説明

削岩装置

本発明は、電動式作業装置、および電源網(18)への接続手段を備えた削岩機器に関する。削岩機器は、電圧レベルを必要に応じて高い電圧から低い電圧に、または低い電圧から高い電圧に変圧する変圧手段を含み、削岩機器(1)は電圧レベル(U1、U2)の大きさが異なる複数の電動式作業装置を備えている。削岩機器(1)は接続手段を備えて、電動式作業装置のいくつかに電源網(18)から直接給電を行い、また電動式作業装置の別のいくつかには変圧手段を介して給電を行う。このため、接続手段によって、電源網(18)から直接電力の供給を受ける作業装置をその電圧レベルに基づいて選択できる。

【発明の詳細な説明】
【発明の背景】
【0001】
本発明は、電動式作業装置および電源網への接続手段を備えた削岩機器に関するものである。
【0002】
一般に、削岩リグの作業装置は電動式である。そのような場合、作業段階時の少なくとも作業地点において、削岩リグは電源網に接続される。とくに、トンネル工事現場やその他の請負工事現場では、削岩リグは全工事作業工程において短期間だけ使用され、1つの現場での使用が終わると、削岩リグは別の現場で使用するために移送される。ある現場から別の現場への移送は、どちらの現場も電源網の電圧レベルが同じ場合にのみうまくいく。個々の現場の電源網の電圧レベルが異なる場合、電圧レベルを変圧器で変圧して削岩リグの作業装置に適応させなければならないが、実際には、そのような必要とされる変圧器の大きさ、その扱いにくさ、そしてそれに伴う経費の高さゆえに、削岩リグは、削岩リグに給電する電源網の電圧レベルがリグの作業装置に適応している現場でのみ使用される。
【発明の簡単な説明】
【0003】
本発明は、新規な削岩機器を提供することを目的とする。
【0004】
本発明に係る削岩機器は以下の点を特徴とする。すなわち、削岩機器は、電圧レベルを必要に応じて高圧から低圧に、または低圧から高圧に変圧する変圧手段を含み、削岩機器は、電圧レベルの大きさが異なった作業装置を備え、削岩機器は、電動式作業装置のいくつかに電源網から直接給電し、また電動式作業装置のいくつかには変圧手段を介して給電する接続手段を備える。そのため、接続手段によって、電源網から直接電力の供給を受ける作業装置をその電圧レベルに応じて選択できる。
【0005】
本発明の発想は、次の通りである。すなわち、電動式作業装置および電源網への接続手段を備えた削岩機器または削岩装置がさらに、電圧レベルを変圧する変圧手段も備えている。また、削岩機器は、少なくとも2つの異なる電圧レベルを有する電動式作業装置を備えていて、つまり、削岩機器は大きさの異なる電圧レベルを有する電動式作業装置を備えていて、なおかつ、削岩機器は、電動式作業装置のいくつかに電源網から直接給電し、また電動式作業装置のいくつかには変圧手段を介して給電する接続手段を備えている。これにより、少なくとも2つの異なる電圧レベルを有する電源網に接続して使用できる削岩機器を実現できる。しかしながら、変圧手段を介して電力が供給されるのは削岩機器の作業装置のうちのいくつかだけなので、削岩機器に設けられた変圧手段のサイズはさほど大きくない。変圧手段は好ましくは変圧器であり、その場合、電圧レベルを上げる際、または電圧レベルを下げる際に、同じ装置を利用できる。変圧器は簡単で信頼度の高い構造をしていて、本発明に係る用途において、その体積および重量も削岩機器に用いる変圧器として十分適したものである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
添付の図面にて、本発明の実施例のいくつかを詳しく説明する。
【図1】削岩リグを示す概略側面図である。
【図2】削岩リグの給電機構の線図を示す。
【0007】
明確にするために、各図は本発明のいくつかの実施例を簡略的に示す。各図において、同様の参照符号は類似の要素とみなす。
【発明の詳細な説明】
【0008】
図1は削岩リグ1を示し、削岩リグは1つ以上の採掘工事用の装置2を備えている。削岩リグ1は、駆動装置4によって移動可能な台車3を含んでいる。駆動装置4は、1つ以上の駆動モータ5と、駆動力を1つ以上の車輪7に伝達する1つ以上の伝動手段6とを含んでいる。駆動力伝達装置は機械的なギアシステムおよび機械的な伝動部材を含んでいてもよく、あるいは、駆動力伝達装置は油圧式または電動式でもよい。台車3は1本以上のブーム8を備えていてもよく、ブームは掘削工事用装置2に装備されていてもよい。図1に示す実施例では、第1ブーム8aは掘削用ブームであり、その外端には送りビーム10を含む削岩装置9が設けられていて、削岩機11が送り装置12によって送りビームに沿って動くものでよい。削岩機11は、衝撃パルスを工具に発生させる打撃装置13、および長手軸を中心に工具14を回転させる回転装置15を含んでいてもよい。削岩リグは、上述のような掘削用ブーム8aを複数本備えていてもよい。一例として、第2ブーム8bがあらかじめ掘削しておいた穴にロックボルトを挿入して掘削した岩窟を支持するボルト打設装置16を備えている様子が示されている。図1の実施例では、第3ブーム8cに掘削した穴を計測できる計測装置17が設けられている。別の掘削工事用装置2では、例えばシーリング材を岩盤に送入するための注入器、少量の爆薬を装填して掘削を行う装置、爆薬を供給する装置なども含んでいる。
【0009】
また図1は電源網18を概略的に示していて、電源網は固定的に構築してもよく、あるいは変更可能な電源網で構成されていてもよい。電源網18は、一般的に三相交流網である。削岩リグが作業地点にあるとき、リグの採掘工事用装置、油圧システム、および所要の補助システムは主に外部の電源網から入手可能な電気エネルギーを動力源とする。削岩リグ1は、1本以上の接続ケーブル19を使って電源網18に接続できる。接続ケーブル19はリール20に配設され、リールは用途に適したコネクタ21を備えていてもよく、コネクタは電源網18の電源コネクタに接続してもよい。もしくは、リール20およびケーブルは電源網18に関連して固定配設されていてもよく、接続ケーブル19は削岩リグ1に接続している。削岩リグ1はさらに接続装置22を備えていて、電源網18から供給される電力が接続装置を介して削岩リグ1の別の作業装置に伝達される。接続装置22の構成および動作について、図2に関連して詳細に述べる。
【0010】
第一に、接続装置22は、削岩リグ1を電源網18に接続させたり、削岩リグ1を電源網18から切り離したりする回路遮断器23を備えている。接続装置22は、変圧器25のどちら側を電源網18に接続させるかを選択するスイッチ24aおよび24bを備えている。スイッチ24aおよび24bは、スイッチ24a、24bの一方が閉じている場合、それに応じて他方が開くように配設されている。スイッチ24aおよび24bは、手動で制御されてもよい。また、スイッチ24aおよび24bは自動式でもよく、その場合各スイッチは給電電圧の測定値に基づいて自動的に制御される。
【0011】
図2において、符号26aないし26eおよび27は、削岩リグの種々の電動式作業装置を示している。例えば、符号26aおよび26cは採掘工事用装置2への電気の供給を示してもよく、すなわち、符号26a〜26cは電気モータから動力を受ける削岩リグ1の電源装置を表すものである。符号26bは、削岩リグ1の圧搾ポンプの電気モータを表すものである。符号26dもまた、削岩リグ1の水ポンプを表すものである。また、符号26eは例えばソケットを表すものであり、当該ソケットは液浸ポンプなどの補助機能を削岩リグ1に連結する際に使用されるものである。さらにまた、符号27は、削岩リグの低電圧補助機能、例えば制御装置に必要な光源または給電システムを表すものであり、それらは制御変圧器28を介して供給される。通常、制御変圧器は上記の補助機能の電圧を例えば24ボルトに変圧する。このように、接続装置22を通じて電力を受ける削岩リグの電動式作業装置は、例えば、削岩リグの採掘工事用装置2、その駆動装置4、圧搾ポンプ、ポンプ類、およびその他の補助装置、ならびにその他の類似の電動装置でよい。
【0012】
上記各装置の電圧レベルに関し、削岩リグ1の電動式作業装置は2種類の電圧レベルに分類され、図2では、これらのレベルをU1およびU2で示している。変圧器25も、電圧レベルU1から電圧レベルU2、またはその逆に変圧するためのものである。また、スイッチ24a、24bの状態も、電源網18の電圧レベルに応じて切り替えられる。電源網18の電圧レベルがU1のとき、スイッチ24aは閉じられ、スイッチ24bが開かれる。このような場合、電圧レベルがU1の電動式作業装置は電源網から直接電力を供給されるのに対し、電圧レベルがU2の電動式作業装置は変圧器25から電力を受け、変圧器は電源網の電圧レベルU1を電圧レベルU2に変圧する。
【0013】
また同様に、電源網18の電圧レベルがU2のとき、スイッチ24bが閉じられて、スイッチ24aが開かれる。このような場合、電圧レベルがU2の電動式作業装置が電源網から直接電力を供給され、電圧レベルがU1の電動式作業装置は変圧器25から電力を受け、変圧器は電源網の電圧レベルU2を電圧レベルU1に変圧する。
【0014】
したがって、どちらの場合も電動式作業装置のうちの数台のみが変圧器25から電力の供給を受ける。すなわち、変圧器25の規模を決める基準は、削岩リグの全電力よりも小さくなるようにすることである。採掘工事用装置2の電力、つまり、削岩リグの電源装置は30〜100kW程度である。圧搾ポンプの電力もまた、例えば5〜15kW程度である。その他の補助装置などの電力も、一般的に2〜3キロワット程度である。したがって、削岩リグの電力の総計は250kW程度である。このような削岩リグを2種類の電圧レベルで使用する場合、従来技術に係る方式では300kVAの変圧器が必要であろう。しかし本方式では、変圧器からの給電を必要とするのは何台かの電動式作業装置のみであり、この場合、変圧器の規模は例えば160kVAでよい。よって、変圧器の重量、およびとくに容量はかなり少ないままであり、それにより削岩リグに関連して本変圧器を配設することは、構造的にも経済的にも理にかなっている。
【0015】
また、電動式作業装置の電圧レベルをなるべく均等に2分するのが望ましく、それにより変圧器25の規模を削岩リグの全電力のほぼ半分程度に設定できる。好ましくは、総電力の大きい電動式作業装置の全合計電力が削岩リグの合計電力の75%を超えないように、好ましくは60%を超えないように、電動式作業装置を2つの電圧レベルに分ける。
【0016】
基本原則は、削岩リグの各電源装置を異なる電圧レベルに分けることであり、これは一般的に削岩リグの総電力の割合が最も多いためである。また、他の電気装置も配電ができる限り均等になるよう異なる電圧レベルに分けられる。削岩リグに設けられた電源装置の台数が奇数の場合、一方の電圧レベルには電源装置のみが含まれ、他の電動式作業装置はもう一方の電圧レベルに含まれる。例えば削岩リグが3台の電源装置を備えている場合、第1の電圧レベルには2台の電源装置が含まれ、第2の電圧レベルには1台の電源装置ならびに残りすべての電動式作業装置が含まれてよい。削岩リグが電源装置を1台しか備えていない場合、この装置は第1の電圧レベルに含まれ、残りのすべての電動式作業装置は第2の電圧レベルに含まれる。
【0017】
使用される電圧レベルの例として、第1の電圧レベルを1000V、そして第2の電圧レベルを690Vとしてもよい。別の例として、第1の電圧レベルを1000V、第2の電圧レベルを400Vとしてもよい。また、変圧器25は、その片側に2つの異なるレベルを設け、例えば中間タップを使ってこれを取り出すことができる。このような場合、変圧器の第1の側における電圧レベルは1000Vであり、変圧器のもう一方の側の電圧レベルは例えば690Vおよび400Vでよく、後者は中間タップから取り出す。
【0018】
場合により、本願に開示する特徴は、他の特徴に関係なくそれ自体を使用してもよい。反対に、必要に応じて本願に開示する各特徴を組み合わせて様々な組合せを実現してもよい。
【0019】
図面およびそれに関連する記述は本発明の発想を例示しているに過ぎない。本発明の細目を、本願請求項の範囲において変更してもよい。
【0020】
また、変圧器の代わりに、電圧レベルを高圧から低圧に変圧でき、また別の使用状況では低圧から高圧に変圧できる他のなんらかの装置を変圧手段として用いてもよい。このような方式は、例えば2つのインバータを用いることで実現してもよく、それに伴い、整流部、中間回路、および電圧レベルを上述のように選択できる逆変換部を含んでいてもよい。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動式作業装置、および電源網(18)への接続手段を備えた削岩機器において、該削岩機器(1)は、電圧レベルを必要に応じて高い電圧から低い電圧に、または低い電圧から高い電圧に変圧する変圧手段(25)を含み、該削岩機器(1)は、電圧レベル(U1、U2)の大きさが異なる電動式作業装置を備え、該削岩機器(1)は、前記電動式作業装置のいくつかに前記電源網(18)から直接給電を行い、また前記電動式作業装置のいくつかには変圧手段(25)を介して給電を行う接続手段を備え、該接続手段によって、前記電源網(18)から直接電力の供給を受ける作業装置をその電圧レベルに基づき選択できることを特徴とする削岩機器。
【請求項2】
請求項1に記載の削岩リグにおいて、前記変圧手段は変圧器(25)であることを特徴とする削岩リグ。
【請求項3】
請求項2に記載の削岩リグにおいて、前記変圧器(25)は第1電圧レベルを少なくとも2つの異なる電圧レベルに変圧するよう構成されていることを特徴とする削岩リグ。


【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2013−515882(P2013−515882A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−545366(P2012−545366)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【国際出願番号】PCT/FI2010/051086
【国際公開番号】WO2011/080391
【国際公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(506286478)サンドビク マイニング アンド コンストラクション オサケ ユキチュア (70)
【氏名又は名称原語表記】SANDVIK MINING AND CONSTRUCTION OY
【Fターム(参考)】