前方照射により検出を行う方法およびシステム
少なくとも一つの被検査サンプル(108)を受容し、前記少なくとも一つのサンプル(108)上に照射される励起放射線を受光し、サンプル放射線が発生するように適合された、測定チャンバ内に、測定領域(104)を有する、放射線検出システム(100)について示した。放射線検出システム(100)は、さらに、前記発生したサンプル放射線の検出用の、少なくとも一つの検出器素子(106)を有する。放射線検出システムは、前方照射システムであり、すなわち、励起放射線は、測定チャンバ内の測定領域(104)の第1の側に入射され、少なくとも一つの検出器素子(106)は、測定チャンバ内の測定領域(104)の第2の側に配置され、第2の側は、測定チャンバ内の前記測定領域(104)に対して、第1の側とは反対の側であり、第1の側と対面する側で、検出が生じる。検出システム(100)は、また、光学手段(112)を有し、この光学手段は、少なくとも一つの検出器素子(106)から遠ざかるように、励起放射線を誘導するように適合される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出の分野に関し、検出手段を必要とするあらゆる装置に関する。特に、本発明は、センサの分野に関し、特に、バイオセンサならびに/またはサンプルの化学的、生物的、および/もしくは生物化学的分析用の微小流体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微小流体装置は、ほとんどのバイオチップ技術の心臓部であり、例えば、血液系の流体サンプルの調製、およびこれらのその後の解析の両方に使用される。バイオセンサおよび微小流体装置を有する一体型装置は、例えば、DNA/RNAチップ、バイオチップ、遺伝子チップ、およびラボオンチップ(Lab-on-chip)という名称で知られている。特に、例えばマイクロアレイのような、高処理量スクリーニング配列は、化学的または生物化学的解析用の新たなツールの一つであり、例えば診断用に使用される。これらのバイオチップ装置は、小体積のウェルまたはリアクタを有し、この中で、化学的または生物化学的反応が行われ、微量液体の調節、搬送、混合、および保管が迅速かつ正確になされ、多くの所望の物理的、化学的、および生物化学的反応と解析が行われる。微量体積の検定を行うことにより、時間と、ターゲット、化合物および試薬のコストとの点で、有意な削減が可能となる。
【0003】
通常、バイオチップの蛍光信号の検出は、光検出システムを用いて行われ、このシステムは、光源、光学フィルタ、およびベンチトップ/ラボ機械に局在化されたセンサ(例えばCCDカメラ)を有し、存在する蛍光量が定量化される。そのようなセンサ10の概略図は、図1に示されており、図には、基板18上のサンプル16を照射する放射線源14が示されている。得られる蛍光信号は、光学機器22を用いて、検出器素子12に収集される。さらに、ベンチトップ/ラボ機械に使用される蛍光検出システムには、蛍光信号を取得し解析するため、通常、高価な光学部材が必要となる。通常の場合、励起放射線20をフィルタ処理するフィルタ、および蛍光応答から励起放射線を分離するフィルタ24が必要となる。特に、しばしば、励起スペクトル(吸収)と放射スペクトル(蛍光)の間のシフトが小さい(<50nm)場合があり、これらの光学システムに必要な感度を得るために、シャープな波長カットオフを有する高価な光学フィルタ、すなわち高選択性のフィルタが使用される。後者の場合は、図2に示されている。この結果から、蛍光をベースとした光学システムにおけるノイズの主要な原因は、励起光の(一部の)反射と、励起光の(レイリー)散乱である。
【0004】
分子診断のような多くの生物化学用途において、蛍光信号を検出する光センサまたは光センサ配列を有し、並列および独立に読み出すことが可能であり、各種(反応)条件下で、高処理量分析が可能となるバイオチップに対する要望がある。光センサが組み込まれたバイオチップの利点は、特に、オンチップ蛍光信号取得システムでは、例えばDNAチップハイブリッドパターンの分析のようなチップ解析において、速度と信頼性の両方が改善され、検定コストが抑制され、ポイントオブケア診断および路肩での試験(すなわち中央ベンチトップ機械が不要な試験)のような用途に対して、例えば、携帯式手持ち機器により、高い携帯性が得られることである。蛍光強度は、収集立体角の増加とともに増強され、中間境界の数、および対応する反射が低減される。
【0005】
ベンチトップ機械は、多目的のバイオチップ、および多重バイオチップを取り扱うことが可能となる。ベンチトップ機械の一部に光センサが備えられる場合、特定の検定用の特定のフィルタ組の取付に対する要求が高まるが、これは、各種励起および/または放射スペクトルを用いた蛍光ラベルの並列(多重)検出に影響を及ぼす。従って、オンチップ光センサの読み出しができることにより、柔軟な多目的ベンチトップ/機械が得られ、バイオチップ、ベンチトップ機械、およびこれらの組み合わせの標準化に向かって、途を切り開くことができる。しかしながら、フィルタが必要なため、バイオチップが高額となり、これは、使い捨てバイオチップを考慮した場合、特に問題となる。
【0006】
核酸リサーチ(Nucleic Acids Research)、32巻、2004年において、Fixeらは、一体化光センサを有するバイオチップを示している。検出システムには、励起光のフィルタ処理用の高額なフィルタが使用され、検出感度は、フィルタ処理により制限される。
【0007】
分子診断のような多くのバイオ技術用途において、温度制御コンパートメントの配列を有し、並列、独立に処理され、多目的化に適し、高処理量化が可能な生物化学モジュール(例えばセンサ、PCR)に対する要望がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、前方照射システムにおいて、放射線を検出する効率的なシステムおよび方法を提供することである。本発明の実施例の利点は、励起放射線と発生サンプル放射線を分離する高品質フィルタのような、経済的および労働集約的に高いコストを回避することができることである。また、本発明の実施例の利点は、発生サンプル放射線に対して、高い感度が得られることである。本発明の実施例の利点は、前方照射システムの効率的な検出が可能となることである。後者により、シリコンウェハまたは可撓性金属箔のような、不透明な検出器用の基板を使用することが可能となる。また、本発明の実施例の利点は、励起放射線によるセンサの直接照射が抑制されることであり、これにより、通常の場合、あまり高強度ではない、発生サンプル信号の検出が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的は、本発明の方法および装置によって達成される。
【0010】
本発明は、
少なくとも一つの被検査サンプルを受容し、前記少なくとも一つのサンプル上に照射される励起放射線を受光し、サンプル放射線が発生するように適合された、測定チャンバ内に、測定領域を有する放射線検出システムであって、
当該放射線検出システムは、さらに、前記発生したサンプル放射線の検出用の、少なくとも一つの検出器素子を有し、
前記励起放射線は、測定チャンバ内の前記測定領域の第1の側に入射され、前記少なくとも一つの検出器素子は、測定チャンバ内の前記測定領域の第2の側に配置され、
前記第2の側は、測定チャンバ内の前記測定領域に対して、前記第1の側とは反対の側であり、
当該放射線検出システムは、さらに、前記少なくとも一つの検出器素子から遠ざかるように、前記励起放射線を誘導するように適合された光学手段を有することを特徴とする放射線検出システムに関する。本発明の利点は、本発明の実施例では、励起放射線と得られた放射線を分離する選択フィルタが省略できることである。後者は、経済的および労働集約的コストの両方の低減につながる。得られた放射線は、例えば、蛍光放射線、リン光、化学発光放射線、フォトクロミズム放射線であっても良い。また、光学手段は、例えば迷光のようなバックグラウンド放射線を、少なくとも一つの検出器素子から遠ざかるように誘導するように適合されても良い。
【0011】
光学手段は、少なくとも一つの検出器素子を、実質的に励起放射線から遮蔽するように適合されたシールド手段を有しても良い。
【0012】
シールド手段は、少なくとも一つの検出器素子への励起放射線の直接照射を実質的に遮蔽するように適合された、第1のシールド素子を有しても良い。特定の実施例の利点は、前方照射放射線検出器を得る際に、少しの部品しか必要ではないことである。第1のシールド素子は、少なくとも一つの検出器素子に対して、制御により移動可能であっても良い。
【0013】
さらに、シールド手段は、第1のシールド素子によって散乱された励起放射線の少なくとも一部を、実質的に遮蔽するように適合された第2のシールド素子を有しても良い。
【0014】
本発明の特定の実施例の利点は、高い蛍光感度が得られることである。
【0015】
前記第1および第2のシールド素子の少なくとも一つは、少なくとも一つの検出器素子に対して、制御により移動可能であっても良い。
【0016】
シールド手段は、前記少なくとも一つの検出器素子に対して、制御により移動可能な少なくとも一つのシールド素子を有しても良い。前記制御により移動可能な少なくとも一つのシールド素子は、第1のシールド素子であっても良い。前記制御により移動可能な少なくとも一つのシールド素子は、第2のシールド素子であっても良い。また、前記制御により移動可能な少なくとも一つのシールド素子は、第1のシールド素子および第2のシールド素子であっても良い。
【0017】
前記制御により移動可能なシールド素子は、シールド素子により定まる平面内を移動可能であっても良い。「シールド素子により定まる平面」とは、シールド素子が実質的に延在する平面を意味する。
【0018】
当該検出システムは、複数の検出器素子を有し、さらに、前記制御により移動可能なシールド素子の動きを、前記複数の検出器素子の各々の活性と関連付ける制御器を有しても良い。本発明の実施例の利点は、少なくとも一つの検出器素子への励起放射線の間接的な照射が、実質的に抑制されることである。制御器は、複数の検出器素子の切り替えと、シールド素子の動きを同期化しても良く、複数の検出器素子が実質的に励起放射線から遮蔽されている際に、複数の検出器素子がオンにされる。
【0019】
制御により移動可能なシールド素子は、シールド素子によって定める平面に対して垂直な方向に、移動可能であっても良い。
【0020】
本発明の特定の実施例の利点は、検出感度がサンプルの放射効率に適合されることである。本発明の特定の実施例の利点は、少なくとも一つの検出器素子と第2の励起放射線遮蔽手段の間の空間が、検査サンプルの走査特性に応じて、制御され得ることである。
【0021】
シールド手段は、少なくとも一つのシールド素子を有しても良く、この素子は、設定可能なシールド素子であり、長期にわたって変化するシールドパターンを形成することが可能であっても良い。設定可能なシールド素子である、少なくとも一つのシールド素子は、第1のシールド素子、第2のシールド素子、または第1および第2のシールド素子であっても良い。
【0022】
変化するシールドパターンの形成が可能な、設定可能なシールド素子は、ディスプレイであっても良い。
【0023】
本発明の特定の実施例の利点は、自動的に、異なる検出器素子による放射線の検出が行われ得ることである。
【0024】
少なくとも一つの検出器素子から遠ざかるように、前記励起放射線を誘導するように適合された光学手段は、放射線屈折手段を有し、これにより、前記放射線は、少なくとも一つの検出器素子から遠ざかる位置に焦点化されても良い。
【0025】
前記放射線屈折手段は、少なくとも2つのレンズを有し、これにより、前記放射線が少なくとも一つの検出器素子から遠ざかる位置に焦点化されても良い。
【0026】
前記放射線屈折手段は、拡散反射手段に前記励起放射線を焦点化するように適合され、前記拡散反射手段は、励起放射線を、前記サンプルの方に拡散反射するように適合されても良い。本発明の特定の実施例の利点は、高い蛍光感度が得られることである。
【0027】
さらに、当該放射線検出システムは、励起放射線から、サンプル放射線をフィルタ処理する検出フィルタを有しても良い。検出フィルタは、少なくとも一つの検出器素子の前方に配置されても良い。
【0028】
第2のシールド素子は、第1のシールド素子に対して、前記第1のシールド素子の陰の領域に配置されるように設置されても良い。
【0029】
励起放射線は、実質的に平行化されていても良い。
【0030】
当該検出システムは、大面積電子技術に基づいて製作された配列を有しても良い。大面積電子技術は、アモルファスシリコン、低温ポリシリコン、および/または有機技術に基づく技術であっても良い。
【0031】
また本発明は、
サンプルからの放射線を検出する方法であって、
前記サンプルの第1の側から、励起放射線で、サンプルを照射するステップであって、これによりサンプル放射線が発生するステップと、
少なくとも一つの検出器素子を用いて、前記サンプルの第2の側から、サンプル放射線を検出するステップであって、前記第2の側は、前記第1の側とは反対の側であるステップと、
を有し、
当該方法は、前記サンプル放射線の検出に使用される前記少なくとも一つの検出器素子から遠ざかるように、前記励起放射線を誘導するステップを有することを特徴とする方法に関する。
【0032】
本発明の特定のおよび好適な態様は、独立請求項および従属請求項に記載されている。従属請求項からの特徴は、請求項に明確に記載されていない場合であっても、必要に応じて、独立請求項および他の従属請求項の特徴と組み合わされても良い。
【0033】
本発明の技術は、蛍光検出用の方法およびシステムのような、放射線検出用の方法および機器の改良された構成を含む。
【0034】
本発明の前述のおよび他の特性、特徴、ならびに利点は、添付図面を参照した以下の詳細な説明から明らかになろう。図面には、一例として、本発明の原理が示されている。この記載は、一例のみのため提供され、本発明の範囲を限定するものではない。以下に示す参照図は、添付図に対応している。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】従来技術によるバイオチップからの蛍光信号を検出する光学装置の概略的な図である。
【図2】従来技術による生物化学蛍光検定において、しばしば生じる低ストークスシフトによる、励起スペクトルと蛍光スペクトルの間の重なりを示す図である。
【図3】本発明の実施例による励起放射線誘導手段を有する検出システムの概略図である。
【図4a】本発明の実施例による、基板の反対側に配置された二重層シールド素子を有する、微小流体装置の前方放射線システムを示す図である。
【図4b】本発明の実施例による、基板の反対側に配置された二重層シールド素子を有する、微小流体装置の前方放射線システムを示す図である。
【図5】本発明の第1の態様の第1の実施例による、前方照射および単一シールド素子を有する微小流体放射線検出システムの概略図である。
【図6】本発明の第1の態様の第1の実施例による検出システムにおいて生じ得る、単一シールド素子を有する光検知微小流体装置用の前方照射システムでの、検出器素子の好ましくない照射を示した図である。
【図7】本発明の第1の態様の第2および第3の実施例による、空間的可変シールド手段を有する検知微小流体装置用の前方照射システムを示した図である。
【図8】本発明の第1の態様の第4の実施例による、2つの固定シールド素子を有する微小流体装置用の前方照射システムを示した図である。
【図9】本発明の第1の態様の第5の実施例による平行化光源、および2つの固定シールド素子を有する微小流体装置用の前方照射システムを示した図である。
【図10】本発明の第1の態様の第6の実施例による放射線屈折手段を有する微小流体装置用の前方照射システムを示した図である。
【図11】本発明の第2の態様による前方照射に基づいた、放射線の検出方法を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
異なる図において、同じ参照符号は、同様のまたは類似の素子を表す。
【0037】
本発明について、特に実施例およびある図面を参照して説明する。ただし、本発明は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。請求項において、いかなる参照符号も、請求項の範囲を限定するものと解してはならない。示された図面は、概略的なものであって、非限定的なものである。図において、いくつかの素子の寸法は、誇張して示されており、一例のため、スケールは示されていない。本願の明細書および特許請求の範囲において使用される「有する」という用語は、他の素子またはステップを排斥するものではない。単一の名詞を参照する際に、例えば、「一つの」、「その」という定冠詞または無定冠詞が使用されるが、これは、特に記載のない限り、複数の名詞を含む。
【0038】
また、明細書および特許請求の範囲における、第1、第2、第3等の用語は、同様の素子同士を区別するために使用され、必ずしも一連のまたは時系列的な順番で示されてはいない。使用されている用語は、適当な環境下で相互に互換可能であり、示された本発明の実施例は、示され記載されたものとは異なる他の手順でも作動することができることを理解する必要がある。
【0039】
また、明細書および特許請求の範囲における上部、底部、上方等の用語は、説明のため使用され、必ずしも相対的な位置を表してはいない。使用用語は、適当な環境下で、相互に互換可能であり、示された本発明の実施例は、示され記載されたものとは異なる他の配置でも作動することができることを理解する必要がある。
【0040】
本発明の異なる実施例および態様は、放射線、例えば電磁放射線の検出に関する。通常、放射線の検出は、例えば蛍光のような励起ビームで励起された際の、サンプルからの放射に関するが、本発明は、これに限られるものではない。励起放射線は、光、赤外、遠赤外、紫外、遠紫外の各波長範囲を有する電磁放射線を有しても良い。サンプルからの放射線放射は、例えば、発光ラベルターゲット粒子によって占有された基板上の占有サイトである、放射サイトであっても良く、これは、微小流体生物検出の際に、しばしば使用される。しかしながら、サンプルからの放射線を検出する方法およびシステムは、全ての種類の放射線の検出に関するものであっても良い。すなわち、必ずしも生物粒子である必要はなく、例えば、照射の際に光放射の発生につながる他の放射源、例えば、装置、サンプル、または表面の化学的もしくは構造的特徴物であっても良い。一例として、放射ラベル、例えば発光ラベルからの放射線の検出は、以下の実施例に示されている。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。通常サンプルは、液体または気体のような流体である。通常、サンプルは、検体混合物であっても良い。本発明の範囲に含まれる通常の放射プロセスは、蛍光過程、発光過程、化学発光過程、フォトクロミズム過程等である。
【0041】
放射線検出法は、サンプルの生物学的、化学的、または生物化学的解析のため利用される。通常の場合、そのような検出システムは、生物化学および分子生物物理学に適用される。現在の生物化学的方法は、しばしば、既に取り込まれた発光ラベルであり、チップ系の検定法は、生物化学的経験を変更することなく、既存の方法に、容易に取り込むことができる。例えば、タンパク質の発光ラベルは、生物科学において最も普遍的であり、毎年世界的に、数百の発光免疫学的検定が行われている。また、サンガー連鎖、および重合鎖反応(PCR)のような反応は、発光ラベル法が使用できるように適合されている。実際、医療診断用の高速成長技術である、リアルタイムでの定量PCR増幅(RQ-PCR)は、発光ラベルを用いて、高効率で行われている。この技術では、記録分子(例えば分子ビーコン)を用いた加熱処理の間、増幅生成物の存在が定量的に記録され、この記録分子により、同一装置内でリアルタイムで測定された光信号が発生する。記録された信号は、例えば(これに限定されるものではないが)細菌、または一組の細菌のような、特定の核酸分子の存在および濃度の指標となる。一般に、発光検出は、解析チップの多くの用途に使用され、例えば、DNA増幅の間の光ベーコン、表面上のラベル化タンパク質、および固定化またはハイブリッド化(ラベル化)核酸の発光検出に使用される。
【0042】
通常、生物検知プロセスまたは前述の関連するプロセスにおいて、発光検出のような、放射線検出を用いた検知プロセスでは、直接または間接的に、ターゲット分子に取り付けられた放射性ラベルが基本ベースとなっている。ターゲット分子は、例えばタンパク質、抗体、核酸(例えばDNR、RNA)、ペプチド、オリゴ糖もしくは多糖類、ショ糖、小分子、ホルモン、試薬、代謝体、細胞もしくは細胞片、組織片、等である。これらの分子は、通常、現物のサンプルである流体中、またはバイオセンサに導入される前に、予め処理された流体中で検出され、この処理には、例えば、希釈化、消化、老化、生物学的改質化、フィルタ化、バッファへの溶解が含まれる。現物の流体は、例えば、ほ乳動物サンプルおよび人サンプルのような実質的にいかなる有機体の、例えば、唾液、つば、血液、血漿、血清、間質液、尿、リンパ液、および膣分泌液、汗、精液などの生物学的流体、または飲料流体、環境流体、もしくは前処理サンプルから得られる流体のような、他の流体であっても良い。例えば、環境サンプルは、空気、農業用水、土壌サンプル、細菌兵器剤サンプル、研究サンプルであっても良い。流体は、例えば、生検、排泄物、食物、肥料、環境サンプルからの固体サンプル材料の成分を含んでも良い。例えば、核酸の場合、サンプルは、増幅反応の生成物であっても良く、これには、ターゲットおよび信号増幅の双方;精製遺伝子DNA、RNAタンパク質のような精製サンプル等;原サンプル(細菌、ウィルス、遺伝子DNA等)が含まれる。当業者には明らかなように、サンプルには、実質的にいかなる実験操作がなされても良い。
【0043】
本発明の態様の特定の実施例では、検出システムは、再利用可能な読み取りシステム、およびサンプルが内部に導入される使い捨てユニットを含む。使い捨てユニットは、通常、再利用可能な読み取りシステムにより読み出されるように適合される。検出システムの異なる部材は、再利用可能な読み取り装置の一部であっても良く、あるいは使い捨てカートリッジの一部であっても良い。例えば、励起放射線源の場合、測定チャンバ内のサンプル測定領域は、通常、結合サイトを有する基板を有し、光学部材および検出器素子が、使い捨てカートリッジの一部となる。本発明は、特に、そのような使い捨て検出システムに有益であり、励起放射線とサンプルから生じる放射線を識別するため、高価な高品質フィルタを使用する代わりに、これを使用することができる。
【0044】
第1の態様では、本発明は、例えば、サンプルからの発光信号のような放射線を検出するように適合された放射線検出器システムに関し、これにより、例えば、サンプル中の特定の成分の存在に関する、サンプルの定量的および/または定性的解析が可能となる。本発明の第1の態様の実施例の概略図は、図3に示されている。この図には、放射線検出システム100が示されており、このシステムは、励起放射線源102を有し、さらに、励起放射線源を受光するように適合された測定チャンバ内のサンプル測定領域104と、少なくとも一つの検出器素子106とを有する。サンプル測定領域104は、チャンバ形態であっても良く、または上部もしくは内部に配置されたサンプルサイトを有する基板であっても良い。これらのサイトは、被検出電磁放射線を放射する。あるいは、測定領域を有する測定チャンバは、さらに、例えば流体中の粒子の形態のサンプルを含む流体を有しても良く、このサンプルは、被検出電磁放射線を放射する。そのような検出システムでは、バイオセンサまたはPCR反応チャンバのような微小流体装置において、例えば蛍光信号のような、サンプルからの放射信号の光学的検出が可能となる。
【0045】
励起放射線源102は、例えば発光ラベルでラベル化されたターゲット分子のような、ターゲット粒子からの放射線を励起する、いかなる好適な励起源であっても良い。そのような励起放射線源102は、通常、いかなる好適な電磁放射線を発生しても良く、これに限られるものではないが、例えば、可視光、赤外、遠赤外、紫外、遠紫外の各波長範囲の電磁放射線であっても良い。通常の励起放射線源102は、平行化または非平行放射線源であっても良い。励起放射線源102は、例えば、発光ダイオード(LED)、レーザシステム、またはサンプルもしくはサンプル粒子を励起する電磁放射線のような放射線を提供することの可能な、いかなる他の種類の励起放射線源であっても良い。例えば、励起放射線が、発光応答を生じる電磁放射線の場合、本発明はこれに限られるものではないが、励起放射線の光波長は、通常、例えば、200nmから2000nmの範囲であり、あるいは例えば、400nmから1100nmの範囲である。励起放射線源102は、図3に示すような放射線検出システム100の一部であっても良く、あるいは放射線検出システム100の外部であっても良い。励起放射線源102は、照射される全領域に、一度に照射を行っても良く、あるいは走査により照射しても良い。励起放射線源102は、パルス源または連続源であっても良い。
【0046】
検出システム100に提供された測定チャンバ内の測定領域104は、通常、少なくとも一つのサンプル108を受容するように適合される。従って、通常、測定領域104は、少なくとも一つのサンプル108が解析される領域である。測定領域104は、通常、測定チャンバ内に設置される。測定チャンバは、放射線システムの一部であっても良いが、本発明は、これに限られるものではない。本発明におけるそのような解析は、通常、励起放射線を用いて、サンプル108またはその一部が励起されることにより生じた放射線の検出である。従って、少なくとも一つのサンプル108は、通常、励起放射線によって励起され得る放射サイトまたは放射中心を有する。そのような放射サイトまたは放射中心は、例えば、微小流体内の発光ラベルであり、これらのラベルは、被検出ターゲット分子に結合され、あるいはその一部となっている。本発明の実施例により評価され得るサンプルの例、および発光ラベルが使用される特定の例については、前述のように詳しく説明されている。測定チャンバ内の測定領域104は、サンプルを結合する基板110を有する。基板110の表面は、該表面に分子を付着させることにより改質され、この分子は、流体中に存在するターゲット分子の結合に適する。また基板110の表面は、いかなる他の適当な方法で改質されても良い。基板は、使用される場合、通常、透明である必要がある。励起放射線または発生サンプル放射線またはその両方のために、サンプルがどの側に配置されたかに応じて、この透明性が必要となる。あるいは、これらを組み合わせて、ターゲット分子の結合に適した表面が、追加の基板110とは異なる、検出システムの別の表面に提供されても良い。また、サンプル108は、測定チャンバ内の測定領域104に、いかなる適当な代替法で、例えば表面には結合されず、流体中に懸濁した状態で、存在しても良い。この場合、例えば、医療診断用の高速成長技術であるリアルタイム定量PCR増幅(RQ-PCR)において、発光ラベルを用いて、高効率で検出を行うことが可能になる。この技術では、加熱処理プロセスの間に、同装置内でリアルタイムで測定される光信号を発生する記録用分子(例えば、分子ビーコン)を用いて、増幅生成物の存在が定量的に記録される。記録された信号は、通常、特定の核酸分子、例えば(これに限られるものではないが)細菌または1組の細菌の存在および濃度の指標となる。
【0047】
また、測定チャンバ内の測定領域104は、測定チャンバ内の測定領域104の第1の側からの励起放射線を受光するように適合される。そのような励起放射線は、例えば、励起放射線源102から生じたものであっても良く、あるいは別のソース源からの、サンプル108またはその成分の励起に適したいかなる励起放射であっても良い。
【0048】
検出システム100の少なくとも一つの検出器素子106は、励起放射線によって生じた、サンプル108またはその成分からの放射線の検出に適した、いかなるタイプの検出器素子であっても良い。使用される検出器素子106は、サンプルまたはその成分において生じた放射線のタイプに依存する。例えば、サンプルまたはその成分において生じた光の発光放射線が使用される場合、検出器素子106の典型的な例は、例えば顕微鏡、CCDまたはCMOSカメラのようなカメラ、光検出器、例えば光ダイオードのようなフォトディテクタ、光トランジスタまたはその配列である。少なくとも一つの検出器素子106は、一つの検出器素子であっても、複数の検出器素子であっても良い。検出システム100に複数の検出器素子が存在する場合、検出器素子は、相互に離間して設置されても良い。複数の検出器素子は、単一の平面に配置されても良い。この場合、検出器素子は、検出器素子から離れた、検出器素子が存在しない領域を有しても良い。
【0049】
本発明の実施例では、少なくとも一つの検出器素子106は、測定チャンバ内の測定領域104の第2の側に配置され、この第2の側は、測定チャンバ内の測定領域104の第1の側とは反対の側であり、作動の際には、測定チャンバ内の測定領域は、第1の側から、励起放射線を受光する。換言すれば、少なくとも一つの検出器素子106は、測定チャンバ内の測定領域104に対して、励起放射線の受光側とは反対側に配置される。励起放射線は、検出システム100の、少なくとも一つの検出器素子106と対面する側から入射される。
【0050】
本発明の実施例では、検出器システム100は、さらに、光学手段112を有し、この光学手段は、少なくとも一つの検出器素子106から離れるように励起放射線を誘導するように適合され、励起放射線誘導手段112とも称される。さらに、励起放射線誘導手段112は、少なくとも一つの検出器素子106に照射される励起放射線を抑制しても良い。また、この手段は、迷光を、少なくとも一つの検出器素子106から離れるように誘導するように適合されても良い。本発明のある実施例では、励起放射線誘導手段112は、シールド手段を有しても良く、このシールド手段は、励起放射線が少なくとも一つの検出器素子106に照射されないように、励起放射線を遮蔽する。これらのシールド手段は、少なくとも一つの検出器素子106に照射される励起放射線を抑制するように適合された、1または2以上のシールド素子を有しても良く、あるいは、複数の検出器素子が存在する場合、励起放射線が検出器素子の少なくとも一つのサブセットに照射されること抑制する。シールド手段の配置位置は、調節可能であり、例えば実質的にシールド手段によって定まる平面の方向、およびこれに垂直な方向に、別個の検出器素子の遮蔽特性が適合され、あるいはシールド手段の配置位置は、測定サンプルの散乱特性に適合される。またシールド手段は、通常、少なくとも一つの検出器素子106から離れるように、励起光を誘導するように適合される。複数の検出器素子が存在する場合、シールド手段は、前記検出器素子106同士の間に、励起放射線を誘導するように適合される。シールド手段は、少なくとも一つの検出器素子106に照射される励起放射線を実質的に減衰しても良く、これは、例えば、光を散乱させることにより、または好ましくは励起放射線を吸収もしくは反射させることにより、行われる。また、シールド手段は、少なくとも一つの検出器素子106に照射される実質的に全ての放射線、すなわち励起放射線とサンプルから得られる放射線の両方を減衰しても良く、これは、例えば、光を散乱させることにより、または好ましくは放射線を吸収もしくは反射させることにより、行われる。後者は、例えば光放射線の黒を吸収もしくは反射させるシールド手段を構成することにより得られ、これは、例えば金属で構成され、好ましくは使用励起放射線に対して、高反射係数の金属で構成される。使用放射線に応じて、そのような金属は、例えば、アルミニウム、銀、クロム等であっても良い。シールド手段は、異なる方法で提供されても良い。シールド手段は、例えば、追加の基板に設置され、あるいは存在する場合、サンプルを受容するように適合された基板に提供され、あるいは検出器素子に設置された他の層に提供される。以下、2つの異なるシールド素子を有するシールド手段の場合を例に、説明する。この例は、平行光用に説明するが、シールド手段を実現する概念は、非平行光にも適用することができる。ただし、この場合、通常、シールド手段によって異なるシールドパターンが提供される。例えば、2つのシールド素子202、252は、図4aに示すように、透明基板150の対向する両側に構成され、あるいは図4bに示すように、一つのシールド手段252は、検出器素子を有する基板152の上に構成され、第2のシールド素子202は、サンプルを結合するために使用される基板でもある、別の基板154の上に層状化される。本発明は、これに限られるものではないが、後者の場合、シールド素子252は、例えば、通常の場合、示されている例では、横方向にずらして配置された透明スペーサ156を用いて、センサから分離されるが、平行光の場合は、フォトレジスト層のようなセンサの直上部に配置することが好ましい。あるいは、シールド素子252は、さらにフィルタ層としても機能する材料158を使用して、センサから分離しても良い。後者の場合、図4bの右側に示す2つの検出器素子106のように、スペーサ層がセンサを完全に覆うことにより、作動性が向上する。励起誘導手段112がシールド手段を有する、多くの特定の実施例については、後により詳しく説明する。
【0051】
いくつかの実施例では、励起誘導手段112は、放射線屈折手段を有しても良く、この手段は、励起放射線を少なくとも一つの検出器素子から離れるように誘導する。後者の場合、放射線屈折手段は、実質的に少なくとも一つの検出器素子106から離れた位置で励起放射線を焦点化し、これにより励起光が少なくとも一つの検出器素子106に照射されることが抑制される。複数の検出器素子が存在する場合、通常、屈折素子は、検出器素子同士間の領域に、光を焦点化するように適合され、通常、後者は、相互に離間されている。放射線屈折手段は、例えば、マイクロレンズの配列を有しても良いが、本発明は、これに限られるものではない。多くの特定の実施例については、後に詳細に説明する。
【0052】
本発明による実施例では、検出器素子106に照射される励起放射線が抑制されるが、サンプル108の解析は、未だ可能である。これは、通常、励起サンプルまたはサンプル成分は、異なる方向、例えば、全ての方向に放射され、発生サンプル放射線が少なくとも一つの検出器素子に到達し得るためである。
【0053】
本発明の実施例では、励起放射線による検出器素子106の直接照射、および想定される場合、間接照射は、十分に抑制され、発生したサンプル放射線の良好な検出が可能となるが、通常、発生したサンプル放射線の強度は、ソース源から形成された最初の励起放射線の強度に比べて、実質的に弱くなる。
【0054】
少なくとも一つの検出器素子106の上部に、フィルタが使用され、発生したサンプル放射線が、選択的に検出器素子に照射され、励起放射線が遮蔽されても良いが、後者は、十分な信号/ノイズ比を得る上で、必ずしも必要ではない。この結果、経済的および労働集約的に高コストなフィルタが回避されるという利点が得られる。しかしながら、そのような光学フィルタ(図3には示されていない)、例えば、通常検出器素子の上部に配置される2色性フィルタを設置することにより、発生したサンプル放射線を透過させたまま、検出器素子への励起放射線の入射をさらに抑制しても良い。フィルタは、実質的に低品質のものであっても良く、従って、図1および2の構成に使用されるものよりも実質的に低コストである。また、励起放射線源102は、励起フィルタ(図3には示されていない)を有しても良く、励起放射線源102からの追加の好ましくない放射線を回避することにより、システム特性がさらに向上する。
【0055】
本発明の実施例の利点は、少なくとも一つの検出器素子106を支持するサンプルが、不透明であっても良く、例えば金属または半導体基板であっても良いことである。また基板は、可撓性であっても良い。
【0056】
本発明の第1の態様の前述の記載について、異なる利点を示す別の実施例を用いて、さらに説明する。なお、異なる実施例の利用可能な特徴は、組み合わされても良い。
【0057】
本発明の第1の態様による第1の実施例では、検出システム200は、前述の利点および選択肢と同様の特徴を有するが、励起放射線誘導手段は、単一のシールド素子202を有するシールド手段を有し、少なくとも一つの検出器素子106での励起放射線の強度が抑制されることが好ましい。一例としてのシステムは、図5に示されている。システムは、励起放射線源102、測定チャンバ内の測定領域104、少なくとも一つの検出器素子106、および単一のシールド素子202を有する。単一のシールド素子202は、単一層放射線シールドであっても良い。これは、検出器素子106への放射線の直接照射が実質的に難しくなるように定形され、配置される。後者は、シールド部204、すなわち散乱部、吸収部、反射部、または励起放射線が通過するシールド素子内の吸収と反射特性の組み合わせ部により得られ、これがないと、直接、少なくとも一つの検出器素子に、すなわち励起放射線源と少なくとも一つの検出器素子の間にある単一の線接続部の位置に、励起放射線が到達してしまう。またシールド素子は、通常、シールド素子内に非シールド部206、すなわち非減衰または実質的に非減衰の部分を有し、この位置を通過した励起放射線は、少なくとも一つの検出器素子106には、直接到達しない。非シールド部は、非減衰材料で構成されても良く、または材料が提供されない部分であっても良い。あるいは、単一シールド素子は、単一平面内にある多数の別個のサブシールドで構成されても良い。
【0058】
「少なくとも一つの検出器素子に直接到達する」という用語は、励起放射線源から、少なくとも一つの検出器素子までの放射線経路、または励起放射線源から、検出システムの励起放射線の入口を介して、少なくとも一つの検出器素子106までの放射線経路が、単一の線で示される状況を表し、励起放射線経路の方向の変化が存在しないことを意味する。例えば、蛍光測定の場合、単一のシールド素子202は、単層光シールドであっても良く、このシールドは、励起光源からの励起光が、直接少なくとも一つの検出器素子に入射されることを抑制するように適合される。シールドは、吸収性材料、反射性材料、またはこれらの組み合わせで形成されても良い。図5には、非平行光源の状況が示されているが、システムは、平行光源用に適合されても良い。後者の場合、シールドおよび非シールド部の正確な位置は、別個に位置合わせされ、これにより検出器素子を直接照射から遮蔽することが可能になる。
【0059】
本実施例では、システムは、シールド手段を用いて、少なくとも一つの検出器素子106を励起放射線から遮蔽することにより、少なくとも一つの検出器素子106に入る励起放射線量が抑制されるように作動する一方、励起放射線は、例えばシールド手段と検出器素子の間に配置された、残りの液体中の励起サンプル材料を励起することは、依然として可能である。発生したサンプル放射線は、全ての方向に放射されるため、発生したサンプル放射線の相当量は、検出器素子に入る。この方法では、信号対ノイズ比に、相当なゲインが得られる。さらに図5には、任意のフィルタ208の使用が示されており、このフィルタを用いることにより、少なくとも一つの検出器素子106により検出される励起放射線強度がさらに抑制される。
【0060】
第1の態様による第2および第3の実施例では、本発明は、第1の態様による第1の実施例に示したような検出システムに関するが、この場合、シールド手段は、少なくとも2つのシールド素子202、252を有する。少なくとも2つのシールド素子202、252を使用することにより、単一シールド素子の端部での、励起放射線の反射により生じた励起放射線の好ましくない検出の問題に対処することができる。2つのシールド素子202、252の間には、サンプルは、存在しなくても良い。例えば、2つのシールド素子202、252の間には、透明基板、例えばガラス基板が存在しても良い。従って、2つのシールド素子の使用により、励起放射線の好ましくない検出の改善された抑制が提供される。単一のシールド素子202での励起放射線の反射の問題は、図6に示されている。第2および第3の実施例では、少なくとも2つのシールド素子202、252を有するシールド手段の提供によって、この問題が克服される。
【0061】
第2の実施例では、図7に示すように、第2のシールド素子252は、第1のシールド素子202と、励起放射線源102(または検出システムの励起放射線の入口部)の間に配置されても良い。この場合、第2のシールド素子252は、図6に示すような、第1のシールド素子202の端部からの励起放射線の反射を抑制するように配置され、これにより、励起放射線源102から、より少ない反射された励起放射線が、中央検出器素子106に到達する。このため、検出器素子の信号対ノイズ比が向上する。図7に示すように、第2のシールド素子252の存在位置では、励起放射線の好ましくない反射は、未だ他の検出器素子に到達する可能性があり、例えば、図に示されているような、第1のシールド素子202で反射された励起光は、図7において検出システムの右側にある検出器素子に到達する。第2の実施例では、後者は、検出器素子の活性および検出動作を、第2のシールド素子252のシールド部の位置の関数として制御することにより解決される。換言すれば、第2の実施例では、第2のシールド素子252は、空間的に可変の第2のシールド素子252であり、第2のシールド素子252のシールド部の位置を変化させることができる。第2のシールド素子252のシールド部の第1の空間位置では、励起放射線の好ましくない反射から実質的に遮蔽された、少なくとも一つの第1の検出素子が活性化される一方、励起放射線の好ましくない反射から実質的に遮蔽されない、少なくとも第2の検出器素子は、活性化されない。その結果、第2のシールド素子252のシールド部の空間位置は、最初に、励起放射線の好ましくない反射から遮蔽されていなかった検出器が、今度は遮蔽され、最初は遮蔽されていなかった検出器が遮蔽されるように変化する。次に、最初遮蔽されていなかった検出器素子を用いた検出が行われる。これらのいくつかのステップは、異なるタイミングで、各検出器素子が検出に使用されるように実施されても良い。
【0062】
空間的に可変な第2のシールド素子は、第2のシールド素子252に対して固定されたシールド部を有するシールド素子252であっても良く、これにより第2のシールド素子252は、可動となる。第2のシールド素子252は、制御可能な状態で可動であっても良い。そのような動きは、横方向、すなわちシールド素子の平面内の方向で行われても良い。あるいは、第2のシールド素子252の位置は、固定であっても良いが、この場合、第2のシールド素子252は、設定可能なシールド素子252であり、シールド部または非シールド部の異なる位置が、長時間にわたって提供される。そのような設定可能なシールド素子252は、例えば、液晶ディスプレイのような、透過性表示装置をベースとしても良い。設定可能なシールド素子に、特定のパターンを提供することにより、特定のシールドパターンが提供され、設定可能なシールド素子のパターンを変化させることにより、例えば、表示装置の異なる画素に、異なる設定を書き込むことにより、長時間にわたって、この位置が変化する。あるいは、そのような設定可能なシールド素子は、単一のシールド素子に近づくように使用され、シールドパターンは、所望の信号またはバックグラウンドレベルが得られるまで調節される。
【0063】
従って、第2の実施例では、追加の反射の問題は、第2のシールド素子252のシールド部の空間位置を、適正な検出器素子106の活性化と組み合わせて制御することにより解決される。第2の実施例では、検出システムには、制御器254が提供され、この制御器は、第2のシールド素子252のシールド部の空間位置、および別個の検出器素子106の対応する活性化を制御するように適合される。第2のシールド素子252のシールド部の空間位置を制御するステップは、設定可能なシールド素子上のシールドパターンを設定するステップと、第2のシールド素子の位置を移動させるステップのいずれかを有しても良い。
【0064】
第1の態様の第3の実施例では、第1の態様の第2の実施例に示したような検出システムは、同様の特徴および利点を有するが、励起放射線の追加の反射は、別個のシールド素子202、252に設置された特定のパターンによって、回避される。第1の態様の第3の実施例では、検出器素子に近接するシールド素子、例えば第2のシールド素子252のシールド部の寸法および位置は、検出器素子106から離れたシールド素子、例えば第1のシールド素子202によって形成される陰領域に、完全なシールド部が配置されるように選定される。換言すれば、検出器素子に近接するシールド素子252のシールド部は、励起放射線では直接照射されず、反射後、例えば、検出器素子106から離れたシールド素子202のシールド部の端部での反射後に、これに照射される励起放射線のみが遮蔽される。
後者の状況は、図8に示されている。シールド素子202、252のそのような選定の結果、実質的に励起放射線は、検出器素子106に入射されず、全ての検出器素子が同時に活性化され得るようになる。サンプルに到達する励起放射線、および励起に寄与する励起放射線の量は、第2の実施例よりも少なくなる。
【0065】
第1の態様の第4の実施例では、本発明は、同様の特徴、ならびに同様の選択肢および利点を有するいかなる前述の実施例に関連しても良いが、この場合、励起放射線源は、初期の励起放射線の入射方向が、シールド手段に対して垂直となるように平行化される。後者は、一例が図9に示されている。図9には、第3の実施例で示したような、2つのシールド素子202、252を有するシールド手段が示されており、励起放射線源102に最近接のシールド素子202の全ての端部での反射は、第1のシールド素子202の陰部にシールド部を有する第2のシールド素子252によって、検出器素子106に照射されることが抑制される。この方法では、励起源からの反射励起放射線は、いずれの検出器素子106にも到達しない。これにより、全ての検出器素子106の信号対ノイズ比が向上し、示された例では、この検出器素子が同時に活性化される。第1の態様による第4の実施例では、複数の検出器素子106が使用される場合、複数の検出器素子106同士の間には、光吸収手段または抗反射手段272が提供されても良く、これにより、励起放射線は、検出器素子106から離れるように誘導され、励起放射線の好ましくない反射が抑制される。また後者の場合も、信号対ノイズ比が向上する。そのような光吸収手段または抗反射手段272は、図9に一例として示されている。
【0066】
第1の態様の第5の実施例では、本発明は、同様の特徴ならびに同様の選択肢および利点を有する、前述のいかなる実施例による検出システムに関連しても良いが、この場合、少なくとも一つの検出器素子と最近接のシールド素子間の距離は、可変である。また、後者は、図9に示されている。少なくとも一つの検出器素子の最近接のシールド素子252の間の距離、すなわち間隔Dは、発生したサンプル放射線量の指標となり、これは、励起放射線により生じ、少なくとも一つの検出器素子106で検出される。最近接シールド素子252の、少なくとも一つの検出器素子106からの距離が遠くなるほど、最近接シールド素子252と少なくとも一つの検出器素子106の間に、より多くの励起可能なサンプルまたはサンプル成分が存在するようになり、より多くの発生サンプル放射線が、検出器素子106により検出されるようになる。間隔Dは、流体の光散乱特性に依存しても良く、流体の散乱特性が高まる場合、間隔Dは、抑制されることが好ましい。
【0067】
換言すれば、最近接のシールド素子252と少なくとも一つの検出器素子106の間の間隔を変化させることにより、光学的に励起される流体の体積を最大化することができる。例えば、後者において、平行化励起放射線源102が設置された場合、平行化励起放射線源102の散乱励起放射線からの、検出器素子106の直接照射の可能性が問題となり、特に、間隔が増加し、散乱の度合いが大きくなると、これが顕著になる。この場合、最近接シールド素子252と検出器素子106の間の距離を抑制することにより、散乱光が検出器に照射される問題が軽減される。同様のことは、非平行化光源の場合にも当てはまる。この場合も、散乱により、検出器への好ましくない光照射が生じる。
【0068】
第1の態様の第6の実施例では、本発明は、前述の検出システムに関係するが、この場合、少なくとも一つの検出器素子106から離れるように、励起放射線を誘導するように適合された励起誘導手段112は、放射線屈折手段を有する。そのような検出システム300は、図10に示されている。放射線屈折手段302は、少なくとも一つの検出器素子106と励起放射線源102の間に配置された、例えばレンズ配列であっても良い。放射線屈折手段302は、検出器素子106から離れるように励起放射線を誘導することにより、検出器素子106への励起放射線の直接照射を抑制する。複数の検出器素子106を使用する場合、励起放射線は、検出器素子106同士の間に誘導される。後者は、少なくとも一つの検出器素子106から離れた位置に、または検出器素子106同士の間に、励起放射線を焦点化する放射線屈折手段302により得られる。これにより、放射線屈折手段を用いない前の実施例に比べて、検出器素子106の寸法を増加させることができる。後者により、サンプルから生じた放射線の収集効率が向上する。放射線屈折手段302、例えばマイクロレンズ配列のレンズは、大きな開口数を有することが好ましく、これにより検出器素子106の上部に配置された、大きな体積のサンプルに、照射することが可能になる。
【0069】
必要な場合、放射線屈折手段302は、拡散反射手段304上に、励起放射線を焦点化しても良い。そのような拡散反射手段304は、例えば、拡散反射膜または拡散散乱表面であっても良いが、本発明は、これに限られるものではない。通常、拡散反射手段304に照射された励起放射線は、その後、再度サンプルの方に誘導され、これにより発生サンプル放射線が増加する。この方法では、発生サンプル放射線の検出効率は、より一層向上する。放射線屈折手段302によって、拡散反射された励起放射線が、検出器素子の方に再反射されることを回避するため、放射線屈折手段302には、抗反射コーティングが設置されても良い。また、この方法では、反射励起放射線は、いかなる検出器素子にも到達しなくなり、全ての検出器素子106において、これらが同時に活性化された場合であっても、信号対ノイズ比が向上する。
【0070】
第2の態様では、本発明は、励起放射線で励起された発生サンプル放射線を検出する方法に関係する。当該方法は、通常、測定チャンバ内の測定領域に、サンプルを提供するステップを有する。本発明による方法は、励起放射線でサンプルを照射するステップであって、さらに被検出用の発生サンプル放射線を形成するステップと、少なくとも一つの検出器素子で、発生サンプル放射線を検出するステップと、この際に、少なくとも一つの検出器素子から、励起放射線を遠ざけるように誘導するステップとを有する。照射および検出のステップは、サンプルの異なる側で行われ、すなわち、前方照射方が使用される。図11には、そのような方法400の一例が示されており、図には、放射線検出用の一方法における、標準的なステップおよび任意のステップが示されている。
【0071】
第1のステップ402では、検出システムの測定領域に、サンプルが提供される。後者は、測定チャンバ内の測定領域を、サンプルで充填するステップを有しても良い。しばしば、微小流体評価では、被解析混合検体と、捕獲プローブを有する基板の間を接触させるステップ、および弱結合成分を除去するための洗浄ステップが実施される。特定の結合放射レベル用のこれらのステップは、従来から良く知られており、ここではこれ以上説明しない。第1のステップ402は、当該方法の一部であっても、任意なものであっても良い。
【0072】
第2のステップ404では、サンプルが励起放射線で照射される。そのような放射線は、検出システムの外部の励起放射線源から生じても良く、あるいは検出システムの一部である励起放射線源から生じても良い。通常、サンプルに照射するステップは、サンプル中の励起放射粒子に対して、実施される。後者は、例えば、ターゲット分子に結合された発光もしくは蛍光ラベルであり、あるいはターゲット分子を有する発光もしくは蛍光粒子である。そのような照射は、連続モード、パルスモード、走査モード、励起可能なラベルを個々に同時に励起させる多重モード、これらの組み合わせ、または他の適当な方法で実施されても良い。
【0073】
通常、第2のステップ404と実質的に同時に実施される、第3のステップ406では、サンプル内の放射性粒子から生じた放射線である、サンプルからの放射応答が検出される。後者は、少なくとも一つの使用検出器素子から離れるように、励起放射線を誘導した状態で実施される。励起放射線を少なくとも一つの使用検出器素子から遠ざかるように誘導するステップは、励起放射線による直接照射から、少なくとも一つの検出器素子を遮蔽するステップ、および/または例えば、使用シールドの端部での、反射後の励起放射線から、少なくとも一つの検出器素子を遮蔽するステップを有しても良い。また、励起放射線を少なくとも一つの検出器素子から遠ざかるように誘導するステップは、励起放射線を少なくとも一つの検出器素子から離れた位置に焦点化するステップを有しても良い。後者は、例えば、励起放射線を屈折させることにより行われる。検出ステップは、励起放射線が最初に照射されるサンプルの側とは反対のサンプルの側から実施され、換言すれば前方放射法が採用される。
【0074】
第2の態様の特定の実施例では、少なくとも一つの検出器素子を、励起放射線による直接照射から遮蔽するステップは、第1のシールド手段および第2のシールド手段を使用することにより実施されても良い。第2の態様の特定の実施例では、少なくとも一つの検出器素子を遮蔽するステップは、異なる検出器素子の活性化を制御するステップ、および各検出器素子用の、少なくとも一つの装置のシールド部の位置を制御するステップを有しても良く、この場合、活性化および検出の時間の間、少なくとも一つの検出器素子のシールド部の空間位置は、検出器素子から励起放射線を遮蔽するように適合される。後者は、活性化され検出に使用される検出器素子に応じて、少なくとも一つのシールド装置のシールド部の空間位置を、長期にわたり変更するステップを有しても良い。少なくとも一つのシールド装置のシールド部の空間位置を変更するステップは、少なくとも一つのシールド装置を移動させるステップ、またはシールド素子が設定可能な装置であり、装置のシールドパターンの設定が可能な場合、少なくとも一つのシールド素子を設定するステップを有しても良い。
【0075】
第1の態様の実施例に示す検出システムは、第2の態様の実施例による方法の使用に適している。
【0076】
また、第2の態様の特定の実施例では、評価対象サンプルの散乱効率を適合させるため、少なくとも一つの検出器素子を遮蔽するステップは、シールド素子と少なくとも一つの検出器素子の間の距離を適合させるステップを有しても良い。
【0077】
本発明による実施例では、検出システムは、部材として、アクティブマトリクスの原理に基づく配列を有しても良い。そのような装置は、例えば、アモルファスシリコン(a−Si)、低温ポリシリコン(LTPS)のような既知の大面積電子技術、または有機技術の一つで製作されることが好ましい。TFT、ダイオード、またはMIM(金属−絶縁体−金属)は、アクティブ素子として使用することができる。アクティブマトリクス技術は、例えば、LCD、OLED、および電気泳動ディスプレイのような、多くのディスプレイ効果についての装置用のフラットパネル型ディスプレイの分野で使用される。この場合、使い捨て生物科学モジュールの製作の際に、コスト効果のある方法が提供される。これは、バイオチップまたは同様のシステムが、複数の成分を有する場合、成分の数のみが増えるため、装置は、より効率的となり、より多目的化されるという利点を有する。
【0078】
本発明の実施例の検出システムの目的を得るための他の配置は、当業者には明らかである。
【0079】
本発明による装置について、本願には、好適実施例、特定の構成、構成、および材料が示されているが、本発明の思想および範囲から逸脱しないで、形態および細部の各種変更または修正を行うことが可能であることが理解される。例えば、本発明の実施例では、検出システムおよび検出方法について示されているが、本発明は、第1の態様の第2の実施例に記載されているような、制御器にも関係する。
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出の分野に関し、検出手段を必要とするあらゆる装置に関する。特に、本発明は、センサの分野に関し、特に、バイオセンサならびに/またはサンプルの化学的、生物的、および/もしくは生物化学的分析用の微小流体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微小流体装置は、ほとんどのバイオチップ技術の心臓部であり、例えば、血液系の流体サンプルの調製、およびこれらのその後の解析の両方に使用される。バイオセンサおよび微小流体装置を有する一体型装置は、例えば、DNA/RNAチップ、バイオチップ、遺伝子チップ、およびラボオンチップ(Lab-on-chip)という名称で知られている。特に、例えばマイクロアレイのような、高処理量スクリーニング配列は、化学的または生物化学的解析用の新たなツールの一つであり、例えば診断用に使用される。これらのバイオチップ装置は、小体積のウェルまたはリアクタを有し、この中で、化学的または生物化学的反応が行われ、微量液体の調節、搬送、混合、および保管が迅速かつ正確になされ、多くの所望の物理的、化学的、および生物化学的反応と解析が行われる。微量体積の検定を行うことにより、時間と、ターゲット、化合物および試薬のコストとの点で、有意な削減が可能となる。
【0003】
通常、バイオチップの蛍光信号の検出は、光検出システムを用いて行われ、このシステムは、光源、光学フィルタ、およびベンチトップ/ラボ機械に局在化されたセンサ(例えばCCDカメラ)を有し、存在する蛍光量が定量化される。そのようなセンサ10の概略図は、図1に示されており、図には、基板18上のサンプル16を照射する放射線源14が示されている。得られる蛍光信号は、光学機器22を用いて、検出器素子12に収集される。さらに、ベンチトップ/ラボ機械に使用される蛍光検出システムには、蛍光信号を取得し解析するため、通常、高価な光学部材が必要となる。通常の場合、励起放射線20をフィルタ処理するフィルタ、および蛍光応答から励起放射線を分離するフィルタ24が必要となる。特に、しばしば、励起スペクトル(吸収)と放射スペクトル(蛍光)の間のシフトが小さい(<50nm)場合があり、これらの光学システムに必要な感度を得るために、シャープな波長カットオフを有する高価な光学フィルタ、すなわち高選択性のフィルタが使用される。後者の場合は、図2に示されている。この結果から、蛍光をベースとした光学システムにおけるノイズの主要な原因は、励起光の(一部の)反射と、励起光の(レイリー)散乱である。
【0004】
分子診断のような多くの生物化学用途において、蛍光信号を検出する光センサまたは光センサ配列を有し、並列および独立に読み出すことが可能であり、各種(反応)条件下で、高処理量分析が可能となるバイオチップに対する要望がある。光センサが組み込まれたバイオチップの利点は、特に、オンチップ蛍光信号取得システムでは、例えばDNAチップハイブリッドパターンの分析のようなチップ解析において、速度と信頼性の両方が改善され、検定コストが抑制され、ポイントオブケア診断および路肩での試験(すなわち中央ベンチトップ機械が不要な試験)のような用途に対して、例えば、携帯式手持ち機器により、高い携帯性が得られることである。蛍光強度は、収集立体角の増加とともに増強され、中間境界の数、および対応する反射が低減される。
【0005】
ベンチトップ機械は、多目的のバイオチップ、および多重バイオチップを取り扱うことが可能となる。ベンチトップ機械の一部に光センサが備えられる場合、特定の検定用の特定のフィルタ組の取付に対する要求が高まるが、これは、各種励起および/または放射スペクトルを用いた蛍光ラベルの並列(多重)検出に影響を及ぼす。従って、オンチップ光センサの読み出しができることにより、柔軟な多目的ベンチトップ/機械が得られ、バイオチップ、ベンチトップ機械、およびこれらの組み合わせの標準化に向かって、途を切り開くことができる。しかしながら、フィルタが必要なため、バイオチップが高額となり、これは、使い捨てバイオチップを考慮した場合、特に問題となる。
【0006】
核酸リサーチ(Nucleic Acids Research)、32巻、2004年において、Fixeらは、一体化光センサを有するバイオチップを示している。検出システムには、励起光のフィルタ処理用の高額なフィルタが使用され、検出感度は、フィルタ処理により制限される。
【0007】
分子診断のような多くのバイオ技術用途において、温度制御コンパートメントの配列を有し、並列、独立に処理され、多目的化に適し、高処理量化が可能な生物化学モジュール(例えばセンサ、PCR)に対する要望がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、前方照射システムにおいて、放射線を検出する効率的なシステムおよび方法を提供することである。本発明の実施例の利点は、励起放射線と発生サンプル放射線を分離する高品質フィルタのような、経済的および労働集約的に高いコストを回避することができることである。また、本発明の実施例の利点は、発生サンプル放射線に対して、高い感度が得られることである。本発明の実施例の利点は、前方照射システムの効率的な検出が可能となることである。後者により、シリコンウェハまたは可撓性金属箔のような、不透明な検出器用の基板を使用することが可能となる。また、本発明の実施例の利点は、励起放射線によるセンサの直接照射が抑制されることであり、これにより、通常の場合、あまり高強度ではない、発生サンプル信号の検出が可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的は、本発明の方法および装置によって達成される。
【0010】
本発明は、
少なくとも一つの被検査サンプルを受容し、前記少なくとも一つのサンプル上に照射される励起放射線を受光し、サンプル放射線が発生するように適合された、測定チャンバ内に、測定領域を有する放射線検出システムであって、
当該放射線検出システムは、さらに、前記発生したサンプル放射線の検出用の、少なくとも一つの検出器素子を有し、
前記励起放射線は、測定チャンバ内の前記測定領域の第1の側に入射され、前記少なくとも一つの検出器素子は、測定チャンバ内の前記測定領域の第2の側に配置され、
前記第2の側は、測定チャンバ内の前記測定領域に対して、前記第1の側とは反対の側であり、
当該放射線検出システムは、さらに、前記少なくとも一つの検出器素子から遠ざかるように、前記励起放射線を誘導するように適合された光学手段を有することを特徴とする放射線検出システムに関する。本発明の利点は、本発明の実施例では、励起放射線と得られた放射線を分離する選択フィルタが省略できることである。後者は、経済的および労働集約的コストの両方の低減につながる。得られた放射線は、例えば、蛍光放射線、リン光、化学発光放射線、フォトクロミズム放射線であっても良い。また、光学手段は、例えば迷光のようなバックグラウンド放射線を、少なくとも一つの検出器素子から遠ざかるように誘導するように適合されても良い。
【0011】
光学手段は、少なくとも一つの検出器素子を、実質的に励起放射線から遮蔽するように適合されたシールド手段を有しても良い。
【0012】
シールド手段は、少なくとも一つの検出器素子への励起放射線の直接照射を実質的に遮蔽するように適合された、第1のシールド素子を有しても良い。特定の実施例の利点は、前方照射放射線検出器を得る際に、少しの部品しか必要ではないことである。第1のシールド素子は、少なくとも一つの検出器素子に対して、制御により移動可能であっても良い。
【0013】
さらに、シールド手段は、第1のシールド素子によって散乱された励起放射線の少なくとも一部を、実質的に遮蔽するように適合された第2のシールド素子を有しても良い。
【0014】
本発明の特定の実施例の利点は、高い蛍光感度が得られることである。
【0015】
前記第1および第2のシールド素子の少なくとも一つは、少なくとも一つの検出器素子に対して、制御により移動可能であっても良い。
【0016】
シールド手段は、前記少なくとも一つの検出器素子に対して、制御により移動可能な少なくとも一つのシールド素子を有しても良い。前記制御により移動可能な少なくとも一つのシールド素子は、第1のシールド素子であっても良い。前記制御により移動可能な少なくとも一つのシールド素子は、第2のシールド素子であっても良い。また、前記制御により移動可能な少なくとも一つのシールド素子は、第1のシールド素子および第2のシールド素子であっても良い。
【0017】
前記制御により移動可能なシールド素子は、シールド素子により定まる平面内を移動可能であっても良い。「シールド素子により定まる平面」とは、シールド素子が実質的に延在する平面を意味する。
【0018】
当該検出システムは、複数の検出器素子を有し、さらに、前記制御により移動可能なシールド素子の動きを、前記複数の検出器素子の各々の活性と関連付ける制御器を有しても良い。本発明の実施例の利点は、少なくとも一つの検出器素子への励起放射線の間接的な照射が、実質的に抑制されることである。制御器は、複数の検出器素子の切り替えと、シールド素子の動きを同期化しても良く、複数の検出器素子が実質的に励起放射線から遮蔽されている際に、複数の検出器素子がオンにされる。
【0019】
制御により移動可能なシールド素子は、シールド素子によって定める平面に対して垂直な方向に、移動可能であっても良い。
【0020】
本発明の特定の実施例の利点は、検出感度がサンプルの放射効率に適合されることである。本発明の特定の実施例の利点は、少なくとも一つの検出器素子と第2の励起放射線遮蔽手段の間の空間が、検査サンプルの走査特性に応じて、制御され得ることである。
【0021】
シールド手段は、少なくとも一つのシールド素子を有しても良く、この素子は、設定可能なシールド素子であり、長期にわたって変化するシールドパターンを形成することが可能であっても良い。設定可能なシールド素子である、少なくとも一つのシールド素子は、第1のシールド素子、第2のシールド素子、または第1および第2のシールド素子であっても良い。
【0022】
変化するシールドパターンの形成が可能な、設定可能なシールド素子は、ディスプレイであっても良い。
【0023】
本発明の特定の実施例の利点は、自動的に、異なる検出器素子による放射線の検出が行われ得ることである。
【0024】
少なくとも一つの検出器素子から遠ざかるように、前記励起放射線を誘導するように適合された光学手段は、放射線屈折手段を有し、これにより、前記放射線は、少なくとも一つの検出器素子から遠ざかる位置に焦点化されても良い。
【0025】
前記放射線屈折手段は、少なくとも2つのレンズを有し、これにより、前記放射線が少なくとも一つの検出器素子から遠ざかる位置に焦点化されても良い。
【0026】
前記放射線屈折手段は、拡散反射手段に前記励起放射線を焦点化するように適合され、前記拡散反射手段は、励起放射線を、前記サンプルの方に拡散反射するように適合されても良い。本発明の特定の実施例の利点は、高い蛍光感度が得られることである。
【0027】
さらに、当該放射線検出システムは、励起放射線から、サンプル放射線をフィルタ処理する検出フィルタを有しても良い。検出フィルタは、少なくとも一つの検出器素子の前方に配置されても良い。
【0028】
第2のシールド素子は、第1のシールド素子に対して、前記第1のシールド素子の陰の領域に配置されるように設置されても良い。
【0029】
励起放射線は、実質的に平行化されていても良い。
【0030】
当該検出システムは、大面積電子技術に基づいて製作された配列を有しても良い。大面積電子技術は、アモルファスシリコン、低温ポリシリコン、および/または有機技術に基づく技術であっても良い。
【0031】
また本発明は、
サンプルからの放射線を検出する方法であって、
前記サンプルの第1の側から、励起放射線で、サンプルを照射するステップであって、これによりサンプル放射線が発生するステップと、
少なくとも一つの検出器素子を用いて、前記サンプルの第2の側から、サンプル放射線を検出するステップであって、前記第2の側は、前記第1の側とは反対の側であるステップと、
を有し、
当該方法は、前記サンプル放射線の検出に使用される前記少なくとも一つの検出器素子から遠ざかるように、前記励起放射線を誘導するステップを有することを特徴とする方法に関する。
【0032】
本発明の特定のおよび好適な態様は、独立請求項および従属請求項に記載されている。従属請求項からの特徴は、請求項に明確に記載されていない場合であっても、必要に応じて、独立請求項および他の従属請求項の特徴と組み合わされても良い。
【0033】
本発明の技術は、蛍光検出用の方法およびシステムのような、放射線検出用の方法および機器の改良された構成を含む。
【0034】
本発明の前述のおよび他の特性、特徴、ならびに利点は、添付図面を参照した以下の詳細な説明から明らかになろう。図面には、一例として、本発明の原理が示されている。この記載は、一例のみのため提供され、本発明の範囲を限定するものではない。以下に示す参照図は、添付図に対応している。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】従来技術によるバイオチップからの蛍光信号を検出する光学装置の概略的な図である。
【図2】従来技術による生物化学蛍光検定において、しばしば生じる低ストークスシフトによる、励起スペクトルと蛍光スペクトルの間の重なりを示す図である。
【図3】本発明の実施例による励起放射線誘導手段を有する検出システムの概略図である。
【図4a】本発明の実施例による、基板の反対側に配置された二重層シールド素子を有する、微小流体装置の前方放射線システムを示す図である。
【図4b】本発明の実施例による、基板の反対側に配置された二重層シールド素子を有する、微小流体装置の前方放射線システムを示す図である。
【図5】本発明の第1の態様の第1の実施例による、前方照射および単一シールド素子を有する微小流体放射線検出システムの概略図である。
【図6】本発明の第1の態様の第1の実施例による検出システムにおいて生じ得る、単一シールド素子を有する光検知微小流体装置用の前方照射システムでの、検出器素子の好ましくない照射を示した図である。
【図7】本発明の第1の態様の第2および第3の実施例による、空間的可変シールド手段を有する検知微小流体装置用の前方照射システムを示した図である。
【図8】本発明の第1の態様の第4の実施例による、2つの固定シールド素子を有する微小流体装置用の前方照射システムを示した図である。
【図9】本発明の第1の態様の第5の実施例による平行化光源、および2つの固定シールド素子を有する微小流体装置用の前方照射システムを示した図である。
【図10】本発明の第1の態様の第6の実施例による放射線屈折手段を有する微小流体装置用の前方照射システムを示した図である。
【図11】本発明の第2の態様による前方照射に基づいた、放射線の検出方法を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
異なる図において、同じ参照符号は、同様のまたは類似の素子を表す。
【0037】
本発明について、特に実施例およびある図面を参照して説明する。ただし、本発明は、これに限定されるものではなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。請求項において、いかなる参照符号も、請求項の範囲を限定するものと解してはならない。示された図面は、概略的なものであって、非限定的なものである。図において、いくつかの素子の寸法は、誇張して示されており、一例のため、スケールは示されていない。本願の明細書および特許請求の範囲において使用される「有する」という用語は、他の素子またはステップを排斥するものではない。単一の名詞を参照する際に、例えば、「一つの」、「その」という定冠詞または無定冠詞が使用されるが、これは、特に記載のない限り、複数の名詞を含む。
【0038】
また、明細書および特許請求の範囲における、第1、第2、第3等の用語は、同様の素子同士を区別するために使用され、必ずしも一連のまたは時系列的な順番で示されてはいない。使用されている用語は、適当な環境下で相互に互換可能であり、示された本発明の実施例は、示され記載されたものとは異なる他の手順でも作動することができることを理解する必要がある。
【0039】
また、明細書および特許請求の範囲における上部、底部、上方等の用語は、説明のため使用され、必ずしも相対的な位置を表してはいない。使用用語は、適当な環境下で、相互に互換可能であり、示された本発明の実施例は、示され記載されたものとは異なる他の配置でも作動することができることを理解する必要がある。
【0040】
本発明の異なる実施例および態様は、放射線、例えば電磁放射線の検出に関する。通常、放射線の検出は、例えば蛍光のような励起ビームで励起された際の、サンプルからの放射に関するが、本発明は、これに限られるものではない。励起放射線は、光、赤外、遠赤外、紫外、遠紫外の各波長範囲を有する電磁放射線を有しても良い。サンプルからの放射線放射は、例えば、発光ラベルターゲット粒子によって占有された基板上の占有サイトである、放射サイトであっても良く、これは、微小流体生物検出の際に、しばしば使用される。しかしながら、サンプルからの放射線を検出する方法およびシステムは、全ての種類の放射線の検出に関するものであっても良い。すなわち、必ずしも生物粒子である必要はなく、例えば、照射の際に光放射の発生につながる他の放射源、例えば、装置、サンプル、または表面の化学的もしくは構造的特徴物であっても良い。一例として、放射ラベル、例えば発光ラベルからの放射線の検出は、以下の実施例に示されている。ただし、本発明は、これに限定されるものではない。通常サンプルは、液体または気体のような流体である。通常、サンプルは、検体混合物であっても良い。本発明の範囲に含まれる通常の放射プロセスは、蛍光過程、発光過程、化学発光過程、フォトクロミズム過程等である。
【0041】
放射線検出法は、サンプルの生物学的、化学的、または生物化学的解析のため利用される。通常の場合、そのような検出システムは、生物化学および分子生物物理学に適用される。現在の生物化学的方法は、しばしば、既に取り込まれた発光ラベルであり、チップ系の検定法は、生物化学的経験を変更することなく、既存の方法に、容易に取り込むことができる。例えば、タンパク質の発光ラベルは、生物科学において最も普遍的であり、毎年世界的に、数百の発光免疫学的検定が行われている。また、サンガー連鎖、および重合鎖反応(PCR)のような反応は、発光ラベル法が使用できるように適合されている。実際、医療診断用の高速成長技術である、リアルタイムでの定量PCR増幅(RQ-PCR)は、発光ラベルを用いて、高効率で行われている。この技術では、記録分子(例えば分子ビーコン)を用いた加熱処理の間、増幅生成物の存在が定量的に記録され、この記録分子により、同一装置内でリアルタイムで測定された光信号が発生する。記録された信号は、例えば(これに限定されるものではないが)細菌、または一組の細菌のような、特定の核酸分子の存在および濃度の指標となる。一般に、発光検出は、解析チップの多くの用途に使用され、例えば、DNA増幅の間の光ベーコン、表面上のラベル化タンパク質、および固定化またはハイブリッド化(ラベル化)核酸の発光検出に使用される。
【0042】
通常、生物検知プロセスまたは前述の関連するプロセスにおいて、発光検出のような、放射線検出を用いた検知プロセスでは、直接または間接的に、ターゲット分子に取り付けられた放射性ラベルが基本ベースとなっている。ターゲット分子は、例えばタンパク質、抗体、核酸(例えばDNR、RNA)、ペプチド、オリゴ糖もしくは多糖類、ショ糖、小分子、ホルモン、試薬、代謝体、細胞もしくは細胞片、組織片、等である。これらの分子は、通常、現物のサンプルである流体中、またはバイオセンサに導入される前に、予め処理された流体中で検出され、この処理には、例えば、希釈化、消化、老化、生物学的改質化、フィルタ化、バッファへの溶解が含まれる。現物の流体は、例えば、ほ乳動物サンプルおよび人サンプルのような実質的にいかなる有機体の、例えば、唾液、つば、血液、血漿、血清、間質液、尿、リンパ液、および膣分泌液、汗、精液などの生物学的流体、または飲料流体、環境流体、もしくは前処理サンプルから得られる流体のような、他の流体であっても良い。例えば、環境サンプルは、空気、農業用水、土壌サンプル、細菌兵器剤サンプル、研究サンプルであっても良い。流体は、例えば、生検、排泄物、食物、肥料、環境サンプルからの固体サンプル材料の成分を含んでも良い。例えば、核酸の場合、サンプルは、増幅反応の生成物であっても良く、これには、ターゲットおよび信号増幅の双方;精製遺伝子DNA、RNAタンパク質のような精製サンプル等;原サンプル(細菌、ウィルス、遺伝子DNA等)が含まれる。当業者には明らかなように、サンプルには、実質的にいかなる実験操作がなされても良い。
【0043】
本発明の態様の特定の実施例では、検出システムは、再利用可能な読み取りシステム、およびサンプルが内部に導入される使い捨てユニットを含む。使い捨てユニットは、通常、再利用可能な読み取りシステムにより読み出されるように適合される。検出システムの異なる部材は、再利用可能な読み取り装置の一部であっても良く、あるいは使い捨てカートリッジの一部であっても良い。例えば、励起放射線源の場合、測定チャンバ内のサンプル測定領域は、通常、結合サイトを有する基板を有し、光学部材および検出器素子が、使い捨てカートリッジの一部となる。本発明は、特に、そのような使い捨て検出システムに有益であり、励起放射線とサンプルから生じる放射線を識別するため、高価な高品質フィルタを使用する代わりに、これを使用することができる。
【0044】
第1の態様では、本発明は、例えば、サンプルからの発光信号のような放射線を検出するように適合された放射線検出器システムに関し、これにより、例えば、サンプル中の特定の成分の存在に関する、サンプルの定量的および/または定性的解析が可能となる。本発明の第1の態様の実施例の概略図は、図3に示されている。この図には、放射線検出システム100が示されており、このシステムは、励起放射線源102を有し、さらに、励起放射線源を受光するように適合された測定チャンバ内のサンプル測定領域104と、少なくとも一つの検出器素子106とを有する。サンプル測定領域104は、チャンバ形態であっても良く、または上部もしくは内部に配置されたサンプルサイトを有する基板であっても良い。これらのサイトは、被検出電磁放射線を放射する。あるいは、測定領域を有する測定チャンバは、さらに、例えば流体中の粒子の形態のサンプルを含む流体を有しても良く、このサンプルは、被検出電磁放射線を放射する。そのような検出システムでは、バイオセンサまたはPCR反応チャンバのような微小流体装置において、例えば蛍光信号のような、サンプルからの放射信号の光学的検出が可能となる。
【0045】
励起放射線源102は、例えば発光ラベルでラベル化されたターゲット分子のような、ターゲット粒子からの放射線を励起する、いかなる好適な励起源であっても良い。そのような励起放射線源102は、通常、いかなる好適な電磁放射線を発生しても良く、これに限られるものではないが、例えば、可視光、赤外、遠赤外、紫外、遠紫外の各波長範囲の電磁放射線であっても良い。通常の励起放射線源102は、平行化または非平行放射線源であっても良い。励起放射線源102は、例えば、発光ダイオード(LED)、レーザシステム、またはサンプルもしくはサンプル粒子を励起する電磁放射線のような放射線を提供することの可能な、いかなる他の種類の励起放射線源であっても良い。例えば、励起放射線が、発光応答を生じる電磁放射線の場合、本発明はこれに限られるものではないが、励起放射線の光波長は、通常、例えば、200nmから2000nmの範囲であり、あるいは例えば、400nmから1100nmの範囲である。励起放射線源102は、図3に示すような放射線検出システム100の一部であっても良く、あるいは放射線検出システム100の外部であっても良い。励起放射線源102は、照射される全領域に、一度に照射を行っても良く、あるいは走査により照射しても良い。励起放射線源102は、パルス源または連続源であっても良い。
【0046】
検出システム100に提供された測定チャンバ内の測定領域104は、通常、少なくとも一つのサンプル108を受容するように適合される。従って、通常、測定領域104は、少なくとも一つのサンプル108が解析される領域である。測定領域104は、通常、測定チャンバ内に設置される。測定チャンバは、放射線システムの一部であっても良いが、本発明は、これに限られるものではない。本発明におけるそのような解析は、通常、励起放射線を用いて、サンプル108またはその一部が励起されることにより生じた放射線の検出である。従って、少なくとも一つのサンプル108は、通常、励起放射線によって励起され得る放射サイトまたは放射中心を有する。そのような放射サイトまたは放射中心は、例えば、微小流体内の発光ラベルであり、これらのラベルは、被検出ターゲット分子に結合され、あるいはその一部となっている。本発明の実施例により評価され得るサンプルの例、および発光ラベルが使用される特定の例については、前述のように詳しく説明されている。測定チャンバ内の測定領域104は、サンプルを結合する基板110を有する。基板110の表面は、該表面に分子を付着させることにより改質され、この分子は、流体中に存在するターゲット分子の結合に適する。また基板110の表面は、いかなる他の適当な方法で改質されても良い。基板は、使用される場合、通常、透明である必要がある。励起放射線または発生サンプル放射線またはその両方のために、サンプルがどの側に配置されたかに応じて、この透明性が必要となる。あるいは、これらを組み合わせて、ターゲット分子の結合に適した表面が、追加の基板110とは異なる、検出システムの別の表面に提供されても良い。また、サンプル108は、測定チャンバ内の測定領域104に、いかなる適当な代替法で、例えば表面には結合されず、流体中に懸濁した状態で、存在しても良い。この場合、例えば、医療診断用の高速成長技術であるリアルタイム定量PCR増幅(RQ-PCR)において、発光ラベルを用いて、高効率で検出を行うことが可能になる。この技術では、加熱処理プロセスの間に、同装置内でリアルタイムで測定される光信号を発生する記録用分子(例えば、分子ビーコン)を用いて、増幅生成物の存在が定量的に記録される。記録された信号は、通常、特定の核酸分子、例えば(これに限られるものではないが)細菌または1組の細菌の存在および濃度の指標となる。
【0047】
また、測定チャンバ内の測定領域104は、測定チャンバ内の測定領域104の第1の側からの励起放射線を受光するように適合される。そのような励起放射線は、例えば、励起放射線源102から生じたものであっても良く、あるいは別のソース源からの、サンプル108またはその成分の励起に適したいかなる励起放射であっても良い。
【0048】
検出システム100の少なくとも一つの検出器素子106は、励起放射線によって生じた、サンプル108またはその成分からの放射線の検出に適した、いかなるタイプの検出器素子であっても良い。使用される検出器素子106は、サンプルまたはその成分において生じた放射線のタイプに依存する。例えば、サンプルまたはその成分において生じた光の発光放射線が使用される場合、検出器素子106の典型的な例は、例えば顕微鏡、CCDまたはCMOSカメラのようなカメラ、光検出器、例えば光ダイオードのようなフォトディテクタ、光トランジスタまたはその配列である。少なくとも一つの検出器素子106は、一つの検出器素子であっても、複数の検出器素子であっても良い。検出システム100に複数の検出器素子が存在する場合、検出器素子は、相互に離間して設置されても良い。複数の検出器素子は、単一の平面に配置されても良い。この場合、検出器素子は、検出器素子から離れた、検出器素子が存在しない領域を有しても良い。
【0049】
本発明の実施例では、少なくとも一つの検出器素子106は、測定チャンバ内の測定領域104の第2の側に配置され、この第2の側は、測定チャンバ内の測定領域104の第1の側とは反対の側であり、作動の際には、測定チャンバ内の測定領域は、第1の側から、励起放射線を受光する。換言すれば、少なくとも一つの検出器素子106は、測定チャンバ内の測定領域104に対して、励起放射線の受光側とは反対側に配置される。励起放射線は、検出システム100の、少なくとも一つの検出器素子106と対面する側から入射される。
【0050】
本発明の実施例では、検出器システム100は、さらに、光学手段112を有し、この光学手段は、少なくとも一つの検出器素子106から離れるように励起放射線を誘導するように適合され、励起放射線誘導手段112とも称される。さらに、励起放射線誘導手段112は、少なくとも一つの検出器素子106に照射される励起放射線を抑制しても良い。また、この手段は、迷光を、少なくとも一つの検出器素子106から離れるように誘導するように適合されても良い。本発明のある実施例では、励起放射線誘導手段112は、シールド手段を有しても良く、このシールド手段は、励起放射線が少なくとも一つの検出器素子106に照射されないように、励起放射線を遮蔽する。これらのシールド手段は、少なくとも一つの検出器素子106に照射される励起放射線を抑制するように適合された、1または2以上のシールド素子を有しても良く、あるいは、複数の検出器素子が存在する場合、励起放射線が検出器素子の少なくとも一つのサブセットに照射されること抑制する。シールド手段の配置位置は、調節可能であり、例えば実質的にシールド手段によって定まる平面の方向、およびこれに垂直な方向に、別個の検出器素子の遮蔽特性が適合され、あるいはシールド手段の配置位置は、測定サンプルの散乱特性に適合される。またシールド手段は、通常、少なくとも一つの検出器素子106から離れるように、励起光を誘導するように適合される。複数の検出器素子が存在する場合、シールド手段は、前記検出器素子106同士の間に、励起放射線を誘導するように適合される。シールド手段は、少なくとも一つの検出器素子106に照射される励起放射線を実質的に減衰しても良く、これは、例えば、光を散乱させることにより、または好ましくは励起放射線を吸収もしくは反射させることにより、行われる。また、シールド手段は、少なくとも一つの検出器素子106に照射される実質的に全ての放射線、すなわち励起放射線とサンプルから得られる放射線の両方を減衰しても良く、これは、例えば、光を散乱させることにより、または好ましくは放射線を吸収もしくは反射させることにより、行われる。後者は、例えば光放射線の黒を吸収もしくは反射させるシールド手段を構成することにより得られ、これは、例えば金属で構成され、好ましくは使用励起放射線に対して、高反射係数の金属で構成される。使用放射線に応じて、そのような金属は、例えば、アルミニウム、銀、クロム等であっても良い。シールド手段は、異なる方法で提供されても良い。シールド手段は、例えば、追加の基板に設置され、あるいは存在する場合、サンプルを受容するように適合された基板に提供され、あるいは検出器素子に設置された他の層に提供される。以下、2つの異なるシールド素子を有するシールド手段の場合を例に、説明する。この例は、平行光用に説明するが、シールド手段を実現する概念は、非平行光にも適用することができる。ただし、この場合、通常、シールド手段によって異なるシールドパターンが提供される。例えば、2つのシールド素子202、252は、図4aに示すように、透明基板150の対向する両側に構成され、あるいは図4bに示すように、一つのシールド手段252は、検出器素子を有する基板152の上に構成され、第2のシールド素子202は、サンプルを結合するために使用される基板でもある、別の基板154の上に層状化される。本発明は、これに限られるものではないが、後者の場合、シールド素子252は、例えば、通常の場合、示されている例では、横方向にずらして配置された透明スペーサ156を用いて、センサから分離されるが、平行光の場合は、フォトレジスト層のようなセンサの直上部に配置することが好ましい。あるいは、シールド素子252は、さらにフィルタ層としても機能する材料158を使用して、センサから分離しても良い。後者の場合、図4bの右側に示す2つの検出器素子106のように、スペーサ層がセンサを完全に覆うことにより、作動性が向上する。励起誘導手段112がシールド手段を有する、多くの特定の実施例については、後により詳しく説明する。
【0051】
いくつかの実施例では、励起誘導手段112は、放射線屈折手段を有しても良く、この手段は、励起放射線を少なくとも一つの検出器素子から離れるように誘導する。後者の場合、放射線屈折手段は、実質的に少なくとも一つの検出器素子106から離れた位置で励起放射線を焦点化し、これにより励起光が少なくとも一つの検出器素子106に照射されることが抑制される。複数の検出器素子が存在する場合、通常、屈折素子は、検出器素子同士間の領域に、光を焦点化するように適合され、通常、後者は、相互に離間されている。放射線屈折手段は、例えば、マイクロレンズの配列を有しても良いが、本発明は、これに限られるものではない。多くの特定の実施例については、後に詳細に説明する。
【0052】
本発明による実施例では、検出器素子106に照射される励起放射線が抑制されるが、サンプル108の解析は、未だ可能である。これは、通常、励起サンプルまたはサンプル成分は、異なる方向、例えば、全ての方向に放射され、発生サンプル放射線が少なくとも一つの検出器素子に到達し得るためである。
【0053】
本発明の実施例では、励起放射線による検出器素子106の直接照射、および想定される場合、間接照射は、十分に抑制され、発生したサンプル放射線の良好な検出が可能となるが、通常、発生したサンプル放射線の強度は、ソース源から形成された最初の励起放射線の強度に比べて、実質的に弱くなる。
【0054】
少なくとも一つの検出器素子106の上部に、フィルタが使用され、発生したサンプル放射線が、選択的に検出器素子に照射され、励起放射線が遮蔽されても良いが、後者は、十分な信号/ノイズ比を得る上で、必ずしも必要ではない。この結果、経済的および労働集約的に高コストなフィルタが回避されるという利点が得られる。しかしながら、そのような光学フィルタ(図3には示されていない)、例えば、通常検出器素子の上部に配置される2色性フィルタを設置することにより、発生したサンプル放射線を透過させたまま、検出器素子への励起放射線の入射をさらに抑制しても良い。フィルタは、実質的に低品質のものであっても良く、従って、図1および2の構成に使用されるものよりも実質的に低コストである。また、励起放射線源102は、励起フィルタ(図3には示されていない)を有しても良く、励起放射線源102からの追加の好ましくない放射線を回避することにより、システム特性がさらに向上する。
【0055】
本発明の実施例の利点は、少なくとも一つの検出器素子106を支持するサンプルが、不透明であっても良く、例えば金属または半導体基板であっても良いことである。また基板は、可撓性であっても良い。
【0056】
本発明の第1の態様の前述の記載について、異なる利点を示す別の実施例を用いて、さらに説明する。なお、異なる実施例の利用可能な特徴は、組み合わされても良い。
【0057】
本発明の第1の態様による第1の実施例では、検出システム200は、前述の利点および選択肢と同様の特徴を有するが、励起放射線誘導手段は、単一のシールド素子202を有するシールド手段を有し、少なくとも一つの検出器素子106での励起放射線の強度が抑制されることが好ましい。一例としてのシステムは、図5に示されている。システムは、励起放射線源102、測定チャンバ内の測定領域104、少なくとも一つの検出器素子106、および単一のシールド素子202を有する。単一のシールド素子202は、単一層放射線シールドであっても良い。これは、検出器素子106への放射線の直接照射が実質的に難しくなるように定形され、配置される。後者は、シールド部204、すなわち散乱部、吸収部、反射部、または励起放射線が通過するシールド素子内の吸収と反射特性の組み合わせ部により得られ、これがないと、直接、少なくとも一つの検出器素子に、すなわち励起放射線源と少なくとも一つの検出器素子の間にある単一の線接続部の位置に、励起放射線が到達してしまう。またシールド素子は、通常、シールド素子内に非シールド部206、すなわち非減衰または実質的に非減衰の部分を有し、この位置を通過した励起放射線は、少なくとも一つの検出器素子106には、直接到達しない。非シールド部は、非減衰材料で構成されても良く、または材料が提供されない部分であっても良い。あるいは、単一シールド素子は、単一平面内にある多数の別個のサブシールドで構成されても良い。
【0058】
「少なくとも一つの検出器素子に直接到達する」という用語は、励起放射線源から、少なくとも一つの検出器素子までの放射線経路、または励起放射線源から、検出システムの励起放射線の入口を介して、少なくとも一つの検出器素子106までの放射線経路が、単一の線で示される状況を表し、励起放射線経路の方向の変化が存在しないことを意味する。例えば、蛍光測定の場合、単一のシールド素子202は、単層光シールドであっても良く、このシールドは、励起光源からの励起光が、直接少なくとも一つの検出器素子に入射されることを抑制するように適合される。シールドは、吸収性材料、反射性材料、またはこれらの組み合わせで形成されても良い。図5には、非平行光源の状況が示されているが、システムは、平行光源用に適合されても良い。後者の場合、シールドおよび非シールド部の正確な位置は、別個に位置合わせされ、これにより検出器素子を直接照射から遮蔽することが可能になる。
【0059】
本実施例では、システムは、シールド手段を用いて、少なくとも一つの検出器素子106を励起放射線から遮蔽することにより、少なくとも一つの検出器素子106に入る励起放射線量が抑制されるように作動する一方、励起放射線は、例えばシールド手段と検出器素子の間に配置された、残りの液体中の励起サンプル材料を励起することは、依然として可能である。発生したサンプル放射線は、全ての方向に放射されるため、発生したサンプル放射線の相当量は、検出器素子に入る。この方法では、信号対ノイズ比に、相当なゲインが得られる。さらに図5には、任意のフィルタ208の使用が示されており、このフィルタを用いることにより、少なくとも一つの検出器素子106により検出される励起放射線強度がさらに抑制される。
【0060】
第1の態様による第2および第3の実施例では、本発明は、第1の態様による第1の実施例に示したような検出システムに関するが、この場合、シールド手段は、少なくとも2つのシールド素子202、252を有する。少なくとも2つのシールド素子202、252を使用することにより、単一シールド素子の端部での、励起放射線の反射により生じた励起放射線の好ましくない検出の問題に対処することができる。2つのシールド素子202、252の間には、サンプルは、存在しなくても良い。例えば、2つのシールド素子202、252の間には、透明基板、例えばガラス基板が存在しても良い。従って、2つのシールド素子の使用により、励起放射線の好ましくない検出の改善された抑制が提供される。単一のシールド素子202での励起放射線の反射の問題は、図6に示されている。第2および第3の実施例では、少なくとも2つのシールド素子202、252を有するシールド手段の提供によって、この問題が克服される。
【0061】
第2の実施例では、図7に示すように、第2のシールド素子252は、第1のシールド素子202と、励起放射線源102(または検出システムの励起放射線の入口部)の間に配置されても良い。この場合、第2のシールド素子252は、図6に示すような、第1のシールド素子202の端部からの励起放射線の反射を抑制するように配置され、これにより、励起放射線源102から、より少ない反射された励起放射線が、中央検出器素子106に到達する。このため、検出器素子の信号対ノイズ比が向上する。図7に示すように、第2のシールド素子252の存在位置では、励起放射線の好ましくない反射は、未だ他の検出器素子に到達する可能性があり、例えば、図に示されているような、第1のシールド素子202で反射された励起光は、図7において検出システムの右側にある検出器素子に到達する。第2の実施例では、後者は、検出器素子の活性および検出動作を、第2のシールド素子252のシールド部の位置の関数として制御することにより解決される。換言すれば、第2の実施例では、第2のシールド素子252は、空間的に可変の第2のシールド素子252であり、第2のシールド素子252のシールド部の位置を変化させることができる。第2のシールド素子252のシールド部の第1の空間位置では、励起放射線の好ましくない反射から実質的に遮蔽された、少なくとも一つの第1の検出素子が活性化される一方、励起放射線の好ましくない反射から実質的に遮蔽されない、少なくとも第2の検出器素子は、活性化されない。その結果、第2のシールド素子252のシールド部の空間位置は、最初に、励起放射線の好ましくない反射から遮蔽されていなかった検出器が、今度は遮蔽され、最初は遮蔽されていなかった検出器が遮蔽されるように変化する。次に、最初遮蔽されていなかった検出器素子を用いた検出が行われる。これらのいくつかのステップは、異なるタイミングで、各検出器素子が検出に使用されるように実施されても良い。
【0062】
空間的に可変な第2のシールド素子は、第2のシールド素子252に対して固定されたシールド部を有するシールド素子252であっても良く、これにより第2のシールド素子252は、可動となる。第2のシールド素子252は、制御可能な状態で可動であっても良い。そのような動きは、横方向、すなわちシールド素子の平面内の方向で行われても良い。あるいは、第2のシールド素子252の位置は、固定であっても良いが、この場合、第2のシールド素子252は、設定可能なシールド素子252であり、シールド部または非シールド部の異なる位置が、長時間にわたって提供される。そのような設定可能なシールド素子252は、例えば、液晶ディスプレイのような、透過性表示装置をベースとしても良い。設定可能なシールド素子に、特定のパターンを提供することにより、特定のシールドパターンが提供され、設定可能なシールド素子のパターンを変化させることにより、例えば、表示装置の異なる画素に、異なる設定を書き込むことにより、長時間にわたって、この位置が変化する。あるいは、そのような設定可能なシールド素子は、単一のシールド素子に近づくように使用され、シールドパターンは、所望の信号またはバックグラウンドレベルが得られるまで調節される。
【0063】
従って、第2の実施例では、追加の反射の問題は、第2のシールド素子252のシールド部の空間位置を、適正な検出器素子106の活性化と組み合わせて制御することにより解決される。第2の実施例では、検出システムには、制御器254が提供され、この制御器は、第2のシールド素子252のシールド部の空間位置、および別個の検出器素子106の対応する活性化を制御するように適合される。第2のシールド素子252のシールド部の空間位置を制御するステップは、設定可能なシールド素子上のシールドパターンを設定するステップと、第2のシールド素子の位置を移動させるステップのいずれかを有しても良い。
【0064】
第1の態様の第3の実施例では、第1の態様の第2の実施例に示したような検出システムは、同様の特徴および利点を有するが、励起放射線の追加の反射は、別個のシールド素子202、252に設置された特定のパターンによって、回避される。第1の態様の第3の実施例では、検出器素子に近接するシールド素子、例えば第2のシールド素子252のシールド部の寸法および位置は、検出器素子106から離れたシールド素子、例えば第1のシールド素子202によって形成される陰領域に、完全なシールド部が配置されるように選定される。換言すれば、検出器素子に近接するシールド素子252のシールド部は、励起放射線では直接照射されず、反射後、例えば、検出器素子106から離れたシールド素子202のシールド部の端部での反射後に、これに照射される励起放射線のみが遮蔽される。
後者の状況は、図8に示されている。シールド素子202、252のそのような選定の結果、実質的に励起放射線は、検出器素子106に入射されず、全ての検出器素子が同時に活性化され得るようになる。サンプルに到達する励起放射線、および励起に寄与する励起放射線の量は、第2の実施例よりも少なくなる。
【0065】
第1の態様の第4の実施例では、本発明は、同様の特徴、ならびに同様の選択肢および利点を有するいかなる前述の実施例に関連しても良いが、この場合、励起放射線源は、初期の励起放射線の入射方向が、シールド手段に対して垂直となるように平行化される。後者は、一例が図9に示されている。図9には、第3の実施例で示したような、2つのシールド素子202、252を有するシールド手段が示されており、励起放射線源102に最近接のシールド素子202の全ての端部での反射は、第1のシールド素子202の陰部にシールド部を有する第2のシールド素子252によって、検出器素子106に照射されることが抑制される。この方法では、励起源からの反射励起放射線は、いずれの検出器素子106にも到達しない。これにより、全ての検出器素子106の信号対ノイズ比が向上し、示された例では、この検出器素子が同時に活性化される。第1の態様による第4の実施例では、複数の検出器素子106が使用される場合、複数の検出器素子106同士の間には、光吸収手段または抗反射手段272が提供されても良く、これにより、励起放射線は、検出器素子106から離れるように誘導され、励起放射線の好ましくない反射が抑制される。また後者の場合も、信号対ノイズ比が向上する。そのような光吸収手段または抗反射手段272は、図9に一例として示されている。
【0066】
第1の態様の第5の実施例では、本発明は、同様の特徴ならびに同様の選択肢および利点を有する、前述のいかなる実施例による検出システムに関連しても良いが、この場合、少なくとも一つの検出器素子と最近接のシールド素子間の距離は、可変である。また、後者は、図9に示されている。少なくとも一つの検出器素子の最近接のシールド素子252の間の距離、すなわち間隔Dは、発生したサンプル放射線量の指標となり、これは、励起放射線により生じ、少なくとも一つの検出器素子106で検出される。最近接シールド素子252の、少なくとも一つの検出器素子106からの距離が遠くなるほど、最近接シールド素子252と少なくとも一つの検出器素子106の間に、より多くの励起可能なサンプルまたはサンプル成分が存在するようになり、より多くの発生サンプル放射線が、検出器素子106により検出されるようになる。間隔Dは、流体の光散乱特性に依存しても良く、流体の散乱特性が高まる場合、間隔Dは、抑制されることが好ましい。
【0067】
換言すれば、最近接のシールド素子252と少なくとも一つの検出器素子106の間の間隔を変化させることにより、光学的に励起される流体の体積を最大化することができる。例えば、後者において、平行化励起放射線源102が設置された場合、平行化励起放射線源102の散乱励起放射線からの、検出器素子106の直接照射の可能性が問題となり、特に、間隔が増加し、散乱の度合いが大きくなると、これが顕著になる。この場合、最近接シールド素子252と検出器素子106の間の距離を抑制することにより、散乱光が検出器に照射される問題が軽減される。同様のことは、非平行化光源の場合にも当てはまる。この場合も、散乱により、検出器への好ましくない光照射が生じる。
【0068】
第1の態様の第6の実施例では、本発明は、前述の検出システムに関係するが、この場合、少なくとも一つの検出器素子106から離れるように、励起放射線を誘導するように適合された励起誘導手段112は、放射線屈折手段を有する。そのような検出システム300は、図10に示されている。放射線屈折手段302は、少なくとも一つの検出器素子106と励起放射線源102の間に配置された、例えばレンズ配列であっても良い。放射線屈折手段302は、検出器素子106から離れるように励起放射線を誘導することにより、検出器素子106への励起放射線の直接照射を抑制する。複数の検出器素子106を使用する場合、励起放射線は、検出器素子106同士の間に誘導される。後者は、少なくとも一つの検出器素子106から離れた位置に、または検出器素子106同士の間に、励起放射線を焦点化する放射線屈折手段302により得られる。これにより、放射線屈折手段を用いない前の実施例に比べて、検出器素子106の寸法を増加させることができる。後者により、サンプルから生じた放射線の収集効率が向上する。放射線屈折手段302、例えばマイクロレンズ配列のレンズは、大きな開口数を有することが好ましく、これにより検出器素子106の上部に配置された、大きな体積のサンプルに、照射することが可能になる。
【0069】
必要な場合、放射線屈折手段302は、拡散反射手段304上に、励起放射線を焦点化しても良い。そのような拡散反射手段304は、例えば、拡散反射膜または拡散散乱表面であっても良いが、本発明は、これに限られるものではない。通常、拡散反射手段304に照射された励起放射線は、その後、再度サンプルの方に誘導され、これにより発生サンプル放射線が増加する。この方法では、発生サンプル放射線の検出効率は、より一層向上する。放射線屈折手段302によって、拡散反射された励起放射線が、検出器素子の方に再反射されることを回避するため、放射線屈折手段302には、抗反射コーティングが設置されても良い。また、この方法では、反射励起放射線は、いかなる検出器素子にも到達しなくなり、全ての検出器素子106において、これらが同時に活性化された場合であっても、信号対ノイズ比が向上する。
【0070】
第2の態様では、本発明は、励起放射線で励起された発生サンプル放射線を検出する方法に関係する。当該方法は、通常、測定チャンバ内の測定領域に、サンプルを提供するステップを有する。本発明による方法は、励起放射線でサンプルを照射するステップであって、さらに被検出用の発生サンプル放射線を形成するステップと、少なくとも一つの検出器素子で、発生サンプル放射線を検出するステップと、この際に、少なくとも一つの検出器素子から、励起放射線を遠ざけるように誘導するステップとを有する。照射および検出のステップは、サンプルの異なる側で行われ、すなわち、前方照射方が使用される。図11には、そのような方法400の一例が示されており、図には、放射線検出用の一方法における、標準的なステップおよび任意のステップが示されている。
【0071】
第1のステップ402では、検出システムの測定領域に、サンプルが提供される。後者は、測定チャンバ内の測定領域を、サンプルで充填するステップを有しても良い。しばしば、微小流体評価では、被解析混合検体と、捕獲プローブを有する基板の間を接触させるステップ、および弱結合成分を除去するための洗浄ステップが実施される。特定の結合放射レベル用のこれらのステップは、従来から良く知られており、ここではこれ以上説明しない。第1のステップ402は、当該方法の一部であっても、任意なものであっても良い。
【0072】
第2のステップ404では、サンプルが励起放射線で照射される。そのような放射線は、検出システムの外部の励起放射線源から生じても良く、あるいは検出システムの一部である励起放射線源から生じても良い。通常、サンプルに照射するステップは、サンプル中の励起放射粒子に対して、実施される。後者は、例えば、ターゲット分子に結合された発光もしくは蛍光ラベルであり、あるいはターゲット分子を有する発光もしくは蛍光粒子である。そのような照射は、連続モード、パルスモード、走査モード、励起可能なラベルを個々に同時に励起させる多重モード、これらの組み合わせ、または他の適当な方法で実施されても良い。
【0073】
通常、第2のステップ404と実質的に同時に実施される、第3のステップ406では、サンプル内の放射性粒子から生じた放射線である、サンプルからの放射応答が検出される。後者は、少なくとも一つの使用検出器素子から離れるように、励起放射線を誘導した状態で実施される。励起放射線を少なくとも一つの使用検出器素子から遠ざかるように誘導するステップは、励起放射線による直接照射から、少なくとも一つの検出器素子を遮蔽するステップ、および/または例えば、使用シールドの端部での、反射後の励起放射線から、少なくとも一つの検出器素子を遮蔽するステップを有しても良い。また、励起放射線を少なくとも一つの検出器素子から遠ざかるように誘導するステップは、励起放射線を少なくとも一つの検出器素子から離れた位置に焦点化するステップを有しても良い。後者は、例えば、励起放射線を屈折させることにより行われる。検出ステップは、励起放射線が最初に照射されるサンプルの側とは反対のサンプルの側から実施され、換言すれば前方放射法が採用される。
【0074】
第2の態様の特定の実施例では、少なくとも一つの検出器素子を、励起放射線による直接照射から遮蔽するステップは、第1のシールド手段および第2のシールド手段を使用することにより実施されても良い。第2の態様の特定の実施例では、少なくとも一つの検出器素子を遮蔽するステップは、異なる検出器素子の活性化を制御するステップ、および各検出器素子用の、少なくとも一つの装置のシールド部の位置を制御するステップを有しても良く、この場合、活性化および検出の時間の間、少なくとも一つの検出器素子のシールド部の空間位置は、検出器素子から励起放射線を遮蔽するように適合される。後者は、活性化され検出に使用される検出器素子に応じて、少なくとも一つのシールド装置のシールド部の空間位置を、長期にわたり変更するステップを有しても良い。少なくとも一つのシールド装置のシールド部の空間位置を変更するステップは、少なくとも一つのシールド装置を移動させるステップ、またはシールド素子が設定可能な装置であり、装置のシールドパターンの設定が可能な場合、少なくとも一つのシールド素子を設定するステップを有しても良い。
【0075】
第1の態様の実施例に示す検出システムは、第2の態様の実施例による方法の使用に適している。
【0076】
また、第2の態様の特定の実施例では、評価対象サンプルの散乱効率を適合させるため、少なくとも一つの検出器素子を遮蔽するステップは、シールド素子と少なくとも一つの検出器素子の間の距離を適合させるステップを有しても良い。
【0077】
本発明による実施例では、検出システムは、部材として、アクティブマトリクスの原理に基づく配列を有しても良い。そのような装置は、例えば、アモルファスシリコン(a−Si)、低温ポリシリコン(LTPS)のような既知の大面積電子技術、または有機技術の一つで製作されることが好ましい。TFT、ダイオード、またはMIM(金属−絶縁体−金属)は、アクティブ素子として使用することができる。アクティブマトリクス技術は、例えば、LCD、OLED、および電気泳動ディスプレイのような、多くのディスプレイ効果についての装置用のフラットパネル型ディスプレイの分野で使用される。この場合、使い捨て生物科学モジュールの製作の際に、コスト効果のある方法が提供される。これは、バイオチップまたは同様のシステムが、複数の成分を有する場合、成分の数のみが増えるため、装置は、より効率的となり、より多目的化されるという利点を有する。
【0078】
本発明の実施例の検出システムの目的を得るための他の配置は、当業者には明らかである。
【0079】
本発明による装置について、本願には、好適実施例、特定の構成、構成、および材料が示されているが、本発明の思想および範囲から逸脱しないで、形態および細部の各種変更または修正を行うことが可能であることが理解される。例えば、本発明の実施例では、検出システムおよび検出方法について示されているが、本発明は、第1の態様の第2の実施例に記載されているような、制御器にも関係する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの被検査サンプルを受容し、前記少なくとも一つのサンプル上に照射される励起放射線を受光し、サンプル放射線が発生するように適合された、測定チャンバ内に、測定領域を有する放射線検出システムであって、
当該放射線検出システムは、さらに、前記発生したサンプル放射線の検出用の、少なくとも一つの検出器素子を有し、
前記励起放射線は、測定チャンバ内の前記測定領域の第1の側に入射され、前記少なくとも一つの検出器素子は、測定チャンバ内の前記測定領域の第2の側に配置され、
前記第2の側は、測定チャンバ内の前記測定領域に対して、前記第1の側とは反対の側であり、
当該放射線検出システムは、さらに、前記少なくとも一つの検出器素子から遠ざかるように、前記励起放射線を誘導するように適合された光学手段を有することを特徴とする放射線検出システム。
【請求項2】
前記光学手段は、前記励起放射線から、前記少なくとも一つの検出器素子を実質的に遮蔽するように適合されたシールド手段を有することを特徴とする請求項1に記載の放射線検出システム。
【請求項3】
前記シールド手段は、前記少なくとも一つの検出器素子への励起放射線の直接照射を、実質的に遮蔽するように適合された第1のシールド素子を有することを特徴とする請求項2に記載の放射線検出システム。
【請求項4】
前記シールド手段は、さらに、前記第1のシールド素子によって散乱された前記励起放射線の少なくとも一部を、実質的に遮蔽するように適合された第2のシールド素子を有することを特徴とする請求項3に記載の放射線検出システム。
【請求項5】
前記シールド手段は、少なくとも一つのシールド素子を有し、該シールド素子は、前記少なくとも一つの検出器素子に対して、制御により移動可能であることを特徴とする請求項2に記載の放射線検出システム。
【請求項6】
制御により移動可能である前記シールド素子は、前記シールド素子により定まる平面内で、移動可能であることを特徴とする請求項5に記載の放射線検出システム。
【請求項7】
当該検出システムは、複数の検出器素子を有し、
さらに、前記制御により移動可能なシールド素子の動きを、前記複数の検出器素子の各々の活性と関連付ける制御器を有することを特徴とする請求項5に記載の放射線検出システム。
【請求項8】
前記制御により移動可能なシールド素子は、前記シールド素子により定まる平面に対して垂直な方向に、可動であることを特徴とする請求項5に記載の放射線検出システム。
【請求項9】
前記シールド手段は、少なくとも一つのシールド素子を有し、
該シールド素子は、長期にわたって変化するシールドパターンの形成が可能な、設定可能なシールド素子であることを特徴とする請求項2に記載の放射線検出システム。
【請求項10】
変化するシールドパターンの形成が可能な、前記設定可能なシールド素子は、ディスプレイであることを特徴とする請求項9に記載の放射線検出システム。
【請求項11】
前記少なくとも一つの検出器素子から遠ざかるように、前記励起放射線を誘導するように適合された前記光学手段は、放射線屈折手段を有し、
前記励起放射線は、前記少なくとも一つの検出器素子から遠ざかる位置に焦点化されることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出システム。
【請求項12】
前記放射線屈折手段は、少なくとも2つのレンズ素子を有し、
前記励起放射線は、前記少なくとも一つの検出器素子から遠ざかる位置に焦点化されることを特徴とする請求項11に記載の放射線検出システム。
【請求項13】
前記放射線屈折手段は、前記励起放射線を、拡散反射手段に焦点化するように適合され、
該拡散反射手段は、前記励起放射線を、前記サンプルの方に拡散反射するように適合されることを特徴とする請求項11に記載の放射線検出システム。
【請求項14】
当該放射線検出システムは、さらに、励起放射線から、サンプル放射線をフィルタ処理する検出フィルタを有することを特徴とする請求項1に記載の放射線検出システム。
【請求項15】
前記第2のシールド素子は、前記第1のシールド素子に対して、該第1のシールド素子の陰の領域に配置されるように設置されることを特徴とする請求項4に記載の放射線検出システム。
【請求項16】
前記少なくとも一つのサンプル上に照射される前記励起放射線は、実質的に平行化されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出システム。
【請求項17】
当該放射線検出システムは、大面積電子技術によって製作された配列を有することを特徴とする請求項1に記載の放射線検出システム。
【請求項18】
サンプルからの放射線を検出する方法であって、
前記サンプルの第1の側から、励起放射線で、サンプルを照射するステップであって、これによりサンプル放射線が発生するステップと、
少なくとも一つの検出器素子を用いて、前記サンプルの第2の側から、サンプル放射線を検出するステップであって、前記第2の側は、前記第1の側とは反対の側であるステップと、
を有し、
当該方法は、前記サンプル放射線の検出に使用される前記少なくとも一つの検出器素子から遠ざかるように、前記励起放射線を誘導するステップを有することを特徴とする方法。
【請求項1】
少なくとも一つの被検査サンプルを受容し、前記少なくとも一つのサンプル上に照射される励起放射線を受光し、サンプル放射線が発生するように適合された、測定チャンバ内に、測定領域を有する放射線検出システムであって、
当該放射線検出システムは、さらに、前記発生したサンプル放射線の検出用の、少なくとも一つの検出器素子を有し、
前記励起放射線は、測定チャンバ内の前記測定領域の第1の側に入射され、前記少なくとも一つの検出器素子は、測定チャンバ内の前記測定領域の第2の側に配置され、
前記第2の側は、測定チャンバ内の前記測定領域に対して、前記第1の側とは反対の側であり、
当該放射線検出システムは、さらに、前記少なくとも一つの検出器素子から遠ざかるように、前記励起放射線を誘導するように適合された光学手段を有することを特徴とする放射線検出システム。
【請求項2】
前記光学手段は、前記励起放射線から、前記少なくとも一つの検出器素子を実質的に遮蔽するように適合されたシールド手段を有することを特徴とする請求項1に記載の放射線検出システム。
【請求項3】
前記シールド手段は、前記少なくとも一つの検出器素子への励起放射線の直接照射を、実質的に遮蔽するように適合された第1のシールド素子を有することを特徴とする請求項2に記載の放射線検出システム。
【請求項4】
前記シールド手段は、さらに、前記第1のシールド素子によって散乱された前記励起放射線の少なくとも一部を、実質的に遮蔽するように適合された第2のシールド素子を有することを特徴とする請求項3に記載の放射線検出システム。
【請求項5】
前記シールド手段は、少なくとも一つのシールド素子を有し、該シールド素子は、前記少なくとも一つの検出器素子に対して、制御により移動可能であることを特徴とする請求項2に記載の放射線検出システム。
【請求項6】
制御により移動可能である前記シールド素子は、前記シールド素子により定まる平面内で、移動可能であることを特徴とする請求項5に記載の放射線検出システム。
【請求項7】
当該検出システムは、複数の検出器素子を有し、
さらに、前記制御により移動可能なシールド素子の動きを、前記複数の検出器素子の各々の活性と関連付ける制御器を有することを特徴とする請求項5に記載の放射線検出システム。
【請求項8】
前記制御により移動可能なシールド素子は、前記シールド素子により定まる平面に対して垂直な方向に、可動であることを特徴とする請求項5に記載の放射線検出システム。
【請求項9】
前記シールド手段は、少なくとも一つのシールド素子を有し、
該シールド素子は、長期にわたって変化するシールドパターンの形成が可能な、設定可能なシールド素子であることを特徴とする請求項2に記載の放射線検出システム。
【請求項10】
変化するシールドパターンの形成が可能な、前記設定可能なシールド素子は、ディスプレイであることを特徴とする請求項9に記載の放射線検出システム。
【請求項11】
前記少なくとも一つの検出器素子から遠ざかるように、前記励起放射線を誘導するように適合された前記光学手段は、放射線屈折手段を有し、
前記励起放射線は、前記少なくとも一つの検出器素子から遠ざかる位置に焦点化されることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出システム。
【請求項12】
前記放射線屈折手段は、少なくとも2つのレンズ素子を有し、
前記励起放射線は、前記少なくとも一つの検出器素子から遠ざかる位置に焦点化されることを特徴とする請求項11に記載の放射線検出システム。
【請求項13】
前記放射線屈折手段は、前記励起放射線を、拡散反射手段に焦点化するように適合され、
該拡散反射手段は、前記励起放射線を、前記サンプルの方に拡散反射するように適合されることを特徴とする請求項11に記載の放射線検出システム。
【請求項14】
当該放射線検出システムは、さらに、励起放射線から、サンプル放射線をフィルタ処理する検出フィルタを有することを特徴とする請求項1に記載の放射線検出システム。
【請求項15】
前記第2のシールド素子は、前記第1のシールド素子に対して、該第1のシールド素子の陰の領域に配置されるように設置されることを特徴とする請求項4に記載の放射線検出システム。
【請求項16】
前記少なくとも一つのサンプル上に照射される前記励起放射線は、実質的に平行化されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線検出システム。
【請求項17】
当該放射線検出システムは、大面積電子技術によって製作された配列を有することを特徴とする請求項1に記載の放射線検出システム。
【請求項18】
サンプルからの放射線を検出する方法であって、
前記サンプルの第1の側から、励起放射線で、サンプルを照射するステップであって、これによりサンプル放射線が発生するステップと、
少なくとも一つの検出器素子を用いて、前記サンプルの第2の側から、サンプル放射線を検出するステップであって、前記第2の側は、前記第1の側とは反対の側であるステップと、
を有し、
当該方法は、前記サンプル放射線の検出に使用される前記少なくとも一つの検出器素子から遠ざかるように、前記励起放射線を誘導するステップを有することを特徴とする方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2010−506164(P2010−506164A)
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530995(P2009−530995)
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【国際出願番号】PCT/IB2007/054022
【国際公開番号】WO2008/041190
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月3日(2007.10.3)
【国際出願番号】PCT/IB2007/054022
【国際公開番号】WO2008/041190
【国際公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】
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