説明

制御プログラム、携帯端末および仮想計算機の制御プログラム

【課題】仮想化技術を携帯端末に適用した場合に、仮想計算機の切替を軽減することを課題とする。
【解決手段】携帯端末は、仮想計算機を実行し、第1の領域に表示する操作を伴わない第1の表示情報を前記仮想計算機から取得し、第2の領域に表示する操作を伴う第2の表示情報を前記仮想計算機から取得する。そして、携帯端末は、第1の表示情報と第2の表示情報とをディスプレイなどの表示装置へ表示する。その後、携帯端末は、表示を切り換える指示に基づき、第1の領域と第2の領域で異なる仮想計算機の表示情報の表示の可否を記録する表示状態管理テーブルを参照する。そして、携帯端末は、表示可能である場合に、第2の表示情報を表示装置へ表示している仮想計算機と異なる仮想計算機の第1の表示情報を、表示装置へ表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御プログラム、携帯端末および仮想計算機の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、1台の計算機で複数のOS(Operating System)を動作させる仮想化技術、いわゆる仮想計算機(VM:Virtual Machine)が利用されている。例えば、仮想化技術をサーバに適用して、異なるOSを動作させる複数台のサーバで提供していたサービスを、1台のサーバで提供することが行われている。このため、複数台のサーバでサービスを提供するのに比べて、システム構築のコストや電力消費量を削減することができる。
【0003】
また、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)などのクライアント装置に仮想化技術を適用し、1台のPCで、複数人数に対応したクライアント動作を提供することも行われている。これによって、サーバに仮想化技術を適用した場合と同様、コストや電力消費量を削減できる。このように、コストや電力消費量を削減できる仮想化技術は、様々な分野に利用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−127790号公報
【特許文献2】特開2006−146756号公報
【特許文献3】国際公開第2007/111112号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、仮想化技術を携帯端末に適用した場合、仮想計算機の切替が多くなり、操作性が悪いという課題があった。
【0006】
具体的に説明すると、一般的な携帯端末は、画面の一部の領域(以下、ステータス通知領域と呼ぶ)に電池残量、電波強度、メール、不在着信の有無などの各状態を表示し、この状態の変化を音やバイブレータなどによってユーザに報知する。この報知を受けたユーザは、状態に変化があったことを認識して、携帯端末のステータス通知領域を確認し、必要に応じて通知内容を参照する。
【0007】
例えば、仮想化技術を適用した携帯端末は、仮想計算機としてOS(A)とOS(B)とを動作させている状態で、操作対象がOS(A)である場合には、OA(A)の画面を表示させ、OS(B)の画面については表示しない。したがって、当該携帯端末は、OS(B)の状態が変化した場合、音やバイブレータなどでユーザに報知する。この報知を受けたユーザは、操作対象のOSをOS(A)からOS(B)に切り替えた上で、報知された内容を確認することになる。一例を挙げると、ユーザは、OS(A)で映像を視聴しているときに、OS(B)からの報知を受け取った場合には、一度映像の再生を停止して、操作対象をOS(B)に切り替え、通知の概要を確認するといった煩雑な操作を行うことになる。
【0008】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、仮想化技術を携帯端末に適用した場合に、仮想計算機の切替を軽減することができる制御プログラム、携帯端末および仮想計算機の制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願の開示する制御プログラム、携帯端末および仮想計算機の制御プログラムは、一つの態様において、仮想計算機を実行し、第1の領域に表示する操作を伴わない第1の表示情報を前記仮想計算機から取得する。また、第2の領域に表示する操作を伴う第2の表示情報を前記仮想計算機から取得し、前記第1の表示情報と第2の表示情報とを表示装置へ表示する。そして、表示を切り換える指示に基づき、前記第1の領域と第2の領域で異なる仮想計算機の表示情報の表示の可否を記録する表示状態管理テーブルを参照する。その後、表示可能である場合に、前記第2の表示情報を表示装置へ表示している仮想計算機と異なる仮想計算機の前記第1の表示情報を、表示装置へ表示する。
【発明の効果】
【0010】
本願の開示する制御プログラム、携帯端末および仮想計算機の制御プログラムの一つの態様によれば、仮想化技術を携帯端末に適用した場合に、仮想計算機の切替を軽減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、実施例1に係る携帯端末が実行する仮想計算機の切替制御を説明する図である。
【図2】図2は、携帯端末の構成を示す機能ブロック図である。
【図3】図3は、表示状態管理テーブルに記憶される情報の例を示す図である。
【図4】図4は、表示エリアテーブルに記憶される情報の例を示す図である。
【図5】図5は、携帯端末が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】図6は、実施例2に係る表示エリアテーブルに記憶される情報の例を示す図である。
【図7】図7は、DMAを用いた場合の画面転送例を説明する図である。
【図8】図8は、各ゲストOSのステータス通知領域が同じ大きさである場合の表示エリアテーブルの例を示す図である。
【図9】図9は、各ゲストOSのステータス通知領域が同じ大きさである場合の画面の切り替わり例を示す図である。
【図10】図10は、各ゲストOSのステータス通知領域の大きさが異なる場合の表示エリアテーブルの例を示す図である。
【図11】図11は、各ゲストOSのステータス通知領域が異なる大きさである場合の画面の切り替わり例を示す図である。
【図12】図12は、各ゲストOSのステータス通知領域の位置も大きさも異なる場合の表示エリアテーブルの例を示す図である。
【図13】図13は、各ゲストOSのステータス通知領域の位置も大きさも異なる場合の画面の切り替わり例を示す図である。
【図14】図14は、複数のステータス通知領域の一覧表示を説明する図である。
【図15】図15は、画面表示制御プログラムを実行するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本願の開示する制御プログラム、携帯端末および仮想計算機の制御プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
【実施例1】
【0013】
実施例1では、実施例1に係る携帯端末が実行する仮想計算機の切替制御、携帯端末の機能ブロック図、処理の流れ、効果を説明する。なお、ここで説明する携帯端末は、例えば、スマートフォンや一般的な携帯電話などの端末である。
【0014】
[仮想計算機の切替制御]
図1は、実施例1に係る携帯端末が実行する仮想計算機の切替制御を説明する図である。実施例1に係る携帯端末は、仮想計算機(VM:Virtual Machine)を実行して、複数のOS(Operating System)を実行する端末である。本実施例では、一例として、携帯端末がゲストOS(A)とゲストOS(B)とを動作させる例で説明するが、OSの種別や数を限定するものではない。
【0015】
また、携帯端末は、ゲストOS(A)とゲストOS(B)との両方を動作させている状況では、それぞれのOSに対応した処理を実行する。例えば、携帯端末は、ゲストOS(A)が提供するメール機能でメールを受信する一方で、ゲストOS(B)が提供するメール機能でメールを受信する。
【0016】
このような携帯端末は、各ゲストOSを動作させている状況で、ゲストOS(A)を操作対象のOSとして動作させている場合には、図1の左図に示すように、表示画面上にゲストOS(A)の情報を表示する。つまり、携帯端末は、ユーザの指示操作によって指定された一方のゲストOSを主OSとして動作させ、もう一方を副OSとして動作させる。
【0017】
具体的には、携帯端末は、表示画面を「操作対象領域」と「ステータス通知領域」に分割し、主OSとして動作させるゲストOS(A)の情報を表示する。例えば、携帯端末は、キーパッドなどの入力部から受け付けた情報など、ユーザの操作に伴って生成した情報を「操作対象領域」に表示する。また、携帯端末は、例えば電池残量、電波強度、メール、不在着信の有無などのユーザ操作の伴わない情報を「スタータス通知領域」に表示する。
【0018】
一方で、携帯端末は、副OSとして動作させるゲストOS(B)が処理した情報を携帯端末内のメモリ等に格納する。例えば、携帯端末は、図1の左図に示すように、ゲストOS(A)の情報が表示部に表示されている状況で、ゲストOS(B)がメールを受信した場合には、当該メールをメモリ等に格納する。
【0019】
このように、仮想計算機を実行する携帯端末は、第1の領域の一例である「ステータス通知領域」に表示する操作を伴わない第1の表示情報を仮想計算機から取得する。また、携帯端末は、第2の領域の一例である「操作対象領域」に表示する操作を伴う第2の表示情報を仮想計算機から取得する。そして、携帯端末は、第1の表示情報と第2の表示情報とを表示装置の一例である「ディスプレイ」へ表示する。また、携帯端末は、表示を切り換える指示に基づき、第1の領域と第2の領域で異なる仮想計算機の表示情報の表示の可否を記録する表示状態管理テーブルを参照する。そして、携帯端末は、表示可能である場合に、第2の表示情報を表示装置へ表示している仮想計算機と異なる仮想計算機の第1の表示情報を表示装置へ表示する。
【0020】
具体的に例を挙げると、携帯端末は、図1の左図に示すように、「操作対象領域」と「ステータス通知領域」に、操作対象として動作させるゲストOS(A)の情報を表示させている。この状況で、携帯端末は、副OSとして動作するゲストOS(B)がメールを受信したことをユーザに報知する。その後、携帯端末は、「メニューボタン」クリックなどの表示切替操作を受け付けた場合、図1の右図に示すように、ゲストOS(B)がメールを受信したことを示すアイコン等を、ディスプレイの「ステータス通知領域」に表示させる。
【0021】
したがって、実施例1に係る携帯端末は、操作対象ではないOSの処理によってユーザに報知する事象が発生した場合でも、OSを切り替えることなく、簡単な操作で報知内容をユーザに表示することができる。この結果、仮想化技術を携帯端末に適用した場合でも、仮想計算機の切替を軽減することができる。
【0022】
[携帯端末の構成]
図2は、携帯端末の構成を示す機能ブロック図である。図2に示すように、携帯端末10は、表示部11、入力制御部12、主記憶部13a、補助記憶部13b、通話処理部14、制御部15、ハイパーバイザ16を有する。さらに、携帯端末10は、管理VM17、ゲスト(A)VM18、ゲスト(B)VM19、表示制御VM20、補助記憶VM21、入力制御VM22、通話処理VM23を有する。
【0023】
このうち、表示部11、入力制御部12、主記憶部13a、補助記憶部13b、通話処理部14、制御部15は、電子回路や集積回路などのハードウェアである。また、管理VM17、ゲスト(A)VM18、ゲスト(B)VM19、表示制御VM20、補助記憶VM21、入力制御VM22、通話処理VM23は、制御部15やハイパーバイザ16などによって提供される仮想計算機である。また、各処理部は、ハイパーバイザ16を介して相互に接続される。なお、ここで示した各処理部は一例であり、これに限定されるものではない。
【0024】
表示部11は、一般的な携帯電話等に搭載されるディスプレイなどの表示装置であり、携帯端末10の各制御部が実行した結果を表示する。例えば、表示部11は、音声通話を着信した場合の「着信画面」、音声通話の開始する場合の「発信画面」、携帯端末10の機能を選択させる「メニュー画面」などを表示する。
【0025】
入力制御部12は、一般的な携帯電話等に搭載されるキーパッドなどの入力装置であり、ユーザの操作を受け付けて、各制御部に出力する。また、表示部11と入力制御部12とを連携させた、例えばタッチパネルのような画面であってもよい。
【0026】
補助記憶部13bは、携帯端末10が実行するプログラム等を記憶するとともに、一般的な携帯電話が有する電話帳、受信メール、送信済みメールなどの各種情報を記憶する記憶装置である。補助記憶部13bの一例としては、NAND型フラッシュメモリなどが挙げられ、主記憶部13aの一例としては、RAM(Random Access Memory)などが挙げられる。
【0027】
通話処理部14は、例えばベースバンド処理部などを有する処理部であり、携帯電話として音声通話を実行するための処理部である。なお、通話処理部14が有する各制御部は、一般的な携帯電話が有する処理部と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0028】
制御部15は、CPU(Central Processing Unit)などの電子回路であり、携帯端末10全体の処理を司る処理部である。この制御部15は、ハイパーバイザ16を実行して、仮想計算機(VM)を動作させる。また、制御部15は、ゲスト(A)VM18やゲスト(B)VM19からメール受信など、ユーザへの報知指示を受信した場合に、バイブレーションを起動させたり、音を出力したりして報知する。
【0029】
ハイパーバイザ16は、制御部15によって実行される制御プログラムであり、上位で動作するゲストOSや各VMに、高い独立性を持ったパーティション分割機能を提供する。例えば、ハイパーバイザ16は、各VMごとに、制御部15が有するCPUなどのプロセッサにおける所定処理能力をVMが使用する仮想プロセッサとして割り当てる。また、ハイパーバイザ16は、各VMごとに、主記憶部13aにおける所定領域をVMが使用する仮想メモリ領域として割り当てる。このハイパーバイザ16は、各VMを相互に接続して各VMの通信を制御する。また、ハイパーバイザ16は、各VMと各物理的な処理部とを相互に接続する。同様に、ハイパーバイザ16は、各物理的な処理部を相互に接続する。
【0030】
管理VM17は、VMの作成、VMの削除、VMのマイグレーション、操作対象となっているゲストOSに対する処理など、VMの全体的な制御を実行する仮想計算機である。例えば、管理VM17は、ユーザの操作等によって操作対象のゲストOSを特定し、特定したゲストOSを実行するゲスト(A)VM18またはゲスト(B)VM19のいずれかを操作対象として制御する。また、この管理VM17は、表示状態管理テーブル17aと表示状態管理通知部17bとを有する。
【0031】
表示状態管理テーブル17aは、主記憶部13aにおける所定領域をハイパーバイザ16が使用するメモリとして割り当てることで実現された仮想メモリ領域に生成されたテーブルである。この表示状態管理テーブル17aは、「ステータス通知領域」と「操作対象領域」で異なるVMの表示情報の表示の可否を記録する。図3は、表示状態管理テーブルに記憶される情報の例を示す図である。なお、図3の例は、あくまで例示であり、これに限定されるものではなく、任意に設定変更できる。
【0032】
図3に示すように、表示状態管理テーブル17aは、「ゲストOS、次のOS、ステータス通知領域」を記憶する。ここで記憶される情報は、表示管理通知部17bによって更新される。「ゲストOS」は、携帯端末10内部で仮想計算機として実行されるOSであり、「ステータス通知領域」の表示対象となるOSを示す。「次のOS」は、携帯端末10内部で仮想計算機として実行されるOSであり、「ステータス通知領域」の表示対象となる次のOSを示す。「ステータス通知領域」は、どのゲストOSのステータス通知領域を表示しているかを示す情報であり、現在表示している場合には「表示中」が格納され、現在表示していない場合には「表示可」が格納される。
【0033】
図3の上図の場合、現在、ゲストOS(A)のステータス通知領域が表示部11に表示されており、次に表示可能なOSがゲストOS(B)であることを示す。また、図3の上図の状態から、ゲストOS(B)のステータス通知領域が表示部11に表示された場合、図3の下図に示すように、「ゲストOS=ゲストOS(B)」に対応する「ステータス通知領域」が「表示中」に更新される。さらに、「ゲストOS=ゲストOS(A)」に対応する「ステータス通知領域」が「表示可」に更新される。
【0034】
表示状態管理通知部17bは、管理VM17内で実行される処理部であり、例えばメニューボタンクリックなどの「ステータスを見る操作」が受け付けられたことを示す通知を入力制御VM22から受信する。すると、表示状態管理通知部17bは、「ステータス通知領域変更要求」が発生したと認識し、表示状態管理テーブル17aを参照する。そして、表示状態管理通知部17bは、「表示対象OSとステータス通知領域表示OS」を含む表示構成を決定して、表示エリア決定部20dに表示構成変更の指示を出力する。
【0035】
例えば、表示状態管理通知部17bは、表示状態管理テーブル17aの「ステータス通知領域」から値が「表示中」となっているゲストOSを取得する。さらに、表示状態管理通知部17bは、該当ゲストOSの「次のOS」を表示状態管理テーブル17aから取得する。これらはそれぞれ、ステータス通知領域表示中のゲストOS、および、ステータス通知領域に次に表示するゲストOSに相当する。
【0036】
ここで、表示状態管理通知部17bは、ステータス通知領域表示中のゲストOSが次に表示するゲストOSと同一と判定した場合、表示を変更する必要がないと判定し、処理を終了する。表示状態管理通知部17bは、異なる場合は、表示中ゲストOSの「ステータス通知領域」を「表示可」に、次に表示するゲストOSの「ステータス通知領域」を「表示中」に変更するように表示状態管理テーブル17aを更新する。その上で、表示状態管理通知部17bは、表示エリア決定部20dに対して表示構成変更を要求する。なお、表示状態管理通知部17bは、表示構成変更要求として、操作対象OSとステータス通知領域表示OSを指定するために、操作対象OSを管理VM17等から取得し、次に表示するOSをステータス通知領域表示OSとして送信する。
【0037】
ゲスト(A)VM18は、ゲストOSであるOS(A)を実行させる仮想計算機である。ゲスト(A)VM18は、表示情報生成部18aを有し、例えばメール機能、通話機能、Web閲覧機能など、ゲストOS(A)が提供する処理の画面を生成して、ユーザに提供する。一例を挙げると、ゲスト(A)VM18は、入力制御VM22を介してユーザからメール作成依頼を受け付けると、メール機能を実行して、メールを送受信する画面の生成を表示情報生成部18aに指示する。また、ゲスト(A)VM18は、通話処理VM23から着信したことが通知されると、着信画面の生成を表示情報生成部18aに指示する。
【0038】
表示情報生成部18aは、ゲスト(A)VM18から指示された画面を生成して表示制御VM20のフレームバッファ20bに格納する処理部である。具体的に例を挙げると、表示情報生成部18aは、メール作成画面やWeb操作画面など、ゲスト(A)VM18からユーザの操作を伴う画面の生成が指示された場合、指示された画面を生成してフレームバッファ20bの「操作対象領域」に出力する。また、表示情報生成部18aは、電波強度の変化や電池残量の変化など、ゲスト(A)VM18からユーザの操作を伴わない画面の生成が指示された場合、指示された画面を生成してフレームバッファ20bの「ステータス通知領域」に出力する。
【0039】
ゲスト(B)VM19は、ゲストOS(A)と同様であるので詳細な説明は省略する。簡単に説明すると、ゲスト(B)VM19は、ゲストOSであるOS(B)を実行させる仮想計算機である。ゲスト(B)VM19は、表示情報生成部19aを有し、例えばメール機能、通話機能、Web閲覧機能など、ゲストOS(B)が提供する処理の画面を生成して、ユーザに提供する。
【0040】
表示情報生成部19aは、ゲスト(B)VM19から指示された画面を生成して表示制御VM20のフレームバッファ20cに格納する処理部である。具体的に例を挙げると、表示情報生成部19aは、ゲスト(B)VM19からユーザの操作を伴う画面の生成が指示された場合、指示された画面を生成してフレームバッファ20cの「操作対象領域」に出力する。また、表示情報生成部19aは、ゲスト(B)VM19からユーザの操作を伴わない画面の生成が指示された場合、指示された画面を生成してフレームバッファ20cの「ステータス通知領域」に出力する。
【0041】
表示制御VM20は、表示エリアテーブル20a、フレームバッファ20b、フレームバッファ20c、表示エリア決定部20d、表示制御部20eを有し、これによって表示部11への表示を制御する仮想計算機である。
【0042】
表示エリアテーブル20aは、各ゲストOSごとに、画面全体およびステータス通知領域の構成を保存する。図4は、表示エリアテーブルに記憶される情報の例を示す図である。図4に示すように、表示エリアテーブル20aは、「ゲストOS、画面全体(転送元アドレス、転送サイズ、転送先アドレス)、ステータス通知領域(矩形開始点、矩形サイズ)」を記憶する。
【0043】
ここで記憶される「ゲストOS」は、携帯端末10内の仮想計算機で動作するゲストOSを示す。「画面全体」は、DMA(Direct Memory Access)を用いた場合に、操作を伴う画面を表示部11全体に表示させるための情報を示す。「転送元アドレス」は、表示部11への転送元となるフレームバッファのアドレスを示し、「転送サイズ」は、表示部11への転送対象である画面のサイズを示し、「転送先アドレス」は、画面の転送先となる表示部11のアドレスを示す。
【0044】
また、「ステータス通知領域」は、操作を伴わない画面をステータス通知領域として表示部11に表示させる矩形情報を示す。「矩形開始点」は、表示部11上において、ステータス通知領域の開始位置を示す座標である。「矩形サイズ」は、表示部11上に表示させるステータス通知領域のサイズを示す。
【0045】
図4の場合、ゲストOS(A)の操作を伴う画面を表示部11に表示させる場合、フレームバッファ20bのアドレス「FB_A」からサイズ「ScreenSize」のデータを、表示部11のアドレス「Lcd_top」に転送することを示す。また、ゲストOS(A)の操作を伴わない画面を表示部11に表示させる場合、フレームバッファ20bの「ステータス通知領域」に格納される画面を、表示部11の座標「StXa、StYa」からサイズ「StWa×StHa」までの領域に表示することを示す。
【0046】
同様に、ゲストOS(B)の操作を伴う画面を表示部11に表示させる場合、フレームバッファ20cのアドレス「FB_B」からサイズ「ScreenSize」のデータを、表示部11のアドレス「Lcd_top」に転送することを示す。また、ゲストOS(B)の操作を伴わない画面を表示部11に表示させる場合、以下の処理を実行する。つまり、フレームバッファ20cの「ステータス通知領域」に格納される画面を、表示部11の座標「StXb、StYb」を開始点とするサイズ「StWb×StHb」の矩形領域に表示することを示す。
【0047】
図2に戻り、フレームバッファ20bは、上述した「ステータス通知領域」と「操作対象領域」とを有し、ゲストOS(A)の表示情報生成部18aが生成した情報を記憶する記憶領域である。なお、表示情報生成部18aは、操作を伴わない画面を「ステータス通知領域」に格納し、操作を伴う画面を「操作対象領域」に格納する。同様に、フレームバッファ20cは、上述した「ステータス通知領域」と「操作対象領域」とを有し、ゲストOS(B)の表示情報生成部19aが生成した情報を記憶する記憶領域である。
【0048】
表示エリア決定部20dは、表示部11に表示させる画面の領域を決定する処理部である。具体的には、表示エリア決定部20dは、表示状態管理通知部17bからの「表示対象OSとステータス通知領域表示OS」を含む表示構成変更の指示を受け、画面上に表示する構成を決定する。そして、表示エリア決定部20dは、表示制御VM20内の表示制御部20eに、決定された構成による表示の指示を出力する。
【0049】
例えば、表示エリア決定部20dは、表示状態管理通知部17bから表示構成変更を受信すると、当該要求から操作対象OSとステータス通知領域表示OSを抽出する。続いて、表示エリア決定部20dは、表示エリアテーブル20aを参照し、操作対象OSの「画面全体」のパラメータを取得する。さらに、表示エリア決定部20dは、操作対象OSとステータス通知領域表示OSを比較し、同一のOSであるならば、先に取得した「画面全体」のパラメータを含めて、表示制御部20eに表示を依頼する。
【0050】
一例を挙げると、表示エリア決定部20dは、操作対象OSとステータス通知領域表示OSとが共にゲストOS(A)であるとする。この場合、表示エリア決定部20dは、フレームバッファ20bの全領域、すなわち「ステータス通知領域」+「操作対象領域」の画面を出力する指示を表示制御部20eに出力する。このとき、表示制御部20eは、表示エリアテーブル20aの「ゲストA」を参照し、表示パラメータとして転送元アドレス「FB_A」、転送サイズ「ScreenSize」、転送先アドレス「Lcd_top」を表示制御部20eに出力する。
【0051】
また、表示エリア決定部20dは、操作対象OSとステータス通知領域表示OSとが異なっている場合には、ステータス通知領域表示OSの「ステータス通知領域」のパラメータを取得する。続いて、表示エリア決定部20dは、「画面全体」に対して「ステータス通知領域」を上書きするような表示構成となるように表示制御部20eに渡すパラメータを決定して表示の依頼を行う。
【0052】
一例を挙げると、表示エリア決定部20dは、操作対象OSがゲストOS(A)でステータス通知領域表示OSがゲストOS(B)であるとする。この場合、表示エリア決定部20dは、フレームバッファ20cの「ステータス通知領域」の画面を出力する指示を表示制御部20eに出力する。このとき、表示制御部20eは、表示エリアテーブル20aの「ゲストB」を参照して「矩形開始点、矩形サイズ」を取得し、「矩形開始点、矩形サイズ」を表示パラメータとして表示制御部20eに出力する。
【0053】
表示制御部20eは、フレームバッファ20bまたはフレームバッファ20cから画面を読み出して表示部11に表示する処理部である。例えば、表示制御部20eは、表示エリア決定部20dから全領域を表示する指示と、表示パラメータ「転送元アドレス=FB_A、転送サイズ=ScreenSize、転送先アドレス=Lcd_top」を受信したとする。
【0054】
この場合、表示制御部20eは、フレームバッファ20bのアドレス「FB_A」から転送サイズ「ScreenSize」までの画面をフレームバッファ20bから取得する。そして、表示制御部20eは、取得した画面を、表示部11のアドレス「Lcd_top」を先頭とした領域に表示させる。この結果、表示制御部20eは、操作対象のOSであるゲストOS(A)の画面を、表示部11の全画面として表示させることができる。
【0055】
また、表示制御部20eは、表示エリア決定部20dからフレームバッファ20cの「ステータス通知領域」の画面を出力する指示と、表示パラメータ「矩形開始点、矩形サイズ」を受信したとする。この場合、表示制御部20eは、フレームバッファ20cの「ステータス通知領域」から画面を取得し、取得した画面を、表示部11の座標「StXb、StYb」を開始点とするサイズ「StWb×StHb」の矩形領域に表示させる。この結果、表示制御部20eは、表示部11の「操作対象領域」にゲストOS(A)の画面を表示させている状況で、表示部11の「ステータス通知領域」にはゲストOS(B)のステータス画面を表示させることができる。
【0056】
図2に戻り、補助記憶VM21は、補助記憶領域である補助記憶部13bを所定領域に分割して、各VMに割り当てることで、各VMに専用の補助記憶領域を提供する仮想計算機である。
【0057】
入力制御VM22は、入力制御部12で受け付けられたユーザ操作を各VMに通知する仮想計算機である。例えば、入力制御VM22は、操作特定部22aを有し、入力制御部12によって受け付けられたユーザ操作の内容を特定し、該当するVMに通知する。
【0058】
操作特定部22aは、ユーザ操作を特定して各VMに通知する処理部である。例えば、操作特定部22aは、入力制御部12によって「発信ボタン」押下などの通話操作を受け付けられた場合には、当該操作を通話処理VM23に通知する。また、操作特定部22aは、入力制御部12によって「メニュー」ボタンクリックなどの表示切替要求、つまり「ステータスを見る操作」を受け付けた場合には、当該操作が受け付けられたことを管理VM17等に通知する。
【0059】
通話処理VM23は、ゲスト(A)VM18やゲスト(B)VM19の操作に基づいて、通話処理部14と連携して通話処理等を実行し、他の装置と通話を確立する仮想計算機である。なお、通話処理VM23は仮想計算機であるが、一般的な携帯電話等に搭載される通話処理機能と同様の処理を実行する。
【0060】
[処理の流れ]
図5は、携帯端末が実行する処理の流れを示すフローチャートである。図5に示すように、入力制御VM22の操作特定部22aが表示切替要求を受信すると(S101肯定)、管理VM17の表示状態管理通知部17bは、S102を実行する。すなわち、表示状態管理通知部17bは、表示状態管理テーブル17aを参照し、「ステータス通知領域」が「表示中」である「ゲストOS」を取得する。続いて、表示状態管理通知部17bは、表示状態管理テーブル17aを参照し、「ステータス通知領域」が「表示中」である「次のゲストOS」を取得する(S103)。
【0061】
そして、表示状態管理通知部17bは、取得した「ゲストOS」と「次のOS」とが一致するか否かを判定する(S104)。表示状態管理通知部17bは、一致しないと判定した場合(S104否定)、「ステータス通知領域」の「表示中」と「表示可」のステータスを更新する(S105)。具体的には、表示状態管理通知部17bは、S102で取得した「ゲストOS」の「ステータス通知領域」を「表示可」に更新する。さらに、表示状態管理通知部17bは、S103で取得した「次のOS」の「ステータス通知領域」を「表示中」に更新する。
【0062】
その後、表示状態管理通知部17bは、内部メモリ等で管理する情報から「操作対象OS」を取得する(S106)。続いて、表示状態管理通知部17bは、「操作対象領域」には「操作対象OS」の画面、「ステータス通知領域」には「次のOS」の画面を表示させる指示を表示エリア決定部20dに出力する(S107)。なお、S104において、表示状態管理通知部17bは、一致すると判定した場合(S104肯定)、S105からS107を実行することなく、S108を実行する。
【0063】
表示エリア決定部20dは、表示エリアテーブル20aを参照し、表示状態管理通知部17bから通知された「操作対象OS」の「画面全体」の表示パラメータを取得する(S108)。続いて、表示エリア決定部20dは、表示状態管理通知部17bから通知された「操作対象OS」と「次のOS」とが一致するか否かを判定する(S109)。
【0064】
そして、表示エリア決定部20dは、「操作対象OS」と「次のOS」とが一致すると判定した場合(S109肯定)、S110からS112を実行する。すなわち、表示エリア決定部20dは、「操作対象領域」の表示対象となっている操作対象OSと「ステータス通知領域」の表示対象となっているOSとが一致すると判定した場合に、S110からS112を実行する。
【0065】
具体的には、表示エリア決定部20dは、「操作対象OS」に対応する「画面全体」を表示エリアテーブル20aから取得し、表示パラメータとして決定する(S110)。続いて、表示エリア決定部20dは、決定した表示パラメータを表示制御部20eに通知する(S111)。その後、表示制御部20eは、通知された表示パラメータにしたがってフレームバッファ20bまたはフレームバッファ20cから画面を取得し、通知された表示パラメータにしたがって表示部11に画面を表示させる(S112)。
【0066】
一方、表示エリア決定部20dは、「操作対象OS」と「次のOS」とが一致しないと判定した場合(S109否定)、S113からS115を実行する。すなわち、表示エリア決定部20dは、「操作対象領域」の表示対象となっている操作対象OSと「ステータス通知領域」の表示対象となっているOSとが一致しないと判定した場合に、S113からS115を実行する。
【0067】
具体的には、表示エリア決定部20dは、「次のOS」に対応する「ステータス通知領域」を表示エリアテーブル20aから取得し、表示パラメータとして決定する(S113)。続いて、表示エリア決定部20dは、決定した表示パラメータを表示制御部20eに通知する(S114)。その後、表示制御部20eは、通知された表示パラメータにしたがってフレームバッファ20bまたはフレームバッファ20cから画面を取得し、通知された表示パラメータにしたがって表示部11の「ステータス通知領域」に表示させる(S115)。このとき、例えば、表示制御部20eは、現在表示されている画面上において、「ステータス通知領域」と重複する画面を上書きするように、フレームバッファ20bまたはフレームバッファ20cから取得した画面を表示させる。
【0068】
[実施例1による効果]
このように、実施例1に係る携帯端末は、ユーザが「ステータスを見る操作」を行った際には、操作対象領域の表示対象OSとステータス通知領域の表示対象OSとを異なるOSとして指示を出すことができる。この結果、携帯端末は、操作対象OSを切り替えずに、ステータス通知領域のみ他のOSの領域を合成表示させることが可能となる。
【0069】
また、実施例1に係る携帯端末は、ユーザが操作対象変更処理を行う前に事前に変更処理を行うべきかどうかの確認をユーザに促すことができ、ユーザ利便性を向上させることもできる。さらに、実施例1に係る携帯端末は、上位ゲストOS上に特別なプログラムを導入する必要がなく、OSが変更されても影響を受けにくいため、開発者コストを抑えることもできる。
【実施例2】
【0070】
ところで、開示する携帯端末が表示部11に画面を表示させる手法としては、座標軸やDMAを用いる手法など様々な手法を用いることができる。具体的には、携帯端末は、表示エリアテーブルで、「画面全体」、「操作画面領域」、「ステータス領域」などの各領域を座標軸で管理することができる。
【0071】
また、携帯端末は、表示制御VM20の各フレームバッファと表示部11とを対応付けておき、フレームバッファに格納される画像(画面)を表示部11に転送することもできる。そこで、実施例2では、図6と図7を用いて、携帯端末がDMAを用いて、フレームバッファに格納される画面を表示部11に転送する例について説明する。
【0072】
図6は、実施例2に係る表示エリアテーブルに記憶される情報の例を示す図である。図7は、DMAを用いた場合の画面転送例を説明する図である。図6に示すように、表示エリアテーブルは、図4と同様、「ゲストOS、画像全体、ステータス通知領域」を対応付けて記憶する。
【0073】
図6の場合、ゲストOS(A)の操作を伴う画面を表示部11に表示させる場合、フレームバッファ20bのアドレス「FB_A」からサイズ「ScreenSize」のデータを、表示部11のアドレス「Lcd_top」に転送することを示す。ゲストOS(A)の操作を伴わない画面を表示部11に表示させる場合、フレームバッファ20bのアドレス「FB_A+StatA」からサイズ「ScreenSizeA」のデータを表示部11のアドレス「Lcd_top+StatA」に転送することを示す。
【0074】
同様に、ゲストOS(B)の操作を伴う画面を表示部11に表示させる場合、フレームバッファ20cのアドレス「FB_B」からサイズ「ScreenSize」のデータを、表示部11のアドレス「Lcd_top」に転送することを示す。ゲストOS(B)の操作を伴わない画面を表示部11に表示させる場合、フレームバッファ20cのアドレス「FB_B+StatB」からサイズ「ScreenSizeB」のデータを表示部11のアドレス「Lcd_top+StatB」に転送することを示す。
【0075】
続いて、図7を用いて、図6の状態においてゲストOS(A)の画面全体とゲストOS(B)のステータス通知領域とを表示させる例を説明する。図7に示すように、表示制御部20eは、StatB=0でない場合、フレームバッファ20bのFB_AからStatBまでの長さを、表示部11のLcd_topを先頭する領域に転送する。続いて、表示制御部20eは、フレームバッファ20cのFB_B+StatBからStatSizeBの長さを、表示部11のLcd_top+StatBを先頭する領域へ転送する。続いて、表示制御部20eは、(StatB+StatSizeB)=ScreenSizeでない場合、以下のように制御する。具体的には、表示制御部20eは、フレームバッファ20bのFB_A+StatB+StatSizeBからScreenSize−(StatB+StatSizeB)の長さを、表示部11のLcd_top+StatB+StatSizeBへ転送する。
【0076】
このようにすることで、ステータス通知領域以外の部分は操作対象OSの画面全体を転送元として転送し、該当ステータス通知領域の部分だけは、ステータス通知領域を表示したいOSの画面の中のステータス通知領域に相当する部分を転送することができる。
【実施例3】
【0077】
次に、図8から図12を用いて、操作対象領域とステータス通知領域とを切り替える様々な具体例を例示する。
【0078】
(具体例1)
図8は、各ゲストOSのステータス通知領域が同じ大きさである場合の表示エリアテーブルの例を示す図である。図9は、各ゲストOSのステータス通知領域が同じ大きさである場合の画面の切り替わり例を示す図である。
【0079】
図8に示すように、表示エリアテーブルは、「ゲストOS、画面全体、ステータス通知領域」として「ゲストA、(FB_A、ScreenSize、Lcd_top)、(FB_A、StatSize、Lcd_top)」を記憶する。同様に、表示エリアテーブルは、「ゲストB、(FB_B、ScreenSize、Lcd_top)、(FB_B、StatSize、Lcd_top)」を記憶する。
【0080】
ここでは、ゲストOS(A)とゲストOS(B)のステータス通知領域の場所も大きさも同じである例について説明する。この場合、表示制御部20eは、フレームバッファ20bのFB_AからStatSizeの大きさを表示部11のLcd_topを先頭とする領域に転送する。また、表示制御部20eは、フレームバッファ20cのFB_B+StatSizeからScreenSize−StatSizeの大きさを表示部11のLct_top+Statsizeを先頭とする領域に転送する。
【0081】
具体的には、図9に示すように、携帯端末11は、ゲストOS(A)を操作中に、ゲストOS(B)のステータス通知領域の表示要求を受け付けた場合に、ゲストOS(A)の画面上にゲスト(B)のステータス通知画面を表示させる。その後、携帯端末11は、ゲストOS(B)を操作中に、ゲストOS(A)のステータス通知領域の表示要求を受け付けた場合に、ゲストOS(B)の画面上にゲスト(A)のステータス通知画面を表示させる。このように、携帯端末11は、操作対象のゲストOSやステータス通知領域のゲストOSを切り替えた場合でも、ステータス通知領域の位置と大きさを変更させずに表示させることができる。
【0082】
(具体例2)
図10は、各ゲストOSのステータス通知領域の大きさが異なる場合の表示エリアテーブルの例を示す図である。図11は、各ゲストOSのステータス通知領域が異なる大きさである場合の画面の切り替わり例を示す図である。
【0083】
図10に示すように、表示エリアテーブルは、「ゲストOS、画面全体、ステータス通知領域」として「ゲストA、(FB_A、ScreenSize、Lcd_top)、(FB_A、StatSizeA、Lcd_top)」を記憶する。同様に、表示エリアテーブルは、「ゲストB、(FB_B、ScreenSize、Lcd_top)、(FB_B、StatSizeB、Lcd_top)」を記憶する。
【0084】
ここでは、ゲストOS(A)とゲストOS(B)のステータス通知領域は、表示位置は同じであるが表示領域が異なる例を説明する。この場合、表示制御部20eは、フレームバッファ20bのFB_AからStatSizeAの大きさを表示部11のLcd_topを先頭とする領域に転送する。また、表示制御部20eは、フレームバッファ20cのFB_B+StatSizeAからScreenSize−StatSizeAの大きさを表示部11のLct_top+StatsizeAを先頭とする領域に転送する。
【0085】
具体的には、図11に示すように、携帯端末11は、ゲストOS(A)を操作中に、ゲストOS(B)のステータス通知領域の表示要求を受け付けた場合に、ゲストOS(A)の画面上にゲスト(B)のステータス通知画面を表示させる。このとき、携帯端末11は、ゲストOS(A)のステータス通知領域(A)よりも、ゲストOS(B)のステータス通知領域(B)の方が大きいので、ゲストOS(A)の操作対象領域(A)が小さくなる。
【0086】
その後、携帯端末11は、ゲストOS(B)を操作中に、ゲストOS(A)のステータス通知領域の表示要求を受け付けた場合に、ゲストOS(B)の画面上にゲスト(A)のステータス通知画面を表示させる。このとき、携帯端末11は、ゲストOS(B)のステータス通知領域(B)よりも、ゲストOS(A)のステータス通知領域(A)の方が小さいので、ゲストOS(B)のステータス通知領域(B)が画面上に残る。この残ったステータス通知領域(B)の領域は、そのままでもよく、その他の画面等にしてもよい。このように、携帯端末11は、ゲストOSのステータス通知領域の大きさが異なる場合でも、操作対象のゲストOSやステータス通知領域のゲストOSを切り替えて表示させることができる。
【0087】
(具体例3)
図12は、各ゲストOSのステータス通知領域の位置も大きさも異なる場合の表示エリアテーブルの例を示す図である。図13は、各ゲストOSのステータス通知領域の位置も大きさも異なる場合の画面の切り替わり例を示す図である。
【0088】
図12に示すように、表示エリアテーブルは、「ゲストOS、画面全体、ステータス通知領域」として「ゲストA、(FB_A、ScreenSize、Lcd_top)、(FB_A、StatSizeA、Lcd_top)」を記憶する。同様に、表示エリアテーブルは、「ゲストB、(FB_B、ScreenSize、Lcd_top)、(FB_B+ScreenSize−StatSizeB、StatSizeB、Lcd_top+ScreenSize−StatSizeB)」を記憶する。
【0089】
ここでは、ゲストOS(A)とゲストOS(B)のステータス通知領域は、表示位置も表示サイズも異なる例を説明する。この場合、表示制御部20eは、ゲストOS(A)の操作対象領域(A)のうちゲストOS(B)のステータス通知領域(B)に相当する部分の転送を実行しない。例えば、表示制御部20eは、フレームバッファ20bのFB_AからStatSizeAの大きさを表示部11のLcd_topを先頭とする領域に転送する。また、表示制御部20eは、フレームバッファ20cのFB_B+ScreenSize−StatSizeBかStatSizeBの大きさを表示部11のLcd_top+ScreenSize−StatSizeBを先頭とする領域に転送する。
【0090】
具体的には、図13に示すように、携帯端末11は、ゲストOS(A)を操作中に、ゲストOS(B)のステータス通知領域の表示要求を受け付けたとする。すると、携帯端末11は、ゲストOS(A)の画面上のステータス通知領域(A)とは異なる位置に、ゲスト(B)のステータス通知領域(B)を表示させる。一例を挙げると、携帯端末11は、ゲストOS(A)のステータス通知領域(A)は表示部11の上方に位置し、ゲストOS(B)のステータス通知領域(B)は表示部11の下方に位置する。つまり、携帯端末11は、ゲストOS(A)を操作中に、ステータス通知領域(A)とステータス通知領域(B)の両方を表示部11に表示させる。
【0091】
その後、携帯端末11は、表示部11の下方にステータス通知領域(B)を表示させるとともにゲストOS(B)の操作対象領域(B)を表示させている状態、つまりゲストOS(B)を操作中であるとする。この状態で、携帯端末11は、ゲストOS(A)のステータス通知領域(A)の表示要求を受け付けた場合に、ゲストOS(B)の画面上方にゲスト(A)のステータス通知画面(A)を表示させる。つまり、携帯端末11は、ゲストOS(B)を操作中に、ステータス通知領域(A)とステータス通知領域(B)の両方を表示部11に表示させる。このように、携帯端末11は、ゲストOSのステータス通知領域の大きさや位置が異なる場合でも、操作対象のゲストOSやステータス通知領域のゲストOSを切り替えて表示させることができる。
【実施例4】
【0092】
さて、これまで本発明の実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下に異なる実施例を説明する。
【0093】
(表示切替操作)
上述した実施例では、メニューボタン押下などの特定操作を受け付けた場合に、操作対象のゲストOSの画面を表示しつつ、ステータス通知領域については別のゲストOSの画面を表示する例について説明した。その後、携帯端末10は、「ゲストOS切替操作」を受け付けた場合には、操作対象のゲストOSの画面を、ステータス通知領域に情報を表示しているゲストOSの画面に切り替えることもできる。
【0094】
一例を挙げると、携帯端末10は、ゲストOS(A)の操作対象画面(A)とステータス通知画面(A)を表示中に、メニューボタン押下などの特定操作を受け付けた場合に、ステータス通知画面(A)をゲストOS(B)のステータス通知画面(B)に切り替える。つまり、この時点では、携帯端末10は、ゲストOS(A)の操作対象画面(A)とゲストOS(B)のステータス通知画面(B)とを表示部11に表示する。その後、携帯端末10は、メニューボタンのダブルプッシュなどの特定操作を受け付けた場合に、ゲストOS(A)の操作対象画面(A)をゲストOS(B)の操作対象画面(B)に切り替える。つまり、携帯端末10は、ゲストOS(B)の操作対象画面(B)とゲストOS(B)のステータス通知画面(B)とを表示部11に表示させ、表示部11の全画面にゲストOS(B)の情報を表示する。なお、切替を判断する操作例は、あくまで一例であり、これに限定されるものではない。
【0095】
(タッチパネルとの連携)
例えば、携帯端末10の表示部11がタッチパネルである場合には、携帯端末10内にタッチパネルVMを動作させることで、上述した切替操作をタッチパネルで受け付けることもできる。例を挙げると、携帯端末10は、表示部11の画面と表示情報とを対応付けて管理することで、タッチパネル操作を受け付けた場合に、受け付けた位置に基づいて操作内容を特定することができる。このようにすることで、タッチパネルを用いた場合でも、上述した実施例と同様の処理を実行することができる。
【0096】
(表示エリアテーブル)
上述した表示エリアテーブルは、表示部11に対応した座標でパラメータを記憶することもで、DMAを用いた場合のアドレス情報を記憶することもで、ユーザが任意に設定変更することができる。
【0097】
また、表示エリアテーブルに記憶される情報は、ユーザが設定登録することもでき、各ゲストOSが起動したタイミングで生成することもできる。例えば、ゲストOSの追加や削除が実行できない携帯端末10の場合には、固定値を予め登録する。一方で、各ゲストOSが自OSのステータス通知領域を表示制御VM20に通知することで、表示制御VM20が表示エリアテーブルを生成する。
【0098】
画面構成が筐体の向きまたは画面の向きに応じて変更されるような携帯端末に対してこの構成を適用する際には、表示エリアテーブルにおいて、画面の向きを追加することもできる。例えば、表示エリアテーブルは、各ゲストOSごとに、正位置、右90度回転時、左90度回転時などそれぞれの表示構成におけるステータス通知領域の情報を個別に保持する。こうすることで、携帯端末の筐体の動きに合わせて表示構成が変更されても、ステータス通知領域を合成表示することができる。
【0099】
(一覧表示)
また、携帯端末10は、表示エリアテーブルの持つ情報を利用することで、異なる操作を実現することもできる。図14は、複数のステータス通知領域の一覧表示を説明する図である。具体的には、携帯端末10は、各ゲストOSのステータス通知領域をテーブルで記憶する。そして、携帯端末10は、「ステータスを見る操作」をユーザから受け付けた場合、搭載されているすべてのゲストOSのステータス通知領域を同時に閲覧可能となるように表示させることができる。
【0100】
例を挙げると、図14に示すように、携帯端末10は、ゲストOS(A)とゲストOS(B)とゲストOS(C)とを動作させており、例えばメニューボタン+#などの特定操作を受け付けたとする。この場合、携帯端末10は、ステータス通知画面(A)とステータス通知画面(B)とステータス通知画面(C)との一覧を表示部11に表示する。その後、携帯端末10は、ステータス通知画面(B)がユーザによって選択された場合に、ゲストOS(B)の情報を表示部11の全体に表示する。
【0101】
このようにすることで、3つ以上のゲストOSが搭載されている場合でも、少ない操作でステータス通知の概要を確認することができる。さらに、一覧されているステータス通知領域の一つを選択する操作を「操作対象OSを変更する操作」と定義することで、通知の概要確認から、通知の内容確認までを一連の動作として実現することも可能である。
【0102】
(システム)
また、本実施例において説明した各処理のうち、自動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を手動的におこなうこともできる。あるいは、手動的におこなわれるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的におこなうこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、例えば図3、図4等に示した各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0103】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0104】
(プログラム)
ところで、上記の実施例で説明した各種の処理は、あらかじめ用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータシステムで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、上記の実施例と同様の機能を有するプログラムを実行するコンピュータシステムの一例を説明する。
【0105】
図15は、画面表示制御プログラムを実行するコンピュータのハードウェア構成例を示す図である。図15に示すように、コンピュータシステム100は、バス100aに、CPU101、入力装置102、出力装置103、通信インタフェース104、HDD(Hard Disk Drive)105、RAM(Random Access Memory)106が接続される。
【0106】
入力装置102は、マウスやキーボードであり、出力装置103は、ディスプレイなどであり、通信インタフェース104は、NIC(Network Interface Card)などのインタフェースである。HDD105は、画面表示制御プロセス106aとともに、図2の各VMが保持するテーブル等に記憶される情報を記憶する。記録媒体の例としてHDD105を例に挙げたが、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、CD−ROM等の他のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に各種プログラムを格納しておき、コンピュータに読み取らせることとしてもよい。なお、記憶媒体を遠隔地に配置し、コンピュータが、その記憶媒体にアクセスすることでプログラムを取得して利用してもよい。また、その際、取得したプログラムをそのコンピュータ自身の記録媒体に格納して用いてもよい。
【0107】
CPU101は、画面表示制御プログラム105aを読み出してRAM106に展開することで、図2等で説明した各機能を実行する画面表示制御プロセス106aを動作させる。すなわち、画面表示制御プロセス106aは、図2に記載した表示状態管理通知部17b、表示情報生成部18a、表示情報生成部19a、表示エリア決定部20d、表示制御部20e等と同様の機能を実行する。このようにコンピュータシステム100は、プログラムを読み出して実行することでメッセージ切分け方法を実行する情報処理装置として動作する。
【符号の説明】
【0108】
10 携帯端末
11 表示部
12 入力制御部
13a 主記憶部
13b 補助記憶部
14 通話処理部
15 制御部
16 ハイパーバイザ
17 管理VM
17a 表示状態管理テーブル
17b 表示状態管理通知部
18 ゲスト(A)VM
18a 表示情報生成部
19 ゲスト(B)VM
19a 表示情報生成部
20 表示制御VM
20a 表示エリアテーブル
20b、20c フレームバッファ
20d 表示エリア決定部
20e 表示制御部
21 補助記憶VM
22 入力制御VM
22a 操作特定部
23 通話処理VM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想計算機を実行し、
第1の領域に表示する操作を伴わない第1の表示情報を前記仮想計算機から取得し、
第2の領域に表示する操作を伴う第2の表示情報を前記仮想計算機から取得し、
前記第1の表示情報と第2の表示情報とを表示装置へ表示し、
表示を切り換える指示に基づき、前記第1の領域と第2の領域で異なる仮想計算機の表示情報の表示の可否を記録する表示状態管理テーブルを参照し、
表示可能である場合に、前記第2の表示情報を表示装置へ表示している仮想計算機と異なる仮想計算機の前記第1の表示情報を、表示装置へ表示する
処理をコンピュータに実行させる制御プログラム。
【請求項2】
前記表示する処理は、前記表示装置における前記第1の領域を示す第1の矩形情報と前記第2の領域を示す第2の矩形情報とを示す表示パラメータを前記仮想計算機ごとに記憶する表示エリアテーブルを参照して、前記第2の表示情報を表示装置へ表示している仮想計算機と異なる仮想計算機に対応する前記第1の矩形情報を特定し、特定した第1の矩形情報に当該仮想計算機の前記第1の表示情報を表示することを特徴とする請求項1に記載の制御プログラム。
【請求項3】
前記表示する処理は、前記仮想計算機ごとに前記表示装置へ各表示情報を転送する表示パラメータとして転送元アドレス、転送サイズおよび転送先アドレスを記憶する表示エリアテーブルを参照し、前記第2の表示情報を表示装置へ表示している仮想計算機と異なる仮想計算機の前記第1の表示情報を読み出して前記表示装置に転送し、前記第1の表示情報を前記表示装置へ表示することを特徴とする請求項1に記載の制御プログラム。
【請求項4】
前記表示エリアテーブルは、前記表示装置の回転量ごとに前記表示パラメータを記憶し、
前記表示する処理は、前記表示装置が回転した場合には、当該回転量に応じた表示パラメータを前記表示エリアテーブルから参照して、前記第1の表示情報を前記表示装置へ表示することを特徴とする請求項2または3に記載の制御プログラム。
【請求項5】
仮想計算機を実行する実行部と、
第1の領域に表示する操作を伴わない第1の表示情報を前記仮想計算機から取得する第1取得部と、
第2の領域に表示する操作を伴う第2の表示情報を前記仮想計算機から取得する第2取得部と、
前記第1の表示情報と第2の表示情報とを表示装置へ表示させる表示制御部とを有し、
前記表示制御部は、
表示を切り換える指示に基づき、前記第1の領域と第2の領域で異なる仮想計算機の表示情報の表示の可否を記録する表示状態管理テーブルを参照し、
表示可能である場合に、前記第2の表示情報を表示装置へ表示している仮想計算機と異なる仮想計算機の前記第1の表示情報を、表示装置へ表示する
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項6】
仮想計算機を実行し、
第1の領域に表示する操作を伴わない第1の表示情報を前記仮想計算機から取得し、
第2の領域に表示する操作を伴う第2の表示情報を前記仮想計算機から取得し、
前記第1の表示情報と第2の表示情報とを表示装置へ表示し、
表示を切り換える指示に基づき、前記第1の領域と第2の領域で異なる仮想計算機の表示情報の表示の可否を記録する表示状態管理テーブルを参照し、
表示可能である場合に、前記第2の表示情報を表示装置へ表示している仮想計算機と異なる仮想計算機の前記第1の表示情報を、表示装置へ表示する
処理をコンピュータに実行させる仮想計算機の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2012−212253(P2012−212253A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−76755(P2011−76755)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】