説明

力伝達装置

【課題】公知の力伝達装置の欠点、特にタービンホイールからガイドホイールへの移行部におけるガイドホイールとタービンホイールとの間の大きなギャップ幅を回避する。
【解決手段】中間エレメント(10)がタービンホイール(T)と一次部分(7)との間に相対回動不能に配置されているようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力伝達装置であって、入力部および出力部と、少なくとも1つのポンプホイールおよび1つのタービンホイールを備えた流体力学的なコンポーネントと、周方向で互いに相対的に制限的に回動可能な一次部分および二次部分を備えた、振動を減衰するための装置とが設けられており、二次部分およびタービンホイールがそれぞれ少なくとも間接的に相対回動不能に出力部に結合されている形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
組み合わされた発進/ロックアップユニットとして自動車で使用するための力伝達装置は、多数の構成で公知である。代表例としてここではドイツ連邦共和国特許出願公開第19963236号明細書を例示する。この力伝達装置は流体力学的な回転数/トルク変換器もしくはトルクコンバータの形の流体力学的なコンポーネントを有している。流体力学的なコンポーネントは、ポンプホイールもしくはポンプインペラとして機能し、力伝達装置の入力部に少なくとも間接的に相対回動不能に結合されている一次ホイールと、タービンホイールもしくはタービンランナとして機能し、少なくとも間接的に力伝達装置の出力部に結合されている二次ホイールとを有している。さらに、ロックアップ、ひいては流体力学的なコンポーネントを介した出力伝達経路を迂回するための装置が設けられている。この装置は、摩擦クラッチとしての構成時、相対回動不能に入力部またはこの入力部とポンプホイールとの間の結合部に連結されている第1の摩擦面アッセンブリと、この第1の摩擦面アッセンブリに操作装置を介して作用結合可能な第2の摩擦面アッセンブリとを有している。有利には、第2の摩擦面アッセンブリと出力部との間に、振動を減衰するための装置が設けられている。この装置は、互いに同軸的に配置され、周方向で互いに相対的に制限された範囲で回動可能な一次部分と二次部分とを有している。その際、二次部分は少なくとも間接的に相対回動不能に出力部に結合されている。「間接的に相対回動不能に」とは、連結が直接行われているか、または中間エレメントを介して行われていることを意味している。流体力学的なコンポーネントのタービンホイールは相対回動不能に被動ボスに結合されている。連結はここでは有利には素材結合式に行われ、振動を減衰するための装置の出力部と被動ボスとの間の結合は、力結合式に噛み合いを介して行われるか、またはコーキングにより行われる。この種の構成の主な問題は、被動ボスへの結合のために、二次ホイールもしくはタービンホイールと被動ボスとの間の移行部が相応に構成されていなければならない点にある。このことは、相応に成形されたタービンホイールシェルにおいて生じる。この場合、羽根を支持する領域は半径方向で内側に向かって比較的短くなってしまう。それというのも、タービンホイールシェルはこの領域でもはやトーラス形状を成さず、被動ボスとの結合のためにできるだけ真っ直ぐにまたは特別な形状付与を有して構成されているからである。これにより、比較的大きなギャップがタービンホイールとガイドホイールとの間の移行部に生じてしまう。この大きなギャップは、流体力学的な運転中、すなわちポンプホイールとタービンホイールとの間の、ガイドホイールを介した流体力学的な出力伝達時、かなりの流動損失に至ることができ、この流動損失は運転上望ましくないもしくはやはり流体力学的なコンポーネントの別の設計または別の手段によって補償されねばならない。このことは高められた構造的な、時には制御技術的な手間へと至る。
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許出願公開第19963236号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
それゆえ本発明の課題は、冒頭で述べた形式の力伝達装置を改良して、上記欠点を回避することである。その際、特にタービンホイールからガイドホイールへの移行部におけるガイドホイールとタービンホイールとの間のギャップ幅をできるだけ小さく維持することができる、タービンホイールと力伝達装置の出力部との間の結合部の構成が望まれる。本発明による解決策はその際、僅かな構造的かつ製作技術的な手間により特徴付けられているべきである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決した本発明の構成によれば、中間エレメントがタービンホイールと一次部分との間に相対回動不能に配置されているようにした。
【0005】
有利な構成は従属請求項に記載されている。
【0006】
本発明の有利な構成では、タービンホイールと出力部または相対回動不能に該出力部に連結されたエレメントとの間の結合が、中間エレメントを介して、タービンホイールとの連結のための第1の連結領域と、出力部または該出力部に少なくとも間接的に相対回動不能に連結されたエレメントとの連結のための第2の連結領域との形成下で行われ、両連結領域が軸方向および半径方向で互いにずらされて配置されている。
【0007】
本発明の別の有利な構成では、第1の連結領域が半径方向で第2の連結領域よりも大きな直径上に配置されている。
【0008】
本発明のさらに別の有利な構成では、中間エレメントが、両連結領域間のその延在長さにわたって、実質的にコンスタントな壁厚さを有している。
【0009】
本発明のさらに別の有利な構成では、中間エレメントが金属薄板成形部分として形成されている。
【0010】
本発明のさらに別の有利な構成では、中間エレメントがプラスチックまたは繊維複合材料から製作されている。
【0011】
本発明のさらに別の有利な構成では、中間エレメントが横断面で見てS字形またはZ字形のプロファイルにより特徴付けられている。
【0012】
本発明のさらに別の有利な構成では、中間エレメントが連結領域にフランジ面の形の接合面を有しており、個々の連結領域のフランジ面が互いに平行に配置されている。
【0013】
本発明のさらに別の有利な構成では、中間エレメントが連結領域にフランジ面の形の接合面を有しており、個々の連結領域のフランジ面が互いに角度を成して方向付けられている。
【0014】
本発明のさらに別の有利な構成では、中間エレメントが連結領域にフランジ面の形の接合面を有しており、個々の連結領域のフランジ面が互いに垂直に方向付けられている。
【0015】
本発明のさらに別の有利な構成では、第1の連結領域のフランジ面に対して相補的にタービンホイールに構成されたフランジ面が、タービンホイールの半径方向内側の領域に配置され周方向で環状に延びる鍔により形成される。
【0016】
本発明のさらに別の有利な構成では、第1の連結領域のフランジ面に対して相補的にタービンホイールに構成されたフランジ面が、タービンホイールの外周面の部分面により形成される。
【0017】
本発明のさらに別の有利な構成では、少なくとも間接的に相対回動不能に出力部に連結されたエレメントが、振動を減衰するための装置のエレメントにより形成される。
【0018】
本発明のさらに別の有利な構成では、少なくとも間接的に相対回動不能に出力部に連結されたエレメントが、一次部分により形成される。
【0019】
本発明のさらに別の有利な構成では、相対回動不能に出力部に連結されたエレメントが、被動ボスにより形成される。
【0020】
本発明のさらに別の有利な構成では、連結領域と、接続エレメント、すなわちタービンホイールまたは少なくとも間接的に相対回動不能に出力部に連結されたエレメントとの間の少なくとも1つの結合部が、素材結合式の結合部として構成されている。
【0021】
本発明のさらに別の有利な構成では、連結領域と、接続エレメント、すなわちタービンホイールまたは少なくとも間接的に相対回動不能に出力部に連結されたエレメントとの間の少なくとも1つの結合部が、力結合式もしくは摩擦力結合式の結合部として構成されている。
【0022】
本発明のさらに別の有利な構成では、連結領域と、接続エレメント、すなわちタービンホイールまたは少なくとも間接的に相対回動不能に出力部に連結されたエレメントとの間の少なくとも1つの結合部が、形状結合式の結合部として構成されている。
【0023】
本発明のさらに別の有利な構成では、力伝達装置が、流体力学的な出力伝達経路を迂回するための装置を有しており、該流体力学的な出力伝達経路を迂回するための装置が、操作装置を介して互いに作用結合可能な第1および第2の摩擦面アッセンブリから成る摩擦アッセンブリを有している。
【発明の効果】
【0024】
力伝達装置は、入力部および出力部と、少なくとも1つのポンプホイールおよび1つのタービンホイールを備えた流体力学的なコンポーネントと、この流体力学的なコンポーネントに対して並列に配置され、周方向で互いに相対的に制限的に回動可能な一次部分および二次部分を備えた、振動を減衰するための装置とを有している。この場合、二次部分およびタービンホイールはそれぞれ少なくとも間接的に相対回動不能に出力部に結合されている。本発明により、中間エレメントはタービンホイールと一次部分との間に相対回動不能に配置されている。それにより、タービンホイールと出力部または相対回動不能に出力部に連結されたエレメントとの間の結合は、中間エレメントを介して行われる。この場合、中間エレメントは、タービンホイールとの相対回動不能な連結のための第1の連結領域と、出力部または出力部に少なくとも間接的に相対回動不能に連結されたエレメントとの相対回動不能な連結のための第2の連結領域とを有しており、両連結領域は軸方向および半径方向で互いにずらされて配置されている。「少なくとも間接的に」とは、連結が直接行われるか、またはトルクを伝達する中間エレメントまたは構成ユニットを介して行われることができることを意味している。
【0025】
特に有利な構成では、中間エレメントが、組付け位置で見てその軸方向の延在長さにわたって、ほぼコンスタントな壁厚さを有して構成されている。中間エレメントの形状付与により、その際、半径方向および軸方向のずれに際し、極端な連結状況も、比較的薄い構成エレメントにより補償されることができる。
【0026】
本発明による解決策は、中間エレメントが最適な形式で流体力学的なコンポーネントおよびこの流体力学的なコンポーネントの隣に軸方向で配置された構成ユニット、例えばバイブレーションダンパの内周面の領域における構造的な所与性に簡単な形式で適合されることができるという利点を提供する。タービンホイールとガイドホイールとの間のギャップは、タービンホイールの構成に関して接続エレメントとの連結平面をもはや考慮する必要がないことにより、最小化されることができる。このことは流体力学的なコンポーネントの作業室内の流動回路に有利に働き、タービンホイールとガイドホイールとの間の移行部における流動損失を減じる。
【0027】
一般には、第1の連結領域が半径方向で組付け位置でより大きな直径上に配置されている。タービンホイールの接合面はそれによりタービンホイールの外周面もしくは内側の直径のできるだけ近傍に配置されることができる。その結果、タービンホイール自体の接続エレメントへの連結に関する必要な変更は比較的僅かであり、手間のかかる製作法は不要である。
【0028】
ジオメトリに関して最適な適合を僅かな製作手間で可能にするために、中間エレメントは有利にはリング状もしくは中空円筒状の金属薄板成形部分として構成されている。さらにはプラスチックから成る構成も考えられる。中間エレメントはその際、横断面で見て、有利にはS字形またはZ字形のプロファイルにより特徴付けられている。
【0029】
中間エレメントもしくは接続エレメントの接合領域およびこの接合領域を特徴付けるフランジ面の方向付けに関して、多数の可能性が存在する。接合領域およびフランジ面はもっとも簡単な事例では互いに平行に方向付けられているか、または角度を成して方向付けられている。後者の場合、直接外周面でのタービンホイールへの中間エレメントの接線方向での結合が可能である。すなわち、タービンホイール、特にタービンホイールシェルの付加的な鍔は省略されることができる。
【0030】
第2の連結領域の結合は、少なくとも間接的に相対回動不能に出力部に連結されたエレメントにより行われる。このエレメントは、振動を減衰するための装置のエレメント、有利には一次部分により形成されることができる。その結果、ダンパの作用は、流体力学的な出力分岐内で後置されて、つまり下流側で行われる。相対回動不能に出力部に連結されたエレメントはさらに、相対回動不能に出力部に結合されており、さらには振動を減衰するための装置の二次部分も支持している被動ボスにより形成されることができる。
【0031】
両接合領域における選択された結合の種類に関して、多数の可能性が存在する。この可能性は素材結合式、力結合式かつ/または形状結合式の結合として構成されることができる。この場合、個々の接合領域の間でのそれぞれ異なる解決策も考えられるし、1つの接合領域内でのそれぞれ異なる解決策も考えられる。
【0032】
本発明による解決策について以下に図面を参照しながら説明する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
図1は、簡単化された概略図で、タービンホイールTと、流体力学的な回転数/トルク変換器3の形の流体力学的なコンポーネント2との間の本発明による連結部を備えた力伝達装置1の構造を示している。流体力学的なコンポーネント2はさらに1つのポンプホイールPおよび少なくとも1つのガイドホイールLを有している。力伝達装置1は1つの入力部Eおよび1つの出力部Aを有している。この場合、流体力学的な回転数/トルク変換器3のポンプホイールPは少なくとも間接的に相対回動不能に入力部Eに結合されている。この結合は切換可能に、ここでは図示しないポンプホイールクラッチを介して行われるか、または切換不能に行われる。後者の場合、入力部Eとの結合は相対回動不能に相応のケーシング部分、有利にはケーシングシェル4を介して行われる。タービンホイールTは少なくとも間接的に、すなわち直接または中間エレメントを介して、相対回動不能に出力部Aに連結されている。出力部Aはその際、一般に、力伝達装置1が伝動装置構成ユニットに前置、すなわちその上流側に配置されているとき、伝動装置入力軸により形成される。出力部Aとの連結は一般に、被動ボス5の形の、相対回動不能に出力部に結合された少なくとも1つの構成部分11を介して行われる。この結合は直接被動ボス5に行われるか、または振動を減衰するための装置6、特にトーショナルバイブレーションダンパの形の、力伝達装置1に統合された別のエレメントを介して行われることができる。トーショナルバイブレーションダンパは種々異なる形式で構成されていることができるが、少なくとも、入力部分とも呼ばれる1つの一次部分7と、出力部分と呼ばれ、やはり出力部Aに直接または例えば被動ボス5を介して相対回動不能に結合されている1つの二次部分8とを有している。一次部分7と二次部分8とは、互いに同軸的に配置されており、周方向で互いに相対的に、制限された範囲で回動可能、要するにねじれ可能に、ばね連結および/または減衰連結のための手段9を介して互いに連結されている。具体的な構成はその際、使用事例に依存している。例えば振動を減衰するための装置6は、機械的な減衰、すなわち摩擦減衰だけを行うものであってもよいし、液圧的な減衰装置として構成されていてもよい。タービンホイールTは、振動を減衰するための装置6の一次部分7に連結されていることができるので、入力部Eから流体力学的な回転数/トルク変換器3を介した出力部Aへの出力伝達時に常に、流体力学的なコンポーネント2に後置された、振動を減衰するための装置6は有効である。結合が直接的に出力部分、すなわち二次部分8、もしくは被動ボス5に行われるとき、振動を減衰するための装置6は、流体力学的なコンポーネントを介した出力伝達時、流体力学的なコンポーネント2と出力部Aとの間の出力伝達経路内に存在しない。図示の事例では、結合は入力部分もしくは一次部分7で行われている。連結は本発明により中間エレメント10を介して行われ、この中間エレメント10は相対回動不能にタービンホイールTと、振動を減衰するための装置6のエレメントもしくは少なくとも間接的に相対回動不能に出力部Aに連結されたエレメント19とに結合されている。相対回動不能に出力部Aに連結可能なエレメント19は二次部分8、一次部分7、振動を減衰するための装置6の別のエレメント、被動ボス5、または振動を減衰するための装置6と出力部Aとの間の別の結合エレメントにより出力伝達経路内に形成されることができる。図示の事例では、エレメント19は一次部分7により形成される。中間エレメント10はこのために2つの連結領域、すなわち第1の連結領域12および第2の連結領域13により特徴付けられている。両連結領域12,13は、提供される構成スペース寸法の最適な利用のために、半径方向で互いにずらされて、さらには軸方向でも互いにずれを有して配置されている。このことは成形構成部分(Formbauteil)としての中間エレメント10の形成に基づく。中間エレメント10は有利にはその軸方向もしくは半径方向の総延在長さにわたって実質的に同じ壁厚さdで形成されている。形状付与は横断面で見て実質的にS字形またはZ字形を成している。すなわち、成形部分は少なくとも2つの逆向きに方向付けられた領域を有している。
【0034】
タービンホイールTと振動を減衰するための装置6との間のこの種の連結の一般的な使用分野は、付加的に流体力学的な出力伝達経路を迂回するための装置14を有する力伝達装置1である。この装置はそれによりいわばロックアップクラッチとして機能する。この場合、この装置はスリップを伴って運転することもでき、スリップ運転により部分的に流体力学的な出力伝達と機械的な出力伝達との間のオーバラップも可能である。装置14、特にロックアップクラッチは少なくとも、少なくとも間接的に相対回動不能に力伝達装置1の入力部Eに結合されている1つの第1の摩擦面アッセンブリ15と、最も簡単な事例ではピストンエレメント18として形成されている操作装置17を介して第1の摩擦面アッセンブリ15に作用結合可能な1つの第2の摩擦面アッセンブリ16とを有している。ピストンエレメント18はその際、例えば入力部Eもしくはこの入力部Eに相対回動不能に連結されたエレメントに支承されることができる。この場合、ピストンエレメントは相対回動不能に入力部EとポンプホイールPとの間の結合部に連結されており、軸方向で入力部Eに対して摺動可能であるか、またはピストンエレメントは図示のとおり相対回動不能に出力部Aに装置6を介して連結されており、出力部Aに対して軸方向で摺動可能である。操作装置17、装置14ならびに振動を減衰するための装置6に関する具体的な構成はその際、具体的な使用事例に依存している。それゆえここではこれ以上の深入りはしない。さらに、力伝達装置1は、別個の操作圧が操作装置17のために所望されるか、または依存性が操作装置17の操作と流体力学的なコンポーネント2内の圧力との間に存在するかに応じて、スリーチャンネルシステム(Dreikanalsystem)またはツーチャンネルシステム(Zweikanalsystem)として形成されていることができる。
【0035】
図2は、詳細図で、タービンホイールTと、少なくとも間接的に出力部Aに相対回動不能に連結されたエレメント19、ここでは振動を減衰するための装置6のエレメント、特に入力部もしくは一次部分7との間での連結、特に相対回動不能な連結のための中間エレメント10の本発明による構成および結合を示している。本発明による解決策の利点は、タービンホイールTとガイドホイールLとの間のギャップ20をできるだけ小さく維持する点にある。このことは流動媒体案内に有利に働き、流動損失を減じる。ここでは、ギャップ20は翼配列21、特に移行部26における羽根端部25と、ガイドホイールLとの間に見て取れる。このギャップ20をできるだけガイドホイールL、特にガイドホイールLの翼配列23の方向に引き寄せ、ひいては小さな大きさで構成することができるように、中間エレメント10は相応に成形されている。中間エレメント10は図示の事例では、横断面で見てZ字形またはS字形のプロファイルおよび2つの連結領域12,13を有するリング状のエレメント27として形成されている。接続エレメントたるタービンホイールTと、相対回動不能に出力部Aに連結されたエレメント11もしくは少なくとも間接的にこのエレメント11に連結されたエレメント19、ここでは振動を減衰するための装置6の一次部分7との連結、特に相対回動不能な結合のための連結領域12,13はその際、有利にはそれぞれ1つの接合面をフランジ面28もしくはフランジ面29の形で形成するように構成されている。両フランジ面28,29は、接続エレメントたるタービンホイールTおよび一次部分7の、相応にフランジ面28,29に対して相補的に構成されたフランジ面30,31に当て付けられる。この場合、接触領域で結合が行われる。中間エレメント10はこのために有利には金属薄板成形体(Blechformkoerper)32として形成されている。中間エレメント10を、負荷に応じて選択された別の材料から製作することも考えられる。繊維複合材料またはプラスチックの使用も考えられる。中間エレメント10の壁厚さdはその際、有利にはその軸方向での総延在長さにわたってほぼ同じ厚さを有して形成されている。
【0036】
図2に示した構成では、第1の連結領域12のフランジ面28とフランジ面30とは接合面として機能し、この接合面で、第1の連結領域12での中間エレメント10とタービンホイールTとの間の結合が行われる。同様に、このことは、中間エレメント10に形成されたフランジ面29にも該当し、フランジ面29は、相対回動不能に出力部Aに連結されたエレメント19の、フランジ面29に向かって方向付けられた面31と共に接合領域を成している。図示の事例では、相対回動不能な結合は素材結合(stoffschluessig:付着または凝集による束縛)式に、すなわち解離不能に、特にそれぞれ1つの溶接結合部を介して行われる。ここではターボンホイールTと中間エレメント10との間の結合部には符号33を付し、中間エレメント10と、振動を減衰するための装置6の、相対回動不能に出力部Aに連結されたエレメント19との間の結合部には符号34を付した。個々の連結領域12,13の、接続エレメントとの結合部を成す接合領域は、軸方向で互いに間隔を置いてかつ半径方向でずらされて配置されている。この場合、第1の連結領域12、ひいては第1の接合領域は、半径方向で第2の連結領域の直径dA13よりも大きな直径dA12上に配置されている。互いに結合したい個々のエレメントの、接合面を成す面領域、ひいては接合領域は、ここでは互いに平行に配置されている。それに応じて中間エレメント10は構成されている。中間エレメント10はこの場合このために3つの領域を有している。第1の領域35は、タービンホイールTに相補的に構成されたフランジ面30に当て付けるためのフランジ面28を形成するために役立つ。第2の領域36は、相対回動不能に出力部Aに連結されたエレメント19の相補的なフランジ面31に結合するためのフランジ面29を形成するために役立つ。第3の領域は両領域35,36を互いに結合している。この領域はその際、両連結領域12,13の軸方向および半径方向のずれのための補償領域として役立つ。図示の事例では、中間エレメント10はその形状付与に関して、ガイドホイールLに対する最小のギャップ20の形成下で形成されている。この場合、ここでは、中間エレメント10の特別な形状付与により、具体的な使用事例、特に別のエレメント、例えばガイドホイールLならびに相対回動不能にこのガイドホイールLに連結されたエレメントの形状付与への最適な適合が行われる。中間エレメント10はその際、省スペースに、振動を減衰するための装置6と流体力学的な回転数/トルク変換器3のタービンホイールTとの間の中間室の最適な利用下で、この間に延在することができ、結合は、任意に選択可能な形状付与に基づいて、接触もしくは衝突なしに形成される。その際、連結領域12,13における結合は、伝達したいトルクのために相応に設計され、寸法設定されねばならない。すなわち、連結領域12,13における結合部の構成は負荷に合わせて行われねばならない。
【0037】
フランジ面30をタービンホイールTに形成することができるように、翼配列21を支持するタービンホイールシェル38は、組付け位置でガイドホイールLに向かって方向付けられた端部領域39で相応に構成されている。図示の事例では、タービンシェル38は鍔40を有している。鍔40はリング状に周方向で、軸方向で方向付けられたフランジ面30の形成下で延び、半径方向で回転軸線Rに向かって方向付けられている。この場合、鍔40により形成されたフランジ面30は、回転軸線Rに対して垂直に延びている。
【0038】
図1の詳細な軸方向断面図である図2には、さらに、ポンプホイールPの翼配列22およびガイドホイールLの翼配列23が見て取れる。ガイドホイールLはその際、支持軸24を介して出力部Aに支持されている。別の結合法もやはり考えられる。具体的な支持および場合によっては可能なフリーホイールもしくはワンウェイクラッチFの介在に関して、制限は存在しない。さらに、ガイドホイールを定置に支承することも考えられる。図示の事例では、連結はフリーホイールFを介して行われる。
【0039】
図2は、連結領域12,13の接合領域が互いに平行に配置されている構成を示し、図3は、図1の詳細な軸方向断面図を抜粋して、接合領域が互いに角度を成して配置されている構成を示している。一次部分12との中間エレメント10の連結領域13、ひいてはこの連結領域13により形成された接合領域は、図2と同様に形成されている。フランジ面29,31は、相応に互いに相補的な形式で、互いに連結したいエレメント、すなわち中間エレメント10の連結領域13および一次部分12に形成されている。結合は溶接結合を介して行われる。この結合部には図2と同様に符号34を付した。第1の連結領域12でのタービンホイールTと中間エレメント10との結合はここでは接線方向で行われる。このために、当接面もしくはフランジ面28を形成するフランジ領域は、フランジ面29に対する平行面に対して傾いて構成されている。第3の領域37は補償のためにここでは例えば2つの部分領域41,42により特徴付けられている。この場合、部分領域41の形成は図2に相当する形で行われ、付加的に半径方向のずれを補償するために、第2の部分領域42が相応の形式で接続されている。有利な構成ではギャップ20をさらに減じるために、タービンホイールTの端部領域は、特にタービンホイールTとガイドホイールLとの間の移行部26の領域において、図3の変化形を示す図4では、さらにガイドホイールに引き込まれている。ガイドホイールLはこの場合、相応の切欠き47を有している。タービンホイールシェルの、ガイドホイールLの領域に突入する部分には、符号48を付した。構造はその他の点では図1〜図3で説明したとおりであり、それゆえ、ここでは両連結領域12,13での中間エレメント10の結合についてこれ以上の深入りはしない。ここでも、両接合領域における結合は溶接結合部33,34により形成される。
【0040】
図5は、それに対して、やはり図2〜図4と同様に軸方向断面図を抜粋して、中間エレメントの連結領域12,13、ひいては接合領域、特に接合面が互いに垂直である構成を示している。第2の連結領域13の結合は、図2〜図4で説明したとおりである。それゆえ、ここではこの点について再度詳細に立ち入ることはしない。第1の連結領域12の結合も素材結合により行われている。接合面はしかし、第2の連結領域13と被動ボス5との間の結合部の接合面に対して垂直に方向付けられている。ここでも接合面はフランジ面28,30を形成している。フランジ面28,30は図示の事例では流体力学的なコンポーネント2の回転軸線Rに対して平行に形成されている。中間エレメント10はこのために3つの部分領域、つまりここでも第1の連結領域12での連結のための第1の領域35と、第2の連結領域との連結のための第2の領域36と、両者を互いに結合する第3の領域37とに分割可能である。流体力学的な回転数/トルク変換器3の必要なフランジ面30はここではやはり鍔43を介して実現される。この場合、鍔43はここではしかし、半径方向での延長部の他に、軸方向で方向付けられた部分領域44も有しているように構成されている。鍔43はここではラジアルフランジを形成している。
【0041】
図2〜図5は、連結領域12,13における結合が溶接シーム33,34の形の素材結合式の結合、ひいては解離不能な結合であり、この結合部が環状に形成されるか、または周方向で互いに間隔を置いた個々の点溶接シームの形成により形成される構成を示しており、図6はそれに対して両連結領域12,13におけるリベッティングによる力結合式(kraftschluessig:力による束縛)の結合を示している。中間エレメント10の構造は図2で説明したとおりである。結合エレメント45,46として、ここではそれぞれ両連結領域12,13のためにリベットが設けられている。リベットはそれぞれ周方向で互いに等間隔を置いて配置されていることができる。各連結領域12,13はその際、例えばリング状に周方向で、接合面もしくはフランジ面28,29としての、軸方向で方向付けられた面領域を有して延在している。
【0042】
中間エレメント10と接続エレメントとの、図2〜図6に示した結合の種類は例である。他の可能性、例えばコーキングまたは噛み合い等も考えられる。重要なのは、タービンホイールTの結合が相対回動不能に出力部Aに、直接ではなく中間エレメント10を介して、連結領域12,13を介して実現される2つの連結箇所で行われることである。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】タービンホイールと出力部との間の本発明による連結部を有する力伝達装置の構造の概略化された軸方向断面図である。
【図2】素材結合式の結合部を有する第1の実施形態の図1の詳細図である。
【図3】素材結合式の結合部を有する第2の実施形態の図1の詳細図である。
【図4】素材結合式の結合部を有する第3の実施形態の図1の詳細図である。
【図5】素材結合式の結合部を有する第4の実施形態の図1の詳細図である。
【図6】両連結領域に力結合式の結合部を有する第1の実施形態の図1の詳細な軸方向断面図である。
【符号の説明】
【0044】
1 力伝達装置
2 流体力学的なコンポーネント
3 流体力学的な回転数/トルク変換器
4 ケーシングシェル
5 被動ボス
6 振動を減衰するための装置
7 一次部分
8 二次部分
9 ばね連結および/または減衰連結のための手段
10 中間エレメント
11 相対回動不能に出力部に連結されたエレメント
12 第1の連結領域
13 第2の連結領域
14 流体力学的な出力分岐を迂回するための装置
15 第1の摩擦面アッセンブリ
16 第2の摩擦面アッセンブリ
17 操作装置
18 ピストンユニット
19 少なくとも間接的に相対回動不能に出力部に連結されたエレメント
20 ギャップ
21 翼配列
22 翼配列
23 翼配列
24 支持軸
25 羽根端部
26 移行部
27 リング状のエレメント
28 フランジ面
29 フランジ面
30 フランジ面
31 フランジ面
32 金属薄板成形体
33 溶接結合部
34 溶接結合部
35 第1の領域
36 第2の領域
37 第3の領域
38 タービンホイールシェル
39 端部領域
40 鍔
41 第1の部分領域
42 第2の部分領域
43 鍔
44 部分領域
45 リベット
46 リベット
47 切欠き
48 部分
d 壁厚さ
T タービンホイール
P ポンプホイール
L ガイドホイール
E 入力部
A 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
力伝達装置(1)であって、入力部(E)および出力部(A)と、少なくとも1つのポンプホイール(P)および1つのタービンホイール(T)を備えた流体力学的なコンポーネント(2)と、周方向で互いに相対的に制限的に回動可能な一次部分(7)および二次部分(8)を備えた、振動を減衰するための装置(6)とが設けられており、二次部分(8)およびタービンホイール(T)がそれぞれ少なくとも間接的に相対回動不能に出力部(A)に結合されている形式のものにおいて、中間エレメント(10)がタービンホイール(T)と一次部分(7)との間に相対回動不能に配置されていることを特徴とする力伝達装置。
【請求項2】
タービンホイール(7)と出力部(A)または相対回動不能に該出力部(A)に連結されたエレメント(19)との間の結合が、中間エレメント(10)を介して、タービンホイール(T)との連結のための第1の連結領域(12)と、出力部(A)または該出力部(A)に少なくとも間接的に相対回動不能に連結されたエレメント(19)との連結のための第2の連結領域(13)との形成下で行われ、両連結領域(12,13)が軸方向および半径方向で互いにずらされて配置されている、請求項1記載の力伝達装置。
【請求項3】
第1の連結領域(12)が半径方向で第2の連結領域(13)よりも大きな直径(dA12)上に配置されている、請求項1または2記載の力伝達装置。
【請求項4】
中間エレメント(10)が、両連結領域(12,13)間のその延在長さにわたって、実質的にコンスタントな壁厚さ(d)を有している、請求項1から3までのいずれか1項記載の力伝達装置。
【請求項5】
中間エレメント(10)が金属薄板成形部分(32)として形成されている、請求項1から4までのいずれか1項記載の力伝達装置。
【請求項6】
中間エレメント(10)がプラスチックまたは繊維複合材料から製作されている、請求項1から5までのいずれか1項記載の力伝達装置。
【請求項7】
中間エレメント(10)が横断面で見てS字形またはZ字形のプロファイルにより特徴付けられている、請求項1から6までのいずれか1項記載の力伝達装置。
【請求項8】
中間エレメント(10)が連結領域(12,13)にフランジ面(28,29)の形の接合面を有しており、個々の連結領域(12,13)のフランジ面(28,29)が互いに平行に配置されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の力伝達装置。
【請求項9】
中間エレメント(10)が連結領域(12,13)にフランジ面(28,29)の形の接合面を有しており、個々の連結領域(12,13)のフランジ面(28,29)が互いに角度を成して方向付けられている、請求項1から7までのいずれか1項記載の力伝達装置。
【請求項10】
中間エレメント(10)が連結領域(12,13)にフランジ面(28,29)の形の接合面を有しており、個々の連結領域(12,13)のフランジ面(28,29)が互いに垂直に方向付けられている、請求項1から7までのいずれか1項記載の力伝達装置。
【請求項11】
第1の連結領域(12)のフランジ面(28)に対して相補的にタービンホイール(T)に構成されたフランジ面(30)が、タービンホイール(T)の半径方向内側の領域に配置され周方向で環状に延びる鍔(43)により形成される、請求項8から10までのいずれか1項記載の力伝達装置。
【請求項12】
第1の連結領域(12)のフランジ面(28)に対して相補的にタービンホイール(T)に構成されたフランジ面(30)が、タービンホイール(T)の外周面の部分面により形成される、請求項8から11までのいずれか1項記載の力伝達装置。
【請求項13】
少なくとも間接的に相対回動不能に出力部(A)に連結されたエレメント(19)が、振動を減衰するための装置(6)のエレメントにより形成される、請求項1から12までのいずれか1項記載の力伝達装置。
【請求項14】
少なくとも間接的に相対回動不能に出力部(A)に連結されたエレメントが、一次部分(7)により形成される、請求項13記載の力伝達装置。
【請求項15】
相対回動不能に出力部(A)に連結されたエレメント(11)が、被動ボス(5)により形成される、請求項1から12までのいずれか1項記載の力伝達装置。
【請求項16】
連結領域(12,13)と、接続エレメント、すなわちタービンホイール(T)または少なくとも間接的に相対回動不能に出力部(A)に連結されたエレメント(19)との間の少なくとも1つの結合部が、素材結合式の結合部として構成されている、請求項1から15までのいずれか1項記載の力伝達装置。
【請求項17】
連結領域(12,13)と、接続エレメント、すなわちタービンホイール(T)または少なくとも間接的に相対回動不能に出力部(A)に連結されたエレメント(19)との間の少なくとも1つの結合部が、力結合式の結合部として構成されている、請求項1から16までのいずれか1項記載の力伝達装置。
【請求項18】
連結領域(12,13)と、接続エレメント、すなわちタービンホイール(T)または少なくとも間接的に相対回動不能に出力部(A)に連結されたエレメント(19)との間の少なくとも1つの結合部が、形状結合式の結合部として構成されている、請求項1から17までのいずれか1項記載の力伝達装置。
【請求項19】
力伝達装置(1)が、流体力学的な出力伝達経路を迂回するための装置(14)を有しており、該流体力学的な出力伝達経路を迂回するための装置(14)が、操作装置(17,18)を介して互いに作用結合可能な第1および第2の摩擦面アッセンブリ(15,16)から成る摩擦アッセンブリを有している、請求項1から18までのいずれか1項記載の力伝達装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−95955(P2008−95955A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261014(P2007−261014)
【出願日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【出願人】(390009070)ルーク ラメレン ウント クツプルングスバウ ベタイリグングス コマンディートゲゼルシャフト (236)
【氏名又は名称原語表記】LuK Lamellen und Kupplungsbau  Beteiligungs KG
【住所又は居所原語表記】Industriestrasse 3, D−77815 Buehl, Baden, Germany