説明

制電性床材

【課題】長期にわたって安定的に、静電気の発生を抑えることができ、しかも、経済性と意匠性に優れた合成樹脂製の制電性床材を提供する。
【解決手段】合成樹脂からなる床材であって、床材は板状の基体からなり、該基体の全表面に凹凸を有しており、基体の単位面積にしめる凸部の上面面積合計値の比率(接触面積率)が、10〜70%であることを特徴とする制電性床材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制電性床材に関する。詳しくは静電気の発生を抑制可能な合成樹脂製の床材に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の合成樹脂によって形成された床材が、マンション、住宅、オフィスビル等のバルコニー、屋外廊下等を覆う部材として多く利用されている。これらの合成樹脂は電気絶縁性であるため、床材上を歩行する人の履物の底部と合成樹脂製床材との摩擦によって、人体に静電気が蓄積されやすく、特に、冬場等の湿度が低い季節には、人体に高電位の静電気が帯電する恐れがある。人体に蓄積された静電気が3kV以上になると、その電位よりも低い電位を有する金属等の導電物に人体が接触することで、放電され、人体は電撃を受けてしまう。
【0003】
そのため、静電気の除電方法としては、一般に界面活性剤等の帯電防止剤や、カーボン等の導電剤を床材の原料樹脂に添加する方法が行われている。しかしながら、多量にカーボンを混入することで、床材の意匠性が損なわれる問題がある。また、界面活性剤等の帯電防止剤を床材に添加した場合には、高温環境下に置かれることで、床材から帯電防止剤が蒸発してしまい効果がなくなる問題や、雨、紫外線等により床材から帯電防止剤が繰り返しブリードアウトし、床材に含まれている帯電防止剤が減少するために、制電効果がなくなる問題がある。尚、使用場所にもよるが、帯電防止剤は、通常、3ヶ月から1年間で完全にブリードアウトし効果がなくなってしまう。
【0004】
このような問題を解決するために、例えば、一方向に沿うように多数の開口部が複数の列状に配置された板状の基体が、この基体の裏面に一体的に設けられた支柱部によって支持されるようになった合成樹脂製床材であって、列状に配置された各開口部に対向するように前記基板の裏面に配置された導電性繊維が、前記基体の裏面の適当な部分に融着されている合成樹脂製床材の検討がなされている(例えば、特許文献1参照。)。
しかしながら、このような導電性繊維が配置されている床材では、構造が複雑であるため、製造の工程が煩雑であることから、製造コストが高い等、経済性が劣っている。
【0005】
【特許文献1】特開平9−242005号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このようなことから、本発明の課題は、長期にわたって安定的に、静電気の発生を抑えることができ、しかも、経済性と意匠性に優れた合成樹脂製の制電性床材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した。その結果、床材の基体の表面構造を下記構成とすることで、本発明の課題を解決できることを見出し、これに基づいて本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は以下により構成される。
〔1〕合成樹脂からなる床材であって、床材は板状の基体からなり、該基体の表面は全面に微細な凹凸を有しており、基体の単位面積にしめる凸部の上面面積合計値の比率(接触面積率)が、10〜70%であることを特徴とする制電性床材。
〔2〕凸部一個当りの上面面積が、0.1〜5mmである前記〔1〕項記載の制電性床材。
〔3〕基体の厚さが2.0〜10mmである前記〔1〕または〔2〕項記載の制電性床材。
〔4〕基体の表面の凹凸の高低差が、0.1〜1.5mmである前記〔1〕〜〔3〕項のいずれか1項記載の制電性床材。
〔5〕合成樹脂が、熱可塑性樹脂である前記〔1〕〜〔4〕項のいずれか1項記載の制電性床材。
〔6〕熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリ塩化ビニルから選ばれる少なくとも1種である前記〔5〕項記載の制電性床材。
〔7〕ポリエチレンが、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及び高密度ポリエチレンから選ばれる少なくとも1種である前記〔6〕項記載の制電性床材。
〔8〕ポリエチレンが、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとの混合物、または高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとの混合物である前記〔6〕項記載の制電性床材。
〔9〕制電性床材が、更に基体の下に支持体を有し、該支持体が一定の間隔をおいて設けられた支柱を有する構造を有する前記〔1〕〜〔8〕項のいずれか1項記載の制電性床材。
〔10〕基体と支柱を有する支持体とが一体成形され、基体と支持体とを貫通する通気・透水用の間隙部を有する前記〔9〕項記載の制電性床材。
【発明の効果】
【0009】
本発明の制電性床材は、板状の基体の表面全面に設けられた微細な凹凸が、人が床材を歩くときの履物と床材との接触面積を小さくので、静電気の発生を抑えることができる。帯電防止剤等の添加剤は、ブリードするために、耐電防止効果が低下するが、本発明の制電性床材は、その表面構造に特徴があるため、長期にわたって安定的に静電気発生を抑制する帯電防止効果を有する。更に、特別な添加剤、導電性繊維を必要としないことから、外観性、経済性に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の制電性床材は、合成樹脂からなる板状の基体からなり、該基体は表面の全面に微細な凹凸を有する。本発明において、床材の基体は人が床材を歩くときに該基材の表面が履物が接触しうる板状の部材である。尚、本発明において板状の部材とは、その表面が全面に微細な凹凸を有する完全な平面をなすものだけでなく、その表面が全面に微細な凹凸を有していれば雨水等が流去しやすいように緩やかな曲面をなすものであっても構わない。
【0011】
合成樹脂は電気絶縁性を有するため、合成樹脂からなる床材は摩擦等によって静電気が帯電し易い性質がある。静電気は別名「摩擦電気」とも言われていることから、摩擦による帯電を低下させるためには、人が床材を歩くときの履物と床材の接触面積を歩行に支障のない範囲で小さくする必要がある。このため、本発明の制電性床材では、板状の基体の表面に微細な凹凸を設けられる。
この凹凸は、基体を貫通する開口部として設けることも可能であるが、この場合には、基体の強度が著しく低下する恐れがあるため、基体表面の凹凸のみとすることが好ましい。
尚、開口部をもうける場合には、その面積は、板状の基体の全表面積の20%以下が好ましい。
【0012】
本発明においては、基体の表面全面に設けられる微細な凹凸において、基体の単位面積にしめる凸部の上面(凸部の上部の平坦部分)面積合計値の比率(接触面積率)は10〜70%、好ましくは25〜70%以下、より好ましくは35〜70%である。
また、凸部一個当りの上面面積は、好ましくは0.1〜5mm、より好ましくは0.1〜1.5mmであり、更に好ましくは0.5〜1.5mmである。
接触面積率、及び凸部一個当りの上面面積が上記の範囲内であれば、歩行時の履物と基体の接触面積が小さくなり、静電気の帯電が低下しやすい。基体の接触面積率が上記の範囲内であっても、基材表面に微細な凹凸のある部分と平坦で微細な凹凸のない部分が混在すると、静電気の発生を抑制する効果、すなわち制電性が著しく低下するおそれがある。
尚、基体表面の単位面積当りの凸部の数は、特に限定はされず、接触面積率や凸部一個当りの上面面積等により適宜調整できるが、基体表面の単位面積当り、好ましくは5〜100個、より好ましくは35〜65個/cmを例示することができる。
【0013】
尚、上記の凸部一個当りの上面面積、接触面積率、及び基体表面の単位面積当りの凸部の数は、上記基材の任意の10個所から約1cmのサンプルを切り取り、それらの凹凸面をスタンプ用インク台に押し当てる等の方法で、凸部上面にインクを付着させ、それを捺印または版画の刷りの要領で紙に転写し、転写紙面から拡大投影機等を用いて凸部一個当りの上面面積、単位投影面積当り凸部の数を計測し、接触面積率を求め、更に凸部の数と接触面積率については10個所の平均を求め事ができる。また、サンプル上面全体にインクを付着させ、それを捺印または版画の刷りの要領で紙に転写し、転写紙面から拡大投影機等を用いて面積、個数を計測し、単位投影面積当りの数値を求めることもできる。
【0014】
本発明において、基体表面に施される凹凸の高低差(凸部上面と凹部の底との差)は、基体の原料や使用環境等により選択されるが、強度や耐久性等の観点から、好ましくは0.1〜1.5mm、より好ましくは0.3〜1.0mmである。
また、基体の厚さは、凹凸の高低差や耐久性等の観点から、好ましくは2.0〜10mm、より好ましくは2.5〜5.0mmである。基体の厚さは基体裏面から基材表面の凸部上面までの厚さをいう。
【0015】
本発明において、基体の原料としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等の合成樹脂が利用できるが、加工性の点から、熱可塑性樹脂が好ましい。
【0016】
本発明で使用される熱可塑性樹脂は、特に制限されず、ポリオレフィン樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン樹脂、AS樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、生分解性樹脂(ポリ乳酸樹脂、サクシネート樹脂等)等を例示することができる。なかでも、経済性、熱可塑性樹脂組成物の機械的特性や加工特性等の点からポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂が好ましい。本発明の制電性床材を構成する熱可塑性樹脂は、1種のみを使用してもよいし、複数種を混合して使用してもよい。
本発明において、基体における熱可塑性樹脂の含有率は、物理的強度等の観点から、好ましくは70〜100重量%であり、より好ましくは、80〜100重量%である。
【0017】
ポリオレフィン樹脂としては、高密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン等のポリエチレン、プロピレン単独重合体、プロピレンを主成分とするエチレン−プロピレン共重合体、プロピレンを主成分とするエチレン−プロピレン−ブテン−1共重合体等のポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリヘキセン−1、ポリオクテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1、ポリメチルペンテン、1,2−ポリブタジエン、1,4−ポリブタジエン等が利用できる。更にこれらの単独重合体に、単独重合体を構成する単量体以外のエチレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1または4−メチルペンテン−1等のα−オレフィンが共重合成分として少量含有されていてもよい。これらは、通常のチーグラーナッタ触媒から重合されたポリオレフィン樹脂だけでなく、メタロセン触媒から重合されたポリオレフィン樹脂であってもよい。これらのなかでも、本発明では、ポリエチレン、ポリプロピレンが特に好ましく利用できる。また上記ポリオレフィン樹脂を2種以上混合して使用してもよい。例えば、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンから選ばれる少なくとも1種を混合することが好ましく、具体的には、高密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとの混合物、または高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとの混合物が例示できる。
【0018】
本発明において、基体の原料となる合成樹脂には、必要に応じて、顔料、金属石鹸、帯電防止剤、耐候剤、酸化防止剤、抗菌剤、防腐剤、ロジン、石油樹脂、石油樹脂の誘導体、ワックス類、熱硬化性樹脂粉末、ゴム、熱可塑性エラストマー、相溶化剤、充填剤、可塑剤等の添加剤を添加することができる。
【0019】
本発明に用いられる充填剤としては、通常、合成樹脂製品に用いられている無機充填剤、有機充填剤等が利用できる。無機充填剤としては、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭化亜鉛、クレー、ケイ酸塩類等が利用できる。また、有機充填剤としては、例えば、木粉、竹粉、ケナフ、故紙を含むセルロース粉末、籾穀粉末、澱粉、フスマ、コーヒー穀粉末、茶穀粉末、おから、蒟蒻粉及びこれらの製造時に発生する副産物粉末等の植物由来の材料が利用できる。なかでも木粉が好ましく利用できる。これらは、単独で用いてもよく、また、複数の混合物として用いてもよい。これらの添加量は、床材の制電性、物理的強度を著しく低下させない範囲で選択する。
【0020】
本発明において、基体は上記の合成樹脂を成形することにより得られる。その製造方法は、特に制限されず、公知の合成樹脂成形法が用いられる。
合成樹脂が熱可塑性樹脂の場合、製造方法としては、通常、熱可塑性樹脂の加工に用いられる方法が利用でき、例えば、熱可塑性樹脂に必要に応じて上記の、添加剤を高速ミキサーやブレンダー等を用いて均一に混合し、更に必要に応じて押出機等で溶融混練してペレットにして成形材料にする。得られた成形材料を公知の成形方法を用いて制電性床材に成形する。
成形方法としては、射出成形法、押出成形法、圧縮成形法、カレンダー加工法等を挙げることができる。成形設備としては、通常、熱可塑性樹脂組成物の加工に用いられる設備であれば利用でき、例えば射出成形機、押出機、プレス機、カレンダー加工機等を挙げることができる。
【0021】
本発明の制電性床材は、基体をそのまま床材として歩行個所に敷設しても良いが、補強等のため基体の裏面に他のシート等を積層して床材として使用することもできる。
また、バルコニー、屋外廊下等のように雨水の排出や土埃の水洗除去が必要な個所に敷設する場合は、基体の裏面下に一定の間隔をおいて設けられた支柱を有する支持体を取り付けたり、更に雨水等の流去を容易にするため、基体と支持体とを貫通する通気・透水用の間隙部を設けた床材の形で用いることもできる。これら基体に支持体や間隙部を設けた床材は、射出成形により一体成形してユニット床材の形で製造することができる。一例を図1に示す。
尚、ユニット床材の場合、歩行個所での敷設を容易にするため、該床材の端に連接用の部材を一体成形することもできる。
【実施例】
【0022】
以下、実施例、比較例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。制電性床材サンプルの評価に用いた測定方法は次の通りである。
a)床材の基材表面における単位面積当りの凸部の数
(実施例の場合)
基材の任意の10個所から面積約1cmのサンプルを切り取り、その凹凸面をスタンプ用インク台に押し当てて、凸部上面にインクを付着させ、それを捺印の要領で紙に転写し、転写面から拡大投影機を用いてインク付着個数を計測し、各サンプルの単位投影面積当りの数値を求め、更に10個所の平均値を求め)床材の基材表面における単位投影面積当りの凸部の数とした。
(比較例の場合)
基材上面全体にスタンプ用インクを付着させ、それを版画の刷りの要領で紙に転写し、転写面から投影機を用いてインク付着個所の数を計測し、床材の基材表面における単位投影面積当りの凸部の数とした。
【0023】
b)凸部一個当りの上面面積
(実施例の場合)
基材の任意の10個所から約面積1cmを切り取り、その凹凸面をスタンプ用インク台に押し当てて、凸部上面にインクを付着させ、それを捺印の要領で紙に転写し、転写面から拡大投影機を用いて10サンプル中のインク付着個所の最小面積、及び最大面積を求めた。
(比較例の場合)
基材上面全体にスタンプ用インクを付着させ、それを版画の刷りの要領で紙に転写し、転写面から投影機を用いてインク付着個所の最小面積、及び最大面積を求めた。
【0024】
c)接触面積率
(実施例の場合)
基材の任意の10個所から面積1cmを切り取り、その凹凸面をスタンプ用インク台に押し当てて、凸部上面にインクを付着させ、それを捺印の要領で紙に転写し、転写面から拡大投影機を用いて各サンプルの単位面積当りのインク付着個所の合計面積を求め、更に10個所の平均値を求め接触面積率とした。
(比較例の場合)
基材上面全体にスタンプ用インクを付着させ、それを版画の刷りの要領で紙に転写し、転写面から投影機を用いてインク付着個所の合計面積を求め接触面積率とした。
【0025】
d)静電気の測定方法(屋外及び屋内)
市販黄色ゴム草履を履いた実験者が、床材サンプルの上で3分間歩行した後、人体電位計NK−3002を用いて、人体に蓄積した静電気の人体電位を測定した。尚、同時に、床材サンプルの表面湿度、表面温度を下記機器を用いて測定した。
機器を用いた。
(測定に用いた機器)
静電気測定装置:春日電機(株)製 人体電位計NK−3002
表面温度計(非接触):HORIBA社製 型式IT330
湿度計:室内乾湿度計
【0026】
【表1】

【0027】
実施例1〜2、比較例1〜2
(成形材料の作成)
高密度ポリエチレン(商品名:ノバテックHD、日本ポリエチレン(株))と低密度ポリエチレン(商品名:ノバテックLD、日本ポリエチレン(株))との4:6(重量比)の混合物に、成形材料の重量基準で、フェノール系酸化防止剤BHTを0.2重量%、ステアリン酸カルシウムを0.1重量%、炭酸カルシウム(商品名SST−40、(株)同和カルファイン製、平均粒径1.1μm)を15重量%の割合となるように添加し、それをヘンシェルミキサー(商品名)に投入し、混合攪拌した後に同方向回転型二軸押出機に供給し200℃で溶融混練してストランドとして押出し、これを冷却しカットしてペレット状の成形材料を得た。
【0028】
(床材の成形)
上記成形材料を日精樹脂工業(株)製の床材製造機(射出成形機、型式:ES7000、口径50mmの2軸押出機装備)のホッパーに供給し、シリンダーの温度を200℃、金型温度15〜20℃で上面用形状の異なる金型を用いて床材を成形した。
成形品は、外形寸法がタテ300×ヨコ300×厚さ4mmの板状で、表面(歩行時に履物と接触しうる面)が下記の形状の床材であった。これを屋外及び屋内に敷設して、前記d)の方法に従い、歩行時に発生する静電気を表1の条件で測定した。評価結果は、表2に示した。
尚、実施例及び比較例のサンプル上面形状(模様)の特徴は次の通りである。
実施例1:全面が細かい凹凸の多い石目調上面形状、凹凸の高低差は約0.5mm。
実施例2:全面が細かい凹凸の多いタイル(1mm角、角面取仕上げ)調上面形状、
凹凸の高低差は約0.5mm。
比較例1:凹凸が少なく接触面積率が不均一な木目調上面形状、連続する平坦部(年輪 相当部で幅1〜4mm、長さ約30cm)と凹凸部(年輪間相当部で幅1〜 10mm、長さ約10〜約30cm)とが交互にかつほぼ平行に混在。凹凸 の高低差は約0.5mm。
比較例2:凹部は目地のみの大きいタイル(9cm角、角面取仕上げ)調上面形状、
凹凸の高低差は約0.5mm。
【0029】
【表2】

【0030】
以上の結果から測定条件(1)のように静電気が人体に帯電しやすい環境下で評価した場合には、実施例1、2の通り、表面に細かい凹凸をつけた床材は、その上を歩行する人体との接触面積を減少させることで、制電防止効果が見られた。逆に、比較例1、2の通り、凹凸が少なく、接触面積が大きいために、制電防止効果は見られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0031】
マンション等のバルコニーだけでなく、電子材料、電子部品等の製造場所等の制電効果が必要な場所に設置が可能な床材として利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の制電性床材の構造の一例を示す図である。 (淡色部分:基体、濃色部分:支持体)
【符号の説明】
【0033】
1 基体(表面全面に凹凸あり)
2 支持体
3 支持体の支柱
4 間隙部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
合成樹脂からなる床材であって、床材は板状の基体からなり、該基体の表面は全面に微細な凹凸を有しており、基体の単位面積にしめる凸部の上面面積合計値の比率(接触面積率)が、10〜70%であることを特徴とする制電性床材。
【請求項2】
凸部一個当りの上面面積が、0.1〜5mmである請求項1記載の制電性床材。
【請求項3】
基体の厚さが2.0〜10mmである請求項1または2記載の制電性床材。
【請求項4】
基体の表面の凹凸の高低差が、0.1〜1.5mmである請求項1〜3のいずれか1項記載の制電性床材。
【請求項5】
合成樹脂が、熱可塑性樹脂である請求項1〜4のいずれか1項記載の制電性床材。
【請求項6】
熱可塑性樹脂が、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリ塩化ビニルから選ばれる少なくとも1種である請求項5記載の制電性床材。
【請求項7】
ポリエチレンが、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、及び高密度ポリエチレンから選ばれる少なくとも1種である請求項6記載の制電性床材。
【請求項8】
ポリエチレンが、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとの混合物、または高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとの混合物である請求項6記載の制電性床材。
【請求項9】
制電性床材が、更に基体の下に支持体を有し、該支持体が一定の間隔をおいて設けられた支柱を有する構造を有する請求項1〜8のいずれか1項記載の制電性床材。
【請求項10】
基体と支柱を有する支持体とが一体成形され、基体と支持体とを貫通する通気・透水用の間隙部を有する請求項9記載の制電性床材。

【図1】
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【公開番号】特開2008−63810(P2008−63810A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−242412(P2006−242412)
【出願日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【Fターム(参考)】