説明

加工されたテープを使用して種々のガスを検出するための波長スペクトル分析に関するシステムおよび方法

【課題】加工されたテープ、可調カラーソース、フォトダイオードおよびプロセッサを含む装置を提供する。
【解決手段】可調カラーソース120は、加工されたテープ140に向かって第1の放射線を発し、スペクトルの各々の複数の異なる目標波長で作用する。フォトダイオード150は、加工されたテープ140から反射される第2の放射線を測定し、プロセッサ110は、目標波長の複数からピークの波長を決定するためにフォトダイオード150から測定値を分析する。ピークの波長に基づいて、プロセッサ110は、加工されたテープ140についたカラーステインの色および暗さを判断する。カラーステインの判断された色および暗さに基づいて、プロセッサ110もタイプおよび加工されたテープ140がさらされるガスの濃度を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、一般にガス検出に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] ガスを測定するために加工されたテープを使用しているガス探知器は、従来技術において、周知である。例えば、加工されたテープを使用しているいくつかのガス探知器は、テープと接触する低濃度ガスを測定できる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
[0003] 周知のガス探知器では、加工されたテープは、例えば、ガス探知器の中にサンプル抽出システムにより分配される目標ガス流に反応する化学的に加工された紙を含むことができる。加工されたテープは、目標ガスがテープと接触する点で、色を変えることによって、ガス流に反応できる。
【0004】
[0004] 異なる種類の目標ガスによって、テープに異なるカラーステインが生じることがありえる。同様に、目標ガスの異なる濃度は、テープについたカラーステインを変えることができる。例えば、目標ガスのより高い濃度は、より暗いステインを生成できる。
【0005】
[0005] ガスの濃度を測定するために加工されたテープを使用している周知のガス探知器は、LEDを組み込んだ。LEDは、調整された強度を有し、テープへ差し向けられる光のソースとして作用する。テープおよびステインからの光の反射は、フォトダイオードで測定されることができる。かくして、ステインの暗さを測定でき、目標ガスの濃度を判断できる。
【0006】
[0006] 加工されたテープを使用している周知のいくつかのガス探知器は、単一の波長LEDを使用するだけだった。単一波長LEDガス探知器は、ガスの1つの特定のタイプによって生じる単一のステインカラーに対して高い感度を有する。すなわち、LEDの波長が、ガスの1つの特定のタイプによって生じる特定のテープ・カラーに関して調整されるので、単一波長LEDガス探知器は、単一の種類のガスを検出するのに非常に高感度である。しかし、これらの単一の波長LEDガス探知器は、他の種類のガスによって、生じるステインカラーに対しては、低減および/または最小の感度を有する。かくして、単一の波長LEDガス探知器は、多数の種類のガスを検出するために低い感度を有する。
【0007】
[0007] したがって、多数の種類のガスを検出するガス探知器が求め続けられている。好ましくは、これらのガス探知器は、可調カラーソースおよび波長スペクトル分析を使用する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】[0008] 図1は、本発明のシステムのブロック図である、
【図2】[0009] 図2は、本発明の方法の工程系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0010] 本発明が多くの異なる形式の実施形態の余地がある一方、この開示が本発明の原則の実例と思われることになっているという了解の下で、本発明の特定の実施形態が図面に示され、本願明細書に詳細に記載される。それは、本発明を特定の例示の実施形態に制限することを目的としない。
【0010】
[0011] 本発明の実施形態は、多数の種類の可調カラーソースおよび波長スペクトル分析を使用してガスを検出するガス探知器を含む。本発明の実施形態では、可調カラー・ソースの波長および強度が調整され、可調カラー・ソースからの光は、加工されたテープに差し向けられる。フォトダイオードは加工されたテープからの反射を測定でき、マイクロプロセッサは、テープにさらされるガスのタイプおよび濃度を判断するフォトダイオードから結果を分析できる。
【0011】
[0012] 例えば、本発明の可調カラーソースは、RGB(赤-緑-青)LEDを含むことができる。本発明の可調カラーソースはまた、別々の赤LED、緑LEDおよび青LEDを含むことができる。
【0012】
[0013] ソースからのネット出力放射線が目標波長に合うように、可調カラーソースはマイクロプロセッサにより制御される。例えば、ソースの各々の赤、緑および青のエレメントの強度は、目標波長でネット出力放射を達成するように調整されることができる。本発明の実施形態では、マイクロプロセッサはソースをスペクトルの各々の複数の目標波長で、別々にまたは同時に出力放射を制御できる。
【0013】
[0014] 本発明の実施形態では、ソース出力の波長は、スペクトル(例えば可視放射線スペクトル)に沿って、ターゲット波長に調整されることができる。ある実施形態では、マイクロプロセッサはほぼ450ナノメートルからほぼ650ナノメートルまで可調カラーソースの波長を調整できる。ソース出力の波長が所望の色スペクトルに沿って各々の目標波長に合ったあと、ソースは色スキャンを完了する。
【0014】
[0015] 本発明によれば、可調カラーソースからの放射線は、光の出所として作用することができて、加工されたテープ上へ差し向けられる。フォトダイオードは、テープおよびその上のステインから反射された放射線を測定できる。実施形態によっては、フォトダイオードは反射された放射線の波長および強度を計量できる。
【0015】
[0016] フォトダイオードは反射された放射線を測定でき、ソースの波長がスペクトルに沿って調整される。このように、フォトダイオードはスペクトルに沿って複数のソース出力波長に対応する複数の測定値を得ることができる。
【0016】
[0017] マイクロプロセッサが、フォトダイオードから測定値を受け取るとき、マイクロプロセッサは、カラーステインの暗さと同様にテープについたステインの色を判断するためにスペクトル走査分析を実行できる。この判断に基づいて、マイクロプロセッサは加工されたテープがさらされたガスのタイプを決定できる。実施形態によっては、マイクロプロセッサはまた、テープがさらされたガスの濃度を決定できる。したがって、本発明のシステム及び方法は、異なる種類のガスの1つの特定のタイプにも、感度を失うことなくガスの存在を検出できる。
【0017】
[0018] 加工されたテープがさらされたガスのタイプを判断するために、本発明のシステム及び方法は、スペクトルのどのソース波長が、テープおよびその上のカラーステインに最も高い感度を有するかについて判断できる。実施形態によっては、テープがさらされたガスの濃度はまた、どのソース波長が最も高い感度を有するかについて判断することで測定することができる。
【0018】
[0019] 最も高い感度を有するソース波長を判断するために、本発明のシステム及び方法は、フォトダイオードから測定のデータ分析を実行できる。例えば、本発明のある実施形態では、システム及び方法は、周波数領域のフォトダイオードから測定の高速フーリエ変換(FFT)を実行できる。FFTの結果は、ガス露出によって生じたカラーステインへの最も高い反応を有するソース波長を表すことがありえる。
【0019】
[0020] 一旦最も高い感度を有する波長が決定されると、本発明のシステム及び方法は、加工されたテープについたステインの対応する色および暗さを識別できる。それから、本発明のシステム及び方法は、テープがさらされたガスのタイプおよび濃度を決定できる。例えば、本発明のシステム及び方法は、識別された波長、関連した色およびステインの暗さ、および、ステインを生じさせるガスの関連したタイプおよび濃度に基づいて識別する相互参照テーブルにアクセスできる。
【0020】
[0021] 可調カラーソースがRGB LEDを含む実施形態では、RGB LED出力の波長は、各々の赤・緑・青エレメントの波長を制御することにより調整されることができる。例えば、各々の赤、緑および青ジャンクションを介した電流の流れは、各々のエレメントの強度を変えるように調整されることができる。3つのジャンクションの波長が拡散するとき、RGB LEDのネット出力は変えることができる。
【0021】
[0022] 本発明のシステム及び方法は、可調カラーソースの実際の出力がソースの目標出力と一致していることを確かめることができる。すなわち、システム及び方法は、ソースにより発される放射線の実際の波長および強度が目標波長および強度出力と整合していることを確かめることができる。例えば、実施形態によっては、目標波長出力が、マイクロプロセッサに格納される光学パラメータを使用して、LEDで駆動される電流と比較され得る。実施形態によっては、カラーセンサは、ソースの実際の赤、緑および青の光学出力を測定でき、システム及び方法は、ソースの混合波長および強度を算出できる。
【0022】
[0023] 実施形態によっては、ソースの実際の出力は、赤・緑・青の各エレメントのための電流および電圧低下を測定することにより検査されることができる。それから、ソースから実際に発される放射線が測定でき、実際のソース出力の波長および強度を測定できる。
【0023】
[0024] 実際の出力が目標出力と整合していないとき、本発明のシステム及び方法は、赤・緑・青各々のエレメントの強度を調整できる。例えば、本発明のシステム及び方法は、ソースの出力を暗くするために赤、緑または青のエレメントのいずれかの出力を暗くすることができる。
【0024】
[0025] 実施形態によっては、ソースの光学パフォーマンスの許容度は、減少する。例えば、ソースの温度が測定でき、光学出力の温度ドリフトはマイクロプロセッサにより補償されることができる。
【0025】
[0026] 実施形態によっては、本発明のシステム及び方法は、可調カラーソースの代わりに白いカラーソースを使用できる。これらの実施形態では、システム及び方法は、例えば、カラーフィルタまたはカメラを使用して可調色検出を使用できる。
【0026】
[0027] 図1は、本発明のシステム100のブロック図である。図1に示すように、システム100は、マイクロプロセッサ110、可調カラーソース120、カラーセンサ130、加工されたテープ140およびフォトダイオード150を含むことができる。本発明のある実施形態では、可調カラーソース120は、RGB LEDを含むことができる。本発明のある実施形態では、いくつかのマイクロプロセッサ110、可調カラー・ソース120、カラーセンサ130、加工されたテープ140およびフォトダイオード150は、ハウジング160にしまわれることができる。
【0027】
[0028] 従来技術の当業者によってよく理解されているように、マイクロプロセッサ110は、非一時的コンピュータ可読の媒体に保存される実行可能な制御ソフトウェア112を含むことができる。マイクロプロセッサ110はまた、メモリ114を含むことができる。実施形態によっては、メモリ114は、内部データベースであってもよく、実施形態によっては、メモリ114は、マイクロプロセッサ110によって、アクセスされることができる外部のデータベースであってもよい。
【0028】
[0029] マイクロプロセッサ110は、可調カラーソース120をスペクトルに沿ってソース120の波長を調整するために制御できる。すなわち、ソースがスペクトルの複数の目標波長で放射線を出力するように、マイクロプロセッサ110はソース120を調整できる。実施形態によっては、マイクロプロセッサ110は可視光周波数域の範囲内でソース120の波長を調整できる。実施形態によっては、マイクロプロセッサ110は順番にまたは同時に異なる波長で放射線を出力できる。
【0029】
[0030] カラーセンサ130は、ソース120により発される放射線を受けることができ、測定できる。次いで、カラーセンサ130は、マイクロプロセッサ110に受け取られる放射線に関連した測定値を送信でき、マイクロプロセッサはソース120によって、実は出力される放射線の波長がソースの目標波長と整合しているかどうか決定できる。目標波長および実際の出力波長が整合していないとき、整合性が成し遂げられるまで、マイクロプロセッサはソース120を調整できる。
【0030】
[0031] 加工されたテープ140は、ガスにさらされる。例えば、加工されたテープ140は、環境の空気にさらされることができ、または、加工されたテープは抽出システムにより分配される気流にさらされることができる。テープ140が、空気およびガスにさらされる方法は、本発明の限定でないと理解されることになっている。
【0031】
[0032] 加工されたテープ140が空気にさらされるとき、空中のガスによって、テープ140にステインが生じることがありえる。異なるガスによって、異なるカラーステインが生じることがあり、ガスの異なる濃度によって、ステイン暗さの異なるレベルが生じることがありえる。
【0032】
[0033] ソースにより発される放射線は加工されたテープ140に差し向けられ、テープ140により反射される放射線はフォトダイオード150で測定されることができる。テープ140についたカラーステインによって反射される放射線はまた、フォトダイオード150で測定されることができる。このように、フォトダイオード150は、テープ140により反射されるいかなる放射線も測定することができ、ステインカラーまたは暗さに関係なくテープ140についたいかなるカラーステインも検出できる。
【0033】
[0034] フォトダイオード150によって得られた測定値は、マイクロプロセッサ110に送信され、マイクロプロセッサ110は、タイプを決定するこれらの測定値およびテープ140がさらされたガスの濃度を分析できる。
【0034】
[0035] 図2は、本発明の方法200の工程系統図である。例えば、本発明(マイクロプロセッサ)の実施形態において、図1に示されるマイクロプロセッサ110は、方法200を実行できる。
【0035】
[0036] 方法200は、210のカラースキャンが完了されたかどうか決定できる。本発明によれば、ソースがスペクトルの範囲内で各々の目標波長で放射線を出力するとき、カラースキャンは完了する。
【0036】
[0037] カラースキャンが完了されなかった場合、次の目標色波長および強度が、ステップ215で選ばれることができる。それから、R/G/B(赤/緑/青)のエレメント強度は、目標波長および強度へのソースの出力波長を調整するためにステップ220のように調整されることができる。これらの調整の後、R/G/B要素流および電圧は、ステップ225のように測定できる。R/G/B光強度は、ステップ230のように捕えられることが可能であり、ステップ235のように実際の色波長および強度を、算出できる。
【0037】
[0038] 方法200は、ステップ240のように、出力カラーが、目標カラーと整合しているかどうか判断できる。そうでない場合には、次いで、方法は、ステップ220に記載のように、R/G/Bエレメント強度を再び調整することができ、ステップ225に記載のようにR/G/Bエレメントの電流および電圧を測定することができ、ステップ230に記載のようにR/G/B光強度を捕えることができ、ステップ235に記載のように、実際の色波長および強度を算出できる。
【0038】
[0039] ステップ240において判断されるように、出力カラーが目標カラーと整合しているとき、ステップ245のように、フォトダイオードからの出力を測定できる。次いで、方法200は、ステップ210のように、カラースキャンが終了しているかどうか、再び判断できる。
【0039】
[0040] ステップ210において判断されるように、カラースキャンが終了しているとき、方法200は、ステップ250に記載のデータ分析を実行できる。ステップ255のように、最も感度が高い波長を決定でき、ステップ260のように、加工されたテープのステインカラーを判断できる。最後に、ステップ265のように、ガスのファミリーおよびガスの濃度を、決定できる。
【0040】
[0041] いくつかの実施形態を上で詳述したけれども、他の変更態様も可能である。例えば、図において表される論理フローは、望ましい結果を成し遂げるために、示される特定のオーダーまたは連続したオーダーを必要としない。他のステップを提供でき、または、記載されているフローから、いくつかのステップを除去でき、記載されているシステムに他のコンポーネントを追加、または、移動できる。他の実施形態は、以下の特許請求の範囲内である。
【0041】
[0042] 上記から、多数のバリエーションおよび変更態様が本発明の精神と範囲から逸脱することなく、遂行されることができる。特定のシステムに関する限定または本願明細書において、例示される方法が意味されないかまたは推定されてはならないと理解される。それは、もちろん、全て特許請求の範囲によって、変更態様をカバーすることを目的とする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工されたテープと、
前記加工されたテープに向かって第1の放射を発光する可調カラーソースであって、スペクトルの複数の異なる目標波長の各々で作用することを特徴とする可調カラーソースと、
加工されたテープから反射された第2の放射を測定するフォトダイオードと、
ピーク波長に基づいて、前記加工されたテープのカラーステインの色及び暗さを判断して、複数の目標波長からピーク波長を判断するためにフォトダイオードからの測定を解析するプロセッサと、
を有する装置。
【請求項2】
前記加工されたテープが、化学的に加工された紙を包含することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記可調カラーソースがRGB LEDを包含することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記可調カラーソースが赤色LED、緑色LEDおよび青色LEDを包含することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記可調カラーソースが白色LEDを包含することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記プロセッサが、複数の異なる目標波長の各々で作用するように前記可調カラーソースを制御することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記スペクトルが、可視放射スペクトルを包含することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記フォトダイオードが、第2の放射の波長及び強度を測定することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記ソースが、複数の目標波長のうちの異なる目標波長にオペレーションを変えるとき、前記フォトダイオードが、第2の放射を測定することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記プロセッサが、ピーク波長を判断するためにフォトダイオードからの測定に基づいて高速フーリエ変換を実行することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記ピーク波長が、加工されたテープのステインに最も感度が高い複数の異なる目標波長のうちの波長に対応することを特徴とする請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記プロセッサが、カラーステインの判断された色に基づいて加工されたテープが晒されるガスのタイプを判断することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記プロセッサが、カラーステインの判断された暗さに基づいて前記加工されたテープが晒されたガスの濃度を判断することを特徴とする請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記可調カラーソースによって発せられる放射を受けるカラーセンサを更に有することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記マイクロプロセッサが、カラーセンサによって受けられた放射の波長とソースの目標波長とを比較し、同じでない場合、前記マイクロプロセッサが前記ソースを調整することを特徴とする請求項14に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−168174(P2012−168174A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−25136(P2012−25136)
【出願日】平成24年2月8日(2012.2.8)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】