説明

創傷を治療する手動減圧システム

組織部位(102)における組織を治療するために減圧システム(100)に用いられる手動の一定減圧装置は、圧縮位置と拡張位置との間を移動可能な柔軟な折り畳み式部材(146)を具える。この折り畳み式部材は、圧縮位置と拡張位置の間を移動するキャリア部材(156)と摺動部材(168)との間に配置される。このキャリア部材と摺動部材は、一定力コイルばねなどの一定力バイアス部材によって互いに離れる方へと付勢される。この装置が圧縮位置から拡張位置に移動すると、一定の減圧が生成され、減圧ポート(154)に送達される。手動の一定減圧を製造するシステム、方法および組織部位を治療する方法も提供されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米国特許法119条(e)項の下で2008年7月11日出願の米国仮特許出願第61/079,866号、名称「Manually−Actuated,Reduced−Pressure System for Treating a Wound(創傷を治療する手動減圧システム)」の利益を主張するものであり、総ての目的のため参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は一般に治療システムに関し、より具体的には、創傷を治療するための手動減圧システムおよび装置に関するものである。
【0003】
臨床研究および臨床診療は、組織部位の近傍に減圧を加えると、組織部位における新しい組織の成長を増強かつ促進させることを示してきた。この現象の適用例は非常に多いが、減圧の適用は特に、創傷治療において用いられてきた。この治療法(しばしば、医学界では「負圧創傷療法」、「減圧療法」、または「真空療法」と称される)は、治癒促進および肉芽組織の形成の向上を含む多くの利点を提供する。一般に、減圧は、多孔質パッドまたは他のマニホルド装置を介して組織に加えられる。この多孔質パッドは、減圧を組織に分配したり、組織から吸い出される流体を流すことができるセルまたは細孔を具える。この多孔質パッドは、治療を促進する他の要素を有するドレッシングに組み込むこともできる。
【0004】
減圧治療システムは、急性または慢性治療中の患者における大きくて滲出が多い創傷、ならびに減圧の適用がなければ治療しにくい他の重度の創傷に多くの場合適用される。体積が小さく、滲出液の生成が少ない重症度が低い創傷は、通常はドレッシングで治療され、減圧は使用しない。減圧システムを管理し維持するために介護者を訓練する費用や必要性が、使用の妨げとなってきた。同時に、サイズや動力の要件も移動性や快適性を望む多くの患者にとって不利であった。さらには、システムの費用により、重症度が低い創傷への減圧の使用を正当化することが難しかった。
【0005】
創傷を減圧で治療することに関する課題の1つは、一定の減圧源を生成する効果的な方法を提供することである。現在、多くの場合、電池式ポンプを利用して減圧を創傷部位に提供している。しかしながら、これらのポンプは費用がかかり、創傷治療の最中に電池の充電が確実に切れないようメンテナンスを必要とする。電池残量がなくなると、電池の交換または他の設定に伴う時間のため、減圧が部位に戻るまでに長時間かかる場合がある。さらに、部位における減圧が適切に維持されない場合、創傷部位に漏れが起こり、減圧治療の効果が限定されることがある。
【発明の概要】
【0006】
既存の減圧源およびシステムにおける問題は、本書に記載の実施例におけるシステム、装置、および方法によって対処される。実施例によると、患者の創傷を治療する手動減圧システムは、マニホルド部材と、シーリング部材と、減圧送達部材と、減圧インタフェースと、減圧を生成する手動の一定減圧源とを具える。このマニホルドは、減圧を分配することができる。シーリング部材は、マニホルド部材と患者の一部の上に液密を提供しうる。減圧送達部材は、手動の一定減圧源から減圧インタフェースに減圧を送達する。この手動の一定減圧源は、減圧送達部材の第1の端部と流体連通している減圧ポートを具える。手動の一定減圧源は、一定力バイアス部材を具える。
【0007】
他の実施例によると、組織を治療する減圧システムに用いる手動減圧装置は、第1の端部と、第2の端部と、内部空間とを有する柔軟な折り畳み式部材を具える。この柔軟な折り畳み式部材は、圧縮位置と拡張位置との間を移動しうる。この手動減圧装置はさらに、柔軟な折り畳み式部材に連結された排気ポートと、柔軟な折り畳み式部材に連結された減圧ポートとを具える。手動減圧装置は、柔軟な折り畳み式部材の第1の端部に連結されたキャリア部材と、柔軟な折り畳み式部材の第2の端部に連結された摺動部材とを有する。この摺動部材はキャリア部材と摺動可能に係合するよう機能し、圧縮位置と拡張位置との間を移動する。手動減圧装置はさらに、キャリア部材および摺動部材に連結された一定力バイアス部材を具えており、これは圧縮位置と拡張位置との間で摺動部材とキャリア部材を互いに離れる方に付勢しうる。
【0008】
他の実施例によると、手動減圧装置を製造する方法は、キャリア部材を形成するステップと、摺動部材を形成するステップと、第1の端部と第2の端部と内部空間とを有する柔軟な折り畳み式部材を設けるステップとを具える。摺動部材およびキャリア部材は、互いに摺動可能に係合するよう形成される。柔軟な折り畳み式部材は、圧縮位置と拡張位置との間を移動することができる。この製造方法はさらに、柔軟な折り畳み式部材の第1の端部をキャリア部材に連結するステップと、柔軟な折り畳み式部材の第2の端部を摺動部材に連結するステップと、一定力バイアス部材をキャリア部材および摺動部材に連結するステップとを具える。この一定力バイアス部材は、圧縮位置と拡張位置との間でキャリア部材と摺動部材を互いに離れる方に付勢しうる。この製造方法は更に、圧縮位置にある場合に流体が柔軟な折り畳み式部材の内部空間を出ることができるように排気ポートを柔軟な折り畳み式部材に連結するステップと、柔軟な折り畳み式部材から減圧を送達するために、減圧ポートを柔軟な折り畳み式部材に連結するステップとを具える。
【0009】
他の実施例によると、患者の組織部位を減圧で治療する方法は、組織部位の近傍にマニホルド部材を配置するステップと、液密を形成すべくマニホルド部材と患者の表皮の一部の上にシーリング部材を配置するステップと、減圧をマニホルド部材に提供すべくシーリング部材上に減圧インタフェースを連結するステップと、減圧源を提供するステップとを具えており、当該減圧源は手動の一定減圧源である。この手動の一定減圧源は、減圧ポートを具える。この減圧ポートは減圧送達部材の第1の端部と流体連通しており、ほぼ一定の減圧が発生可能である。手動の一定減圧源は、一定力バイアス部材を具える。この治療方法はさらに、減圧源を減圧インタフェースに流体連結するステップと、減圧源を圧縮位置に移動させるステップとを具える。
【0010】
実施例の他の特徴および利点は、以下の図面や詳述を参照することにより明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、断面に示す部分と斜視図に示す部分とで創傷を治療する手動減圧システムの実施例の概略図である。
【図2】図2は、減圧システムに用いる手動減圧装置の実施例の概略的な分解斜視図である。
【図3】図3Aおよび図3Bは、図2の装置の一部における概略的な断面である。
【図4】図4A、図4B、および図4Cは、圧縮位置、中間位置、および拡張位置それぞれを示す手動減圧装置の実施例である。
【図5】図5は、手動減圧装置の他の実施例の概略斜視図である。
【図6】図6は、手動減圧装置の他の実施例の概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施例の以下の詳述では、その一部を構成する添付の図面について説明している。これらの実施形態は、当該技術分野の当業者が本発明を実施できる程度に十分詳細に記載されており、その他の実施形態が利用可能であるとともに、本発明の趣旨および範囲を逸脱しない範囲で、機械的、電気的、および化学的な変更が可能であることを理解されたい。本書に記載の実施形態を当業者が実施可能とするのに必要のない細部説明を避けるために、当業者に既知の一部の情報を省略する場合がある。したがって、以下の詳述は、限定の意味で捉えるべきではなく、本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0013】
図1を参照すると、組織部位102を減圧で治療する手動減圧システム100が図示されている。この組織部位102は、骨組織、脂肪組織、筋組織、皮膚組織、血管組織、結合組織、軟骨組織、腱、靱帯、または任意の他の組織を含む人間、動物、または他の生物の肉体組織であってもよい。
【0014】
減圧を組織部位102に加えると、組織部位からの滲出液または他の流体の除去を促進し、更なる組織の成長を促すことができる。特に指示がない限り、本書で用いる「また」は相互排他性を必要としない。組織部位102における創傷の場合、肉芽組織の成長および滲出液とバクテリアの除去は、創傷の治癒促進を助ける。創傷していない、または欠損していない組織の場合は、減圧を利用して、採取して他の組織部位に移植できるような組織の成長を促進することができる。本書で用いる「減圧」とは、概して、治療を受ける組織部位の周囲圧力より低い圧力のことをいう。多くの場合、この減圧は、患者がいる位置の大気圧未満となるであろう。若しくは、減圧は、組織部位102における静水圧より低くてもよい。特に指示がない限り、本書で述べる圧力の値はゲージ圧である。「真空」および「負圧」といった用語は組織に加えられる圧力を説明するのに使用されるが、組織部位に加わる実際の減圧は、一般に完全真空に関連する圧力よりも大きい。この用法と整合して、減圧または真空の増加とは通常、絶対圧の相対的な低下を意味する。
【0015】
手動減圧システム100は、マニホルド部材110と、シーリング部材114と、減圧インタフェース120と、手動減圧装置である減圧源140とを具えている。減圧送達部材122は、減圧源140を減圧インタフェース120に流体連結している。
【0016】
マニホルド部材110は、組織部位102に配置される。このマニホルド部材110は生体適合性材料であってもよく、組織部位と接触するように配置したり、減圧を組織部位に分配したりできる。本書における用語「マニホルド(manifold)」は一般に、組織部位に減圧を加える、流体を送達する、あるいは組織部位から流体を除去するのを補助すべく設けられた物体または構造をいう。マニホルド部材110は一般に、マニホルド周囲の組織の領域に流体を分配したり除去する複数のフローチャネルまたは通路を具える。これらのフローチャネルは相互接続することができる。マニホルドの例は、限定はしないが、フローチャネル、セル状発泡体(開放セル発泡体など)、多孔質組織の堆積、およびフローチャネルを含むか含むように硬化する液体、ゲルおよび発泡体を形成するように配置された構造要素を有する装置である。マニホルド部材110は多孔質であってもよく、発泡体、ガーゼ、フェルトマット、または特定の生物学的な用途に適した任意の他の材料から作ることができる。
【0017】
一実施例では、マニホルド部材110は多孔質発泡体であって、フローチャネルとして機能する複数の相互接続されたセルまたは多孔質を含む。この多孔質発泡体は、テキサス州サンアントニオのKinetic Concepts社で製造されているGranuFoam(商標)材料のようなポリウレタンの開放セル、網状発泡体であってもよい。他の実施形態は、「閉鎖セル」を含んでもよい。幾つかの状態では、このマニホルドは、薬物、抗菌物質、成長要素、および他の溶液といった流体を創傷に分配するために利用することもできる。他の層は、吸収物質、毛細管物質、疎水性物質および親水性物質などを含んでもよい。
【0018】
シーリング部材114がマニホルド部材110の上に配置され、手動減圧システム100に適した液密を設けて組織部位102に減圧を保持する。「液密」または「シール」は、特定の減圧サブシステムまたは供給源に与えられる、所望の部位に減圧を保持するのに適した密閉を意味する。シーリング部材114は、組織部位102にマニホルド部材110を固定するために用いるカバーであってもよい。シーリング部材114は不透過性または半透過性であってもよく、シーリング部材は、マニホルド部材110と患者の表皮の一部の上にシーリング部材114を取り付けた後に組織部位102に減圧を保持することが可能である。このシーリング部材114は、組織部位102に対して望ましい不透過性または透過性特性を含むシリコーンベースの化合物、アクリル、ポリウレタン、ヒドロゲルかヒドロゲル形成材料、または任意の他の生体適合性材料から形成された、柔軟なオーバードレープまたはフィルムであってもよい。
【0019】
シーリング部材114はさらに、シーリング部材114を患者の皮膚に固定する取付装置116を具えてもよい。この取付装置116は、任意の形状にすることができる。例えば、接着層118をシーリング部材の縁部またはシーリング部材の任意の部分に沿って配置して、液密を設けてもよい。この接着層118は、事前に適用されて、適用時に除去されるリリース部材で覆われてもよい。
【0020】
減圧インタフェース120、またはコネクタは、マニホルド部材110から減圧送達部材122へ、およびその逆に流体を通過させることができる。例えば、マニホルド部材110を用いて組織部位から収集された滲出液は、減圧インタフェース120を介して減圧送達部材122に入ることができる。他の実施形態では、システム100は減圧インタフェース120を具えず、減圧送達部材122がシーリング部材114を通ってマニホルド部材110内に直接挿入されてもよい。減圧送達部材122は、減圧の送達または移動を可能にする医療用導管か管または任意の他の装置であってもよい。
【0021】
減圧は、手動減圧装置である減圧源140によって生成され、減圧送達部材122に供給される。この減圧源140は、キャリア部材156および摺動部材168に連結している柔軟な折り畳み式部材146を具えてもよい。本書で用いる「連結する」は、別のものに恒久的に連結する、別のものに脱着可能に連結する、ある部材が別の部材を押すか引くことができるように部材を配置する等、様々な方法で接合するか関連しあうことを意味する。
【0022】
図1では明示していないが、減圧源140は、キャリア部材156から離れるように摺動部材168を動かす一定力バイアス部材を具えている。減圧源140は排気ポート153を有しており、これにより、柔軟な折り畳み式部材146内の空気または他の流体は外に出るが、排気ポート153には入らないようにすることができる。減圧は減圧源140によって減圧ポート154を通って送達され、この減圧ポート154は減圧送達部材122に連結され、減圧送達部材122から柔軟な折り畳み式部材146内へ一方向にのみ流れることができるようにする。一定力バイアス部材を使用することにより、減圧源140は一定の減圧が生じるようにする。本書で使用する「一定」は、所定のレベルに対して±5パーセントに特定の減圧を減圧ポート154において維持できることを意味する。一定力バイアス部材の強度は、減圧源140によって生成される減圧レベルを定めるために変更することができる。
【0023】
複数の異なる装置を減圧送達部材122の中間部124に加えることができる。例えば、流体収集部材126を追加して、除去された滲出液および他の流体を保持してもよい(この流体は更に、柔軟な折り畳み式部材146内に保持することもできる)。減圧送達部材122の中間部124に備え付けることができる装置の他の例は、圧力フィードバック装置、体積検出システム、血液検出システム、感染検出システム、流量監視システム、温度監視システム等を含む。流体収集部材といったこれらの装置のいくつかは、減圧源140と一体的に形成することもできる。減圧ポート154は1またはそれ以上のフィルタを含むフィルタ部材を具えていてもよく、このフィルタは折り畳み式部材146内の内部空間に液体が入るのを防ぐ疎水性フィルタを含んでもよい。臭気フィルタを具えてもよい。
【0024】
操作中、マニホルド部材110が組織部位102の近傍に配置され、シーリング部材114がマニホルド部材110と患者の表皮の一部の上に液密を作るように配置される。まだ連結されていない場合、減圧インタフェース120がシーリング部材114に連結される。減圧送達部材122は、減圧インタフェース120と減圧源140との間に連結される。摺動部材168は手動で動作されるか、キャリア部材156へと動かされ、その結果、柔軟な折り畳み式部材146が折り畳まれて、減圧源140を圧縮位置に配置する。この運動中、柔軟な折り畳み式部材146の内部空間内の空気または他の流体は、出口の排気ポート153を通って押し出される。次いで、一旦開放されると、バイアス装置がキャリア部材156から離れるように摺動部材168を付勢しながら、付勢力が柔軟な折り畳み式部材146を拡張させて減圧を生成し、この減圧は減圧ポート154を通って減圧送達部材122に送達され、減圧インタフェース120を通ってマニホルド部材110および組織部位102に送達される。減圧が送達されると、気体あるいは他の流体が減圧ポート154に入り、柔軟な折り畳み式部材146が拡張して、最終的に拡張位置に達するまで充填される。柔軟な折り畳み式部材146が汚染されていない場合など環境に応じて、柔軟な折り畳み式部材146を再び圧縮位置にして別のサイクルを開始することにより、柔軟な折り畳み式部材146を再充填することができる。アラームを、拡張位置に達したときの音響式の信号に加えてもよい。
【0025】
ここで主に図2を参照すると、分解斜視図に手動減圧源240を示している。手動減圧源240は、キャリア部材256と摺動部材268との間に配置された柔軟な折り畳み式部材246を具えている。このキャリア部材256および摺動部材268は、一定力バイアス部材278によって互いに離れるように付勢される。
【0026】
柔軟な折り畳み式部材246は、第1の端部248と第2の端部250とを有している。柔軟な折り畳み式部材246は内部空間に空気または他の流体を保持することができる。排気ポート253は第1の端部248の近くに位置してもよく、空気または他の流体が柔軟な折り畳み式部材246の内部空間を出ることができるようにする。減圧ポート254は、第2の端部250の近くに位置してもよい。使用中、この減圧ポート254は図1の減圧送達部材122などの減圧送達導管に流体連結され、創傷部位における組織を治療するシステムに減圧を提供する。これらのポート253、254は、柔軟な折り畳み式部材246のいかなる場所に位置していてもよい。
【0027】
この実施例では、ノジュール255が第2の端部250に近い柔軟な折り畳み式部材246に連結されている。このノジュール255は、安全性の理由により設けられている。特に、第1の端部248は1つの排気ポート253を有し、第2の端部250は減圧ポート254およびノジュール255を有しているため、柔軟な折り畳み式部材246は、一方向にのみキャリア部材256および摺動部材268と嵌め合わせることができる。従って、この柔軟な折り畳み式部材246は、正常な方法でのみ導入することができる。
【0028】
一実施例では、柔軟な折り畳み式部材246は蛇腹のように形成することができる。このような実施例では、互いの方へ、かつ互いが離れる方に移動しうる柔軟な折り畳み式部材246は波形を有する波状の側壁245が形成され、その結果、圧縮性の蛇腹は圧縮したり拡張したりする。柔軟な折り畳み式部材246は、蛇腹の圧縮および拡張を可能にする弾性ポリマといった任意の材料から作ることができる。形状は、矩形、円形、または任意の他の形状であってもよい。柔軟な折り畳み式部材246は、溶接、ネジ、接着、ボルト、気密シール、スナップ止めまたは任意の他の手段によって、キャリア部材256および摺動部材268に連結することができる。用語「連結」は一般に、別個の物体を介する連結および直接的な連結を含む。この用語「連結」はさらに、材料の同一部分から形成されたそれぞれの要素によって互いに連続している2またはそれ以上の要素を含む。さらに、用語「連結」は、化学結合を介するような化学的、機械的、熱的、または電気的結合を含んでもよい。
【0029】
柔軟な折り畳み式部材の内部チャンバは閉鎖システムとして機能し、これにより、圧力と体積が規定の関係、すなわちP×V=P×Vを有している。柔軟な折り畳み式部材246の端部の壁251の面積が圧力を受け、力を摺動部材268に伝達する。力は、この面積と比例する(F≒PA)。生成された減圧は、一定力バイアス部材278の力を選択したり、端部の壁251の面積を調整することによって制御できる。手動減圧源240によって生じた圧力は、通常、摺動側面の摺動部材276に面する柔軟な折り畳み式部材246の端部の壁251の内側部分の面積に反比例する(P≒F/A)。
【0030】
キャリア部材256は、第1のソケット部材258と第2のソケット部材260とを有するようにこの実施例では示されている。以下で更に説明するように、このソケット部材258および260は、第1の一定力コイルばね280および第2の一定力コイルばね282のそれぞれと、摺動部材268の第1のアーム270および第2のアーム272をそれぞれ収容するようなサイズに作られる。
【0031】
第1のソケット部材258および第2のソケット部材260は、側方のキャリア部材262によって連結されている。側方のキャリア部材262には、ポートチャネル264が形成される。ポートチャネル264は、締りばめなどによって、排気ポート253を確実に収容するようなサイズに作られ、構成されている。ソケット部材258および260には表示窓266が形成され、この表示窓266を通して摺動部材268の外面273の目盛、目印、または他の視覚表示274を確認することができる。キャリア部材256は、溶接、接着剤、ボルト、スナップ取付、ねじ、または任意の他の連結によって連結された複数の構成要素として形成されてもよく、あるいは鋳造などによって一体型ユニットとして形成されてもよい。2つのコイルばね280、282を単一のソケット部材に配置することもでき;その場合は、ばねを有する側面とは反対側の面に表示窓を配置することが望ましい場合もある。
【0032】
摺動部材268に第1のアーム270および第2のアーム272が形成され、アーム270、272間に連結された側方の摺動部材276を有している。側方摺動部材276は第1のポートチャネル275と第2のポートチャネル277とを有しており、これらは、締りばめなどによって、減圧ポート254およびノジュール255(または模擬ポート)をそれぞれ確実に収容するようなサイズに作られて構成されている。目盛などの視覚表示274は、第2のアーム272などアームの一方の外面273上に配置することができる。
【0033】
この実施例では、一定力バイアス部材278は、第1の一定力コイルばね280と第2の一定力コイルばね282とを含む。第1の一定力コイルばね280は、固定部分284とコイル部286とを有する。固定部分284は第1のソケット部材258のソケット開口部259の近くに連結され、ソケット開口部259は第1の一定力コイルばね280のコイル部286を収容するサイズに作られる。摺動部材268の第1のアーム270はインタフェース領域271または部材が形成されており、図示のように凹んでいてもよく、摺動部材268が手動でキャリア部材256へと作動したときに、コイル部286と接触してコイル部286を広げるか、コイル部286を曲げるように作られる。
【0034】
ここで主に図3Aおよび図3Bを参照すると、第1のソケット部材258、第1の一定力コイルばね280、および第1のアーム270の概略断面が図示されており、まず図3Aには拡張位置が、図3Bには圧縮位置が示されている。図3Aの拡張位置から始めると、コイル部286は、固有の自由位置または長さに近い状態である。第1の一定力コイルばね280の固定部分284は、ばね保持具またはピン等といった連結装置283を用いて連結されている。第1のアーム270が第1のソケット部材258内に押されるにつれて、インタフェース領域271が第1の一定力コイルばね280のコイル部286を圧接して、コイル部286を少なくとも部分的に広げ、その間、第1の一定力コイルばね280は、第1の一定力コイルばね280に掛かっている負荷に抵抗する一定力を提供している。
【0035】
第1のアーム270は、図3Bに示すように第1のアームの停止地点まで押され、開放され、第1の一定力コイルばね280は第1のアーム270を第1のソケット部材258から離れる方へ外側に押し続ける。図2を再び参照すると、第2の一定力コイルばね282は、図3Aおよび図3Bに示す第1の一定力コイルばね280に対する方法と同様に、第2のソケット部材260および第2のアーム272と相互作用するということを理解されたい。
【0036】
操作中、手動減圧源240が図4Aに示すような圧縮位置から、図4Bに示す中間位置、最後に図4Cに示す拡張位置まで移動すると、手動減圧源240が減圧を生成する。減圧治療システムに用いる手動減圧源240を準備するため、柔軟な折り畳み式部材246はキャリア部材256のポートチャネル264内に排気ポート253を有するように配置され、減圧ポート254およびノジュール255は、それぞれ第1のポートチャネル275および第2のポートチャネル277内に配置される。減圧送達導管は減圧ポート254に連結することができる。次いで、摺動部材268が、例えば誰かの手などで部材を手動で圧迫するか作動させることによって、キャリア部材256の方へ付勢される。このようにすると、一定力コイルばね280および282が広がり、手動減圧源240が圧縮位置に達する(図3Bおよび図4A参照)。
【0037】
次いで、加えられた手動力が取り除かれ、ばね280および282が摺動部材268をキャリア部材256から離れる方に付勢する。この付勢力により柔軟な折り畳み式部材246が拡張し始め、減圧ポート254に吸引が生じる。気体または他の流体が減圧ポート254内に収容されると、摺動部材268が少なくともある程度キャリア部材から外側に移動しながら、手動減圧源240は再び平衡状態に達する。このプロセスは、中間位置を通り、柔軟な折り畳み式部材246が完全に充填されるか、ばね280、282が初期位置に達する、手動減圧源240が最終または拡張した位置(図3Aおよび図4C参照)に達するまで続く。
【0038】
ここで主に図5を参照すると、手動の一定減圧源340の他の実施例を示している。この手動の一定減圧源340は、柔軟な折り畳み式部材346と、キャリア部材356と、摺動部材368とを具えている。保持部材383は、キャリア部材356の一部内の一定力バイアス部材(図示せず)と連結している。この一定力バイアス部材は、手動の一定減圧源340が圧縮位置から拡張位置に移動するにつれて、摺動部材368をキャリア部材356から離れる方に付勢する力を提供している。
【0039】
キャリア部材356は、第1のソケット部材358と、第2のソケット部材360と、キャリア側方部材362とを具えている。このキャリア部材356は、連結された構成部品によって形成されてもよく、あるいは鋳造といった手段によって一体型ユニットとして形成されてもよい。表示部365を手動の一定減圧源340の一部として具え、残りの許容量または運動を表示してもよい。一例として、表示部365は、第1のソケット部材358または第2のソケット部材360上に形成された表示窓366であってもよく、これにより摺動部材368の一部に取り付けられた視覚表示が見えるようになり、その結果、完全に拡張した位置に達する前に手動の一定減圧源340がどの程度さらに移動できるかを示す表示を提供する。ポートチャネル364はキャリア側方部材362に形成されて、減圧が通る減圧ポートなどのポートを保持するのを助け、柔軟な折り畳み式部材346内に生成された減圧は、減圧送達導管322に送達され、この導管322は創傷部位における組織を治療するシステムに減圧を送達する。
【0040】
摺動部材368は、第1のアーム370と第2のアーム372とを有している。これらのアーム370、372は、側方摺動部材376によって連結されている。この側方摺動部材376は、2本のアーム370、372上に位置にするようにスナップ留めされてもよい。図3Aおよび図3Bに示すものと同様の方法で、アーム370、372は、ソケット部材358および360内に位置する一定力バイアス部材を押し出すことができる。
【0041】
柔軟な折り畳み式部材346は、第1の端部348と第2の端部350とを有している。第2の端部350の一部は、柔軟な折り畳み式部材346の内部空間内に集められる滲出液のような流体を保持するように意図的に形成されてもよい。吸収ゲルまたは他の吸収材を第2の端部350に近接するように折り畳み式部材の内側部分内に配置してもよい。この特定の実施例では、柔軟な折り畳み式部材346の第1の端部348は、キャリア部材356のポートチャネル364内に適した減圧ポートを具えている。締りばめなどの嵌め合いは、第1の端部348を確実にキャリア部材356に保持するのを補助するよう十分に堅くてもよく、あるいはファスナ、溶接、接着剤等のように、第1の端部348を連結する他の手段を用いてもよい。柔軟な折り畳み式部材346の第2の端部350は、側方摺動部材376を受け、側方摺動部材376を保持するようなサイズに作られて構成されたチャネルまたは溝部またはキャリアラグ352が形成されており、その結果、第2の端部350を摺動部材368に固定している。
【0042】
ここで主に図6を参照すると、手動減圧装置440の他の実施例が分解斜視図に示されている。この手動減圧装置440は、柔軟な折り畳み式部材446と、ハウジング部457またはケースを含むキャリア部材456と、基礎部材461とを具えている。この手動減圧装置440はさらに、摺動部材468と一定力バイアス部材478とを具えている。
【0043】
柔軟な折り畳み式部材446は、第1の端部448と第2の端部450とを有している。この実施形態では、第1の端部448は摺動部材468の内側に連結されており、第2の端部450は基礎部材461の基礎ポッド463に連結されている。
【0044】
キャリア部材456のハウジング部457またはケースは、一体型ユニットを形成すべく基礎部材461をスナップ留めするような位置に作られており、これは、ハウジング部457と係合する、縁部490および戻り止めまたは戻り止めアーム467の双方により可能となる。戻り止めアーム467を用いてハウジング部457の一部と係合して保持することができ、縁部490は、開口部492に近位のハウジング部457を受けて保持するように具えられてもよい。ハウジング部457は摺動開口部465を具えてもよく、その中で摺動部材468が摺動可能に連結されており、手動で摺動開口部465内に押し下げることができる。
【0045】
基礎部材461は図2の減圧ポート254と類似する減圧ポート(図示せず)を具えてもよく、送達導管を取り付けて、減圧を送受可能にする。減圧ポート254は、柔軟な折り畳み式部材446の内部空間と流体連通している。減圧ポート254は、進入しうる任意の流体を保持するため、柔軟な折り畳み式部材446内に、好適には柔軟な折り畳み式部材446の一部内にカウンタボアを具えてもよい。このポートはさらに、フィルタ部材を有するフィルタキャリアを具えてもよく;このフィルタ部材は、木炭ペレットフィルタおよび焼結疎水性フィルタを含んでもよい。
【0046】
摺動部材468には開口部469が形成される。この摺動部材468は、ハウジング部457の一部内を摺動しうるサイズに作られる。
【0047】
一定力バイアス部材478は、固定部分484とコイル部486とを有する一定力コイルばね480であってもよい。コイル部486の中心開口部は、ハウジング部457上に位置するドラムまたはピン488に配置することができる。固定部分484は、摺動開口部469の近位に固定することができる。
【0048】
最終的な手動減圧装置440の組立では、柔軟な折り畳み式部材が確実に固定され、柔軟な折り畳み式部材446が減圧ポートと流体接触するよう配置されるように、柔軟な折り畳み式部材446が基礎ポッド463に連結される。柔軟な折り畳み式部材446の第1の端部448は摺動部材468の開口部469内に配置され、摺動部材468の一部に連結される。ハウジング部457は摺動部材468の上に位置し、戻り止めアーム467がハウジング部457の開口部492内の対応する差込み口と係合し、縁部490が開口部492と係合するまで、柔軟な折り畳み式部材446が押し下げられる。一定力バイアス部材478、例えば一定力コイルばね480は、キャリア部材456のドラム488にコイル部486の中央開口部を配置し、摺動部材468の開口部469の近位に固定部分484を連結することにより、装置440に連結される。
【0049】
動作中、減圧送達導管が基礎部材461上の減圧ポートに取り付けられ、次いで、摺動部材468が押し下げられるか手動で動かされて、摺動部材468を摺動開口部465内に更に押し下げることにより、手動減圧装置440は柔軟な折り畳み式部材446が折り畳まれた圧縮位置となる。柔軟な折り畳み式部材446が折り畳まれると、手動減圧装置440内の空気または他の流体は排気ポートの外に押し出され、この排気ポートはさらに基礎部材461の底面(図2の排気ポート253と類似)に設けられてもよい。
【0050】
コイルばね480が摺動部材468をキャリア部材456の基礎部材461から離れる方に付勢するにつれて、柔軟な折り畳み式部材446の内部空間に減圧が生じる。この減圧は、減圧ポートに送達される。その結果、柔軟な折り畳み式部材446が空気または他の流体で充填されるまで、あるいは一定力コイルばね480の静止位置または自由長さに達するまで、一定減圧が供給される。この装置は、極めてばらつきが小さい一定減圧を提供する。一定の期間にわたって、手動減圧装置440は、柔軟な折り畳み式部材446内の気体または液体の侵入を補正することができる。減圧の程度は、柔軟な折り畳み式部材446の端部の面積ならびに一定力コイルばね480のばね力を変更することによって、設定および制御することができる。
【0051】
本発明およびその利点を特定の非限定的な実施例の説明において開示したが、添付のクレームによって規定された本発明の範囲を逸脱することなく様々な変化、代用、置換、および代替を施すことができると理解すべきである。どれか1つの実施例に関して記載されたいずれの特徴も、任意の他の実施例に適用することができることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者の創傷を治療する手動減圧システムにおいて、当該システムが:
第1の側面と第2の患者に面する側面とを有し、減圧を分配しうるマニホルド部材と;
当該マニホルド部材と前記患者の一部の上に液密を提供しうるシーリング部材と;
減圧の送受を実施可能な減圧送達部材であって、第1の端部と第2の端部とを有する減圧送達部材と;
当該減圧送達部材の第2の端部に流体連結され、前記減圧送達部材から減圧を受け、前記マニホルド部材に減圧を送達しうる減圧インタフェースと;
減圧を生成し、減圧ポートを有する手動の一定減圧源であって、前記減圧ポートが前記減圧送達部材の第1の端部に流体連結されている手動の一定減圧源とを具えており、当該手動の一定減圧源が一定力バイアス部材を具えることを特徴とする手動減圧システム。
【請求項2】
請求項1に記載の手動減圧システムにおいて、前記手動の一定減圧源が、一定の減圧を提供しうることを特徴とする手動減圧システム。
【請求項3】
請求項1に記載の手動減圧システムにおいて、前記手動の一定減圧源が一定の減圧を提供可能であり、当該手動の一定減圧源が:
キャリア部材と;
当該キャリア部材に摺動可能に連結された摺動部材と;
第1の端部と第2の端部と内部空間とを有し、前記第1の端部が前記キャリア部材に連結され、前記第2の端部が前記摺動部材に連結された柔軟な折り畳み式部材と;を具え、
前記キャリア部材、前記一定力バイアス部材、前記摺動部材、および前記柔軟な折り畳み式部材が圧縮位置と拡張位置の間を移動できるようなサイズに作られ、且つ構成されており;
空気または他の気体が前記柔軟な折り畳み式部材の前記内部空間を出られるようにする排気ポートを具えており;
前記一定力バイアス部材が、前記圧縮位置と前記拡張位置の間で前記キャリア部材および前記摺動部材を互いに離れるように付勢しうる一定力コイルばねを具えることを特徴とする手動減圧システム。
【請求項4】
請求項3に記載の手動減圧システムにおいて、前記キャリア部材に、前記摺動部材の部分を確認するための表示窓が形成されていることを特徴とする手動減圧システム。
【請求項5】
請求項1に記載の手動減圧システムにおいて、前記手動の一定減圧源が:
第1のソケット開口部が形成された第1のソケット部材と、第2のソケット開口部が形成された第2のソケット部材と、前記第1のソケット部材および前記第2のソケット部材に連結されたキャリア側方部材とを有するキャリア部材と;
前記第1のソケット部材の前記第1のソケット開口部と合致するようなサイズに作られ構成された第1のアームと、前記第2のソケット部材の前記第2のソケット開口部と合致するようなサイズに作られ且つ構成された第2のアームと、前記第1のアームおよび前記第2のアームに連結された側方摺動部材とを有する摺動部材とを具え;
前記キャリア部材および前記摺動部材が、互いに摺動可能に係合するよう機能し、圧縮位置と拡張位置との間を移動可能であり;
前記第1のソケット開口部と近接して前記第1のソケット部材に連結された第1の一定力コイルばねであって、前記圧縮位置から前記拡張位置へと前記キャリア部材および前記摺動部材を押すために前記第1のアームに対して一定の力を提供しうる第1の一定力コイルばねと;
前記第2のソケット開口部と近接して前記第2のソケット部材に連結された第2の一定力コイルばねであって、前記圧縮位置から前記拡張位置へと付勢するために前記第2のアームに対して一定の力を提供しうる第2の一定力コイルばねと;
第1の端部と第2の端部とを有する柔軟な折り畳み式部材であって、前記第1の端部は前記キャリア部材に連結され、前記第2の端部は前記摺動部材に連結され、前記圧縮位置と前記拡張位置との間を移動可能な柔軟な折り畳み式部材と、を具えることを特徴とする手動減圧システム。
【請求項6】
請求項1に記載の手動減圧システムにおいて、前記手動の一定減圧源が:
第1の端部と、第2の端部と、内部空間とを有し、圧縮位置と拡張位置の間を移動可能な柔軟な折り畳み式部材と;
前記柔軟な折り畳み式部材に連結された排気ポートと;
前記柔軟な折り畳み式部材に連結された減圧ポートと;
前記柔軟な折り畳み式部材の第1の端部に連結されたキャリア部材と;
前記柔軟な折り畳み式部材の第2の端部に連結され、前記キャリア部材と摺動可能に係合しうる摺動部材と;を具えており、
前記一定力バイアス部材が前記キャリア部材および前記摺動部材に連結され、前記摺動部材および前記キャリア部材を互いに離れる方に付勢しうることを特徴とする手動減圧システム。
【請求項7】
組織部位における組織を治療すべく減圧システムに用いる手動減圧装置において、当該装置が:
第1の端部と、第2の端部と、内部空間とを有し、圧縮位置と拡張位置の間を移動可能な柔軟な折り畳み式部材と;
前記柔軟な折り畳み式部材に連結された排気ポートと;
前記柔軟な折り畳み式部材に連結された減圧ポートと;
前記柔軟な折り畳み式部材の第1の端部に連結されたキャリア部材と;
前記柔軟な折り畳み式部材の第2の端部に連結され、前記キャリア部材と摺動可能に係合し、前記圧縮位置と前記拡張位置の間を移動可能な摺動部材と;
前記キャリア部材および前記摺動部材に連結し、前記圧縮位置と前記拡張位置の間で前記摺動部材および前記キャリア部材を互いに離れる方に付勢しうる一定力バイアス部材とを具えることを特徴とする手動減圧装置。
【請求項8】
請求項7に記載の手動減圧装置において、前記一定力バイアス部材が、一定力コイルばねを具えることを特徴とする手動減圧装置。
【請求項9】
請求項7に記載の手動減圧装置において、前記一定力バイアス部材が、前記キャリア部材に連結されて、前記圧縮位置から前記拡張位置に前記摺動部材を付勢する一定の力を提供しうる一定力コイルばねを具えることを特徴とする手動減圧装置。
【請求項10】
請求項7に記載の手動減圧装置において、前記一定力バイアス部材が、前記キャリア部材に連結されて、前記圧縮位置から前記拡張位置に前記摺動部材を付勢する一定の力を提供しうる第1の一定力コイルばねと第2の一定力コイルばねとを具えることを特徴とする手動減圧装置。
【請求項11】
請求項7に記載の手動減圧装置がさらに、前記圧縮位置と前記拡張位置との間の前記装置の移動を示す、前記キャリア部材に連結されている表示部を具えることを特徴とする手動減圧装置。
【請求項12】
請求項7に記載の手動減圧装置において、前記キャリア部材に表示窓が形成され、さらに前記摺動部材に固定された視覚表示部を具えており、当該視覚表示部の一部を前記表示窓を通して見ることができることを特徴とする手動減圧装置。
【請求項13】
請求項7に記載の手動減圧装置において、前記柔軟な折り畳み式部材が、蛇腹部材を具えることを特徴とする手動減圧装置。
【請求項14】
手動減圧装置を製造する方法において、当該方法が:
キャリア部材を形成するステップと;
摺動部材を形成するステップであって、当該摺動部材および前記キャリア部材が互いに摺動可能に係合するように形成されるステップと;
第1の端部と、第2の端部と、内部空間とを有し、圧縮位置と拡張位置との間を移動可能な柔軟な折り畳み式部材を設けるステップと;
前記柔軟な折り畳み式部材の第1の端部を前記キャリア部材に連結するステップと;
前記柔軟な折り畳み式部材の第2の端部を前記摺動部材に連結するステップと;
一定力バイアス部材を前記キャリア部材および前記摺動部材に連結するステップであって、前記一定力バイアス部材が前記圧縮位置と前記拡張位置との間で前記キャリア部材および前記摺動部材を互いに離れる方に付勢しうるステップと;
前記柔軟な折り畳み式部材に排気ポートを形成して、前記圧縮位置に位置しているときに流体が前記柔軟な折り畳み式部材の前記内部空間を出ることができるようにするステップと;
前記柔軟な折り畳み式部材から減圧を送達するための減圧ポートを前記柔軟な折り畳み式部材に形成するステップと、を具えることを特徴とする方法。
【請求項15】
請求項14に記載の手動減圧装置を製造する方法において、前記一定力バイアス部材を前記キャリア部材および前記摺動部材に連結するステップが、一定力コイルばねを前記キャリア部材および前記摺動部材に連結するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項16】
請求項14に記載の手動減圧装置を製造する方法において、前記一定力バイアス部材を前記キャリア部材および前記摺動部材に連結するステップが、一定力ばねの固定部分を前記キャリア部材に連結し、前記摺動部を前記一定力ばねのコイル部に圧接するように構成するステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項17】
請求項14に記載の手動減圧装置を製造する方法において、前記柔軟な折り畳み式部材の第2の端部が面積(A)を有しており、当該面積(A)および前記一定力バイアス部材によってもたらされた力(F)が、前記減圧ポートにおいて所望の減圧(RP)を生成するように選択され、RP≒F/Aであることを特徴とする方法。
【請求項18】
請求項14に記載の手動減圧装置を製造する方法がさらに、表示部を前記キャリア部材に連結するステップを具えることを特徴とする方法。
【請求項19】
請求項14に記載の手動減圧装置を製造する方法がさらに:
視覚表示部を前記摺動部材の一部に取り付けるステップと;
前記視覚表示部の一部が見えるように、前記キャリア部材に表示窓を形成するステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項20】
患者の組織部位を減圧で治療する方法において、当該方法が:
前記組織部位と近接してマニホルド部材を配置するステップと;
液密を形成すべく、前記マニホルド部材と前記患者の表皮の一部の上にシーリング部材を配置するステップと;
減圧を前記マニホルド部材に提供するために減圧インタフェースを前記シーリング部材に連結するステップと;
減圧源を設けるステップであって、当該減圧源が減圧を生成する手動の一定減圧源を具え、当該手動の一定減圧源は減圧ポートを有し、当該減圧ポートは減圧送達部材の第1の端部に流体連結され、ほぼ一定の減圧が生じるように機能しており、前記手動の一定減圧源が一定力バイアス部材を具えているステップと;
前記減圧源を前記減圧インタフェースに流体連結するステップと;
前記減圧源を圧縮位置に移動させるステップとを具えることを特徴とする方法。
【請求項21】
請求項20に記載の方法において、前記手動の一定減圧源が:
第1の端部と、第2の端部と、内部空間とを有し、圧縮位置と拡張位置との間を移動可能な柔軟な折り畳み式部材と;
前記柔軟な折り畳み式部材に連結された排気ポートと;
前記柔軟な折り畳み式部材に連結された減圧ポートと;
前記柔軟な折り畳み式部材の第1の端部に連結されたキャリア部材と;
前記柔軟な折り畳み式部材の第2の端部に連結され、前記キャリア部材と摺動可能に係合しうる摺動部材と;を具えており、
前記一定力バイアス部材は前記キャリア部材および前記摺動部材に連結しており、前記摺動部材および前記キャリア部材を互いに離れる方に付勢しうることを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−527620(P2011−527620A)
【公表日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−517625(P2011−517625)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際出願番号】PCT/US2009/050126
【国際公開番号】WO2010/006182
【国際公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【出願人】(508268713)ケーシーアイ ライセンシング インコーポレイテッド (125)
【Fターム(参考)】