説明

制御された構造を有する放射線硬化性ポリウレタン樹脂組成物

【課題】粘度が減少した新規な放射線硬化性ポリウレタン樹脂組成物、及びそのような組成物の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明の放射線硬化性ポリウレタン樹脂組成物は、(a)X個の活性水素原子を有する少なくとも1種の活性水素含有化合物、(b)F個のイソシアネート官能基を有する少なくとも1種のポリイソシアネート、及び(c)1個の活性水素原子を有する少なくとも1種の放射線硬化性小分子の接触生成物を含む。F及びXはそれぞれ2以上の数であって、かつ該樹脂組成物の少なくとも約80質量%が、活性水素含有化合物1モルあたり、ポリイソシアネートXモルと放射線硬化性小分子(F−1)Xモルの付加物で構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線硬化性ポリウレタン樹脂組成物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
放射線硬化性ポリウレタンは、コーティング、インク及び接着剤のような用途において有用であり、その用途はますます増大している。一般的には、従来の放射線硬化性ポリウレタンは放射線硬化性オリゴマーから形成される。これらのオリゴマーは比較的高い分子量を有するため、組成物の粘度はほとんどの用途で許容できない程度にまで上昇する。そのため、粘度をプロセスで許容できる程度に減少させるために、低分子量希釈剤を添加するのが一般的である。しかしながら、反応性希釈剤はいくつかの欠点を有し、その欠点には、プロセスコストの増大、ポリウレタンの物理的特性の変化、毒性、及びプロセス中の揮発成分の排出が含まれる。放射線硬化性ポリウレタン樹脂の粘度を減少させるため、先行技術において様々な方法が使用されてきており、例えば、米国特許第3700643号、第4072770号、第4188455号、第5093386号、第5135963号、第5624759号、第5674921号、第6023547号及び第6852770号に記載された方法は、これらを参照することによってその内容全部を本明細書の一部とする。
【0003】
【特許文献1】米国特許第3700643号明細書
【特許文献2】米国特許第4072770号明細書
【特許文献3】米国特許第4188455号明細書
【特許文献4】米国特許第5093386号明細書
【特許文献5】米国特許第5135963号明細書
【特許文献6】米国特許第5624759号明細書
【特許文献7】米国特許第5674921号明細書
【特許文献8】米国特許第6023547号明細書
【特許文献9】米国特許第6852770号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明で示すような方法で放射線硬化性ポリウレタン樹脂の構造を制御することにより、その粘度を減少させることについて述べている先行技術の方法はない。それゆえ、粘度が減少していることにより反応性希釈剤の必要量が減少した、新規な放射線硬化性ポリウレタン樹脂組成物を作り出すことが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、粘度が減少した新規放射線硬化性ポリウレタン樹脂組成物、及びそのような組成物の製造方法に関する。その放射線硬化性ポリウレタン樹脂組成物は、
(a)X個の活性水素原子を有する少なくとも1種の活性水素含有化合物、
(b)F個のイソシアネート(NCO)官能基を有する少なくとも1種のポリイソシアネート、及び
(c)1個の活性水素原子を有する少なくとも1種の放射線硬化性小分子
の接触生成物(つまり反応生成物)を含んでおり、
F及びXはそれぞれ2以上の数であり、かつ
該樹脂組成物の少なくとも約80質量%が、活性水素含有化合物1モルあたり、ポリイソシアネートXモルと放射線硬化性小分子(F−1)Xモルの付加物で構成される。他の態様においては、該樹脂組成物の少なくとも約90質量%が、活性水素含有化合物1モルあたり、ポリイソシアネートXモルと放射線硬化性小分子(F−1)Xモルの付加物で構成される。
【0006】
本発明はまた、放射線硬化性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法に関し、
(a)F個のイソシアネート(NCO)官能基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートと、X個の活性水素原子を有する少なくとも1種の活性水素含有化合物を接触させることによりプレポリマー組成物を形成し、F及びXはそれぞれ2以上の数であって、該プレポリマー組成物は、
(1)未反応ポリイソシアネート約1質量%未満を含み、かつ
(2)活性水素含有化合物1モルあたりポリイソシアネートXモルのプレポリマーを少なくとも約80質量%含んでおり、さらに
(b)該プレポリマー組成物を、1個の活性水素原子を有する少なくとも1種の放射線硬化性小分子の十分な量と接触させて、活性水素含有化合物1モルあたり、ポリイソシアネートXモルと放射線硬化性小分子(F−1)Xモルの付加物を提供することを含む。このように放射線硬化性小分子を十分な量用いることにより、プレポリマー中の未反応NCO1当量あたり約1当量の、すなわち活性水素とNCOの当量比が少なくとも約1:1である、放射線硬化性小分子が供給されうる。
【0007】
本発明はまた、放射線硬化性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法に関し、
(a)F個のNCO官能基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートと、X個の活性水素原子を有する少なくとも1種の活性水素含有化合物を、NCOと活性水素の当量比を少なくとも約4:1として接触させることによりプレポリマー組成物を形成し、
F及びXはそれぞれ2以上の数であって、
(b)該プレポリマー組成物が、
(1)未反応ポリイソシアネート約1質量%未満を含み、かつ
(2)活性水素含有化合物1モルあたりポリイソシアネートXモルのプレポリマーを少なくとも約80質量%を含む
ように該プレポリマー組成物から未反応ポリイソシアネートを除去し、
(c)該プレポリマー組成物を、1個の活性水素原子を有する少なくとも1種の放射線硬化性小分子の十分な量と接触させて、活性水素含有化合物1モルあたり、ポリイソシアネートXモルと放射線硬化性小分子(F−1)Xモルの付加物を提供することを含む。このように放射線硬化性小分子を十分な量用いることにより、プレポリマー中の未反応NCO1当量あたり少なくとも約1当量の、すなわち活性水素とNCOの当量比が少なくとも約1:1である、放射線硬化性小分子が供給されうる。
【0008】
本発明のさらに別の態様は、放射線硬化性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法を包含し、その方法は、
(a)ジイソシアネートと1個の活性水素原子を有する少なくとも1種の放射線硬化性小分子を接触させることによりプレポリマー組成物を形成し、該プレポリマー組成物は、
(1)未反応ジイソシアネート約1質量%未満を含み、かつ
(2)放射線硬化性小分子1モルあたりジイソシアネート1モルのプレポリマーを少なくとも約80質量%含んでおり、さらに
(b)該プレポリマー組成物を、2以上の数であるX個の活性水素原子を有する少なくとも1種の活性水素含有化合物と、NCOと活性水素の当量比をおよそ1:1として接触させ、活性水素含有化合物1モルあたり、ジイソシアネートXモルと放射線硬化性小分子Xモルの付加物を提供することを含む。
【0009】
本発明のさらに別の態様は、ジイソシアネートを用いた放射線硬化性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法を包含し、その方法は、
(a)少なくとも1種のジイソシアネートと、1個の活性水素原子を有する少なくとも1種の放射性硬化性小分子を、NCOと活性水素の当量比を少なくとも約4:1として接触させることによりプレポリマー組成物を形成し、
(b)該プレポリマー組成物から未反応ジイソシアネートを、
(1)該プレポリマーの総質量に対して、該プレポリマー組成物中の未反応ジイソシアネートの量が約1質量%未満であり、かつ
(2)該プレポリマー組成物の少なくとも約80質量%が、放射線硬化性小分子1モルあたりジイソシアネート1モルのプレポリマーで構成される
ように除去し、さらに
(c)該プレポリマー組成物を、2以上の数であるX個の活性水素原子を有する少なくとも1種の活性水素含有化合物と、NCOと活性水素の当量比をおよそ1:1として接触させ、活性水素含有化合物1モルあたり、ジイソシアネートXモルと放射線硬化性小分子Xモルの付加物を提供することを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明は、粘度が減少した新規放射線硬化性ポリウレタン樹脂組成物、及びそのような組成物の製造方法を提供する。本発明の一態様は、(a)少なくとも2個の活性水素原子を有する少なくとも1種の活性水素含有化合物、(b)少なくとも1種のポリイソシアネート、及び(c)1個の活性水素原子を有する少なくとも1種の放射線硬化性小分子を接触させることによって形成された、制御された構造を有するポリウレタン樹脂組成物を包含する。本発明の他の態様は、(a)少なくとも2個の活性水素原子を有する少なくとも1種の活性水素含有化合物、(b)少なくとも1種のポリイソシアネート、及び(c)1個の活性水素原子を有する少なくとも1種の放射線硬化性小分子を接触させることにより、制御された構造を有する放射線硬化性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法を対象としている。
【0011】
活性水素含有化合物:本発明において有用な活性水素含有化合物は、Zerewittenoff試験によって決定されるような、少なくとも2個の活性水素原子を有する任意の適当な化合物を含んでもよい。適した化合物は、2〜4個、特に2〜3個の活性水素原子を有する。活性水素含有化合物は、例えば、−OH、−NH、及び/又は−SH官能基を含んでもよい。適した活性水素含有化合物の例には、ポリオール、チオール、アミン、アミド、尿素類、又はこれら任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。好ましくはポリオールである。
【0012】
本発明に使用するのに適したポリオールには、ポリエーテルポリオール及びポリエステルポリオールが含まれるが、これらに限定されない。ポリエーテルポリオールには、ポリ(アルキレンエーテル)グリコールのようなヒドロキシル末端化ポリエーテル、例えばポリ(エチレンエーテル)グリコール、ポリ(プロピレンエーテル)グリコール及びポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、並びにこれらのコポリマーが含まれる。また、ポリエーテルポリオールには、ジオール及びトリオールを含む多価水酸基化合物、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ペンタエリスリトール、グリセロール、ジグリセロール、トリメチロールプロパン及び同様の低分子量ポリオールに由来する末端ヒドロキシル基を有する、ポリ(エチレンオキサイド)ポリマー、ポリ(プロピレンオキサイド)ポリマー、トリメチルエチレンオキサイドポリマー、及びコポリマーのようなポリ(アルキレンオキサイド)ポリマーが含まれる。
【0013】
本発明のある態様においては、単一の高分子量ポリエーテルポリオールを使用してもよく、また、高分子量ポリエーテルポリオールの混合物、例えば2及び3官能性材料、並びに/又は異なる分子量もしくは異なる化学組成の材料の混合物を用いてもよい。そのような2及び3官能性材料には、エチレングリコール、ポリ(エチレンエーテル)グリコール、プロピレングリコール、ポリ(プロピレンエーテル)グリコール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、グリセロール、グリセロール系ポリエーテルトリオール類、トリメチロールプロパン、トリメチロールプロパン系ポリエーテルトリオール類、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエーテルクアドロール類(polyether quadrols)、又はこれら任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0014】
有用なポリエステルポリオールには、ジカルボン酸を過剰のジオールと反応させて生成したもの、例えばアジピン酸とエチレングリコールもしくはブタンジオールとの反応生成物、又はカプロラクトンとプロピレングリコールとの反応のように、ラクトンを過剰のジオールと反応させて生成したものが含まれるが、これらに限定されない。適したポリエステルポリオールには、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(プロピレンアジペート)、ポリ(ヘキサメチレンアジペート)のようなヒドロキシル末端化ポリエステル、並びにエチレングリコール及びプロピレングリコールを前記ポリエステルと共重合することによって調製したコポリマーが含まれるが、これらに限定されない。そのようなコポリマーには、ポリ(1,4−ブチレン−共エチレン−アジペート)、及びポリ(1,4−ブチレン−共プロピレン−アジペート)が含まれるが、これらに限定されない。また、平均官能基数が2より大きいポリエステルポリオールは、ジカルボン酸をジオール及び少量のトリオール又はクアドロール(quadrols)と共重合することによって得ることができ、トリオール又はクアドロールにはトリメチロールプロパン、グリセロール、及びペンタエリスリトールが含まれる。
【0015】
前記ポリエーテル及びポリエステルポリオールは、ポリウレタンプレポリマーを製造するのに従来から知られているものであり、また、放射線硬化性ポリウレタン樹脂組成物を作るのに使用されるポリオール組成物(単一又は混合)が、通常約400〜10000、典型的には750〜約4000の範囲の数平均分子量(Mn)を平均して有するように混合することができる。
【0016】
ポリイソシアネート:本発明において有用なポリイソシアネート化合物には、脂肪族、環式脂肪族及び芳香族ポリイソシアネート、例えばアルキルポリイソシアネート、アルキレンポリイソシアネート、シクロアルキルポリイソシアネート、シクロアルキレンポリイソシアネート、アリールポリイソシアネート、アリーレンポリイソシアネート、又はこれらの組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。本発明の一態様においては、ポリイソシアネートは、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、2,4−トルエンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トルエンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルフェニレンジイソシアネート、1,4−ナフタレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,10−デカメチレンジイソシアネート、1,4−シクロヘキシレンジイソシアネート、4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,5−テトラヒドロナフチレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチル−1,6−ジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、6−イソプロピル−1,3−フェニルジイソシアネート、4−ジフェニルプロパンジイソシアネート、リシンジイソシアネート、又はこれらの組み合わせのようなジイソシアネートである。本発明の他の態様においては、2,4−TDI約65〜約99質量%を含む市販の混合物を含む、2,4−TDI、2,6−TDI又はこれら任意の組み合わせを本発明において使用することができる。他の適したイソシアネート化合物は、Dow Chemical CompanyからPAPIの名で販売されており、「クルードMDI(crude MDI)」として商業上知られているジイソシアネートの混合物であり、他の異性体化した及び類似のより高分子化したポリイソシアネートと一緒に約60%のMDIを含んでいる。
【0017】
放射線硬化性小分子:放射線硬化性ポリウレタン樹脂は、ポリイソシアネートプレポリマー分子を放射線硬化性小分子で末端封鎖することにより調製する。放射線源を用いて照射した際に、これらの末端封止ポリウレタン樹脂の分子は分子間に架橋を形成して、耐摩耗性があり、かつ耐黄変性を有することがある、強靱かつ柔軟なフィルムを作る。放射線源の例には、可視光、赤外光、紫外(UV)光、X線、電子ビーム、α線、β線及びγ線が含まれるが、これらに限定されない。ある態様においては、放射線はUV光、可視光又は電子線である。本発明に用いるのに適した放射線硬化性小分子には、Zerewittenoff試験による1つの活性水素原子を有するものが含まれる。そのような放射線硬化性小分子の例には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、1,4−ブタンジオールモノアクリレート、1,4−ブタンジオールモノメタクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシルアクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノアクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノメタクリレート、ネオペンチルグリコールモノアクリレート、ネオペンチルグリコールモノメタクリレート、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールのモノアクリレート類及びモノメタクリレート類、及びこれら任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。
【0018】
任意の添加剤:本発明の放射線硬化性ポリウレタン樹脂は、組成システムの一部として1種以上の任意の添加剤を含んでもよい。適当な添加剤の例には、顔料、フィラー、難燃剤、熱可塑性助剤成分、粘着付与剤、可塑剤、フリーラジカル阻害剤、光開始剤、光安定剤、光増感剤、UV吸収剤、シランカップリング剤、レベリング剤、加水分解安定剤、反応性希釈剤、又はこれら任意の組み合わせが含まれるが、これらに限定されない。放射線硬化性ポリウレタン樹脂を含む組成システム中の添加剤として、1種以上のフリーラジカル阻害剤、UV吸収剤、光開始剤及び反応性希釈剤が存在することが多い。これら添加剤は全て、放射線硬化性ポリマーシステムの当業者によく知られたものである。
【0019】
放射線硬化性ポリウレタン樹脂の調製:本発明の放射線硬化性ポリウレタン樹脂は、NCO末端化プレポリマー(ポリイソシアネートプレポリマーともいう)から製造される。本発明に有用なプレポリマーは、米国特許第4786703号、第6133415号及び第6280561号で教示されているのに従って製造することができ、これらを参照することによりその内容全部を本明細書の一部とする。
【0020】
本発明のある態様において、ポリイソシアネートプレポリマーは、(a)ポリイソシアネートを、Zerewittenoff試験によって決定されるような少なくとも2個の活性水素原子を有する活性水素含有化合物と接触させること、又は(b)ポリイソシアネートを、Zerewittenoff試験によって決定されるような1個の活性水素原子を有する放射線硬化性小分子と接触させることによって調製する。ポリイソシアネートは、少なくとも2個のNCO(イソシアネート)官能基(F)を有する。ある態様において接触工程は、化学量論的に大過剰のポリイソシアネート、例えばNCOと活性水素の当量比が少なくとも約4:1とするのに十分な量のポリイソシアネートを用いて行われる。
【0021】
プレポリマー合成の最中、活性水素含有化合物又は放射線硬化性小分子に対してポリイソシアネートが化学量論的に大過剰であるように維持することが重要である。先行技術においては、プレポリマーは通常化学量論量のポリイソシアネート、又は若干過剰のポリイソシアネートを用いて調製される。例えば、ポリイソシアネートとジオールの反応の場合、先行技術の方法は、通常ポリイソシアネートとジオールを約2:1の比率で使用するか、又は約1.2:1〜約3:1の範囲で使用する。しかしながら、ポリイソシアネートの量が化学量論量に近づくにつれて、高分子量のオリゴマー形成が多く起こり、増粘した放射線硬化性ポリウレタン樹脂を生成する。あるいは、水素含有化合物が2個より多い活性水素原子を有する場合、化学的に架橋した生成物が得られることがある。高分子量のオリゴマーとは、プレポリマー分子が1個より多い活性水素含有化合物(分子)を含むことを意味する。
【0022】
従って、本発明のある態様のポリイソシアネートについては、NCOと活性水素の当量比を少なくとも約4:1とするのに十分な量を使用するべきである。他の態様において、NCOと活性水素の当量比は約4:1〜約20:1、もしくは約4:1〜約10:1の範囲であってよく、又は約6:1〜約8:1の範囲であってもよい。このような比率を使用して、オリゴマーを約20質量%未満有するポリイソシアネートプレポリマー組成物を生成することができる。ある態様において、高分子量のオリゴマーはプレポリマー組成物の約10質量%未満、また他の態様においては約5質量%未満を構成してもよい。
【0023】
過剰のポリイソシアネートはまた、ポリイソシアネートと放射線硬化性小分子又は活性水素含有化合物との反応を進行させるために供給される。従って、通常はプレポリマー形成中に反応速度を加速するための触媒を使用する必要はないが、本発明のある態様においては、NCO官能基と活性水素原子との反応を加速する触媒を使用してもよい。
【0024】
温度もまた、プレポリマー組成物中のオリゴマー形成量を最小化するのに、場合によっては影響することがある。いくつかの場合においては、高分子量のオリゴマーが生成するのを減らすために、温度が上昇するのにつれて活性水素含有化合物又は放射線硬化性小分子に対するポリイソシアネートの比率を増やす必要がある。プレポリマー組成物の形成に適した温度は、約20〜約140℃の範囲であってよい。本発明のある態様において、温度は約40〜約80℃に維持される。
【0025】
本発明のある態様に従って形成されたプレポリマー組成物は、理想的には「完全な」プレポリマーを少なくとも約80質量%含む。他の態様においては、プレポリマー組成物は「完全な」プレポリマーを少なくとも約90質量%含む。さらに別の態様においては、プレポリマー組成物は「完全な」プレポリマーを少なくとも約95質量%含む。「完全な」プレポリマーとは、ポリイソシアネートと活性水素含有化合物又は放射線硬化性小分子の反応により、化学量論的プレポリマーが形成していることを意味する。例えば、ジオールを活性水素含有化合物として使用した場合、「完全な」プレポリマーは、ポリイソシアネートとジオールのモル比が2:1である分子を含む。トリオールを活性水素含有化合物として使用した場合、「完全な」プレポリマーは、ポリイソシアネートとトリオールのモル比が3:1である分子を含む。1分子あたり1個の活性水素原子を有する放射線硬化性小分子の場合、「完全な」プレポリマーは、ポリイソシアネートと放射線硬化性小分子のモル比が1:1である分子を含む。
【0026】
プレポリマー形成に適した接触時間、例えば約15分〜約24時間経過した後、もしあるならば未反応ポリイソシアネートをプレポリマー組成物から除去する必要がある。このことは、プレポリマー反応組成物中の「完全な」プレポリマーの量を最大にするために望ましい。ポリイソシアネートを活性水素含有化合物と接触させることによってプレポリマーを最初に調製する態様において、プレポリマー中に大量の過剰なポリイソシアネートを残すことにより、プレポリマーを化学量論量の放射線硬化性小分子と接触させた場合に、望ましくない放射線硬化性小分子:ポリイソシアネートの2:1付加物が大量に生成することがある。ポリイソシアネートを放射線硬化性小分子と接触させることによってプレポリマーを最初に調製する態様において、プレポリマー中に大量の過剰なポリイソシアネートを残すことにより、プレポリマーを化学量論量の活性水素含有化合物と接触させた場合に、望ましくないオリゴマーが大量に生成することがある。
【0027】
本技術分野で既知である、付加物を形成する前にプレポリマー組成物から過剰のポリイソシアネートを除去するための任意の適当な手段を本発明は想定しており、例えば蒸留もしくは蒸発又は溶剤抽出である。未反応ポリイソシアネートを除去することを可能とする分離プロセスの例には、薄膜蒸留(thin-film distillation)及びワイパー式薄膜蒸発(wiped-film evaporation)が含まれるが、これらに限定されない。本発明のある態様において、分離した後の未反応残存ポリイソシアネートの濃度は、プレポリマー組成物の総質量に対して約1質量%未満である。他の態様においては、未反応ポリイソシアネートの濃度は約0.5質量%未満である。さらに別の態様においては、未反応ポリイソシアネートの濃度は約0.1質量%未満である。未反応ポリイソシアネートの除去後、遊離イソシアネート(すなわち遊離NCO官能基)の量は、約0.8〜約14質量%の範囲である必要がある。他の態様において、遊離NCO官能基は約1.8〜約14質量%の範囲であってもよい。
【0028】
ポリイソシアネート及び活性水素含有化合物を含むプレポリマーを形成した後、1個の活性水素原子を有する1種以上の放射線硬化性小分子を十分な量用いて、そのプレポリマーを末端封鎖することによって放射線硬化性ポリウレタン樹脂を形成でき、活性水素含有化合物1モルあたり、ポリイソシアネートXモルと放射線硬化性小分子(F−1)Xモルの付加物が提供される。そのような十分な量の放射線硬化性小分子を用いることにより、プレポリマー中の未反応NCO1当量あたり約1当量の放射線硬化性小分子、すなわち活性水素とNCOの当量比が約1:1である放射線硬化性小分子が供給されうる。
【0029】
同様に、本発明の別の態様においては、ポリイソシアネートと放射線硬化性小分子を含むプレポリマーを形成した後、そのプレポリマーを1種以上の活性水素含有化合物と接触させることにより、放射線硬化性ポリウレタン樹脂を形成することができる。ポリイソシアネートがジイソシアネートである本発明のある態様においては、そのようなプレポリマー組成物を、2以上の数であるX個の活性水素原子を有する少なくとも1種の活性水素含有化合物と、NCOと活性水素の当量比をおよそ1:1として接触させて、活性水素含有化合物1モルあたり、ジイソシアネートXモルと放射線硬化性小分子Xモルの付加物を提供する。
【0030】
本発明に従って放射線硬化性ポリウレタン樹脂組成物を製造した場合、放射線硬化性ポリウレタン樹脂組成物の少なくとも約80質量%が、X個の活性水素原子を有する活性水素含有化合物1モルあたり、F個のイソシアネート官能基を有するポリイソシアネートXモルと放射線硬化性小分子(F−1)Xモルの「完全な」付加物で構成され、F及びXは少なくとも2である。好ましくは、F及びXはそれぞれ2又は3であり、最も好ましくは両方とも2である。本発明の他の態様においては、樹脂の少なくとも約90質量%が「完全な」付加物で構成される。さらに他の態様においては、樹脂の少なくとも約95質量%が「完全な」付加物で構成される。
【0031】
ポリイソシアネートプレポリマーを放射線硬化性小分子又は活性水素含有化合物のいずれかと接触させた場合、反応速度を加速するために触媒を使用することが望ましい場合がある。このような触媒は、ポリウレタン業界においてよく知られているような、NCO官能基の活性水素との反応を触媒する任意の化合物、例えば、ジブチルスズジラウレートのようなスズ触媒及びトリエチレンジアミンのようなアミン触媒であってよい。
【0032】
放射線硬化性ポリウレタン樹脂を含む組成システムの粘度を、プロセス又は用途において許容できる又は好ましい粘度まで減少させるために、反応性希釈剤を本発明の放射線硬化性ポリウレタン樹脂に添加してもよい。このような反応性希釈剤は、最終段階の組成システムに組み込まれていてもよく、又はより簡単に取り扱いもしくは移送できるようにするために、放射線硬化性ポリウレタン樹脂に添付もしくは同梱してもよい。
【0033】
幅広い種類の適当な反応性希釈剤又はその組み合わせを使用してもよい。反応性希釈剤の量及び種類は、組成システムの粘度のみならず、反応性、硬化収縮、強度、伸び及び靭性を含む多くの他の特性にも影響する。
【0034】
反応性希釈剤には、分子中に1個の重合可能なビニル基を含む重合可能な1官能ビニルモノマー、及び分子中に2個以上の重合可能なビニル基を含む重合可能な多官能ビニルモノマーが含まれる。
【0035】
適した重合可能な1官能ビニルモノマーには、アクリレート、メタクリレート及びビニルエーテルが含まれる。例として、ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、エトキシエトキシエチルアクリレート、ラウリルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、N−ビニルホルムアミド、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ビニルカプロラクタム、N−ビニルピロリドンなど、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0036】
また、適した反応性希釈剤の例には、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ヘキサンジオールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、アルコキシル化ビスフェノールAジアクリレート、アルコキシル化ビスフェノールAジメタクリレート、アルコキシル化水素化ビスフェノールAジアクリレート、アルコキシル化水素化ビスフェノールAジメタクリレートなど、及びこれらの混合物のような重合可能な多官能ビニルモノマーが含まれる。
【実施例】
【0037】
例1(比較例)(従来量のポリイソシアネートを用いたポリイソシアネートプレポリマー合成):比率がおよそ80/20の2,4−/2,6−トルエンジイソシアネート(TDI)157.2グラム(0.902モル)を、窒素シールと上部に機械式攪拌機を備えたジャケット付きガラス反応器に投入した。TDIを撹拌し、約80℃に加熱した。ヒドロキシル価が約48mgKOH/gであるポリエチレンアジペート1044.6g(0.447モル)をおよそ80℃に加熱して、約4時間かけて反応器に添加した。NCOと活性水素の当量比はおよそ2:1だった。さらに16時間、反応器を約80℃に保持して、反応を確実に完結させた。形成したプレポリマーの特性値を測定した結果を表1に示す。プレポリマー組成物のオリゴマー含量を計算すると86質量%だった。
【0038】
【表1】

【0039】
例2(化学量論的に大過剰のポリイソシアネートを用いたポリイソシアネートプレポリマー合成):NCOと活性水素の当量比をおよそ8:1とするためにTDIを過剰に添加したこと以外は、TDI及びポリエチレンアジペートを例1のように反応させた。未反応TDIモノマーをワイパー式薄膜蒸発によって除去して生成したプレポリマーを測定したところ、表2に示す特性値を有していた。オリゴマー含量を計算すると5質量%未満であり、プレポリマー組成物は95質量%より多い所望の「完全な」プレポリマーを含んでいた。
【0040】
【表2】

【0041】
表1及び表2に示すように、化学量論的に大過剰量のTDI(例2)を用いて形成したプレポリマーは、従来量のTDI(例1)を用いて形成したプレポリマーの粘度のおよそ半分の粘度を有していた。例3及び例4において、例1及び例2のプレポリマーから製造した放射線硬化性ポリウレタン樹脂の特性を記述する。
【0042】
例3(比較例)(従来の放射線硬化性ポリウレタン樹脂の形成):例1で形成したプレポリマー505.55g(0.294NCO当量)を、窒素シールと上部に機械式攪拌機を備えたジャケット付きガラス反応器中で約75℃に加熱した。4−メトキシフェノール(MEHQ)0.27gをプレポリマーに添加し、約15分間混合した。その後、2−ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)32.68g(0.281モル)を反応器に投入し、続いてジブチルスズジラウレート触媒2.59gを投入した。約85℃まで発熱したことが観察された。さらに90分間、反応器を約70〜80℃に保持し、確実に反応を完結させた。得られた樹脂の粘度は、50℃で58300mPa・sだった。
【0043】
例4(本発明の放射線硬化性ポリウレタン樹脂の形成):例2で形成したプレポリマー509.12g(0.385NCO当量)を、窒素シールと上部に機械式攪拌機を備えたジャケット付きガラス反応器中で約60℃に加熱した。MEHQ0.28gをプレポリマーに添加し、約15分間混合した。その後、HEA42.58g(0.367モル)を反応器に投入し、続いてジブチルスズジラウレート触媒2.73gを投入した。約80℃まで発熱したことが観察された。さらに90分間、反応器を約70〜80℃に保持し、確実に反応を完結させた。得られた樹脂の粘度は、50℃で23550mPa・sだった。
【0044】
例3と例4の樹脂を比較すると、制御された構造の樹脂組成物(例4)は、従来の樹脂(例3)の粘度と比べて、約2.5倍低い粘度を示すことが分かる。対応する制御された構造の前駆体プレポリマー(例2)が、対応する従来の樹脂(例1)よりも2.0倍低い粘度を示したに過ぎないことを考えると、従来の樹脂(例3)と比べて、制御された構造の樹脂(例4)が2.5倍低い粘度を示したことは驚くべきことである。そのため、本発明の放射線硬化性ポリウレタン樹脂組成物は、従来の樹脂組成物と比較すると、許容できるプロセス粘度を得るために必要とする反応性希釈剤はより少なくてもよい。
【0045】
本発明の方法を使用し、当業者に既知の適切な原材料を選択することによって、反応性希釈剤を必要としない樹脂を調製することも可能である。
【0046】
本発明の他の利点は、調製の最中に物理的にゲル化するという問題を伴わずに、より多い官能基(すなわち2より多い)を有する樹脂を調製できることである。そのような新規の樹脂は、現在普通に使用されている小分子架橋剤(例えばジアクリレート、トリアクリレート)と比べて、UV硬化したポリマーにおける物理的特性を設計通りに調整し、差別化することを可能にする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)X個の活性水素原子を有する少なくとも1種の活性水素含有化合物、
(b)F個のイソシアネート官能基を有する少なくとも1種のポリイソシアネート、及び
(c)1個の活性水素原子を有する少なくとも1種の放射線硬化性小分子
の接触生成物を含む放射線硬化性ポリウレタン樹脂組成物であって、
F及びXはそれぞれ2以上の数であり、かつ
該樹脂組成物の少なくとも約80質量%が、活性水素含有化合物1モルあたり、ポリイソシアネートXモルと放射線硬化性小分子(F−1)Xモルの付加物で構成される
放射線硬化性ポリウレタン樹脂組成物。
【請求項2】
前記樹脂組成物の少なくとも約90質量%が、活性水素含有化合物1モルあたり、ポリイソシアネートXモルと放射線硬化性小分子(F−1)Xモルの付加物で構成される、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
Xが2である、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
Xが3である、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記活性水素含有化合物がポリオールである、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記ポリオールが、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、又はこれらの組み合わせである、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記ポリオールがポリエーテルポリオールである、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記ポリオールがポリエステルポリオールである、請求項6に記載の組成物。
【請求項9】
前記ポリイソシアネートがジイソシアネートである、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記ジイソシアネートが、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−メチレン−ビス(シクロヘキシルイソシアネート)、又はこれら任意の組み合わせである、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
前記ジイソシアネートが、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、又はこれらの組み合わせである、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
前記放射線硬化性小分子が、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、1,4−ブタンジオールモノアクリレート、1,4−ブタンジオールモノメタクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシルアクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノアクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノメタクリレート、ネオペンチルグリコールモノアクリレート、ネオペンチルグリコールモノメタクリレート、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールのモノアクリレート類及びモノメタクリレート類、又はこれら任意の組み合わせである、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
1種以上の顔料、1種以上のフィラー、1種以上の難燃剤、1種以上の熱可塑性助剤成分、1種以上の粘着付与剤、1種以上の可塑剤、1種以上のフリーラジカル阻害剤、1種以上の光開始剤、1種以上の光安定剤、1種以上の光増感剤、1種以上のUV吸収剤、1種以上のシランカップリング剤、1種以上のレベリング剤、1種以上の加水分解安定剤、1種以上の反応性希釈剤、又はこれら任意の組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
放射線硬化性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法であって、
(a)F個のイソシアネート(NCO)官能基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートと、X個の活性水素原子を有する少なくとも1種の活性水素含有化合物を接触させることによりプレポリマー組成物を形成し、F及びXはそれぞれ2以上の数であって、該プレポリマー組成物は、
(1)未反応ポリイソシアネート約1質量%未満を含み、かつ
(2)活性水素含有化合物1モルあたりポリイソシアネートXモルのプレポリマーを少なくとも約80質量%含んでおり、さらに
(b)該プレポリマー組成物を、1個の活性水素原子を有する少なくとも1種の放射線硬化性小分子の十分な量と接触させて、活性水素含有化合物1モルあたり、ポリイソシアネートXモルと放射線硬化性小分子(F−1)Xモルの付加物を提供する
ことを含む方法。
【請求項15】
放射線硬化性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法であって、
(a)F個のイソシアネート官能基を有する少なくとも1種のポリイソシアネートと、X個の活性水素原子を有する少なくとも1種の活性水素含有化合物を、NCOと活性水素の当量比を最小で約4:1として接触させることによりプレポリマー組成物を形成し、F及びXはそれぞれ2以上の数であって、
(b)該プレポリマー組成物から未反応ポリイソシアネートを、
(1)該プレポリマー組成物中の未反応ポリイソシアネートの量が、該プレポリマー組成物の総質量に対して約1質量%未満であり、かつ
(2)該プレポリマー組成物の少なくとも約80質量%が、活性水素含有化合物1モルあたりポリイソシアネートXモルのプレポリマーで構成される
ように除去し、さらに
(c)該プレポリマーを1個の活性水素原子を有する少なくとも1種の放射線硬化性小分子と接触させる
ことを含む方法。
【請求項16】
段階(c)におけるNCOと活性水素の当量比が約1:1である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
Xが2又は3であり、前記活性水素含有化合物がポリオールである、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ポリイソシアネートがジイソシアネートである、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ジイソシアネートが、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、又はこれらの組み合わせである、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記放射線硬化性小分子が、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、N−ヒドロキシメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシメチルメタクリルアミド、1,4−ブタンジオールモノアクリレート、1,4−ブタンジオールモノメタクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシルアクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノアクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノメタクリレート、ネオペンチルグリコールモノアクリレート、ネオペンチルグリコールモノメタクリレート、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール及びトリプロピレングリコールのモノアクリレート類及びモノメタクリレート類、又はこれら任意の組み合わせである、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
放射線硬化性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法であって、
(a)ジイソシアネートと1個の活性水素原子を有する少なくとも1種の放射線硬化性小分子を接触させることによりプレポリマー組成物を形成し、該プレポリマー組成物は、
(1)未反応ジイソシアネート約1質量%未満を含み、かつ
(2)放射線硬化性小分子1モルあたりジイソシアネート1モルのプレポリマー分子を少なくとも約80質量%含んでおり、さらに
(b)該プレポリマー組成物を、2以上の数であるX個の活性水素原子を有する少なくとも1種の活性水素含有化合物と、NCOと活性水素の当量比をおよそ1:1として接触させ、活性水素含有化合物1モルあたり、ジイソシアネートXモルと放射線硬化性小分子Xモルの付加物を提供する
ことを含む方法。
【請求項22】
放射線硬化性ポリウレタン樹脂組成物の製造方法であって、
(a)少なくとも1種のジイソシアネートと、1個の活性水素原子を有する少なくとも1種の放射性硬化性小分子を、NCOと活性水素の当量比を少なくとも4:1として接触させることによりプレポリマー組成物を形成し、
(b)該プレポリマー組成物が、
(1)未反応ジイソシアネート約1質量%未満を含み、かつ
(2)放射線硬化性小分子1モルあたりジイソシアネート1モルのプレポリマー分子を少なくとも約80質量%含む
ように該プレポリマー組成物から未反応ポリイソシアネートを除去し、さらに
(c)該プレポリマー組成物を、2以上の数字であるX個の活性水素原子を有する少なくとも1種の活性水素含有化合物と接触させる
ことを含む方法。
【請求項23】
段階(c)におけるNCOと活性水素の当量比が約1:1である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
Xが2又は3である、請求項23に記載の方法。

【公開番号】特開2007−84820(P2007−84820A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−251117(P2006−251117)
【出願日】平成18年9月15日(2006.9.15)
【出願人】(591035368)エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド (452)
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】7201 Hamilton Boulevard, Allentown, Pennsylvania 18195−1501, USA
【Fターム(参考)】