説明

制電性ポリエステル繊維

【課題】十分な制電性能を発揮し、しかもかかる性能が繰り返しの洗濯処理によって失われることがない、制電性ポリエステル繊維を提供する。
【解決手段】芳香族ポリエステルマトリックスに対し、(a)一般式(I)で表され、数平均分子量が5000〜25000のポリオキシエチレン系ポリエーテルが0.5〜2.0重量%、および(b)下記一般式(II)で表される有機スルホン酸金属塩が0.1〜1.0重量%含有されてなる制電性ポリエステル繊維。
【化1】


【化2】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、従来公知の制電性ポリエステル繊維に比して、洗濯耐久性に優れた高度な制電性を有し、アルカリ減量、染色などの高次加工工程での工程通過性が良好で、かつ操業安定性、品質安定性に優れた制電性ポリエステル繊維に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ポリエステルは、多くの優れた特性を有するために合成繊維として広く用いられている。しかしながら、ポリエステル繊維や羊毛や絹のような天然繊維、レーヨンやアセテートのような繊維素繊維、アクリル系繊維などに比較して疎水性であるため静電気は発生しやすく、静電気発生に伴うほこり付着や衣服のまつわりつきが起こるという欠点がある。
【0003】
かかる欠点を改良するため、ポリエステル繊維に制電性を付与する方法として、ポリオキシアルキレングリコールまたはこれらの誘導体のような帯電防止剤を含有させる方法(例えば、特許文献1:特公昭39−5214号公報、特許文献2:特公昭44−31828号公報など)や、ポリオキシアルキレングリコールに有機や無機のイオン性化合物を配合する方法(特許文献3:特公昭47−10246号公報など)、ブロックポリエーテルアミドを混合する方法(特許文献4:特公昭45−17547号公報、特許文献5:特公昭46−7461号公報など)が知られている。
【0004】
しかしながら、ポリエステルに上記のような制電剤を含有させて常法の溶融紡糸により制電性繊維を得るためには、大量の制電剤を含有させることが必要となり、そのためポリエステル繊維本来の優れた特性を損なう欠点がある。
【0005】
さらに、これらの方法によって得られる制電性ポリエステル繊維は、ポリエステル繊維の風合い改善のために一般に行われているアルカリ減量処理を施した場合、減量加工前に圧力を受けた部位が減量処理の間にフィブリル化し、染色した際に白く見えるという問題(以下「圧力減量白化現象」と称する)も生じる。
【0006】
これらの欠点を改良するため、特許文献6(特許第3217898号公報)には、ポリエステルマトリックスに対し、平均分子量が5,000〜16,000の非ランダム共重合型ポリオキシエチレン系ポリエーテルおよび有機金属塩を所定量含み、該ポリエーテルの分散状態を特定範囲に置くことで、高度の洗濯耐久性およびアルカリ減量、染色などの高次加工工程での工程通過性が良好で、操業安定性、品質安定性に優れた制電性ポリエステル繊維が開示されている。
【0007】
上記方法により、確かに各種性能に優れ実用性の高い制電性ポリエステル繊維が提供されることを本発明者らは確認しているが、如何せん、上述のポリエーテルの分散状態をコントロールする必要があり、そのためにある限定された製造条件を取らざるを得ず、用途・応用範囲の広がりという点に難があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特公昭39−5214号公報
【特許文献2】特公昭44−31828号公報
【特許文献3】特公昭47−10246号公報
【特許文献4】特公昭45−17547号公報
【特許文献5】特公昭46−7461号公報
【特許文献6】特許第3217898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記従来技術の有する問題点を克服し、優れた制電性と耐フィブリル性を両立し、いかなる製造条件であっても品質安定性の良好な制電性ポリエステル繊維を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討した結果、ある種のポリエーテルとある種の有機スルホン酸金属塩とを含むとき、いかなる製造条件であっても、良好な性能をもつ制電性ポリエステル繊維となることを見出し、本発明に至った。
【0011】
すなわち、本発明は、芳香族ポリエステルマトリックスに対し、(a)下記一般式(I)で表され、数平均分子量が5000〜25000のポリオキシエチレン系ポリエーテルが0.5〜2.0重量%、および(b)下記一般式(II)で表される有機スルホン酸金属塩が0.1〜1.0重量%含有されてなる制電性ポリエステル繊維に関する。
【0012】
【化1】

(式中、0≦ a + b ≦10、1≦ k ≦30、1≦ n ≦30)
【0013】
【化2】

(式中、1≦ n ≦30、Rは水素または炭素数1〜10のアルキル基、R’は炭素数2〜6のアルキレン基、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を示す。)
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、少ない制電剤量でも十分な制電性を有し、しかもかかる制電性能がアルカリ減量や洗濯を行っても失われることのない優れた耐久性を有するとともに、いかなる紡糸条件でも工程調子の長期間安定性および品質安定性が提供される制電性ポリエステル繊維が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の構成要件を詳述する。
本発明で用いるポリエステルは、芳香環を重合体の連鎖単位に有する芳香族ポリエステルであって、2官能性芳香族カルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とグリコールまたはそのエステル形成性誘導体との反応により得られる重合体である。
【0016】
ここでいう2官能性芳香族カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸などを挙げることができ、特にテレフタル酸が好ましい。
これらの2官能性芳香族カルボン酸は、2種以上併用しても良い。
なお、少量であれば、これらの2官能性芳香族カルボン酸とともに5−ナトリウムスルホイソフタル酸などを1種または2種以上併用することができる。
【0017】
また、グリコールとしては、エチレングリコール、ブチレングリコールの如き脂肪族グリコール、脂環族グリコール、あるいは芳香族ジオールおよびそれらの混合物などを好ましく挙げることができる。また、少量であれば、これらのグリコールとともに両末端または片末端が未封鎖のポリオキシアルキレングリコールを共重合することができる。
【0018】
好ましい芳香族ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの他、ポリエチレンイソフタレート・テレフタレートなどの共重合ポリエステルを挙げることができる。なかでも、機械的性質、成形性などのバランスの取れたポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
【0019】
かかる芳香族ポリエステルは、任意の方法によって合成される。例えば、ポリエチレンテレフタレートについて説明すれば、テレフタル酸とエチレングリコールを直接反応させるか、テレフタル酸ジメチルの如きテレフタル酸の低級アルキルエステルとエチレングリコールとをエステル交換反応させるか、またはテレフタル酸とエチレンオキサイドを反応させるかして、テレフタル酸のグリコールエステルおよび/またはその低重合体を生成させる第1段階、次いでその生成物を減圧下で加熱して所望の重合度になるまで重縮合反応させる第2段階の反応によって容易に製造される。
【0020】
なお、上記ポリエステルには、ポリエステル本来の物性を損なわない範囲で、他の熱可塑性ポリマー、例えばナイロン6などのポリアミド類、ポリエチレン、ポリスチレンなどのポリオレフィン類を含有させても良い。
【0021】
本発明においては、上記の芳香族ポリエステルに、上記一般式(I)で表されるポリオキシエチレン系ポリエーテルおよび上記一般式(II)で表される有機スルホン酸金属塩を含有させる。
【0022】
かかるポリオキシエチレン系ポリエーテルは、(CH2CH2O)からなるポリオキシエチレンブロックが主鎖を構成する。上記ポリエーテルは、ポリオキシエチレンの両末端に上記一般式(I)で表されるようなアルキル変性ポリオキシエチレンが共重合されていてもよい。上記ポリオキシエチレン系ポリエーテルは、ポリエステル繊維のマトリックス内に非相溶の筋状で凝集分散し、制電相(イオン導電相)を形成する。
【0023】
上記ポリオキシエチレン系ポリエーテルの数平均分子量は、5000〜25000の範囲にあればよい。数平均分子量が5000未満では、該ポリエーテルがポリエステル繊維中で十分な長さの筋状分散形態を取り難いばかりか、分子鎖両末端の水酸基のエステル形成性が高まってしまい、マトリックスとなるべきポリエステル内に共重合成分として取り込まれてしまう可能性もあり、好ましくない。
【0024】
また、一般式(I)におけるa + b、kは、それぞれ0≦ a + b ≦10、1≦ k ≦30の範囲にあることが必要である。これらの範囲を超えると、性能が低下する。この理由については定かではないが、ポリオキシエチレン系ポリエーテルの有機性(疎水性)が高まってしまい、ポリエステルマトリックスとの親和性が上がって制電相として十分な分散状態を取らなくなるものと推察する。
【0025】
上記ポリオキシエチレン系ポリエーテルの含有量は、芳香族ポリエステルに対して0.5〜2.0重量%、好ましくは0.8〜1.6重量%である。0.5重量%未満では制電相自体の体積が減るため、十分な制電性を発現し得ない。一方、2.0重量%を超える場合、制電性は向上するが、得られるポリエステル繊維の機械的性質、耐光性などの特性が損なわれ、さらにアルカリ減量した時の圧力減量白化現象が顕著になる。
【0026】
本発明においては、上記ポリオキシエチレン系ポリエーテルに併用して上記一般式(II)で表される有機スルホン酸金属塩が配合される。一般式(II)において、Rが水素または炭素数1〜10のアルキル基であること、が本発明において最も重要な要件を構成する。
【0027】
かかる有機スルホン酸金属塩は、分子鎖中腹に(CH2CH2O)からなるポリオキシエチレンブロックを含むことが特徴である。上記ポリオキシエチレンブロックを含むことで、制電相を形成する上記ポリオキシエチレン系ポリエーテルとの親和性が高まり、制電相中に有機スルホン酸金属塩を偏在化させることができる。さらに、Rを構成する炭素数が十分低いことが、性能の向上に寄与することを発見し、これら全てを組み合わせることで、従来の方法で抱えていた染色・洗濯などによる金属塩の脱落の問題に関しても、格段の向上が達成できることを、本発明者らは見出した。Rは、水素原子あるいは炭素数1〜10のアルキル基であり、好ましくは炭素数7未満のアルキル基である。炭素数が10を超えると、従来の方法で抱えていた染色・洗濯などによる脱落が顕著となる。その理由は定かではないが、炭素数が大きくなることでポリエステルマトリックスとの親和性も上がり、結果として制電相への偏在が起こりにくくなるからと思われる。
【0028】
また、一般式(II)において、R’は炭素数2〜6のアルキレン基、例えばエチレン、プロピレンなどである。さらに、一般式(II)において、Mは、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属、またはアルカリ土類金属である。
【0029】
また、一般式(II)におけるポリオキシエチレン単位の重合度は、1〜30の範囲にあることが必須である。重合度が30を超えると、十分な制電性が得られなくなる。本発明により得られるポリエステル繊維の制電性は、制電相中に存在するスルホン酸金属塩が金属イオンの解離を起こし、該金属イオンが制電相中をイオン伝導していくことで、帯電電荷を減衰させると考えられる。従って、解離する金属イオンの数が重要であり、上記ポリオキシエチレンの重合度を上げると有機スルホン酸金属塩の分子量が上がるため添加モル量自体が低下することとなり、解離金属イオン数が減少し、十分な制電性が得られない。一般式に示すRの炭素数を10以下とすることについても同様の原理を含むと思われる。
【0030】
上記有機スルホン酸金属塩の含有量は、芳香族ポリエステルに対して0.1〜1.0重量%とする必要があり、好ましくは0.3〜0.9重量%である。0.1重量%未満では、十分な制電性が得られず、逆に1.0重量%を超えると、制電性は良好となるが、得られるポリエステル繊維をアルカリ減量した時に圧力減量白化現象が顕著になる。
【0031】
なお、上記制電剤を含有するポリエステルには、さらに、ヒンダードフェノール系、サルファイド系、ホスファイト系の抗酸化剤やベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤などを配合することができる。例えば、抗酸化剤を配合した場合には、溶融紡糸工程での滞留などに起因する上記ポリオキシエチレン系ポリエーテルの熱分解に伴う制電性の低下を抑制することができる。
【0032】
上記抗酸化剤は、1種のみを単独で用いても2種以上を混合使用してもよく、配合量はポリエステルマトリックスに対して0.02〜1.0重量%が好ましい。
上記制電剤を含有するポリエステルには、その他必要に応じ、難燃剤、蛍光増白剤、酸化チタンなどの艶消し剤、着色剤、コロイダルシリカ、乾式法シリカ、コロイダルアルミナ、微粒子状アルミナ、炭酸カルシウム、リン酸カルシウムなどの不活性微粒子その他の任意の添加剤を、ポリエステルの合成開始時から紡糸工程までの任意の段階で、それぞれ別々にまたは予め混合して添加してもよい。
【0033】
また、ポリエステルマトリックスの極限粘度〔η〕(フェノール60重量%、1,1,2,2,−テトラクロロエタン40重量%の混合溶液中、20℃で測定)は、好ましくは0.55dL/g以上であることが好ましい。〔η〕が0.55dL/g未満では、紡糸口金を出た後の伸長粘度が小さすぎるため、上記のポリオキシエチレン系ポリエーテル鎖がポリエステル繊維中で十分な長さの筋状分散形態をとり難いために制電性能が不十分となったり、タフネスが劣って脆くなる傾向があるため、耐摩耗性が不十分となる。
【0034】
本発明の制電性ポリエステル繊維は、上記ポリオキシエチレン系ポリエーテルおよび有機スルホン酸金属塩、さらに必要に応じて抗酸化剤などを配合したポリエステルを、従来公知の紡糸装置を用いて紡糸することにより製造できる。この際、紡出糸のデニールは特に限定はないが、通常、0.1deから数deまでが適当である。また、紡糸速度も特に限定はなく、紡糸に引き続いて延伸、仮撚加工を施してもよい。
【0035】
例えば、500〜3,500m/分の速度で溶融紡糸し、延伸、熱処理する方法、1,500〜5,000m/分以上の高速で溶融紡糸し、用途によっては延伸工程を省略する方法などを採用することができる。
【0036】
本発明の制電性ポリエステル繊維の断面形状は、得られる不織布、織編物などの布帛・繊維製品の用途などに応じ、任意の形状とすることができ、円形の他、三角、扁平、星型、V形などが例示できる。また、中空部を有していてもよい。
得られた繊維またはこの繊維から製造された織編物には、適宜の親水化後加工を施してもよい。
【実施例】
【0037】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例および比較例中の部および%はそれぞれ重量部および重量%を示す。また、得られた制電性ポリエステル布帛の印加電圧半減期、耐フィブリル性は以下の方法で測定した。
【0038】
<印加電圧半減期>
筒編、およびJIS L 0217 103番に準じて洗濯30回相当分(L30と称する)洗濯した筒編を、20±2℃、65±2%RHの環境下で一昼夜以上放置して調湿したものを試験片とし、20±2℃、65±2%RHの雰囲気の部屋で、スタティックオネストメーターを使用して、JIS L 1094 5.1法に従って半減期を測定した。なお、半減期が10秒以下であれば制電効果は十分と判断される。
【0039】
<耐フィブリル性>
摩擦堅牢度試験用の学振型平面磨耗機を使用して、ウールを摩擦布として使用し、染色平織および減量染色平織を500gの荷重下で5,000回平面磨耗して、変色の発生の程度を変退色用グレースケールで判定した。耐摩耗性(耐フィブリル性)が極めて低い場合を1級とし、極めて高い場合を5級とした。実用上4級以上が必要である。
【0040】
実施例1
テレフタル酸ジメチル100部、エチレングリコール60部、酢酸カルシウム1水塩0.06部および整色剤として酢酸コバルト4水塩0.009部をエステル交換缶に仕込み、窒素ガス雰囲気下4時間かけて140℃から220℃まで昇温して生成するメタノールを系外へ留去しながらエステル交換反応させた。
エステル交換反応終了後、安定剤としてリン酸トリメチル0.058部、および消泡剤としてジメチルポリシロキサン0.024部を加えた。次いで、10分後、三酸化アンチモン0.04部を添加し、同時に過剰のエチレングリコールを追い出しながら240℃まで昇温した後、重合缶に移した。
【0041】
次いで、1時間かけて760mmHgから1mmHgまで減圧し、同時に1時間30分かけて240℃から285℃まで昇温した。減圧開始2時間後に、a + b = 5.5、k = 15で定められる数平均分子量9,600の上記一般式(I)のポリオキシエチレン系ポリエーテルを1.6%、n=8で数平均分子量600で定められる上記一般式(II)の有機スルホン酸金属塩を0.8%を50%エチレングリコール溶液の形で、それぞれ添加し、さらに1時間重合した時点で酸化防止剤としてイルガノックス1010(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)を0.4%添加し、引き続き20分間減圧下で重合させ、得られたポリマーを常法によりチップ化した。得られたポリマーの極限粘度は0.64dL/gであった。
【0042】
得られたチップを、紡糸温度290℃、孔径0.3mm、孔ランド長0.6mm、24ホールの口金より吐出量27.9g/分で吐出後、油剤を付与したのち、90℃の加熱ゴデットローラーと125℃の過熱ゴデットローラーを介して捲き取り、75デニール24フィラメントの延伸糸を得た。得られた延伸糸を筒編地および平織物となし、上記の方法により印加電圧半減期および耐フィブリル性を評価した。結果を表1に示す。
【0043】
実施例2〜9、比較例1〜8
ポリオキシエチレン系ポリエーテルの種類・量、有機スルホン酸金属塩の種類・量を表2に示すように変更する以外は、実施例1と同様の方法で実施した。
【0044】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明によれば、少ない制電剤量でも十分な制電性を有し、しかもかかる制電性能がアルカリ減量や洗濯を行っても失われることのない優れた耐久性を有するとともに、いかなる紡糸条件でも工程調子の長期間安定性および品質安定性が提供される制電性ポリエステル繊維が得られ、ランジェリー・ファンデーションなどの女性用インナー用途、裏地、無塵衣などの分野に広く応用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ポリエステルマトリックスに対し、(a)一般式(I)で表され、数平均分子量が5000〜25000のポリオキシエチレン系ポリエーテルが0.5〜2.0重量%、および(b)下記一般式(II)で表される有機スルホン酸金属塩が0.1〜1.0重量%含有されてなる制電性ポリエステル繊維。
【化1】

(式中、0≦ a + b ≦10、1≦ k ≦30、1≦ n ≦30)
【化2】

(式中、1≦ n ≦30、Rは水素または炭素数1〜10のアルキル基、R’は炭素数2〜6のアルキレン基、Mはアルカリ金属またはアルカリ土類金属を示す。)
【請求項2】
請求項1に記載される制電性ポリエステル繊維を用いてなる布帛・繊維製品。

【公開番号】特開2010−236147(P2010−236147A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−86056(P2009−86056)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(302011711)帝人ファイバー株式会社 (1,101)
【Fターム(参考)】