳房、会陰部、その他)から引き出した後、カテーテルの一方の端部を縫合により拘束することを可能にする、不規則な表面(例えば小さなこぶの並び)を一端に持つ治療カテーテルとすることができる。
【0036】
他の実施例においては、例えば銀誘導体(例えば超微細粒子)、クロルヘキシジン誘導体、ヘパリン誘導体、又は当業者に知られている留置物および/またはカテーテルの感染のリスクを下げる任意の他の物質等、抗感染物質をカテーテルおよび/または留置装置に含浸および/または塗布することができる。
【0037】
他の実施例においては、カテーテルを生分解性構造体の中央またはその周縁に留置、またはその外面に配置することができる。これらのカテーテルは留置治療装置の軸線に沿って直線的に延在させることができる。またカテーテルは留置治療装置の周囲にらせん状に延在させることができる。これらは、放射線腫瘍学研究者および外科医が、切除腔の様相および線量照射の必要性に応じて、選択できる。
【0038】
外部放射線治療計画のためのより良い切除腔の位置取りを可能にするために、生分解性留置治療装置を切除腔内に挿入することが好適である。実際に、切除後に切除腔はしばしば崩壊し体液が充満する。生分解性留置治療装置を留置することにより、放射線治療、マイクロ波治療、超音波治療等の外部治療により放射線を照射すべき場所を描出するのがより簡単になる。非常によく限局した容量を得るために、組織を留置治療装置の周囲にきつく縫合することができる。
【0039】
本発明の若干の実施例を図面につき説明する。
【実施例】
【0040】
図1は、例えば生分解性装置である球形の装置1を示す。管腔3はワイヤ4のためのものである。ワイヤ4の先端には放射源5を配置する。全ての種類の放射源が可能であるが、例えば放射線源、赤外線源等がある。球形の生分解性装置1は生分解性材料で形成する。生分解性装置1を図示していない切除腔に留置するために、例えば管腔3の一部に設けたねじ山6からねじ外しができるようにする。球形構造の直径は1〜10cmの範囲とする。
【0041】
一つの実施例において、生分解性材料はポリ乳酸およびグリコール酸から形成する。グリコール酸の比率は0%〜100%の範囲内で変動し、好ましくは10%〜90%の範囲とする。0%は極めて緩慢な分解性となることを意味し、100%は極めて急速な分解性となることを意味する。したがって、グリコール酸の濃度の変動は、装置の分解性及び形態安定性を決定することができる。例えば安定性は30日と多様な日数間で変化することができる。
【0042】
図2は、半球状の末端装置7間に少なくとも1個の区画を有する円筒形の生分解性装置1を示す。この実施例では、生分解性装置1は、凹部9で分けられる3個の区画8を有する。放射源12が付いたワイヤ11のための管腔10を示す。部分乳房放射線照射を考慮する場合、切除した後の腫瘍摘出腔プラス1〜2cmの顕微鏡的陰性断端を有する境界領域として定義される標的が、特定の患者(例えば生分解性材料で形成した装置を留置すべき患者)にとって適切であることがある。生分解性構体の長さは1cm〜10cmの範囲とする。生分解性構体、またはその区画の直径は0.5〜10cmの範囲とする。生分解性構造体の長さは、必要ならば、区画の1個またはそれ以上を取り除くことにより、調節できる。
【0043】
図3a〜図3cは、考え得る生分解性装置の3個のあり得る断面図を示する。図3aは同一直径の2個の装置13と14の組み合わせの実施例である。図3bは同一直径の3個の装置15,16,17の組み合わせの実施例である。自明ではあるが、装置13〜17の直径を異ならせることができ、例えば、図3cに示すように、装置13の直径を装置14の直径よりも大きくすることができる。
【0044】
図4は、図2の実施例に類似する生分解性装置1を示す。区画8の直径を異ならせることができる。この図の実施例では、区画18の直径は隣接の区画19の直径よりも大きい。この実施例によれば、様々な切除腔、例えば葉巻形、円錐形、管状形、円筒形、または当業者に知られている任意の他の形状に適合することができる。
【0045】
図5a‐5cは特別な生分解性装置1としての装置20を示している。図5aの装置20は、三角形の端部21を有する。装置20の中央には区画22が配置してある。端部21と区画22は傾斜した凹部23によって分かれている。ワイヤ24は先端に放射源25を有する。図5aのA‐A線上の断面図を図5bに示す。図5cの実施例においては、部分26で分断した2個の装置20をフィラメント27により結合する。
【0046】
図6は、生分解性ブリッジ29で連結した、6個の生分解性ビーズ28の組み合わせた実施例を示す。この生分解性装置1の利点は、いかなる切除腔の形状にも適合できることである。この特徴によれば、より良好な線(照射)量照射を実現するために、最適な方法で装置1を形成し切除腔に放射線源30の照射量を適合させることができる。
【0047】
図7は生分解性装置1として、らせん状チューブ31の実施例を示す。図示しない他の装置として、切除腔の組織から離してカテーテルを保持するための、カテーテル保持の生分解性コイルがある。
である。
【0048】
図8は、放射源のための少なくとも1個の導管を有する、円筒形の生分解性装置1の実施例を示す。この実施例では、装置の周縁に3個の導管32を配列する。この構成により、切除腔壁へ送給される線量を調節できる。他の可能性として、図8に類似する装置であるが、1個またはそれ以上のカテーテルを留置治療装置の外面の近傍または外面上に配置するものがある。カテーテルは、装置の軸線に沿って、または装置の周囲に沿って角度を付けて延在させ、カテーテル検査も可能にする。さらに他の可能性として、より大きい直径(1cm、または2cm)の穴を有する実施例とし、これにより、生分解性円筒体の留置を行ってから数日、数週、数か月の後に、心出しバルーンカテーテルを挿入することができる。
【0049】
図9は、他の生分解性の装置1を示す。図2の実施例では、凹部9は半径方向に延在するものであった。図9の実施例では、生分解性装置53は、軸線56と平行に指向する2個の長手方向の区画54と凹部55とから構成される。図7の実施例は、生分解性の装置1として、例えば円筒形の装置53を示す。勿論、長手方向凹部の特徴は、上述した幾つかの他の形状を有する装置にも適用可能である。
【0050】
図10は、本発明による他の生分解性装置1を示す。切除腔61の内面形状に基づいて、留置治療装置を所要形状に予め成形することができる。図10は、乳房65に形成した球形の切除腔61を示す。上述した装置のように、装置62を、区画63とともに凹部64により構成する。装置の中心にシャフト59を配置する。シャフト59は予め成形する。この図9の実施例ではシャフトを円形とする。しかし治療する切除腔の内面形状に応じて、全ての種類の予成形シャフトまたは装置形状(例えば完全な円形)を使用できる。
【0051】
さらに、図10の実施例における装置62を、凹部64のない完全な球形とすることもできる。留置治療装置は平坦形状または中空形状とすることができる。あらゆる適合可能な形状にすることができる。また、例えば1個またはそれ以上のカテーテルを中心または周縁に延在させた球形装置とすることができる。
【0052】
上述した本発明の特徴は単に例示的なものであり、これらに制限されるものではない。生分解性装置の全ての考えられる形状が可能である。主要ポイントは、切除腔を埋めるとともに、最適で均一な放射線治療の線量照射を得ることができる適正形状を見出すことである。
【0053】
本発明によるこの生分解性装置は、人体の他の場所に留置することができ、例えば腹部を閉じた後に手術部位に均一な線量照射分布を可能とするために、骨盤領域で骨盤壁に固定することさえできる。生分解性装置は、図3aのような構体とすることができるが、また同時に3,4個もしくはそれ以上のカテーテルが平行に延在して、骨盤壁をカバーする形態、前立腺切除腔のような切除腔に留置する形態、または乳房切除術を行った後の胸壁に留置する形態にした多くの構体とすることができる。
【0054】
さらに、本発明方法を適用する三つの好適な事例を説明する。
事例1
60歳の患者は直径1cmの腺管乳癌が見つかる。乳腺腫瘤切除および腋窩切開を行い、組織および腋窩リンパ浸潤有無を確認する。治療処置中に、中心カテーテルを有する円筒形の発泡構体を切除腔内部に導入する。カテーテルは装置よりも長いものとする。カテーテルの一方の端部を乳房皮下に極めて近接配置し、ただし構体全体を乳房内に完全に留置する。術後4週間にわたり、カテーテルが乳房皮下に極めて近接配置している部位を僅かに切開する。カテーテルを皮膚から2.5cm引き出す。この外部に露出したカテーテルを切開部端縁に縫合する。第2カテーテルを中心カテーテル内に挿入し、この第2カテーテルをアフターローダ(後充填装置)に接続する。可視ワイヤ(MR、US、X線等で可視となる)を第2カテーテル内に挿入し、直交X線またはCTスキャンを行って最適線量照射を確定する。イリジウム源を使用し、全体で38.5Gyの10回照射(3.85Gy/回)を行う。処置は、装置表面から1cmの範囲内に規定し、一日2回施行する。5日後、中心カテーテルを取り外し、皮膚を一針で閉じる。患者の再発および合併症を観察する。
【0055】
事例2
45歳の患者は、前例と同様の腺管乳癌ではあるが、2箇所の浸潤したリンパ腺結腫も見つかる。この女性患者も同一の外科的切除を行い、6カ月後にのみ分解を開始する生分解性留置治療装置を留置する。6回の化学療法を行った後、患者に対して、装置表面から1cmの範囲に及ぶ5Gy照射を3回行う。このことは、文献に記載されたように切除領域に投与するのが必要な増幅量に対応する。腔内放射線治療を行った後、中心カテーテルを取り外し、患者の乳房全体に、2箇所の正接方向から50Gyの照射量で外部放射線療法をスタートする。
【0056】
事例3
70歳の患者は、一方の前立腺葉にのみグリーソンスコア6の段階である前立腺癌が見つかり、この一方の前立腺葉のみの触診でわかるほどである。外科的切除を行い、このとき外科医の意見により切除縁陽性を考慮する。カテーテル2本を有する発泡構体を切除腔内に留置する。5週間後、患者に対して12〜14回にわたる極めて局部的な近接照射療法を、莢膜浸潤が存在する部位に行う。この後PSA値は安定する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】球形の生分解性の装置を示す説明図である。
【図2】複数個の区画を有する円筒形の生分解性装置を示す説明図である。
【図3a】組み合わせ断面形状を有する生分解性装置の断面図である。
【図3b】組み合わせ断面形状を有する他の生分解性装置の断面図である。
【図3c】組み合わせ断面形状を有するさらに他の生分解性装置の断面図である。
【図4】種々の直径の区画を有する他のバルーン装置を示す説明図である。
【図5a】特別に設計した装置を示す説明図である。
【図5b】特別に設計した他の装置を示す説明図である。
【図5c】特別に設計したさらに他の装置を示す説明図である。
【図6】ビーズの組み合わせを示す説明図である。
【図7】らせん型の装置を示す説明図である。
【図8】周縁に導管を有する装置を示す説明図である。
【図9】長手方向の凹部を有する円筒形の生分解性装置を示す説明図である。
【図10】予成形した軸の実施例を示す説明図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体内の腫瘍の少なくとも一部を外科的に切除することにより生じた切除腔の内壁を治療のための留置治療装置(1)において、この装置、部品、および付属品の材料を、生体内で生物学的に分解可能としたことを特徴とする留置治療装置。
【請求項2】
生分解性材料を以下のポリマーから形成したことを特徴とする、請求項1の装置、すなわち、
例えばポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸)等の合成ポリマー;一般的には:グリコール酸および乳酸を基としたポリマー及び共ポリマー、ポリカプロラクトン;一般的には:ポリヒドロキシアルカン酸塩(PHA)、(ポリ(ヒドロキシカルボン酸)=全ポリエステル)、ポリ(エチレングリコール)、ポリビニルアルコール、ポリ(オルソエステル)、ポリ(無水物)、ポリ(炭酸塩)、ポリアミド、ポリイミド、ポリイミン、ポリ(イミノ炭酸塩)、ポリ(エチレンイミン)、ポリジオキサン、ポリオキシエチレン(ポリエチレンオキサイド)、ポリ(フォスファジン)、ポリスルホン、ポリアクリル酸、ポリメチルメタクリル酸塩(PMMA)、ポリアクリルアミド、ポリアクリロニトリル、(ポリシアノアクリル酸塩)、ポリHEMA、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリテレフタル酸塩、ポリフッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルケトン、ポリ塩化ビニル、シリーコン、ポリケイ酸塩(生物活性ガラス)、シロキサン(ポリジメチルシロキサン)、ヒドロキシアパタイト、ポリアミノ酸等の自然由来のポリマー(天然又は人工)、ポリエステル、ポリβ-アミノエステル;一般的に:アルブミン等のポリ(ペプチド)、アルギン酸塩、セルロース、セルロースのバイオ複合材料、酢酸セルロース、キチン、キトサン、コラーゲン、フィブリン/フィブリノーゲン、ゼラチン、リグニン、少量、中量、大量の澱粉を含む澱粉複合材料;発泡澱粉、大豆製プラスチック、中性多糖類(ジェランガム、プルラン、ラミナリン、及びカードラン)。ポリ(リジン)、ポリ(グルタミン酸塩)、ポリ(マロン酸塩)、ポリ(ヒアルロン酸)、ポリ核酸、多糖類、ポリ(ヒドロキシアルカノアート)、ポリイソプレノイド、澱粉製ポリマー、及びこれらの共ポリマー等の蛋白質製ポリマーで、直線型、分岐型、超分岐型、デンドリマー型、クロスリンク型、官能基型(表面、官能基、親水性−疎水性)のポリマー。
【請求項3】
生分解性材料をマグネシウム又はマグネシウム合金から形成したことを特徴とする、請求項1の装置。
【請求項4】
生分解性の材料をマグネシウム又はマグネシウム合金と請求項2記載のポリマーとの組み合わせから形成したことを特徴とする、請求項1の装置。
【請求項5】
生体切除腔内の明確に規定した位置に少なくとも1個のカテーテルを留置することができる生分解性装置(1)としたことを特徴とする、請求項1または2の装置。
【請求項6】
少なくとも1個のカテーテルを有する生分解性装置(1)としたことを特徴とする、請求項1〜5のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
抗増殖治療としての切除腔周辺治療に使用する、任意の切除腔に埋め込むことができる生分解性装置としたことを特徴とする、請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
平坦な生分解性装置としたことを特徴とする、請求項1〜7のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
中空の生分解性装置としたことを特徴とする、請求項1〜8のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
生分解性材料が多孔質である生分解性装置としたことを特徴とする、請求項1〜9のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記多孔性の多孔率が0%から99%まで変化し得ることを特徴とする、請求項10記載の装置。
【請求項12】
多孔質または中空の空洞が連続しており、放射線治療のために均一な状態を生ずる生体液で含浸させることができる生分解性装置としたことを特徴とする、請求項9〜11のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
多孔質または中空の空洞が連続しておらず、放射線治療のために均一な状態を生ずる生体液で含浸されない生分解性装置としたことを特徴とする、請求項9〜11のうちいずれか一項に装置。
【請求項14】
CO等の臨界前または超臨界のガス、または熱処理により生分解性装置の多孔質構造を得るものとした請求項10〜13のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
葉巻形、円筒形、卵形、円錐形、菱形、管状形、球形、三日月形、またはこれら形状における任意の組み合わせうちの一つの形状を有する生分解性装置としたことを特徴とする請求項1〜14のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
平坦な形状を有し、1個以上のカテーテルを設け、表面または平坦な切除腔の容積を治療することが可能な生分解性装置としたことを特徴とする、請求項1〜15のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
長さ、幅、または直径を容易に調節できる下位部分から構成した生分解性装置としたことを特徴とする、請求項1〜16のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
長さをカットする、表面を研削する、および/または縫合、接着、組立、または構成部分同士を接合する任意の他の技術を使用して幾つかの装置を組み合わせることにより、装置の寸法を増大または減少させることができる生分解性装置としたことを特徴とする、請求項1〜17のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
切除腔の形態に適合するために2個またはそれ以上の装置を組み合わせることができるようにするため、装置の表面をカットできる生分解性装置としたことを特徴とする、請求項1〜18のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
装置または装置の組み合わせの中心、周縁、もしくは表面のいずれが、治療のための最適線量照射をできるかを予測できるように、治療を可能とするカテーテルを配置した生分解性装置としたことを特徴とする、請求項のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
体液の蓄積を避けるため、および生分解性装置をできるだけ切除腔壁に密接した状態に維持するために、外部吸引排出装置に接続した生分解性装置としたことを特徴とする、請求項1〜20のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
適切な箇所にエネルギーを送達するのに使用するカテーテルを、少なくともその長さの一部が生分解性である生分解性の装置としたことを特徴とする、請求項1〜21のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
適切な箇所にエネルギーを送達するのに使用するカテーテルを、装置に沿って移動する、抜き差しする、または装置から取り外すことができる生分解性装置としたことを特徴とする、請求項1〜22のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
適切な箇所にエネルギーを送達するのに使用するカテーテルが、小さなこぶの被覆、および/またはループ、穴、丸環ねじ等の不規則な表面を一方の端部に有し、このカテーテル端部を、生体内で治療する構造の内側または外側で容易に拘束できる生分解性装置としたことを特徴とする、請求項1〜23のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
生分解性装置から導出し、エネルギー源を生分解性装置の内部に導入することを可能にするカテーテルを、抗感染剤、抗腐敗剤、及び/又は抗炎症剤で被覆又は含浸して、切除腔の感染又は炎症を避けるようにした生分解性装置(1)としたことを特徴とする、請求項1〜24のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
装置から導出するカテーテルを、請求項2記載のポリマー内に埋め込まれた抗感染剤および/または抗炎症剤で被覆し、抗感染物質、抗腐敗物質、または抗炎症物質を持続的に放出できるようにした生分解性装置としたことを特徴とする、請求項2〜25のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
切除腔の感染を避けるために、生分解性の装置を抗感染剤、抗腐敗剤、および/または抗炎症剤で被覆および/または含浸している、請求項1〜26のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
種々の形状を有する、または切除腔に適合するようにでき、かつ厳密に規定した治療が可能である生分解性装置としたを特徴とする、請求項1〜27のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
手術実施の1日後から1年後の間、好ましくは手術実施の3週間後から8ヶ月後の間に、少なくとも1個のカテーテル又はバルーンカテーテルを正確に位置決めすることを可能にする少なくとも1個の管状の穴を配置した生分解性構体から形成した装置としたことを特徴とする、請求項1〜28のうちいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
装置および/またはカテーテルの生分解性材料を、ポリ乳酸およびグリコール酸を含むものとし、グリコール酸の比率は0%〜100%の範囲で変動するものとした、請求項1〜29のうちいずれか一項に記載の生体内腫瘍を治療するための装置。
【請求項31】
装置および/またはカテーテルの形状の分解継続期間を、生分解性材料の成分の濃度によって調整可能とした請求項1〜30のうちいずれか一項に記載の生体内腫瘍を治療するための装置。
【請求項32】
少なくとも1個の放射線不透過性のマーカーを配置した、請求項1〜31のうちいずれか一項に記載の生体内腫瘍を治療するための装置。
【請求項33】
放射線不透過性のマーカーをチタン、タンタル、または任意の可視的生体適合性材料から形成した、請求項32の装置。
【請求項34】
外部放射線治療を行う際に、切除腔を描出しかつ切除腔に正確に合焦できる生分解性装置とした、請求項1〜33のうちいずれか一項に記載の生体内腫瘍を治療するための装置。
【請求項35】
(a)前記腫瘍の少なくとも一部を外科的に切除し、これにより生体の残存組織内に切除腔を形成する切除ステップと、
(b)前記切除腔の中に生分解性治療装置を留置し、生分解性装置により前記切除腔を埋める留置ステップと、および
(c)前記留置した治療装置により前記切除腔周囲の残存組織を治療する治療ステップと
を有することを特徴とする生体内腫瘍を治療するための外科的処置。
【請求項36】
腫瘍は脳、乳房、前立腺、または任意の切除腔とし、前記留置治療装置は、前記切除腔の容積を超えない体積を有するという特徴を持ち、これにより周囲の正常組織への圧迫またはゆがみを回避するようにした、請求項35記載の生体内腫瘍を治療するための外科的処置。
【請求項37】
前記治療ステップは、生体に更なる外科的切開部を形成することなく、非侵襲的に前記治療を行ものとした、請求項35または36記載の生体内腫瘍を治療するための外科的処置。
【請求項38】
前記治療ステップは、生体に小さな外科的切開部のみを形成することにより、最小限の侵襲で前記治療が行うものとした、請求項35または36記載の生体内腫瘍を治療するための外科的処置。
【請求項39】
前記治療ステップ(c)は、さらに前記留置治療装置により前記切除腔の周囲の前記残存組織に対してレーザー光を照射することを含むものとした、請求項35〜38のうちいずれか一項に記載の生体内腫瘍を治療するための外科的処置。
【請求項40】
前記治療ステップ(c)は、さらに前記留置治療装置により前記切除腔の周囲の前記残存組織に対してイオン化放射線を照射することを含むものとしたことを特徴とする、請求項35〜38のうちいずれか一項に記載の生体内腫瘍を治療するための外科的処置。
【請求項41】
前記治療ステップ(c)は、さらに前記留置治療装置により前記切除腔の周囲の前記残存組織に対してレーザー光および放射線を同時に照射することを含むものとしたことを特徴とする、請求項35〜38のうちいずれか一項に記載の生体内腫瘍を治療するのための外科的処置。
【請求項42】
生分解性装置を多孔質の材料で形成する、請求項35〜41のうちいずれか一項に記載の生体内腫瘍を治療するための外科的処置。
【請求項43】
生分解性装置を、CO等の臨界前または超臨界のガス、または熱処理により得る骨組または発泡体として形成する、請求項の35〜42のうちいずれか一項に記載の生体内腫瘍を治療するための外科的処置。
【請求項44】
外科医が切除部の大きさを評価し、その大きさに対応する生分解性成形体を形成し、カテーテルを生分解性成形構体内に挿入し、このカテーテルを挿入した構体を切除腔の中に留置する、請求項35〜43のうちいずれか一項に記載の生体内腫瘍を治療するための外科的処置。
【請求項45】
外科医が切除部の大きさを評価し、この大きさに適合する生分解性中空構造体を切除腔内に留置し、数日から数ヶ月後に前記中空構造体内に正確にカテーテルまたはバルーンカテーテルを挿入し、切除腔が前記生分解性構造体で維持されているためにカテーテルまたはバルーンカテーテルを正確に留置することを確実にした、請求項35〜44のうちいずれか一項に記載の生体内腫瘍を治療するための外科的処置。
【請求項46】
外科医が病理結果に従い治療方針を評価し、インプラント挿入の後数週間または数ヶ月後に、生分解性留置治療装置を使用した単独療法または追加療法(外部照射の後)を行うかを決定する、請求項35〜45のうちいずれか一項に記載の生体内腫瘍を治療するための外科的処置。
【請求項47】
カテーテルを皮膚から導出させることなく、装置およびカテーテルを生体内に留置し、治療を開始すべきことが決定した時のみ前記カテーテルを皮膚から引き出すようにする、請求項35〜46のうちいずれか一項に記載の生体内腫瘍を治療するための外科的処置。
【請求項48】
穴、ループ、または丸環ねじを持つ治療カテーテルの一方の端部を、構造体表面(乳房、会陰部、その他)に近い構造体内部の縫合により拘束する、請求項35〜47のうちいずれか一項に記載の外科的処置。
【請求項49】
前記カテーテルの一方の端部を治療する構造体(乳房、会陰部、その他)から引き出した後、不規則な表面(例えば小さいこぶの並び)を持つ治療カテーテルの一方の端部を縫合により拘束する、請求項35〜47のうちいずれか一項に記載の外科的処置。
【請求項50】
外科的切除の間に生分解性装置を切除腔内に留置し、切除腔周辺を生分解性装置の回りにきつく縫合し、前記生分解性装置を使用して、例えば放射線治療、超音波、マイクロ波等の外部治療の領域を非常に正確に位置決めするようにした、請求項35〜49のうちいずれか一項に記載の外科的処置。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図3c】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−526408(P2008−526408A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−550735(P2007−550735)
【出願日】平成18年1月7日(2006.1.7)
【国際出願番号】PCT/EP2006/000077
【国際公開番号】WO2006/074879
【国際公開日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【出願人】(504378087)アクロシュターク コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】