副甲状腺ホルモンの検出のための方法、キット、および抗体
本発明は、哺乳動物サンプル中の生理学的レベルの全副甲状腺ホルモンおよび副甲状腺フラグメントの検出に有用な新規の方法および組成物に関する。このような検出は、被験体の疾患または障害(副甲状腺機能亢進症および関連骨疾患など)と正常または非疾患状態とを区別するのに有用であり得る。生体サンプル中の全または非断片化(1〜84)副甲状腺ホルモンおよび任意選択的に副甲状腺ホルモンアンタゴニストとして機能しても機能しなくても良い1つまたは複数の非全副甲状腺ホルモンペプチドフラグメントの選択物が検出される。1つまたは複数の非全副甲状腺ホルモンペプチドフラグメントの選択物の値、全副甲状腺ホルモンの値、またはこれらの値の組み合わせの比較値または独立した使用により、副甲状腺ホルモンと骨関連疾患病態とを区別し、このような病態と正常な状態とを区別することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[I.関連出願の相互参照]
本出願は、現在特許許可されている1999年1月14日提出の米国特許出願第09/231,422号の一部係属出願である、現在特許許可されている1999年6月26日提出の米国特許出願第09/344,639号の一部係属出願である。
【0002】
[II.技術分野]
本発明は、被験体における副甲状腺疾患を区別するための新規の組成物、方法、およびキットに関する。これらの組成物、方法、およびキットを使用して、例えば、副甲状腺機能亢進症、高骨代謝回転、および無形成骨症(adynamic bone disease)と正常または非疾患状態とを区別することができる。
【背景技術】
【0003】
[III.発明の背景]
カルシウムは、細胞透過性、骨および歯の形成、血液凝固、神経パルスの伝達、および正常な筋収縮で不可欠な役割を果たす。血中カルシウムイオン濃度は、カルシトールおよびカルシトニンと共に、主に副甲状腺ホルモン(PTH)によって調節される。カルシウムの取り込みおよび排出は変化し得るにもかかわらず、PTHは、フィードバック機構を介して、細胞および周辺流動物中の安定なカルシウム濃度の維持に役割を果たす。血清カルシウムが低下する場合、副甲状腺はPTHを分泌し、貯蔵カルシウムの放出に影響を与える。血清カルシウムが増加した場合、PTH分泌の低下によって貯蔵カルシウムの放出が遅延する。
【0004】
図1に示すように、ヒトPTH(hPTH)の完全な形態は、固有の84アミノ酸ペプチド(配列番号1)である。研究者によってタンパク質キナーゼC活性化ドメイン(アミノ酸残基28〜34)およびアデニル酸シクラーゼ活性化ドメイン(アミノ酸残基1〜7)を含むこのペプチドが骨に対する同化作用を有することが見出された。しかし、循環中に腺内または末梢代謝によって形成される可能性が最も高い短縮または断片化されたPTHペプチドの種々の異化形態も見出された。例えば、全PTHを、アミノ酸34〜35との間で切断して(1〜34)PTHのN末端フラグメントおよび(35〜84)PTHのC末端フラグメントを産生することができる。同様に、アミノ酸36〜37との間または37〜38との間で短縮が起こり得る。最近、PTHのN末端のより近くで短縮された「非(1〜84)PTH」と呼ばれる巨大なPTHフラグメントが開示された(LePage,R.,et al.,Clin.Chem.44:805-810(1998)を参照のこと)。
【0005】
PTHを正確に測定することが臨床的に必要であることは十分に証明されている。血清PTHレベルは、以下の疾患を罹患した患者の最も重要な指標の1つである。家族性高カルシウム血症;多発性内分泌腫瘍I型およびII型;骨粗鬆症;骨パジェット病;原発性副甲状腺亢進症(原発性過形成または副甲状腺腫によって発症);偽性副甲状腺機能亢進症;および続発性副甲状腺機能亢進症に起因し得る腎不全。
【0006】
PTHは、慢性腎不全患者における一連の疾患で役割を果たす。腎性骨形成異常症(RO)は、嚢胞性線維性骨炎(PTH過剰に起因する);骨軟化症−非鉱化骨基質(ビタミンD欠乏症に起因する);骨外性石灰化/骨化(異常なカルシウムおよびリン代謝に起因する)、および無形成骨症(PTH抑制に寄与する)を含む骨合併症である。慢性腎不全患者はROを発症し得る。腎不全により血清中リンが増加し(高リン血症(hyperphosphoremia))、腎臓による1,25−ジヒドロキシビタミンD(1,25−D)産生が減少する。前者により、胃腸のカルシウム吸収の減少に起因した続発性副甲状腺機能亢進症を発症し、血清中リンの増加に応答したPTHの増加に起因した嚢胞性線維性骨炎を発症する。後者により、低カルシウム血症および骨軟化症を発症する。続発性副甲状腺機能亢進症が発症し始めると、そのカルシウムおよびビタミンD受容体の発現の減少のために副甲状腺はそのホルモンレギュレーターに対する応答が低くなる。血清カルシウムは低下する。ROは、指の壊瘢、骨痛、骨折、および筋力低下を引き起こし得る。
【0007】
ヒトにおける循環生物活性PTHレベルの決定は困難である。1つの主な問題は、PTHが低レベル(通常、10pg/mL〜40pg/mL(すなわち、1pmol/L〜4pmol/L))で見出されることである。非常に低い循環レベルと相まって、PTHが不均一であることおよび循環断片が多くなることが問題である。多くの場合、免疫アッセイは、循環PTHフラグメント由来の実質的および有意な障害に直面している。例えば、いくつかの市販されているPTHキットは、非(1〜84)PTHフラグメントとほぼ100%交差反応性を示す。LePageの論文(前出)を参照のこと。
【0008】
PTH免疫アッセイは年月を重ねるにつれて変化している。1つの初期のアプローチは、Amold W.Lindall et aliaに付与された米国特許第4,369,138号で見出された二重抗体沈降免疫アッセイである。第1の抗体は、(65〜84)PTHフラグメントに対して高い親和性を有する。非標識ペプチドについて競合するために、放射性標識(65〜84)PTHペプチドを第1の抗体と共にサンプルに添加する。任意の第1の抗体および放射性標識PTHフラグメント複合体に結合する第2の抗体を添加し、それにより沈殿が形成される。沈殿および上清の放射能を測定することができ、これらからPTHレベルを計算することができる。
【0009】
PTHフラグメントの干渉を克服するために、Nichols Institute(San Juan Capistrano,California)のAllegro(登録商標)Intact PTHアッセイなどのインタクトなPTH(I−PTH)についての免疫放射測定二部位アッセイ(immunoradiometric two-site assay)を導入した。一方では、捕捉抗体がhPTHのC末端部分に特異的に結合する一方で、標識された抗体は捕捉されたhPTHのN末端部分に特異的に結合する。他方では、共にhPTHのN末端に付着する2つのモノクローナル抗体を使用した。(本開示の目的のために、完全なヒトPTH形態を「全PTH」または「wPTH」といい、wPTHだけでなく、約アミノ酸5〜8で切断された巨大PTHフラグメントも含み得る「インタクトなPTH」または「I−PTH」と区別する。)不運なことに、これらのアッセイは、測定するが、w−PTHとI−PTHが区別されないという点で問題である。この不能さは有意な内因性巨大な非全PHTフラグメント濃度を有する副甲状腺機能亢進症患者および腎不全患者で顕著になる。
【0010】
最近、研究者は、巨大N末端PTHフラグメントを対象とする特異的結合アッセイを行った。Gao,P.,et al.,Clinica Chimica Acta 245:39-59(1996)を参照のこと。この免疫化学発光測定アッセイは、N末端(1〜34)PTHフラグメントだけでなく中間部分のPTHフラグメントまたはC末端PTHフラグメントを検出するための2つのモノクローナル抗体を使用する。これらのアッセイのデザインにおける重要な要因は、C末端PTHフラグメントとのいかなる反応も排除することである。
【0011】
それにも関わらず、特異的全PTHアッセイは、生理学的レベルで全PTHを測定することができない。例えば、Magerlein,M.,et al.,Drug Res.48:197-204(1998)を参照のこと。本発明は、これらのニーズおよび当分野の他のニーズを満たすことが意図される。
【0012】
本発明に至る重要な発見は、無力性骨(adynamic bone)は、骨が機能停止するにつれてカルシウムおよびリン酸塩を格納する(buffer)能力を喪失することである。このような病態を罹患した被験体では、食事によって体内に侵入したカルシウムを有効に格納することができない。このカルシウムは血流に侵入し、その後軟組織を往復する。副甲状腺は、特に、このカルシウムの流入に支配されて劇的に影響を受け、それによってPTHの活性形態よりもむしろ、またはそれに加えて、PTHフラグメントを産生する。したがって、無力性骨を有する被験体では、PTHフラグメントの濃度および産生が増加する。このことおよび他の関連する情報を考慮すると、特に全PTHの測定と組み合わせたPTHフラグメントレベルの測定を使用して、無力性骨を有する被験体と正常な骨および高骨代謝回転率を有する被験体とを有効に区別することができる。
【0013】
ADN透析患者の過剰治療を回避するために、透析ADN患者と高骨代謝回転を罹患した患者とを非浸襲性に分類することができる必要が非常にある。ADN透析患者の過剰治療(over treatment)は、現在使用されている方法で現在最も頻繁に起こっている。例えば、Zemplar(登録商標)およびCalcijex(登録商標)(Abbott Laboratories)の使用を禁止する添付文書は、例えば、循環総PTHフラグメントレベルを把握してない禁止プロトコール下での過剰治療が非常に危険である何千もの透析患者を治療するために使用されている。本発明は、これらのニーズおよび当分野の他のニーズに取り組む。
【発明の開示】
【0014】
[IV.発明の開示]
1つの実施形態では、本開示は、全副甲状腺ホルモン(PTH)のN末端配列に特異的に結合し、哺乳動物サンプル中の前記全PTHを生理学的レベルで検出することができる単離された抗体であって、前記単離抗体が非全PTHフラグメントへの結合を回避する単離抗体を提供する。頻繁に、単離抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体である。頻繁に、抗体と前記全PTHのN末端配列との間の結合は、PTHのアミノ酸残基2〜5または3〜6の存在にも依存する。
【0015】
1つの態様では、本開示の単離抗体は、PTH1〜6、PTH1〜8、PTH1〜9、PTH1〜12、またはPTH3〜12に含まれるエピトープに特異的に結合する。頻繁に、本開示の単離抗体は、副甲状腺ホルモンペプチドであるPTH1〜15またはPTH1〜8に特異的に結合し、ペプチド配列中の少なくとも4つのアミノ酸が抗体との反応部分の一部である。時折、本開示の単離抗体は、PTH1〜5、PTH1〜7、PTH1〜8、PTH1〜10、PTH1〜11、PTH1〜13、PTH1〜14、PTH1〜15、PTH1〜16、PTH1〜17、PTH1〜18、PTH1〜19、PTH1〜20、PTH1〜21、PTH1〜22、PTH1〜23、PTH1〜24、PTH1〜25、PTH1〜26、hPTH1〜27、PTH1〜28、PTH1〜29、PTH1〜30、PTH1〜31、PTH1〜32、PTH1〜33、PTH1〜34、PTH1〜35、PTH1〜36、PTH1〜37、PTH2〜5、PTH2〜6、PTH2〜7、PTH2〜8、PTH2〜9、PTH2〜10、PTH2〜11、PTH2〜12、PTH2〜13、PTH2〜14、PTH2〜15、PTH2〜16、PTH2〜17、PTH2〜18、PTH2〜19、PTH2〜20、PTH2〜21、PTH2〜22、PTH2〜23、PTH2〜24、PTH2〜25、PTH2〜26、PTH2〜27、PTH2〜28、PTH2〜29、PTH2〜30、PTH2〜31、PTH2〜32、PTH2〜33、PTH2〜34、PTH2〜35、PTH2〜36、PTH2〜37、PTH3〜6、PTH3〜7、PTH3〜8、PTH3〜9、PTH3〜10、PTH3〜11、PTH3〜13、PTH3〜14、PTH3〜15、PTH3〜16、PTH3〜17、PTH3〜18、PTH3〜19、PTH3〜20、PTH3〜21、PTH3〜22、PTH3〜23、PTH3〜24、PTH3〜25、PTH3〜26、PTH3〜27、PTH3〜28、PTH3〜29、PTH3〜30、PTH3〜31、PTH3〜32、PTH3〜33、PTH3〜34、PTH3〜35、PTH3〜36、PTH3〜37、PTH4〜7、PTH4〜8、PTH4〜9、PTH4〜10、PTH4〜11、PTH4〜12、PTH4〜13、PTH4〜14、PTH4〜15、PTH4〜16、PTH4〜17、PTH4〜18、PTH4〜19、PTH4〜20、PTH4〜21、PTH4〜22、PTH4〜23、PTH4〜24、PTH4〜25、PTH4〜26、PTH4〜27、PTH4〜28、PTH4〜29、PTH4〜30、PTH4〜31、PTH4〜32、PTH4〜33、PTH4〜34、PTH4〜35、PTH4〜36、PTH4〜37、PTH5〜8、PTH5〜9、PTH5〜10、PTH5〜11、PTH5〜12、PTH5〜13、PTH5〜14、PTH5〜15、PTH5〜16、PTH5〜17、PTH5〜18、PTH5〜19、PTH5〜20、PTH5〜21、PTH5〜22、PTH5〜23、PTH5〜24、PTH5〜25、PTH5〜26、PTH5〜27、PTH5〜28、PTH5〜29、PTH5〜30、PTH5〜31、PTH5〜32、PTH5〜33、PTH5〜34、PTH5〜35、PTH5〜36、またはPTH5〜37に含まれるエピトープに特異的に結合する。しかし、頻繁に、非全PTHフラグメントは、PTH3〜84とPTH34〜84との間のアミノ酸配列を有するペプチドである。
【0016】
さらなる実施形態では、多重抗原ペプチド(MAP)であって、MAPが複数の本明細書中に記載のPTHペプチドに抱合した分岐オリゴリジンコアを含む、MAPを提供する。時折、分岐オリゴリジンコアは、3、7、または15個のリジン残基を含み、時折、MAPは、4、8、または16個のPTHペプチドのコピーを含む。複数のPTHペプチドは、同一または異なるPTHペプチドを含む。1つの態様では、複数のPTHペプチドは、スペーサーを介して分岐オリゴリジンコアに抱合する。頻繁に、スペーサーはアミノ酸残基である。多重抗原ペプチドは、一般に公知のテクノロジーを含む。例えば、Adermann,K.,et al.,Innovations and Perspectives in Solid Phase Synthesis 429-32(R.Epton,ed.,Mayflower Worldwide 1994)を参照のこと。
【0017】
別の実施形態では、本開示は、哺乳動物サンプル中の生理学的レベルの全副甲状腺ホルモンを測定する方法であって、a)試験すべき哺乳動物からサンプルを得るステップと、b)前記サンプルを全PTHのN末端配列に特異的に結合し、前記哺乳動物サンプル中の前記全PTHを生理学的レベルで検出することができる単離された抗体であって、前記単離抗体が非全PTHフラグメントへの結合を回避する単離抗体に接触させるステップと、c)前記哺乳動物サンプル中の生理学的レベルの全副甲状腺ホルモンを測定するために、前記サンプル中に存在する場合、前記全副甲状腺ホルモンと前記抗体との間で形成された複合体を評価するステップとを含む方法を提供する。本発明の方法にしたがって、血清、血漿、および血液のサンプルを含む種々のサンプル型を使用することができる。頻繁に、サンプルは臨床サンプルであり、哺乳動物はヒトである。非全PTHフラグメントは、本明細書中に記載の任意の種々の非全PTHフラグメントであり得る。
【0018】
1つの態様では、抗体は、PTH1〜6、PTH1〜8、PTH1〜9、PTH1〜12、またはPTH3〜12および/またはPTHペプチドPTH1〜15に含まれるエピトープに特異的に結合する。頻繁に、抗体は、本明細書中で考察したPTHエピトープに特異的に結合する。時折、抗体と全PTHのN末端配列との間の結合は、PTHのアミノ酸残基2〜5または3〜6の存在に依存する。
【0019】
種々のアッセイ型を考慮するにも関わらず、本発明の方法は、頻繁に、サンドイッチアッセイ形式または競合アッセイ形式によって全副甲状腺ホルモンと抗体との間に形成された複合体を評価する。時折、複合体を同種アッセイ形式または異種アッセイ形式で評価する。頻繁に、複合体を、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫ブロッティング、免疫沈降、放射免疫アッセイ(RIA)、免疫染色、ラテックス凝集、間接赤血球凝集アッセイ(IHA)、補体結合、間接免疫蛍光アッセイ(IFA)、比濁法、フローサイトメトリーアッセイ、プララズモン共鳴アッセイ、化学発光アッセイ、側方流動免疫アッセイ、u−キャプチャーアッセイ(u-capture assay)、阻害アッセイ、およびアビディティアッセイからなる群より選択される形式によって評価する。サンドイッチアッセイ形式では、全PTHのN末端配列に特異的に結合する抗体を第1の抗体として使用し、第1の抗体に結合するN末端配列以外の全PTHの一部に結合することができる抗体を第2の抗体として使用する。頻繁に、第1の抗体または第2の抗体のいずれかが表面に付着して捕捉抗体として機能する。付着は、直接または間接的であり得る。好ましい実施形態では、ビオチン−アビジン(またはストレプトアビジン)連結対を介して付着する。
【0020】
別の態様では、全副甲状腺ホルモンの生理学的レベルは4pmol/L未満である。頻繁に、全副甲状腺ホルモンの生理学的レベルは約0.2pmol/L〜約4pmol/Lである。頻繁に、全PTHの生理学的範囲は約2pgm/L〜約40pgm/Lの範囲である。時折、全PTHの生理学的範囲は約7pgm/L〜約39pgm/Lの範囲である。
【0021】
さらなる実施形態では、本発明の方法を使用して、全PTHレベルに加えて、非全PTHペプチドフラグメントレベルおよび/または総PTHレベルなどの多重PTHペプチド成分を測定することができる。このような実施形態では、本方法は、頻繁に、全PTHレベル(wPTH)、総PTHレベル、総PTHペプチドフラグメントレベル、C末端PTHフラグメントレベル(cPTH)、N末端PTHフラグメントレベル、および中末端(mid-terminal)PTHフラグメント(mPTH)レベルからなる群より選択される少なくとも2つのパラメーターを比較するステップをさらに含む。パラメーターの比較は、一般に、比または比率の形態である。頻繁に、比較の結果を使用して、哺乳動物(しばしばヒト患者を含む)が骨代謝回転関連障害を罹患しているかどうかを決定するか、骨障害関連治療をモニタリングする。頻繁に、本発明の方法を使用して、哺乳動物が無形成骨症または重症副甲状腺機能亢進症を罹患しているかこれらのリスクがあるかどうかを決定または診断する。頻繁に、本発明の方法を、腎疾患被験体および骨粗鬆症を罹患した被験体(透析患者を含む)の臨床管理に使用する。また頻繁に、本発明の方法を、原発性副甲状腺機能亢進症の診断に使用する。さらに、本発明の方法は、一部には、不適切な治療プロトコールの実施によって誘導された、無形成骨症被験体の臨床診断および臨床管理に有用である。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、比較は多くの形態を取る。例えば、比較は、全PTHレベルと総PTHレベルとの間(すなわち、以下の式で示される。wPTH/総PTH);全PTHレベルとcPTHおよびmPTHフラグメントの組み合わせのレベルとの間(すなわち、以下の式で示される。wPTH/(cPTH+mPTH));全PTHレベルとcPTHおよびmPTHフラグメントの組み合わせのレベルであって、全PTHレベルの2倍をcPTHおよびmPTHフラグメントの組み合わせレベルから差し引いたレベルとの間(すなわち、以下の式で示される。wPTH/((cPTH−wPTH)+(mPTH−wPTH)));全PTHレベルとcPTHおよびmPTHフラグメントレベルの合計から全PTHレベルを差し引いた値との間(すなわち、以下の式で示される。wPTH/(cPTH+mPTH−wPTH));全PTHレベルと全PTHレベル、cPTH、およびmPTHフラグメントの組み合わせのレベルとの間(すなわち、以下の式で示される。wPTH/(wPTH+cPTH+mPTH));全PTHレベルとcPTHフラグメントレベルとの間(すなわち、以下の式で示される。wPTH/cPTH);全PTHレベルとmPTHフラグメントレベルとの間(すなわち、以下の式で示される。wPTH/mPTH);全PTHレベルと総PTHレベル−全PTHレベルとの間(すなわち、以下の式で示される。wPTH/(総PTH−wPTH))の比もしくは比率の形態または開示のパラメーターの他の組み合わせ(各比較の逆が含まれるが、これに限定されない)であり得る。さらに、制限なく、1つの態様では、総PTHレベルを決定し、全PTHレベルからこのレベルを差し引くことで得られた値により、サンプル/被験体中の総PTHレベルが得られる。これらの各比較のカットオフ範囲は、特定の骨代謝回転、治療、疾患、または障害に関連するので、本明細書中に記載のように変化する(例えば、表2および添付の考察を参照のこと)。
【0023】
頻繁に、本発明の方法では、サンプルを1つまたは複数の単離抗体であって、前記1つまたは複数の各単離抗体が、PTH39〜84、PTH1〜34、PTH43〜68、PTH7〜84、PTH39〜68、PTH53〜84、PTH65〜84、PTH44〜68、PTH19〜84、PTH23〜84、PTH1〜38、PTH1〜48、PTH1〜58、PTH1〜68、およびPTH1〜78からなる群より選択される1つまたは複数のPTHペプチドフラグメントに特異的に結合する単離抗体に接触させる。
【0024】
複数のPTH成分の測定方法は、種々の用途を提供する。例えば、実質的に正常な副甲状腺機能を有する者と副甲状腺機能亢進症(例えば、原発性副甲状腺機能亢進症)を有する者との区別;副甲状腺関連骨疾患のモニタリングおよび治療;副甲状腺機能亢進症の治療上の処置の効果のモニタリング;副甲状腺関連骨疾患の診断;腎疾患被験体および腎疾患関連治療ならびに骨粗鬆症被験体および骨粗鬆症関連治療の臨床管理にこのような方法を使用する。
【0025】
本開示は、本明細書中に記載の方法を実施するためおよび本明細書中に記載のペプチドおよび抗体を利用するためのキットをさらに提供する。1つの実施形態では、哺乳動物サンプル中の生理学的レベルの全副甲状腺ホルモンを測定するためのキットであって、全副甲状腺ホルモン(PTH)のN末端配列に特異的に結合し、哺乳動物サンプル中の前記全PTHを生理学的レベルで検出することができる単離された抗体であって、非全PTHフラグメントへの結合を回避する単離抗体をコンテナ中に含むキット。
【0026】
別の実施形態では、本開示は、副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTHペプチドに対する抗体の産生のためのキットであって、a)単離PTHペプチドと、b)前記単離PTHペプチドを前記単離PTHペプチドに対する抗体の産生に十分な量で哺乳動物に導入する手段と、c)前記哺乳動物から前記抗体を回収するための手段とを含むキットをさらに提供する。さらなる実施形態では、副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTHペプチドに対する抗体の産生のためのキットであって、a)MAPと、b)前記MAPを前記MAPに含まれるPTHペプチドに対する抗体の産生に十分な量で哺乳動物に導入する手段と、c)前記哺乳動物から前記抗体を回収するための手段とを含むキットを提供する。なおさらなる実施形態では、副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTHペプチドに対する抗体の産生のためのキットであって、a)PTH1〜34とPTH1〜84との間のPTHタンパク質またはペプチドと、b)前記PTH1〜34とPTH1〜84との間のPTHタンパク質またはペプチドを前記PTHタンパク質またはペプチドに対する抗体の産生に十分な量で哺乳動物に導入する手段と、c)前記哺乳動物から前記抗体を回収するための手段と、c)別の特異的PTHペプチドとを含むキットを提供する。
【0027】
このようなキット中の単離PTHペプチドは、本明細書中に記載の任意の種々のPTHペプチドであり得る。頻繁に、PTHペプチドを、PTHペプチドの免疫原性を増強するためのキャリア(例えば、キャリアタンパク質)に抱合して、融合タンパク質を形成することができる。例えば、このようなPTHペプチドは、PTH1〜11、PTH1〜13、PTH1〜14、PTH1〜15、PTH1〜16、PTH1〜17、PTH1〜18、PTH1〜19、PTH1〜20、PTH1〜21、PTH1〜22、PTH1〜23、PTH1〜24、PTH1〜25、PTH1〜26、hPTH1〜27、PTH1〜28、PTH1〜29、PTH1〜30、PTH1〜31、PTH1〜32、PTH1〜33、PTH1〜34、PTH1〜35、PTH1〜36、PTH2〜5、PTH2〜6、PTH2〜8、PTH2〜9、PTH2〜10、PTH2〜11、PTH2〜12、PTH2〜13、PTH2〜14、PTH2〜15、PTH2〜16、PTH2〜17、PTH2〜18、PTH2〜19、PTH2〜20、PTH2〜21、PTH2〜22、PTH2〜23、PTH2〜24、PTH2〜25、PTH2〜26、PTH2〜27、PTH2〜28、PTH2〜29、PTH2〜30、PTH2〜31、PTH2〜32、PTH2〜33、PTH2〜34、PTH2〜35、PTH2〜36、PTH3〜6、PTH3〜7、PTH3〜9、PTH3〜10、PTH3〜11、PTH3〜12、PTH3〜13、PTH3〜14、PTH3〜15、PTH3〜16、PTH3〜17、PTH3〜18、PTH3〜19、PTH3〜20、PTH3〜21、PTH3〜22、PTH3〜23、PTH3〜24、PTH3〜25、PTH3〜26、PTH3〜27、PTH3〜28、PTH3〜29、PTH3〜30、PTH3〜31、PTH3〜32、PTH3〜33、PTH3〜34、PTH3〜35、PTH3〜36、PTH4〜7、PTH4〜8、PTH4〜9、PTH4〜10、PTH4〜11、PTH4〜13、PTH4〜14、PTH4〜15、PTH4〜16、PTH4〜17、PTH4〜18、PTH4〜19、PTH4〜20、PTH4〜21、PTH4〜22、PTH4〜23、PTH4〜24、PTH4〜25、PTH4〜26、PTH4〜27、PTH4〜28、PTH4〜29、PTH4〜30、PTH4〜31、PTH4〜32、PTH4〜33、PTH4〜34、PTH4〜35、PTH4〜36、PTH5〜8、PTH5〜9、PTH5〜11、PTH5〜12、PTH5〜13、PTH5〜14、PTH5〜15、PTH5〜16、PTH5〜17、PTH5〜18、PTH5〜19、PTH5〜20、PTH5〜21、PTH5〜22、PTH5〜23、PTH5〜24、PTH5〜25、PTH5〜26、PTH5〜27、PTH5〜28、PTH5〜29、PTH5〜30、PTH5〜31、PTH5〜32、PTH5〜33、PTH5〜34、PTH5〜35、PTH5〜36、およびPTH5〜37からなる群より選択される。
【0028】
本発明で意図されるキットはまた、免疫応答増強物質(immune response poteniator)と共に本明細書中に記載のPTHペプチドを含む免疫原を提供することができる。時折、免疫応答増強物質は、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)、コリネバクテリウム・パルブム、ウシ流産菌抽出物、グルカン、レバミゾール、チロロン、酵素、および非ビルレントウイルスからなる群より選択される。
【0029】
本開示は、副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTHペプチドに対する抗体の産生方法をさらに提供する。1つの実施形態では、このような方法は、a)単離PTHペプチドを前記PTHペプチドに対する抗体の産生に十分な量で哺乳動物に導入するステップと、b)前記哺乳動物から抗体を回収するステップとを含む。副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTHペプチドに対する抗体の別の頻繁な産生方法は、a)MAPを前記MAPに含まれるPTHペプチドに対する抗体の産生に十分な量で哺乳動物に導入するステップと、b)前記哺乳動物から前記抗体を回収するステップとを含む。1つの態様では、本開示は、これらの方法によって産生されたPTHまたはPTHペプチドに対する抗体を提供する。関連する実施形態では、本方法は、副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTHペプチドに対する抗体の産生方法であって、a)PTHタンパク質またはPTH1〜34とPTH1〜84との間のペプチドを前記PTHタンパク質またはペプチドに対する抗体の産生に十分な量で哺乳動物に導入するステップと、b)前記哺乳動物から前記抗体を回収するステップと、c)PTHペプチドに含まれるエピトープに特異的に結合するPTH抗体を、前記PTHペプチドを使用してアフィニティ精製するステップとを含む方法を提供する。さらなる実施形態では、本開示は、このような方法によって産生されたPTHまたはPTHペプチドに対する抗体を提供する。
【0030】
[VI.発明の詳細な説明]
〔A.定義〕
他で定義しない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者に一般的に理解されている意味と同一である。本明細書中で言及されている全ての特許、特許出願(公開または非公開)、および他の刊行物は、本明細書に引用することで組み込まれる。この節で記載された定義が、本明細書に引用することで組み込まれる特許、出願、公開出願、および他の刊行物に記載された定義に反するか一致しない場合、本節に記載の定義を、本明細書に引用することで組み込まれる定義よりも優先する。
【0031】
本明細書中で使用される、「a」または「an」は、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」を意味する。
【0032】
本明細書中で使用される、「抗体」を、最も広い意味で使用する。したがって、「抗体」は、天然に存在するか従来のハイブリドーマテクノロジーによって産生されたモノクローナル抗体などの合成された抗体および/またはその機能的フラグメントであり得る。本発明の抗体は、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、ならびに抗原結合ドメインおよび/またはこれらの抗体の1つまたは複数の相補性決定領域を含むフラグメントを含む。
【0033】
本明細書中で使用される、「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体集団(すなわち、この集団を含む抗体は、天然に存在する変異体が少量存在する可能性があること以外は同一である)から得た抗体をいう。本明細書中で使用される、「モノクローナル抗体」は、さらに、モノクローナル抗体の機能的フラグメントをいう。
【0034】
本明細書中で使用される、「哺乳動物」は、種の任意の哺乳動物クラスをいう。頻繁に、本明細書中で使用される、用語「哺乳動物」は、ヒト、ヒト被験体、またはヒト患者をいう。
【0035】
本明細書中で使用される、「全副甲状腺ホルモン(PTH)」または「wPTH」は、PTHの完全な分子をいう。この用語は、他で示さない限り種特異的ではない。本明細書中の目的のために、名称「副甲状腺ホルモン(PTH)」を本明細書中で使用するが、全ての他の名称が意図される。その生物活性が実質的に変化しない保存的アミノ酸置換を行った全PTHを含むことが意図される。適切な保存的アミノ酸置換は当業者に公知であり、一般に、得られた分子の生物活性を変化させることなく行うことができる。当業者は、一般に、ポリペプチドの非必須領域中の1つのアミノ酸置換では生物活性は実質的に変化しないことを認識している(例えば、Watson et al.,MOLECULAR BIOLOGY OF THE GENE,4th Edition,1987,The Bejamin/Cummings Pub.Co.,p.224を参照のこと)。
【0036】
本明細書中で使用される、「副甲状腺ホルモン(PTH)アゴニスト」、「シクラーゼ活性化PTH」、または「CAP」は、破骨細胞形成および骨代謝回転を刺激して血中カルシウムレベルを増加させるPTHの完全な分子またはそのフラグメント、誘導体もしくはアナログをいう。PTHアゴニストは、さらに、PTHアゴニスト特性を有するペプチドをいう。PTHの他の名称には、パラトルモンおよびパラサイリン(parathyrin)が含まれる。本明細書中の目的のために、名称「副甲状腺ホルモン(PTH)」を使用するが、全ての他の名称が意図される。その生物活性が実質的に変化しない保存的アミノ酸置換を行ったPTHアゴニストを含むことが意図される。適切な保存的アミノ酸置換は当業者に公知であり、一般に、得られた分子の生物活性を変化させることなく行うことができる。当業者は、一般に、ポリペプチドの非必須領域中の1つのアミノ酸置換では生物活性は実質的に変化しないことを認識している(例えば、Watson et al.,MOLECULAR BIOLOGY OF THE GENE,4th Edition,1987,The Bejamin/Cummings Pub.co.,p.224を参照のこと)。Scantibodies Whole PTHアッセイ、Scantibodies CAPアッセイ、第3世代PTHアッセイ、Nichols BioIntact PTHアッセイ、またはImmutopics Human Bioactive PTHアッセイを使用したサンプルの測定によってPTHアゴニストのアッセイ値を得ることができる。
【0037】
本明細書中で使用される、用語「総PTH」は、PTHフラグメントレベルを加えた全PTHレベルの総数をいう。さらに、この用語は、他で示さない限り種特異的ではない。
【0038】
本明細書中で使用される、用語「PIN」は、PTH拮抗性または阻害性を有するPTHフラグメントをいう。したがって、時折同一範囲であるにもかかわらず、本明細書中で言及するPTHフラグメントはPINに制限されることを意図しない。
【0039】
本明細書中で使用される、「PTHフラグメント」は、完全なPTHタンパク質の非全連続部分を含むPTHペプチドである。本明細書中で言及するPTHフラグメントには、他で示さない限り、C末端、中末端フラグメント、およびPINが含まれる。さらに、この用語は、他で示さない限り、種特異的ではない。
【0040】
本明細書中で使用される、「治療」は、病態、障害、または疾患の症状が改善または有利に変化する任意の様式を意味する。治療は、本明細書中の組成物の任意の薬学的使用も含む。
【0041】
本明細書中で使用される、「疾患または障害」は、例えば、感染または遺伝的欠陥に起因し、同定可能な症状によって特徴づけられる生物の病的状態をいう。
【0042】
本明細書中で使用される、「高骨代謝回転」は、被験体の正常な骨代謝回転を超える骨代謝回転をいい、副甲状腺機能亢進症を有する被験体で現れる症状の1つである。理論に拘束されないが、重症副甲状腺機能亢進症を罹患した被験体は、軽度副甲状腺機能亢進症を罹患した被験体よりも骨代謝回転率が高いが、両者は正常な被験体および無形成骨症を罹患した被験体と比較して高い骨代謝回転率を有する。
【0043】
本明細書中で使用される、用語「被験体」は、特定の種またはサンプル型に制限されない。例えば、用語「被験体」は、患者、頻繁に、ヒト患者をいうことができる。しかし、この用語はヒトに制限されないので、種々の哺乳動物種を含む。
【0044】
本明細書中で使用される、疾患または障害に関する「罹患した」は、指定した疾患または障害を有するか直接影響を受けた被験体をいう。
【0045】
本明細書中で使用される、用語「サンプル」は、分析物をアッセイすることが望ましい分析物を含み得る全てのものをいう。サンプルは、生体液または生体組織などの生体サンプルであり得る。生体液の例には、尿、血液、血漿、血清、唾液、精液、排泄物、痰、脳脊髄液、涙、粘液、または羊水などが含まれる。生体組織は、通常、ヒト、動物、植物、細菌、真菌、またはウイルス構造の構造物質(結合組織、上皮組織、筋肉組織、および神経組織が含まれる)の1つを形成するその細胞内物質を含む特定の種細胞凝集体である。生体組織の例には、器官、腫瘍、リンパ節、動脈、および各細胞も含まれる。
【0046】
本明細書中で使用される、用語「結合を回避する」は、特定の抗体または別のフラグメントの特異性をいう。特定の部分への結合を回避する抗体または抗体フラグメントは、一般に、大部分の特定の部分がこのような抗体または抗体フラグメントによって結合されないような特異性を含む。この比率は、一般に、特定の標的の検出を対象とする抗体を使用したアッセイの妨害部分との許容可能な交差反応性の範囲内である。頻繁に、本開示の抗体または抗体フラグメントは、約90%を超える妨害部分との結合を回避するにもかかわらず、より高い比率が明確に意図され、且つ好ましい。例えば、本開示の抗体または抗体フラグメントは、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、および約99%またはそれ以上の妨害部分への結合を回避する。あまり頻繁ではないが、本開示の抗体または抗体フラグメントは、約70%を超えるか、約75%を超えるか、約80%を超えるか、または約85%を超える妨害部分への結合を回避する。理論に拘束されないが、本明細書中で意図されるように、妨害部分は非全PTHフラグメントを含み得る。
【0047】
本明細書中で使用される、用語「全PTHの生理学的レベル」は、一般に、pmol/Lまたは別の適切な測定単位(例えば、pgm/ml)で示される哺乳動物(例えば、ヒト)中に存在する全PTHの平均濃度をいう。例えば、Woodhead,J.S.,Clin.Biochem.23,17(1990)を参照のこと。1つの態様では、全PTHの生理学的範囲は、約0.2pmol/L〜約4pmol/Lまたは約2pgm/ml〜約40pgm/mlの範囲である。時折、全PTHの生理学的範囲は、約7pgm/ml〜約39pgm/mlの範囲であり得る。代表的な生理学的範囲として特定の範囲を本明細書中に記載しているが、当業者は、全PTHの生理学的レベルは、一定の被験体において本発明で開示されている範囲外であり得ることを理解している。それにも関わらず、本明細書中に提供した組成物および方法は、全PTHの控え目な濃度の検出に有用であり、本明細書中に提供した生理学的範囲の範囲内で感受性を示す。
【0048】
本明細書中で使用される、用語「N末端」は、遊離アミノ基を有するPTHポリペプチドのアミノ末端をいう。PTHフラグメントに関して、N末端PTHフラグメントは、インタクトなN末端を有するPTHの非全連続部分をいう。本明細書中で使用される、「インタクトなN末端」は、PTH1〜84のインタクトな1番目の部分を有するPTHまたはPTHフラグメントをいう。この1番目の部分を、本明細書中で「元のN終端(terminus)」または「元のN末端」ともいう。
【0049】
本明細書中で使用される、用語「C末端」は、遊離カルボキシル基を有するPTHポリペプチドのカルボキシル末端をいう。PTHフラグメントに関して、C末端PTHフラグメントは、インタクトなC末端を有するPTHの非全連続部分をいう。本明細書中で使用される、「インタクトなC末端」は、PTH1〜84のインタクトな84番目の部分を有するPTHまたはPTHフラグメントをいう。この84番目の部分を、本明細書中で「元のC終端(terminus)」または「元のC末端」ともいう。
【0050】
本明細書中で使用される、用語「中末端PTHフラグメント」は、インタクトなN末端やインタクトなC末端を含まないPTHの非全連続部分をいう。これらのPTHフラグメント型を、本明細書中で「中末端フラグメント」ということもできる。
【0051】
本明細書中で使用される、用語「特異的に結合する」は、定義の標的に優先的に結合するような抗体の特異性をいう。他の潜在的標的の存在下での特定の標的の抗体による認識は、このような結合の1つの特徴である。特定のPTH標的に対する本発明で意図される抗体の特異的結合を、本明細書中で提供したツールを使用した公知の方法によって測定する。
【0052】
本明細書中で使用される、ハイブリッド形成反応の「ストリンジェンシー」は、当業者によって容易に決定可能であり、一般に、プローブの長さ、洗浄温度、および塩濃度に依存する経験的計算である。一般に、プローブの長さが長いほど適切なアニーリングのための温度が高くなる一方で、プローブが短いほど低い温度が必要である。ハイブリッド形成は、一般に、その融解温度未満の環境下で相補鎖が存在する場合の変性核酸配列の再アニーリング能力に依存する。プローブとハイブリッド形成可能な配列との間の程度が高いほど、使用することができる相対温度が高くなる。結果として、相対温度が高いほど反応条件がよりストリンジェントになる傾向がある一方で、この温度が低いほどストリンジェンシーが低くなることに従う。ハイブリッド形成反応のストリンジェンシーのさらなる詳細および説明については、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.eds.,Wiley Interscience Publishers,1995);Molecular Cloning:A Laboratory Manual(J.Sambrook,E.Fritsch,T.Maniatis eds.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,2d ed.1989);Wood et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:1585-1588(1985)を参照のこと。
【0053】
本明細書中で使用される、用語「単離された」は、その元の環境から取り出された物質をいい、その天然の状態と異なる。例えば、単離ポリペプチドは、キャリアに結合することができ、その元の環境下でポリペプチドではないので、依然として「単離されている」。
【0054】
本開示は、一連または他の特定のアミノ酸残基もしくは複数のアミノ酸残基を含む標的タンパク質および/またはペプチドに特定の特異性を有する抗原、抗体、ならびに抗体の産生方法を含む。特異的アミノ酸残基を、タンパク質もしくはペプチドのN末端領域またはC末端領域中に配置することができる。さらに、特異的アミノ酸残基を、タンパク質またはペプチドのN末端領域とC末端領域との間の領域中に配置することができる。時折、1つを超える特異的アミノ酸残基が存在する場合、このような残基は、任意の1つまたは複数のN末端、C末端、これらの2領域の間、および/またはこれらの全領域中に分散させることができる。
【0055】
本発明の開示では、PTHの多数の密接に類似した種依存性形態が存在することを念頭におくべきである。hPTHのアミノ酸配列を、図1に示す。しかし、ラットPTH、マウスPTH、ウシPTH、イヌPTH、ウマPTH、またはブタPTHでは、例えば、hPTH配列中のいくつかのアミノ酸置換が認められる。本発明の目的のために、これらのPTHを形成するために抗体または抗体フラグメントを交換可能に使用することができるにもかかわらず、PTHが測定される種に適合する配列を有するPTHに特異性を有する抗体を使用することが好ましい。
【0056】
〔B.副甲状腺ホルモンフラグメント〕
一般に、本発明のPTHフラグメントは、配列番号1、2、3、4、5、6、および/または7(PTH1〜84)に記載のアミノ酸配列を有するPTHの非全連続部分またはこのPTH部分をコードする核酸を含む。PTHフラグメントは、以下の特徴を有し得る。a)PTHフラグメントのN末端アミノ酸残基がPTH1〜84の1位〜80位にわたる任意の位置から始まること;b)PTHフラグメントのC末端アミノ酸残基が、PTH1〜84の4位〜84位にわたる任意の位置で終結すること;およびc)PTHフラグメントが3アミノ酸残基の最小の長さを有すること。好ましくは、PTHフラグメントは、薬学的組成物の形態である。
【0057】
本発明のPTHフラグメントを、以下の3つのカテゴリーに組織化する。N末端、C末端、および中末端のPTHフラグメント。本明細書中でさらに記載するように、N末端フラグメントは、インタクトなN末端を含むが、インタクトな元のC末端を含まないPTHの非全連続部分を含む。本明細書中にも記載されるように、C末端フラグメントは、インタクトなC末端を含むが、インタクトな元のN末端を含まないPTHの非全連続部分を含む。さらに、本明細書中にさらに記載されるように、中末端フラグメントは、インタクトな元のC末端やインタクトな元のN末端のいずれも含まないPTHの非全連続部分を含む。PTHの全ての哺乳動物供給源/配列が意図される。
【0058】
1つの実施形態では、PTHフラグメントは、シクラーゼ不活性PTHのサブセットを含む。しかし、本記載を考慮すると、種々の他のPTHフラグメントは、本発明の組成物、キット、および方法で意図され、確認可能であり、且つ有用である。重要には、PTH7〜84は、本発明で意図されるPTHフラグメント群のメンバーを示す。本開示は、PTHフラグメントの記載における巨大な不活性PTHフラグメントをさらに意図する。
【0059】
1つの実施形態では、PTHフラグメントのN末端アミノ酸残基は、PTH1〜84の2位〜70位にわたる任意の定義の位置で始まる。PTHフラグメントのC末端アミノ酸残基は、PTH1〜84の35位〜84位にわたる任意の定義の位置で終結する。したがって、例えば、PTH2〜84、PTH34〜84、またはPTH70〜84までの範囲のフラグメントは、C末端フラグメントとして含まれる。例えば、PTH39〜68またはPTH44〜68の範囲内の中末端PTHフラグメントも意図される。例えば、PTH1〜84の約44位から始まるN末端およびPTH1〜84の約68位で終結するC末端を有する中末端PTHフラグメントは本記載に含まれる。理論に拘束されないが、中末端PTHフラグメントは、PTH1〜84の1位や84位を含まないが、むしろこれらの位置の範囲内に含まれる。
【0060】
特定の実施形態では、PTHフラグメントは、PTH2〜84、PTH3〜84、PTH4〜84、PTH5〜84、PTH6〜84、PTH7〜84、PTH8〜84、PTH9〜84、PTH10〜84、PTH11〜84、PTH12〜84、PTH13〜84、PTH14〜84、PTH15〜84、PTH16〜84、PTH17〜84、PTH18〜84、PTH19〜84、PTH20〜84、PTH21〜84、PTH22〜84、PTH23〜84、PTH24〜84、PTH25〜84、PTH26〜84、PTH27〜84、PTH28〜84、PTH29〜84、PTH30〜84、PTH31〜84、PTH32〜84、およびPTH33〜84からなる群より選択されるタンパク質もしくはペプチドまたはタンパク質もしくはペプチドをコードする核酸である。別の特定の実施形態では、PTHフラグメントは、PTH7〜69、PTH7〜70、PTH7〜71、PTH7〜72、PTH7〜73、PTH7〜74、PTH7〜75、PTH7〜76、PTH7〜77、PTH7〜78、PTH7〜79、PTH7〜80、PTH7〜81、PTH7〜82、PTH7〜83、およびPTH7〜84からなる群より選択されるタンパク質もしくはペプチドまたはタンパク質またはペプチドをコードする核酸である。
【0061】
別の実施形態では、PTHフラグメントは、PTH34〜84、PTH35〜84、PTH36〜84、PTH37〜84、PTH38〜84、PTH39〜84、PTH40〜84、PTH41〜84、PTH42〜84、PTH43〜84、PTH44〜84、PTH45〜84、PTH46〜84、PTH47〜84、PTH48〜84、PTH49〜84、PTH50〜84、PTH51〜84、PTH52〜84、PTH53〜84、PTH54〜84、PTH55〜84、PTH56〜84、PTH57〜84、PTH58〜84、PTH59〜84、PTH60〜84、PTH61〜84、PTH62〜84、PTH63〜84、PTH64〜84、PTH65〜84、PTH66〜84、PTH67〜84、PTH68〜84、PTH69〜84、およびPTH70〜84からなる群より選択されるタンパク質もしくはペプチドまたはタンパク質またはペプチドをコードする核酸である。
【0062】
さらなる実施形態では、PTHフラグメントは、PTH7〜60、PTH8〜60、PTH9〜60、PTH10〜60、PTH11〜60、PTH12〜60、PTH13〜60、PTH14〜60、PTH15〜60、PTH16〜60、PTH17〜60、PTH18〜60、PTH19〜60、PTH20〜60、PTH21〜60、PTH22〜60、PTH23〜60、PTH24〜60、PTH25〜60、PTH26〜60、PTH27〜60、PTH28〜60、PTH29〜60、PTH30〜60、PTH31〜60、PTH32〜60、PTH33〜60、PTH34〜60、PTH35〜60、PTH36〜60、PTH37〜60、およびPTH38〜60、PTH39〜60、PTH40〜60、PTH41〜60、PTH42〜60、PTH43〜60、PTH44〜59、PTH44〜60、PTH45〜60、PTH46〜60、PTH47〜60、およびPTH48〜60からなる群より選択されるタンパク質もしくはペプチドまたはタンパク質またはペプチドをコードする核酸ならびに本明細書中に記載の他の中末端PTHフラグメントである。別の特定の実施形態では、PTHフラグメントは、PTH13〜34、PTH7〜53、PTH8〜53、PTH9〜53、PTH10〜53、PTH11〜53、PTH12〜53、PTH13〜53、PTH14〜53、PTH15〜53、PTH16〜53、PTH17〜53、PTH18〜53、PTH19〜53、PTH20〜53、PTH21〜53、PTH22〜53、PTH23〜53、PTH24〜53、PTH25〜53、PTH26〜53、PTH27〜53、PTH28〜53、PTH29〜53、PTH30〜53、PTH31〜53、PTH32〜53、PTH33〜53、PTH34〜53、PTH35〜53、PTH6〜53、PTH37〜53、およびPTH38〜53からなる群より選択されるタンパク質もしくはペプチドまたはタンパク質またはペプチドをコードする核酸ならびに本明細書中に記載の他の中末端PTHフラグメントである。
【0063】
別の好ましい実施形態では、PTHフラグメントは、PTH39〜84、PTH1〜34、PTH43〜68、PTH7〜84、PTH39〜68、PTH53〜84、PTH65〜84、PTH44〜68、PTH19〜84、PTH23〜84、PTH1〜68、またはこの群由来の2つまたはそれ以上の組み合わせからなる群より選択されるPTHペプチドフラグメントを含むか、抗体がこれらの特異的に結合する。この群は、PTH1〜84の39位〜65位から始まるN末端およびPTH1〜84の84位で終結するC末端位置を有するPTHペプチドフラグメントをさらに含み得る。特に好ましい実施形態では、PTHペプチドフラグメントは、天然に存在するか検出可能なPTHフラグメントを含む。
【0064】
別の実施形態では、PTHフラグメントは、他のインタクトなN末端PTHフラグメントもあるが、インタクトなN末端(例えば、PTH1〜38、PTH1〜48、PTH1〜58、PTH1〜68、PTH1〜78が含まれるが、これらに限定されない)を有するタンパク質もしくはペプチドまたはタンパク質またはペプチドをコードする核酸である。
【0065】
PTHフラグメントは、任意の適切な長さを有し、PTH作動活性または拮抗活性を有し得るにもかかわらず、PTHの作動活性または拮抗活性は、本発明のPTHフラグメントに必要ない。例えば、PTHフラグメントは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、または83アミノ酸残基長を有し得る。
【0066】
〔C.PTH比−全PTHおよびPTHフラグメント〕
本発明に至る重要な発見は、無力性骨(adynamic bone)は、骨が機能停止するにつれてカルシウムおよびリン酸塩を格納する(buffer)能力を喪失することである。このような病態を罹患した被験体では、食事によって体内に侵入したカルシウムを有効に格納することができない。このカルシウムは血流に侵入し、その後軟組織を往復する。副甲状腺は、特に、このカルシウムの流入に支配されて劇的に影響を受け、それによってPTHの活性形態よりもむしろ、またはそれに加えて、PTHフラグメントを産生する。例えば、Mayer GP,et al.,Endocrinology 104:1778-1784(1979);D'Amour P,et al.,J.Clin.Endocrinol.Metab.74:525-532(1992);D'Amour P,et al.,J.Bone Miner.Res.11:1075-1085(1996);Cardinal,H.,et al.,J.Clin.Endocrinol.Metab.83:3839-44(1998)を参照のこと。したがって、無力性骨を有する被験体では、PTHフラグメントの濃度および産生が増加する。このことおよび他の関連する情報を考慮すると、特に全PTHの測定と組み合わせたPTHフラグメントレベルの測定を使用して、無力性骨を有する被験体と正常な骨および高骨代謝回転率を有する被験体とを有効に区別することができる。
【0067】
本開示は、PTHレベルを測定するためのペプチド、抗体、方法、およびキットの提示におけるこれらの発見を含む。1つの好ましい実施形態では、本方法は、全PTHレベルと総PTHレベルとの比(総PTHレベルが、全PTHと、PTH7〜84に加えて、PTHフラグメント(本明細書中に記載の他のPTHフラグメントなど)とを含む)(すなわち、全PTH/総PTH比)を使用する。この比は、PTH7〜84ペプチドから作製した抗体に特異的に結合する全PTHと、PTHフラグメントの測定を反映する総PTHレベルとを含むPTH比と比較して、総PTH濃度の増加を含む。したがって、CAP/PTHフラグメント比は、一般に、CAP/(CAP+PTH7〜84)比よりも低い。現在まで、PTH比の予想される効果および治療効果は認識されていなかった。例えば、Martine-Esther Cohen Solal,et al.,J.Clin.Endocrinol.Metab.73:516-524(1991)(全PTHの測定が、「組織学型骨疾患の予想のためのC末端および中間領域アッセイよりも優れている」と結論づけている)を参照のこと。
【0068】
1つの実施形態では、総PTHレベルを決定するための他の潜在的抗体に加えてPTH52〜84に特異的な抗体に加えてPTH44〜68に特異的な抗体を使用する総PTHアッセイを使用する。
【0069】
本開示は、PTHレベル、PTHフラグメントレベル、および時折総PTHレベルを含むより治療的に予想されるPTH比も提供する。この比における総PTHレベルには、PTH7〜84などの巨大なPTH N末端フラグメントに加えてPTHフラグメントが含まれる。これらのPTHフラグメントには、巨大な不活性フラグメントとして本開示のいずれかで言及されているPTHフラグメントのカテゴリーが含まれるが、必ずしも本明細書中に記載のC末端およびN末端PTHフラグメントではない。本明細書中で提供されるように、本発明の総PTH測定に含まれるPTHフラグメントには、他のPTHフラグメントに加えてPTH7〜84が含まれる。したがって、本発明のPTH比の増大の重要な態様は、総PTHアッセイがN末端、C末端、および中末端のPTHフラグメントを測定するように被験体中の循環PTHフラグメントの大部分、より好ましくは全てのモニタリングを含む。関連する態様では、増大した比で測定されたフラグメントには、本明細書中に記載の他のPTHフラグメントに加えてPTH7〜84が含まれる。
【0070】
例えば、総PTHに対する全PTHから構成されるPTH比の増加(全PTHに加えてほとんどまたは全ての循環PTHフラグメントを測定)は、一般に、「総」PTH(全PTH+PTH7〜84などの巨大なN末端PTHフラグメントからなる)に対する全PTHを含む総PTH比を測定するPTH比と比較して割合が低い。このより低い割合は、総PTHを含むPTH7〜84に加えたさらなるフラグメントの測定に起因する。以前のPTH総数は、一般に、PTH7〜84に加えてPTHフラグメントを含むPTH総数よりも少なかった。巨大なN末端フラグメント以外のPTHフラグメントが認識されていないので、これらの総数は少ない。本発明は、循環N末端フラグメントに加えてPTHフラグメントの測定に由来する比の予想および治療上の利点の増加に加えてPTHの総数においてこの以前の欠点を認めている。
【0071】
本発明で意図されるPTH比は、被験体が無形成骨症(ADN)、軽度副甲状腺機能亢進症(軽度HPT)、または重症副甲状腺機能亢進症(重症HPT)に罹患しているかどうかを決定するためのカットオフ評価値を得るのに有用である。頻繁に、本発明の比は、初期診断に有用である。しかし、これらの比は、被験体治療のモニタリングおよび誘導に等しく有用であり得る。1つの好ましい実施形態では、本発明の比を、CAPおよび/または全PTHレベルの測定と組み合わせて使用する。以下の表1は、全PTHレベルおよびPTH1〜84対PTH7〜84からなるPTH比に関する骨代謝回転率についての基準表を提供する。
【0072】
【表1】
【0073】
理論に拘束されないが、現在の基準および実務を考慮すると、さらなるデータ(例えば、骨の組織学的情報および/またはさらなるフラグメント関連情報(本明細書中で提供する)が含まれる)と無関係には、3つの列挙した骨代謝回転率のカテゴリー間の決定および区別のための表1中の値および比のみに対する信頼性は根拠がない。
【0074】
例示的比には、全PTH(wPTH)、C末端PTH(cPTH)、および中末端PTHフラグメント(mPTH)から構成されるPTHパラメーターの変動物(variation)が含まれる。使用する抗体に依存して、これらのパラメーター間の交差反応性を証明することができる(そして修正することができる)。本開示の例示的比の非限定的なリストには、wPTH/cPTH、wPTH/mPTH、wPTH/(cPTH+mPTH)、wPTH/(cPTH−wPTH)+(mPTH−wPTH)、wPTH/(cPTH+mPTH−wPTH)、wPTH/(wPTH+mPTH+cPTH)、cPTH/mPTH、mPTH/cPTH、cPTH/wPTH、mPTH/wPTHなどが含まれる。当業者は、PTH比の逆数およびこれらのパラメーターの他の組み合わせは、本発明の方法で等しく適切であることを認識する。さらに、CAPをPTH比パラメーターとして使用し、意図する比でPTHレベル、総PTHレベル、および/またはPTHフラグメントレベルと組み合わせて使用することができる。
【0075】
例えば、以下の表2は、一連のPTH比カットオフ値を提供する。全PTH(wPTH)、中末端PTHフラグメント(mPTH)、およびC末端PTH(cPTH)フラグメントに特異的な抗体ならびに対応する組織学データを使用して、比カットオフの基準値を提供するPTHレベルの生データを作成する。示すように、以下に示す各比を、cPTH、mPTH、および/またはwPTHに基づいて作成する。
【0076】
【表2】
【0077】
表2が3つの各臨床指標のカットオフ範囲を示す一方で、それぞれの変動物も存在し得る。用語「約」は、カットオフ点も含み得る幾らか固有の変動物を有する特に好ましい値の範囲として各カットオフと共に使用する。当業者は、カットオフ点が上記値と異なり得るようにPTHアッセイパラメーターを変化させることができる(このような変動物は本開示の範囲内に含まれる)と理解する。1つの実施形態では、カットオフ点は、指標についてのカットオフ中央値を示す。好ましい実施形態では、カットオフ点は、特定の指標を有する被験体の大部分または全てが含まれる範囲未満または範囲以上の範囲を示す。
【0078】
ADN透析患者の過剰治療を回避するために、透析ADN患者と高骨代謝回転を罹患した患者とを非浸襲性に分類することができる必要が非常にある。ADN透析患者の過剰治療(over treatment)は、現在使用されている方法で現在最も頻繁に起こっている。例えば、Zemplar(登録商標)およびCalcijex(登録商標)(Abbott Laboratories)を使用して、例えば、透析患者を治療している。使用および推奨されている治療プロトコール下で、これらの患者は、PTHレベル(wPTHおよびPTHフラグメントレベルが含まれる)の不正確な測定によって過剰治療のリスクが高い。例えば、ADNを罹患するようになるカルシウムベースのリン酸塩結合剤を使用して治療した透析患者の比率は、1995年から2000年の間にこのような患者の12%から48%に急増している。例えば、Malluche,H.H.,The Importance of Bone Health in ESRD:Out of the Frying Pan,Into the Fire?,World Congress on Nephrology,Berlin,Germany(June 2003)(未発表データに基づく)を参照のこと。この増加は、主に、透析患者の過剰治療に起因し、透析患者のこの過剰治療は、同様に、無効なPTHレベル(全PTHレベルおよびPTHフラグメントレベルが含まれる)のモニタリングに起因することを前提とする。さらに、K/DOQIは、ADN透析患者とHBT透析患者との分類に有用な唯一のマーカーとして全PTHを推奨する。K/DOQI Clinical Practice Guidelines for Bone Metabolism and Disease in Chronic Kidney Disease,Draft Guideline Statements and Treatment Algorithms(February 2003)を参照のこと。しかし、全PTHレベルは、一貫してADN透析患者とHBT透析患者とを分類できない。Qi,Q,et al.,Am.J.Kidney Dis.26:622-31(1995);Quarles,LD,et al.,J.Clin.Endocrinol.Metab.75:145-150(1992)を参照のこと。このようなガイドラインは過剰治療現象を広めるようであることが本明細書中で認識される。したがって、本発明の組成物および方法は、全PTHレベルのみの測定によるよりもむしろPTH比の結果によるADN透析患者とHBT透析患者との区別の有効性ならびに腎疾患、骨粗鬆症、および/または透析患者の通常の臨床管理のためのその使用を例示する。
【0079】
〔D.PTHアッセイの場所〕
本発明で意図される方法を、種々の施設および種々の事業体で行うことができる。しかし、一般に、本発明の方法および材料は、医療施設で供することができる。頻繁に、本発明の方法(例えば、本明細書中に記載のPTHレベルおよび比の決定およびモニタリング)を、介護施設(care provider)または臨床検査室によって被験体の疾患または障害の臨床管理で使用する。本明細書中で使用される、「医療施設」には、臨床検査室、診療所、病院、健康管理組織の施設、および外来診療施設、介護および被験体の試験に有用な種々の他の非伝統的施設のうちの1つが含まれる。
【0080】
〔E.PTH配列〕
本開示は、種々の哺乳動物起源の副甲状腺ホルモンのペプチド、ペプチドフラグメント、PTHまたはPTHフラグメントペプチドをコードするポリヌクレオチド、ならびに全PTHおよび/またはPTHフラグメントに特異的に結合する抗体の使用を意図する。例えば、Caetano,A.R.,et al.,Equus Genome Res.9(12):1239-1249(1999)(ウマ)、米国特許出願公開US 2002/0110871 A1(ラット、マウス、ウシ、イヌ、ブタ)、米国特許出願番号09/344,639号、および同第09/231,422号(ヒト)を参照のこと。非限定的な例のために、以下の供給源に由来し、且つ以下のペプチド配列を有するPTHを本明細書中で意図する。
【0081】
ヒトPTH1〜84(配列番号1):SER−VAL−SER−GLU−ILE−GLN−LEU−MET−HIS−ASN−LEU−GLY−LYS−HIS−LEU−ASN−SER−MET−GLU−ARG−VAL−GLU−TRP−LEU−ARG−LYS−LYS−LEU−GLN−ASP−VAL−HIS−ASN−PHE−VAL−ALA−LEU−GLY−ALA−PRO−LEU−ALA−PRO−ARG−ASP−ALA−GLY−SER−GLN−ARG−PRO−ARG−LYS−LYS−GLU−ASP−ASN−VAL−LEU−VAL−GLU−SER−HIS−GLU−LYS−SER−LEU−GLY−GLU−ALA−ASP−LYS−ALA−ASP−VAL−ASN−VAL−LEU−THR−LYS−ALA−LYS−SER−GLN。
【0082】
ラットヒトPTH1〜84(配列番号2):ALA−VAL−SER−GLU−ILE−GLN−LEU−MET−HIS−ASN−LEU−GLY−LYS−HIS−LEU−ALA−SER−VAL−GLU−ARG−MET−GLN−TRP−LEU−ARG−LYS−LYS−LEU−GLN−ASP−VAL−HIS−ASN−PHE−VAL−SER−LEU−GLY−VAL−GLN−MET−ALA−ALA−ARG−GLU−GLY−SER−TYR−GLN−ARG−PRO−THR−LYS−LYS−GLU−ASP−ASN−VAL−LEU−VAL−ASP−GLY−ASN−SER−LYS−SER−LEU−GLY−GLU−GLY−ASP−LYS−ALA−ASP−VAL−ASP−VAL−LEU−VAL−LYS−ALA−LYS−SER−GLN。
【0083】
マウスヒトPTH1〜84(配列番号3):ALA−VAL−SER−GLU−ILE−GLN−LEU−MET−HIS−ASN−LEU−GLY−LYS−HIS−LEU−ALA−SER−VAL−GLU−ARG−MET−GLN−TRP−LEU−ARG−ARG−LYS−LEU−GLN−ASP−MET−HIS−ASN−PHE−VAL−SER−LEU−GLY−VAL−GLN−MET−ALA−ALA−ARG−ASP−GLY−SER−HIS−GLN−LYS−PRO−THR−LYS−LYS−GLU−GLU−ASN−VAL−LEU−VAL−ASP−GLY−ASN−PRO−LYS−SER−LEU−GLY−GLU−GLY−ASP−LYS−ALA−ASP−VAL−ASP−VAL−LEU−VAL−LYS−SER−LYS−SER−GLN。
【0084】
ウシヒトPTH1〜84(配列番号4):ALA−VAL−SER−GLU−ILE−GLN−PHE−MET−HIS−ASN−LEU−GLY−LYS−HIS−LEU−SER−SER−MET−GLU−ARG−VAL−GLU−TRP−LEU−ARG−LYS−LYS−LEU−GLN−ASP−VAL−HIS−ASN−PHE−VAL−ALA−LEU−GLY−ALA−SER−ILE−ALA−TYR−ARG−ASP−GLY−SER−SER−GLN−ARG−PRO−ARG−LYS−LYS−GLU−ASP−ASN−VAL−LEU−VAL−GLU−SER−HIS−GLN−LYS−SER−LEU−GLY−GLU−ALA−ASP−LYS−ALA−ASP−VAL−ASP−VAL−LEU−ILE−LYS−ALA−LYS−PRO−GLN。
【0085】
イヌヒトPTH1〜84(配列番号5):SER−VAL−SER−GLU−ILE−GLN−PHE−MET−HIS−ASN−LEU−GLY−LYS−HIS−LEU−SER−SER−MET−GLU−ARG−VAL−GLU−TRP−LEU−ARG−LYS−LYS−LEU−GLN−ASP−VAL−HIS−ASN−PHE−VAL−ALA−LEU−GLY−ALA−PRO−ILE−ALA−HIS−ARG−ASP−GLY−SER−SER−GLN−ARG−PRO−LEU−LYS−LYS−GLU−ASP−ASN−VAL−LEU−VAL−GLU−SER−TYR−GLN−LYS−SER−LEU−GLY−GLU−ALA−ASP−LYS−ALA−ASP−VAL−ASP−VAL−LEU−THR−LYS−ALA−LYS−SER−GLN。
【0086】
ブタヒトPTH1〜84(配列番号6):SER−VAL−SER−GLU−ILE−GLN−PHE−MET−HIS−ASN−LEU−GLY−LYS−HIS−LEU−SER−SER−LEU−GLU−ARG−VAL−GLU−TRP−LEU−ARG−LYS−LYS−LEU−GLN−ASP−VAL−HIS−ASN−PHE−VAL−ALA−LEU−GLY−ALA−SER−ILE−VAL−HIS−ARG−ASP−GLY−GLY−SER−GLN−ARG−PRO−ARG−LYS−LYS−GLU−ASP−ASN−VAL−LEU−VAL−GLU−SER−HIS−GLN−LYS−SER−LEU−GLY−GLU−ALA−ASP−LYS−ALA−ALA−VAL−ASP−VAL−LEU−ILE−LYS−ALA−LYS−PRO−GLN。
【0087】
ウマPTH1〜86(配列番号7):LYS−ARG−SER−VAL−SER−GLU−ILE−GLN−LEU−MET−HIS−ASN−LEU−GLY−LYS−HIS−LEU−ASN−SER−VAL−GLU−ARG−VAL−GLU−TRP−LEU−ARG−LYS−LYS−LEU−GLN−ASP−VAL−HIS−ASN−PHE−ILE−ALA−LEU−GLY−ALA−PRO−ILE−PHE−HIS−ARG−ASP−GLY−GLY−SER−GLN−ARG−PRO−ARG−LYS−LYS−GLU−ASP−ASN−VAL−LEU−ILE−GLU−SER−HIS−GLN−XXX−SER−LEU−GLY−GLU−ALA−ASP−LYS−ALA−ASP−VAL−ASP−VAL−LEU−SER−LYS−THR−LYS−SER−GLN。
【0088】
[VII.本発明実施の例示的形態]
本発明の開示では、PTHの多数の密接に類似した種依存性形態が存在することを念頭におくべきである(上記を参照のこと)。hPTHのアミノ酸配列を、図1に示す。しかし、ラットPTH、ウシPTH、またはブタPTHでは、例えば、hPTH配列中のいくつかのアミノ酸置換が認められる(例えば、配列番号1〜7を参照のこと)。本発明の目的のために、これらのPTHを形成するために抗体または抗体フラグメントを交換可能に使用することができるにもかかわらず、PTHが測定される種に適合する配列を有するPTHに特異性を有する抗体を使用することが好ましい。
【0089】
〔A.全PTH免疫アッセイ〕
本発明の好ましい実施形態は、図2および3に示す、しばしばサンドイッチアッセイと呼ばれる免疫放射測定アッセイ15(IRMA)である。このようなアッセイ(10)で使用される要素は、固体支持体(14)に付着した捕捉抗体(12)、および(20)に付着した、標識(18)を有するシグナル抗体(16)を含む。典型的には、図2に示すように、C末端PTHフラグメント(22)に特異的な捕捉抗体を選択する一方で、標識抗体は、アデニルシクラーゼ活性ドメイン(24)を含むイニシャル(initial)wPTHペプチド配列に特異的である。しかし、図3に示すように、これらの抗体の特異性を逆にすることができる。
【0090】
あるいは、従来の沈殿アッセイまたは濁度測定アッセイなどのwPTHが溶液から沈殿するか溶液中で識別される免疫アッセイを作製することができる。例えば、沈殿塊を形成するために少なくとも3つの抗体を使用することができる。イニシャルwPTH配列抗体およびC末端抗体に加えて、Pmの中間部分に付着する少なくとも第3の抗体を使用することができる。wPTHと少なくとも3つの抗体との組み合わせ塊により、従来の技術によって測定することができる標識沈殿塊が形成される。
【0091】
別の方法は、イニシャルwPTH配列抗体をラテックス粒子などのコロイド状の固体支持体に結合させる。より詳細には、クロラミンTでの酸化、1mCiの125I放射性同位体との室温で25秒間のインキュベーション、およびメタ重硫酸ナトリウムとの反応により50μgのアフィニティ精製ヤギ抗(1〜6)PTH抗体(Scantibodies Laboratory,Inc.,Santee California,U.S.A.)のヨード化によってシグナル抗体を作製することができる。製造者の説明書に従ったPD−10脱塩カラム(Pharmacia,Uppsala,Sweden)へのヨード化混合物の通過によって非組み込み125I放射性同位体を125−1−ヤギ抗(1〜6)PTHシグナル抗体から分離する。脱塩カラムから回収した画分を、ガンマカウンターで測定し、125−1−ヤギ抗(1〜6)PTH抗体を示す画分をプールし、約300,000DPM(壊変毎分)/100μlの濃度に希釈する。この溶液は、全PTH IRMAで使用される追跡溶液である。
【0092】
当業者に公知の受動的吸収技術を用いたアフィニティ精製ヤギ抗PTH39〜84抗体(Scantibodies Laboratory,Inc.,Santee,California,U.S.A.)と12×75mmポリスチレンチューブ(Nunc,Denmark)への付着によって捕捉抗体コーティングチューブを作製することができる。チューブを空にして乾燥させ、20個の固相抗体コーティングチューブを作製する。
【0093】
サンプルの全PTHアッセイを行うために、200μlのヒト血清サンプルを固相抗体コーティングチューブに添加する。各チューブに、100μlのトレーサー溶液(標識ヤギ抗(1〜6)PTHシグナル抗体)を添加する。チューブ25を、170rpmで20〜22時間浸透しながら室温でインキュベートする。この間に、{固相ヤギ抗(39−84)PTH抗体}−−{全PTH}−−{125−1−ヤギ抗(1〜6)PTH抗体}のサンドイッチを形成する免疫化学反応が起こる。このインキュベーション後、試験管を蒸留水で洗浄する。固相の放射能(その量がwPTHの存在量に対応する)を、ガンマカウンターを使用して測定する。サンプルの放射能データを、サンプル中の全PTH濃度を確認することができるように、標準およびコントロール由来の結果ならびにコンピュータソフトウェアの使用による従来の分析によって処理する。図4は、このようなアッセイの検量線を示す。
【0094】
〔B.イニシャル全PTH配列ペプチド〕
上記アッセイでシグナル抗体を作製するために、最初に、ヒトPTH1〜8、ラットPTH1〜8、マウスPTH1〜8、ウシPTH1〜8、イヌPTH1〜8、ブタPTH1〜8、ウマPTH1〜8、ヒトPTH1〜15、ラットPTH1〜15、マウスPTH1〜15、ウシPTH1〜15、イヌPTH1〜15、ブタPTH1〜15、またはウマPTH1〜15のいずれかに対応する合成PTHペプチドまたは共通配列中の少なくとも4つのアミノ酸を作製する。理論に拘束されないが、適切な合成PTHペプチドは、上記例示のPTH1〜8を超えて、すなわち、PTH1〜84の84位まで伸張し得る。例えば、任意の種々のPTHのN末端フラグメントは、この態様のための適切なイニシャルペプチド配列である。選択されたペプチドは、アッセイの作製において2つの役割(第1に、シグナル抗体または捕捉抗体のためのポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体の供給源の作製のための特異的供給源として、第2に、所望のシグナル抗体または捕捉抗体の単離のためのアフィニティ精製手段の一部として)を果たすことができる。
【0095】
簡単に述べれば、このようなペプチドを、αアミノ保護基としてFmoc(9−フルオロニルメトキシカルボニル)を使用したApplied Biosystems,Inc.(Foster City,California,U.S.A.)モデル431自動化ペプチド合成機で合成することができる。全てのアミノ酸および溶媒は、Applied Biosystemsから入手し、これらは合成グレードである。合成後、ペプチドを樹脂から切断し、6.67%フェノール、4.4%(v/v)チオアニソール、および8.8%エタンジチオールを含むトリフルオロ酢酸(TFA)を含む切断カクテル20を使用して側鎖を脱ブロッキングする。切断ペプチドを沈殿させ、冷ジエチルエーテルで数回洗浄する。次いで、これを水に溶解し、凍結乾燥させる。粗ペプチドを、アミノ酸分析(Waters PICO-TAG System,Boston,Massachusetts,U.S.A.)および移動緩衝液として0.1%TFA水溶液および25 99.9%アセトニトリルの0.1%TFA溶液を使用したVYDAC(商標)C8カラムを使用した逆相HPLCに供する。ペプチドがさらなる使用に適切であるということの証拠として、適切なアミノ酸組成物と共に1つの主要なピークが存在する。
【0096】
次いで、製造者の説明書にしたがって、得られたペプチドを架橋アガロースビーズ(Pharmacia,Uppsala,Swedenの活性化Sepharose4B)に付着させる。ビーズ上にイニシャルペプチド配列を準備して、wPTH免疫アッセイのためのイニシャル配列抗体を単離するためにポリクローナル抗体血清供給源をアフィニティ精製することができる。
【0097】
特に好ましい実施形態では、イニシャル配列PTH抗体は、イニシャルPTHペプチド、C末端、および中末端のPTHペプチドを首尾よく区別し、その結果イニシャル配列PTHペプチドに特異的に結合する。
【0098】
別の好ましい実施形態では、上記方法を使用して、中末端およびC末端のPTHペプチドフラグメントを合成する。これらのペプチドの合成後、上記方法を使用して、中末端PTH抗体および/またはC末端PTH抗体を作製および単離する。好ましい実施形態では、中末端PTH抗体は、中末端PTHペプチドフラグメントに特異的に結合する。別の好ましい実施形態では、C末端PTH抗体は、C末端PTHペプチドフラグメントに特異的に結合する。
【0099】
〔C.イニシャル配列の全PTH抗体〕
別の実施形態では、アフィニティ精製イニシャル配列全PTH抗体を作製するために、最初に、ヤギへの注射のための免疫原の一部として上記のインタクトなN末端を有するPTH配列ペプチドを使用する。例えば、PTH1〜34からPTH1〜84までの範囲のPTHペプチドを使用することができる。ペプチドを、注射用免疫原として単独で使用するか、典型的には約5,000〜10,000,000との間の分子量を有する非PTHペプチドに組み込むか、wPTH完全配列の一部として使用することができる。免疫原を、軽油、Arlacel界面活性剤、および不活化マイコバクテリウムである結核菌の混合物である同体積のフロイント完全アジュバントと混合する。得られた混合物をホモジナイズして水/油乳濁液を作製し、これを一次免疫のために動物(典型的には、ヤギ)に注射する。免疫原の用量は、約50〜400μgである。これらのその後の注射でマイコバクテリウムである結核菌を使用しないこと以外は、同用量の免疫原複合体を毎月ヤギに注射する。20の一次免疫から約3ヵ月後にヤギを毎日採血する。血清(または抗血清)は、遠心分離およびイニシャル配列PTH抗体中で豊富な抗血清の取り出しによる血液由来の赤血球の分離による各採血に由来する。
【0100】
所望のイニシャル配列全PTH抗体の抗血清を精製するために、PTH配列ペプチド(例えば、PTH1〜5からPTH1〜15までの範囲のPTHペプチド)に結合した上記ビーズと共に分離カラムを充填し、カラムを洗浄し、0.01Mリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で平衡化する。抗血清をカラムにロードし、イニシャル配列PTH特異性を示さない抗体を除去するために0.01M PBSで洗浄する。結合した特異的ヤギイニシャル配列PTHポリクローナル抗体を、0.1Mグリシンヒドロクロリド緩衝液(pH2.5)溶離液のカラム通過によって任意選択的にカラム中にPTH1〜5〜PTH1〜15を含む固相から溶離する。当業者に公知のように、1.0Mリン酸緩衝液(pH7.5)の添加または0.01M PBSとの緩衝液の交換のいずれかを使用してカラムから遊離した後に、溶離したポリクローナル抗体を中和する。ポリクローナル抗体を、2〜8℃で保存する。
【0101】
別の実施形態では、アフィニティ精製抗(1〜6)PTH抗体を作製するために、最初に、ヤギへの注射のための免疫原の一部として上記のように選択されたイニシャルPTH配列ペプチドを使用する。ペプチドを、典型的には約5,000〜10,000,000との間の分子量を有する非PTHペプチドに組み込まれた注射用免疫原またはwPTH完全配列の一部のいずれかとして使用することができる。免疫原を、軽油、Arlacel界面活性剤、および不活化マイコバクテリウムである結核菌の混合物である同体積のフロイント完全アジュバントと混合する。得られた混合物をホモジナイズして水/油乳濁液を作製し、これを一次免疫のために動物(典型的には、ヤギ)に注射する。免疫原の用量は、約50〜400μgである。これらのその後の注射でマイコバクテリウムである結核菌を使用しないこと以外は、同用量の免疫原複合体を毎月ヤギに注射する。20の一次免疫から約3ヵ月後にヤギを毎日採血する。血清(または抗血清)は、遠心分離および(1〜6)PTH抗体中で豊富な抗血清の取り出しによる血液由来の赤血球の分離による各採血に由来する。
【0102】
所望の(1〜6)PTH抗体の抗血清を精製するために、イニシャルPTH配列ペプチドに結合した上記ビーズと共に分離カラムを充填し、カラムを洗浄し、0.01Mリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で平衡化する。抗血清をカラムにロードし、(1〜6)PTH特異性を示さない抗体を除去するために0.01MPBSで洗浄する。結合した特異的ヤギ抗(1〜6)PTHポリクローナル抗体を、0.1Mグリシンヒドロクロリド緩衝液(pH2.5)溶離液のカラム通過によってカラム中にPTH1〜6を含む固相から溶離する。当業者に公知のように、1.0Mリン酸緩衝液(pH7.5)の添加または0.01MPBSとの緩衝液の交換のいずれかを使用してカラムから遊離した後に、溶離したポリクローナル抗体を中和する。ポリクローナル抗体を、2〜8℃で保存する。
【0103】
当業者は、上記実施には許容可能な変形形態が存在することを理解している。例えば、Harlow E,Lane D:Antibodies:A laboratory manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1988;Kohler & Milstein,Nature,256:495-7(1975)を参照のこと。理論に束縛されないが、上記実施は、本明細書中に記載の選択されたN末端PTH配列ペプチドを使用した他のPTH N末端抗体の産生に適切である。
【0104】
特に好ましい実施形態では、イニシャル配列PTH抗体は、イニシャルPTHペプチド、C末端、および中末端のPTHペプチドを首尾よく区別し、その結果イニシャル配列PTHペプチドに特異的に結合する。
【0105】
〔D.C末端配列PTH抗体〕
アフィニティ精製抗(60〜84)PTH抗体を作製するために、最初に、ヤギへの注射のための免疫原の一部として上記のように選択されたC末端配列ペプチドを使用する。別の実施形態では、免疫原は、全PTHペプチド(例えば、PTH1〜84)を含む。ペプチドを、典型的には、注射用免疫原として単独で使用するか、約5,000〜10,000,000との間の分子量を有する非PTHペプチドに組み込むことができる。免疫原を、軽油、Arlacel界面活性剤、および不活化マイコバクテリウムである結核菌の混合物である同体積のフロイント完全アジュバントと混合する。得られた混合物をホモジナイズして水/油乳濁液を作製し、これを一次免疫のために動物(典型的には、ヤギ)に注射する。免疫原の用量は、約50〜400μgである。これらのその後の注射でマイコバクテリウムである結核菌を使用しないこと以外は、同用量の免疫原複合体を毎月ヤギに注射する。20の一次免疫から約3ヵ月後にヤギを毎日採血する。血清(または抗血清)は、遠心分離および(60〜84)PTH抗体を含む抗血清の取り出しによる血液由来の赤血球の分離による各採血に由来する。別の実施形態では、他のPTH抗体(例えば、全PTH抗体)に加えて、(60〜84)PTH抗体を含む抗血清を取り出す。
【0106】
所望の(60〜84)PTH抗体の抗血清を精製するために、C末端PTH配列ペプチドに結合した上記ビーズと共に分離カラムを充填し、カラムを洗浄し、0.01Mリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で平衡化する。抗血清をカラムにロードし、(60〜84)PTH特異性を示さない抗体を除去するために0.01MPBSで洗浄する。結合した特異的ヤギ抗(60〜84)PTHポリクローナル抗体を、0.1Mグリシンヒドロクロリド緩衝液(pH2.5)溶離液のカラム通過によってカラム中にPTH1〜6を含む固相から溶離する。当業者に公知のように、1.0Mリン酸緩衝液(pH7.5)の添加または0.01MPBSとの緩衝液の交換のいずれかを使用してカラムから遊離した後に、溶離したポリクローナル抗体を中和する。ポリクローナル抗体を、2〜8℃で保存する。
【0107】
当業者は、上記実施には許容可能な変形形態が存在することを理解している。例えば、Harlow E,Lane D:Antibodies:A laboratory manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1988;Kohler & Milstein,Nature,256:495-7(1975)を参照のこと。理論に束縛されないが、上記実施は、本明細書中に記載の選択されたC末端PTH配列ペプチドを使用した他のPTH C末端抗体の産生に適切である。例えば、上記のPTH53〜84、PTH60〜84、PTH64〜84、PTH65〜84、PTH39〜84、PTH23〜84、PTH19〜84などのPTHペプチドおよび他のC末端PTHペプチド。
【0108】
特に好ましい実施形態では、C末端PTH抗体は、C末端ペプチド、両イニシャル配列、および中末端のPTHペプチドを首尾よく区別し、その結果C末端PTHペプチドに特異的に結合する。
【0109】
〔E.中末端配列PTH抗体〕
アフィニティ精製抗(44〜68)PTH抗体を作製するために、最初に、ヤギへの注射のための免疫原の一部として上記のように選択された中末端PTH配列ペプチドを使用する。別の実施形態では、免疫原は、全PTHペプチド(例えば、PTH1〜84)を含む。ペプチドを、典型的には、注射用免疫原として単独で使用するか、約5,000〜10,000,000との間の分子量を有する非PTHペプチドに組み込むことができる。免疫原を、軽油、Arlacel界面活性剤、および不活化マイコバクテリウムである結核菌の混合物である同体積のフロイント完全アジュバントと混合する。得られた混合物をホモジナイズして水/油乳濁液を作製し、これを一次免疫のために動物(典型的には、ヤギ)に注射する。免疫原の用量は、約50〜400μgである。これらのその後の注射でマイコバクテリウムである結核菌を使用しないこと以外は、同用量の免疫原複合体を毎月ヤギに注射する。20の一次免疫から約3ヵ月後にヤギを毎日採血する。血清(または抗血清)は、遠心分離および(44〜68)PTH抗体を含む抗血清の取り出しによる血液由来の赤血球の分離による各採血に由来する。別の実施形態では、他のPTH抗体(例えば、全PTH抗体)に加えて、(44〜68)PTH抗体を含む抗血清を取り出す。
【0110】
所望の(44〜68)PTH抗体の抗血清を精製するために、中末端PTH配列ペプチドに結合した上記ビーズと共に分離カラムを充填し、カラムを洗浄し、0.01Mリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で平衡化する。抗血清をカラムにロードし、(44〜68)PTH特異性を示さない抗体を除去するために0.01MPBSで洗浄する。結合した特異的ヤギ抗(44〜68)PTHポリクローナル抗体を、0.1Mグリシンヒドロクロリド緩衝液(pH2.5)溶離液のカラム通過によってカラム中にPTH1〜6を含む固相から溶離する。当業者に公知のように、1.0Mリン酸緩衝液(pH7.5)の添加または0.01MPBSとの緩衝液の交換のいずれかを使用してカラムから遊離した後に、溶離したポリクローナル抗体を中和する。ポリクローナル抗体を、2〜8℃で保存する。
【0111】
当業者は、上記実施には許容可能な変形形態が存在することを理解している。例えば、Harlow E,Lane D:Antibodies:A laboratory manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1988;Kohler & Milstein,Nature,256:495-7(1975)を参照のこと。理論に束縛されないが、上記実施は、本明細書中に記載の選択された中末端PTH配列ペプチドを使用した他のPTH中末端抗体の産生に適切である。例えば、上記のPTH44〜60、PTH7〜53、PTH12〜53、PTH17〜53、PTH22〜53、PTH27〜53、PTH30〜35、PTH32〜53、PTH32〜53、PTH37〜53、PTH42〜53、PTH47〜53などのPTHペプチドおよび他の中末端PTHペプチド。
【0112】
特に好ましい実施形態では、中末端PTH抗体は、中末端ペプチド、両イニシャル配列、およびC末端のPTHペプチドを首尾よく区別し、その結果中末端PTHペプチドに特異的に結合する。
【0113】
〔F.第2世代全PTHと総PTHとの比較アッセイ〕
PTH正常者および慢性尿毒症を罹患した者の両方において、本発明の全IRMAアッセイを、従来のインタクトなPTHまたはI−PTH免疫アッセイ(Allegro NicholsインタクトPTHアッセイ(市販されており、Nichols Institute Diagnostics of San Juan Capistrano,California,U.S.A.によって作製される))と比較した。このI−PTH免疫アッセイは、PTH7〜84およびwPTHの両方を検出する(図10を参照のこと)。
【0114】
図5は、本発明のwPTH IRMAおよび上記I−PTHアッセイの両方によってアッセイした健常被験体由来の34の正常ヒト血清サンプルの結果を示す。どの場合においても、IRMAによって検出されたwpmレベルはI−PTHアッセイによって報告されたレベルよりも低く、I−pmアッセイによって検出された妨害巨大非(1〜84)PTHフラグメントの検出を回避する本発明のIRMAの能力を証明する(図11を参照のこと)。図6は、どのようにしてこのような妨害が起こり得るのかを例示する。本発明のイニシャルPTHペプチド配列に特異的ではないN末端PTH特異的シグナル抗体は、wPTH(図6の上部)だけでなく、PIN(巨大非(1〜84)PTHフラグメント)(図6の下部)も検出することができる。
【0115】
157人の慢性尿毒症慰患者のアッセイ結果の比較を、図7に示す。これらの患者由来の血清サンプルを、wPTH IRMAおよび上記I−PTHアッセイを使用して測定した。どの場合においても、wPTHレベルはI−PTHレベルよりも低い。
【0116】
〔G.シクラーゼ活性PTH/PTHフラグメント比アッセイ〕
本発明の別の好ましい実施形態は、しばしばサンドイッチアッセイと呼ばれる免疫放射測定アッセイ(IRMA)である。本明細書中に記載するように、このようなアッセイで使用される要素は、固体支持体に付着した捕捉抗体およびこれに付着した標識を有するシグナル抗体を含む。典型的には、本明細書中に記載のように、C末端PTHフラグメントに特異的な捕捉抗体を選択する一方で、標識抗体は中末端PTHペプチド配列に特異的である。しかし、これらの抗体の特異性を逆にすることができる。
【0117】
あるいは、従来の沈殿アッセイまたは濁度測定アッセイなどのPTHフラグメントが溶液から沈殿するか溶液中で識別される免疫アッセイを作製することができる。例えば、沈殿塊を形成するために少なくとも2つまたはそれ以上の抗体を使用することができる。これらの抗体は、PTHのN末端、C末端、および/または中末端部分を特異的に有する。PTHフラグメントと抗体との組み合わせ塊により、従来の技術によって測定することができる標識沈殿塊が形成される。
【0118】
別の方法は、C末端PTH配列抗体をラテックス粒子などのコロイド状の固体支持体に結合させる。さらに、クロラミンTでの酸化、1mCiの125I放射性同位体との室温で25秒間のインキュベーション、およびメタ重硫酸ナトリウムとの反応により50μgのアフィニティ精製ヤギ抗(7〜53)PTH抗体のヨード化によってシグナル抗体を作製することができる。製造者の説明書に従ったPD−10脱塩カラム(Pharmacia,Uppsala,Sweden)へのヨード化混合物の通過によって非組み込み125I放射性同位体を125−1−ヤギ抗(7〜53)PTHシグナル抗体から分離する。脱塩カラムから回収した画分を、ガンマカウンターで測定し、125−1−ヤギ抗(7〜53)PTH抗体を示す画分をプールし、約300,000DPM(壊変毎分)/100μlの濃度に希釈する。この溶液は、PTHアッセイで使用される追跡溶液である。
【0119】
アフィニティ精製ヤギ抗(12−53)PTH抗体、精製ヤギ抗(17−53)PTH抗体、精製ヤギ抗(22−53)PTH抗体、精製ヤギ抗(27−53)PTH抗体、精製ヤギ抗(32−53)PTH抗体、精製ヤギ抗(37−53)PTH抗体、精製ヤギ抗(42−53)PTH抗体、および精製ヤギ抗(47−53)PTH抗体などを使用して、他のシグナル抗体を提供することもできる。本明細書中に記載の他の中末端PTHペプチドフラグメントおよびエピトープに特異的な抗体も意図される。任意選択的に、異なるPTH部分に特異的な抗体フラグメントを、異なるヤギを使用して獲得し、ELISA方法を使用して、最適な抗体の作製および使用を決定することができる。例えば、Harlow E,Lane D:Antibodies:A laboratory manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1988を参照のこと。
【0120】
当業者に公知の受動的吸収技術を用いたアフィニティ精製ヤギ抗(39〜84)PTH抗体と12×75mmポリスチレンチューブ(Nunc,Denmark)への付着によって捕捉抗体コーティングチューブを作製することができる。チューブを空にして乾燥させ、20個の固相抗体コーティングチューブを作製する。本発明の方法は、任意の種々のC末端PTH抗体を有する固相抗体コーティングチューブの作製にも有用である。例えば、PTH40〜84に特異的な作製された抗体(PTH60〜84およびPTH65〜84に特異的な抗体の範囲)は、本発明で有用である。当業者は、捕捉抗体および標識/シグナル抗体に対する特異性を逆にすることができると理解している。
【0121】
これらの特異的抗体の選択を使用して、無力性骨代謝回転を有する患者由来のサンプルをアッセイすることができる。1つの例では、50〜100mlの血液サンプルを、無力性低骨代謝回転を罹患した被験体から採取する。次いで、サンプルを、上記の捕捉抗体および標識抗体を使用した多重サンドイッチアッセイに供する。各アッセイは、サンプル中に存在する1つまたは複数のPTHフラグメントに加えて、全PTHレベルを決定する。次いで、全PTHレベルを、PTHフラグメントレベルおよび総PTHレベルの種々の順列と比較する。次いで、比較の結果を、患者の対応する骨組織学データに照らして考慮して、骨代謝回転率を予想する1つまたは複数の比較スキームを決定する。このアッセイの実施によって得られた比の結果を表1に示し、上文にさらに記載する。
【0122】
PTH比により、被験体の一定の骨代謝回転率が予想される。本開示は、さらなるPTHフラグメントがPTH7〜84を超えてサンプル中に存在し、しばしば骨代謝回転率に影響を与え得ることを認識する。したがって、本発明の組成物、キット、および方法は、被験体の治療および予想上の利点に関連する、PTH7〜84に加えてPTHフラグメントの計上に特に有用である。理論に拘束されないが、この発見の1つの構成要素は、循環巨大PTHフラグメントの一部が不活性であるにも関わらず、他方は全PTHによって示された骨代謝回転率に対する拮抗効果を示すという所見に一部例示される。したがって、特定のアッセイにおける循環PTHフラグメントの全部または大部分は結果のばらつきを減少させ、その治療、診断、および予想での利用可能性が増大する。
【0123】
〔H.臨床用途〕
本発明のwPTHおよびPINアッセイを、188人の臨床状況で使用した。群は、正常な健常副甲状腺を有する31人および継続的に透析を受けている慢性尿毒症を罹患した157人を含んでいた。各患者から血液サンプルを採取し、Scantibodies Laboratory,Inc.のwPTHアッセイおよび総PTH値が得られるNichols InstituteのI−PTHアッセイを使用してアッセイした。
【0124】
表3は、透析を受けている慢性尿毒症患者由来のwPTH、PIN、および10回の総PTHアッセイの個別および比較した結果を示す。
【0125】
【表3A】
【表3B】
【表3C】
【表3D】
【表3E】
【表3F】
【表3G】
【表3H】
【0126】
表4は、健常者由来のwPTHアッセイ、PINアッセイ、および総PTHアッセイの個別および比較の結果を示す。
【0127】
【表4A】
【表4B】
【0128】
明確に、これらの2群の中央値における統計的有意差は、これらのアッセイの単独使用またはその各値の比較によって2群を区別することができることを証明する。
【0129】
【表5】
【0130】
〔I.「全」PTH IRMAアッセイの特徴づけ〕
この新規の全PTH二部位アッセイ(Scantibodies, Laboratories,Santee,CA,USA)およびPTH分子の39〜84領域を認識する抗体を最初に使用する。ヤギから産生してアフィニティ精製したこの抗体は、相対的に過剰に存在し、ポリスチレンコーティングチューブに固定させる。第2の抗体(これもヤギから産生した)もアフィニティ精製し、これはヒトPTH分子の最初の6アミノ酸(1〜6;Ser−Val−Ser−Glu−Ile−Gln)のみを認識する(図1)。この抗hPTHアッセイは、標準として合成ヒトPTH1〜84を使用し、検出下限は約1〜2pg/mLである。正常値は、5から35pg/mLまでの範囲である。変動のアッセイ間およびアッセイ内の係数は、2%〜7%との間であることが見出され、回収率は96%から100%までであった。全PTHアッセイを、Nichols Institute(I-Nichols,San Jan Capistrano,CA.USA)から購入したインタクトなPTHアッセイと比較した。合成ヒトPTH1〜84および7〜84を、Bachem(Torrance,CA USA)から購入した。hPTH1〜84および非(1〜84)PTHの循環レベルを評価するために、透析前のヘパリン処理血液サンプルを、1.2年〜7.5年の長期血液透析を継続している28人の患者および14人の腎移植患者(1〜6年)から得た。
【0131】
(1.インビトロ研究)
骨芽細胞株。2つのペプチド(HPTH1〜84および7〜84)の生物学的結果を比較するために、骨芽細胞表現型を有し、且つPTHに応答してcAMP産生が増加することが公知のラット(rate)骨肉種細胞株ROS/17.2において細胞内cAMP産生を測定した。細胞を、10%ウシ胎児血清を含むHam F12培地で培養した。細胞を、30,000細胞/ウェルの密度で12ウェルプレートにプレートし、コンフルエンスまで成長させた。細胞を37℃のKHMS緩衝液(KCI4.0mmol/L、CaCl2 1.25mmol/L、MgSO4 1.25mmol/L、KH2PO4 1.2mmol/L、HEPES 10mmol/L、NaCl 100mmol/L、NaHCO3 37mmol/L、およびグルコース10mmol/L(pH7.5))で3回洗浄した。イソブチル−1メチルキサンチン(IBMX)1.0mmol/Lおよび種々の濃度(10-11〜10-8mol/L)のhPTH1〜84またはhPTH7〜84を含む500μLのKHMS緩衝液(37℃)を使用して、cAMP産生を測定した。5分間のインキュベーション後、100μLの1.8mol/L過塩素酸(pechloric acid)を添加した。室温で5分間のさらなるインキュベーション後、100μLの3mol/KHCO3を添加して酸を中和した。サンプルを300rpmで15分間遠心分離し、上清cAMPについてアッセイした(26)。
【0132】
ヒト副甲状腺中のPTHの分析。ヒト副甲状腺を、氷冷リン酸緩衝化生理食塩水中に入れ、副甲状腺切除術の30分以内に処理した。副甲状腺組織のアリコートを切断し、秤量し、100mmol/L Tris−HCl(pH7.5)、100mmol/L NaCl、1mol/L DL−ジチオスレイトール、および完全なTMプロテアーゼインヒビターカクテル(Boehringer-Mannheim,Mannheim,Germany)を含む500μLの緩衝液中でホモジナイズした。ホモジネートを、それぞれ0℃で30秒間にて3回超音波処理し、10,000×gで15分間遠心分離した。1〜84PTH、非(1〜84)PTH、および総タンパク質の測定を行うまで、上清を−70℃で維持した。
【0133】
(2.インビボ研究)
血漿カルシウム上昇性応答。体重が225g〜250gの正常な雌Sprague-Dawleyラット(Harlan,Indianapolis,IN,USA)の副甲状腺を切除し(PTX)、0.02%カルシウム食を与えた。一晩の絶食後の血漿カルシウムが7.0mg/dL未満のラットが研究に含まれた。20μgの用量のhPTH1〜84または7〜84を、PTXラットを、各30分間隔で5μgを4回(0、30、60、および90分)PTXラットに腹腔内投与した。コントロール研究のために、ラットに賦形剤(生理食塩水)のみを投与した。0、60、90、および120分後に尾静脈から血液を採取した。競合実験のために、hPTH1〜84の各注射前にラットにhPTH7〜84を10分間注射した。hPTH7〜84/hPTH1〜84のモル比は1:1であった。
【0134】
リン酸尿症応答。軽い麻酔下でのクリアランス研究のために、225g〜250gの正常な雌Sprague-Dawleyラットを準備した。ポリエチレンカテーテル(PE50)を、採血および血圧測定(Blood Pressure Analyzer;Micro-Medic,Inc.,Louisville,KY,USA)のために大腿動脈(femoeral artery)に挿入し、注入のために大腿静脈に挿入し、採尿のために膀胱に挿入した。ラットをPlexiglas(登録商標)ホルダーに入れ、1時間麻酔の影響から回復させた。50mg/mL〜100mg/mLとの間の血漿イヌリンレベルを達成するために、3分間にわたりプライミング用量(0.6mL)の化学イヌリンを含む生理食塩水を投与した。このレベルを維持するためのイヌリンおよび0.5mgのカルシウムを送達するためのグルコン酸カルシウムを含む生理食塩水を、0.03mL/分の速度で注入した。平衡化後、全部で4つの30分間の尿回収物を得た。
【0135】
リン酸排泄に対するhPTH1〜84を評価するために、2つのコントロール期間中に採尿し、その後ラットに1.8μgのhPTH1〜84のプライミングボーラスを投与し、全部で8.2μgのI−PTHを送達させる持続的注入を行った。20分間の平衡化後、30分の採尿を2回行った。競合実験では、hPTH1〜84の前に4:1のモル比でhPTH7〜84を5分間投与した。
【0136】
ベースライン期間の開始および終了時(PTH注入の開始時および研究の終了時)に血液サンプルおよび血圧の測定値を記録した。Fuehr,Kaczmarczyk,およびKruttgen,Klin Wochenschr,33:729-730(1955)の方法によって血漿中および尿中のイヌリン濃度を決定した。イヌリンクリアランスおよび部分リン尿排泄率(FEP04)の計算による糸球体濾過率(GFR)の評価を標準的な様式で行った。血液サンプルを遠心分離し、血漿中のリン濃度およびカルシウム濃度を測定した。
【0137】
(3.血清化学)
自動吸収分光計(モデル1100B;Perkin Elmer,Norwalk,CT,USA)を使用して総血漿カルシウムレベルを決定した。オートアナライザー(COBAS MIRA Plus;Roche,Newark,NJ,USA)を使用して血漿リンレベルを決定した。
【0138】
(4.統計分析)
結果を平均±SEMで示す。Nは、サンプル数を示す。他で示さない限り、ペアードt検定を使用して統計的有意性を試験した。
【0139】
〔J.hPTH1〜84についてのIRMAアッセイの特異性〕
最初の研究は、hPTH1〜84分子とhPTH7〜84分子とを区別するためにNicholsインタクト(I-Nichols)PTHアッセイの能力および新規の全PTHアッセイの能力を比較した。図13は、Nichols「インタクトな」PTHアッセイはヒトPTH1〜84と7〜84を区別できないことを示す。しかし、図14に示すように、全PTHアッセイを使用して行った研究は、hPTH1〜84が高感度で検出されるのに対して、hPTH7〜84は10,00pg/mLの濃度でさえも検出不可能であることを示す。
【0140】
(1.インビトロ研究)
hPTH1〜84またはhPTH7〜84に曝露したROS/17.2細胞によるcAMP産生の結果を、図15に示す。hPTH7〜84と異なり、hPTH1〜84により、用量依存様式でcAMP産生が増加した。hPTH1〜84(10-8mol/L)により、18.1±1.25nmol/ウェルから738±4.13nmol/ウェルまで細胞内cAMPが増加した。他方では、同一濃度のhPTH7〜84ではcAMPに効果がなかった(N=6)。
【0141】
(2.ラットにおけるインビボ研究)
本発明者らは、次に、PTXラットの血清カルシウム変化の測定によって骨中のhPTH1〜84の潜在的な競合インヒビターとしてhPTH7〜84フラグメントを試験した。図12は、0.02%カルシウム食を与えたPTXラットへのhPTH1〜84の投与によって血漿カルシウムが0.65±0.10mg/dLに増加することを示す(N=9、P<0.001、ANOVA)。賦形剤のみの投与では、血漿カルシウムは、PTXに一致してわずかに変化した(−0.17±0.10mg/dL、N=5)。hPTH7〜84を投与したラットでわずかではあるが有意な減少が認められた(0.30±0.08mg/dL、N=5、P<0.05)。両ペプチドを、互いに1:1のモル比で投与した場合、hPTH1〜84のみの投与によって誘導された血漿カルシウム上昇性応答は、94%まで減少した(N=6、P<0.001、ANOVA)。したがって、このモデルでは、hPTH7〜84はわずかに骨カルシウム代謝のhPTH1〜84誘導を有意に阻害する。
【0142】
これらの2つのペプチドのリン酸尿症効果を評価した(図16)。GFRは、hPTH1〜84を注入したラットで変化しなかったのに対して(1.8±0.3mL/分に対して1.8±0.1mL/分)、リン酸塩の部分排出(FEP04)は11.9±2.4%から27.7±2.4%(N=10、P<0.001)に増加した。hPTH7〜84をhPTH1〜84と同時に投与した場合、GFRは2.1±0.1mL/分から2.6±0.2mL/分に増加した(N=8、P<0.05)。しかし、GFRのこの増加にも関わらず、hPTH1〜84での処置によって誘導されたFEP04の増加は、hPTH7〜84の同時投与によって50.2%(P<0.01)まで有意に減少した。
【0143】
(3.ヒトでの研究)
図17は、血漿PTH値は、全アッセイと比較したI-Nicholsアッセイで測定した場合、長期透析を受けている28人の患者全員でより高いことを示す。PTHの中央値はそれぞれ523に対して344pg/ml(P<0.001)であった。これらのデータの回帰分析を図7に示す。
【0144】
次に、非(1〜84)PTH(「おそらく」hPTH7〜84)の血漿レベルと血漿カルシウムおよびリンとの間の関連を、長期透析を維持している20人の患者で試験した(図18)。非(1〜84)PTHと血清カルシウムとの割合の間に正相関が存在するが(P<0.002)、血漿リンとは相関しなかった(データ示さず)。同一の血液サンプルでカルシウム、リン、およびPTHが存在する患者のみでこれらの研究を行った(20)。
【0145】
14人の腎移植患者群では、I-Nicholsアッセイおよび全PTHアッセイで測定したところ、非(1〜84)PTHの割合は全PTHの44.1±3.1%であることが見出された(図19)。I-Nicholsアッセイを使用した絶対PTH値は、全PTHアッセイを使用した79.8±24.8pg/mL(P<0.005)と比較して132.9±39.9であった。
【0146】
最後に、副甲状腺でhPTH1〜84分子の細胞内クリアランスが起こり、それによって非(1〜84)PTHフラグメントを産生されるかどうかを試験した。長期透析を維持している6人の尿毒症患者から手術によって切除した副甲状腺を研究した。図20は、非(1〜84)PTHフラグメントがこれらの副甲状腺由来の細胞溶解物中に存在し、「インタクトな」PTHアッセイ(すなわち、1〜84PTH、おそらく7〜84PTH)によって測定したところ、全細胞内PTHの41.8±3.2%(P<0.05)であることを示す。
【0147】
当業者は、本発明が上記の任意の数の好ましい特徴を組み込むことができることを認識することができる。
【0148】
上記実施例は例示のみを目的として含まれ、本発明の範囲を制限することを意図しない。上記実施例の多数の変形形態が可能である。上記実施例の修正形態および変形形態が当業者に明らかであるので、本発明は添付の特許請求の範囲のみに制限されることが意図される。
【0149】
上記刊行物または書類の引用は、いずれも適切な先行技術であると承認されることを意図せず、これらの刊行物または書類の内容または日付に関して承認されていることも意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】全ヒトPTH(配列番号1)の線図である。
【図2】追跡エレメントとして本発明の抗体を使用したwPTHアッセイの線図である。
【図3】捕捉エレメントとして本発明の抗体を使用したwPTHアッセイの線図である。
【図4】wPTHアッセイの検量線を示すグラフである。
【図5】「正常な」PTH値を有する正常な健常者についての従来のI−PTHアッセイと本発明のwPTHアッセイとを比較したグラフである。
【図6】従来のI−PTHアッセイにおける非(1〜84)PTHフラグメントからの干渉を示す線図である。
【図7】慢性尿毒症患者についての従来のI−PTHアッセイと本発明のwPTHアッセイとを比較したグラフである。
【図8】正常な健常者、原発性副甲状腺機能亢進症患者、および慢性尿毒症患者の値の分布を示すグラフである。
【図9】どのようにしてPINが受容体レベルでwPTHの作用を遮断し、それによって患者をwPTHの生物学的作用に対して鈍感になるかを示す線図である。
【図10】本発明で使用した総PTHアッセイにおいてwPTHとPINとの完全な交差反応性を証明するグラフである。
【図11】どのようにして本発明で使用した全PTHアッセイがPINを検出しないかを証明するグラフである。
【図12】どのようにしてPINがwPTHのインビボインヒビターであるのかを証明するグラフである。
【図13】NicholsI-PTHアッセイによるhPTH1〜84およびhPTH7〜84の認識の比較を示す図である。NicholsI-PTHアッセイは、hPTH1〜84(実線)とhPTH7〜84(破線)とを区別しない。
【図14】全PTHアッセイによるhPTH1〜84およびhPTH7〜84の認識の比較を例示する図である。NicholsI-PTHアッセイと異なり、全PTHアッセイは、hPTH1〜84(実線)とhPTH7〜84(破線)とを区別しない。10,000pgほどのhPTH7〜84の濃度を検出不可能であった。
【図15】ROS17.2細胞におけるcAMP産生に対するhPTH1〜84またはhPTH7〜84の効果の比較を例示する図である。hPTH7〜84と異なり、hPTH1〜84は、用量依存様式でcAMP産生を増加させた。10-8mol/LのhPTH1〜84を使用した処置後のcAMPは、18.1±1.2nmol/ウェルから738±4.1nmol/ウェルまでに増加した。同濃度のhPTH7〜84は効果がなかった。
【図16】(A)糸球体濾過率(GFR)および(B)リン排泄分画(FEpo4)に対するhPTH1〜84またはhPTH1〜84+hPTH7〜84の効果の比較を例示する図である。コントロールおよび処置期間を、それぞれ白抜きおよび黒塗りのバーで示す。hPTH1〜84によって誘導されたリン酸塩尿症は、動物を7〜84PTHと同時処置した場合は50.2%(p<0.05)減少したが、GFRは有意に増加した(P<0.005)。
【図17】全PTHアッセイ(●)に対してNichols「インタクト」PTHアッセイ(黒四角)を使用した尿毒症患者由来の血漿中のPTH値の比較を例示する図である。血漿PTH値は、全PTHアッセイよりもNichols「インタクト」PTHアッセイを使用した場合に一様に高い。PTHの中央値は、それぞれ344pg/mLに対して523pg/mLであった。
【図18】透析患者におけるPTH分解に対する血漿カルシウムの効果を例示する図である。非(1〜84)PTHフラグメント(おそらくhPTH7〜84)の比率は、血漿カルシウム(P<0.02)(r=0.638;P=0.0025;N=20)と正に相関する。
【図19】NicholsI-PTHアッセイおよび全PTHアッセイを使用した腎移植患者における血漿PTHレベルの比較を例示する図である。PTH値は、NicholsI-PTHアッセイで測定した場合により高い(P>0.005)。
【図20】尿毒症患者由来の副甲状腺における細胞内PTH含有量を例示する図である。I-Nicholsアッセイによって測定された41.8±3.2%の総PTH(100%として示す)は、非(1〜84)PTHフラグメントが「おそらく」hPTH7〜84(?)であることを示す。全PTHアッセイを使用して1〜84PTH分子を測定した()。
【技術分野】
【0001】
[I.関連出願の相互参照]
本出願は、現在特許許可されている1999年1月14日提出の米国特許出願第09/231,422号の一部係属出願である、現在特許許可されている1999年6月26日提出の米国特許出願第09/344,639号の一部係属出願である。
【0002】
[II.技術分野]
本発明は、被験体における副甲状腺疾患を区別するための新規の組成物、方法、およびキットに関する。これらの組成物、方法、およびキットを使用して、例えば、副甲状腺機能亢進症、高骨代謝回転、および無形成骨症(adynamic bone disease)と正常または非疾患状態とを区別することができる。
【背景技術】
【0003】
[III.発明の背景]
カルシウムは、細胞透過性、骨および歯の形成、血液凝固、神経パルスの伝達、および正常な筋収縮で不可欠な役割を果たす。血中カルシウムイオン濃度は、カルシトールおよびカルシトニンと共に、主に副甲状腺ホルモン(PTH)によって調節される。カルシウムの取り込みおよび排出は変化し得るにもかかわらず、PTHは、フィードバック機構を介して、細胞および周辺流動物中の安定なカルシウム濃度の維持に役割を果たす。血清カルシウムが低下する場合、副甲状腺はPTHを分泌し、貯蔵カルシウムの放出に影響を与える。血清カルシウムが増加した場合、PTH分泌の低下によって貯蔵カルシウムの放出が遅延する。
【0004】
図1に示すように、ヒトPTH(hPTH)の完全な形態は、固有の84アミノ酸ペプチド(配列番号1)である。研究者によってタンパク質キナーゼC活性化ドメイン(アミノ酸残基28〜34)およびアデニル酸シクラーゼ活性化ドメイン(アミノ酸残基1〜7)を含むこのペプチドが骨に対する同化作用を有することが見出された。しかし、循環中に腺内または末梢代謝によって形成される可能性が最も高い短縮または断片化されたPTHペプチドの種々の異化形態も見出された。例えば、全PTHを、アミノ酸34〜35との間で切断して(1〜34)PTHのN末端フラグメントおよび(35〜84)PTHのC末端フラグメントを産生することができる。同様に、アミノ酸36〜37との間または37〜38との間で短縮が起こり得る。最近、PTHのN末端のより近くで短縮された「非(1〜84)PTH」と呼ばれる巨大なPTHフラグメントが開示された(LePage,R.,et al.,Clin.Chem.44:805-810(1998)を参照のこと)。
【0005】
PTHを正確に測定することが臨床的に必要であることは十分に証明されている。血清PTHレベルは、以下の疾患を罹患した患者の最も重要な指標の1つである。家族性高カルシウム血症;多発性内分泌腫瘍I型およびII型;骨粗鬆症;骨パジェット病;原発性副甲状腺亢進症(原発性過形成または副甲状腺腫によって発症);偽性副甲状腺機能亢進症;および続発性副甲状腺機能亢進症に起因し得る腎不全。
【0006】
PTHは、慢性腎不全患者における一連の疾患で役割を果たす。腎性骨形成異常症(RO)は、嚢胞性線維性骨炎(PTH過剰に起因する);骨軟化症−非鉱化骨基質(ビタミンD欠乏症に起因する);骨外性石灰化/骨化(異常なカルシウムおよびリン代謝に起因する)、および無形成骨症(PTH抑制に寄与する)を含む骨合併症である。慢性腎不全患者はROを発症し得る。腎不全により血清中リンが増加し(高リン血症(hyperphosphoremia))、腎臓による1,25−ジヒドロキシビタミンD(1,25−D)産生が減少する。前者により、胃腸のカルシウム吸収の減少に起因した続発性副甲状腺機能亢進症を発症し、血清中リンの増加に応答したPTHの増加に起因した嚢胞性線維性骨炎を発症する。後者により、低カルシウム血症および骨軟化症を発症する。続発性副甲状腺機能亢進症が発症し始めると、そのカルシウムおよびビタミンD受容体の発現の減少のために副甲状腺はそのホルモンレギュレーターに対する応答が低くなる。血清カルシウムは低下する。ROは、指の壊瘢、骨痛、骨折、および筋力低下を引き起こし得る。
【0007】
ヒトにおける循環生物活性PTHレベルの決定は困難である。1つの主な問題は、PTHが低レベル(通常、10pg/mL〜40pg/mL(すなわち、1pmol/L〜4pmol/L))で見出されることである。非常に低い循環レベルと相まって、PTHが不均一であることおよび循環断片が多くなることが問題である。多くの場合、免疫アッセイは、循環PTHフラグメント由来の実質的および有意な障害に直面している。例えば、いくつかの市販されているPTHキットは、非(1〜84)PTHフラグメントとほぼ100%交差反応性を示す。LePageの論文(前出)を参照のこと。
【0008】
PTH免疫アッセイは年月を重ねるにつれて変化している。1つの初期のアプローチは、Amold W.Lindall et aliaに付与された米国特許第4,369,138号で見出された二重抗体沈降免疫アッセイである。第1の抗体は、(65〜84)PTHフラグメントに対して高い親和性を有する。非標識ペプチドについて競合するために、放射性標識(65〜84)PTHペプチドを第1の抗体と共にサンプルに添加する。任意の第1の抗体および放射性標識PTHフラグメント複合体に結合する第2の抗体を添加し、それにより沈殿が形成される。沈殿および上清の放射能を測定することができ、これらからPTHレベルを計算することができる。
【0009】
PTHフラグメントの干渉を克服するために、Nichols Institute(San Juan Capistrano,California)のAllegro(登録商標)Intact PTHアッセイなどのインタクトなPTH(I−PTH)についての免疫放射測定二部位アッセイ(immunoradiometric two-site assay)を導入した。一方では、捕捉抗体がhPTHのC末端部分に特異的に結合する一方で、標識された抗体は捕捉されたhPTHのN末端部分に特異的に結合する。他方では、共にhPTHのN末端に付着する2つのモノクローナル抗体を使用した。(本開示の目的のために、完全なヒトPTH形態を「全PTH」または「wPTH」といい、wPTHだけでなく、約アミノ酸5〜8で切断された巨大PTHフラグメントも含み得る「インタクトなPTH」または「I−PTH」と区別する。)不運なことに、これらのアッセイは、測定するが、w−PTHとI−PTHが区別されないという点で問題である。この不能さは有意な内因性巨大な非全PHTフラグメント濃度を有する副甲状腺機能亢進症患者および腎不全患者で顕著になる。
【0010】
最近、研究者は、巨大N末端PTHフラグメントを対象とする特異的結合アッセイを行った。Gao,P.,et al.,Clinica Chimica Acta 245:39-59(1996)を参照のこと。この免疫化学発光測定アッセイは、N末端(1〜34)PTHフラグメントだけでなく中間部分のPTHフラグメントまたはC末端PTHフラグメントを検出するための2つのモノクローナル抗体を使用する。これらのアッセイのデザインにおける重要な要因は、C末端PTHフラグメントとのいかなる反応も排除することである。
【0011】
それにも関わらず、特異的全PTHアッセイは、生理学的レベルで全PTHを測定することができない。例えば、Magerlein,M.,et al.,Drug Res.48:197-204(1998)を参照のこと。本発明は、これらのニーズおよび当分野の他のニーズを満たすことが意図される。
【0012】
本発明に至る重要な発見は、無力性骨(adynamic bone)は、骨が機能停止するにつれてカルシウムおよびリン酸塩を格納する(buffer)能力を喪失することである。このような病態を罹患した被験体では、食事によって体内に侵入したカルシウムを有効に格納することができない。このカルシウムは血流に侵入し、その後軟組織を往復する。副甲状腺は、特に、このカルシウムの流入に支配されて劇的に影響を受け、それによってPTHの活性形態よりもむしろ、またはそれに加えて、PTHフラグメントを産生する。したがって、無力性骨を有する被験体では、PTHフラグメントの濃度および産生が増加する。このことおよび他の関連する情報を考慮すると、特に全PTHの測定と組み合わせたPTHフラグメントレベルの測定を使用して、無力性骨を有する被験体と正常な骨および高骨代謝回転率を有する被験体とを有効に区別することができる。
【0013】
ADN透析患者の過剰治療を回避するために、透析ADN患者と高骨代謝回転を罹患した患者とを非浸襲性に分類することができる必要が非常にある。ADN透析患者の過剰治療(over treatment)は、現在使用されている方法で現在最も頻繁に起こっている。例えば、Zemplar(登録商標)およびCalcijex(登録商標)(Abbott Laboratories)の使用を禁止する添付文書は、例えば、循環総PTHフラグメントレベルを把握してない禁止プロトコール下での過剰治療が非常に危険である何千もの透析患者を治療するために使用されている。本発明は、これらのニーズおよび当分野の他のニーズに取り組む。
【発明の開示】
【0014】
[IV.発明の開示]
1つの実施形態では、本開示は、全副甲状腺ホルモン(PTH)のN末端配列に特異的に結合し、哺乳動物サンプル中の前記全PTHを生理学的レベルで検出することができる単離された抗体であって、前記単離抗体が非全PTHフラグメントへの結合を回避する単離抗体を提供する。頻繁に、単離抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体である。頻繁に、抗体と前記全PTHのN末端配列との間の結合は、PTHのアミノ酸残基2〜5または3〜6の存在にも依存する。
【0015】
1つの態様では、本開示の単離抗体は、PTH1〜6、PTH1〜8、PTH1〜9、PTH1〜12、またはPTH3〜12に含まれるエピトープに特異的に結合する。頻繁に、本開示の単離抗体は、副甲状腺ホルモンペプチドであるPTH1〜15またはPTH1〜8に特異的に結合し、ペプチド配列中の少なくとも4つのアミノ酸が抗体との反応部分の一部である。時折、本開示の単離抗体は、PTH1〜5、PTH1〜7、PTH1〜8、PTH1〜10、PTH1〜11、PTH1〜13、PTH1〜14、PTH1〜15、PTH1〜16、PTH1〜17、PTH1〜18、PTH1〜19、PTH1〜20、PTH1〜21、PTH1〜22、PTH1〜23、PTH1〜24、PTH1〜25、PTH1〜26、hPTH1〜27、PTH1〜28、PTH1〜29、PTH1〜30、PTH1〜31、PTH1〜32、PTH1〜33、PTH1〜34、PTH1〜35、PTH1〜36、PTH1〜37、PTH2〜5、PTH2〜6、PTH2〜7、PTH2〜8、PTH2〜9、PTH2〜10、PTH2〜11、PTH2〜12、PTH2〜13、PTH2〜14、PTH2〜15、PTH2〜16、PTH2〜17、PTH2〜18、PTH2〜19、PTH2〜20、PTH2〜21、PTH2〜22、PTH2〜23、PTH2〜24、PTH2〜25、PTH2〜26、PTH2〜27、PTH2〜28、PTH2〜29、PTH2〜30、PTH2〜31、PTH2〜32、PTH2〜33、PTH2〜34、PTH2〜35、PTH2〜36、PTH2〜37、PTH3〜6、PTH3〜7、PTH3〜8、PTH3〜9、PTH3〜10、PTH3〜11、PTH3〜13、PTH3〜14、PTH3〜15、PTH3〜16、PTH3〜17、PTH3〜18、PTH3〜19、PTH3〜20、PTH3〜21、PTH3〜22、PTH3〜23、PTH3〜24、PTH3〜25、PTH3〜26、PTH3〜27、PTH3〜28、PTH3〜29、PTH3〜30、PTH3〜31、PTH3〜32、PTH3〜33、PTH3〜34、PTH3〜35、PTH3〜36、PTH3〜37、PTH4〜7、PTH4〜8、PTH4〜9、PTH4〜10、PTH4〜11、PTH4〜12、PTH4〜13、PTH4〜14、PTH4〜15、PTH4〜16、PTH4〜17、PTH4〜18、PTH4〜19、PTH4〜20、PTH4〜21、PTH4〜22、PTH4〜23、PTH4〜24、PTH4〜25、PTH4〜26、PTH4〜27、PTH4〜28、PTH4〜29、PTH4〜30、PTH4〜31、PTH4〜32、PTH4〜33、PTH4〜34、PTH4〜35、PTH4〜36、PTH4〜37、PTH5〜8、PTH5〜9、PTH5〜10、PTH5〜11、PTH5〜12、PTH5〜13、PTH5〜14、PTH5〜15、PTH5〜16、PTH5〜17、PTH5〜18、PTH5〜19、PTH5〜20、PTH5〜21、PTH5〜22、PTH5〜23、PTH5〜24、PTH5〜25、PTH5〜26、PTH5〜27、PTH5〜28、PTH5〜29、PTH5〜30、PTH5〜31、PTH5〜32、PTH5〜33、PTH5〜34、PTH5〜35、PTH5〜36、またはPTH5〜37に含まれるエピトープに特異的に結合する。しかし、頻繁に、非全PTHフラグメントは、PTH3〜84とPTH34〜84との間のアミノ酸配列を有するペプチドである。
【0016】
さらなる実施形態では、多重抗原ペプチド(MAP)であって、MAPが複数の本明細書中に記載のPTHペプチドに抱合した分岐オリゴリジンコアを含む、MAPを提供する。時折、分岐オリゴリジンコアは、3、7、または15個のリジン残基を含み、時折、MAPは、4、8、または16個のPTHペプチドのコピーを含む。複数のPTHペプチドは、同一または異なるPTHペプチドを含む。1つの態様では、複数のPTHペプチドは、スペーサーを介して分岐オリゴリジンコアに抱合する。頻繁に、スペーサーはアミノ酸残基である。多重抗原ペプチドは、一般に公知のテクノロジーを含む。例えば、Adermann,K.,et al.,Innovations and Perspectives in Solid Phase Synthesis 429-32(R.Epton,ed.,Mayflower Worldwide 1994)を参照のこと。
【0017】
別の実施形態では、本開示は、哺乳動物サンプル中の生理学的レベルの全副甲状腺ホルモンを測定する方法であって、a)試験すべき哺乳動物からサンプルを得るステップと、b)前記サンプルを全PTHのN末端配列に特異的に結合し、前記哺乳動物サンプル中の前記全PTHを生理学的レベルで検出することができる単離された抗体であって、前記単離抗体が非全PTHフラグメントへの結合を回避する単離抗体に接触させるステップと、c)前記哺乳動物サンプル中の生理学的レベルの全副甲状腺ホルモンを測定するために、前記サンプル中に存在する場合、前記全副甲状腺ホルモンと前記抗体との間で形成された複合体を評価するステップとを含む方法を提供する。本発明の方法にしたがって、血清、血漿、および血液のサンプルを含む種々のサンプル型を使用することができる。頻繁に、サンプルは臨床サンプルであり、哺乳動物はヒトである。非全PTHフラグメントは、本明細書中に記載の任意の種々の非全PTHフラグメントであり得る。
【0018】
1つの態様では、抗体は、PTH1〜6、PTH1〜8、PTH1〜9、PTH1〜12、またはPTH3〜12および/またはPTHペプチドPTH1〜15に含まれるエピトープに特異的に結合する。頻繁に、抗体は、本明細書中で考察したPTHエピトープに特異的に結合する。時折、抗体と全PTHのN末端配列との間の結合は、PTHのアミノ酸残基2〜5または3〜6の存在に依存する。
【0019】
種々のアッセイ型を考慮するにも関わらず、本発明の方法は、頻繁に、サンドイッチアッセイ形式または競合アッセイ形式によって全副甲状腺ホルモンと抗体との間に形成された複合体を評価する。時折、複合体を同種アッセイ形式または異種アッセイ形式で評価する。頻繁に、複合体を、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫ブロッティング、免疫沈降、放射免疫アッセイ(RIA)、免疫染色、ラテックス凝集、間接赤血球凝集アッセイ(IHA)、補体結合、間接免疫蛍光アッセイ(IFA)、比濁法、フローサイトメトリーアッセイ、プララズモン共鳴アッセイ、化学発光アッセイ、側方流動免疫アッセイ、u−キャプチャーアッセイ(u-capture assay)、阻害アッセイ、およびアビディティアッセイからなる群より選択される形式によって評価する。サンドイッチアッセイ形式では、全PTHのN末端配列に特異的に結合する抗体を第1の抗体として使用し、第1の抗体に結合するN末端配列以外の全PTHの一部に結合することができる抗体を第2の抗体として使用する。頻繁に、第1の抗体または第2の抗体のいずれかが表面に付着して捕捉抗体として機能する。付着は、直接または間接的であり得る。好ましい実施形態では、ビオチン−アビジン(またはストレプトアビジン)連結対を介して付着する。
【0020】
別の態様では、全副甲状腺ホルモンの生理学的レベルは4pmol/L未満である。頻繁に、全副甲状腺ホルモンの生理学的レベルは約0.2pmol/L〜約4pmol/Lである。頻繁に、全PTHの生理学的範囲は約2pgm/L〜約40pgm/Lの範囲である。時折、全PTHの生理学的範囲は約7pgm/L〜約39pgm/Lの範囲である。
【0021】
さらなる実施形態では、本発明の方法を使用して、全PTHレベルに加えて、非全PTHペプチドフラグメントレベルおよび/または総PTHレベルなどの多重PTHペプチド成分を測定することができる。このような実施形態では、本方法は、頻繁に、全PTHレベル(wPTH)、総PTHレベル、総PTHペプチドフラグメントレベル、C末端PTHフラグメントレベル(cPTH)、N末端PTHフラグメントレベル、および中末端(mid-terminal)PTHフラグメント(mPTH)レベルからなる群より選択される少なくとも2つのパラメーターを比較するステップをさらに含む。パラメーターの比較は、一般に、比または比率の形態である。頻繁に、比較の結果を使用して、哺乳動物(しばしばヒト患者を含む)が骨代謝回転関連障害を罹患しているかどうかを決定するか、骨障害関連治療をモニタリングする。頻繁に、本発明の方法を使用して、哺乳動物が無形成骨症または重症副甲状腺機能亢進症を罹患しているかこれらのリスクがあるかどうかを決定または診断する。頻繁に、本発明の方法を、腎疾患被験体および骨粗鬆症を罹患した被験体(透析患者を含む)の臨床管理に使用する。また頻繁に、本発明の方法を、原発性副甲状腺機能亢進症の診断に使用する。さらに、本発明の方法は、一部には、不適切な治療プロトコールの実施によって誘導された、無形成骨症被験体の臨床診断および臨床管理に有用である。
【0022】
本発明の好ましい実施形態では、比較は多くの形態を取る。例えば、比較は、全PTHレベルと総PTHレベルとの間(すなわち、以下の式で示される。wPTH/総PTH);全PTHレベルとcPTHおよびmPTHフラグメントの組み合わせのレベルとの間(すなわち、以下の式で示される。wPTH/(cPTH+mPTH));全PTHレベルとcPTHおよびmPTHフラグメントの組み合わせのレベルであって、全PTHレベルの2倍をcPTHおよびmPTHフラグメントの組み合わせレベルから差し引いたレベルとの間(すなわち、以下の式で示される。wPTH/((cPTH−wPTH)+(mPTH−wPTH)));全PTHレベルとcPTHおよびmPTHフラグメントレベルの合計から全PTHレベルを差し引いた値との間(すなわち、以下の式で示される。wPTH/(cPTH+mPTH−wPTH));全PTHレベルと全PTHレベル、cPTH、およびmPTHフラグメントの組み合わせのレベルとの間(すなわち、以下の式で示される。wPTH/(wPTH+cPTH+mPTH));全PTHレベルとcPTHフラグメントレベルとの間(すなわち、以下の式で示される。wPTH/cPTH);全PTHレベルとmPTHフラグメントレベルとの間(すなわち、以下の式で示される。wPTH/mPTH);全PTHレベルと総PTHレベル−全PTHレベルとの間(すなわち、以下の式で示される。wPTH/(総PTH−wPTH))の比もしくは比率の形態または開示のパラメーターの他の組み合わせ(各比較の逆が含まれるが、これに限定されない)であり得る。さらに、制限なく、1つの態様では、総PTHレベルを決定し、全PTHレベルからこのレベルを差し引くことで得られた値により、サンプル/被験体中の総PTHレベルが得られる。これらの各比較のカットオフ範囲は、特定の骨代謝回転、治療、疾患、または障害に関連するので、本明細書中に記載のように変化する(例えば、表2および添付の考察を参照のこと)。
【0023】
頻繁に、本発明の方法では、サンプルを1つまたは複数の単離抗体であって、前記1つまたは複数の各単離抗体が、PTH39〜84、PTH1〜34、PTH43〜68、PTH7〜84、PTH39〜68、PTH53〜84、PTH65〜84、PTH44〜68、PTH19〜84、PTH23〜84、PTH1〜38、PTH1〜48、PTH1〜58、PTH1〜68、およびPTH1〜78からなる群より選択される1つまたは複数のPTHペプチドフラグメントに特異的に結合する単離抗体に接触させる。
【0024】
複数のPTH成分の測定方法は、種々の用途を提供する。例えば、実質的に正常な副甲状腺機能を有する者と副甲状腺機能亢進症(例えば、原発性副甲状腺機能亢進症)を有する者との区別;副甲状腺関連骨疾患のモニタリングおよび治療;副甲状腺機能亢進症の治療上の処置の効果のモニタリング;副甲状腺関連骨疾患の診断;腎疾患被験体および腎疾患関連治療ならびに骨粗鬆症被験体および骨粗鬆症関連治療の臨床管理にこのような方法を使用する。
【0025】
本開示は、本明細書中に記載の方法を実施するためおよび本明細書中に記載のペプチドおよび抗体を利用するためのキットをさらに提供する。1つの実施形態では、哺乳動物サンプル中の生理学的レベルの全副甲状腺ホルモンを測定するためのキットであって、全副甲状腺ホルモン(PTH)のN末端配列に特異的に結合し、哺乳動物サンプル中の前記全PTHを生理学的レベルで検出することができる単離された抗体であって、非全PTHフラグメントへの結合を回避する単離抗体をコンテナ中に含むキット。
【0026】
別の実施形態では、本開示は、副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTHペプチドに対する抗体の産生のためのキットであって、a)単離PTHペプチドと、b)前記単離PTHペプチドを前記単離PTHペプチドに対する抗体の産生に十分な量で哺乳動物に導入する手段と、c)前記哺乳動物から前記抗体を回収するための手段とを含むキットをさらに提供する。さらなる実施形態では、副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTHペプチドに対する抗体の産生のためのキットであって、a)MAPと、b)前記MAPを前記MAPに含まれるPTHペプチドに対する抗体の産生に十分な量で哺乳動物に導入する手段と、c)前記哺乳動物から前記抗体を回収するための手段とを含むキットを提供する。なおさらなる実施形態では、副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTHペプチドに対する抗体の産生のためのキットであって、a)PTH1〜34とPTH1〜84との間のPTHタンパク質またはペプチドと、b)前記PTH1〜34とPTH1〜84との間のPTHタンパク質またはペプチドを前記PTHタンパク質またはペプチドに対する抗体の産生に十分な量で哺乳動物に導入する手段と、c)前記哺乳動物から前記抗体を回収するための手段と、c)別の特異的PTHペプチドとを含むキットを提供する。
【0027】
このようなキット中の単離PTHペプチドは、本明細書中に記載の任意の種々のPTHペプチドであり得る。頻繁に、PTHペプチドを、PTHペプチドの免疫原性を増強するためのキャリア(例えば、キャリアタンパク質)に抱合して、融合タンパク質を形成することができる。例えば、このようなPTHペプチドは、PTH1〜11、PTH1〜13、PTH1〜14、PTH1〜15、PTH1〜16、PTH1〜17、PTH1〜18、PTH1〜19、PTH1〜20、PTH1〜21、PTH1〜22、PTH1〜23、PTH1〜24、PTH1〜25、PTH1〜26、hPTH1〜27、PTH1〜28、PTH1〜29、PTH1〜30、PTH1〜31、PTH1〜32、PTH1〜33、PTH1〜34、PTH1〜35、PTH1〜36、PTH2〜5、PTH2〜6、PTH2〜8、PTH2〜9、PTH2〜10、PTH2〜11、PTH2〜12、PTH2〜13、PTH2〜14、PTH2〜15、PTH2〜16、PTH2〜17、PTH2〜18、PTH2〜19、PTH2〜20、PTH2〜21、PTH2〜22、PTH2〜23、PTH2〜24、PTH2〜25、PTH2〜26、PTH2〜27、PTH2〜28、PTH2〜29、PTH2〜30、PTH2〜31、PTH2〜32、PTH2〜33、PTH2〜34、PTH2〜35、PTH2〜36、PTH3〜6、PTH3〜7、PTH3〜9、PTH3〜10、PTH3〜11、PTH3〜12、PTH3〜13、PTH3〜14、PTH3〜15、PTH3〜16、PTH3〜17、PTH3〜18、PTH3〜19、PTH3〜20、PTH3〜21、PTH3〜22、PTH3〜23、PTH3〜24、PTH3〜25、PTH3〜26、PTH3〜27、PTH3〜28、PTH3〜29、PTH3〜30、PTH3〜31、PTH3〜32、PTH3〜33、PTH3〜34、PTH3〜35、PTH3〜36、PTH4〜7、PTH4〜8、PTH4〜9、PTH4〜10、PTH4〜11、PTH4〜13、PTH4〜14、PTH4〜15、PTH4〜16、PTH4〜17、PTH4〜18、PTH4〜19、PTH4〜20、PTH4〜21、PTH4〜22、PTH4〜23、PTH4〜24、PTH4〜25、PTH4〜26、PTH4〜27、PTH4〜28、PTH4〜29、PTH4〜30、PTH4〜31、PTH4〜32、PTH4〜33、PTH4〜34、PTH4〜35、PTH4〜36、PTH5〜8、PTH5〜9、PTH5〜11、PTH5〜12、PTH5〜13、PTH5〜14、PTH5〜15、PTH5〜16、PTH5〜17、PTH5〜18、PTH5〜19、PTH5〜20、PTH5〜21、PTH5〜22、PTH5〜23、PTH5〜24、PTH5〜25、PTH5〜26、PTH5〜27、PTH5〜28、PTH5〜29、PTH5〜30、PTH5〜31、PTH5〜32、PTH5〜33、PTH5〜34、PTH5〜35、PTH5〜36、およびPTH5〜37からなる群より選択される。
【0028】
本発明で意図されるキットはまた、免疫応答増強物質(immune response poteniator)と共に本明細書中に記載のPTHペプチドを含む免疫原を提供することができる。時折、免疫応答増強物質は、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)、コリネバクテリウム・パルブム、ウシ流産菌抽出物、グルカン、レバミゾール、チロロン、酵素、および非ビルレントウイルスからなる群より選択される。
【0029】
本開示は、副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTHペプチドに対する抗体の産生方法をさらに提供する。1つの実施形態では、このような方法は、a)単離PTHペプチドを前記PTHペプチドに対する抗体の産生に十分な量で哺乳動物に導入するステップと、b)前記哺乳動物から抗体を回収するステップとを含む。副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTHペプチドに対する抗体の別の頻繁な産生方法は、a)MAPを前記MAPに含まれるPTHペプチドに対する抗体の産生に十分な量で哺乳動物に導入するステップと、b)前記哺乳動物から前記抗体を回収するステップとを含む。1つの態様では、本開示は、これらの方法によって産生されたPTHまたはPTHペプチドに対する抗体を提供する。関連する実施形態では、本方法は、副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTHペプチドに対する抗体の産生方法であって、a)PTHタンパク質またはPTH1〜34とPTH1〜84との間のペプチドを前記PTHタンパク質またはペプチドに対する抗体の産生に十分な量で哺乳動物に導入するステップと、b)前記哺乳動物から前記抗体を回収するステップと、c)PTHペプチドに含まれるエピトープに特異的に結合するPTH抗体を、前記PTHペプチドを使用してアフィニティ精製するステップとを含む方法を提供する。さらなる実施形態では、本開示は、このような方法によって産生されたPTHまたはPTHペプチドに対する抗体を提供する。
【0030】
[VI.発明の詳細な説明]
〔A.定義〕
他で定義しない限り、本明細書中で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者に一般的に理解されている意味と同一である。本明細書中で言及されている全ての特許、特許出願(公開または非公開)、および他の刊行物は、本明細書に引用することで組み込まれる。この節で記載された定義が、本明細書に引用することで組み込まれる特許、出願、公開出願、および他の刊行物に記載された定義に反するか一致しない場合、本節に記載の定義を、本明細書に引用することで組み込まれる定義よりも優先する。
【0031】
本明細書中で使用される、「a」または「an」は、「少なくとも1つ」または「1つまたは複数」を意味する。
【0032】
本明細書中で使用される、「抗体」を、最も広い意味で使用する。したがって、「抗体」は、天然に存在するか従来のハイブリドーマテクノロジーによって産生されたモノクローナル抗体などの合成された抗体および/またはその機能的フラグメントであり得る。本発明の抗体は、モノクローナル抗体およびポリクローナル抗体、ならびに抗原結合ドメインおよび/またはこれらの抗体の1つまたは複数の相補性決定領域を含むフラグメントを含む。
【0033】
本明細書中で使用される、「モノクローナル抗体」は、実質的に均一な抗体集団(すなわち、この集団を含む抗体は、天然に存在する変異体が少量存在する可能性があること以外は同一である)から得た抗体をいう。本明細書中で使用される、「モノクローナル抗体」は、さらに、モノクローナル抗体の機能的フラグメントをいう。
【0034】
本明細書中で使用される、「哺乳動物」は、種の任意の哺乳動物クラスをいう。頻繁に、本明細書中で使用される、用語「哺乳動物」は、ヒト、ヒト被験体、またはヒト患者をいう。
【0035】
本明細書中で使用される、「全副甲状腺ホルモン(PTH)」または「wPTH」は、PTHの完全な分子をいう。この用語は、他で示さない限り種特異的ではない。本明細書中の目的のために、名称「副甲状腺ホルモン(PTH)」を本明細書中で使用するが、全ての他の名称が意図される。その生物活性が実質的に変化しない保存的アミノ酸置換を行った全PTHを含むことが意図される。適切な保存的アミノ酸置換は当業者に公知であり、一般に、得られた分子の生物活性を変化させることなく行うことができる。当業者は、一般に、ポリペプチドの非必須領域中の1つのアミノ酸置換では生物活性は実質的に変化しないことを認識している(例えば、Watson et al.,MOLECULAR BIOLOGY OF THE GENE,4th Edition,1987,The Bejamin/Cummings Pub.Co.,p.224を参照のこと)。
【0036】
本明細書中で使用される、「副甲状腺ホルモン(PTH)アゴニスト」、「シクラーゼ活性化PTH」、または「CAP」は、破骨細胞形成および骨代謝回転を刺激して血中カルシウムレベルを増加させるPTHの完全な分子またはそのフラグメント、誘導体もしくはアナログをいう。PTHアゴニストは、さらに、PTHアゴニスト特性を有するペプチドをいう。PTHの他の名称には、パラトルモンおよびパラサイリン(parathyrin)が含まれる。本明細書中の目的のために、名称「副甲状腺ホルモン(PTH)」を使用するが、全ての他の名称が意図される。その生物活性が実質的に変化しない保存的アミノ酸置換を行ったPTHアゴニストを含むことが意図される。適切な保存的アミノ酸置換は当業者に公知であり、一般に、得られた分子の生物活性を変化させることなく行うことができる。当業者は、一般に、ポリペプチドの非必須領域中の1つのアミノ酸置換では生物活性は実質的に変化しないことを認識している(例えば、Watson et al.,MOLECULAR BIOLOGY OF THE GENE,4th Edition,1987,The Bejamin/Cummings Pub.co.,p.224を参照のこと)。Scantibodies Whole PTHアッセイ、Scantibodies CAPアッセイ、第3世代PTHアッセイ、Nichols BioIntact PTHアッセイ、またはImmutopics Human Bioactive PTHアッセイを使用したサンプルの測定によってPTHアゴニストのアッセイ値を得ることができる。
【0037】
本明細書中で使用される、用語「総PTH」は、PTHフラグメントレベルを加えた全PTHレベルの総数をいう。さらに、この用語は、他で示さない限り種特異的ではない。
【0038】
本明細書中で使用される、用語「PIN」は、PTH拮抗性または阻害性を有するPTHフラグメントをいう。したがって、時折同一範囲であるにもかかわらず、本明細書中で言及するPTHフラグメントはPINに制限されることを意図しない。
【0039】
本明細書中で使用される、「PTHフラグメント」は、完全なPTHタンパク質の非全連続部分を含むPTHペプチドである。本明細書中で言及するPTHフラグメントには、他で示さない限り、C末端、中末端フラグメント、およびPINが含まれる。さらに、この用語は、他で示さない限り、種特異的ではない。
【0040】
本明細書中で使用される、「治療」は、病態、障害、または疾患の症状が改善または有利に変化する任意の様式を意味する。治療は、本明細書中の組成物の任意の薬学的使用も含む。
【0041】
本明細書中で使用される、「疾患または障害」は、例えば、感染または遺伝的欠陥に起因し、同定可能な症状によって特徴づけられる生物の病的状態をいう。
【0042】
本明細書中で使用される、「高骨代謝回転」は、被験体の正常な骨代謝回転を超える骨代謝回転をいい、副甲状腺機能亢進症を有する被験体で現れる症状の1つである。理論に拘束されないが、重症副甲状腺機能亢進症を罹患した被験体は、軽度副甲状腺機能亢進症を罹患した被験体よりも骨代謝回転率が高いが、両者は正常な被験体および無形成骨症を罹患した被験体と比較して高い骨代謝回転率を有する。
【0043】
本明細書中で使用される、用語「被験体」は、特定の種またはサンプル型に制限されない。例えば、用語「被験体」は、患者、頻繁に、ヒト患者をいうことができる。しかし、この用語はヒトに制限されないので、種々の哺乳動物種を含む。
【0044】
本明細書中で使用される、疾患または障害に関する「罹患した」は、指定した疾患または障害を有するか直接影響を受けた被験体をいう。
【0045】
本明細書中で使用される、用語「サンプル」は、分析物をアッセイすることが望ましい分析物を含み得る全てのものをいう。サンプルは、生体液または生体組織などの生体サンプルであり得る。生体液の例には、尿、血液、血漿、血清、唾液、精液、排泄物、痰、脳脊髄液、涙、粘液、または羊水などが含まれる。生体組織は、通常、ヒト、動物、植物、細菌、真菌、またはウイルス構造の構造物質(結合組織、上皮組織、筋肉組織、および神経組織が含まれる)の1つを形成するその細胞内物質を含む特定の種細胞凝集体である。生体組織の例には、器官、腫瘍、リンパ節、動脈、および各細胞も含まれる。
【0046】
本明細書中で使用される、用語「結合を回避する」は、特定の抗体または別のフラグメントの特異性をいう。特定の部分への結合を回避する抗体または抗体フラグメントは、一般に、大部分の特定の部分がこのような抗体または抗体フラグメントによって結合されないような特異性を含む。この比率は、一般に、特定の標的の検出を対象とする抗体を使用したアッセイの妨害部分との許容可能な交差反応性の範囲内である。頻繁に、本開示の抗体または抗体フラグメントは、約90%を超える妨害部分との結合を回避するにもかかわらず、より高い比率が明確に意図され、且つ好ましい。例えば、本開示の抗体または抗体フラグメントは、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、約99%、および約99%またはそれ以上の妨害部分への結合を回避する。あまり頻繁ではないが、本開示の抗体または抗体フラグメントは、約70%を超えるか、約75%を超えるか、約80%を超えるか、または約85%を超える妨害部分への結合を回避する。理論に拘束されないが、本明細書中で意図されるように、妨害部分は非全PTHフラグメントを含み得る。
【0047】
本明細書中で使用される、用語「全PTHの生理学的レベル」は、一般に、pmol/Lまたは別の適切な測定単位(例えば、pgm/ml)で示される哺乳動物(例えば、ヒト)中に存在する全PTHの平均濃度をいう。例えば、Woodhead,J.S.,Clin.Biochem.23,17(1990)を参照のこと。1つの態様では、全PTHの生理学的範囲は、約0.2pmol/L〜約4pmol/Lまたは約2pgm/ml〜約40pgm/mlの範囲である。時折、全PTHの生理学的範囲は、約7pgm/ml〜約39pgm/mlの範囲であり得る。代表的な生理学的範囲として特定の範囲を本明細書中に記載しているが、当業者は、全PTHの生理学的レベルは、一定の被験体において本発明で開示されている範囲外であり得ることを理解している。それにも関わらず、本明細書中に提供した組成物および方法は、全PTHの控え目な濃度の検出に有用であり、本明細書中に提供した生理学的範囲の範囲内で感受性を示す。
【0048】
本明細書中で使用される、用語「N末端」は、遊離アミノ基を有するPTHポリペプチドのアミノ末端をいう。PTHフラグメントに関して、N末端PTHフラグメントは、インタクトなN末端を有するPTHの非全連続部分をいう。本明細書中で使用される、「インタクトなN末端」は、PTH1〜84のインタクトな1番目の部分を有するPTHまたはPTHフラグメントをいう。この1番目の部分を、本明細書中で「元のN終端(terminus)」または「元のN末端」ともいう。
【0049】
本明細書中で使用される、用語「C末端」は、遊離カルボキシル基を有するPTHポリペプチドのカルボキシル末端をいう。PTHフラグメントに関して、C末端PTHフラグメントは、インタクトなC末端を有するPTHの非全連続部分をいう。本明細書中で使用される、「インタクトなC末端」は、PTH1〜84のインタクトな84番目の部分を有するPTHまたはPTHフラグメントをいう。この84番目の部分を、本明細書中で「元のC終端(terminus)」または「元のC末端」ともいう。
【0050】
本明細書中で使用される、用語「中末端PTHフラグメント」は、インタクトなN末端やインタクトなC末端を含まないPTHの非全連続部分をいう。これらのPTHフラグメント型を、本明細書中で「中末端フラグメント」ということもできる。
【0051】
本明細書中で使用される、用語「特異的に結合する」は、定義の標的に優先的に結合するような抗体の特異性をいう。他の潜在的標的の存在下での特定の標的の抗体による認識は、このような結合の1つの特徴である。特定のPTH標的に対する本発明で意図される抗体の特異的結合を、本明細書中で提供したツールを使用した公知の方法によって測定する。
【0052】
本明細書中で使用される、ハイブリッド形成反応の「ストリンジェンシー」は、当業者によって容易に決定可能であり、一般に、プローブの長さ、洗浄温度、および塩濃度に依存する経験的計算である。一般に、プローブの長さが長いほど適切なアニーリングのための温度が高くなる一方で、プローブが短いほど低い温度が必要である。ハイブリッド形成は、一般に、その融解温度未満の環境下で相補鎖が存在する場合の変性核酸配列の再アニーリング能力に依存する。プローブとハイブリッド形成可能な配列との間の程度が高いほど、使用することができる相対温度が高くなる。結果として、相対温度が高いほど反応条件がよりストリンジェントになる傾向がある一方で、この温度が低いほどストリンジェンシーが低くなることに従う。ハイブリッド形成反応のストリンジェンシーのさらなる詳細および説明については、Current Protocols in Molecular Biology(Ausubel et al.eds.,Wiley Interscience Publishers,1995);Molecular Cloning:A Laboratory Manual(J.Sambrook,E.Fritsch,T.Maniatis eds.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,2d ed.1989);Wood et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,82:1585-1588(1985)を参照のこと。
【0053】
本明細書中で使用される、用語「単離された」は、その元の環境から取り出された物質をいい、その天然の状態と異なる。例えば、単離ポリペプチドは、キャリアに結合することができ、その元の環境下でポリペプチドではないので、依然として「単離されている」。
【0054】
本開示は、一連または他の特定のアミノ酸残基もしくは複数のアミノ酸残基を含む標的タンパク質および/またはペプチドに特定の特異性を有する抗原、抗体、ならびに抗体の産生方法を含む。特異的アミノ酸残基を、タンパク質もしくはペプチドのN末端領域またはC末端領域中に配置することができる。さらに、特異的アミノ酸残基を、タンパク質またはペプチドのN末端領域とC末端領域との間の領域中に配置することができる。時折、1つを超える特異的アミノ酸残基が存在する場合、このような残基は、任意の1つまたは複数のN末端、C末端、これらの2領域の間、および/またはこれらの全領域中に分散させることができる。
【0055】
本発明の開示では、PTHの多数の密接に類似した種依存性形態が存在することを念頭におくべきである。hPTHのアミノ酸配列を、図1に示す。しかし、ラットPTH、マウスPTH、ウシPTH、イヌPTH、ウマPTH、またはブタPTHでは、例えば、hPTH配列中のいくつかのアミノ酸置換が認められる。本発明の目的のために、これらのPTHを形成するために抗体または抗体フラグメントを交換可能に使用することができるにもかかわらず、PTHが測定される種に適合する配列を有するPTHに特異性を有する抗体を使用することが好ましい。
【0056】
〔B.副甲状腺ホルモンフラグメント〕
一般に、本発明のPTHフラグメントは、配列番号1、2、3、4、5、6、および/または7(PTH1〜84)に記載のアミノ酸配列を有するPTHの非全連続部分またはこのPTH部分をコードする核酸を含む。PTHフラグメントは、以下の特徴を有し得る。a)PTHフラグメントのN末端アミノ酸残基がPTH1〜84の1位〜80位にわたる任意の位置から始まること;b)PTHフラグメントのC末端アミノ酸残基が、PTH1〜84の4位〜84位にわたる任意の位置で終結すること;およびc)PTHフラグメントが3アミノ酸残基の最小の長さを有すること。好ましくは、PTHフラグメントは、薬学的組成物の形態である。
【0057】
本発明のPTHフラグメントを、以下の3つのカテゴリーに組織化する。N末端、C末端、および中末端のPTHフラグメント。本明細書中でさらに記載するように、N末端フラグメントは、インタクトなN末端を含むが、インタクトな元のC末端を含まないPTHの非全連続部分を含む。本明細書中にも記載されるように、C末端フラグメントは、インタクトなC末端を含むが、インタクトな元のN末端を含まないPTHの非全連続部分を含む。さらに、本明細書中にさらに記載されるように、中末端フラグメントは、インタクトな元のC末端やインタクトな元のN末端のいずれも含まないPTHの非全連続部分を含む。PTHの全ての哺乳動物供給源/配列が意図される。
【0058】
1つの実施形態では、PTHフラグメントは、シクラーゼ不活性PTHのサブセットを含む。しかし、本記載を考慮すると、種々の他のPTHフラグメントは、本発明の組成物、キット、および方法で意図され、確認可能であり、且つ有用である。重要には、PTH7〜84は、本発明で意図されるPTHフラグメント群のメンバーを示す。本開示は、PTHフラグメントの記載における巨大な不活性PTHフラグメントをさらに意図する。
【0059】
1つの実施形態では、PTHフラグメントのN末端アミノ酸残基は、PTH1〜84の2位〜70位にわたる任意の定義の位置で始まる。PTHフラグメントのC末端アミノ酸残基は、PTH1〜84の35位〜84位にわたる任意の定義の位置で終結する。したがって、例えば、PTH2〜84、PTH34〜84、またはPTH70〜84までの範囲のフラグメントは、C末端フラグメントとして含まれる。例えば、PTH39〜68またはPTH44〜68の範囲内の中末端PTHフラグメントも意図される。例えば、PTH1〜84の約44位から始まるN末端およびPTH1〜84の約68位で終結するC末端を有する中末端PTHフラグメントは本記載に含まれる。理論に拘束されないが、中末端PTHフラグメントは、PTH1〜84の1位や84位を含まないが、むしろこれらの位置の範囲内に含まれる。
【0060】
特定の実施形態では、PTHフラグメントは、PTH2〜84、PTH3〜84、PTH4〜84、PTH5〜84、PTH6〜84、PTH7〜84、PTH8〜84、PTH9〜84、PTH10〜84、PTH11〜84、PTH12〜84、PTH13〜84、PTH14〜84、PTH15〜84、PTH16〜84、PTH17〜84、PTH18〜84、PTH19〜84、PTH20〜84、PTH21〜84、PTH22〜84、PTH23〜84、PTH24〜84、PTH25〜84、PTH26〜84、PTH27〜84、PTH28〜84、PTH29〜84、PTH30〜84、PTH31〜84、PTH32〜84、およびPTH33〜84からなる群より選択されるタンパク質もしくはペプチドまたはタンパク質もしくはペプチドをコードする核酸である。別の特定の実施形態では、PTHフラグメントは、PTH7〜69、PTH7〜70、PTH7〜71、PTH7〜72、PTH7〜73、PTH7〜74、PTH7〜75、PTH7〜76、PTH7〜77、PTH7〜78、PTH7〜79、PTH7〜80、PTH7〜81、PTH7〜82、PTH7〜83、およびPTH7〜84からなる群より選択されるタンパク質もしくはペプチドまたはタンパク質またはペプチドをコードする核酸である。
【0061】
別の実施形態では、PTHフラグメントは、PTH34〜84、PTH35〜84、PTH36〜84、PTH37〜84、PTH38〜84、PTH39〜84、PTH40〜84、PTH41〜84、PTH42〜84、PTH43〜84、PTH44〜84、PTH45〜84、PTH46〜84、PTH47〜84、PTH48〜84、PTH49〜84、PTH50〜84、PTH51〜84、PTH52〜84、PTH53〜84、PTH54〜84、PTH55〜84、PTH56〜84、PTH57〜84、PTH58〜84、PTH59〜84、PTH60〜84、PTH61〜84、PTH62〜84、PTH63〜84、PTH64〜84、PTH65〜84、PTH66〜84、PTH67〜84、PTH68〜84、PTH69〜84、およびPTH70〜84からなる群より選択されるタンパク質もしくはペプチドまたはタンパク質またはペプチドをコードする核酸である。
【0062】
さらなる実施形態では、PTHフラグメントは、PTH7〜60、PTH8〜60、PTH9〜60、PTH10〜60、PTH11〜60、PTH12〜60、PTH13〜60、PTH14〜60、PTH15〜60、PTH16〜60、PTH17〜60、PTH18〜60、PTH19〜60、PTH20〜60、PTH21〜60、PTH22〜60、PTH23〜60、PTH24〜60、PTH25〜60、PTH26〜60、PTH27〜60、PTH28〜60、PTH29〜60、PTH30〜60、PTH31〜60、PTH32〜60、PTH33〜60、PTH34〜60、PTH35〜60、PTH36〜60、PTH37〜60、およびPTH38〜60、PTH39〜60、PTH40〜60、PTH41〜60、PTH42〜60、PTH43〜60、PTH44〜59、PTH44〜60、PTH45〜60、PTH46〜60、PTH47〜60、およびPTH48〜60からなる群より選択されるタンパク質もしくはペプチドまたはタンパク質またはペプチドをコードする核酸ならびに本明細書中に記載の他の中末端PTHフラグメントである。別の特定の実施形態では、PTHフラグメントは、PTH13〜34、PTH7〜53、PTH8〜53、PTH9〜53、PTH10〜53、PTH11〜53、PTH12〜53、PTH13〜53、PTH14〜53、PTH15〜53、PTH16〜53、PTH17〜53、PTH18〜53、PTH19〜53、PTH20〜53、PTH21〜53、PTH22〜53、PTH23〜53、PTH24〜53、PTH25〜53、PTH26〜53、PTH27〜53、PTH28〜53、PTH29〜53、PTH30〜53、PTH31〜53、PTH32〜53、PTH33〜53、PTH34〜53、PTH35〜53、PTH6〜53、PTH37〜53、およびPTH38〜53からなる群より選択されるタンパク質もしくはペプチドまたはタンパク質またはペプチドをコードする核酸ならびに本明細書中に記載の他の中末端PTHフラグメントである。
【0063】
別の好ましい実施形態では、PTHフラグメントは、PTH39〜84、PTH1〜34、PTH43〜68、PTH7〜84、PTH39〜68、PTH53〜84、PTH65〜84、PTH44〜68、PTH19〜84、PTH23〜84、PTH1〜68、またはこの群由来の2つまたはそれ以上の組み合わせからなる群より選択されるPTHペプチドフラグメントを含むか、抗体がこれらの特異的に結合する。この群は、PTH1〜84の39位〜65位から始まるN末端およびPTH1〜84の84位で終結するC末端位置を有するPTHペプチドフラグメントをさらに含み得る。特に好ましい実施形態では、PTHペプチドフラグメントは、天然に存在するか検出可能なPTHフラグメントを含む。
【0064】
別の実施形態では、PTHフラグメントは、他のインタクトなN末端PTHフラグメントもあるが、インタクトなN末端(例えば、PTH1〜38、PTH1〜48、PTH1〜58、PTH1〜68、PTH1〜78が含まれるが、これらに限定されない)を有するタンパク質もしくはペプチドまたはタンパク質またはペプチドをコードする核酸である。
【0065】
PTHフラグメントは、任意の適切な長さを有し、PTH作動活性または拮抗活性を有し得るにもかかわらず、PTHの作動活性または拮抗活性は、本発明のPTHフラグメントに必要ない。例えば、PTHフラグメントは、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、または83アミノ酸残基長を有し得る。
【0066】
〔C.PTH比−全PTHおよびPTHフラグメント〕
本発明に至る重要な発見は、無力性骨(adynamic bone)は、骨が機能停止するにつれてカルシウムおよびリン酸塩を格納する(buffer)能力を喪失することである。このような病態を罹患した被験体では、食事によって体内に侵入したカルシウムを有効に格納することができない。このカルシウムは血流に侵入し、その後軟組織を往復する。副甲状腺は、特に、このカルシウムの流入に支配されて劇的に影響を受け、それによってPTHの活性形態よりもむしろ、またはそれに加えて、PTHフラグメントを産生する。例えば、Mayer GP,et al.,Endocrinology 104:1778-1784(1979);D'Amour P,et al.,J.Clin.Endocrinol.Metab.74:525-532(1992);D'Amour P,et al.,J.Bone Miner.Res.11:1075-1085(1996);Cardinal,H.,et al.,J.Clin.Endocrinol.Metab.83:3839-44(1998)を参照のこと。したがって、無力性骨を有する被験体では、PTHフラグメントの濃度および産生が増加する。このことおよび他の関連する情報を考慮すると、特に全PTHの測定と組み合わせたPTHフラグメントレベルの測定を使用して、無力性骨を有する被験体と正常な骨および高骨代謝回転率を有する被験体とを有効に区別することができる。
【0067】
本開示は、PTHレベルを測定するためのペプチド、抗体、方法、およびキットの提示におけるこれらの発見を含む。1つの好ましい実施形態では、本方法は、全PTHレベルと総PTHレベルとの比(総PTHレベルが、全PTHと、PTH7〜84に加えて、PTHフラグメント(本明細書中に記載の他のPTHフラグメントなど)とを含む)(すなわち、全PTH/総PTH比)を使用する。この比は、PTH7〜84ペプチドから作製した抗体に特異的に結合する全PTHと、PTHフラグメントの測定を反映する総PTHレベルとを含むPTH比と比較して、総PTH濃度の増加を含む。したがって、CAP/PTHフラグメント比は、一般に、CAP/(CAP+PTH7〜84)比よりも低い。現在まで、PTH比の予想される効果および治療効果は認識されていなかった。例えば、Martine-Esther Cohen Solal,et al.,J.Clin.Endocrinol.Metab.73:516-524(1991)(全PTHの測定が、「組織学型骨疾患の予想のためのC末端および中間領域アッセイよりも優れている」と結論づけている)を参照のこと。
【0068】
1つの実施形態では、総PTHレベルを決定するための他の潜在的抗体に加えてPTH52〜84に特異的な抗体に加えてPTH44〜68に特異的な抗体を使用する総PTHアッセイを使用する。
【0069】
本開示は、PTHレベル、PTHフラグメントレベル、および時折総PTHレベルを含むより治療的に予想されるPTH比も提供する。この比における総PTHレベルには、PTH7〜84などの巨大なPTH N末端フラグメントに加えてPTHフラグメントが含まれる。これらのPTHフラグメントには、巨大な不活性フラグメントとして本開示のいずれかで言及されているPTHフラグメントのカテゴリーが含まれるが、必ずしも本明細書中に記載のC末端およびN末端PTHフラグメントではない。本明細書中で提供されるように、本発明の総PTH測定に含まれるPTHフラグメントには、他のPTHフラグメントに加えてPTH7〜84が含まれる。したがって、本発明のPTH比の増大の重要な態様は、総PTHアッセイがN末端、C末端、および中末端のPTHフラグメントを測定するように被験体中の循環PTHフラグメントの大部分、より好ましくは全てのモニタリングを含む。関連する態様では、増大した比で測定されたフラグメントには、本明細書中に記載の他のPTHフラグメントに加えてPTH7〜84が含まれる。
【0070】
例えば、総PTHに対する全PTHから構成されるPTH比の増加(全PTHに加えてほとんどまたは全ての循環PTHフラグメントを測定)は、一般に、「総」PTH(全PTH+PTH7〜84などの巨大なN末端PTHフラグメントからなる)に対する全PTHを含む総PTH比を測定するPTH比と比較して割合が低い。このより低い割合は、総PTHを含むPTH7〜84に加えたさらなるフラグメントの測定に起因する。以前のPTH総数は、一般に、PTH7〜84に加えてPTHフラグメントを含むPTH総数よりも少なかった。巨大なN末端フラグメント以外のPTHフラグメントが認識されていないので、これらの総数は少ない。本発明は、循環N末端フラグメントに加えてPTHフラグメントの測定に由来する比の予想および治療上の利点の増加に加えてPTHの総数においてこの以前の欠点を認めている。
【0071】
本発明で意図されるPTH比は、被験体が無形成骨症(ADN)、軽度副甲状腺機能亢進症(軽度HPT)、または重症副甲状腺機能亢進症(重症HPT)に罹患しているかどうかを決定するためのカットオフ評価値を得るのに有用である。頻繁に、本発明の比は、初期診断に有用である。しかし、これらの比は、被験体治療のモニタリングおよび誘導に等しく有用であり得る。1つの好ましい実施形態では、本発明の比を、CAPおよび/または全PTHレベルの測定と組み合わせて使用する。以下の表1は、全PTHレベルおよびPTH1〜84対PTH7〜84からなるPTH比に関する骨代謝回転率についての基準表を提供する。
【0072】
【表1】
【0073】
理論に拘束されないが、現在の基準および実務を考慮すると、さらなるデータ(例えば、骨の組織学的情報および/またはさらなるフラグメント関連情報(本明細書中で提供する)が含まれる)と無関係には、3つの列挙した骨代謝回転率のカテゴリー間の決定および区別のための表1中の値および比のみに対する信頼性は根拠がない。
【0074】
例示的比には、全PTH(wPTH)、C末端PTH(cPTH)、および中末端PTHフラグメント(mPTH)から構成されるPTHパラメーターの変動物(variation)が含まれる。使用する抗体に依存して、これらのパラメーター間の交差反応性を証明することができる(そして修正することができる)。本開示の例示的比の非限定的なリストには、wPTH/cPTH、wPTH/mPTH、wPTH/(cPTH+mPTH)、wPTH/(cPTH−wPTH)+(mPTH−wPTH)、wPTH/(cPTH+mPTH−wPTH)、wPTH/(wPTH+mPTH+cPTH)、cPTH/mPTH、mPTH/cPTH、cPTH/wPTH、mPTH/wPTHなどが含まれる。当業者は、PTH比の逆数およびこれらのパラメーターの他の組み合わせは、本発明の方法で等しく適切であることを認識する。さらに、CAPをPTH比パラメーターとして使用し、意図する比でPTHレベル、総PTHレベル、および/またはPTHフラグメントレベルと組み合わせて使用することができる。
【0075】
例えば、以下の表2は、一連のPTH比カットオフ値を提供する。全PTH(wPTH)、中末端PTHフラグメント(mPTH)、およびC末端PTH(cPTH)フラグメントに特異的な抗体ならびに対応する組織学データを使用して、比カットオフの基準値を提供するPTHレベルの生データを作成する。示すように、以下に示す各比を、cPTH、mPTH、および/またはwPTHに基づいて作成する。
【0076】
【表2】
【0077】
表2が3つの各臨床指標のカットオフ範囲を示す一方で、それぞれの変動物も存在し得る。用語「約」は、カットオフ点も含み得る幾らか固有の変動物を有する特に好ましい値の範囲として各カットオフと共に使用する。当業者は、カットオフ点が上記値と異なり得るようにPTHアッセイパラメーターを変化させることができる(このような変動物は本開示の範囲内に含まれる)と理解する。1つの実施形態では、カットオフ点は、指標についてのカットオフ中央値を示す。好ましい実施形態では、カットオフ点は、特定の指標を有する被験体の大部分または全てが含まれる範囲未満または範囲以上の範囲を示す。
【0078】
ADN透析患者の過剰治療を回避するために、透析ADN患者と高骨代謝回転を罹患した患者とを非浸襲性に分類することができる必要が非常にある。ADN透析患者の過剰治療(over treatment)は、現在使用されている方法で現在最も頻繁に起こっている。例えば、Zemplar(登録商標)およびCalcijex(登録商標)(Abbott Laboratories)を使用して、例えば、透析患者を治療している。使用および推奨されている治療プロトコール下で、これらの患者は、PTHレベル(wPTHおよびPTHフラグメントレベルが含まれる)の不正確な測定によって過剰治療のリスクが高い。例えば、ADNを罹患するようになるカルシウムベースのリン酸塩結合剤を使用して治療した透析患者の比率は、1995年から2000年の間にこのような患者の12%から48%に急増している。例えば、Malluche,H.H.,The Importance of Bone Health in ESRD:Out of the Frying Pan,Into the Fire?,World Congress on Nephrology,Berlin,Germany(June 2003)(未発表データに基づく)を参照のこと。この増加は、主に、透析患者の過剰治療に起因し、透析患者のこの過剰治療は、同様に、無効なPTHレベル(全PTHレベルおよびPTHフラグメントレベルが含まれる)のモニタリングに起因することを前提とする。さらに、K/DOQIは、ADN透析患者とHBT透析患者との分類に有用な唯一のマーカーとして全PTHを推奨する。K/DOQI Clinical Practice Guidelines for Bone Metabolism and Disease in Chronic Kidney Disease,Draft Guideline Statements and Treatment Algorithms(February 2003)を参照のこと。しかし、全PTHレベルは、一貫してADN透析患者とHBT透析患者とを分類できない。Qi,Q,et al.,Am.J.Kidney Dis.26:622-31(1995);Quarles,LD,et al.,J.Clin.Endocrinol.Metab.75:145-150(1992)を参照のこと。このようなガイドラインは過剰治療現象を広めるようであることが本明細書中で認識される。したがって、本発明の組成物および方法は、全PTHレベルのみの測定によるよりもむしろPTH比の結果によるADN透析患者とHBT透析患者との区別の有効性ならびに腎疾患、骨粗鬆症、および/または透析患者の通常の臨床管理のためのその使用を例示する。
【0079】
〔D.PTHアッセイの場所〕
本発明で意図される方法を、種々の施設および種々の事業体で行うことができる。しかし、一般に、本発明の方法および材料は、医療施設で供することができる。頻繁に、本発明の方法(例えば、本明細書中に記載のPTHレベルおよび比の決定およびモニタリング)を、介護施設(care provider)または臨床検査室によって被験体の疾患または障害の臨床管理で使用する。本明細書中で使用される、「医療施設」には、臨床検査室、診療所、病院、健康管理組織の施設、および外来診療施設、介護および被験体の試験に有用な種々の他の非伝統的施設のうちの1つが含まれる。
【0080】
〔E.PTH配列〕
本開示は、種々の哺乳動物起源の副甲状腺ホルモンのペプチド、ペプチドフラグメント、PTHまたはPTHフラグメントペプチドをコードするポリヌクレオチド、ならびに全PTHおよび/またはPTHフラグメントに特異的に結合する抗体の使用を意図する。例えば、Caetano,A.R.,et al.,Equus Genome Res.9(12):1239-1249(1999)(ウマ)、米国特許出願公開US 2002/0110871 A1(ラット、マウス、ウシ、イヌ、ブタ)、米国特許出願番号09/344,639号、および同第09/231,422号(ヒト)を参照のこと。非限定的な例のために、以下の供給源に由来し、且つ以下のペプチド配列を有するPTHを本明細書中で意図する。
【0081】
ヒトPTH1〜84(配列番号1):SER−VAL−SER−GLU−ILE−GLN−LEU−MET−HIS−ASN−LEU−GLY−LYS−HIS−LEU−ASN−SER−MET−GLU−ARG−VAL−GLU−TRP−LEU−ARG−LYS−LYS−LEU−GLN−ASP−VAL−HIS−ASN−PHE−VAL−ALA−LEU−GLY−ALA−PRO−LEU−ALA−PRO−ARG−ASP−ALA−GLY−SER−GLN−ARG−PRO−ARG−LYS−LYS−GLU−ASP−ASN−VAL−LEU−VAL−GLU−SER−HIS−GLU−LYS−SER−LEU−GLY−GLU−ALA−ASP−LYS−ALA−ASP−VAL−ASN−VAL−LEU−THR−LYS−ALA−LYS−SER−GLN。
【0082】
ラットヒトPTH1〜84(配列番号2):ALA−VAL−SER−GLU−ILE−GLN−LEU−MET−HIS−ASN−LEU−GLY−LYS−HIS−LEU−ALA−SER−VAL−GLU−ARG−MET−GLN−TRP−LEU−ARG−LYS−LYS−LEU−GLN−ASP−VAL−HIS−ASN−PHE−VAL−SER−LEU−GLY−VAL−GLN−MET−ALA−ALA−ARG−GLU−GLY−SER−TYR−GLN−ARG−PRO−THR−LYS−LYS−GLU−ASP−ASN−VAL−LEU−VAL−ASP−GLY−ASN−SER−LYS−SER−LEU−GLY−GLU−GLY−ASP−LYS−ALA−ASP−VAL−ASP−VAL−LEU−VAL−LYS−ALA−LYS−SER−GLN。
【0083】
マウスヒトPTH1〜84(配列番号3):ALA−VAL−SER−GLU−ILE−GLN−LEU−MET−HIS−ASN−LEU−GLY−LYS−HIS−LEU−ALA−SER−VAL−GLU−ARG−MET−GLN−TRP−LEU−ARG−ARG−LYS−LEU−GLN−ASP−MET−HIS−ASN−PHE−VAL−SER−LEU−GLY−VAL−GLN−MET−ALA−ALA−ARG−ASP−GLY−SER−HIS−GLN−LYS−PRO−THR−LYS−LYS−GLU−GLU−ASN−VAL−LEU−VAL−ASP−GLY−ASN−PRO−LYS−SER−LEU−GLY−GLU−GLY−ASP−LYS−ALA−ASP−VAL−ASP−VAL−LEU−VAL−LYS−SER−LYS−SER−GLN。
【0084】
ウシヒトPTH1〜84(配列番号4):ALA−VAL−SER−GLU−ILE−GLN−PHE−MET−HIS−ASN−LEU−GLY−LYS−HIS−LEU−SER−SER−MET−GLU−ARG−VAL−GLU−TRP−LEU−ARG−LYS−LYS−LEU−GLN−ASP−VAL−HIS−ASN−PHE−VAL−ALA−LEU−GLY−ALA−SER−ILE−ALA−TYR−ARG−ASP−GLY−SER−SER−GLN−ARG−PRO−ARG−LYS−LYS−GLU−ASP−ASN−VAL−LEU−VAL−GLU−SER−HIS−GLN−LYS−SER−LEU−GLY−GLU−ALA−ASP−LYS−ALA−ASP−VAL−ASP−VAL−LEU−ILE−LYS−ALA−LYS−PRO−GLN。
【0085】
イヌヒトPTH1〜84(配列番号5):SER−VAL−SER−GLU−ILE−GLN−PHE−MET−HIS−ASN−LEU−GLY−LYS−HIS−LEU−SER−SER−MET−GLU−ARG−VAL−GLU−TRP−LEU−ARG−LYS−LYS−LEU−GLN−ASP−VAL−HIS−ASN−PHE−VAL−ALA−LEU−GLY−ALA−PRO−ILE−ALA−HIS−ARG−ASP−GLY−SER−SER−GLN−ARG−PRO−LEU−LYS−LYS−GLU−ASP−ASN−VAL−LEU−VAL−GLU−SER−TYR−GLN−LYS−SER−LEU−GLY−GLU−ALA−ASP−LYS−ALA−ASP−VAL−ASP−VAL−LEU−THR−LYS−ALA−LYS−SER−GLN。
【0086】
ブタヒトPTH1〜84(配列番号6):SER−VAL−SER−GLU−ILE−GLN−PHE−MET−HIS−ASN−LEU−GLY−LYS−HIS−LEU−SER−SER−LEU−GLU−ARG−VAL−GLU−TRP−LEU−ARG−LYS−LYS−LEU−GLN−ASP−VAL−HIS−ASN−PHE−VAL−ALA−LEU−GLY−ALA−SER−ILE−VAL−HIS−ARG−ASP−GLY−GLY−SER−GLN−ARG−PRO−ARG−LYS−LYS−GLU−ASP−ASN−VAL−LEU−VAL−GLU−SER−HIS−GLN−LYS−SER−LEU−GLY−GLU−ALA−ASP−LYS−ALA−ALA−VAL−ASP−VAL−LEU−ILE−LYS−ALA−LYS−PRO−GLN。
【0087】
ウマPTH1〜86(配列番号7):LYS−ARG−SER−VAL−SER−GLU−ILE−GLN−LEU−MET−HIS−ASN−LEU−GLY−LYS−HIS−LEU−ASN−SER−VAL−GLU−ARG−VAL−GLU−TRP−LEU−ARG−LYS−LYS−LEU−GLN−ASP−VAL−HIS−ASN−PHE−ILE−ALA−LEU−GLY−ALA−PRO−ILE−PHE−HIS−ARG−ASP−GLY−GLY−SER−GLN−ARG−PRO−ARG−LYS−LYS−GLU−ASP−ASN−VAL−LEU−ILE−GLU−SER−HIS−GLN−XXX−SER−LEU−GLY−GLU−ALA−ASP−LYS−ALA−ASP−VAL−ASP−VAL−LEU−SER−LYS−THR−LYS−SER−GLN。
【0088】
[VII.本発明実施の例示的形態]
本発明の開示では、PTHの多数の密接に類似した種依存性形態が存在することを念頭におくべきである(上記を参照のこと)。hPTHのアミノ酸配列を、図1に示す。しかし、ラットPTH、ウシPTH、またはブタPTHでは、例えば、hPTH配列中のいくつかのアミノ酸置換が認められる(例えば、配列番号1〜7を参照のこと)。本発明の目的のために、これらのPTHを形成するために抗体または抗体フラグメントを交換可能に使用することができるにもかかわらず、PTHが測定される種に適合する配列を有するPTHに特異性を有する抗体を使用することが好ましい。
【0089】
〔A.全PTH免疫アッセイ〕
本発明の好ましい実施形態は、図2および3に示す、しばしばサンドイッチアッセイと呼ばれる免疫放射測定アッセイ15(IRMA)である。このようなアッセイ(10)で使用される要素は、固体支持体(14)に付着した捕捉抗体(12)、および(20)に付着した、標識(18)を有するシグナル抗体(16)を含む。典型的には、図2に示すように、C末端PTHフラグメント(22)に特異的な捕捉抗体を選択する一方で、標識抗体は、アデニルシクラーゼ活性ドメイン(24)を含むイニシャル(initial)wPTHペプチド配列に特異的である。しかし、図3に示すように、これらの抗体の特異性を逆にすることができる。
【0090】
あるいは、従来の沈殿アッセイまたは濁度測定アッセイなどのwPTHが溶液から沈殿するか溶液中で識別される免疫アッセイを作製することができる。例えば、沈殿塊を形成するために少なくとも3つの抗体を使用することができる。イニシャルwPTH配列抗体およびC末端抗体に加えて、Pmの中間部分に付着する少なくとも第3の抗体を使用することができる。wPTHと少なくとも3つの抗体との組み合わせ塊により、従来の技術によって測定することができる標識沈殿塊が形成される。
【0091】
別の方法は、イニシャルwPTH配列抗体をラテックス粒子などのコロイド状の固体支持体に結合させる。より詳細には、クロラミンTでの酸化、1mCiの125I放射性同位体との室温で25秒間のインキュベーション、およびメタ重硫酸ナトリウムとの反応により50μgのアフィニティ精製ヤギ抗(1〜6)PTH抗体(Scantibodies Laboratory,Inc.,Santee California,U.S.A.)のヨード化によってシグナル抗体を作製することができる。製造者の説明書に従ったPD−10脱塩カラム(Pharmacia,Uppsala,Sweden)へのヨード化混合物の通過によって非組み込み125I放射性同位体を125−1−ヤギ抗(1〜6)PTHシグナル抗体から分離する。脱塩カラムから回収した画分を、ガンマカウンターで測定し、125−1−ヤギ抗(1〜6)PTH抗体を示す画分をプールし、約300,000DPM(壊変毎分)/100μlの濃度に希釈する。この溶液は、全PTH IRMAで使用される追跡溶液である。
【0092】
当業者に公知の受動的吸収技術を用いたアフィニティ精製ヤギ抗PTH39〜84抗体(Scantibodies Laboratory,Inc.,Santee,California,U.S.A.)と12×75mmポリスチレンチューブ(Nunc,Denmark)への付着によって捕捉抗体コーティングチューブを作製することができる。チューブを空にして乾燥させ、20個の固相抗体コーティングチューブを作製する。
【0093】
サンプルの全PTHアッセイを行うために、200μlのヒト血清サンプルを固相抗体コーティングチューブに添加する。各チューブに、100μlのトレーサー溶液(標識ヤギ抗(1〜6)PTHシグナル抗体)を添加する。チューブ25を、170rpmで20〜22時間浸透しながら室温でインキュベートする。この間に、{固相ヤギ抗(39−84)PTH抗体}−−{全PTH}−−{125−1−ヤギ抗(1〜6)PTH抗体}のサンドイッチを形成する免疫化学反応が起こる。このインキュベーション後、試験管を蒸留水で洗浄する。固相の放射能(その量がwPTHの存在量に対応する)を、ガンマカウンターを使用して測定する。サンプルの放射能データを、サンプル中の全PTH濃度を確認することができるように、標準およびコントロール由来の結果ならびにコンピュータソフトウェアの使用による従来の分析によって処理する。図4は、このようなアッセイの検量線を示す。
【0094】
〔B.イニシャル全PTH配列ペプチド〕
上記アッセイでシグナル抗体を作製するために、最初に、ヒトPTH1〜8、ラットPTH1〜8、マウスPTH1〜8、ウシPTH1〜8、イヌPTH1〜8、ブタPTH1〜8、ウマPTH1〜8、ヒトPTH1〜15、ラットPTH1〜15、マウスPTH1〜15、ウシPTH1〜15、イヌPTH1〜15、ブタPTH1〜15、またはウマPTH1〜15のいずれかに対応する合成PTHペプチドまたは共通配列中の少なくとも4つのアミノ酸を作製する。理論に拘束されないが、適切な合成PTHペプチドは、上記例示のPTH1〜8を超えて、すなわち、PTH1〜84の84位まで伸張し得る。例えば、任意の種々のPTHのN末端フラグメントは、この態様のための適切なイニシャルペプチド配列である。選択されたペプチドは、アッセイの作製において2つの役割(第1に、シグナル抗体または捕捉抗体のためのポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体の供給源の作製のための特異的供給源として、第2に、所望のシグナル抗体または捕捉抗体の単離のためのアフィニティ精製手段の一部として)を果たすことができる。
【0095】
簡単に述べれば、このようなペプチドを、αアミノ保護基としてFmoc(9−フルオロニルメトキシカルボニル)を使用したApplied Biosystems,Inc.(Foster City,California,U.S.A.)モデル431自動化ペプチド合成機で合成することができる。全てのアミノ酸および溶媒は、Applied Biosystemsから入手し、これらは合成グレードである。合成後、ペプチドを樹脂から切断し、6.67%フェノール、4.4%(v/v)チオアニソール、および8.8%エタンジチオールを含むトリフルオロ酢酸(TFA)を含む切断カクテル20を使用して側鎖を脱ブロッキングする。切断ペプチドを沈殿させ、冷ジエチルエーテルで数回洗浄する。次いで、これを水に溶解し、凍結乾燥させる。粗ペプチドを、アミノ酸分析(Waters PICO-TAG System,Boston,Massachusetts,U.S.A.)および移動緩衝液として0.1%TFA水溶液および25 99.9%アセトニトリルの0.1%TFA溶液を使用したVYDAC(商標)C8カラムを使用した逆相HPLCに供する。ペプチドがさらなる使用に適切であるということの証拠として、適切なアミノ酸組成物と共に1つの主要なピークが存在する。
【0096】
次いで、製造者の説明書にしたがって、得られたペプチドを架橋アガロースビーズ(Pharmacia,Uppsala,Swedenの活性化Sepharose4B)に付着させる。ビーズ上にイニシャルペプチド配列を準備して、wPTH免疫アッセイのためのイニシャル配列抗体を単離するためにポリクローナル抗体血清供給源をアフィニティ精製することができる。
【0097】
特に好ましい実施形態では、イニシャル配列PTH抗体は、イニシャルPTHペプチド、C末端、および中末端のPTHペプチドを首尾よく区別し、その結果イニシャル配列PTHペプチドに特異的に結合する。
【0098】
別の好ましい実施形態では、上記方法を使用して、中末端およびC末端のPTHペプチドフラグメントを合成する。これらのペプチドの合成後、上記方法を使用して、中末端PTH抗体および/またはC末端PTH抗体を作製および単離する。好ましい実施形態では、中末端PTH抗体は、中末端PTHペプチドフラグメントに特異的に結合する。別の好ましい実施形態では、C末端PTH抗体は、C末端PTHペプチドフラグメントに特異的に結合する。
【0099】
〔C.イニシャル配列の全PTH抗体〕
別の実施形態では、アフィニティ精製イニシャル配列全PTH抗体を作製するために、最初に、ヤギへの注射のための免疫原の一部として上記のインタクトなN末端を有するPTH配列ペプチドを使用する。例えば、PTH1〜34からPTH1〜84までの範囲のPTHペプチドを使用することができる。ペプチドを、注射用免疫原として単独で使用するか、典型的には約5,000〜10,000,000との間の分子量を有する非PTHペプチドに組み込むか、wPTH完全配列の一部として使用することができる。免疫原を、軽油、Arlacel界面活性剤、および不活化マイコバクテリウムである結核菌の混合物である同体積のフロイント完全アジュバントと混合する。得られた混合物をホモジナイズして水/油乳濁液を作製し、これを一次免疫のために動物(典型的には、ヤギ)に注射する。免疫原の用量は、約50〜400μgである。これらのその後の注射でマイコバクテリウムである結核菌を使用しないこと以外は、同用量の免疫原複合体を毎月ヤギに注射する。20の一次免疫から約3ヵ月後にヤギを毎日採血する。血清(または抗血清)は、遠心分離およびイニシャル配列PTH抗体中で豊富な抗血清の取り出しによる血液由来の赤血球の分離による各採血に由来する。
【0100】
所望のイニシャル配列全PTH抗体の抗血清を精製するために、PTH配列ペプチド(例えば、PTH1〜5からPTH1〜15までの範囲のPTHペプチド)に結合した上記ビーズと共に分離カラムを充填し、カラムを洗浄し、0.01Mリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で平衡化する。抗血清をカラムにロードし、イニシャル配列PTH特異性を示さない抗体を除去するために0.01M PBSで洗浄する。結合した特異的ヤギイニシャル配列PTHポリクローナル抗体を、0.1Mグリシンヒドロクロリド緩衝液(pH2.5)溶離液のカラム通過によって任意選択的にカラム中にPTH1〜5〜PTH1〜15を含む固相から溶離する。当業者に公知のように、1.0Mリン酸緩衝液(pH7.5)の添加または0.01M PBSとの緩衝液の交換のいずれかを使用してカラムから遊離した後に、溶離したポリクローナル抗体を中和する。ポリクローナル抗体を、2〜8℃で保存する。
【0101】
別の実施形態では、アフィニティ精製抗(1〜6)PTH抗体を作製するために、最初に、ヤギへの注射のための免疫原の一部として上記のように選択されたイニシャルPTH配列ペプチドを使用する。ペプチドを、典型的には約5,000〜10,000,000との間の分子量を有する非PTHペプチドに組み込まれた注射用免疫原またはwPTH完全配列の一部のいずれかとして使用することができる。免疫原を、軽油、Arlacel界面活性剤、および不活化マイコバクテリウムである結核菌の混合物である同体積のフロイント完全アジュバントと混合する。得られた混合物をホモジナイズして水/油乳濁液を作製し、これを一次免疫のために動物(典型的には、ヤギ)に注射する。免疫原の用量は、約50〜400μgである。これらのその後の注射でマイコバクテリウムである結核菌を使用しないこと以外は、同用量の免疫原複合体を毎月ヤギに注射する。20の一次免疫から約3ヵ月後にヤギを毎日採血する。血清(または抗血清)は、遠心分離および(1〜6)PTH抗体中で豊富な抗血清の取り出しによる血液由来の赤血球の分離による各採血に由来する。
【0102】
所望の(1〜6)PTH抗体の抗血清を精製するために、イニシャルPTH配列ペプチドに結合した上記ビーズと共に分離カラムを充填し、カラムを洗浄し、0.01Mリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で平衡化する。抗血清をカラムにロードし、(1〜6)PTH特異性を示さない抗体を除去するために0.01MPBSで洗浄する。結合した特異的ヤギ抗(1〜6)PTHポリクローナル抗体を、0.1Mグリシンヒドロクロリド緩衝液(pH2.5)溶離液のカラム通過によってカラム中にPTH1〜6を含む固相から溶離する。当業者に公知のように、1.0Mリン酸緩衝液(pH7.5)の添加または0.01MPBSとの緩衝液の交換のいずれかを使用してカラムから遊離した後に、溶離したポリクローナル抗体を中和する。ポリクローナル抗体を、2〜8℃で保存する。
【0103】
当業者は、上記実施には許容可能な変形形態が存在することを理解している。例えば、Harlow E,Lane D:Antibodies:A laboratory manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1988;Kohler & Milstein,Nature,256:495-7(1975)を参照のこと。理論に束縛されないが、上記実施は、本明細書中に記載の選択されたN末端PTH配列ペプチドを使用した他のPTH N末端抗体の産生に適切である。
【0104】
特に好ましい実施形態では、イニシャル配列PTH抗体は、イニシャルPTHペプチド、C末端、および中末端のPTHペプチドを首尾よく区別し、その結果イニシャル配列PTHペプチドに特異的に結合する。
【0105】
〔D.C末端配列PTH抗体〕
アフィニティ精製抗(60〜84)PTH抗体を作製するために、最初に、ヤギへの注射のための免疫原の一部として上記のように選択されたC末端配列ペプチドを使用する。別の実施形態では、免疫原は、全PTHペプチド(例えば、PTH1〜84)を含む。ペプチドを、典型的には、注射用免疫原として単独で使用するか、約5,000〜10,000,000との間の分子量を有する非PTHペプチドに組み込むことができる。免疫原を、軽油、Arlacel界面活性剤、および不活化マイコバクテリウムである結核菌の混合物である同体積のフロイント完全アジュバントと混合する。得られた混合物をホモジナイズして水/油乳濁液を作製し、これを一次免疫のために動物(典型的には、ヤギ)に注射する。免疫原の用量は、約50〜400μgである。これらのその後の注射でマイコバクテリウムである結核菌を使用しないこと以外は、同用量の免疫原複合体を毎月ヤギに注射する。20の一次免疫から約3ヵ月後にヤギを毎日採血する。血清(または抗血清)は、遠心分離および(60〜84)PTH抗体を含む抗血清の取り出しによる血液由来の赤血球の分離による各採血に由来する。別の実施形態では、他のPTH抗体(例えば、全PTH抗体)に加えて、(60〜84)PTH抗体を含む抗血清を取り出す。
【0106】
所望の(60〜84)PTH抗体の抗血清を精製するために、C末端PTH配列ペプチドに結合した上記ビーズと共に分離カラムを充填し、カラムを洗浄し、0.01Mリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で平衡化する。抗血清をカラムにロードし、(60〜84)PTH特異性を示さない抗体を除去するために0.01MPBSで洗浄する。結合した特異的ヤギ抗(60〜84)PTHポリクローナル抗体を、0.1Mグリシンヒドロクロリド緩衝液(pH2.5)溶離液のカラム通過によってカラム中にPTH1〜6を含む固相から溶離する。当業者に公知のように、1.0Mリン酸緩衝液(pH7.5)の添加または0.01MPBSとの緩衝液の交換のいずれかを使用してカラムから遊離した後に、溶離したポリクローナル抗体を中和する。ポリクローナル抗体を、2〜8℃で保存する。
【0107】
当業者は、上記実施には許容可能な変形形態が存在することを理解している。例えば、Harlow E,Lane D:Antibodies:A laboratory manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1988;Kohler & Milstein,Nature,256:495-7(1975)を参照のこと。理論に束縛されないが、上記実施は、本明細書中に記載の選択されたC末端PTH配列ペプチドを使用した他のPTH C末端抗体の産生に適切である。例えば、上記のPTH53〜84、PTH60〜84、PTH64〜84、PTH65〜84、PTH39〜84、PTH23〜84、PTH19〜84などのPTHペプチドおよび他のC末端PTHペプチド。
【0108】
特に好ましい実施形態では、C末端PTH抗体は、C末端ペプチド、両イニシャル配列、および中末端のPTHペプチドを首尾よく区別し、その結果C末端PTHペプチドに特異的に結合する。
【0109】
〔E.中末端配列PTH抗体〕
アフィニティ精製抗(44〜68)PTH抗体を作製するために、最初に、ヤギへの注射のための免疫原の一部として上記のように選択された中末端PTH配列ペプチドを使用する。別の実施形態では、免疫原は、全PTHペプチド(例えば、PTH1〜84)を含む。ペプチドを、典型的には、注射用免疫原として単独で使用するか、約5,000〜10,000,000との間の分子量を有する非PTHペプチドに組み込むことができる。免疫原を、軽油、Arlacel界面活性剤、および不活化マイコバクテリウムである結核菌の混合物である同体積のフロイント完全アジュバントと混合する。得られた混合物をホモジナイズして水/油乳濁液を作製し、これを一次免疫のために動物(典型的には、ヤギ)に注射する。免疫原の用量は、約50〜400μgである。これらのその後の注射でマイコバクテリウムである結核菌を使用しないこと以外は、同用量の免疫原複合体を毎月ヤギに注射する。20の一次免疫から約3ヵ月後にヤギを毎日採血する。血清(または抗血清)は、遠心分離および(44〜68)PTH抗体を含む抗血清の取り出しによる血液由来の赤血球の分離による各採血に由来する。別の実施形態では、他のPTH抗体(例えば、全PTH抗体)に加えて、(44〜68)PTH抗体を含む抗血清を取り出す。
【0110】
所望の(44〜68)PTH抗体の抗血清を精製するために、中末端PTH配列ペプチドに結合した上記ビーズと共に分離カラムを充填し、カラムを洗浄し、0.01Mリン酸緩衝化生理食塩水(PBS)で平衡化する。抗血清をカラムにロードし、(44〜68)PTH特異性を示さない抗体を除去するために0.01MPBSで洗浄する。結合した特異的ヤギ抗(44〜68)PTHポリクローナル抗体を、0.1Mグリシンヒドロクロリド緩衝液(pH2.5)溶離液のカラム通過によってカラム中にPTH1〜6を含む固相から溶離する。当業者に公知のように、1.0Mリン酸緩衝液(pH7.5)の添加または0.01MPBSとの緩衝液の交換のいずれかを使用してカラムから遊離した後に、溶離したポリクローナル抗体を中和する。ポリクローナル抗体を、2〜8℃で保存する。
【0111】
当業者は、上記実施には許容可能な変形形態が存在することを理解している。例えば、Harlow E,Lane D:Antibodies:A laboratory manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1988;Kohler & Milstein,Nature,256:495-7(1975)を参照のこと。理論に束縛されないが、上記実施は、本明細書中に記載の選択された中末端PTH配列ペプチドを使用した他のPTH中末端抗体の産生に適切である。例えば、上記のPTH44〜60、PTH7〜53、PTH12〜53、PTH17〜53、PTH22〜53、PTH27〜53、PTH30〜35、PTH32〜53、PTH32〜53、PTH37〜53、PTH42〜53、PTH47〜53などのPTHペプチドおよび他の中末端PTHペプチド。
【0112】
特に好ましい実施形態では、中末端PTH抗体は、中末端ペプチド、両イニシャル配列、およびC末端のPTHペプチドを首尾よく区別し、その結果中末端PTHペプチドに特異的に結合する。
【0113】
〔F.第2世代全PTHと総PTHとの比較アッセイ〕
PTH正常者および慢性尿毒症を罹患した者の両方において、本発明の全IRMAアッセイを、従来のインタクトなPTHまたはI−PTH免疫アッセイ(Allegro NicholsインタクトPTHアッセイ(市販されており、Nichols Institute Diagnostics of San Juan Capistrano,California,U.S.A.によって作製される))と比較した。このI−PTH免疫アッセイは、PTH7〜84およびwPTHの両方を検出する(図10を参照のこと)。
【0114】
図5は、本発明のwPTH IRMAおよび上記I−PTHアッセイの両方によってアッセイした健常被験体由来の34の正常ヒト血清サンプルの結果を示す。どの場合においても、IRMAによって検出されたwpmレベルはI−PTHアッセイによって報告されたレベルよりも低く、I−pmアッセイによって検出された妨害巨大非(1〜84)PTHフラグメントの検出を回避する本発明のIRMAの能力を証明する(図11を参照のこと)。図6は、どのようにしてこのような妨害が起こり得るのかを例示する。本発明のイニシャルPTHペプチド配列に特異的ではないN末端PTH特異的シグナル抗体は、wPTH(図6の上部)だけでなく、PIN(巨大非(1〜84)PTHフラグメント)(図6の下部)も検出することができる。
【0115】
157人の慢性尿毒症慰患者のアッセイ結果の比較を、図7に示す。これらの患者由来の血清サンプルを、wPTH IRMAおよび上記I−PTHアッセイを使用して測定した。どの場合においても、wPTHレベルはI−PTHレベルよりも低い。
【0116】
〔G.シクラーゼ活性PTH/PTHフラグメント比アッセイ〕
本発明の別の好ましい実施形態は、しばしばサンドイッチアッセイと呼ばれる免疫放射測定アッセイ(IRMA)である。本明細書中に記載するように、このようなアッセイで使用される要素は、固体支持体に付着した捕捉抗体およびこれに付着した標識を有するシグナル抗体を含む。典型的には、本明細書中に記載のように、C末端PTHフラグメントに特異的な捕捉抗体を選択する一方で、標識抗体は中末端PTHペプチド配列に特異的である。しかし、これらの抗体の特異性を逆にすることができる。
【0117】
あるいは、従来の沈殿アッセイまたは濁度測定アッセイなどのPTHフラグメントが溶液から沈殿するか溶液中で識別される免疫アッセイを作製することができる。例えば、沈殿塊を形成するために少なくとも2つまたはそれ以上の抗体を使用することができる。これらの抗体は、PTHのN末端、C末端、および/または中末端部分を特異的に有する。PTHフラグメントと抗体との組み合わせ塊により、従来の技術によって測定することができる標識沈殿塊が形成される。
【0118】
別の方法は、C末端PTH配列抗体をラテックス粒子などのコロイド状の固体支持体に結合させる。さらに、クロラミンTでの酸化、1mCiの125I放射性同位体との室温で25秒間のインキュベーション、およびメタ重硫酸ナトリウムとの反応により50μgのアフィニティ精製ヤギ抗(7〜53)PTH抗体のヨード化によってシグナル抗体を作製することができる。製造者の説明書に従ったPD−10脱塩カラム(Pharmacia,Uppsala,Sweden)へのヨード化混合物の通過によって非組み込み125I放射性同位体を125−1−ヤギ抗(7〜53)PTHシグナル抗体から分離する。脱塩カラムから回収した画分を、ガンマカウンターで測定し、125−1−ヤギ抗(7〜53)PTH抗体を示す画分をプールし、約300,000DPM(壊変毎分)/100μlの濃度に希釈する。この溶液は、PTHアッセイで使用される追跡溶液である。
【0119】
アフィニティ精製ヤギ抗(12−53)PTH抗体、精製ヤギ抗(17−53)PTH抗体、精製ヤギ抗(22−53)PTH抗体、精製ヤギ抗(27−53)PTH抗体、精製ヤギ抗(32−53)PTH抗体、精製ヤギ抗(37−53)PTH抗体、精製ヤギ抗(42−53)PTH抗体、および精製ヤギ抗(47−53)PTH抗体などを使用して、他のシグナル抗体を提供することもできる。本明細書中に記載の他の中末端PTHペプチドフラグメントおよびエピトープに特異的な抗体も意図される。任意選択的に、異なるPTH部分に特異的な抗体フラグメントを、異なるヤギを使用して獲得し、ELISA方法を使用して、最適な抗体の作製および使用を決定することができる。例えば、Harlow E,Lane D:Antibodies:A laboratory manual.Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,1988を参照のこと。
【0120】
当業者に公知の受動的吸収技術を用いたアフィニティ精製ヤギ抗(39〜84)PTH抗体と12×75mmポリスチレンチューブ(Nunc,Denmark)への付着によって捕捉抗体コーティングチューブを作製することができる。チューブを空にして乾燥させ、20個の固相抗体コーティングチューブを作製する。本発明の方法は、任意の種々のC末端PTH抗体を有する固相抗体コーティングチューブの作製にも有用である。例えば、PTH40〜84に特異的な作製された抗体(PTH60〜84およびPTH65〜84に特異的な抗体の範囲)は、本発明で有用である。当業者は、捕捉抗体および標識/シグナル抗体に対する特異性を逆にすることができると理解している。
【0121】
これらの特異的抗体の選択を使用して、無力性骨代謝回転を有する患者由来のサンプルをアッセイすることができる。1つの例では、50〜100mlの血液サンプルを、無力性低骨代謝回転を罹患した被験体から採取する。次いで、サンプルを、上記の捕捉抗体および標識抗体を使用した多重サンドイッチアッセイに供する。各アッセイは、サンプル中に存在する1つまたは複数のPTHフラグメントに加えて、全PTHレベルを決定する。次いで、全PTHレベルを、PTHフラグメントレベルおよび総PTHレベルの種々の順列と比較する。次いで、比較の結果を、患者の対応する骨組織学データに照らして考慮して、骨代謝回転率を予想する1つまたは複数の比較スキームを決定する。このアッセイの実施によって得られた比の結果を表1に示し、上文にさらに記載する。
【0122】
PTH比により、被験体の一定の骨代謝回転率が予想される。本開示は、さらなるPTHフラグメントがPTH7〜84を超えてサンプル中に存在し、しばしば骨代謝回転率に影響を与え得ることを認識する。したがって、本発明の組成物、キット、および方法は、被験体の治療および予想上の利点に関連する、PTH7〜84に加えてPTHフラグメントの計上に特に有用である。理論に拘束されないが、この発見の1つの構成要素は、循環巨大PTHフラグメントの一部が不活性であるにも関わらず、他方は全PTHによって示された骨代謝回転率に対する拮抗効果を示すという所見に一部例示される。したがって、特定のアッセイにおける循環PTHフラグメントの全部または大部分は結果のばらつきを減少させ、その治療、診断、および予想での利用可能性が増大する。
【0123】
〔H.臨床用途〕
本発明のwPTHおよびPINアッセイを、188人の臨床状況で使用した。群は、正常な健常副甲状腺を有する31人および継続的に透析を受けている慢性尿毒症を罹患した157人を含んでいた。各患者から血液サンプルを採取し、Scantibodies Laboratory,Inc.のwPTHアッセイおよび総PTH値が得られるNichols InstituteのI−PTHアッセイを使用してアッセイした。
【0124】
表3は、透析を受けている慢性尿毒症患者由来のwPTH、PIN、および10回の総PTHアッセイの個別および比較した結果を示す。
【0125】
【表3A】
【表3B】
【表3C】
【表3D】
【表3E】
【表3F】
【表3G】
【表3H】
【0126】
表4は、健常者由来のwPTHアッセイ、PINアッセイ、および総PTHアッセイの個別および比較の結果を示す。
【0127】
【表4A】
【表4B】
【0128】
明確に、これらの2群の中央値における統計的有意差は、これらのアッセイの単独使用またはその各値の比較によって2群を区別することができることを証明する。
【0129】
【表5】
【0130】
〔I.「全」PTH IRMAアッセイの特徴づけ〕
この新規の全PTH二部位アッセイ(Scantibodies, Laboratories,Santee,CA,USA)およびPTH分子の39〜84領域を認識する抗体を最初に使用する。ヤギから産生してアフィニティ精製したこの抗体は、相対的に過剰に存在し、ポリスチレンコーティングチューブに固定させる。第2の抗体(これもヤギから産生した)もアフィニティ精製し、これはヒトPTH分子の最初の6アミノ酸(1〜6;Ser−Val−Ser−Glu−Ile−Gln)のみを認識する(図1)。この抗hPTHアッセイは、標準として合成ヒトPTH1〜84を使用し、検出下限は約1〜2pg/mLである。正常値は、5から35pg/mLまでの範囲である。変動のアッセイ間およびアッセイ内の係数は、2%〜7%との間であることが見出され、回収率は96%から100%までであった。全PTHアッセイを、Nichols Institute(I-Nichols,San Jan Capistrano,CA.USA)から購入したインタクトなPTHアッセイと比較した。合成ヒトPTH1〜84および7〜84を、Bachem(Torrance,CA USA)から購入した。hPTH1〜84および非(1〜84)PTHの循環レベルを評価するために、透析前のヘパリン処理血液サンプルを、1.2年〜7.5年の長期血液透析を継続している28人の患者および14人の腎移植患者(1〜6年)から得た。
【0131】
(1.インビトロ研究)
骨芽細胞株。2つのペプチド(HPTH1〜84および7〜84)の生物学的結果を比較するために、骨芽細胞表現型を有し、且つPTHに応答してcAMP産生が増加することが公知のラット(rate)骨肉種細胞株ROS/17.2において細胞内cAMP産生を測定した。細胞を、10%ウシ胎児血清を含むHam F12培地で培養した。細胞を、30,000細胞/ウェルの密度で12ウェルプレートにプレートし、コンフルエンスまで成長させた。細胞を37℃のKHMS緩衝液(KCI4.0mmol/L、CaCl2 1.25mmol/L、MgSO4 1.25mmol/L、KH2PO4 1.2mmol/L、HEPES 10mmol/L、NaCl 100mmol/L、NaHCO3 37mmol/L、およびグルコース10mmol/L(pH7.5))で3回洗浄した。イソブチル−1メチルキサンチン(IBMX)1.0mmol/Lおよび種々の濃度(10-11〜10-8mol/L)のhPTH1〜84またはhPTH7〜84を含む500μLのKHMS緩衝液(37℃)を使用して、cAMP産生を測定した。5分間のインキュベーション後、100μLの1.8mol/L過塩素酸(pechloric acid)を添加した。室温で5分間のさらなるインキュベーション後、100μLの3mol/KHCO3を添加して酸を中和した。サンプルを300rpmで15分間遠心分離し、上清cAMPについてアッセイした(26)。
【0132】
ヒト副甲状腺中のPTHの分析。ヒト副甲状腺を、氷冷リン酸緩衝化生理食塩水中に入れ、副甲状腺切除術の30分以内に処理した。副甲状腺組織のアリコートを切断し、秤量し、100mmol/L Tris−HCl(pH7.5)、100mmol/L NaCl、1mol/L DL−ジチオスレイトール、および完全なTMプロテアーゼインヒビターカクテル(Boehringer-Mannheim,Mannheim,Germany)を含む500μLの緩衝液中でホモジナイズした。ホモジネートを、それぞれ0℃で30秒間にて3回超音波処理し、10,000×gで15分間遠心分離した。1〜84PTH、非(1〜84)PTH、および総タンパク質の測定を行うまで、上清を−70℃で維持した。
【0133】
(2.インビボ研究)
血漿カルシウム上昇性応答。体重が225g〜250gの正常な雌Sprague-Dawleyラット(Harlan,Indianapolis,IN,USA)の副甲状腺を切除し(PTX)、0.02%カルシウム食を与えた。一晩の絶食後の血漿カルシウムが7.0mg/dL未満のラットが研究に含まれた。20μgの用量のhPTH1〜84または7〜84を、PTXラットを、各30分間隔で5μgを4回(0、30、60、および90分)PTXラットに腹腔内投与した。コントロール研究のために、ラットに賦形剤(生理食塩水)のみを投与した。0、60、90、および120分後に尾静脈から血液を採取した。競合実験のために、hPTH1〜84の各注射前にラットにhPTH7〜84を10分間注射した。hPTH7〜84/hPTH1〜84のモル比は1:1であった。
【0134】
リン酸尿症応答。軽い麻酔下でのクリアランス研究のために、225g〜250gの正常な雌Sprague-Dawleyラットを準備した。ポリエチレンカテーテル(PE50)を、採血および血圧測定(Blood Pressure Analyzer;Micro-Medic,Inc.,Louisville,KY,USA)のために大腿動脈(femoeral artery)に挿入し、注入のために大腿静脈に挿入し、採尿のために膀胱に挿入した。ラットをPlexiglas(登録商標)ホルダーに入れ、1時間麻酔の影響から回復させた。50mg/mL〜100mg/mLとの間の血漿イヌリンレベルを達成するために、3分間にわたりプライミング用量(0.6mL)の化学イヌリンを含む生理食塩水を投与した。このレベルを維持するためのイヌリンおよび0.5mgのカルシウムを送達するためのグルコン酸カルシウムを含む生理食塩水を、0.03mL/分の速度で注入した。平衡化後、全部で4つの30分間の尿回収物を得た。
【0135】
リン酸排泄に対するhPTH1〜84を評価するために、2つのコントロール期間中に採尿し、その後ラットに1.8μgのhPTH1〜84のプライミングボーラスを投与し、全部で8.2μgのI−PTHを送達させる持続的注入を行った。20分間の平衡化後、30分の採尿を2回行った。競合実験では、hPTH1〜84の前に4:1のモル比でhPTH7〜84を5分間投与した。
【0136】
ベースライン期間の開始および終了時(PTH注入の開始時および研究の終了時)に血液サンプルおよび血圧の測定値を記録した。Fuehr,Kaczmarczyk,およびKruttgen,Klin Wochenschr,33:729-730(1955)の方法によって血漿中および尿中のイヌリン濃度を決定した。イヌリンクリアランスおよび部分リン尿排泄率(FEP04)の計算による糸球体濾過率(GFR)の評価を標準的な様式で行った。血液サンプルを遠心分離し、血漿中のリン濃度およびカルシウム濃度を測定した。
【0137】
(3.血清化学)
自動吸収分光計(モデル1100B;Perkin Elmer,Norwalk,CT,USA)を使用して総血漿カルシウムレベルを決定した。オートアナライザー(COBAS MIRA Plus;Roche,Newark,NJ,USA)を使用して血漿リンレベルを決定した。
【0138】
(4.統計分析)
結果を平均±SEMで示す。Nは、サンプル数を示す。他で示さない限り、ペアードt検定を使用して統計的有意性を試験した。
【0139】
〔J.hPTH1〜84についてのIRMAアッセイの特異性〕
最初の研究は、hPTH1〜84分子とhPTH7〜84分子とを区別するためにNicholsインタクト(I-Nichols)PTHアッセイの能力および新規の全PTHアッセイの能力を比較した。図13は、Nichols「インタクトな」PTHアッセイはヒトPTH1〜84と7〜84を区別できないことを示す。しかし、図14に示すように、全PTHアッセイを使用して行った研究は、hPTH1〜84が高感度で検出されるのに対して、hPTH7〜84は10,00pg/mLの濃度でさえも検出不可能であることを示す。
【0140】
(1.インビトロ研究)
hPTH1〜84またはhPTH7〜84に曝露したROS/17.2細胞によるcAMP産生の結果を、図15に示す。hPTH7〜84と異なり、hPTH1〜84により、用量依存様式でcAMP産生が増加した。hPTH1〜84(10-8mol/L)により、18.1±1.25nmol/ウェルから738±4.13nmol/ウェルまで細胞内cAMPが増加した。他方では、同一濃度のhPTH7〜84ではcAMPに効果がなかった(N=6)。
【0141】
(2.ラットにおけるインビボ研究)
本発明者らは、次に、PTXラットの血清カルシウム変化の測定によって骨中のhPTH1〜84の潜在的な競合インヒビターとしてhPTH7〜84フラグメントを試験した。図12は、0.02%カルシウム食を与えたPTXラットへのhPTH1〜84の投与によって血漿カルシウムが0.65±0.10mg/dLに増加することを示す(N=9、P<0.001、ANOVA)。賦形剤のみの投与では、血漿カルシウムは、PTXに一致してわずかに変化した(−0.17±0.10mg/dL、N=5)。hPTH7〜84を投与したラットでわずかではあるが有意な減少が認められた(0.30±0.08mg/dL、N=5、P<0.05)。両ペプチドを、互いに1:1のモル比で投与した場合、hPTH1〜84のみの投与によって誘導された血漿カルシウム上昇性応答は、94%まで減少した(N=6、P<0.001、ANOVA)。したがって、このモデルでは、hPTH7〜84はわずかに骨カルシウム代謝のhPTH1〜84誘導を有意に阻害する。
【0142】
これらの2つのペプチドのリン酸尿症効果を評価した(図16)。GFRは、hPTH1〜84を注入したラットで変化しなかったのに対して(1.8±0.3mL/分に対して1.8±0.1mL/分)、リン酸塩の部分排出(FEP04)は11.9±2.4%から27.7±2.4%(N=10、P<0.001)に増加した。hPTH7〜84をhPTH1〜84と同時に投与した場合、GFRは2.1±0.1mL/分から2.6±0.2mL/分に増加した(N=8、P<0.05)。しかし、GFRのこの増加にも関わらず、hPTH1〜84での処置によって誘導されたFEP04の増加は、hPTH7〜84の同時投与によって50.2%(P<0.01)まで有意に減少した。
【0143】
(3.ヒトでの研究)
図17は、血漿PTH値は、全アッセイと比較したI-Nicholsアッセイで測定した場合、長期透析を受けている28人の患者全員でより高いことを示す。PTHの中央値はそれぞれ523に対して344pg/ml(P<0.001)であった。これらのデータの回帰分析を図7に示す。
【0144】
次に、非(1〜84)PTH(「おそらく」hPTH7〜84)の血漿レベルと血漿カルシウムおよびリンとの間の関連を、長期透析を維持している20人の患者で試験した(図18)。非(1〜84)PTHと血清カルシウムとの割合の間に正相関が存在するが(P<0.002)、血漿リンとは相関しなかった(データ示さず)。同一の血液サンプルでカルシウム、リン、およびPTHが存在する患者のみでこれらの研究を行った(20)。
【0145】
14人の腎移植患者群では、I-Nicholsアッセイおよび全PTHアッセイで測定したところ、非(1〜84)PTHの割合は全PTHの44.1±3.1%であることが見出された(図19)。I-Nicholsアッセイを使用した絶対PTH値は、全PTHアッセイを使用した79.8±24.8pg/mL(P<0.005)と比較して132.9±39.9であった。
【0146】
最後に、副甲状腺でhPTH1〜84分子の細胞内クリアランスが起こり、それによって非(1〜84)PTHフラグメントを産生されるかどうかを試験した。長期透析を維持している6人の尿毒症患者から手術によって切除した副甲状腺を研究した。図20は、非(1〜84)PTHフラグメントがこれらの副甲状腺由来の細胞溶解物中に存在し、「インタクトな」PTHアッセイ(すなわち、1〜84PTH、おそらく7〜84PTH)によって測定したところ、全細胞内PTHの41.8±3.2%(P<0.05)であることを示す。
【0147】
当業者は、本発明が上記の任意の数の好ましい特徴を組み込むことができることを認識することができる。
【0148】
上記実施例は例示のみを目的として含まれ、本発明の範囲を制限することを意図しない。上記実施例の多数の変形形態が可能である。上記実施例の修正形態および変形形態が当業者に明らかであるので、本発明は添付の特許請求の範囲のみに制限されることが意図される。
【0149】
上記刊行物または書類の引用は、いずれも適切な先行技術であると承認されることを意図せず、これらの刊行物または書類の内容または日付に関して承認されていることも意図しない。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】全ヒトPTH(配列番号1)の線図である。
【図2】追跡エレメントとして本発明の抗体を使用したwPTHアッセイの線図である。
【図3】捕捉エレメントとして本発明の抗体を使用したwPTHアッセイの線図である。
【図4】wPTHアッセイの検量線を示すグラフである。
【図5】「正常な」PTH値を有する正常な健常者についての従来のI−PTHアッセイと本発明のwPTHアッセイとを比較したグラフである。
【図6】従来のI−PTHアッセイにおける非(1〜84)PTHフラグメントからの干渉を示す線図である。
【図7】慢性尿毒症患者についての従来のI−PTHアッセイと本発明のwPTHアッセイとを比較したグラフである。
【図8】正常な健常者、原発性副甲状腺機能亢進症患者、および慢性尿毒症患者の値の分布を示すグラフである。
【図9】どのようにしてPINが受容体レベルでwPTHの作用を遮断し、それによって患者をwPTHの生物学的作用に対して鈍感になるかを示す線図である。
【図10】本発明で使用した総PTHアッセイにおいてwPTHとPINとの完全な交差反応性を証明するグラフである。
【図11】どのようにして本発明で使用した全PTHアッセイがPINを検出しないかを証明するグラフである。
【図12】どのようにしてPINがwPTHのインビボインヒビターであるのかを証明するグラフである。
【図13】NicholsI-PTHアッセイによるhPTH1〜84およびhPTH7〜84の認識の比較を示す図である。NicholsI-PTHアッセイは、hPTH1〜84(実線)とhPTH7〜84(破線)とを区別しない。
【図14】全PTHアッセイによるhPTH1〜84およびhPTH7〜84の認識の比較を例示する図である。NicholsI-PTHアッセイと異なり、全PTHアッセイは、hPTH1〜84(実線)とhPTH7〜84(破線)とを区別しない。10,000pgほどのhPTH7〜84の濃度を検出不可能であった。
【図15】ROS17.2細胞におけるcAMP産生に対するhPTH1〜84またはhPTH7〜84の効果の比較を例示する図である。hPTH7〜84と異なり、hPTH1〜84は、用量依存様式でcAMP産生を増加させた。10-8mol/LのhPTH1〜84を使用した処置後のcAMPは、18.1±1.2nmol/ウェルから738±4.1nmol/ウェルまでに増加した。同濃度のhPTH7〜84は効果がなかった。
【図16】(A)糸球体濾過率(GFR)および(B)リン排泄分画(FEpo4)に対するhPTH1〜84またはhPTH1〜84+hPTH7〜84の効果の比較を例示する図である。コントロールおよび処置期間を、それぞれ白抜きおよび黒塗りのバーで示す。hPTH1〜84によって誘導されたリン酸塩尿症は、動物を7〜84PTHと同時処置した場合は50.2%(p<0.05)減少したが、GFRは有意に増加した(P<0.005)。
【図17】全PTHアッセイ(●)に対してNichols「インタクト」PTHアッセイ(黒四角)を使用した尿毒症患者由来の血漿中のPTH値の比較を例示する図である。血漿PTH値は、全PTHアッセイよりもNichols「インタクト」PTHアッセイを使用した場合に一様に高い。PTHの中央値は、それぞれ344pg/mLに対して523pg/mLであった。
【図18】透析患者におけるPTH分解に対する血漿カルシウムの効果を例示する図である。非(1〜84)PTHフラグメント(おそらくhPTH7〜84)の比率は、血漿カルシウム(P<0.02)(r=0.638;P=0.0025;N=20)と正に相関する。
【図19】NicholsI-PTHアッセイおよび全PTHアッセイを使用した腎移植患者における血漿PTHレベルの比較を例示する図である。PTH値は、NicholsI-PTHアッセイで測定した場合により高い(P>0.005)。
【図20】尿毒症患者由来の副甲状腺における細胞内PTH含有量を例示する図である。I-Nicholsアッセイによって測定された41.8±3.2%の総PTH(100%として示す)は、非(1〜84)PTHフラグメントが「おそらく」hPTH7〜84(?)であることを示す。全PTHアッセイを使用して1〜84PTH分子を測定した()。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全副甲状腺ホルモン(PTH)のN末端配列に特異的に結合し、哺乳動物サンプル中の前記全PTHを生理学的レベルで検出することができる単離された抗体であって、前記単離抗体が非全PTHフラグメントへの結合を回避する、単離抗体。
【請求項2】
モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、または抗体フラグメントである、請求項1に記載の単離抗体。
【請求項3】
PTH1〜6、PTH1〜8、PTH1〜9、PTH1〜12、PTH1〜15、またはPTH3〜12に含まれるエピトープに特異的に結合する、請求項1に記載の単離抗体。
【請求項4】
副甲状腺ホルモンペプチドであるヒトPTH1〜8、ラットPTH1〜8、マウスPTH1〜8、ウシPTH1〜8、イヌPTH1〜8、ブタPTH1〜8、ウマPTH1〜8、ヒトPTH1〜15、ラットPTH1〜15、マウスPTH1〜15、ウシPTH1〜15、イヌPTH1〜15、ブタPTH1〜15、またはウマPTH1〜15であって、前記ペプチド配列の少なくとも4つのアミノ酸が前記抗体との反応部分の一部である副甲状腺ホルモンペプチドに特異的に結合する、請求項1に記載の単離抗体。
【請求項5】
PTH1〜5、PTH1〜7、PTH1〜8、PTH1〜10、PTH1〜11、PTH1〜13、PTH1〜14、PTH1〜15、PTH1〜16、PTH1〜17、PTH1〜18、PTH1〜19、PTH1〜20、PTH1〜21、PTH1〜22、PTH1〜23、PTH1〜24、PTH1〜25、PTH1〜26、hPTH1〜27、PTH1〜28、PTH1〜29、PTH1〜30、PTH1〜31、PTH1〜32、PTH1〜33、PTH1〜34、PTH1〜35、PTH1〜36、PTH1〜37、PTH2〜5、PTH2〜6、PTH2〜7、PTH2〜8、PTH2〜9、PTH2〜10、PTH2〜11、PTH2〜12、PTH2〜13、PTH2〜14、PTH2〜15、PTH2〜16、PTH2〜17、PTH2〜18、PTH2〜19、PTH2〜20、PTH2〜21、PTH2〜22、PTH2〜23、PTH2〜24、PTH2〜25、PTH2〜26、PTH2〜27、PTH2〜28、PTH2〜29、PTH2〜30、PTH2〜31、PTH2〜32、PTH2〜33、PTH2〜34、PTH2〜35、PTH2〜36、PTH2〜37、PTH3〜6、PTH3〜7、PTH3〜8、PTH3〜9、PTH3〜10、PTH3〜11、PTH3〜13、PTH3〜14、PTH3〜15、PTH3〜16、PTH3〜17、PTH3〜18、PTH3〜19、PTH3〜20、PTH3〜21、PTH3〜22、PTH3〜23、PTH3〜24、PTH3〜25、PTH3〜26、PTH3〜27、PTH3〜28、PTH3〜29、PTH3〜30、PTH3〜31、PTH3〜32、PTH3〜33、PTH3〜34、PTH3〜35、PTH3〜36、PTH3〜37、PTH4〜7、PTH4〜8、PTH4〜9、PTH4〜10、PTH4〜11、PTH4〜12、PTH4〜13、PTH4〜14、PTH4〜15、PTH4〜16、PTH4〜17、PTH4〜18、PTH4〜19、PTH4〜20、PTH4〜21、PTH4〜22、PTH4〜23、PTH4〜24、PTH4〜25、PTH4〜26、PTH4〜27、PTH4〜28、PTH4〜29、PTH4〜30、PTH4〜31、PTH4〜32、PTH4〜33、PTH4〜34、PTH4〜35、PTH4〜36、PTH4〜37、PTH5〜8、PTH5〜9、PTH5〜10、PTH5〜11、PTH5〜12、PTH5〜13、PTH5〜14、PTH5〜15、PTH5〜16、PTH5〜17、PTH5〜18、PTH5〜19、PTH5〜20、PTH5〜21、PTH5〜22、PTH5〜23、PTH5〜24、PTH5〜25、PTH5〜26、PTH5〜27、PTH5〜28、PTH5〜29、PTH5〜30、PTH5〜31、PTH5〜32、PTH5〜33、PTH5〜34、PTH5〜35、PTH5〜36、またはPTH5〜37に含まれるエピトープに特異的に結合する、請求項1に記載の単離抗体。
【請求項6】
前記抗体と前記全PTHのN末端配列との間の結合が、hPTHのアミノ酸残基2〜5の存在に依存する、請求項1に記載の単離抗体。
【請求項7】
前記抗体と前記全PTHのN末端配列との間の結合が、hPTHのアミノ酸残基3〜6の存在に依存する、請求項1に記載の単離抗体。
【請求項8】
前記非全PTHフラグメントが、PTH3〜84とPTH34〜84との間のアミノ酸配列を有するペプチドである、請求項1に記載の単離抗体または抗体フラグメント。
【請求項9】
前記非全PTHフラグメントが、ヒトPTH7〜84のアミノ酸配列を有するペプチドである、請求項1に記載の単離抗体。
【請求項10】
哺乳動物サンプル中の生理学的レベルの全副甲状腺ホルモンを測定する方法であって、
a)試験すべき哺乳動物からサンプルを得るステップと、
b)全PTHのN末端配列に特異的に結合し、前記哺乳動物サンプル中の前記全PTHを生理学的レベルで検出することができる単離された抗体であって、前記単離抗体が非全PTHフラグメントへの結合を回避する単離抗体に、前記サンプルを接触させるステップと、
c)前記哺乳動物サンプル中の生理学的レベルの全副甲状腺ホルモンを測定するために、前記サンプル中に存在する場合、前記全副甲状腺ホルモンと前記抗体との間で形成された複合体を評価するステップと
を含む方法。
【請求項11】
前記サンプルが、血清、血漿、および血液のサンプルからなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記サンプルが臨床サンプルである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
腎疾患被験体、骨粗鬆症被験体の臨床管理、または原発性副甲状腺機能亢進症の診断に使用される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記哺乳動物がヒトである、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記サンプルがヒト臨床サンプルである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記抗体がモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、または抗体フラグメントである、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記抗体が、PTH1〜6、PTH1〜8、PTH1〜9、PTH1〜12、PTH1〜15、またはPTH3〜12に含まれるエピトープに特異的に結合する、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記抗体が、副甲状腺ホルモンペプチドであるヒトPTH1〜8、ラットPTH1〜8、マウスPTH1〜8、ウシPTH1〜8、イヌPTH1〜8、ブタPTH1〜8、ウマPTH1〜8、ヒトPTH1〜15、ラットPTH1〜15、マウスPTH1〜15、ウシPTH1〜15、イヌPTH1〜15、ブタPTH1〜15、またはウマPTH1〜15であって、前記ペプチド配列の少なくとも4つのアミノ酸が前記抗体との反応部分の一部である副甲状腺ホルモンペプチドに特異的に結合する、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記抗体が、PTH1〜5、PTH1〜7、PTH1〜8、PTH1〜10、PTH1〜11、PTH1〜13、PTH1〜14、PTH1〜15、PTH1〜16、PTH1〜17、PTH1〜18、PTH1〜19、PTH1〜20、PTH1〜21、PTH1〜22、PTH1〜23、PTH1〜24、PTH1〜25、PTH1〜26、hPTH1〜27、PTH1〜28、PTH1〜29、PTH1〜30、PTH1〜31、PTH1〜32、PTH1〜33、PTH1〜34、PTH1〜35、PTH1〜36、PTH1〜37、PTH2〜5、PTH2〜6、PTH2〜7、PTH2〜8、PTH2〜9、PTH2〜10、PTH2〜11、PTH2〜12、PTH2〜13、PTH2〜14、PTH2〜15、PTH2〜16、PTH2〜17、PTH2〜18、PTH2〜19、PTH2〜20、PTH2〜21、PTH2〜22、PTH2〜23、PTH2〜24、PTH2〜25、PTH2〜26、PTH2〜27、PTH2〜28、PTH2〜29、PTH2〜30、PTH2〜31、PTH2〜32、PTH2〜33、PTH2〜34、PTH2〜35、PTH2〜36、PTH2〜37、PTH3〜6、PTH3〜7、PTH3〜8、PTH3〜9、PTH3〜10、PTH3〜11、PTH3〜13、PTH3〜14、PTH3〜15、PTH3〜16、PTH3〜17、PTH3〜18、PTH3〜19、PTH3〜20、PTH3〜21、PTH3〜22、PTH3〜23、PTH3〜24、PTH3〜25、PTH3〜26、PTH3〜27、PTH3〜28、PTH3〜29、PTH3〜30、PTH3〜31、PTH3〜32、PTH3〜33、PTH3〜34、PTH3〜35、PTH3〜36、PTH3〜37、PTH4〜7、PTH4〜8、PTH4〜9、PTH4〜10、PTH4〜11、PTH4〜12、PTH4〜13、PTH4〜14、PTH4〜15、PTH4〜16、PTH4〜17、PTH4〜18、PTH4〜19、PTH4〜20、PTH4〜21、PTH4〜22、PTH4〜23、PTH4〜24、PTH4〜25、PTH4〜26、PTH4〜27、PTH4〜28、PTH4〜29、PTH4〜30、PTH4〜31、PTH4〜32、PTH4〜33、PTH4〜34、PTH4〜35、PTH4〜36、PTH4〜37、PTH5〜8、PTH5〜9、PTH5〜10、PTH5〜11、PTH5〜12、PTH5〜13、PTH5〜14、PTH5〜15、PTH5〜16、PTH5〜17、PTH5〜18、PTH5〜19、PTH5〜20、PTH5〜21、PTH5〜22、PTH5〜23、PTH5〜24、PTH5〜25、PTH5〜26、PTH5〜27、PTH5〜28、PTH5〜29、PTH5〜30、PTH5〜31、PTH5〜32、PTH5〜33、PTH5〜34、PTH5〜35、PTH5〜36、またはPTH5〜37に含まれるエピトープに特異的に結合する、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
前記抗体と前記全PTHのN末端配列との間の結合が、hPTHのアミノ酸残基2〜5の存在に依存する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記抗体と前記全PTHのN末端配列との間の結合が、hPTHのアミノ酸残基3〜6の存在に依存する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記非全PTHフラグメントが、PTH3〜84とPTH34〜84との間のアミノ酸配列を有するペプチドである、請求項10に記載の方法。
【請求項23】
前記非全PTHフラグメントが、ヒトPTH7〜84のアミノ酸配列を有するペプチドである、請求項10に記載の方法。
【請求項24】
前記複合体が、サンドイッチアッセイ形式または競合アッセイ形式によって評価される、請求項10に記載の方法。
【請求項25】
サンドイッチアッセイ形式において、全PTHのN末端配列に特異的に結合する前記抗体を第1の抗体として使用し、前記第1の抗体に結合する前記N末端配列以外の全PTHの一部に結合することができる抗体を第2の抗体として使用する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の抗体または第2の抗体のいずれかが表面に付着して捕捉抗体として機能する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記捕捉抗体が、前記表面に直接または間接的に付着する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記捕捉抗体が、ビオチン−アビジン(またはストレプトアビジン)連結対を介して前記表面に付着する、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記複合体を、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫ブロッティング、免疫沈降、放射免疫アッセイ(RIA)、免疫染色、ラテックス凝集、間接赤血球凝集アッセイ(IHA)、補体結合、間接免疫蛍光アッセイ(IFA)、比濁法、フローサイトメトリーアッセイ、プララズモン共鳴アッセイ、化学発光アッセイ、側方流動免疫アッセイ、u−キャプチャーアッセイ、阻害アッセイ、およびアビディティアッセイからなる群より選択される形式によって評価する、請求項10に記載の方法。
【請求項30】
前記複合体を、同種アッセイ形式または異種アッセイ形式で評価する、請求項10に記載の方法。
【請求項31】
前記全副甲状腺ホルモンの生理学的レベルが、4pmo/L未満である、請求項10に記載の方法。
【請求項32】
前記全副甲状腺ホルモンの生理学的レベルが、約0.2pmol/L〜約4pmol/Lである、請求項10に記載の方法。
【請求項33】
PTHペプチドフラグメントレベルおよび/または総PTHレベルを測定するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項34】
前記サンプルを、1つまたは複数の単離抗体であって、前記1つまたは複数の各単離抗体が、PTH39〜84、PTH1〜34、PTH43〜68、PTH7〜84、PTH39〜68、PTH53〜84、PTH65〜84、PTH44〜68、PTH19〜84、PTH23〜84、PTH1〜38、PTH1〜48、PTH1〜58、PTH1〜68、およびPTH1〜78からなる群より選択される1つまたは複数のPTHペプチドフラグメントに特異的に結合する単離抗体に接触させる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
全PTHレベル、総PTHペプチドフラグメントレベル、総PTHレベル、C末端PTHフラグメント(cPTH)レベル、N末端PTHフラグメントレベル、および中末端(mid-terminal)PTHフラグメント(mPTH)レベルからなる群より選択される少なくとも2つのパラメーターを比較するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記比較の結果を使用して、哺乳動物が骨代謝回転関連障害を罹患しているかどうかを決定するか、骨疾患または骨障害関連治療をモニタリングする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
無形成骨症(ADN)または重症副甲状腺機能亢進症の診断または治療のモニタリングで使用される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記比較が、全PTHレベルと総PTHレベルとの間の比または比率の形態である、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記比較が、全PTHレベルと総PTHレベル−全PTHレベルの組み合わせの合計との間の比または比率の形態である、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記比較が、wPTHレベルとcPTHレベルおよびmPTHフラグメントの組み合わせのレベルとの間の比または比率の形態である、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記比較が約0.020未満の値を有する比であり、前記哺乳動物が無形成骨症を罹患していると決定される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記比較が約0.020を超える値を有する比であり、前記哺乳動物が重症副甲状腺機能亢進症を罹患していると決定される、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記比較が、式:wPTH/((cPTH−wPTH)+(mPTH−wPTH))によって示される比または比率の形態である、請求項35に記載の方法。
【請求項44】
前記比較が約0.0185未満の値を有する比であり、前記哺乳動物が無形成骨症を罹患していると決定される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記比較が約0.0185を超える値を有する比であり、前記哺乳動物が重症副甲状腺機能亢進症を罹患していると決定される、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記比較が、全PTHレベルとcPTHレベルおよびmPTHフラグメントの組み合わせのレベルの合計から全PTHレベルを引いた値との間の比または比率の形態である、請求項35に記載の方法。
【請求項47】
前記比較が約0.020未満の値を有する比であり、前記哺乳動物が無形成骨症を罹患していると決定される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記比較が約0.020を超える値を有する比であり、前記哺乳動物が重症副甲状腺機能亢進症を罹患していると決定される、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記比較が、全PTHレベルと全PTHレベル、cPTHレベル、およびmPTHフラグメントの組み合わせのレベルとの間の比または比率の形態である、請求項35に記載の方法。
【請求項50】
前記比較が約0.0175未満の値を有する比であり、前記哺乳動物が無形成骨症を罹患していると決定される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記比較が約0.0175を超える値を有する比であり、前記哺乳動物が重症副甲状腺機能亢進症を罹患していると決定される、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記比較が、全PTHレベルとcPTHフラグメントレベルとの間の比または比率の形態である、請求項35に記載の方法。
【請求項53】
前記比較が約0.103未満の値を有する比であり、前記哺乳動物が無形成骨症を罹患していると決定される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記比較が約0.103を超える値を有する比であり、前記哺乳動物が重症副甲状腺機能亢進症を罹患していると決定される、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記比較が、全PTHレベルとmPTHフラグメントレベルとの間の比または比率の形態である、請求項35に記載の方法。
【請求項56】
前記比較が約0.0225未満の値を有する比であり、前記哺乳動物が無形成骨症を罹患していると決定される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記比較が約0.0225を超える値を有する比であり、前記哺乳動物が重症副甲状腺機能亢進症を罹患していると決定される、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
a)実質的に正常な副甲状腺機能を有する者と副甲状腺機能亢進症を有する者との区別、
b)副甲状腺関連骨疾患および治療のモニタリング、
c)副甲状腺機能亢進症の治療上の処置の効果のモニタリング、または
d)副甲状腺関連骨疾患の診断
のために使用される、請求項10に記載の方法。
【請求項59】
哺乳動物サンプル中の生理学的レベルの全副甲状腺ホルモンを測定するためのキットであって、全副甲状腺ホルモン(PTH)のN末端配列に特異的に結合し、哺乳動物サンプル中の前記全PTHを生理学的レベルで検出することができる単離された抗体であって、非全PTHフラグメントへの結合を回避する単離抗体をコンテナ中に含む、キット。
【請求項60】
PTH1〜11、PTH1〜13、PTH1〜14、PTH1〜15、PTH1〜16、PTH1〜17、PTH1〜18、PTH1〜19、PTH1〜20、PTH1〜21、PTH1〜22、PTH1〜23、PTH1〜24、PTH1〜25、PTH1〜26、hPTH1〜27、PTH1〜28、PTH1〜29、PTH1〜30、PTH1〜31、PTH1〜32、PTH1〜33、PTH1〜34、PTH1〜35、PTH1〜36、PTH2〜5、PTH2〜6、PTH2〜8、PTH2〜9、PTH2〜10、PTH2〜11、PTH2〜12、PTH2〜13、PTH2〜14、PTH2〜15、PTH2〜16、PTH2〜17、PTH2〜18、PTH2〜19、PTH2〜20、PTH2〜21、PTH2〜22、PTH2〜23、PTH2〜24、PTH2〜25、PTH2〜26、PTH2〜27、PTH2〜28、PTH2〜29、PTH2〜30、PTH2〜31、PTH2〜32、PTH2〜33、PTH2〜34、PTH2〜35、PTH2〜36、PTH3〜6、PTH3〜7、PTH3〜9、PTH3〜10、PTH3〜11、PTH3〜12、PTH3〜13、PTH3〜14、PTH3〜15、PTH3〜16、PTH3〜17、PTH3〜18、PTH3〜19、PTH3〜20、PTH3〜21、PTH3〜22、PTH3〜23、PTH3〜24、PTH3〜25、PTH3〜26、PTH3〜27、PTH3〜28、PTH3〜29、PTH3〜30、PTH3〜31、PTH3〜32、PTH3〜33、PTH3〜34、PTH3〜35、PTH3〜36、PTH4〜7、PTH4〜8、PTH4〜9、PTH4〜10、PTH4〜11、PTH4〜13、PTH4〜14、PTH4〜15、PTH4〜16、PTH4〜17、PTH4〜18、PTH4〜19、PTH4〜20、PTH4〜21、PTH4〜22、PTH4〜23、PTH4〜24、PTH4〜25、PTH4〜26、PTH4〜27、PTH4〜28、PTH4〜29、PTH4〜30、PTH4〜31、PTH4〜32、PTH4〜33、PTH4〜34、PTH4〜35、PTH4〜36、PTH5〜8、PTH5〜9、PTH5〜11、PTH5〜12、PTH5〜13、PTH5〜14、PTH5〜15、PTH5〜16、PTH5〜17、PTH5〜18、PTH5〜19、PTH5〜20、PTH5〜21、PTH5〜22、PTH5〜23、PTH5〜24、PTH5〜25、PTH5〜26、PTH5〜27、PTH5〜28、PTH5〜29、PTH5〜30、PTH5〜31、PTH5〜32、PTH5〜33、PTH5〜34、PTH5〜35、PTH5〜36、およびPTH5〜37からなる群より選択される、単離された副甲状腺ホルモン(PTH)ペプチド。
【請求項61】
PTHペプチドの免疫原性を増強するキャリアに抱合された、請求項60に記載の単離PTHペプチド。
【請求項62】
前記キャリアがキャリアタンパク質である、請求項61に記載の単離PTHペプチド。
【請求項63】
前記PTHペプチドおよび前記キャリアタンパク質が、融合タンパク質の一部である、請求項62に記載の単離PTHペプチド。
【請求項64】
a)請求項60に記載のPTHペプチド;および
b)免疫応答増強物質
を含む、免疫原。
【請求項65】
前記免疫応答増強物質が、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)、コリネバクテリウム・パルブム、ウシ流産菌抽出物、グルカン、レバミゾール、チロロン、酵素、および非ビルレントウイルスからなる群より選択される、請求項64に記載の免疫原。
【請求項66】
複数の請求項60に記載のPTHペプチドに抱合した分岐オリゴリジンコアを含む、多重抗原ペプチド(MAP)。
【請求項67】
前記分岐オリゴリジンコアが、3、7、または15個のリジン残基を含む、請求項66に記載のMAP。
【請求項68】
前記複数のPTHペプチドが、スペーサーを介して前記分岐オリゴリジンコアに抱合している、請求項66に記載のMAP。
【請求項69】
前記スペーサーがアミノ酸残基である、請求項68に記載のMAP。
【請求項70】
4、8、または16個のPTHペプチドのコピーを含む、請求項68に記載のMAP。
【請求項71】
前記複数のPTHペプチドが、同一または異なるPTHペプチドを含む、請求項66に記載のMAP。
【請求項72】
副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTHペプチドに対する抗体の産生方法であって、前記方法は、
a)請求項60に記載の単離PTHペプチドを前記PTHペプチドに対する抗体の産生に十分な量で哺乳動物に導入するステップと、
b)前記哺乳動物から前記抗体を回収するステップと、
を含む、方法。
【請求項73】
請求項72に記載の方法によって産生された、PTHまたはPTHペプチドに対する抗体。
【請求項74】
副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTHペプチドに対する抗体の産生のためのキットであって、前記キットは、
a)請求項60に記載の単離PTHペプチドと、
b)前記単離PTHペプチドを前記PTHペプチドに対する抗体の産生に十分な量で哺乳動物に導入する手段と、
c)前記哺乳動物から前記抗体を回収するための手段と、
を含む、キット。
【請求項75】
副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTHペプチドに対する抗体の産生方法であって、前記方法は、
a)請求項66に記載のMAPを前記MAPに含まれるPTHペプチドに対する抗体の産生に十分な量で哺乳動物に導入するステップと、
b)前記哺乳動物から前記抗体を回収するステップと、
を含む、方法。
【請求項76】
請求項75に記載の方法によって産生されたPTHまたはPTHペプチドに対する抗体。
【請求項77】
副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTHペプチドに対する抗体の産生のためのキットであって、前記キットは、
a)請求項66に記載のMAPと、
b)前記MAPを前記MAPに含まれるPTHペプチドに対する抗体の産生に十分な量で哺乳動物に導入する手段と、
c)前記哺乳動物から前記抗体を回収するための手段と、
を含む、キット。
【請求項78】
副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTHペプチドに対する抗体の産生方法であって、前記方法は、
a)PTH1〜34とPTH1〜84との間のPTHタンパク質またはペプチドを前記PTHタンパク質またはペプチドに対する抗体の産生に十分な量で哺乳動物に導入するステップと、
b)前記哺乳動物から前記抗体を回収するステップと、
c)請求項60に記載のPTHペプチドに含まれるエピトープに特異的に結合するPTH抗体を、前記PTHペプチドを使用してアフィニティ精製するステップと、
を含む、方法。
【請求項79】
請求項78に記載の方法によって産生されたPTHまたはPTHペプチドに対する抗体。
【請求項80】
副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTHペプチドに対する抗体の産生のためのキットであって、前記キットは、
a)PTH1〜34とPTH1〜84との間のPTHタンパク質またはペプチドと、
b)前記PTH1〜34とPTH1〜84との間のPTHタンパク質またはペプチドを前記PTHタンパク質またはペプチドに対する抗体の産生に十分な量で哺乳動物に導入する手段と、
c)前記哺乳動物から前記抗体を回収するための手段と、
d)請求項60に記載のPTHペプチドと、
を含む、キット。
【請求項81】
前記全副甲状腺ホルモンの生理学的レベルが、約7pgm/mlから約39pgm/mlまでである、請求項10に記載の方法。
【請求項1】
全副甲状腺ホルモン(PTH)のN末端配列に特異的に結合し、哺乳動物サンプル中の前記全PTHを生理学的レベルで検出することができる単離された抗体であって、前記単離抗体が非全PTHフラグメントへの結合を回避する、単離抗体。
【請求項2】
モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、または抗体フラグメントである、請求項1に記載の単離抗体。
【請求項3】
PTH1〜6、PTH1〜8、PTH1〜9、PTH1〜12、PTH1〜15、またはPTH3〜12に含まれるエピトープに特異的に結合する、請求項1に記載の単離抗体。
【請求項4】
副甲状腺ホルモンペプチドであるヒトPTH1〜8、ラットPTH1〜8、マウスPTH1〜8、ウシPTH1〜8、イヌPTH1〜8、ブタPTH1〜8、ウマPTH1〜8、ヒトPTH1〜15、ラットPTH1〜15、マウスPTH1〜15、ウシPTH1〜15、イヌPTH1〜15、ブタPTH1〜15、またはウマPTH1〜15であって、前記ペプチド配列の少なくとも4つのアミノ酸が前記抗体との反応部分の一部である副甲状腺ホルモンペプチドに特異的に結合する、請求項1に記載の単離抗体。
【請求項5】
PTH1〜5、PTH1〜7、PTH1〜8、PTH1〜10、PTH1〜11、PTH1〜13、PTH1〜14、PTH1〜15、PTH1〜16、PTH1〜17、PTH1〜18、PTH1〜19、PTH1〜20、PTH1〜21、PTH1〜22、PTH1〜23、PTH1〜24、PTH1〜25、PTH1〜26、hPTH1〜27、PTH1〜28、PTH1〜29、PTH1〜30、PTH1〜31、PTH1〜32、PTH1〜33、PTH1〜34、PTH1〜35、PTH1〜36、PTH1〜37、PTH2〜5、PTH2〜6、PTH2〜7、PTH2〜8、PTH2〜9、PTH2〜10、PTH2〜11、PTH2〜12、PTH2〜13、PTH2〜14、PTH2〜15、PTH2〜16、PTH2〜17、PTH2〜18、PTH2〜19、PTH2〜20、PTH2〜21、PTH2〜22、PTH2〜23、PTH2〜24、PTH2〜25、PTH2〜26、PTH2〜27、PTH2〜28、PTH2〜29、PTH2〜30、PTH2〜31、PTH2〜32、PTH2〜33、PTH2〜34、PTH2〜35、PTH2〜36、PTH2〜37、PTH3〜6、PTH3〜7、PTH3〜8、PTH3〜9、PTH3〜10、PTH3〜11、PTH3〜13、PTH3〜14、PTH3〜15、PTH3〜16、PTH3〜17、PTH3〜18、PTH3〜19、PTH3〜20、PTH3〜21、PTH3〜22、PTH3〜23、PTH3〜24、PTH3〜25、PTH3〜26、PTH3〜27、PTH3〜28、PTH3〜29、PTH3〜30、PTH3〜31、PTH3〜32、PTH3〜33、PTH3〜34、PTH3〜35、PTH3〜36、PTH3〜37、PTH4〜7、PTH4〜8、PTH4〜9、PTH4〜10、PTH4〜11、PTH4〜12、PTH4〜13、PTH4〜14、PTH4〜15、PTH4〜16、PTH4〜17、PTH4〜18、PTH4〜19、PTH4〜20、PTH4〜21、PTH4〜22、PTH4〜23、PTH4〜24、PTH4〜25、PTH4〜26、PTH4〜27、PTH4〜28、PTH4〜29、PTH4〜30、PTH4〜31、PTH4〜32、PTH4〜33、PTH4〜34、PTH4〜35、PTH4〜36、PTH4〜37、PTH5〜8、PTH5〜9、PTH5〜10、PTH5〜11、PTH5〜12、PTH5〜13、PTH5〜14、PTH5〜15、PTH5〜16、PTH5〜17、PTH5〜18、PTH5〜19、PTH5〜20、PTH5〜21、PTH5〜22、PTH5〜23、PTH5〜24、PTH5〜25、PTH5〜26、PTH5〜27、PTH5〜28、PTH5〜29、PTH5〜30、PTH5〜31、PTH5〜32、PTH5〜33、PTH5〜34、PTH5〜35、PTH5〜36、またはPTH5〜37に含まれるエピトープに特異的に結合する、請求項1に記載の単離抗体。
【請求項6】
前記抗体と前記全PTHのN末端配列との間の結合が、hPTHのアミノ酸残基2〜5の存在に依存する、請求項1に記載の単離抗体。
【請求項7】
前記抗体と前記全PTHのN末端配列との間の結合が、hPTHのアミノ酸残基3〜6の存在に依存する、請求項1に記載の単離抗体。
【請求項8】
前記非全PTHフラグメントが、PTH3〜84とPTH34〜84との間のアミノ酸配列を有するペプチドである、請求項1に記載の単離抗体または抗体フラグメント。
【請求項9】
前記非全PTHフラグメントが、ヒトPTH7〜84のアミノ酸配列を有するペプチドである、請求項1に記載の単離抗体。
【請求項10】
哺乳動物サンプル中の生理学的レベルの全副甲状腺ホルモンを測定する方法であって、
a)試験すべき哺乳動物からサンプルを得るステップと、
b)全PTHのN末端配列に特異的に結合し、前記哺乳動物サンプル中の前記全PTHを生理学的レベルで検出することができる単離された抗体であって、前記単離抗体が非全PTHフラグメントへの結合を回避する単離抗体に、前記サンプルを接触させるステップと、
c)前記哺乳動物サンプル中の生理学的レベルの全副甲状腺ホルモンを測定するために、前記サンプル中に存在する場合、前記全副甲状腺ホルモンと前記抗体との間で形成された複合体を評価するステップと
を含む方法。
【請求項11】
前記サンプルが、血清、血漿、および血液のサンプルからなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記サンプルが臨床サンプルである、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
腎疾患被験体、骨粗鬆症被験体の臨床管理、または原発性副甲状腺機能亢進症の診断に使用される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記哺乳動物がヒトである、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記サンプルがヒト臨床サンプルである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記抗体がモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、または抗体フラグメントである、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前記抗体が、PTH1〜6、PTH1〜8、PTH1〜9、PTH1〜12、PTH1〜15、またはPTH3〜12に含まれるエピトープに特異的に結合する、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記抗体が、副甲状腺ホルモンペプチドであるヒトPTH1〜8、ラットPTH1〜8、マウスPTH1〜8、ウシPTH1〜8、イヌPTH1〜8、ブタPTH1〜8、ウマPTH1〜8、ヒトPTH1〜15、ラットPTH1〜15、マウスPTH1〜15、ウシPTH1〜15、イヌPTH1〜15、ブタPTH1〜15、またはウマPTH1〜15であって、前記ペプチド配列の少なくとも4つのアミノ酸が前記抗体との反応部分の一部である副甲状腺ホルモンペプチドに特異的に結合する、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記抗体が、PTH1〜5、PTH1〜7、PTH1〜8、PTH1〜10、PTH1〜11、PTH1〜13、PTH1〜14、PTH1〜15、PTH1〜16、PTH1〜17、PTH1〜18、PTH1〜19、PTH1〜20、PTH1〜21、PTH1〜22、PTH1〜23、PTH1〜24、PTH1〜25、PTH1〜26、hPTH1〜27、PTH1〜28、PTH1〜29、PTH1〜30、PTH1〜31、PTH1〜32、PTH1〜33、PTH1〜34、PTH1〜35、PTH1〜36、PTH1〜37、PTH2〜5、PTH2〜6、PTH2〜7、PTH2〜8、PTH2〜9、PTH2〜10、PTH2〜11、PTH2〜12、PTH2〜13、PTH2〜14、PTH2〜15、PTH2〜16、PTH2〜17、PTH2〜18、PTH2〜19、PTH2〜20、PTH2〜21、PTH2〜22、PTH2〜23、PTH2〜24、PTH2〜25、PTH2〜26、PTH2〜27、PTH2〜28、PTH2〜29、PTH2〜30、PTH2〜31、PTH2〜32、PTH2〜33、PTH2〜34、PTH2〜35、PTH2〜36、PTH2〜37、PTH3〜6、PTH3〜7、PTH3〜8、PTH3〜9、PTH3〜10、PTH3〜11、PTH3〜13、PTH3〜14、PTH3〜15、PTH3〜16、PTH3〜17、PTH3〜18、PTH3〜19、PTH3〜20、PTH3〜21、PTH3〜22、PTH3〜23、PTH3〜24、PTH3〜25、PTH3〜26、PTH3〜27、PTH3〜28、PTH3〜29、PTH3〜30、PTH3〜31、PTH3〜32、PTH3〜33、PTH3〜34、PTH3〜35、PTH3〜36、PTH3〜37、PTH4〜7、PTH4〜8、PTH4〜9、PTH4〜10、PTH4〜11、PTH4〜12、PTH4〜13、PTH4〜14、PTH4〜15、PTH4〜16、PTH4〜17、PTH4〜18、PTH4〜19、PTH4〜20、PTH4〜21、PTH4〜22、PTH4〜23、PTH4〜24、PTH4〜25、PTH4〜26、PTH4〜27、PTH4〜28、PTH4〜29、PTH4〜30、PTH4〜31、PTH4〜32、PTH4〜33、PTH4〜34、PTH4〜35、PTH4〜36、PTH4〜37、PTH5〜8、PTH5〜9、PTH5〜10、PTH5〜11、PTH5〜12、PTH5〜13、PTH5〜14、PTH5〜15、PTH5〜16、PTH5〜17、PTH5〜18、PTH5〜19、PTH5〜20、PTH5〜21、PTH5〜22、PTH5〜23、PTH5〜24、PTH5〜25、PTH5〜26、PTH5〜27、PTH5〜28、PTH5〜29、PTH5〜30、PTH5〜31、PTH5〜32、PTH5〜33、PTH5〜34、PTH5〜35、PTH5〜36、またはPTH5〜37に含まれるエピトープに特異的に結合する、請求項10に記載の方法。
【請求項20】
前記抗体と前記全PTHのN末端配列との間の結合が、hPTHのアミノ酸残基2〜5の存在に依存する、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記抗体と前記全PTHのN末端配列との間の結合が、hPTHのアミノ酸残基3〜6の存在に依存する、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
前記非全PTHフラグメントが、PTH3〜84とPTH34〜84との間のアミノ酸配列を有するペプチドである、請求項10に記載の方法。
【請求項23】
前記非全PTHフラグメントが、ヒトPTH7〜84のアミノ酸配列を有するペプチドである、請求項10に記載の方法。
【請求項24】
前記複合体が、サンドイッチアッセイ形式または競合アッセイ形式によって評価される、請求項10に記載の方法。
【請求項25】
サンドイッチアッセイ形式において、全PTHのN末端配列に特異的に結合する前記抗体を第1の抗体として使用し、前記第1の抗体に結合する前記N末端配列以外の全PTHの一部に結合することができる抗体を第2の抗体として使用する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の抗体または第2の抗体のいずれかが表面に付着して捕捉抗体として機能する、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
前記捕捉抗体が、前記表面に直接または間接的に付着する、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記捕捉抗体が、ビオチン−アビジン(またはストレプトアビジン)連結対を介して前記表面に付着する、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記複合体を、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)、免疫ブロッティング、免疫沈降、放射免疫アッセイ(RIA)、免疫染色、ラテックス凝集、間接赤血球凝集アッセイ(IHA)、補体結合、間接免疫蛍光アッセイ(IFA)、比濁法、フローサイトメトリーアッセイ、プララズモン共鳴アッセイ、化学発光アッセイ、側方流動免疫アッセイ、u−キャプチャーアッセイ、阻害アッセイ、およびアビディティアッセイからなる群より選択される形式によって評価する、請求項10に記載の方法。
【請求項30】
前記複合体を、同種アッセイ形式または異種アッセイ形式で評価する、請求項10に記載の方法。
【請求項31】
前記全副甲状腺ホルモンの生理学的レベルが、4pmo/L未満である、請求項10に記載の方法。
【請求項32】
前記全副甲状腺ホルモンの生理学的レベルが、約0.2pmol/L〜約4pmol/Lである、請求項10に記載の方法。
【請求項33】
PTHペプチドフラグメントレベルおよび/または総PTHレベルを測定するステップをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項34】
前記サンプルを、1つまたは複数の単離抗体であって、前記1つまたは複数の各単離抗体が、PTH39〜84、PTH1〜34、PTH43〜68、PTH7〜84、PTH39〜68、PTH53〜84、PTH65〜84、PTH44〜68、PTH19〜84、PTH23〜84、PTH1〜38、PTH1〜48、PTH1〜58、PTH1〜68、およびPTH1〜78からなる群より選択される1つまたは複数のPTHペプチドフラグメントに特異的に結合する単離抗体に接触させる、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
全PTHレベル、総PTHペプチドフラグメントレベル、総PTHレベル、C末端PTHフラグメント(cPTH)レベル、N末端PTHフラグメントレベル、および中末端(mid-terminal)PTHフラグメント(mPTH)レベルからなる群より選択される少なくとも2つのパラメーターを比較するステップをさらに含む、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記比較の結果を使用して、哺乳動物が骨代謝回転関連障害を罹患しているかどうかを決定するか、骨疾患または骨障害関連治療をモニタリングする、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
無形成骨症(ADN)または重症副甲状腺機能亢進症の診断または治療のモニタリングで使用される、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記比較が、全PTHレベルと総PTHレベルとの間の比または比率の形態である、請求項35に記載の方法。
【請求項39】
前記比較が、全PTHレベルと総PTHレベル−全PTHレベルの組み合わせの合計との間の比または比率の形態である、請求項35に記載の方法。
【請求項40】
前記比較が、wPTHレベルとcPTHレベルおよびmPTHフラグメントの組み合わせのレベルとの間の比または比率の形態である、請求項35に記載の方法。
【請求項41】
前記比較が約0.020未満の値を有する比であり、前記哺乳動物が無形成骨症を罹患していると決定される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記比較が約0.020を超える値を有する比であり、前記哺乳動物が重症副甲状腺機能亢進症を罹患していると決定される、請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記比較が、式:wPTH/((cPTH−wPTH)+(mPTH−wPTH))によって示される比または比率の形態である、請求項35に記載の方法。
【請求項44】
前記比較が約0.0185未満の値を有する比であり、前記哺乳動物が無形成骨症を罹患していると決定される、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記比較が約0.0185を超える値を有する比であり、前記哺乳動物が重症副甲状腺機能亢進症を罹患していると決定される、請求項43に記載の方法。
【請求項46】
前記比較が、全PTHレベルとcPTHレベルおよびmPTHフラグメントの組み合わせのレベルの合計から全PTHレベルを引いた値との間の比または比率の形態である、請求項35に記載の方法。
【請求項47】
前記比較が約0.020未満の値を有する比であり、前記哺乳動物が無形成骨症を罹患していると決定される、請求項46に記載の方法。
【請求項48】
前記比較が約0.020を超える値を有する比であり、前記哺乳動物が重症副甲状腺機能亢進症を罹患していると決定される、請求項46に記載の方法。
【請求項49】
前記比較が、全PTHレベルと全PTHレベル、cPTHレベル、およびmPTHフラグメントの組み合わせのレベルとの間の比または比率の形態である、請求項35に記載の方法。
【請求項50】
前記比較が約0.0175未満の値を有する比であり、前記哺乳動物が無形成骨症を罹患していると決定される、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記比較が約0.0175を超える値を有する比であり、前記哺乳動物が重症副甲状腺機能亢進症を罹患していると決定される、請求項49に記載の方法。
【請求項52】
前記比較が、全PTHレベルとcPTHフラグメントレベルとの間の比または比率の形態である、請求項35に記載の方法。
【請求項53】
前記比較が約0.103未満の値を有する比であり、前記哺乳動物が無形成骨症を罹患していると決定される、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記比較が約0.103を超える値を有する比であり、前記哺乳動物が重症副甲状腺機能亢進症を罹患していると決定される、請求項52に記載の方法。
【請求項55】
前記比較が、全PTHレベルとmPTHフラグメントレベルとの間の比または比率の形態である、請求項35に記載の方法。
【請求項56】
前記比較が約0.0225未満の値を有する比であり、前記哺乳動物が無形成骨症を罹患していると決定される、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記比較が約0.0225を超える値を有する比であり、前記哺乳動物が重症副甲状腺機能亢進症を罹患していると決定される、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
a)実質的に正常な副甲状腺機能を有する者と副甲状腺機能亢進症を有する者との区別、
b)副甲状腺関連骨疾患および治療のモニタリング、
c)副甲状腺機能亢進症の治療上の処置の効果のモニタリング、または
d)副甲状腺関連骨疾患の診断
のために使用される、請求項10に記載の方法。
【請求項59】
哺乳動物サンプル中の生理学的レベルの全副甲状腺ホルモンを測定するためのキットであって、全副甲状腺ホルモン(PTH)のN末端配列に特異的に結合し、哺乳動物サンプル中の前記全PTHを生理学的レベルで検出することができる単離された抗体であって、非全PTHフラグメントへの結合を回避する単離抗体をコンテナ中に含む、キット。
【請求項60】
PTH1〜11、PTH1〜13、PTH1〜14、PTH1〜15、PTH1〜16、PTH1〜17、PTH1〜18、PTH1〜19、PTH1〜20、PTH1〜21、PTH1〜22、PTH1〜23、PTH1〜24、PTH1〜25、PTH1〜26、hPTH1〜27、PTH1〜28、PTH1〜29、PTH1〜30、PTH1〜31、PTH1〜32、PTH1〜33、PTH1〜34、PTH1〜35、PTH1〜36、PTH2〜5、PTH2〜6、PTH2〜8、PTH2〜9、PTH2〜10、PTH2〜11、PTH2〜12、PTH2〜13、PTH2〜14、PTH2〜15、PTH2〜16、PTH2〜17、PTH2〜18、PTH2〜19、PTH2〜20、PTH2〜21、PTH2〜22、PTH2〜23、PTH2〜24、PTH2〜25、PTH2〜26、PTH2〜27、PTH2〜28、PTH2〜29、PTH2〜30、PTH2〜31、PTH2〜32、PTH2〜33、PTH2〜34、PTH2〜35、PTH2〜36、PTH3〜6、PTH3〜7、PTH3〜9、PTH3〜10、PTH3〜11、PTH3〜12、PTH3〜13、PTH3〜14、PTH3〜15、PTH3〜16、PTH3〜17、PTH3〜18、PTH3〜19、PTH3〜20、PTH3〜21、PTH3〜22、PTH3〜23、PTH3〜24、PTH3〜25、PTH3〜26、PTH3〜27、PTH3〜28、PTH3〜29、PTH3〜30、PTH3〜31、PTH3〜32、PTH3〜33、PTH3〜34、PTH3〜35、PTH3〜36、PTH4〜7、PTH4〜8、PTH4〜9、PTH4〜10、PTH4〜11、PTH4〜13、PTH4〜14、PTH4〜15、PTH4〜16、PTH4〜17、PTH4〜18、PTH4〜19、PTH4〜20、PTH4〜21、PTH4〜22、PTH4〜23、PTH4〜24、PTH4〜25、PTH4〜26、PTH4〜27、PTH4〜28、PTH4〜29、PTH4〜30、PTH4〜31、PTH4〜32、PTH4〜33、PTH4〜34、PTH4〜35、PTH4〜36、PTH5〜8、PTH5〜9、PTH5〜11、PTH5〜12、PTH5〜13、PTH5〜14、PTH5〜15、PTH5〜16、PTH5〜17、PTH5〜18、PTH5〜19、PTH5〜20、PTH5〜21、PTH5〜22、PTH5〜23、PTH5〜24、PTH5〜25、PTH5〜26、PTH5〜27、PTH5〜28、PTH5〜29、PTH5〜30、PTH5〜31、PTH5〜32、PTH5〜33、PTH5〜34、PTH5〜35、PTH5〜36、およびPTH5〜37からなる群より選択される、単離された副甲状腺ホルモン(PTH)ペプチド。
【請求項61】
PTHペプチドの免疫原性を増強するキャリアに抱合された、請求項60に記載の単離PTHペプチド。
【請求項62】
前記キャリアがキャリアタンパク質である、請求項61に記載の単離PTHペプチド。
【請求項63】
前記PTHペプチドおよび前記キャリアタンパク質が、融合タンパク質の一部である、請求項62に記載の単離PTHペプチド。
【請求項64】
a)請求項60に記載のPTHペプチド;および
b)免疫応答増強物質
を含む、免疫原。
【請求項65】
前記免疫応答増強物質が、カルメット・ゲラン桿菌(BCG)、コリネバクテリウム・パルブム、ウシ流産菌抽出物、グルカン、レバミゾール、チロロン、酵素、および非ビルレントウイルスからなる群より選択される、請求項64に記載の免疫原。
【請求項66】
複数の請求項60に記載のPTHペプチドに抱合した分岐オリゴリジンコアを含む、多重抗原ペプチド(MAP)。
【請求項67】
前記分岐オリゴリジンコアが、3、7、または15個のリジン残基を含む、請求項66に記載のMAP。
【請求項68】
前記複数のPTHペプチドが、スペーサーを介して前記分岐オリゴリジンコアに抱合している、請求項66に記載のMAP。
【請求項69】
前記スペーサーがアミノ酸残基である、請求項68に記載のMAP。
【請求項70】
4、8、または16個のPTHペプチドのコピーを含む、請求項68に記載のMAP。
【請求項71】
前記複数のPTHペプチドが、同一または異なるPTHペプチドを含む、請求項66に記載のMAP。
【請求項72】
副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTHペプチドに対する抗体の産生方法であって、前記方法は、
a)請求項60に記載の単離PTHペプチドを前記PTHペプチドに対する抗体の産生に十分な量で哺乳動物に導入するステップと、
b)前記哺乳動物から前記抗体を回収するステップと、
を含む、方法。
【請求項73】
請求項72に記載の方法によって産生された、PTHまたはPTHペプチドに対する抗体。
【請求項74】
副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTHペプチドに対する抗体の産生のためのキットであって、前記キットは、
a)請求項60に記載の単離PTHペプチドと、
b)前記単離PTHペプチドを前記PTHペプチドに対する抗体の産生に十分な量で哺乳動物に導入する手段と、
c)前記哺乳動物から前記抗体を回収するための手段と、
を含む、キット。
【請求項75】
副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTHペプチドに対する抗体の産生方法であって、前記方法は、
a)請求項66に記載のMAPを前記MAPに含まれるPTHペプチドに対する抗体の産生に十分な量で哺乳動物に導入するステップと、
b)前記哺乳動物から前記抗体を回収するステップと、
を含む、方法。
【請求項76】
請求項75に記載の方法によって産生されたPTHまたはPTHペプチドに対する抗体。
【請求項77】
副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTHペプチドに対する抗体の産生のためのキットであって、前記キットは、
a)請求項66に記載のMAPと、
b)前記MAPを前記MAPに含まれるPTHペプチドに対する抗体の産生に十分な量で哺乳動物に導入する手段と、
c)前記哺乳動物から前記抗体を回収するための手段と、
を含む、キット。
【請求項78】
副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTHペプチドに対する抗体の産生方法であって、前記方法は、
a)PTH1〜34とPTH1〜84との間のPTHタンパク質またはペプチドを前記PTHタンパク質またはペプチドに対する抗体の産生に十分な量で哺乳動物に導入するステップと、
b)前記哺乳動物から前記抗体を回収するステップと、
c)請求項60に記載のPTHペプチドに含まれるエピトープに特異的に結合するPTH抗体を、前記PTHペプチドを使用してアフィニティ精製するステップと、
を含む、方法。
【請求項79】
請求項78に記載の方法によって産生されたPTHまたはPTHペプチドに対する抗体。
【請求項80】
副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTHペプチドに対する抗体の産生のためのキットであって、前記キットは、
a)PTH1〜34とPTH1〜84との間のPTHタンパク質またはペプチドと、
b)前記PTH1〜34とPTH1〜84との間のPTHタンパク質またはペプチドを前記PTHタンパク質またはペプチドに対する抗体の産生に十分な量で哺乳動物に導入する手段と、
c)前記哺乳動物から前記抗体を回収するための手段と、
d)請求項60に記載のPTHペプチドと、
を含む、キット。
【請求項81】
前記全副甲状腺ホルモンの生理学的レベルが、約7pgm/mlから約39pgm/mlまでである、請求項10に記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【公表番号】特表2007−528850(P2007−528850A)
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−518905(P2006−518905)
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/021896
【国際公開番号】WO2005/018413
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(501027108)スキャンティボディーズ・ラボラトリー,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月9日(2004.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/021896
【国際公開番号】WO2005/018413
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(501027108)スキャンティボディーズ・ラボラトリー,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
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