説明

制御装置と精密測定組立体の間の通信方法と、両者を互いに接続する共通制御バス

【課題】座標測定器等の精密測定ツールをCPUにより制御する場合、多数の制御信号、測定信号を伝送するため大量の接続ケーブルを必要とし、これらの重量により精密測定ツールの測定精度に重大な影響を与る。この問題を解決するため、接続ケーブル数を軽減する方法を提供する。
【解決手段】共通バスまたは共有バスを用いることにより、ホストCPUおよび/または制御装置52と精密測定組立体40を互いに接続しているワイヤーの数と重量が減る。このバスは、全体を電線にしてもよいし、EMIを受けにくくするため一部に光ファイバーが含まれるようにしてもよい。カスタム式バスまたは公知のシリアル・ネットワーク・バス(例えばCANやSIRCOS)を使用することもできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の背景
1.技術分野
本発明は、精密測定ツールに関するものであり、より詳細には、ホストCPUと精密測定組立体の間の共有制御バスに関する。
【背景技術】
【0002】
2.関連技術に関する考察
精密測定ツールとしては、座標測定器(CMM)、精密測定器具などが挙げられる。CMMは、作業台や手動の関節式アームCMMから、高速DCC走査機械、ガントリー、作業場測定ロボットや、度量衡ソフトウエアとプローブとサポート・ネットワーク付きのアクセサリーとを備えた水平アームCMMまでの多岐にわたっている。
【0003】
例えば図1は、鉛直CMMの形態をした従来技術による精密測定組立体を示している。この組立体は、プラットフォーム12と、このプラットフォーム12に取り付けられた第1の可動部分14を備えている。図示した鉛直CMMの場合、第1の可動部分14は、プラットフォーム12をまたぐブリッジの形態になっている。水平CMMなどの別の構成では、第1の可動部分は一般に別の形態であり、例えば単なる鉛直な柱になる。いずれにせよ、図示した鉛直CMMの場合、アクチュエータがプラットフォーム12またはブリッジ14のいずれかに取り付けられていて、そのブリッジ14がプラットフォームに対して1つの軸方向(例えばプラットフォーム12の縁部の1つに平行な軸方向15)に沿って移動できるようになっている。ブリッジ14は、一般に、1つ以上の他の可動部分も備えることができる。それは例えば第2の可動部分すなわちキャリッジ16であり、キャリッジ16そのものに取り付けられたアクチュエータによって、あるいはブリッジ14に取り付けられた対応するアクチュエータによって作動する。キャリッジ16は、1つの軸方向(例えば軸方向15に垂直な軸方向17)に沿って移動することができる。これらキャリッジ16の1つは、その上に取り付けられていて、プラットフォーム上に位置する物体の表面に沿って移動するプローブ18を備えることになる。プローブの軸方向19は軸方向15と軸方向17の両方に対して垂直にすることができ、キャリッジ16は、対応するアクチュエータによってこの軸方向19に沿って移動することができる。プローブを、あらかじめ決めた経路に沿って、測定する物体の表面に対して運動させるため、さまざまなアクチュエータが、少なくとも1つのキャリッジ16とブリッジ14とに制御された運動を行なわせる。キャリッジ16、ブリッジ14、プラットフォーム12には多数の位置センサーが取り付けられていて、プラットフォームに対するブリッジの位置、ブリッジに対するキャリッジの位置を検知するとともに、その検知結果を示す信号を出している。同様に、プローブ18には位置センサーが取り付けられていて、この位置センサーが、例えばプローブまたはキャリアの軸方向19に沿った方向に関し、プローブ18の先端がキャリッジ16に対してどのような位置にあるかを示す信号を出す。
【0004】
プローブの位置を、測定する物体の表面地図へと変換するにあたっては、さまざまな座標変換を実行することができる。物体の表面については、もちろん、ディスプレイ24とユーザー入力装置26(例えばキーボードおよび/またはマウス)とを備えるホストCPU22に記憶されたCADプログラムなどによってあらかじめかなりのことがわかっている。ユーザーは、ソフトウエアであるインターフェイス・プログラムを用いることにより、測定する物体に関してすでに存在しているCAD表現を利用し、あらかじめ決めておく経路を作り出す。プローブ20は、この経路に沿って移動させることになる。目的は、物体の表面を高精度で測定することである。このようなホストCPUは、精密測定組立体に対して直接に、あるいは制御装置28を介して接続することができる。制御装置28には、リレーと、電源と、ホストCPUの中には通常存在しておらず、精密測定組立体10とは独立になっているほうが好ましい他のハードウエアとが含まれている。このような制御装置は、RS232インターフェイス32、および/またはイーサネット(登録商標)接続34を含む1組以上の対撚り線、および/または参照番号30で代表させた一般的な任意の接続手段を用い、ホストCPU22に接続することができる。制御装置を精密測定組立体10とは独立にすることの欠点の1つは、制御装置を精密測定組立体10に接続するのに多数のワイヤー36を使用しなければならないことである。中でも制御装置をブリッジまたはそれと等価な他の第1の可動部分と接続するのに多数のワイヤーが必要とされる。典型例では、精密測定組立体に多数の温度センサーを取り付け、それらを図示したように20本ものワイヤーで制御装置28に接続する必要があろう。同様に、他のタイプの装置(例えば複数のモータ、サーボ、エンコーダ、プローブ、スイッチ)を精密測定組立体に取り付け、ワイヤーを用いてそれらを制御装置28に電気的に接続する必要があろう。また、制御装置28の内部にある電源は、精密測定組立体10にとって非常に大きな負担となる可能性のある余分なワイヤーに電力を供給せねばならない。これらのワイヤーを合計するとかなりの数になる。図示した具体例では、ワイヤーが合計で113本必要とされる。これらのワイヤーは重く、エネルギー・トラックと呼ばれる可撓性のある管の中に収容せねばならない。このエネルギー・トラックは、ブリッジ14がプラットフォーム12に対して移動したときにワイヤーをスムーズに繰り出したり巻き取ったりするように設計されている。このエネルギー・トラックは、通常はプラットフォーム12の一方の側にあって、第1の可動部分14(ここではブリッジ14)の一端に位置している。
【0005】
ワイヤーが多数あることにより、ケーブルを引きずるという重大な問題が発生する。というのも、このようにひきずることによってブリッジ内でワイヤーがほんのわずかでも捩じれると理想系の数学モデルからずれるため、測定が非常に不正確になるからである。また、制御装置28そのものは、現在のところ、一般に非常に旧式のバス・アーキテクチャ(ISA)に従って設計されているため、制御装置そのものを新しくすることが望ましい。別の問題点は、サーボの性能が限られていることである。そのため改良することが望ましい。
【0006】
発明の開示
本発明の1つの目的は、制御装置またはホストCPUと精密測定組立体とをつなぐエネルギー・トラック内でケーブルがひきずられるのを減らすことである。
【0007】
本発明の別の目的は、サーボの性能を向上させることと、新しいバス・アーキテクチャを提供することである。
【0008】
本発明の第1の特徴によると、(1)固定プラットフォームと、このプラットフォーム上に位置する物体の表面に沿ってプローブを移動させるための第1の可動部分とを備える精密測定ツールと、(2)上記プラットフォームと上記第1の可動部分とに取り付けられていて、それぞれが位置検知信号を発生させる複数の位置センサーと、(3)信号線束によって上記精密測定ツールに物理的に接続された制御装置とを備え、上記プラットフォームまたは上記第1の可動部分にはこの第1の可動部分を移動させるための1つのアクチュエータが取り付けられており、上記プローブを移動させるための上記第1の可動部分には複数のアクチュエータが取り付けられており、上記表面上でのプローブの位置は、上記各位置センサーからの信号が総合されることによって表わされ、上記信号線束は、上記制御装置からのアクチュエータ制御信号をアクチュエータに伝えるとともに、上記位置センサーからの位置検知信号をこの制御装置に伝えるように構成されている装置において、上記信号線束が、位置検知信号とアクチュエータ制御信号によって共有される共通バスを備える装置が提供される。
【0009】
本発明の第2の特徴によると、制御信号とデータ信号を、制御装置と、測定組立体のプラットフォーム部に取り付けられた物体の表面と物理的に接触しながらこの物体の表面に沿って移動することがこの測定組立体の一部分によって可能にされているプローブとの間でやり取りするのに利用される方法は、(1)上記制御装置と、上記部分に取り付けられたモジュールを含む複数のモジュールとを相互に接続する共通制御バスを利用して上記制御信号と上記データ信号を伝送するステップを含んでおり、このステップの操作を、(2)上記制御装置からコマンド信号を上記共通制御バスに送信して、複数のアクチュエータ・モジュールが、このコマンド信号に従い、上記部分と上記プローブを複数の軸方向に移動させるための対応するアクチュエータを作動させるようにすることにより、上記プローブを、上記表面と連続的に接触しながらこの表面上の経路に沿って移動させ、上記物体の上記表面上の上記経路に沿って選択した複数の点で上記表面に接触している上記プローブについてのデータ信号をプローブ・モジュールに送るステップと、(3)複数の位置センサー・モジュールから、上記プローブが運動する上記複数の軸方向のそれぞれにおいて上記プローブが接触する上記点の位置を表わす、対応する複数の位置検知信号を発生させるステップと、(4)上記プローブ・モジュールからの上記データ信号と上記位置センサー・モジュールからの上記位置検知信号を上記共通制御バスに伝送し、これら信号を上記制御装置に記憶させて利用させるステップとによって行なう。
【0010】
本発明の第3の特徴によると、装置は、(1)表面の測定を行なう物体を支持するプラットフォームと、(2)上記物体の表面上の経路に沿って複数の軸方向に移動し、上記表面と物理的に接触していることと、上記経路に沿った点が上記プローブの1つの軸方向に関してどこに位置するかとを表わす検知信号を発生させるプローブと、(3)上記プラットフォーム上にあって、上記プローブを、上記経路に沿った上記複数の軸方向のうちの少なくとも1つの軸方向に沿って移動させる第1の可動部分と、(4)上記検知信号に応答し、この検知信号をあらかじめ選択したプロトコルに従って共有バスに送るプローブ・モジュールと、(5)上記プロトコルに従って上記共有バスに送られるそれぞれのプローブ・アクチュエータ制御信号に応答して上記第1の可動部分に取り付けられた上記プローブを上記経路に沿って移動させるため、上記第1の可動部分に取り付けられたプローブ用アクチュエータをそれぞれが1つ備えている複数のアクチュエータ・モジュールと、(6)第1の可動部分用アクチュエータ信号に応答し、上記プラットフォーム上で上記第1の可動部分を、上記経路に沿った上記複数の軸方向のうちの少なくとも1つの軸方向に沿って上記のように移動させる少なくとも1つの第1の可動部分用アクチュエータと、(7)上記プローブが上記経路に沿って移動している間にこのプローブが接触する点の位置を示す検知信号を上記プロトコルに従って上記共有バスに送るため、それぞれが1つの位置センサーに接続された複数の位置センサー・モジュールと、(8)記憶されているプログラムを実行して上記各プローブ・アクチュエータ制御信号と上記ブリッジ・アクチュエータ信号を発生させ、上記共有バス上の上記検知信号に応答して、あらかじめ選択した上記プロトコルに従って上記検知信号を記憶するとともに上記表面の形状地図を表示する制御装置とを備えている。
【0011】
さらに本発明の第1、第2、第3の特徴によると、位置検知信号は、対応する1つ以上のアクチュエータ制御信号との比較を行なうため、上記バスに供給される。
【0012】
さらに本発明の第1、第2、第3の特徴によると、共有バスは、送信線と受信線を備えている。送信線と受信線の接続は、少なくとも一部が光ファイバーによってなされる。
【0013】
さらに本発明の第1、第2、第3の特徴によると、共有バスは、同期線をさらに備えている。
【0014】
好ましいことに、ケーブル数の劇的な減少が達成されるとともに、測定性能が向上する。光ファイバー、分散型/モジュラー式制御、ディジタル信号処理などの従来からある考え方を利用する結果、サービス・コストが低下する。本発明は、この明細書に記載したのとは別のタイプの機械にも応用できる可能性がある。
【0015】
本発明のこれらの目的、特徴、利点ならびにそれ以外の目的、特徴、利点は、添付の図面に示した最良の実施態様に関する以下の詳細な説明からより明らかになろう。
【0016】
本発明を実施するための最良の態様
ここで図2を参照すると、プラットフォーム42と、第1の可動部分44(ここではブリッジ44)と、1つ以上のキャリッジ46と、プローブ48とを備える精密測定組立体40が示してある。図示されていないが、精密測定組立体40の表面または内部には、さまざまなモジュールが取り付けられている。モジュールとしては、例えば、1つ以上あるアクチュエータ・モータのそれぞれに接続される3つのモーター・モジュール、1つ以上あるエンコーダのそれぞれに接続される3つのエンコーダ・モジュール、プローブ48に接続されるプローブ・モジュール、1つ以上あるリミット・スイッチに接続されるリミット・スイッチ・モジュール、1つ以上ある温度プローブに接続される温度モジュールが挙げられる。これらのモジュールを互いに接続するには、既知の、またはカスタム式のシリアル・ネットワーク・バスなどの標準的なバス(例えば図示したCAN(コントローラ・エリア・ネットワーク)バス)、または標準的でないバスを用いることができる。CANは、ISO11898に従うマルチマスター能力を有する公知のシリアル・バス・システムである。共有バスまたは共通バスを用いると、精密測定組立体40とホストCPU52の間を、必要な信号線の数を大きく減らして接続することができる。電源54から精密測定組立体40に電力を供給する電力線(例えば線56で示した合計で4本の電力線)は従前通り残ることになるが、図1のワイヤー束36で必要とされた100本を超えるワイヤーは減り、例えばたった3本の信号線58だけになる。その3本の信号線58は、電線にすることもできるし、図示したような光ファイバーにすることもできる。信号線50は、図示したようにホストCPUと電源の両方に接続することもできるし、ホストCPUだけに接続することもできる。光ファイバーを用いる場合には、図2には示していない光から電気へのインターフェイスと、電気から光へのインターフェイスとが当然存在することになる。このようにして、信号線によるエネルギー・トラックの重量を大いに減少させ、したがってブリッジがプラットフォームに対して移動するときにエネルギー・トラック内でワイヤーが巻き戻されたり繰り出されたりするときの重量分布の変化によって起こるあらゆる捩じれを減らすことで、精密測定そのものの精度を向上させることができる。
【0017】
ここで図3を参照すると、図2のホストCPUとモジュールの1つに関する詳細と、共有バス(ここでは電線部分と光ファイバー部分)が示してある。図2に関連して説明したように、精密測定組立体40は、複数のモジュール60, ..., 62を備えている。各モジュールは、例えば、少なくとも1つの装置64, ..., 66に接続されている。装置は、モーター、サーボ、エンコーダ、プローブ、リミット・スイッチ、温度プローブのいずれかにすることができる。この装置は、それがどのような性質のものであろうと、バス制御装置(B.C.:例えば図3のモジュール60の中に示したバス制御装置68)に接続することができる。バス制御装置68と装置64が1本の接続線70によって接続されている様子が示してあるが、このような接続線は、1つの装置または複数の装置への複数の線を含んでいてもよく、一方向性でも二方向性でもよい。バス制御装置は、同期バス74(ここでは独立した同期バス)からの線72上に存在する同期信号に応答する。ここでは同期バスが独立にされている。というのも、システムの同期とタイミングが重要だからである。しかし同期信号は、送信用および/または受信用の共有信号線上で時間多重化できることに注意されたい。これについて以下に説明する。
【0018】
CANプロトコルなどのある種の共有バスまたは共通バスのプロトコルにおいて知られているように、データを送信したときには、どのステーションに向けられることもなく、その代わりにメッセージの内容が、ネットワーク内を通じてたった1つだけの指示によって同定される。この指示は、内容だけでなく、競合するステーション間にバスを割り当てる上で重要なメッセージの優先度も判定する。図3に示した各モジュール60, ..., 62の内部にあるそれぞれのバス制御装置は、共通受信バス(RX)に接続された受信ポートと、共通送信バス(TX)に接続された送信ポートを備えている。共通または共有のこれら受信バス76と送信バス78は、精密測定組立体40のあらゆるモジュール60, ..., 62に共有されるとともに、ホストCPU22にも共有されている。
【0019】
本発明によれば、各モジュールの内部には一般に内部接続用のワイヤー70、72、74、76、78を用いた電気的内部接続線が存在している一方で、モジュールは、図示したように、そのような電気信号を光信号に変換する電気から光への変換器80、82、84と、受信した光信号を電気信号に変換する光から電気への変換器86、88、90を備えている。同様に、ホストCPU22は、同様のことを目的とした変換器として、例えば光から電気への変換器92、94と、電気から光への変換器96を備えている。このようにして、共通電気バスは、その長さの大部分に存在する光ファイバー群を利用した線に共有させることができるため、電磁障害(EMI)に対する全体的感度を低下させることが可能になる。これは、エネルギー・トラック98においてと、モジュール60, ..., 62間の相互接続において、特に有効である。このようにして、信号線束の重量とサイズが小さくなるだけでなく、EMIに対するシステムの全体的感度も低下する。
【0020】
ここで図2と図3の両方を参照すると、装置64, ..., 66としては、上記のモーターと、エンコーダと、プローブと、リミット・スイッチと、温度プローブと、サーボなどが挙げられること、また装置64, ..., 66が図3に示したさまざまなモジュール60, ..., 62に接続されていることがわかる。このような装置としては、プラットフォームとブリッジに取り付けられた複数の位置センサーも挙げることができよう。それぞれの位置センサーは位置検知信号を発生させ、これらの位置検知信号が総合されて、測定する表面上におけるプローブ48の位置を表わす。これらの位置検知信号が送信線78に送られるとホストCPU22に到達し、そこで処理される。ホストCPUが送信線78にアクチュエータ制御信号を送るとさまざまなモジュールに到達する。各モジュールでは、その信号を解釈し、そのモジュールに取り付けられたアクチュエータに関係しているかどうかを、例えばCANバス・システムが利用しているプロトコルに従って判定する。このプロトコルは、これらモジュールだけでなくセンサーやアクチュエータもネットワーク化するのに適したものである。その結果、ホストCPUと複数のモジュールを接続している共通制御バスは、制御信号とデータ信号の伝送に使用され、図示したように、ブリッジをプラットフォームに対して移動させるアクチュエータと、キャリッジ46をブリッジ44に対して移動させるアクチュエータを作動させるとともに、対応する複数の位置センサーから送られてくる位置検知信号を受信する。プローブ48は複数の軸方向に沿って移動するわけだが、このプローブがそれぞれの軸方向に沿って接触する点の位置が、これら位置検知信号を総合したものによって表わされる。検知されたこれらデータ信号は、対応する1つまたは複数のモジュールから共通バスを介してホストCPUに送られ、測定している物体の表面の形状地図を最終的に表わす記録となる。
【0021】
鉛直座標測定器(CMM)に関して上に説明した本発明を実施するための上記の原理は、他のタイプのCMM(例えば、既知のガントリーCMM、作業場の薄壁用CMM、作業場の角柱用CMMなど)のほか、同じ問題を有する他の精密測定器具または精密測定ツールにも適用可能である。
【0022】
本発明の最良の実施態様を示し、それについて説明してきたが、当業者であれば、本発明の精神と範囲を逸脱することなく、形態および詳細に関して上記のものとは異なるさまざまな変更、削除、追加が可能であることが理解できよう。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】多数のワイヤーで互いに接続された制御装置とホストCPUによって制御される従来の精密測定組立体である。
【図2】本発明の原理に基づく共通バスまたは共有バスを用いてホストCPUに接続された精密測定組立体である。
【図3】本発明に従い光ファイバーによって精密測定組立体に接続された図2のホストCPUの大まかなブロック・ダイヤグラムに加え、モジュールの1つに関する詳細を示した図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定プラットフォームと、このプラットフォーム上に位置する物体の表面に沿ってプローブを移動させるための可動部分とを備える精密測定ツールと、
上記プラットフォームと上記可動部分とに取り付けられていて、それぞれが位置検知信号を発生させる複数の位置センサーと、
信号線束によって上記精密測定ツールに物理的に接続された制御装置とを備え、
上記プラットフォームまたは上記可動部分にはこの可動部分を移動させるための1つのアクチュエータが取り付けられており、上記プローブを移動させるための上記ブリッジには複数のアクチュエータが取り付けられており、上記表面上でのプローブの位置は、上記各位置センサーからの信号が総合されることによって表わされ、上記信号線束は、上記制御装置からのアクチュエータ制御信号をアクチュエータに伝えるとともに、上記位置センサーからの位置検知信号をこの制御装置に伝えるように構成されている装置において、
上記信号線束が、位置検知信号とアクチュエータ制御信号によって共有される共通バスを備える装置。
【請求項2】
アクチュエータ制御信号と位置検知信号を伝送する上記信号線束が光ファイバーを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記共通バスが送信線と受信線を備える、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
上記共通バスが同期線をさらに備える、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
送信線と受信線と同期線を備える上記信号線束が光ファイバー線である、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
制御信号とデータ信号を、制御装置と、測定組立体のプラットフォーム部に取り付けられた物体の表面と物理的に接触しながらこの物体の表面に沿って移動することがこの測定組立体の一部分によって可能にされているプローブとの間でやり取りするのに利用される方法であって、
上記制御装置と、上記部分に取り付けられたモジュールを含む複数のモジュールとを相互に接続する共通制御バスを利用して上記制御信号と上記データ信号を伝送するステップを含み、このステップの操作を、
上記制御装置からコマンド信号を上記共通制御バスに送信して、複数のアクチュエータ・モジュールが、このコマンド信号に従い、上記部分と上記プローブを複数の軸方向に移動させるための対応するアクチュエータを作動させるようにすることにより、上記プローブを、上記表面と連続的に接触しながらこの表面上の経路に沿って移動させ、上記物体の上記表面上の上記経路に沿って選択した複数の点で上記表面に接触している上記プローブについてのデータ信号をプローブ・モジュールに送るステップと、
複数の位置センサー・モジュールから、上記プローブが運動する上記複数の軸方向のそれぞれにおいて上記プローブが接触する上記点の位置を表わす、対応する複数の位置検知信号を発生させるステップと、
上記プローブ・モジュールからの上記データ信号と上記位置センサー・モジュールからの上記位置検知信号を上記共通制御バスに伝送し、これら信号を上記制御装置に記憶させて利用させるステップとによって行なう方法。
【請求項7】
上記位置検知信号を利用して上記プローブの上記運動を閉鎖ループ制御するステップをさらに備える、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
上記共通制御バスが送信線と受信線を備える、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
上記モジュールと上記制御装置をつなぐ上記送信線と上記受信線を光ファイバーにする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
上記モジュールと上記制御装置を光ファイバーによって接続する、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
上記共通制御バスが同期線をさらに備える、請求項8に記載の方法。
【請求項12】
上記共通制御バスが同期線をさらに備え、上記モジュールと上記制御装置をつなぐこの同期線を光ファイバーにする、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
表面の測定を行なう物体を支持するプラットフォームと、
上記物体の表面上の経路に沿って複数の軸方向に移動し、上記表面と物理的に接触していることと、上記経路に沿った点が上記プローブの1つの軸方向に関してどこに位置するかとを表わす検知信号を発生させるプローブと、
上記プラットフォーム上にあって、上記プローブを、上記経路に沿った上記複数の軸方向のうちの少なくとも1つの軸方向に沿って移動させる可動部分と、
上記検知信号に応答し、この検知信号をあらかじめ選択したプロトコルに従って共有バスに送るプローブ・モジュールと、
上記プロトコルに従って上記共有バスに送られるそれぞれのプローブ・アクチュエータ制御信号に応答して上記可動部分に取り付けられた上記プローブを上記経路に沿って移動させるため、上記可動部分に取り付けられたプローブ用アクチュエータをそれぞれが1つ備えている複数のアクチュエータ・モジュールと、
可動部分用アクチュエータ信号に応答し、上記プラットフォーム上で上記可動部分を、上記経路に沿った上記複数の軸方向のうちの少なくとも1つの軸方向に沿って上記のように移動させる少なくとも1つの可動部分用アクチュエータと、
上記プローブが上記経路に沿って移動している間にこのプローブが接触する点の位置を示す検知信号を上記プロトコルに従って上記共有バスに送るため、それぞれが1つの位置センサーに接続された複数の位置センサー・モジュールと、
記憶されているプログラムを実行して上記各プローブ・アクチュエータ制御信号と上記ブリッジ・アクチュエータ信号を発生させ、上記共有バス上の上記検知信号に応答して、あらかじめ選択した上記プロトコルに従って上記検知信号を記憶するとともに上記表面の形状地図を表示する制御装置とを備える装置。
【請求項14】
上記制御装置が、あらかじめ選択した上記プロトコルに従って上記共有バスに送られる上記位置検知信号に応答して、対応する1つ以上の上記プローブ・アクチュエータ制御信号との比較を行ない、上記複数のプローブ・アクチュエータの1つ以上に対して対応する1つ以上のエラー信号を送信する、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
上記共有バスが送信線と受信線を備える、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
上記プローブ・モジュールと、上記アクチュエータ・モジュールと、上記位置センサー・モジュールと、上記制御装置をつなぐ上記送信線と上記受信線を光ファイバーにする、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
上記共有バスの一部に、上記プローブ・モジュールと、上記アクチュエータ・モジュールと、上記制御装置とを相互に接続する光ファイバーを含む、請求項13に記載の装置。
【請求項18】
上記共有バスが同期線をさらに備える、請求項15に記載の装置。
【請求項19】
上記共有バスが同期線をさらに備え、上記モジュールと上記制御装置をつなぐこの同期線を光ファイバーにする、請求項16に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−47147(P2008−47147A)
【公開日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−250095(P2007−250095)
【出願日】平成19年9月26日(2007.9.26)
【分割の表示】特願2003−504040(P2003−504040)の分割
【原出願日】平成14年6月11日(2002.6.11)
【出願人】(503455721)ヘキサゴン メトロロジー,アクティエボラーグ (1)
【Fターム(参考)】