説明

利用者属性対応カラオケシステム

【課題】 カラオケ利用者に何ら負担や手間をかけることなく、歌唱者の年齢や性別等の属性に好適に対応した背景映像や歌詞テロップを表示させる。
【解決手段】 利用者により楽曲が選曲予約される操作タイミングを識別する選曲操作識別手段22cと、この操作タイミングにてデジタルカメラ22eにより撮像された利用者の顔画像データを取得する顔画像データ取得手段36と、顔画像データに基づいて利用者の属性を判定する選曲者属性判定手段37と、選曲予約楽曲の楽曲IDと選曲予約者の属性データとを紐付けして管理する予約管理手段38と、任意の楽曲の演奏時に、当該楽曲の楽曲IDに紐付けされた利用者の属性に対応する背景映像データを表示させる背景映像表示制御手段40aと、当該楽曲の楽曲IDに紐付けされた利用者の属性に対応する歌詞文字データを表示させる歌詞文字表示制御手段40bと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラオケシステムに関するものであり、特に、利用者の年齢や性別等の属性に対応させて、背景映像や歌詞テロップの表示態様を変更できるようにしたものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に普及しているカラオケシステムは、カラオケ楽曲を演奏する際に、表示装置の表示画面に背景映像や歌詞テロップを表示することにより、歌唱の雰囲気を盛り上げると共に、歌唱のサポートを行うようになっている。
【0003】
ところで、カラオケシステムが広く普及し、親睦や娯楽だけではなく、健康の維持増進を目的として歌唱を行う機会が増えてきたため、利用者の年齢や性別は多岐にわたるようになってきた。現在のカラオケシステムでは、利用者が可搬型の記録媒体に記録して持参した利用者映像を背景映像として表示できるものもあるが(例えば、特許文献1参照)、通常は、楽曲毎にデフォルト設定された背景映像を表示すると共に、演奏の進行に伴って歌詞テロップが表示される。
【0004】
また、画像解析技術を用いて、デジタルカメラで撮像した画像に基づいて、撮像対象となった人物の年齢や性別を推定可能な技術が開示されており(例えば、特許文献2参照)、街頭や店内に設置された看板において、利用者の年齢や性別等に応じて適切な広告宣伝を行うためのデジタルサイネージに利用されるようになってきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−8977号公報
【特許文献2】特開2008−282089号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のカラオケシステムの背景映像や歌詞テロップは、幅広い利用者層に対応できるように設計されてはいるものの、年齢や性別のような利用者の属性に個別に対応させるという配慮はなされていなかった。すなわち、同じ楽曲であっても、歌唱を行う利用者の年齢や性別によっては受ける印象が異なり、一律に背景映像や歌詞テロップを表示したのでは、幅広い利用者層に対応しているとは言い難い場合もあった。すなわち、カラオケ事業者の判断に基づいて、楽曲毎にふさわしい背景映像が設定されているが、歌唱者の年齢や性別によっては、歌唱の雰囲気が盛り上がらないことがある。
【0007】
例えば、いわゆるナツメロに対して、その楽曲が流行した当時の風景を背景映像とした場合、実際その時代を知っている利用者にとっては懐かしい映像であり、歌唱の雰囲気が盛り上がったとしても、その時代を知らない若年層の利用者にとっては、背景映像を理解できずに、歌唱の雰囲気が盛り上がらない場合がある。
【0008】
また、視力が低下した高齢者の場合には、デフォルト設定された大きさの歌詞文字では小さすぎて判読できずに、カラオケの楽しさを十分に味わうことができない場合もある。また、低年齢の子供が歌唱する場合には、歌詞文字に含まれる漢字を読むことができない場合もある。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑み提案されたもので、老若男女を問わず、カラオケ利用者に何ら負担や手間をかけることなく、歌唱者の年齢や性別等の属性に好適に対応した背景映像や歌詞テロップを表示させることが可能な利用者属性対応カラオケシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上述した目的を達成するため、以下の特徴点を有している。すなわち、本発明の利用者属性対応カラオケシステムは、カラオケ楽曲の演奏に合わせて背景映像及び歌詞テロップを表示可能なシステムであって、撮像手段と、選曲操作識別手段と、顔画像データ取得手段と、選曲者属性判定手段と、予約管理手段と、属性対応背景映像データベースと、属性対応歌詞文字データベースと、背景映像表示制御手段又は歌詞文字表示制御手段の少なくとも一方と、を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
撮像手段は、選曲操作を行う利用者の顔画像を撮像するための手段である。選曲操作識別手段は、利用者により楽曲が選曲予約される操作タイミングを識別するための手段である。顔画像データ取得手段は、利用者により楽曲が選曲予約される操作タイミングにて、撮像手段により撮像された利用者の顔画像データを取得するための手段である。選曲者属性判定手段は、選曲予約を行った利用者の顔画像データと、所定の属性リファレンスデータとを比較して、当該利用者の属性を判定するための手段である。予約管理手段は、選曲予約された楽曲の楽曲IDと、当該判定された利用者の属性データとを紐付けして、予約待ち行列にて管理するためのデータベースである。
【0012】
属性対応背景映像データベースは、利用者の属性に対応した背景映像データを格納するためのデータベースである。属性対応歌詞文字データベースは、利用者の属性に対応した複数種類の歌詞文字データを楽曲別に格納するためのデータベースである。
【0013】
背景映像表示制御手段は、任意の楽曲が演奏される際に、属性対応背景映像データベースから、当該楽曲の楽曲IDに紐付けされた利用者の属性に対応する背景映像データを取得して、当該楽曲の背景映像として表示させるための手段である。歌詞文字表示制御手段は、任意の楽曲が演奏される際に、属性対応歌詞文字データベースから、当該楽曲の楽曲IDに紐付けされた利用者の属性に対応する歌詞文字データを取得して、当該演奏楽曲の歌詞テロップとして表示させるための手段である。
【0014】
また、上述した構成からなる利用者属性対応カラオケシステムにおいて、撮像手段と、選曲操作識別手段と、顔画像データ取得手段と、選曲者属性判定手段及び属性リファレンスデータとを、選曲予約操作を行うカラオケリモコン装置に設けることが可能である。
【0015】
このような構成からなる利用者属性対応カラオケシステムでは、例えば、カラオケリモコン装置に設けられた撮像手段の機能により利用者の顔画像を撮像する。すなわち、選曲操作識別手段の機能により、例えば、選曲操作において最終的に予約楽曲が1曲に絞られたタイミングを識別して、このタイミングにて、撮像手段により、カラオケリモコン装置に対峙している利用者の顔画像を撮像し、転送ボタンが操作されると、顔画像データ取得手段の機能により、カラオケリモコン装置に対峙している利用者の顔画像データを取得する。
【0016】
また、選曲者属性判定手段の機能により、利用者の顔画像データに基づいて、利用者の年齢や性別等の属性を判定する。そして、予約管理手段の機能により、選曲された楽曲の楽曲IDと、選曲予約を行った利用者の属性データとを紐付けして予約待ち行列を作成する。
【0017】
利用者属性対応カラオケシステムでは、予約待ち行列に従って、楽曲が演奏される。この際、背景映像表示制御手段の機能により、当該楽曲の楽曲IDに紐付けされた利用者の属性に対応する背景映像データを取得して表示させると共に、歌詞文字表示制御手段の機能により、当該楽曲の楽曲IDに紐付けされた利用者の属性に対応する歌詞文字データを取得して表示させる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の利用者属性対応カラオケシステムでは、選曲予約を行った利用者の顔画像データを取得して、その年齢や性別等の属性を判定すると共に、予約楽曲の楽曲IDと属性データとを紐付けして管理する。そして、任意の楽曲が演奏される際に、当該楽曲を選曲予約した歌唱者の属性データに好適に対応させて、背景映像や歌詞テロップを表示させるようになっている。
【0019】
したがって、例えば、歌唱者が高齢者であれば、昔懐かしい街角風景を背景画像として表示し、歌唱者が若者であれば、現在話題となっている街角風景を背景映像として表示し、歌唱者が子供であれば、子供の間でヒーローとなっているキャラクタを表示することにより、歌唱の雰囲気を盛り上げることができる。
【0020】
また、例えば、歌唱者が高齢者であれば、歌詞テロップの文字サイズを大きく表示し、歌唱者が子供であれば、難しい漢字を用いずに歌詞テロップを表示することにより、歌唱のサポートを行うことができる。
【0021】
このように、本発明の利用者属性対応カラオケシステムによれば、通常行っている選曲予約操作を行うだけで自動的に顔画像認識を行うので、IDカードに記憶された情報を読み取らせたり、利用者自らの手入力により情報を入力したりする等により、いちいち個人識別を行わせる必要がない。このため、老若男女を問わず、カラオケ利用者に何ら負担や手間をかけることなく、歌唱者の年齢や性別等の属性に好適に対応した背景映像や歌詞テロップを表示させることができるので、利用者は、カラオケシステムを用いた歌唱の楽しさを十分に味わうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態に係る利用者属性対応カラオケシステムの構成を示すブロック図。
【図2】属性対応背景映像データベースの構成を示す概念図。
【図3】属性対応歌詞文字データベースの構成を示す概念図。
【図4】予約待ち行列の構成を示す概念図。
【図5】カラオケリモコン装置の外観を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照して、本発明の利用者属性対応カラオケシステムの実施形態について説明する。図1〜図5は本発明の実施形態に係る利用者属性対応カラオケシステムを示すもので、図1は利用者属性対応カラオケシステムの構成を示すブロック図、図2は属性対応背景映像データベースの構成を示す概念図、図3は属性対応歌詞文字データベースの構成を示す概念図、図4は予約待ち行列の構成を示す概念図、図5はカラオケリモコン装置の外観を示す斜視図である。
【0024】
<システムの概要>
本発明の実施形態に係る利用者属性対応カラオケシステム(以下、カラオケシステムと略記する)は、利用者の属性に対応させて、背景映像や歌詞テロップの表示態様を変更可能なシステムであり、例えば、カラオケリモコン装置に内蔵されたデジタルカメラを用いて選曲予約を行った利用者の顔画像を撮像し、画像認識技術により選曲予約を行った利用者の年齢や性別等の属性を判定する。そして、選曲予約された楽曲の楽曲IDと選曲予約を行った利用者の属性データとを紐付けして予約待ち行列を作成し、予約待ち行列に従って楽曲の演奏を行う。その際、当該楽曲の選曲予約を行った利用者の属性に対応させて、好適な背景映像や歌詞テロップを表示することができるようになっている。
【0025】
<カラオケシステム>
本発明の実施形態に係るカラオケシステム10は、図1に示すように、カラオケ本体21、カラオケリモコン装置22、スピーカ23、マイクロホン24、表示装置25、ミキシングアンプ26を備えている。
【0026】
<カラオケリモコン装置>
カラオケリモコン装置22は、ユーザインタフェース機能を備えており、カラオケ本体21の送受信手段35との間で有線方式又は無線方式によりデータの送受信を行うようになっている。このカラオケリモコン装置22は、図1に示すように、楽曲検索手段22aとして機能するプログラム、楽曲索引データベース22b、選曲操作識別手段22cとして機能するプログラム、入出力表示部22d、撮像手段として機能するデジタルカメラ22e、データの送受信を行うための電子回路及びプログラム、フラッシュメモリ等からなる記憶手段(図示せず)を備えている。このカラオケリモコン装置22に付帯するスイッチ類や、入出力表示部22dに表示される各種のアイコン等を操作することにより、選曲操作等が行われる。
【0027】
<楽曲検索手段/楽曲索引データベース>
楽曲検索手段22aは、利用者の指示に基づき、楽曲索引データベース22bを参照して楽曲を検索するためのプログラムからなる。楽曲索引データベース22bは、カラオケシステム10で演奏に供されるカラオケ楽曲について、その属性情報を記述したデータベースであり、例えば、楽曲番号・曲名・歌手名・歌い出し部分の歌詞・流行時期・音楽ジャンル区分・デュエット曲か否かなど、種々の属性情報がこれに含まれている。
【0028】
<デジタルカメラ>
デジタルカメラ22eは、図5に示すように、カラオケリモコン装置22の表面に配設された撮像レンズ51と、カラオケリモコン装置22の内部に配設された撮像素子52とを主要な構成要素としている。このデジタルカメラ22eは、構造が単純で安価であるという点で、顔画像の撮像に必要最小限の機能を備えていればよいが、特に、カラオケリモコン装置22が照度の低い室内で使用されることを考慮して、ISO感度の高い撮像素子52を搭載したものが好ましい。その他、オートフォーカス(AF)機能、自動露出(AE)機能、ズーム機能等を備えていてもよい。これらの機能を備えることにより、さらに高品質の撮像を行うことができる。デジタルカメラ22eにより撮像された顔画像データは、カラオケリモコン装置22の記憶手段(図示せず)に一時的に記憶され、所定のタイミングでカラオケ本体21に送信される。なお、デジタルカメラ22eは、カラオケリモコン装置22に内蔵するのでははく、カラオケ本体21に内蔵されていてもよい。
【0029】
<選曲操作識別手段>
選曲操作識別手段22cは、利用者により楽曲が選曲予約される操作タイミングを識別するためのプログラムからなる。すなわち、選曲操作識別手段22cは、利用者がカラオケリモコン装置22を用いて選曲予約を行う際に、そのタイミングを識別するものである。利用者が選曲予約を行う際には、カラオケリモコン装置22の入出力表示部22dを見ながら検索操作を行い、所望する楽曲を絞り込んでゆくが、その際には、利用者の顔がデジタルカメラ22eの撮像レンズ51に対峙することになる。そこで、例えば、選曲予約を行う楽曲を最終的に1曲に絞った時点を操作タイミングとして識別することにより、選曲予約を行った利用者の顔画像を確実に撮像することができる。なお、選曲操作識別手段22cは、カラオケリモコン装置22に内蔵するのでははく、カラオケ本体21に内蔵されていてもよいし、カラオケ本体21の付属機器とされていてもよい。
【0030】
<マイクロホン>
マイクロホン24は、歌唱音声の入力を行うための装置である。マイクロホン24から入力された歌唱音声信号は、ミキシングアンプ26により、音楽再生制御手段39から送出される演奏音声信号とミキシングされると共に増幅され、スピーカ23へ出力される。なお、マイクロホン24からの音声入力信号を、A/Dコンバータ(図示せず)によりデジタル変換して、採点等に使用してもよい。
【0031】
<表示装置>
表示装置25は、カラオケ楽曲に関連した背景映像や歌詞テロップ等を表示するための装置で、例えば、液晶ディスプレイ等により構成される。
【0032】
<カラオケ本体>
カラオケ本体21は、中央制御手段31、ROM32、RAM33、HDD34、送受信手段35、顔画像データ取得手段36、選曲者属性判定手段37、予約管理手段38、音楽再生制御手段39、映像再生制御手段40を備えている。さらに、映像再生制御手段40は、背景映像表示制御手段40a及び歌詞文字表示制御手段40bを含んでいる。また、HDD34には、楽曲データベース34a、映像データベース34b、属性対応背景映像データベース34c、属性対応歌詞文字データベース34dが格納されている。なお、本実施形態では、背景映像表示制御手段40a及び属性対応背景映像データベース34cと、歌詞文字表示制御手段40b及び属性対応歌詞文字データベース34dとを備えているが、本発明は、背景映像表示制御手段40a及び属性対応背景映像データベース34c、又は歌詞文字表示制御手段40b及び属性対応歌詞文字データベース34dの少なくとも一方を備えていればよい。
【0033】
<中央制御手段>
中央制御手段31は、カラオケ本体21を総合的に制御するための手段であり、例えばCPU及びその周辺機器により構成されており、CPU等がROM32等に記憶されたプログラムに従って動作することにより、制御機能を発揮するようになっている。
【0034】
<ROM/RAM>
ROM32は、カラオケ本体21を構成する各機器を制御するためのプログラムデータや数値データを記憶するための機器で、例えば半導体メモリ等で構成される。また、RAM33は、プログラムや各種データを一時的に記憶する一時記憶領域として機能するもので、例えば半導体メモリ等で構成される。なお、物理的な半導体メモリによりRAM33を構成するのではなく、ハードディスク記憶装置等を用いて仮想的なRAM33を構成してもよい。本実施形態では、RAM33に、予約待ち行列33a及び顔画像データ33bが記憶されるようになっている。なお、予約待ち行列33aは、図4に示すように、選曲予約されたカラオケ楽曲について、演奏順に楽曲ID、属性データ、背景映像ID、歌詞文字IDを並べて構成されたデータテーブルであり、選曲予約を行った利用者の利用者ID等、他の識別データが紐付けられている場合もある。なお、予約待ち行列33aは、楽曲IDと、選曲予約を行った利用者の属性データのみを紐付けることにより構成し、背景映像ID及び歌詞文字IDは、楽曲の演奏を行う際に参照してもよい。顔画像データ33bは、デジタルカメラ22eにより撮像し、顔画像データ取得手段36の機能により取得した、選曲予約者に関するデータである。
【0035】
<HDD>
HDD34は、大容量記憶装置として機能するもので、楽曲データベース34a、映像データベース34b、属性対応背景映像データベース34c、属性対応歌詞文字データベース34d、属性リファレンスデータ34eが格納されている。なお、HDD34に替えて、あるいはHDD34と共に、データを書き替え可能なDVD等の大容量記憶装置を用いてもよい。
【0036】
<楽曲データベース/映像データベース>
楽曲データベース34aは、演奏データ(MIDI(登録商標)データ)及び歌詞描出データが同期されて構成される楽曲データについて、楽曲IDと対応付けてそれぞれ構成されたデータベースである。演奏データは、各楽曲の演奏を制御するためのデジタルデータであり、歌詞描出データは演奏に同期した歌詞文字の表示タイミングデータ及び色変わりデータを含んでいる。映像データベース34bは、演奏されるカラオケ楽曲に対応してデフォルト表示される背景映像を、当該カラオケ楽曲の楽曲IDに対応させた映像ファイルとして所定数格納したデータベースである。
【0037】
<属性対応背景映像データベース/属性対応歌詞文字データベース>
属性対応背景映像データベース34cは、利用者の属性に対応した背景映像データを格納したデータベースであり、例えば、図2に示すような構造を有している。また、属性対応歌詞文字データベース34dは、利用者の属性に対応した複数種類の歌詞文字データを楽曲別に格納したデータベースであり、例えば、図3に示すような構造を有している。なお、図2及び図3に示す例では、年齢や性別を利用者の属性としているが、利用者の属性はこれらに限られず、例えば、顔の表情に特徴が現れる出身地や、アジア系、ヨーロッパ系、アフリカ系等の民族の種類であってもよい。また、年齢の区分の数は、図2及び図3に示すものに限られず、区分数を減らしてもよいし、区分数を増やしてもよい。なお、属性対応背景映像データベース34cにおいて、背景映像IDは楽曲毎にそれぞれ別個のものとする必要はなく、複数の楽曲において共通の背景映像IDを用いるような構成としてもよい。
【0038】
<属性リファレンスデータ>
属性リファレンスデータ34eは、年齢、性別等に対応した顔画像データの特徴点をライブラリ化したデータベースであり、選曲者属性判定手段37において、選曲予約を行った利用者の属性を判定する際に利用される。属性リファレンスデータ34eは、例えば、目、眉、鼻、顎、口、耳等の器官の輪郭データと、各器官の間隔データ等からなる。属性リファレンスデータ34eは、例えば、性別に関しては、男性又は女性に分類され、年齢に関しては、10歳未満、10歳〜39歳、40歳〜59歳、60歳以上に分類される。すなわち、男性と女性とでは、化粧の有無や骨格の相違等により、目や眉、あるいは肌の色等が異なるため、両者を区別することができる。また、加齢に伴い、口や目等の形状が変化し、あるいは目元や目尻に皺が生じ、さらにはシミ等が増加するため、年齢を判別することができる。
【0039】
<送受信手段>
送受信手段35は、カラオケ本体21とカラオケリモコン装置22との間で、データの送受信を行うための電子回路及びプログラムからなる。本実施形態では、赤外線通信により、カラオケ本体21とカラオケリモコン装置22との間でデータの送受信が行われる。
【0040】
<顔画像データ取得手段>
顔画像データ取得手段36は、利用者により楽曲が選曲予約される操作タイミングにて、デジタルカメラ22eにより撮像された利用者の顔画像データを取得するためのプログラムからなる。すなわち、利用者により楽曲が選曲予約される操作タイミングにて、デジタルカメラ22eにより当該利用者の顔画像を撮像し、顔画像データ取得手段36の機能により、撮像された顔画像データを取得して、選曲者属性判定手段37における属性判定に利用する。なお、本実施形態では、顔画像データ取得手段36がカラオケ本体21に含まれているが、顔画像データ取得手段36をカラオケリモコン装置22に含ませてもよい。
【0041】
<選曲者属性判定手段>
選曲者属性判定手段37は、選曲予約を行った利用者の顔画像データと、所定の属性リファレンスデータ34eとを比較して、当該利用者の属性を判定するためのプログラムからなる。すなわち、選曲者属性判定手段37では、画像処理機能により、取得した顔画像データに基づいて、判定対象となる部分を抽出し、雑音を除去し、データ記述の変換等を行う。次に、比較判定機能により、画像処理後の顔画像データと、属性リファレンスデータ34eとを用いて、所定のアルゴリズムに従って演算を行い、当該顔画像データを有する利用者の年齢や性別に関する属性を判定する。顔画像データに基づく属性の判定については、特許文献2として提示した特開2008−282089号公報等に詳細に記載されている。
【0042】
なお、選曲者属性判定手段37における判定結果をそのまま利用するのではなく、カラオケリモコン装置22の表示画面等において判定結果を利用者に提示し、利用者が確認処理を行った後に、正式な判定結果とすることにより、判定結果の信頼性を高めることができる。また、判定結果の訂正機能を持たせてもよい。なお、本実施形態では、選曲者属性判定手段37がカラオケ本体21に含まれているが、選曲者属性判定手段37をカラオケリモコン装置22に含ませてもよい。この場合には、属性リファレンスデータ34eをカラオケリモコン装置22に含ませることが好ましい。
【0043】
<予約管理手段>
予約管理手段38は、利用者により楽曲検索手段22aの機能を用いて選曲予約された楽曲IDを演奏順に並べて予約待ち行列33aを生成し、この予約待ち行列33aをRAM33に格納して管理するためのプログラムからなる。なお、本実施形態の予約待ち行列33aには、楽曲IDに対して、選曲予約を行った利用者の属性データ、背景映像ID及び歌詞文字IDが紐付けられている。また、後に詳述するが、予約待ち行列33aにおいて選曲予約を行った利用者の属性に応じた背景映像ID及び歌詞文字IDが紐付けられている場合には、当該楽曲が演奏される際に、デフォルトの背景映像に代えて、選曲予約を行った利用者の属性に対応する背景映像及び歌詞文字が表示される。
【0044】
<音楽再生制御手段>
音楽再生制御手段39は、楽曲IDに基づいて楽曲データベース34aから抽出された演奏データを利用して、音源データをデジタル再生すると共にアナログ変換してミキシングアンプ26に出力するための電子回路である。上述したように、ミキシングアンプ26は、マイクロホン24から入力された歌唱者の歌唱音声信号と、音楽再生制御手段39から送出される演奏音声信号とをミキシングすると共に、アンプ機能により増幅してスピーカ23より出力させるための装置である。
【0045】
<映像再生制御手段>
映像再生制御手段40は、基本的には、カラオケ楽曲を演奏する際に、映像データベース34bから抽出した当該カラオケ楽曲にデフォルト設定されている背景映像データと、演奏データに含まれる歌詞描出データに基づいて生成される歌詞文字とを、当該カラオケ楽曲の演奏データに同期させて表示装置25に出力するためのプログラムからなる。なお、本実施形態の映像再生制御手段40は、背景映像表示制御手段40a及び歌詞文字表示制御手段40bの機能を発揮するためのプログラムを含んでいる。背景映像表示制御手段40a及び歌詞文字表示制御手段40bは、予約待ち行列33aにおいて選曲予約を行った利用者の属性に基づく背景映像IDや歌詞文字IDが含まれている場合に機能する。
【0046】
<背景映像表示制御手段>
背景映像表示制御手段40aは、任意の楽曲が演奏される際に、属性対応背景映像データベース34cから、当該楽曲の楽曲IDに紐付けされた利用者の属性に対応する背景映像データを取得して、当該楽曲の背景映像として表示させるためのプログラムからなる。すなわち、カラオケシステム10では、予約管理手段38の機能により、予約待ち行列33aに記述された楽曲の順序に従って演奏が行われるが、この際、属性対応背景映像データベース34cから、当該楽曲IDに紐付けされた利用者の属性に対応する背景映像データを取得し、デフォルトの背景映像に代えて、取得した背景映像データを背景映像として表示装置25に表示させる。例えば、選曲者が高齢者の場合には、高齢者がよく知っている懐かしい背景映像を表示させ、選曲者が子供の場合には、子供の間で人気のあるキャラクタが登場する背景映像を表示させる。
【0047】
<歌詞文字表示制御手段>
歌詞文字表示制御手段40bは、任意の楽曲が演奏される際に、属性対応歌詞文字データベース34dから、当該楽曲の楽曲IDに紐付けされた利用者の属性に対応する歌詞文字データを取得して、当該演奏楽曲の歌詞テロップとして表示させるためのプログラムからなる。すなわち、上述したように、カラオケシステム10では、予約管理手段38の機能により、予約待ち行列33aに記述された楽曲の順序に従って演奏が行われるが、この際、属性対応歌詞文字データベース34dから、当該楽曲IDに紐付けされた利用者の属性に対応する歌詞文字データを取得し、デフォルトの歌詞文字に代えて、取得した歌詞文字データを歌詞テロップとして表示装置25に表示させる。例えば、選曲者が高齢者の場合には、歌詞文字の大きさをデフォルトよりも大きく表示させ、選曲者が子供の場合には、難しい漢字をひらがなで表記した歌詞文字を表示させる。
【0048】
<他の実施形態>
本発明のシステム及びその周辺装置を構成する機器や手段は上述したものに限定されず、その利用目的に応じて、必要な機器や手段のみの構成としたり、適宜他の機器や手段を付加したりすることができる。また、各手段をそれぞれ別個のものとして構成するのではなく、複数の機能を統合した手段として構成してもよい。さらに、カラオケシステムを単体で動作させるのではなく、ホスト装置にネットワーク接続したカラオケ演奏端末として動作させてもよい。
【符号の説明】
【0049】
10 利用者属性対応カラオケシステム
21 カラオケ本体
22 カラオケリモコン装置
22a 楽曲検索手段
22b 楽曲索引データベース
22c 選曲操作識別手段
22d 入出力表示部
22e デジタルカメラ
23 スピーカ
24 マイクロホン
25 表示装置
26 ミキシングアンプ
31 中央制御手段
32 ROM
33 RAM
33a 予約待ち行列
33b 顔画像データ
34 HDD
34a 楽曲データベース
34b 映像データベース
34c 属性対応背景映像データベース
34d 属性対応歌詞文字データベース
34e 属性リファレンスデータ
35 送受信手段
36 顔画像データ取得手段
37 選曲者属性判定手段
38 予約管理手段
39 音楽再生制御手段
40 映像再生制御手段
40a 背景映像表示制御手段
40b 歌詞文字表示制御手段
51 撮像レンズ
52 撮像素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カラオケ楽曲の演奏に合わせて背景映像及び歌詞テロップを表示可能なカラオケシステムであって、
撮像手段と、選曲操作識別手段と、顔画像データ取得手段と、選曲者属性判定手段と、予約管理手段と、属性対応背景映像データベース及び背景映像表示制御手段、又は属性対応歌詞文字データベース及び歌詞文字表示制御手段の少なくとも一方と、を備え、
前記撮像手段は、選曲操作を行う利用者の顔画像を撮像し、
前記選曲操作識別手段は、利用者により楽曲が選曲予約される操作タイミングを識別し、
前記顔画像データ取得手段は、前記操作タイミングにて、前記撮像手段により撮像された利用者の顔画像データを取得し、
前記選曲者属性判定手段は、前記選曲予約を行った利用者の顔画像データと、所定の属性リファレンスデータとを比較して、当該利用者の属性を判定し、
前記予約管理手段は、前記選曲予約された楽曲の楽曲IDと、当該判定された利用者の属性データとを紐付けして、予約待ち行列にて管理し、
前記属性対応背景映像データベースは、利用者の属性に対応した背景映像データを格納し、
前記属性対応歌詞文字データベースは、利用者の属性に対応した複数種類の歌詞文字データを楽曲別に格納し、
前記背景映像表示制御手段は、任意の楽曲が演奏される際に、前記属性対応背景映像データベースから、当該楽曲の楽曲IDに紐付けされた利用者の属性に対応する背景映像データを取得して、当該楽曲の背景映像として表示させ、
前記歌詞文字表示制御手段は、任意の楽曲が演奏される際に、前記属性対応歌詞文字データベースから、当該楽曲の楽曲IDに紐付けされた利用者の属性に対応する歌詞文字データを取得して、当該演奏楽曲の歌詞テロップとして表示させる、
ことを特徴とする利用者属性対応カラオケシステム。
【請求項2】
前記撮像手段と、前記選曲操作識別手段と、前記顔画像データ取得手段と、前記選曲者属性判定手段及び前記属性リファレンスデータとが、選曲予約操作を行うカラオケリモコン装置に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の利用者属性対応カラオケシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2012−118286(P2012−118286A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267792(P2010−267792)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(390004710)株式会社第一興商 (537)
【Fターム(参考)】