説明

力覚付与型入力装置

【課題】ユーザの意図するボタンにカーソルを確実に引き込める力覚付与型入力装置を提供する。
【解決手段】操作前のカーソルがあったカーソル元位置からカーソル移動先位置までの距離ベクトルを移動方向距離ベクトルとし、カーソル元位置から複数のボタンの各々のボタン位置までの距離ベクトルをボタン距離ベクトルとし、移動方向距離ベクトルと複数のボタン距離ベクトルとを用いて、複数のボタンまでの移動時間を算出することにより、移動時間が最も短いボタンをユーザが意図する目的ボタンと判断し、目的ボタンに向かってカーソルを引き込むように表示制御する表示手段とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばカーナビゲーションシステムなどに利用される力覚付与型入力装置に係り、特に、表示手段に表示されたメニュー選択用のボタン上にカーソルを自動的に引き込んで所望のボタンの選択を容易にするタイプの力覚付与型入力装置における操作性の向上に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カーナビゲーションシステムなどに、表示手段として、表示されたメニュー選択用のボタン上にカーソルを自動的に引き込んで所望のボタンの選択を容易にするタイプの表示装置が用いられていた。
【0003】
従来例1として、特許文献1では、表示装置に表示されたボタンに対するカーソルの位置付けを容易にするため、ボタンの周囲に仮想的な引込エリアを設定し、ジョイスティックやマウスなどの入力装置を操作することによって、カーソルを当該ボタンの中心位置に引き込む映像表示装置が提案されている。
【0004】
映像表示装置のカーソル引き込み方法は、図7に示すように、先ず、カーソル変位入力手段811に移動入力が与えられたとき、カーソル位置格納手段815に格納された現在のカーソル表示位置が、部品テーブル814にあらかじめ設定されていた引き込み領域の1つに含まれるかどうかを判断し、引き込み領域に含まれる場合には、引き込みベクトル計算手段813によって、引き込み領域の引き込み中心の位置と現在のカーソル表示位置とから引き込みベクトルを計算する。そして、カーソル表示位置演算手段812は、カーソル位置格納手段815および引き込みベクトル計算手段813、カーソル変位入力手段811とから取得される情報を基に、カーソルの表示位置を決定し、表示装置816にその位置を伝え、カーソルを移動させるようにしている。
【0005】
また、従来例2として、特許文献2では、カーソルの移動を制御する入力装置として、ユーザによって操作される操作部と、操作部の操作状態を検出する検出手段と、操作部に駆動力を付与する駆動手段と、カーソル及び複数のボタンを表示する表示手段と、駆動手段の駆動制御及び表示手段の表示制御を行う制御手段とを備えた力覚付与型入力装置が提案されている。
【0006】
特許文献2の力覚付与型入力装置には、回転可能な揺動レバーを有した操作部を用い、揺動レバーの直交する2方向の操作量を検出する2つの検出手段、例えばロータリ形のエンコーダや可変抵抗器などを用いている。また、力覚付与型入力装置には、揺動レバーを介して操作部に引込力を付与する2つの駆動手段、例えば電動モータなどを用い、カーソル及び複数個のボタンを含む所要の画像を表示する表示手段として、例えば液晶表示装置を用いている。そして、ユーザの所望のボタンの選択を容易にするともに、操作性が良好で操作感触が得られる力覚付与型入力装置を提供できるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平8−314637号公報
【特許文献2】特開2005−332325号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1,特許文献2にも記載されているように、表示手段には複数個のボタンが、図8に示すように、様々な配列で表示されるのが普通である。しかしながら、特許文献1のような構成では、複数個のボタンのそれぞれについて設定された引き込み領域が重なり合っている場合におけるカーソルの引き込み制御に関して何ら考慮されていないので、特許文献1に記載の技術を実機に適用した場合、ユーザが意図していないボタンにカーソルが引き込まれるという不都合を生じることがあると言った課題があった。
【0009】
つまり、図8に示すように、十字形のカーソルC91が現在あるボタンB91から、ユーザが意図するボタンB94にカーソルを移動するために(移動先としてのカーソルはC94)、例えば操作S92が行われた際、引き込み領域A92内にカーソル操作が行われたので、ボタンB92にカーソルが引き込まれてしまう(引き込まれたカーソルはC92)。また、例えば操作S93が行われ、ボタンB93の引き込み領域A93とボタンB94の引き込み領域A94とが重なり合う領域内にカーソル操作が行われた場合、カーソルからボタンB94の中心位置までの引き込みベクトルより、カーソルからボタンB93の中心位置までの引き込みベクトルの方が小さいので、ボタンB93にカーソルを引き込むようにカーソルの移動が制御される(引き込まれたカーソルはC93)。しかし、ユーザは、カーソルC91をボタンB94に移動させようと意図しているので、ボタンB92やボタンB93にカーソルが引き込まれると、ユーザは操作に違和感を覚え、操作部の円滑な操作が困難になる。
【0010】
本発明は、上述した課題を解決するもので、ユーザの意図するボタンにカーソルを確実に引き込める力覚付与型入力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この課題を解決するために、本発明の力覚付与型入力装置は、ユーザによって操作される操作部と、前記操作部の操作状態を検出する検出手段と、前記操作部に駆動力を付与する駆動手段と、カーソル及び複数のボタンを表示する表示手段と、前記検出手段の出力信号に基づいて前記カーソルの表示制御を行うとともに、前記駆動手段の駆動制御を行う制御手段と、を備えた力覚付与型入力装置において、前記操作部が操作され前記検出手段の出力信号を受けたとき、前記操作前に前記カーソルがあったカーソル元位置から前記操作後に移動したカーソル移動先位置までの距離ベクトルを移動方向距離ベクトルとし、前記カーソル元位置から前記複数のボタンの各々のボタン位置までの距離ベクトルをボタン距離ベクトルとし、前記制御手段は、前記移動方向距離ベクトルを算出するとともに、各々の前記ボタン距離ベクトルを算出し、前記移動方向距離ベクトルと複数の前記ボタン距離ベクトルとを用いて、複数の前記ボタンまでの移動時間を算出し、前記移動時間が最も短いボタンを前記ユーザが意図する目的ボタンと判断し、前記目的ボタンに向かって前記カーソルを引き込むように表示制御することを特徴としている。
【0012】
これによれば、本発明の力覚付与型入力装置は、操作前のカーソル元位置から操作後のカーソル移動先位置までの移動方向距離ベクトルとカーソル元位置から複数のボタンの各々のボタン位置までのボタン距離ベクトルとを用いて、各々のボタンまでの移動時間を算出するようにしている。そして、各々のボタンの移動時間を比較し、それらボタンの中で、移動時間が最も短いと算出された最短ボタンをユーザが意図する目的ボタンと判断し、目的ボタンに向かってカーソルを引き込むように表示制御しているので、単純に近接のボタンにカーソルが移動するのではなく、ユーザの意図するボタンにカーソルを確実に引き込ませることができる。
【0013】
また、本発明の力覚付与型入力装置は、前記操作部が操作され前記検出手段の出力信号を受けたとき、前記制御手段は、算出された前記移動時間が最も短い第1優先ボタンの前記移動時間と、算出された前記移動時間が次に短い第2優先ボタンの前記移動時間との時間差が、所定の第一時間以上である場合に、前記第1優先ボタンを前記目的ボタンとすることを特徴としている。
【0014】
これによれば、算出された移動時間が最も短い第1優先ボタンの移動時間と、算出された移動時間が次に短い第2優先ボタンの移動時間との時間差が、予め決めていた所定の第一時間以上である場合に、第1優先ボタンを目的ボタンとするので、比較するボタン同士の時間差が明らかになり、確実に短い移動時間のボタンを目的ボタンとすることができる。この事により、単純に近接のボタンにカーソルが移動するのではなく、ユーザの意図するボタンにカーソルをより確実に引き込ませることができる。
【0015】
また、本発明の力覚付与型入力装置は、前記操作部が操作され前記第1優先ボタンへの算出された前記移動時間を第1移動時間とし、次に前記操作部が操作され、選出された前記第1優先ボタンが直前の前記第1優先ボタンと同一である際、前記選出された前記第1優先ボタンへの算出された前記移動時間を第2移動時間とし、前記制御手段は、前記第1移動時間と前記第2移動時間との時間差が、所定の第二時間以上である場合に、前記第1優先ボタンを前記目的ボタンとすることを特徴としている。
【0016】
これによれば、操作部が操作されて選出された、第1優先ボタンへの第1移動時間と、次に操作部が操作されて、直前と同じ第1優先ボタンと選出された、今回の第1優先ボタンの第2移動時間との時間差が、予め決めていた所定の第二時間以上である場合に、第1優先ボタンを目的ボタンとするので、第1優先ボタンがユーザの意図する方向にあり、確実に目的ボタンに近づいていることになる。このことにより、単純に近接のボタンにカーソルが移動するのではなく、ユーザの意図するボタンにカーソルをより一層、確実に引き込ませることができる。
【0017】
また、本発明の力覚付与型入力装置は、前記目的ボタンに向かって前記カーソルが引き込まれたときに、前記制御手段は、前記駆動手段の駆動制御を行い前記駆動手段によって前記操作部に駆動力を付与し、前記駆動力の付与に伴い音が発生することを特徴としている。
【0018】
これによれば、目的ボタンに向かってカーソルが引き込まれたときに、操作部に駆動力が付与され、音が発生することにより、ユーザに対して、障害物に当たったような感覚と、音によるボタンを操作した感覚が得られるので、ユーザの操作感が向上する。
【0019】
また、本発明の力覚付与型入力装置は、前記操作部は、トラックボールを有し、前記駆動手段は、電磁ブレーキを有した構成としたことを特徴としている。
【0020】
これによれば、操作部にトラックボールと、駆動手段に電磁ブレーキを用いることにより、安価でしかも簡単な機構で、触覚刺激と聴覚刺激を得ることができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の力覚付与型入力装置は、操作前のカーソル元位置からカーソル移動先位置までの移動方向距離ベクトルとカーソル元位置から複数のボタンの各々のボタン位置までのボタン距離ベクトルとを比較し、移動時間が最も短いと算出される最短ボタンを判断し、最短ボタンに向かってカーソルを引き込むように表示制御するので、単純に近接のボタンにカーソルが移動するのではなく、ユーザの意図するボタンにカーソルを確実に引き込ませることができる。
【0022】
したがって、本発明によれば、ユーザの意図するボタンにカーソルを確実に引き込める力覚付与型入力装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態の力覚付与型入力装置を説明する構成図である。
【図2】本発明の第1実施形態の力覚付与型入力装置における制御手段の制御動作の一例を説明する構成図である。
【図3】本発明の第1実施形態の力覚付与型入力装置における制御方式を示すフローチャートである。
【図4】本発明の第2実施形態の力覚付与型入力装置における制御方式を示すフローチャートである。
【図5】本発明の第2実施形態の力覚付与型入力装置における制御手段の制御動作の一例を説明する構成図である。
【図6】本発明の第3実施形態の力覚付与型入力装置における制御方式を示すフローチャートである。
【図7】従来例1の構成を説明する図である。
【図8】従来例1における、カーソルの引き込み動作による課題を説明した構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して詳細に説明する。
【0025】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態の力覚付与型入力装置101を説明する構成図である。図2は、本発明の第1実施形態の力覚付与型入力装置101における制御手段M5の制御動作の一例を説明する構成図であって、図2(a)は、カーソルと2つボタンを用い、図2(b)は、カーソルと3つボタンを用いて説明している。
【0026】
本発明の第1実施形態の力覚付与型入力装置101は、図1に示すように、ユーザによって操作される操作部1と、操作部1の操作状態を検出する検出手段M2と、操作部1に駆動力を付与する駆動手段M3と、カーソル及び複数のボタンを表示する表示手段M4と、検出手段M2の出力信号OSに基づいてカーソルの表示制御を行うとともに、駆動手段M3の駆動制御を行う制御手段M5とから主に構成されている。
【0027】
操作部1には、図1に示すように、ユーザによる操作入力を受け付ける入力デバイスである、いわゆるトラックボール11を用いている。トラックボール11は、従来例2のような駆動装置を備えた操作部とは違い、安価でしかも簡単な機構で、入力操作が行える。また、トラックボール11は、例えば樹脂製の球体41を備えており、球体41を回転自在に支持するため、ベース体51、カバー部材61及び当接部71を備えている。このうち、ベース体51及びカバー部材61は、それぞれ厚みを有した板状の部材であり、ここではベース体51とカバー部材61とが略平行に配置されている。また、ベース体51は、例えばコンピュータ等の筐体に連結されていたり、車載電装品の場合はインストルメントパネルに固定されていたりする。
【0028】
図1には、操作部1の断面構成図のみが示されているが、平面視して、ベース体51には厚み方向に円形の貫通穴51aが形成されており、カバー部材61にも厚み方向に円形の貫通穴61aが形成されている。この貫通穴61aは、カバー部材61の下面から上面に向けてテーパー状の先細り形状となっていて、球体41の脱落を防止するとともに、球体41の表面の一部をカバー部材61の上面側へ露出させている。この露出部分にて、ユーザは球体41を操作することができる。
【0029】
当接部71は、例えば樹脂製又は金属製の球形体であり、これらの直径は球体41よりも遙かに小さく、ベース体51及びカバー部材61に対して部分的に埋め込まれた状態で固定されている。また、当接部71は、複数個(例えば6〜8個)配置され、球体41に当接して支持するとともに、球体41が回転自在に動くようにさせている。
【0030】
検出手段M2は、操作部1の操作状態を検出するための手段であって、図1に示すように、センサ部12と出力部22とから構成されている。センサ部12は、2つの光学式のセンサ12A、センサ12Bを用いて、ベース体51に埋め込むようにして配置されている。センサ12A及び12Bは、図示しない検出光を球体41の表面に照射し、その反射光を受光(又は撮像)して、球体41の表面の移動(移動方向及び移動量)をリアルタイムに検出可能な素子である。なお、センサ12A及び12Bの検出信号は、出力部22に入力され、出力信号OSとして、制御手段M5に出力される。
【0031】
駆動手段M3は、操作部1に駆動力を付与するための手段であって、図1に示すように、アクチュエータ13A及び摩擦部材13Bを備えた、いわゆる電磁ブレーキ13を用いている。電磁ブレーキ13は、従来例2のような電動モータなどを用いた駆動装置とは違い、安価でしかも簡単な機構で駆動力を付与でき、消費電力を低く抑えることができる。駆動手段M3は、他に、制御手段M5からの駆動制御のための駆動信号KSを受ける入力部33を備えている。摩擦部材13Bは、球体41の下方に配置されており、その上面には球体41の表面形状に合致する球面状に窪んだ凹面部が形成されている。また、アクチュエータ13Aは、例えばリニアソレノイド等の駆動源であり、そのプランジャの先端に上記の摩擦部材13Bが取り付けられている。
【0032】
アクチュエータ13Aは、駆動信号KSを受けて、通電させることによりプランジャの押出力を大きくして摩擦部材13Bを球体41の表面に強く押し付けることができる。摩擦部材13Bを球体41の表面に強く押し付けた際には、球体41が一時的に動かなくなるので、球体41を通して、ユーザは、障害物に当たったような感触(触覚刺激)が得られ、操作感が向上するようになる。また、摩擦部材13Bを球体41の表面に強く押し付けた衝撃で、金属同士が当たった金属音に似た音が発生するので、ユーザは、この音によっても、ボタンを操作した感覚(聴覚刺激)が得られ、操作感が向上するようになる。
【0033】
また、アクチュエータ13Aは、駆動信号KSを受けない通常時に、通電させずにプランジャの押出力をゼロに(解除)して、摩擦部材13Bを球体41の表面から僅かに引き離すか、僅かに通電させてプランジャの押出力を小さくして、球体41の表面に摩擦部材13Bを僅かに接触させた状態にさせている。
【0034】
表示手段M4は、カーソル及び複数のボタンを表示するための手段であって、例えば液晶表示装置が用いられる。また、表示手段M4は、図1に示すように、制御手段M5からの表示制御のための表示信号HSを受け、カーソルの表示や,カーソルの移動,カーソルをボタンの中心位置に引き込む動作表示等を行う。また、カーソル及び複数のボタンの状態について、制御手段M5へ状態信号JSとしての出力も行う。なお、カーソル及びボタンの座標は、表示手段M4の水平方向をX軸、垂直方向をY軸として決定される。
【0035】
制御手段M5は、検出手段M1の出力信号OSに基づいてカーソルの表示制御を行うとともに、駆動手段M3の駆動制御を行うための手段であって、カーソルの移動方向及び移動量の算出、駆動手段M3の駆動信号KSの算出などを行う演算部と、演算の基礎となる数式や係数、それに各ボタンの中心部の座標、カーソルの位置などが記録された記憶部と、表示手段M4からの状態信号JSを受ける入力機構や表示制御のための表示信号HSを出力して表示手段M4を駆動するドライバ回路部等を含んだ表示制御部と、駆動制御のための駆動信号KSを出力して駆動手段M3を駆動するドライバ回路部を含んだ駆動制御部と、これらの各部を制御するCPUとから主に構成されている。
【0036】
次ぎに図2の(a)及び(b)を用いて、制御手段M5の制御動作の一例について説明する。
制御手段M5の演算部では、操作部1が操作され検出手段M2の出力信号OSを受けたとき、図2(a)に示すように、操作前のカーソルがあったカーソル元位置OCからカーソル移動先位置TCまでの距離ベクトルを移動方向距離ベクトルVnとし、カーソル元位置OCから複数のボタンの各々のボタン位置までの距離ベクトルをボタン距離ベクトルDnとし、移動方向距離ベクトルVnを算出するとともに、各々のボタン距離ベクトルDnを算出している。なお、Vnのnは、n番目に行われた移動を示し、n番目に算出された移動方向ベクトルをVnとしている。また、n番目の移動前の移動カーソル元位置OCから複数のボタンの各々のボタン位置までの距離ベクトルを総称してボタン距離ベクトルDnとしている。つまり、図2(a)中では、移動方向距離ベクトルVnは、a番目に行われた移動の移動方向距離ベクトルVaとしている。また、ボタン距離ベクトルDnは、a番目の移動前のボタン距離ベクトルDaとし(図示していない)、ボタンB1位置までのボタン距離ベクトルをDa1、ボタンB2位置までのボタン距離ベクトルをDa2と、それぞれのボタンに対して算出している。
【0037】
移動方向距離ベクトルVnは、一定時間内に操作部1が操作されカーソルが移動した距離ベクトルの和を表し、演算式Vn=Vx+iVyで計算される。同様にして、ボタン距離ベクトルDnは、演算式Dn=Dx+iDyで計算される。なお、iは、複素数の虚数単位を表している。
【0038】
そして、制御手段M5の演算部では、移動方向距離ベクトルVnのボタン距離ベクトルDnへの投影成分Vsと、ボタン距離ベクトルDnとを用いて、ボタンまでの移動時間Tnを演算式Tn=|Dn|÷|Vs|と定義し、移動時間として算出している。なお、投影成分Vsは、n番目に算出された移動方向ベクトルVnの投影成分であって、各ボタンに対して各々算出される。つまり、図2(a)では、a番目に算出された移動方向距離ベクトルVaの投影成分Vsは、ボタンB1のボタン距離ベクトルDa1に対応する投影成分をVa1とし、ボタンB2のボタン距離ベクトルDa2に対応する投影成分をVa2としている。
【0039】
そして、制御手段M5は、ボタンまでの移動時間が最も短いボタンをユーザが意図する目的ボタンBTと判断し、目的ボタンBTに向かってカーソルを引き込むように表示制御している。例えば、図2(a)の例においては、ボタンB1までの移動時間MT1=|Da1|÷|Va1|と、ボタンB2までの移動時間MT2=|Da2|÷|Va2|とを比較し、移動時間MT2より移動時間MT1の方が短いのでカーソル元位置OCから遠いボタンB1を、目的ボタンBTと判断している。ちなみに、ボタンB1までの移動時間MT1は、演算式を整理することにより、MT1=(Dx+Dy)÷(Vx×Dx+Vy×Dy)で計算されている。このように、平方根計算が入らない四則演算式のみで算出できるので、処理時間が厳しく要求されている組み込み系CPUにとって、有利となっている。
【0040】
但し、図2(b)に示すように、ボタンB3の中心方向とカーソル移動先位置TCの方向とのなす角が、90°から180°の間となる場合、ボタン距離ベクトルDa3に対して、投影成分Va3は、逆向き(マイナス)になるので、移動時間の比較対象のボタンから除外する。
【0041】
これにより、本発明の力覚付与型入力装置101は、操作前のカーソル元位置OCからカーソル移動先位置TCまでの移動方向距離ベクトルVnとカーソル元位置OCから複数のボタンの各々のボタン位置までのボタン距離ベクトルDnとを用いて、各々のボタンまでの移動時間Tnを算出するようにしている。そして、各々のボタンの移動時間を比較し、それらボタンの中で、移動時間が最も短いと算出された最短ボタンをユーザが意図する目的ボタンBTと判断し、目的ボタンBTに向かってカーソルを引き込むように表示制御しているので、単純に近接のボタンにカーソルが移動するのではなく、ユーザの意図するボタンにカーソルを確実に引き込ませることができる。
【0042】
図3は、以上説明してきた方法をまとめたもので、本発明の第1実施形態の力覚付与型入力装置101における制御方式を示すフローチャートである。図3に示すように、先ず、操作部1が操作されると、検出手段M2が操作部1の操作状態を検出して、出力信号OSを制御手段M5に出力する。
【0043】
次に、出力信号OSを受けて、制御手段M5は、記憶部からのカーソル位置情報と操作状態の出力信号OS等から移動方向距離ベクトルVnを算出するとともに、記憶部からのカーソル位置情報とボタン位置情報等から各々のボタン距離ベクトルDnを算出する。そして、移動方向距離ベクトルVnと各ボタン距離ベクトルDnとを用いて、各ボタンまでの移動時間Tnを算出して、各々のボタンの移動時間を比較し、それらボタンの中で、移動時間が最も短いと算出された最短ボタンをユーザが意図する目的ボタンBTと判断し、選定する。この際、カーソル移動先位置は記憶部に記録させておく。
【0044】
次に、制御手段M5は、目的ボタンBTに向かってカーソルを引き込むように表示制御のための表示信号HSを表示手段M4に送信するとともに、目的ボタンBTに向かってカーソルが引き込まれたときに、駆動手段M3の駆動制御するための駆動信号KSを送信する。
【0045】
最後に、表示手段M4は、制御手段M5からの表示制御のための表示信号HSを受け、カーソルを目的ボタンBTの中心位置に引き込むとともに、カーソルの状態を制御手段M5の記憶部へ状態信号JSとして、信号の出力を行う。
【0046】
また、駆動手段M3は、目的ボタンBTに向かってカーソルが引き込まれたときに、制御手段M5からの駆動制御のための駆動信号KSを受け、操作部1に駆動力を付与する。この駆動力の付与に伴って、金属音に似た音が発生することになる。このため、ユーザは、障害物に当たったような感触(触覚刺激)が得られるとともに、この音によっても、ボタンを操作した感覚(聴覚刺激)が得られ、操作感が向上するようになる。
【0047】
以上により、本発明の力覚付与型入力装置101は、操作前のカーソル元位置OCからカーソル移動先位置TCまでの移動方向距離ベクトルVnとカーソル元位置OCから複数のボタンの各々のボタン位置までのボタン距離ベクトルDnとを用いて、各々のボタンまでの移動時間Tnを算出するようにしている。そして、各々のボタンの移動時間を比較し、それらボタンの中で、移動時間が最も短いと算出された最短ボタンをユーザが意図する目的ボタンBTと判断し、目的ボタンBTに向かってカーソルを引き込むように表示制御しているので、単純に近接のボタンにカーソルが移動するのではなく、ユーザの意図するボタンにカーソルを確実に引き込ませることができる。
【0048】
また、目的ボタンBTに向かってカーソルが引き込まれたときに、操作部1に駆動力が付与され、音が発生することにより、ユーザに対して、障害物に当たったような感触(触覚刺激)と、音によるボタンを操作した感覚(聴覚刺激)が得られるので、ユーザの操作感が向上する。
【0049】
また、操作部1にトラックボール11と、駆動手段M3に電磁ブレーキ13を用いることにより、安価でしかも簡単な機構で、触覚刺激と聴覚刺激を得ることができる。
【0050】
[第2実施形態]
図4は、本発明の第2実施形態の力覚付与型入力装置102における制御方式を示すフローチャートである。図5は、本発明の第2実施形態の力覚付与型入力装置102における制御手段M5の制御動作の一例を説明する構成図である。本発明の第2実施形態の力覚付与型入力装置102は、第1実施形態の力覚付与型入力装置101に対し、制御方式が異なっている。なお、第1実施形態と同じ部材は同じ符号を付しており、説明を省略する。
【0051】
本発明の第2実施形態の力覚付与型入力装置102の制御方式は、図3に示すように、先ず、操作部1が操作されると、検出手段M2が操作部1の操作状態を検出して、出力信号OSを制御手段M5に出力する。
【0052】
次に、出力信号OSを受けて、制御手段M5は、記憶部からのカーソル位置情報と操作状態の出力信号OS等から移動方向距離ベクトルVnを算出するとともに、記憶部からのカーソル位置情報とボタン位置情報等から各々のボタン距離ベクトルDnを算出する。そして、移動方向距離ベクトルVnと各ボタン距離ベクトルDnとを用いて、各ボタンまでの移動時間Tnを算出して、各々のボタンの移動時間を比較し、算出された移動時間が最も短いボタンを第1優先ボタンPB1とし、算出された移動時間が次に短いボタンを第2優先ボタンPB2として選出する。この際、カーソル移動先位置は記憶部に記録させておく。
【0053】
次に、制御手段M5は、第1優先ボタンBP1の移動時間と第2優先ボタンBP2の移動時間との移動時間差が、所定の第一時間T01以上である場合に、第1優先ボタンBP1を目的ボタンBTと判断し、選定する。しかし、この移動時間差が、所定の第一時間T01以上でない場合、目的ボタンBTを選定しないでカーソル引き込み操作を行わず、操作部1の操作が行われるのを待つようにする。
【0054】
そして、再び操作部1が操作されると、同じ手順で各ボタンまでの移動時間Tnを算出し、第1優先ボタンBP1の移動時間と第2優先ボタンPB2の移動時間との移動時間差が、所定の第一時間T01以上であるかどうかを判断する。そして、この手順を繰り返して、目的ボタンBTを選定している。但し、各ボタンまでの移動時間Tnを算出する場合、前回操作されて記憶部に記録したカーソルの位置をカーソル元位置OCとして、今回操作されたカーソルの位置をカーソル移動先位置TCとして計算している。また、第一時間T01は、所定の値として予め記憶部に記録させておき、判断に用いている。この所定の値は、任意に変更が可能である。
【0055】
目的ボタンBTを選定した後の手順は、第1実施形態の力覚付与型入力装置101の手順と同様である。制御手段M5は、目的ボタンBTに向かってカーソルを引き込むように表示制御のための表示信号HSを表示手段M4に送信するとともに、目的ボタンBTに向かってカーソルが引き込まれたときに、駆動手段M3の駆動制御するための駆動信号KSを送信する。そして、表示手段M4は、制御手段M5からの表示制御のための表示信号HSを受け、カーソルを目的ボタンBTの中心位置に引き込むとともに、カーソルの状態を制御手段M5の記憶部へ状態信号JSとして、信号の出力を行う。
【0056】
このように、第1優先ボタンBP1の移動時間と第2優先ボタンBP2の移動時間との移動時間差が、所定の第一時間T01以上であるかどか判断するのは、ユーザの意図するボタンにカーソルをより確実に引き込ませるためである。
【0057】
次ぎに図5を用いて、制御手段M5の制御動作の一例について説明する。
例えば、操作部1が操作され検出手段M2の出力信号OSを受けたとき、図5に示すように、操作前のカーソルがあったカーソル元位置OCaからカーソル移動先位置TCbまで、b番目に移動した移動方向距離ベクトルVb相当分、カーソルが移動するとする。そして、カーソル元位置OCaからボタンB4までのボタン距離ベクトルDb4と、移動方向距離ベクトルVbのボタン距離ベクトルDb4への投影成分Vb4と、から、ボタンB4までの移動時間T41を算出する。同様にして、ボタンB5のボタン距離ベクトルDb5と投影成分Vb5とからボタンB5までの移動時間T51を、ボタンB6のボタン距離ベクトルDb6と投影成分Vb6とからボタンB6までの移動時間T61を算出する。
【0058】
この移動時間T41、移動時間T51、移動時間T61を比較し、算出された移動時間が最も短いボタンB4を目的ボタンBTと判断し、選定しても良いが、図5に示すように、方向性及び距離が似ているボタンB5である可能性も考えられる。そこで、算出された移動時間が最も短いボタンB4を第1優先ボタンPB1とし、算出された移動時間が次に短いボタンB5を第2優先ボタンPB2として選出し、移動時間T41と移動時間T51との移動時間差が、所定の第一時間T01以上であるかどうか判断するようにした。
【0059】
例えば、ボタンB5が存在せず、ボタンB4を第1優先ボタンPB1、ボタンB6を第2優先ボタンPB2として選出した場合は、移動時間T41と移動時間T61との移動時間差が、所定の第一時間T01以上であるので、ボタンB4を目的ボタンBTと判断し、選定するようになる。しかし、移動時間T41と移動時間T51との移動時間差が、所定の第一時間T01以上でないので、目的ボタンBTを選定しないでカーソル引き込み操作を行わず、操作部1の操作が行われるのを待つようになる。
【0060】
次に、再び操作部1が操作されると、図5に示すように、操作前のカーソルがあったカーソル元位置OCb(TCb)からカーソル移動先位置TCcまで、c番目に移動した移動方向距離ベクトルVc相当分、カーソルが移動する。そして、同じ手順で、ボタンB4のボタン距離ベクトルDc4と投影成分Vc4とからボタンB4までの移動時間T42を、ボタンB5のボタン距離ベクトルDc5と投影成分Vc5とからボタンB5までの移動時間T52を、ボタンB6のボタン距離ベクトルDc6と投影成分Vc6とからボタンB6までの移動時間T62を算出する。
【0061】
この移動時間T42、移動時間T52、移動時間T62を比較し、算出された移動時間が最も短いボタンB4を再び第1優先ボタンPB1とし、算出された移動時間が次に短いボタンB5を第2優先ボタンPB2として選出する。そして、移動時間T41と移動時間T51との移動時間差が、所定の第一時間T01以上であるので、ボタンB4を目的ボタンBTと判断し、選定した後、目的ボタンBTであるボタンB4に向かってカーソルを引き込むようにしている。
【0062】
以上により、本発明の力覚付与型入力装置102は、算出された移動時間が最も短い第1優先ボタンBP1の移動時間と、算出された移動時間が次に短い第2優先ボタンBP2の移動時間との時間差が、予め決めていた所定の第一時間T01以上である場合に、第1優先ボタンPB1を目的ボタンBTとするので、比較するボタン同士の時間差が明らかになり、確実に短い移動時間のボタンを目的ボタンBTとすることができる。この事により、単純に近接のボタンにカーソルが移動するのではなく、ユーザの意図するボタンにカーソルをより確実に引き込ませることができる。
【0063】
[第3実施形態]
図6は、本発明の第3実施形態の力覚付与型入力装置103における制御方式を示すフローチャートである。本発明の第3実施形態の力覚付与型入力装置103は、第1実施形態の力覚付与型入力装置101に対し、制御方式が異なっている。なお、第1実施形態と同じ部材は同じ符号を付しており、説明を省略する。
【0064】
本発明の第3実施形態の力覚付与型入力装置103の制御方式は、図6に示すように、先ず、操作部1が操作されると、検出手段M2が操作部1の操作状態を検出して、出力信号OSを制御手段M5に出力する。
【0065】
次に、出力信号OSを受けて、制御手段M5は、記憶部からのカーソル位置情報と操作状態の出力信号OS等から移動方向距離ベクトルVnを算出するとともに、記憶部からのカーソル位置情報とボタン位置情報等から各々のボタン距離ベクトルDnを算出する。そして、移動方向距離ベクトルVnと各ボタン距離ベクトルDnとを用いて、各ボタンまでの移動時間Tnを算出して、各々のボタンの移動時間を比較し、算出された移動時間が最も短いボタンを第1優先ボタンPB1とし、算出された移動時間が次に短いボタンを第2優先ボタンPB2として選出する。この際、カーソル移動先の位置情報と、第1優先ボタンBP1の移動時間である第1移動時間J01とを、記憶部に記録させておく。この記録は、算出の度毎に書き換えられる。
【0066】
次に、制御手段M5は、第1優先ボタンBP1の移動時間と第2優先ボタンBP2の移動時間との移動時間差が、所定の第一時間T01以上である場合に、第1優先ボタンBP1を目的ボタンBTと判断し、選定する。
【0067】
しかし、この移動時間差が、所定の第一時間T01以上でない場合、直前の第1優先ボタンと今回の第1優先ボタンが同じかどうかを更に判断するようになる。この判断の結果、同じボタンでない場合は、目的ボタンBTを選定しないでカーソル引き込み操作を行わず、操作部1の操作が行われるのを待つようにする。
【0068】
逆に、今回の第1優先ボタンが直前の第1優先ボタンと同じボタンの場合は、直前の第1優先ボタンの移動時間である第1移動時間J01と、今回の第1優先ボタンの移動時間である第2移動時間J02との時間差を比較する。そして、第1移動時間J01と第2移動時間J02との移動時間差が、所定の第二時間T02以上である場合に、今回の第1優先ボタンを目的ボタンBTとする。また、第1移動時間J01と第2移動時間J02との移動時間差が、所定の第二時間T02以上でない場合は、目的ボタンBTを選定しないでカーソル引き込み操作を行わず、操作部1の操作が行われるのを待つようにする。
【0069】
そして、目的ボタンBTが選定されずカーソル引き込み操作が行われないので、ユーザが再び操作部1を操作すると、同じ手順により、各ボタンまでの移動時間Tnを算出し、第1優先ボタンBP1の移動時間と第2優先ボタンBP2の移動時間との移動時間差が、所定の第一時間T01以上であるかどうかを判断し、第1移動時間J01と第2移動時間J02との時間差が、所定の第二時間T02以上であるかどうかを判断している。
【0070】
そして、この手順を繰り返して、目的ボタンBTを選定している。但し、各ボタンまでの移動時間Tnを算出する場合、前回操作されて記憶部に記録したカーソルの位置をカーソル元位置OCとして、今回操作されたカーソルの位置をカーソル移動先位置TCとして計算ようにしている。また、第一時間T01及び第二時間T02は、所定の値として予め記憶部に記録させておき、判断に用いている。この所定の値は、任意に変更が可能である。
【0071】
このように、第1優先ボタンBP1の移動時間と第2優先ボタンBP2の移動時間との移動時間差が、所定の第一時間T01以上であるかどか判断するのは、ユーザの意図するボタンにカーソルをより確実に引き込ませるためである。また、第1移動時間J01と第2移動時間J02との時間差が、所定の第二時間T02以上であるかどうかを判断するのは、第1優先ボタンBP1がユーザの意図する方向にあり、確実に目的ボタンBTに近づいているかどうかを判定し、ユーザの意図するボタンにカーソルをより一層、確実に引き込ませるためである。
【0072】
目的ボタンBTを選定した後の手順は、第1実施形態の力覚付与型入力装置101の手順と同様である。制御手段M5は、目的ボタンBTに向かってカーソルを引き込むように表示制御のための表示信号HSを表示手段M4に送信するとともに、目的ボタンBTに向かってカーソルが引き込まれたときに、駆動手段M3の駆動制御するための駆動信号KSを送信する。そして、表示手段M4は、制御手段M5からの表示制御のための表示信号HSを受け、カーソルを目的ボタンBTの中心位置に引き込むとともに、カーソルの状態を制御手段M5の記憶部へ状態信号JSとして、信号の出力を行う。
【0073】
以上により、本発明の力覚付与型入力装置103は、算出された移動時間が最も短い第1優先ボタンBP1の移動時間と、算出された移動時間が次に短い第2優先ボタンBP2の移動時間との時間差が、予め決めていた所定の第一時間T01以上である場合に、第1優先ボタンPB1を目的ボタンBTとするので、比較するボタン同士の時間差が明らかになり、確実に短い移動時間のボタンを目的ボタンBTとすることができる。この事により、単純に近接のボタンにカーソルが移動するのではなく、ユーザの意図するボタンにカーソルをより確実に引き込ませることができる。
【0074】
また、操作部1が操作されて選出された第1優先ボタンへの第1移動時間J01と、次に操作部1が操作されて、直前と同じ第1優先ボタンと選出された、今回の第1優先ボタンの第2移動時間J02との時間差が、予め決めていた所定の第二時間T02以上である場合に、第1優先ボタンを目的ボタンBTとするので、この第1優先ボタンがユーザの意図する方向にあり、確実に目的ボタンBTに近づいていることになる。この事により、単純に近接のボタンにカーソルが移動するのではなく、ユーザの意図するボタンにカーソルをより一層、確実に引き込ませることができる。
【0075】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次のように変形して実施することができ、これらの実施形態も本発明の技術的範囲に属する。
【0076】
上記実施形態では、操作部1にトラックボール11を用いたが、揺動レバーを有するスティック状の操作部を用いても良い。
上記実施形態では、駆動手段M3に電磁ブレーキ13を用いたが、電動モータなどを用いた駆動手段であっても良い。
上記実施形態では、検出手段M2に、2つの光学式のセンサ12A、センサ12Bを用いたが、ロータリ形のエンコーダや可変抵抗器などを用いることができる。
上記実施形態では、電磁ブレーキ13の摩擦部材13Bを球体41の表面に強く押し付けた衝撃を利用し、金属音に似た音を発生させるようにしたが、スピーカーと音源器等を用いて、音を発生させても良い。
上記実施形態では、表示手段M4がカーソルの状態について、制御手段M5の記憶部へ出力信号を送付していたが、制御手段M5が表示手段M4に表示信号HSを送付する際に、カーソルの状態について記憶部に記憶させるようにしても良い。
【0077】
本発明は上記実施の形態に限定されず、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0078】
1 操作部
11 トラックボール
13 電磁ブレーキ
M2 検出手段
M3 駆動手段
M4 表示手段
M5 制御手段
B1、B2、B3、B4、B5、B6 ボタン
BT 目的ボタン
OC、OCa、OCb カーソル元位置
TC、TCb、TCc カーソル移動先位置
OS 出力信号
Vn、Va、Vb、Vc 移動方向ベクトル
Vs、Va1、Va2、Va3、Vb4、Vc4、Vb5、Vc5、Vb6、Vc6 投影成分
Dn、Da1、Da2、Da3、Db4、Db5、Db6
c4、Dc5、Dc6 ボタン距離ベクトル
BP1 第1優先ボタン
BP2 第2優先ボタン
J01 第1移動時間
J02 第2移動時間
T01 第一時間
T02 第二時間
101、102、103 力覚付与型入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザによって操作される操作部と、前記操作部の操作状態を検出する検出手段と、前記操作部に駆動力を付与する駆動手段と、カーソル及び複数のボタンを表示する表示手段と、前記検出手段の出力信号に基づいて前記カーソルの表示制御を行うとともに、前記駆動手段の駆動制御を行う制御手段と、を備えた力覚付与型入力装置において、
前記操作部が操作され前記検出手段の出力信号を受けたとき、
前記操作前に前記カーソルがあったカーソル元位置から前記操作後に移動したカーソル移動先位置までの距離ベクトルを移動方向距離ベクトルとし、
前記カーソル元位置から前記複数のボタンの各々のボタン位置までの距離ベクトルをボタン距離ベクトルとし、
前記制御手段は、前記移動方向距離ベクトルを算出するとともに、各々の前記ボタン距離ベクトルを算出し、前記移動方向距離ベクトルと複数の前記ボタン距離ベクトルとを用いて、複数の前記ボタンまでの移動時間を算出し、前記移動時間が最も短いボタンを前記ユーザが意図する目的ボタンと判断し、前記目的ボタンに向かって前記カーソルを引き込むように表示制御することを特徴とする力覚付与型入力装置。
【請求項2】
前記操作部が操作され前記検出手段の出力信号を受けたとき、
前記制御手段は、算出された前記移動時間が最も短い第1優先ボタンの前記移動時間と、算出された前記移動時間が次に短い第2優先ボタンの前記移動時間との時間差が、所定の第一時間以上である場合に、前記第1優先ボタンを前記目的ボタンとすることを特徴とする請求項1に記載の力覚付与型入力装置。
【請求項3】
前記操作部が操作され前記第1優先ボタンへの算出された前記移動時間を第1移動時間とし、
次に前記操作部が操作され、選出された前記第1優先ボタンが直前の前記第1優先ボタンと同一である際、前記選出された前記第1優先ボタンへの算出された前記移動時間を第2移動時間とし、
前記制御手段は、前記第1移動時間と前記第2移動時間との時間差が、所定の第二時間以上である場合に、前記第1優先ボタンを前記目的ボタンとすることを特徴とする請求項2に記載の力覚付与型入力装置。
【請求項4】
前記目的ボタンに向かって前記カーソルが引き込まれたときに、
前記制御手段は、前記駆動手段の駆動制御を行い前記駆動手段によって前記操作部に駆動力を付与し、前記駆動力の付与に伴い音が発生することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の力覚付与型入力装置。
【請求項5】
前記操作部は、トラックボールを有し、
前記駆動手段は、電磁ブレーキを有した構成としたことを特徴とする請求項4に記載の力覚付与型入力装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate