説明

制御基板ボックス

【課題】光伝送用部材を制御基板に接触させずに制御基板ボックスに装着することで、静電気、振動、衝撃などの物理的な影響を制御基板が受けないようにできる制御基板ボックス及び光伝送用部材を提供する。
【解決手段】所定装置の制御プログラムを記録した記憶部と、外部と光通信を行うための光通信部とを備えた制御基板を収容する制御基板ボックスであって、制御基板ボックスの筐体には、光通信部と光通信を行うための光伝送用部材が挿入される凹部が形成されており、凹部は、制御基板に接触しないように形成されており、光伝送用部材の凹部に対する着脱方向と、光通信部による光の送受信方向とが同一であり、凹部を形成する面のうち光通信部に対向する面の高さは、制御ボックスの筐体を構成する上面よりも低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御基板が収容される制御基板ボックスに関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ機やスロットマシン等の遊技機は、制御基板を有している。この制御基板には、遊技に係る制御を行うための制御プログラムを記録したROM(Read Only Memory)や、その制御プログラムを基に制御を行うCPU(Central Processing Unit)などが備えられている。そして、制御プログラムに対する不正な内容の書き換えを防止するために、制御基板は、制御基板ボックスに収用されて封印されている。この制御基板ボックスの材質としては、例えば、透明又は半透明のプラスチック樹脂などが使用される。
【0003】
このような制御基板ボックスの一例として、例えば特許文献1に開示されているものがある。特許文献1の発明では、制御基板上に発光素子を備え、また、制御基板ボックスに対して光伝送用部材(特許文献1の図20参照)を着脱可能な構成とすることで、発光素子と光伝送用部材との間で光通信を可能としている。これにより、CPUがROMから読み出したデータは、光通信により制御基板ボックス外のコンピュータ等へ送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−52991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の図18、図19に示されているように、制御基板ボックスには、光伝送用部材が装着される箇所として筒部が設けられている。そして、この筒部に装着される光伝送用部材は、制御基板上に接触する構成となっている。
【0006】
しかしながら、制御基板ボックスに装着される光伝送用部材が制御基板に接触すると、静電気、振動、衝撃などの物理的な影響を制御基板が受けてしまうという問題がある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、光伝送用部材を制御基板に接触させずに制御基板ボックスに装着することで、静電気、振動、衝撃などの物理的な影響を制御基板が受けないようにできる制御基板ボックスを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するために、本発明の制御基板ボックスは、所定装置の制御プログラムを記録した記憶部と、外部と光通信を行うための光通信部とを備えた制御基板を収容する制御基板ボックスであって、制御基板ボックスの筐体には、光通信部と光通信を行うための光伝送用部材が挿入される凹部が形成されており、凹部は、制御基板に接触しないように形成されており、光伝送用部材の凹部に対する着脱方向と、光通信部による光の送受信方向とが同一であり、凹部を形成する面のうち光通信部に対向する面の高さは、制御ボックスの筐体を構成する上面よりも低いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、光伝送用部材を制御基板に接触させずに装着することで、静電気、振動、衝撃などの物理的な影響を制御基板が受けないようにできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態に係る制御基板ボックス及び光ケーブルソケットの構成例(光ケーブルソケットの挿入前)を示す側断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る制御基板ボックス及び光ケーブルソケットの構成例を示す斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る制御基板ボックス及び光ケーブルソケットの構成例(光ケーブルソケットの挿入後)を示す側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態(実施形態)について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態としての、遊技機等に備えられる制御基板ボックス及び光ケーブルソケット(光伝送用部材の一例)の側断面を示す図である。この図1を用いて、本実施形態の構成について説明する。
【0013】
図1に示す本実施形態の制御基板ボックス2は、その内部に制御基板22が収容され封印されるものである。制御基板ボックス2の筐体21は、透明な部材で構成されており、制御基板ボックス2の内部が視認可能となっている。制御基板22は、筐体21の表面を介してのネジ止めにより、制御基板ボックス2の底面に固定されている。制御基板22には、図1には図示していないが、遊技に係る制御を行うための制御プログラムを記録したROM(記憶部)や、その制御プログラムを基に制御を行うCPU(制御部)などが備えられている。また、制御基板22には、光通信を行うための送受光部(光通信部)23が備えられている。送受光部の例としては、LEDやフォトダイオード等が挙げられる。なお、制御基板22の制御基板ボックス2に対する固定方法としては、上述の他に、制御基板ボックス2の内部にてネジで固定する方法や、制御基板ボックス2の内部に設けられた嵌合部等に対して制御基板2を嵌め込んで固定する方法などが挙げられる。
【0014】
図1に示すように、筐体21には、送受光部23の近傍に、光ケーブルソケット1が挿入される凹部24が形成されている。凹部24は、制御基板ボックス2の上面に開口部25が形成されている。そして、凹部24の内部には、制御基板22と平行な位置関係を有する面27と、制御基板22と垂直な位置関係を有する受け部26とが形成されている。この受け部26は、後述する光ケーブルソケット1の光遮蔽部12が挿入される部分である。そして、受け部26は、図1に示すように、制御基板22と接触しない構造となっている。よって、受け部26と制御基板22との間には隙間(空間)が形成されている。凹部24の斜視図を図2(a)に示す(送受光部23の図示は省略)。図2(a)に示すように、凹部24は円柱状に形成されている。なお、凹部24の内部も透明な部材で構成されており、光ケーブルソケット1が挿入されていない状態において、凹部24を介して制御基板ボックス2の内部が視認可能となっている。
【0015】
図1に示す本実施形態の光ケーブルソケット1は、制御基板ボックス2(筐体21)に対して着脱可能なものである。光ケーブルソケット1は、上記凹部24に挿入されることで制御基板ボックス2に装着される。よって、光ケーブルソケット1は、図1に示すように、凹部24に対して挿入可能な形状となっている。すなわち、光ケーブルソケット1には、受け部26に挿入される部分として、受け部26と同形状の光遮蔽部12が形成されている。また、凹部24に挿入されたときに面27と接触する部分として、面27と同じ幅の面13が形成されている。光ケーブルソケット1には光ケーブル11が備えられるが、この光ケーブル11は、図1に示すように、ソケットの内部において面13に達している。光ケーブルソケット1の斜視図を図2(b)に示す。図2(b)に示すように、光ケ
ーブルソケット1は円柱状に形成されている。なお、図1には図示していないが、光ケーブル11は、その一端が、外部のコンピュータ(光通信の相手となる装置)等に接続される。
【0016】
図1において、光ケーブルソケット1を開口部25に合わせて矢印aに示す方向へ差し込むことで、凹部24へ挿入することができる。光ケーブルソケット1が凹部24に挿入された状態を図3に示す。
【0017】
図3に示すように、光ケーブルソケット1が凹部24に挿入されると、光遮蔽部12は受け部26に嵌合し、面13は面27と接触する。このように本実施形態では、制御基板ボックス2に装着された光ケーブルソケット1は、制御基板22に接触することがない。そして、この図3の状態において、光通信によるデータの伝送が可能となる。例えば、CPUによりROMから読み出されたデータは、送受光部23の光照射によって光ケーブルソケット1に伝わり、光ケーブル11によって外部コンピュータへと伝送される。送受光部23による光照射の方向は、光ケーブルソケット1の凹部24に対する着脱方向(図3の矢印b)と同一である。これはデータ送信の例であるが、データの流れを上記と逆にすることで、データ受信も可能である。なお、送受光部23の光照射時においては、光遮蔽部12により光が外部(受け部12で囲まれた空間の外)に漏れることがなく、かつ、外部の光が内部(受け部12で囲まれた空間)に流入することがない。
【0018】
図3において、光ケーブルソケット1を矢印bに示す方向へ抜き出すことで、凹部24から取り外すことができる。
【0019】
上記説明では、凹部24及び光ケーブルソケット1の形状を円柱状として説明したが、これに限定されない。
【0020】
また、図1において、受け部と制御基板との間の隙間(空間)に緩衝部材を備えるようにしてもよい。緩衝部材は、静電気、衝撃、振動を吸収する材質で構成されればよい。
【0021】
以上説明したように、本実施形態によれば、光ケーブルソケットを制御基板に接触させずに制御基板ボックスに装着できる構成にすることで、静電気、振動、衝撃などの物理的な影響を制御基板が受けないようにできる。よって、制御基板のノイズ耐性及び信頼性を高めることが可能となる。
【0022】
また、本実施形態によれば、光ケーブルソケットの着脱方向の位置決めが厳密でなくてもよく、また、特許文献1の図14のように、制御基板に対して垂直に送受光部を設置する必要がないので、簡易な実装が可能となる。
【0023】
また、通常、制御基板上には部品を搭載するため、制御基板ボックスの上面は十分な高さが必要になる。よって、制御基板と制御基板ボックスの上面との間には距離がある。しかし、本実施形態では、図1に示すように、凹部を形成している面のうち送受光部23に対向する面(面27)を、制御基板ボックスの上面よりも低い位置にしている。これにより、光ケーブルソケットは、図3に示すように、凹部に挿入されたときに送受光部との距離が近くなる。よって、本実施形態によれば、光通信の品質を確保(通信エラーレートを低減)できる。
【0024】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の変形が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0025】
本発明は、制御基板を収容する筐体に対して光伝送用のデバイスを装着可能な技術全般に適用できる。
【符号の説明】
【0026】
1 光ケーブルソケット
2 制御基板ボックス
11 光ケーブル
12 光遮蔽部
13 面
21 筐体
22 制御基板
23 送受光部
24 凹部
25 開口部
26 受け部
27 面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定装置の制御プログラムを記録した記憶部と、外部と光通信を行うための光通信部とを備えた制御基板を収容する制御基板ボックスであって、
前記制御基板ボックスの筐体には、前記光通信部と光通信を行うための光伝送用部材が挿入される凹部が形成されており、
前記凹部は、前記制御基板に接触しないように形成されており、
前記光伝送用部材の前記凹部に対する着脱方向と、前記光通信部による光の送受信方向とが同一であり、
前記凹部を形成する面のうち前記光通信部に対向する面の高さは、前記制御ボックスの筐体を構成する上面よりも低いことを特徴とする制御基板ボックス。
【請求項2】
前記光伝送用部材には、前記光通信部からの照射光を遮蔽するための光遮蔽部が設けられており、
前記凹部は、前記光伝送用部材が挿入されたときに、前記光遮蔽部が挿入される受け部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の制御基板ボックス。
【請求項3】
前記受け部と前記制御基板との間の空間に、静電気、衝撃、振動を吸収する材質で構成された緩衝部材を備えることを特徴とする請求項2記載の制御基板ボックス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−65896(P2012−65896A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213975(P2010−213975)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【出願人】(302069930)NECエンベデッドプロダクツ株式会社 (738)
【Fターム(参考)】