説明

副甲状腺ホルモンフラグメント用経口送達剤としての5−CNAC

【課題】副甲状腺ホルモンPTHの有効な経口送達用医薬組成物ならびに該組成物の投与方法の提供。
【解決手段】治療上有効量のPTH(副甲状腺ホルモン)フラグメントおよび遊離形またはナトリウム塩形もしくは水和物形の5−CNAC(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸を含有してなる経口送達用医薬組成物であって、当該PTHフラグメントがPTH(1〜28)ないしPTH(1〜41)から選択されるものである医薬組成物。当該組成物は新骨形成の促進および骨粗しょう症の処置および/または予防に使用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は副甲状腺ホルモン(PTH)の経口送達に関する。哺乳動物の副甲状腺ホルモン、例えば、ヒト(hPTH)、ウシ(bPTH)、およびブタ(pPTH)の副甲状腺ホルモンは、84個のアミノ酸残基からなる単一のポリペプチド鎖であり、その分子量はおおよそ9500である。具体的には、本発明は少なくとも最初の28個のN−端アミノ酸残基を含むPTHフラグメント(PTH(1〜28))ないし最初の41個までのN−端アミノ酸残基を含むフラグメント(PTH(1〜41))に関する。より詳しくは、本発明はPTHの経口投与用医薬組成物を目的とするものであり、当該組成物はPTH(1〜28)ないし(1〜41)およびN−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸(5−CNAC)を含有してなる。
【背景技術】
【0002】
PTH、PTH−関連ペプチド、およびPTH類似体により動物およびヒトにてなされたPTHの研究は、骨形成および骨再吸収の増大においてその有用性を証明しており、また骨粗しょう症および関連する骨障害の処置に有用であることに興味を抱かせるものである。しかし、哺乳動物におけるPTHの経口送達は、少なくとも一部において、胃腸管でのPTHの安定性が不十分であること、ならびにPTHが腸壁を通して血流に容易に輸送することができないことのために難しいとされている。
【0003】
米国特許第5,773,647号(‘647特許)はPTHを含む活性作用因子の送達に有用な193種の運搬化合物を開示している。本特許に強調して記載されている運搬化合物の一つは、以下の式で示されるN−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸(5−CNAC)である。
【0004】
【化1】

【0005】
‘647特許第6欄の実施例2は、11種の異なる投与用組成物の調製について記載しており、そのあるものは結腸内(IC)用、またあるものは経口摂取用であり、それぞれが副甲状腺ホルモンを含有していて、その担体は組成物ごとに異なっている。IC投与組成物は5−CNACを担体として使用し、調製されている。その実施例3では実施例2で調製した投与用溶液によりオスのスプラグ−ドーリー系ラットにて実施したインビボテストを記載している。血液サンプルを採取し、各ラットについての血清PTH濃度を定量している。
【発明の概要】
【0006】
驚くべきことに、今回、5−CNACと特定のPTHフラグメント、すなわち、少なくとも最初の28個のN−端アミノ酸残基を含むPTHフラグメント(PTH(1〜28))ないし最初の41個までのN−端アミノ酸残基を含むフラグメント(PTH(1〜41))とを組合わせて経口投与すると、他のPTH類と他の担体に比べて予想外に高いPTH血清レベルを与え、骨形成作用を可能とするシャープなCmaxを示すことが判明した。
【0007】
発明の要約
従って、本発明はPTHフラグメントの有効な経口送達に適する医薬組成物ならびにかかる組成物の投与方法を目的する。
具体的には、本発明は、治療上有効量のPTHフラグメントおよび5−CNACを含有してなる経口送達用医薬組成物であって、当該PTHフラグメントがPTH(1〜28)ないしPTH(1〜41)から選択されるものである医薬組成物を目的とする。好ましくは、該PTHはヒト副甲状腺ホルモンhPTHである。
【0008】
別の態様において、本発明は治療上有効量のPTHフラグメントおよび5−CNACを含有してなる医薬組成物を、PTHの必要な患者に経口投与することからなり、当該PTHフラグメントがPTH(1〜28)ないしPTH(1〜41)から選択されるものであることを特徴とする有効用量PTHの経口投与方法を目的とする。
【0009】
また、本発明は、新骨形成促進方法であって、治療上有効量のPTHフラグメントおよび5−CNACを含有してなる医薬組成物を、新骨形成の必要な患者に経口投与することからなり、当該PTHフラグメントがPTH(1〜28)ないしPTH(1〜41)から選択されるものであることを特徴とする方法を目的とする。
【0010】
さらなる態様において、本発明は、骨粗しょう症の処置または予防方法であって、治療上有効量のPTHフラグメントおよび5−CNACを含有してなる医薬組成物を、当該処置または予防の必要な患者に経口投与することからなり、当該PTHフラグメントがPTH(1〜28)ないしPTH(1〜41)から選択されるものであることを特徴とする方法を目的とする。
【0011】
なおさらなる態様において、本発明は、PTH(1〜28)ないしPTH(1〜41)から選択されるPTHフラグメントの経口送達に適した医薬組成物製造のための5−CNACの使用を目的とする。
本発明のさらなる特徴および長所は、本発明についての以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【0012】
発明の詳細な記載
PTHフラグメントとは副甲状腺ホルモンのフラグメント、特に哺乳動物の副甲状腺ホルモン、例えば、ヒト(hPTH)、ウシ(bPTH)、およびブタ(pPTH)のもの、特にhPTHのものであり、少なくとも最初の28個のN−端残基(PTH(1〜28))ないし最初の41個までのN−端残基(PTH(1〜41))を含むものであって、それらに制限はないが、PTH(1〜28)、PTH(1〜31)、PTH(1〜34)、PTH(1〜37)、PTH(1〜38)およびPTH(1〜41)を包含する。ヒト副甲状腺ホルモン(1〜34)が特に好適である。これらの副甲状腺ホルモンフラグメントは市販品として入手し得るか、または組換えによりもしくはペプチド合成により入手可能である。
【0013】
本発明の目的にとって、該5−CNAC、すなわち、N−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸は、遊離の酸、その類似体、その一ナトリウム塩および二ナトリウム塩、該ナトリウム塩のエタノール溶媒和物とナトリウム塩の一水和物、およびそのいずれかの組合せであり得る。5−CNACの遊離酸、二ナトリウム塩、およびその一水和物が特に有用である。N−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸については上記の‘647特許(その内容を参照により本明細書の一部とする)に記載されており、該特許に記載された方法により製造し得る。該ナトリウム塩とアルコール溶媒和物およびその水和物は、その調製方法とともにWO00/059863に記載されている。
【0014】
該二ナトリウム塩は該エタノール溶媒和物から、無水二ナトリウム塩形成のための技術上既知の方法により、エタノール溶媒和物を蒸発させるかまたは乾燥することにより調製し得る。乾燥は一般に約80ないし約120℃の温度、好ましくは約85ないし約90℃、最も好ましくは約85℃で実施する。乾燥工程は一般に26”Hg以上の圧力下で実施する。無水二ナトリウム塩は一般に、無水二ナトリウム塩の100%の全重量に基づき、約5重量%未満のエタノール、好ましくは約2重量%未満のエタノールを含む。
【0015】
N−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸の二ナトリウム塩は、N−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸の水中スラリーを調製し、それに2モル当量の水酸化ナトリウム水、ナトリウムアルコキシドなどを添加することにより調製し得る。適切なナトリウムアルコキシドとは、これらに限定されるものではないが、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、およびその組合せである。
二ナトリウム塩のなおさらなる調製方法では、N−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸と1モル当量の水酸化ナトリウムとを反応させて一ナトリウム塩とし、これにさらに1モル当量の水酸化ナトリウムを加えて当該二ナトリウム塩とする。
【0016】
該二ナトリウム塩は真空蒸留により二ナトリウム塩含有溶液を濃縮し、濃厚なペースト状とすることにより固形物として単離することができる。このペーストは真空オーブン内で乾燥することで、N−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸の二ナトリウム塩固形物として得ることができる。この固形物は二ナトリウム塩の水溶液を噴霧乾燥することによっても単離し得る。
【0017】
上記のWO00/059863に記載されたエタノール溶媒和物は、限定されるものではないが、N−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸二ナトリウム塩の分子またはイオンとエタノール溶媒の分子またはイオンとの分子状またはイオン性複合体である。典型的に、該エタノール溶媒和物はN−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸の二ナトリウム塩1分子に対し、約1個のエタノール分子またはイオンを含んでいる。
【0018】
N−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸二ナトリウム塩のエタノール溶媒和物は、N−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸をエタノールに溶解することにより調製し得る。典型的には、1gあたりのN−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸を約1ないし約50mLのエタノールに、一般には約2ないし約10mLのエタノールに溶解する。次いで、N−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸/エタノール溶液は、N−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸に対して過剰モル量の一ナトリウム含有塩などのナトリウム含有塩と反応させる、すなわち、そこにはN−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸1モルに対して、1モルを超えるナトリウムカチオンが存在し、エタノール溶媒和物を生じる。適切な一ナトリウム塩とは、これらに限定されるものではないが、水酸化ナトリウム;ナトリウムメトキシドおよびナトリウムエトキシドなどのナトリウムアルコキシド;およびこれらの組合せである。好ましくは、少なくとも2モル当量の一ナトリウム含有塩を該エタノール溶液に加える、すなわち、そこにはN−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸1モルに対して、少なくとも2モルのナトリウムカチオンが存在する。一般に、該反応は混合物の還流温度またはそれ以下の温度、例えば、外気温度にて実施する。次いで、エタノール溶媒和物は技術上既知の方法、例えば、得られるスラリーを外気圧下での蒸留により濃縮し、濃縮したスラリーを冷却し、固形物を濾過することにより回収する。回収した固形物は次いで真空乾燥し、エタノール溶媒和物とする。
【0019】
N−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸二ナトリウム塩の水和物は、エタノール溶媒和物を乾燥して上記のように無水二ナトリウム塩とし、この無水二ナトリウム塩に水和することにより調製することができる。好ましくは、二ナトリウム塩の一水和物が形成される。無水二ナトリウム塩が非常に吸湿性であるため、水和物は大気中水分と接触することで形成される。一般に、水和工程はおおよその外気温度ないし約50℃、好ましくは外気温ないし約30℃で、相対湿度が少なくとも50%である環境で実施する。あるいは、無水二ナトリウム塩を水蒸気により水和してもよい。
【0020】
投与すべきPTHフラグメントの量は一般に新骨形成を促進するために有効な量、すなわち、治療上有効量である。この量は処置すべき被験者の年齢、サイズ、性別および症状、処理すべき障害の性質および重症度などにより変える必要がある。しかし、その量は複数の組成物を投与すべき場合には当該量よりも少なくなり得る、すなわち、全体としての有効量を投与単位の累積として投与し得る。PTHの量は、該組成物が薬理学的に活性な作用因子を持続的に放出する場合、有効量よりも多くなり得る。使用すべきPTHの総量は当業者既知の方法により決定し得る。しかし、一般に、満足すべき結果は、動物の体重1kgあたり約0.001μgないし約10mg、好ましくは1kgの体重あたり1μgないし約6μgの日用量で全身的に得られる。
【0021】
本発明の医薬組成物は一般的に送達有効量の5−CNAC、すなわち、所望の効果を示すPTHを送達するために十分な量を含有する。一般に、5−CNACは全組成物の2.5〜99.4重量%、より好ましくは25〜50重量%の量で存在する。
【0022】
本発明による医薬組成物の経口投与は、定期的に、例えば、毎日または週単位で1回以上;間欠的に、例えば、1日または週の間に不規則に;または周期的に、例えば、数日間または数週間定期的に、次いである期間投与なしに実施することができる。
本発明医薬組成物の投与形態は既知のどのような形態でもよく、例えば、液体または固体の形態でよい。
【0023】
液体の投与形態とは、溶液、エマルジョン、懸濁液、シロップおよびエリキシルなどである。PTHおよび5−CNACに加えて、液状の製剤は技術上一般に使用される不活性の添加剤として、可溶化剤、例えば、エタノール;綿実油、ひまし油およびゴマ油などの油類;保湿剤;乳化剤;懸濁剤;甘味剤;芳香剤;および水などの溶媒を含んでもよい。
固体の投与形態とは、カプセル剤、ソフトゲルカプセル剤、錠剤、キャプレッツ、散剤、顆粒剤、その他の固形経口投与形態のものであり、そのすべてが技術上周知の方法により調製することができる。
【0024】
該医薬組成物はさらに慣用的に採用される量の添加物、例えば、これらに限定されるものではないが、pH調整剤、保存剤、香味剤、味覚マスク剤、芳香剤、湿潤剤、等張剤、着色剤、界面活性剤、可塑剤、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、流動助剤、圧縮助剤、可溶化剤、賦形剤、微結晶セルロース(例:アビセルPH102;供給元:FMCコーポレーション)などの希釈剤、またはそのいずれかの組合せなどを含んでいてもよい。その他の添加物としては、リン酸緩衝塩、クエン酸、グリコール類、およびその他の分散剤である。
【0025】
また、該組成物は1種以上の酵素阻害剤、例えば、アクチノニンまたはエピアクチノニンおよびその誘導体;アプロチニン、トラシロールおよびボーマン−バークインヒビターなどを含んでいてもよい。
さらに、輸送阻害剤、すなわち、ケトプロフィンなどのp−糖タンパク質が本発明組成物に存在してもよい。
【0026】
本発明の固形医薬製剤は常套の方法で、例えば、PTHフラグメント、5−CNAC、およびその他の成分からなる混合物を混ぜ合わせ、混練し、カプセルに充填するか、またはカプセル充填の代わりに鋳型に容れ、次いでさらに錠剤化するか、または圧縮成形して錠剤とする。さらに、固形の分散物を既知方法により形成し、次いでさらに加工処理して錠剤またはカプセル剤とすることもできる。
好ましくは、本発明医薬組成物中の成分は固形投与形態全体に均一にまたは一様に混合している。
【0027】
副甲状腺ホルモンは、カルシウム枯渇または再吸収増大と関連するすべての骨の状態または骨の形成と骨のカルシウム固定化の促進が望ましいすべての状態、例えば、種々起因の骨粗しょう症(例えば、若年性、閉経期、閉経後、傷害後、老齢によるかまたはコルチコイド−ステロイド療法もしくは不活化による骨粗しょう症)、骨折、骨格鉱質消失と関連する急性および慢性状態を含む骨病、骨軟化症、歯周骨喪失、または関節炎もしくは骨関節症による骨喪失、または癌(例えば、骨転移)などの予防または処置、あるいは副甲状腺機能低下症の処置のための適応となる。
副甲状腺ホルモンは、特に種々起因の骨粗しょう症の予防または処置に適応となる。
【0028】
本発明のさらなる態様によると、PTHは他の療法の補助薬または佐剤として、例えば、骨再吸収インヒビターを用いる療法、例えば、骨粗しょう症治療におけるように、特にカルシウム、カルシトニンまたはその類似体もしくは誘導体、例えば、サケ、ウナギまたはヒトのカルシトニン、ステロイドホルモン、例えば、エストロゲン、部分的エストロゲンアゴニストまたはエストロゲン−ゲスターゲン組合せ剤、SERM(選択的エストロゲンレセプターモジュレーター)、例えば、ラロキシフェン、ラソフォキシフェン、TSE−424、FC1271、チボロン(Tibolone)(リビアール(Livial)登録商標)、ビタミンDもしくはその類似体またはPTH放出活性化剤、またはビスホスホネート、例えば、クロドロン酸、エチドロン酸、パミドロン酸、アレドロン酸、イバンドロン酸、ゾレドロン酸、レセドロン酸またはチルドロン酸およびその塩と水和物などと共に使用し得る。
【0029】
PTHを、例えば、骨再吸収阻害療法の佐剤として共に投与する場合、同時投与する阻害剤の投与量は勿論採用する阻害剤のタイプに、例えば、それがステロイドであるか、カルシトニンであるかにより、また処置すべき症状、それが治癒療法か、予防療法であるかにより、また投薬方法等々により変わり得る。
本発明の経口投与はそれを必要とする動物、例えば、これらに限定されるものではないが、げっ歯類、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ、および霊長類などの哺乳動物、取分けヒトに対して実施し得る。
以下の実施例は本発明をさらに説明するためのものである。
【実施例1】
【0030】
以下のカプセル剤は以下のように調製する:
hPTH800μgから調製したカプセル剤(カプセル1A)
400mg5−CNAC**/800μghPTHから調製したカプセル剤(カプセル1B)
該PTHフラグメントはヒト副甲状腺ホルモンのフラグメント1〜34であり、シグマより市販品として入手可能である。**5−CNACはN−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸の二ナトリウム塩である。
【0031】
hPTHのみのカプセルは400μgのhPTHを秤量し、それをそのまま各カプセルに収容することにより調製する。hPTH/5−CNACカプセルは、個々の成分を秤量し、それを混ぜ合わせて均一な混合物とし、次いでそれを400mgずつ手作業で各カプセルに充填し、乾燥配合物として調製する。
【実施例2】
【0032】
霊長類投与
実施例1にて調製したカプセル剤をアカゲザルに以下のように投与する:1群4匹のサルそれぞれに実施例1にて調製したカプセル1個を以下のように投与する:
投与前、アカゲザルは一夜絶食し、完全に覚醒した状態で、研究の期間中、椅子に拘束する。カプセルを栄養チューブから経口投与し、次いで水10mLを投与する。
【0033】
投与後、0、0.25、0.5、0.75、1、1.5、2、3、4、5、および6時間目に血液サンプルを採取する。血漿hPTHレベルをラジオイムノアッセイにより定量する。各群のサルからの霊長類血漿PTHの結果を平均し、最大平均血漿を計算する。PTHのみの群の結果を表1に示し、hPTH/5−CNAC群の結果を表2に示す。
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
表1および表2のデータか見られるように、5−CNACはhPTHフラグメントの経口送達を有意に容易なものとする。さらに、表2のデータはPTH血漿プロフィールにおいて骨形成作用を可能とするシャープなCmaxを示す。
【0037】
前記の態様および実施例は本発明を説明するためだけのものであり、限定することを意図するものではない。多くの他の態様および変更が本発明の範囲内のものであり、当業者が容易に利用し得るものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療上有効量のPTH(副甲状腺ホルモン)フラグメントおよび遊離形またはナトリウム塩形もしくは水和物形の5−CNAC(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸)を含有してなる経口送達用医薬組成物であって、当該PTHフラグメントがPTH(1〜28)ないしPTH(1〜41)から選択されるものである医薬組成物。
【請求項2】
PTHがPTH(1〜28)、PTH(1〜31)、PTH(1〜34)、PTH(1〜37)、PTH(1〜38)およびPTH(1〜41)から選択されるものである請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
PTHがPTH(1〜34)である請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
PTHが組換えPTHである請求項1〜3のいずれか記載の医薬組成物。
【請求項5】
PTHがヒト副甲状腺ホルモンである請求項1〜4のいずれか記載の医薬組成物。
【請求項6】
5−CNACがN−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸またはその二ナトリウム塩である請求項1〜5のいずれか記載の医薬組成物。
【請求項7】
新骨形成促進のために使用される、請求項1〜6のいずれか記載の医薬組成物。
【請求項8】
骨粗しょう症の処置または予防のために使用される、請求項1〜7のいずれか記載の医薬組成物。
【請求項9】
5−CNACを必須成分とする、PTH(1〜28)ないしPTH(1〜41)から選択されるPTHフラグメントのための経口送達剤。

【公開番号】特開2009−242410(P2009−242410A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−138067(P2009−138067)
【出願日】平成21年6月9日(2009.6.9)
【分割の表示】特願2003−520780(P2003−520780)の分割
【原出願日】平成14年8月16日(2002.8.16)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】