説明

加工機において被印刷材料に仕上げ加工を行うための方法および装置

本発明は加工機において被印刷材料に仕上げ加工を行うための方法および装置に関する。胴(1)または(2)と、被印刷材料をガイドする圧胴(5)とを含む第一の間隙(12)において、当該被印刷材料の表面に印刷インキまたはニスまたはコールドフィルムが塗布可能であり、その後、エンボス版(11)を担持する胴(2)または(5)と、パッキング(19)を担持する胴(5)または(2)とを含む、後置された第二の間隙(13)において、印刷/コーティングされた前記被印刷材料にエンボス加工部を生成可能であり、前記第二の間隙(13)において、前記圧胴(5)は胴周面のアンダーカット(16)を有しており、当該胴周面に、選択的に少なくとも一つの非圧縮性のパッキング(19)または少なくとも一つのエンボス版(11)が、取り外し可能に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は独立請求項のおいて書き部に記載された、加工機において被印刷材料に仕上げ加工を行うための方法および装置に関する。当該方法および装置は、被印刷材料を加工する、特に枚葉紙材料のための、印刷機またはニス引き機に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
上記のような方法および装置は特許文献1から知られている。当該方法および装置は印刷機のインライン・プロセスにおいて、枚葉紙状または巻取紙状の被印刷材料にエンボス構造体を作り出すことを可能にする。被印刷材料にまず、少なくとも一つのカラー印刷を行い、続いて当該被印刷材料は、特に水溶性の分散型ニスを用いてニス引きされる。ニス引き後、前記被印刷材料に設けられているニス層は、当該被印刷材料が搬送される間に乾燥され、その後、印刷インキ層とニス層とを担持する前記被印刷材料にエンボス加工が行われる。
【0003】
特許文献1に記載の装置は、印刷装置に後置されている第一のニス引き装置と、当該ニス引き装置に後置されている仕上げ加工ステーションと、を含んでおり、当該仕上げ加工ステーションは第二のニス引き装置であり得る。第一のニス引き装置と仕上げ加工ステーションとの間には、好適に乾燥機が設けられており、それによって、印刷され、かつ、ニス引きされた枚葉紙の表面が、仕上げ加工ステーションにおける機械的な加工(エンボス加工)の前に、確実に乾燥されているようにする。仕上げ加工ステーションは第一の胴、例えば版胴に張設可能であるエンボスプレートを含む。当該エンボスプレートは、二層から成り、かつ、弾性を有するエンボスベースに対して作用する。当該エンボスベースは、前記第一の胴と協働する第二の胴、例えば圧胴に張設可能である。コーティング材料としては、特に水性の分散型ニスが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第19826974号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第19729985号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第102005010207号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、上記の種類の方法および装置であって、インライン・プロセスにおいて、加工すべき被印刷材料が、エンボス構造体による品質向上もしくは仕上げ加工を得るような方法および装置を創出することである。当該課題は、独立請求項1,2に記載の構成上の特徴によって解決される。さらなる構成は従属請求項に記載されている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一の有利点は以下のとおりである。すなわち、加工機においてインラインで、被印刷材料、好ましくは枚葉紙材料の表面に、少なくとも一つの印刷インキで印刷が行われ、および/または少なくとも一つのニス層で(全面的もしくは部分的に)コーティングが行われ、および/またはコールドフィルム材料でコーティングが行われ、続いて当該枚葉紙材料にエンボス加工が行われる。このように仕上げ加工された枚葉紙材料は、印刷もしくはコーティングが施された面に、エンボス加工によって作り出される隆起部としての可塑的変形を有している。
【0007】
第二の有利点として挙げられるのは以下の通りである。すなわち当該運転方法は、少なくとも一つの印刷装置と、少なくとも一つのニス引き装置または少なくとも二つのニス引き装置とを有する加工機において実施され得る。このとき、例えば特許文献2または特許文献3から知られているように、印刷装置は、ニス引き装置の機能も果たし得る。代替的に当該運転方法は、専らニス引き装置のみ、すなわち少なくとも二つのニス引き装置を有する加工機において実施され得る。その場合、第一のニス引き装置においてニス層が枚葉紙材料に塗布され、続いて後置されている第二のニス引き装置においてエンボス加工が行われる。代替的にさらに、好ましくは印刷装置/ニス引き装置に基づくエンボス器具もしくはエンボス装置が、被印刷材料の搬送方向において最後の印刷装置またはニス引き装置に対して、後置されていてよい。
【0008】
さらなる有利な構成において、加工機は、枚葉紙材料にコールドフィルム材料でコーティング加工を行うためのフィルム転写装置を有し得る。当該加工機は、片面印刷または両面印刷で運転可能な輪転印刷機、好ましくは枚葉紙輪転印刷機であり、当該枚葉紙輪転印刷機の印刷装置は好適にオフセット印刷で運転可能である。
被印刷材料、好ましくは枚葉紙材料としては、特に厚紙、フィルムまたは紙が好適である。
【0009】
第三の有利点は以下のとおりである。すなわち、加工機の印刷装置またはニス引き装置は、エンボス加工のために、すなわち、より普遍的に使用され得る。このような印刷装置またはニス引き装置は、簡単な方法でエンボス器具またはエンボス装置として使用され得、コストのかかる変更は不要である。代替的に、印刷装置またはニス引き装置の代わりに、好ましくはモジュールとして形成された、別個のエンボス器具またはエンボス装置が、当該加工機に組み込まれて設けられてよい。これにより、先行する印刷プロセスおよび/またはニス引きプロセスおよび/または例えばコールドフィルム転写の際のその他のコーティングプロセスは、続いて行われるエンボスプロセスと組み合わされたうえで、加工機内で組み合わせられ得る。
【0010】
以下に実施の形態に基づいて本発明をより詳しく説明する。図に示すのは以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】印刷装置/ニス引き装置と、枚葉紙案内胴とを有する加工機を示す図である。
【図2】ニス引き装置と、枚葉紙案内胴とを有する加工機を示す図である。
【図3】選択的にニス引き装置として運転可能であり、かつ、ニス引き装置が後置されている印刷装置を有する加工機を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1において輪転印刷機として示されている、枚葉紙材料のための加工機は、片面印刷もしくは両面印刷のための複数の印刷装置Aを含んでおり、本図では直列構造方式(アセンブリ構造方式)で示されている。印刷装置Aは主に、それぞれプレート胴/版胴2と、ブランケット胴1と、インキ装置3と、必要な場合には湿し装置4とを含んでいる。ブランケット胴1は、本図では圧胴5として示される、枚葉紙保持手段を有するとともに、枚葉紙材料を搬送方向7に移送する枚葉紙案内胴5と、作用的に連結されている。
【0013】
多色刷りのために、好適に同じ構造を有する複数のオフセット印刷装置Aが直列構造方式で設けられており、隣接する印刷装置A、機械の構成によっては、および/またはニス引き装置B,Cの枚葉紙案内胴5(圧胴5)同士の間に、加工機を通過するように枚葉紙を搬送するための搬送胴6として、さらなる枚葉紙案内胴6が設けられていてよい。枚葉紙案内胴6は、少なくとも一つの周面を有し得る。当該周面は、理論上の胴直径に関して、完全な胴として形成されているか、あるいは、例えば複数倍の大きさを有する構成では、前記理論上の胴直径内に設けられている複数の周面を含んでいる。
【0014】
枚葉紙材料の搬送方向7において、単独の印刷装置Aもしくは複数の印刷装置Aに対して、図1に示すように、第一のニス引き装置Bが後置されていてよい。当該第一のニス引き装置Bに対して、搬送方向7において、第二のニス引き装置Cが後置され得る。ニス引き装置B,Cは同一構造で実施され得るとともに、それぞれプレート胴/版胴2を含んでおり、当該プレート胴/版胴に対して、それぞれ配量装置9が作用的に連結された状態で配設されている。当該配量装置9は例えば、セル構造を備える着けローラを有するチャンバ型ドクターブレードを含み得る。
代替的に配量装置9として、ローラ装置(押し付けローラまたは汲み出しローラ方式)が用いられてもよい。さらにこのようなニス引き装置B,Cはそれぞれ、プレート胴/版胴2と作用的に連結している圧胴5を含んでいる。
【0015】
枚葉紙材料の搬送方向7において、印刷装置A(代替的に少なくとも一つのニス引き装置B,C)の少なくとも一つの印刷間隙/ニス引き間隙に対して、例えばわずかな距離を有して圧胴5に配設される状態で、放射源/乾燥源8が後置されていてよい。当該放射源/乾燥源8は作用に関して、枚葉紙案内胴5に載置されている枚葉紙材料に向けられている。当該枚葉紙材料は、枚葉紙案内胴5の枚葉紙保持手段、好ましくはくわえ爪において固定されている。加工機は機械制御部を含んでいる。前記放射源/乾燥源8は好適に、回路および信号技術によって当該加工機の機械制御部と連結されている。
【0016】
二つのニス引き装置B,Cの間には、枚葉紙を搬送するために、複数の枚葉紙案内胴5,6が設けられていてよい。このとき搬送胴6には、印刷装置/ニス引き装置A,B,Cの部分を成さない圧胴5が隣接していてよい。このような圧胴5に対して、わずかな距離を有して配設される状態で、放射源/乾燥源8が隣接して設けられ得る。代替的に圧胴5の代わりに、搬送胴6が設けられていてよい。
枚葉紙案内胴(圧胴5、搬送胴6)は、等倍の大きさのプレート胴/版胴を基準として、等倍(一回転式)または複数倍、特に2倍(1/2回転式)もしくは(1/3回転式)などの大きさで形成され得る。加工機内部でこれらの大きさを組み合わせることも含まれる。枚葉紙案内胴はまた、少なくとも一つの周面を有し得る。当該周面は、理論上の胴直径に関して、完全な胴として形成されているか、あるいは、好適に複数倍の大きさを有する構成では、当該理論上の胴直径内に設けられている複数の周面を含んでいる。
【0017】
枚葉紙案内胴6に対してそれぞれ、例えば空気圧による支持を行う、自明の枚葉紙ガイド装置10が配設され得る。
【0018】
本実施の形態では、第一のニス引き装置Bは第一の間隙12を有しており、当該第一の間隙は、ニス、代替的にインキをガイドするとともに、少なくとも一つの配量装置9を有し、本図ではプレート胴/版胴2として示される胴2と、被印刷材料、特に枚葉紙材料をガイドする圧胴5とによって形成されている。当該第一の間隙12において、被印刷材料の表面はニス層によって、全面的または部分的にコーティングされ、あるいは、印刷インキ(フレキソ印刷インキ)によって印刷が行われ得る。当該第一の間隙12は代替的に、印刷装置Aに設けられていてよく、(インキ着けを行うための手段を有して)本図ではプレート胴/版胴2として示される、インキをガイドする胴2に対して作用的に連結しているブランケット胴1と、枚葉紙材料をガイドする圧胴5とによって形成されている。
【0019】
搬送方向7において、第二のニス引き装置Cが続いて設けられる。当該第二のニス引き装置は、図1に示すように、エンボス装置14(エンボス器具)としても使用可能である。当該第二のニス引き装置Cの代わりに、別個のエンボス装置14が設けられていてもよい。このようなエンボス装置14はニス引き装置BもしくはCと概ね同一であるが、配量装置9を含んでいない。
第二のニス引き装置Cもまた配量装置9を有しており、当該配量装置は、ニス引き版/印刷版にニス/インキを移すための接触箇所15を、プレート胴/版胴2とともに形成している。当該プレート胴/版胴2は、被印刷材料にニス/インキを移すための第二の間隙13を、隣接し、かつ、被印刷材料(枚葉紙材料)をガイドする圧胴5とともに形成している。
【0020】
ニス引き装置Cにおいてエンボス加工を行うために、第二のニス引き装置Cの配量装置9は、接触箇所15においてプレート胴/版胴2から分離可能である。代替的に、配量装置9または当該配量装置の部分(例えばセル構造を備える着けローラ)は、第二のニス引き装置C内部で、他の場所に配置されるか、または、当該第二のニス引き装置Cから取り外されていてよい。これによって、プレート胴/版胴2に対する接触はなくなる。加工機内部で別個のエンボス装置14として形成する場合、当該別個のエンボス装置は周知のように、配量装置9を必要としない。
【0021】
このようなエンボス装置14は、少なくともプレート胴/版胴2と、圧胴5とを含んでおり、当該プレート胴/版胴と圧胴とは、第二の間隙13を形成している。プレート胴/版胴2はそれぞれ端面側にジャーナル17を有しており、当該ジャーナルは両側でそれぞれ軸受け18に回転自在に支承されている。軸受け18はそれぞれ、側部フレームに設けられていてよく、あるいは、個々の軸受け18がそれぞれ当該側部フレームの内側に設けられて固定されている。このとき好適に、個々の軸受け18は当該側部フレームの内側において、二つの部分から形成されており、第一の軸受け部18.1と、第二の軸受け部18.2とを含む。二つの軸受け部18.1,18.2のうちの一つ、例えば第二の軸受け部18.2は、軸受け18に接しながら移動可能、または、当該軸受けから取り外し可能(解除可能)に形成されており、それによって、必要な場合、プレート胴/版胴2は、軸受け18から取り外され、もしくは、当該軸受けに取り付けられ、あるいは、わずかな手間で他のプレート胴/版胴2と交換され得る。プレート胴/版胴2はエンボス版11を担持しており、当該エンボス版は、例えば緊締手段に収容されているエンボスプレート、または、軸方向にプレート胴/版胴2に取り付け可能(もしくは取り外し可能)なエンボススリーブであり得る。プレート胴/版胴2もしくはプレート胴/版胴2の緊締手段は、エンボス版11または非圧縮性のパッキング19を、見当に合わせて取り付ける、もしくは、収容するための手段、例えばレジスタピンを有し得る。
【0022】
第二の間隙13をともに形成している圧胴5は、アンダーカット16を有している。このとき、等倍の大きさのプレート胴/版胴2を基準にして、アンダーカット16を有する圧胴5は、概ね等倍または複数倍の大きさで形成されていてよい。好適にプレート胴/版胴2は等倍の大きさで、アンダーカット16を有する圧胴5は、概ね2倍の大きさで形成されており、圧胴5は二つの非圧縮性のパッキング19または二つのエンボス版11を選択的に取り外し可能に固定するための、複数の緊締手段を有している。圧胴5もしくは圧胴5の緊締手段は、エンボス版11または非圧縮性のパッキング19を、見当に合わせて取り付ける、もしくは、収容するための手段、例えば自明のレジスタピンを有し得る。
【0023】
アンダーカット16は以下のように定義される。すなわち、圧胴5の理論上の胴直径を基準として、胴周面(円周面)の直径、もしくは、胴が複数倍の大きさである場合、当該胴周面を形成している、圧胴5の部分周面の直径は、前記圧胴の理論上の胴直径よりも小さい。必要な場合、胴周面のアンダーカット16を有する圧胴5は、枚葉紙保持手段を有し得る。当該枚葉紙保持手段は、少なくとも間隙13を通過する際、または、枚葉紙材料を搬送する際、理論上の胴直径によって規定される圧胴5の内部に、完全に設けられている。
【0024】
エンボス装置14の圧胴5は、枚葉紙保持手段、例えばくわえ爪のほかに、胴周面に少なくとも一つのパッキング19を固定するための緊締手段を有している。複数倍の大きさを有する胴であって、相応に複数の部分周面を有する胴の場合は、従って複数のパッキング19を固定するための緊締手段が、圧胴5の胴周面に設けられている。被印刷材料を担持する、単独のパッキング19もしくは複数のパッキング19の表面は比較的平滑であり、代替的に当該パッキングの表面は、微小構造部を有し得る。
【0025】
比較的圧縮性の被印刷材料、例えば厚紙、あるいは、比較的非圧縮性の被印刷材料、例えば紙を加工する際、圧胴5の胴周面の、周知のように非圧縮性の表面に、少なくとも一つの非圧縮性のパッキング19が取り外し可能に設けられている。従って2倍の大きさを有する圧胴5として形成する場合、部分周面の周知のように非圧縮性の表面には、二つの非圧縮性のパッキング19が設けられている。単独のパッキング19もしくは複数のパッキング19は、胴周面を形成する。このとき第二の間隙13をともに形成しているプレート胴/版胴2は、エンボス版11を担持する。
比較的圧縮性の被印刷材料を加工する際、好適に前記少なくとも一つのパッキング19は、少なくとも一つの金属製材料から形成されている。比較的非圧縮性の被印刷材料を加工する際、前記パッキングは好適に、少なくとも一つの非圧縮性のエラストマー、好ましくは非圧縮性のゴムブランケットから形成されている。
【0026】
アンダーカット16を有する圧胴5と、プレート胴/版胴2とによる第二の間隙13の形成は、圧胴5に少なくとも一つのパッキング19を設けることと、プレート胴/版胴2にエンボス版11を設けることに限って行われるものではない。それどころか、前記少なくとも一つのパッキング19はプレート胴/版胴2に設けられ、前記少なくとも一つのエンボス版11は、アンダーカット16を有する圧胴5に設けられ得る。エンボス版11およびパッキング19を選択的に設けることは、その時々の運転の仕方、すなわち表面印刷(片面印刷)または表面・裏面印刷(両面印刷)との関連でも選択され得る。
【0027】
必要な場合は、圧胴5の胴周面もしくは部分周面に、少なくとも一つの下敷きが、例えばむら取りとして設けられていてよい。当該少なくとも一つの下敷きの上に、続いて少なくとも一つのパッキング19が、取り外し可能に圧胴5に設けられている。このために圧胴5は、当該少なくとも一つのパッキング19を固定するための相応の緊締手段を有している。このようにアンダーカット16を有する圧胴5であって、必要な場合に少なくとも一つの下敷きと、当該下敷きに取り外し可能に設けられている少なくとも一つのパッキング19とを有する圧胴は、正確な加工にとって有意義である胴直径を形成する。
【0028】
図2には、ニス引き機の部分を成す二つのニス引き装置B,Cが示されている。当該ニス引き装置の構造は、図1に示す機器構成と、概ね類似している。
第二のニス引き装置Cもしくはエンボス装置14のプレート胴/版胴2に、エンボス版11を配置する際、配量装置9は、少なくとも一つの接触箇所15において、エンボス版11を担持するプレート胴/版胴2から分離されている。代替的に配量装置9は、第二のニス引き装置Cから一時的に取り外されていてよい。
さらなる構成においてエンボス装置14は、エンボス版11を担持するプレート胴/版胴2と、この場合もアンダーカット16と少なくとも一つのパッキングとを有する圧胴5としての枚葉紙案内胴5とのみによって、形成されていてよい。プレート胴/版胴2のための軸受け18は図1に示す構成に対応する。
【0029】
図3には、特許文献3から知られているような、さらなる構成が示されている。当該構成によれば、必要な場合、ニス引き装置Bは印刷装置Aのブランケット胴1と作用的に連結されている。搬送方向7において、後置のニス引き装置Cが続いて設けられており、当該後置のニス引き装置もまた、エンボス装置14として使用可能であるか、もしくはエンボス装置として形成され得る。当該構成は、図1に示す機器構成と、概ね類似している。
【0030】
要約すると、第二の間隙13において、圧胴5は胴周面のアンダーカット16を有しており、当該胴周面に、選択的に少なくとも一つの非圧縮性のパッキング19または少なくとも一つのエンボス版11が、取り外し可能に設けられている。第二の間隙13は、プレート胴/版胴2と、アンダーカット16を有する圧胴5とを含むエンボス装置14に設けられているか、あるいは、少なくともプレート胴/版胴2と、アンダーカット16を有する圧胴5とを含む、エンボス加工に適したニス引き装置Cに設けられている。第一の間隙12は、少なくともプレート胴/版胴2と、場合によってブランケット胴1と、圧胴5とを含む前置された印刷装置A、あるいは、ニス引き装置B、あるいはコールドフィルム転写装置に設けられ得る。当該コールドフィルム転写装置は、印刷装置またはニス引き装置に組み込まれていてよい。両面印刷を行うためには、少なくとも第二の間隙13に対して、枚葉紙材料を反転させるための少なくとも一つの装置が前置され得る。少なくとも一つのこのような装置は、加工機内部で、第一の間隙12に対して前置されていてもよい。
【0031】
作用プロセスは以下の通りである。胴1または2と、被印刷材料をガイドする圧胴5とを含む第一の間隙12において、当該被印刷材料の表面に印刷および/またはコーティングが行われ、その後、エンボス版11を担持する胴2または5と、パッキング19を担持する胴5または2とを含む、後置された第二の間隙13において、印刷/コーティングされた前記被印刷材料にエンボス加工が行われる、加工機内で、被印刷材料に仕上げ加工を行うために、胴周面のアンダーカット16を有しているとともに、当該胴周面に設けられている少なくとも一つのパッキング19または当該胴周面に設けられている少なくとも一つのエンボス版11を有する圧胴5に設けられた前記被印刷材料が、前記第二の間隙13を介して搬送される。
【0032】
図1に示す作用方法は以下の通りである。枚葉紙材料は好適に枚葉紙案内胴5,6によって搬送方向7に移送され、少なくとも一つの配量装置9を有するとともにニスをガイドする胴2と、前記枚葉紙材料をガイドする圧胴5とを含む第一の間隙12において、ニス層で全面的または部分的にコーティングされるか、あるいは、少なくとも一つの印刷装置Aにおいて、好ましくはオフセット印刷で、印刷が行われる。その後、エンボス版11を担持する胴2と、アンダーカット16を有しているとともに、前記枚葉紙材料をガイドする圧胴5とを含む後置された第二の間隙13において、前記枚葉紙材料の表面にエンボス加工が行われる。続いて少なくとも一つの放射源/乾燥源8を用いて、前記枚葉紙材料のニス引きおよび/または印刷された表面は、乾燥/硬化され得る。
必要な場合、前記枚葉紙材料は、搬送方向7において後置されている枚葉紙送り出し装置に供給され、送り出しパイルに降下され得る。
【符号の説明】
【0033】
1 ブランケット胴、2 プレート胴/版胴、3 インキ装置、4 湿し装置、5 圧胴(枚葉紙案内胴)、6 搬送胴(枚葉紙案内胴)、7 搬送方向、8 放射源/乾燥源、9 配量装置、10 枚葉紙ガイド装置、11 エンボス版、12 第一の間隙、13 第二の間隙、14 エンボス装置(エンボス器具)、15 接触箇所、16 アンダーカット、17 ジャーナル、18 軸受け、18.1 第一の軸受け部、18.2 第二の軸受け部、19 パッキング、A 印刷装置、B 第一のニス引き装置、C 第二のニス引き装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工機において被印刷材料に仕上げ加工を行うための方法であって、
胴(1または2)と、被印刷材料をガイドする圧胴(5)とを含む第一の間隙(12)において、当該被印刷材料の表面に印刷および/またはコーティングが行われ、その後、エンボス版(11)を担持する胴(2または5)と、パッキング(19)を担持する胴(5または2)とを含む、後置された第二の間隙(13)において、印刷/コーティングされた前記被印刷材料にエンボス加工が行われる方法において、
胴周面のアンダーカット(16)を有するとともに、当該胴周面に設けられている少なくとも一つのパッキング(19)または当該胴周面に設けられている少なくとも一つのエンボス版(11)を有する前記圧胴(5)に設けられた前記被印刷材料が、前記第二の間隙(13)を介して搬送されることを特徴とする方法。
【請求項2】
加工機において被印刷材料に仕上げ加工を行うための装置であって、
胴(1または2)と、被印刷材料をガイドする圧胴(5)とを含む第一の間隙(12)において、当該被印刷材料の表面に印刷インキまたはニスまたはコールドフィルムが塗布可能であり、その後、エンボス版(11)を担持する胴(2または5)と、パッキング(19)を担持する胴(5または2)とを含む、後置された第二の間隙(13)において、印刷/コーティングされた前記被印刷材料にエンボス加工部を生成可能である装置において、
前記第二の間隙(13)において、前記圧胴(5)は胴周面のアンダーカット(16)を有しており、
当該胴周面に、選択的に少なくとも一つの非圧縮性のパッキング(19)または少なくとも一つのエンボス版(11)が、取り外し可能に設けられていることを特徴とする装置。
【請求項3】
前記プレート胴/版胴(2)はそれぞれ端面側に設けられたジャーナル(17)を有しており、当該ジャーナル(17)は両側でそれぞれ軸受け(18)に回転自在に支承されており、個々の軸受け(18)はそれぞれ、側部フレームの内側に固定されて設けられていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項4】
個々の軸受け(18)は、二つの部分から形成されており、第一の軸受け部(18.1)と、第二の軸受け部(18.2)とを含んでおり、当該軸受け部のうちの一つ(18.1または18.2)は、前記軸受け(18)に接しながら移動可能、または、前記軸受けから取り外し可能であることを特徴とする請求項2または3に記載の装置。
【請求項5】
等倍の大きさのプレート胴/版胴(2)を基準にして、アンダーカット(16)を有する前記圧胴(5)は、概ね等倍または複数倍の大きさで形成されていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項6】
前記プレート胴/版胴(2)は等倍の大きさで、アンダーカット(16)を有する前記圧胴(5)は概ね2倍の大きさで形成されており、前記圧胴(5)は二つの非圧縮性のパッキング(19)または二つのエンボス版(11)を選択的に取り外し可能に固定するために、複数の緊締手段を有していることを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第二の間隙(13)は、前記プレート胴/版胴(2)と、アンダーカット(16)を有する前記圧胴(5)とを含むエンボス装置(14)に設けられており、前記第一の間隙(12)は、少なくとも前記プレート胴/版胴(2)と、前記圧胴(5)とを含む前置された印刷装置(A)、あるいは、ニス引き装置(B)、あるいはコールドフィルム転写装置に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項8】
少なくとも前記第二の間隙(13)に対して、枚葉紙材料を反転させるための少なくとも一つの装置が前置されていることを特徴とする請求項2または7に記載の装置。
【請求項9】
前記パッキング(19)は、金属製材料または非圧縮性のエラストマー、好適に非圧縮性のゴムブランケットから形成されていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項10】
胴周面のアンダーカット(16)を有する圧胴(5)は枚葉紙保持手段を有しており、当該枚葉紙保持手段は、前記枚葉紙材料を搬送する際、理論上の胴直径によって規定される前記圧胴(5)の内部に、完全に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項11】
前記プレート胴/版胴(2)または前記プレート胴/版胴(2)の前記緊締手段は、エンボス版(11)または非圧縮性のパッキング(19)を見当に合わせて取り付ける、もしくは、収容するための手段を有していることを特徴とする請求項2に記載の装置。
【請求項12】
前記圧胴(5)または前記圧胴(5)の前記緊締手段は、エンボス版(11)または非圧縮性のパッキング(19)を見当に合わせて取り付ける、もしくは、収容するための手段を有していることを特徴とする請求項2に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2012−516787(P2012−516787A)
【公表日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546805(P2011−546805)
【出願日】平成22年1月25日(2010.1.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/050776
【国際公開番号】WO2010/089215
【国際公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【出願人】(599011584)マンローラント・アーゲー (257)
【Fターム(参考)】