説明

剥離装置、及び画像形成装置

【課題】記録材を剥離する剥離爪が対向するローラに剥離爪が当たっても、ローラがダメージを受けない剥離装置、及びこの剥離装置を備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】剥離装置8は、搬送路130に配置され、記録材を搬送する中間転写ベルト駆動ローラ62と、この中間転写ベルト駆動ローラ62に対向して配置され、記録材Pを先端部で剥離する剥離爪21と、を備え、中間転写ベルト駆動ローラ62の剥離爪21と対向する部分が、剥離爪21の先端部よりも高硬度の材料で形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラや無端ベルト等に巻き付く記録材を剥離する剥離爪を備えた剥離装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、感光体ドラム上に形成したトナー画像を中間転写ベルトに転写し、中間転写ベルトから用紙上にトナー画像を転写して用紙上に画像を形成する画像形成装置があった。このような画像形成装置には、中間転写ベルトに対向して剥離爪が設けられており、トナー画像の転写時に中間転写ベルトに巻き付く用紙を剥離爪で剥離していた(特許文献1参照。)。
【0003】
また、画像形成装置には、中間転写ベルトではなく中間転写ローラを備え、中間転写ローラに対向して剥離爪が設けられたものもあった(特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−204768号公報(段落39)
【特許文献2】特開2006−91088号公報(段落26、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の画像形成装置では、図1に示す画像形成装置200のように、用紙P(点線で図示)の搬送中に、例えば定着装置15においてジャム(紙詰まり)が発生すると、用紙Pが折れ曲がって剥離爪21を押圧し、剥離爪21の先端が中間転写ベルト6の外周面に押し付けられることがあった。このとき、剥離爪21の方が中間転写ベルト駆動ローラ62よりも高硬度なので、中間転写ベルト駆動ローラ62が傷ついたり窪んだりしてダメージを受けることがあった。
【0006】
この問題は、特許文献2に記載の画像形成装置でも同様に発生しており、ジャム発生時に剥離爪が押し付けられて中間転写ローラがダメージを受けていた。
【0007】
そこで、本発明は、記録材を剥離する剥離爪が対向するローラに剥離爪が当たっても、ローラがダメージを受けない剥離装置、及びこの剥離装置を備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の剥離装置は、ローラと、剥離爪と、を備えている。ローラは、搬送路に配置され、記録材を搬送する。剥離爪は、ローラに対向して配置され、先端部で記録材を剥離する。また、ローラの剥離爪が対向する部分が、剥離爪の先端部よりも高硬度の材料で形成されている。
【0009】
ローラに対向して剥離爪を設けている場合、ジャムが発生して記録材が折れ曲がると、この記録材が剥離爪を押圧し、剥離爪の先端がローラに押し付けられることがある。この構成では、ローラの外周面の剥離爪が対向する部分の方が剥離爪の先端よりも高硬度なので、ジャムが発生して剥離爪の先端がローラに押し付けられても、ローラが傷ついたり窪んだりすることがなく、ローラが剥離爪によりダメージを受けるのを防止できる。
【0010】
上記構成において、ローラの剥離爪が対向する部分が金属で形成され、剥離爪の先端部が樹脂で形成されている。
【0011】
この構成では、ローラの外周面の剥離爪が対向する部分が金属で形成され、剥離爪の先端部が金属よりも低硬度で可撓性のある樹脂で形成されており、ジャム発生時に剥離爪の先端がローラに押し付けられると、剥離爪の先端が変形する。そのため、ローラが傷ついたり窪んだりすることがなく、ローラが剥離爪によりダメージを受けるのを防止できる。
【0012】
この発明の画像形成装置は、上記構成の剥離装置と、画像形成部と、を備えている。画像形成部は、剥離装置のローラが搬送する記録材に画像を形成する。
【0013】
この構成では、ジャムが発生して剥離爪が記録材に押圧されてもローラが傷ついたり窪んだりすることがなく、ローラが剥離爪によりダメージを受けないので、ローラが記録材や記録材上の画像を傷つけるのを防止でき、品質のよい画像を形成できる。
【発明の効果】
【0014】
この発明によれば、記録材のジャム発生時に、剥離爪が記録材に押圧されてローラがダメージを受けるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】従来の画像形成装置の構成図であり、ジャム発生時の状態を示す。
【図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成図である。
【図3】(A)は、本発明の実施形態に係る剥離装置の構成図であり、正常時の状態を示す。(B)は、剥離爪と中間転写ベルト駆動ローラの位置関係を示す斜視図である。
【図4】(A)は、中間転写ベルト駆動ローラの断面を示す正面図である。(B)は、(A)に示す中間転写ベルト駆動ローラの外観、及び剥離爪と中間転写ベルトの位置関係を示す正面図である。
【図5】(A)は、図4とは異なる形態の中間転写ベルト駆動ローラの断面を示す正面図である。(B)は、(A)に示す中間転写ベルト駆動ローラにおいてゴム層を除去した断面を示す正面図である。(C)は、(A)に示す中間転写ベルト駆動ローラの外観、及び剥離爪と中間転写ベルトの位置関係を示す正面図である。
【図6】(A)は、剥離爪と中間転写ベルト駆動ローラの位置関係を示す斜視図である。(B)は、剥離爪を複数備える場合の中間転写ベルト駆動ローラの外観、及び剥離爪と中間転写ベルトの位置関係を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
まず、本発明の実施形態に係る剥離装置を備えた画像形成装置100の概略構成について、図2に基づいて説明する。なお、画像形成装置100において、図1に示した画像形成装置200と同じ構成には同符号を付している。
【0017】
画像形成装置100は、イエロートナー画像を形成する第1画像形成ユニット1、マゼンタトナー画像を形成する第2画像形成ユニット2、シアントナー画像を形成する第3画像形成ユニット3、及びブラックトナー画像を形成する第4画像形成ユニット4を備えるタンデム方式のカラー画像形成装置である。以下、画像形成装置100が備える4つの画像形成ユニットの総称を画像形成ユニット群5と称する。
【0018】
図2において、画像形成ユニット群5の上方には、中間転写ベルト(無端ベルト)6が配置されている。中間転写ベルト6は、支持ローラ61と中間転写ベルト駆動ローラ62(以下、駆動ローラ62と称する。)に掛け渡されてループ状に張架され、矢印Rにて示す方向に回転する。中間転写ベルト6には、ポリイミド材に電子伝導性導電材を含有させたものを使用している。中間転写ベルト6の膜厚は、例えば60〜80μmである。ポリイミド材は、有機材料の中で耐熱性が最も高く、機械的特性、電気絶縁性、環境安定性、さらには耐薬品性に優れるポリマーである。したがって、中間転写ベルト6は、耐久性に優れている。
【0019】
画像形成ユニット群5は、中間転写ベルト6に沿って矢印Rの方向に、第1画像形成ユニット1、第2画像形成ユニット2、第3画像形成ユニット3、及び第4画像形成ユニット4の順に配置されている。
【0020】
中間転写ベルト6の内周側には、画像形成ユニット群5がそれぞれ形成した単色トナー画像を中間転写ベルト6上に転写する一次転写ローラ71,72,73,74が配置されている。一次転写ローラ71,72,73,74は、中間転写ベルト6を張架しており、それぞれ、中間転写ベルト6を挟んで画像形成ユニット群5に設けられた感光体ドラム(像担持体)161,162,163,164に対向している。画像形成ユニット群5がそれぞれ形成した単色トナー画像は、中間転写ベルト6上に重ね合うように順に転写(一次転写)され、1つのカラートナー画像が形成される。中間転写ベルト6は、一次転写されたトナー画像を駆動ローラ62と後述の二次転写ベルト310が対向する位置(二次転写位置)へ搬送する。以下、中間転写ベルト6の回転方向Rにおいて、支持ローラ61側を上流側、駆動ローラ62側を下流側と言う。
【0021】
中間転写ベルト6を挟んで駆動ローラ62に対向する二次転写位置には、二次転写ユニット31が配置されている。中間転写ベルト6上に形成されたカラートナー画像は、駆動ローラ62と二次転写ユニット31が対向する二次転写位置において、静電力により用紙(記録材に相当)Pに転写される。二次転写位置において、中間転写ベルト6(駆動ローラ62)には、用紙Pが巻き付いた際に剥離する剥離爪21が設置されている。剥離装置8は、駆動ローラ62と剥離爪21により構成されている。
【0022】
中間転写ベルト6を挟んで支持ローラ61に対向する位置には、中間転写ベルト6の表面をクリーニングするベルトクリーニングユニット10が設置されている。ベルトクリーニングユニット10は、中間転写ベルト6に接触するように配置されるベルトクリーニングブラシ11と、ベルトクリーニングブレード12と、を有しており、用紙Pに転写されずに中間転写ベルト6上に残ったトナー等を除去する。
【0023】
図2において画像形成ユニット群5の下方には、用紙を収容するトレー14が配置されている。トレー14内の用紙は、複数の給紙ローラ131〜134にて、二次転写ベルト310が中間転写ベルト6と対向する二次転写位置まで、矢印Qにて示す用紙搬送方向に搬送され、この二次転写位置において、中間転写ベルト6上のカラートナー画像が用紙Pに二次転写される。
【0024】
カラートナー画像が二次転写された用紙Pは、定着ユニット15に搬送される。そして、用紙Pは、定着ユニット15によりカラートナー画像を定着され、排紙ローラ対135により画像形成装置100から排出される。
【0025】
次に、剥離装置とその周辺の具体的な構成について説明する。図3(A)には、画像形成装置100が用紙P(点線で図示)を正常に搬送している状態を示している。
【0026】
図3(A)に示すように、画像形成装置100においては、搬送路を矢印Qの方向に搬送される用紙Pの一方の面P1に対向して、搬送路130の上流側から下流側へ順に、搬送ガイド171、給紙ローラ対134のローラ1341、搬送ガイド173、剥離装置8を構成する駆動ローラ62(中間転写ベルト6)と剥離爪21、支持部材22、退避搬送ガイド23、定着ユニット15のローラカバー153、及び定着ユニット15の加熱ローラ151が配置されている。また、用紙Pの他方の面P2に対向して、搬送路130の上流側から下流側へ順に、搬送ガイド172、給紙ローラ対134のローラ1342、搬送ガイド174、二次転写ユニット31、搬送ガイド18、及び定着ユニット15の加圧ローラ152が配置されている。
【0027】
二次転写ユニット31は、二次転写ベルト(無端ベルト)310、支持ローラ311、二次転写補助ローラ312、二次転写ローラ313、二次転写ベルト駆動ローラ314、及び支持ローラ315を備えている。二次転写ベルト310は、上記の各ローラ311〜315に掛け渡されてループ状に張架されている。
【0028】
用紙Pは、給紙ローラ対134、中間転写ベルト6と二次転写ベルト310、及び定着ユニット15の加熱ローラ151と加圧ローラ152により搬送路130を搬送される。
【0029】
図3(A)に示すように、剥離爪21は、軸220により剥離爪ホルダ41に対して揺動自在に取り付けられており、先端が中間転写ベルト6に軽く接触している。剥離爪21の先端部は、樹脂により形成されている。剥離爪21の先端部に使用する樹脂としては、例えば、エスベアN9240(スターライト工業(株)製)等、後述のゴム層627や金属層637を構成する材料よりも低硬度で可撓性のあるものが好適である。
【0030】
図3(B)には、中間転写ベルト6の回転軸方向の中央部に剥離爪21を1つ設けた例を示している。剥離爪21は、中間転写ベルト6が担持するトナー画像を用紙(記録材)Pに転写する際に中間転写ベルト6に用紙Pが巻き付くと、その先端で用紙Pを中間転写ベルト6から剥離する。
【0031】
図4(A)と図4(B)に示すように、剥離装置8において、駆動ローラ62は、円筒形の芯金部621と、芯金部621の外周面に隣接して貼着されたゴム層626〜628と、を備えている。なお、図4(B)において、中間転写ベルト6の表記を省略している。
【0032】
芯金部621は、アルミニウム合金(Al−Cu)製で薄肉のパイプ材から成り、両端部がアルミニウム合金製で円盤状の蓋材622,623により封止されている。蓋材622,623の中央部には、SUS製の回転軸624,625が圧入されている。芯金部621の外形は一例としてφ25mm〜φ35mmである。
【0033】
ゴム層626〜628は、EPDM系のブレンドゴムから成り、導電性を有する。ゴム層626〜628の厚みtは、一例として0.4mm〜0.5mmである。
【0034】
ゴム層627は、芯金部621の外周面の剥離爪21が対向する部分に筒状に貼着されている。ゴム層627は、回転軸624と回転軸625を結ぶ中心線C1と平行な方向における剥離爪21の幅がW1の場合、それよりも広いW2に設定されている。これにより、剥離爪21が揺動しても、剥離爪21の先端を必ずゴム層627に当接させることができる。ゴム層627は、剥離爪21の先端部よりも高硬度の材料で形成されており、一例として、硬度がJISA測定にて60度のものを使用する。
【0035】
ゴム層626は、ゴム層627の一方の端部から芯金部621の一方の端部まで、芯金部621の外周面に筒状に貼着されている。ゴム層628は、ゴム層627の他方の端部から芯金部621の他方の端部まで、芯金部621の外周面に筒状に貼着されている。図4には、ゴム層626,628の幅をW3にした場合を示している。
【0036】
ゴム層626,628については硬度を特に限定しないが、中間転写ベルト6よりも低硬度の材料を用いることで、高硬度の材料を用いた場合と比べて中間転写ベルト6の裏面側の摩耗を抑制でき、中間転写ベルト6の耐久性を向上できる。但し、ゴム層626,628を過度に低硬度にすると、駆動ローラとしての寸法精度を確保できなくなり、特にカラー画像形成時に色ずれ等の不具合が発生するおそれがある。そのため、ゴム層626,628の硬度は、寸法精度を重視して決める必要がある。
【0037】
このように、剥離装置8において、駆動ローラ62の剥離爪21が対向する外周面に、剥離爪21の先端部よりも高硬度のゴム層627を設けることで、ジャムが発生して剥離爪21が折れ曲がった用紙Pに押圧されて、剥離爪21の先端が駆動ローラ62に押し付けられても、駆動ローラ62がダメージを受けるのを防止できる。
【0038】
また、上記のように駆動ローラ62のゴム層627を剥離爪21よりも高硬度にすることで、中間転写ベルト6がダメージを受けるのを防止できる。すなわち、駆動ローラ62のゴム層627の方が剥離爪21よりも高硬度なので、ジャムが発生した際に、剥離爪21により押圧されても、駆動ローラ62のゴム層627及び中間転写ベルト6はほとんど変形しない。そのため、中間転写ベルト6に窪みは発生せず、中間転写ベルト6はダメージを受けない。
【0039】
次に、剥離装置8とは異なる形態の中間転写ベルト駆動ローラを備えた剥離装置8’について説明する。中間転写ベルト駆動ローラの剥離爪21が対向する部分は金属で形成することも可能である。
【0040】
図5(C)に示すように、剥離装置8’は、中間転写ベルト駆動ローラ63(以下、駆動ローラ63と称する。)と、剥離爪21を備えている。図5(A)に示すように、駆動ローラ63は、円筒形の芯金部631と、芯金部631の外周面に設けられた金属層637と、芯金部631の外周面に貼着されたゴム層636,638と、を備えている。ゴム層636,638は、金属層637に隣接している。
【0041】
芯金部631は、図4に示した芯金部621と同様の構成であり、アルミニウム合金(Al−Cu)製で薄肉のパイプ材から成り、両端部がアルミニウム合金製で円盤状の蓋材632,633により封止されている。
【0042】
金属層637は、図5(B)に示すように、芯金部631の外周面において、剥離爪21が対向する部分に筒状に設けられている。金属層637の厚みtは、一例として0.4mm〜0.5mmである。金属層637は、回転軸634と回転軸635を結ぶ中心線C2と平行な方向における剥離爪21の幅がW1の場合、それよりも広いW2に設定されている。これにより、剥離爪21が揺動しても、剥離爪21の先端を必ず金属層637に当接させることができる。金属層637は、芯金部631の外周面に金属板を巻き付ける等、芯金部631と別体的に構成されていても、芯金部631の外周に芯金部631と一体的に構成されていてもよい。また、金属層637は、剥離爪21の先端よりも高硬度であれば、金属の種類は限定されない。金属層637として例えば、アルミニウム合金(2000番台のAl−Cu)を使用する場合、金属層637の硬度は、ブリネル硬度HBで95〜105である。
【0043】
ゴム層636は、図4に示したゴム層626と同様の構成であり、芯金部631の外周面に、金属層637の一方の端部から芯金部631の一方の端部まで筒状に貼着されている。また、ゴム層638は、図4に示したゴム層628と同様の構成であり、芯金部631の外周面に、金属層637の他方の端部から芯金部631の他方の端部まで筒状に貼着されている。ゴム層636,638は、EPDM系のブレンドゴムから成り、導電性を有する。図5(C)には、剥離装置8’において、ゴム層636,638の幅をそれぞれW3にした場合を示している。ゴム層636,638の厚みtは、一例として0.4mm〜0.5mmである。なお、図5(C)において、中間転写ベルト6の表記を省略している。
【0044】
このように、剥離装置8’において、駆動ローラ63の剥離爪21が対向する外周面に、剥離爪21の先端部よりも高硬度の金属層637を設け、剥離爪21の先端部を金属層637を構成する金属よりも低硬度で可撓性のある樹脂で形成することで、ジャム発生時に剥離爪21の先端が駆動ローラ63に押し付けられると、剥離爪21の先端が変形し、駆動ローラ63は変形しないので、駆動ローラ63や中間転写ベルト6がダメージを受けるのを防止できる。
【0045】
次に、さらに異なる形態の中間転写ベルト駆動ローラを備えた剥離装置8”について説明する。中間転写ベルト6に対向して複数の剥離爪21を設ける場合には、中間転写ベルト駆動ローラの外周面の各剥離爪21が対向する部分に、それぞれ剥離爪21の先端よりも高硬度のゴム層を設けて、図4に示した場合と同様に構成するとよい。
【0046】
一例として、図6(A)には、中間転写ベルト6(中間転写ベルト駆動ローラ64(以下、駆動ローラ64と称する。))に対向して3つの剥離爪211〜213を設けた場合を示している。剥離装置8”は、駆動ローラ64と、剥離爪211〜213を備えている。剥離爪211は、軸221により剥離爪ホルダ411に対して揺動自在に取り付けられている。同様に、剥離爪212は軸222により剥離爪ホルダ412に対して揺動自在に取り付けられ、剥離爪213は軸223により剥離爪ホルダ413に対して揺動自在に取り付けられている。
【0047】
このように構成する場合には、図6(B)に示すように、駆動ローラ64の各剥離爪211〜213が対向する部分(外周面)に、それぞれ剥離爪211〜213の先端よりも高硬度のゴム層649〜652を筒状に貼着する。ゴム層649〜652は、回転軸644と回転軸645を結ぶ中心線C3と平行な方向における剥離爪21の幅がW1の場合、それよりも広いW2に設定されている。これにより、剥離爪211〜213が揺動しても、剥離爪211〜213の先端を必ずゴム層649〜652に当接させることができる。また、駆動ローラ64の各剥離爪211〜213が対向しない部分(芯金部641の外周面)には、任意の硬度のゴム層649〜652を筒状に貼着する。図6(B)には、ゴム層650,651の幅をW5にし、ゴム層649,652の幅をW6にした場合を示している。なお、図6(B)において、中間転写ベルト6の表記を省略している。
【0048】
駆動ローラ64には、ゴム層649〜652に代えて、図5に基づいて説明した場合と同様に、剥離爪211〜213の先端よりも高硬度の金属層を設けてもよい。
【0049】
このように剥離装置8”を構成することで、剥離爪を複数設けた場合でも、中間転写ベルト駆動ローラや中間転写ベルトが、ジャム発生時にダメージを受けるのを防止できる。
【0050】
以上のように、画像形成装置において、中間転写ベルト駆動ローラの外周面の剥離爪が対向する部分を、剥離爪の先端よりも高硬度にすることで、ジャムが発生した場合に用紙により剥離爪が押圧されて、剥離爪の先端部が押し付けられても、中間転写ベルト駆動ローラがダメージを受けるのを防止することができる。
【0051】
なお、上記の説明では、中間転写ベルトに対向して剥離爪を設けた構成について説明したが、本発明はこれに限らず、特許文献2のように、中間転写ローラに対向して剥離爪を設けた構成にも適用可能である。また、本発明は、ローラに対して剥離爪を設けた構成をであれば、他の構成にも適用可能である。例えば、定着装置の加圧ローラや加熱ローラに対向して剥離爪を設ける場合、この定着装置にも本発明を適用できる。また、用紙の搬送ローラに剥離爪を設けている場合には、この搬送ローラにも本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0052】
1〜4…画像形成ユニット 5…画像形成ユニット群 6…中間転写ベルト 8,8’,8”…剥離装置 21,211,212,213…剥離爪 22…支持部材 23…退避搬送ガイド 31…二次転写ユニット 41,411〜413…剥離爪ホルダ 62,63,64…中間転写ベルト駆動ローラ 100,200…画像形成装置 130…搬送路 621,631,641…芯金部 624,625,634,635,644,645…回転軸 626〜628,636,638,649〜652…ゴム層 637…金属層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に配置され、記録材を搬送するローラと、
前記ローラに対向して配置され、記録材を先端部で剥離する剥離爪と、
を備え、
前記ローラの前記剥離爪と対向する部分が、前記剥離爪の先端部よりも高硬度の材料で形成されたことを特徴とする剥離装置。
【請求項2】
前記ローラの前記剥離爪が対向する部分が金属で形成され、前記剥離爪の先端部が樹脂で形成された請求項1に記載の剥離装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の剥離装置と、
前記剥離装置のローラが搬送する記録材に画像を形成する画像形成部と、
を備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−37552(P2012−37552A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174462(P2010−174462)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】