説明

加工装置及び加工機械の構造仕様設計方法

【課題】再生びびり振動が発生する原因を明らかにして、加工機械の再生びびり振動安定のための設計指針を提供する。
【解決手段】先端に切削工具1を備えたスライド軸50と、スライド軸の先端近傍を支持する油静圧軸受装置52と、スライド軸の後端に接続してスライド軸のスライドを駆動する駆動装置53と、油静圧軸受装置と駆動装置との間に備えられスライド軸を滑り移動可能に支持して送り機構の摩擦を模擬する滑り軸受装置58と、油静圧軸受装置と滑り軸受装置との間に備えられ工具部の軸方向変位を模擬してばね定数を変更可能な第1のばね手段63と、滑り軸受装置と駆動装置との間に備えられ駆動装置の動力伝達部の軸方向変位を模擬してばね定数を変更可能な第2のばね手段64と、滑り軸受装置に軸受予荷重Pを付与してスライド軸の摩擦力を調節可能な摩擦力調整手段59と、摩擦力調整手段による軸受予荷重を計測する予荷重計測手段62と、切削工具の軸方向変位を計測する工具変位計測手段66とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切削加工機等の加工機械の振動、特に再生びびり振動が発生する原因を明らかにして、加工機械の再生びびり振動安定のための設計指針を提供できる加工装置及び加工機械の構造仕様設計方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加工機械を開発する際の主な要求性能としては、加工精度と加工能力が挙げられ、これらは製品の品質及びコストに大きな影響を与える。従って、要求性能を満足する加工機械の構造仕様を定量的に明確にすることは、加工機械の設計・開発を行う上で非常に重要となる。これまで、加工精度に関係する工具とワークの位置決め精度については、様々なモデルが考案され、構造仕様が位置決め精度に及ぼす影響について多くの研究が行われている。
【0003】
他方、構造仕様が加工能力に影響を与える主要因としては再生びびり振動があり、再生びびり振動の発生は製品の品質を大幅に低下させるばかりでなく、工具・加工機械本体に損傷を与える場合もある。従って、加工機械本体が再生びびり振動を抑制できる構造仕様を備えていることは重要である。
【0004】
従来、再生びびり振動が発生した場合の対策としては、切削条件・工具・切削油等を変更することが一般的に行われているが、このような対策では試行錯誤を繰り返すことになって安定状態を得るまでに時間を要する場合があり、又、この対策では加工ができなくなる場合もある。
【0005】
従って、これまでは、既存の加工機械の特性を前提として、再生びびり振動を予測し、予測した再生びびり振動を抑制するための研究、或いは、比較的単純なモデルを用いて構造仕様が再生びびり振動に与える影響についての研究等がなされてきた。
【0006】
しかし、加工機械を新規に開発する際の再生びびり振動抑制対策としては、単に剛性の最大化に主眼が置かれており、再生びびり振動の発生を定量的に予測して加工機械の設計に活用できるような技術は存在しなかった。
【0007】
スライス装置の振動予測方法として、動的歪み測定においては、工作物の試験加工によるフライス装置の動的歪みを測定し、再生びびり振動予測システムにおいては、試験加工における加工条件及び測定データを入力し、フライス装置の動的コンプライアンスを計算し、フライス装置条件を決定し、実際の加工においては、その加工条件及びフライス装置条件を入力し、加工歪みを計算し、加工歪みの変位により機械加工における再生びびり振動の影響を判定するものがある(特許文献1参照)。
【0008】
又、ワークの表面粗さが小さくなる加工条件を得るための切削試験機であって、主軸台に回転自在に軸支され、ワークまたは工具を保持して回転する主軸と、ワークの面粗度を検出する面粗度検出手段と、切削加工時に前記工具に加わる切削抵抗を検出する切削抵抗検出手段と、切削加工時における前記工具の温度を検出する温度検出手段とを備えたものがある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−102927号公報
【特許文献2】特開2006−102864号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、前記特許文献1、2に記載のものは、いずれも、加工精度を高めるための手法に関するものであり、再生びびり振動の発生を定量的に予測することによって、加工機械の設計段階において活用できるような構造仕様を提供できるものではない。
【0011】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなしたもので、再生びびり振動が発生する原因を明らかにして、加工機械の再生びびり振動安定のための設計指針を提供できるようにした加工装置及び加工機械の構造仕様設計方法に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、先端に切削工具を備えたスライド軸と、該スライド軸の先端近傍をスライド可能に支持する油静圧軸受装置と、前記スライド軸の後端に接続して該スライド軸のスライドを駆動する駆動装置と、前記油静圧軸受装置と前記駆動装置との間に備えられ前記スライド軸を滑り移動可能に支持して送り機構の摩擦を模擬する滑り軸受装置と、前記油静圧軸受装置と前記滑り軸受装置との間のスライド軸に備えられ工具部の軸方向変位を模擬してばね定数を変更可能な第1のばね手段と、前記滑り軸受装置と前記駆動装置との間のスライド軸に備えられ駆動装置の動力伝達部の軸方向変位を模擬してばね定数を変更可能な第2のばね手段と、前記滑り軸受装置に軸受予荷重を付与してスライド軸の摩擦力を調節可能な摩擦力調整手段と、該摩擦力調整手段による軸受予荷重を計測する予荷重計測手段と、前記切削工具の軸方向変位を計測する工具変位計測手段と、を備えたことを特徴とする加工装置、に係るものである。
【0013】
上記加工装置において、前記第1及び第2のばね手段が、厚さが異なる複数の板ばねを交換可能に備えていることは好ましい。
【0014】
又、上記加工装置において、前記摩擦力調整手段が、前記滑り軸受装置に支持したスライド軸に圧下ブロックを介して軸受予荷重を負荷する押付装置であることは好ましい。
【0015】
又、上記加工装置において、前記工具変位計測手段が、切削工具の軸方向変位を計測するレーザ変位計であることは好ましい。
【0016】
又、上記加工装置において、前記駆動装置に切削動力計を備えたことは好ましい。
【0017】
本発明は、前記加工装置を用いた加工機械の構造仕様設計方法であって、前記摩擦力調整手段により前記滑り軸受装置に付与する軸受予荷重を変更することで前記スライド軸の摩擦力を段階的に調節する操作と、前記第1及び第2のばね手段のばねを交換してばね定数を段階的に調節する操作とを組み合わせ、各操作の調節ごとに切削工具による切削を行って再生びびり振動の発生限界を求める作業を、前記切削工具の切削幅を変更して実施し、前記切削工具の切削幅を変更し前記各操作の調節を行うごとのびびり振動の発生限界から夫々のびびり振動安定領域を求め、該びびり振動安定領域に基づいて、前記滑り軸受装置の好適摩擦力と、前記第1及び第2のばね手段の好適ばね定数を求めることを特徴とする加工機械の構造仕様設計方法、に係るものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、再生びびり振動が発生する原因を明らかにして、加工機械の再生びびり振動安定のための設計指針を提供できるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の加工装置の一実施例を示す側面図である。
【図2】本発明が適用される2次元切削加工機械の例を示したもので、(a)は突切り加工機の側面図、(b)は外周旋削加工機の平面図である。
【図3】図2の切削加工機械を2自由度の振動系としてモデル化した振動モデルを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0021】
図2は本発明が適用される2次元切削加工機械の例を示したものであり、図2(a)は回転しているワークWを切削工具1で突切り加工する突切り加工機を示し、図2(b)は回転しているワークWの外周を切削工具1で切削する外周旋削加工機を示している。図2(a)、(b)の加工機械では、切削工具1と工具ホルダ2からなる工具部3が、スライドテーブル4に固定されている。該スライドテーブル4は送りネジ5の回転により支持フレーム6に沿って送り移動される送り機構7を構成している。前記送りネジ5は駆動軸8及び該駆動軸8を支持する支持軸受9とカップリング10等からなる動力伝達部11を介してモータ12に接続されている。
【0022】
図2に示すような2次元切削加工を行う加工機械では、切削工具1の刃先の切削点に、切削力として、ワークWの回転を止めようとする方向の主分力F2と切込方向の背分力F1とが発生する。
【0023】
図3は、図2の2次元切削加工機械を2自由度の振動系としてモデル化した振動モデルの概略図であり、図3の振動モデルでは、切削加工機械で一般に問題となることが多い再生びびり振動に注目し、再生びびり振動は一般に切取り厚さを変化させる方向(図2では送り方向Aの方向)において発生し易いため、切削工具1による切削方向(送り方向A)の振動のみを考慮した。又、切削力についても、送り方向Aに対向する背分力F1についてのみ考慮し、影響が小さい他の成分については除外した。
【0024】
図3の振動モデルでは、図2において最初に背分力F1を受ける切削工具1及び工具ホルダ2からなる工具部3を第1のマスmと見做すと共に、前記工具部3は軸方向の変位を生じる第1のばね要素Kと看做した。前記第1のマスm及び第1のばね要素Kは工具部の仕様を表わす。
【0025】
図2のスライドテーブル4は第2のマスmと見做し、更に、スライドテーブル4を送りネジ5によって送り方向Aへ移動する際に送りネジ5とスライドテーブル4との間に発生する摩擦力fが背分力F1に対して減衰効果を発揮することから、前記送り機構7に対応して、第2のマスmと支持フレームUとからなる摩擦減衰要素Vを設定した。前記第2のマスm、支持フレームU及び摩擦減衰要素Vは送り機構の仕様を表わす。
【0026】
更に、図2の駆動軸8、支持軸受9及びカップリング10からなる動力伝達部11は軸方向の変位を生じる第2のばね要素Kと看做し、前記背分力F1が第2のばね要素Kを介して図2のモータ12へ伝達するようにした。前記第2のばね要素Kは動力伝達部の仕様を表わす。
【0027】
図3の振動モデルにおいて、前記摩擦減衰要素Vに対して軸受予荷重Pを付与することにより摩擦力を調節できるようにし、又、第1のばね要素K及び第2のばね要素Kの夫々のばね定数を調節できるようにすることで、図2に示すような種々の加工機械の仕様に対応できるようにした。図3中、C,Cは第1及び第2のばね要素K,Kの構造減衰を表わすが、これは前記摩擦減衰要素Vの減衰に比して非常に小さいため除外することができる。mは支持フレームUの質量、Kは前記支持フレームUのばね定数、Xは送り力を表わす。
【0028】
図1は、前記図3の振動モデルに基づいて製作した本発明の加工装置の一実施例を示している。図1において、50は先端に切削工具1を備えたスライド軸であり、該スライド軸50の先端近傍は、油静圧軸受51を備えた油静圧軸受装置52によりスライド可能に支持している。この油静圧軸受装置52の油静圧軸受51は、背分力F1が負荷しても背分力F1方向における摩擦力の変化は非常に小さく、また摩擦力自体の値も非常に小さいので、背分力F1のみを後方の振動系へ伝達することができる。
【0029】
前記スライド軸50の後端には、該スライド軸50のスライドを駆動する駆動装置53が接続されている。この駆動装置53は、サーボモータ54の回転力により送り装置55を介してスライド軸50を送り方向Aへ移動できるようにしている。前記サーボモータ54の主軸は大型の複列円錐ころ軸受で支持することにより十分な剛性と軸方向精度が確保され、又、サーボモータ54を採用することで高精度な回転速度を実現している。前記駆動装置には切削動力を計測する切削動力計56を設けている。
【0030】
前記油静圧軸受装置52と前記駆動装置53との間には、支持フレーム57を有して前記スライド軸50をスライド可能に支持することで図2の送り機構7の摩擦(図3の摩擦減衰要素V)を模擬する滑り軸受装置58を設けている。滑り軸受装置58における支持フレーム57とスライド軸50との滑り部分には加工機械の案内部として用いられるフッ素系樹脂(キャプテンインダストリー社製ターカイトB[登録商標])とS45Cの組み合わせ等を用いることができる。前記滑り軸受装置58には、スライド軸50に軸受予荷重Pを付与してスライド軸50の摩擦力を調節できるようにした摩擦力調整手段59を設ける。該摩擦力調整手段59としては、前記滑り軸受装置58に支持したスライド軸50に圧下ブロック60を介して軸受予荷重Pを負荷する押付装置61を用いることができる。前記圧下ブロック60には、前記摩擦力調整手段59によってスライド軸50に付与される軸受予荷重Pを計測する予荷重計測手段62を設けている。予荷重計測手段62としてはロードセル等を用いることができる。
【0031】
前記油静圧軸受装置52と前記滑り軸受装置58との間のスライド軸50には、図2の工具部3の軸方向の変位(図3の第1のばね要素K)を模擬するばね定数が調節可能な第1のばね手段63を設ける。又、前記滑り軸受装置58と前記駆動装置53との間のスライド軸50には、図2の動力伝達部11の軸方向の変位(図3の第2のばね要素K)を模擬するばね定数が調節可能な第2のばね手段64を設けている。前記第1及び第2のばね手段63,64は、厚さが異なる複数のフランジ状の板ばね65を交換して装着できるように構成されている。
【0032】
前記油静圧軸受装置52には、前記切削工具1の軸方向の変位を計測するための工具変位計測手段66を設けている。該工具変位計測手段66は、切削工具1の軸方向の変位を計測するレーザ変位計68を備えた場合を示している。又、必要に応じて切削工具1によるワークWの切削加速度を計測する加速度計67を備えてもよい。
【0033】
次に、図1の実施例の作動を説明する。
【0034】
駆動装置53のサーボモータ54により送り装置55を介してスライド軸50を送り方向Aにスライドさせると、スライド軸50の先端に備えた切削工具1は回転するワークWに押付けられてワークWの切削を行う。この時の切削力の背分力F1は、第1のばね手段63、滑り軸受装置58及び第2のばね手段64を介して駆動装置53に伝えられる。
【0035】
ここで、図2の工具部3を模擬した第1のばね手段63は、板ばね65を交換することによりばね定数を調節することができ、又、図2の動力伝達部11を模擬した第2のばね手段64は、板ばね65を交換することによりばね定数を調節することができ、更に、図2の送り機構7を模擬した滑り軸受装置58は、摩擦力調整手段59によってスライド軸50に付与する軸受予荷重Pを変更することによりスライド軸50の摩擦力を調節することができる。
【0036】
前記スライド軸50に背分力F1を負荷したときにおける背分力F1と第1のばね手段63の変位との関係、及び、背分力F1と第2のばね手段64の変位との関係、滑り軸受装置58において摩擦力調整手段59によりスライド軸50に付与する軸受予荷重Pを調節し滑り速度を変化させたときの摩擦力について、夫々同定を行った。その結果、前記第1のばね手段63は工具部3の軸方向の変位を良好に表わし、第2のばね手段64は動力伝達部11の軸方向の変位を良好に表わし、滑り軸受装置58の摩擦力調整手段59による軸受予荷重Pの調節は送り機構7の摩擦力を良好に表わすことが判明した。
【0037】
上記したように、第1のばね手段63におけるばね定数を調節する操作と、第2のばね手段64におけるばね定数を調節する操作と、摩擦力調整手段59により滑り軸受装置58の摩擦力を調節する操作を組み合わせ、各操作の調節を行うごとに、再生びびり振動の発生限界を求める試験を行った。更に、前記切削工具1を切削幅が異なるものに交換し、切削幅を変更したときの再生びびり振動の発生限界を求める試験を行った。そして、前記切削工具の切削幅を変更し、更に、第1のばね手段63と、第2のばね手段64と、滑り軸受装置58を調整して実施した試験により得られた夫々の再生びびり振動の発生限界から、夫々における再生びびり振動安定領域を求めた。
【0038】
図3の振動モデルに基づいて製作された図1の加工装置に基づいた再生びびり振動の予測は、実際の加工機械で試験した結果と良く一致しており、従って、前記試験で得られた再生びびり振動安定領域のデータは開発段階での加工機械の再生びびり振動抑制に有効に適用できることが判明した。
【0039】
即ち、従来、再生びびり振動抑制の方法としては装置剛性を高めることに主眼が置かれていたが、この指針は必ずしも正しくなく、本発明のように、装置各部の剛性と減衰を最適化することで、より確実な再生びびり振動安定性が得られることが判明した。
【0040】
従って、前記したように切削工具の切削幅に対応した前記滑り軸受装置58の好適な摩擦力と、前記第1及び第2のばね手段63,64の好適なばね定数の組み合わせによる再生びびり振動安定領域が求められるので、前記受装置58の好適な摩擦力に基づいた送り機構7を設計し、第1のばね手段63の好適なばね定数に基づいて切削工具1及び工具ホルダ2からなる工具部3の剛性強度を設計し、第2のばね手段64の好適なばね定数に基づいて駆動軸8、支持軸受9及びカップリング10からなる動力伝達部11の剛性強度を設計することができる。
【0041】
尚、本発明は上述の実施例にのみ限定されるものではなく、例えば、工具部及び動力伝達部を更に分割して複数のばね手段によって模擬するようにしてもよいこと、本発明の加工装置は種々の加工機械における再生びびり振動安定領域を求めることができること、その他、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0042】
1 切削工具
3 工具部
7 送り機構
11 動力伝達部
50 スライド軸
51 油静圧軸受
52 油静圧軸受装置
53 駆動装置
56 切削動力計
58 滑り軸受装置
59 摩擦力調整手段
60 圧下ブロック
61 押付装置
62 予荷重計測手段
63 第1のばね手段
64 第2のばね手段
65 板ばね
66 工具変位計測手段
68 レーザ変位計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端に切削工具を備えたスライド軸と、該スライド軸の先端近傍をスライド可能に支持する油静圧軸受装置と、前記スライド軸の後端に接続して該スライド軸のスライドを駆動する駆動装置と、前記油静圧軸受装置と前記駆動装置との間に備えられ前記スライド軸を滑り移動可能に支持して送り機構の摩擦を模擬する滑り軸受装置と、前記油静圧軸受装置と前記滑り軸受装置との間のスライド軸に備えられ工具部の軸方向変位を模擬してばね定数を変更可能な第1のばね手段と、前記滑り軸受装置と前記駆動装置との間のスライド軸に備えられ駆動装置の動力伝達部の軸方向変位を模擬してばね定数を変更可能な第2のばね手段と、前記滑り軸受装置に軸受予荷重を付与してスライド軸の摩擦力を調節可能な摩擦力調整手段と、該摩擦力調整手段による軸受予荷重を計測する予荷重計測手段と、前記切削工具の軸方向変位を計測する工具変位計測手段と、を備えたことを特徴とする加工装置。
【請求項2】
前記第1及び第2のばね手段は、厚さが異なる複数の板ばねを交換可能に備えていることを特徴とする請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
前記摩擦力調整手段は、前記滑り軸受装置に支持したスライド軸に圧下ブロックを介して軸受予荷重を負荷する押付装置であることを特徴とする請求項1又は2に記載の加工装置。
【請求項4】
前記工具変位計測手段は、切削工具の軸方向変位を計測するレーザ変位計であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の加工装置。
【請求項5】
前記駆動装置に切削動力計を備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の加工装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つに記載の加工装置を用いた加工機械の構造仕様設計方法であって、前記摩擦力調整手段により前記滑り軸受装置に付与する軸受予荷重を変更することで前記スライド軸の摩擦力を段階的に調節する操作と、前記第1及び第2のばね手段のばねを交換してばね定数を段階的に調節する操作とを組み合わせ、各操作の調節ごとに切削工具による切削を行って再生びびり振動の発生限界を求める作業を、前記切削工具の切削幅を変更して実施し、前記切削工具の切削幅を変更し前記各操作の調節を行うごとのびびり振動の発生限界から夫々のびびり振動安定領域を求め、該びびり振動安定領域に基づいて、前記滑り軸受装置の好適摩擦力と、前記第1及び第2のばね手段の好適ばね定数を求めることを特徴とする加工機械の構造仕様設計方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate