説明

力率改善のための回路

【課題】体積が小さく、コストが低く、更にトータル圧力が90〜264V入力で設計でき、PFが0.90以上で制御ができる力率改善のための回路を提供する。
【解決手段】力率改善のための回路は、主に整流ユニットの出力端の両極の間に低周波フィルタリングユニットを設置してパルス幅変調制御ICの電圧と電流へ入力調整して同相するのに用い、更にパルス幅変調制御ICの電流補償ポート及び電圧補償ポートに第一、第二補償ネットワークを設置して第一、第二補償ネットワークで該位相調整ユニットの電流ゲイン(Gain)値を下げ、該パルス幅変調制御ICに不必要な動作が発生するのを防止し、トータル圧力が90〜264V入力下で設計して、PFを0.90以上に制御する目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、力率改善のための回路に関わり、特に体積が小さく、コストが低く、並びにトータル圧力が90〜264V入力で設計でき、PFが0.90以上で制御ができる力率改善のための回路に係わる。
【背景技術】
【0002】
近年、消費性電子製品及びLED駆動回路市場が継続して成長しているため、パワーコンバータを更に省電及び小型化する必要がある。今日、多くの電力電子関連設備は、通常伝統的な交流/直流コンバーター(AC/DC Converter)を使用しており、伝統的な交流/直流コンバーターは、四個のダイオードと出力コンデンサから構成され、またの名をピーク整流器(Peak Rectifier)と呼ばれ、生産コストが安く回路が安定するという長所を備えるが、同時に低力率と高調波(HarmonICs)等の欠点もある。
【0003】
単純に電気エネルギーだけについて言えば、力率(Power Factor,PF)を上げさえすれば、電気エネルギー使用率を向上させることができる。現在、常用される解決方法として、力率修正器(Power Factor Correction,PFC)を設置し、更にパルス幅変調器(PWM)回路(図1参照)を結合する。しかしながら、力率を0.98〜0.99の間に上げると、システム全体の体積が大きくなり、且つコストが高くなるため、小型化電子製品の応用に限界がある。
【0004】
この他、被動式に属する力率制御技術として、被動式部品を用いて簡単にPFを向上し、更に全高調波歪(THD)を下げる目的を達成する(例として図2のバリーフィル回路)。通常この種の被動式力率制御技術の効果は一般に低く、業界での受け入れ可能の限界に近いだけである。
【0005】
更に、世界的なグリーンエネルギー開発に伴い、電源の効率もまた重視され、半導体制御を備えたパワーICが効率を向上させる役を担っている。パワーICの制御技術によってパワーエネルギーが全体コストを節約し、不必要な切換損失を下げる。それは、主に正半弦波形を備えたパルス直流信号を運用してデューティーサイクルパルス幅の調整を行い、負荷をかけることで完全な弦波形を持続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】台湾 発明特許公告第334970号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
解決しようとする問題点は、公知類似の弦波形力率改善のための回路は、単純に正半弦波形のパルス直流信号を運用してデューティーサイクルパルス幅の調整を行うため、回路効率が下がりやすく、更に現在のところ、全電圧90〜264V入力下で設計ができないため、PF制御が0.90以上に上げた機能を達成できない点である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
力率改善のための回路は、主に整流ユニットの出力端の両極の間に低周波フィルタリングユニットを設置してパルス幅変調制御ICの電圧と電流へ入力調整して同相するのに用い、更にパルス幅変調制御ICの電流補償ポート及び電圧補償ポートに第一、第二補償ネットワークを設置して第一、第二補償ネットワークで該位相調整ユニットの電流ゲイン(Gain)値を下げ、該パルス幅変調制御ICに不必要な動作が発生するのを防止し、トータル圧力が90〜264V入力下で設計して、PFを0.90以上に制御することを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の力率改善のための回路は、以下の利点がある。
1.体積が小さく、コストが低い。
2.シングルのパルス幅変調制御ICを簡単に使用してPFC回路に応用でき,PFがトータル圧力90〜264V入力下で無用になってしまうのを克服し,PF0.90及び効率85%以上の最良パフォーマンスを維持する。
3.使用するシングルのパルス幅変調制御ICは前端フィードバック型の制御モジュールであり,その本体はCV(定電圧)/CC(定電流)もしくはPWM Control機能、及び二次ポイントCC/CVフィードバック機能を備える。
4.シングルのパルス幅変調制御ICを簡単に使用してPFC及び高効率のLEDもしくはCCFLスイッチ式電源駆動回路を完成し、ACポイントでLEDもしくはCCFLに対して調光を行うだけでなく、積極的手段でLEDもしくはCCFLのちらつき問題を解決する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】公知の主動式力率制御回路アーキテクチャ図である。
【図2】公知の被動式力率制御回路アーキテクチャ図である。
【図3】本発明の良好な実施例で力率改善のための回路構成アーキテクチャ図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
体積が小さく、コストが低く、且つトータル圧力が90〜264V入力下で設計でき、PFを0.90以上で制御できる力率改善のための回路を提供することを本発明の主な目的とする。
【0012】
上述の問題を改善するため、本発明の力率改善のための回路は、基本的に整流ユニット、IC始動ユニット、フィルタリングユニット、パルス幅変調制御IC、パワースイッチ部品、変圧ユニット、低周波フィルタリングユニット及び第一、第二補償ネットワークを含む。そのうち、該整流ユニットは商業電力の交流調波周期信号を取得して正半弦波形を備えた第一パルス直流信号に転換する。該IC始動ユニットは該整流ユニットの第一パルス直流信号を取得し、分圧を経て第二パルス直流信号を出力する。該フィルタリングユニットは該整流ユニットの第一パルス直流信号を取得してフィルタリング後に直流電力信号を出力する。該パルス幅変調制御ICは該整流ユニットの第二パルス直流信号を取得してレベル信号にして第二パルス直流信号に基づいて電力導通周期信号の出力を決定する。該パワースイッチ部品は該パルス幅変調制御ICの電力導通周期信号及び該フィルタリングユニットの直流電力信号を取得し、電力導通周期信号に基づいて直流電力信号を分割して多数個の連続した電圧パルス信号にして、電圧パルス信号が連続させる。該変圧ユニットは各電圧パルス信号に対して連続した電圧パルス信号を受信し、且つ各電圧パルス信号の入力電圧に基づいて出力電圧を作動する。
【0013】
該低周波フィルタリングユニットは、該整流ユニットの出力端の両極の間に設置して該パルス幅変調制御ICの電圧と電流へ調整入力して同相にするのに用いる。該第一、第二補償ネットワークは該パルス幅変調制御ICの電流補償ポート及び電圧補償ポートにそれぞれ連接するRC回路から構成され、該パルス幅変調制御ICの電流ゲイン値を下げるのに用い、該パルス幅変調制御ICを各デューティーサイクルでPEAK(ピーク値)波形が見えなくなり、該パルス幅変調制御ICが不要な動作を起こすのを防止する。
【実施例】
【0014】
図3に示すのは、本発明の良好な一実施例で、力率改善のための回路で構成されたアーキテクチャ図である。本発明の力率改善のための回路は、基本的に整流ユニット11、IC始動ユニット12、フィルタリングユニット13、パルス幅変調制御IC14、パワースイッチ部品15、変圧ユニット16、低周波フィルタリングユニット20、及び第一、第二補償ネットワーク31を含む。そのうち、
【0015】
該整流ユニット11は図に示すとおりブリッジ整流器であり、都市電力の交流調波周期信号を取得し、正半弦波形を備えた第一パルス直流信号に転換する。
【0016】
該IC始動ユニット12は図に示すとおり抵抗器であり、該整流ユニット11の第一パルス直流信号を取得し、分圧を経て第二パルス直流信号を出力する。
【0017】
該フィルタリングユニット13は図に示すとおりRCフィルターであり、該整流ユニット11の第一パルス直流信号を取得してフィルタリング後に直流電力信号を出力し、該高周波交換回路で発生する突波を平滑にしてNOISEの発生を減らす。
【0018】
該パルス幅変調制御IC14は図に示すとおりシングルのパルス幅変調制御ICであり、該整流ユニット11の第二パルス直流信号を取得してレベル信号となり、第二パルス直流信号に基づき電力導通周期信号の出力を決定する。
【0019】
該パワースイッチ部品15は図に示すとおりチャンネル増強型MOSFETであり、該パルス幅変調制御IC14の電力導通周期信号及び該フィルタリングユニットの直流電力信号を取得して電力導通周期信号に基づいて直流電力信号を多数個の連続した電圧パルス信号に分割し、それによって電圧パルス信号が連続する。
【0020】
該変圧ユニット16は、各電圧パルス信号に対応して連続した電圧パルス信号を受信し、且つ各電圧パルス信号の入力電圧に基づいて出力電圧が作動する。
【0021】
該低周波フィルタリングユニット20は、該整流ユニット11の出力端両極の間に設置し、それは図に示すようにコンデンサー(CDL)で構成してもよく、主に該パルス幅変調制御IC14の電圧と電流へ入力調整して同相にするのに用いる。
【0022】
該第一、第二補償ネットワーク31は、図に示すとおり、該パルス幅変調制御IC14の電流補償ポート(COMI)及び電圧補償ポート(COMV)にそれぞれ連接するRC回路から構成され、該パルス幅変調制御IC14の電流ゲイン値を下げて該パルス幅変調制御IC14を各デューティーサイクルでPEAK(ピーク値)波形が見えなくなり、該パルス幅変調制御IC14が不必要な動作を発生するのを防止する。
【0023】
原則的に、上述の特徴を利用することで、本発明の力率改善のための回路は、主に該パルス幅変調制御IC14へ入力する電圧と電流同相を利用して、且つ電流は電圧の変換によって変わり、更に力率(PF)機能の向上を達成する。また、Outputが設定値の2/3に達した時、該位相調整ユニット32のDuty Cycle(デューティーサイクル)が変わることでInputが変わり、Duty
Cycleが波形に従って常に変わる。但し、該パルス幅変調制御IC14の動作周波数>>120HZ or 100HZであるため、各100HZは400回以上のOn/Off切換動作によって電流を起こし、更にHigh PFの目的を達成する。
【0024】
同時に第一、第二補償ネットワーク31が該パルス幅変調制御IC14の電流ゲイン(Gain)値を下げることを利用してDuty Cycleの機能を安定化し、該パルス幅変調制御ICを各デューティーサイクルにPEAK(ピーク値)波形が見えなくなることで、該パルス幅変調制御ICが不必要な同を発生するのを防止する。その作用はCycle by Cycle Current mode (連続周期性電流モジュール)をRMS current mode(有効性電流モジュール)に変え、安定したDuty Cycle(ON)を得ることでOutput Duty Cycleを安定させ、拠ってPF値の安定も向上し、トータル圧力90〜264V入力下で設計でき、PFを0.90以上で制御する目的を達成する。
【0025】
当然、本発明の力率改善のための回路を実施する時、更にモニタリング補助巻線17を設置して、該変圧ユニット16と共に該パルス幅変調制御IC14へ電圧をモニタリングしてフィードバックし、該パルス幅変調制御IC14内部の参考電圧と比較して、定電圧の機能を達成する。
【0026】
更に該パルス幅変調制御IC14の電流モニタリングポート(CS)と該パワースイッチ部品15の間に該第一、第二補償ネットワーク31を用いて更に明確な位相調整ユニット32を設置する。該位相調整ユニット32は図に示すとおり、該パルス幅変調制御IC14の電流モニタリングポート(CS)と該パワースイッチ部品15の間に連接するRC回路から構成される。特に該パルス幅変調制御IC14の電流モニタリングポート(CS)と該電圧制御部品の間には該パルス幅変調制御IC14を調整して最大出力力率にするインピダンス部品40を連接し、該インピダンス部品40は図に示すとおり抵抗器(RCS)であり、更に簡単な電気抵抗値の変換方式に拠って該パルス幅変調制御IC14 をMax output powerに設定する目的を達成する。
【0027】
具体的には本発明は主に一種PFC主動回路を使用せず、またバリーフィル回路を使用しない力率改善方式を提供し、主にD=K基本数理モデルを使って調整基準とする。例として変圧ユニットの最良工作ポイントを90V
Duty≦0.7及び264V Duty≧0.3に設定し、該低周波フィルタリングユニット20のCDL値を0.10uF〜0.35uF/450Vに設定し、そのインピダンス部品40の抵抗値RCSが設定する出力電流は最大出力電流としてそのCAPCOMIは105/16Vまで大きくなり、電流ゲインを1に設定する。例として90〜264V AC Input/Full Loadの状況下でPFC≧0.90以上が保たれる。
【0028】
伝統的な公知の技術と比較して本発明の力率改善のための回路は以下の長所がある。
1.体積が小さく、コストが低い。
2シングルのパルス幅変調制御ICを簡単に使用してPFC回路に応用でき、PFがトータル圧力90〜264V入力下で無用になってしまうのを克服し、PFの0.90及び85%以上の最良パフォーマンスを維持する。
3.使用するシングルのパルス幅変調制御ICは前端フィードバック型の制御モジュールであり,その本体はCV/CCもしくはPWM Controlの機能、及び二次ポイントCC/CVフィードバック機能を備える。
4.シングルのパルス幅変調制御ICを簡単に使用してPFC及び高効率のLEDもしくはCCFLスイッチ式電源駆動回路を完成し、AC端でLEDもしくはCCFLの調光を行うだけでなく、積極的手段によってLEDもしくはCCFLのちらつきの問題を解決する。
【0029】
上述のとおり、本発明は良好で実施可能な力率改善のための回路を提供し、法規に基づき発明特許を申請する。本発明の技術内容及び技術特徴は上述に示すとおりであるが、当領域の技術者が本発明の提示に基づいて各種の本案発明精神から乖離しない入替及び修飾を行うかもしれない。拠って本発明の保護範囲は実施例に制限されず、各種の本発明から乖離しない入替及び修飾もまた以下の請求範囲に含むことにする。
【符号の説明】
【0030】
11 整流ユニット
12 IC始動ユニット
13 フィルタリングユニット
14 パルス幅変調制御IC
15 パワースイッチ部品
16 変圧ユニット
17 偵測輔助繞組
20 低周波フィルタリングユニット
31 第一及び第二補償ネットワーク
32 位相調整ユニット
40 インピダンス部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
力率改善のための回路において、そのうち、
都市発電の交流調波周期信号を取得して正半弦波形を備えた第一パルス直流信号に転換する整流ユニットと、
該整流ユニットの第一パルス直流信号を取得し、分圧を経て第二パルス直流信号を出力するIC始動ユニットと、
該整流ユニットの第一パルス直流信号を取得し、フィルタリング後に直流電力信号を出力するフィルタリングユニットと、
該整流ユニットの第二パルス直流信号を取得してレベル信号として第二パルス直流信号に基づき電力導通周期信号の出力を決定するパルス幅変調制御ICと、
該パルス幅変調制御ICの電力導通周期信号及び該フィルタリングユニットの直流電力信号を取得して電力導通周期信号に基づき直流電力信号を分割して多数個の連続した電圧パルス信号にして電圧パルス信号を連続するパワースイッチ部品と、
各電圧パルス信号に対応して連続した電圧パルス信号を受信し、且つ各電圧パルス信号の入力電圧に基づいて出力電圧を作動する変圧ユニットと、
該整流ユニットの出力端両極の間に設置して該パルス幅変調制御ICの電圧と電流へ入力調整して同相にするのに用いる低周波フィルタリングユニットと、
該パルス幅変調制御ICの電流補償ポート及び電圧補償ポートにそれぞれ連接するRC回路から構成し、該パルス幅変調制御ICの電流ゲイン値を下げるのに用い、該パルス幅変調制御ICを各デューティーサイクルでPEAK(ピーク値)波形が見えなくなり、該パルス幅変調制御ICが不要な動作を起こすのを防止する第一、第二補償ネットワークを含むことを特徴とする力率改善のための回路。
【請求項2】
前記力率改善のための回路は、更にモニタリング補助巻線を設置して該変圧ユニットと共に該パルス幅変調制御ICへ電圧をモニタリングしてフィードバックし、該パルス幅変調制御IC内部の参考電圧と比較して定電圧の機能を達成することを特徴とする請求項1記載の力率改善のための回路。
【請求項3】
前記力率改善のための回路は、更に該パルス幅変調制御ICの電流モニタリングポートと該電圧制御部品の間に該第一、第二補償ネットワーク作用を更に明確な位相補償ユニットを設置することを特徴とする請求項1もしくは2記載の力率改善のための回路。
【請求項4】
前記位相補償ユニットは、該パルス幅変調制御ICの電流モニタリングポートと該電圧制御部品の間に連接するRC回路から構成することを特徴とする請求項2記載の力率改善のための回路。
【請求項5】
前記パルス幅変調制御ICの電流モニタリングポートと該電圧制御部品の間は該パルス幅変調制御ICを最大出力力率に調整するインピダンス部品を連接することを特徴とする請求項1もしくは2記載の力率改善のための回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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