説明

剥離フィルムを有する包装袋

【課題】剥離フィルムを有する包装袋に関し、剥離フィルムを包装材料フィルムから容易に剥離することができるようにするとともに、包装材料フィルムと剥離フィルムとの間に製品シール等のシート状物を収納した包装袋を提供することを課題とする。
【解決手段】包装材料フィルムのシーラント層を互いに対向させて周縁部をシールしてなる包装袋であって、剥離フィルムと包装材料フィルムとは、周縁部以外の少なくとも収納部では互いに接着しておらず、左右2辺の周縁部では剥離可能に接着しており、開口部に対向する周縁部で剥離フィルムは包装材料フィルムより長く延設されて重ね合わされて接着しており、剥離フィルムと、包装材料フィルム間の接着していない空間にシート状物が収納されていることを特徴とする剥離フィルムを有する包装袋。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子部品等、塵や埃を嫌う物品の包装に用いられる包装袋に関し、外面の剥離フィルムを剥離除去することによって容易に清浄面を表出することができる包装袋に関する。
【背景技術】
【0002】
精密機器、半導体製品、磁気ディスク、シリコンウェハ等の精密製品は、ゴミ、塵、埃等の混入を極端に嫌うため、その製造は清浄度の高いクリーンルーム内で行われている。これらの製品は、使用される際にも同様にクリーンな環境で用いられる場合が多いため、流通過程での製品本体への塵埃の付着を防止し、さらに包装袋の外面に付着した塵埃を、クリーンな環境に持ち込まないために、さまざまな対策が講じられている。このひとつとして、特殊な構造を持ったプラスチックフィルム製の袋に製品を包装して出荷する方法がある。
【0003】
この用途に用いられる包装袋としては、例えば、包装袋の表面に保護フィルム層を設け、輸送等により保護フィルム層が汚染された場合には、再度クリーンルームに搬入する際に、汚染された保護フィルム層を剥離し、最外層を再びクリーンな状態に戻せるようにした包装袋が知られている。(特許文献1)。
【0004】
しかしこの包装袋は、保護フィルム層(以後保護フィルム層を剥離フィルムと称する)と基材層が全面にわたって接着しているため、剥離フィルムを剥離し難いという問題があった。
【0005】
例えば、剥離フィルムは内容物を収容した状態で剥離されることになるが、内容物を収容して密封した後の袋は形状に凹凸がついているため機械で自動的に剥離フィルムを剥離することは困難であり、手作業によらざるを得ないが、手作業による剥離フィルムの剥離は、剥離フィルムと基材層が全面にわたり接着しているため、剥離抵抗が強く容易に剥離することができない。
【0006】
これは、剥離フィルムを剥離する場合、剥離開始時は剥離部の幅が狭く剥離抵抗が弱くても次第に袋の幅方向、もしくは縦方向の全体を剥離する必要があるため剥離フィルムの剥離幅が大きくなるのに従い剥離させるのに必要な力が大きくなる為である。
【0007】
仮に剥離フィルムと基材層の間の強度が20g/15mm幅(90°剥離)であっても袋の幅が200mmならば260g以上の力が一定時間、剥離し終わるまで継続して必要となる。さらに実際の作業に近い180°剥離の場合、おおよそ倍の力が必要になることや、内容物が密封されて外側の形状が複雑になると、さらに余分な力が必要になる場合もある。
【0008】
そのため剥離フィルムが剥がし辛く作業者に負担がかかるばかりでなく、剥離フィルムに何らかの傷等が有る場合、剥離作業時に剥離フィルムが裂けて全く剥離することができず、外気に汚染された剥離フィルムが袋に残ってしまい、必要とする機能を果たせなくなることもあった。これらの問題点は剥離フィルムと基材層の全面が接着していることがその根本的な原因となっている。
【0009】
剥離作業を容易にするために、剥離フィルムと基材層の接着強度を弱くする方法が考えられるが、その場合、流通過程において剥離フィルムが基材層から剥がれてしまう問題が
発生する可能性があるため一定以上に接着強度を弱くすることはできない。
【0010】
剥離フィルムと基材層が接着している場合、剥離フィルムが基材層から剥がれないようにするために必要な接着強度は15〜20g/15mm幅(90°剥離)が最低限度値であるが、それでも上述の剥離フィルムが剥がし辛く、作業者に負担がかかるという問題は解決できなかった。
【0011】
また別の問題点として、包装材料フィルムと剥離フィルムが全面にわたって接着していると、内容製品を表示する為の製品シール等を基材層表面に添付することができず、製品の区分けが困難であるという問題もあった。
すなわち、製品シールは一般的に包装の外側に表示するものであるが、最外層が剥離フィルムである場合には、剥離フィルムの剥離除去と同時に製品シールも失われてしまうという問題があった。
【特許文献1】特開平7-330020号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、剥離フィルムと包装材料フィルムを重ね合わせた二重フィルムを、包装材料フィルムのシーラント層を互いに対向させて周縁部をシールしてなる剥離フィルムを有する包装袋に関する以上のような問題に鑑みてなされたものであり、包装材料フィルムを塵、埃等の汚染から保護している剥離フィルムを包装材料フィルムから容易に剥がすことができるようにするとともに、包装材料フィルムと剥離フィルムとの間に製品シール等のシート状物を収納した包装袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するための手段として、請求項1の発明は、シーラント層を有する包装材料フィルムのシーラント層を互いに対向させて開口部を除く周縁部をシールしてなる包装袋であって、包装材料フィルムの外側両面に剥離フィルムを有し、剥離フィルムと包装材料フィルムとは、左右の周縁部では剥離可能に接着しており、それ以外の部分では少なくとも収納部では互いに接着しておらず、前記開口部に対向する周縁部では剥離フィルムは包装材料フィルムより長く延設されて、その周縁部は剥離フィルム同志が重ね合わされて接着しており、前記開口部では剥離フィルムは包装材料フィルムより長く延設されており、剥離フィルムと、包装材料フィルムの間の接着していない空間にシート状物が収納されていることを特徴とする剥離フィルムを有する包装袋である。
【0014】
また請求項2の発明は、前記包装材料フィルムは、二軸延伸プラスチックフィルムからなる基材層と、ポリオレフィン系樹脂からなるシーラント層を有し、前記剥離フィルムは、外層と内層を有し、内層は、熱融着性樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の剥離フィルムを有する包装袋である。
【0015】
また請求項3の発明は、前記包装材料フィルムは、二軸延伸プラスチックフィルムからなる基材層と、ポリオレフィン系樹脂からなるシーラント層との間に、中間層を有することを特徴とする請求項2に記載の剥離フィルムを有する包装袋である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の包装袋は、シーラント層を有する包装材料フィルムのシーラント層を互いに対向させて開口部を除く周縁部をシールしてなる包装袋であって、包装材料フィルムの外側両面に剥離フィルムを有し、剥離フィルムと包装材料フィルムとは、左右の周縁部以外の部分では少なくとも収納部では互いに接着しておらず、左右の周縁部では剥離可能に接着しているため、製品を封入して密封された状態の包装体をクリーン環境に持ち込むために
、塵埃の付着した最外層の剥離フィルムを剥離除去する作業を極めて容易に行うことができる。
【0017】
また、本発明の包装体は、開口部に対向する周縁部で剥離フィルムが包装材料フィルムより長く延設されており、その周縁部で剥離フィルム同志が重ね合わされて接着しているため、剥離フィルムを除去する際に、この延設された未シール部分を鋏等で切断することにより、表裏の剥離フィルムが分離するので、容易に剥離のきっかけを得ることができる。
【0018】
更に内容物を封入する前に、製品区分の為のシールやカード等のシート状物を剥離フィルムと包装材料フィルムの間に挿入して、内容物封入時に同時に剥離フィルムの内層と包装材料フィルムの基材層とを熱シール等で剥離可能に接着させることにより、前記シート状物は、包装材料フィルムと剥離フィルムの間の接着していない空間に収納されるので、シート状物が紛失することがなく、製品の管理を確実にする事ができる。
また、包装材料フィルムが不透明な材料であるために、内容物を目視によって確認することができないような場合であっても、包装材料フィルムと剥離フィルムの間に収納されたシート状物は、目視によって確認することができる。
【0019】
次に、前記包装材料フィルムが、二軸延伸プラスチックフィルムからなる基材層と、ポリオレフィン系樹脂からなるシーラント層を有する場合、二軸延伸プラスチックフィルムが引き裂き強度や遮蔽性や、その他包装袋としての基本的な性能を分担し、シーラント層がシール強度、密封性、シール作業性等を分担する形で、包装袋としての総合的な性能を十分に発揮することができる。
またさらに、二軸延伸プラスチックフィルムからなる基材層と、ポリオレフィン系樹脂からなるシーラント層の間に、中間層を設けた場合には、包装材料として内容物に応じて要求されるさまざまな特殊な要求品質にもきめ細かく対応することが可能となる。
【0020】
また剥離フィルムが外層と内層を有し、内層は熱融着性樹脂からなる場合には、内層の熱融着性樹脂層によって製袋工程や製品封入工程におけるヒートシール作業性を確保しつつ、外層は製品を密封した包装体の最外層として必要とされるさまざまな要求品質に対応できる素材を選択することができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係る剥離フィルムを有する包装袋について、図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明に係る包装袋に内容物を挿入した状態を示す平面説明図である。包装袋1に内容物6とシート状物5が挿入された状態であり、開口部がシールされる以前の状態を示している。
図2は、図1のA−A'断面を示した説明図である。
また図3は、本発明に係る包装袋を構成するフィルムの層構成の一例を示す断面説明図である。本発明の包装袋1は、シーラント層を有する包装材料フィルム12のシーラント層を互いに対向させて開口部4を除く周縁部21、22をシールしてなる包装袋であって、包装材料フィルム12の外側両面に剥離フィルム11を有し、剥離フィルム11と包装材料フィルム12とは、左右の周縁部21以外の部分では少なくとも収納部においては、互いに接着していないことを特徴とする。
【0022】
剥離フィルム11と包装材料フィルム12とは、左右の周縁部21では、剥離可能に接着している。なお左右の周縁部21では、包装材料フィルム12のシーラント層同志も接着している。また、開口部4に対向する周縁部22では、包装材料フィルム12のシーラント層同志は接着している。包装材料フィルム12と剥離フィルム11は剥離可能に接着していても良いが、接着していない方が望ましい。
【0023】
周縁部22では、剥離フィルムは包装材料フィルム12よりも長く延設されており(剥離フィルムが延設された部分7)、延設された剥離フィルム7の周縁部24は、剥離フィルム同志が重ね合わされて接着している。延設された剥離フィルムが互いに接着していない未シール部分9は、剥離フィルムを除去する際に、カット位置40で剥離フィルムを切断することによって剥離のきっかけを得やすくするためのものであり、10mm程度の幅があることが望ましいが、特に限定されるものではない。
周縁部23は、内容物6を封入するための開口部4を形成しており、周縁部23においては、内容物6を封入する以前は、剥離フィルム11も包装材料フィルム12も接着していない状態となっているので、この段階で、内容物の属性を示す製品ラベル等のシート状物5を、剥離フィルム11と包装材料フィルム12の間の接着していない空間に挿入することができる。
【0024】
シート状物5を挿入後に、周縁部23を軽くヒートシールして、包装材料フィルム同志は接着していないが、包装材料フィルムと剥離フィルムは仮着している状態にしておくことは、内容物6の挿入を容易にすることと、シート状物の脱落、紛失を防止するために有効である。
【0025】
最終的には、開口部4から内容物6を挿入し、周縁部23をヒートシールすることによって、包装体が完成する。ヒートシール後の周縁部23においては、包装材料フィルムはシーラント層同志が接着し、包装材料フィルムと剥離フィルムとは、周縁部21と同様に剥離可能に接着した状態となる。なおこの時、周縁部23において延設された剥離フィルム8は、同時にヒートシールして剥離フィルム同志を接着させても良い。
【0026】
以上のようにして内容物6が封入され、開口部4がシールされた包装体は、ユーザーのもとに運搬され、ユーザーのクリーン環境に搬入される直前に、剥離フィルムが剥離除去される。剥離フィルムの剥離作業にあたっては、剥離フィルムが延設された部分7の未シール部分9のカット位置40をカッター等で切り取ると、包装材料フィルムと剥離フィルムが接着していない面が直ちに露出されるので、剥離フィルムを手に持って引っ張ることにより、容易に除去することができる。
また開口部側に延設された剥離フィルムが接着されていない場合には、この延設された部分8を保持して反対側から剥離フィルムを除去することもでき、剥離作業がさらに容易になるという効果を有する。
【0027】
次に、本発明に係る包装袋を構成するフィルムについて説明する。
包装材料フィルムとしては、シーラント層を有することが必須条件であり、一般的に包装材料として使用される、熱融着可能なシーラント層を有するフィルムであれば特に制約されるものではないが、最終的な包装袋に要求される各種要求品質を考慮すると、シーラント層を保持する基材層としては、二軸延伸プラスチックフィルムが好適に使用される。また、剥離フィルムについては、一般的に物品の表面保護に使用される保護フィルムが使用可能であり、その例としては、各種フィルムの裏面に粘着剤層を設けた感圧型粘着保護フィルムや、基材層の裏面に熱融着性樹脂層を設けた感熱型表面保護フィルム等が挙げられるが、本発明の用途に、最も好適に用いられるのは、熱融着樹脂層を有するタイプである。
【0028】
図3は、本発明に係る包装袋を構成するフィルムの層構成の一例を示す断面説明図である。剥離フィルム11は、外層15と内層16を有し、包装材料フィルム12は、基材層13とシーラント層14を有する。
剥離フィルム11の外層15としては、二軸延伸ポリプロプレンフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ナイロンフィルム、アルミニウム箔等が使用でき、剥離フィ
ルム11の内層16は、熱溶融性樹脂層からなる。熱溶融性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、線状低密度ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂フィルムが好ましく使用できる。
【0029】
包装材料フィルム12の基材層13としては、二軸延伸プラスチックフィルムが好適に使用される。二軸延伸プラスチックフィルムとしては、二軸延伸ポリプロプレンフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ナイロンフィルム等のフィルムが挙げられるが、この中では二軸延伸ナイロンフィルムが最も好ましく使用できる。シーラント層14としては、ポリオレフィン系樹脂が好ましく、剥離フィルムの内層16と同様にポリエチレン、ポリプロピレン、線状低密度ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂フィルムが好ましく使用できる。
【0030】
なお、必要に応じて、包装材料フィルムの基材層13とシーラント層14の間に二軸延伸ポリプロプレンフィルム、二軸延伸ポリエステルフィルム、二軸延伸ナイロンフィルム、アルミニウム箔、またはこれらの複合フィルムからなる中間層を設けることもできる。中間層を構成するフィルムや金属箔は、内容物に応じて包装材料フィルムに必要とされる各種の性能を満足するために適宜選択され、組み合わせて使用することができる。
例えば、アルミニウム箔を使用した場合には、内容物を紫外線や可視光線から保護する遮光性や、ガスバリア性、帯電防止性等の性能を付与することが可能となる。
【0031】
剥離フィルム11の外層15と内層16、また、包装材料フィルム12の基材層13とシーラント層14とは、例えば、ポリエステル樹脂系の二液反応型接着剤を用いたドライラミネート法、あるいは溶融ポリエチレンを介した押し出しラミネート法等の一般的に公知のラミネート方法により貼り合わせることができる。また包装袋の形態は、三方シール袋、合掌貼り袋、ガセット袋などに適用できる。
【0032】
次に、本発明に係る剥離フィルムを有する包装袋を製袋する工程についてその一例を説明する。図1においては、A−A'線の方向が原材料フィルムの流れ方向となる。まず表裏2枚の包装材料フィルムかあるいは、1枚の包装材料フィルムを折り曲げてシーラント層が向かい合うように重ね合わせ、周縁部22をヒートシールする。次に、この外側から2枚の剥離フィルムかあるいは、1枚の剥離フィルムを内層を内側にして折り曲げて包装材料フィルムの基材層と剥離フィルムの内層が接するように重ね合わせ、周縁部21をヒートシールすると、包装材料フィルムのシーラント層同志は、接着し、包装材料フィルムの基材層と剥離フィルムの内層とは、剥離可能に接着する。次に周縁部24をヒートシールし、開口部4の部分から包装材料フィルムと剥離フィルムの間の接着していない空間にシート状物5を挿入すると包装袋1が完成する。
【0033】
内容物6を挿入後、周縁部23をヒートシールすると、包装材料フィルムのシーラント層同志は接着し、包装材料フィルムの基材層と剥離フィルムの内層とは、剥離可能に接着する。以上により内容物6が包装材料フィルムに封入されて4周縁部がシールされ、その外側から剥離フィルムによって覆われた包装体が完成する。包装材料フィルムと剥離フィルムとの間の空間には、シート状物が収納されている。
【0034】
本発明の包装袋を製造するに当たっては、製袋工程における塵埃の付着を防止するために、可能な限りクリーンな環境において実施されることが必須である。最終的に内容物が接触する包装材料フィルムの内面は当然のこととして、包装材料フィルムの外面も清浄でなければならない。従って包装材料フィルムの外面に接触する剥離フィルムの内面もまた清浄でなければならない。
本発明の包装袋を製造するに当たっては、原材料フィルムの製造段階から塵埃の付着を防止するための十分な管理が必要となる。
【0035】
なお、本発明に係る剥離フィルムを有する包装袋の特徴である、シート状物についてであるが、当然のことながら、このシート状物についても清浄性が要求されるので、紙粉が発生する通常の紙等は使用できない。
紙の場合には、クリーンルーム内での使用が可能なように、紙粉発生防止処理を施したクリーンペーパーを使用する。好ましくは合成紙等の塵埃を発生しない材料が選択されるべきである。
また、シート状物の裏面には、粘着加工を施しておくことにより、剥離フィルムが剥離除去された後も、シート状物が包装材料フィルムの表面に止まり、内容物の属性を表示する等、目的とする機能を発揮することができる。なお、シート状物としては、必ずしも1枚のシートである必要はなく、折り畳んだ状態のものや小冊子状のものなどでもよい。
以下、実施例に基づいて、本発明の剥離フィルムを有する包装袋についてさらに具体的に説明する。
【実施例】
【0036】
図4は、実施例1の包装袋に使用したフィルムの層構成を示す断面説明図である。剥離フィルム11として、外層15となる厚さ12μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムと内層16となる厚さ40μmのポリエチレンフィルム(MFR:2、融点:110℃)とを溶融ポリエチレンからなる接着層17を介して積層し、二軸延伸ポリプロプレンフィルム(厚さ12μm)/ポリエチレン(厚さ15μm)/ポリエチレンフィルム(厚さ40μm)からなる3層構成の剥離フィルム11を準備した。なお、内層のポリエチレンフィルムの外側すなわち包装材料フィルムと接する面にはコロナ放電処理を施した。
なお、MFR(メルトフローレート)はJIS K7210により、融点はJIS K7121により測定した。
【0037】
次に基材層13として厚さ15μmのチューブラー法により作成した二軸延伸ナイロンフィルムを用い、中間層30として7μmのアルミニウム箔19と厚さ15μmのチューブラー法により作製した二軸延伸ナイロンフィルム31を二液反応型のポリエステル樹脂系接着剤18を介してドライラミネート法により貼り合わせたフィルムと、同様に二液反応型のポリエステル樹脂系接着剤18を介してドライラミネート法により貼り合わせ、さらにシーラント層14となる厚さ80μmの低密度ポリエチレンフィルムを二液反応型のポリエステル樹脂系接着剤を介してドライラミネート法により貼り合わせた。以上により二軸延伸ナイロンフィルム(厚さ15μm)/接着剤/アルミニウム箔(厚さ7μm)/接着剤/二軸延伸ナイロンフィルム(15μm)/接着剤/低密度ポリエチレンフィルム(厚さ80μm)の層構成からなる包装材料フィルム12を作製した。
なお剥離フィルム11と接する側の二軸延伸ナイロンフィルム表面は、コロナ放電等の表面処理を施さない未処理面とした。
【0038】
幅390mmに幅裁ちした2本の包装材料フィルムの巻き取りからシーラント層同志を対向させて引き出し、図5の周縁部22に相当する部分をヒートシールして接着させた。次にこの外側両面に幅415mmに幅裁ちした2本の剥離フィルムを巻出から引き出して内層が内側になるように重ね合わせ、周縁部21の部分をヒートシールした。この時、包装材料フィルムよりも剥離フィルムが周縁部25においては10mm、周縁部22においては15mm延設されるように、セットした。次に、この延設された剥離フィルムの周縁部24を幅5mmにわたってヒートシールした。
【0039】
次に、包装材料フィルムと剥離フィルムが接着していない周縁部23の部分から、製品ラベルを挿入し、周縁部23を1cm幅に軽くヒートシールして、剥離フィルムと包装材料フィルムとを仮着させた。この時、包装材料フィルムのシーラント層同志は接着しないようにヒートシール条件を設定した。製品ラベルシートの裏面には、予め粘着加工を施し
ておいた。最後に繋がった包装袋を周縁部21の部分で、270mm間隔で切り離すと、目的とする剥離フィルムを有する包装袋1が得られた。
【0040】
ヒートシール加熱により剥離フィルム11のポリエチレン面(コロナ放電処理面)と包装材料フィルム12の未処理ナイロンフィルム面はフィルム表面のヒドロキシル基、カルボキシル基等の水素結合、共有結合が発生し剥離可能に接着するものと考えられる。
【0041】
こうして得られた剥離フィルムを有する包装袋の延設された剥離フィルム8を保持して開口部4を開き、内容物6である電子部品を挿入し、周縁部23をヒートシールして包装体が完成した。
以上の工程は、すべてクリーンルーム内で行い、包装袋に塵埃が付着するのを防止した。
【0042】
以上で得られた包装体を、ユーザーのクリーンルーム内に搬入するにあたり、外側の剥離フィルムを除去した。剥離フィルムの延設部分7の未シール部分9をカッターで切断すると、剥離フィルムは包装材料フィルムとは接着していないので、ここをきっかけにして容易に剥離することができた。製品ラベルシートは、包装材料フィルムに接着しているので、落下することはなかった。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る包装袋に内容物を挿入した状態を示す平面説明図。
【図2】図1のA−A'断面を示した説明図。
【図3】本発明に係る包装袋を構成するフィルムの層構成の一例を示す断面説明図。
【図4】実施例に示した包装袋を構成するフィルムの層構成を示す断面説明図。
【符号の説明】
【0044】
1・・・包装袋
21〜24・・・周縁部
3・・・収納部
4・・・開口部
5・・・シート状物
6・・・内容物
7・・・剥離フィルムが延設された部分
8・・・剥離フィルムが延設された部分
9・・・未シール部分
11・・・剥離フィルム
12・・・包装材料フィルム
13・・・基材層
14・・・シーラント層
15・・・外層
16・・・内層
17・・・接着層
18・・・接着剤
19・・・アルミニウム箔
30・・・中間層
31・・・ナイロンフィルム
40・・・カット位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーラント層を有する包装材料フィルムのシーラント層を互いに対向させて開口部を除く周縁部をシールしてなる包装袋であって、包装材料フィルムの外側両面に剥離フィルムを有し、剥離フィルムと包装材料フィルムとは、左右の周縁部では剥離可能に接着しており、それ以外の部分では少なくとも収納部では互いに接着しておらず、前記開口部に対向する周縁部では剥離フィルムは包装材料フィルムより長く延設されて、その周縁部は剥離フィルム同志が重ね合わされて接着しており、前記開口部では剥離フィルムは包装材料フィルムより長く延設されており、剥離フィルムと、包装材料フィルムの間の接着していない空間にシート状物が収納されていることを特徴とする剥離フィルムを有する包装袋。
【請求項2】
前記包装材料フィルムは、二軸延伸プラスチックフィルムからなる基材層と、ポリオレフィン系樹脂からなるシーラント層を有し、前記剥離フィルムは、外層と内層を有し、内層は、熱融着性樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の剥離フィルムを有する包装袋。
【請求項3】
前記包装材料フィルムは、二軸延伸プラスチックフィルムからなる基材層と、ポリオレフィン系樹脂からなるシーラント層との間に、中間層を有することを特徴とする請求項2に記載の剥離フィルムを有する包装袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−202928(P2009−202928A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−49481(P2008−49481)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】