説明

制御されたスペクトルの高効率放射線発生器、それを含む熱光起電力装置及び電灯

【課題】
放射効率を最適化可能な制御されたスペクトルの放射線発生器を提供する。
【解決手段】
制御されたスペクトルの放射線の高効率発生器は、内部の反射面(14)が放物面形状を有する断熱的な中空体(12)と、前記反射放物面(14)の焦点上に設けられる黒体(18)と、電磁放射の放射温度まで前記黒体(18)を加熱するための手段(26,28、30)と、前記反射放物面(14)の縦軸線(16)に直交するとともに、所定帯域内の波長の放射線を伝達し、かつ前記所定帯域外の波長の放射線を前記反射放物面(14)に向かって反射するように設計された非散逸的平面フィルタ(20)と、反射放物面を前記黒体(18)及び前記フィルタ(20)の間に設けた鏡(22)とからなり、前記鏡(22)は前記黒体(18)により放たれた放射線が前記フィルタ(20)に直接到達することを防ぐように設けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は制御されたスペクトルの高効率放射線発生器に関する。
【背景技術】
【0002】
制御されたスペクトルの放射線を発生することは、例えば、良質な光等を有する高効率電灯を製造したり、光起電力セルを照射し、該光起電力セルにより放射線を最大効率で変換したり、生物学的に応用したりといった多くの応用例で用いられることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、放射効率を最適化可能な制御されたスペクトルの放射線発生器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によると、この目的は請求項1の特徴を有する放射線発生器によって達成される。本発明は、さらに、この放射線発生器を用いた電気エネルギー生成用の熱光起電力装置及び高効率照明装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図面を参照して本発明を詳細に説明するが、図面は本発明を限定しない例示的なものである。
【図1】本発明による放射線発生器を用いる熱光起電力装置の斜視図である。
【図2】図1の装置の側面図である。
【図3】本発明による放射線発生器を用いる高効率照明装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0006】
図1から3において、符号10は制御されたスペクトルの高効率放射線発生器を示す。該放射線発生器10は内壁に反射放物面14を有する中空体12を備え、縦軸線16に対して対称である。
【0007】
前記放射線発生器10は前記反射放物面14の焦点上に設けられた黒体18を備えている。
前記中空体12の一端は、前記軸線16に直交する平面フィルタ20によって閉鎖されている。前記フィルタ20は、所定帯域に含まれる波長の放射線を伝達し、かつ前記所定帯域外の波長の放射線を前記反射放物面14に向かって反射するように設計された非散逸的フィルタである。前記中空体12の内部空間は外部から隔離され、かつ大気圧以下の圧力状況にあり、圧力は可能な限り零に近い。このようにして、前記中空体12はほぼ断熱的な空洞を形成する。
【0008】
前記放射線発生器10は電磁放射の放射温度まで前記黒体18を加熱するための手段に関連付けられている。
前記黒体18及び前記フィルタ20の間には、放物面状の反射面を備えた鏡22が設けられている。前記黒体18は前記鏡22の焦点上に設けられている。前記鏡22は前記黒体18により放たれた放射線が前記フィルタ20に直接到達することを防止するために設けられている。前記黒体18により放たれ、かつ前記鏡22によって遮断された放射線は再度前記黒体18上に反射される。
【0009】
前記黒体18が電磁放射の放射温度まで加熱される際に、幅広いスペクトルの放射線が放たれる。前記黒体18により放たれた放射線は前記反射放物面14によって、図2及び3において矢印24で示すように、前記縦軸線16に対して平行な方向に沿って反射する。前記放物面鏡22によって、前記黒体18により放たれる放射線が前記フィルタ20の表面に直交する方向以外の方向に沿って直接前記フィルタ20に到達することが防がれるため、前記黒体18により放たれた放射線の全ては前記フィルタ20に直交するように進む。前記フィルタ20に向かって進む放射線の方向が常に前記フィルタに直交するという事実は、前記反射放物面14での反射によって生成されるような平行な光線に対してのみ正確に作用するという前記フィルタ20の適切な作用のために必要不可欠な条件である。前記中空体12の内部空洞がほぼ断熱的であるとすると、前記中空体12の側壁を通って分散するエネルギーの量はほぼ零である。
【0010】
前記フィルタ20は所定の波長帯域内の放射エネルギーのみを伝達する。他のエネルギーは前記中空体12の内部の反射放物面14でほぼ散逸なく反射する。前記フィルタ20で反射した放射線は前記軸線16に対して平行であるため、前記反射放物面14は前記フィルタ20から反射してきた放射線を前記黒体18上に集中させる。
【0011】
このようにして、前記黒体18により放たれたエネルギーのほぼ全ては、前記フィルタ20の通過帯域に対応する所定帯域内の波長の平行な放射線として、前記発生器10の外部に放たれる。
【0012】
図1及び2に示す実施形態において、前記黒体18はレンズ26によって焦点を合わせた太陽熱放射によって加熱される。前記軸線16に直交する前記中空体12の表面の部分28は太陽熱放射を透過する。前記黒体18は前記レンズ26の焦点上に設けられ、それによって、前記レンズ26によって焦点を合わせた太陽熱放射が前記黒体18上に集中させられる。前記黒体は特異な放射を示す材料と置換することが可能である。この際、特に前記フィルタの帯域内で放射が起こる場合、システムの効率を改善することが可能である。この実施形態において、前記フィルタ20によって伝達される放射線を受入れるための光起電力要素28が設けられる。望ましくは、前記フィルタ20は前記光起電力要素28の被覆の薄い層によって形成される。従って、前記フィルタ20は、通常、光起電力セルに施される反射防止表面処理に置き換えられる。光起電力セルは限定的な波長帯域においてのみ太陽エネルギーを電気エネルギーへ効率よく変換するため、前記フィルタ20は該光起電力要素28が最大の効果をもたらす波長帯域に対応する通過帯域を提供するように設計される。このようにして、高効率熱光起電力要素が得られる。
【0013】
図3に示す実施形態において、前記放射線発生器10は良質な光を有する高効率電灯を提供するために用いられる。この実施形態において、前記黒体18は導電体30によって加熱される。前記黒体18によって生成された放射エネルギーは前記フィルタ20の通過帯域に対応する所定帯域内の波長の光放射として前記フィルタ20より放たれる。
【0014】
当然、本発明の原理に基づいて、請求項によって定義される本発明の範囲から逸脱することなく、構成の細部や実施形態は本明細書の記載及び説明に基づいて幅広く変形され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部の反射面(14)が放物面形状を有するほぼ断熱的な中空体(12)と、
前記反射放物面(14)の焦点上に設けられる黒体(18)と、
電磁放射の放射温度まで前記黒体(18)を加熱するための手段(26、28、30)と、
前記反射放物面(14)の縦軸線(16)に直交するとともに、所定帯域内の波長の放射線を伝達し、かつ前記所定帯域外の波長の放射線を前記反射放物面(14)に向かって反射するように設計された非散逸的平面フィルタ(20)と、
反射放物面を前記黒体(18)及び前記フィルタ(20)の間に設けた鏡(22)とからなり、
前記鏡(22)は前記黒体(18)により放たれた放射線が前記フィルタ(20)に直接到達することを防ぐように設けられる、制御されたスペクトルの高効率放射線発生器。
【請求項2】
前記黒体(18)を加熱するための手段は太陽熱放射を前記黒体(18)上に集中させるためのレンズ(26)を備え、前記フィルタ(20)からの放射線は光起電力要素(28)へ進む、請求項1に記載の放射線発生器を含む電気エネルギー生成用の熱光起電力装置。
【請求項3】
前記中空体(12)は太陽熱放射を透過する窓(28)を有する外壁を備える、請求項2に記載の熱光起電力装置。
【請求項4】
前記フィルタ(20)は前記光起電力要素(28)の表面層によって形成される、請求項2に記載の熱光起電力装置。
【請求項5】
前記黒体(18)を加熱するための手段は導電体(30)を備える、請求項1に記載の放射線発生器を備えた電灯。
【請求項6】
前記フィルタ(20)は、生物学的な用途用の帯域で外部へ放射線を伝達する、請求項5に記載の電灯。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−219520(P2010−219520A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−41844(P2010−41844)
【出願日】平成22年2月26日(2010.2.26)
【出願人】(304042364)サビオ ソシエタペルアチオニ (3)
【氏名又は名称原語表記】SAVIO SPA
【Fターム(参考)】