説明

加圧水型原子力発電プラントの一次冷却水系脱塩塔のスルホン酸型陽イオン交換樹脂の性能評価方法

【課題】加圧水型原子力発電プラントの一次冷却水系の脱塩塔に充填されたスルホン酸型陽イオン交換樹脂の性能評価方法において、脱塩塔の出口の一次冷却水に含まれるポリスチレンスルホン酸量を測定することにより、スルホン酸型陽イオン交換樹脂の酸化劣化度合を評価する加圧水型原子力発電プラントの一次冷却水系脱塩塔のスルホン酸型陽イオン交換樹脂の性能評価方法を提供する。
【解決手段】加圧水型原子力発電プラントの一次冷却水が流れる化学体積制御系、ホウ酸回収系および使用済み燃料ピット系の脱塩塔に充填されたスルホン酸型陽イオン交換樹脂の性能評価するに当り、試料採取室にあるサンプルフード内に脱塩塔出口の一次冷却水の一部を導いた後、当該一次冷却水に含まれているポリスチレンスルホン酸量を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧水型原子力発電プラントの一次冷却水系脱塩塔のスルホン酸型陽イオン交換樹脂の性能評価方法に関し、詳しくは、加圧水型原子力発電プラントの一次冷却水系の脱塩塔に充填されたスルホン酸型陽イオン交換樹脂の性能評価方法において、脱塩塔の出口の一次冷却水の一部を別の場所に移送して、当該一次冷却水に含まれるポリスチレンスルホン酸量を測定することから成る加圧水型原子力発電プラントの一次冷却水系脱塩塔のスルホン酸型陽イオン交換樹脂の性能評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
加圧水型原子力発電プラントの冷却水が流れる系統としては、一次冷却水系と二次冷却水系がある。そして、一次冷却水系において、原子炉冷却水に含まれる無機イオンおよび陽イオン放射性核種を除去するために、一次冷却水の一部を原子炉格納容器の外部に導き出して、化学体積制御系(CVCS系)およびホウ酸回収系(BRS系)の脱塩塔によって処理している。また、使用済み燃料ピット系(SFP系)においても、冷却水に含まれる無機イオンおよび陽イオン放射性核種を脱塩塔によって除去している。
【0003】
脱塩塔に使用されている陽イオン交換樹脂に鉄イオンもしくは銅イオンおよび/または鉄イオンを吸着させた後、ヒドラジン水溶液を接触させて加速劣化させ、次いで、劣化した陽イオン交換樹脂に溶離液を接触させ、この際に、樹脂から溶出したポリスチレンスルホン酸量を測定する陽イオン交換樹脂の性能評価方法が知られている。この方法は、原子力発電プラントの二次冷却水を浄化処理するための復水脱塩装置からスルホン酸型陽イオン交換樹脂を少量サンプリングし、それから溶出するポリスチレンスルホン酸量を測定して、スルホン酸型陽イオン交換樹脂の劣化度合の評価を行っている。
【特許文献1】特開9−210977号公報
【0004】
しかしながら、加圧水型原子力発電プラントの一次冷却水が流れるCVCS系、BRS系およびSFP系の脱塩塔のスルホン酸型陽イオン交換樹脂は、放射性物質を高濃度で吸着しているため、スルホン酸型陽イオン交換樹脂をサンプリングすることが出来ず、上述の評価方法を実施することは不可能である。更に、加圧水型原子力発電プラントにおいては、その定期点検時に、放射線の作用により、原子炉内炉水に5ppm程度の濃度の過酸化水素が発生するため、スルホン酸型陽イオン交換樹脂は酸化され易く、経時的にイオン交換容量が減少する問題点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、一次冷却水の浄化処理に係わるスルホン酸型陽イオン交換樹脂にどれくらいの無機イオンおよび陽イオン放射性核種が吸着しているか、あとどれくらい使用可能かについては、評価がなされていないのが現状である。また、原子力発電プラントにおける一次冷却水系脱塩塔に使用されるスルホン酸型陽イオン交換樹脂は、非再生運用(再生剤によるスルホン酸型陽イオン交換樹脂の交換能力の再生をしない運用)とされており、使用限界に達していなくても、定期点検ごとに新品のスルホン酸型陽イオン交換樹脂と交換されている。そして、交換された使用済みのスルホン酸型陽イオン交換樹脂は、放射性物質を高濃度で吸着しているため、原子力発電所の敷地内の貯蔵タンクに貯蔵されているが、その貯蔵量が増大して貯蔵タンクの容量不足が大きな問題となっている。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、加圧水型原子力発電プラントの一次冷却水系の脱塩塔に充填されたスルホン酸型陽イオン交換樹脂の性能評価方法において、脱塩塔の出口の一次冷却水に含まれるポリスチレンスルホン酸量を測定することにより、スルホン酸型陽イオン交換樹脂の酸化劣化度合を評価する加圧水型原子力発電プラントの一次冷却水系脱塩塔のスルホン酸型陽イオン交換樹脂の性能評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、種々検討を重ねた結果、次の様な知見を得た。すなわち、加圧水型原子力発電プラントの一次冷却水系の脱塩塔に充填されたスルホン酸型陽イオン交換樹脂の性能評価方法において、脱塩塔出口の一次冷却水の一部を別の場所に移送して当該一次冷却水に含まれるポリスチレンスルホン酸量を測定することにより、意外にも、従来評価することが出来なかった加圧水型原子力発電プラントの一次冷却水系脱塩塔に充填されているスルホン酸型陽イオン交換樹脂の酸化劣化度合を評価することが出来る。
【0008】
本発明は、上記の知見に基づき完成されたものであり、その要旨は、加圧水型原子力発電プラントの一次冷却水が流れる化学体積制御系、ホウ酸回収系および使用済み燃料ピット系の脱塩塔に充填されたスルホン酸型陽イオン交換樹脂の性能を評価するに当り、試料採取室にあるサンプルフード内に脱塩塔出口の一次冷却水の一部を導いた後、当該一次冷却水に含まれているポリスチレンスルホン酸量を測定することから成る加圧水型原子力発電プラントの一次冷却水系脱塩塔のスルホン酸型陽イオン交換樹脂の性能評価方法に存する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のスルホン酸型陽イオン交換樹脂の性能評価方法は、加圧水型原子力発電プラントの一次冷却水系の、スルホン酸型陽イオン交換樹脂が充填された脱塩塔において、スルホン酸型陽イオン交換樹脂から溶出したポリスチレンスルホン酸量を測定することにより、スルホン酸型陽イオン交換樹脂の酸化劣化度合を評価するとともに一次冷却水を浄化するスルホン酸型陽イオン交換樹脂の使用限界を予測することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を添付図面に基づいて説明する。図1は、加圧水型原子力発電プラントの一次冷却水の浄化ラインを示す概略図である。尚、本発明の加圧水型原子力発電プラントの一次冷却水系脱塩塔は、基本的には従来公知の加圧水型原子力発電プラントの一次冷却水が流れるCVCS系、BRS系およびSFP系で使用されている脱塩塔と同じである。
【0011】
一次冷却水は、原子炉(12)を冷却して高温、高圧(例えば、温度322℃、圧力15.4MPa)になっている。その様な高温、高圧の一次冷却水は、ポンプ(13p)によって一次冷却材循環ライン(13)を矢印で示す方向に循環しており、当該循環ライン(13)に設けられている蒸気発生器(14)で、二次冷却水との熱交換により発電用二次冷却水の蒸気を発生させる。
【0012】
一次冷却水を化学的に浄化すると共にその体積を一定に維持するためのCVCS系において、循環する一次冷却水の一部は、ライン(30)を経由して再生熱交換器(32)で冷却した後、化学体積制御循環ライン(31)で原子炉格納容器の外部に取出される。次いで、取出された一次冷却水は、化学体積制御循環ライン(31)に設けられているスルホン酸型陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを混合充填した混床脱塩塔(33)、スルホン酸型陽イオン交換樹脂を充填したリチウム除去塔(34)および陰イオン交換樹脂を充填した単床脱塩塔(35)で浄化処理され、含有する無機イオンおよび陽イオン放射性核種が除去される。無機イオンおよび陽イオン放射性核種が除去された一次冷却水は、体積制御タンク(36)に供給された後、ポンプ(31p)を経由し、再生熱交換器(32)で昇温して一次冷却材循環ライン(13)へ戻される。
【0013】
原子炉に供給される冷却材中のホウ酸濃度を制御するためのホウ酸回収系において、無機イオンおよび陽イオン放射性核種が除去された一次冷却水は、体積制御タンク(36)に供給される前に、ホウ酸回収ライン(41)を経由してホールドアップタンク(42)に間欠的に供給される。次いで、ホールドアップタンク(42)の一次冷却水は、スルホン酸型陽イオン交換樹脂を充填した単床脱塩塔(43)およびスルホン酸型陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを混合充填した混床脱塩塔(44)で浄化処理された後、ホウ酸濃縮装置(45)で濃縮され、ホウ酸濃縮タンク(46)に供給される。ホウ酸濃縮タンク(46)のホウ酸濃縮溶液は、燃料棒燃焼制御の必要に応じて、ホウ酸・純水注入ライン(56)を経由して化学体積制御循環ライン(31)に注入され、ポンプ(31p)および再生熱交換器(32)を経由して一次冷却材循環ライン(13)に供給される。また、ホウ酸濃縮装置(45)で発生した蒸気は、熱交換器(52)で復水となった後、復水ライン(51)を経由して、スルホン酸型陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを混合充填した混床脱塩塔(53)で浄化処理した後、純水タンク(54)に供給される。純水タンク(54)の純水は、ホウ酸濃度が高い場合、希釈水として、ホウ酸・純水注入ライン(56)を経由して化学体積制御ライン(31)に注入され、ポンプ(31p)および再生熱交換器(32)を経由して一次冷却材循環ライン(13)に供給される。
【0014】
原子炉で使用された使用済み燃料棒を浸漬するSFP系においては、使用済みの燃料棒は、放射線レベルが低下する間、燃料ピット内に貯められた冷却水中に保管される。そして、この冷却水は、スルホン酸型陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とを混合充填した混床脱塩塔に循環通液して浄化処理される。
【0015】
本発明における加圧水型原子力発電プラントの一次冷却水系脱塩塔のスルホン酸型陽イオン交換樹脂の性能評価は、次の方法によって行う。スルホン酸型陽イオン交換樹脂が充填された脱塩塔(33、34、43、44、53)出口の一次冷却水の一部は、脱塩塔の出口配管に設けられた取出口からバルブおよび導出出口(38、39、47、48、55)を経由して、管理区域内の試料採取室にあるサンプルフード内に導かれ、一次冷却水中のポリスチレンスルホン酸量の測定装置、例えば、分光光度計を使用して、一次冷却水の紫外線吸収値を測定し一次冷却水に含まれるポリスチレンスルホン酸量を求め、それによりスルホン酸型陽イオン交換樹脂の酸化劣化度合を評価する。
【0016】
一次冷却水の紫外線吸収値の測定としては、例えば、サンプルフード内で採取した一次冷却水4mlを10mmの石英セル、または、一次冷却水10mlを50mmの石英セルに入れて、分光光度計によりUV225nmの吸収値を測定する方法がある。そして、既知のポリスチレンスルホン酸濃度の溶液を使用して求めた吸光度検量線により、得られた紫外線吸収値のポリスチレンスルホン酸量を求める。
【0017】
本発明で使用される分光光度計として、市販の分光光度計が使用でき、例えば、(株)島津製作所製分光光度計「UV−160A」、紫外可視分光光度計「UV−1600」および日本分光(株)製紫外可視分光光度計「V−530」が挙げられる。
【0018】
本発明者等は、数多くの実験により、スルホン酸型陽イオン交換樹脂の酸化程度の増加に伴い、スルホン酸型陽イオン交換樹脂から溶出されるポリスチレンスルホン酸量が増加すると共に、スルホン酸型陽イオン交換樹脂のイオン交換容量が減少すること、および、イオン交換容量とポリスチレンスルホン酸量から算出したポリスチレンスルホン酸溶出速度とが一定の関係にあることを見出した。
【0019】
そして、イオン交換容量とポリスチレンスルホン酸溶出速度との予め実験的に求められた関係式に基づき、加圧水型原子力発電プラントの一次冷却水系の脱塩塔に使用されているスルホン酸型陽イオン交換樹脂の残存するイオン交換容量が、測定された脱塩塔出口の一次冷却水の一部に含まれているポリスチレンスルホン酸量から求めることが出来る。そして、得られたイオン交換容量から脱塩塔に充填されているスルホン酸型陽イオン交換樹脂の使用限界を予測することが出来るため、従来よりも長期間の通水を可能とすることが出来ると共に使用済みのスルホン酸型陽イオン交換樹脂等の放射性廃棄物の量を低減することが出来る。
【0020】
また、本発明によれば、加圧水型原子力発電プラントの一次冷却水系のスルホン酸型陽イオン交換樹脂が充填された脱塩塔出口の一次冷却水の一部を別の場所に移送した後、当該一次冷却水に含まれるポリスチレンスルホン酸量を測定することにより、一次冷却水系の脱塩塔に充填されており且つ放射性物質が高濃度で吸着しているスルホン酸型陽イオン交換樹脂の劣化度合を評価することが可能となる。そして、ポリスチレンスルホン酸量を測定する分析装置の保守および点検も容易である。
【実施例】
【0021】
以下、循環水の硫酸イオン量およびスルホン酸型陽イオン交換樹脂のイオン交換容量とそれから溶出したポリスチレンスルホン酸量の測定により、本発明で使用するスルホン酸型陽イオン交換樹脂の効果を明らかにする。以下の諸例におけるポリスチレンスルホン酸量およびイオン交換容量の測定は、次の方法で行った。
【0022】
<ポリスチレンスルホン酸量の測定>
サンプル液4mlを10mm石英セルに入れて、(株)島津製作所製分光光度計「UV−160A」によりUV225nmにおける紫外線吸収値を測定した。既知のポリスチレンスルホン酸濃度の溶液を使用して得た吸光度検量線により、ポリスチレンスルホン酸量を求めた。
【0023】
<イオン交換容量の測定>
後述する試験用ガラス製カラムより抜出したスルホン酸型陽イオン交換樹脂を約10ml計り取り、分析用ガラス製カラムに充填し、2N−HCl溶液280mlをSV70の流量で流して再生し、脱塩水1LをSV70の流量で流して洗浄した。次いで、5%NaCl溶液をSV70の流量で流して250mlメスフラスコに受容した。250mlメスフラスコから得られた溶液を50ml正確に計り取り、メチルレッド−メチレンブルー混合指示薬を用いて0.1N−NaOH溶液で滴定した。5%NaCl溶液を流した後の樹脂に脱塩水1LをSV70の流量で流して洗浄し、分析用ガラス製カラムから抜出した後、樹脂の容積(a ml)を正確に測定した。使用した0.1N−NaOH溶液量および樹脂の容積をもとに、式:(0.1N−NaOH(ml)×NaOHの力価×0.1×250/50)/a(ml)によりイオン交換容量を求めた。
【0024】
試験例1:
架橋度が8%のスルホン酸型陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)「ダイヤイオン SKN1」、イオン交換容量1.8meq/ml−樹脂)300mlを水切りした状態でガラスビーカーに入れ、これに4倍量の純水を加えた。次いで、スルホン酸型陽イオン交換樹脂1リットル当り10mgのFe負荷量となるように0.01N−塩化鉄溶液を添加し、Fe3+負荷形のスルホン酸型陽イオン交換樹脂とした。このスルホン酸型陽イオン交換樹脂を試験用ガラス製カラムに充填し、50ppmの過酸化水素溶液50リットルが入っている循環タンクと閉ループ循環ラインを形成した。閉ループ循環ラインに定量ポンプを使用してSV30の流量で過酸化水素溶液を通液した。そして、168時間、335時間、502時間および670時間経過後の循環タンク内の循環液中のポリスチレンスルホン酸量を測定した。別に、スルホン酸型強酸性陽イオン交換樹脂を試験用ガラス製カラムから取出し、イオン交換容量を測定した。結果を表1および表2に示す。
【0025】
試験例2:
架橋度が12%のスルホン酸型陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)「ダイヤイオン USK112」(試作品)、イオン交換容量2.3meq/ml−樹脂)を使用した以外は試験例1と同様にして、循環タンク内の循環液中のポリスチレンスルホン酸量およびスルホン酸型陽イオン交換樹脂のイオン交換容量を測定した。結果を表1および表2に示す。
【0026】
試験例3:
架橋度が14%のスルホン酸型陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)「ダイヤイオン USK114」(試作品)、イオン交換容量2.5meq/ml−樹脂)を使用した以外は試験例1と同様にして、循環タンク内の循環液中のポリスチレンスルホン酸量およびスルホン酸型陽イオン交換樹脂のイオン交換容量を測定した。結果を表1および表2に示す。
【0027】
試験例4:
架橋度が16%のスルホン酸型陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)「ダイヤイオン USK116」、イオン交換容量2.5meq/ml−樹脂)を使用した以外は試験例1と同様にして、循環タンク内の循環液中のポリスチレンスルホン酸量およびスルホン酸型陽イオン交換樹脂のイオン交換容量を測定した。結果を表1および表2に示す。
【0028】
【表1】

【0029】
【表2】

【0030】
上述の表1および表2から、通液時間が長い程、即ち、スルホン酸型陽イオン交換樹脂の酸化程度が大きくなる程、ポリスチレンスルホン酸量は増加し、且つ、残存するスルホン酸型陽イオン交換樹脂のイオン交換容量が減少することが判る。
【0031】
また、図2は、縦軸(Y)をイオン交換容量および横軸(X)をポリスチレンスルホン酸溶出速度として、上述の試験結果のポリスチレンスルホン酸量(mg/L=g/m)から算出したポリスチレンスルホン酸溶出速度(g/m−樹脂・時間)におけるイオン交換容量(meq/ml−樹脂)をプロットした図である。図2から明らかな通り、イオン交換容量とポリスチレンスルホン酸溶出速度とが一定の関係にあり、それは、式:Y=−0.552Ln(x)+3.769で表される。従って、一次冷却水を浄化するスルホン酸型陽イオン交換樹脂から溶出するポリスチレンスルホン酸量を測定することによって、当該スルホン酸型陽イオン交換樹脂の残存するイオン交換能容量を計算することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の加圧水型原子力発電プラントの一次冷却水の浄化ラインを示す概略図である。
【図2】本発明のイオン交換能容量とポリスチレンスルホン酸溶出速度の関係を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
12:原子炉
13:一次冷却材循環ライン
14:蒸気発生器
31:化学体積制御循環ライン
33:混床脱塩塔
34:リチウム除去塔
35:単床脱塩塔
36:体積制御タンク
38、39:導出出口
41:ホウ酸回収ライン
43:単床脱塩塔
44:混床脱塩塔
45:ホウ酸濃縮装置
46:ホウ酸濃縮タンク
47、48:導出出口
53:混床脱塩塔
54:純水タンク
55:導出出口
56:ホウ酸・純水注入ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧水型原子力発電プラントの一次冷却水が流れる化学体積制御系、ホウ酸回収系および使用済み燃料ピット系の脱塩塔に充填されたスルホン酸型陽イオン交換樹脂の性能を評価するに当り、試料採取室にあるサンプルフード内に脱塩塔出口の一次冷却水の一部を導いた後、当該一次冷却水に含まれているポリスチレンスルホン酸量を測定することを特徴とする加圧水型原子力発電プラントの一次冷却水系脱塩塔のスルホン酸型陽イオン交換樹脂の性能評価方法。
【請求項2】
ポリスチレンスルホン酸量とイオン交換容量との関係式を使用して、測定されたポリスチレンスルホン酸量から残存するイオン交換容量を求めることから成る請求項1記載の一次冷却水系脱塩塔のスルホン酸型陽イオン交換樹脂の性能評価方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−194738(P2006−194738A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−6486(P2005−6486)
【出願日】平成17年1月13日(2005.1.13)
【出願人】(000232863)日本錬水株式会社 (75)
【出願人】(000164438)九州電力株式会社 (245)
【出願人】(501331142)九電産業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】