説明

加工装置

【課題】 作業者の身長によらずコマンドの入力及び操作画面の読み取りが容易な表示モニタを備えた加工装置を提供することである。
【解決手段】 被加工物に加工を施す加工手段と該加工手段を収容するハウジングとを有する加工装置本体と、該加工手段の動作条件を入力する操作画面を表示する該ハウジングに配設された表示モニタとを備えた加工装置であって、該表示モニタは、該ハウジングに対して着脱可能に構成され、入力された操作情報を該加工装置本体へ送信するとともに該加工装置本体からの情報を受信する第1無線送受信部を有し、該加工装置本体は、該表示モニタからの該操作情報を受信するとともに該表示モニタへ情報を送信する第2無線送受信部を有する制御手段を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物に加工を施す加工手段と、加工手段の動作条件を入力設定する操作画面を表示する表示モニタとを備えた加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの産業機械や製造装置では、加工手段等の駆動機構はハウジング中に収容されている。そして、ハウジングには加工手段の動作条件等を入力するための操作ボタンや、入力設定された動作条件や加工手段の動作状況を表示するための表示手段が配設されている。
【0003】
例えば、半導体製造工程等で使用される切削装置や研削装置では、特開2001−108401号公報に開示されるように、切削ブレードや研削ホイールが装着されたスピンドルやチャックテーブル等の動作条件、被加工物を洗浄する洗浄ユニットの動作条件等を入力する操作ボタンと、入力された動作条件や顕微鏡で撮像した加工結果を表示する表示モニタを有している。
【0004】
一方、近年では装置の小型化や見栄えを考慮して、動作条件を入力する操作ボタンに替わって、入力された動作条件や加工結果の表示のみでなく、動作条件を入力可能なタッチパネル式の表示モニタが広く採用されており、一般的に表示モニタはハウジングの側壁に固定されている(例えば、特開2009−194326号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−108401号公報
【特許文献2】特開2009−194326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、多くの産業機械や製造装置では、ハウジングの側壁は垂直であり、このような側壁にタッチパネル式の表示モニタを配設すると、作業者の身長によっては入力がしづらい上、表示が読みがたいという問題がある。
【0007】
一方、近年の半導体デバイス製造プロセスでは、従来複数の加工装置で行っていた加工を一台の加工装置で行うべく、例えば切削装置と研削装置、テープマウンタなど複数の加工装置を組み合わせた所謂「インライン加工装置」が普及しつつある。また、半導体ウエーハの大口径化に伴って加工装置は大型化の傾向にある。
【0008】
これらのインライン加工装置や大型化した加工装置では、表示モニタが加工装置の一部に固定されていると、表示モニタから離れている場所のメンテナンスや調整時に加工装置を稼動させながら動作確認や作業を行うことが難しいという問題がある。
【0009】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、作業者の身長によらず動作条件等の入力及び表示画面の読み取りが容易で作業し易い表示モニタを備えた加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によると、被加工物に加工を施す加工手段と該加工手段を収容するハウジングとを有する加工装置本体と、該加工手段の動作条件を入力する操作画面を表示する該ハウジングに配設された表示モニタとを備えた加工装置であって、該表示モニタは、該ハウジングに対して着脱可能に構成され、入力された操作情報を該加工装置本体へ送信するとともに該加工装置本体からの情報を受信する第1無線送受信部を有し、該加工装置本体は、該表示モニタからの該操作情報を受信するとともに該表示モニタへ情報を送信する第2無線送受信部を有する制御手段を備えたことを特徴とする加工装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の加工装置では、表示モニタを加工装置本体から取り外すことができるため、どの作業者でも動作条件等の入力及び表示画面の読み取りが容易となる。また、メンテナンスや調整時にも任意の場所へと表示モニタを持ち運ぶことができるため、加工装置が大型化しても作業性が悪化することがない。
【0012】
更に、複数の加工装置を並べて生産加工を行っている工場等では、複数台の加工装置の表示モニタを一箇所で操作することが可能となるため、作業者の負荷や人数を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】表示モニタを具備した加工装置の一例を示す斜視図である。
【図2】表示モニタを取り外した状態の加工装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。図1を参照すると、加工装置の一例であるレーザ加工装置2の外観斜視図が示されている。図2は扉を開くとともに表示モニタを取り外した状態のレーザ加工装置の外観斜視図である。
【0015】
レーザ加工装置2は、レーザビーム発生ユニット及びレーザ加工ヘッド(集光器)10等の加工手段がハウジング8内に収容された加工装置本体4と、加工装置本体4のハウジング8に着脱可能に装着された表示モニタ6とから構成される。
【0016】
加工装置本体4はスライド式に開閉される扉14,16を備えており、扉14,16を開けると図2に示すように、レーザ加工ヘッド10及びチャックテーブル12が現れる。チャックテーブル12はX軸方向とY軸方向に移動可能に配設されている。
【0017】
18は内部に複数枚のウエーハを収容したカセットを載置するカセット載置台であり、上下方向に移動可能に構成されている。20はレーザ加工装置2の稼働状況を表示する表示ランプであり、レーザ加工装置2が正常作動時には例えば緑色で点灯し、何らかの故障が生じた場合には赤色が点滅する。22,24は非常停止ボタンであり、作業者がこの非常停止ボタン22,24を押すとレーザ加工装置2の作動を直ちに停止することができる。
【0018】
表示モニタ6は、図2に示すハウジング8の嵌合凹部26中に嵌合することにより加工装置本体4に搭載され、更に矢印Aに示すように加工装置本体4から取り外すことができる。
【0019】
表示モニタ6は第1無線送受信部28を有しており、この第1無線送受信部28を介して表示モニタ6に入力された操作情報を加工装置本体4に送信するとともに、加工装置本体4からの情報を受信して表示モニタ6に表示する。
【0020】
表示モニタ6に入力された操作情報は、例えば、レーザビームの平均出力や繰り返し周波数、チャックテーブルの送り速度等の加工条件、ウエーハをチャックテーブルまで搬送する図示しない搬送手段の移動速度等、装置の各種設定値を含むものである。
【0021】
また、加工装置本体4からの情報は、例えば、加工装置の動作条件の設定状況や図示しない顕微鏡で撮像した被加工物の撮像画像等を含むものである。
【0022】
一方、加工装置本体4の制御手段30は第2無線送受信部32を有しており、この第2無線送受信部32を介して表示モニタ6からの操作情報を受信するとともに、表示モニタ6に加工装置本体4の稼動情報を送信する。加工装置本体4と表示モニタ6との間の無線通信は、ブルートゥス、ミリ波等の狭帯域通信を用いるのが好ましい。狭帯域通信により誤作動を防止することができる。
【0023】
より好ましくは、通信範囲を狭帯域に制限し、無線情報に装置固有情報(固有アドレス等)を持たせておくことにより、各表示モニタに対応する加工装置の識別をし、他の表示モニタからの情報による加工装置の誤作動を防止することができる。
【0024】
上述した実施形態によると、表示モニタ6を加工装置本体4から取り外すことができるため、どの作業者でも動作条件等の入力及び表示画面の読み取りが容易となる。また、メンテナンスや調整時にも任意の場所へと表示モニタ6を持ち運ぶことができるため、加工装置が大型化しても作業性が悪化することがない。
【0025】
更に、無線情報に装置固有情報(固有アドレス等)を持たせることにより、複数の加工装置を並べて生産加工を行っている工場等では、加工装置の誤作動を起こすことなく複数台の加工装置の表示モニタを一箇所で操作することが可能となるため、作業員の負荷や人数を低減することができる。
【0026】
上述した実施形態では、本発明をレーザ加工装置2に適用した例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば切削装置、研削装置等の他の加工装置にも本発明を同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0027】
2 レーザ加工装置
4 装置本体
6 表示モニタ
8 ハウジング
10 レーザ加工ヘッド
12 チャックテーブル
26 嵌合凹部
28 第1無線送受信部
32 第2無線送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物に加工を施す加工手段と該加工手段を収容するハウジングとを有する加工装置本体と、該加工手段の動作条件を入力する操作画面を表示する該ハウジングに配設された表示モニタとを備えた加工装置であって、
該表示モニタは、該ハウジングに対して着脱可能に構成され、入力された操作情報を該加工装置本体へ送信するとともに該加工装置本体からの情報を受信する第1無線送受信部を有し、
該加工装置本体は、該表示モニタからの該操作情報を受信するとともに該表示モニタへ情報を送信する第2無線送受信部を有する制御手段を備えたことを特徴とする加工装置。

【図1】
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【図2】
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