説明

刈払機

【課題】作業者が棹振れによる違和感を殆ど感じない刈払機を提供する。
【解決手段】刈払機は、エンジンの動力を断続するクラッチドラム61の先端側にボス部611を一体に設け、ボス部611の他端側にクラッチドラム61を回転自在に軸支するベアリング22の受部611aを設け、クラッチドラム61と別体のボス7をボス部611に挿通貫通してボス7の他端側の貫通部分に抜止めを取り付ける。ボス7はボス部611に対して回動可能であり、ボス7とボス部611に切欠部611b、72を設け、ボス7とボス部611の相対的な回転の前後で切欠部611b、72が当接するように隙間を与える。ボス7内にスプライン孔73を設け、この孔にロングシャフト9を挿通し、クラッチドラム61の加速回転中に切欠部611b、72が防振ゴム82を介して当接して、ロングシャフト9を介して回転刈刃に動力が伝達される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、刈払機における駆動系のトルク変動やねじり振動を緩和する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に刈払機では、エンジンの遠心クラッチの回転が、刈刃を回転させるロングシャフトに伝達され、刈刃が駆動回転される。このときエンジンや刈刃の加減速により、ロングシャフトにねじり振動が発生し、ねじり振動は刈払機の棹部を大きく振る所謂“棹振れ”と呼ばれる現象を引き起こす。この棹振れは棹部から操作ハンドルに振動として伝達され、作業者に不快感を与え、刈払機による作業性を低下させる。
【0003】
ねじり振動を低減させる防振機構は、例えば、特許文献1から4によって開示されている。
【0004】
特許文献1は、ロングシャフトをクラッチドラムに回動可能に貫通して抜止めにより取り付けて、ロングシャフトとクラッチドラムの間に係合部を介してコイルばねを備えることにより、ねじり振動の低減を図ることができる。しかしながら特許文献1による防振機構では、ロングシャフトをクラッチドラムに貫通させることから組み付け性が悪く、またロングシャフトの振れによる振動がクラッチドラムに伝わり易く、クラッチドラムを回転自在に軸支するベアリングの損傷を起こす虞があった。またロングシャフトと係合子を一体に形成することから、ロングシャフトの汎用性が損なわれていた。一般にロングシャフトはコスト低減等の為、様々な型式で共用することが多いが、汎用性が劣ることになり、様々な型式に対応するためにはその都度ロングシャフトを設計変更することになる問題を抱えていた。
【0005】
特許文献2は、クラッチドラムにゴム製の緩衝体を固着し、角軸を端部に設けた伝動軸と緩衝体を着脱自在に係合する構造にすることで、ねじり振動の低減を図ることができる。しかしながら特許文献2による防振機構では、角軸を端部に設けた伝動軸と緩衝体を係合する構造にしているので伝動軸の端部が緩衝体の中で振れ易く、伝動軸の振れにより振動増大を招き易い。また構造的にも緩衝体を損傷し易いものであった。
【0006】
特許文献3は、伝動軸に継手を連結して継手の間に防振体を設けることで、ねじり振動の低減を図ることができる。しかしながら特許文献3による防振機構では、継手と防振体が互いに押し付けられることで保持されているため組み付け性が悪く、また継手同士が自由に振れてしまうので伝動軸の振れによる振動の増大を招き易い。
【0007】
特許文献4は、ロングシャフトの自由端側にクラッチばねを設けたような構造にすることで、ねじり振動の低減を図ることができる。しかしながら特許文献4による防振機構では、ロングシャフトと防振機構を一体構造にしているためロングシャフトの防振機構の側端部で振れが生じ易く、伝動軸の振れによる振動の増大を招き易い。またロングシャフトの汎用性が損なわれていた。
【0008】
【特許文献1】実開昭51−57940号公報
【特許文献2】実開昭54−86547号公報
【特許文献3】実開平6−38432号公報
【特許文献4】特開2005−168339号公報
【0009】
なお、前述したねじり振動に起因する棹振れは、刈り取り作業の準備運転所謂無負荷運転中であって、エンジンスロットルを一定に調整して操作しているときに生じると、棹振れ以外の振動要因が少ないため作業者は強い違和感を与えられる。そして、刈払機の回転刈刃としては鋼鉄製の回転刈刃やコードカッターが用いられるが、鋼鉄製の回転刈刃を装着した状態で無負荷定速運転を行った場合は棹振れが生じ易い傾向にある。この原因は、無負荷運転中ではエンジンの回転安定性が悪く、エンジンスロットルを一定に調整した場合であっても、エンジン回転はドリフト変動を生じ易い。そして鋼鉄製の回転刈刃は慣性性能が大きいため、エンジン回転のドリフト変動に回転刈刃が追随できず、ロングシャフトでねじり振動を起こすことに起因する。一般に鋼鉄製の回転刈刃は外径9インチから12インチのもが使用されるが、外径の大きなものほど棹振れが発生し易い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
このように従来の技術を用いることで、ロングシャフトにおけるねじり振動を低減することは可能であるが、別に新たな問題が生じ、解決する必要に迫られていた。そしてさらなる棹振れの低減が求められていた。
本発明は、このような要望に応えて、作業者が棹振れによる違和感を殆ど感じることなく、良好な作業が可能な刈払機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
このような課題を解決するため、本発明は、エンジンの動力を断続するクラッチドラムの先端側にクラッチドラムと一体に固設されたボス部が設けられ、ボス部の他端側にクラッチドラムを回転自在に軸支するベアリングの受部が設けられ、クラッチドラムとは別体のボスをクラッチドラムのボス部に挿通貫通してボスの他端側の貫通部分にはボスの抜止めが取り付けられ、ボスはボス部に対して回動可能であって、ボスとボス部には切欠部がそれぞれ設けられており、ボスとボス部の相対的な回転の前後でボスとボス部のそれぞれの切欠部が当接するように隙間が与えられており、ボスには、スプライン孔が設けられており、スプライン孔にはロングシャフトが挿通され、クラッチドラムの加速回転中にボスとボス部のそれぞれの切欠部が防振ゴムを介して当接して、ロングシャフトを介して回転刈刃に動力伝達されることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、上記特徴を有することで、ロングシャフトのねじり振動を防止できると共に、ロングシャフトと別体のボスはベアリングの受部を挿通貫通する配置となるので、ボスはクラッチドラムに対して軸の振れが少ない状態で回動可能となり、クラッチドラムも軸の振れが少ない状態で回転可能となる。またロングシャフトの端部がボスに挿通され、ボスはクラッチドラムのボス部を介してベアリングの近くに配置され、ロングシャフトの端部は防振部材を介すことなく間接的にベアリングで軸支されるようになるので、ロングシャフトの回転による振れを抑えることが可能となる。
【0013】
また本発明は、鋼鉄製の外径12インチの回転刈刃を装着した状態でエンジンを駆動し、エンジンスロットル一定の状態で回転刈刃を無負荷運転し、エンジン回転のドリフト変動の範囲の加速状態ではボスとボス部のそれぞれの切欠部が回動の前後一方で防振ゴムを介して当接し、エンジン回転のドリフト変動の範囲の減速状態ではボスとボス部のそれぞれの切欠部が当接しないように隙間が調整された動力伝達装置を備えたことを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、上記特徴を有することで、無負荷運転中に、ボスとボス部のそれぞれの切欠部が当接する頻度が少なくなり、ボスとボス部のそれぞれの切欠部は防振ゴムを介して当接するので、ロングシャフトのねじり振動を大幅に低減可能となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係わる刈払機によれば、ロングシャフトのねじり振動を防止できるので、刈払機における作業中の棹振れを抑制できると共に、ボスはクラッチドラムに対して軸の振れが少ない状態で回動可能であり、クラッチドラムも軸の振れが少ない状態で回転可能なので、ベアリングの損傷をより低減することも可能である。また同時に、ロングシャフトの回転による振れを抑えることが可能なので、刈払機の振動も低減できる。また同時にロングシャフトと防振機構が別に設けられるので、ロングシャフトの組み付け性が良好であると共に、汎用性も維持され、様々な型式毎にロングシャフトを設計変形する機会も減少する。そして更に無負荷運転中に、ロングシャフトのねじり振動を大幅に低減可能となるので、無負荷運転中の棹振れが大幅に低減され、作業者は刈払機を良好に操作することが可能となる。
【0016】
なお、鋼鉄製の回転刈刃を装着した状態で高速運転し、それからエンジンスロットルをアイドル状態に戻して減速運転をした場合、ボスに比べてボス部が低い回転数で回り続け、加速時とは反対の側で切欠部が当接するが、エンジン回転数の減速により、すぐにクラッチドラムとエンジンの動力が切り離されるため、ボスとボス部の当接による衝撃は極めて小さなものとなり、切欠部の損傷を充分に抑えることが可能である。
【0017】
また本発明による刈払機にコードカッターを装着して無負荷運転をした場合、コードカッター自身の回転による空気抵抗のため、鋼鉄製の回転刈刃に比べて負荷が大きくなり、そのためエンジン回転のドリフト変動は比較的少なくなる。そしてコードカッターの慣性能率は、鋼鉄製の回転刈刃に比べて充分に小さいので、回転刈刃の回転が充分に追随でき、ロングシャフトでねじり振動を起こすことは殆どなく、棹振れを殆ど起こさずに作業することができる。
【0018】
以上のように、本発明による刈払機を使用することで、作業者は棹振れによる違和感を殆ど感じることなく、良好な作業を実現することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明による防振機構を備えた刈払機の好ましい実施の形態を図1から図10に基づいて説明する。
【0020】
刈払機1は、図1に示すように、棹部3と、棹部3の他端部に装着されたエンジン2と、棹部3の先端部に回転自在に取り付けられた回転刈刃4を有して構成される。
回転刈刃4の種類としては、図1(a)に示すような鋼鉄製の回転刈刃41や、図1(b)に示すようなナイロンコード42aを備えたコードカッター42の何れを使用しても良い。
【0021】
エンジン2と回転刈刃4の動力伝達は、ケースクラッチ21内部に備えられた遠心クラッチにより、エンジン回転数に応じてクラッチシュー60とクラッチドラム61が断続し、エンジン回転数の高い状態ではクラッチシュー60とクラッチドラム61が接続し、クラッチドラム61に伝わった動力は棹部3の内部に設けられたロングシャフト9を介して回転刈刃4に伝達される。
【0022】
棹部3の中間部にはハンドル5が取り付けられており、このハンドル5にはエンジン2の動力を調整するためのスロットルレバー51が装着されている。作業者はハンドル5を把持して操作することによって、刈り取り作業を行う。刈り取り作業は、先ず刈り取り対象物である雑草等に回転刈刃4を当てずに所謂無負荷状態で、スロットルレバー51の操作により回転刈刃4の回転数を充分に高め、それから雑草等に回転刈刃4を当てて、回転刈刃4の慣性および動力を利用して刈り取り作業を行う。
【0023】
クラッチドラム61とロングシャフト9の動力伝達は、図2に示すようにボス7を介して行われる。図3に示すようにクラッチドラム61の先端側は、クラッチドラム61と一体に固設された円筒状のボス部611が設けられ、ボス部611の先端には切欠部611bが設けられており、ボス部611の他端側にクラッチドラム61を回転自在に軸支するベアリング22の受部611aが設けられ、クラッチドラム61はケースクラッチ21に嵌合されたベアリング22に嵌合し回転自在に軸支される。なお、ベアリング22はケースクラッチ21から抜けないように抜止め23によって軸方向に固定されている。
【0024】
クラッチドラム61とは別体のボス7は、図4に示すように円筒状であって、内側にはスプライン孔73が設けられており、先端側に切欠部72が設けられている。ボス7の他端側を、クラッチドラム61のボス部611先端から挿通し、ボス7とボス部611の切り欠き部611b、72を合わせることで、ボス7はボス部611を挿通することができ、ボス7の他端側の貫通部分に設けられた抜止め溝71に抜止め7aを装着することで、ボス7はクラッチドラム61の軸方向に固定される。なお、ボス7とボス部611は抜止め7aを装着した状態で、互いに径方向にガタつくことなく滑らかに回動可能になっている。そしてボス7とボス部611の回動の前後で、ボス7とボス部611の切欠部611b、72が当接するように隙間wが与えられており、隙間wの範囲でのみボス7とボス部611は回動する。
【0025】
ボス7とボス部611の隙間wには後述する防振ゴム82が挿入され、ボス7とボス部611の切り欠き部611b、72が当接する前に防振ゴム82と当接し、ねじり振動を吸収してから互いの切り欠き部611b、72が当接して、クラッチドラム61とボス7で動力が伝達される仕組みとなっている。防振ゴム82は図5に示すように金属製の円筒81の内側に防振ゴム82が焼き付けられた防振ゴム部材8として構成される。なお、この実施の形態における防振ゴム部材8は、ボス7とボス部611の回動の前後それぞれで防振ゴム82を介して互いの切欠部611b、72が当接するように、防振ゴム82が突起状に二箇所設けられている。
【0026】
この実施の形態においてクラッチドラム61とボス7と防振ゴム部材8は、図6に示すように、防振ゴム部材8を挟むようにして、クラッチドラム61のボス部611とボス7のそれぞれを防振ゴム部材8に挿入し、一体化されている。
【0027】
そして、ボス7のスプライン孔73にロングシャフト9が挿通され、クラッチドラム61とロングシャフト9の動力伝達はボス7を介して行われ、防振ゴム82によりねじり振動は吸収され、ロングシャフト9のねじり振動は吸収される。
【0028】
この実施の形態における、ボス部611とボス7と防振ゴム82の動作説明は前述した通りであるが、図7および図8に説明図を示す。
【0029】
このようにクラッチドラム61のボス部611とボス7と防振ゴム部材8を一体化することで、特にねじり振動に対する防振機構を備えた動力伝達装置が実現できる。
【0030】
この実施の形態は以上の通りなので、ロングシャフト9のねじり振動が抑制されることで、刈払機1における作業中の棹振れは抑制される。ロングシャフト9とボス7は別体であって、ボス7はベアリング22の受部611aを挿通貫通する配置となるので、ボス7はクラッチドラム61に対して軸の振れが少ない状態で回動可能となり、クラッチドラム61も軸の振れが少ない状態で回転可能となり、それによりベアリング22の損傷は低減される。そして、ロングシャフト9の端部がボス7に挿通されてベアリング22の近くに配置され、防振部材を介すことなく間接的にベアリング22で軸支されるようになるので、ロングシャフト9の回転による振れは抑制され、振動も低減する。更にロングシャフト9と防振機構が別に設けられるので、ロングシャフト9の組み付け性も良好であると共に、ロングシャフト9の汎用性も維持される。
【0031】
次に、本発明による防振機構を備えた刈払機の他の好ましい実施の形態を以下に説明する。この実施の形態は、前述した実施の形態に対して動力伝達装置の防振機構が異なる。この動力伝達装置は、図9及び図10に示すように、エンジン回転の加速状態で、ボス部611とボス7の切欠部611b、72が回動の前後一方で防振ゴム82を介して当接するように、回動の前後一方側に防振ゴム82が挿入され、回動の前後方向他方側には防振ゴムは挿入されていない。更にボス7とボス部611の隙間w1は広めになるように設計されている。この隙間w1の間隔は次のようにして定められる。刈払機1に鋼鉄製の外径12インチの回転刈刃41を装着し、エンジン2を駆動して、回転刈刃41が回転する実用エンジン回転数の範囲で回転刈刃41を無負荷運転し、エンジン回転のドリフト変動の幅が最大となる回転数となるようにエンジンスロットル一定の状態とし、ドリフト変動によるクラッチドラム61の加減速では、ボス7とボス部611切欠部611b、72が回動の前後一方で防振ゴム82を介して当接した状態から、回動の前後他方側ではボス7とボス部611切欠部611b、72が当接することが無いように、広く隙間w1が取られる。
【0032】
このように防振機構を構成すると、刈払機1に鋼鉄製の回転刈刃41を装着して無負荷定速運転した状態では、ドリフト変動によるクラッチドラム61の加速状態で、ボス7とボス部611の切欠部611b、72が回転の前後一方で接近し、防振ゴム82と当接し、ねじり振動を吸収してから互いの切欠部611b、72が当接して、ボス7にクラッチドラム61の動力が伝達される。ドリフト変動によるクラッチドラム61の減速状態では、ボス7とボス部611の切欠部611b、72が回動の前後一方から切り離されて遠ざかり、クラッチドラム61とボス7の動力が切断されて、ボス7とボス部611の切欠部611b、72が回動の前後他方で接近する。ボス7とロングシャフト9および回転刈刃41は連動しており、ロングシャフト9を支持する図示しない軸受けやロングシャフト9と回転刈刃41の図示しない動力伝達装置等での摩擦の影響により、クラッチドラム61とボス7の動力が切断された状態では、ボス7の回転数は次第に低下する。隙間w1は充分に広くとられているので、ドリフト変動によるクラッチドラム61の回転が減速から加速に転じても、ボス7とボス部611の切欠部611b、72が回転の前後他方では当接せず、そして遠ざかる。ボス7の回転数が減速し、クラッチドラム61の回転数は加速するので、ボス7とボス部611の切欠部611b、72が回転の前後一方で接近し、再び防振ゴム82を介して互いの切欠部611b、72が当接し、ボス7にクラッチドラム61の動力が伝達される。
【0033】
この実施の形態は以上の通りなので、無負荷運転中に、ボス7とボス部611の切欠部611b、72が当接する頻度が少なくなり、ボス7とボス部611の切欠部611b、72は防振ゴム82を介して当接するので、ロングシャフト9のねじり振動を大幅に低減可能となり、そのため特に違和感を得易い無負荷運転中の棹振れが大幅に低減され、作業者は刈払機1を良好に操作することが可能となる。
【0034】
なお、鋼鉄製の回転回転刈刃41を装着した状態で高速運転し、それからエンジンスロットルをアイドル状態に戻して減速運転をした場合、ボス7に比べクラッチドラム61が低い回転数で回り続け、回動の前後他方で防振ゴム82を介さずに切欠部611b、72が当接するが、エンジン回転数の減速により、クラッチドラム61とエンジン2の動力が切り離されるため、ボス7とボス部611の当接による衝撃は極めて小さいものとなり、切欠部611b、72の損傷を充分に抑えられる。なお刈り取り作業時には、ボス7とボス部611の切欠部611b、72が回動の前後一方で防振ゴム82を介して当接し続けることになる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる防振機構付きの刈払機を示し、同図(a)は鋼鉄製の回転刈刃を装着した状態であり、同図(b)はコードカッターを装着した状態である。
【図2】本発明の一実施の形態に係わる防振機構の要部断面図である。
【図3】本発明の防振機構の一部品であるクラッチドラムの一実施の形態に係わる断面図である。
【図4】本発明の防振機構の一部品であるボスの一実施の形態に係わる断面図である。
【図5】本発明の防振機構の一部品である防振ゴム部材の一実施の形態に係わる図であり、同図(a)は側面から見た断面図、同図(b)は図5(a)のA−A断面図である。
【図6】本発明の一実施の形態に係わる防振機構の要部組立図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係わる防振機構の動作説明図であって、エンジン回転の加速状態を示す。同図(a)は加速時に切欠部が当接する側を示し、同図(b)は同図(a)のB−B断面図であり、同図(c)は同図(a)のC−C断面図であり、同図(d)は同図(a)とは反対側の側面図である。
【図8】本発明の一実施の形態に係わる防振機構の動作説明図であって、エンジン回転の減速状態を示す。同図(a)は減速時に切欠部が当接する側を示し、同図(b)は同図(a)のD−D断面図であり、同図(c)は同図(a)のE−E断面図であり、同図(d)は同図(a)とは反対側の側面図である。
【図9】本発明の他の実施の形態に係わる防振機構の動作説明図であって、エンジン回転の加速状態を示す。同図(a)は加速時に切欠部が当接する側を示し、同図(b)は同図(a)のF−F断面図であり、同図(c)は同図(a)のG−G断面図であり、同図(d)は同図(a)とは反対側の側面図である。
【図10】本発明の他の実施の形態に係わる防振機構の動作説明図であって、鋼鉄製の回転刈刃を装着し、無負荷定速運転におけるドリフト変動の範囲で、エンジン回転が減速から加速に転ずる状態を示す。同図(a)は加速時に切欠部が当接する側を示し、同図(b)は同図(a)のH−H断面図であり、同図(c)は同図(a)のJ−J断面図であり、同図(d)は同図(a)とは反対側の側面図である。
【符号の説明】
【0036】
1 刈払機
2 エンジン
21 ケースクラッチ
22 ベアリング
23 ベアリングの抜止め
3 棹部
4 回転刈刃
41 鋼鉄製の回転刈刃
42 コードカッター
42a ナイロンコード
5 ハンドル
51 スロットルレバー
60 クラッチシュー
61 クラッチドラム
611 ボス部
611a ベアリングの受部
611b ボス部の切欠部
7 ボス
71 抜止め溝
72 ボスの切欠部
73 スプライン孔
7a ボスの抜止め
8 防振ゴム部材
81 金属製の円筒
82 防振ゴム
9 ロングシャフト
w 切欠部どうしの隙間
w1 他の実施例における切欠部どうしの隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンの動力を断続するクラッチドラム61の先端側にクラッチドラム61と一体に固設されたボス部611が設けられ、ボス部611の他端側にクラッチドラム61を回転自在に軸支するベアリング22の受部611aが設けられ、クラッチドラム61とは別体のボス7をクラッチドラム61のボス部611に挿通貫通してボス7の他端側の貫通部分にはボス7の抜止め7aが取り付けられ、ボス7はボス部611に対して回動可能であって、ボス7とボス部611には切欠部611b、72がそれぞれ設けられており、ボス7とボス部611の相対的な回動の前後でボス7とボス部611の切欠部611b、72が当接するように隙間wが与えられており、ボス7には、スプライン孔73が設けられており、スプライン孔73にはロングシャフト9が挿通され、クラッチドラム61の加速回転中にボス7とボス部611の切欠部611b、72が防振ゴム82を介して当接し、ロングシャフト9を介して回転刈刃4に動力伝達されることを特徴とする刈払機。
【請求項2】
鋼鉄製の外径12インチの回転刈刃41を装着した状態でエンジンを駆動し、エンジンスロットル一定の状態で回転刈刃41を無負荷運転し、エンジン回転のドリフト変動の範囲の加速状態ではボス7とボス部611の切欠部611b、72が回動の前後一方で防振ゴム82を介して当接し、エンジン回転のドリフト変動の範囲の減速状態ではボス7とボス部611の切欠部611b、72が当接しないように隙間wが調整された動力伝達装置を備えたことを特徴とする請求項1に記載の刈払機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−118763(P2009−118763A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−295152(P2007−295152)
【出願日】平成19年11月14日(2007.11.14)
【出願人】(000237215)株式会社マキタ沼津 (27)
【Fターム(参考)】