剛体構造物へのエラストマーの固定
【課題】外科的インプラント、特に人工椎間板のエラストマー部材を基板に堅固に固定する装置および方法を提供する。
【解決手段】人工椎間板は剛体の基板513であって、基板の一部を覆う取り付け構造体512を有する基板と、有孔性の取り付け構造体に侵入することにより基板に固定されるエラストマー体510とを有する。有孔性の取り付け構造体は21.5%より大きい正味有孔率を有する。有孔性の取り付け構造体は、例えば、基板表面から隔てられた孔あきプレートまたはスクリーン、またはトラベキュラメタルまたは開放セル金属の層としてよい。
【解決手段】人工椎間板は剛体の基板513であって、基板の一部を覆う取り付け構造体512を有する基板と、有孔性の取り付け構造体に侵入することにより基板に固定されるエラストマー体510とを有する。有孔性の取り付け構造体は21.5%より大きい正味有孔率を有する。有孔性の取り付け構造体は、例えば、基板表面から隔てられた孔あきプレートまたはスクリーン、またはトラベキュラメタルまたは開放セル金属の層としてよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
−関連出願の引用−
本出願は、2005年6月24日出願の米国仮特許出願第60/693,430号に基づく優先権を主張するものであり、そのすべての開示内容をここに引用によって援用する。また、2005年1月19日出願の米国仮特許出願第60/644,527号に基づく優先権を主張するものであり、そのすべての開示内容をここに引用によって援用する。
【0002】
本発明は金属などの合成材料の基板にエラストマーを有する物品を固定する方法に関わり、特に剛体部材に接着されたエラストマー部材を有する、哺乳動物の脊椎椎間板を置換する整形外科器具や、人工関節用のインプラント、人工の靱帯および腱などの整形外科用器具に関わるものであり、エラストマー部材は骨に取り付けられる剛体の終板(endplate)やその他の構造に堅固に固着される。
【背景技術】
【0003】
腰部の痛みはごくありふれた病態であり、場合によっては一般人口のおよそ80%が罹患している。大部分の患者は苦痛となる症状を時折感じるのみで完全に回復するが、およそ患者の10%は、様々な医療を施しても慢性的に続き、生活に支障を生じさせる腰痛に悩んでいる。
【0004】
慢性的で生活に支障をもたらす腰痛の最もありふれた原因は、脊椎骨の間に位置し、脊柱の様々な自然運動を許容する椎間板の一つまたは複数に生ずる変性である。このような変性円板疾患(DDD:Degenerative Disk Disease)は非外科的治療によっては治癒が困難であり、外科的に処置されなければならない。手術をしない治療では改善しない慢性的かつ生活に支障をもたらす腰痛に対して従来行われてきた治療法としては脊椎固定術があり、概して効果的でもあった。より最近では、椎間板に起因する痛みの治療として、椎間板全体またはその髄核の置換を含む別の治療法が開発されている。
【0005】
変性した椎間板を置換するためのプロテーゼ(人工器官)の第1世代では、相互に滑動する比較的硬い材料の表面を用いて、屈曲、伸展、横曲げ、捩りにおいて必要な椎間運動を提供していた。このようなプロテーゼは有用ではあるが、衝撃吸収や健常な椎間板の自然な運動の再現に関しての改善が求められてきた。
【0006】
このため、要求された運動および衝撃吸収を提供するため、その後開発されたプロテーゼはエラストマー部材を利用していた。このようなプロテーゼは一般的に、隣接する椎骨の終板に接触し、それに対してプロテーゼを固定するための比較的硬い終板とこの硬い終板の間に配置され該終板に取り付けられるエラストマーディスクコアとを有している。
【0007】
このようなプロテーゼのエラストマーコアの硬いプロテーゼ終板への取り付けは一般的に、接着剤、または機械的に結合するアンダーカットやそれに類するもの、またはエラストマーコアに係合する硬い終板上に設けた多孔性表面、あるいはこれらの組み合わせにより行われてきた。例えば、エラストマーコアと接触する終板の表面を、例えば焼結などにより該表面に接着した概して球形の微小ビーズのコーティングにより覆うことが提案されている。その後エラストマーコアをビーズで覆われた表面に対してモールドし、あるいは押し当て、それによりエラストマーが多孔性のビーズコーティングに侵入して、硬質終板とエラストマーコアとの間の堅固な機械的な結合をもたらす。このような結合表面は、例えば米国特許第5,071,437号に開示されている。
【0008】
しかしながら、椎間板プロテーゼの終板のような整形外科器具の硬質要素を椎間板プロテーゼのエラストマーコアなどのエラストマー要素に固定する新たな方法が引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明はその基本原理の1つにおいて、エラストマー部材を基板に堅固に固定する装置および方法を提供するものであり、該固定は、固体の架橋部に囲まれた開口の集合体を画成する取り付け構造体であって、基板と一体でありかつ基板表面の少なくとも大部分に渡って延在し、架橋部の少なくとも一部はその下にある基板部分から十分に隔てられている取り付け構造体にエラストマーを侵入させ、該表面に概ね垂直な方向の引っ張り力による破壊を防止するのに十分なエラストマーの層を架橋部の下側に形成することによりなされる。
【0010】
特定の実施形態において、取り付け構造体は孔あきプレート、スクリーン、トラベキュラメタル(すなわち「海綿状金属」)、有孔性金属、表面から立ち上がり横開口を有する柱体またはフィン等であり、好適には概ね剛体の材料よりなる。原理的に厳密に限定されるものではないが、本発明は外科的インプラントに最も好適に適用される。
【0011】
即ち本発明は、その主要な態様の1つにおいて外科的インプラントを提供し、該外科的インプラントは、剛体の外科的インプラント基板と、該基板上に設けられ基板の一部分を覆う有孔性の(porous:多孔を有する)取り付け構造体と、基板の前記一部分に隣接する部分を有し、有孔性の取り付け構造体に侵入するエラストマー体とを有し、該エラストマー体の前記部分は基板の前記部分に隣接する部分の体積の大部分を占め、かつ有孔性の取り付け構造体を含み、それによりエラストマー体が基板に固定される。
【0012】
本発明はその主要な態様の1つにおいて外科的インプラントを提供し、該外科的インプラントは、剛体の外科的インプラント基板と、該基板上に設けられ基板の一部分を覆う有孔性の取り付け構造体と、基板の前記一部分に隣接する部分を有し、有孔性の取り付け構造体に侵入するエラストマー体とを備え、該基板の前記部分に概ね平行な平面における該有孔性の取り付け構造体の全厚に渡って、有孔性構造体の正味の有孔率は21.5%より大きい。
【0013】
本発明はその更に別の態様において外科的インプラントを製造する方法を提供し、該方法は外科的インプラントの剛体基板部材を提供することと、有孔性の取り付け構造体を提供することと、有孔性の取り付け構造体を剛体基板部材に取り付けることと、有孔性の取り付け構造体にエラストマーを侵入させ、該エラストマーを剛体基板部材に固定することとを含む。
【0014】
本発明の上記およびその他の態様は以下の詳細な説明により、よりよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】隣り合う椎骨の間にインプラントされた本発明の椎間板プロテーゼを図式的に示す側面図である。
【図2】隣り合う椎骨の間に取り付けられた好適な実施形態の断面図である。
【図3a】トラベキュラメタルの機械的固定手段の使用を説明する部分詳細断面図である。
【図3b】開放セルを有する発泡金属の機械的固定手段の使用を説明する部分詳細断面図である。
【図4a】孔あきプレート式の機械的固定手段の使用を説明する部分詳細断面図である。
【図4b】孔あき周辺フランジ式の機械的固定手段の使用を説明する部分詳細断面図である。
【図4c】エラストマーコア内に垂直に延在する孔あきリブ式の機械的固定手段の使用を説明する部分詳細断面図である。
【図4d】ワイヤメッシュ式の機械的固定手段の使用を説明する部分詳細断面図である。
【図4e】ループ状ワイヤ式の機械的固定手段の使用を説明する部分詳細断面図である。
【図5a】中間孔あきプレート式の機械的固定手段の使用を説明する部分詳細断面図である。
【図5b】図5aの実施形態の別形態であって、中間孔あきプレート式の機械的固定手段に固定されたより硬いエラストマーを用いた形態の部分詳細断面図である。
【図5c】図5bに示す実施形態の変形例であって、中間孔あきプレートが剛体終板にスライド式あり継ぎされているものを示す部分詳細断面図である。
【図6a】柔軟なコアの周辺延長部に加えられた付加的な圧縮固定を用いた本発明の別の実施形態を示す詳細部分断面図である。
【図6b】図6aの実施形態の変形例を示す詳細部分断面図であり、圧縮固定が圧縮バンドによってなされている。
【図6c】また別の変形例を示す詳細部分断面図であり、圧縮固定が柔軟なコアの周辺延長部に対して圧縮されるリングによってなされている。
【図7a】エラストマー関節プロテーゼからなる実施形態を示す図であり、エラストマー部材が2つの硬質の構造的髄内部材に固着されている。
【図7b】図13aの断面図であり、2つの硬質構造的髄内部材へのエラストマー部材の固着を示す図である。
【図8a】2つの硬質骨固定プラグに対して変形可能なエラストマー部材が固着される前十字靱帯置換プロテーゼからなる実施形態を示す図である。
【図8b】図8aの骨固定手段の断面図であり、2つの硬質な骨固定プラグに対するする変形可能なエラストマー部材の固着を示している。
【図9a】髄内固定ロッドからなる実施形態を示す図であり、該ロッドはロッドの2つの端部に変形可能なエラストマーが固着される中央の低剛性領域を有している。
【図9b】図9aのロッドの中央部分の断面図であり、硬質ロッドの端部への変形可能なエラストマーの固着を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は柔軟なエラストマー材料を医学的インプラントの剛体構造に対して固着し、かつエラストマー材料の固着が意図した用途における負荷に十分耐えうる強度をもつように固着する方法を提供する。いくつかの好適な実施形態において、本発明は有孔性の構造体を有する物品を用いることによりこの目的を実現する。有孔性の構造体は剛体であってもよく、かつ固体物質によって画成された開放孔を有し、剛体基板部材の表面から隔てられていて、該有孔性構造体と該表面との間に十分な隙間があり、エラストマー材料が少なくともいくつかのエラストマーで満たされた孔の間にエラストマー材料の連続体すなわち架橋を形成し、それによりエラストマー材料体を破断することなくエラストマー材料をインプラントから機械的に引き離すことができない。好適には有孔性構造体の有孔率は21.5%より大きい、即ち、有孔性構造体の下にある基板表面上への孔の投影面積は下にある表面の面積の21.5%より多くを構成する。
【0017】
1つの好適な実施形態において、有孔性構造体は表面から隔てられており、有孔性構造体と表面との間にエラストマーの連続的で中断のない層、即ちシートを提供する。繰りかえすと、有孔性構造体は面積にして21.5%より大きい互いに連なる孔部を有することが好ましく、より典型的には有孔率の値は30%乃至80%の範囲にある。
【0018】
特定の一形態において、エラストマーは剛体の金属支持体即ちプレートに対して、支持体即ちプレートに設けられた複数の孔により固定される。該孔はエラストマーが支持体上に成形された際に該孔を通って支持体の後側に貫入し、エラストマーで充填された孔の少なくともいくつかの間に連続体を形成することを許容する。この孔の数と大きさ、延いてはその断面積は、エラストマーおよび金属それぞれの強度に合わせて変更することができる。例えば、金属の強度がエラストマーの強度の10倍であり、かつ孔部が利用可能な断面積の90%を占める場合には、孔内の高分子材料はそれ以外の金属部分と同一の負荷担持能力を持つことになる。
【0019】
本発明を利用して作成された好適な装置は以下を取り入れることにより、剛体基板に対するエラストマー部材の強固な固定を実現する。即ち:
【0020】
1)2次元または3次元のラティス構造であって、好適には21.5%より大きい相互結合する孔部を有し、ラティス内のエラストマーの量が従来のビーズコーティング等を用いて達成しうる量よりも大きくなる構造、および
【0021】
2)好適にはエラストマー部材の本体部とは反対側のラティス表面上の、エラストマーによる連続的な架橋あるいは層であって、ラティス内のエラストマー部分の間の強力な結合を提供するような架橋あるいは層。このようなエラストマーによる架橋あるいは層はラティス内のエラストマー部分を支持し、負荷が加わった際に、それらエラストマー部分がラティスから引き抜かれその結果エラストマーと基板との間の固着を損ないその医療器具を破損させることを許容するような変形を防止する助けとなる。このような架橋あるいは層は、ラティス内にエラストマーがそれをループ上に取り巻くことができ、その結果隣接する孔を結合するエラストマーの連続的なバンドが形成されるような構造を設けることにより形成することができる。あるいはまた、エラストマーによる支持層は、エラストマー材料が孔部を完全に貫通するようにして、有孔性構造体の基板面に面する側の面上にエラストマーの中断のない層を形成することにより形成してもよい。このような有孔性構造体内の高分子材料と連続する高分子材料の連続的な層は、エラストマーがラティスから引き抜かれるのを防止するのに役立つ。
【0022】
この堅固な固定には、孔あきプレート、穴あきフィン、ワイヤメッシュ、ループ状ワイヤ等の2次元ラティス構造体や、開放セルを有する発泡体、トラベキュラメタル(trabecular metal)の有孔性表面またはその他の高有孔性構造体であって少なくともその大部分がエラストマー内に埋め込まれたものを用いることができる。
【0023】
このようなラティス構造体は好適には正味の捕捉性有孔率(captive porosity)が21.5%より大きくなるように構成する(有孔率は、好適には剛体の固定用構造体によって形成される孔すなわち開口を横切るエラストマーの総投影面積を、剛体の構造体とエラストマーとを合わせた投影面積で除したものとして計算される)。ある観点から見れば、剛体のラティス構造体の孔あるいは開口に入り込んだエラストマー材料は連続的なループの如きものをなしてエラストマー本体へと戻ってそれと結合する。別の観点から見れば、孔に入り込んだエラストマーはエラストマーの本体を、剛体のラティス構造体の反対側を覆う連続的なエラストマーの層に対して結合する。このようなラティスおよびエラストマーの構成はエラストマーと剛体のラティス構造体との堅固で安定した組み付けをもたらす。
【0024】
本発明の別の好適な物品は剛体の終板に固定されたエラストマーのディスクコアを用いた椎間板プロテーゼである。このプロテーゼでは、剛体(金属、高分子材料、複合物、セラミック)の孔あきプレート部材(perforated plate member)上に柔軟なエラストマーを成形し、エラストマーはプレート部材の一方の側から孔を通って再びそれ自身と結合する。これらの孔の大きさ、形状、位置は所望の固定強度が得られるように調整することができる。ある形状に対する正味の捕捉性の有孔率を算出してもよい。例えば、単位辺長Lの正方形プレート領域に直径0.95Lの円形中心孔が設けられているものでは正味の捕捉性有孔率はおよそ71%になる。同様にこの領域が0.95Lに等しい辺を有する正方形の孔が設けられている場合には、正味の捕捉性有孔率は90%となる。どちらの例でも、孔をとりまく金属の最小断面は同一であり、0.025Lとなる。これに対し、直径Lのビーズを稠密に密集させた層においては、捕捉性の有孔率は21.5%より小さい。
【0025】
所与の実施形態において、孔あきプレートの孔の数、位置および大きさは、エラストマーおよび負荷条件に応じて変更することができる。好適には、反復的な引っ張りおよび圧縮負荷が加わった際に高分子材料の結合に加わる切断作用を防止するために、その縁部が滑らかとなるように孔を形成する。エラストマー部材本体の反対側の孔あき剛体プレートの面上の連続的なエラストマー層の厚さは、エラストマー材料の引っ張り強度に応じて変更することができる。
【0026】
エラストマーディスクコアを用いた本発明の椎間板プロテーゼにおいては、典型的な負荷条件下では、屈曲および伸展の際にエラストマーコアの最も外側の領域(前側と後側領域)に最大の引張応力が生ずる。また、剛体材料と柔軟材料との間の剛性の違いにより更なる応力集中要因が生ずる。このようなプロテーゼでは、エラストマーコアを剛体の終板の縁部を越えて周辺領域まで延在させ、該延在する部分を剛体終板の周縁に向かって曲げる(かしめる)ことにより、応力の高まる周辺領域において、剛体の終板をエラストマーコアから引き離すような応力を低減してもよい。このエラストマーの自由延在部の圧縮予圧は応力負荷を打ち消し、エラストマーコアの最外側部分の引っ張り分離応力の防止に役立つ。このような曲げ(かしめ)はディスクの曲げ剛性に関しては殆どあるいは全く寄与しないだろうが、これらの高応力領域において固定強度を有意に改善するであろう。
【0027】
本発明を、人体脊柱内の損傷したまたは変性した脊椎円板を置換するための人工椎間板プロテーゼの構造によって、更に説明する。図1は人体の脊椎運動分節内の隣接する上側および下側椎骨11および12の間にインプラントされた椎間板プロテーゼ10を図式的に示している。
【0028】
図2は椎間円板プロテーゼ10のより詳細な断面図であり、第1の即ち上側の剛体プレート310、第2の即ち下側の剛体プレート320、および剛体の固定手段311および321によって2つの剛体プレートの間にそれらに対して固定的に組み付けられる柔軟なエラストマーコア330を示している。椎間板プロテーゼ10において、上側および下側の剛体プレート310および320は概ね互いに同等であり、椎間板プロテーゼは中心線垂直面に関して対称に設置される。剛体プレート310および320は、様々な従来の一般的固定手段340および341(例えば多孔性の表面コーティング)により椎骨301および302に固定するためのものである。剛体プレート310および320は生体適合性のある物質でできており、好適にはTi6Al4V(Ti-6%Al-4%V)である。剛体プレート310および320の作成にあたっては、一般的な金属製造方法を用いてよい。
【0029】
図3aは図2の実施形態においての使用に適した剛体の固定手段の詳細図であり、固定手段の好適な構成を示している。この場合、トラベキュラメタルの有孔性構造体402を用いており、有孔率は21.5%(投影面積において)より大きい。有孔性構造体402は従来手段によって終板320に取り付けられており、エラストマー330が高い正味補足性有孔率の孔部404を通って、柔軟コア領域330から延伸して有孔性構造体402に浸透し、その中で自分自身と結合して、背後のコア領域330まで至る一体的な結合を形成する。このようにして、有孔性構造体402はエラストマーに埋め込まれる。エラストマーの一般的な材料強度は剛体の有孔性構造体402の材料強度の5分の1程度であるので、金属に対するエラストマーの割合を幸便におよそ80%(投影面積において)として、コア領域330と剛体基板プレート320との間の十分な結合をもたらすことができる。
【0030】
図3bは図3aのプロテーゼの別の実施形態を示す図であり、ここではエラストマーコア400は柔軟なエラストマー材料405と移行プレート407を形成するより硬いエラストマー材料406とからなっている。移行プレート407は有孔性構造体408、即ち一例として図示したような開放セルの有孔性構造体への浸透により剛体基板プレート320に取り付けられ、機械的な固定を実現する。このような有孔性セル構造体は従来の工程により作成することができる。例えば、ケミカルエッチングあるいはエレクトロケミカルエッチングによりパターン形成された基板表面を形成する際に用いられる工程や、パターン形成されたフォトレジスト層などを用いた工程である。有孔性構造体408は孔部410を有するので、エラストマー材料406は有孔性構造体408の内部の空間を満たし、機械的な結合を形成する。この実施形態では、エラストマーコア405の垂直壁412を横方向に越えて延在するフランジ411を更に備えている。同様に、有孔性構造体408も横方向に或る長さ413だけ延在させて、さらなる機械的固定を与えてもよい。椎間板プロテーゼは脊柱の屈曲時に垂直壁412の外縁において最大の応力を受けるので、フランジ411を設けてこうした負荷を更に広い領域に拡げて、エラストマー406と剛体の有孔性構造体との間の剛性の違いによる応力集中を最小化する。このようなフランジと有孔性構造体の延長部はここに開示する本発明のすべての実施形態において用いることができるものであるが、他の実施形態においては個別に取り上げて論じることはしない。
【0031】
以上に説明した実施形態は基板に固定された高い有孔率を有する有孔性構造体の使用を例示している。このような構造体には、製造の難しさ、および品質管理と加工における高コストという課題がある。そこで、図4aに別の実施形態を示しており、この実施形態では、剛体の基板(例えば椎間プロテーゼの金属製終板)に取り付けられた剛体構造体(例えばプレート)512内の複数の孔511を通って延在するエラストマー510を使用することにより、確実かつ安定した固定が達成される。エラストマー材料は主エラストマーコア510から、穿孔された孔511を通って延在し、剛体構造体512の反対側においてほぼ連続的なエラストマー層あるいはエラストマーシート514を形成する。剛体構造体512および孔511は図4aに示すような孔あきプレート(perforated plate:穿孔されたプレート)であってもよいし、他の開口形態および方向を有するその他の同様に作成された構造体であってもよい。図4bは剛体の固定手段を構成する水平周縁フランジ515および一連の孔516を有する更なる別の実施形態を、その詳細断面において示している。エラストマー510は孔516を通って延在し、全体として514として示すフランジの反対側において背後の主ポリマーコアと結合している。
【0032】
図4cはまた別の実施形態を示しており、この実施形態は基板の表面から概ね垂直に延在し、かつ柔軟なエラストマーコア510内に突出し、かつフランジ内の概ね横方向に延在する孔521を有する、1以上のフランジあるいはリブ520を用いている。図4bに示した実施形態と同様にして、エラストマー材料は孔を通って延在し、それによりエラストマー材料が実質的な連続体を形成し、エラストマー材料522はフランジ520の両側に沿って存在する。
【0033】
図4dは別の実施形態を示しており、この実施形態ではワイヤメッシュ530が剛体の基板532に取り付けられており、かつ531で示すほぼ垂直な周辺縁部に取り付けられていることにより、基板532の表面から隔てられている。エラストマー510はワイヤメッシュ530の第1の側から、メッシュの捕捉性孔部を通り、ワイヤメッシュの530反対側において連続的な層、即ちシート534を形成する。別の例としては、ワイヤ構造を図4eに示すように、直立するワイヤループ540を基板545の表面に固着する541ことにより構成してもよい。この実施形態では、エラストマー510は領域545からおよびワイヤループ540の第1の側543から伸びて、544にて示す捕捉性孔部を通り、かつエラストマー自身へと帰還することにより、ワイヤループ540を通るエラストマーの連続体を形成する。図4eの実施形態において、より硬い移行プレートおよび/または図3bの実施例に示すような横方向に延在するフランジを備えるエラストマーコアを用いることにより、付加的な固定強度を与えてもよい。
【0034】
例えば椎間プロテーゼのエラストマーコアを例とするエラストマー部材を、相互はめ込み構造あるいは結合構造によって例えばそのプロテーゼの終板などの剛体構造体に固定し、それによりモジュラ構造アセンブリを形成してもよい。そのようなモジュラ構造を組み付ける従来の方法としては、圧入や溝、およびエラストマー内に形成した締まりばめ(interference locking)機構やあり継ぎ(dovetail)固定機構などがある。しかし、これらの相互はめ込み構造または結合構造には問題がある。それはアセンブリにその要素を分離するような力が加わった場合に、エラストマー要素が変形し、結合が解かれることがあるためである。
【0035】
このような従来のアセンブリに対して、本発明の方法および装置は、簡単に組み付け可能でありながらエラストマー要素の脱係合には抗することのできるモジュラ要素の構成を可能とする。このような装置は図5aおよび5bの実施形態に示される(好適には剛体の)中間アンカー(anchoring:繋止)構造605を用いることができる。図示の形態において、アンカー構造は孔あきプレート609に付随する周辺フランジによって構成される。剛体プレート600は、中間アンカー構造605の突起部604と係合する溝603として示される周辺の機械的固定手段602を備え、それにより2つの剛体構造物、即ち剛体(例えば金属)のアンカー構造605と剛体(例えば金属)の基板600との間のしっかりした結合をもたらしている。中間アンカー構造605は、図示されているように多孔性の取り付け構造体(例えばプレート609)と一体であってもよいし、または有孔性の取り付け構造体とアンカー構造は別々の要素として形成し、互いに対して固着してもよい。エラストマーコア510は、上に述べかつここで金属プレート609によって例示される有孔性構造体によって、中間アンカー構造605に対してしっかりと固定される。これらの実施形態において、エラストマーコア510は中間アンカー構造605に固定され、中間アンカー構造605は剛体の終板600に固定される。この実施形態は、ともすれば一連の製品が多くの様々な高分子化合物や剛体プレートの様々な構成を必要とすることにもなる製造用在庫を縮小するのに有用であることがわかる。このように、同一の高分子化合物と中間アンカー手段を有するアセンブリを、いくつかの異なるサイズおよび設計の剛体終板に別々に組み付けることができる。
【0036】
図5bはエラストマーコア510がより硬いエラストマー608に接着され、該エラストマーは(プレート609を介して)中間アンカー構造605に固定され、該中間アンカー構造は剛体終板600に組み付けられている実施形態を示している。剛体終板600はアンカー構造の突起部604と協働する凹部即ち溝603として図示されている機械的な固定手段602を有しており、これによりプレート600とのしっかりした結合をもたらしている。
【0037】
図5cは図5bに示す実施形態に類似した更なる実施形態を示している。この実施形態では硬いエラストマー608が、典型的には金属製の有孔性プレート710に固定されており、該有孔性プレート710は剛体終板600に形成されたありほぞ(蟻臍)731にしっかりと契合するあり(蟻:dovetail)711を有している。
【0038】
上記実施形態のそれぞれにおいて、有孔性の取り付け構造体は基板部材上にその一部を覆うように設けられ、エラストマー材料が基板の覆われた部分に隣接する部分の体積の多くの部分(>50%)を満たしており、有孔性の取り付け構造体を含んでいる。これにより、エラストマー材料は基板にしっかりと取り付けられる。基板の表面部分から隔てられたプレートやスクリーン等の有孔性取り付け構造体を用いた実施形態においては、有孔性の取り付け構造体と基板の表面部分との間の体積全体をエラストマーで好適に満たしてもよい(例えば図4a、4b、4dの如くに)。
【0039】
図6a乃至6cは本発明の別の実施形態の部分断面を詳細に示している。この実施形態は上述のような剛体の固定構造体90を有し、かつそれに加えて横方向に広がるエラストマーフランジをエラストマー用の剛体固定構造体または剛体基板に対して圧縮する構造を有している。図6aにおいて、エラストマーコア902の横方向延在部は、コア902から外側に広がるように好適に変形されている。この実施形態では、破線で示すフランジの元の形態が、当初破線904で示す形状である圧縮要素901によって圧縮されている。変形した圧縮要素901は好適には図示のように剛体の固定手段906と一体であるが、別の例としては、エラストマーコアと剛体終板を組み付けた後に、所望の圧縮を与えるべくプロテーゼに取り付けてもよい。柔軟なコア902およびフランジ要素903は予備成形され、その後、圧縮要素904は901によって示す形に恒久的に変形され、それによってフランジ要素に係合しかつそれを圧縮された形状900へと変形させる。この実施形態では、圧縮要素906は柔軟なコアフランジ901上に締まりばめされる周縁バンドの形態としてよい。別の実施形態としては、周縁フランジに対してネジ、ワイヤ、クリップなどの従来の固定手段を用いて、柔軟なコアフランジを圧縮するのに必要な圧縮力を与えてもよい。
【0040】
図6bは図6aの実施形態とは別の実施形態の部分断面を詳細に示す図であり、この実施形態では、元の形922を保ったフランジ921の上に圧縮バンド920を取り付け、フランジ921を溝923内に変形された形状924となるよう圧縮する。
【0041】
図6cは図6aの実施形態とは別の実施形態の部分断面を詳細に示す図であり、この実施形態では、フランジ要素932と外縁の保持溝933との間に周縁的に延在する圧縮要素931を力を加えて組み付けることにより圧縮固定が行われ、それによりフランジ932は剛体基板910の内部保持溝934に向けて圧縮される。
【0042】
図7および7bは、例えば指関節の人工的な置換に適した本発明のエラストマー関節プロテーゼを示している。このプロテーゼは、指趾骨556内に従来の手法で挿入された金属あるいは硬いプラスチックなどの剛体の髄内部材554に取り付けられた、柔軟なエラストマー本体552を有する。髄内部材554には、その適宜の端部に凹み領域558が設けられている。金属などからなる孔を有する剛体プレート560(図7では破線にて示す)は、髄内部材554の端部を横切って延在し、孔あきプレート560と髄内部材554の本体との間には空間が形成される。柔軟なエラストマー部552は成形され、あるいはまた髄内部材554に固着され、エラストマー材料がそれぞれの孔あきプレート556を通って広がり、プレート560の背後で高分子材料の連続的な層を形成するようになっている(図7bの詳細部分断面に最良に示される)。
【0043】
図8aおよび8bは本発明によるまた別のプロテーゼ570を示しており、これは例えば膝関節の前十字靱帯またはその他の靱帯や腱などの人工的な置換に適している。図8aは膝関節の大腿骨572と脛骨574との間にインプラントされた靱帯プロテーゼ570を破線にて示している。このプロテーゼ570は細長い本体576からなり、その端部には硬い剛体の骨固定プラグ578を有し、該骨固定プラグ578は従来物質で作られ、従来の手法によりインプラントされる。図示された図8bの詳細部分断面に最もよく見て取れるように、各骨固定プラグ578は管状であって、孔あきプレート等580を備え、該プレート580はプラグの軸に略平行なそれぞれの平面内にあり管状のプラグ578の内腔を横切って延在する。エラストマー本体576は成形され、あるいはまた骨固定プラグ578に固着され、エラストマー材料がそれぞれの孔あきプレート580を通って広がり、プレート580の背後で高分子材料の連続的な層を形成するようになっている。
【0044】
図9aおよび9bは大腿骨等の長い骨に適した髄内固定ロッド65を示しており、該ロッドは変形可能なエラストマーがロッドの2つの髄内部分654の間に挿入された、中央の低剛性領域652を有している。図9bは図9aの固定ロッド650の中央領域652を通る断面図であり、固定ロッド650の髄内部分654の内側端部658に取り付けられた変形可能なエラストマー656を示している。エラストマー部分656のエラストマーは成形され、あるいはまた髄内部分654の内側端部658から延在する孔を有する剛体の突起660(破線にて示す)に固着され、剛体突起660の孔を通って広がり、髄内部分654を共に保持する一体的部分を形成する。
【実施例】
【0045】
この実施例は本発明の一実施形態を用いることによって、ビーズ層を有する剛体基板に対するエラストマーの公知の固定と比較して得ることのできる、付加的な強度と均一性を示すものである。
【0046】
直径11.2mm長さ4mmの円柱形のエラストマーコアを2つのチタン合金終板に取り付け、アセンブリ全体を引っ張りにおける破損テストに供しうるように、テストサンプルを作成した。用いたエラストマーはデュロメータ75Dのポリカーボネート−ポリウレタン(マサチューセッツ州ウィルミントンのCardioTech Inc社のChronoflex-C)であり、これをTi-6%Al-4%V外科用合金からなる金属終板に射出成形にて固着した。実験では有孔性コーティングおよび孔あきプレート構成を含む異なる取り付け手段を調べた。
【0047】
2系列のサンプルをテストし、テストした各系列のいくつかのサンプルは、
・A 直径−45+60の焼結ビーズの2層を用いて約21%の有孔率の有孔性を与えた有孔性表面。
・B 規則的に並んだ1.5mmの貫通孔を有し約44%の有孔率の孔あき表面。この設計ではエラストマーが孔を通って広がり、反対側で1mm厚の完全な高分子シートとなる。
【0048】
テスト:すべてのサンプルを、生理学的条件を模して温度37°Cに保たれた水浴内で、2.5mm/分の速度で一軸の引っ張りにおける破損についてテストした。結果は以下の表1に示す。
【表1】
【0049】
実験の結論:孔あきプレートを使用したエラストマーの金属構造体への固定は、有孔性コーティングあるいはビーズ付きの表面によって達成される固定強度よりも有意に優った固定強度をもたらす。孔がビーズやそれに類するものの球面によって画成される有孔性コーティングあるいはビーズ付きの表面と比較して、孔の一部あるいは全部が非球面によって画成される構造体を用いることにより、優れた固定強度を得ることができる。
【0050】
本発明をいくつかの実施形態に関して説明してきたが、当業者には本発明の精神または必須の特徴から離れることなく多くの変形・変更を加えることが出来ることは明らかである。従って、本開示は本発明を例示するためのものであって、限定するためのものではないことを理解されたい。更に、以上の記載から本発明は多くの効果を奏するものであることが理解されるだろう。例えば、本発明は一般にはエラストマーの剛体基板へのしっかりとした固着を提供する。外科的インプラントにおいては、本発明は脊椎板プロテーゼの終板に対して固定されるエラストマーコア等、柔軟なエラストマー部材を剛体インプラント基板部材に対する固定に際して、有孔性コーティングまたは固着のための接着剤層のいずれかのみに頼ることなく、より大きな固定強度を提供する。本発明は更に、より簡単な製造および最終製品のより容易な検査を可能とするような仕方で、エラストマー部材を剛体部材に固定する手段を提供する。本発明のその他の利点は当業者には明らかである。
【技術分野】
【0001】
−関連出願の引用−
本出願は、2005年6月24日出願の米国仮特許出願第60/693,430号に基づく優先権を主張するものであり、そのすべての開示内容をここに引用によって援用する。また、2005年1月19日出願の米国仮特許出願第60/644,527号に基づく優先権を主張するものであり、そのすべての開示内容をここに引用によって援用する。
【0002】
本発明は金属などの合成材料の基板にエラストマーを有する物品を固定する方法に関わり、特に剛体部材に接着されたエラストマー部材を有する、哺乳動物の脊椎椎間板を置換する整形外科器具や、人工関節用のインプラント、人工の靱帯および腱などの整形外科用器具に関わるものであり、エラストマー部材は骨に取り付けられる剛体の終板(endplate)やその他の構造に堅固に固着される。
【背景技術】
【0003】
腰部の痛みはごくありふれた病態であり、場合によっては一般人口のおよそ80%が罹患している。大部分の患者は苦痛となる症状を時折感じるのみで完全に回復するが、およそ患者の10%は、様々な医療を施しても慢性的に続き、生活に支障を生じさせる腰痛に悩んでいる。
【0004】
慢性的で生活に支障をもたらす腰痛の最もありふれた原因は、脊椎骨の間に位置し、脊柱の様々な自然運動を許容する椎間板の一つまたは複数に生ずる変性である。このような変性円板疾患(DDD:Degenerative Disk Disease)は非外科的治療によっては治癒が困難であり、外科的に処置されなければならない。手術をしない治療では改善しない慢性的かつ生活に支障をもたらす腰痛に対して従来行われてきた治療法としては脊椎固定術があり、概して効果的でもあった。より最近では、椎間板に起因する痛みの治療として、椎間板全体またはその髄核の置換を含む別の治療法が開発されている。
【0005】
変性した椎間板を置換するためのプロテーゼ(人工器官)の第1世代では、相互に滑動する比較的硬い材料の表面を用いて、屈曲、伸展、横曲げ、捩りにおいて必要な椎間運動を提供していた。このようなプロテーゼは有用ではあるが、衝撃吸収や健常な椎間板の自然な運動の再現に関しての改善が求められてきた。
【0006】
このため、要求された運動および衝撃吸収を提供するため、その後開発されたプロテーゼはエラストマー部材を利用していた。このようなプロテーゼは一般的に、隣接する椎骨の終板に接触し、それに対してプロテーゼを固定するための比較的硬い終板とこの硬い終板の間に配置され該終板に取り付けられるエラストマーディスクコアとを有している。
【0007】
このようなプロテーゼのエラストマーコアの硬いプロテーゼ終板への取り付けは一般的に、接着剤、または機械的に結合するアンダーカットやそれに類するもの、またはエラストマーコアに係合する硬い終板上に設けた多孔性表面、あるいはこれらの組み合わせにより行われてきた。例えば、エラストマーコアと接触する終板の表面を、例えば焼結などにより該表面に接着した概して球形の微小ビーズのコーティングにより覆うことが提案されている。その後エラストマーコアをビーズで覆われた表面に対してモールドし、あるいは押し当て、それによりエラストマーが多孔性のビーズコーティングに侵入して、硬質終板とエラストマーコアとの間の堅固な機械的な結合をもたらす。このような結合表面は、例えば米国特許第5,071,437号に開示されている。
【0008】
しかしながら、椎間板プロテーゼの終板のような整形外科器具の硬質要素を椎間板プロテーゼのエラストマーコアなどのエラストマー要素に固定する新たな方法が引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本発明はその基本原理の1つにおいて、エラストマー部材を基板に堅固に固定する装置および方法を提供するものであり、該固定は、固体の架橋部に囲まれた開口の集合体を画成する取り付け構造体であって、基板と一体でありかつ基板表面の少なくとも大部分に渡って延在し、架橋部の少なくとも一部はその下にある基板部分から十分に隔てられている取り付け構造体にエラストマーを侵入させ、該表面に概ね垂直な方向の引っ張り力による破壊を防止するのに十分なエラストマーの層を架橋部の下側に形成することによりなされる。
【0010】
特定の実施形態において、取り付け構造体は孔あきプレート、スクリーン、トラベキュラメタル(すなわち「海綿状金属」)、有孔性金属、表面から立ち上がり横開口を有する柱体またはフィン等であり、好適には概ね剛体の材料よりなる。原理的に厳密に限定されるものではないが、本発明は外科的インプラントに最も好適に適用される。
【0011】
即ち本発明は、その主要な態様の1つにおいて外科的インプラントを提供し、該外科的インプラントは、剛体の外科的インプラント基板と、該基板上に設けられ基板の一部分を覆う有孔性の(porous:多孔を有する)取り付け構造体と、基板の前記一部分に隣接する部分を有し、有孔性の取り付け構造体に侵入するエラストマー体とを有し、該エラストマー体の前記部分は基板の前記部分に隣接する部分の体積の大部分を占め、かつ有孔性の取り付け構造体を含み、それによりエラストマー体が基板に固定される。
【0012】
本発明はその主要な態様の1つにおいて外科的インプラントを提供し、該外科的インプラントは、剛体の外科的インプラント基板と、該基板上に設けられ基板の一部分を覆う有孔性の取り付け構造体と、基板の前記一部分に隣接する部分を有し、有孔性の取り付け構造体に侵入するエラストマー体とを備え、該基板の前記部分に概ね平行な平面における該有孔性の取り付け構造体の全厚に渡って、有孔性構造体の正味の有孔率は21.5%より大きい。
【0013】
本発明はその更に別の態様において外科的インプラントを製造する方法を提供し、該方法は外科的インプラントの剛体基板部材を提供することと、有孔性の取り付け構造体を提供することと、有孔性の取り付け構造体を剛体基板部材に取り付けることと、有孔性の取り付け構造体にエラストマーを侵入させ、該エラストマーを剛体基板部材に固定することとを含む。
【0014】
本発明の上記およびその他の態様は以下の詳細な説明により、よりよく理解されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】隣り合う椎骨の間にインプラントされた本発明の椎間板プロテーゼを図式的に示す側面図である。
【図2】隣り合う椎骨の間に取り付けられた好適な実施形態の断面図である。
【図3a】トラベキュラメタルの機械的固定手段の使用を説明する部分詳細断面図である。
【図3b】開放セルを有する発泡金属の機械的固定手段の使用を説明する部分詳細断面図である。
【図4a】孔あきプレート式の機械的固定手段の使用を説明する部分詳細断面図である。
【図4b】孔あき周辺フランジ式の機械的固定手段の使用を説明する部分詳細断面図である。
【図4c】エラストマーコア内に垂直に延在する孔あきリブ式の機械的固定手段の使用を説明する部分詳細断面図である。
【図4d】ワイヤメッシュ式の機械的固定手段の使用を説明する部分詳細断面図である。
【図4e】ループ状ワイヤ式の機械的固定手段の使用を説明する部分詳細断面図である。
【図5a】中間孔あきプレート式の機械的固定手段の使用を説明する部分詳細断面図である。
【図5b】図5aの実施形態の別形態であって、中間孔あきプレート式の機械的固定手段に固定されたより硬いエラストマーを用いた形態の部分詳細断面図である。
【図5c】図5bに示す実施形態の変形例であって、中間孔あきプレートが剛体終板にスライド式あり継ぎされているものを示す部分詳細断面図である。
【図6a】柔軟なコアの周辺延長部に加えられた付加的な圧縮固定を用いた本発明の別の実施形態を示す詳細部分断面図である。
【図6b】図6aの実施形態の変形例を示す詳細部分断面図であり、圧縮固定が圧縮バンドによってなされている。
【図6c】また別の変形例を示す詳細部分断面図であり、圧縮固定が柔軟なコアの周辺延長部に対して圧縮されるリングによってなされている。
【図7a】エラストマー関節プロテーゼからなる実施形態を示す図であり、エラストマー部材が2つの硬質の構造的髄内部材に固着されている。
【図7b】図13aの断面図であり、2つの硬質構造的髄内部材へのエラストマー部材の固着を示す図である。
【図8a】2つの硬質骨固定プラグに対して変形可能なエラストマー部材が固着される前十字靱帯置換プロテーゼからなる実施形態を示す図である。
【図8b】図8aの骨固定手段の断面図であり、2つの硬質な骨固定プラグに対するする変形可能なエラストマー部材の固着を示している。
【図9a】髄内固定ロッドからなる実施形態を示す図であり、該ロッドはロッドの2つの端部に変形可能なエラストマーが固着される中央の低剛性領域を有している。
【図9b】図9aのロッドの中央部分の断面図であり、硬質ロッドの端部への変形可能なエラストマーの固着を示している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は柔軟なエラストマー材料を医学的インプラントの剛体構造に対して固着し、かつエラストマー材料の固着が意図した用途における負荷に十分耐えうる強度をもつように固着する方法を提供する。いくつかの好適な実施形態において、本発明は有孔性の構造体を有する物品を用いることによりこの目的を実現する。有孔性の構造体は剛体であってもよく、かつ固体物質によって画成された開放孔を有し、剛体基板部材の表面から隔てられていて、該有孔性構造体と該表面との間に十分な隙間があり、エラストマー材料が少なくともいくつかのエラストマーで満たされた孔の間にエラストマー材料の連続体すなわち架橋を形成し、それによりエラストマー材料体を破断することなくエラストマー材料をインプラントから機械的に引き離すことができない。好適には有孔性構造体の有孔率は21.5%より大きい、即ち、有孔性構造体の下にある基板表面上への孔の投影面積は下にある表面の面積の21.5%より多くを構成する。
【0017】
1つの好適な実施形態において、有孔性構造体は表面から隔てられており、有孔性構造体と表面との間にエラストマーの連続的で中断のない層、即ちシートを提供する。繰りかえすと、有孔性構造体は面積にして21.5%より大きい互いに連なる孔部を有することが好ましく、より典型的には有孔率の値は30%乃至80%の範囲にある。
【0018】
特定の一形態において、エラストマーは剛体の金属支持体即ちプレートに対して、支持体即ちプレートに設けられた複数の孔により固定される。該孔はエラストマーが支持体上に成形された際に該孔を通って支持体の後側に貫入し、エラストマーで充填された孔の少なくともいくつかの間に連続体を形成することを許容する。この孔の数と大きさ、延いてはその断面積は、エラストマーおよび金属それぞれの強度に合わせて変更することができる。例えば、金属の強度がエラストマーの強度の10倍であり、かつ孔部が利用可能な断面積の90%を占める場合には、孔内の高分子材料はそれ以外の金属部分と同一の負荷担持能力を持つことになる。
【0019】
本発明を利用して作成された好適な装置は以下を取り入れることにより、剛体基板に対するエラストマー部材の強固な固定を実現する。即ち:
【0020】
1)2次元または3次元のラティス構造であって、好適には21.5%より大きい相互結合する孔部を有し、ラティス内のエラストマーの量が従来のビーズコーティング等を用いて達成しうる量よりも大きくなる構造、および
【0021】
2)好適にはエラストマー部材の本体部とは反対側のラティス表面上の、エラストマーによる連続的な架橋あるいは層であって、ラティス内のエラストマー部分の間の強力な結合を提供するような架橋あるいは層。このようなエラストマーによる架橋あるいは層はラティス内のエラストマー部分を支持し、負荷が加わった際に、それらエラストマー部分がラティスから引き抜かれその結果エラストマーと基板との間の固着を損ないその医療器具を破損させることを許容するような変形を防止する助けとなる。このような架橋あるいは層は、ラティス内にエラストマーがそれをループ上に取り巻くことができ、その結果隣接する孔を結合するエラストマーの連続的なバンドが形成されるような構造を設けることにより形成することができる。あるいはまた、エラストマーによる支持層は、エラストマー材料が孔部を完全に貫通するようにして、有孔性構造体の基板面に面する側の面上にエラストマーの中断のない層を形成することにより形成してもよい。このような有孔性構造体内の高分子材料と連続する高分子材料の連続的な層は、エラストマーがラティスから引き抜かれるのを防止するのに役立つ。
【0022】
この堅固な固定には、孔あきプレート、穴あきフィン、ワイヤメッシュ、ループ状ワイヤ等の2次元ラティス構造体や、開放セルを有する発泡体、トラベキュラメタル(trabecular metal)の有孔性表面またはその他の高有孔性構造体であって少なくともその大部分がエラストマー内に埋め込まれたものを用いることができる。
【0023】
このようなラティス構造体は好適には正味の捕捉性有孔率(captive porosity)が21.5%より大きくなるように構成する(有孔率は、好適には剛体の固定用構造体によって形成される孔すなわち開口を横切るエラストマーの総投影面積を、剛体の構造体とエラストマーとを合わせた投影面積で除したものとして計算される)。ある観点から見れば、剛体のラティス構造体の孔あるいは開口に入り込んだエラストマー材料は連続的なループの如きものをなしてエラストマー本体へと戻ってそれと結合する。別の観点から見れば、孔に入り込んだエラストマーはエラストマーの本体を、剛体のラティス構造体の反対側を覆う連続的なエラストマーの層に対して結合する。このようなラティスおよびエラストマーの構成はエラストマーと剛体のラティス構造体との堅固で安定した組み付けをもたらす。
【0024】
本発明の別の好適な物品は剛体の終板に固定されたエラストマーのディスクコアを用いた椎間板プロテーゼである。このプロテーゼでは、剛体(金属、高分子材料、複合物、セラミック)の孔あきプレート部材(perforated plate member)上に柔軟なエラストマーを成形し、エラストマーはプレート部材の一方の側から孔を通って再びそれ自身と結合する。これらの孔の大きさ、形状、位置は所望の固定強度が得られるように調整することができる。ある形状に対する正味の捕捉性の有孔率を算出してもよい。例えば、単位辺長Lの正方形プレート領域に直径0.95Lの円形中心孔が設けられているものでは正味の捕捉性有孔率はおよそ71%になる。同様にこの領域が0.95Lに等しい辺を有する正方形の孔が設けられている場合には、正味の捕捉性有孔率は90%となる。どちらの例でも、孔をとりまく金属の最小断面は同一であり、0.025Lとなる。これに対し、直径Lのビーズを稠密に密集させた層においては、捕捉性の有孔率は21.5%より小さい。
【0025】
所与の実施形態において、孔あきプレートの孔の数、位置および大きさは、エラストマーおよび負荷条件に応じて変更することができる。好適には、反復的な引っ張りおよび圧縮負荷が加わった際に高分子材料の結合に加わる切断作用を防止するために、その縁部が滑らかとなるように孔を形成する。エラストマー部材本体の反対側の孔あき剛体プレートの面上の連続的なエラストマー層の厚さは、エラストマー材料の引っ張り強度に応じて変更することができる。
【0026】
エラストマーディスクコアを用いた本発明の椎間板プロテーゼにおいては、典型的な負荷条件下では、屈曲および伸展の際にエラストマーコアの最も外側の領域(前側と後側領域)に最大の引張応力が生ずる。また、剛体材料と柔軟材料との間の剛性の違いにより更なる応力集中要因が生ずる。このようなプロテーゼでは、エラストマーコアを剛体の終板の縁部を越えて周辺領域まで延在させ、該延在する部分を剛体終板の周縁に向かって曲げる(かしめる)ことにより、応力の高まる周辺領域において、剛体の終板をエラストマーコアから引き離すような応力を低減してもよい。このエラストマーの自由延在部の圧縮予圧は応力負荷を打ち消し、エラストマーコアの最外側部分の引っ張り分離応力の防止に役立つ。このような曲げ(かしめ)はディスクの曲げ剛性に関しては殆どあるいは全く寄与しないだろうが、これらの高応力領域において固定強度を有意に改善するであろう。
【0027】
本発明を、人体脊柱内の損傷したまたは変性した脊椎円板を置換するための人工椎間板プロテーゼの構造によって、更に説明する。図1は人体の脊椎運動分節内の隣接する上側および下側椎骨11および12の間にインプラントされた椎間板プロテーゼ10を図式的に示している。
【0028】
図2は椎間円板プロテーゼ10のより詳細な断面図であり、第1の即ち上側の剛体プレート310、第2の即ち下側の剛体プレート320、および剛体の固定手段311および321によって2つの剛体プレートの間にそれらに対して固定的に組み付けられる柔軟なエラストマーコア330を示している。椎間板プロテーゼ10において、上側および下側の剛体プレート310および320は概ね互いに同等であり、椎間板プロテーゼは中心線垂直面に関して対称に設置される。剛体プレート310および320は、様々な従来の一般的固定手段340および341(例えば多孔性の表面コーティング)により椎骨301および302に固定するためのものである。剛体プレート310および320は生体適合性のある物質でできており、好適にはTi6Al4V(Ti-6%Al-4%V)である。剛体プレート310および320の作成にあたっては、一般的な金属製造方法を用いてよい。
【0029】
図3aは図2の実施形態においての使用に適した剛体の固定手段の詳細図であり、固定手段の好適な構成を示している。この場合、トラベキュラメタルの有孔性構造体402を用いており、有孔率は21.5%(投影面積において)より大きい。有孔性構造体402は従来手段によって終板320に取り付けられており、エラストマー330が高い正味補足性有孔率の孔部404を通って、柔軟コア領域330から延伸して有孔性構造体402に浸透し、その中で自分自身と結合して、背後のコア領域330まで至る一体的な結合を形成する。このようにして、有孔性構造体402はエラストマーに埋め込まれる。エラストマーの一般的な材料強度は剛体の有孔性構造体402の材料強度の5分の1程度であるので、金属に対するエラストマーの割合を幸便におよそ80%(投影面積において)として、コア領域330と剛体基板プレート320との間の十分な結合をもたらすことができる。
【0030】
図3bは図3aのプロテーゼの別の実施形態を示す図であり、ここではエラストマーコア400は柔軟なエラストマー材料405と移行プレート407を形成するより硬いエラストマー材料406とからなっている。移行プレート407は有孔性構造体408、即ち一例として図示したような開放セルの有孔性構造体への浸透により剛体基板プレート320に取り付けられ、機械的な固定を実現する。このような有孔性セル構造体は従来の工程により作成することができる。例えば、ケミカルエッチングあるいはエレクトロケミカルエッチングによりパターン形成された基板表面を形成する際に用いられる工程や、パターン形成されたフォトレジスト層などを用いた工程である。有孔性構造体408は孔部410を有するので、エラストマー材料406は有孔性構造体408の内部の空間を満たし、機械的な結合を形成する。この実施形態では、エラストマーコア405の垂直壁412を横方向に越えて延在するフランジ411を更に備えている。同様に、有孔性構造体408も横方向に或る長さ413だけ延在させて、さらなる機械的固定を与えてもよい。椎間板プロテーゼは脊柱の屈曲時に垂直壁412の外縁において最大の応力を受けるので、フランジ411を設けてこうした負荷を更に広い領域に拡げて、エラストマー406と剛体の有孔性構造体との間の剛性の違いによる応力集中を最小化する。このようなフランジと有孔性構造体の延長部はここに開示する本発明のすべての実施形態において用いることができるものであるが、他の実施形態においては個別に取り上げて論じることはしない。
【0031】
以上に説明した実施形態は基板に固定された高い有孔率を有する有孔性構造体の使用を例示している。このような構造体には、製造の難しさ、および品質管理と加工における高コストという課題がある。そこで、図4aに別の実施形態を示しており、この実施形態では、剛体の基板(例えば椎間プロテーゼの金属製終板)に取り付けられた剛体構造体(例えばプレート)512内の複数の孔511を通って延在するエラストマー510を使用することにより、確実かつ安定した固定が達成される。エラストマー材料は主エラストマーコア510から、穿孔された孔511を通って延在し、剛体構造体512の反対側においてほぼ連続的なエラストマー層あるいはエラストマーシート514を形成する。剛体構造体512および孔511は図4aに示すような孔あきプレート(perforated plate:穿孔されたプレート)であってもよいし、他の開口形態および方向を有するその他の同様に作成された構造体であってもよい。図4bは剛体の固定手段を構成する水平周縁フランジ515および一連の孔516を有する更なる別の実施形態を、その詳細断面において示している。エラストマー510は孔516を通って延在し、全体として514として示すフランジの反対側において背後の主ポリマーコアと結合している。
【0032】
図4cはまた別の実施形態を示しており、この実施形態は基板の表面から概ね垂直に延在し、かつ柔軟なエラストマーコア510内に突出し、かつフランジ内の概ね横方向に延在する孔521を有する、1以上のフランジあるいはリブ520を用いている。図4bに示した実施形態と同様にして、エラストマー材料は孔を通って延在し、それによりエラストマー材料が実質的な連続体を形成し、エラストマー材料522はフランジ520の両側に沿って存在する。
【0033】
図4dは別の実施形態を示しており、この実施形態ではワイヤメッシュ530が剛体の基板532に取り付けられており、かつ531で示すほぼ垂直な周辺縁部に取り付けられていることにより、基板532の表面から隔てられている。エラストマー510はワイヤメッシュ530の第1の側から、メッシュの捕捉性孔部を通り、ワイヤメッシュの530反対側において連続的な層、即ちシート534を形成する。別の例としては、ワイヤ構造を図4eに示すように、直立するワイヤループ540を基板545の表面に固着する541ことにより構成してもよい。この実施形態では、エラストマー510は領域545からおよびワイヤループ540の第1の側543から伸びて、544にて示す捕捉性孔部を通り、かつエラストマー自身へと帰還することにより、ワイヤループ540を通るエラストマーの連続体を形成する。図4eの実施形態において、より硬い移行プレートおよび/または図3bの実施例に示すような横方向に延在するフランジを備えるエラストマーコアを用いることにより、付加的な固定強度を与えてもよい。
【0034】
例えば椎間プロテーゼのエラストマーコアを例とするエラストマー部材を、相互はめ込み構造あるいは結合構造によって例えばそのプロテーゼの終板などの剛体構造体に固定し、それによりモジュラ構造アセンブリを形成してもよい。そのようなモジュラ構造を組み付ける従来の方法としては、圧入や溝、およびエラストマー内に形成した締まりばめ(interference locking)機構やあり継ぎ(dovetail)固定機構などがある。しかし、これらの相互はめ込み構造または結合構造には問題がある。それはアセンブリにその要素を分離するような力が加わった場合に、エラストマー要素が変形し、結合が解かれることがあるためである。
【0035】
このような従来のアセンブリに対して、本発明の方法および装置は、簡単に組み付け可能でありながらエラストマー要素の脱係合には抗することのできるモジュラ要素の構成を可能とする。このような装置は図5aおよび5bの実施形態に示される(好適には剛体の)中間アンカー(anchoring:繋止)構造605を用いることができる。図示の形態において、アンカー構造は孔あきプレート609に付随する周辺フランジによって構成される。剛体プレート600は、中間アンカー構造605の突起部604と係合する溝603として示される周辺の機械的固定手段602を備え、それにより2つの剛体構造物、即ち剛体(例えば金属)のアンカー構造605と剛体(例えば金属)の基板600との間のしっかりした結合をもたらしている。中間アンカー構造605は、図示されているように多孔性の取り付け構造体(例えばプレート609)と一体であってもよいし、または有孔性の取り付け構造体とアンカー構造は別々の要素として形成し、互いに対して固着してもよい。エラストマーコア510は、上に述べかつここで金属プレート609によって例示される有孔性構造体によって、中間アンカー構造605に対してしっかりと固定される。これらの実施形態において、エラストマーコア510は中間アンカー構造605に固定され、中間アンカー構造605は剛体の終板600に固定される。この実施形態は、ともすれば一連の製品が多くの様々な高分子化合物や剛体プレートの様々な構成を必要とすることにもなる製造用在庫を縮小するのに有用であることがわかる。このように、同一の高分子化合物と中間アンカー手段を有するアセンブリを、いくつかの異なるサイズおよび設計の剛体終板に別々に組み付けることができる。
【0036】
図5bはエラストマーコア510がより硬いエラストマー608に接着され、該エラストマーは(プレート609を介して)中間アンカー構造605に固定され、該中間アンカー構造は剛体終板600に組み付けられている実施形態を示している。剛体終板600はアンカー構造の突起部604と協働する凹部即ち溝603として図示されている機械的な固定手段602を有しており、これによりプレート600とのしっかりした結合をもたらしている。
【0037】
図5cは図5bに示す実施形態に類似した更なる実施形態を示している。この実施形態では硬いエラストマー608が、典型的には金属製の有孔性プレート710に固定されており、該有孔性プレート710は剛体終板600に形成されたありほぞ(蟻臍)731にしっかりと契合するあり(蟻:dovetail)711を有している。
【0038】
上記実施形態のそれぞれにおいて、有孔性の取り付け構造体は基板部材上にその一部を覆うように設けられ、エラストマー材料が基板の覆われた部分に隣接する部分の体積の多くの部分(>50%)を満たしており、有孔性の取り付け構造体を含んでいる。これにより、エラストマー材料は基板にしっかりと取り付けられる。基板の表面部分から隔てられたプレートやスクリーン等の有孔性取り付け構造体を用いた実施形態においては、有孔性の取り付け構造体と基板の表面部分との間の体積全体をエラストマーで好適に満たしてもよい(例えば図4a、4b、4dの如くに)。
【0039】
図6a乃至6cは本発明の別の実施形態の部分断面を詳細に示している。この実施形態は上述のような剛体の固定構造体90を有し、かつそれに加えて横方向に広がるエラストマーフランジをエラストマー用の剛体固定構造体または剛体基板に対して圧縮する構造を有している。図6aにおいて、エラストマーコア902の横方向延在部は、コア902から外側に広がるように好適に変形されている。この実施形態では、破線で示すフランジの元の形態が、当初破線904で示す形状である圧縮要素901によって圧縮されている。変形した圧縮要素901は好適には図示のように剛体の固定手段906と一体であるが、別の例としては、エラストマーコアと剛体終板を組み付けた後に、所望の圧縮を与えるべくプロテーゼに取り付けてもよい。柔軟なコア902およびフランジ要素903は予備成形され、その後、圧縮要素904は901によって示す形に恒久的に変形され、それによってフランジ要素に係合しかつそれを圧縮された形状900へと変形させる。この実施形態では、圧縮要素906は柔軟なコアフランジ901上に締まりばめされる周縁バンドの形態としてよい。別の実施形態としては、周縁フランジに対してネジ、ワイヤ、クリップなどの従来の固定手段を用いて、柔軟なコアフランジを圧縮するのに必要な圧縮力を与えてもよい。
【0040】
図6bは図6aの実施形態とは別の実施形態の部分断面を詳細に示す図であり、この実施形態では、元の形922を保ったフランジ921の上に圧縮バンド920を取り付け、フランジ921を溝923内に変形された形状924となるよう圧縮する。
【0041】
図6cは図6aの実施形態とは別の実施形態の部分断面を詳細に示す図であり、この実施形態では、フランジ要素932と外縁の保持溝933との間に周縁的に延在する圧縮要素931を力を加えて組み付けることにより圧縮固定が行われ、それによりフランジ932は剛体基板910の内部保持溝934に向けて圧縮される。
【0042】
図7および7bは、例えば指関節の人工的な置換に適した本発明のエラストマー関節プロテーゼを示している。このプロテーゼは、指趾骨556内に従来の手法で挿入された金属あるいは硬いプラスチックなどの剛体の髄内部材554に取り付けられた、柔軟なエラストマー本体552を有する。髄内部材554には、その適宜の端部に凹み領域558が設けられている。金属などからなる孔を有する剛体プレート560(図7では破線にて示す)は、髄内部材554の端部を横切って延在し、孔あきプレート560と髄内部材554の本体との間には空間が形成される。柔軟なエラストマー部552は成形され、あるいはまた髄内部材554に固着され、エラストマー材料がそれぞれの孔あきプレート556を通って広がり、プレート560の背後で高分子材料の連続的な層を形成するようになっている(図7bの詳細部分断面に最良に示される)。
【0043】
図8aおよび8bは本発明によるまた別のプロテーゼ570を示しており、これは例えば膝関節の前十字靱帯またはその他の靱帯や腱などの人工的な置換に適している。図8aは膝関節の大腿骨572と脛骨574との間にインプラントされた靱帯プロテーゼ570を破線にて示している。このプロテーゼ570は細長い本体576からなり、その端部には硬い剛体の骨固定プラグ578を有し、該骨固定プラグ578は従来物質で作られ、従来の手法によりインプラントされる。図示された図8bの詳細部分断面に最もよく見て取れるように、各骨固定プラグ578は管状であって、孔あきプレート等580を備え、該プレート580はプラグの軸に略平行なそれぞれの平面内にあり管状のプラグ578の内腔を横切って延在する。エラストマー本体576は成形され、あるいはまた骨固定プラグ578に固着され、エラストマー材料がそれぞれの孔あきプレート580を通って広がり、プレート580の背後で高分子材料の連続的な層を形成するようになっている。
【0044】
図9aおよび9bは大腿骨等の長い骨に適した髄内固定ロッド65を示しており、該ロッドは変形可能なエラストマーがロッドの2つの髄内部分654の間に挿入された、中央の低剛性領域652を有している。図9bは図9aの固定ロッド650の中央領域652を通る断面図であり、固定ロッド650の髄内部分654の内側端部658に取り付けられた変形可能なエラストマー656を示している。エラストマー部分656のエラストマーは成形され、あるいはまた髄内部分654の内側端部658から延在する孔を有する剛体の突起660(破線にて示す)に固着され、剛体突起660の孔を通って広がり、髄内部分654を共に保持する一体的部分を形成する。
【実施例】
【0045】
この実施例は本発明の一実施形態を用いることによって、ビーズ層を有する剛体基板に対するエラストマーの公知の固定と比較して得ることのできる、付加的な強度と均一性を示すものである。
【0046】
直径11.2mm長さ4mmの円柱形のエラストマーコアを2つのチタン合金終板に取り付け、アセンブリ全体を引っ張りにおける破損テストに供しうるように、テストサンプルを作成した。用いたエラストマーはデュロメータ75Dのポリカーボネート−ポリウレタン(マサチューセッツ州ウィルミントンのCardioTech Inc社のChronoflex-C)であり、これをTi-6%Al-4%V外科用合金からなる金属終板に射出成形にて固着した。実験では有孔性コーティングおよび孔あきプレート構成を含む異なる取り付け手段を調べた。
【0047】
2系列のサンプルをテストし、テストした各系列のいくつかのサンプルは、
・A 直径−45+60の焼結ビーズの2層を用いて約21%の有孔率の有孔性を与えた有孔性表面。
・B 規則的に並んだ1.5mmの貫通孔を有し約44%の有孔率の孔あき表面。この設計ではエラストマーが孔を通って広がり、反対側で1mm厚の完全な高分子シートとなる。
【0048】
テスト:すべてのサンプルを、生理学的条件を模して温度37°Cに保たれた水浴内で、2.5mm/分の速度で一軸の引っ張りにおける破損についてテストした。結果は以下の表1に示す。
【表1】
【0049】
実験の結論:孔あきプレートを使用したエラストマーの金属構造体への固定は、有孔性コーティングあるいはビーズ付きの表面によって達成される固定強度よりも有意に優った固定強度をもたらす。孔がビーズやそれに類するものの球面によって画成される有孔性コーティングあるいはビーズ付きの表面と比較して、孔の一部あるいは全部が非球面によって画成される構造体を用いることにより、優れた固定強度を得ることができる。
【0050】
本発明をいくつかの実施形態に関して説明してきたが、当業者には本発明の精神または必須の特徴から離れることなく多くの変形・変更を加えることが出来ることは明らかである。従って、本開示は本発明を例示するためのものであって、限定するためのものではないことを理解されたい。更に、以上の記載から本発明は多くの効果を奏するものであることが理解されるだろう。例えば、本発明は一般にはエラストマーの剛体基板へのしっかりとした固着を提供する。外科的インプラントにおいては、本発明は脊椎板プロテーゼの終板に対して固定されるエラストマーコア等、柔軟なエラストマー部材を剛体インプラント基板部材に対する固定に際して、有孔性コーティングまたは固着のための接着剤層のいずれかのみに頼ることなく、より大きな固定強度を提供する。本発明は更に、より簡単な製造および最終製品のより容易な検査を可能とするような仕方で、エラストマー部材を剛体部材に固定する手段を提供する。本発明のその他の利点は当業者には明らかである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛体の外科的インプラント基板と、
前記基板上に設けられ、かつ前記基板の一部分を覆う有孔性の取り付け構造体と、
前記基板の前記部分に隣接する部分を有し、かつ前記有孔性の取り付け構造体に浸入するエラストマー体とを有し、
前記エラストマー体の前記部分は前記基板の前記部分に隣接する部分の体積の大部分を占め、かつ前記有孔性の取り付け構造体を含み、それにより前記エラストマー体が前記基板に固定されることを特徴とする外科的インプラント。
【請求項2】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板の前記部分に面し、かつそれから隔てられた表面を有し、前記エラストマー体は前記有孔性の構造体の前記表面の一部を覆うエラストマーの連続する層を含む、請求項1記載のインプラント。
【請求項3】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板に固定される周縁部を有する孔あきプレートを含む、請求項2記載のインプラント。
【請求項4】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板に固定される周縁部を有するスクリーンを含む、請求項2記載のインプラント。
【請求項5】
前記有孔性の取り付け構造体は海綿状金属の層を含む、請求項1記載のインプラント。
【請求項6】
前記有孔性の取り付け構造体は開放セルを有する金属の層を含む、請求項1記載のインプラント。
【請求項7】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板の対向面に接着されたスクリーンを含む、請求項1記載のインプラント。
【請求項8】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板の表面上に直立する複数の剛体ループを含む、請求項1記載のインプラント。
【請求項9】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板の表面上に直立する複数のフィンを含み、前記フィンの各々は複数の開口を有する、請求項1記載のインプラント。
【請求項10】
前記基板は直立する周辺の支持構造を有し、前記有孔性の取り付け構造体は、前記周辺支持構造から概ね径方向内方に延在しかつ前記基板の前記部分から隔てられた縁部を含む、請求項1記載のインプラント。
【請求項11】
前記インプラントは椎間板プロテーゼである請求項1記載のインプラント。
【請求項12】
前記インプラントは関節の置換物であり、前記基板は髄内部材である、請求項1記載のインプラント。
【請求項13】
前記インプラントは靱帯の置換物または腱の置換物のうちの1つであり、前記基板は固定プラグである、請求項1記載のインプラント。
【請求項14】
エラストマーの前記連続する層は前記基板の前記部分とほぼ同範囲に延在する、請求項2記載のインプラント。
【請求項15】
剛体の外科的インプラント基板と、
前記基板上に設けられ、かつ前記基板の一部分を覆う有孔性の取り付け構造体と、
前記基板の前記部分に隣接する部分を有し、前記有孔性の取り付け構造体に侵入するエラストマー体と、を有し、
前記基板の前記部分に概ね平行な平面における前記有孔性の取り付け構造体の全厚に渡って、前記有孔性構造体の正味の有孔率は21.5%より大きいことを特徴とする外科的インプラント。
【請求項16】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板の前記部分に面し、かつそれから隔てられた表面を有し、前記エラストマー体は前記有孔性の構造体の前記表面の一部を覆うエラストマーの連続する層を含む、請求項15記載のインプラント。
【請求項17】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板に固定される周縁部を有する孔あきプレートを含む、請求項16記載のインプラント。
【請求項18】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板に固定される周縁部を有するスクリーンを含む、請求項16記載のインプラント。
【請求項19】
前記有孔性の取り付け構造体は海綿状金属の層を含む、請求項15記載のインプラント。
【請求項20】
前記有孔性の取り付け構造体は開放セルを有する金属の層を含む、請求項15記載のインプラント。
【請求項21】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板の対向面に接着されたスクリーンを含む、請求項15記載のインプラント。
【請求項22】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板の表面上に直立する複数のフィンを含み、前記フィンの各々は複数の開口を有する、請求項15記載のインプラント。
【請求項23】
前記基板は直立する周辺の支持構造を有し、前記有孔性の取り付け構造体は、前記周辺支持構造から概ね径方向内方に延在しかつ前記基板の前記部分から隔てられた縁部を含む、請求項15記載のインプラント。
【請求項24】
前記インプラントは椎間板プロテーゼである請求項15記載のインプラント。
【請求項25】
前記インプラントは関節の置換物であり、前記基板は髄内部材である、請求項15記載のインプラント。
【請求項26】
前記インプラントは靱帯の置換物または腱の置換物のうちの1つであり、前記基板は固定プラグである、請求項15記載のインプラント。
【請求項27】
エラストマーの前記連続する層は前記基板の前記部分とほぼ同範囲に延在する請求項16記載のインプラント。
【請求項28】
外科的インプラントの剛体基板部材を提供することと、
有孔性の取り付け構造体を提供することと、
前記有孔性の取り付け構造体を前記剛体基板部材に取り付けることと、
前記有孔性の取り付け構造体にエラストマーを侵入させ、前記エラストマーを前記剛体基板部材に固定することと、を含む外科的インプラントの製造方法。
【請求項29】
前記有孔性の取り付け構造体は、前記基板部材の一部分に面しかつそれから隔てられた表面を有するように前記基板部材に取り付けられ、前記エラストマーは前記有孔性の構造体の前記表面の一部を覆うエラストマーの連続する層を含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記有孔性の取り付け構造体は孔あきプレートを含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記有孔性の取り付け構造体はスクリーンを含む、請求項29記載の方法。
【請求項32】
前記有孔性の取り付け構造体は海綿状金属の層を含む、請求項28記載の方法。
【請求項33】
前記有孔性の取り付け構造体は開放セルを有する金属の層を含む、請求項28記載の方法。
【請求項34】
前記有孔性の取り付け構造体はスクリーンを含む、請求項28記載の方法。
【請求項35】
前記有孔性の取り付け構造体はワイヤ部材を含み、前記ワイヤ部材は前記基板部材の表面に、該表面から立ち上がる複数の剛体のループを形成するように取り付けられている、請求項28記載の方法。
【請求項36】
前記インプラントは椎間板プロテーゼである、請求項28記載の方法。
【請求項37】
前記インプラントは関節の置換物であり、前記基板部材は髄内部材である、請求項28記載の方法。
【請求項38】
前記インプラントは靱帯の置換物または腱の置換物のうちの1つであり、前記基板は固定プラグである、請求項28記載の方法。
【請求項39】
エラストマーの前記連続する層は前記基板の前記部分とほぼ同範囲に延在する、請求項29記載の方法。
【請求項40】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板部材の一部分を覆うように前記基板部材に取り付けられ、前記基板部材の前記部分に隣接する部分を有するエラストマー体を形成するように含浸を行い、前記エラストマー体の前記部分は前記基板の前記部分に隣接する部分の体積の大部分を占め、かつ前記有孔性の取り付け構造体を含む、請求項28記載の方法。
【請求項41】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板部材の一部分を覆うように前記基板部材に取り付けられ、前記基板部材の前記部分に概ね平行な平面における前記有孔性の取り付け構造体の全厚に渡って、前記有孔性構造体の正味の有孔率は21.5%より大きい、請求項28記載の方法。
【請求項1】
剛体の外科的インプラント基板と、
前記基板上に設けられ、かつ前記基板の一部分を覆う有孔性の取り付け構造体と、
前記基板の前記部分に隣接する部分を有し、かつ前記有孔性の取り付け構造体に浸入するエラストマー体とを有し、
前記エラストマー体の前記部分は前記基板の前記部分に隣接する部分の体積の大部分を占め、かつ前記有孔性の取り付け構造体を含み、それにより前記エラストマー体が前記基板に固定されることを特徴とする外科的インプラント。
【請求項2】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板の前記部分に面し、かつそれから隔てられた表面を有し、前記エラストマー体は前記有孔性の構造体の前記表面の一部を覆うエラストマーの連続する層を含む、請求項1記載のインプラント。
【請求項3】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板に固定される周縁部を有する孔あきプレートを含む、請求項2記載のインプラント。
【請求項4】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板に固定される周縁部を有するスクリーンを含む、請求項2記載のインプラント。
【請求項5】
前記有孔性の取り付け構造体は海綿状金属の層を含む、請求項1記載のインプラント。
【請求項6】
前記有孔性の取り付け構造体は開放セルを有する金属の層を含む、請求項1記載のインプラント。
【請求項7】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板の対向面に接着されたスクリーンを含む、請求項1記載のインプラント。
【請求項8】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板の表面上に直立する複数の剛体ループを含む、請求項1記載のインプラント。
【請求項9】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板の表面上に直立する複数のフィンを含み、前記フィンの各々は複数の開口を有する、請求項1記載のインプラント。
【請求項10】
前記基板は直立する周辺の支持構造を有し、前記有孔性の取り付け構造体は、前記周辺支持構造から概ね径方向内方に延在しかつ前記基板の前記部分から隔てられた縁部を含む、請求項1記載のインプラント。
【請求項11】
前記インプラントは椎間板プロテーゼである請求項1記載のインプラント。
【請求項12】
前記インプラントは関節の置換物であり、前記基板は髄内部材である、請求項1記載のインプラント。
【請求項13】
前記インプラントは靱帯の置換物または腱の置換物のうちの1つであり、前記基板は固定プラグである、請求項1記載のインプラント。
【請求項14】
エラストマーの前記連続する層は前記基板の前記部分とほぼ同範囲に延在する、請求項2記載のインプラント。
【請求項15】
剛体の外科的インプラント基板と、
前記基板上に設けられ、かつ前記基板の一部分を覆う有孔性の取り付け構造体と、
前記基板の前記部分に隣接する部分を有し、前記有孔性の取り付け構造体に侵入するエラストマー体と、を有し、
前記基板の前記部分に概ね平行な平面における前記有孔性の取り付け構造体の全厚に渡って、前記有孔性構造体の正味の有孔率は21.5%より大きいことを特徴とする外科的インプラント。
【請求項16】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板の前記部分に面し、かつそれから隔てられた表面を有し、前記エラストマー体は前記有孔性の構造体の前記表面の一部を覆うエラストマーの連続する層を含む、請求項15記載のインプラント。
【請求項17】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板に固定される周縁部を有する孔あきプレートを含む、請求項16記載のインプラント。
【請求項18】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板に固定される周縁部を有するスクリーンを含む、請求項16記載のインプラント。
【請求項19】
前記有孔性の取り付け構造体は海綿状金属の層を含む、請求項15記載のインプラント。
【請求項20】
前記有孔性の取り付け構造体は開放セルを有する金属の層を含む、請求項15記載のインプラント。
【請求項21】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板の対向面に接着されたスクリーンを含む、請求項15記載のインプラント。
【請求項22】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板の表面上に直立する複数のフィンを含み、前記フィンの各々は複数の開口を有する、請求項15記載のインプラント。
【請求項23】
前記基板は直立する周辺の支持構造を有し、前記有孔性の取り付け構造体は、前記周辺支持構造から概ね径方向内方に延在しかつ前記基板の前記部分から隔てられた縁部を含む、請求項15記載のインプラント。
【請求項24】
前記インプラントは椎間板プロテーゼである請求項15記載のインプラント。
【請求項25】
前記インプラントは関節の置換物であり、前記基板は髄内部材である、請求項15記載のインプラント。
【請求項26】
前記インプラントは靱帯の置換物または腱の置換物のうちの1つであり、前記基板は固定プラグである、請求項15記載のインプラント。
【請求項27】
エラストマーの前記連続する層は前記基板の前記部分とほぼ同範囲に延在する請求項16記載のインプラント。
【請求項28】
外科的インプラントの剛体基板部材を提供することと、
有孔性の取り付け構造体を提供することと、
前記有孔性の取り付け構造体を前記剛体基板部材に取り付けることと、
前記有孔性の取り付け構造体にエラストマーを侵入させ、前記エラストマーを前記剛体基板部材に固定することと、を含む外科的インプラントの製造方法。
【請求項29】
前記有孔性の取り付け構造体は、前記基板部材の一部分に面しかつそれから隔てられた表面を有するように前記基板部材に取り付けられ、前記エラストマーは前記有孔性の構造体の前記表面の一部を覆うエラストマーの連続する層を含む、請求項28記載の方法。
【請求項30】
前記有孔性の取り付け構造体は孔あきプレートを含む、請求項29記載の方法。
【請求項31】
前記有孔性の取り付け構造体はスクリーンを含む、請求項29記載の方法。
【請求項32】
前記有孔性の取り付け構造体は海綿状金属の層を含む、請求項28記載の方法。
【請求項33】
前記有孔性の取り付け構造体は開放セルを有する金属の層を含む、請求項28記載の方法。
【請求項34】
前記有孔性の取り付け構造体はスクリーンを含む、請求項28記載の方法。
【請求項35】
前記有孔性の取り付け構造体はワイヤ部材を含み、前記ワイヤ部材は前記基板部材の表面に、該表面から立ち上がる複数の剛体のループを形成するように取り付けられている、請求項28記載の方法。
【請求項36】
前記インプラントは椎間板プロテーゼである、請求項28記載の方法。
【請求項37】
前記インプラントは関節の置換物であり、前記基板部材は髄内部材である、請求項28記載の方法。
【請求項38】
前記インプラントは靱帯の置換物または腱の置換物のうちの1つであり、前記基板は固定プラグである、請求項28記載の方法。
【請求項39】
エラストマーの前記連続する層は前記基板の前記部分とほぼ同範囲に延在する、請求項29記載の方法。
【請求項40】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板部材の一部分を覆うように前記基板部材に取り付けられ、前記基板部材の前記部分に隣接する部分を有するエラストマー体を形成するように含浸を行い、前記エラストマー体の前記部分は前記基板の前記部分に隣接する部分の体積の大部分を占め、かつ前記有孔性の取り付け構造体を含む、請求項28記載の方法。
【請求項41】
前記有孔性の取り付け構造体は前記基板部材の一部分を覆うように前記基板部材に取り付けられ、前記基板部材の前記部分に概ね平行な平面における前記有孔性の取り付け構造体の全厚に渡って、前記有孔性構造体の正味の有孔率は21.5%より大きい、請求項28記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【図2】
【図3a】
【図3b】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図4e】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7a】
【図7b】
【図8a】
【図8b】
【図9a】
【図9b】
【公開番号】特開2012−115683(P2012−115683A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−5581(P2012−5581)
【出願日】平成24年1月13日(2012.1.13)
【分割の表示】特願2007−552217(P2007−552217)の分割
【原出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(506018064)ネクスジェン スパイン、インク. (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−5581(P2012−5581)
【出願日】平成24年1月13日(2012.1.13)
【分割の表示】特願2007−552217(P2007−552217)の分割
【原出願日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(506018064)ネクスジェン スパイン、インク. (4)
【Fターム(参考)】
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