創傷閉鎖システムおよび使用方法
【課題】機械的機構の使用を必要としない、創傷を閉じるための創傷閉鎖システムおよび方法の提供
【解決手段】創傷閉鎖システムであって、創傷の周りの真空を維持するためのハウジングと、該ハウジングを通って該創傷の中に挿入されるように構成された遠位端を有する作業器具を含むシールアセンブリであって、該作業器具は、該作業器具が該創傷から引き出されるとき、該創傷を閉じてかつ密封するようにさらに構成されている、シールアセンブリとを含む、システム。
【解決手段】創傷閉鎖システムであって、創傷の周りの真空を維持するためのハウジングと、該ハウジングを通って該創傷の中に挿入されるように構成された遠位端を有する作業器具を含むシールアセンブリであって、該作業器具は、該作業器具が該創傷から引き出されるとき、該創傷を閉じてかつ密封するようにさらに構成されている、シールアセンブリとを含む、システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本願は、2009年5月19日に出願された米国仮特許出願第61/179,437号の利益および優先権を主張するものであり、その内容全体が、参照により本明細書に援用されている。
(技術分野)
本開示は、アクセスアセンブリおよび体腔にアクセスする手段に関する。より具体的には、本開示は、アクセスアセンブリによって生成された穿刺創傷を密封するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の背景)
トロカールおよびポートアセンブリを含む外科用アクセス装置は、これらの装置を通して実行され得る無数の処置として公知である。一般には、アクセス装置は、ハウジングとハウジングから延びるカニューレとを含む。ハウジングは、弁、シールおよび器具を患者の中に導く他の機構を含み得る。カニューレは、一般に、刃付先端の使用を介してか、あるいは事前に生成された切開を介してかのいずれかで、患者の皮膚を通り過ぎて体腔内に達するように構成されている。
【0003】
閉じる処置が完了すると、患者の体腔にアクセスするために使用された1つ以上のアクセス装置は、取り除かれ、従って、1つ以上の穿刺創傷を生成する。穿刺創傷の大きさは、体腔にアクセスするために使用されたカニューレの大きさに依存して変わり得る。いくつかの処置は、処置を完了するための、体腔への大きな通路を必要とする。従来の方法(つまり、ステープルあるいは縫合糸)を使用して穿刺創傷を密封することは、時間の浪費であり、ひとたび創傷が治癒されると、取り除きが必要となり、不必要な傷跡をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、機械的ファスナの使用を必要としない、創傷を閉じるシステムおよび方法を有することは、利益がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、穿刺創傷を閉じるための創傷閉鎖システムが提供される。システムは、創傷の周りの真空を維持するためのハウジングと、ハウジングを通って該創傷の中に挿入されるように構成された遠位端を有する作業器具を含むシールアセンブリとを含み、該作業器具は、作業器具がシールアセンブリから引かれるとき、創傷を閉じて密封するようにさらに構成されている。
【0006】
創傷閉鎖システムのハウジングは、半球状の部材を画定し得る。ハウジングは、透明であり得る。1つの実施形態では、システムは、作業器具に接続されるように動作可能な接着剤供給源と、作業器具に接続されるように動作可能な真空源とをさらに含む。代替の実施形態では、システムは、作業器具に接続されるように動作可能な電気外科発生器を含む。作業器具は、少なくとも、シールアセンブリの第1の機能を選択的に起動するための第1のスイッチを含み得、また、シールアセンブリの第2の機能を選択的に起動するための第2のスイッチを含み得る。作業器具は、接着剤を選択的に分注し、および/または、ハウジングに真空を選択的に供給するように構成され得る。作業器具は、また、あるいは代わりに、組織を選択的に融合するように構成され得る。システムは、創傷付近に位置決めする吸着性フィルムをさらに含み得る。
【0007】
また、創傷を閉じる方法が提供されている。該方法は、ハウジングと、作業器具を含むシールアセンブリとを含む創傷閉鎖システムを提供するステップと、ハウジングを創傷に対して密封された関係に配置するステップと、作業器具の遠位端をハウジングを通って創傷の中に挿入するステップと、真空をハウジングに適用するステップと、作業器具を起動するステップと、作業器具を創傷から引き上げるステップとを含む。
【0008】
方法は、創傷内に受け入れられる作業器具の遠位端に、吸着フィルムを配置するステップをさらに含み得る。作業器具の起動は、作業器具の遠位端から接着剤を分注させる。作業器具の起動は、作業器具の遠位端の調和振動を起こして、創傷を融合する。
【0009】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
(項目1)
創傷閉鎖システムであって、
創傷の周りの真空を維持するためのハウジングと、
該ハウジングを通って該創傷の中に挿入されるように構成された遠位端を有する作業器具を含むシールアセンブリであって、該作業器具は、該作業器具が該創傷から引き出されるとき、該創傷を閉じてかつ密封するようにさらに構成されている、シールアセンブリと
を含む、システム。
(項目2)
前記ハウジングは、半球状の部材を画定する、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記ハウジングは、透明である、項目1〜2のいずれか1項に記載のシステム。
(項目4)
前記作業器具に接続されるように動作可能な接着剤供給源をさらに含む、項目1〜3のいずれか1項に記載のシステム。
(項目5)
前記作業器具に接続するように動作可能な真空源をさらに含む、項目1〜4のいずれか1項に記載のシステム。
(項目6)
前記作業器具に接続するように動作可能な電気外科発生器をさらに含む、項目1〜5のいずれか1項に記載のシステム。
(項目7)
前記作業器具は、少なくとも、前記シールアセンブリの第1の機能を選択的に起動する第1のスイッチをさらに含む、項目1〜6のいずれか1項に記載のシステム。
(項目8)
前記作業器具は、前記シールアセンブリの第2の機能を選択的に起動する第2のスイッチをさらに含む、項目1〜7のいずれか1項に記載のシステム。
(項目9)
前記作業器具は、接着剤を選択的に分注するように構成されている、項目1〜8のいずれか1項に記載のシステム。
(項目10)
前記作業器具は、真空を前記ハウジングに選択的に供給するように構成されている、項目1〜9のいずれか1項に記載のシステム。
(項目11)
前記作業器具は、組織を選択的に融合するように構成されている、項目1〜10のいずれか1項に記載のシステム。
(項目12)
前記創傷に隣接して位置決めしている吸収性フィルムをさらに含む、項目1〜11のいずれか1項に記載のシステム。
(項目13)
創傷を閉じるためのシステムであって、
ハウジングと、作業器具を含むシールアセンブリと、
該ハウジングを、該創傷を覆って密封された関係に配置する手段と、
該ハウジングを通って該創傷の中に挿入されるように構成される遠位端を含む作業器具と、
真空を該ハウジングに適用する手段と、
該作業器具を起動する手段と、
該作業器具を該創傷から引き出す手段と
を含む、システム。
(項目14)
前記創傷内に受け入れられる前記作業器具の遠位端は吸収性フィルムを含む、項目1〜13のいずれか1項に記載のシステム。
(項目15)
前記作業器具の前記遠位端は、前記起動する手段によって該遠位端が起動されると、接着剤を該遠位端から分注するように構成されている、項目1〜14のいずれか1項に記載のシステム。
(項目16)
前記作業器具の前記遠位端は、前記起動する手段によって起動されると、調和的に振動して、前記創傷を融合するように構成されている、項目1〜15のいずれか1項に記載のシステム。
(項目1A)
創傷閉鎖システムであって、
創傷の周りの真空を維持するためのハウジングと、
該ハウジングを通って該創傷の中に挿入されるように構成された遠位端を有する作業器具を含むシールアセンブリであって、該作業器具は、該作業器具が該創傷から引き出されるとき、該創傷を閉じてかつ密封するようにさらに構成されている、シールアセンブリと
を含む、システム。
(項目2A)
上記ハウジングは、半球状の部材を画定する、項目1Aに記載のシステム。
(項目3A)
上記ハウジングは、透明である、項目1A〜2Aのいずれか1項に記載のシステム。
(項目4A)
上記作業器具に接続されるように動作可能な接着剤供給源をさらに含む、項目1A〜3Aのいずれか1項に記載のシステム。
(項目5A)
上記作業器具に接続するように動作可能な真空源をさらに含む、項目1A〜4Aのいずれか1項に記載のシステム。
(項目6A)
上記作業器具に接続するように動作可能な電気外科発生器をさらに含む、項目1A〜5Aのいずれか1項に記載のシステム。
(項目7A)
上記作業器具は、少なくとも、上記シールアセンブリの第1の機能を選択的に起動する第1のスイッチをさらに含む、項目1A〜6Aのいずれか1項に記載のシステム。
(項目8A)
上記作業器具は、上記シールアセンブリの第2の機能を選択的に起動する第2のスイッチをさらに含む、項目1A〜7Aのいずれか1項に記載のシステム。
(項目9A)
上記作業器具は、接着剤を選択的に分注するように構成されている、項目1A〜8Aのいずれか1項に記載のシステム。
(項目10A)
上記作業器具は、真空を上記ハウジングに選択的に供給するように構成されている、項目1A〜9Aのいずれか1項に記載のシステム。
(項目11A)
上記作業器具は、組織を選択的に融合するように構成されている、項目1A〜10Aのいずれか1項に記載のシステム。
(項目12A)
上記創傷に隣接して位置決めしている吸収性フィルムをさらに含む、項目1A〜11Aのいずれか1項に記載のシステム。
(項目13A)
創傷を閉じるための方法であって、該方法は、
ハウジングと、作業器具を含むシールアセンブリとを含む創傷閉鎖システムを提供するステップと、
該ハウジングを、該創傷を覆って密封された関係に配置するステップと、
該作業器具の遠位端を、該ハウジングを通って該創傷の中に挿入するステップと、
真空を該ハウジングに適用するステップと、
該作業器具を起動するステップと、
該作業器具を該創傷から引き出すステップと
を含む、方法。
(項目14A)
上記創傷内に受け入れられる上記作業器具の遠位端に、吸収性フィルムを配置するステップをさらに含む、項目1A〜13Aのいずれか1項に記載の方法。
(項目15A)
上記作業器具の上記起動は、該作業器具の上記遠位端から接着剤を分注させる、項目1A〜14Aのいずれか1項に記載の方法。
(項目16A)
上記作業器具の上記起動は、該作業器具の上記遠位端の調和振動に上記創傷を融合させる、項目1A〜15Aのいずれか1項に記載の方法。
(摘要))
穿刺創傷を閉じるための創傷閉鎖システムが提供される。該システムは、創傷の周りの真空を維持するハウジングと、該ハウジングを通って該創傷の中に挿入されるように構成された遠位端を有する作業器具を含むシールアセンブリとを含み、該作業器具は、該作業器具が該創傷から引き出されるとき、該創傷を閉じて密封するようにさらに構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、上に与えられた開示の概略記述と共に、本開示の実施形態を例示しており、下に与えられる実施形態の詳細な記述は、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図1】図1は、本開示に従った創傷閉鎖システムの実施形態の透視図である。
【図2】図2は、図1の創傷閉鎖システムの作業器具の側面図である。
【図3A】図3Aは、図2の作業器具の1つの実施形態を、遠位端からみた図である。
【図3B】図3Bは、図2の作業器具の代替の実施形態を、遠位端からみた図である。
【図4】図4は、穿刺創傷を含む組織の断面の断面透視図である。
【図5】図5−9は、図1の創傷閉鎖システムを使用する創傷閉鎖処置のステップを、段階的に進めて示した断面の側面図である。
【図6】図5−9は、図1の創傷閉鎖システムを使用する創傷閉鎖処置のステップを、段階的に進めて示した断面の側面図である。
【図7】図5−9は、図1の創傷閉鎖システムを使用する創傷閉鎖処置のステップを、段階的に進めて示した断面の側面図である。
【図8】図5−9は、図1の創傷閉鎖システムを使用する創傷閉鎖処置のステップを、段階的に進めて示した断面の側面図である。
【図9】図5−9は、図1の創傷閉鎖システムを使用する創傷閉鎖処置のステップを、段階的に進めて示した断面の側面図である。
【図10】図10は、本開示に従った、創傷を閉じる代替の方法の断面の側面図である。
【図11】図11は、本開示に従った、創傷を閉じる他の方法の断面の側面図である。
【図12】図12は、本開示に従った、創傷閉鎖システムの用途のシールアセンブリの代替の実施形態である。
【図13】図13は、組織を融合する、図12のシールアセンブリの作業器具の断面の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示された創傷閉鎖システムの実施形態が、図面を参照してここで詳細に記述される。同様な数字は、いくつかの図面の各々において、同等なあるいは対応する要素を示す。当該分野で共通なように、用語「近位の」は、ユーザあるいは操作者(つまり、外科医あるいは内科医)に近い方の部分あるいは構成部品を言い、用語「遠位の」は、ユーザからさらに離れた部分あるいは構成部品を言う。
【0012】
最初に図1を参照して、本開示の実施形態に従ったシステムが、概して、創傷閉鎖システム100として示されている。創傷閉鎖システム100は、患者の組織「T」に形成された創傷「W」(図4)を密封するように構成されている。創傷閉鎖システム100は、患者の腹壁を通る穿刺創傷を密封するために使用されるように記述されるが、創傷閉鎖システム100は、他の位置における他のタイプの開口を閉じる用途のために構成され得る。
【0013】
なおも図1を参照すると、創傷閉鎖システム100は、ハウジング110と組織シールアセンブリ120とを含む。ハウジング110は、シールアセンブリ120の作業器具122が、ハウジング110を通って挿入され、臨床医によって操作されて組織「T」を密封するとき、組織「T」との真空を維持するように構成される。ハウジング110は、実質的に半球形状の部材112を画定し、該半球形状の部材112は、開いた組織接触端112aおよび実質的に閉じた端112bを含む。ハウジング110は、任意の大きさであり得、プラスチック、ポリマ、ガラス、あるいは任意の他の適切な材料で形成され得る。示されるように、ハウジング110は、透明あるいは半透明であるが、しかしながら、ハウジング110は、代わりに、のぞき窓を含み得るか、あるいは画像化装置(例えば、x線、超音波、MRI)との組み合わせの用途のために構成され得る。ハウジング110の開いた端112aは、組織「T」(図4)とのシールを形成するように構成される。開いた端112aは、ゴム、シリコーンあるいは、ハウジング112と組織「T」との間のシールの完全性を増加するための他の適切な材料の被覆115を含み得る。被覆115は、製造の間に開いた端112aに塗布され得るか、あるいは代わりに、使用の前に、臨床医によって塗布され得る。開いた端112aは、曲がった、傾斜した、あるいは、創傷「W」を囲む組織「T」の輪郭にマッチするように構成されてもよい。実質的に閉じた端112bは、スリットあるいは、他の適切な開口部を通る、シールアセンブリ120の作業器具122を密封された態様で受け入れるように構成されたスリットあるいは他の適切な開口部113を含む。
【0014】
なおも図1を参照して、ハウジング112は、創傷閉鎖処置の完了に続いて、あるいは臨床医が未完の状態でハウジング112を取り除かなければならない場合に、ハウジング112内に生成された真空を開放する弁114をさらに含み得る。弁114は、また、ハウジング112に真空を提供する真空源140と接続するように構成され得る。この態様で、および下に詳細が記述されるように、真空は、作業器具122の使用がなくてもハウジング112内に生成され得る。
【0015】
図1−4を参照して、シールアセンブリ120は、接着剤供給源130および真空源140に結合されるように動作可能な作業器具122を含む。示されるように、接着剤供給源130および真空源140は、管類130a、140aをそれぞれ介して、作業器具122と各々流体連通しているスタンドアロンユニットを含む。しかしながら、接着剤供給源130および真空源140は、一体化して形成され得ることが想起される。この態様では、組み合わされたユニットを作業器具122に接続する管類は、二重管腔を含み得る。接着剤供給源130は、接着剤を選択的に分注できる任意の装置(例えば、混合注射器あるいはメータポンプ)を含み得る。真空源140は、真空をハウジング110に提供できる任意の装置を含み得る。
【0016】
特に図2−4を参照して、シールアセンブリ120の作業器具122は、近位端124a、遠位端124bを有し、細長い本体124を通って延びる、少なくとも第1の管腔126および第2の管腔128を画定する細長い本体124を含む。細長い本体124は、臨床医による動作可能な係合を容易にするように、刻みが付けられ、ざらざらにされ、あるいは構成されている。実質的に閉じた近位端124aは、管類130a、140aと係合するように動作可能に構成される。遠位端124bは、ハウジング110のスリット113を通って創傷「W」(図5)に挿入されるように構成される。この態様では、細長い本体124は、近位端124aがハウジング110の外部に維持されながら、遠位端124bがハウジング110を通って創傷「W」の中に延びるような大きさにされている。作業器具122の遠位端124bは、接着剤を分注し真空を供給するようにさらに構成されるが、上に議論されたように、真空は代わりに、弁114を通って直接ハウジング110に提供され得る。
【0017】
なおも図2−4を参照すると、第1および第2の管腔126、128が、接着剤供給源130から作業器具122の遠位端124bに、接着剤を選択的に分注するか、真空源140から作業器具122の遠位端124bに、真空を選択的に提供するかのうちの1つをするように構成されている。管腔126、128のいずれかは、実行されている処置、および/または処置を実行している臨床医の選好に依存して、接着剤を分注するか、あるいは真空を供給するように構成される。1つの実施形態では、第1および第2の管腔126,128は、作業器具122(図3A)内に同軸に形成される。代替の実施形態では、第1の管腔126は、中央管腔を形成し、第2の管腔128は、その周りに形成された(図3B)複数のより小さい管腔を含む。第1および第2の管腔126,128のいずれかは、1つの管腔から分注された接着剤がすぐには他方に取り込まれないように、他方を超えて延びるか、あるいは離されている。作業器具122の遠位端124bは、その周りに延びて第1および第2の管腔126,128のうちの1つと流体連通する、任意の数の開口部127を含み得る。円形であるように示されているが、開口部127は、三角形、楕円およびスロットを含む任意の構成を含み得る。他の実施形態では、真空がハウジング110に弁114を通って提供される。この態様では、作業器具122内の第2の管腔に対するニーズは除かれる。
【0018】
図1および2を参照して、作業器具122は、接着剤供給源130を起動する第1のスイッチあるいは弁123と、真空源140を起動する第2のスイッチあるいは弁125とを含む。第1および第2のスイッチ123、125のいずれかあるいは両方が、接着剤供給源130および真空源140を、それぞれ電気的に起動するように構成されている。代替として、第1および第2のスイッチ123、125のいずれかあるいは両方が、それぞれの第1および第2の管腔126,128を選択的に塞いで、作業器具122を通して接着剤の流れを起こすか、あるいは真空を生成する。代替の実施形態では、第1および第2のスイッチ123、125のいずれかあるいは両方が、それぞれ接着剤供給源130および真空源140に配置されることにより、これらが、作業器具122とは独立に起動され得る。なおも他の実施形態では、第1および第2のスイッチ123、125のいずれかあるいは両方が、接着剤供給源130および真空源140を遠隔に起動するために、フットペダル123a、125aにそれぞれ配置される。
【0019】
ここで、図5−10を参照して、創傷閉鎖システム100の動作が記述される。初めに、トロカールあるいは他のアクセス装置(示されていない)が、穿刺創傷「W」を生成する組織「T」から取り除かれる(図5)。図6に移って、創傷閉鎖システム100のハウジング112が次に創傷「W」を覆って配置されることにより、ハウジング112の開いた端112aが、組織「T」を空気密封の態様で係合する。作業器具122の遠位端124bは、次に、ハウジング112の実質的に閉じた遠位端112bに形成されたスリット113を通って創傷「W」の中に挿入される。吸収性のフィルムあるいは裏当て部材160が、創傷「W」への挿入の前に、作業器具122の遠位端124bに解放可能に取り付けられるか、あるいは代わりに、前もって創傷「W」の中に挿入され得る。吸収性フィルム160が、注入ガスが創傷「W」に入ることを防ぎ、作業器具122および/または弁114を通って生成された真空を破ることを防ぐように、含まれる。1つの実施形態では、吸収性フィルム160は、メッシュを形成し、メッシュは、腸のフィルムへの固着を阻止する。作業器具122の遠位端124bが、吸収性フィルム160が組織「T」の内側表面を係合するように、創傷「W」を通って挿入される。吸収性フィルム160は、接着剤あるいは、作業器具122が創傷「W」から引き出されるときに、吸収性フィルム160を解放できる機械的ファスナ(例えば、フックおよびループファスナ)により作業器具122に固定され得る。1つの実施形態では、作業器具122は、吸収性フィルム160を作業器具122の遠位端124bから離すための機構(示されない)を含む。
【0020】
図7に移って、作業器具122の遠位端124bおよび吸収性フィルム160が、創傷「W」内に正しく位置決めされたら、真空源140が起動されて、作業器具122の本体部分124の回りの組織「T」の両側の部分を引く。接着剤供給源130が、そして、起動されて、接着剤を作業器具122の遠位端124bから分注させる。図7および8を参照すると、作業器具122の遠位端124bが創傷「W」から、矢印「A」の方向に待避されるとき、真空源140によって生成された真空は、接着剤が組織「T」の両側の面に塗布されるので、組織「T」の両側を本体部分124の遠位端124bの周りに維持する。組織「T」に塗布された接着剤は、組織「T」の両側の面を共に(図9)接着する作用をするか、あるいは、代わりに、接着剤が、創傷「W」のボイド(図11)がある状態で、プラグ161を形成するように使用され得る。プラグ161は、創傷「W」の長さに完全にあるいは部分的に延び得る。創傷閉鎖処置の間に使用される接着剤は、任意の生物適合の接着剤を含む。接着剤は、創傷の治癒を促進するようにさらに構成され得る。
【0021】
ここで図10を参照して、作業器具122の遠位端124bが創傷「W」から取り除かれると、接着剤供給源130は停止される。真空源140も、また停止される。代替として、真空源140は、接着時間が設定されることを可能にするように動作状態のままであり得る。ハウジング112は、真空源140を停止し、スリット113を開くか、あるいは弁114を起動することによりハウジング112内から真空を解放することによって、組織「T」から取り除かれ得て、閉じた創傷「W」(図11)をもたらす。
【0022】
ここで図12を参照して、本開示に従ったシールアセンブリの代替の実施形態が、概してシールアセンブリ220として示されている。シールアセンブリ220は、シールアセンブリ120と実質的に同様であり、それらの間の違いに関してのみ記述される。シールアセンブリ220は、電気外科発生器230および真空源240に接続されるように動作可能な作業器具222を含む。発生器230は、電気外科エネルギを作業器具222に提供する。作業器具の遠位端224bは、発生器230に接続されるように動作可能な拡張部229を含み、組織「T」の両側を共に融合するように構成されている。拡張部229は、示されるように、テーパが付いていてもよく、あるいは、組織「T」の両側を作業器具222に向けるために適切な任意の他の構成を含んでもよい。拡張部229は、調和ロッドを形成し得るか、または、作業器具222が創傷「W」から引き出されるとき、組織「T」を融合するように構成された電極メッキ部材を含み得る。拡張部229は、創傷「W」を囲む組織「T」を加熱するように動作し、それによって、組織「T」を融合し創傷「W」を密封する。
【0023】
本開示の例示的実施形態が、本明細書に添付の図面を参照して記述されてきたが、開示は、これらの正確な実施形態に限定されるのでなく、本開示の範囲あるいは精神から外れることなく、様々な他の変更および修正が当業者によってこれらにもたらされ得ることを理解すべきである。例えば、組織シールアセンブリの作業器具は、接着剤を分注し、また、調和的に組織をシールすることの両方をするように構成され得る。
【符号の説明】
【0024】
100 創傷閉鎖システム
110 ハウジング
112 作業器具
112a 開いた端
112b 閉じた端
113 開口部
114 弁
115 被覆
120 シールアセンブリ
122 作業器具
123 第1の弁
123a フットペダル
125 第2の弁
125a フットペダル
130 接着剤供給源
130a 管類
140 真空源
140a 管類
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本願は、2009年5月19日に出願された米国仮特許出願第61/179,437号の利益および優先権を主張するものであり、その内容全体が、参照により本明細書に援用されている。
(技術分野)
本開示は、アクセスアセンブリおよび体腔にアクセスする手段に関する。より具体的には、本開示は、アクセスアセンブリによって生成された穿刺創傷を密封するシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の背景)
トロカールおよびポートアセンブリを含む外科用アクセス装置は、これらの装置を通して実行され得る無数の処置として公知である。一般には、アクセス装置は、ハウジングとハウジングから延びるカニューレとを含む。ハウジングは、弁、シールおよび器具を患者の中に導く他の機構を含み得る。カニューレは、一般に、刃付先端の使用を介してか、あるいは事前に生成された切開を介してかのいずれかで、患者の皮膚を通り過ぎて体腔内に達するように構成されている。
【0003】
閉じる処置が完了すると、患者の体腔にアクセスするために使用された1つ以上のアクセス装置は、取り除かれ、従って、1つ以上の穿刺創傷を生成する。穿刺創傷の大きさは、体腔にアクセスするために使用されたカニューレの大きさに依存して変わり得る。いくつかの処置は、処置を完了するための、体腔への大きな通路を必要とする。従来の方法(つまり、ステープルあるいは縫合糸)を使用して穿刺創傷を密封することは、時間の浪費であり、ひとたび創傷が治癒されると、取り除きが必要となり、不必要な傷跡をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、機械的ファスナの使用を必要としない、創傷を閉じるシステムおよび方法を有することは、利益がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、穿刺創傷を閉じるための創傷閉鎖システムが提供される。システムは、創傷の周りの真空を維持するためのハウジングと、ハウジングを通って該創傷の中に挿入されるように構成された遠位端を有する作業器具を含むシールアセンブリとを含み、該作業器具は、作業器具がシールアセンブリから引かれるとき、創傷を閉じて密封するようにさらに構成されている。
【0006】
創傷閉鎖システムのハウジングは、半球状の部材を画定し得る。ハウジングは、透明であり得る。1つの実施形態では、システムは、作業器具に接続されるように動作可能な接着剤供給源と、作業器具に接続されるように動作可能な真空源とをさらに含む。代替の実施形態では、システムは、作業器具に接続されるように動作可能な電気外科発生器を含む。作業器具は、少なくとも、シールアセンブリの第1の機能を選択的に起動するための第1のスイッチを含み得、また、シールアセンブリの第2の機能を選択的に起動するための第2のスイッチを含み得る。作業器具は、接着剤を選択的に分注し、および/または、ハウジングに真空を選択的に供給するように構成され得る。作業器具は、また、あるいは代わりに、組織を選択的に融合するように構成され得る。システムは、創傷付近に位置決めする吸着性フィルムをさらに含み得る。
【0007】
また、創傷を閉じる方法が提供されている。該方法は、ハウジングと、作業器具を含むシールアセンブリとを含む創傷閉鎖システムを提供するステップと、ハウジングを創傷に対して密封された関係に配置するステップと、作業器具の遠位端をハウジングを通って創傷の中に挿入するステップと、真空をハウジングに適用するステップと、作業器具を起動するステップと、作業器具を創傷から引き上げるステップとを含む。
【0008】
方法は、創傷内に受け入れられる作業器具の遠位端に、吸着フィルムを配置するステップをさらに含み得る。作業器具の起動は、作業器具の遠位端から接着剤を分注させる。作業器具の起動は、作業器具の遠位端の調和振動を起こして、創傷を融合する。
【0009】
本発明は、さらに以下の手段を提供する。
(項目1)
創傷閉鎖システムであって、
創傷の周りの真空を維持するためのハウジングと、
該ハウジングを通って該創傷の中に挿入されるように構成された遠位端を有する作業器具を含むシールアセンブリであって、該作業器具は、該作業器具が該創傷から引き出されるとき、該創傷を閉じてかつ密封するようにさらに構成されている、シールアセンブリと
を含む、システム。
(項目2)
前記ハウジングは、半球状の部材を画定する、項目1に記載のシステム。
(項目3)
前記ハウジングは、透明である、項目1〜2のいずれか1項に記載のシステム。
(項目4)
前記作業器具に接続されるように動作可能な接着剤供給源をさらに含む、項目1〜3のいずれか1項に記載のシステム。
(項目5)
前記作業器具に接続するように動作可能な真空源をさらに含む、項目1〜4のいずれか1項に記載のシステム。
(項目6)
前記作業器具に接続するように動作可能な電気外科発生器をさらに含む、項目1〜5のいずれか1項に記載のシステム。
(項目7)
前記作業器具は、少なくとも、前記シールアセンブリの第1の機能を選択的に起動する第1のスイッチをさらに含む、項目1〜6のいずれか1項に記載のシステム。
(項目8)
前記作業器具は、前記シールアセンブリの第2の機能を選択的に起動する第2のスイッチをさらに含む、項目1〜7のいずれか1項に記載のシステム。
(項目9)
前記作業器具は、接着剤を選択的に分注するように構成されている、項目1〜8のいずれか1項に記載のシステム。
(項目10)
前記作業器具は、真空を前記ハウジングに選択的に供給するように構成されている、項目1〜9のいずれか1項に記載のシステム。
(項目11)
前記作業器具は、組織を選択的に融合するように構成されている、項目1〜10のいずれか1項に記載のシステム。
(項目12)
前記創傷に隣接して位置決めしている吸収性フィルムをさらに含む、項目1〜11のいずれか1項に記載のシステム。
(項目13)
創傷を閉じるためのシステムであって、
ハウジングと、作業器具を含むシールアセンブリと、
該ハウジングを、該創傷を覆って密封された関係に配置する手段と、
該ハウジングを通って該創傷の中に挿入されるように構成される遠位端を含む作業器具と、
真空を該ハウジングに適用する手段と、
該作業器具を起動する手段と、
該作業器具を該創傷から引き出す手段と
を含む、システム。
(項目14)
前記創傷内に受け入れられる前記作業器具の遠位端は吸収性フィルムを含む、項目1〜13のいずれか1項に記載のシステム。
(項目15)
前記作業器具の前記遠位端は、前記起動する手段によって該遠位端が起動されると、接着剤を該遠位端から分注するように構成されている、項目1〜14のいずれか1項に記載のシステム。
(項目16)
前記作業器具の前記遠位端は、前記起動する手段によって起動されると、調和的に振動して、前記創傷を融合するように構成されている、項目1〜15のいずれか1項に記載のシステム。
(項目1A)
創傷閉鎖システムであって、
創傷の周りの真空を維持するためのハウジングと、
該ハウジングを通って該創傷の中に挿入されるように構成された遠位端を有する作業器具を含むシールアセンブリであって、該作業器具は、該作業器具が該創傷から引き出されるとき、該創傷を閉じてかつ密封するようにさらに構成されている、シールアセンブリと
を含む、システム。
(項目2A)
上記ハウジングは、半球状の部材を画定する、項目1Aに記載のシステム。
(項目3A)
上記ハウジングは、透明である、項目1A〜2Aのいずれか1項に記載のシステム。
(項目4A)
上記作業器具に接続されるように動作可能な接着剤供給源をさらに含む、項目1A〜3Aのいずれか1項に記載のシステム。
(項目5A)
上記作業器具に接続するように動作可能な真空源をさらに含む、項目1A〜4Aのいずれか1項に記載のシステム。
(項目6A)
上記作業器具に接続するように動作可能な電気外科発生器をさらに含む、項目1A〜5Aのいずれか1項に記載のシステム。
(項目7A)
上記作業器具は、少なくとも、上記シールアセンブリの第1の機能を選択的に起動する第1のスイッチをさらに含む、項目1A〜6Aのいずれか1項に記載のシステム。
(項目8A)
上記作業器具は、上記シールアセンブリの第2の機能を選択的に起動する第2のスイッチをさらに含む、項目1A〜7Aのいずれか1項に記載のシステム。
(項目9A)
上記作業器具は、接着剤を選択的に分注するように構成されている、項目1A〜8Aのいずれか1項に記載のシステム。
(項目10A)
上記作業器具は、真空を上記ハウジングに選択的に供給するように構成されている、項目1A〜9Aのいずれか1項に記載のシステム。
(項目11A)
上記作業器具は、組織を選択的に融合するように構成されている、項目1A〜10Aのいずれか1項に記載のシステム。
(項目12A)
上記創傷に隣接して位置決めしている吸収性フィルムをさらに含む、項目1A〜11Aのいずれか1項に記載のシステム。
(項目13A)
創傷を閉じるための方法であって、該方法は、
ハウジングと、作業器具を含むシールアセンブリとを含む創傷閉鎖システムを提供するステップと、
該ハウジングを、該創傷を覆って密封された関係に配置するステップと、
該作業器具の遠位端を、該ハウジングを通って該創傷の中に挿入するステップと、
真空を該ハウジングに適用するステップと、
該作業器具を起動するステップと、
該作業器具を該創傷から引き出すステップと
を含む、方法。
(項目14A)
上記創傷内に受け入れられる上記作業器具の遠位端に、吸収性フィルムを配置するステップをさらに含む、項目1A〜13Aのいずれか1項に記載の方法。
(項目15A)
上記作業器具の上記起動は、該作業器具の上記遠位端から接着剤を分注させる、項目1A〜14Aのいずれか1項に記載の方法。
(項目16A)
上記作業器具の上記起動は、該作業器具の上記遠位端の調和振動に上記創傷を融合させる、項目1A〜15Aのいずれか1項に記載の方法。
(摘要))
穿刺創傷を閉じるための創傷閉鎖システムが提供される。該システムは、創傷の周りの真空を維持するハウジングと、該ハウジングを通って該創傷の中に挿入されるように構成された遠位端を有する作業器具を含むシールアセンブリとを含み、該作業器具は、該作業器具が該創傷から引き出されるとき、該創傷を閉じて密封するようにさらに構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付の図面は、上に与えられた開示の概略記述と共に、本開示の実施形態を例示しており、下に与えられる実施形態の詳細な記述は、本開示の原理を説明する役割を果たす。
【図1】図1は、本開示に従った創傷閉鎖システムの実施形態の透視図である。
【図2】図2は、図1の創傷閉鎖システムの作業器具の側面図である。
【図3A】図3Aは、図2の作業器具の1つの実施形態を、遠位端からみた図である。
【図3B】図3Bは、図2の作業器具の代替の実施形態を、遠位端からみた図である。
【図4】図4は、穿刺創傷を含む組織の断面の断面透視図である。
【図5】図5−9は、図1の創傷閉鎖システムを使用する創傷閉鎖処置のステップを、段階的に進めて示した断面の側面図である。
【図6】図5−9は、図1の創傷閉鎖システムを使用する創傷閉鎖処置のステップを、段階的に進めて示した断面の側面図である。
【図7】図5−9は、図1の創傷閉鎖システムを使用する創傷閉鎖処置のステップを、段階的に進めて示した断面の側面図である。
【図8】図5−9は、図1の創傷閉鎖システムを使用する創傷閉鎖処置のステップを、段階的に進めて示した断面の側面図である。
【図9】図5−9は、図1の創傷閉鎖システムを使用する創傷閉鎖処置のステップを、段階的に進めて示した断面の側面図である。
【図10】図10は、本開示に従った、創傷を閉じる代替の方法の断面の側面図である。
【図11】図11は、本開示に従った、創傷を閉じる他の方法の断面の側面図である。
【図12】図12は、本開示に従った、創傷閉鎖システムの用途のシールアセンブリの代替の実施形態である。
【図13】図13は、組織を融合する、図12のシールアセンブリの作業器具の断面の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示された創傷閉鎖システムの実施形態が、図面を参照してここで詳細に記述される。同様な数字は、いくつかの図面の各々において、同等なあるいは対応する要素を示す。当該分野で共通なように、用語「近位の」は、ユーザあるいは操作者(つまり、外科医あるいは内科医)に近い方の部分あるいは構成部品を言い、用語「遠位の」は、ユーザからさらに離れた部分あるいは構成部品を言う。
【0012】
最初に図1を参照して、本開示の実施形態に従ったシステムが、概して、創傷閉鎖システム100として示されている。創傷閉鎖システム100は、患者の組織「T」に形成された創傷「W」(図4)を密封するように構成されている。創傷閉鎖システム100は、患者の腹壁を通る穿刺創傷を密封するために使用されるように記述されるが、創傷閉鎖システム100は、他の位置における他のタイプの開口を閉じる用途のために構成され得る。
【0013】
なおも図1を参照すると、創傷閉鎖システム100は、ハウジング110と組織シールアセンブリ120とを含む。ハウジング110は、シールアセンブリ120の作業器具122が、ハウジング110を通って挿入され、臨床医によって操作されて組織「T」を密封するとき、組織「T」との真空を維持するように構成される。ハウジング110は、実質的に半球形状の部材112を画定し、該半球形状の部材112は、開いた組織接触端112aおよび実質的に閉じた端112bを含む。ハウジング110は、任意の大きさであり得、プラスチック、ポリマ、ガラス、あるいは任意の他の適切な材料で形成され得る。示されるように、ハウジング110は、透明あるいは半透明であるが、しかしながら、ハウジング110は、代わりに、のぞき窓を含み得るか、あるいは画像化装置(例えば、x線、超音波、MRI)との組み合わせの用途のために構成され得る。ハウジング110の開いた端112aは、組織「T」(図4)とのシールを形成するように構成される。開いた端112aは、ゴム、シリコーンあるいは、ハウジング112と組織「T」との間のシールの完全性を増加するための他の適切な材料の被覆115を含み得る。被覆115は、製造の間に開いた端112aに塗布され得るか、あるいは代わりに、使用の前に、臨床医によって塗布され得る。開いた端112aは、曲がった、傾斜した、あるいは、創傷「W」を囲む組織「T」の輪郭にマッチするように構成されてもよい。実質的に閉じた端112bは、スリットあるいは、他の適切な開口部を通る、シールアセンブリ120の作業器具122を密封された態様で受け入れるように構成されたスリットあるいは他の適切な開口部113を含む。
【0014】
なおも図1を参照して、ハウジング112は、創傷閉鎖処置の完了に続いて、あるいは臨床医が未完の状態でハウジング112を取り除かなければならない場合に、ハウジング112内に生成された真空を開放する弁114をさらに含み得る。弁114は、また、ハウジング112に真空を提供する真空源140と接続するように構成され得る。この態様で、および下に詳細が記述されるように、真空は、作業器具122の使用がなくてもハウジング112内に生成され得る。
【0015】
図1−4を参照して、シールアセンブリ120は、接着剤供給源130および真空源140に結合されるように動作可能な作業器具122を含む。示されるように、接着剤供給源130および真空源140は、管類130a、140aをそれぞれ介して、作業器具122と各々流体連通しているスタンドアロンユニットを含む。しかしながら、接着剤供給源130および真空源140は、一体化して形成され得ることが想起される。この態様では、組み合わされたユニットを作業器具122に接続する管類は、二重管腔を含み得る。接着剤供給源130は、接着剤を選択的に分注できる任意の装置(例えば、混合注射器あるいはメータポンプ)を含み得る。真空源140は、真空をハウジング110に提供できる任意の装置を含み得る。
【0016】
特に図2−4を参照して、シールアセンブリ120の作業器具122は、近位端124a、遠位端124bを有し、細長い本体124を通って延びる、少なくとも第1の管腔126および第2の管腔128を画定する細長い本体124を含む。細長い本体124は、臨床医による動作可能な係合を容易にするように、刻みが付けられ、ざらざらにされ、あるいは構成されている。実質的に閉じた近位端124aは、管類130a、140aと係合するように動作可能に構成される。遠位端124bは、ハウジング110のスリット113を通って創傷「W」(図5)に挿入されるように構成される。この態様では、細長い本体124は、近位端124aがハウジング110の外部に維持されながら、遠位端124bがハウジング110を通って創傷「W」の中に延びるような大きさにされている。作業器具122の遠位端124bは、接着剤を分注し真空を供給するようにさらに構成されるが、上に議論されたように、真空は代わりに、弁114を通って直接ハウジング110に提供され得る。
【0017】
なおも図2−4を参照すると、第1および第2の管腔126、128が、接着剤供給源130から作業器具122の遠位端124bに、接着剤を選択的に分注するか、真空源140から作業器具122の遠位端124bに、真空を選択的に提供するかのうちの1つをするように構成されている。管腔126、128のいずれかは、実行されている処置、および/または処置を実行している臨床医の選好に依存して、接着剤を分注するか、あるいは真空を供給するように構成される。1つの実施形態では、第1および第2の管腔126,128は、作業器具122(図3A)内に同軸に形成される。代替の実施形態では、第1の管腔126は、中央管腔を形成し、第2の管腔128は、その周りに形成された(図3B)複数のより小さい管腔を含む。第1および第2の管腔126,128のいずれかは、1つの管腔から分注された接着剤がすぐには他方に取り込まれないように、他方を超えて延びるか、あるいは離されている。作業器具122の遠位端124bは、その周りに延びて第1および第2の管腔126,128のうちの1つと流体連通する、任意の数の開口部127を含み得る。円形であるように示されているが、開口部127は、三角形、楕円およびスロットを含む任意の構成を含み得る。他の実施形態では、真空がハウジング110に弁114を通って提供される。この態様では、作業器具122内の第2の管腔に対するニーズは除かれる。
【0018】
図1および2を参照して、作業器具122は、接着剤供給源130を起動する第1のスイッチあるいは弁123と、真空源140を起動する第2のスイッチあるいは弁125とを含む。第1および第2のスイッチ123、125のいずれかあるいは両方が、接着剤供給源130および真空源140を、それぞれ電気的に起動するように構成されている。代替として、第1および第2のスイッチ123、125のいずれかあるいは両方が、それぞれの第1および第2の管腔126,128を選択的に塞いで、作業器具122を通して接着剤の流れを起こすか、あるいは真空を生成する。代替の実施形態では、第1および第2のスイッチ123、125のいずれかあるいは両方が、それぞれ接着剤供給源130および真空源140に配置されることにより、これらが、作業器具122とは独立に起動され得る。なおも他の実施形態では、第1および第2のスイッチ123、125のいずれかあるいは両方が、接着剤供給源130および真空源140を遠隔に起動するために、フットペダル123a、125aにそれぞれ配置される。
【0019】
ここで、図5−10を参照して、創傷閉鎖システム100の動作が記述される。初めに、トロカールあるいは他のアクセス装置(示されていない)が、穿刺創傷「W」を生成する組織「T」から取り除かれる(図5)。図6に移って、創傷閉鎖システム100のハウジング112が次に創傷「W」を覆って配置されることにより、ハウジング112の開いた端112aが、組織「T」を空気密封の態様で係合する。作業器具122の遠位端124bは、次に、ハウジング112の実質的に閉じた遠位端112bに形成されたスリット113を通って創傷「W」の中に挿入される。吸収性のフィルムあるいは裏当て部材160が、創傷「W」への挿入の前に、作業器具122の遠位端124bに解放可能に取り付けられるか、あるいは代わりに、前もって創傷「W」の中に挿入され得る。吸収性フィルム160が、注入ガスが創傷「W」に入ることを防ぎ、作業器具122および/または弁114を通って生成された真空を破ることを防ぐように、含まれる。1つの実施形態では、吸収性フィルム160は、メッシュを形成し、メッシュは、腸のフィルムへの固着を阻止する。作業器具122の遠位端124bが、吸収性フィルム160が組織「T」の内側表面を係合するように、創傷「W」を通って挿入される。吸収性フィルム160は、接着剤あるいは、作業器具122が創傷「W」から引き出されるときに、吸収性フィルム160を解放できる機械的ファスナ(例えば、フックおよびループファスナ)により作業器具122に固定され得る。1つの実施形態では、作業器具122は、吸収性フィルム160を作業器具122の遠位端124bから離すための機構(示されない)を含む。
【0020】
図7に移って、作業器具122の遠位端124bおよび吸収性フィルム160が、創傷「W」内に正しく位置決めされたら、真空源140が起動されて、作業器具122の本体部分124の回りの組織「T」の両側の部分を引く。接着剤供給源130が、そして、起動されて、接着剤を作業器具122の遠位端124bから分注させる。図7および8を参照すると、作業器具122の遠位端124bが創傷「W」から、矢印「A」の方向に待避されるとき、真空源140によって生成された真空は、接着剤が組織「T」の両側の面に塗布されるので、組織「T」の両側を本体部分124の遠位端124bの周りに維持する。組織「T」に塗布された接着剤は、組織「T」の両側の面を共に(図9)接着する作用をするか、あるいは、代わりに、接着剤が、創傷「W」のボイド(図11)がある状態で、プラグ161を形成するように使用され得る。プラグ161は、創傷「W」の長さに完全にあるいは部分的に延び得る。創傷閉鎖処置の間に使用される接着剤は、任意の生物適合の接着剤を含む。接着剤は、創傷の治癒を促進するようにさらに構成され得る。
【0021】
ここで図10を参照して、作業器具122の遠位端124bが創傷「W」から取り除かれると、接着剤供給源130は停止される。真空源140も、また停止される。代替として、真空源140は、接着時間が設定されることを可能にするように動作状態のままであり得る。ハウジング112は、真空源140を停止し、スリット113を開くか、あるいは弁114を起動することによりハウジング112内から真空を解放することによって、組織「T」から取り除かれ得て、閉じた創傷「W」(図11)をもたらす。
【0022】
ここで図12を参照して、本開示に従ったシールアセンブリの代替の実施形態が、概してシールアセンブリ220として示されている。シールアセンブリ220は、シールアセンブリ120と実質的に同様であり、それらの間の違いに関してのみ記述される。シールアセンブリ220は、電気外科発生器230および真空源240に接続されるように動作可能な作業器具222を含む。発生器230は、電気外科エネルギを作業器具222に提供する。作業器具の遠位端224bは、発生器230に接続されるように動作可能な拡張部229を含み、組織「T」の両側を共に融合するように構成されている。拡張部229は、示されるように、テーパが付いていてもよく、あるいは、組織「T」の両側を作業器具222に向けるために適切な任意の他の構成を含んでもよい。拡張部229は、調和ロッドを形成し得るか、または、作業器具222が創傷「W」から引き出されるとき、組織「T」を融合するように構成された電極メッキ部材を含み得る。拡張部229は、創傷「W」を囲む組織「T」を加熱するように動作し、それによって、組織「T」を融合し創傷「W」を密封する。
【0023】
本開示の例示的実施形態が、本明細書に添付の図面を参照して記述されてきたが、開示は、これらの正確な実施形態に限定されるのでなく、本開示の範囲あるいは精神から外れることなく、様々な他の変更および修正が当業者によってこれらにもたらされ得ることを理解すべきである。例えば、組織シールアセンブリの作業器具は、接着剤を分注し、また、調和的に組織をシールすることの両方をするように構成され得る。
【符号の説明】
【0024】
100 創傷閉鎖システム
110 ハウジング
112 作業器具
112a 開いた端
112b 閉じた端
113 開口部
114 弁
115 被覆
120 シールアセンブリ
122 作業器具
123 第1の弁
123a フットペダル
125 第2の弁
125a フットペダル
130 接着剤供給源
130a 管類
140 真空源
140a 管類
【特許請求の範囲】
【請求項1】
創傷閉鎖システムであって、
創傷の周りの真空を維持するためのハウジングと、
該ハウジングを通って該創傷の中に挿入されるように構成された遠位端を有する作業器具を含むシールアセンブリであって、該作業器具は、該作業器具が該創傷から引き出されるとき、該創傷を閉じてかつ密封するようにさらに構成されている、シールアセンブリと
を含む、システム。
【請求項2】
前記ハウジングは、半球状の部材を画定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ハウジングは、透明である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記作業器具に接続されるように動作可能な接着剤供給源をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記作業器具に接続するように動作可能な真空源をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記作業器具に接続するように動作可能な電気外科発生器をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記作業器具は、少なくとも、前記シールアセンブリの第1の機能を選択的に起動する第1のスイッチをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記作業器具は、前記シールアセンブリの第2の機能を選択的に起動する第2のスイッチをさらに含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記作業器具は、接着剤を選択的に分注するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記作業器具は、真空を前記ハウジングに選択的に供給するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記作業器具は、組織を選択的に融合するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記創傷に隣接して位置決めしている吸収性フィルムをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
創傷を閉じるためのシステムであって、
ハウジングと、作業器具を含むシールアセンブリと、
該ハウジングを、該創傷を覆って密封された関係に配置する手段と、
該ハウジングを通って該創傷の中に挿入されるように構成された遠位端を含む作業器具と、
真空を該ハウジングに適用する手段と、
該作業器具を起動する手段と、
該作業器具を該創傷から引き出す手段と
を含む、システム。
【請求項14】
前記創傷内に受け入れられる前記作業器具の前記遠位端は吸収性フィルムを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記作業器具の前記遠位端は、前記起動する手段によって該遠位端が起動されると、接着剤を該遠位端から分注するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記作業器具の前記遠位端は、前記起動する手段によって起動されると、調和的に振動して、前記創傷を融合するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項1】
創傷閉鎖システムであって、
創傷の周りの真空を維持するためのハウジングと、
該ハウジングを通って該創傷の中に挿入されるように構成された遠位端を有する作業器具を含むシールアセンブリであって、該作業器具は、該作業器具が該創傷から引き出されるとき、該創傷を閉じてかつ密封するようにさらに構成されている、シールアセンブリと
を含む、システム。
【請求項2】
前記ハウジングは、半球状の部材を画定する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記ハウジングは、透明である、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記作業器具に接続されるように動作可能な接着剤供給源をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記作業器具に接続するように動作可能な真空源をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記作業器具に接続するように動作可能な電気外科発生器をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記作業器具は、少なくとも、前記シールアセンブリの第1の機能を選択的に起動する第1のスイッチをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記作業器具は、前記シールアセンブリの第2の機能を選択的に起動する第2のスイッチをさらに含む、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記作業器具は、接着剤を選択的に分注するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記作業器具は、真空を前記ハウジングに選択的に供給するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記作業器具は、組織を選択的に融合するように構成されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記創傷に隣接して位置決めしている吸収性フィルムをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
創傷を閉じるためのシステムであって、
ハウジングと、作業器具を含むシールアセンブリと、
該ハウジングを、該創傷を覆って密封された関係に配置する手段と、
該ハウジングを通って該創傷の中に挿入されるように構成された遠位端を含む作業器具と、
真空を該ハウジングに適用する手段と、
該作業器具を起動する手段と、
該作業器具を該創傷から引き出す手段と
を含む、システム。
【請求項14】
前記創傷内に受け入れられる前記作業器具の前記遠位端は吸収性フィルムを含む、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記作業器具の前記遠位端は、前記起動する手段によって該遠位端が起動されると、接着剤を該遠位端から分注するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記作業器具の前記遠位端は、前記起動する手段によって起動されると、調和的に振動して、前記創傷を融合するように構成されている、請求項13に記載のシステム。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−269140(P2010−269140A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108840(P2010−108840)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【出願人】(507362281)タイコ ヘルスケア グループ リミテッド パートナーシップ (666)
【Fターム(参考)】
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