説明

剪枝作業機および乗用型茶園管理機

【課題】一台で、茶園の浅刈り作業、深刈り作業および中刈り作業の夫々に対応することができて、構造が簡単で、安価で、農家の経営を圧迫することがない剪枝作業機および乗用型茶園管理機を提供すること。
【解決手段】剪枝作業機200は、フレーム20の下部に、回転式切断装置30を前方に位置するように設け、バリカン式切断装置40および搬送装置50を後方に位置するように設けている。回転式切断装置30の回転刃31,32と固定刃33で太い枝が切断されて、荒剪枝が行われる。荒剪枝による剪枝屑は、回転刃31,32によって、回転刃の後部に位置するスクリューコンベアの箇所に向けてはね飛ばされ、搬送されて畝間に排出される。荒剪枝で残った数ミリの細い小枝は、バリカン式切断装置40の往復動するバリカン刃41,42によって挟まれて切断されて、仕上げ剪枝が行われる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、茶樹の剪枝を行う剪枝作業機およびそれを備えた乗用型茶園管理機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、乗用型茶園管理機としては、特許第3500572号公報(特許文献1)に記載のものがある。この乗用型茶園管理機は、茶樹の剪枝専用機であって、作業者が乗ることができる走行台車に、バリカン式切断装置を一体に設け、このバリカン式切断装置で切断された枝を回転式搬送装置でチッパまで搬送して、チッパから粉砕された枝の屑をスクリューコンベアで畝間に排出するようにしている。
【0003】
しかしながら、上記従来の乗用型茶園管理機は、バリカン刃式切断装置のバリカン刃の往復動で茶樹の枝を切断するため、茶園の浅刈り作業(摘採面から3〜5cmの箇所で剪枝をする。)のように、太さが数ミリの小枝の場合は、十分に剪枝を行うことができるが、茶園の深刈り作業(摘採面から10〜15cmの箇所で剪枝をする。)や茶園の中刈り作業(地面から30〜50cmの箇所で剪枝をする。)のように、太さが数センチメートルの太い枝の場合には、バリカン刃がこの太い枝を切断することができないという問題があった。つまり、上記従来の乗用型茶園管理機では、茶園の浅刈り作業に対応できても、深刈り作業や中刈り作業に対応できないという問題があった。
【0004】
また、上記従来の乗用型茶園管理機は、バリカン刃式切断装置のバリカン刃の往復動で
茶樹の枝を切断するだけであるから、作業能率が悪いという問題があった。特に、最近、茶園圃場は、乗用型大型機械の普及により、整備されて大規模化されているため、作業能率を上げることで、労働時間を短縮するという要望が強くなっている。
【0005】
また、上記従来の乗用型茶園管理機は、走行台車とバリカン式切断装置等とが分離できない剪枝専用機であるから、茶摘み機、薬剤散布機、肥料散布機、堆肥散布機、深耕機、中刈り機等として、その走行台車を利用できない。そのため、上記剪枝専用機の購入は、茶生産農家に購入経費全体、維持管理費全体を膨らませて、農家の経営を圧迫しているのが実情である。
【特許文献1】特許第3500572号公報 図1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明の課題は、一台で、茶園の浅刈り作業、深刈り作業および中刈り作業の夫々に対応することができ、かつ、作業能率を上げることができ、しかも、構造が簡単で、安価で、農家の経営を圧迫することがない剪枝作業機および乗用型茶園管理機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の剪枝作業機は、
走行体に着脱可能に取り付けられるフレームと、
このフレームに設けられると共に、回転刃と固定刃で剪枝をする回転式切断装置と、
上記フレームに設けられると共に、往復動するバリカン刃で剪枝をするバリカン式切断装置と、
上記フレームに設けられると共に、上記回転式切断装置およびバリカン式切断装置により生じた剪枝屑を畝間に搬送する搬送装置と
を備えたことを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、例えば、中刈り作業、深刈り作業を行うときは、まず、この剪枝作業機を走行体に取り付け、所定位置にセットして、前進させて、回転式切断装置の勢いよく回転する回転刃と固定刃で太い枝を切断する荒剪枝を行う。この回転式切断装置の回転刃の移動による切断の際には、数ミリの細い小枝は、切断されなくて残る場合がある。
【0009】
しかしながら、この残った数ミリの細い小枝は、次に、バリカン式切断装置の往復動するバリカン刃によって挟まれて切断されて、仕上げ剪枝が行われる。
【0010】
このように、この剪枝作業機によれば、中刈り作業、深刈り作業を行うことができる。
【0011】
一方、浅刈り作業を行うときには、剪枝作業機を所定の位置にセットし、回転式切断装置の回転刃を所定の位置で停止させ、バリカン式切断装置を駆動しながら、走行体を前進させる。そうすると、バリカン刃の往復動によって、摘採面から3〜5cmの箇所にある数ミリの細い小枝の剪枝(浅刈り作業)が行われる。このように、回転式切断装置を停止し、バリカン式切断装置を駆動して、浅刈り作業を行う。
【0012】
上記中刈り作業、深刈り作業および浅刈り作業中において、上記回転式切断装置およびバリカン式切断装置により生じた剪枝屑は、スクリューコンベア等の搬送装置によって搬送されて、畝間に排出される。
【0013】
このように、この剪枝作業機は、回転式切断装置およびバリカン式切断装置を備えるので、一台で、中刈り作業、深刈り作業および浅刈り作業を行うことができて、農家の経済的負担を軽減できる。
【0014】
また、この剪枝作業機は、回転式切断装置の回転刃で荒剪枝した後、バリカン式切断装置のバリカン刃で仕上げ剪枝をするので、作業能率を従来に比して、格段に上げることができる。したがって、この剪枝作業機は、作業能率を上げて労働時間を短縮するという切実な要望に応えることができる。
【0015】
しかも、この剪枝作業機のフレームは、走行台車等の走行体に着脱可能に取り付けられるから、この走行体から剪枝作業機を取り外して、この走行体を、茶摘み機、薬剤散布機、肥料散布機、堆肥散布機、深耕機等のための走行体として、用いることができる。
【0016】
したがって、この剪枝作業機は、農家の経済的負担を軽減することができる。
【0017】
1実施形態では、
上記搬送装置は、上記回転刃よりも上記バリカン刃の近傍に位置し、かつ、
上記回転刃は、その回転刃により切断された剪枝屑を上記搬送装置に向けてはね飛ばす。
【0018】
上記実施形態によれば、回転式切断装置の勢いよく回転する回転刃が、剪枝屑を、バリカン刃の近傍に位置する搬送装置に向けてはね飛ばして、剪枝屑を搬送装置に供給する機能を有するので、回転式切断装置と搬送装置との間に特別の運搬装置が不要である。
【0019】
したがって、この剪枝作業機は、構造が簡単で、安価に製造することができる。
【0020】
この発明の乗用型茶園管理機は、
走行体と、
上記剪枝作業機と
を備え、
上記回転刃は、上記バリカン刃よりも、上記走行体の走行方向に関して前方に位置している
ことを特徴としている。
【0021】
上記構成によれば、上述の剪枝作業機を備えるので、その剪枝作業機自体の作用効果を有する。
【0022】
さらに、上記回転刃は、バリカン刃よりも、走行体の走行方向に関して前方に位置しているから、走行体の前進に伴って、回転刃による荒剪枝を行った後に、往復動するバリカン刃で仕上げ剪枝を行うことができる。
【0023】
なお、上記剪枝作業機は、走行体の後方に位置させてもよく、前方に位置させてもよい。要は、走行体の走行方向に関して、回転刃が、バリカン刃よりも前方に位置して、回転刃による荒剪枝が、バリカン刃による仕上げ剪枝よりも先にされるようにすればよい。
【0024】
1実施形態では、
上記剪枝作業機は、上記走行体よりも、その走行体の走行方向に関して後方に位置している。
【0025】
上記実施形態によれば、上記剪枝作業機が、走行体よりも、後方に位置しているので、走行体に乗ったオペレータが、作業時の剪枝屑や埃を浴びることがない。
【0026】
また、この発明の剪枝作業機は、
走行体に着脱可能に取り付けられるフレームと、
このフレームに設けられると共に、回転刃で剪枝をする回転式切断装置と、
上記フレームに設けられると共に、往復動するバリカン刃で剪枝をするバリカン式切断装置と、
上記フレームに設けられると共に、上記回転式切断装置およびバリカン式切断装置により生じた剪枝屑を畝間に搬送する搬送装置と
を備えたことを特徴としている。
【0027】
上記剪枝作業機は、先述の発明と殆ど同じ構成を有するから、先述の発明と全く同じ作用、機能を有する。さらに、この剪枝作業機は、回転式切断装置が固定刃を用いないので、さらに、安価になる。
【発明の効果】
【0028】
この発明によれば、一台で、茶園の浅刈り作業、深刈り作業および中刈り作業の夫々に対応することができ、かつ、作業能率を向上でき、しかも、構造が簡単で、安価な剪枝作業機および乗用型茶園管理機を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0030】
図1に示すように、この乗用型茶園管理機は、走行体の一例としてクローラ型の走行台車100と、この走行台車100の後部に取り付けた剪枝作業機200とを備える。
【0031】
上記走行台車100は、図1および2に示すように、本体1の下部の両側にクローラ2,2を有する一方、本体1の上部に、エンジン3、操作ハンドル5およびコントロールボックス6を有する。なお、4は、作動油タンクである。
【0032】
一方、上記剪枝作業機200は、フレーム20の下部に、回転式切断装置30を前方に位置するように設け、バリカン式切断装置40および搬送装置50を後方に位置するように設けている。
【0033】
上記剪枝作業機200のフレーム20の取付部21は、走行台車100の後部に平行リンク60を介して着脱可能に取り付けている。詳しくは、上記走行台車100の後部に揺動可能に設けた平行リンク60の側面視略3角形状の取付部62に、剪枝作業機200のフレーム20の取付部21をピン63,64によって着脱可能に取り付けている。上記剪枝作業機200の高さは、油圧シリンダ61を作動させることによって、平行リンク60を移動させて、調整できるようにしている。
【0034】
上記回転式切断装置30は、図1および3に示すように、互いに鈍角で交差する回転軸35,35を有し、この各軸35にセンタ側の回転刃31および外端側の回転刃32を設けて、回転刃31,32が略摘採面に沿って移動するようにしている。この回転軸35,35は夫々油圧モータ36,36で回転駆動するようにしている。さらに、上記回転刃31,32の下方に位置する固定刃33を、フレーム20に固定している。なお、25はカバーである。
【0035】
上記回転刃31,32を油圧モータ36で高速で勢いよく回転することによって、上記回転刃31,32と固定刃33との間に枝を挟んで勢いよく切断して、太い枝でも切断できるようにしている。この切断によって生じた剪枝屑は、高速で回転する回転刃31,32によって、搬送装置50に向けてはね飛ばされて、特別の運搬装置が不要となっている。つまり、上記回転刃31,32は、運搬装置としての機能も果たす。
【0036】
また、上記バリカン式切断装置40は、図1,2および4に示すように、上下の往復動するバリカン刃42,41で枝を挟んで切断するようになっている。このバリカン刃42,41の往復動によって、上記回転式切断装置30の回転刃31,32では逃げて切断できなかった柔軟な細い枝でも、切断できるようになっている。上記バリカン刃42,41は、図4に示すように、摘採面に沿うように、湾曲している。なお、上記バリカン刃42,41は、両方が往復動する他、片側のみが往復動するようにしてもよいことは勿論である。
【0037】
上記バリカン刃41,42は、図4に示すように、油圧モータ45で駆動される駆動軸43に、詳しくは図示していないカム機構やクランク機構などの周知の往復動機構によって連結して、往復動できるようになっている。
【0038】
一方、上記搬送装置50は、図1に示すように、回転刃31,32よりも、バリカン刃41,42の近傍に位置し、かつ、バリカン刃41,42の上方に位置している。
【0039】
上記搬送装置50は、図4に示すように、一般に多い茶園の摘採面のアール3000mmに沿うように、2つのスクリューコンベア51,51を、山形をなすように傾斜して配置して、外端が中央部よりも低くなるようにしている。このように、スクリューコンベア51,51を外端に向けて斜め下方に傾斜させることによって、切断刈り捨て葉などの剪枝屑が畝間にスムーズに排出される。上記スクリューコンベア51,51の外端は、畝間の上まで延びていて、排出口から排出される剪枝屑は確実に畝間上に排出されて、茶畝の上に剪枝屑が乗ることがない。なお、図4において、58は、上記排出口から剪枝屑が飛散しないようにするカバーである。
【0040】
上記スクリューコンベア51は、油圧モータ52によって、スプロケット55,56およびチエーン57を介して駆動するようにしている。
【0041】
一方、図1および2に示すように、クローラ2,2の後方、かつ、スクリューコンベア51,51の排出口の前方には、剪枝作業機200のフレーム20の高さ調整をするため尾車75,75を設けている。この尾車75,75の支持部は、フレーム20に高さ調整可能に固定できるようになっている。また、上記平行リンク60のための油圧シリンダ61は、図示しないバルブを開放することによって、自由に伸縮できる。したがって、上記油圧シリンダ61を自由に伸縮できる状態で、尾輪75,75が地面に倣うので、剪枝作業機200の高さ、つまり、刈り高さを調整された一定の高さに保つことができる。上記尾輪75,75は、スクリューコンベア51,51の排出口よりも、走行方向の前方に位置しているので、尾輪75,75が剪枝屑を踏むことがなくて、剪枝高さに悪影響を与えることがない。
【0042】
なお、上記油圧シリンダ61,油圧モータ45,52の配管、バルブなどは、周知の構造、機能なので、説明は省略する。
【0043】
上記構成において、今、茶園圃場の中刈り作業または深刈り作業を行うとする。
【0044】
まず、上記走行台車100の平行リンク60の取付部62に、図示しない薬剤散布機、茶摘み機等の他の管理作業機が取り付けられていると、それを取り外して、剪枝作業機200のフレーム20の取付部21をピン63,64によって着脱可能に取り付ける。こうして、薬剤散布機、茶摘み機等の他の管理作業機に使用していた走行台車100を、剪枝作業機200にも兼用することができる。したがって、農家のコスト負担を軽減することができる。
【0045】
次に、この走行式茶園管理機を、茶園圃場に乗り入れて、茶畝の中央に合わせる。そして、油圧シリンダ61を少しずつ駆動しながら、尾輪75,75を上下に調整してバリカン刃41,42による仕上げ剪枝の高さを調整する。その後、油圧シリンダ61を自由に伸縮できる状態にする。そうすると、この尾輪75,75が地面に倣って上下しながら走行するから、剪枝作業機200は、常に、地面に対して一定の高さになる。
【0046】
この状態で、図示しないバルブを切り換えて、回転式切断装置30の油圧モータ36,36、バリカン式切断装置40の油圧モータ45および搬送装置50の油圧モータ52を駆動して、回転刃31,32、バリカン刃41,42およびスクリューコンベア51,51を作動しながら、走行台車100を前進させる。
【0047】
そうすると、回転式切断装置30の勢いよく高速で回転する回転刃31,32と固定刃33で太い枝が切断されて、荒剪枝が行われる。このとき、荒剪枝による剪枝屑は、高速で回転する回転刃31,32によって、スクリューコンベア51,51の箇所に向けてはね飛ばされる。したがって、回転式切断装置30が、搬送装置50への剪枝屑の運搬機能を有することになって、特別の運搬装置が不要になって、構造が簡単になる。
【0048】
上記回転刃31,32による荒剪枝の際には、数ミリの細い柔軟な小枝は、回転刃31,32から逃げて、切断されなくて残る場合がある。
【0049】
次に、上記荒剪枝で残った数ミリの細い小枝は、バリカン式切断装置40の往復動するバリカン刃41,42によって挟まれて切断されて、仕上げ剪枝が行われる。
【0050】
次に、上記回転式切断装置30の回転刃31,32によってはね飛ばされてきた剪枝屑、および、バリカン式切断装置40のバリカン刃41,42により生じた剪枝屑は、搬送装置50のスクリューコンベア51,51によって搬送されて、畝間に排出される。このとき、スクリューコンベア51,51は、山形に配置されて、中央部から外端に向けて下方に傾斜しているので、切断刈り捨て葉などの剪枝屑は確実に畝間の上に排出される。
【0051】
このように、この乗用型茶園管理機および剪枝作業機200によれば、中刈り作業、深刈り作業を確実かつ容易に行うことができる。
【0052】
また、乗用型茶園管理機および剪枝作業機200によれば、回転式切断装置30の回転刃31,32で荒剪枝した後、バリカン式切断装置40のバリカン刃41,42で仕上げ剪枝をするので、作業能率を従来に比して、格段に上げることができる。したがって、この乗用型茶園管理機および剪枝作業機200によれば、作業能率を上げて労働時間を短縮するという切実な要望に応えることができる。
【0053】
次に、浅刈り作業を行うとする。
【0054】
まず、走行台車100の位置の調整、および、剪枝作業機200の高さ調整を前述と同様にして行う。
【0055】
次に、回転式切断装置30の回転刃31,32を所定の位置(任意の位置)で停止させ、バリカン式切断装置40を駆動しながら、走行台車100を前進させる。そうすると、バリカン刃41,42の往復動によって、摘採面から3〜5cmの箇所にある数ミリの細い柔軟な小枝がバリカン刃41,42に挟まれて切断されて、浅刈り作業の剪枝が行われる。
【0056】
次に、上記バリカン式切断装置40のバリカン刃41,42により生じた切断刈り捨て葉などの剪枝屑は、外端に向けて斜め下方に傾斜してスクリューコンベア51,51によって搬送されて、畝間に確実に排出される。
【0057】
このように、回転式切断装置30を停止し、バリカン式切断装置を駆動することによって、浅刈り作業を適切に行うことができる。
【0058】
このように、この乗用型茶園管理機および剪枝作業機200は、回転式切断装置30およびバリカン式切断装置40を備えるので、一台で、中刈り作業、深刈り作業および浅刈り作業を行うことができて、農家の経済的負担を軽減できる。
【0059】
しかも、この剪枝作業機200のフレーム20は、走行台車100に平行リンク60およびピン63,64を介して着脱可能に取り付けられるから、この走行台車100から剪枝作業機200を取り外して、この走行台車100を、茶摘み機、薬剤散布機、肥料散布機、堆肥散布機、深耕機等のための走行台車100として、用いることができる。
【0060】
したがって、この乗用型茶園管理機および剪枝作業機200は、農家の経済的負担を軽減することができる。
【0061】
また、上記実施形態では、搬送装置50のスクリューコンベア51,51が回転刃31,32よりもバリカン刃41,42の近傍に位置し、かつ、回転刃31,32は、その回転刃により切断された剪枝屑をスクリューコンベア51,51に向けてはね飛ばして、回転刃31,32が剪枝屑を運搬する機能を有するので、回転式切断装置と搬送装置との間に特別の運搬装置が不要である。したがって、この乗用型茶園管理機および剪枝作業機は、構造が簡単で、安価に製造することができる。
【0062】
また、上記実施形態では、回転刃31,32は、バリカン刃41,42よりも、走行台車100の走行方向に関して前方に位置しているから、走行台車100の前進に伴って、回転刃31,32による荒剪枝を行った後に、往復動するバリカン刃41,42で仕上げ剪枝を行うことができる。
【0063】
また、上記実施形態によれば、剪枝作業機200が、走行台車100よりも、後方に位置しているので、走行台車11に乗ったオペレータが、作業時の剪枝屑や埃を浴びることがない。
【0064】
上記実施形態では、剪枝作業機200を走行台車100の後方に配置したが、走行台車100の前方に配置し、かつ、回転式切断装置がバリカン式切断装置よりも前方になるように、配置してもよい。
【0065】
上記実施形態では、搬送装置に、スクリューコンベア51を用いたが、歯付きベルトや空気圧式などの他の形式のコンベアを用いてもよい。また、油圧モータ、油圧シリンダに代えて、電動機、電動シリンダを用いてもよい。また、走行体は、クローラ型に限らず、タイヤ型のものでもよい。
【0066】
図5は、図1及び3に示す回転式切断装置30の変形例を示す。図1及び3に示す回転式切断装置30は、回転刃31,32と固定刃33を有するが、図5に示す回転式切断装置は、回転刃としてのフリーハンマー(フレール刃)91のみを有する。このフリーハンマー91は、油圧モータ36で駆動される回転軸35に揺動自在に取り付けられている。なお、図示しないが、回転刃は、フリーハンマーに代えて、揺動不可なものであってもよい。
【0067】
このフリーハンマー91は、荒剪枝をして、剪枝した剪枝屑を搬送装置50に向けてはね飛ばすことは、先述の回転刃31,32と同様である。
【0068】
図5に示す回転式切断装置は、固定刃を用いていないので、さらに、構造が簡単で安価になる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】この発明の乗用型茶園管理機の実施形態の正面図である。
【図2】上記乗用型茶園管理機の実施形態の側面図である。
【図3】上記実施形態の回転式切断装置の側面図である。
【図4】上記実施形態のバリカン式切断装置および搬送装置の側面図である。
【図5】回転式切断装置の変形例を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
1 本体
2 クローラ
20 フレーム
30 回転式切断装置
31,32 回転刃
33 固定刃
40 バリカン式切断装置
41,42 バリカン刃
50 搬送装置
51 スクリューコンベア
91 フリーハンマー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行体に着脱可能に取り付けられるフレームと、
このフレームに設けられると共に、回転刃と固定刃で剪枝をする回転式切断装置と、
上記フレームに設けられると共に、往復動するバリカン刃で剪枝をするバリカン式切断装置と、
上記フレームに設けられると共に、上記回転式切断装置およびバリカン式切断装置により生じた剪枝屑を畝間に搬送する搬送装置と
を備えたことを特徴とする剪枝作業機。
【請求項2】
請求項1に記載の剪枝作業機において、
上記搬送装置は、上記回転刃よりも上記バリカン刃の近傍に位置し、かつ、
上記回転刃は、その回転刃により切断された剪枝屑を上記搬送装置に向けてはね飛ばす
ことを特徴とする剪枝作業機。
【請求項3】
走行体と、
請求項1または2に記載の剪枝作業機と
を備え、
上記回転刃は、上記バリカン刃よりも、上記走行体の走行方向に関して前方に位置している
ことを特徴とする乗用型茶園管理機。
【請求項4】
請求項3に記載の走行式茶園管理機において、
上記剪枝作業機は、上記走行体よりも、その走行体の走行方向に関して後方に位置していることを特徴とする乗用型茶園管理機。
【請求項5】
走行体に着脱可能に取り付けられるフレームと、
このフレームに設けられると共に、回転刃で剪枝をする回転式切断装置と、
上記フレームに設けられると共に、往復動するバリカン刃で剪枝をするバリカン式切断装置と、
上記フレームに設けられると共に、上記回転式切断装置およびバリカン式切断装置により生じた剪枝屑を畝間に搬送する搬送装置と
を備えたことを特徴とする剪枝作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−131857(P2008−131857A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−306619(P2006−306619)
【出願日】平成18年11月13日(2006.11.13)
【出願人】(592264237)松元機工株式会社 (16)
【Fターム(参考)】