説明

制御送達システムを有する経皮システム

支持層(2)と、支持層の内側のポリマー膜(16)と、患者の皮膚または粘膜に送達システムを貼付するための接着剤層(14)と、使用前に接着剤層を覆うための剥離層(12)とを含む経皮送達システムが開示され、ポリマー膜は、ポリマー膜を通って活性薬剤を移送する速度を変えるのに十分な流体媒体で含浸されており、流体媒体の量は、乾燥時に液体膜に保有される量より多い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願のクロスリファレンス
本出願は、「制御送達システムを有する経皮システム」というタイトルで、2005年2月18日に提出された米国特許出願No.11/062084の利益を請求し、その開示は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0002】
発明分野
本発明は、経皮送達システムに関する。更に詳細には、本発明は、患者の皮膚又は粘膜に活性薬剤を送達するための経皮送達システムに関する。更により詳細には、本発明は、ポリマー膜を利用して、活性薬剤の移送速度を制御する経皮送達システムに関する。
【背景技術】
【0003】
多数の薬物送達デバイスが、当業者に知られている。一般に、これらのデバイスでは、薬物又は他の活性薬剤をリザーバ等からデバイスの表面を通って患者の皮膚又は粘膜へ拡散させることにより、薬物又は他の活性薬剤が放出される。最新の経皮システムの大半は、2つの主要なクラス、即ち、リザーバシステム又はマトリックスタイプシステムに分類することができる。リザーバシステムは、一般に、活性成分の液体製剤が充填されたある種の包囲体(enclosure)を含む。これらのシステムにおいて、包囲体の一側面は、膜からなり、これは、少なくとも活性成分に対して、透過性であり、通常、好適な接着剤を備えている。後者、即ちマトリックスタイプシステムにおいて、活性成分は、一般に、ゲル−タイプ処方物又は接着マトリックス中に装入され、自動接着性(self-adhesive)でもあることが、好ましい。
【0004】
さまざまな膜含有デバイスに関し、一つの目的は、例えば、デバイス適用後かなりの時間にわたって治療効果の発現を遅延させるなどのように、投与速度を制御することであった。そのようなデバイスの一つが、例えば、米国特許No.5,284,660(Lee et al.)に開示されている。他のものと同様に、このデバイスは、薬剤リザーバと薬剤が放出される表面との間に一つ以上の膜を使用している。この場合の膜は、溶解されていない薬剤を実質的に含まず、好ましくは、第一の状態で低い透過性を有し、第二の状態で高い透過性を有する材料から形成される。膜は、親水性又は半親水性である種々のポリマーを含み、ポリビニルアルコール、ポリビニリピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられると記載される。
【0005】
他の先行技術文献、米国特許No.5,066,494(Becher)では、マルチチャンバーシステムが、経皮薬物適用をより良好に制御する試みのために使用される。そのようなシステムは、全ての活性物質製剤が、そこから流出するか又は滴下するのを防止するのに役に立つとも記載されている。
【0006】
多数のデバイスでは、最初の迅速な薬物投与、即ちスパイク(spike)への要望もあり、従来、これは、例えば、薬物が含有される接触接着剤層を使用することで得られた。米国No.4,877,618(Reed)等の参考文献では、相対的に一定ではあるが、減少する投与速度は、薬物を吸収する粒子含有層間層を多数使用することにより、長時間にわたり得られると記載される。
【0007】
もう一つ別のデバイスが米国特許No.5,902,433(Becher et al.)に示される。この場合のデバイスは、活性物質を含有する多数のチャンバーを含み、チャンバーは、相互に連通し、上層及び下層から形成され、その間に活性薬剤含有物質を有し、上層及び下層が所定の部位で接合して、チャネル又はチャンバーを形成する。
【0008】
もう一つ別のマルチコンパートメントデバイスは、米国特許No.4,666,441(Andriola et al.)に示される。このケースでは、リザーバ領域は、薬物移動速度を制御する目的の透過性多孔質膜から形成され、膜として、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリアミド、ポリスルホン等が挙げられる。
【0009】
膜を使用するパッチを開示する更に他の特許は、米国特許No.5,683,712(Cavazza)である。このケースでは、微小孔性膜を使用して、後続の接着剤層及び当該薬物を含有するゲル層を通って薬物が放出するのを制御する。この特許では、この目的のために、特定の膜材料は開示されていない
【0010】
活性薬剤の適用のための、更にもう一つ別の経皮製品は、米国特許No.5,503,844(Kwiatek et al.)に開示されている。この特許には、活性薬剤のためのキャリア層として使用するために、多孔性フォーム層を使用することが開示され、追加の膜層を備えることも備えないこともある。この特許で開示されるフォーム層は、ポリウレタンフォームであり、慣用の速度制御ポリマーが使用される。
【0011】
既に市販されている経皮システムは、図1に概略で示されたNovartisにより市販されているESTRADERM(登録商標)システムである。このシステムは、外側の透明ポリエステルフィルム3と、ヒドロキシプロピルセルロースでゲル化されたアルコール及びエストラジオールの薬物リザーバ4と、エチレンビニルアセテートコポリマー膜6と、軽油及びポリイソブチレンの接着剤処方物8とを含むパッチ製品を含む。これは、使用前に取り外されるシリコーン処理をしたポリエチレンテレフタレートフィルムの保護ライナー10で覆われている。アルコールは、溶媒又は薬物が皮膚を通って移動するための促進剤として作用する。しかしながら、アルコールが使い果たされると、薬物のための推進力は残らない。前記の場合におけるように、この製品に利用される膜は、非微小孔性であるばかりか、液体組成物、又は促進剤をその中に保有する容量も有さない。
【0012】
このように、パッチシステムを改良する強い必要性がでてきた。特に、薬物自体の送達を改良及び制御し、かつ利用するパッチシステムへの薬物の溶解性を改良する目的のために、例えば揮発性有機溶媒などの溶媒及び/又は促進剤を保有する容量を有する膜を使用するものが強く要求される。
【0013】
接着組成物を含むシステムは、使用前に厳しい乾燥条件にさらされなければならないので、現行の多数の経皮システムでは、薬物自体もこれらの状態に曝される必要があることもまた確かである。従って、そのような状態に薬物を曝す必要性がなく、それにより安定性を改良するシステムもデザインされた。
【0014】
現行のシステムの多くでは、溶媒を使用するならば、少なくとも部分的に利用接着剤系と混和性であるべきということが必要である。そのため、接着剤混合物と完全に相溶性ではない溶媒を使用できるシステムも探求された。
【0015】
大抵の従来の経皮システムでは、パッチ自体に保有できる溶媒量が、接着剤中の溶媒の飽和濃度に制限されることも明白である。そのため、この要因に制限されないシステムが求められてきた。
【発明の開示】
【0016】
本発明により、これら及び他の目的が、患者の皮膚又は粘膜に活性薬剤を送達するための経皮送達システムの発見により達成された。患者の皮膚又は粘膜に活性薬剤を送達するための経皮送達システムは、支持層(backing layer)と、支持層の内側に配置されたポリマー膜と、患者の皮膚又は粘膜に経皮送達システムを貼付するための接着剤層と、患者の皮膚又は粘膜に経皮送達システムを貼付する前に接着剤層を覆うための剥離層(releasable layer)とを含み、ポリマー膜には、患者の皮膚又は粘膜にポリマー膜を通って活性薬剤を移送する速度を変えるための流体媒体が所定量含浸されており、流体媒体の所定量は、ポリマー膜の乾燥時にポリマー膜に保有される流体媒体の量より実質的に多い。好ましくは、流体媒体は、活性薬剤のための液体溶媒、又は活性薬剤のための促進剤、又は活性薬剤のための賦形剤(又は賦形剤溶液)又は活性薬剤自体を含む。
【0017】
本発明の経皮送達システムの他の実施形態によれば、接着剤層は、第一の接着剤層を含み、かつデバイスは、支持層とポリマー膜との間に配置された第二の接着剤層を含む。
【0018】
本発明の経皮送達システムの他の実施形態によれば、第一の接着剤層と第二の接着剤層とは、例えばアクリル、シリコーン、ポリイソアルカリ(polyisoalkaline)、ゴム、酢酸ビニル、ポリイソブチレンゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン、セルロース誘導体、多糖類、ポリウレタンエラストマー及びポリエステルエラストマー等の接着剤一種以上を含む接着マトリックスを含む
【0019】
本発明の経皮送達システムの他の実施形態によれば、流体媒体は、活性薬剤のための溶媒を含む。好ましい実施形態では、溶媒は、C2〜C8アルコールを含む。
【0020】
本発明の経皮送達システムの他の実施形態によれば、第一の接着剤層は、活性薬剤を含む。他の実施形態では、第二の接着剤層は、活性薬剤を含む。好ましくは、第一の接着剤層と第二の接着剤層との両方が、活性薬剤を含む。
【0021】
本発明の経皮送達システムの他の実施形態によれば、ポリマー膜は、親水性もしくは疎水性の、ポリマーもしくはコポリマーを含む。好ましい実施形態では、親水性もしくは疎水性の、ポリマーもしくはコポリマーは、以下のもの:ポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン)、エチレン−酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエーテルブロックアミド、ポリウレタン、ポリアミド(例えばナイロン)、セルロース及びセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリシラン、及びポリシロキサンから選択される。
【0022】
本発明の経皮送達システムの更に他の実施形態によれば、流体媒体の所定量は、約0.5mg/cm2から10mg/cm2である。好ましい実施形態では、流体媒体の所定量は、約1mg/cm2から7mg/cm2である。最も好ましくは、流体媒体の所定量は、約3.0mg/cm2である。
【0023】
本発明の経皮送達システムの他の実施形態によれば、第一の接着剤層と第二の接着剤層とが、活性薬剤のための溶媒による可塑化に対し少なくとも部分的に耐性のある接着剤を含む。
【0024】
本発明の経皮送達システムの一実施形態によれば、本発明のシステムは、支持層と、支持層の内側に配置されたポリマー膜と、患者の皮膚又は粘膜に経皮送達システムを貼付するための接着剤層と、患者の皮膚又は粘膜に経皮送達システムを貼付する前に接着剤層を覆うための剥離層と、流体媒体とを含み、流体媒体は、その約2.5%〜100%が、ポリマー膜中に配置されるように、接着剤層とポリマー膜とに分配される。好ましくは、流体媒体の約50%〜100%が、ポリマー膜中に配置される。一実施形態では、流体媒体は、接着剤層に配置されるより大きい割合で、ポリマー膜中に配置される。
【0025】
本発明によれば、活性薬剤を患者に送達するための経皮送達システムを製造する方法も発見され、この方法は、
経皮送達システムを患者の皮膚又は粘膜に貼付するための接着剤層を調製するステップと、
ポリマー膜を設けるステップと、
患者の皮膚又は粘膜を通って活性薬剤を移送する速度を変えるための流体媒体の所定量をポリマー膜に含浸させるステップと、
ポリマー膜を乾燥させることなく接着剤層を乾燥させるステップと、
接着剤層を含浸ポリマー膜に適用するステップと、
支持層を設けるステップと、接着剤層とポリマー膜を支持層の内側に組み込むステップと、
剥離性ライナーを接着剤層に隣接して設けるステップと、経皮送達システムを患者の皮膚又は粘膜に適用する前に該接着剤層を保護するステップと
を含む。好ましい実施形態では、流体媒体は、活性薬剤のための溶媒、又は活性薬剤のための促進剤、又は活性薬剤のための賦形剤(又は賦形剤溶液)又は活性薬剤自体を含む
【0026】
本発明の方法の一実施形態によれば、接着剤層は、第一の接着剤層を含み、かつ本発明の方法は、第二の接着剤層を支持層とポリマー膜との間に適用することを含む。好ましい実施形態では、第一の接着剤層と第二の接着剤層とは、接着剤、例えば、以下のもの:アクリル、シリコーン、ポリイソアルカリ、ゴム、酢酸ビニル、ポリイソブチレンゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン、セルロース誘導体、多糖類、ポリウレタンエラストマー及びポリエステルエラストマー、の一つを含む接着マトリックスを含む。
【0027】
本発明の方法の一実施形態によれば、流体膜は、活性薬剤のための溶媒を含む。好ましい実施形態では、活性薬剤のための溶媒は、C2〜C18アルコールを含む。
【0028】
本発明の方法の他の実施形態によれば、本発明の方法は、第一の接着剤層に、活性薬剤を添加するステップを含む。他の実施形態では、本発明の方法は、第二の接着剤層に、活性薬剤を添加するステップを含む。好ましい実施形態では、本発明の方法は、第一の接着剤層と第二の接着剤層との両方に活性薬剤を添加するステップを含む。
【0029】
本発明の方法の他の実施形態によれば、ポリマー膜は、親水性ポリマー又は疎水性ポリマーなどのポリマーを含む。好ましくは、親水性ポリマーは、ポリオレフィン(例えばポリエチレン)又はポリエチレン/エチレンビニルアセテートコポリマーである。
【0030】
本発明の方法の他の実施形態によれば、流体媒体の所定量は、0.5mg/cm2から10mg/cm2まで、好ましくは約1mg/cm2から7mg/cm2まで、最も好ましくは3.0mg/cm2である。
【0031】
本発明の方法の他の実施形態によれば、第一の接着剤層と第二の接着剤層とが、活性薬剤のための溶媒による可塑化に対し少なくとも部分的に耐性のある接着剤を含む。
【0032】
本発明は、順に図を言及する以下の詳細な記述を参照して一層完全に理解することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
先ず図1を参照すると、先行技術の経皮パッチ製品が示される。先行技術製品は、例えばNovartisにより市販のESTRADERM(登録商標)経皮パッチ製品などの既知の製品を表すことを意図する。このパッチ製品は、パッチ内に含有される液体が浸透しない支持層2と、アルコール含有液体ゲルリザーバ組成物と共に薬物又は活性薬剤を含むリザーバ4とを含む。次いで、慣用の微小孔性膜6が、活性薬剤又は薬物もその中に含有する接着剤層と共に含まれる。パッチは剥離可能なライナー10で覆われ、ライナーは、接着剤層8を患者の皮膚又は粘膜に適用する前に取り外される。アルコール様物質を使用すると、その小さい分子組成物が、これらの製品に使用される薬物成分よりはるかに迅速に皮膚を通って移動できるので、促進剤として作用する。このように、アルコール物質は、最初、皮膚を通して、追加の量の薬物(この場合は、エストラジオール)を運び、患者は、薬物組成物の最初の「スパイク」を受ける。しかしながら、アルコールが消費されてしまうとすぐに、エストラジオールを患者の皮膚に通過させる推進力は殆ど残らない。従って、アルコールのような物質を使用せずに薬物組成物の同等の「スパイク」を得る試みが行われてきた。しかしながら、これらの試みが成功したことは証明されていない。
【0034】
図2を参照すると、本発明と同等の経皮パッチ製品が示され、これは、支持層12と、好ましくはその中に活性薬剤を含有する第一の接着剤層14と、膜16と、やはり好ましくはその中に活性薬剤を含有する第二の接着剤層18と、その上の剥離性ライナー21とを含む。
【0035】
図2に示される好ましい構成において、ポリマー膜16の他に、接着剤層14又もしくは18のどちらか一つ、あるいはそれらの両方を使用することが好ましい。更に、2つの接着剤層14と18を使用する場合であっても、異なる接着剤処方物を構成することができ、かつこれらの接着剤層14と18の一方もしくは他方、あるいはそれらの両方が、活性薬剤自体をその中に分散させて含むことができる。別の問題として、ポリマー膜16は、膜の孔の中に含有される溶媒に溶解された活性薬剤を含むことができる。もちろん、これが、活性薬剤の唯一のソースでもあってもよく、あるいは活性薬剤は、更に、接着剤層14と18の一方又は両方に含まれていてもよい。これらのさまざまな組み合わせにより、顧客に応じて特定の経皮パッチシステムを作ることができ、その結果、適切な薬物及び薬物適用レジメンを提供することができる。これは、薬物送達における最初の「スパイク」を含むことができ、パッチの適用と薬物送達との間の時間のずれを短縮することができ、かつそのような目的のために、システム又は構成層中への薬物の溶解度を変えることができる。
【0036】
ポリマー膜16は、溶媒又は他の流体媒体を膜内に保有するために十分な容量(孔を介し又は膨潤の結果として)を有する必要があるので、本発明の必須の構成要素である。このように、本発明の膜中の揮発性有機溶媒の存在は、促進剤として作用することにより及び/又はパッチ自体への薬物の溶解度を改良することにより、薬物の送達を改良する助けとなる。このように、揮発性溶媒が従来使用されたが、溶媒の多くは、使用前、パッチの乾燥の間に追い払われた。しかしながら、本発明により、好ましくは乾燥工程の後に、溶媒を本発明による膜中に取り込むことにより、所望の溶媒を追い払うことなく、接着マトリックスを徹底的に乾燥させることが可能である。
【0037】
このように、組み合わせて本発明を提供する構成要素が少なくとも二つある。第一は、流体媒体を膜自体に取り込むことである。第二は、パッチの完成前の、接着剤層又は、膜を除くパッチの事実上全ての乾燥、即ち膜とは別にした乾燥である。従って、膜自体は乾燥状態におかれない。即ち、接着剤層自体に施される高温には曝されない。このようにして、以前の場合より遥かに大量の流体媒体を経皮システムに取り込むことがいまや可能となる。
【0038】
本発明により得られる利点には、例えば、薬物「スパイク」の期間及び/又は薬物適用の全期間を賦与する又は延長させることにより、薬物適用プロセス全体をいっそう正確に制御する能力がある。適用されると、通常、接着剤層の接着特性の減少又は除去すらもたらす流体媒体を大量に使用することも可能である。更に、流体が接着剤層により担持される必要は無いが、ポリマー膜により保有できるので、接着剤層と完全に相溶性では無い流体媒体を利用することも可能である。この全てにより、これらの経皮薬物送達システムの総デザインを大きく変更することが可能である。
【0039】
主に、速度制御目的のために、又は前記のようなゲルリザーバシステム中の構成部材として、膜を使用することが知られている多数の経皮システムがある。しかしながら、本発明の特定のシステム中に使用される本発明の膜は、全く異なる機能を果たす。即ち、薬物の適用を制御する、薬物送達の速度を変更する、又はシステムへの薬物の溶解性を選択的に変更する目的のために、溶媒、促進剤、賦形剤及び/又は薬物組成物を保有するという機能を有する。
【0040】
本発明により使用可能な膜は、膜内に5mg/10cm2より多い、好ましくは5mg〜100mg/10cm2、更に好ましくは少なくとも約30mg/10cm2の溶媒、例えば短鎖アルコール(炭素原子が2〜18個、好ましくはエチルアルコール)、を保有するのに十分な容量を有する。
【0041】
本発明による有用なポリマー膜は、親水性及び疎水性の両方の、さまざまなポリマー又はコポリマーを含んでよい。これらのポリマー及びコポリマーには、例えばポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエーテルブロックアミド、ポリウレタン、例えばナイロン等のポリアミド、セルロース及びセルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリシラン、及びポリシロキサンを挙げることができる。本発明に使用される好ましい膜には、エチレン−酢酸ビニル、ポリエチレン、例えば3M Corporation製のCoTran(登録商標)9711、及びDSM Corporation製のSULOPOR(登録商標)、又は超高分子量ポリエチレン膜が挙げられる。
【0042】
本発明により使用できるポリマー膜の他の例には、好ましくは厚さ0.5〜3.0milで、MVTR(水蒸気透過率)が約1,000〜15,000g/m2/24時間のコポリエステル膜;厚さ約0.5〜3.0milで、MVTR値が約1,000〜10,000g/m2/24時間のポリウレタン膜;MVTRが約2,000〜10,000g/m2/24時間のポリエーテルブロックアミド;厚さ約1〜5milの9%エチレンビニルアセテートポリマー膜;及び厚さ約1.0〜10.0milの親水性ポリエチレン膜がある。
【0043】
本発明により使用できる各種の医薬活性薬剤が多数ある。事実、経皮で適用されてきた又は適用しうる任意の活性薬剤も本質的に本発明の対象である。任意のそのような活性薬剤又は薬物又はその部類のものを用い、本発明を利用して、経皮又は経粘膜による自然送達速度を操作する及び/又はより多くの量の活性薬剤を剤形に挿入することができる。自然送達速度の操作は、例えば、特定のステロイドに関連していることもある。即ち、内因性ステロイドレベルは、例えばエストロゲン、プロゲステン及びアンドロゲンと共に、日周期性パターンに従う。その際、本発明を使用して、適用後直ぐに、「スパイク」を得ることができた。他の活性薬剤、例えば鎮痛薬、は、痛みを終結させるために、ボーラスを送達することにより時には迅速に作用でき、その後、この痛みが戻るのを防ぐために送達速度を定常的であるが、よりゆっくりとした速度にする。
【0044】
他方、例えば、テストステロンなどの活性薬剤に関連して、より大量の活性薬剤の剤形への挿入に適用することが可能である。この薬物は、治療量を送達するために、アクリル接着剤中に懸濁できるが、テストステロンは、予測不可能な方法で、マトリックス内で結晶化しうる。本発明を使用することにより、薬物送達は、十分な薬物をシステム中に充填することで達成でき、また、利用される溶媒が、保管されている間に膜から失われるのでなければ、テストステロンの結晶化のための推進力は存在しないであろう。もう一つ別の例では、治療量を3日にわたり送達するために、パッチ中のポリイソブチレン接着マトリックスへ、十分な量のフェンタニールを取り込む試みは、接着マトリックスがその接着特性を失うという結果を生じるであろう。しかしながら、本発明を使用することにより、フェンタニールは、接着マトリックスの全体にわたって溶解したままであり、マトリックスは、粘着性のままにとどまることができる。
【0045】
また前記したように、活性薬剤自体に関して、経皮又は経粘膜で送達できる任意の活性薬剤を使用する可能性に本質的に限界は無い。
【0046】
好適な全身薬として、抗菌剤、例えばペニシリン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、クロラムフェニコール、及びスルホンアミド;鎮静薬及び催眠薬、例えばペントバルビタールナトリウム、フェノバルビタール、セコバルビタールナトリウム、コデイン、(α−ブロモイソバレリル)尿素、カルブロマール、及びフェノバルビタールナトリウム;精神賦活薬、例えば3−(2−アミノプロピル)インドールアセテート及び3−(2−アミノブチル)インドールアセテート;精神安定剤、例えばレセルピン、塩酸クロルプロマジン、及び塩酸チオプロパゼート;副腎皮質ステロイドなどのホルモン、例えば6α−メチルプレドニゾロン;アンドロゲンステロイド、例えばメチルテストステロン及びフルオキシメステロン;エストロゲンステロイド、例えばエストロン、17β−エストラジオール及びエチニルエストラジオール;プロゲステロン及びノルエチンドロン;及びチルオキシド(thyroxide);解熱剤、例えばアスピリン、サリチルアミド及びサリチル酸ナトリウム;モルフィネ及び他の麻薬性鎮痛薬;抗糖尿病薬、例えばインスリン;心臓血管作用薬、例えば、ニトログリセリン、及び強心配糖体、例えばジギトキシン、ジゴキシン、ウアバイン;抗痙攣薬、例えばアトロピン、臭化メトスコポラミン、フェノバルビタールを有する臭化メトスコポラミン;抗マラリヤ薬、例えば4−アミノキノリン、9−アミノキノリン、及びピリメタミン;及び栄養剤、例えばビタミン、必須アミノ酸及び必須脂肪酸が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0047】
薬物及び接着剤が透過しない支持層は、主として、その目的として、支持層を通って活性薬剤又は接着剤が浸出することを防ぐ必要がある。例えば、支持層の、デバイスの残りの部分との接触面が、活性薬剤が不透過の接着剤層で被覆されているならば、この不透過性接着剤層は、たとえ、支持層が活性薬剤に全体的に不透過性でなくても、この目的を本質的に遂行するであろう。従って、全ての場合に(大抵の場合、それが普通であるが)、支持層は活性薬剤に対し不透過性である必要はなく、これが、このバリア機能を提供する層でない場合は、例えば活性成分不透過性接着剤層が、支持層と膜等のデバイス残部との間に配置されるであろう。
【0048】
支持層は、経皮システム内に含有される溶媒又は他の流体媒体に対し不透過性であってもよい。しかしながら、一部の実施形態では、支持層がその中の溶媒又は他の液体成分に対し透過性であることも可能である。例えば、この流体媒体の一部は、支持層を通って蒸発してもよい。これが冷却効果を与えうる。又は患者の皮膚又は粘膜を通過することによる以外に、システムから溶媒又は促進剤の一部を逃がすことにより、患者の皮膚又は粘膜を通る活性薬剤の「スパイク」を弱める第二の方法として作用しうる。
【0049】
支持層の外面に使用される実際の材料は、支持層と接触する材料の性質に依存する。幾つかの好適な材料には、例えば、セロファン、酢酸セルロース、エチルセルロース、可塑化酢酸ビニル−塩化ビニルコポリマー、エチレン−酢酸ビニルコポリマー、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン(例えばSARAN)、紙、クロス及びアルミホイルが挙げられる。使用材料は、好ましくは、活性薬剤に対し不透過性である。この支持層を形成する材料は、柔軟であってもよく、又は柔軟でなくてもよい。好ましくは、柔軟な支持層を使用して、デバイスが貼付される人体の形状に順応するようにする。
【0050】
層12などの支持層を形成する材料は、フィルム又は複合フィルムであることが好ましい。複合フィルムは、金属で被覆された(例えばアルミ被覆)フィルム又は2種以上のフィルムのラミネート又はその組み合わせであってよい。例えば、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンとのラミネート又はポリエチレン/金属被覆ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンラミネートを使用することができる。好ましいポリマーには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、例えばポリエチレンテレフタレート(MYLAR)などのポリエステル、及びポリ塩化ビニリデン(SARAN)がある。更に詳細には、本発明の非常に好ましい構成では、支持層として、ポリエチレンテレフタレート又はポリ塩化ビニリデンの高度に閉塞性の層を使用する。
【0051】
本発明の経皮パッチシステムは、適用前に接着面を一時的に覆う剥離層又は剥離層も含む。剥離層は、前記の支持層に使用するのに好適な材料と同じものから製造されていてもよい。そのような材料は、例えば、シリコーン、TEFLON又は他の好適なコーティングでその表面上へ行う慣用の処理により、接着剤層から取り外せるようにすることが好ましい。剥離層のデバイスからの取り外しは、剥離層の機械的処理、例えばエンボス加工により行うこともできる。
【0052】
剥離層は、紙又は紙を含有する、層又はラミネート;種々の熱可塑性プラスチック、例えば押出ポリオレフィン、例えばポリエチレン;種々のポリエステルフィルム、ホイルライナー、種々のポリマーに被覆されたか又は重ね合わされた織物層を含む他のそのような層並びに押出ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、種々のポリアミド等を含む種々の層を含んでも良く、ポリエステルフィルムが好ましい。剥離層は、例えば、耐UV性及び耐酸化性のためにアルミニウムの真空蒸着により形成された金属化ポリエステル又はポリプロピレンなどの真空金属化(vacuum metallize)フィルムを含んでも良い。
【0053】
本発明のもう1つの可能な剥離層には、外側がホイル層で、内側が例えばポリエチレン等のプラスチック層のラミネートがあり、これは、シリコーン処理コーティング(siliconized coating)によってのみ剥離可能にされているのではなく、エンボス加工されたか又は荒くされた表面も有する。表面のエンボス加工は、多数の慣用の方法により行うことができる。一般に、エンボス加工表面の製造は、雌雄工具を使用し、好ましくは、熱の適用で促進して行うことができる。このエンボス加工工程の主な目的は、全表面が、対応する接着剤層と物理的にあまり接触しないように、表面を粗にするか又は不均一にすることにある。
【0054】
本発明の好ましい剥離層としては、ポリエステルフィルムが挙げられ、好ましくは、ポリエステルフィルム上のシリコーン化又はフルオロカーボンコーティングを含む。例えば3M Corporation製のSCOTCH PAK 1022がある。
【0055】
前にも記載のように、本発明の膜に取り込まれる流体媒体には、水、C1〜C3アルコール、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルアセトアミド、ポリエチレングリコール、ポリソルビトール、ポリエチレンオキシド、ポリオキシエチレン、ジメチコン、鉱油/パラフィン、植物油等がある。
【0056】
本発明により、膜中に取り込まれる溶媒は、好ましくはアルコールである。本発明によるアルコールには、モノアルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール及びt−ブチルアルコールを挙げることができる。アルコールは、一般に、低分子量ジオール、トリオール又はポリオール、即ちプロピレングリコールなどのグリコール、グリセロールなどのトリオール、及び約400未満の平均分子量を有するポリアルキレングリコールであってもよい。例えば、溶媒は、平均分子量約200〜約400のポリエチレングリコールであってよい。このように、本発明による溶媒は、炭素数が約2〜約4個の長さの通常の短鎖ポリオールを含んでよい。そのようなポリオールには、1,4−ブタンジオール、グリセロール、エチレングリコール、プロピレングリコール等を挙げることができる。例えば酢酸エチル、酢酸セルロース、酢酸ビニル等のアセテートも、本発明によれば有用である。
【0057】
本発明の経皮システムに、例えば、染料、透過促進剤、架橋剤、接着促進剤、ゲル化剤、結晶化抑制剤、抗炎症薬等の追加の成分を使用することも可能である。
【0058】
浸透促進剤も本発明の流体媒体として含むことができる。これらの浸透促進剤は、活性薬剤が皮膚を通って浸透するのを促進することを目的とする。好適な促進剤は、米国特許No.5,503,844に記載のものを含み、一価で、飽和及び不飽和の、炭素原子6〜12個を有する脂肪族及び脂環式アルコール、例えば、シクロヘキサノール、ラウリルアルコール等;脂肪族及び脂環式炭化水素、例えば鉱油;脂環式及び芳香族アルデヒド並びに脂環式及び芳香族ケトン、例えばシクロヘキサノン;N,N−ジ(低級アルキル)アセトアミド、例えばN,N−ジエチルアセトアミド及びN,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)アセトアミド等;脂肪族及び脂環式エステル、例えばイソプロピルミリステート及びラウリシジン;N,N−ジ(低級アルキル)スルホキシド、例えばデシルメチルスルホキシド;精油、ニトロ化脂肪族化合物、脂肪族及び脂環式炭化水素、例えばN−メチル−2−ピロリドン及びアゾン;サリチレート、ポリアルキレングリコールシリケート;オレイン酸及びラウリン酸などの脂肪酸、シネオールなどのテルピン、ラウリル硫酸ナトリウムなどの界面活性剤、ヘキサメチルシロキサンなどのシロキサン;前記材料の混合物等がある。
【0059】
膜層中の活性薬剤と結合できる流体担体の例には、単純アルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエステル及びポリエーテルポリオール、エポキシ化亜麻仁油、並びに単純液体エステル、例えばクエン酸トリエチル、フタル酸ジシクロヘキシル、アジピン酸ジイソアシル、脂肪酸(オレイン酸、ラウリン酸等)、脂肪酸の塩、脂肪アルコール、脂肪エステル(CERAPHYLS等)、テルペン等がある。好ましい流体担体として、短鎖アルコール、脂肪酸、脂肪エステル、脂肪アルコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールがある。
【0060】
本発明の接着剤層及び/又は膜層の中の活性薬剤と結合できる結合剤の例は、既知の架橋剤とともに、または架橋剤を含まずに、水溶性もしくは水不溶性のゴムもしくは樹脂を使用して形成される慣用のヒドロゲルを含む。ゴム又は樹脂として、アガロース、アルギン酸塩、アルキル及びヒドロキシアルキルセルロース、例えばヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース、アミロペクチン、アラビノガラクチン、カルボキシメチルセルロース、カラゲナン、キリンサイ(eucheuma)、ウコイダン(ucoidan)、フルセララン、ゼラチン、グアガム、エイガーゴム、アラビアゴム、ガティガム、カラヤゴム、トラガカントゴム、ピペニア(pypenia)、ケラチンラミナラン、ローカストビーンガム、ペクチン、ポリアクリルアミド、ポリ(アクリル)酸及び同族体、ポリエチレングリコール、ポリ(エチレンオキシド)、ポリ(ヒドロキシアルキル)メタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アルギン酸プロピレングリコール、デンプン及び変性類似体、タマリンドガム、N−ビニルラクタムポリサッカライド及びキサンタンガムがある。更に、そのようなヒドロゲルは、親水性及び疎水性モノマー両方、例えば、アクリル酸のヒドロキシアルキルエステル及びメタクリルアミド、n−ビニル−1−ピロリドン、アルキルアクリレート及びメタクリレート、酢酸ビニル、アクリロニトリル及びスチレン、の共重合及び架橋により形成することができる。本発明で使用するのに好適な他の結合剤には、ベーガム(veegum)、より高い分子量のポリグリコール等がある。
【0061】
本発明で使用するのに好ましい結合剤には、セルロースエステル、ポリビニルピロリドン及びポリアクリレートがある。本発明による結合剤は、活性薬剤と結合し、膜層中に装入される液体、ペースト、半固体又は固体として調製することができる。
【0062】
本発明により使用される、治療のための接着剤処方物は、経皮薬物送達システムの一部として使用できる種々の接着剤処方物を含む。好ましくは、これらの接着剤処方物は、モノリシック構造の材料であり、好ましくは、その中に接着剤処方物及び医薬活性薬剤の両方を含む。本発明により使用できる接着剤処方物は、当業者に既知の多数のそのような処方物を含む。概して、これらには、アクリル、シリコーン、ポリイソアルカリ、ゴム、酢酸ビニル、ポリイソブチレンゴム、ポリブチルジエン、スチレン−ブタジエン(又はイソプレン)−スチレンブロックコポリマーゴム、アクリルゴム、及び天然ゴム;ビニルをベースとする高分子量材料、例えばポリビニルアルキルエーテル、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルの部分けん化物、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドン;セルロース誘導体、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロース;多糖類、例えばプルラン、デキストリン及びアガー;ポリウレタンエラストマー;及びポリエステルエラストマーがある。接着剤は、当然のことながら、生体適合性及び無刺激性である必要がある。接着剤は、パッチによる治療が必要な患者の皮膚又は粘膜にしっかりとパッチを接着させるが、パッチを除去する時に患者を傷つけないほどの接着性でなくてはならない。接着剤は、本発明の治療のための接着剤処方物の他の成分と適合するように選択することも重要である。グループとして、アクリル接着剤が、この点において特に有用であり、かつ適合することが判明した。そのため、使用する接着剤は、アクリルベースであることが好ましい。更に具体的には、本発明によるアクリル接着剤は、好ましくは、(メタ)アクリル酸、例えばブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、及びトリデシル(メタ)アクリレートであってよく、かつ前記エステルの少なくとも一つとそれらと共重合可能な他のモノマーとのコポリマーであってよい。
【0063】
本発明の経皮システムに使用する好ましいポリアクリレート接着剤の例には、National Starch and Chemical Corporationにより商標DuroTak(登録商標)87−2194、87−2620、87−2052、87−2852、87−2054、87−2979及び87−6173で市販されるものがある。市販される他の好適な接着剤は、Surface Specialties,Inc.による商標GELVA−Multipolymer Solution、GELVA 2873及び2883であり;かつDow Corning Corporationにより商標BIO−PSA 7−4300及び7−4500で市販されるシリコーン接着剤である。他の好ましい接着剤には、ポリイソブチレン及びスチレン−ブタジエンゴム接着剤がある。
【0064】
共重合性モノマー例には、カルボキシル基含有モノマー、例えば(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸及びフマル酸;スルホキシル基含有モノマー、例えばスチレンスルホン酸、アリールスルホン酸、スルホプロピルアクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸、アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸及びアクリロイルオキシベンゼンスルホン酸;ヒドロキシル基含有モノマー、例えばヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;アミド基含有アクリルモノマー、例えば(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、テトラメチルブチルアクリルアミド、及びN−メチロール(メタ)アクリルアミド;アルキルアミノアルキル基含有アクリルモノマー、例えばアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びt−ブチル(メタ)アクリレート;その分子中にエーテル結合を含有するアクリル酸のアルキルエステル、例えばメトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、及びメトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート;ビニルモノマー、例えばN−(メタ)アクリロイルアミノ酸;官能性モノマー、例えばウレタン、尿素又はアクリル酸のイソシアネートエステル;及びビニルモノマー、例えば(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピラジン、ビニルピペラジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルカプロラクタム、ビニルオキサゾール、ビニルチアゾール、ビニルモルホリン、スチレン、α−メチルスチレン及びビス(N,N’−ジメチルアミノエチル)マレエートがある。
【0065】
(メタ)アクリル酸と共重合性モノマーとの前記アルキルエステルは、アルキル部分が直鎖又は分岐鎖である異性体並びに置換基の位置が異なる異性体及び誘導体を含む。
【0066】
皮膚への接着特性と粘着力との間のバランスの見地から、アクリル感圧接着材料中の(メタ)アクリル酸のアルキルエステル対共重合性モノマーの重量比は、50:50〜99:1であることが好ましい。分子中にエーテル結合を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステルを、低い皮膚刺激特性の見地から使用する場合、(メタ)アクリル酸のアルキルエステル/分子中にエーテル結合を含有する(メタ)アクリル酸のアルキルエステル/他の共重合性モノマーの割合は、40〜80/59〜10/1〜40であることが望ましい。
【0067】
好適な化学的架橋処理(例えば、架橋性モノマーの共重合及び架橋剤の添加)又は物理的架橋処理(例えば紫外線、及び電子ビームなどの電離放射線の照射)を接着剤処方物に施すことが好ましい。
【0068】
本発明により、一般に利用される接着剤の量は、生じる処方物の重量(支持層及び剥離フィルムを除く)に基づいて、約30重量%〜約99重量%の範囲にわたる。使用される接着剤の量は、処方物の総重量(支持層及び剥離フィルムを除く)に基づいて、約65重量%〜約95重量%の範囲にわたるのが好ましい。
【0069】
本発明のこの態様によるアクリルポリマー接着剤は、主要モノマー成分として、約40%〜約90%のC4〜C12アルキルアクリレートを含む。経皮接着剤処方物のために使用されている炭素数が4〜12個の任意のアルキルアクリレートを使用することができるが、もちろん、他のアクリレートも意図する。本発明により有用である慣用のC4〜C12アルキルアクリレートには、例えば、2−エチルヘキシルアクリレート、ブチルアクリレート、n−デシル、n−ノニル、2−エチオクチル(ethyoctyl)、イソオクチル及びドデシル−アクリレートがある。一般に、本発明によるC4〜C12アルキルアクリレートは、完成した接着剤材料の重量に基づいて、およそ約40%〜約90%で使用されるであろう。しかしながら、C4〜C12アルキルアクリレートの量は、接着剤の重量に基づいて、約60重量%〜約80重量%の範囲にわたるのがより好ましい。
【0070】
アクリルポリマー接着剤の性質は、硬化モノマーを使用するかどうか、また使用する硬化モノマーのタイプに依存して劇的に変化させることができる。約10重量%〜約40重量%のC1〜C4アルキルアクリレート硬化モノマーをC4〜C12アルキルアクリレートと併用することで、所望の治療のための送達、並びに構造的完全性を与えるアクリルポリマー接着剤系を提供できることが判明した。本発明による有用なC1〜C4アルキルアクリレート硬化モノマーの例には、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート及びヒドロキシプロピルメタクリレートがある。本発明により有用なC1〜C4アルキルアクリレート硬化モノマーの量は、接着剤の重量に基づいて、約15%〜約30%の範囲にあるのが一層好ましい。
【0071】
本発明によれば、架橋を促進する官能性モノマーを使用することも好ましい。官能性モノマーは、架橋のための官能基を提供する。そのような官能性モノマーは、当業者に公知であり、例えば、アクリル酸、ヒドロキシエチルアクリレート、メタクリル酸及びアクリルアミドが挙げられる。しかしながら、酸形状のアクリレート硬化モノマーを使用する場合に、官能性モノマー、例えばアクリル酸を使用することは好ましいが、他方、硬化モノマーがアルコールの場合は、ヒドロキシメチルアクリレートなどの化合物を選択すべきであることに留意すべきである。官能性モノマーは、通常、約1%〜約20%の範囲で供与される。
【0072】
架橋剤を含むことも好ましい。架橋剤には、ブチルチタネート、ポリブチルチタネート、酢酸亜鉛アルミニウム(aluminum zinc acetate)及び他の多価金属、メチロール尿素及びメラミンを挙げることができる。一般に、架橋剤は、接着剤の約0.005%〜約2%の量で供与される。
【0073】
架橋は、多くの要因に依存して様々に行うことができる。最も重要なことに、架橋は、架橋剤の作用様式に依存する。市販のアクリルポリマー接着剤処方物の大部分は、処方物の乾燥時に活性化される架橋剤を使用する。これらの薬剤を活性化するのは、熱ではなく、例えば蒸発又は乾燥による溶媒の除去である。これらの溶媒を除去するための乾燥は、完全に慣用の条件下、例えば100〜140°Fで行うことができる。ある種の処方物は、架橋剤を含まない処方で市販されていることに留意すべきである。例えば、GELVA 1430は、架橋剤を含まないこと以外はGELVA 1753と同じものである。これは、架橋剤が必要でない状況(例えば非常に低濃度の薬物が使用される場合)に対応させるか又は異なる作用様式を有する架橋剤を選択することを可能にする。
【0074】
本発明は、以下の実施例を参照して理解することができる。
【実施例】
【0075】
実施例1
4オンスのガラスジャー中で、エストラジオール半水和物と200プルーフ(200 proof)のエチルアルコールとを超音波処理することにより、活性エストラジオール混合物を製造した。ポリビニルピロリドン、ヒュームドシリカ、プロピレングリコール及びDuroTak(登録商標)87−2194接着剤を添加し、圧縮空気駆動ミキシングブレードを使用して、混合物を混合した。活性混合物を、Medirelease(登録商標)2226上に皮膚接触層として、ウェットで、18milの厚さにロール式ナイフ塗布し、その後、54℃で5分間、85℃で8分間乾燥させた。アンカー層は、Medirelease(登録商標)2226上に8milの厚さにウェットで塗布されたプラセボポリイソブチレンであり、これは、54℃で5分間、85℃で8分間乾燥させ、その後、0.5milのPETと重ね合わせた。剥離ライナーを、ポリイソブチレンアンカー層から剥がした。アンカー接着剤と同一寸法のCoTran(登録商標)9711のピースを露出したアンカー接着剤上に置いた。CoTran(登録商標)9711を備えたアンカー層を、200プルーフのエチルアルコールの浴中に、2分間浸した。アンカー層を浴から取り出した。次いで、活性皮膚接触層を、エチルアルコールを含浸させた露出した膜上に重ね合わせた。パッチを打ち抜き、Barexパウチングで、パウチにいれた。パッチは、インビトロで送達「スパイク」を示した。
【0076】
実施例2
エストラジオール半水和物が、分散するまで(約3分)、エストラジオール半水和物とエタノールとを超音波処理することにより、活性接着剤混合物を製造した。ポリビニルピロリドンを予混合物に添加し、溶解させた。次に、プロピレングリコールを添加し、回転させた。最後に、DuroTak(登録商標)87−2194接着剤及びヒュームドシリカを添加した。ガラスジャー中で、圧縮空気駆動ミキシングブレードを使用して、混合物を混合した。その後、混合物をジャーロラー上で一晩回転させ、ガス抜きした。活性接着剤混合物を、Medirelease(登録商標)2226上に、2回ロール式ナイフ塗布した。アンカー層は、ウェットで8milの厚さに塗布され、皮膚接触層は、ウェットで、19milの厚さに塗布された。両方の層を、41℃で4分間、77℃で4分間乾燥させた。パッチを完成させるために、アンカー層は、Mediflex(登録商標)1000に重ね合わせた。剥離ライナーを、アンカー層から剥がした。9%のエチレンビニルアセテート膜(2.0mil)を、エチルアルコール浴中に膜を沈めることにより、200プルーフのエチルアルコールで飽和させた。飽和した膜を、浴から取り出し、アンカー層の接着側に置いた。皮膚接触層(接着側)を、露出したエタノール含有膜上に重ね合わせた。この製剤は、インビトロで送達「スパイク」を示した。
【0077】
実施例3
エストラジオール半水和物(0.41g)を200プルーフのエチルアルコール(3.09g)中で3分間、超音波処理することにより、活性混合物を製造した。ポリビニルピロリドン(1.04g)を予混合物に溶解させ、3分間超音波処理した。プロピレングリコール(4.80g)、DuroTak(登録商標)87−2194(60.79g)及びヒュームドシリカ(0・17g)を、予混合物に添加した。圧縮空気駆動ミキシングブレードを使用して、混合物全体を、3分間混合した。その後、ガラスジャーをジャーロラー上で一晩回転させ、ガス抜きをした。ラミネートは、Medirelease(登録商標)2249上に、ウェットで14milの厚さに、ロール式ナイフ塗布し、被膜重量55.0g/m2が得られた。ラミネートを、41℃で4分間、77℃で4分間乾燥させた。第一のラミネートを、アンカー層として、Mediflex(登録商標)1500支持材と重ね合わせた。剥離ライナーを、アンカー層から剥がした。1枚のDSM Solupor 10P05A膜は、200プルーフのエチルアルコール浴中に、少なくとも1分間、沈めた。膜を、浴から取り出し、柔らかい雑巾で拭って、過剰のエチルアルコールを除去した。外気中に1分間置いた後、湿った膜を、アンカー層の露出した接着剤上に置いた。第二のラミネート(皮膚接触層)を、露出したエチルアルコール含有膜上に、直接に重ね合わせた。適切なサイズのパッチを、直接にラミネートから打ち抜き、ポリエチレンパウチング材料中に封入した。この製剤は、インビトロで送達「スパイク」を示した。
【0078】
実施例4
酢酸エチル中のアルブテロールスルフェートを4オンスのガラスジャー中で5分間、超音波処理することにより、活性混合物を製造した。鉱油、ラウリルアルコール及びラウリン酸を予混合物に添加した。ポリイソブチレン接着剤をジャーに添加し、混合物を、圧縮空気駆動ミキシングブレードを使用して、3分間混合した。その後、混合物をジャーロラーで回転させ、ガス抜きをした。混合物を、Medirelease(登録商標)2226上に、ウェットで10milの厚さに、2回塗布し、55℃で5分間、85℃で8分間乾燥させた。一つのラミネートを、Mediflex(登録商標)1500支持材と重ね合わせ、剥離ライナーを剥がした。CoTran(登録商標)9711の7cm2ピースを露出した接着剤上に置いた。CoTran(登録商標)9711の各ピース上に、50μlの1−オクタノールをピペットで添加した。他のラミネートを、1−オクタノールを含浸させたCoTran(登録商標)9711上に重ね合わせ、10cm2のパッチを打ち抜いた。パッチを即座にパウチに入れた。インビトロでの流束ラグタイム(flux lag time)は、1−オクタノールを含浸させた膜を備えない対照と比較して短縮された。
【0079】
実施例5
酢酸エチル中のアルブテロールスルフェートを3分間、4オンスのガラスジャー中で超音波処理することにより、活性混合物を製造した。鉱油及びラウリン酸を予混合物に添加した。ポリイソブチレン接着剤をジャーに添加し、混合物を、圧縮空気駆動ミキシングブレードを使用して、3分間混合した。その後、混合物をジャーローラーで回転させ、ガス抜きをした。混合物を、Medirelease(登録商標)2226上に、2回塗布し(50g/cm2)、55℃で5分間、85℃で8分間乾燥させた。一つのラミネートを、Mediflex(登録商標)1500支持材と重ね合わせ、剥離ライナーを剥がした。ラウリルアルコールを含浸させたCoTran(登録商標)9711の10cm2ピースを露出した接着剤上に置いた。第二のラミネートを、ラウリルアルコールを含浸させたCoTran(登録商標)9711上に重ね合わせ、10cm2のパッチを打ち抜いた。
【0080】
本明細書中の発明は、特定の実施形態に準拠して記載されるが、これらの実施形態は、本発明の原理及び適用の単なる一例にすぎないと理解されるべきである。そのため、発明の具体例に対し多数の変更をなすことができ、かつ添付の請求の範囲により定義される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、他のアレンジを考案できると理解すべきである。
【0081】
本発明は、種々の医薬化合物の経皮投与に関し、最も詳細には、それを必要とする患者への薬物投与の量及び速度を制御することに関する。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】従来技術による液体リザーバ経皮デバイスの拡大側面断面図である。
【図2】本発明による経皮デバイスの拡大側面断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の皮膚又は粘膜に活性薬剤を送達するための経皮送達システムであって、支持層と、前記支持層の内側に配置されたポリマー膜と、前記患者の前記皮膚又は粘膜に前記経皮送達システムを貼付するための接着剤層と、前記患者の前記皮膚又は粘膜に前記経皮送達システムを貼付する前に前記接着剤層を覆うための剥離層とを含み、前記ポリマー膜には、前記ポリマー膜を通って前記患者の前記皮膚又は粘膜に前記活性薬剤を移送する速度を変えるための所定量の流体媒体が含浸されており、前記所定量の前記流体媒体は、前記ポリマー膜の乾燥時に前記ポリマー膜に保有される前記流体媒体量より実質的に多い、経皮送達システム。
【請求項2】
前記流体媒体が、前記活性薬剤のための溶媒、前記活性薬剤のための促進剤、前記活性薬剤のための賦形剤及び前記活性薬剤からなる群から選択される液体を含む、請求項1に記載の経皮送達システム。
【請求項3】
前記接着剤層が、第一の接着剤層を含み、かつ前記支持層と前記ポリマー膜との間に配置される第二の接着剤層を含む、請求項1に記載の経皮送達システム。
【請求項4】
前記第一の接着剤層と第二の接着剤層とのそれぞれが、アクリル、シリコーン、ポリイソアルカリ、ゴム、酢酸ビニル、ポリイソブチレンゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン、セルロース誘導体、多糖類、ポリウレタンエラストマー及びポリエステルエラストマーからなる群から選択される接着剤を含む接着マトリックスを含む、請求項3に記載の経皮送達システム。
【請求項5】
前記接着剤が、アクリル、シリコーン、ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、及びポリイソブチレンからなる群から選択される、請求項4に記載の経皮送達システム。
【請求項6】
前記接着剤が、アクリル接着剤を含む、請求項5に記載の経皮送達システム。
【請求項7】
前記流体媒体が、前記活性薬剤のための溶媒を含む、請求項2に記載の経皮送達システム。
【請求項8】
前記溶媒が、C2〜C8アルコールを含む、請求項7に記載の経皮送達システム。
【請求項9】
前記第一の接着剤層が、前記活性薬剤を含む、請求項4に記載の経皮送達システム。
【請求項10】
前記第二の接着剤層が、前記活性薬剤を含む、請求項4に記載の経皮送達システム。
【請求項11】
前記第一の接着剤層と第二の接着剤層との両方が、前記活性薬剤を含む、請求項4に記載の経皮送達システム。
【請求項12】
前記ポリマー膜が、親水性及び疎水性の、ポリマー及びコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項1に記載の経皮送達システム。
【請求項13】
前記ポリマー膜が、ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエーテルブロックアミド、ポリウレタン、ポリアミド、セルロース、セルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリシラン、及びポリシロキサンからなる群から選択される、請求項12に記載の経皮送達システム。
【請求項14】
前記流体媒体の前記所定量が、約0.5mg/cm2から10mg/cm2である、請求項1に記載の経皮送達システム。
【請求項15】
前記流体媒体の前記所定量が、約1mg/cm2から7mg/cm2である、請求項14に記載の経皮送達システム。
【請求項16】
前記流体媒体の前記所定量が、約3.0mg/cm2である、請求項15に記載の経皮送達システム。
【請求項17】
前記第一の接着剤層と第二の接着剤層とが、前記活性薬剤のための溶媒による可塑化に対し、少なくとも部分的に耐性のある接着剤を含む、請求項3に記載の経皮送達システム。
【請求項18】
患者の皮膚又は粘膜に活性薬剤を送達するための経皮送達システムであって、支持層と、前記支持層の内側に配置されたポリマー膜と、前記患者の前記皮膚又は粘膜に前記経皮送達システムを貼付するための接着剤層と、前記患者の前記皮膚又は粘膜に前記経皮送達システムを貼付する前に前記接着剤層を覆うための剥離層と、流体媒体とを含み、前記流体媒体の約25%〜100%が、前記ポリマー膜中に配置されるように、前記接着剤層と前記ポリマー膜とに分配される、経皮送達システム。
【請求項19】
前記流体媒体の約50%〜100%が、前記ポリマー膜中に配置される、請求項18に記載の経皮送達システム。
【請求項20】
前記流体媒体が、前記接着剤層に配置されるより大きい割合で、前記ポリマー膜中に配置される、請求項18に記載の経皮送達システム。
【請求項21】
前記流体媒体が、前記活性薬剤のための溶媒、前記活性薬剤のための促進剤、前記活性薬剤のための賦形剤及び前記活性薬剤からなる群から選択される液体を含む、請求項18に記載の経皮送達システム。
【請求項22】
前記接着剤層が、第一の接着剤層を含み、かつ前記支持層と前記ポリマー膜との間に配置された第二の接着剤層を含む、請求項18に記載の経皮送達システム。
【請求項23】
前記ポリマー膜が、前記流体媒体を5mg/10cm2より多く保有する容量を有する、請求項18に記載の経皮送達システム。
【請求項24】
前記流体媒体が、短鎖アルコールを含む、請求項23に記載の経皮送達システム。
【請求項25】
前記接着剤層が、アクリル、シリコーン、ゴム、スチレン−ブタジエンゴム、及びポリイソブチレンからなる群から選択される感圧接着剤を含む、請求項18に記載の経皮送達システム。
【請求項26】
前記感圧接着剤が、アクリル−酢酸ビニル樹脂を含む、請求項25に記載の経皮送達システム。
【請求項27】
前記ポリマー膜が、親水性又は疎水性の、ポリマー又はコポリマーを含む、請求項18に記載の経皮送達システム。
【請求項28】
活性薬剤を患者に送達するための経皮送達システムを製造する方法であって、
前記経皮送達システムを前記患者の皮膚又は粘膜に貼付するための接着剤層を調製するステップと、
ポリマー膜を設けるステップと、
前記ポリマー膜に、前記ポリマー膜を通って前記患者の前記皮膚又は粘膜に前記活性薬剤を移送させる速度を変えるための流体媒体を所定量含浸させるステップと、
前記ポリマー膜を乾燥させることなく前記接着剤層を乾燥させるステップと、
前記接着剤層を前記含浸ポリマー膜に適用するステップと、
支持層を設けるステップと、前記接着剤層と前記ポリマー膜を前記支持層の内側に組み込むステップと、
剥離性ライナーを前記接着剤層に隣接して設けるステップと、前記経皮送達システムを前記患者の前記皮膚又は粘膜に適用する前に前記接着剤層を保護するステップと
を含む、経皮送達システムの製造方法。
【請求項29】
前記流体媒体が、前記活性薬剤のための溶媒、前記活性薬剤のための促進剤、前記活性薬剤のための賦形剤及び前記活性薬剤からなる群から選択される液体を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記接着剤層が、第一の接着剤層を含み、かつ第二の接着剤層を、前記支持層と前記ポリマー膜との間に適用するステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
前記第一の接着剤層と第二の接着剤層とが、アクリル、シリコーン、ポリイソアルカリ、ゴム、酢酸ビニル、ポリイソブチレンゴム、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエン、セルロース誘導体、多糖類、ポリウレタンエラストマー及びポリエステルエラストマーからなる群から選択される接着剤を含む接着マトリックスを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記流体媒体が、前記活性薬剤のための溶媒を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項33】
前記活性薬剤のための前記溶媒が、C2〜C18アルコールを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記第一の接着剤層に、前記活性薬剤を添加するステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項35】
前記第二の接着剤層に、前記活性薬剤を添加するステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項36】
前記第一の接着剤層と第二の接着剤層とに、前記活性薬剤を添加するステップを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項37】
前記ポリマー膜が、親水性及び疎水性の、ポリマー及びコポリマーからなる群から選択されるポリマーを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項38】
前記ポリマーが、ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエーテルブロックアミド、ポリウレタン、ポリアミド、セルロース、セルロース誘導体、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリシラン、及びポリシロキサンからなる群から選択される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記液体組成物の前記所定量が、0.5mg/cm2から10mg/cm2である、請求項28に記載の方法。
【請求項40】
前記液体組成物の前記所定量が、1mg/cm2から7mg/cm2である、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記液体組成物の前記所定量が、約3.0mg/cm2である、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記第一の接着剤層と第二の接着剤層とが、前記活性薬剤のための溶媒による可塑化に対し少なくとも部分的に耐性のある接着剤を含む、請求項30に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−530217(P2008−530217A)
【公表日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−556252(P2007−556252)
【出願日】平成18年2月14日(2006.2.14)
【国際出願番号】PCT/US2006/005257
【国際公開番号】WO2006/091442
【国際公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(506053216)マイラン・テクノロジーズ,インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】