説明

加湿器

【課題】ガスの流れの偏りをより低減して、各中空糸膜に対するガスの供給量をさらに均一化できる加湿器を提供すること。
【解決手段】加湿器は、略箱状のケースと、このケースに収納された複数の中空糸膜62と、を備え、ケースを通して中空糸膜62の内側に導入されたエアオフガスと、ケースを通して中空糸膜62の外側に導入されたエアと、の間で水分を移動させる。ケース内部の複数の中空糸膜62同士の間には、複数の棒体61が設けられ、これら複数の棒体61は、両端側でケースに固定され、複数の中空糸膜62は、複数の棒体61に対して離間可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加湿器に関する。詳しくは、燃料電池システムを搭載した自動車に用いられる加湿器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の新たな動力源として燃料電池システムが注目されている。燃料電池システムは、例えば、反応ガスを化学反応させて発電する燃料電池と、反応ガス流路を介して燃料電池に反応ガスを供給する反応ガス供給装置と、この反応ガス供給装置を制御する制御装置と、を備える。
【0003】
燃料電池は、例えば、数十個から数百個のセルが積層されたスタック構造である。ここで、各セルは、膜電極構造体(MEA)を一対のセパレータで挟持して構成され、膜電極構造体は、アノード電極(陽極)およびカソード電極(陰極)の2つの電極と、これら電極に挟持された固体高分子電解質膜とで構成される。
【0004】
この燃料電池のアノード電極に水素ガスを供給し、カソード電極に酸素を含むエアを供給すると、電気化学反応により発電する。そして、燃料電池で利用されたエアは、エアオフガスとして排出され、燃料電池で利用された水素ガスは、水素オフガスとして排出される。
【0005】
ところで、上述のように、燃料電池における化学反応はMEA膜で行われるが、このMEA膜の湿度がある程度確保できないと、イオンの交換が十分行われないため、以上の燃料電池システムには、圧縮機から燃料電池に供給されるエアと、燃料電池から排出されるエアオフガスと、の間で水分交換を行う加湿装置が設けられる。
【0006】
この加湿器は、例えば、箱状のケースと、このケースに収納された複数本の円筒形状の中空糸膜と、を備える。この加湿装置は、ケースを通して中空糸膜の外側に導入されたガスと、ケースを通して中空糸膜の内側に導入されたガスと、の間で水分を移動させる。
【0007】
しかしながら、例えば、中空糸膜の外側に導入されたガスの圧力により、中空糸膜に振動や撓みが発生し、中空糸膜同士の間隔にばらつきが生じて、ガスの流れに偏りが生じるおそれがある。
【0008】
この問題を解決するため、例えば、以下のような加湿器が提案されている(特許文献1参照)。すなわち、この加湿器のケース内部には、複数の剛性棒が固定されており、中空糸膜は複数本ずつこの剛性棒に固定されている。具体的には、1本の断面円形状の剛性棒の周囲に均等に複数本の中空糸膜を配置し、これら中空糸膜を剛性棒とともに集束部材で束ねて中空糸膜束としている。
この加湿器によれば、集束部材で中空糸膜が棒体に固定されるため、中空糸膜の移動が拘束されるから、中空糸膜の振動や撓みが抑制され、中空糸膜同士の間隔のばらつきを低減して、ガスの流れの偏りを低減できる。
【特許文献1】特開2004−311287号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に示された構成では、以下のような問題がある。
第1に、ケース内には上述のような中空糸膜束が複数配置されることになるが、各中空糸膜束の外径が大きくなるため、これら中空糸膜束同士の隙間が大きくなり過ぎて、この隙間に多量のガスが流れることになる。
第2に、1本の断面円形状の剛性棒の周囲に均等に複数本の中空糸膜を配置して固定したので、中空糸膜の一部が剛性棒に密着することになり、この密着した部分にガスが供給されなくなってしまう。
【0010】
以上より、本発明は、ガスの流れの偏りをさらに低減して、各中空糸膜に対するガスの供給量をさらに均一化できる加湿器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の加湿器(例えば、後述の加湿器24)は、略箱状のケース(例えば、後述のケース50)と、当該ケースに収納された複数の中空糸膜(例えば、後述の中空糸膜62)と、を備え、前記中空糸膜の一方の面(例えば、中空糸膜の内面)に導入されたガス(例えば、後述のエアオフガス)と、前記中空糸膜の他方の面(例えば、中空糸膜の外面)に導入されたガス(例えば、後述のエア)と、の間で水分を移動させる加湿装置であって、前記ケース内部の複数の中空糸膜同士の間には、複数の棒体(例えば、後述の棒体61)が設けられ、当該複数の棒体は、両端側で前記ケースに固定され、前記複数の中空糸膜は、前記複数の棒体に対して離間可能であることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、ケース内部の複数の中空糸膜同士の間に複数の棒体を設け、これら複数の棒体の両端側をケースに固定し、さらに、複数の中空糸膜を複数の棒体に対して離間可能とした。よって、ガスの圧力により中空糸膜が撓んでも、この撓んだ中空糸膜が棒体に当接するので、中空糸膜の振動や撓みが抑制されることになる。よって、中空糸膜同士の間隔のばらつきを低減して、ガスの流れの偏りを低減できる。
さらに、従来のように集束部材で中空糸膜を束ねていないので、中空糸膜の一部が棒体に密着することはなく、中空糸膜と棒体との間にもガスが通流するうえに、従来のような中空糸膜束を形成しないので、中空糸膜同士の隙間が大きくなり過ぎることはない。よって、ガスの流れの偏りをより低減して、各中空糸膜に対するガスの供給量をさらに均一化できる。
【0013】
この場合、前記複数の棒体の両端側は、ポッティングにより前記ケースに固定されることが好ましい。
【0014】
複数の中空糸膜の両端側は、ポッティングによりケースに固定される。
そこで、この発明によれば、複数の棒体の両端側をポッティングによりケースに固定した。よって、中空糸膜とともに棒体をポッティングするだけで、中空糸膜に加えて棒体を容易にケースに固定でき、加湿器の製造コストを低減できる。
【0015】
この場合、前記複数の棒体は、当該棒体を断面視したとき、前記導入されたガスの流れる方向に対して交差する方向に幅広であることが好ましい。
【0016】
この発明によれば、複数の棒体を、それぞれ、棒体を断面視したとき、導入されたガスの流れる方向に対して交差する方向に幅広とした。よって、一本の棒体でできるだけ多くの中空糸膜の撓みを抑制できることになり、棒体の本数を低減できる。
【0017】
この場合、前記複数の棒体は、断面楕円形状であることが好ましい。
【0018】
この発明によれば、複数の棒体を断面楕円形状としたので、ガスの圧力により中空糸膜が撓んで棒体に接触しても、棒体の表面は円滑であるので、棒体により中空糸膜が損傷するのを防止できる。
【0019】
この場合、前記複数の棒体は、最も幅広な面が前記導入されたガスの流れる方向に対して直交していることが好ましい。
【0020】
ガスは拡散しながら流れるため、中空糸膜がガスの流れる方向に沿って押されて撓む場合がある。
そこで、この発明によれば、複数の棒体の最も幅広な面を導入されたガスの流れる方向に対して直交させた。これによれば、ガスの流れに沿って撓んだ中空糸膜に、棒体の広い面を適切に向けて当接させることができるようになるため、中空糸膜を逸らすことなく確実に支持できる。
【0021】
この場合、前記複数の棒体は、前記導入されたガスの流れる方向に対して重ならないように配置されることが好ましい。
【0022】
導入されたガスの流れる方向に対して棒体を重ねて配置すると、ガスの流れる方向に対して上流側の棒体が下流側の棒体に向かうガスの流れを妨げてしまうこととなり、上流側の棒体の周囲と下流側の棒体の周囲とでは、通流するガスに偏りが生じてしまう。
そこで、この発明によれば、導入されたガスの流れる方向に対して重ならないように複数の棒体を配置した。よって、上流側の棒体の周囲と下流側の棒体の周囲とで、通流するガスの量に偏りが生じるのを防止できる。
【0023】
この場合、前記複数の棒体は、互いに結合されていることが好ましい。
【0024】
この発明によれば、棒体同士を結合したので、棒体の曲げ剛性が向上し、ガスの圧力による中空糸膜の振動や撓みをさらに抑制できる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、ケース内部の複数の中空糸膜同士の間に複数の棒体を設け、これら複数の棒体の両端側をケースに固定し、さらに、複数の中空糸膜を複数の棒体に対して離間可能とした。よって、ガスの圧力により中空糸膜が撓んでも、この撓んだ中空糸膜が棒体に当接するので、中空糸膜の振動や撓みが抑制されることになる。よって、中空糸膜同士の間隔のばらつきを低減して、ガスの流れの偏りを低減できる。さらに、従来のように集束部材で中空糸膜を束ねていないので、中空糸膜の一部が棒体に密着することはなく、中空糸膜と棒体との間にもガスが通流するうえに、従来のように中空糸膜束を形成しないので、中空糸膜同士の隙間が大きくなり過ぎることはない。よって、ガスの流れの偏りをより低減して、各中空糸膜に対するガスの供給量をさらに均一化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る加湿器が適用された燃料電池システム1のブロック図である。
燃料電池システム1は、車両に搭載され、反応ガスを反応させて発電を行う燃料電池10と、この燃料電池10に水素ガスやエア(空気)を供給する供給装置20と、これらを制御する図示しない制御装置と、を有する。
【0027】
このような燃料電池10は、アノード電極(陽極)側にアノードガスとしての水素ガスが供給され、カソード電極(陰極)側にカソードガスとしての酸素を含むエアが供給されると、電気化学反応により発電する。
【0028】
供給装置20は、燃料電池10のカソード電極側にエアを供給するエアポンプ21と、アノード電極側に水素ガスを供給する水素タンク22と、燃料電池10から排出されるガスを処理する希釈器23と、燃料電池10に供給されるエアを加湿する加湿器24と、を含んで構成される。
【0029】
エアポンプ21は、エア供給路41を介して、燃料電池10のカソード電極側に接続されている。
燃料電池10のカソード電極側には、エア排出路42が接続され、このエア排出路42の途中には、上述の希釈器23が設けられる。
【0030】
水素タンク22は、水素供給路43を介して、燃料電池10のアノード電極側に接続されている。
燃料電池10のアノード電極側には、水素排出路44が接続され、この水素排出路44は、希釈器23に接続される。
【0031】
エア供給路41およびエア排出路42の途中には、上述の加湿器24が設けられる。この加湿器24は、中空糸膜62を用いて、エア排出路42のエアオフガスに含まれる水分をエア供給路41のエアに移動させることにより、燃料電池10に供給されるエアを加湿する。この加湿器24の構成については、後に詳述する。
【0032】
制御装置は、供給装置20を制御して、燃料電池10を発電させる。
すなわち、エアポンプ21を駆動することにより、エア供給路41を介して、燃料電池10のカソード側にエアを供給する。同時に、水素タンク22から、水素供給路43を介して、燃料電池10のアノード側に水素ガスを供給する。
【0033】
燃料電池10に供給された水素ガスおよびエアは、発電に供された後、燃料電池10からアノード側の生成水などの残留水と共に、水素オフガスおよびエアオフガスとして、水素排出路44およびエア排出路42に流入する。
その後、水素オフガスは、希釈器23に流入し、希釈器23においてエアオフガスで希釈されて、外部に排出される。
【0034】
図2は、加湿器24の斜視図であり、図3は、加湿器24の断面図である。図4(a)は、図3のX−X断面図であり、図4(b)は、図3のY−Y断面図である。なお、これら図2〜図4において、燃料電池10から排出される湿潤気体であるエアオフガスの流れを白矢印で示し、燃料電池10に供給される乾燥気体であるエアの流れを黒矢印で示す。
【0035】
加湿器24は、円柱形状であり、略箱状のケース50と、このケース50に収納された複数の棒体61および中空糸膜62と、を備える。
【0036】
ケース50は、両端が開放された円筒形状の筒部51と、この筒部51の両端側内周面に形成されて筒部51の両端を塞ぐポッティング部52a、52bと、を備える。
ポッティング部52a、52bは、ポッティング(樹脂盛り)により形成されている。
筒部51の長手方向一端面(ポッティング部52aが形成された側)を端部流入口53とし、他端面(ポッティング部52bが形成された側)を端部流出口54とする。
【0037】
筒部51の長手方向他端側(ポッティング部52bが形成された側)の外周面には、8個の外周流入口55が周方向に所定間隔おきに形成されている。また、筒部51の長手方向一端側(ポッティング部52aが形成された側)の外周面には、8個の外周流出口56が周方向に所定間隔おきに形成されている。
外周流入口55および外周流出口56は、筒部51のポッティング部52a、52bよりも中央寄りに形成されており、これら外周流入口55および外周流出口56を通して、ケース50の内部と外部とが連通している。
【0038】
棒体61および中空糸膜62は、ケース50の長手方向に沿って延びており、これら棒体61および中空糸膜62の両端側は、ポッティング部52a、52bを貫通して、外部に露出している。
これにより、中空糸膜62の一端側は、ケース50の端部流入口53に連通し、他端側は、ケース50の端部流出口54に連通している。
【0039】
図5(a)は、加湿器24内での棒体61および中空糸膜62の配列を示す断面図である。
棒体61は、断面楕円形状であり、ポッティングにより両端側でポッティング部52a、52bに支持される。
棒体61は、中空糸膜62同士の間に、中空糸膜62の外側に導入されたエアの流れる方向に対して重ならないように千鳥状に配置される。
図5(b)にも示すように、これら断面楕円形状の棒体61の最も幅広な面は、それぞれ、当該棒体61を断面視したとき、エアの流れる方向に対して直交している。
なお、棒体61の断面形状としては、楕円形状に限らず、図6(a)に示すように、頂点が面取りされた略三角形状でもよいし、図6(b)に示すように、頂点が面取りされた略四角形状でもよい。
【0040】
中空糸膜62は、内側から外側に至る内径数nm(ナノメートル)の微細な毛管を多数有している。これらの毛管中では、蒸気圧が低下して容易に水分が凝縮し、この凝縮した水分は、毛管現象により吸い出されて中空糸膜を透過する。
中空糸膜62と棒体61との間には、隙間が形成されており、これにより、中空糸膜62は、棒体61に対して離間可能となっている。
【0041】
次に、加湿器24の動作を説明する。
まず、ケース50の端部流入口53に湿潤気体であるエアオフガスを導入するとともに、ケース50の外周流入口55に乾燥気体であるエアを導入する。
【0042】
このエアオフガスは、端部流入口53から各中空糸膜62の内部に流入し、各中空糸膜62の内面側を通流して、端部流出口54から排出される。
一方、エアは、ケース50の外周流入口55からケース50内に流入し、ケース50内に配置された各中空糸膜62の外面側を通流して、外周流出口56から排出される。
【0043】
このように中空糸膜62の内側をエアオフガスが通流し、中空糸膜62の外側をエアが通流すると、これらのガスの間で水分が移動する。
具体的には、中空糸膜62の内側ではエアオフガス中の水分が凝縮し、外側では水分が蒸発する。同時に、中空糸膜62の内側から外側に向けて、内側で凝縮したエアオフガスの水分が毛管現象により供給される。これにより、中空糸膜62の外側を通流するエアの加湿が行われる。つまり、中空糸膜62の内側と外側を通流するガスの水分含有量の差を推進力として、水透過(水分離)が行われる。
【0044】
本実施形態によれば、以下のような効果がある。
(1)ケース50内部の複数の中空糸膜62同士の間に複数の棒体61を設け、これら複数の棒体61の両端側をケース50に固定し、さらに、複数の中空糸膜62を複数の棒体61に対して離間可能とした。よって、図5中破線で示すように、エアの圧力により中空糸膜62が撓んでも、この撓んだ中空糸膜62が棒体61に当接するので、中空糸膜62の振動や撓みが抑制されることになる。よって、中空糸膜62同士の間隔のばらつきを低減して、ガスの流れの偏りを低減できる。
さらに、従来のように集束部材で中空糸膜を束ねていないので、中空糸膜62の一部が棒体61に密着することはなく、中空糸膜62と棒体61との間にもガスが通流するうえに、従来のように中空糸膜束を形成しないので、中空糸膜62同士の隙間が大きくなり過ぎることはない。よって、ガスの流れの偏りをより低減して、各中空糸膜62に対するガスの供給量をさらに均一化できる。
【0045】
(2)複数の棒体61の両端側をポッティングによりケース50に固定した。よって、中空糸膜62とともに棒体61をポッティングするだけで、中空糸膜62に加えて棒体61を容易にケース50に固定でき、加湿器24の製造コストを低減できる。
【0046】
(3)複数の棒体61を、当該棒体61を断面視したとき、導入されたガスの流れる方向に対して交差する方向に幅広とした。よって、一本の棒体61で多くの中空糸膜62を支持できることになり、棒体61の本数を低減できる。
【0047】
(4)複数の棒体61を断面楕円形状としたので、ガスの圧力により中空糸膜62が撓んで棒体61に接触しても、棒体61の表面は円滑であるので、棒体61により中空糸膜62が損傷するのを防止できる。
【0048】
(5)複数の棒体61の最も幅広な面を導入されたガスの流れる方向に対して直交させた。よって、ガスの流れに沿って撓んだ中空糸膜62に、棒体61の広い面を適切に向けて当接させることができるようになるため、中空糸膜62を逸らすことなく確実に支持できる。
【0049】
(6)導入されたガスの流れる方向に対して重ならないように千鳥状に複数の棒体61を配置した。よって、ガスの流れる方向に対して上流側の棒体61が下流側の棒体61に向かうガスの流れを妨げてしまうのを防止して、上流側の棒体61の周囲と下流側の棒体61の周囲とで、通流するガスの量に偏りが生じるのを防止できる。
【0050】
なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
例えば、本実施形態では、筒部51の端部流入口53にエアオフガスを導入し、外周流入口55にエアを導入したが、これに限らない。すなわち、筒部51の端部流入口53にエアを導入し、外周流入口55にエアオフガスを導入してもよい。
【0051】
また、本実施形態では、筒部51の外周面に外周流入口55を設けて、筒部51の外周側からエアオフガスを導入したが、これに限らず、エアオフガスの通流する配管を筒部51の内部に設けて、筒部51の内側からエアオフガスを導入する、いわゆるインナー型の加湿器としてもよい。
【0052】
また、各棒体同士を互いに結合してもよい。具体的には、棒体同士を交差させてもよいし、棒体同士を連結する別の部材を設けてもよい。このようにすれば、棒体の曲げ剛性が向上し、ガスの圧力による中空糸膜の振動や撓みをさらに抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の一実施形態に係る加湿器が適用された燃料電池システムのブロック図である。
【図2】前記実施形態に係る加湿器の斜視図である。
【図3】前記実施形態に係る加湿器の断面図である。
【図4】前記実施形態に係る加湿器のX−X断面図およびY−Y断面図である。
【図5】前記実施形態に係る加湿器内での棒体および中空糸膜の配列を示す断面図である。
【図6】本発明の変形例に係る棒体を示す断面図である。
【符号の説明】
【0054】
24 加湿器
50 ケース
61 棒体
62 中空糸膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略箱状のケースと、当該ケースに収納された複数の中空糸膜と、を備え、前記中空糸膜の一方の面に導入されたガスと、前記中空糸膜の他方の面に導入されたガスと、の間で水分を移動させる加湿器であって、
前記ケース内部の複数の中空糸膜同士の間には、複数の棒体が設けられ、
当該複数の棒体は、両端側で前記ケースに固定され、
前記複数の中空糸膜は、前記複数の棒体に対して離間可能であることを特徴とする加湿器。
【請求項2】
前記複数の棒体の両端側は、ポッティングにより前記ケースに固定されることを特徴とする請求項1に記載の加湿器。
【請求項3】
前記複数の棒体は、当該棒体を断面視したとき、前記導入されたガスの流れる方向に対して交差する方向に幅広であることを特徴とする請求項1または2に記載の加湿器。
【請求項4】
前記複数の棒体は、断面楕円形状であることを特徴とする請求項3に記載の加湿器。
【請求項5】
前記複数の棒体は、最も幅広な面が前記導入されたガスの流れる方向に対して直交していることを特徴とする請求項3または4に記載の加湿器。
【請求項6】
前記複数の棒体は、前記導入されたガスの流れる方向に対して重ならないように配置されることを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の加湿器。
【請求項7】
前記複数の棒体は、互いに結合されていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の加湿器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−145009(P2010−145009A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322658(P2008−322658)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】