説明

加圧揚水シリンダ

【課題】効率よくウォータハンマー現象を制御して、高効率な加圧揚水シリンダを得ることを目的とする
【解決手段】水中下に設置されるほぼT字形状でT字根部分に放水孔を有し、該外部シリンダ本体の中央内部には、外部からの圧搾空気によって内部の内部ピストンが駆動される内部シリンダとを有し、前記外部シリンダ本体は、前記放水孔の反対内面の半円周面に、前記内部シリンダの上端から前記外部シリンダ本体の内周面に向かう上部反射湾曲と前記内部シリンダの下端から前記外部シリンダ本体の内周面に向かう下部反射湾曲とを設けた外部シリンダ本体と、該外部シリンダ本体のT字両端の上下に固定され、常に該外部シリンダ本体内方向に水を送る複数個の逆止弁を有する上内壁及び下内壁と、該外部シリンダ本体の上下端に接合され、それぞれ外気導入管に開口接続され、外気を取り入れる外気導入孔を有する上部開口筒及び下部開口筒と、からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧揚水シリンダに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の多数の逆止弁を備え、上下動する二重の弁機構の内部弁機構内に圧搾空気をを送り込み、弁機構を上下動させ、外部弁機構によって揚水を行う揚水機及びこれを利用する発電システムとしては、例えば、特開平6−264861号公報や特開平7-83158号公報、特開平7−167032号公報に開示のものが知られている。
【0003】
特開平6−264861号公報に開示のものは、発明の名称「揚水機およびこれを利用する発電システム」に係り、図9に示されるように、「所定の水圧下に配置され、圧搾空気の送受を切換えることにより往復運動するピストンを備えたエアシリンダと、このエアシリンダのピストンに連動して往復運動する弁機構を有する水路系シリンダと、該水路系シリンダの途中に設けられて、前記弁機構の往復運動により、所定の水圧下の水と共に外気を該シリンダの水中に取り入れる空気取入れ孔と、該弁機構の往復運動により該シリンダ内の空気の混在した水を排水する排水孔とからなる(請求項1)」構成とすることにより、「装置を所定の水圧下に配置し、この水圧下で水と共に空気を一緒に吸い込んで、水と空気を一緒に圧縮し、しかる後、この空気への加圧を開放し、その膨張力を利用して、水と空気の混合を所定の高さまで容易に揚水することができ、・・この揚水は、極めて、低エネルギーで足り、高効率な加圧揚水シリンダとすることができ、・・したがって、この加圧揚水シリンダを利用して、揚水し、その水の落下を利用した発電システムとすることができ、この場合にも、低効率な発電システムを得ることができる(段落番号0030)」という特級の効果を奏するものである。
【0004】
図9は、前記特開平6−264861号公報に添付の図であって、同図において、符号101は、切換弁、102は、圧搾パイプ、103は、送出パイプ、104は、一方側空気系シリンダ、105は、ピストン、106は、空気系シリンダ、107は、他方側空気シリンダ、108は、貯水池、110、111は、シリンダ、112は、弁機構、113、114は、シリンダ、115は、弁機構、117は、給水口、118、119は、空気取入れ口、120は、排水口、121は、揚水パイプ、122は、給水タンクとされる。
【0005】
また、特開平7-83158号公報に開示のものは、発明の名称「リサイクル増圧装置」に係り、前記特開平6−264861号公報に開示の同増圧装置に関して、「還流の残圧圧搾空気を再生して供給圧搾空気にし、省エネルギーを計り、より高効率の揚水機およびこの揚水機を利用する発電システムを提供すること」を目的として(段落番号0004及び0005)、「前記還流配管の空気圧源側に、残圧空気を蓄える低圧タンクと、該低圧タンクから残圧空気を吸い込む第1増圧圧縮機と、該第1増圧圧縮機の吐出圧搾空気を蓄え圧力変動を防止する中圧タンクと、該中圧タンクからの中圧圧搾空気を所定圧力値まで加圧する第2増圧圧縮機と、該第2増圧圧縮機の吐出圧搾空気を蓄え圧力変動を防止する高圧タンクと、該高圧タンクの圧搾空気を中継するレシーバタンクとを直列に接続配置し、該レシーバタンクを前記供給配管に接続して構成し、前記第1、第2の増圧圧縮機をそれぞれ段数を選定できる往復動型圧縮機とした(同請求項1)」構成により、「段数の多い大容量の往復動型圧縮機に比してイニシャルコストも低減でき、・・まだ残圧(プラス圧)のある圧搾空気を所定値(5kg/cm2 )に加圧できるので、外気導入のようなゼロから加圧するのに比し、省エネルギーであり、無駄がなく、更に揚水機、およびこれを利用する発電システムをより高効率なものにすることができる(段落番号0037)」という効果を奏せしめたものである。
【0006】
さらに、特開平7−167032号公報に開示のものは、発明の名称「揚水機用シリンダ」に係り、前記特開平6−264861号公報や特開平7-83158号公報に開示の装置に好適なシリンダを提供する目的で(段落番号0003)、図10及び図11、図12に示される構造を有する弁機構を使用することにより、「空気と一緒に吸い込まれた空気を少量のエネルギーで揚水することができる」こととなるという効果を奏するものである(同公報段落番号0033)。
【0007】
なお、図10及び図11、12は、特開平7-167032号公報に添付の図であって、同図において、符号205は、空気系ピストン、206は、空気系シリンダ、211は、水路系シリンダ、212、215は、弁機構、218、219は、空気取入れ口、220は、排水口、246は、パイプ、250は、主シリンダ、251は、水路系シリンダ、252a、252bは、入出口、253は、Oリング、255は、逆止弁、256は、貫通孔、257は、止着部、258は、通過窓、259は、ボルト、260は、ばね、261は、弁体とされる。
【特許文献1】特開平6−264861号公報
【特許文献2】特開平7−83158号公報
【特許文献2】特開平7−167032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の構成からなる従来の装置は、所定の水圧下での水の移動を圧搾空気を混在させ、特に空気の圧縮を水の移動に伴う空気膨張を強制的に誘因させて、水を移動させるものであるため、前記弁機構内に乱流が発生し、弁機構の破壊が生じ、長時間駆動ができないという問題点があった。
【0009】
特に、特開平7-167032号公報に開示されるように、このような装置に好適なシリンダ(図10)は、中空円柱状に形成され(特開平7−167032号公報段落番号0021)、また、図11に示されたような円板部材を一定間隔をおいて対向させる一方、各々の円板部材に、図12に示される複数の逆止弁255を配してなるものであるため(同公報段落番号0025)、シリンダ内の乱流に起因する。
【0010】
さらに、上述した従来の装置は、これらを並列に配置し、並列した運転が可能とするものであるが、二台の内部エアシリンダにそれぞれ圧搾空気を送り込む場合においても、開放された圧搾空気の一部をそれぞれ一旦地上まで導いて、地上に配置した加圧ポンプ等で加圧する構造のものであるため、効率がなお芳しくないという問題点があった。
【0011】
本願発明者は、上記の特開平6−267861号公報、特開平7−83158号公報及び特開平7-167032号公報の基礎となった実験設備を元の開発者(株)伊佐電源開発から譲り受け、さらに鋭意研究を続け、上記の問題点を解決すべく改良に係る発明であって、第一には、上記外部シリンダ本体の形状に工夫を凝らし、外部シリンダ本体で乱流を起こさず、安定した運転を可能とし、また、第二には、当該外部シリンダ内の上下端ピストン及び上下壁に複数配置される逆止弁を乱流に強いものにすることにより、さらには、第三には、並列して運転される圧搾空気経路を工夫することにより、効率よくウォータハンマー現象を制御して、高効率な加圧揚水シリンダを得ることを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願発明は、上記従来技術上の問題点を解決するためになされたものであって、本願請求項1に係る発明は、加圧揚水シリンダにおいて、水中下に設置されるほぼT字形状でT字根部分に放水孔を有し、該外部シリンダ本体1の中央内部には、外部からの圧搾空気によって内部の内部ピストンが駆動される内部シリンダとを有し、前記外部シリンダ本体1は、前記放水孔5の反対内面の半円周面に、前記内部シリンダ2の上端から前記外部シリンダ本体1の内周面に向かう上部反射湾曲251と前記内部シリンダ2の下端から前記外部シリンダ本体1の内周面に向かう下部反射湾曲252とを設けた外部シリンダ本体1と、該外部シリンダ本体1のT字両端の上下に固定され、常に該外部シリンダ本体内方向に水を送る複数個の逆止弁を有する上内壁21及び下内壁22と、該外部シリンダ本体1の上下端に接合され、それぞれ外気導入管12に開口接続され、外気を取り入れる外気導入孔10、11を有する上部開口筒3及び下部開口筒4と、前記内部ピストンと、前記上部開口筒3及び下部開口筒4内を移動し、常に該外部シリンダ本体内方向に水を送る複数個の逆止弁を有する外部上端ピストン14及び外部下端ピストン15とを固定するピストン軸と、からなり、前記内部ピストン13が外部からの圧搾空気の流入によって上死点位置まで押し上げられると、この押し上げ力によって、前記上下端ピストン14、15が上方に移動し、前記下部開口筒4内の前記外部ピストン下端部15と前記下内壁22の間の水は、該下内壁22に設けられた逆止弁24を通って、外部シリンダ本体1内に押し込まれ、前記放水孔5を通じて外部に放出され、各ピストン13、14、15が上死点まで移動すると、それに同期して圧搾空気の送り込みが逆送され、この力で、前記内部ピストン13を下方に押し下げ、この押し下げ力によって、前記上下端14、15も下方に移動し、前記下部開口筒4内の前記外部ピストン上端部14と前記上内壁21の間の水は、該上内壁21に設けられた逆止弁23を通って、外部シリンダ本体1内に押し込まれ、前記放水孔5を通じて外部に放出され、この各ピストンの上死点から下死点または下死点から上死点への移動の際して、前記下部開口筒4内の当該外部ピストン下端部15と前記下内壁22の間隔または前記上部開口筒3内の当該外部ピストン上端部14と前記上内壁21の間隔が広くなり、この間に負圧が生じ、前記外気導入孔に設けられた空気逆止弁を通じて、外気導入管12の外気が導入され、導入された外気は、各ピストン13、14、15が、上死点から下死点あるいは下死点から上死点へと移動する間に加圧されて、その体積が圧縮されつつ、周囲の水と共に、外部シリンダ本体1内に移動し、前記各ピストンの動きに伴って、移動する水に対する圧力変動が、加圧から開放へと導かれた瞬間に、圧縮された空気が混在移動する水の中の空気が膨張し、膨張力となって周囲の水と共に、前記放水孔5から排出されることを特徴とする。
また、本願請求項2に係る発明は、前記請求項1に係る加圧揚水シリンダにおいて、前記外部ピストン上端部14、同外部ピストン下端部15及び前記上内壁21、下内壁22上に配置される複数の逆止弁は、円形弁の一端が固定して開閉される方持ち逆止弁であって、前記外部ピストン上端部14、同外部ピストン下端部15及び前記上内壁21、下内壁22の中心軸を対称としてそれぞれ左右に2個を配置し、さらに、この2個ずつの逆止弁と中心を含む線を対称として13個づつ、両側に配置し、その開口方向が、いずれの逆止弁について中心軸方向あるいは前記放水孔5方向に向かうように同心円状に配置構成されたことを特徴とする。
さらに、本願請求項3に係る発明は、前記請求項1または2に係る加圧揚水シリンダを2台以上を連結して使用する際の前記圧搾空気を送出する空気管において、一方の内部シリンダ2の排出側の空気管6を他方の装置の内部シリンダ2の吸入側の空気管7に接合し、また、一方の内部シリンダ2の吸入側の空気管7を他方の装置の内部シリンダ2の排出側の空気管6に接合し、それぞれの管の途中に地上に設置した圧搾空気送出切換機に接合する第一の空気管及び第二の空気管を接合し、前記圧搾空気送出切替機で一定の周期でこれらの管に送り込まれる圧搾空気の流入・排出を切り替え可能な構成としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
以上、述べたように、本発明によれば、揚水される水と一緒に吸い込まれる空気の圧縮、膨張の作用を利用できるように構成することにより、空気と一緒に吸い込まれた空気を高効率で揚水することができることとなると共に、外部シリンダ内の水流の乱流を防止したので、安定的に、かつ、長時間運転を可能にするという効果を奏するものである。すなわち、従来の揚水装置に比し、長時間運転を可能とした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
【実施例1】
【0015】
以下、図1ないし図4を参照しつつ、本発明に係る加圧揚水シリンダの一実施例について説明する。
ここで、図1は本発明に係る加圧揚水シリンダの一実施例に使用される外部シリンダの概略構成を示す図であり、図2ないし図4は、図1に示された外部シリンダ本体1に上部開口筒3及び下部開口筒4が接続され、内部に上下動する外部ピストン14、15が組み込まれ、また、前記内部シリンダ2内には、内部ピストン13が組み込まれて、内部シリンダ内に送り込まれる圧搾空気の力により、内部ピストンが上下動し、これと一体に動く前記外部ピストン14、15の動きを示す同装置の断面概略を示す図であり、図3は、同外部シリンダ本体1の外部ピストン14、15が上死点位置にあるときを、図4は、同下死点位置にあるときの概略断面図を示す図である。
図1に示されるように、本実施例1に係る加圧揚水シリンダは、基本的には、外部シリンダ本体1と、該外部シリンダ本体1のT字両端の上下に固定され、常に該外部シリンダ本体内方向に水を送る複数個の逆止弁を有する上内壁21及び下内壁22及び該外部シリンダ本体1の中央内部には、外部からの圧搾空気によって内部の内部ピストンが駆動される内部シリンダと、前記上部開口筒3及び下部開口筒4内で移動し、常に該外部シリンダ本体1の内部方向に水を送る複数個の逆止弁を有する外部上端ピストン14及び外部下端ピストン15と、これらのピストンを一体に動かすピストン軸16とで構成される。
【0016】
すなわち、本実施例1に係る加圧揚水シリンダは、水中下に設置されるほぼT字形状でT字根部分に放水孔5を有し、該外部シリンダ本体1の中央内部には、外部からの圧搾空気によって内部の内部ピストンが駆動される内部シリンダとを有し、前記外部シリンダ本体1は、前記放水孔5の反対内面の半円周面に、前記内部シリンダ2の上端から前記外部シリンダ本体1の内周面に向かう上部反射湾曲251と前記内部シリンダ2の下端から前記外部シリンダ本体1の内周面に向かう下部反射湾曲252とを設けた外部シリンダ本体1と、該外部シリンダ本体1のT字両端の上下に固定され、常に該外部シリンダ本体内方向に水を送る複数個の逆止弁を有する上内壁21及び下内壁22と、該外部シリンダ本体1の上下端に接合され、それぞれ外気導入管12に開口接続され、外気を取り入れる外気導入孔10、11を有する上部開口筒3及び下部開口筒4と、前記内部ピストンと、前記上部開口筒3及び下部開口筒4内を移動し、常に該外部シリンダ本体内方向に水を送る複数個の逆止弁を有する外部上端ピストン14及び外部下端ピストン15とを固定するピストン軸とからなる。
【0017】
図1において、符号1は、外部シリンダ本体、2は、内部シリンダ、3は、上部開口筒、4は、下部開口筒、5は、放水孔、6、7は、空気管、8は、導水窪み、91〜93は、支持固定具である。なお、本実施例1における前記外部シリンダ本体1は、内径1000ミリメートル、高さ1080ミリメートルのものを用い、その上下に同内径を有する幅700ミリメートルの上記上部開口筒3及び下部開口筒4が接続され、全長2480ミリメートルに渡る大きさを有する。また、前記外部シリンダ本体1には、中央部の放水孔5として口径500ミリメートルのパイプが接続され、また、中央内部には、前記内部シリンダ2として、直径500ミリメートル、長さ300ミリメートルの大きさを有するものを用いた。
また、前記上部開口筒3及び下部開口筒4は、前記外部シリンダ本体1と同口径
【0018】
また、図2ないし図4において、図1に示した部材は、図1に示した同じ符号で示し、さらに、その他の符号13は、内部ピストン、14は、外部ピストン上端部、15は外部ピストン下端部、16は、これら内部ピストン13及び外部ピストン上端部14、外部ピストン下端部16を一体に結合して動くピストン軸である。また、同図中、符号17は、前記外気導入孔10に設けられた空気逆止弁17、同18は、同外気導入孔11に設けられた空気逆止弁であり、191、192、193、・・・・及び201、202、203、・・・・は、前記外部ピストン上端部14及び外部ピストン下端部15に複数個設けられる逆止弁であり、弁本体直径100ミリメートルの同じ構造のものが、それぞれの上下端部14、15に30個が設けられている(以下、逆止弁19、20の如く説明し、当該逆止弁の詳細については、後に詳述する。)。
【0019】
また、符号21、22は、上記外部ピストン上端部14及び外部ピストン下端部15と同じ構造を有し、前記外部シリンダ本体1に固定される上内壁21及び下内壁22であり、それぞれの上下の内壁21、22には、前記外部ピストン上端部14及び外部ピストン下端部15に複数個設けられる逆止弁191、192、193、・・・・、201、202、203、・・・・と同じ逆止弁231、232、233、・・・・、241、242、243、・・・・が、それぞれ30個が設けられている(したがって、以下、これらの逆止弁231、232、233、・・・・、241、242、243、・・・・も単独で説明する場合には、上記の例に従い、逆止弁23、24の如く説明する。)。
【0020】
なお、上記外部ピストン上端部14及び外部ピストン下端部15は、ピストン軸16で内部ピストン13と一体に結合されて、常に一体として一緒に動くが、当該上内壁21及び下内壁は、前記外部シリンダ本体1の上部開口筒3及び下部開口筒4に固着され、それ自体は動かず、内壁21、22に設けられた逆止弁231、232、233、・・・・、241、242、243、・・・・を介して水が一方向に動くのみである。
【0021】
次に、図2ないし図4に基づいて、各内部ピストン13及び外部ピストン14、15の動きを説明する。
まず、図2ないし図4に示される同装置は、約10m程の水面下に設置される。
このような状態で、図3に示すように、空気管7から圧搾空気が送り込まれ、この空気圧の力で、前記内部ピストン13を上方に押し上げる。
【0022】
そして、この押し上げ力によって、前記内部ピストン13の上方にある圧搾空気は、前記空気管6から排出される。このとき、内部ピストン13の動きは、前記外部ピストンの上下端14、15と一体に結合されているので、前記内部ピストン13が上方に移動するに従って、前記上下端14、15も上方に移動する。前記上下端14、15の上方への移動に従って、前記下部開口筒4内の前記外部ピストン下端部15と前記下内壁22の間の水は、該下内壁22に設けられた逆止弁24を通って、外部シリンダ本体1内に押し込まれる。
【0023】
一方、一体として動く前記外部ピストン上端部14も上方に動き、前記上部開口筒3内の当該外部ピストン上端部14と前記上内壁21の間隔が広くなる。したがって、この間に負圧が生じ、前記外気導入孔11に設けられた空気逆止弁18を通じて、前記外気導入孔11から外気導入管12の外気が導入され、それぞれのピストン13、14、15の上死点まで移動する。このとき、前記外部シリンダ本体1内の水は、放水孔5を通じて外部に放水される。図3は、それぞれのピストン13、14、15が上死点まで移動する状態を示す図である。
【0024】
次に、それぞれのピストン13、14、15が上死点まで移動すると、それまで前記空気管7から圧搾空気が送り込まれ、前記空気管6から排出されていた圧搾空気は、圧搾空気切替機(図示外)によって、図4に示すように、前記空気管6から圧搾空気が送り込まれる。この空気圧の力で、前記内部ピストン13を下方に押し下げる。そして、この押し下げ力によって、前記内部ピストン13の下方にある圧搾空気は、前記空気管7から排出される。このとき、内部ピストン13の動きは、前記外部ピストンの上下端14、15と一体に結合されているので、前記内部ピストン13が下方に移動するに従って、前記上下端14、15も下方に移動する。前記上下端14、15の下方への移動に従って、前記下部開口筒4内の前記外部ピストン上端部14と前記上内壁21の間の水は、該上内壁21に設けられた逆止弁23を通って、外部シリンダ本体1内に押し込まれる。
【0025】
一方、一体として動く前記外部ピストン下端部15も下方に動き、前記下部開口筒4内の当該外部ピストン下端部15と前記下内壁22の間隔が広くなり、上述したと同様に、この間に負圧が生じ、前記外気導入孔10に設けられた空気逆止弁17を通じて、前記外気導入孔10から外気導入管12の外気が導入され、それぞれのピストン13、14、15の下死点まで移動する。このとき、前記外部シリンダ本体1内の水は、放水孔5を通じて外部に放水される。図4は、それぞれのピストン13、14、15が下死点まで移動する状態を示す図である。
【0026】
ここで、最も重要なのは、それぞれ前記上下の開口筒3、4内の前記外部ピストンの上下端14、15と前記外部シリンダ本体1の上下内壁21、22の間隔が広まるときに、負圧が生じて外気がこの間隙に導入されることである。導入された外気は、各ピストン13、14、15が、上死点から下死点あるいは下死点から上死点へと移動する間に加圧されて、その体積が圧縮されつつ、周囲の水と共に、外部シリンダ本体1内に移動して行く。
【0027】
そして、各ピストン13、14、15が、上死点から下死点あるいは下死点から上死点へと変化する瞬間、移動する水は、各ピストン14、15の動きが変化しても、その加速度故に、すぐには、その流れの方向を変えることはできない、しかしながら、水の流れが、前記放水孔5の方向に向かい、水の流れが動き出した途端、圧力変動が、加圧から開放へと導かれ、その瞬間に、圧縮されて混在移動する空気が膨張し、この膨張力となって周囲の水と共に、前記放水孔5から排出される。外部ピストン上下端14、15の移動に伴う水流は、基本的には、上方または下方から前記外部シリンダ本体1の中央に向かう流れとなり、中央付近で上下からの水流がぶつかって複雑な動きをするが、その流れが前記放水孔5の方向に導かれたときに、一瞬の間に圧力変動が生じ、空気膨張が始まるから、それに伴う水流と相まって、放水孔5方向へと一気に流れを加速して水流を強める。
【0028】
本願発明は、この水流中に混在する空気領域を圧縮し、次の瞬間、それを一定の方向に導く水流を形成しながら、その水流の加速度を契機に一定の方向に空気膨張を導き、その膨張力によって強力な水流を得ようというものである。いわゆる、水道管等で発生するウォータハンマーを積極的に発生せしめ、その力によって揚水を行わせしめようというものである。
このように、外部ピストン上下端14、15の移動に伴う水流は、基本的には、上方または下方から前記外部シリンダ本体1の中央に向かう流れとなり、前記外部シリンダ本体1の中央付近で上下からの水流がぶつかって複雑な動きをしつつ、最終的に前記放水孔5の方向に向かうことになる。
【0029】
しかしながら、従来の外部シリンダ本体1は、上述する上方または下方から中央に向かう流れを規制する手段はなく、前記外部シリンダ本体1の中央部でぶつかるままにされていたため、前記複雑な水流は一層の複雑さを呈しており、従来の装置においては、これらの複雑な水流(乱流)によって弁機構(本実施例でいえば、逆止弁19、20や逆止弁23、24)の破壊が生じたりしていた。すなわち、本装置が長時間駆動ができないという問題点は、ここに起因するらしいことが判明した。
【0030】
そこで、本願実施例1として、図1に示すように、前記外部シリンダ本体1の前記放水孔5の反対面に上下からの水流を前記放水孔5方向に誘導する反射湾曲25を有する導水窪み8を設けた。この反射湾曲25は、前記外部シリンダ本体1の前記放水孔5の反対面の半円周面に、前記内部シリンダ2の上端から前記外部シリンダ本体1の内周面に向かう上部反射湾曲251と前記内部シリンダ2の下端から前記外部シリンダ本体1の内周面に向かう下部反射湾曲252から構成される。
【0031】
このような上下の反射湾曲25を設けたので、上方から下方に向かう水流は、前記上部反射湾曲251にぶつかり、その水流を前記放水孔5方向に規制させ、下方から上方に向かう水流は、前記下部反射湾曲252にぶつかり、その水流を上記同様前記放水孔5方向に規制させることができるようになる。
このような外部シリンダ本体1の構成としたために、外部シリンダ本体1内の乱流が回避され、結果的に、弁機構の破壊を回避し、装置の長時間駆動を可能とすることができた。
【実施例2】
【0032】
また、上述するように、前記外部シリンダ本体1内の乱流は、前記逆止弁19、20や逆止弁23、24の破壊をもたらしていたため、この高い強度の逆止弁19、20や逆止弁23、24とすることの必要もあった。そこで、本願発明に係る加圧揚水シリンダの一実施例の外部シリンダに使用される高強度の逆止弁を用いることとした。
【0033】
次に、実施例2として、上記外部ピストン上端部14及び同下端部15、さらには、上記上内壁21及び下内壁22上に配置される逆止弁19、20、23、24の詳細について説明する。
図11及び図12に示すように、従来、この種の逆止弁として、円形逆止弁を使用していた。しかしながら、原因の詳細は不明であるが、これらの逆止弁異常が発生し、上述するように、この装置システムは長時間運転ができず、自然のうちに運転停止の状態に追い込まれることが多かった。
【0034】
そこで、上記外部ピストン上端部14及び同下端部15、さらには、上記上内壁21及び下内壁22上に配置される逆止弁を図5(a)(b)に示すものを使用するようにした。図5(a)(b)に示す逆止弁は、円形弁の一端が固定して開閉される、いわゆる「方持ち逆止弁」と称する逆止弁であって、図6(a)(b)中の符号26は、弁本体、27は、弁支点、28は、開閉弁、29は、開閉バネ、30は、開口部であり、図中細矢印は弁の開閉動作を、太矢印は、水流動作を示す。従来の逆止弁が、中央部が浮き上がり、平行に平均して開閉するものであるのに対し、開閉弁28が、弁本体26とで一箇所のみを弁支点27として開閉する形式のものであるので、乱流に対しては、動きが丈夫である。すなわち、推測するところ、前記外部シリンダ本体1内は、上下動する水流と、空気膨張に伴う乱流が発生し、弁の開閉に際して、弁の開閉が偏り、偏った力が逆止弁に加わるため、逆止弁異常を発生させたものと思料される。そこで、逆止弁を方持ち式逆止弁とすることにより、前記外部シリンダ本体内の乱流に強い弁機構とすることができた。
【0035】
また、上記の方持ち逆止弁19、20、23、24を使用して、図6に示すように、上記の外部ピストン上端部14及び同下端部15や上記上内壁21及び下内壁22には、上記方持ち逆止弁19、20、23、24を外部ピストン上端部14及び同下端部15や上記上内壁21及び下内壁22の中心軸を対称としてそれぞれ左右に2個を配置し、さらに、この2個ずつの逆止弁と中心を含む線を対称として13個づつ、両側に配置し、それぞれの中心軸を対称としてそれぞれ2個を配置し、さらに、この中心線を対称として13個づつ両側に配置し、さらに、いずれの逆止弁19、20、23、24について、その開口方向が中心域となるように配置した。図6は、上記外部ピストン上端部14及び同下端部15や上記上内壁21及び下内壁22への前記方持ち逆止弁19、20、23、24の配置構成を示す図である。
【0036】
なお、この開口方向については、本実施例においては、いずれの逆止弁19、20、23、24について中心域となる方向としたが、これは、前記放水孔5方向に向かうようにしても良い。
このように方持ち式逆止弁19、20、23、24を使用しつつ、その逆止弁配置を上述するように、上記の各外部ピストン上端部14、同下端部15、上記上内壁21、下内壁22上に、それぞれの中心軸を対称としてそれぞれ2個を配置し、さらに、この中心線を対称として13個づつの合計30個の方持ち逆止弁を両側に配置し、さらに、いずれの逆止弁19、20、23、24について、その開口方向が中心域となるように配置したので、前記外部シリンダ本体1内の乱流の発生を回避することができ、逆止弁異常が発生しなくなり、この装置システムは長時間運転が可能となった。
【実施例3】
【0037】
次に、上述した従来の装置では、図9に示すように、本装置を2台を並列に配置し、それぞれの装置に、前記内部シリンダ2に送り込まれる圧搾空気は、地上に設けられた切換弁101の弁102、103を切り替えることにより、それぞれのシリンダを運転するようにしてきた。しかしながら、一旦、高圧にした空気を送り側、受け側の二組の空気系統を設けることは無駄であるばかりか、水面下10m程度まで掘り下げた水中に配置するため、こ玲らの系統は短いほど故障も少なく、また、圧縮コストも軽減できる。
【0038】
そこで、本実施例3に係る装置においては、図7及び図8に示すように、2台連結して運転される装置における前記圧搾空気経路において、一方の装置の内部シリンダ2の排出側の空気管6を他方の装置の内部シリンダ2の吸入側の空気管7に接合し、また、一方の装置の内部シリンダ2の吸入側の空気管7を他方の装置の内部シリンダ2の排出側の空気管6に接合し、それぞれの管に空気管31及び空気管32を接合し、さらに、これらの空気管31、32に圧搾空気切替機33を設け、一定の周期でこれらの管31、32に送り込まれる圧搾空気の流入・排出を切り替え可能に構成した。
【0039】
図7は、2台連結して運転する装置において、左側の装置の内部シリンダをピストン13押し上げ、右側の装置の内部シリンダのピストン13を押し下げる状態を示している。また、図8は、これと逆に、前記圧搾空気切替機33により空気の流入方向を切り替えて、2台連結して運転する装置において、左側の装置の内部シリンダをピストン13押し下げ、右側の装置の内部シリンダのピストン13を押し上げる状態を示している。図7、図8において、同じ部材は、図1ないし図4で示した同一の符号で示し、その説明は省略する。
【0040】
なお、本実施例3においては、2台連結して運転される装置における前記圧搾空気経路において、一方の装置の内部シリンダ2の排出側の空気管6を他方の装置の内部シリンダ2の吸入側の空気管7に接合し、また、一方の装置の内部シリンダ2の吸入側の空気管7を他方の装置の内部シリンダ2の排出側の空気管6に接合し、それぞれの管に空気管31及び空気管32を接接合する、いわゆる「たすき掛け」状の連結して運転される状態を示したが、これはたすき掛け接合に限られるものではなく、それぞれの内部シリンダ2の上部または下部のそれぞれの空気管6、7が側玲崩お並列に接合され、それぞれの上部また下部に交互に圧搾空気が流入されるように構成しても良いものである。このようにすれば、2台の連結に限るものではなく、3台、4台等いくつでも連結した運転が可能である。
【0041】
なお、本実施例1ないし3において使用される圧搾空気は、空気圧、約100kg/cm2〜200kg/cm2、また、前記内部シリンダ2の往復運動は、毎分約40〜60往復回数に設定して、これを使用したが、これらの空気圧力及び運転回数はこれに限るものではなく、装置の規模・大きさ等によって自由に変更可能である。
【0042】
例えば、本実施例1ないし3に係る装置によれば、一台の外部シリンダで1分間当たり45回の上下切換を行った場合には、およそ21.195立方メートル/毎分の排水量を確保することができ、これに要する圧搾空気量としては、5.298立方メートルを必要とする。したがって、水中10メートルの水圧(160Kg/cm3)下で前記内部ピストン13を動かすには、この水圧(160Kg/cm3)に耐えうる空気量5.298m3を要することとなる。
本実施例においては、圧搾空気を生成する圧搾機として、北越工業株式会社製高圧仕様エンジンコンプレッサ(型式:AIRMAN−PDSF1300S−401)を使用して圧搾空気を得たが、上記の圧力条件からすれば、同社製標準仕様エンジンコンプレッサ(型式:AIRMAN−PDS390S)程度であっても良い。
なお、本実施例においては、水中下10メートルからの揚水に使用した例を示したが、これは水中下の揚水に限るものではなく、例えば、石油のパイプラインで石油を送る際のポンプとして使用すれば、引火の恐れのない空気を送るのみで石油圧送を可能とし、極めて安全な圧送とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、加圧揚水シリンダに関し、水等を低いところから高い位置まで引き上げる揚水機としてでき、揚水された水を利用して、発電等を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は本発明に係る加圧揚水シリンダの一実施例に使用される外部シリンダの概略構成を示す図である。
【図2】図2は、図1に示された外部シリンダ本体1に上部開口筒3及び下部開口筒4が接続され、内部に上下動する外部ピストン14、15が組み込まれる記外部ピストン14、15の動きを示す同装置の断面概略を示す図である。
【図3】図3は、同外部シリンダ本体1の外部ピストン14、15が上死点位置にあるときの概略断面図である。
【図4】図4は、同下死点位置にあるときの概略断面図を示す図である。
【図5】図5(a)(b)は、上記外部ピストン上端部14及び同下端部15、上記上内壁21及び下内壁22上に配置される方持ち逆止弁の概略を示す図である。
【図6】図6は、上記外部ピストン上端部14及び同下端部15や上記上内壁21及び下内壁22への前記方持ち逆止弁19、20、23、24の配置構成を示す図である。
【図7】図7は、2台連結して運転する装置において、左側の装置の内部シリンダをピストン13押し上げ、右側の装置の内部シリンダのピストン13を押し下げる状態を示す図である。
【図8】図8は、これと逆に、前記圧搾空気切替機33により空気の流入方向を切り替えて、2台連結して運転する装置において、左側の装置の内部シリンダをピストン13押し下げ、右側の装置の内部シリンダのピストン13を押し上げる状態を示す図である。
【図9】従来の特開平6−264861号公報に開示添付の揚水装置概念を示す概略図である。
【図10】従来の特開平7-167032号公報に開示・添付のシリンダ概略を示す図である。
【図11】従来の特開平7-167032号公報に開示・添付の弁機構の概略図である。
【図12】従来の特開平7-167032号公報に開示・添付の逆止弁の概略図である。
【符号の説明】
【0045】
1・・・外部シリンダ本体
2・・・内部シリンダ
3・・・上部開口筒
4・・・下部開口筒
5・・・放水孔
6、7・・・空気管
8・・・導水窪み
1〜93・・・支持固定具
10、11・・・外気導入孔
12・・・外気導入管
13・・・内部ピストン
14・・・外部ピストン上端部
15・・・外部ピストン下端部
16・・・ピストン軸
17・・・空気逆止弁
18・・・空気逆止弁
19、191、192、193、・・・・逆止弁
20、201、202、203、・・・・逆止弁
21・・・上内壁
22・・・下内壁
23,231、232、233、・・・・逆止弁
24、241、242、243、・・・・逆止弁
251・・・上部反射湾曲
252・・・下部反射湾曲
26・・・弁本体
27・・・弁支点
28・・・開閉弁
29・・・開閉バネ
30・・・開口部
31・・・空気管
32・・・空気管
101・・・切換弁
102・・・圧搾パイプ
103・・・送出パイプ
104・・・一方側空気系シリンダ
105・・・ピストン
106・・・空気系シリンダ
107・・・他方側空気シリンダ
108・・・貯水池
110、111・・・シリンダ
112・・・弁機構
113、114・・・シリンダ
115・・・弁機構
117・・・給水口、
118、119・・・空気取入れ口
120・・・排水口
121・・・揚水パイプ
122・・・給水タンク
205・・・空気系ピストン
206・・・空気系シリンダ
211・・・水路系シリンダ
212、215・・・弁機構
218、219・・・空気取入れ口
220・・・排水口
246・・・パイプ
250・・・主シリンダ
251・・・水路系シリンダ
252a、252b・・・入出口
253・・・Oリング
255・・・逆止弁
256・・・貫通孔
257・・・止着部
258・・・通過窓
259・・・ボルト
260・・・ばね
261・・・弁体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中下に設置されるほぼT字形状でT字根部分に放水孔5を有し、該外部シリンダ本体1の中央内部には、外部からの圧搾空気によって内部の内部ピストンが駆動される内部シリンダとを有し、前記外部シリンダ本体1は、前記放水孔5の反対内面の半円周面に、前記内部シリンダ2の上端から前記外部シリンダ本体1の内周面に向かう上部反射湾曲251と前記内部シリンダ2の下端から前記外部シリンダ本体1の内周面に向かう下部反射湾曲252とを設けた外部シリンダ本体1と、
該外部シリンダ本体1のT字両端の上下に固定され、常に該外部シリンダ本体内方向に水を送る複数個の逆止弁を有する上内壁21及び下内壁22と、
該外部シリンダ本体1の上下端に接合され、それぞれ外気導入管12に開口接続され、外気を取り入れる外気導入孔10、11を有する上部開口筒3及び下部開口筒4と、
前記内部ピストンと、前記上部開口筒3及び下部開口筒4内を移動し、常に該外部シリンダ本体内方向に水を送る複数個の逆止弁を有する外部上端ピストン14及び外部下端ピストン15とを固定するピストン軸と、からなり、
前記内部ピストン13が外部からの圧搾空気の流入によって上死点位置まで押し上げられると、この押し上げ力によって、前記外部上端ピストン14及び前記外部下端ピストン15が上方に移動し、前記下部開口筒4内の前記外部下端ピストン15と前記下内壁22の間の水は、該下内壁22に設けられた逆止弁24を通って、外部シリンダ本体1内に押し込まれ、前記放水孔5を通じて外部に放出され、
各ピストン13、14、15が上死点まで移動すると、それに同期して圧搾空気の送り込みが逆送され、この力で、前記内部ピストン13を下方に押し下げ、この押し下げ力によって、前記上下端14、15も下方に移動し、前記下部開口筒4内の前記外部上端ピストン14と前記上内壁21の間の水は、該上内壁21に設けられた逆止弁23を通って、外部シリンダ本体1内に押し込まれ、前記放水孔5を通じて外部に放出され、
この各ピストンの上死点から下死点または下死点から上死点への移動の際して、前記下部開口筒4内の当該外部ピストン下端部15と前記下内壁22の間隔または前記上部開口筒3内の当該外部ピストン上端部14と前記上内壁21の間隔が広くなり、この間に負圧が生じ、前記外気導入孔に設けられた空気逆止弁を通じて、外気導入管12の外気が導入され、導入された外気は、各ピストン13、14、15が、上死点から下死点あるいは下死点から上死点へと移動する間に加圧されて、その体積が圧縮されつつ、周囲の水と共に、外部シリンダ本体1内に移動し、前記各ピストンの動きに伴って、移動する水に対する圧力変動が、加圧から開放へと導かれた瞬間に、圧縮された空気が混在移動する水の中の空気が膨張し、膨張力となって周囲の水と共に、前記放水孔5から排出されることを特徴とする加圧揚水シリンダ。
【請求項2】
前記外部ピストン上端部14、同外部ピストン下端部15及び前記上内壁21、下内壁22上に配置される複数の逆止弁は、円形弁の一端が固定して開閉される方持ち逆止弁であって、前記外部ピストン上端部14、同外部ピストン下端部15及び前記上内壁21、下内壁22の中心軸を対称としてそれぞれ左右に2個を配置し、さらに、この2個ずつの逆止弁と中心を含む線を対称として13個づつ、両側に配置し、その開口方向が、いずれの逆止弁について中心軸方向あるいは前記放水孔5方向に向かうように配置構成されたことを特徴とする前記請求項1に記載の加圧揚水シリンダ。
【請求項3】
前記請求項1に係る加圧揚水シリンダを2台以上を連結して使用する際の前記圧搾空気を送出する空気管において、一方の内部シリンダ2の排出側の空気管6を他方の装置の内部シリンダ2の吸入側の空気管7に接合し、また、一方の内部シリンダ2の吸入側の空気管7を他方の装置の内部シリンダ2の排出側の空気管6に接合し、それぞれの管の途中に地上に設置した圧搾空気送出切換機に接合する第一の空気管及び第二の空気管を接合し、前記圧搾空気送出切替機で一定の周期でこれらの管に送り込まれる圧搾空気の流入・排出を切り替え可能な構成としたことを特徴とする請求項1または2に記載の加圧揚水シリンダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−250227(P2009−250227A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103445(P2008−103445)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(399130625)
【出願人】(506222328)
【出願人】(508112678)有限会社MAC (1)
【Fターム(参考)】