説明

加工された筋肉

【課題】本発明の目的は、筋肉インプラントを必要とする宿主に提供することである。
【解決手段】電気エアロゾルの小滴のマトリックスを含む細胞外マトリックス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は筋肉インプラント及び、移植のためにデザインされたインプラントのための細胞外マトリックスに関するものである。このインプラントは、機能障害筋肉組織のための機能的および構造的代替品である。
【背景技術】
【0002】
筋肉の異常は、発達の異常に由来するか若しくは外傷的損傷に由来するか、又はそれ以外の何らかの理由による生命現象の事実である。横紋筋組織の構造的欠陥は、機能的に比較的良性のものから極めて衰弱的な不全までの範囲にわたる。いずれの状況においても、その条件は患者に多くの異なるレベルで影響を与える。例えば、顔の筋肉組織の構造的欠陥は、患者の生存能力にマイナーな影響力をもつであろう。しかしながら、顔の筋肉のマイナーな化粧的欠陥でさえも、実質的な心理学的意味をもつことができる。
【0003】
上記の横紋筋異常に加えて、心臓血管筋肉もまた劣化や疾患をおこす。心臓の先天性奇形もまた一般的である。通常の外科技術は基本的に、健康な心臓に存在する微妙な構造的および機能的関連性を適切に回復させることができない。完全な心臓は、電気信号の秩序ある伝播と心室壁の共同作業的収縮を保障する精巧な三次元的構造を有する。もし心筋が効果的に修復されるべきときには、この三次元的構成は細胞のレベルにまで達していなければならない。
【0004】
機能障害のある骨格筋組織の再構築のためには、極めて少ない別の技術が存在する。そのような組織を組み立てる試みは一般に、骨格筋細胞がコラーゲンのゲルに捕捉されるような実験に限られている。これらの実験において細胞は、コラーゲンゲルの外面上へ播種されるか又はゲルの中へそれが重合されるように文字通り包まれてきた。次いで細胞は、コラーゲンゲルの無作為の「三次元的」環境の中において分化される。これらのコラーゲンゲル中での細胞の分布は、これらの構築における限定的な因子をあらわす。筋肉細胞がコラーゲンゲルの外面上へ播種されたとき、筋肉細胞はゲルの周辺領域上に濃縮されたまま残るのが典型的である。重合が進むコラーゲンゲルの中へ筋肉細胞が直接導入される実験は、一段と密で均一に存在する培養物を与えるが、但しこれらの構築はそれらのインビボ対応物よりも疎なままである。さらに重要なことは、通常の組織培養で生産されるインプラントは、均一な配列や配向を欠如した筋肉細胞から組み立てられている。これらのまばらなインプラントの中での細胞のランダムな性質は、その組織の有用性や通常の筋肉として機能する能力を限定するものである。
【0005】
インプラントをデザインするときに留意すべきその他の制約は、インプラントの機械的な安定性である。インプラントは、手動の操作や外科的な手法や本来の組織の機械的環境に耐えるに充分な構造的完璧性がなければならない。本来の骨格筋はインビボで、筋肉を区画しかつ組織構造を補強する密な結合組織の複数の層によって囲まれていなければならない。インビトロでのこのような配列の特定構造を模倣することは困難なことである。何故ならば、如何に密に包んだ材料でも、細胞から出てゆく栄養物の拡散、酸素の移動、そして代謝廃棄物の除去を制限する傾向があるからである。たとえばポリエステルメッシュのような人工的材料から作った成分が、弾力性の実質的部分を保持させるようにされる一方、培養物の強度を増大させるために首尾良く使用されている。しかしながらインプラントへの合成材料の組み込みは、インビボでの炎症反応を起こさせる可能性を増大させ得るものである。
【0006】
心臓組織は、密な結合組織を欠如している。しかしながら心臓の筋肉細胞は、複雑な格子
に構成されている。心臓の個々の筋肉組織は、棒状の細胞形状をもっている。それらは骨格筋のように、複雑な三次元パターンで共通の軸に沿って配列している。心臓の各細胞は、基底膜で構成されており、コラーゲン原繊維の複雑なマトリックスでその近辺と相互に結合している。心臓の中の細胞層の三次元パターンは、電気信号の整然とした伝播と心室壁の共同作用収縮に重要なものである。
【0007】
平滑筋は、多くの中空器官の支持体を囲んでいる。例えば消化器においては、それは胃や腸管を囲んでいる。この筋肉の収縮は食物を混合させ、消化器官に沿って進ませる。心臓血管系において平滑筋細胞は、動脈や大きな血管の壁を囲んでおり管の内径を調節する機能をもっている。平滑筋は、骨格筋や心筋の細胞の分布のように、概ね均一な細胞の形状や格子を欠如している。しかしながら平滑筋の細胞は、延びた二極性の細胞形をもっている。個体群として、それらは重複する一連の細胞層の中での類似の軸に沿って構成されている。この構成パターンは、平滑筋を複雑なパターンに収縮する力を与える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって、本発明の目的は上述の欠点を克服し、筋肉インプラントを必要とする宿主に提供することである。インプラントは、既存筋肉の増大、筋肉欠陥の矯正または機能障害性筋肉組織の機能および構造の置換を含む多種多様な方法で使用できる。本発明はさらに、筋肉インプラントを製造する方法を含む。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ある実施態様において、筋肉インプラントは電気紡績繊維で作成された細胞外マトリックスとマトリックス上に配置された筋肉細胞を含む。別の実施態様では、筋肉インプラントは筋肉を支持するための電気紡績繊維で作成されたの細胞外マトリックス、押出繊維で作成された腱および細胞外マトリックス上に配置された筋肉細胞層を含む。筋肉細胞層は多層にすることができる。他の変形では、電気紡績繊維を架橋させてもよい。またコラーゲンの配向層を、筋肉細胞がコラーゲン配向層の上に配置されるように、細胞外マトリックス上に形成させることもできる。
【0010】
別の実施態様において、本発明は電気紡績繊維のマトリックスを含む筋肉を支持するための細胞外マトリックスを含む。マトリックスは繊維が架橋されるように架橋剤で処理することもできる。
【0011】
本発明は、細胞外マトリックスを形成するために、ポリマー繊維が基材に効率的に形成する条件で、電気的に荷電されたポリマー溶液をアースされた標的基材上に押出することを含む、細胞外マトリックスを製造する方法も含む。押出ポリマーは3次元マトリックスを形成することがある。細胞外マトリックスはさらに、その上に形成された整列コラーゲン繊維のゲルを含んでもよい。
【0012】
別の実施態様において、本発明は、電気的にアースされた基材を準備することによって、筋膜鞘を形成する方法を含む。コラーゲン溶液の貯蔵器がさらに準備され、該貯蔵器はコラーゲン溶液を貯蔵器から流出させるオリフィスを有する。コラーゲン溶液は電気的に荷電され、次に基材上に流出して筋肉筋膜鞘を形成する。
【0013】
また別の実施態様において、本発明は筋肉細胞を細胞外マトリックス上に層状に重ねる方法を含む。本方法は、細胞外マトリックスを準備し、次に回転する壁面バイオリアクターの内側に細胞外マトリックスを置くことを含む。筋肉細胞を含む培地をバイオリアクター内に装填する。次に、筋肉細胞が細胞外マトリックスに付着するまでバイオリアクターを運転する。あるいは、筋肉細胞が細胞外マトリックスに付着して複数の層を形成する。
【0014】
本発明の別の実施態様には、電気エアロゾルの小滴のマトリックスを含む細胞外マトリックスが含まれる。小滴は、電気的に荷電されたオリフィスから、アースされた基材に放出されて、マトリックスを形成する。該マトリックスは小滴が架橋されるように、架橋剤で処理することもできる。加えて本発明は、細胞外マトリックスを形成するために、ポリマー小滴が基材上に効率的に形成する条件下で、電気的に荷電されたポリマー溶液をアースされた標的基材上に流出させることを含む、細胞外マトリックスを製造する方法を含む。ポリマー小滴は3次元マトリックスを形成する。細胞外マトリックスはさらに、その上に形成された整列コラーゲン繊維のゲルを含む。
【0015】
なおさらに、本発明は、周囲に人工血管が形成される心棒を準備することを含む、人工血管を形成する方法を含む。細胞外マトリックスは、ポリマー繊維を心棒の周囲に規定のピッチでらせん状に巻きつけることによって形成する。筋肉細胞は次に、細胞外マトリックス上に形成させる。この方法はさらに、心棒周囲に複数の細胞外マトリックス層を形成することを含む。さらに、心棒は円筒状であるか、規定の血管形状である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】繊維の電気紡出マトリックスの走査電子顕微鏡写真である。
【図2A】2A及び2Bは電気紡出器具および回転する壁面バイオリアクターを含む電気紡出装置の概略図である。
【図2B】2A及び2Bは電気紡出器具および回転する壁面バイオリアクターを含む電気紡出装置の概略図である。
【図3】整列コラーゲンの薄いゲルの走査電子顕微鏡写真である。
【図4A】4A及び4Bは整列コラーゲンゲル上とランダムコラーゲンゲル上それぞれに形成された筋肉細胞の走査電子顕微鏡写真である。
【図4B】4A及び4Bは整列コラーゲンゲル上とランダムコラーゲンゲル上それぞれに形成された筋肉細胞の走査電子顕微鏡写真である。
【図5A】5A及び5Bは筋肉インプラントの製造方法を示す概略図である。
【図5B】5A及び5Bは筋肉インプラントの製造方法を示す概略図である。
【図6】ある型の肥大機構の概略図である。
【図7】ポリマー流が方向付けられる形式の概略図である。
【図8】電気エアロゾルPGA/PLA(50/50)骨格の外部表面の走査電子顕微鏡写真である。
【図9】18ゲージ針上に作成された電気エアロゾルPGA/PLA(50/50)骨格の断面図の走査電子顕微鏡写真である。
【図10】18ゲージ針上に作成された電気エアロゾルPGA/PLA(50/50)骨格の中央壁の断面図の走査電子顕微鏡写真である。この図は、図9に示した同じ作成物を高倍率で拡大したものを示す。
【図11】18ゲージ針上に作成された電気エアロゾルPGA/PLA(50/50)骨格の内腔表面の走査電子顕微鏡写真である。
【図12】人工血管の1つの実施態様の作成に使用する5個の異なる層の概略図である。
【図13】人工血管の製造に使用する巻き付け装置を示す。
【図14】薄壁管を備えた心棒の概略図である。
【図15】心棒ホルダーと心棒の概略図である。
【図16】管コネクタ、管およびポリカーボネート壁より成るバイオリアクターの概略図である。
【図17】生体模倣人工血管の断面の走査電子顕微鏡写真である。
【図18】生体模倣人工血管外部表面に播種した配向平滑筋細胞を示す走査電子顕微鏡写真である。
【図19】生体模倣人工血管外部表面に播種した配向平滑筋細胞を示す走査電子顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
加工された筋肉インプラントは、1つまたはそれ以上の下記の構成要素を含むことが可能である。これらは加工された細胞外マトリックス、加工された腱および加工された筋肉細胞である。各構成要素は、それぞれ詳細に説明し、次にそれらの組成について組合せて説明する。
A.加工された細胞外マトリックス
【0018】
正常なヒト組織において、筋肉は、我々が細胞外マトリックスと呼ぶ外部保護被覆に収容された配向筋肉細胞の束である。骨格筋では、この外部被覆は筋膜鞘と呼ばれる。筋膜鞘は、骨格筋に形と支持を与える。筋膜鞘は、筋肉の完全性を維持する細胞外マトリックスまたは骨格である。平滑筋および心筋も細胞外マトリックスに支持される。平滑および心組織の細胞はどちらも、コラーゲン原繊維の網目によって相互接続されている。平滑筋には規定の筋膜鞘がない。心臓表面全体は、心膜と呼ばれる、コラーゲンより成る結合組織の硬い外部被覆内に収容されている。
【0019】
別の種類の細胞外マトリックスは、神経ガイドである。神経ガイド(または神経誘導路)は管状構造の小さな穴であり、再生軸索の誘導を補助するために、供給された神経セグメントの遠位および近位スタンプの接続に使用される。神経ガイドによって、軸索のさらに直接的な再連結、再生のための直接ルートが与えられ、軸索が脇へそれ、場合によっては再連結しないランダムな成長を防止する。神経ガイドは、軸索の再生を補助/促進すると同時に、瘢痕組織/周囲組織の内殖を防止する、制御環境も内腔(索軸スタンプから放出された向神経活性分子)内に与える。瘢痕組織/組織内殖は、軸索再生を明らかに阻害/防止する。
【0020】
本発明の加工された細胞外マトリックスは、骨格筋、平滑筋および心筋の要件を満足するようカスタム作成することができる。好ましい実施態様において、細胞外マトリックスは、基材上に直接マトリックスを形成するために;または、基材若しくはフォーム(型)、またはRCCSバイオリアクター(Synthecon)の中央シリンダーなどの他の表面に誘導されるようにマトリックスを形成するために、電気紡績ポリマー繊維または電気エアロゾル化ポリマー小滴(合成または天然)によって製造される。
【0021】
低剪断性、高栄養灌流環境を与えるように設計された、多数の各種バイオリアクター、装置が市販されている。最近まで、利用可能なバイオリアクターは細胞を懸濁液中に保持して、インペラまたは他の撹拌手段を用いて、散布によって栄養分と酸素を送達した。RCCSバイオリアクターは回転壁バイオリアクターである。これは大型の外部シリンダー内に配置された、小径シリンダー、すなわち電気紡績加工用の基材より成る。電気紡績または電気エアロゾルマトリックスは、内部シリンダー上に製造できるが、播種用マトリックスの配置には、バイオリアクター内の他の位置も使用されることがある。内部および外部シリンダーのギャップは、細胞の培養容器スペースとなる。培地は外部疎水性膜を介して酸素処理される。Synthecon RCCSバイオリアクターの低剪断性環境は、激しい撹拌または散布時に起きる損傷または栄養素の「洗い流し」を生じることなく、細胞−細胞および細胞−細胞外マトリックス(ECM)相互作用を促進する。通常、RCCS装置は、細胞を懸濁液中に維持するために必要な8−60RPMの回転速度で運転され、容器の中央軸に沿って固定された培養物の場合は8RMP以下(好ましくは2−3RPM)で運転される。Syntheconバイオリアクターは、標準組織培養インキュベータで使用できる。
【0022】
1.電気紡績細胞外マトリックス 電気紡績プロセスを用いて、配向および/または非配向ポリマー繊維の高密度マット上のマトリックスを作成することができる(図1)。「電気紡績」とは、電気的に荷電されたポリマー溶液または溶融物をオリフィスから流出させて、溶液または溶融物から繊維を作成するプロセスをいう。電気紡績は、繊維織物(連続マルチフィラメント)の超薄層や物質の高密度マットを製造するために、織物業界で使用されてきた。この技法によって作成したポリマー繊維は、直径40〜500ナノメータの範囲である。電気紡績によって作成した織物の機械的特性(すなわち強度)、多孔率、重量は、加工条件、製造プロセスで使用する材料、形成材料の厚さを調整することによって制御できる。Gibson, P. W., et al., Electrospun Fiber Mats:Transport Properties, 1988 AIchE J.;Deshi, J., et al., Eletrospinning Process and Applications of Eletrospun Fibers, 1996 J. Electrostatics 35:151。
【0023】
本発明による電気紡績繊維の細胞外マトリックスは同様に作成できる。いかなるポリマーも使用できるが、コラーゲン繊維のような天然ポリマー細胞を電気紡績することが好ましい。各種の効率的な条件を使用して、コラーゲンマトリックスを電気紡績することができる。以下は好ましい方法の説明であるが、同じ結果を得るために他のプロトコルに従うこともできる。コラーゲン繊維の電気紡績について、図2Aおよび2Bを参照すると、マイクロピペット10をコラーゲン溶液で満たし、RCCSバイオリアクターの中央シリンダー内に配置された、たとえば、金属接地スクリーンなどのアースされた標的11上に懸濁する。細いワイヤー12を溶液中に入れ、各ピペット先端13内のコラーゲン溶液に高電圧を加える。各溶液および器具構成ごとに決めた規定の電圧で、ピペット先端内に懸濁したコラーゲン溶液をアースされた標的に向ける。コラーゲンのこの流れ14によって、連続フィラメントが生じ、アースされた標的に到達した時点で集合および乾燥して、コラーゲン(織物)の3次元構造の極細、相互接続マトリックスを生成する。このプロセスに関係する電流は最小限であり、処理中のコラーゲン溶液における温度上昇が予測されないため、流出プロセスによってコラーゲンが変性しない。
【0024】
2.電気エアロゾル細胞外マトリックス 電気紡績プロセスと同様に、電気エアロゾルプロセスを用いて、ポリマー小滴の高密度マット状マトリックスを作成できる。「電気エアロゾル」とは、電気的に荷電されたポリマー溶液または溶融物がオリフィスから流出することによって、溶液または溶融物から小滴が生成するプロセスをいう。電気エアロゾルプロセスは、電気エアロゾルプロセスが処理中により、低濃度のポリマーを使用する電気紡績プロセスの変形例である。スプレーノズルの荷電チップにおいてポリマースプレー(繊維)を作成する代わりに、小さな小滴を生成する。これらの小滴は次に、荷電チップからアースされた基材に移動して、すべて直径約10ミクロン未満の溶融ポリマー小滴より成る、スポンジ状のマトリックスを生成する。図8〜11は、50:50PGA/PLA細胞外マトリックスの電気エアロゾルマトリックスの走査電子顕微鏡写真である。
【0025】
上述した電気紡績プロセスと同様に、電気エアロゾルプロセスは、各種の有効な条件を使用して実施できる。電気エアロゾルプロセスでは、たとえば図2Aおよび2Bに示す、電気紡績プロセスで使用したのと同じ装置を使用する。電気紡績との違いとしては、マイクロピペット貯蔵器内の溶液中に加えたポリマーの濃度および/または小滴流の作成に用いる電圧が挙げられる。ポリマー溶液の濃度変化により、ピペット先端からの小滴生成および小滴流を得るための特定の電圧を変更する必要があると当業者は明らかに分かるだろう。
【0026】
3.電気紡績/電気エアロゾルプロセスの変形 電気紡績および/または電気エアロゾルマトリックスを作成するには、各種ポリマーを単独で、または組合わせて使用できる。好ましい実施態様において、コラーゲンを用いて細胞外マトリックスを作成する。タイプIからタイプXIVを含め、適切などのコラーゲンも使用できる。好ましい実施態様におい
て、タイプIおよびIIIが使用される。コラーゲンは市販品を利用するか、当業界で既知の方法に従って調製できる。
【0027】
電気紡績または電気エアロゾル溶液に、各種の物質を補充することができる。望ましい生成物をコード化するDNA(ベクター)を、組織−加工された骨格内に包含させるために、ポリマー溶液に混合することができる。播種細胞による骨格の消費/再構成時に、ベクターをDNA内に組込み(すなわち遺伝子組換え)、望ましい影響を引き起こすことがある。DNAは、細胞への吸収を効率的に向上させるどんな形でもよい。たとえば、そのまま(たとえば米国特許第5,580,859号;第5,910,488号)または複合若しくはカプセル化(たとえば米国特許第5,908,777号;第5,787,567号)でもよい。DNAの添加と同様に、組織再生を補助するために、成長因子、または血管新生促進因子などの他の化学走性性因子(ケモタキシン)を電気紡績または電気エアロゾルマトリックス内に組込むことができる。
【0028】
電気紡績または電気エアロゾルプロセスは、任意の用途について特定の要件を満足するように操作できる。マイクロピペットを、アースされた基材に対してx、yおよびz平面で移動するフレームに取り付けることができる。マイクロピペットは、アースされた基材、たとえば管状心棒の全周に取り付けられることがある。このようにして、マイクロピペットから流出するコラーゲンまたは他のポリマーを、特定して狙ったり、模様をつけることができる。マイクロピペットはほぼ手動で移動できるが、マイクロピペットを取り付けるフレームはマイクロプロセッサと、特定のマトリックスを作成する人によって、流出するコラーゲンのパターンを事前決定できるようにするモータによって制御されることが好ましい。たとえばコラーゲン繊維または小滴を特定の方向に配向させて、層状にしたり、完全に無作為および無配向になるようプログラムすることができる。
【0029】
電気紡績プロセスにおいて、ポリマー流を分岐させて、ポリマーの原繊維を作成することができる。分岐の程度は、限定されるわけではないが、電圧、アース幾何構造、マイクロピペット先端から基材までの距離、マイクロピペット先端の直径、ポリマー濃度等の多くの要素によって変更できる。これらの変数は、電気紡績マイクロファイバー繊維織物業の当業者に周知である。
【0030】
アースされた標的の幾何構造は、望ましいマトリックスを作成するために変更できる。好ましい実施態様において、回転する壁面バイオリアクターを使用する。アースされた標的は、電気紡績または電気エアロゾルプロセスにおいて内部シリンダーの内部に適合するシリンダーである。アース幾何構造の変更、たとえば平面状または線状または多点アースさせることによって、流出コラーゲンの方向を特定の用途に合わせて変更・カスタマイズさせることができる。たとえば、一連の平行線を含むアースされた標的を用いて、電気紡績コラーゲンを特定方向に配向させることができる。アースされた標的は円筒状心棒でもよく、この場合は管状マトリックスが形成される。アースは、内部にプログラムされた特定のアース幾何構造を指示するマイクロプロセッサによって制御できる、可変表面であることが最も好ましい。あるいはたとえば、コラーゲンを流出する静止マイクロピペット先端に対してx、yおよびz平面に移動するフレームにアースを取り付けてもよい。図2Bのアースされた標的11は、縦軸に沿って振動できるように示されている。
【0031】
コラーゲンを流出させる基材はアースされた標的そのものでもよく、あるいはマイクロピペット先端とアースされた標的の間に配置することもできる。基材は特定の形状の筋肉と置換または交換するために、たとえば心臓またはその一部または移植片血管の形など、特定して成形することができる。
【0032】
基材形状の修正、電気紡績または電気エアロゾルポリマーの特定方向および密度のプログ
ラミングによって、作成される特定の用途のために、非常に複雑な筋肉パターンを複製して特定の筋肉形状を形成することができる。あるいはたとえば、コラーゲンを事前に選択した形で流出できる。マトリックスの厚さおよび属性を事前に選択して、軟骨、象牙質充填物または他の類似する人工器官を作成できる。この種の用途の例を図7に図示する。
電気紡績および電気エアロゾルのその他の変形としては以下が含まれる:
1.2つまたはそれ以上の異なる繊維または小滴を同時に作成するために(マトリックス繊維または小滴配列)、異なる溶液(たとえばコラーゲンIおよびIII)を使用すること。この場合、1種類の成分溶液を個別の貯蔵器に保持することができる。
2.複数のポリマーより成る繊維または小滴を作成するために(繊維組成物「ブレンド」)、混合溶液(たとえばコラーゲンIおよびIII)を同一貯蔵器で使用すること。たとえばPVA、PLA、PGA、PEOなどの非生体であるが生体適合性のある物質は、コラーゲンなどの生体分子と混合することができる。
3.異なる溶液または同一の溶液にさえも適用される複数の電位を使用すること。
4.2つまたはそれ以上の異なる幾何構造的にアースされた標的を用意すること(たとえば小および大メッシュスクリーン)。
【0033】
これらの変形は全て、多種多様な電気紡績および電気エアロゾル細胞外マトリックスを作成するために、個別でも相互に組合わせてもよい。
【0034】
さらに、電気紡績および電気エアロゾルポリマーの両方を含むマトリックスを作成することができる。言い換えれば、繊維および小滴の組合せは、模倣する特別な構造によりみられる用途によっては有利である。繊維と小滴のこの組合せは、電荷を変化させて;アースされた基材からの距離を変化させて;貯蔵器内のポリマー濃度を変化させて;一部は流出繊維用、その他は流出小滴用の、複数のマイクロピペットを使用して、同じマイクロピペットと溶液を用いることによって;または当業者が考える方法のその他変形によって得られる。繊維および小滴は層にするか、ともに混合して同一層にしてもよい。電気紡績および電気エアロゾルの考えられる組合せは、実質的に無制限である。
【0035】
電気紡績および電気エアロゾルマトリックスの安定性、剛性および他の属性は、化学修飾の程度により調節できる。電気紡績または電気エアロゾルマトリックスは、未修飾状態で使用されるか、特定の用途の要件に従って修飾される。マトリックスへの修飾は、電気紡績または電気エアロゾルプロセスの間か、形成させた後に行える。カルボジイミドEDC(1−エチル−3(3ジメチルアミノプロピル))、カルボジイミド塩酸、NHS(n−ヒドロキシスクシンイミド)などの架橋剤、またはUV光を使用して、たとえばタンパク質分解攻撃に対する筋膜鞘を安定化させる、および/またはコラーゲンゲルの安定性を向上させることができる。たとえばVan Wachem, et al., 1996 Myoblast seeding in a collagen matrix evaluated in vitro, J. Biomedical Materials Res. 30:353-60を参照。
【0036】
4.人工血管の生体模倣 製造可能な加工された細胞外マトリックスおよび/または加工された筋肉(溶媒成分)の1つの種類は人工血管である。人工器官が、置換される動脈または他の血管または分岐を生体模倣すれば、正常な人工器官が最もうまく完成する。この人工器官を作成する鍵のひとつは、人工器官の骨組となる細胞外マトリックスの方向と成層である。
【0037】
人工血管は、コラーゲンゲルおよび/または電気紡績または電気エアロゾルポリマーのマトリックス中のらせん状の細いコラーゲン繊維(<150μm)を含む。いかなるポリマーも使用できるが、天然ポリマーが好ましい。電気紡績PLAファイバーを用いた具体例では、電気紡績繊維のマトリックスが細い心棒の周囲に形成される。コラーゲン繊維は次に、電気紡績繊維のマトリックス周囲に(埋め込まれて)らせん状に巻きつけられる。コラーゲン繊維と電気紡績マトリックスの複合材は、本来の動脈に見られるのと同様の残留
応力環境を生成する。多層になったらせん状の繊維および電気紡績マトリックスは、置換される特定の脈管構造を模倣するように特定のピッチで配向した多層人工器官の各層と組成することができる。特定の用途によっても、層の数と厚さが決定される。小径の動脈を構築するためのある実施態様では、各層は円筒状で、それぞれコラーゲン小繊維束/平滑筋細胞構造が可変ピッチで巻きつけられている(らせん配置で)(図12は5層人工器官を示している)。コラーゲンと細胞成分から血管作成物を開発しようとする歴史的試みはすべて、2つの理由で失敗してきた:1) コラーゲンが平滑筋細胞を含むゲルの形で添加され、(特定の方向ではなく)固体心棒周囲に形成させられる;2)手順が静状態で維持されていた。
【0038】
各層を構成するポリマー(好ましくはコラーゲンおよび/または他の天然ポリマー)は、本明細書で述べるように電気紡績および/または電気エアロゾル技法を用いて配向させることができる。あるいは、実施例4で述べるように、繊維を特定のピッチで心棒周囲に機械的に巻き付けることによって、心棒上に層が形成される。またあるいは、機械巻き付けおよび電気紡績/電気エアロゾルの組合せを用いて、細胞外マトリックスを組成することもある。
【0039】
人工器官のポリマー繊維の機械巻き付けは、続いて細胞外マトリックスに播種される筋肉細胞に予期せぬ影響を及ぼすことがわかっている。巻き付けポリマー(コラーゲン)の残留応力によって、らせん状に巻き付けられたポリマーの方向に筋肉細胞の成長を促進するエネルギーが人工器官内に生じる。この残留応力は、天然の動脈に見られる実際の応力も模倣する。図17−19は、マトリックスと巻き付け繊維の複合材を示すとともに、人工器官上に播種した筋肉細胞の方向も示す。
【0040】
また、実施例4で述べる具体的実施態様は、単純な管状の移植片血管に関する。テーパー状および/または分岐した血管を含むさらに複雑な形状も作成できる。必要なのは、太い繊維を周囲に巻き付けるか、電気紡績/電気エアロゾルポリマーを周囲に配向させるための各種形状の心棒だけである。
【0041】
B.加工された腱 加工された腱、すなわち加工された筋肉を骨に固定する結合組織支柱は、押出コラーゲン繊維または他の適切な材料から組成することができる。コラーゲンはレシピエントの免疫系によって拒絶されにくいため、コラーゲン繊維が好ましい。これらの繊維は、細胞外マトリックスと連係して、筋肉インプラント全体の構造的完全性を安定させるように機能する。加工された腱製造のためのコラーゲン繊維は、既知の方法によって押出しできる。Kato, Y. P. and Silver, F. H., Formation of Continuos Collagen Fibers: Evaluation of Biocompatibility and Mechanical Properties, 1990 Biomaterials 11:169-75;Kato, Y. P., et al., Mechanical Properties of Collagen Fibers: A Comparison of Reconstituted Rat Tendon Fibers, 1989 Biomaterials 10:38-42;およびKemp et al.への米国特許第5,378,469号および5,256,418号。
【0042】
好ましいコラーゲン押出装置は、シリンジポンプ、微小孔管、脱水トラフ、再循環ポンプ、洗浄トラフ、乾燥チャンバ、温熱乾燥機およびコラーゲン繊維巻取装置を含む。シリンジは脱気コラーゲンで満たし、シリンジポンプ上に取り付ける。次にコラーゲン溶液を、微小孔管を通じてシリンジから脱水槽(PBS中のポリエチレングリーコール)に押出す。形成されたコラーゲン繊維は、続いて洗浄槽(リン酸緩衝生理的食塩水、PBS)中に誘導され、乾燥機内の巻取システムに付着される。最初の繊維がいったん形成されて巻取要素に付着されると、プロセスは自動化され、連続的になる。押出装置は約8cm/分の押出速度では、長さ1−10メートル、直径50−250μmの繊維を作成することができる。作成後、走査電子および光学顕微鏡での評価によって、繊維の直径を確認することができる。反応条件の変化によって、重合されるコラーゲン繊維の直径が制御される。加
工されたコラーゲン繊維の物理的特性は、押出材料の組成を調節することによってさらに変更および制御できる。加工された腱の弾性特性は、コラーゲン溶液が押出されるときに組込まれるエラスチン、フィブリンまたは人工材料によって調整できる。コラーゲン繊維は加工されたインプラントにおいて使用する前に、過酢酸滅菌によって滅菌される。
【0043】
C.加工された筋肉細胞 本発明では、細胞培養菌株、形質転換細胞、一次筋肉細胞、胚筋肉細胞、新生児筋肉細胞、胚幹細胞などを含む、あらゆる種類の筋肉細胞でも使用できる。好ましい細胞は、宿主から移植される筋肉内へ取込まれた幹細胞または筋肉細胞(または筋肉前駆体細胞)である。Barrofio, A., et al., Identification of Self-Renewing Myoblasts in the Progeny of Single Human Muscle Satellite Cells, 1996 Differentiation 66:47-57;Blau, H. M. and Webster, C., Isolation and Characterization of Human Muscle Cells, 1981 Proc. Natl. Acad. Sci. 78:5623-27.「一次ミオサイト」という語は、分化する能力を保持し、培養物物中で最少回数継代された宿主動物筋肉から直接得られる筋肉細胞を意味する。そのような細胞は一般に形質転換されない。
【0044】
インプラントで使用される細胞種は、加工された筋肉によって再構成、修復あるいは増大される移植の使用および部位によって変化する。各種の細胞種が使用可能であり、限定されるわけではないが;胚幹細胞、骨髄幹細胞、横紋筋床からのサテライト筋細胞、心筋細胞、平滑筋細胞、筋肉細胞系、形質転換細胞系および一般に作成された細胞系が挙げられる。胎児、新生児および成人組織から分離された細胞が使用される。胎児心臓ミオサイトは、人工心臓の作成に使用できる。C2C12筋肉細胞系の細胞は、骨格筋インプラントの作成に使用できる。長い目で見れば、細胞の製造には、幹細胞個体群(成人または胎児)が理想的な細胞源である。幹細胞は、ほぼどのような種類の細胞(たとえば平滑筋、心筋、骨格筋、軟骨、骨など)にでもなるように作成できるため、本用途には魅力的である。幹細胞は他の細胞源から採取した場合でも免疫反応を引き起こさないため、筋肉インプラントで治療される患者から採取することは可能であるが、採取する必要はない。
【0045】
骨格筋の場合、サテライト筋細胞は、筋肉インプラントを受入れる被験者の適切な目立たない供与部位に由来する。筋肉生検は分離され、結合細胞は切開によって除去される。インプラントを作成するには、筋肉からサテライトまたは他の細胞種を分離するために各種のプロトコルを利用できる。たとえば、プロトコルは以下のとおりである。分離筋肉組織は細かく刻み、トリプシン−EDTA消化(または他の適切な酵素)によって、絶えず撹拌しながら単一細胞懸濁液中で分離させる。酵素による分離手順が終了したら、消化媒質に10%血清を加えて失活させる。細胞懸濁液は遠心分離によって洗浄し、サンプルは今後使用するために液体窒素中で保存する。分離細胞の残りは、フローサイトメトリーによって、または吸着差によって、又は免疫分離法によって、サテライト細胞中で濃縮した。フローサイトメトリーを用いると、細胞をサイズによって、細胞サイクルステージによって、または標識されている場合は細胞表面マーカーによって分離できる。吸着差では、細胞を短いインキュベーション時間の間、培養容器に入れることにより、汚染線維芽細胞を溶液から除去し、その結果、サテライト細胞中の残りの細胞個体群が濃縮する。吸着差の間隔を長くすると、汚染デブリおよび筋肉細胞から精製できるようにするために、サテライト細胞の播種に使用できる。筋原性サテライト細胞を含む濃縮細胞画分は、液体窒素中で−70℃にて保存できる。サテライト細胞の分離および精製に用いた技法とは無関係に、サンプルを解凍し、培養容器にプレーティングして、筋原性ポテンシャルについてアッセイする。分化される能力のある細胞ロットは、筋肉インプラントの作成に使用する。部分精製の後、たとえば、細胞をコラーゲンコートした皿にプレーティングし、粘着細胞が筋肉細胞の特性を示すかどうかを観察して、筋原性ポテンシャルについてクローンをアッセイする。
【0046】
一次細胞分離による候補クローンは、インプラント作成に十分な数の細胞を蓄積するため
に、10〜15%血清を含む適当な培地にて希薄培養条件(すなわち低細胞密度)にて培養する。十分な数の細胞が得られたら(作成するインプラントのサイズによって変わる)、人工筋肉を組成するためにバイオリアクター内への挿入準備を行う。バイオリアクター内での筋肉細胞分化は、血清含有率の高い培地(10〜15%血清)を低含有率の培地と交換することによって誘起できる。
【0047】
作成された筋肉で用いられた細胞は、遺伝子操作をただちに行うことができる。たとえば、遺伝子コード化血管新生促進因子、成長因子または構造性タンパク質は、分離細胞中に組込むことができる。これは筋肉組成作成の前、最中、後に行うことができる。有用な遺伝子としてはたとえば、VEGF、FGFおよび関連遺伝子が挙げられる。遺伝子を細胞に導入する場合、アデノウィルスなどのウィルスベクターを含むいかなる方法も使用可能であり、DNA、プラスミドなども使用できる。
【0048】
D.加工された骨格筋インプラントの組成 筋肉インプラントは、3種類の異なる構成要素、すなわち細胞外マトリックス、加工された腱および筋肉細胞個体群を含む。上述したように、コラーゲン繊維または他の生体適合性材料のマトリックスより成る細胞外マトリックスは、RCCSバイオリアクター(または適切な代用品)の内部シリンダーの外部表面上に作成される。この繊維マットの構造特性は、作成される繊維の直径、反応で使用される材料の相対濃度(たとえばタイプIまたはタイプIIIコラーゲンの濃度、または他の包含材料の濃度)、他の反応条件によって調節される。
【0049】
1つの好ましい実施態様において、コラーゲンの薄いゲルマトリックスまたは他の適切なマトリックス材料を細胞外マトリックスの表面上に貼って、筋肉細胞の吸着、分化および/または配列を促進することができる。ゲルマトリックスは、電気紡績、スプレー、浸漬、散布、滴下などを含むあらゆる適切な方法で付着させることができる。Simpson, et al., Modulation of Cardiac Phenotype in vitro by the Composition and Organization of the Extracellular matrix, 1994 J. Cell Physiol. 161:89-105。好ましい実施態様において、薄いゲル中のコラーゲン繊維は、共通軸に沿って整列される。たとえば、整列マトリックスは、RCCSバイオリアクターの中央シリンダーコアをコラーゲンの電気紡績コーティングを用いて、縦方向にコラーゲンの氷冷中性原液(1mg/ml)(タイプIまたはタイプIIIまたはその混合物)に浸漬して作成できる。非常に短い間隔(1−3秒)をおいてから、シリンダーを原液から取り出し、過剰なコラーゲンを重力によってシリンダー末端から排出させる。シリンダーの方向は、このプロセスの間、一定、すなわちシリンダーを浸漬するコラーゲン溶液に対して垂直に維持する。これにより過剰なコラーゲンがシリンダーの長軸から排出する。次にシリンダーをたとえば37℃に設定したインキュベータ内に置いて、コラーゲンをたとえば60分またはそれ以上重合させる。重合完了後、整列したコラーゲン繊維をその下にある筋膜鞘に達するまで乾燥させる。この手順によって、シリンダーが排出する軸に沿って配列された整列コラーゲン原繊維の薄層が生じる。図3を参照。たとえば、上述の電気紡績システムを用いて、またはコアをコラーゲン溶液に浸漬した後に遠心分離を用いて、コラーゲンを整列させる他の方法も使用できる。コラーゲンの整列方法に関わらず、このステップの完了時には、中央RCCSシリンダーは、整列コラーゲンの薄層によって被覆またはコーティングされた電気紡績コラーゲン繊維のマット状コーティング(細胞外マトリックス)を有する。
【0050】
望ましい場合、細胞外マトリックスは、ポリエステルメッシュおよび他の合成材料などの、他の材料も含むこともできる。
【0051】
また上述したように、電気紡績マトリックスが電気紡績プロセスの間に十分に配向している場合は、コラーゲン繊維の薄いゲルは不要となる。言い換えれば、追加の配向コラーゲンゲル薄膜は、コラーゲンまたは他のポリマーの細胞外マトリックス(骨格筋の例におけ
る筋膜鞘)が配向していない場合のみに必要である。
【0052】
続いて直径の大きい、押出コラーゲン繊維(加工された腱)は、整列コラーゲンゲル上に付着させる。インプラントの機械的特性は、このステップで2つの部位において制御される。第1に、押出繊維それぞれの太さとインプラントに付着させたこれらの繊維の数による。第2に、人工器官の長軸に対するこれらの繊維の方向による。これらの繊維を起伏パターンで付着させると、インプラントを多少堅くすることができる。太い繊維は、マトリックスを末端で重複させるだけで、すなわち必ずしも加工された筋肉の全長を通さないでも、マトリックスに付着させることもできる。使用した方向にかかわらず、押出繊維の末端は、インプラントの末端から突出させられる。このステップの完了時に、直径の大きいコラーゲン繊維は整列コラーゲンゲルの繊維に達するまで乾燥させる。インプラントの機械特性をさらにカスタマイズするには、別の製造プロセスを使用できる。たとえば、直径の大きいコラーゲン繊維は、最初に配置され、続いて電気紡績によってコラーゲン繊維が形成され、大直径のコラーゲン繊維の別の層、整列コラーゲンゲルおよびサテライト細胞が続く。この組成プロセスについては、他の順序も可能である。
【0053】
腱線維芽細胞を合成筋肉床と組合わせることによって、腱も原位置で作成することができる。たとえば、腱線維芽細胞は、レシピエント自身の腱から収集することもできる。これらの細胞は、本明細書で述べるように合成された筋肉床の端に配置される。腱はバイオリアクター内で筋肉床によって培養される。腱線維芽細胞は、本明細書の整列基材を使用して、または他の配向方法を使用して、配向するように培養が促される。ある用途では押出腱および培養腱の組合せが望ましいが、この方法を選択すると、本明細書で述べる押出コラーゲン腱は不要になる。
【0054】
作成プロセスの最終ステップでは、加工された筋膜鞘、整列コラーゲンと直径の大きいコラーゲン繊維の重複層を備えた内部シリンダーをRCCSバイオリアクターに装填する。被験者または適合するドナーから分離されたサテライト筋細胞などの筋肉細胞は、チャンバ内に装填され、コラーゲンベースの基材との相互作用を受ける。RCCSバイオリアクターは、非常に低い剪断環境において、豊富な高い栄養を供給するため、本ステップで使用することが好ましい。しかし、他の培養容器を使用することができる。これらの条件下では、複数層(48時間で8〜12層)の整列細胞を含む筋肉細胞培養物を組成することができる。筋肉インプラントの合成では、細胞は懸濁培養物から徐々に消耗され、電気紡績マトリックス上に直接、またはコラーゲンゲルコーティング上のいずれかによって、コラーゲンマトリックス上にプレーティングされて、加工された組織の3次元配置が形成される。さらに細胞層を組成するには、必要に応じて追加のサテライト細胞をバイオリアクターに追加する。望ましい量の細胞を筋膜鞘にプレーティングしたら、たとえば、血清培地に移して、筋管に分化させる。また、人工酸素担体をインビトロで使用して、培養物中の組織または細胞への酸素送達を増加させることができる。人工酸素担体は、筋肉作成時に、サテライト細胞とリアクター内で混合される。これらは基本的に、これらの担体が培養物培地の酸素含有量を増加させるという意味で、赤血球と同様に機能する。
【0055】
細胞を成長させるために、血清および他の未確定成分を含む培地、確定された培地、または、それらの組合せ、RPMIなどを含む、適切な培養培地なら何でも用いることができる。
【0056】
分化プロセスの完了で、骨格筋インプラントは、被験者の再建部位への移植の準備ができる。該インプラントをバイオリアクターの中央シリンダーから取り出す。プロセスのこの段階で該インプラントのサイズおよび厚さを2つの異なるレベルで調整する;第一に、中央シリンダーに組み立てられた細胞層の数によって、第二に、筋インプラントを作るために用いられる組織のシートの大きさによって。この後者の操作には、作成された筋肉を所
望の立体配置に向けてトリミングすること(たとえば、長方形のシートに(図5A))、積層すること、および巻くこと(図5B)が含まれる。あるいは、該加工された筋肉を、たとえば平坦なシートとして、顔面筋の再建のために直接移植する、または積層することができる。中軸骨格の筋床を再建するように加工された筋肉を用いることになっている場合、それは、加工された筋肉21の端部から突き出ている、直径の大きいコラーゲン繊維20を通って、筋膜鞘の末端部を通って、または、これらの方法の組合せを通して、移植部位に結合することができる。
【0057】
該組織が先天性心臓欠陥を再建するか、他の心筋の機能不全領域を修理する、または、顔の表情筋を再建するために用いることになっているならば、フィブリン膠でもって所定場所に縫合する、または貼付することができる。組立てプロセスを変えることによって、心筋または平滑筋の再建のためのインプラントを組み立てることができる。一般的に、主要な修正は、本明細書に記載した、加工された細胞外マトリックスおよび結合性の支柱または腱の相対的なパターンの中にある。心臓の組織および平滑筋は腱を欠く。しかし、直径の大きいコラーゲン繊維の使用が、インプラントに機械強度を与えるためにやはり望ましい。心臓インプラントの場合、大きい繊維は、該インプラントを組み立てる、または操作するためのデリバリシステムとして使用することができる。これらのインプラントの組立への重要な共通の特徴は、有機体のインビボパターンにある細胞から成る多層のインプラントを作る能力である。
【0058】
移植された筋肉組織の血管新生は、手術の数日後その位置で起こる。それはさらに、上述のように、ペプチドとしてまたは遺伝子療法として投与された血管新生促進性かつ成長促進性因子によって刺激されえる。加工された組織に血管供給を提供するもう一つの選択肢は、網に筋肉を一時的に移植することである。網は、加工された組織の支持のためのリビングインキュベータのように、選ばれ、用いられる、広範で豊かな血管の補給量を有する。加工された組織は、バイオリアクターから取り出され、網で包まれ、周囲の組織からの栄養素と酸素の拡散によって支えられる。その代わりに、または、このやり方に加えて、加工された組織を直接網の内因性血管供給部位に繋ぐことができる。血管は、部分的に穴をあけられる、切断される、または単に網から切り離したままに放置されてもよい。ついで、加工された組織を血管のまわりに巻くことができる。加工された組織は、穴を開けた血管から漏れる栄養分によって、または、血管が無傷のままならば、栄養分の単純な拡散によって支えられるだろう。ストラテジーに関係なく、加工された組織は網およびその豊かな血管供給によって囲まれる。内在性脈管系をもつ筋を作成することもまた可能である。この脈管系は、人工血管または被移植者の供与部位から切り取った血管から成ることができる。ついで、加工された組織を血管のまわりで組み立てる。加工された筋肉の組立ての間か後に、そのような血管を筋で包むことによって、加工された組織は、被移植者の脈管系に付着することができる血管を有するであろう。この例では、網中の血管は切断される。加工された筋肉の血管は、網血管の2つの遊離端部に挿入され、結合される。血液は、網の血管から筋の脈管系に流れ、ついで筋を通り抜けて、網の血管に戻る。網に中に組織を包み、それを網の血管に結合することによって、加工された組織は、その作成の間に筋肉に組み込まれた網と血管からの栄養分の拡散によって養われる。適当な期間の後、筋肉は網の「インキュベータ」から取り出され、被移植者の正しい部位に置かれる。この種のストラテジーを使用することによって、加工された筋肉は、バイオリアクターからそれを取り出した後の最初の数日間は栄養分豊かな環境において養われることができる。網の環境も、移植された組織における新しい血管の形成を促進する能力を有する。この網インキュベータストラテジーはまた、先に記載した、他の血管新生ストラテジーと組合わせることができる。
【0059】
上記の加工された筋肉は、いくつかの点で有利である。第一に、インプラントの結合性バックボーン支持体は自然の材料から成る。この材料は低い抗原性能を有し、その構造上の
性質(鞘を生成するために使用される種々のコラーゲンイソ型の相対濃度、使用される繊維の厚さ、およびマトリックス中に存在する化学的架橋の度合いを含むが、これらに限定されない)は多くの異なる部位で調整することができる。次に、インプラントは、インプラントの構造上の性質をさらに修飾し、移植の部位に加工された筋肉を固定する手段を提供するように、大きい直径のコラーゲン繊維を使用する。これらの繊維は、外科縫合糸(>250μm)用の腸線を製造するために用いられる繊維に非常に類似しているが、押出し工程が、繊維直径および従来の腸線(反応条件によって50〜200μm)より直径のはるかに小さい繊維の作成をうまくコントロールすることを可能にする。他のラボからの予備的研究では、ラットにおける腱の産生に、およびラットにおける実験的腹部創傷の修復のための織られたシートの形成に、押出したコラーゲン繊維を使用することの有効性が示されている。大きい直径の、押出したコラーゲン繊維の移植は、これらの実験においてバックグラウンドレベル以上の炎症を誘発しなかった。
【0060】
インプラントを作るために用いた幹細胞または筋肉細胞は、筋肉再建を必要とする被験者または他の代わりうるドナーから単離することができる。これは、それらが再建を必要としている被験者(自己組織)に由来する故に、免疫応答を誘発しない細胞を使用するという明らかな長所を有する。比較的小さい筋肉生検材料を、インプラントを構成する十分な数の細胞を得るために使用することができる。これは、機能的欠損、およびサテライト筋肉細胞のための供与部位として用いられる内因性筋肉組織への損傷を最小にする。
【0061】
この人工筋肉に独特のもう一つの因子は、個々の筋肉細胞およびそれらの三次元配置の形状である。培養組織は、有機体のインビボ様パターンにある共通軸線に沿って配置された筋肉細胞の直線状、三次元アレイから成る。これは、定められた方向に沿って収縮力を生じることができるインプラントを取り付けることを可能にして、機能不全の筋床の構造的および機能的修復を可能にする。この特徴は、損害を受けた筋肉の機械的かつ電気的性質を回復することが必須である心筋において、特に重要である。コラーゲンのランダムゲルの上または中で調製された培養組織は、この一様な配列を欠く。図4A(整列)を図4B(ランダム)と比較してほしい。ランダムな培養組織は、再建における使用には不適当である。なぜなら、それらが、本来の骨格筋の特徴であるはっきりと定義された配向および心臓の個々の細胞層を欠いているからである。本来の筋肉の高度に分極化した性質は、それが、収縮の間に明確な軸線に沿って機械的な力を効果的かつ能率的にかけることを可能にする。この性質はまた、組織を通しての電気的インパルスの伝達を容易にする。
【0062】
インプラントの中で血管の構成要素の生成を促進するために、ストラテジーを実行しなければならない。いくつかのオプションが利用できる。第一に、一旦加工された組織が所定の場に置かれると、血管の構成要素の生成を加速するために、インプラントに血管芽細胞および/または内皮細胞を播種することができる。第二に、浸透圧ポンプによって、加工された組織に血管由来のペプチドを導入することができる。浸透圧ポンプの使用により、生物学的に有効でかつ経済的な方法で活性ペプチドまたは記載した血管由来のペプチドまたは成長因子を直接問題の部位に送達することが可能である。虚血性骨格筋の血管床の実験は、このアプローチの有効性を立証した(ホプキンスら、「虚血のウサギモデルにおける血管内皮成長因子の制御された送達は血管新生を促進し、四肢機能を維持する」1997年、J.of Vascular Surgery、27巻:886〜95頁)。ウサギの虚血性うしろ脚に送達されたVEGFは、毛細管床増殖を促進し、血管の分岐を増し、虚血性対照に関する筋の性能を改善した。最初の移植の際、本来の筋肉インプラントの筋肉退化の初期相(フォークナーら、「ハムスター頬嚢に移植された骨格筋の血管再生:体内および光学顕微鏡検査、Microvascular Res.1983年、26巻:49〜64頁」は、筋肉分化の直前に加工された筋肉組織を移植することが望ましいことを示唆している。他のアプローチは、十分に分化した筋肉構成体に、それらが所定場所に移植される前に、更なるサテライト細胞および/または内皮細胞および/または血管芽細
胞を「播種する」ことである。また、網「インキュベータ」の使用は前に述べた。
【0063】
骨格筋のインビボの除神経は、遂行された組織における萎縮症の進展を促進する。この反応は大いに発展すると思われる、なぜなら除神経は、影響を受けた筋肉において観測される静止張力の量を減らすからである(トムセンおよびルーコウ、1944年;ガットマンら、1971年)。インビトロでは、除神経の影響は、神経を切除された筋肉に張力をかけることによって実質的に克服することができる。心筋もまた、その周りの機械的な環境に非常に敏感である。筋肉量は、移植したときにそれを張力下に置くことによって、加工された人工器官中で最初は保持することができる。インプラントの肥大または伸長を促進する種々の方法が利用できる。インプラントを締めるか緩めるための環状クランプにインプラントのいずれかの端部にある「腱」を付けることによって、バイオリアクター中で機械的伸長機を使用することができる。図6は、該繊維が、どのように2個の端部支持体30によってバイオリアクターのシリンダー内部表面に(所望の配向で縦に)保持されているかを図示する。図6はまた、最初の細胞播種/成長段階の間、特定の組織(筋肉、血管および腸)を前もって条件付けるために、機械的伸長(はっきりと定めた伸び率)を可能にするためのバイオリアクターに付加されるモータ起動のスクリュー31の使用を示している。該伸長が、移植後にますます裂けにくくなっている細胞/組織を、さらに大きく、厚く、強くする。該伸長は、また、筋肉細胞をさらに整列させるために用いることができる。電気ペーシングまたは薬理学的刺激も使用することができる。電気ペーシングは、特に、非常に効果的であり、制御が容易である。
【0064】
中枢神経系によって骨格筋の上に与えられる制御の第二水準は、もっと基本的である。神経への入力は、組織の働きを直接制御する。十分に機能的な人工筋肉を実現するために、それを中枢神経系の制御の下にもたらすことが必要である。望ましくは、加工されたインプラントは、問題の領域に隣接した筋床に移植させることができ、インビボの環境に適応するのを可能にする。適応期間の後、自己由来のインプラントは、おそらく、元の移植部位に起因する運動単位の一部で可動化され、再建を必要とする部位内に再配置される。浸透圧ポンプまたは他の手段によりインプラント組織へ送達された増殖ペプチドを利用して、運動ニューロンの内植を誘発することも可能である。心臓組織量は中枢神経系による多くの制御を受けない。しかし、それは機械的活性の変化に敏感である。作成プロセスの間、または、後に、心筋インプラントの心筋肥大を促進するために伸長、電気刺激または薬理学的作用薬を使用することによる予備的ストレスを付与することによって、それを、インビボの環境の領域にとってよりよく調えることができる。
【実施例1】
【0065】
(細胞外マトリックスを電気紡績する)
細胞外マトリックスは、ポリ乳酸/ポリグリコール酸(PLA/PGA;50/50、RESOMERX(登録商標)RG 503、ベーリンガーインゲルハイム、ドイツ)およびポリ(エチレン−co−ビニル)アセテート(アルドリッチケミカル社、ウィスコンシン州ミルウォーキー)のポリマーから作られた。ジクロロメタン(シグマ−アルドリッチ、ミズーリ州セントルイス)に溶かした2種のポリマーの濃度は、RESOMER RG 503が0.19g/mlおよびポリ(エチレン−co−ビニル)アセテートが0.077g/mlであった。電気紡績装置は、ガラスピペット(全長約21cm、開口部が0.3mmと推測されるが、正確な測定値は得られなかった先細の先端部付き、直径0.32mmの銀被覆銅線、20×20メッシュの316ステンレス鋼スクリーン、2個の大クランプホルダー(高分子被覆)、基礎支持体およびSpellman CZE1000R電力供給装置(0〜30,000のボルト、スペルマンハイボルテージエレクトロニック社、ニューヨーク州Hauppauge)から成る。物理的装備は、底部から約12インチのところに、基板の方に向いているピペットチップ付きガラスピペット(基板に対し約45度の傾きがある)をもつトップクランプホルダーを有した。ついで、針金をガラスピペ
ットの先端に置き、操作の間それが留まっているピペット先端に達するまで挿入した。第二のクランプホルダーは、ガラスピペットの軸線に対してほぼ直角のスクリーン(アースされた標的)を保持するための基板の約6インチ上に設置した。ピペット先端とアースされたスクリーンの間の距離は、およそ10cmであった。高電圧の電力供給装置からのプラスのリード線をガラスピペットの先端から垂れている針金につなぎ、一方、マイナスのリード線(アース)を直接ステンレス鋼スクリーンにつないだ。ついで、ガラスピペットを適当な溶液で満たし、電力供給装置のスイッチを入れ、電気紡績を始まる(すなわちガラス製ピペットの先端から繊維が発射する)まで調整した。この溶液の流れ(スプレー)は、モノフィラメントとして始まり、ピペット先端とアースされた標的の間でマルチフィラメントに変わる(電界駆動現象)。これにより「ウェブのような」構造の産出物が標的部位にたまることが可能になる。アースされた標的に達すると、マルチフィラメントは集まり、乾燥して、三次元の相互に結び合った高分子基材(ファブリック)を形成する。記載した装置は、概念的に、図2Aおよび2Bに図示されている装置と同じものである。記載した実験および溶液はすべて、室温においてである。これらの予備的な実験によって作られた繊維は、測定した両高分子溶液に関して、直径1〜100ミクロンの範囲であった。できたマトリックスの厚さは測定しなかった。しかし、生成することのできるマトリックスの厚さは、利用され、特定の領域に蓄積するままにされた高分子溶液の量(紡績時間)に依存する。したがって、試料断面の厚さが異なるマトリックスを作る能力を与える。マトリックスを形成する繊維の走査電子顕微鏡写真を図1に示す。
【実施例2】
【0066】
(骨格筋の3次元セグメントの作成)
整列したコラーゲンゲルは、シンプソンら(Journal of Cell Physiology、1994年)の方法にしたがって、サイラスティック膜(スペシャリティ・マニュファクチャリング)の上に調製した。サイラスティック膜は、オートクレーブ中で殺菌し、ゴムをより親水性にするために2分間の電気放電にさらした。ついで整列したコラーゲンを、処理済みのサイラスティックゴムの表面に貼り付けた。手短に言えば、50mlの遠心管中で0.2N−HEPES500μlを10X MEM500μlと混合し、氷の上に置いた。無菌条件下で、タイプIコラーゲン(0.012HCl中3mg/ml、コラーゲン社)3.5mlを、HEPES/10X MEM溶液の上部に重層し、倒置によって混合し、氷冷したリン酸緩衝生理食塩水で最終体積10mlまで希釈した。無菌の処理済みサイラスティック膜(70mm×30mm)を100mmの培養皿に置いた。氷冷したコラーゲン溶液(最終濃度、コラーゲン1.05mg/溶液ml)1mlを長方形のサイラスティック膜の一端に貼り付けた。無菌の細胞スクレーパーでもって、サイラスティック膜の長軸を横切って1回の連続動作で該コラーゲンに線を引いた。ついで、サイラスティック膜の入った皿を傾け、該コラーゲンが、付けられた軸に沿って膜を横切って流れ出るようにした。皿にカバーをかけ、コラーゲンが重合できるように、1時間摂氏37℃のインキュベータに入れた。これらの操作によい、サイラスティック膜の上に整列したコラーゲン原繊維の薄層を得た。ついで、該膜が湿った大気中で12〜24時間乾燥するようにした。これにより、コラーゲンの溜まりを作ることも、整列したコラーゲン原繊維を乱すこともなく、コラーゲンが幾分か乾燥することが可能になる。ついで、さらに無菌層流フードの下で30〜60分間サイラスティック膜が完全に乾燥するようにした。コラーゲンの完全な乾燥により、次の操作のために原繊維は該ゴムに固定される。これらの実験において、サイラスティック膜は、単に、加工された筋肉の作成のために簡単に操作することができる支持体表面を提供するために使用された。
【0067】
一様に配列したコラーゲン原繊維を含むサイラスティック膜の1切片(22mm×22mm)を切り取り、無菌の35mm培養皿へ移した。マウスc2c12骨格筋細胞株の細胞をサイラスティック膜の上に置き、DMEM−F12(DMEM:F12(50:50)ミックスに10%ウマ血清、FBS5%+ペンストレプおよびゲンタマイシンを追加した
もの)中で3〜5日間培養し、一様に配列した細胞の集密的な培養組織が形成するようにした。これらの培養組織は、培養組織の更なる組立てのためのテンプレート層として用いた。シリコングリースの薄層を、整列したC2C12細胞の培養組織を含む一片のサイラスティックゴムの裏面に置いた。シリコングリースは、RCCバイオリアクター(シンセコン社)の培養チャンバの中で、培養組織を種々の場所に固着させる非毒性接着剤として役立つ。予備実験で、バイオリアクター培養容器中の種々の場所を、整列した筋肉の3次元アレイを作る試みにおいて使用した。
【0068】
c2c12細胞の整列した培養物を、回転しているバイオリアクター培養容器の後壁に、細胞面を上にして置き、シリコングリースの薄層によって所定の位置に保持した。容器を閉じ、ついで培養培地(DMEM:F12(50:50)ミックスに10%ウマ血清、5%FBS+ペンストレプおよびゲンタマイシンを追加したもの)で満たした。注射器ポートを開き、100万個のc2c12細胞を単一の細胞懸濁液としてバイオリアクター容器に加えた。装置を、容器の回転速度を制御する制御軸の上に載せた。ついで、全装置をCO2インキュベータ(37℃)に入れ、1分3回転で回転させた。24時間の間隔をおいて、さらに100万個のc2c12細胞をリアクターチャンバに添加した。
【0069】
回転速度を遅い速度に設定することによって、懸濁液に添加された細胞がテンプレート培養物の上に徐々に植え付けられた。容器中での48時間の混合の後、テンプレート培養物を単離し、電子顕微鏡検査のために調製した。RCCリアクターで調製された培養物は、共通軸線に沿って配列したc2c12の多重層から成っていた。多層化培養物を作る能力についてバイオリアクター中のいくつかの異なる場所および条件を評価した。この実験において、リアクターの後壁に、回転の方向に直角の配向で配列した細胞が最も効果的だったことが分かった。外壁、中央のコアおよびシリンダーの外壁を含む、容器内のその他の部位も、多層培養物の組立てを促進した。流れの方向に向きを定めた、整列した培養物も多層組立てを促進することはできたが、回転の方向に対して直角に向いた培養物ほど効果的ではなかった。
【0070】
他の実験において、記載したようにサイラスティック膜の上で整列したコラーゲンゲルを調製し、直接RCCバイオリアクターチャンバに入れた(すなわち、細胞の集密的なテンプレート層をまず成長させることなく、整列したコラーゲン原繊維が多層組立てを促進することができるかどうかを決める実験を設計した)。整列したコラーゲンだけからなるテンプレートは、多層培養物の組立てを促進する点で、集密的な細胞層を含むテンプレートと同じくらい等しく効果的であった。再び、これらのコラーゲンテンプレートを、バイオリアクターの上の異なる場所に置いた。それらは、全く同様に集密的な細胞層として振舞った。すなわち、回転の軸線に直角に向いた、後壁のコラーゲン被覆膜は、多層組立てを促進する点で最も効果的であった。
【0071】
整列したコラーゲンの上に形成された筋肉細胞の走査電子顕微鏡写真を図4Aに示す。
【実施例3】
【0072】
(細胞外マトリックスの電気エアロゾル生成)
管の形状の細胞外マトリックスを作成した。実施例1において記載した電気紡績のように、電気エアロゾルプロセスは、ポリマー貯蔵器、スプレーノズルおよびアースされた心棒を含む。(図2Aおよび2B参照)。この実験において、ポリマー貯蔵器およびスプレーノズルは、それぞれ、1.0mlの注射器(プランジャーなし)および簡単なプラスチック製ピペットチップ(Gel Loarding Tip、フィッシャーサイエンティフィック)であった。アースされた心棒は、ステンレス鋼針(18ゲージ、長さ〜8cm)から成っていた。注:エアロゾル/マトリックス生成の前に、心棒から出来た構成体を容易に取り出すことを可能にするためにワセリンの飽和したヘキサン溶液で心棒を処理した。
使用した高分子溶液は、塩化メチレン中0.189g/mlの濃度の、ポリ乳酸/ポリグリコール酸(PLA/PGA;50/50)であった。ピペットチップに細い針金を、それが入るだけ中に入れた。このチップに関しては、針金は完全には通り抜けることができず、したがって、針金が通り、収まっている点でチップの約4分の1インチを切り取った。この実験における針金に12,000ボルトをかけた(スペルマン高電圧電力供給装置)。電気ポテンシャルをかけると、ポリマーエアロゾルがピペットチップのところで始まり、アースされた心棒の方に向かった。ついで、該エアゾールは、心棒のまわりに集まった。ポリマー溶液をトータル4ml用いて、たとえば神経ガイドを構築するために用いることのできる細胞外マトリックスを創った。ステップ1は、貯蔵器/注射器を高分子溶液1mlで満たし、溶液に電圧をかけ、エアロゾル生成を可能にすることであった。貯蔵器が空になると、心棒を90度回転させて(ステップ2)、ステップ1を繰り返した。ついで、これらのステップを、完全な構成体/神経ガイドのために4回繰り返した。図8〜11は、この方法によって作られた細胞外のマトリックスの電子顕微鏡写真である。
【0073】
評価したポリマー、ポリ乳酸/ポリグリコール酸(PLA/PGA;50/50)は、完了した乾燥した状態で、柔らかい、スポンジ質の、しかしかなりかっちりした構成体を与える。記載したように、機械的性質は使用したポリマー、エアロゾル粒径および全体のメッシュ(マトリックスパッキング)構造に依存する。
【0074】
異なる材料および心棒での研究で、この技術により、分岐または他の複合体構造をもつ継ぎ目のない構成体(すなわち、心臓の弁、移植片血管、腸管および軟骨(膝、鼻、耳)を形成することができることは、注目すべきである。
【実施例4】
【0075】
(人工血管の構築)
この例は、コラーゲン糸(プレーンガット縫合糸−コラーゲン)、動脈細胞の成分(平滑筋細胞(SMC)、線維芽細胞細胞(FB)および内皮細胞(EC))、コラーゲン(タイプI、IIIおよびIV)ならびにフィブロネクチン(動脈の全ての主成分)からの小さい直径の人工血管の生成に焦点をあてる。本明細書に記載した動脈のような直径の小さい動脈は、多様なピッチのスパイラルの形で並ぶ平滑筋細胞の円筒形の層(3〜6層)から成る。人工血管の1例の配置は、図12に示す層を有する。
【0076】
−巻取装置− 巻取装置(図13)は、2個の端部支持体50、薄い壁の管51、ガラス棒52、浴槽53、縫合糸の移動システム54および心棒回転システム55から成る。2個の端部支持体50には、薄い壁の管51の外径にマッチするように中央に穴を開けた。ガラス棒52は、移植片の円筒形状を維持するためにコラーゲン糸の巻取の間は薄い壁の管51を通しておき、バイオリアクター中で外される。心棒回転システム55は、特定の速度で移植片心棒の回転を可能にする。縫合糸の進行と誘導装置54は、心棒の上に装着され、一定の速度で糸を心棒上で動かすためのレールとモータ作動システムから成る。糸の誘導速度と心棒回転速度とを組合せることにより、媒体の層2〜4におけるコラーゲン糸のピッチの制御が可能になる。層1および層5のピッチは、高く、所望のピッチを作るようにデザインされている心棒端部支持体の間で縫合糸を織ることによって前もって作られる。浴槽は、心棒が巻取操作の間に食塩水またはコラーゲン溶液中に保持されることを可能にする。装置全体は、蒸気またはエチレンオキシドによる滅菌を可能にするためにアルミニウム、304ステンレス鋼(304SS)、ガラスおよびポリカーボネートから造られる。
【0077】
−人工器官の心棒、心棒ホルダーおよびバイオリアクター 心棒60(図14)は、ガラス棒52、薄壁の管51並びに二つの端部支持体50から成る。端部支持体50は、304SSから成る。薄壁の管51の正確な組成(あるいは、それが使用される必要があるか
どうか)は、現時点では分かっていない。心棒ホルダー65(図15)は、バイオリアクター内にあるとき、血管構成体を保持する。それは、本来、浴槽の役もする端部支持体システムである。心棒ホルダー65は、食塩水または培地−199で満たされる。心棒ホルダー65は、蒸気またはエチレンオキシドによって殺菌することができるポリカーボネートから成る。バイオリアクター(図16)は、管コネクタ70、管71、ポリカーボネート壁72および拍動ポンプ(示していない)から成る。
【0078】
−方法− 媒体の内部シリンダー(内腔領域)は、各縫合糸の間に0.2〜0.5mmの空間をおいた高いピッチで端部支持体(75℃、容器の長軸とほとんど平行)の間にプレーンガット縫合糸(直径0.23mm、L=6m;H・ヘス社)を張ること(織ること)によって創り出される。プレーンガット縫合糸を織った後に、該心棒を、ヒト臍帯動脈SMC(UASMC)の懸濁液の入っているバイオリアクターに置いた。懸濁液は、UASMC2×106個/ml、コラーゲン溶液(タイプI46%+タイプIII54%;正常血管組織;Imedex)、4X PBSおよび3mg/mlのコラーゲン濃度を作るための蒸留水から成る。37℃で5分後、心棒のまわりのゲル化が起こり、該心棒をバイオリアクター中の心棒ホルダーに移す。心棒ホルダーのウエルは、UASMC2×106個/mlを含む、培地−199(M−199)(FBS10%)溶液を含む。コラーゲン混合物が24時間最初のシリンダー層を形成するようにされる。バイオリアクター中での24時間、移植片は、心棒の薄壁の管を通して、第一媒体層のための拍動流(流量:90ml/分;周波数60HZ;振幅<移植片外径の5%)を受ける。その後の媒体層の期間中、直接の機械的力と同様に媒体層に灌流(栄養分の送達)を許すために薄壁の管を取り除く。媒体と外膜生成の期間のこの拍動流の長所は、細胞成分が周辺の(伸長−弛緩)力にさらされるということである。これは、静的状態下で心棒上に創出された血管修復用材料と比較するとき、重要な機械構造的性質に貢献することが期待される。24時間後に、第二のシリンダー層が、約0.2〜0.5mmの間隔をもつ低いピッチ(15°;容器の長軸に実質的に直角)でプレーンガット縫合糸を巻き取ることによって始まる。縫合糸巻取の後は、プロトコルは、正確に最初の層のために記載したとおりである。層3〜5も、それぞれ、−15°、15°および−75°の縫合糸ピッチでもって、記載したプロトコルに従う(図12)。全操作は、層流無菌ワークステーションの下で実行する。バイオリアクター装置(拍動流システム)は、37℃、CO25%および一定湿度のインキュベータ中に収納される。骨格として生体吸収性縫合糸を使用することによる合併症は予測されない。生体吸収性縫合糸は、炎症および瘢痕組織がより少なく(非吸収性縫合糸と比較して)、吻合の血栓または過形成症をほとんどないし全く示さないことが判明した。血管の吻合において、吸収性縫合糸の完全な加水分解(@7mo.)に続いて、媒体の結合組織を含む血管のほとんど完全な組織再生があるということが立証された。
【0079】
外膜相当構造体は、線維芽細胞(FB)(FB5×105個/ml)およびコラーゲンのタイプIとIII(3mg/ml)での媒体創出に従うことによって創出される。使用される線維芽細胞は、ヒト真皮線維芽細胞(HDF)である。FBおよびコラーゲンの3層は、外膜層を造るために媒体構成体に添加される。小さい直径の動脈において、外膜は血管壁の厚さの半分までを占めることができる。外膜成分の多重層に対する必要性である。
【0080】
内膜は、外膜−媒体構成体に内皮細胞(EC)を播種することによって創出される。EC播種の前に、外膜−媒体構成体は、心棒端部支持体からはずされ、カニューレ挿入される。EC播種の第一段階(新内膜の創成)は、内腔表面をヒトフィブロネクチンおよびコラーゲンIV型で被覆することである。EC播種は、M−199(FB20%)に懸濁したEC(EC5×106個/ml)を構成体の内腔に注入することによって達成される。ついで、カニューレを封じ、該構成体をM−199とFBS20%を含む管に一夜置いて、構成体へのECの付着を可能にする。この間、管および構成体を、1/8R.P.M.で回転させて、内腔表面にECの均一分布を可能にする。EC付着期間の後、人工血管全体
をバイオリアクターに戻し、10日間、生理学的拍動流(流量:90ml/分;周波数60Hz;振幅<移植片外径の5%)に直接さらす。血管構成体は、外面上M−199とFBS10%に浸漬させるが、循環する媒体はM−199とFBS20%である。循環している浸漬用媒体は、2日ごとに補給する。
【0081】
更なる工夫をしないで、当該分野の熟練した人は、先の記述を用いて、本発明をその最大の範囲まで利用することができると考えられる。先の好ましい特定の態様は、単に例証として解釈されるべきであり、開示の残り部分を決して限定するものではない。上の文と図に挙げた、全ての用途、特許および出版物の開示は、それら全体をここに参照によって取り入れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気エアロゾルの小滴のマトリックスを含む細胞外マトリックス。
【請求項2】
前記小滴は、1つ又はそれより多い電気的に荷電されたオリフィスからアースされた基材へ放出されて、マトリックスを形成する請求項1に記載の細胞外マトリックス。
【請求項3】
前記マトリックスは架橋剤で処理されて、前記小滴が架橋される請求項1に記載の細胞外マトリックス。
【請求項4】
前記小滴は10μmより小さな直径である請求項1に記載の細胞外マトリックス。
【請求項5】
前記小滴はコラーゲンを含む請求項1に記載の細胞外マトリックス。
【請求項6】
電気的に荷電されたポリマー溶液を、アースされた標的基材上にポリマー小滴を形成させる条件下で流して細胞外マトリックスを形成させることを含む、細胞外マトリックスを製造する方法。
【請求項7】
前記ポリマーは毛細管ピペットから押し出される請求項6の方法。
【請求項8】
前記ポリマーの小滴は三次元マトリックスを形成する請求項6の方法。
【請求項9】
前記ポリマーはコラーゲンを含む請求項6の方法。
【請求項10】
前記細胞外マトリックス上に配列されたコラーゲン繊維のゲルを形成させることを更に含む請求項6の方法。
【請求項11】
人工血管を形成する方法であって、 周囲に前記人工血管が形成される心棒を準備し、規定のピッチでらせん状に前記心棒の周囲にポリマー繊維を巻きつけて成る細胞外マトリックス層を形成し、そして、筋肉細胞を細胞外マトリックスの上に形成させることを含む方法。
【請求項12】
前記心棒の周囲に複数の細胞外マトリックス層を形成することを更に含む請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記心棒は円筒状である請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記心棒は規定の血管形状である請求項11に記載の方法。
【請求項15】
前記ポリマー繊維の規定のピッチは、人工血管内の各近接層により異なっている請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記細胞外マトリックスはコラーゲンゲルを含む請求項11に記載の方法。
【請求項17】
前記細胞外マトリックスは電気紡績繊維を含む請求項11に記載の方法。
【請求項18】
前記細胞外マトリックスは電気エアロゾル小滴を含む請求項11に記載の方法。
【請求項19】
電気紡績繊維を含む筋肉を支持するための細胞外マトリックスと、押出繊維を含む腱と、前記細胞外マトリックス上に形成される筋肉細胞層と、を含む筋肉インプラント。
【請求項20】
前記筋肉細胞層は多重層である請求項19に記載の筋肉インプラント。
【請求項21】
前記電気紡績繊維はコラーゲン繊維を含む請求項19に記載の筋肉インプラント。
【請求項22】
前記電気紡績繊維は架橋されている請求項19に記載の筋肉インプラント。
【請求項23】
前記細胞外マトリックス上に形成されたコラーゲンの配向層を更に含み、前記筋肉細胞は該コラーゲンの配向層上に配置された請求項19に記載の筋肉インプラント。
【請求項24】
前記筋肉細胞と腱は平行方向に配向されている請求項19に記載の筋肉インプラント。
【請求項25】
電気紡績繊維と筋肉細胞層を含む筋肉を支持するための細胞外マトリックスを含み、その筋肉細胞層は細胞外マトリックス上に配列されている筋肉インプラント。
【請求項26】
前記筋肉細胞層は多層である請求項25に記載の筋肉インプラント。
【請求項27】
前記電気紡績繊維はコラーゲン繊維を含む請求項25に記載の筋肉インプラント。
【請求項28】
前記電気紡績繊維は架橋されている請求項25に記載の筋肉インプラント。
【請求項29】
前記細胞外マトリックス上に形成されたコラーゲンの配向層を更に含み、前記筋肉細胞は該コラーゲンの配向層上に配置された請求項25に記載の筋肉インプラント。
【請求項30】
電気紡績繊維のマトリックスを含む筋肉を支持するための細胞外マトリックス。
【請求項31】
前記繊維は、1つまたはそれより多い電気的に荷電されたオリフィスから、アースされた基材上へ放出されて、マトリックスを形成する請求項30に記載の細胞外マトリックス。
【請求項32】
前記マトリックスは架橋剤で処理されて、前記繊維が架橋される請求項30に記載の細胞外マトリックス。
【請求項33】
前記繊維の直径は5〜500μmである請求項30に記載の細胞外マトリックス。
【請求項34】
電気的に荷電されたポリマー溶液を、アースされた標的基材上にポリマー繊維を形成させるような条件下で流して細胞外マトリックスを形成させることを含む細胞外マトリックスを製造する方法。
【請求項35】
前記ポリマーは毛細管ピペットから押し出される請求項34の方法。
【請求項36】
前記ポリマー繊維は三次元マトリックスを形成する請求項34の方法。
【請求項37】
前記ポリマーはコラーゲンを含む請求項34の方法。
【請求項38】
前記細胞外マトリックス上に配列されたコラーゲン繊維のゲルを形成させることを更に含む請求項34の方法。
【請求項39】
電気的にアースされた基材を準備し、コラーゲン溶液の貯蔵器がコラーゲン溶液を貯蔵器から流出させるオリフィスを有するコラーゲン溶液の貯蔵器を準備し、コラーゲン溶液を電気的に荷電し、そしてコラーゲンを基材上に流して筋膜鞘を形成することを含む筋膜鞘を形成する方法。
【請求項40】
筋膜鞘を準備し、該筋膜鞘の上にコラーゲンの層を形成させ、腱を前記筋膜鞘の上に積層させ、そして筋肉細胞をコラーゲンの上に形成させることを含む筋肉インプラントを形成する方法。
【請求項41】
前記コラーゲンの層を筋肉膜鞘の上に配列することを更に含む請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記腱を前記筋膜鞘の上に、前記コラーゲンの配列と同じ方向に積層することを更に含む請求項40に記載の方法。
【請求項43】
前記筋膜鞘は、基材上へコラーゲン繊維を電気紡績することにより形成される請求項40に記載の方法。
【請求項44】
前記腱はコラーゲン繊維を押し出すことにより形成される請求項40に記載の方法。
【請求項45】
前記筋肉細胞は、筋肉インプラントが導入されるであろう患者から得られたサテライト筋肉細胞(satellite muscle cells)である請求項40に記載の方法。
【請求項46】
細胞外マトリックスを準備し、回転する壁面バイオリアクターの内側に細胞外マトリックスを置き、筋肉細胞を含む培養培地をバイオリアクターの中へ入れ、そして筋肉細胞が細胞外マトリックスに付着するまでバイオリアクターを作動させることを含む、細胞外マトリックス上に筋肉細胞を積層する方法。
【請求項47】
前記細胞外マトリックスに付着した筋肉細胞は、多重層を形成する請求項46に記載の方法。

【図2A】
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【図2B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図1】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−131076(P2011−131076A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−69980(P2011−69980)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【分割の表示】特願2001−520165(P2001−520165)の分割
【原出願日】平成12年8月2日(2000.8.2)
【出願人】(502074459)ヴァージニア コモンウェルス ユニバーシティ インテレクチュアル プロパティー ファンデーション (2)
【Fターム(参考)】