説明

加圧ガス状流体による粉末処理

【課題】固体又は半固体材料粒子とキャリアー材料のブレンド、固体又は半固体材料粒子のキャリヤー材料との造粒、又はそれらの混合物を生成するための製薬処理で有利に使用することができる方法を提供する。
【解決手段】固体又は半固体材料のキャリアー材料の上又は中への小粒子の沈殿、保持及び分散方法を開示する。この方法では、溶質粒子を加圧ガス状流体溶液又は液体溶液から沈殿させ、キャリヤー材料中に効率的に保持かつ分散させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
この出願は、一般的に、溶液から固体又は半固体材の粒子を処理し、同時にキャリヤー材料中にこれら処理した粒子を保持かつ分散させるために加圧ガス状流体を利用する方法に関する。この方法は、固体又は半固体材料粒子とキャリヤー材料のブレンド、固体又は半固体材料粒子のキャリヤー材料との造粒、固体又は半固体材料粒子で部分的若しくは全体的に被覆されたキャリヤー材料、又はそれらの混合物を生成するための製薬的かつ化学的処理で有利に使用することができる。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
錠剤及びカプセル剤のような医薬品の固体剤形は、粉末ベース製剤中で薬剤の均一な分散を達成するため、薬物材料の微粉末の使用を必要とする。さらに、非常に低い溶解度及び溶解速度を有する薬物は、十分なバイオアベイラビリティーを達成するため、10μm以下程度のレベルに大きさを減少させる必要があることが多い。場合によっては、例外的に不十分な水溶性の薬物では1μm未満の粒子が必要である。
【0003】
溶液から薬物粒子を処理する従来の方法は、多くの欠点に悩まされている。再結晶、凍結乾燥及び噴霧乾燥は溶剤のエバポレーションを必要とする。乾燥法は、残留量の溶剤を残す可能性があり、乾燥を助けるために熱を使用すると薬物の熱分解を引き起こし得る。
粒径を小さくするための機械的製粉も熱分解を引き起こし得る。これらの方法はすべて粒径が可変になりかねない。
【0004】
CO2のような超臨界流体(SCFs)を用いて狭い粒度分布のミクロン及びサブミクロンサイズの粒子を製造する改良方法が開示されている(例えば、米国特許第5,833,891号、H.S. Tan及びS. Borsadia, Expert Opinion on Therapeutic Patents, 2001, 11, 861-872参照)。方法としては、超臨界流体抽出法(SFE)、超臨界溶液の急速膨張法(RESS)、ガス反溶剤再結晶法(GAS)、及び超臨界流体反溶剤法(SAS)が挙げられる。
超臨界流体(SCF)は、その臨界温度及び臨界圧力(CO2では31℃、7.377×106Pa(1,070psi)より上の物質である。CO2のようなSCFは、本質的に穏やかな温度で、圧縮された高拡散及び高密度の流体である。それは、比較的無毒、安価、かつ非反応性である。SFEは、種々の成分を選択的に抽出するためにしばしば使用される。抽出後、SCF混合物は低圧で保持された収集容器中で膨張する。低圧ガスの低い溶解力のため、該化合物は沈殿し、容器内で集められる。流出低圧ガスは排気され或いはプロセスに再利用される。SCFsの特性に関する豊富な情報が技術文献で入手可能である(McHugh, M.及びKrukonis, V., Supercritical Fluid Extraction, Principles and Practice, 2nd Ed., Butterworth-Heinemann, Boston. 1993)。
【0005】
SCFsを利用するあらゆる粒子生成法の中心には、特定の溶剤又は物質に溶解し或いは可溶化するSCFsの能力がある。薬粉末を製造するためにSFEが使用されてきたが(Larson, K.A.ら, Biotechnology Progress 2 (2), 1986年6月, pp. 73-82)、SFEは、通常、脱加圧後抽出された材料の粒径が該プロセスの関心事でない場合に原料物質からSCF可溶性材料を選択的に抽出するために使用される。SFEの特徴は、いかなる物理的形態:液体、固体又は半固体中でも所望物質のみならず不純物をも抽出するのに使用できることである。
SCFに溶けた材料は圧力の急速な低下によって沈殿し得るという概念は1世紀以上前から知られている(J.B. Hannay及びJ. Hogarth, “On the solubility of solids in gases”, Proceedings of the Roy. Soc. London, 29, 324-326, 1879)。RESS法(米国特許第4,582,731号)は、SCFsのこの性質を利用して、粒径と、考えられる他の物理的及びバルク特性とが主要関心事である所望の固体物質を結晶化させる。
【0006】
RESS法では、SFEと同様に、溶質物質が高圧容器内に置かれる。そしてSCFが容器を通じて汲み上げられて該物質を溶かし、SCF中の該物質の溶液を生成する。この流体混合物がノズルを通じて実質的に低い臨界未満圧力で保持された容器中で膨張し、これで該流体は低密度ガスとなる。低圧ガスの低い溶解力のため、該物質は沈殿し、容器内で集められる。ノズルを横切る差次的な大きな圧力は、超音波速度かつ過飽和で膨張を起こさせて急速に増大させる。この急速な膨張が該流体の密度及び溶解力の急速な変化ひいては急速な結晶化速度に変わり、結果として該物質の小さいマイクロ粒子及びナノ粒子の形成となる。
流出ガスはマイクロフィルターを通過してから排気或いは再利用される。圧力が実質的にいかなる変化もせずにSCFの溶解力を急速に減じる代替法は、該溶質物質が実質的に不溶性である窒素又はヘリウムのような不活性ガスとSCF溶液を接触させる工程から成る。不活性ガスは、SCF溶液の圧力と同様の圧力で維持し得る。不活性ガスは、急速にSCFと混ざり、その溶解力を低減させ、かつ溶質を沈殿させる。
【0007】
選択したSCFにほとんど溶解しない材料では、SCFを反溶剤として使用し得る。GAS法(米国特許第5,360,478号;米国特許第5,389,263号)は、まずアメリカ化学技術者協会の国際会議(AIChE会議の論文48c,1988年11月29日)で報告され、後にGallagher,P.M.らによって報告された(Chap 22, Supercritical Fluid Science and Technology, ACS Symposium Series, 406, Washington, DC, K.P. Johnston, J.M.L. Penninger, ed., ACS Publishing, 1989)。GASでは、SCFは、溶液中にSCFを添加することで溶質の有機溶液の予備混合バッチからSCF不溶性溶質を処理するための反溶剤として使用される。SCFの添加は、該溶液中のその濃度を高め、該溶液を膨張させる。溶液が過飽和になると溶質の沈殿が起こる。
【0008】
バッチGAS法は、大量の材料を処理するその能力内に限定される。SAS法では、溶質の有機溶液が、絶え間なく流れるSCF反溶剤に連続的に添加される。有機溶剤がSCF中で急速に混合かつ溶解して均質な高圧流体混合物が生成する。溶質は実質的にSCFに溶解せず、かつSCFと有機溶剤は混和し得るので、この結果、高圧容器内で溶質の沈殿となる。SCF-有機溶剤混合物がマイクロフィルターを通過し、低圧容器中に膨張し、そこでSCFが有機溶剤から分離する。
【0009】
相対的に低い処理温度のため、SAS法は熱的に不安定な物質の処理に好適である。液滴表面からの溶剤除去速度が相対的に遅く、かつ処理温度に大きく依存する従来の噴霧乾燥のような他の方法と異なり、この方法では、該速度は主にSCFsの密度と流速に依存する。
両パラメーターは、比較的低温で広範囲にわたって容易にコントロールすることができ、同様に広範囲にわたって溶剤除去速度をコントロールできる。SAS法のいくつかの変形が開発されている。Coenenら(米国特許第4,828,702号)は、固体溶質の液体溶液をCO2のようなSCF反溶剤中に噴霧し、該固体材料を粉末として回収する対向流法を報告している。Fisher及びMuller(米国特許第5,043,280号)は、活性物質の液体溶液をキャリヤー材料のSCF溶液中に微細な霧として噴霧し、キャリヤー材料内に包埋された活性物質の無菌マイクロ粒子を生成する方法を報告している。Yeoら(Biotechnology and Bioengineering, 1993, Vol. 41, p. 341)及びDebenedetti(米国特許第6,063,910号)もSCFを含有する高圧容器中に微細な霧としてノズルを横断して溶液を噴霧して該溶質の微粉末を生成する方法を報告している。Schmids(米国特許第5,707,634号)は、SCF反溶剤を含有する高圧容器中に注入された溶液から非無菌溶質を回収する方法を報告している。Subramanianら(米国特許第5,833,891号)は、超音波ノズルを用いて液体溶液噴霧の微粒化を高め、活性材料の微細なマイクロ粒子及びナノ粒子の生成を助ける方法について述べている。
【0010】
SAS法は、文献では“エーロゾル溶剤抽出システム”(ASES)として特定されており、その変形は“SCFsによる溶解促進分散系”として特定されている。Tan及びS. Borsadia, Expert Opinion on Therapeutic Patents, 2001, 11, 861-872を参照せよ。
SEDS(米国特許第5,851,453及び第6,063,138号)は、同軸の非超音波ノズルの使用を含む。高い物質移動速度は、超臨界流体の溶剤に対する高い比率で達成され、SCFの高速度が溶液の微粒化を促進する。
【0011】
SCFsを用いて生成された粒子は基材を被覆するためにも使用されている。Subramaniamら(米国特許第5,833,891号)は、粒子が液体溶液から結晶化され、流動化コア粒子床で方向づけられて被覆を形成する方法について述べている。この方法では、SCFはコア粒子を流動化するためと、溶液からの被覆物質の結晶化を果たすための両方で使用される。この方法は、古典的なWurster被覆法と同様の方法で使用することができる。Benoitら(米国特許第6,087,003号)は、SCFとその中に溶けた被覆材を含有する高圧容器内で活性物質を撹拌するバッチ法について述べている。SCFが気相と液相に分かれる点までSCFの温度を徐々に下げると、コア粒子は懸濁液中にあり、かつ被覆材は溶液中にある。気相を連続的に除去すると、液相中の被覆材の濃度が上昇し、その溶解性が減少する。この結果、最終的に活性物質上に被覆材が沈殿する。SCFのバッチでは被覆材のおそらく限定された溶解性のため、この方法は、撹拌装置のシャフトに取り付けられる前装填被覆材を用いて繰り返される。Smith(米国特許第4,582,73号)は、RESSによって形成された粒子をガラス、溶融シリカ及び白金のような固体表面に方向づけ、かつそこに付着させて薄膜被覆を形成する方法について論じている。
【0012】
上記方法は、被覆基材又は特定物質のマイクロ粒子若しくはマイクロカプセルのどちらかを生成するように設計される。本発明の前提は、製薬業では、マイクロ粒子及びナノ粒子の粉末の選択、取扱い、流れ、及び/又は圧縮が非常に困難なので、微細な薬粉末はめったに最終的な固体状態製剤として使用されないということである。それゆえ、特定薬物の微粉化粉末は、さらに処理せずにはめったに使用されない。ある薬物の固体状態の医薬製剤を製造したい場合、一般に、該薬物のマイクロ粒子又はナノ粒子をキャリヤー物質の粒子と混合する必要がある。ラクトースのような該キャリヤーは、良い取扱い、流れ、及び圧縮特性を示す。キャリヤーとの混合後、製薬業ではしばしば造粒を用いて微細粉末から自由流動性のダストフリー顆粒を製造し、かつ製品中の薬物分布の均一性を向上させる(Handbook of Pharmaceutical Granulation Technology, Marcel Dekker, N.Y., Dilip, M.P. Editor, Vol. 81, 1997)。微細粉末を処理するためにSCFsを用いる現在の方法は、これらの問題に焦点を当てていない。以下は、現在の方法のいくつかの限界である。
【0013】
1.現在の方法は、微細粒子の形成に関して微細粒子を捕捉する難しさに焦点を当てていない。現在の方法は、普通処理容器内で捕捉するのは困難な分離している小さいマイクロ粒子及びナノ粒子を沈殿させるように設計されている。フィルター上にこのような粒子を保持することは困難であり、フィルターが詰まり及び/又は処理能力の低下をもたらすかもしれない。
2.現在の方法は、微細粉末の凝集する傾向に関する問題に焦点を当てていない。粒子が急速に結晶化するSAS法では、湿った粒子が相互に接触して融合又は凝集し得る。同様に、RESSでは、半固体又は接着性粒子が急速に凝集するので、満足いくように処理できない。材料の物理的性質とは関係なく、高い表面自由エネルギーを示す材料のマイクロ粒子及びナノ粒子は、近接すると凝集及び融合して大きい粒子を形成する傾向がある。薬物を処理するとき、凝集は有効粒径を大きくし、かつ薬物の溶解速度及びバイオアべイラビリティを下げることになり得る。結晶化材料の凝集は、小さいミクロン及びナノメーターサイズの粒子を被覆するその効率を制限する。従って、この点に関して現在の方法は制限される。
【0014】
3.流動床内に沈殿した微細粉末でコア粒子を被覆するように設計されている現在の方法は制御しにくい。このような方法は、微細粉末の保持率及び非常に流動化しにくい微細粉末を被覆する能力について述べていない。流動床は特別な装置と、SCFsと共に使用するために容易に受け入れられない制御を必要とする。コア粒子を流動化する目的は、好ましくはコア粒子が別のコア粒子と接触する前に被覆かつ乾燥され、それによって凝集を最小化し得るようにコア粒子を懸濁させることである。この方法によるコア粒子の被覆は、多くの粉末で達成できるが、通常多大なプロセス制御が必要である。特定化した流動化装置は、通常撹拌を考慮しないが、粒子の流動化、流動ガスの均一な分布、床膨張の制御、及び細粒子の選択を達成するために容器内の差次的な圧力を慎重に制御する。懸濁流体の表面速度は重要であり;速度が速すぎるとコア粒子がフィルター上に飛沫同伴し;速度が遅すぎると、床の不完全な膨張/流動化となり得る。SCF処理では沈殿及び乾燥が非常に速く起こるので、液滴はコア粒子に接触する前に乾燥し、生成される非常に小さい結晶は容易に懸濁流体内に飛沫同伴し得る。従って、コア粒子に付着した沈殿がいつも生じるわけではなく、いくらかの沈殿粒子はコア粒子床から分離してしまうかもしれない。粉末床の膨張及び流動化は、より長くかつ大きい処理容器をも必要とし、高圧装置に伴う主要関心事である。莫大な数の可能性のある粒子−粒子相互作用及び粒子が生成される時の粒度分布のような床特性の変化のため流動化がより困難な粉末もあり、他の粉末は被覆される。
10μmより小さいコア粒子はしばしば不安定な流動床を形成する。小さい粒子は、凝集体又は噴出をもたらし得る亀裂を形成するダンプのように作用する。このような処理の困難性は、少なくとも一部は流動床処理が製薬処理で見いだしてきた限定された用途に原因がある。技術文献は、小さい粒子の流体床処理に関する問題の十分な説明を提供している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
RESS、GAS及びSAS法の欠点は、マイクロ粒子及びナノ粒子の微細粉末の捕捉、収集及び取扱いの困難性である。これら方法で用いられるフィルターは、一般に、生じたマイクロ粒子及びナノ粒子を効率的に保持できない。フィルター孔がこのような粒子を保持できるほど十分に小さい場合、フィルターは粒子によって急速に塞がれてしまう。これは、結晶化容器を通る流れを厳しく制限し、フィルターをきれいにし或いは交換するために頻繁に中断する必要が生じ得る。RESSの場合、流れに対する抵抗は容器内の圧力をかなり上昇させ、かつノズルを横断する圧力降下を減少させる。ある点では、圧力降下が完全に消失し、圧力を停止させる必要があるだろう。SASの場合、流れに対する抵抗は、該プロセスの間中、絶え間なく容器内の圧力を上昇させ得る。マイクロ粒子はサイクロンのような装置で保持できるとしても、マイクロ粒子は取扱いが困難である。マイクロ粒子及び/又はナノ粒子を含有する粉末の流れ特性は、一般に良くない。従って、このような粉末を下流プロセスで排出及び使用しにくい。従って、製剤中への取り込み前に、キャリヤー材料との混合及び造粒のようなプロセスによってさらに処理する必要がある。流れ特性が良くない粉末は、キャリヤー材料中に取り込みにくく、通常、必要なブレンド均一性を得るために特別なブレンド手順又は技術が必要である。また、微細粉末はその粉体飛散のため扱いにくい。特別のオペレーター保護が必要であり、強力な薬物又は毒物のためには非常に特殊な手順が要求される。
【課題を解決するための手段】
【0016】
(発明の概要)
本発明は、一般的には、加圧ガス状(例えば、超臨界)流体特有の性質を利用して、溶液から溶質粒子を沈殿させ、その沈殿した粒子を良い流れ及び取扱い特性を有するキャリヤー材料中に効率的に保持かつ分散させることによる、キャリヤー材料中における溶質粒子の沈殿、保持及び分散の方法に関する。溶質は、液体溶剤又は加圧ガス状流体溶液のいずれから沈殿させられてもよい。本明細書で述べるように、この方法は製薬業に広範な適用性を有する。
【0017】
一般的に、本発明の方法は、以下の工程を含む。
キャリヤー材料中における粒子の沈殿及び保持方法であって、以下の工程:
(a)(1) 加圧ガス状流体中に固体又は半固体材料を溶解させることによって、ガス状流体溶剤と、固体又は半固体材料の溶解した溶質を含む溶液を生成する工程
又は
(a)(2) 液体溶剤中に固体又は半固体材料を溶解させることによって、液体溶剤と、固体又は半固体材料の溶解した溶質を含む溶液を生成する工程;
(b)(1) 工程(a)(1)で生成されたガス状流体溶液を、より低圧の領域中又は不活性ガスを含有する領域中に導入することによって、該ガス状流体溶液から前記固体又は半固体材料の粒子を沈殿させる工程
又は
(b)(2) 工程(a)(2)で生成された液体溶液を、(1)前記液体溶剤は実質的に可溶性であるが、前記固体又は半固体材料は実質的に不溶性である加圧ガス状流体を含有する領域、若しくは(2)前記加圧ガス状流体を引き続き導入し、該加圧ガス状流体中への前記液体溶剤の可溶化と、前記固体又は半固体材料の粒子の沈殿とを起こさせる領域のどちらかに導入することによって、前記液体溶液から前記固体又は半固体材料の粒子を沈殿させる工程;(c) 工程(b)(1)又は(b)(2)で生成された導入溶液と、その結果沈殿した粒子とを、キャリヤー材料の混合床の上又は中に方向づける工程;及び
(d) 前記キャリヤー材料中の沈殿粒子の少なくともいくらかを保持かつ分散させて、前記固体又は半固体材料とキャリヤー材料のブレンド、前記固体又は半固体材料のキャリヤー材料との造粒、前記固体又は半固体材料粒子で部分的若しくは全体的に被覆されたキャリヤー材料、或いはそれらの混合物を生成する工程。
【0018】
本方法は、種々多様な固体又は半固体材料、例えば、生理活性材料、封入材料、水分保護材料、光保護材料、ガス保護材料、拡散バリア材料、溶解又は分散促進材料の沈殿(又は結晶化)、及び種々多様なキャリヤー材料、例えば、製薬的に許容性のキャリヤー、アジュバント若しくは賦形剤、又は生理活性材料、又はそれらの混合物を用いた該固体又は半固体材料の保持及び分散に適用できる。本方法は、キャリヤー材料中における固体又は半固体材料のマイクロ粒子及びナノ粒子の沈殿、保持及び分散に特に有利である。
【0019】
本発明の方法で生成されるブレンド、造粒及び部分的若しくは全体的に被覆されたキャリヤー材料、又はそれらの混合物は、錠剤及びカプセル剤のような種々の医薬製剤及び剤形への製薬処理に特に適する。一般に、多くの固体剤形の製剤では、良い流れ特性を有するキャリヤー材料が使用される。従って、薬物との混合物中にキャリヤー材料が存在することは利点である。薬粉末は賦形剤と別に扱われず、かつその製造中賦形剤粒子に付着できるので、薬含量が非常に少ない時でさえブレンド均一性を達成することができる。
【0020】
本方法の他の利点としては、以下の点が挙げられる。
1.キャリヤー材料中の薬物装填が高すぎない場合、処理粉末の粒度分布は処理前のキャリヤー材料自体の粒度分布に近いかもしれない。従って、処理粉末の流れ特性はキャリヤー自体の流れ特性と同様に良いかもしれない。これは、下流処理における粉末の排出及び取扱いの困難性を軽減する。
2.キャリヤーを薬物で被覆した後、封入材料で被覆することができる。好ましくは薬粒子間の実質的な凝集を起こさせずに、この手順を繰り返して薬物装填を増やすことができる。被覆は、水若しくは酸素に対して化学的に感受性であるか或いは感光性である薬物に水分、光又はガスバリアを提供するタイプでもよい。被覆は、基材からの薬物の放出を制御するための拡散バリア、又は溶解若しくは溶解度エンハンサーとして働くタイプでもよい。
3.この発明は、粉末に限定されない。本発明は、例えば、結晶化マイクロ粒子及びナノ粒子をより大きいサイズの材料とブレンドするのに利用でき、或いは顆粒、ペレット、ノンパレル(non-pareils)、錠剤、カプセル又は他の混合材料の被覆に利用することができる。同様に、本方法を用いて固体又は半固体材料粒子のキャリヤー材料との造粒を形成することができる。
【0021】
本発明は、種々の仕方で使用でき、限定するものではないが、以下が挙げられる。
1.分離している或いはルーズに付着している薬物マイクロ粒子及びナノ粒子と、キャリヤー材料との均質ブレンドを生成すること。
2.分離している或いはルーズに付着しているキャリヤー粒子と、薬物粒子との均質ブレンドを生成すること。
3.薬物マイクロ粒子及びナノ粒子のキャリヤー粒子との造粒を生成すること。液体若しくはガス状流体溶液中の薬物との混合物中、又はキャリヤー粉末床内の混合物中のどちらかに、ポリビニルピロリドン(PVP)のような結合剤が存在し得る。
4.被覆材料で薬物を被覆すること。被覆は、水分若しくは酸素に対して化学的に感受性であるか、或いは感光性である薬物に水分、光又はガスバリアを与えるタイプでもよい。
被覆は、該物質からの薬物の放出を制御するための拡散バリアとして働くか、或いはその放出を促すタイプでもよい。
5.キャリヤーの薬物による被覆後、封入材料で被覆すること。好ましくは薬物粒子間の実質的な凝集を起こさせずに、この手順を繰り返して薬物装填を増やすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(発明の詳細な説明)
この出願で使用するすべての用語は、特に言及しない限り、技術的に知られている普通の意味で解釈するものとする。本出願で使用する特定の用語の他のさらに特有の定義は、以下のとおりである。
挙げた値に関する用語“約”は、その挙げた値の±20%、好ましくは±10%、さらに好ましくは±5%、なおさらに好ましくは±1%を意味する。用語“約”を値の範囲に関して使用するときは、用語“約”は、その範囲の挙げた各終点に資格を与えることを意図している。例えば、句“約0.8〜1.6Tc”は、“約0.8〜約1.6Tc”に等しい。
用語“ブレンド”は、均一又は不均一な混合物を意味する。
【0023】
“加圧ガス状流体”、又は“超臨界流体”は、(1)大気条件下でガス状であり、かつ適度な臨界温度(すなわち、≦200℃)を有する流体又は流体の混合物、或いは(2)超臨界流体としての用途を以前に見いだしている流体を意味する。ガス状流体の例としては、二酸化炭素、亜酸化窒素、トリフルオロメタン、エタン、エチレン、プロパン、六フッ化イオウ、プロピレン、ブタン、イソブタン、ペンタン、及びそれらの混合物が挙げられる。明示的に言及しない限り、ガス状又は超臨界流体の温度及び圧力は、近臨界から超臨界領域内のどこでも、例えば、約0.8−1.6Tc及び約0.8-15Pcの範囲内でよく、ここで、Tc及びPcは、該流体のそれぞれ臨界温度(Kで)及び臨界圧力である。
“マイクロ粒子”は、約1〜500μmの範囲、好ましくは約1〜10μmの範囲の平均粒径を有する粒子を意味する。
“ナノ粒子”は、約0.001〜1μmの範囲、好ましくは約0.05〜0.5μmの範囲内の平均粒径を有する粒子を意味する。
【0024】
キャリヤー材料について“混合床”は、固体又は半固体材料の沈殿粒子の非存在下又は存在下のキャリヤー材料の非流動化混合物を意味する。キャリヤー材料の混合床は、例えば、固体又は半固体材料の沈殿粒子の非存在下又は存在下、キャリヤー材料を撹拌又は振り混ぜることによって形成することができる。
キャリヤー材料について“非流動化”は、混合床内のキャリヤー材料がガス懸濁流動化状態でないことを意味する。例えば、本発明のプロセスの間、該床内のキャリヤー材料の単なる撹拌又は振り混ぜだけでは、キャリヤー材料床の少なくともいくらかを膨張させる効果はあるが、これはキャリヤー材料のガス懸濁流動化ではない。
【0025】
用語“沈殿(precipitation)”又は“沈殿する(precipitating)”は、溶液から溶質の結晶若しくは非晶質粒子、又はそれらの混合物が生じるプロセスを意味する。従って、これら用語は、本発明の文脈では、溶液からの溶解溶質の結晶化という概念を包含することを意図している。溶質(例えば、固体又は半固体材料)の混合物が溶液中に溶解している場合、本発明の文脈では、材料の“沈殿(precipitation)”又は“沈殿する(precipitating)”粒子という概念は、すべてではない溶解溶質が沈殿する、及び/又は溶質が部分的にのみ溶液から沈殿する可能性を包含する。従って、本発明の沈殿プロセスを用いて特定の固体又は半固体材料を分離し得る。
【0026】
“RESS”は、より低圧の領域内で溶液を膨張させるか、或いはガス状流体と同圧又はより低圧の不活性ガスと溶液を接触させることによって、溶質のガス状流体溶液から溶質粒子を沈殿させる方法を意味する。
“半固体”は、少なくともいくらかの液体タイプの物理的性質を有する固体材料を意味する。半固体材料の例としては、ゲル、粘性液体、油、界面活性剤、ポリマー、ワックス、及び脂肪酸が挙げられる。
用語“半固体材料”は、周囲又は処理条件で半固体である1種以上の物質を意味する。
従って、語“半固体材料”は、該半固体材料が異なる半固体材料の混合物である可能性を包含するものである。
用語“固体材料”は、周囲又は処理条件で固体である1種以上の物質を意味する。従って、語“固体材料”は、該固体材料が異なる固体材料の混合物である可能性を包含するものである。
用語“処理条件”は、本発明の処理を行う特定の条件を意味する。
【0027】
例えば、ガス状流体中の液体溶剤の溶解度について用語“実質的に可溶性”は、選択した処理条件下、キャリヤー材料粒子上に存在し得る残存液体溶剤混入を除き、ガス状流体によって液体溶剤を完全に可溶化できることを意味する。定量的には、液体溶剤の少なくとも約95%、さらに好ましくは少なくとも約99%がガス状流体に可溶化されることが好ましい。
例えば、態様2のガス状流体中の固体又は半固体材料の溶解度について用語“実質的に不溶性”は、選択した処理条件下、固体又は半固体材料が、ガス状流体中に、約50質量%しか溶解せず、好ましくは約25質量%しか溶解せず、さらに好ましくは約5質量%しか溶解しないことを意味する。選択した処理条件下、固体又は半固体材料がガス状流体に、本質的に完全に不溶性であることが好ましい。
用語“態様1”は、上述した工程(a)(1)と(b)(1)を用いる本発明の方法を意味し、固体又は半固体材料がガス状流体溶液から沈殿する。
用語“態様2”は、上述した工程(a)(2)と(b)(2)を用いる本発明の方法を意味し、固体又は半固体材料が液体溶液から沈殿する。
【0028】
この発明の好ましい実施形態では、超臨界又は有機溶液が噴霧又は噴出として直接キャリヤー材料、例えば、薬物又はラクトース、スターチ若しくはリン酸二カルシウムのようなキャリヤー材料の混合床中に導入される。噴霧又は噴出を生じさせるオリフィスは、キャリヤー粒子と迅速に接するようにキャリヤー粒子の床内又は近くに配置される。必要ではないが、キャリヤー材料の機械的混合は、噴霧を異なるキャリヤー粒子と絶え間なく接触させ、それによって混合粉末全体に沈殿溶質を分散し、かつ溶質粒子間の接触を最少化するので好ましい。機械的混合は、粒子にせん断力をも与え、噴霧液滴又は生成粒子をキャリヤー材料の表面を横断して拡散させるのを助ける。
【0029】
溶質材料が液体溶液から沈殿する(本明細書では、“態様2”と呼ぶ)本発明の別の好ましい実施形態では、キャリヤー材料をプロセスの間機械的に混合する。粒子を脱凝集するのに役立ち、かつ液体溶剤の流体相へのより高い物質移動速度を生じさせ、湿った粒子間の接触時間を減らす、いくらかのせん断力を与えるキャリヤー材料との機械的撹拌及びブレンディングによって、凝集を減らすことができる。出願人らは、予想外にも、良い流れ、取扱い及び圧縮特性を有するキャリヤー材料の粉末を用い、SCFsによって沈殿した(例えば、再結晶した)溶質材料を捕捉して同様に良い特性を有する粉末を生成できること発見した。再結晶材料を保持するキャリヤー材料の能力は、SCF処理による主要な困難を克服することができる。混合床中のキャリヤー粒子は相互に近接しているので、沈殿はキャリヤー粒子に近接して、或いはキャリヤー粒子上で起こると考えられ;沈殿したマイクロ粒子及びナノ粒子がキャリヤー粒子に付着する可能性が増し、かつ他の同様の粒子への付着の可能性が減り;再結晶した粒子は迅速にキャリヤー粒子と相互作用し、かつこのような小さい粒子を同伴するであろうSCFを連続的に流すことによって運ばれない。この結果、高い薬物回収となる。従って、キャリヤーは、再結晶した粒子の付着の媒体として、再結晶した粒子を流体混合物からろ過するための媒体として、及び再結晶した粒子を分散させる媒体として作用することができる。最も微細なマイクロ粒子及びナノ粒子がキャリヤー材料中に保持されるため、流れ抵抗性フィルターの必要が軽減するので、高い処理能力も達成される。本発明の方法の別の特定の利点は、本発明を用いて液体又は超臨界溶液のどちらかから、固体又は半固体溶質材料のどちらかを処理できることである。固体又は半固体溶質粒子が生じるとそれらはキャリヤー材料内に迅速に拡散され、それによって同様の溶質粒子との凝集を最少にする。機械的混合はせん断力を導入して溶質の分布と脱凝集を促すが、所望により、結合剤溶液の加圧ガス状流体中への添加速度のような処理パラメーターを制御することによって凝集を促すこともできることに留意すべきである。従って、本方法を用い、再結晶した粒子をキャリヤー粒子に付着させ、該粒子を造粒し、又はそれらの流れ特性を改善することができる。
【0030】
I.態様1
本発明の方法の工程(a)(1)と(b)(1)は、より低圧の領域又は不活性ガスを含有する領域中に溶液を導入することによって加圧ガス状流体溶液からガス状流体(例えば、SCF)溶質材料を沈殿させるRESS法に類似している。このような方法は、例えば、それぞれ参照によってその全体が本明細書に取り込まれる以下の米国特許第4,582,731号及び第4,734,451号で記述されている。技術的に公知のRESS法に基づき、本技術の当業者は、容易に、本発明の方法にRESS法を適合させ、かつ利用することができる。
【0031】
一般に、RESS法で技術的に普通に使用されている従来のいずれの条件も(すなわち、温度、圧力、沈殿容器、ノズル変形など)本発明の方法の工程(a)(1)及び(b)(1)で使用することができる。当然、これら処理条件は、本発明の方法の所望の最適な性能を得るため、当業者によって広範に調整され得る。好ましい条件は以下のとおりである。加圧ガス状流体溶液の温度は、好ましくは該ガス状流体のTcより高く、さらに好ましくは約1〜1.6×Tcの範囲内であり;加圧ガス状流体溶液の圧力は、好ましくはPcより高く、さらに好ましくは約1〜15×Pcの範囲内であり;粒子収集容器又は領域内の圧力及び温度は、好ましくは周囲条件又は周囲条件の近傍である。ガス状流体は、好ましくはCO2、亜酸化窒素、エタン、エチレン又はプロパン、さらに好ましくはCO2である。ガス状流体は、所望によりプロセスに再利用することができる。
【0032】
本発明の1つの好ましい実施形態では、溶質の加圧ガス状流体溶液を、より低圧で維持された粒子収集容器内のキャリヤー粒子の混合床の上又は中に膨張させる。ガス状流体は、キャリヤー床内の位置、又は上面のわずかに上方、又はキャリヤー粒子床下から容器に入り、容器の底、側面若しくは上部の択一的な開口を通じて容器から出る。ガス状流体は、好ましくはキャリヤー粒子床の上面わずかに上方の位置から容器に入り、容器の底の開口を通じて出る。これは、沈殿粒子が粒子収集容器を出る前に確実にキャリヤー粒子と密接に接触することを助ける。キャリヤー粒子床は、好ましくは1種以上の回転式混合装置を用いて撹拌される。0〜5,000RPM、好ましくは50〜3,000RPMの範囲内の速度を使用し得る。
【0033】
II.態様2
本発明の工程(a)(2)と(b)(2)は、液体溶剤(例えば、有機溶剤又は有機溶剤と水の混合物)中の材料の溶液を、前記液体溶剤は可溶性であるが溶解溶質は実質的に不溶性である加圧ガス状流体を含有する領域中に導入するか、或いは該溶液を、加圧ガス状流体が引き続き添加されて該ガス状流体不溶性材料の沈殿を生じさせる領域中に導入することによって、該溶液からガス状流体不溶性材料を沈殿させるSAS及びGAS法と同様である。GAS、SAS、ASES及びそれらのSEDS変形を含むこのような方法は、例えば、それぞれ参照によってその全体が本明細書に取り込まれる以下の米国特許に記述されている:U.S. 5,360,478; U.S. 5,389,263; US 4,828,702;US 5,833,891; US 5,874,029; US 5,707,634; US 6,063,910; US 5,851,453; US 6,063,138; US 5,795,594; US 5,770,559及びUS 5,803,966。技術的に公知のSAS法に基づき、本技術の当業者は、容易に、本発明の方法にSAS法を適合させ、かつ利用することができる。
【0034】
一般に、加圧ガス状流体を含有する容器中に溶液を導入することによって本発明の態様2を実施する場合、SASで技術的に普通に用いられる従来のいずれの条件も(すなわち、温度、圧力、流体流速、沈殿容器、ノズル変形など)本発明の方法の工程(a)(2)及び(b)(2)で使用することができる。溶液を容器中に導入し、引き続き該容器に加圧ガス状流体を添加することによって本発明の態様2を実施する場合、GASで技術的に普通に用いられる従来のいずれの条件も(すなわち、温度、圧力、流体流速、沈殿容器、ノズル変形など)本発明の方法の工程(a)(2)及び(b)(2)で使用することができる。当然、これら処理条件は、本発明の方法の所望の最適性能を得るため、広範に当業者によって調整され得る。
【0035】
好ましい条件は以下のとおりである。沈殿容器内の温度は、好ましくはガス状流体の臨界温度より高く、さらに好ましくは約1〜1.6×Tcの範囲内であり;沈殿容器内の圧力は、好ましくはガス状流体の臨界圧力より高く、さらに好ましくは約1〜15×Pcの範囲内である。液体溶液流速のガス状流体流速に対する比率は、好ましくは約0.001〜0.1の範囲内、さらに好ましくは約0.01〜0.05の範囲内であるべきである。圧力、温度、ガス状流体流速及び液体溶液流速は、好ましくは沈殿容器内の流体混合物が均質であるような条件であるべきだ。キャリヤー粒子床は、好ましくは1種以上の回転式混合装置を用いて撹拌される。50〜3,000RPMの範囲の速度が好ましい。
【0036】
液体溶液を沈殿容器中に導入するノズルは、例えば、オリフィスノズル、キャピラリーノズル、超音波ノズル、又は同軸ノズル、例えば、以前に述べたようなSEDS法で使用されるタイプでよい。液体溶液は、噴霧微粒化能力のない規則的な流線又はオリフィスを通じて導入してもよい。1つの実施形態では、溶液を非常に速く添加するか、或いは容器の閉鎖、加圧、及びガス状流体の流れが始まる前にキャリヤー材料と混ぜ合わせる。
【0037】
加圧ガス状流体は、好ましくはキャリヤー粉末床が静止している上面の上方から容器中に汲み上げられる。液体溶液は、好ましくは静止しているキャリヤー粉末床の上面の水平下又はわずかに上方から容器中に導入される。液体は粉末床の上又は中に直接噴霧されるので、キャリヤー粒子上の溶液の液滴からの溶剤のSFEによって少なくともいくらかの粒子形成が起こると考えられる。具体的には、液体溶液の液滴がキャリヤー材料に近づいて付着し、かつ前記液滴から前記ガス状流体中への液体溶剤の抽出から固体又は半固体材料の沈殿が生じるだろう。これが起こると、キャリヤー粒子に付着している溶液の液滴から沈殿粒子が生成し、その結果キャリヤー粒子上に沈殿した材料の薄い被覆の形成となり;ゆえに、良い湿潤溶剤の選択は、キャリヤー粒子上の溶質の付着及び表面分布を向上させるために役立つ。ガス状流体と共に加圧する前に液体溶液をまずキャリヤーに加える場合、ガス状流体は液体溶液に溶解し、かつ固体又は半固体材料がガス状流体−液体溶剤の混合物中にもはや溶解せず、ひいては沈殿を生じさせるレベルまで該液体溶液を膨張させるために役立つ。
【0038】
圧力、温度、流体流速及び撹拌強度によって、液滴から沈殿する粒子は、キャリヤー粒子にルーズに付着している粒子、キャリヤー粒子上の被覆若しくは造粒、又はそれらの混合物のどれかを形成し得る。従って、キャリヤー粒子の被覆では、強力な被覆を得るためにキャリヤー粒子の表面を湿らせる必要性をこの発明によって満たすことができる。噴霧を生成する開口又はオリフィスの位置を変えることで、生じる粉末の特性を変えることができる。オリフィスが粉末床に近いほど、キャリヤー粒子が湿潤になり、かつ粉末混合物を被覆又は造粒する能力が大きい。本発明のこの方法は、理想的には医薬製剤の迅速な造粒に適する。インサイツ粒子形成及び造粒又は被覆は、いくつかの下流取扱い及び処理工程を排除することができるので、健康リスク及び生産コストを低くすることができる。
【0039】
III.キャリヤー中に沈殿した粒子の保持及び分散
本発明の方法の工程(c)及び(d)では、前述した態様1(工程(a)(1)と(b)(1))又は態様2(工程(a)(2)と(b)(2))によって生成された導入溶液とその結果の沈殿粒子を、キャリヤー材料中に沈殿粒子を保持させるようにキャリヤー材料床の上又は中に方向づける。これは、(a)(1)又は(a)(2)のガス状流体溶液又は液体溶剤溶液を工程(b)(1)又は(b)(2)で特定した適切な領域中に、またガス状流体又は液体溶剤溶液から沈殿している粒子の少なくともいくらかがキャリヤー材料によって保持されるように、キャリヤー材料の混合床の上又は中に導入することによって達成される。処理パラメーターによって、これは、固体又は半固体沈殿粒子のキャリヤー材料とのブレンド、固体又は半固体沈殿粒子のキャリヤー材料との造粒、或いはキャリヤー材料で部分的若しくは全体的に被覆されたキャリヤー材料、或いはそれらの混合物の生成となる。
【0040】
態様1又は態様2では、沈殿容器をキャリヤー材料で部分的又は全体的に充填することができる。沈殿容器自体内の処理条件(例えば、温度、圧力、流体流速)は広い範囲内でよく、本発明の方法の所望の最適性能を得るため、当業者によって容易に調整することができる。態様1を用いる場合、好ましい処理条件は以下のとおりである。沈殿容器又は領域内の圧力と温度は、好ましくは周囲条件又は周囲条件の近傍である。キャリヤー粒子床は、好ましくは1種以上の回転式混合装置を用いて撹拌される。0〜5,000RPMの範囲内、例えば、50〜3,000RPMの速度が好ましい。態様2を用いる場合、好ましい処理条件は以下のとおりである。沈殿容器又は領域内の温度は、好ましくはガス状流体の臨界温度より高く、さらに好ましくは約1〜1.6×Tcの範囲内であり、圧力は、好ましくはガス状流体の臨界圧力より高く、さらに好ましくは約1〜15×Pcの範囲内である。液体溶液流速のガス状流体流速に対する比率は、好ましくは約0.001〜0.1の範囲内、さらに好ましくは約0.01〜0.05の範囲内である。圧力、温度、ガス状流体流速及び液体溶液流速は、好ましくは容器内の流体混合物が均質になる条件であるべきである。
【0041】
1つの好ましい実施形態では、固体又は半固体材料の沈殿時、キャリヤー材料床を混合状態(例えば、連続的な撹拌、振り混ぜ、又は他の何らかの手段による混合)で維持してキャリヤー材料床全体に固体又は半固体材料の沈殿を分散させる。具体的には、この実施形態では、本発明の方法の少なくとも工程(c)及び(d)の間、キャリヤー床を混合状態で維持する。キャリヤー材料粉末の撹拌は、プロセス全体にわたって、粒度分布及びその変化に関係なく容易に達成することができる。この好ましい実施形態では、噴霧のキャリヤー材料床に対する近さ、噴霧を通じてキャリヤー粉末粒子を連続的に再循環させる撹拌、及びキャリヤー粒子相互の近さのため、好ましくは溶質粒子間にいかなる実質的な凝集が起こる前に、再結晶した溶質粒子が迅速にキャリヤー粒子床中に取り込まれる。それによって、凝集をもたらす溶質−溶質相互作用が最少になる。態様2では、例えば、激しい撹拌が、沈殿材料の微細なマイクロ粒子及びナノ粒子を生成するための有機溶液の細密な微粒化噴霧の必要性を軽減することができる。機械的撹拌は、傾斜した、湾曲した或いは平らなブレードタービン、アンカー、羽根、プロペラ、分散機、ホモジナイザー、及びらせんリボンを含む多くの混合装置設計のいずれによっても達成し得る。キャリヤー粒子床は、好ましくは1種以上の回転式混合装置を用いて撹拌される。50〜3,000RPMの範囲内の速度が好ましい。
【0042】
前述したように、キャリヤー材料の混合床と、ガス状流体溶液又は液体溶液が沈殿チャンバー内に導入される開口又はオリフィスとの間の距離は、得られる混合物の特性と品質に影響するだろう。本技術の当業者は、この距離のみならず圧力、温度、液体及び流体の流速を調整して、好ましくは沈殿粒子間の実質的な凝集を防止しながら、ブレンド、造粒若しくは被覆キャリヤー材料又はそれらの混合物であれ、所望の生成物を得ることができる。好ましい実施形態では、例えば、混合キャリヤー材料床の表面の上方又は近傍に位置する開口を通じて、或いは混合キャリヤー材料床内に位置する開口を通じて、ガス状流体溶液又は液体溶液を導入することによって、キャリヤー材料の混合床の上又は中に沈殿粒子を方向づける。
【0043】
別の好ましい実施形態では、混合キャリヤー材料床の表面から少なくとも約0〜30cm(12インチ)、好ましくは少なくとも約5cm(約2インチ)離れて位置する開口を通じて、或いは混合キャリヤー材料床内に位置する開口を通じて、キャリヤー材料の混合床の上又は中に沈殿粒子を方向づける。床の表面は、多くの固体又は半固体沈殿材料、例えば、薬物、被覆、及び/又は結合剤材料がキャリヤー床に加えられるにつれて経時的に増加し得る。
【0044】
前述したように、処理パラメーターを調整することによって、この発明の方法の最終生成物は、固体又は半固体材料粒子のキャリヤー材料とのブレンド、固体又は半固体材料粒子のキャリヤー材料との造粒、又は固体又は半固体材料粒子で部分的若しくは全体的に被覆されたキャリヤー材料のどれかである。本発明の方法で生成されたブレンド、造粒、部分的若しくは全体的な被覆キャリヤー材料、又はそれらの混合物は、従来法によって種々の医薬製剤及び錠剤やカプセル剤のような剤形に加工することができる。ブレンドの場合、生成物は、キャリヤー材料、固体又は半固体材料の分離している粒子、及びルーズに固体又は半固体材料が付着しているキャリヤー材料の均一又は不均一混合物であり得る。
被覆法の場合、最初に被覆したキャリヤー材料上に、同じ又は異なる被覆材料で本発明の方法を1回以上繰り返すことができる。具体的には、工程(d)で生成された被覆キャリヤー材料を、さらに前記被覆キャリヤー材料上に本発明の被覆方法を1回以上行うことによって被覆することができ、最初に用いた固体又は半固体材料と、その後の被覆方法は、各被覆方法間で同じ或いは異なってよい。
【0045】
例えば、上述したように、キャリヤー材料は最初に薬物で被覆し、次いで封入材料で被覆してもよく、全プロセスを繰返して薬物装填を増やすことができる。薬物は、異なる被覆層で、水分、光若しくはガス保護材料、又は拡散バリア材料、又は溶解若しくは分散促進材料、又はそれらの組合せで被覆することもできる。この被覆法の広範な変形と応用が可能である。
造粒の場合、液体若しくは加圧ガス状流体溶液中の薬物との混合物中、又はキャリヤー粉末床内の混合物中のどちらかにPVPのような結合剤が存在し得る。
【0046】
本発明の態様1又は態様2のどちらかで、ガス状流体は粉末床と接触後容器から流出し得る。少なくともキャリヤー粒子を保持できる程度に小さいサイズのフィルターを通じて容器を出る前に、粉末床の大きい画分を経てガス状流体が流れることが好ましい。従って、溶質が欠乏している流体混合物はキャリヤー床の底に位置するフィルターを通じて沈殿容器から流出することが好ましい。これは、高い粒子保持効率と、態様2の場合溶剤のガス状流体中への物質移動の均一な速度を確実にするだろう。この好ましい態様では、噴霧の位置によって、プロセスの間、特に本発明の態様1では、撹拌は任意である。キャリヤー材料中の再結晶した材料の均一な分布が望ましい場合、撹拌が必要だろう。この好ましい態様は、ガス状流体とガスの相対的に低い粘度と高い拡散性及びキャリヤー材料の高い粒子保持能力によって可能になる。
【0047】
態様2では、液体溶液からの溶質の沈殿後、液体溶剤−ガス状流体混合物が沈殿容器から流出し、液体溶剤からガス状流体を分離する減圧レベルで膨張することが好ましい。液体溶剤は冷トラップ内に回収され、かつガス状流体は排出され、或いはプロセスで再利用される。
図1は、本発明の方法の特定の2実施形態、態様1及び2を示す流れ図を示す。
【0048】
本発明の方法では、種々の固体又は半固体材料、ガス状流体、液体溶剤、及びキャリヤー材料を用いて種々のタイプの生成物を製造することができる。
例えば、沈殿させられる固体又は半固体材料は、化学薬品、及び除草剤や肥料のような農薬用材料のような生理活性材料から選択することができる。固体又は半固体材料は、工業薬品、食品、精薬品、化粧薬品、写真用薬品、染料、塗料、ポリマー、封入材料、水分保護材料、光保護材料、ガス保護材料、拡散バリア材料又は溶解若しくは分散促進材料でもよい。好ましい実施形態では、固体又は半固体材料は、生理活性材料である。当然、異なる固体又は半固体材料の混合物が考えられ、本発明によって処理することができる。
【0049】
好ましい実施形態では、生理活性材料は、臭化イプラトロピウム、臭化チオトロピウム、臭化オキシトロピウム、チプラナビル、アルブテロール、硫酸アルブテロール、クレブテロール、フェノテロール、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、インシュリン、アミノ酸、鎮痛薬、抗癌薬、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗生物質、ヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、免疫抑制薬、血栓溶解薬、抗凝固薬、中枢神経系興奮薬、充血緩和剤、利尿血管拡張薬、抗精神病薬、神経伝達物質、鎮静薬、ホルモン、麻酔薬、抗炎症薬、抗酸化薬、抗ヒスタミン薬、ビタミン、ミネラル及び技術的に公知の他の生理活性材料から選択することができ;封入材料は、上記生理活性材料、ゲル、ワックス、ポリマー、及び脂肪酸から選択することができ;水分保護材料、ガス保護材料及び拡散バリア材料は、それぞれレシチン及びポリエチレングリコール、PVP、及びポリビニルアルコールのようなポリマーから選択することができ;光保護材料は、ポリマー及び二酸化チタンから選択することができる。溶解又は分散促進剤は、界面活性剤(例えば、tween)、又は湿潤剤(例えば、sls、sds)、可溶化剤、分散剤、付着力を高めるポリマー(PVP、PVA、セルロース)、又は二酸化ケイ素などのようなキャリヤー表面改質材料から選択される。
【0050】
本発明の方法で生成される固体又は半固体材料の沈殿粒子は、固体又は半固体材料のマイクロ粒子若しくはナノ粒子、又はそれらの混合物を含み得る。本方法は、特にキャリヤー材料中のこのような小さい粒子の効率的な保持に適する。
本発明の方法で用いるガス状流体は、例えば、SFE、RESS及びSASのような従来の超臨界流体法で普通に使用されるいずれのガス状流体をも包含する。好適なガス状流体の例としては、二酸化炭素、亜酸化窒素、トリフルオロメタン、エタン、エチレン、プロパン、六フッ化イオウ、プロピレン、ブタン、イソブタン、ペンタン、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0051】
本発明の方法で使用し得る液体溶剤は、例えば、水又は従来のSAS法で使用し得るいずれの有機液体溶剤をも包含する。使用し得る有機溶剤の例としては、エタノール、メタノール、プロパノール及びイソプロパノールのような脂肪族アルコール、アセトン、ジクロロメタン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、ポリマー、界面活性剤のような表面湿潤強化剤及びそれらの混合物が挙げられる。水は、上記有機溶剤のいずれの混合物中にも存在し得る。
【0052】
本発明の方法で用いるキャリヤー材料は、いずれの製薬的に許容性のキャリヤー、アジュバント若しくは賦形剤、又は生理活性材料、又はそれらの混合物からも選択することができる。使用可能な製薬的に許容性のキャリヤー、アジュバント若しくは賦形剤の好ましい例としては、その水和形態も含むラクトース、デキストロース、スクロース、スターチ、ポリエチレングリコール、PVP、ポリビニルアルコール、レシチン、微結晶性セルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、炭酸カルシウム、リン酸二カルシウム、三リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム及び塩化ナトリウムが挙げられる。キャリヤー材料として使用できる生理活性材料の好ましい例としては、臭化イプラトロピウム(I.B.)、臭化チオトロピウム、臭化オキシトロピウム、アルブテロール、硫酸アルブテロール、クレブテロール、フェノテロール、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、インシュリン、アミノ酸、鎮痛薬、抗癌薬、抗菌薬、抗ウイルス薬、抗真菌薬、抗生物質、ヌクレオチド、アミノ酸、ペプチド、タンパク質、免疫抑制薬、血栓溶解薬、抗凝固薬、中枢神経系興奮薬、充血緩和剤、利尿血管拡張薬、抗精神病薬、神経伝達物質、鎮静薬、ホルモン、麻酔薬、抗炎症薬、抗酸化薬、抗ヒスタミン薬、ビタミン、ミネラルが挙げられる。キャリヤー材料は、例えば、粉末、粒状粉末、錠剤、カプセル又はカプレットのような所望製品によって種々の形態を取ることもできる。キャリヤー材料が粉末の場合、それはキャリヤー材料のマイクロ粒子若しくはナノ粒子、又はそれらの混合物の形態を取ることができる。
1つの好ましい実施形態では、キャリヤー材料は製薬的に許容性のキャリヤー、アジュバント若しくは賦形剤のマイクロ粒子及び/又はナノ粒子、或いは生理活性材料のマイクロ粒子及び/又はナノ粒子、或いはそれらの混合物を含む粉末である。
【0053】
本発明の方法の態様1の別の特定実施形態は、キャリヤー材料中における粒子の沈殿、保持及び分散方法であって、以下の工程:
(a) 加圧ガス状流体中に固体又は半固体生理活性材料を溶解させることによって、加圧ガス状流体溶剤と、溶解した生理活性材料とを含む溶液を生成する工程;
(b) 工程(a)で生成されたガス状流体溶液を、より低圧の領域中又は不活性ガスを含有する領域中に導入することによって、該溶液から前記生理活性材料のマイクロ粒子及び/又はナノ粒子を沈殿させる工程;
(c) 工程(b)で生成された導入溶液とその結果のマイクロ粒子及び/又はナノ粒子を、粉末化キャリヤー材料の混合床の上又は中に方向づける工程であって、前記粉末化キャリヤー材料は、製薬的に許容性のキャリヤー、アジュバント若しくは賦形剤のマイクロ粒子及び/又はナノ粒子を含む、工程;及び
(d) 前記粉末化キャリヤー材料中に工程(b)で生成されたマイクロ粒子及び/又はナノ粒子の少なくともいくらかを保持して、前記生理活性材料粒子とキャリヤー材料のブレンド、前記生理活性材料粒子のキャリヤー材料との造粒、前記生理活性材料で部分的若しくは全体的に被覆されたキャリヤー材料、又はそれらの混合物を生成する工程
を含む方法に関する。
【0054】
さらなる実施形態は、上述した態様1の方法であって、加圧ガス状流体が、二酸化炭素であり;ガス状流体溶液が導入される領域が、より低圧の領域であり;オリフィスが、キャリヤー材料の混合床が静止時に混合床上面の上方に位置しているか、或いは混合床が静止時に混合床内に位置しており;キャリヤー材料が、ラクトースであり;工程(c)及び(d)の間、例えば、約300〜1,000RPMの速度で混合することによって、キャリヤー材料の混合床が混合状態で維持され;及び/又は工程(d)の生成物が、生理活性材料で部分的若しくは全体的に被覆された少なくともいくらかの粉末化キャリヤー材料である方法に関する。
【0055】
本発明の方法の態様2の別の特定実施形態は、キャリヤー材料中における粒子の沈殿、保持及び分散方法であって、以下の工程:
(a) 液体溶剤中に固体又は半固体生理活性材料を溶解させることによって、液体溶剤と、溶解した生理活性材料とを含む溶液を生成する工程;
(b) 工程(a)で生成された液体溶液を、(1)前記液体溶剤は実質的に可溶性であるが、前記生理活性材料は実質的に不溶性である加圧ガス状流体を含有する領域、又は(2)前記加圧ガス状流体を引き続き導入し、該加圧ガス状流体中への前記液体溶剤の可溶化と、前記マイクロ粒子及び/又はナノ粒子の沈殿とを起こさせる領域のどちらかにオリフィスを通じて導入することによって、該液体溶液から前記生理活性材料のマイクロ粒子及び/又はナノ粒子を沈殿させる工程;
(c) 工程(b)で生成された導入溶液とその結果のマイクロ粒子及び/又はナノ粒子を、粉末化キャリヤー材料の混合床の上又は中に方向づける工程であって、前記粉末化キャリヤー材料は、製薬的に許容性のキャリヤー、アジュバント若しくは賦形剤のマイクロ粒子及び/又はナノ粒子を含む、工程;及び
(d) 前記粉末化キャリヤー材料中に工程(b)で生成されたマイクロ粒子及び/又はナノ粒子の少なくともいくらかを保持して、前記生理活性材料粒子とキャリヤー材料のブレンド、前記生理活性材料粒子のキャリヤー材料との造粒、前記生理活性材料で部分的若しくは全体的に被覆されたキャリヤー材料、又はそれらの混合物を生成する工程
を含む方法に関する。
【0056】
さらなる実施形態は、上述した態様2の方法であって、液体溶剤が、液体有機溶剤、例えば、脂肪族アルコール溶剤であり;ガス状流体が、二酸化炭素であり;液体溶液が、加圧ガス状流体を含有する領域中にオリフィスを通じて噴霧され、該オリフィスは、キャリヤー材料の混合床が静止時に混合床上面の上方に位置しているか、或いは混合床が静止時に混合床内に位置しており;工程(c)及び(d)の間、キャリヤー材料の混合床が混合状態で維持され;及び/又は工程(d)の生成物が、生理活性材料で部分的若しくは全体的に被覆された少なくともいくらかの粉末化キャリヤー材料である方法に関する。
【0057】
さらなる実施形態は、上述した態様2の方法であって、工程(b)及び(c)の間、液体溶液の液滴が粉末化キャリヤー材料と近づき、かつ前記液滴から加圧ガス状流体中への液体溶剤の抽出から生理活性材料の沈殿が生じる方法に関する。
さらなる実施形態は、上述した態様2の方法であって、工程(a)で、固体又は半固体生理活性材料と、固体又は半固体結合剤材料が、両方とも液体溶液中に溶解し;液体溶剤が、メタノール又はエタノールであり;キャリヤー材料が、ラクトースであり;及び/又はキャリヤー材料の混合床が、約20〜1,000RPM、好ましくは約300〜1,000RPMの速度で混合することによって混合状態で維持される方法に関する。
【0058】
以下の実施例は、本発明の種々の局面を実証する方法を示す。しかし、これら実施例は、例としてのみ提示されおり、本発明の全体的な範囲について限定として解釈すべきではない。
これら実施例の目的は、本発明を用いて有機溶液若しくはガス状流体又はそれらの混合物から溶質を析出させ、溶質が、分離している粒子、キャリヤー粒子の周囲の被覆、又は被覆と分離している粒子の混合物のいずれかとして大部分がキャリヤー上に分布している、キャリヤー上の溶質材料のブレンドを生成できることを実証することである。
【実施例】
【0059】
実施例1:超臨界CO2からの薬物の再結晶及びポリマーマイクロビーズの被覆
5gの薬物を不活性材料(珪藻土)と混合し、1リットルの容器に充填した。80℃及び310バールの超臨界CO2を用いて薬物を抽出かつ可溶化した。薬物を積んで流れ出るCO2ストリームを、40〜80μmの範囲の粒径のポリスチレンジビニルベンゼンビーズから成る25gの白色粉末を含有する300mLの混合容器内に位置する75μmオリフィスノズルを通じて、より低圧に膨張させた。駆動軸に取り付けられた2つの4ブレードの傾斜した放射状羽根を用いて1,000RPMで粉末を混合した。底の羽根は容器の底近傍に位置した。ノズルリップは、薬物がマイクロ粒子及びナノ粒子として沈殿し、かつ迅速に粉末と混合するように、粉末床の上面近傍に配置した。混合容器の温度及び圧力は40〜50℃及び7×106Pa(1,000psig)までだった。流れ出るCO2は、60μmフィルターフリットを通って排出した。
【0060】
処理粉末は、黄色ががった、一様に分布した色を有しており、薬物が粉末全体に均一に分布していることを示唆している。図2は、50℃及び7×106Pa(1,000psig)の超臨界CO2にさらしたビーズの光学顕微鏡像を示す。ポラロイドソフトウェアバージョン1.1を用いて顕微鏡上の像を見た(Olympus BH2 Polarized Light Microscope and Polaroid DMC 1e)。
ビーズは球状に見え、高圧CO2で損傷を受けない。図3は、本発明に従って処理したビーズの光学顕微鏡像を示す。表面は異質の材料で覆われているようであり、被覆はその表面上に析出しているように見える。薬物はビーズに付着しているように見えた。
【0061】
実施例2:薬物の超臨界CO2からの再結晶及びラクトース一水和物の被覆
この実施例では、上記実施例で用いたビーズを、錠剤の配合で広範に使用されている賦形剤材料であるラクトース一水和物と交換した。処理した粉末は約10%の薬物を含み、黄色がかった色を有し、未処理ラクトースと同様の流れ特性を有するようだった。光学顕微鏡(又は明視野顕微鏡)及び走査型電子顕微鏡は、処理粉末内の薬物の位置についての証拠を与えなかった。薬物は明るく蛍光性であり、かつラクトースは蛍光性でないので、蛍光顕微鏡を用いて薬物粒子がラクトース粒子と完全に会合していることを実証した。
処理した乾燥粉末から、小量の粉末をスライドガラス上にまき、3滴の非蛍光性浸漬油を加え、かつ1.5番カバーガラスで覆うことによって試料を調製した。プレパラートを室温で1日未満放置し、顕微鏡で調べる時以外は光から保護した。
顕微鏡は、イソチオシアネート放出中の蛍光に合わせた帯域フィルターを備えたNikon Microphotだった。試料は、明視野(タングステン)及びUV照射(高圧水銀灯)内、20倍、40倍及び60倍の対物レンズで調べた。倍率較正は、Don Santo対物ミクロメーター(10μm間隔に分割された1mm)で行った。像はSVMicroデジタルカメラでとらえた。
【0062】
図4は、明視野照射内の薬物で処理した1群のラクトース粒子を示す。明視野照射内で見える1群の粒子の典型的な外観が観察される。図5は、UV線照射した同領域を示す。
各粒子は蛍光性であり、各ラクトース粒子が薬物と会合していることを示している。従って、この方法を用いて密接かつ均一に混合した粉末を生成することができる。
焦点深度が非常に浅いので、粒子を通る“光切片”である像を高数口径の対物レンズを用いて得ることができた。これら像は、蛍光性薬物が選択的にほとんど“殻”又は被覆としてラクトース粒子の表面上に位置することを示している。たとえあったにしても、非常に小さい薬物がラクトース粒子内に見られた。
標準的な撹拌バスケット法で上記薬物−ラクトース混合物の溶解を行い、同じ溶解法による薬物−ラクトースの従来の物理的な粉末混合物の溶解と比較した。分析した2つの薬物−ラクトース混合物は、同一の薬物/ラクトース比だった。溶解プロフィルは、超臨界流体処理した材料はより速い溶解を示し、時には、時間毎の薬物放出量の2倍だった(図6参照)。
【0063】
実施例3:噴霧した有機溶液からの薬物の沈殿と、床上方のノズルによってそれをラクトース粒子中にブレンドし、及び/又はラクトース粒子上に被覆する工程
この実施例では、25gのラクトース練薬(大体の大きさ:99%が63μm未満)を恒温(50℃)水浴に浸した300mLの容器中に充填した。容器を閉じ、1000rpmで混合を開始し、容器を通るCO2流を確立した。所望圧力1.0×107Pa(1,500psig)に達したら、メタノール中25mg/mL薬物の溶液約95mLを75μmノズルを通じて約1時間1.5mL/分で噴霧した。ノズルリップは、静止した粉末床の約10cm(約4インチ)上方に設定した。溶液を迅速に超臨界CO2と混合し、CO2不溶性薬物を急速に結晶化かつ床内でブレンドした。溶液の添加後、約2時間乾燥させた。流出溶剤−超臨界CO2混合物は60μmフィルターを通過させ、大気レベルに膨張させた。冷トラップに溶剤を回収し、ガス状CO2を大気に排出した。流れ出る大気圧に近いCO2の流速は、この時間中約45標準リットル/分だった。
【0064】
実施例4:噴霧した有機溶液からの薬物の沈殿と、床の中又は近傍のノズルによってそれをラクトース粒子中にブレンドし、及び/又はラクトース粒子上に被覆する工程
この実施例は、ノズルを、静止した粉末床の約2.5cm(約1インチ)上方に下げたこと以外、実施例3の繰返しだった。予想どおり、撹拌中、床がノズルを覆った。
実施例3と4の2つの結果生成物間には何ら差異は見られなかった。結果生成物は、理論的に10%の薬物装填を含み、視覚的には顆粒状に見え、かつ処理前のキャリヤー出発原料の特性ではない許容性の流れを有していた。フィルターを覆い隠すこともなく、ラクトースが非常に効率的に溶質を捕捉したことを示している。図7A〜7Cは、処理前の賦形剤ラクトースのSEM顕微鏡写真を示す(図7Aは40倍;図7Bは200倍;図7Cは5,000倍である)。
図8A〜8Cは、ラクトースの無い溶液から処理かつ撹拌することで沈殿した薬物溶質のSEM顕微鏡写真を示す(図8Aは40倍;図8Bは200倍;図8Cは5,000倍である)。これは、未処理出発原料と同様である。薬物は、とがった伸長した針様粒子の形状で結晶しているのが見える。図9A〜9Cは、実施例4の方法で得られた薬物−ラクトース混合物のSEM顕微鏡写真を示す(図9Aは40倍;図9Bは500倍;図9Cは5,000倍である)。これらは、いろいろな大きさのクラスター又は顆粒のブレンドのように見える。薬物は、分離している粒子、ラクトース粒子に付着した粒子、及び/又はラクトース上に被覆した粒子として見える。
【0065】
実施例5:噴霧しない有機溶液からの薬物の沈殿と、それをラクトース粒子中にブレンドし、及び/又はラクトース粒子上に被覆する工程
この実施例では、25gのラクトース練薬(大体の大きさ:99%が63μm未満)を恒温(50℃)水浴に浸した300mLの容器中に充填した。メタノール中25mg/mLの薬物を含有する100mLの溶液を容器内のキャリヤーに加えた。容器を閉じ、1000rpmで混合を開始し、容器を通るCO2流を確立した。所望圧力1.0×107Pa(1,500psig)に到達時、処理を2時間続けた。
大気圧に近い圧力でCO2の流速は約45標準リットル/分だった。流れ出る溶剤−超臨界CO2混合物は60μmフィルターを通過させ、大気レベルに膨張させた。冷トラップに溶剤を回収し、ガス状CO2を大気に排出した。この場合、ガス状流体は、有機溶液に溶け、かつ有機溶液を、薬物がもはやガス状流体−有機溶剤混合物に溶けないレベルに膨張させるのに役立った。
【0066】
実施例6:噴霧しない有機溶液からの薬物の沈殿と、溶剤を減らし、圧力を高め、かつ初期設定工程によってその沈殿をラクトースキャリヤー粒子中にブレンドし、及び/又は被覆する工程
実施例5と同様のこの実施例では、25gのラクトース練薬(大体の大きさ:99%が63μm未満)を恒温(50℃)水浴に浸した300mLの容器中に充填した。メタノール中50mg/mLの薬物を含有する50mLの溶液を容器内のキャリヤーに加えた。容器を閉じ、1000rpmで混合を開始し、所望圧力1.4×107Pa(2,000psig)が確立するまでCO2をゆっくり添加した。撹拌速度を20rpmに下げ、30分間結晶化を起こさせた後、容器中へのガス状流体の流れと、容器からの溶剤−ガス状流体混合物の流れを再開して粉末混合物の乾燥を達成した。大気圧に近い圧力で、CO2の流速は約45標準リットル/分だった。羽根の速度を再び約1,000RPMに上げ、処理を1時間15分間続けた。流れ出る溶剤−超臨界CO2混合物は60μmフィルターを通過させ、大気レベルに膨張させた。冷トラップに溶剤を回収し、ガス状CO2を大気に排出した。ガス状流体は、有機溶液に溶け、かつ有機溶液を、薬物がもはやガス状流体−有機溶剤混合物に溶けないレベルに膨張させるのに役立った。
【0067】
結果生成物は、非常に飛散性であり、出発原料の約半分の密度だった。この実施例と前記実施例5との間には何ら差異は検出できなかった。材料はあまり高密度ではないが、付着性でなく、流動能力を有した。フィルターはわずかに材料で被覆されただけだった。図10A〜10Cは、実施例5の方法で得られた薬物−ラクトース混合物のSEM顕微鏡写真を示す(図10Aは40倍;図10Bは200倍;図10Cは5,000倍である)。これら顕微鏡写真は、薬物の小さい伸長した粒子がいろいろな大きさのクラスターの混合物全体に不均一に分布していることを示している。ラクトース粒子は、薬物粒子の大きさと同じ大きさに見える。大きいラクトース粒子がもはや観察されない正確な理由は分からない。
【0068】
実施例7:結合剤を含有する噴霧した有機溶液からの薬物の沈殿と、良い流れ特性を有するラクトース粒子の中にブレンドし、及び/又は上に被覆する工程
この実施例では、優れた流れを有する25gのラクトース練薬(大体の大きさ:75%が100μm未満)を恒温(50℃)水浴に浸した300mLの容器中に充填した。容器を閉じ、1000rpmで混合を開始し、容器を通るCO2流を確立した。所望圧力1.4×107Pa(2,000psig)に達したら、エタノール中50mg/mL薬物と25mg/mLの結合剤(PVP)の溶液200mLを75μmノズルを通じて約2時間15分間1.5mL/分で噴霧した。ノズルリップは、粉末床の2.5cm(1インチ)上方に設定した。溶液添加後、混合物をさらに1時間15分乾燥させた。溶液を迅速に超臨界CO2と混合し、CO2不溶性薬物を急速に結晶化させ、かつ床内でブレンドした。流れ出る溶剤−超臨界CO2混合物は60μmフィルターを通過させ、大気レベルに膨張させた。冷トラップに溶剤を回収し、ガス状CO2を大気に排出した。流れ出る大気圧に近いCO2の流速は、この時間中約45標準リットル/分だった。
【0069】
実施例8:結合剤を含有する噴霧した有機溶液からの薬物の沈殿と、中程度の沈殿速度で良い流れ特性を有するラクトース粒子の中にブレンドし、及び/又は上に被覆する工程 この実施例は、噴霧速度が3mL/分であること以外、実施例7と同様である。200mLの溶液の添加は約1時間15分で完了した。混合物をさらに1時間15分間乾燥させた。
【0070】
実施例9:結合剤を含有する噴霧した有機溶液からの薬物の沈殿と、高速の沈殿速度で良い流れ特性を有するラクトース粒子の中にブレンドし、及び/又は上に被覆する工程
この実施例は、行程の間中撹拌速度を300rpmに下げ、かつ噴霧速度が5mL/分であること以外、実施例7と同様である。200mLの溶液の添加は約45分で完了した。混合物をさらに1時間15分間乾燥させた。
これら最後の3つの実施例7、8、及び9の結果生成物は、非常に自由に流れ、かつ顆粒状だった。乾燥ブレンドは、理論的に25%の薬物、12.5%の結合剤、及び62.5%のラクトースだった。顆粒サイズは、可視的に噴霧速度が増すにつれて大きく見えた。これは、粉末と結合剤が混合される造粒の過程で普通に起こることである。図11は、ラクトース出発原料の顕微鏡写真である。良い流れを促す均一な球形状と大きさが明白である。図12〜19は、実施例7〜9の造粒生成物のSEM顕微鏡写真である。図12〜15は、実施例7の顕微鏡写真である。図12(40倍)は、ラクトースが均一に被覆され、ラクトースの造粒又は凝集が少し起こったことを示している。図13(500倍)と図14(2,000倍)は、伸長した粒子、及び溶剤の抽出後、固体練薬を融合したままである結合剤と薬物材料の液滴の両方として沈殿が起こったことを示している。液滴は、時にはクラスターとして、ラクトース及び薬物の断片をも含有する。図15(5,000倍)は、沈殿したマイクロ粒子及び/又はナノ粒子が、いろいろな程度の結合剤材料が存在する多孔性沈殿であることを示している。実施例8の図16(5,000倍)では、(中程度の噴霧速度3mL/分)、多くの被覆と、より小さい少しの伸長した粒子が見える。実施例9の図17〜19(図17=500倍;図18=5,000倍;図19=10,000倍)では、高速噴霧がラクトース出発原料と、薬物と、結合剤の顆粒を生成した。
これらの図は、薬物の個々の粒子はほとんどなく、結合剤と融合し、或いは共沈殿してキャリヤー物質、すなわちラクトースの上及び間に固体又は半固体材料の沈殿を形成していることを示している。
【0071】
これら実施例は、最終生成物の物理的性質について、及び間接的にこれら材料の性能と用途について多大な制御をし得ることを示すのにも役立つ。実施例7、8及び9からの材料を用いて該薬生成物の医薬錠剤を製造した。これら錠剤の溶解性能は、従来法で製造した錠剤の溶解性よりはるかに優れていた。これは、図20及び21で示される溶解プロフィルで見ることができる。図20は、通常に処理した錠剤と比較した本発明の方法の超臨界CO2処理(実施例7)で得られた薬物−ラクトース混合物を用いて調製した錠剤の、時間ゼロと40℃及び75%RHの標準的な貯蔵条件下で12週間の比較溶解プロフィルを示す。超臨界流体処理材料を含有する錠剤は、最初及び貯蔵条件下12週間後に速い溶解性を有していた。
貯蔵後にこれら錠剤のプロフィルに変化はなく、本方法で安定性が向上したことを示している。図21は、実施例7、8及び9の処理で得られた薬物−ラクトース混合物を用いて調製した錠剤の溶解速度の比較を示す。図21は、プロフィルの類似点を示しており、薬物溶液の異なる噴霧速度での良い処理制御を表している。SEM顕微鏡写真が、薬物と、溶解促進因子として作用し得る結合剤とのより多くの接触を示しているので、5ml/分噴霧速度ではわずかに高い溶解速度が予想される。5ml/分という高い噴霧速度では、溶液は、まずキャリヤー粒子上で析出し、キャリヤー粒子上に広がった溶剤のSFEによって沈殿が起こると考えられる。このSFEによる沈殿の結果、図19で証明されるように、キャリヤー粒子上の沈殿材料の薄い被覆の形成となる。より低い噴霧速度では、いくらかの溶液液滴は、キャリヤーと接触し、かつキャリヤー粒子上に広がる前に乾燥し、それによって図15及び16で証明されるように、沈殿粒子の粒子性の性質をもたらすと考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の特定の2実施形態、態様1及び2を示す簡略流れ図を示す。
【図2】50℃及び7×106Pa(1,000psig)の超臨界CO2にさらされたポリスチレンジビニルベンゼンマイクロビーズの光学顕微鏡像である。
【図3】本発明の方法によって薬物を超臨界CO2溶液から再結晶させた再結晶薬物が析出したときのポリスチレンジビニルベンゼンマイクロビーズの光学顕微鏡像である。
【図4】本発明の方法によって薬物を超臨界CO2溶液から再結晶させた再結晶薬物が析出したときの1群のラクトース粒子の明視野(タングステン)照射を示す。
【図5】本発明の方法によって薬物を超臨界CO2溶液から再結晶させた再結晶薬物が析出したときの1群のラクトース粒子のUV照射(高圧水銀灯)を示す。
【図6】薬物とラクトースの従来の物理的混合によって得られた薬物-ラクトース混合物の溶解プロフィルと比較した本発明の方法による薬物の超臨界CO2処理で得られた薬物-ラクトース混合物の溶解プロフィルを示す。
【図7】本発明の処理前の賦形剤ラクトースのSEM(走査型電子顕微鏡)顕微鏡写真であり、図7Aは40倍、図7Bは200倍、及び図7Cは5,000倍の拡大率である。
【図8】キャリヤー材料を使用せず、かつ混合しない溶液から処理することで沈殿した薬物溶質のSEM顕微鏡写真であり、図8Aは40倍、図8Bは200倍、及び図8Cは5,000倍の拡大率である。
【図9】本発明の方法によって薬物を噴霧有機溶液から沈殿させ、ラクトース中にブレンドし、或いはラクトース上に被覆して得られた薬物/ラクトース混合物のSEM顕微鏡写真であり、この例では、有機溶液はラクトース粉末床上約2.54cm(1インチ)の距離のノズルを通して噴霧され、図9Aは40倍、図9Bは500倍、及び図9Cは5,000倍の拡大率である。
【図10】本発明の方法によって、加圧二酸化炭素の導入後薬物を非噴霧有機溶液から沈殿させ、ラクトース中にブレンドし、或いはラクトース上に被覆して得られた薬物/ラクトース混合物のSEM顕微鏡写真であり、図10Aは40倍、図10Bは200倍、及び図10Cは5,000倍の拡大率である。
【図11】本発明の処理前のラクトースの顕微鏡写真である。
【図12】本発明の方法によって薬物と結合剤を噴霧有機溶液から沈殿させ、ラクトース中にブレンドし、或いはラクトース上に被覆して得られた薬物/結合剤/ラクトース混合物のSEM顕微鏡写真であり、この例では、有機溶液はラクトース粉末床上約2.54cm(1インチ)の距離のノズルを通して1.5mL/分の速度で噴霧され、混合は1000rpmで行い、40倍の拡大率である。
【図13】図12と同様のSEM顕微鏡写真であり、500倍の拡大率である。
【図14】図12と同様のSEM顕微鏡写真であり、2,000倍の拡大率である。
【図15】図12と同様のSEM顕微鏡写真であり、5,000倍の拡大率である。
【図16】本発明の方法によって薬物と結合剤を噴霧有機溶液から沈殿させ、ラクトース中にブレンドし、或いはラクトース上に被覆して得られた薬物/結合剤/ラクトース混合物のSEM顕微鏡写真であり、この例では、有機溶液はラクトース粉末床上約2.54cm(1インチ)の距離のノズルを通して3mL/分の速度で噴霧され、混合は1000rpmで行い、5,000倍の拡大率である。
【図17】本発明の方法によって薬物と結合剤を噴霧有機溶液から沈殿させ、ラクトース中にブレンドし、或いはラクトース上に被覆して得られた薬物/結合剤/ラクトース混合物のSEM顕微鏡写真であり、この例では、有機溶液はラクトース粉末床上約2.54cm(1インチ)の距離のノズルを通して5mL/分の速度で噴霧され、混合は300rpmで行い、500倍の拡大率である。
【図18】図17と同様のSEM顕微鏡写真であり、5,000倍の拡大率である。
【図19】図17と同様のSEM顕微鏡写真であり、10,000倍の拡大率である。
【図20】従来型処理した錠剤と比較した本発明の方法で得られた薬物-ラクトース混合物を用いて調製された錠剤の時間ゼロ、及び40℃及び75%RHの標準貯蔵条件下で12週間の溶解プロフィルを示すグラフである。
【図21】3種の薬物沈殿速度(すなわち、3種の薬物溶液噴霧速度)で本発明の方法によって得られた薬物-ラクトース混合物を用いて調製された錠剤の溶解プロフィルを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリヤー材料中における粒子の沈殿及び保持方法であって、以下の工程:
(a)(1) 加圧ガス状流体中に固体又は半固体材料を溶解させることによって、ガス状流体溶剤と、固体又は半固体材料の溶解した溶質を含む溶液を生成する工程
又は
(a)(2) 液体溶剤中に固体又は半固体材料を溶解させることによって、液体溶剤と、固体又は半固体材料の溶解した溶質を含む溶液を生成する工程;
(b)(1) 工程(a)(1)で生成されたガス状流体溶液を、より低圧の領域中又は不活性ガスを含有する領域中に導入することによって、該ガス状流体溶液から前記固体又は半固体材料の粒子を沈殿させる工程
又は
(b)(2) 工程(a)(2)で生成された液体溶液を、(1)前記液体溶剤は実質的に可溶性であるが、前記固体又は半固体材料は実質的に不溶性である加圧ガス状流体を含有する領域、若しくは(2)前記加圧ガス状流体を引き続き導入し、該加圧ガス状流体中への前記液体溶剤の可溶化と、前記固体又は半固体材料の粒子の沈殿とを起こさせる領域のどちらかに導入することによって、前記液体溶液から前記固体又は半固体材料の粒子を沈殿させる工程;(c) 工程(b)(1)又は(b)(2)で生成された導入溶液と、その結果沈殿した粒子とを、キャリヤー材料の混合床の上又は中に方向づける工程;及び
(d) 前記キャリヤー材料中の沈殿粒子の少なくともいくらかを保持かつ分散させて、前記固体又は半固体材料粒子とキャリヤー材料のブレンド、前記固体又は半固体材料粒子のキャリヤー材料との造粒、或いはそれらの混合物を生成する工程
を含み、かつ前記混合床内の前記キャリヤー材料は、少なくとも工程(c)及び(d)の間、混合状態で維持される、方法。
【請求項2】
工程(d)が、固体又は半固体材料粒子のキャリヤー材料とのブレンドを生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程(d)で生成された前記固体又は半固体材料粒子のキャリヤー材料とのブレンドが、キャリヤー材料の均一若しくは不均一混合物、固体又は半固体材料の分離している粒子、及び固体又は半固体材料がルーズに付着しているキャリヤー材料を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程(d)が、固体又は半固体材料粒子のキャリヤー材料との造粒を生成する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程(d)が、固体又は半固体材料粒子で部分的若しくは全体的に被覆された少なくともいくらかのキャリヤー材料を生成する、請求項1に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate


【公開番号】特開2009−51842(P2009−51842A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226179(P2008−226179)
【出願日】平成20年9月3日(2008.9.3)
【分割の表示】特願2003−533904(P2003−533904)の分割
【原出願日】平成14年10月10日(2002.10.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ポラロイド
【出願人】(500091335)ベーリンガー インゲルハイム ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド (55)
【Fターム(参考)】