説明

加工物に種々の寸法及び形態の孔を形成するための方法及びシステム

携帯用オービタルボール盤44を使用して加工物(42)に種々の寸法及び形態の孔(52a−d)を形成する方法であって、前記加工物(42)は、それに取り付けられ、テンプレート10を有しており、加工物に形成される孔の位置に対応したパターンで位置付けされた、予め形成された、ガイド孔(12−40)を、備えている。各ガイド孔(12−40)は、それぞれのガイド孔(12−40)の識別を含んでいる読み取り可能な情報媒体(12i−40i)を備えている。ガイド孔にボール盤を固定したときに、後者は、それぞれの情報媒体(12i−40i)を、孔データベース(48)及びセンサー(47)によって識別する。孔データベース(48)に関連した制御ユニット(50)は、ボール盤(44)が、工作物に関連した孔切削処理を実行することを制御している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概ね、携帯用オービタルボール盤を使用する加工物に種々の寸法及び形態の孔を形成するための方法に関するものであり、前記加工物は、それに取り付けられた、テンプレートを有しており、加工物に形成される孔の位置に対応したパターンで位置付けされた、予め形成された、ガイド孔を、備えている。本発明は、この方法を実行するためのシステムに関するものでもある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
繊維強化複合材料、積層板、同一の又は種々の材料の積み重ね等のような複合材料の加工物に、種々の寸法及び形態の複数の孔を形成する場合には、多くの場合、通常は、全ての孔が、1つの同じ切削工具で形成することができる携帯用オービタルボール盤を使用するのが好ましい。形成される孔の位置に、ボール盤を、正確に位置付けするために、予め形成されたガイド孔、又は、ブッシュを有しているテンプレートが、工作物の正確な位置に固定される。その後連続して、ボール盤が、テンプレートの各ガイド孔、又は、ブッシュに固定され、各孔に、関連したオービタル切削工程を行う。そのように孔を形成する方法及び装置の例は、WO 94/17944、WO 01/15870、WO 02/102535に開示されている。種々の寸法及び形態の多数の孔が立て続けに形成されるので、オペレーターは、ガイド孔の特定及びボール盤によって問題となっているガイド孔に適用されるべき特有の孔切削工程データを構築するのが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の目的は、携帯用オービタルボール盤を使用する加工物に種々の寸法及び形態の孔を形成するための方法を提供することであり、前記加工物は、それに取り付けられた、テンプレートを有しており、該テンプレートは、加工物に形成される孔の位置に対応したパターンで位置付けされた、予め形成されたガイド孔を備えており、その方法は、加工物に形成される種々の孔の孔切削工程データを取り違える危険性を取り除き、正確に形成された孔を得るようにボール盤の切削工具の所望された機能を確実に保証している。この目的を達成するために、本発明の方法は、請求項1記載の特徴によって特徴付けられる。
【0004】
さらに、本発明の目的は、その方法を安全に実行するためのシステムを提供することである。この目的を達成するために、本発明のシステムは、独立請求項3に記載の特徴を具備している。
【0005】
さらに、本発明の方法及びシステムの詳細及び利点は、添付図面を参照して後述する詳細な説明及び請求項から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図1は、テンプレート10が取り付けられた加工物42に形成される孔の位置に対応したパターンで位置付けされた、複数のガイド孔12、14、16、18、・・・40を有するテンプレート10を示している。また、テンプレート10のガイド孔12−40に挿入されたガイドブッシュ(図示せず)は、テンプレート10にボール盤44を固定するためのガイド孔を形成できる。ボール盤44は、回転切削工具45、及び、例えば、ガイド孔12−40を取り付けるスライドを有している固定スリーブ46のような、テンプレート10に機械を固定するための適切な固定装置を有している。加工物42は、繊維強化複合材料、積層板、同一の又は種々の材料の積み重ね等のような、複合材料からなっている。1つの同じ切削工具で、欠点のない、種々の寸法及び形態の孔を形成するためには、携帯用オービタルボール盤を使用するのが好ましい。種々の寸法及び形態の多数の孔が立て続けに形成されるので、オペレーターは、機械44が固定されているガイド孔の特定、及び、ボール盤によって問題となっているガイド孔に適用されるべき特有の孔切削工程データを識別するのが困難であるかもしれない。
【0007】
本発明の特徴によれば、形成される孔の識別を含んでいる個々のマーキング又は情報媒体12i−40iが、テンプレート10の各ガイド孔12−40に近接して設けられている。マーキング又は情報媒体12i−40iは、RFIDタグ又はチップ、ピンコード、カラーマーキング等のような、適切な型の読み取り可能なIDの構成であり、リーダー又はオービタルボール盤44のセンサー47によって識別できる。
【0008】
図2に図式的に示すように、テンプレート10のガイド孔14にボール盤44を取り付けた場合、センサー47は、近接した情報媒体14iの孔識別情報を検知し、それを、孔の形態、種々の処理及び寸法パターン、すなわち、直径、深さ、孔の形態、切削前進速度、さら孔等のような、形成されるそれぞれの孔の全関連情報を含んでいる孔データベース48に転送する。その後、ケーブル又は無線のどちらかによって、孔データベース48、及び、オービタルボール盤44に接続された制御ユニット50が、加工物42に関連した孔加工処理を実行するための機械を、制御するのに適用される。このように、オペレーターは、ガイド孔12−40にボール盤44を固定し、関連した孔切削処理を開始するためにそれを作動させるだけである。
【0009】
図3は、携帯用オービタルボール盤44の同じ切削工具45によって種々の形態の孔52a−dを形成した加工物を示す。
【0010】
加工物に全ての孔を形成した後に、所定のパラメータとの相違を明確にするために、測定プロ−ブを用いて、管理測定を行うことができ、必要であれば問題の孔の処置を更新する。オービタルボール盤44の制御ユニット50は、加工物に孔が何時、どのように形成されるか考慮するための情報を保管している監視データベース(図示せず)を具備している、ローカルネットワークに接続できる。ドリル孔の測定結果は、監視データベースに保管できる。監視システムは、監視データベースからデータを読み取ることができ、その後、加工物の孔が、正確な切削工具によって、適切なときに、正確な順序で、正確なパラメータ等で、孔加工されているかどうか検査するために使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】オービタルボール盤の連結のためのガイド孔を有しているテンプレートの平面図である。
【図2】テンプレートのガイド孔に固定されたオービタルボール盤の略側面図である。
【図3】種々の形態の仕上がった孔を有している加工物の断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯用オービタルボール盤(44)を使用して加工物(42)に種々の寸法及び形態の孔(52a−d)を形成する方法であって、
前記加工物(42)は、それに取り付けられた、テンプレート(10)を有しており、該テンプレートは、加工物に形成される孔の位置に対応したパターンで位置付けされた、予め形成された、ガイド孔(12−40)を、備えており、
a)それぞれのガイド孔(12−40)の識別を含んでいる読み取り可能な情報媒体(12i−40i)を有する各ガイド孔(12−40)を提供するステップと、
b)テンプレートのガイド孔にオービタルボール盤を固定したときに、それぞれの情報媒体(12i−40i)を検知することによって、ボール盤がどのガイド孔に固定されたかを識別するステップと、
c)そのガイド孔に固定されたボール盤によって加工物に形成される孔の、関連処理及び寸法パラメータを含んでいる孔データベース(48)に、検知したガイド孔識別情報を送信するステップと、
d)孔データベース(48)と通じている制御ユニット(50)によって、ボール盤(44)に、ボール盤の識別された位置と関連した孔切削処理を加工物にて実行するよう指示するステップと、
e)全ての孔の形成を完了させるために、上記ステップb)−d)を連続して繰り返すステップと、を備えていることを特徴とする方法。
【請求項2】
所定のパラメータとの相違を明確にするために、形成された孔(52a−d)の管理測定を実行する追加ステップを備えている、請求項1記載の方法。
【請求項3】
加工物(42)に種々の寸法及び形態の孔(52a−d)を形成するためのシステムであって、
回転切削工具(45)を有し、且つ、テンプレート(10)の予め形成されたガイド孔(12−40)に取り外し可能に固定されるように構成された、携帯用オービタルボール盤(44)を備えており、
テンプレート(10)は、テンプレートのガイド孔が、加工物に形成される孔(52a−d)の位置に対応したパターンで位置付けされるように、加工物(42)に取り付けられ、
システムが、
個々に読み取り可能な情報媒体(12i−40i)と、センサー(47)と、制御ユニット(50)と、を備えており、
情報媒体(12i−40i)は、テンプレート(10)のガイド孔(12−40)の各々に割り当てられ、且つ、その各々と近接して取り付けられており、
センサー(47)は、ボール盤(44)に取り付けられており、テンプレートのガイド孔にボール盤を固定したときに、それぞれのガイド孔(12−40)の情報媒体(12i−40i)を検知し、且つ、それらの関連情報を孔データベース(48)に送信するように、構成されており、
制御ユニット(50)は、形成される孔と関連した孔処理データを孔データベース(48)から受け取るように構成されており、且つ、それに応じて加工物に所定の孔(52a−d)を形成するために、関連した孔切削処理を加工物(42)に実行するように、ボール盤(44)に指示するよう、構成されていることを特徴とするシステム。
【請求項4】
読み取り可能な情報媒体(12i−40i)が、RFIDチップを具備している、請求項3記載のシステム。
【請求項5】
読み取り可能な情報媒体が、ピンコードタグを具備している、請求項3記載のシステム。
【請求項6】
読み取り可能な情報媒体が、カラーマークを具備している、請求項3記載のシステム。
【請求項7】
センサー(47)が、情報媒体(12i−40i)に接触することなく、当該情報媒体(12i−40i)を検知するように構成されたアンテナを、具備している、請求項3〜6のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項8】
センサー(47)が、無線接続を通して、検知された関連孔識別を孔データベース(48)に送信するよう構成されている、請求項7記載のシステム
【請求項9】
制御ユニット(50)が、ボール盤(44)と一体である、請求項3〜8のいずれか1つに記載のシステム。
【請求項10】
制御ユニット(50)が、ケーブル装置によってボール盤(44)に接続された、外部ユニットである、請求項3〜8のいずれか1つに記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2008−502496(P2008−502496A)
【公表日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527136(P2007−527136)
【出願日】平成17年6月9日(2005.6.9)
【国際出願番号】PCT/SE2005/000873
【国際公開番号】WO2005/120752
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【出願人】(506408531)ノヴァートル・アクチボラゲット (2)
【氏名又は名称原語表記】Novator AB
【Fターム(参考)】