説明

制御用通信システム、および制御用通信プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】プログラマブル表示器の画面を示すデータを、インターネットに接続された端末装置ごとに最適な形式に変換して配信する。
【解決手段】ローカル制御システム2は、プログラマブル表示器14がデバイスの内容を取得して表示する際の動作を特定する画面データを公開サーバ装置4へ送信する。公開サーバ装置4の表示ファイル生成部42は、この画面データをクライアント装置5で表示可能なHTMLファイル,XMLファイルに変換した後、HTMLファイル記憶部46,XMLファイル記憶部47にそれぞれ格納する。ここで、表示ファイル生成部42は、アクセスが予測されるクライアント装置5のブラウザごとにジェネレータ42e,42n,42i,…を備えており、各ブラウザに対応したHTML/XMLファイルをそれぞれ生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローカル制御システムのデータを、インターネット等のネットワークを介して接続された端末装置に対して公開することができる制御用通信システム、および制御用通信プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プログラマブル・ロジック・コントローラ(以下、PLCと略称する)は、例えば、ベルトコンベアー式の自動組付機など、種々のターゲットシステムを制御する制御装置として、広く使用されている。さらに、近年では、ターゲットシステムの複雑化にともなって、複数台のPLCを互いに連携させて使用することも行われている。また、各PLCからのデータの表示、あるいは、PLCへの制御指示は、当該PLCの近傍などに配される表示装置で行われるだけではなく、例えば、これらの表示装置から離れた場所に設置した制御用ホストコンピュータでも、表示あるいは操作できるように、制御システムを構築することもある。
【0003】
具体的には、例えば、図13に示すように、従来の制御システム501では、PLC503が制御の中心として位置付けられており、各PLC503には、ターゲットシステム502のデバイス521と、表示および制御指示を行うプログラマブル表示器505とが接続されている。さらに、当該PLC503には、他のPLC503や制御用ホストコンピュータ507がシリアルケーブル504を介して接続されており、PLC503と制御用ホストコンピュータ507との間や各PLC503間における制御データの受け渡しは、PLC503の通信機能を利用して行われている。
【0004】
この構成では、制御用ホストコンピュータ507の表示処理部571は、PLC503と通信して、ターゲットシステム502の状態を示すデータを受け取り、状態に応じて画面表示するとともに、使用者の入力に応じて、PLC503へ制御データを送出し、制御データに応じて、ターゲットシステム502を制御させる。同様に、プログラマブル表示器505は、PLC503と通信しながら、ターゲットシステム502の状態を表示および制御する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記制御システム501は、基本的に閉じたシステムであり、遠隔地から、プログラマブル表示器の画面など、制御システムの状態を見ることができない。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、プログラマブル表示器の画面を示すデータを、インターネット等のネットワークに接続された端末装置で表示可能な形式に変換して、インターネット等のネットワークを介して端末装置に配信できる、特に、端末装置ごとに最適な形式でデータを配信できる制御用通信システム、および制御用通信プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の制御用通信システムは、上記の課題を解決するために、プログラマブル表示器にネットワークを介して端末装置および公開サーバ装置が接続されている制御用通信システムにおいて、上記公開サーバ装置には、上記プログラマブル表示器の画面を描画する第1画面データを、上記端末装置が表示可能な形式の第2画面データに変換する画面データ変換手段が、上記端末装置の仕様ごとに設けられており、さらに、上記端末装置の仕様を判定するブラウザ判定部が設けられていることを特徴としている。
【0008】
上記の構成により、プログラマブル表示器の画面を描画する第1画面データを、端末装置の仕様ごとに、端末装置が表示可能な形式の第2画面データに変換することができる。なお、第1画面データに基づき描画されたプログラマブル表示器の画面と、第2画面データに基づき描画された端末装置の画面とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0009】
よって、上記制御用通信システムは、アクセスが予測される端末装置の仕様ごとに画面データ変換手段を設けることにより、プログラマブル表示器の画面を示す第1画面データを、ネットワークに接続された端末装置ごとに最適な形式の第2画面データに変換して、端末装置にそれぞれ配信することが可能となる。
【0010】
したがって、配信される第2画面データの形式に合わせて端末装置の仕様(例えば、ブラウザ)を選択する必要がない。すなわち、上記制御用通信システムによれば、端末装置に対して求められる機能上の条件が少ないため、端末装置の選択の幅が広がり、制御用通信システムを構築することが容易である。
【0011】
ここで、上記第1画面データは、制御用通信システムに設けられたプログラマブル表示器が表示に必要なデバイスの状態(データ)を取得する動作と、取得した状態に基づいて画面表示する動作とを示すデータであってもよい。さらに、上記第1画面データは、プログラマブル表示器の画面上の領域への表示に対応するデバイスを特定する情報(デバイスのアドレス)と画面上の領域との対応関係を示すタグを組み合わせて構成されていてもよい。
【0012】
また、上記第2画面データは、端末装置からネットワークを介して、上記プログラマブル表示器のデバイスの状態を問い合わせる動作と、応答に基づいてそのデバイスの状態を端末装置の画面領域のうち画面データが示す画面領域に対応する領域へ表示する動作とを示すデータであってもよい。さらに、上記第2画面データは、端末装置の画面上の領域への表示に対応するデバイスを特定する情報(デバイスのアドレス)と画面上の領域との対応関係を示すタグを組み合わせて構成されていてもよい。すなわち、第2画面データは、これに基づいて描画された端末装置の画面を介して、変換元の第1画面データに対応するプログラマブル表示器をネットワークを介して操作可能な形式であってもよい。
【0013】
また、上記の端末装置の仕様とは、端末装置の演算速度、表示可能画素数、表示可能文字数などのハードウェアの仕様、および、端末装置で使用されるブラウザの種別、HTML/XML等の対応バージョンなどのソフトウェアの仕様である。
【0014】
そして、上記制御用通信システムにおいて、例えば、端末装置での表示をHTMLファイル(第2画面データに相当)で行う場合、端末装置で使用しているブラウザに対応して変換されたHTMLファイルを取得して表示することになるため、端末装置に適した表示が得られる。
【0015】
また、本発明の制御用通信プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、上記の課題を解決するために、上記画面データ変換手段および上記ブラウザ判定部を上記公開サーバ装置としてのコンピュータに実現させて、上記制御用通信システムを動作させる制御用通信プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0016】
上記の構成により、上記記録媒体から読み出された制御用通信プログラムによって、上記制御用通信システムをコンピュータネットワーク上に実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の実施の形態について図1から図12に基づいて説明すれば、以下のとおりである。
【0018】
本実施の形態に係る制御用通信システムは、ローカル制御システムの安全性を損なうことなく、制御対象近傍に配されたプログラマブル表示器と同様の画面やデータを、遠隔地から参照し制御可能なシステムである。
【0019】
例えば、図1に示すように、制御用通信システム1は、ターゲットシステム11のデバイス11aを制御する制御装置としてのプログラマブル・ロジック・コントローラ(PLC)12や、処理指示語(タグ)を組み合わせて決定される画面データに基づいて入力および画面表示を制御可能なプログラマブル表示器14などを含むローカル制御システム2と、インターネット(ネットワーク)3を介して、ローカル制御システム2と接続可能で、ローカル制御システム2の状態を示すデータを公開する公開サーバ装置4と、インターネット3を介して公開サーバ装置4と接続可能なクライアント装置(端末装置)5とを備えている。
【0020】
図2に示すように、上記ローカル制御システム2において、各プログラマブル表示器14は、シリアルケーブル13を介して、PLC12と接続でき、多くの場合、ターゲットシステム11の近傍で、ターゲットシステム11のオペレータによって操作される。また、各プログラマブル表示器14は、イーサネット(商標:ゼロックス社)などのローカル・エリア・ネットワークからなるネットワーク15によって、互いに接続されている。さらに、上記ネットワーク15には、制御用ホストコンピュータ16が接続されている。
【0021】
ここで、上記ローカル制御システム2では、ローカル制御システム2内の通信処理に各PLC504が介在する従来の制御システム501(図13)とは異なって、ローカル制御システム2に必須の構成であるプログラマブル表示器14が、通信の大半を処理するように構成されている。そして、各プログラマブル表示器14は、自らに接続されているPLC12の機種に固有の専用プロトコルと、ネットワーク15での共通プロトコルとを変換して、他のプログラマブル表示器14や制御用ホストコンピュータ16と、PLC12との通信を中継する。
【0022】
これにより、プログラマブル表示器14および制御用ホストコンピュータ16は、他のプログラマブル表示器14に接続されているPLC12の機種にかかわらず、ネットワーク15を介して共通のプロトコルで通信できる。この結果、上記制御システム501に比べて、異なる機種のPLC12をローカル制御システム2内に混在させやすくなる。
【0023】
より詳細には、図2に示すように、上記プログラマブル表示器14は、シリアルケーブル13やネットワーク15に接続されるインタフェース(IF)部として、専用プロトコルIF部21および共通プロトコルIF部22を備えており、さらに、両者の通信を中継するプロトコル変換部23と、上記画面データを記憶する画面データメモリ24と、タッチパネルなどの操作入力部25aからのオペレータの操作や通信結果などと画面データとに基づいて表示処理を行う表示処理部25とを備えている。また、他の入力手段として、バーコードリーダ25bやIDセンサ(図示しない)などを備えていてもよい。
【0024】
ここで、上記制御用通信システム1では、上記表示処理部25は複数の単位画面を切り換えて表示することができる。
【0025】
そして、図3に示すように、上記の単位画面は、銘板等のように表示内容を変更しない静止図形Bや、スイッチやランプあるいはメータ等のように、形状や色、点滅状態などの表示状態が変換する部品図形J(J1)を、ベース画面上に配置して形成される。
【0026】
さらに、図4に示すように、上記の単位画面を表示する画面データ(第1画面データ)は、ベース画面のファイル番号Fと、ベース画面上で実行すべき動作内容を特定する事象名Nと、各実行事象ごとに参照される1または複数の参照情報Rとを含むタグWを組み合わせて構成されている。より詳細には、上記タグは、その機能に応じて、以下のようなデータ構造を備えている。
【0027】
図5に示すように、上記タグが表示タグである場合、すなわち、タグWが所定の画面領域(表示座標範囲)に所定のデバイスアドレスAの内容に応じた部品図形Jを表示する表示タグWLである場合、参照情報Rには、表示座標範囲(X・Y)およびデバイスアドレスAが含まれる。加えて、部品図形Jが例えばスイッチの場合、参照情報Rには、ONを示す図形のファイルおよびOFFを示す図形のファイルなど、表示時に参照するファイル番号FLがさらに含まれる。
【0028】
また、図6に示すように、上記タグが入力タグである場合、参照情報Rには、有効入力座標範囲(X・Y)と、入力結果が書き込まれるデバイスアドレスAとが含まれる。
【0029】
一方、上記表示処理部25は、所定の時間間隔で、画面データメモリ24から、ベース画面のファイル番号Fが現在表示中のベース画面である表示タグWLを抽出し、各表示タグWLのデバイスアドレスAの内容を、PLC12のメモリ12aから読み出して、内容に応じた部品図形Jを画面に表示する。
【0030】
例えば、図3において、画面データメモリ24に格納された表示タグWL1は、スイッチの表示を示しており、デバイスアドレスA1の機器に対応している。この表示タグWL1を実行する場合、表示処理部25は、デバイスアドレスA1の内容が“0”なので、スイッチがOFFであると判断し、表示処理部25のメモリ25mに格納されたファイルのうち、OFFに対応付けられたファイルFL1の図形を、表示座標範囲(X・Y)に表示する。これにより、当該座標範囲(X・Y)には、OFF状態のスイッチを示す部品図形J1が表示される。このように、表示処理部25が所定の時間間隔で画面データ内の表示タグを実行することで、プログラマブル表示器14の画面には、デバイス11aの状態が反映される。
【0031】
また、タッチパネル(図示しない)への押し操作など、操作入力部25aがオペレータの入力操作を受け取ると、表示処理部25は、画面データメモリ24の画面データから、現在表示中のベース画面に対応し、当該入力操作にマッチする入力タグWTを検索し、入力結果に応じて、入力タグWTが示すデバイスアドレスAの内容を変更する。
【0032】
例えば、有効入力座標範囲(X・Y)が上記部品図形J1と同じ座標範囲に設定され、同じデバイスアドレスA1の内容を変更する入力タグWT1が画面データ中に含まれている場合、オペレータが表示画面の部品図形J1(図3)を押すと、表示処理部25による検索の結果、入力タグWT1が発見される。この場合、表示処理部25は、例えば、専用プロトコルIF部21や共通プロトコルIF部22へ指示するなどして、入力タグWT1に対応するデバイスアドレスA1の内容を書き換える。さらに、入力操作の後、表示処理部25が表示タグWL1を処理すると、デバイスアドレスA1の内容が“1”に変更されているので、表示処理部25は、図7に示すように、ファイルFL2に対応し、ONを示す部品図形J2を画面上に表示する。この結果、表示処理部25は、入力操作に応じてデバイスアドレスAの内容を書き換えるとともに、デバイスアドレスAの内容に応じて、画面表示を更新できる。
【0033】
なお、デバイスアドレスAは、制御対象となるデバイス11aを特定するアドレスであって、例えば、PLC12のメモリ12aなど、プログラマブル表示器14やPLC12あるいは制御用ホストコンピュータ16などに設けられた記憶装置の一領域を示している。ここで、デバイス11aが操作入力部25aやバーコードリーダ25bなどの入力装置である場合には、これら入力装置から手動で入力されたデータを格納しているメモリに対して、上記デバイスアドレスAが設定されてもよい。そして、後に詳述するように、例えば、専用プロトコルIF部21や共通プロトコルIF部22が、PLC12や他のプログラマブル表示器14と通信することで、各デバイス11aのデバイスアドレスAの内容を取得したり、内容を変更したりできる。なお、デバイスアドレスAの内容の取得および変更は、その都度指示してもよいし、プログラマブル表示器14内にキャッシュを用意し、内容の取得および変更時には、キャッシュへアクセスするとともに、所定の時間間隔ごとや所定のイベントごとに通信してデバイスアドレスAの実体と同期を取ってもよい。
【0034】
一方、図2に示すように、上記制御用ホストコンピュータ16は、ローカル制御システム2全体の監視制御を行う表示処理部31と、ネットワーク15に接続される共通プロトコルIF部32と、共通プロトコルIF部32およびネットワーク15を介して各プログラマブル表示器14と通信して、表示処理部31などの要求に応じるサーバ部33とを備えている。これにより、制御用ホストコンピュータ16は、多くの場合、プログラマブル表示器14よりも離れた場所から、ターゲットシステム11やPLC12あるいはプログラマブル表示器14の状態を表示したり制御できる。
【0035】
また、上記制御用ホストコンピュータ16には、プログラマブル表示器14の画面データを作成する作画処理部34と、作成した画面データを格納する画面データメモリ35とが設けられている。そして、各プログラマブル表示器14の表示および制御の動作を規定する画面データは、作画処理部34で集約して作成(修正)された後、サーバ部33、共通プロトコルIF部32およびネットワーク15を介して、各プログラマブル表示器14へ配布される。
【0036】
ここで、上記画面データは、上述したように、画面上の領域と、当該領域への表示や入力に対応するデバイス11aのデバイスアドレスAとの対応関係を示すタグを組み合わせて構成されている。そして、使用者は、上記作画処理部34を操作することによって、画面上の所望の位置にタグを配置するとともに、各タグとデバイスのアドレスとを対応付けるだけで、画面データを作成できる。そのために、作画処理部34は、例えば、タグのパレットを表示し、パレット中のタグを選択して画面上に所望のタグを配置するように、使用者へ促す。また、作画処理部34は、配置されたタグを指定された座標に表示して、使用者のドラグ・アンド・ドロップなどの操作に応じてタグの座標を調整する。また、作画処理部34は、入力タグや表示タグに関連するデバイスアドレスAを入力するように使用者へ促す。
【0037】
よって、プログラマブル表示器14の表示プログラムを修正する場合に比べて容易に、各プログラマブル表示器14の表示や操作を決定(変更)できる。したがって、ローカル制御システム2の使用者(制御用ホストコンピュータ16の使用者)は、ターゲットシステム11の実情や、プログラマブル表示器14のオペレータの習熟度、あるいは、使用者の好みに合わせて、ユーザインタフェースすなわち画面の表示や操作の方法を最適化することができる。
【0038】
さらに、図1に示すように、上記制御用通信システム1では、ローカル制御システム2に代わって、プログラマブル表示器14の画面と同一の画面をクライアント装置5に表示させる表示ファイルを公開する公開サーバ装置4が設けられている。そのために、上記制御用ホストコンピュータ16には、インターネット3を介して公開サーバ装置4と通信する公開サーバ側通信処理部36が設けられている。なお、ローカル制御システム2と公開サーバ装置4とが暗号通信する場合、公開サーバ側通信処理部36は、あらかじめ定められた暗号鍵や復号鍵を用いて、公開サーバ装置4と暗号通信する。
【0039】
上記公開サーバ側通信処理部36には、インターネット3との接続時に使用されるプロバイダの電話番号や公開サーバ装置4のアドレス等のデータ、公開サーバ装置4へアクセスするためのデータ、公開サーバ装置4におけるアカウント名およびパスワード、公開サーバ装置4で自らを認証するためのデータなどが記憶されている。
【0040】
そして、上記公開サーバ側通信処理部36は、ユーザからの指示があった時点や画面データが変更された時点などの所望のタイミングで、公開サーバ装置4と通信して、画面データメモリ35の画面データを公開サーバ装置4に送信する。また、公開サーバ側通信処理部36は、ローカル制御システム2に配備されているデバイス11aが変更された時点や所定の時間間隔などの所定のタイミングで公開サーバ装置4にアクセスして、公開サーバ装置4でのデータ公開に必要なデバイスアドレスAの内容(デバイスデータ)を公開サーバ装置4に送信する。
【0041】
なお、デバイスアドレスAの内容は、表示処理部31が取得する場合と同様に、サーバ部33を介して取得される。さらに、公開サーバ側通信処理部36は、公開サーバ装置4と通信した結果、クライアント装置5がデバイスデータの変更を指示していた場合、表示処理部31がデバイスアドレスAの内容を変更する場合と同様に、当該指示を中継し、プログラマブル表示器14自体やプログラマブル表示器14に接続されたPLC12など、デバイスアドレスAの実体へ内容の変更指示を伝送できる。
【0042】
一方、図1に示すように、上記公開サーバ装置4は、ローカル制御システム側通信処理部41、表示ファイル生成部(画面データ変換手段)42、表示ファイル記憶部(画面データ記憶手段)43、データメモリ44、公開サーバ部(公開手段)45を備えて構成されている。
【0043】
上記ローカル制御システム側通信処理部41は、インターネット3を介してローカル制御システム2と通信する。
【0044】
上記表示ファイル生成部42は、プログラマブル表示器14用の画面データ(第1画面データ)に基づいて、クライアント装置5で表示を行うための表示ファイル(第2画面データ)としてHTMLファイルおよびXML(extensible mark-up language )ファイルを作成する。
【0045】
上記表示ファイル記憶部43は、クライアント装置5からの要求に応じて送信される上記のHTMLファイルおよびXMLファイル、ならびにアプレットを、それぞれ格納するHTMLファイル記憶部46,XMLファイル記憶部47,アプレット記憶部48を備えている。
【0046】
上記データメモリ44は、ローカル制御システム側通信処理部41がローカル制御システム2から受け取ったデバイスアドレスAの内容(デバイスデータ)を格納する。
【0047】
上記公開サーバ部45は、インターネット3を介するクライアント装置5からの要求に応えて、上記の各記憶部46〜48にアクセスし、HTMLファイル、XMLファイル、アプレットをクライアント装置5へ送信する。また、公開サーバ部45は、当該アプレットを実行するクライアント装置5と通信して、クライアント装置5の画面表示に必要なデバイスデータを送信したり、クライアント装置5からのデバイスデータの変更指示を受け取ったりする。
【0048】
上記公開サーバ装置4は、複数のローカル制御システム2の状態を公開可能である。そのため、上記の各記憶部46〜48には、各ローカル制御システム2のユーザに対して、記憶領域が割り当てられている。そして、ローカル制御システム側通信処理部41は、例えば、アカウント名およびパスワードによって、ローカル制御システム2のユーザを認証・識別して、ローカル制御システム2からの画面データに基づいて生成した表示ファイル(上記のHTMLファイル、XMLファイル)、あるいは、デバイスデータを、各記憶部46,47,44の記憶領域のうち、識別したユーザに割り当てられた領域へ格納する。なお、アプレットは、クライアント装置5の仕様ごとにあらかじめ作成されて、アプレット記憶部48に格納されている。
【0049】
ここで、上記のHTMLファイル、XMLファイル、ならびにアプレットについて説明する。
【0050】
まず、上記XMLファイル記憶部47に格納されるXMLファイルは、プログラマブル表示器14用の画面データに含まれる各単位画面ごとに作成されている。そして、各XMLファイルには、上記単位画面に関連する各タグ(処理指示語)を示すXML要素(エレメント)が含まれている。
【0051】
ここで、図8に、上記XMLファイルの概略を示す。例えば、図5に示した形式で、プログラマブル表示器14用の画面データ内に、ベース画面(単位画面)=1(メイン画面)の表示タグWLが含まれている場合、メイン画面に対応するXMLファイルでは、表示タグWLに対応するTag要素E1が含まれている(図8)。さらに、このTag要素E1には、事象名、表示座標範囲、参照ファイル番号、ならびにデバイスアドレスなどに対応する、TagName要素E11、X要素E12およびY要素E13、LibraryNo要素E14、ならびにBitSymbolName要素E15などが含まれている。そして、図8の例では、各要素E11〜E15の内容(コンテンツ)は、表示タグWLの内容に応じて、“L_0000”,“−232”,“120”,“101”,“010100”に設定されている。
【0052】
また、例えば、図6に示した形式で、プログラマブル表示器14用の画面データ内に、入力タグWTが含まれている場合、メイン画面に対応するXMLファイルでは、入力タグWTに対応するTag要素E2が含まれている(図8)。さらに、このTag要素E2には、事象名、デバイスアドレス、ならびに有効入力範囲などに対応する、TagName要素E21、SymbolName要素E22、ならびにX要素E23、Y要素E24、X2要素E25、Y2要素E26などが、入力タグWTの内容に応じた内容にそれぞれ設定されている。
【0053】
このように、上記表示ファイル生成部42は、例えば、プログラマブル表示器14用の画面データから、ある単位画面の処理指示語(タグWL・WT…)、すなわち、ベース画面のファイル番号が所定の値のタグを順次抜き出し、当該タグに応じたXML要素を生成し、当該XML要素の内容を上記タグに応じて設定することで、当該単位画面のXMLファイルを作成できる。すなわち、表示ファイル生成部42は、上記の各要素E11〜E26などの内容を、表示タグWLや入力タグWTの内容と一致するように設定できる。なお、表示ファイル生成部42は、例えば、プログラマブル表示器14の解像度とクライアント装置5の解像度との相違などに応じた比率で拡大/縮小するなど、表示タグWLや入力タグWTの内容を所定の手順で変換して設定することもできる。
【0054】
つぎに、上記アプレット記憶部48に格納されるアプレットは、上記XMLファイルを参照しながら、プログラマブル表示器14が単位画面の表示や操作を行う際の動作と同等の動作を、クライアント装置5に実行させるプログラムである。
【0055】
具体的には、上記アプレットは、クライアント装置5のバーチャルマシン51が実行可能なJava言語で記述されたバイトコードとして実現されている。すなわち、上記アプレットは、画面データ中に出現可能なタグの種類に対応するメソッドが定義されたクラスと、上記XMLファイルを参照して、タグ種に対応するメソッドを呼び出すメソッドが定義されたクラスとを含んでいる。そして、アプレットを実行するバーチャルマシン51は、XMLファイルを参照し、タグを示すXML要素に基づいて、タグ種に応じたメソッドを呼び出し実行する。
【0056】
例えば、バーチャルマシン51が実行するメソッドのうち、対応するタグ種が表示タグであるメソッドは、所定の時間間隔で呼び出され、特定のデバイスアドレスのデータを公開サーバ部45へ要求するとともに、応答に応じた表示を行う描画メソッドである。また、入力タグに対応するメソッドは、入力イベントが発生したときに呼び出され、入力結果に応じたデータを、特定のデバイスアドレスへ書き込むように、公開サーバ部45へ要求する入力メソッドである。
【0057】
ここで、プログラマブル表示器14の画面の描画を行う画面データでは、各単位画面の切り換え動作も、入力タグとして実現されている。すなわち、画面切り換えの入力タグには、デバイスアドレスAとして、プログラマブル表示器14内の記憶領域のうち、現在表示中の単位画面を示すデータが格納されるシステム領域が関連付けられている。
【0058】
したがって、上記の各入力メソッドのうち、上記特定のシステム領域への変更指示を要求する入力メソッドは、通常の入力メソッドと同様に、公開サーバ部45へ単位画面の変更指示を送信するとともに、変更後の単位画面に応じたXMLファイルを読み込む。これにより、あるプログラマブル表示器14の画面データから生成されたHTML/XMLファイルが、クライアント装置5で実行されている場合、クライアント装置5とプログラマブル表示器14とでは、常時同じ単位画面が表示される。
【0059】
また、上記入力メソッドは、上記特定のシステム領域への変更指示を送信する代わりに、クライアント装置5内に設けられた代替の記憶領域の内容を変更してもよい。この場合、他のメソッドにて、当該システム領域を参照する際は、公開サーバ部45へ問い合わせる代わりに上記代替の記憶領域が参照される。この場合は、クライアント装置5は、プログラマブル表示器14用の単位画面であっても、当該プログラマブル表示器14で現在表示している単位画面とは異なる単位画面を表示できる。
【0060】
さらに、例えば、アプレット実行時のパラメータ設定によって指定したり、あるいは、単位画面の選択操作と連動してメニューを表示して選択させるなどして、プログラマブル表示器14と同じ単位画面を表示するか、異なる単位画面を表示するかを選択できるように、上記各メソッドを作成してもよい。この場合、同じアプレットやXMLファイルを使用しているにもかかわらず、例えば、プログラマブル表示器14のオペレータの操作を監視したい場合などには、前者を選択し、オペレータの操作とは別にローカル制御システム2を監視したい場合などには、後者を選択することができる。
【0061】
また、XMLファイルを参照するメソッドは、例えば、XMLファイルから、タグを示すXML要素を抽出し、当該タグの種類(例えば、当該XML要素中のTagName要素の内容)に対応するクラスのインスタンスを生成し、当該インスタンスのフィールドへ、上記タグのパラメータ(例えば、上記XML要素中の各要素の内容)を設定するなどして、XMLファイルに応じたメソッドをバーチャルマシン51に実行させることができる。
【0062】
つぎに、上記HTMLファイル記憶部46に格納されるHTMLファイルは、プログラマブル表示器14ごとに作成されている。
【0063】
ここで、図9に、上記HTMLファイルの概略を示す。図9の例では、上記HTMLファイルには、“<HTML>”や“<TITLE> ”などのHTML文書として必要な文字列P1が含まれている。また、上記HTMLファイルには、上記アプレットをクライアント装置5のバーチャルマシン51に実行させるための文字列P11が含まれている。この文字列P11には、例えば、クライアント装置5のブラウザ52が当該HTMLファイルを表示する際に最初に表示する単位画面の指定やプログラマブル表示器14の指定など、表示するプログラマブル表示器14の画面データ全体に関連する情報が含まれている。なお、この例では、アプレットを実行する際のパラメータとして指定されており、例えば、最初の単位画面がPARAM要素の属性名“BASESCR ”の属性値(この例では“1" )として指定されている。
【0064】
また、上記HTMLファイルには、アプレットが表示するプログラマブル表示器14を説明する文字や画像を表示するための文字列、あるいは、ローカル制御システム2を説明するハイパーテキスト文書へのリンクを示す文字列など、HTMLの書式に沿った文字列P2が含まれていてもよい。さらに、上記HTMLファイルには、単位画面切り換え用のアプレットを実行させるための文字列P12が含まれていてもよい。
【0065】
つづいて、上記公開サーバ部45は、クライアント装置5から要求があると、例えば、URI(universal resource identifier )などに基づいて、クライアント装置5が要求しているHTMLファイルやXMLファイルあるいはアプレットを判別し、これらをクライアント装置5へ送信する。
【0066】
さらに、公開サーバ部45は、表示ファイルとして配布したHTML/XMLファイルおよびアプレットに基づいて描画するクライアント装置5から、デバイスアドレスAの内容の問い合わせを受け取ると、データメモリ44の記憶領域のうち、表示ファイルに対応するユーザ用の領域で、しかも、デバイスアドレスAに対応する領域の内容を読み出し、上記クライアント装置5に返答する。また、上記クライアント装置5からデバイスアドレスAの内容変更指示を受け取ると、デバイスアドレスAに対応する上記領域の内容を、指示に応じた値に書き換える。
【0067】
ここで、ローカル制御システム2と公開サーバ装置4とは、所定のタイミングで通信しており、データメモリ44の内容は、ローカル制御システム2の指示に応じて更新されるとともに、データメモリ44の変更がローカル制御システム2に通知される。したがって、クライアント装置5は、ローカル制御システム2の現況を表示し、制御できる。
【0068】
一方、クライアント装置5は、上記バーチャルマシン51に加えて、例えば、汎用のブラウザソフトなどにより実現されるブラウザ52を備えており、ブラウザ52は、インターネット3に接続された機器と通信し、受け取ったHTMLファイルで指定されているアプレットをアプレット記憶部48から取得してバーチャルマシン51に実行させることができる。また、ブラウザ52は、例えば、HTTP(hyper text transfer protocol)プロトコルで任意のサーバ装置からHTML文書などの文書を受け取り、閲覧することもできる。
【0069】
ここで、表示ファイルを表示するためのクライアント装置5の仕様、すなわち、クライアント装置5のハードウェアや、ブラウザ52およびバーチャルマシン51を実現するソフトウェアは様々である。例えば、クライアント装置5にもパソコンや携帯型の情報端末(PDA(personal digital assistant)やi−mode(登録商標)携帯電話等)などがあり、使用されるブラウザにもINTERNET EXPLORER (登録商標)やNETSCAPE NAVIGATOR(登録商標)等があり、さらに、それぞれに異なるバージョンがある。ハードウェアが異なれば面積や色数等の表示性能が異なり、ソフトウェアが異なればHTMLやXML等への対応が異なる。そのため、クライアント装置5において適切な表示を行うためには、表示ファイル生成部42は、上記のようなクライアント装置5の仕様に対応した表示ファイルを生成し、クライアント装置5に送信する必要がある。
【0070】
そこで、上記制御用通信システム1では、上記表示ファイル生成部42は、プログラマブル表示器14用の画面データ(第1画面データ)に基づいて、アクセスが予想されるクライアント装置5のハードウェアおよびソフトウェアの仕様に対応した専用の表示ファイル(第2画面データ)を生成するジェネレータ(画面データ変換手段)42e,42n,42i,…を、クライアント装置5の仕様ごと(例えば、ブラウザの種別ごと)に備えている。なお、表示ファイル生成部42にジェネレータを1つ設け、スイッチ等により切り替えて、クライアント装置5の各仕様に対応した表示ファイルを生成してもよい。また、どのようなジェネレータ42e,42n,42i,…を設けるかは、ブラウザ判定部49(後述)の判別能力に対応して決定できる。
【0071】
上記の各ジェネレータ42e,42n,42i,…は、ローカル制御システム側通信処理部41がローカル制御システム2から画面データを受け取ると、自動的にHTML/XMLファイルを生成し、表示ファイル記憶部43(HTMLファイル記憶部46,XMLファイル記憶部47)に設定されている所定のフォルダ43e,43n,43i,…にそれぞれ格納する。あるいは、公開サーバ装置4のユーザが、表示ファイル生成部42にて、表示するクライアント装置5の仕様(例えば、ブラウザソフトの種別)を選択することにより、そのクライアント装置5用のHTML/XMLファイルを生成し、指定したフォルダ43e,…等に格納してもよい。
【0072】
なお、アプレットは、アクセスが予想されるクライアント装置5の仕様ごとにあらかじめ作成され、アプレット記憶部48に設定されている上記フォルダ43e,43n,…にそれぞれ格納されている。また、アプレットは、表示ファイル生成部42で生成してもよいし、その他の場所、例えばローカル制御システム2において生成してもよい。また、HTML/XMLファイルおよびアプレットの各ファイルの格納位置は適宜設定できる。
【0073】
ここで、HTML/XMLファイルは、上記のようにあらかじめ生成・格納しておいてもよいが、クライアント装置5から要求を受けた時点で、ブラウザ判定部49(後述)にて判別されたクライアント装置5の仕様に応じて、生成してもよい。また、一部のHTML/XMLファイルをあらかじめ用意しておき、それ以外は要求された時点で生成してもよい。
【0074】
また、iモード携帯電話等の携帯型の端末のように、プログラマブル表示器14と同等な表示能力を備えていないクライアント装置5もある。この場合、HTMLファイルのみによって、テキストのみを表示したり、その時点での静止画像を表示することができる。例えば、iモード携帯電話は、画面のサイズが小さいので、数値・文字列に限定して表示する。なお、画面データの入力タグは、操作できる表示に適宜変換する。
【0075】
ここで、図1の例において、ジェネレータ42iは、JAVAに対応していないクライアント装置5用の表示ファイルを生成し、フォルダ43iに格納するジェネレータである。そのため、フォルダ43iには、XMLファイルおよびアプレットは格納されない。そして、ジェネレータ42iは、画面データと、データメモリ44が取得したデバイスデータとに基づいて、例えば、テキストと静止画像とを組み合わせた画像を描画するHTMLファイルを生成し、フォルダ43iに格納する。
【0076】
そして、上記公開サーバ部45は、ブラウザ判定部49を備えている。そして、上記公開サーバ部45は、クライアント装置5から要求があると、ブラウザ判定部49によって、クライアント装置5の仕様を判定する。具体的には、ブラウザ判定部49は、例えば、クライアント装置5からのリクエストのヘッダ部に記載されているブラウザ名を検出する。そして、ブラウザごとにあらかじめ生成されている表示ファイルを格納しているフォルダ43e,43n,…から、検出されたブラウザに対応したフォルダを選択する。
【0077】
なお、公開サーバ部45が、クライアント装置5のハードウェアの仕様、すなわち表示可能文字数や色数、あるいはCPUやメモリ等に関する情報をリクエストともに取得できる場合には、クライアント装置5の仕様をより精密に分類して、表示ファイルを生成することができる。これにより、クライアント装置5において、そのハードウェアおよびソフトウェアの仕様により適応した画面を描画することが可能となる。
【0078】
また、上記公開サーバ部45は、URI(universal resource identifier )などに基づいて、クライアント装置5が要求している表示ファイルを判別する。これらの結果に基づいて、公開サーバ部45は、要求された表示ファイル、すなわちHTMLファイル、XMLファイル、アプレットであって、要求したクライアント装置5に対応して生成したファイルを表示ファイル記憶部43から読み出し、CGI(common gateway interface)やBGI(binary gateway interface)などによってクライアント装置5へ送出する。
【0079】
以上のように、上記制御用通信システム1では、ローカル制御システム2は、プログラマブル表示器14がデバイスの内容を取得して表示する際の動作を特定する画面データ(第1画面データ)を公開サーバ装置4へ送信する。そして、公開サーバ装置4の表示ファイル生成部42は、この画面データをクライアント装置5で表示可能なHTMLファイルおよびXMLファイル(第2画面データ)に変換した後、HTMLファイル記憶部46,XMLファイル記憶部47にそれぞれ格納する。ここで、表示ファイル生成部42は、アクセスが予測されるクライアント装置5のブラウザ等の仕様ごとにジェネレータ42e,42n,42i,…を備えており、各仕様に対応したHTML/XMLファイルをそれぞれ生成する。
【0080】
よって、上記制御用通信システム1によれば、プログラマブル表示器14の画面を示す画面データ(第1画面データ)を、インターネット3に接続されたクライアント装置5の仕様ごとに最適な形式の表示ファイル(第2画面データ)に変換して配信することができる。例えば、クライアント装置5で使用するブラウザソフトごとにHTML/XMLファイルを生成することができる。
【0081】
したがって、クライアント装置5のハードウェアおよびソフトウェアの選択の幅が広がり、様々の仕様のクライアント装置5においてもプログラマブル表示器14の画面データを適切に参照することが可能となる。また、クライアント装置5の画面サイズに適応した表示ファイルを生成できるため、プログラマブル表示器14と同等の表示能力を備えていないクライアント装置5においても、それに応じた表示が可能である。
【0082】
つづいて、図12に示したフローチャートを参照しながら、上記制御用通信システム1の動作を説明する。
【0083】
ステップS11では、ローカル制御システム2のユーザが、制御用ホストコンピュータ16の作画処理部34(図2)を操作し、ターゲットシステム11の実情やプログラマブル表示器14のオペレータの習熟度、あるいは、使用者の好みに合わせて、画面データを作成あるいは修正する。作成された画面データは、例えば、シミュレーションや接続試験などによって、正常に動くことが確認された後、ステップS12において、プログラマブル表示器14に配信され、ステップS13において、プログラマブル表示器14が画面データに応じた表示を開始する。
【0084】
つぎに、画面データが更新されると、制御用ホストコンピュータ16(公開サーバ側通信処理部36)は、ステップS14において、公開サーバ装置4にアクセスする。ステップS15において、公開サーバ装置4(ローカル制御システム側通信処理部41)は、例えば、あらかじめ格納されたアカウントおよびパスワードの組み合わせと、受け取った組み合わせとを比較するなどして、ローカル制御システム2、または、そのユーザを認証する。この認証に成功すると、ステップS16において、ローカル制御システム2から公開サーバ装置4へ画面データが送信される。
【0085】
つぎに、ステップS17において、公開サーバ装置4がローカル制御システム2から画面データを受け取ると、表示ファイル生成部42は、画面データに基づいて表示ファイルであるHTMLファイル、あるいはHTMLファイルおよびXMLファイルを生成し、表示ファイル記憶部43のHTMLファイル記憶部46およびXMLファイル記憶部47に格納する。具体的には、表示ファイル生成部42の各ジェネレータ42e,…が、アクセスが予想されるクライアント装置5のブラウザごとにHTML/XMLファイルを生成し、対応するフォルダ43e,…に格納する。
【0086】
つぎに、ステップS18において、インターネット3を介して、クライアント装置5のユーザが、公開サーバ装置4にアクセスして、あるローカル制御システム2のプログラマブル表示器14の画面を表示するように指示すると、ステップS19において、公開サーバ部45は、クライアント装置5から受け取った識別番号およびパスワード等があらかじめ定められたものであるか否かを確認するなどして、上記画面による表示および制御が、当該ユーザあるいはクライアント装置5に許可されているか否かを認証し、許可されていないユーザあるいはクライアント装置からのアクセスを拒否する。
【0087】
つぎに、許可された正規なユーザあるいはクライアント装置5からのアクセスであることが確認されると、ステップS20において、ブラウザ判定部49がリクエストを発信したクライアント装置5のブラウザを判別する。そして、ステップS21において、公開サーバ部45は、上記ステップS17にて生成され、表示ファイル記憶部43に格納されている表示ファイルのうち、クライアント装置5が要求したHTMLファイル、XMLファイル、アプレットを、ブラウザ判定部49が判別したブラウザに対応したフォルダから適宜読み出し、インターネット3を介してクライアント装置5へ送信する。
【0088】
つぎに、ステップS22において、クライアント装置5のブラウザ52は、受け取ったHTMLファイルから、APPLET要素(“<APPLET>”から“ </APPLET>”の部分)を抽出し、バーチャルマシン51に実行させる。これにより、バーチャルマシン51は、アプレットにHTMLファイル中で直接与えられたパラメータ、またはXMLファイルによって与えられたパラメータに基づき、公開サーバ部45と通信して、プログラマブル表示器14と同様の表示および制御を行う。
【0089】
具体的には、バーチャルマシン51では、アプレット中の各表示タグに応じたインスタンスの描画メソッドが、所定の時間間隔で実行される。この結果、バーチャルマシン51は、デバイスアドレスAの内容を公開サーバ装置4へ問い合わせる。
【0090】
これに対して、公開サーバ装置4の公開サーバ部45は、ブラウザ52から、あるローカル制御システム2のプログラマブル表示器14の画面表示の要求を受けると、データメモリ44の記憶領域のうち、要求されたローカル制御システム2に対応する記憶領域から、デバイスアドレスAに基づいて、デバイスデータ(デバイスアドレスAの内容)を読み出して、クライアント装置5に送信する。上記描画メソッドは、要求したデバイスデータがインターネット3を介してクライアント装置5に伝えられると、当該デバイスデータに応じて、クライアント装置5の表示画面のうち、パラメータで設定された表示領域(X・Y)の表示を更新する。
【0091】
ここで、アプレット中の各インスタンスは、デバイスアドレスAの内容が同じ場合、画面データのタグと同じ描画を行うようにあらかじめ作成されている。一方、HTML/XMLファイルにおいて、上記アプレットに与えられるパラメータは、画面データ中の対応するタグと、同じデバイスアドレスAを参照するように、画面データに基づいて生成される。これにより、バーチャルマシン51において、HTML/XMLファイルが指定するパラメータに従って、アプレットが実行されると、クライアント装置5の表示画面には、プログラマブル表示器14と同様、デバイスの状態を示す部品図形J1(J2)が表示される(図3,図7)。
【0092】
また、バーチャルマシン51は、表示ファイルの実行中、例えば、マウス操作などの入力操作が行われると、HTML/XMLファイル中の入力タグに対応するインスタンスのうち、入力操作に応じたインスタンスの入力メソッドを実行する。これにより、バーチャルマシン51は、入力結果に応じたデータを、特定のデバイスアドレスAへ書き込むように、公開サーバ部45へ要求する。そして、公開サーバ部45は、クライアント装置5から書き込み要求を受けると、データメモリ44の記憶領域のうち、要求されたデバイスアドレスAの領域の内容を書き換える。この結果、クライアント装置5の表示画面には、書き込み後、上記描画メソッドが実行された時点で、プログラマブル表示器14と同様に、操作結果が反映される。
【0093】
なお、上記では、制御用通信システム1(図1)を示して、公開サーバ部45により配布されるアプレットが、各単位画面に関連するタグ(処理指示語)を示すXMLファイルに基づいて、表示/制御する場合について説明したが、これに限るものではない。
【0094】
例えば、図11に示すように、HTMLファイルに記載するPARAM要素として、画面データに含まれる全てのタグに対応するインスタンスを生成するとともに、当該インスタンスの各フィールドをタグの内容に合わせて設定した文字列(コード)を記述してもよい。この場合、表示ファイル生成部42は、画面データ中の全タグについて、上記タグの内容を参照し、文字列P11aで示すように、参照結果に基づいて画面表示用のアプレットを呼び出す文字列を生成して、HTMLファイル中に記述する。
【0095】
なお、この場合、表示ファイルとしてはHTMLファイルのみが生成されるため、図10に示すように、制御用通信システム1にはXMLファイル記憶部47(図1)は不要である。よって、表示ファイル記憶部43′には、HTMLファイルおよびアプレットが、クライアント装置5の各仕様に対応したフォルダ43′e,43′n,43′i,…にそれぞれ格納されることになる。
【0096】
そして、アプレットの動作や呼び出し方法にかかわらず、公開サーバ部45によって、プログラマブル表示器14が画面データに基づいてデバイスの状態に応じて表示する動作、および、操作に応じたデバイスの状態変更を指示する際の動作をクライアント装置5へ同様に指示できれば、図1および図10に示した制御用通信システム1はほぼ同様の効果が得られる。
【0097】
ただし、画面データ中の全タグに対応するアプレットやHTMLファイルを一括して送信すると、クライアント装置5が公開サーバ部45にアクセスしてから、クライアント装置5が表示/操作を開始するまでの時間が長くなってしまう。したがって、各単位画面に関する動作を指示するデータを分割して送信する方が好ましい。
【0098】
また、プログラマブル表示器14と同様の問い合わせ・変更指示を公開サーバ部45に送信する動作と、応答に応じて表示させる動作とをクライアント装置5に行わせる表示ファイル(HTML/XMLファイルおよびアプレット)を配信する場合を例にして説明したが、これに限るものではない。
【0099】
例えば、公開サーバ装置4またはローカル制御システム2が、画面データおよびデバイスデータに基づいて、プログラマブル表示器14の画面表示と同一内容で、クライアント装置5が表示可能な形式(ビットマップ形式やJPEG形式など)の画像ファイルを生成し、クライアント装置5へ送信してもよい。この場合、クライアント装置5からデバイスの状態を制御できないものの、プログラマブル表示器14と同等の表示機能を備えないクライアント装置5でもプログラマブル表示器14の画面を表示できる。
【0100】
また、上記制御用通信システム1では、表示ファイル生成部42が公開サーバ装置4に設けられ、画面データから表示ファイルを生成して配信する。したがって、特に、クライアント装置5用の画面を設計しない限り、プログラマブル表示器14の画面とクライアント装置5の画面とを共通に保つことが可能となり、それぞれを別個に作成する場合に比べて、維持管理の手間を削減できる。
【0101】
しかし、これに限定されず、表示ファイルの生成機能(表示ファイル生成部42)は、ローカル制御システム2の制御用ホストコンピュータ16に設けてもよいし、クライアント装置5に設けてもよい。
【0102】
また、上記制御用通信システム1では、表示ファイル記憶部43には、表示ファイル生成部42が画面データを変換して生成した表示ファイルが格納されているが、これに限るものではない。例えば、デバイスデータを統計処理したデータを表示するHTML/XMLファイルなど、デバイスデータに基づいて表示する表示ファイルでもよい。なお、上記表示ファイルは、ローカル制御システム2において作成してもよいし、公開サーバ装置4において作成してもよい。この場合であっても、ローカル制御システム2と公開サーバ装置4とでデバイスデータの同期が取られているので、クライアント装置5は、ローカル制御システム2と直接通信せずにローカル制御システム2の状態を表示できる。また、デバイスデータを送信すればよいので、ローカル制御システム2側の設定を簡略化できる。よって、ローカル制御システム2のユーザに負担をかけることなく、遠隔地のクライアント装置5にて、ローカル制御システム2の状態を安全に表示できる。
【0103】
また、プログラマブル表示器14の画面は、好みや習熟度などにも左右されるため、最適な画面を1つに決めることができず、比較的頻繁に変更されることが多い。この点、上述したように、上記制御用通信システム1では、ローカル制御システム2(制御用ホストコンピュータ16)のユーザが、画面データをタグの組み合わせで生成できるので、これらの要求に柔軟に対応でき、最適な状態を保ち続けることができる。また、制御用ホストコンピュータ16で一括して管理できるため、多くの場所で並行して管理する場合に比べて、画面データを容易に管理できる。
【0104】
最後に、上記の各部材21〜25、31〜36、41〜49、43′、および51,52は、CPUなどの演算手段が、ROMやRAMなどの記憶手段に格納されたプログラムを実行し、タッチパネルや液晶表示装置などの入出力手段、あるいは、インタフェース回路などの通信回路を制御することによって実現される機能ブロックである。
【0105】
したがって、これらの手段を有するコンピュータが、上記プログラムを記録した記録媒体(例えば、CD−ROMなど)を読み取り、当該プログラムを実行するだけで、上記制御用通信システム1のプログラマブル表示器14、制御用ホストコンピュータ16、公開サーバ装置4およびクライアント装置5を実現できる。特に、クライアント装置5のバーチャルマシン51およびブラウザ52は、多くのコンピュータにあらかじめインストールされている汎用のブラウザソフトで実現できるため、これらのコンピュータは、特別なプログラムをインストールすることなく、クライアント装置5として動作できる。なお、例えば、シリアルケーブル13やネットワーク15、インターネット3、あるいは、他の通信路を介してプログラムをダウンロードするためのプログラムが、上記コンピュータにあらかじめインストールされていれば、これらの通信路を介して、上記コンピュータへ上記プログラムを配付することもできる。
【0106】
〔発明の効果〕
本発明の制御用通信システムは、以上のように、プログラマブル表示器にネットワークを介して端末装置が接続されている制御用通信システムにおいて、上記プログラマブル表示器の画面を描画する第1画面データを、上記端末装置が表示可能な形式の第2画面データに変換する画面データ変換手段が、上記端末装置の仕様ごとに設けられている構成である。
【0107】
それゆえ、プログラマブル表示器の画面を描画する第1画面データを、端末装置の仕様ごとに、端末装置が表示可能な形式の第2画面データに変換することができる。
【0108】
よって、上記制御用通信システムは、アクセスが予測される端末装置の仕様ごとに画面データ変換手段を設けることにより、プログラマブル表示器の画面を示す第1画面データを、ネットワークに接続された端末装置ごとに最適な形式の第2画面データに変換して、端末装置にそれぞれ配信することが可能となるという効果を奏する。
【0109】
したがって、配信される第2画面データの形式に合わせて端末装置の仕様(例えば、ブラウザ)を選択する必要がないという効果を奏する。すなわち、上記制御用通信システムによれば、端末装置に対して求められる機能上の条件が少ないため、端末装置の選択の幅が広がり、制御用通信システムを構築することが容易であるという効果を奏する。
【0110】
また、本発明の制御用通信プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は、以上のように、上記画面データ変換手段をコンピュータに実現させて、上記制御用通信システムを動作させる制御用通信プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体である。
【0111】
それゆえ、上記記録媒体から読み出された制御用通信プログラムによって、上記制御用通信システムをコンピュータネットワーク上に実現することができる。したがって、上記した制御用通信システムの効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の一実施の形態に係る制御用通信システムの構成の概略を示すブロック図である。
【図2】図1に示した制御用通信システムにおいて、ローカル制御システムの要部構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示した制御用通信システムにおけるプログラマブル表示装置の画面データと表示画面との関係を示すものであり、スイッチがOFF状態のときを示す説明図である。
【図4】図3に示した画面データに含まれるタグのデータ構造を示す説明図である。
【図5】図3に示した画面データに含まれるタグのうち、表示タグのデータ構造を示す説明図である。
【図6】図3に示した画面データに含まれるタグのうち、入力タグのデータ構造を示す説明図である。
【図7】図1に示した制御用通信システムにおけるプログラマブル表示装置の画面データと表示画面との関係を示すものであり、スイッチがON状態のときを示す説明図である。
【図8】図1に示した制御用通信システムにおいて、公開サーバ装置からクライアント装置へ配信されるXMLファイルの例を示す説明図である。
【図9】図1に示した制御用通信システムにおいて、公開サーバ装置からクライアント装置へ配信されるHTMLファイルの例を示す説明図である。
【図10】図1に示した制御用通信システムの変形例を示すものであり、構成の概略を示すブロック図である。
【図11】図10に示した制御用通信システムにおいて、公開サーバ装置からクライアント装置へ配信されるHTMLファイルの例を示す説明図である。
【図12】図1および図10に示した制御用通信システムの動作を示すフローチャートである。
【図13】従来技術を示すものであり、制御システムの要部構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0113】
1 制御用通信システム
3 インターネット(ネットワーク)
5 クライアント装置(端末装置)
14 プログラマブル表示器
15 ネットワーク
42e,42n,42i ジェネレータ(画面データ変換手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プログラマブル表示器にネットワークを介して端末装置および公開サーバ装置が接続されている制御用通信システムにおいて、
上記公開サーバ装置には、上記プログラマブル表示器の画面を描画する第1画面データを、上記端末装置が表示可能な形式の第2画面データに変換する画面データ変換手段が、上記端末装置の仕様ごとに設けられており、
さらに、上記端末装置の仕様を判定するブラウザ判定部が設けられており、
上記公開サーバ装置は、上記端末装置から、上記プログラマブル表示器の画面上の領域への表示に対応するデバイスを特定するデバイスアドレスのデバイスデータの変更指示を受信すると、該デバイスデータの変更指示を上記プログラマブル表示器に通知することを特徴とする制御用通信システム。
【請求項2】
請求項1に記載の制御用通信システムを動作させる制御用通信プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、上記画面データ変換手段および上記ブラウザ判定部を上記公開サーバ装置としてのコンピュータに実現させるための制御用通信プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−210394(P2008−210394A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−67751(P2008−67751)
【出願日】平成20年3月17日(2008.3.17)
【分割の表示】特願2000−277249(P2000−277249)の分割
【原出願日】平成12年9月12日(2000.9.12)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
2.iモード
【出願人】(000134109)株式会社デジタル (224)
【Fターム(参考)】