説明

加湿機およびそれを備えた加湿温風機

【課題】不用意な漏水等の発生を抑制し、安全性の高とデザイン性の高い加湿機を提供すること。
【解決手段】送風機160と、加湿フィルタ230と、加湿フィルタ230に給水する加湿トレー220と、加湿トレー220に給水する給水タンク210とを含み、加湿トレー220と給水タンク210は、本体110の同一立面に連続して設けられた開口部111より着脱可能な構成とし、加湿トレー220が本体110に収容された状態において、給水タンク210が装着された場合に加湿トレー220の本体110からの離脱を規制し、給水タンク210が装着されない場合は加湿トレー220の本体110からの離脱可能とする規制手段260を備えたことにより、給水タンクは本体の低い位置の開口部から着脱可能となるとともに、給水タンク装着時には加湿トレーの本体からの離脱がなく、不用意な漏水を防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸水した加湿フィルタに空気を送給して気化させる気化式の加湿機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加湿機は、本体内に吸気口から吹出口まで連通している流路に送風機とヒータと加湿部を設け、加湿部に水を供給する水槽ユニットと水槽ユニットに水を供給する給水タンクとを備え、水槽ユニットは加湿機の本体の横方向に着脱自在に設置し、給水タンクは本体の天面より装着する構成とし、給水タンクの装着時には給水タンクが水槽に係合することにより、水槽ユニットが本体より脱離しない構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図9は特許文献1に記載された従来の加湿機の外装の一部を取り外した状態の斜視図を示し、図10は従来の加湿機の水槽ユニットの斜視図を示すものである。なお、図の矢印Yで示す方向が前面方向である。
【0004】
図9に示すように、加湿機の本体1の背面には吸気口2が設置されており、天面の後部には吹き出し口3が設けられている。天面の前部には給水タンク(図示せず)を矢印Zの方向に出し入れする装着部4が設けられている。本体1内部の中央部には送風機5が設置されており、前部には給水タンクを収容するタンク収容スペース6が確保されている。本体1の下部には矢印Xに示すように、本体1の側方部に出入可能に水槽ユニット7が配置されており、水槽ユニット7の中央部には加湿部8が設置されている。
【0005】
図10に示すように水槽ユニット7は後部に加湿部8が設置されており、加湿部8と水槽ユニット7とは着脱可能であり、水槽ユニット7から取り外して清掃可能な構成となっている。水槽ユニット7の前部には給水タンクの水を受ける受水部9が形成されており、受水部9で受水した水が水槽ユニット7の後部に流入して加湿部8に給水される構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−178121号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記従来の構成では、開閉可能な給水タンクの装着部が本体の天面に、また水槽ユニットの装着部が本体の側面に設けられており、給水タンクの着脱は本体の上方から給水タンクを持ち上げて行い、水槽ユニットの着脱は本体の側面から摺動させて行っている。そのため、特に加湿機を高い位置に設置した場合には、給水タンクの着脱作業を行うときに高い位置まで持ち上げる必要があり作業性の面で改善の余地があった。
【0008】
また、本体の天面に給水タンクの着脱口を設けることにより、天面に操作部を設ける場合には設置スペースが狭くなり、操作スイッチや表示を小さくすることが余儀なくされるため操作性の面で改良の余地があった。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、給水タンクと水槽ユニットの装着部を本体の背面に設置し、給水タンクの着脱を本体背面の低い位置で可能とすることにより、使
い勝手の向上と不用意な漏水等の発生を抑制するとともに、本体上面に操作部を設ける十分なスペースを確保することにより、視認しやすくかつ操作しやすい操作部の設置が可能となり、使い勝手が良くかつ安全性が高く、しかもデザイン性の高い加湿機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加湿器は、本体の外面に開口された吸気口と吹出口とを連通する風路と、風路の途中に配置され空気を送風する送風機と、送風機で送風された空気を加湿する加湿フィルタと、加湿フィルタに給水する加湿トレーと、加湿トレーに装着され、加湿トレーに給水する水を貯水する給水タンクとを含み、加湿トレーと給水タンクは、本体の同一の立面に連続して設けられた開口部より着脱可能な構成とし、加湿トレーが本体に収容された状態において、給水タンクが装着された場合に加湿トレーの本体からの離脱を規制し、給水タンクが装着されない場合は加湿トレーの本体からの離脱を可能とする規制手段を備えた加湿機である。
【0011】
これにより、給水タンクは本体の立面に設けられた低い位置の開口部から着脱可能となり安全かつ容易に着脱作業を行うことができる。また、給水タンクを加湿トレーに装着時には、加湿トレーが本体から離脱することがなく、不用意に漏水等の異常状態が発生することを抑制することができ安全性が高い。また、本体上面には広いスペースの操作部を設置することが可能となり、デザイン性が高くかつ操作性の高い使い勝手のより加湿機を提供することができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の加湿器は、安全性と使い勝手とデザイン性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における加湿温風機の外観斜視図
【図2】図1にAAで示す断面図
【図3】図1にBBで示す断面図
【図4】本発明の実施の形態1における加湿温風機の扉を開放した状態の背面側の斜視図
【図5】本発明の実施の形態1における加湿温風機の本体から給水タンクの着脱操作途中を示す斜視図
【図6】本発明の実施の形態1における加湿温風機の本体から給水タンクと給水トレーを取り外した状態を示す斜視図
【図7】本発明の実施の形態1における加湿温風機の本体から給水タンクを取り外した状態を示す断面図
【図8】本発明の実施の形態1における加湿温風機の本体に給水タンクを設置した状態を示す断面図
【図9】従来の加湿機の外郭の一部を取り外した状態の斜視図
【図10】従来の加湿機の水槽ユニットの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、本体の外面に開口された吸気口と吹出口とを連通する風路と、前記風路の途中に配置され空気を送風する送風機と、前記送風機で送風された空気を加湿する加湿フィルタと、前記加湿フィルタに給水する加湿トレーと、前記加湿トレーに装着され、前記加湿トレーに給水する水を貯水する給水タンクと、を含み、前記加湿トレーと前記給水タンクは、前記本体の同一の立面に連続して設けられた開口部より着脱可能な構成とし、前記加湿トレーが前記本体に収容された状態において、前記給水タンクが装着された場合に前記加湿トレーの前記本体からの離脱を規制し、前記給水タンクが装着されない場合は
前記加湿トレーの前記本体からの離脱を可能とする規制手段を備えた加湿機である。
【0015】
これにより、給水タンクは本体の立面に設けられた低い位置の開口部から着脱可能となり安全かつ容易に着脱作業を行うことができる。また、給水タンクを加湿トレーに装着時には、加湿トレーが本体から離脱することがなく、不用意に漏水等の異常状態が発生することを抑制することができ安全性が高い。また、本体上面には広いスペースの操作部を設置することが可能となり、デザイン性が高くかつ操作性の高い使い勝手のより加湿機を提供することができる。
【0016】
第2の発明は、特に第1の発明において、前記規制手段は、前記加湿トレーに前記給水タンクの着脱により可動する可動部を備え、前記本体に前記可動部を保持する保持部を備えた構成としたものである。
【0017】
これにより、給水タンクを加湿トレーに装着したときは、加湿トレーの可動部が本体の保持部に保持され加湿トレーの本体からの離脱が規制され、給水タンクが加湿トレーに装着されていないときは、加湿トレーの可動部が本体の保持部から離脱し、加湿トレーの規制が解除され、本体から取り出すことが可能となり、加湿機の移動時や給水タンクや加湿トレーの着脱操作時に不用意に漏水が発生することを抑制することができる。
【0018】
第3の発明は、第1または第2の発明の加湿機と、前記風路の前記送風機と前記加湿フィルタとの間に空気を加熱するヒータとを備え、前記吹出口より加湿された温風を吹き出すことを特徴とする加湿温風機である。
【0019】
これにより、湿度が低い温風に加湿することができ、適度な湿度を備えた温風で暖房効果を発揮させることができる。
【0020】
第4の発明は、特に第3の発明において、前記風路は前記ヒータの下流側で、前記加湿フィルタに連通する加湿風路と、前記加湿フィルタを通過させずに前記吹出口に直接連通する温風風路とに分岐し、前記風路の分岐点に、前記加湿風路および前記温風風路のいずれか一方または両方に温風を選択的に送風するダンパと、前記ダンパの操作を行う操作手段を備え、前記ダンパの操作により、温風と加湿温風の吹き出しが選択可能としたものである。
【0021】
これにより、温風のみの送風と加湿温風の選択が可能となり、短時間の暖房をする場合は温風を選択することにより短時間で昇温することが可能となり、長時間の暖房する場合は加湿温風を選択することにより快適な暖房効果を得ることができる。
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0023】
(実施の形態1)
図1は本実施の形態における加湿機を備えた加湿温風機の外観を示す斜視図であり、図2は図1に示すAA断面図を示し、図3は図1に示すBB断面図を示し、図4は加湿温風機の扉を開放した状態の背面を示す斜視図である。
【0024】
<1>加湿機の構成
図1および図4に示すように、加湿温風機100の本体110の上面には操作部120が、背面には吸気口130が、前面には吹出口140が設けられており、図2に示すように本体110内には吸気口130から吹出口140まで風路150が連通している。風路150には、吸気口130に近い最も上流側には送風機160が配置されており吸気口1
30から吸引した外気を風路150に送風する。
【0025】
送風機160の下流にはヒータ170が配置されている。ヒータ170は全体で1200Wの容量であるが、全体を2分割した構成であり、低容量の加熱を行うときは、その半分にのみに通電することで600Wの容量で加熱することができる。
【0026】
風路150は送風機160とヒータ170との間で分岐した分岐風路を備えており、分岐した風路は静電霧化部180を介して吹出口140に連通する静電霧化風路151を形成している。送風機160から送風された少量(約5%)の風量が静電霧化風路151に常時供給される構成となっている。
【0027】
また、風路150はヒータ170の下流で2本に分岐しており、一方は吹出口140に直接連通する温風風路152と、他方は加湿部190を介して吹出口140に連通する加湿風路153が形成されている。
【0028】
風路150の分岐点にはダンパ200が設置されており、ダンパ200はタイミングモータとギアとクランク等で構成された駆動機構(図示せず)を備えており、ヒータ170で加熱された温風を、温風風路152のみ、または温風風路152と加湿風路153の両方に送風することを操作部120の操作で選択的に切り替えることができる。
【0029】
図2に示すようにダンパ200が位置Cの場合、温風は温風風路152と加湿風路153の両方に同時に送風される。この場合、風量の約10%を温風風路152に送風し、残りを加湿風路153に送風する。
【0030】
ダンパ200が加湿風路153を閉じる位置Dに切り替えられた場合は、温風風路152にのみ温風が送風される。
【0031】
図1に示すように、操作部120には、加湿温風機100の電源の「入」、「切」を行う電源スイッチ121と、温風運転を連続的に行う温風連続スイッチ122と、設定温度に合わせて温風運転を行う温風室温スイッチ123と、加湿運転を行う加湿スイッチ124と、静電霧化運転を行う静電霧化スイッチ125と、入タイマを設定する入タイマスイッチ126と、切タイマを設定する切タイマスイッチ127と、子供のいたずら等の誤操作をロックするロックスイッチ128と、加湿部190のメンテナンス後に操作するリセットスイッチ129が設けられている。
【0032】
また、操作部120には上記の各種スイッチの操作状態を表示する複数の表示ランプが設置されている。
【0033】
なお、本実施の形態における加湿温風機100は、加湿風路153とは別に温風風路152を設けるとともに、風路を切り替えるダンパ200と切り替え操作を行う操作スイッチとを設け、「温風」と「加湿温風」とが選択できる構成としたが、これに限るものではなく、例えば、風路は加湿風路153のみとし、ダンパ200および切り替え操作を行う操作スイッチを設けない構成とし、送風機160による送風が全て加湿部190に供給されるものを加湿機と定義する。なお、ヒータ170は加湿機の必須の構成要素ではないが、加湿性能を向上するためにヒータ170を備えた構成であってもよい。また、静電霧化部180も加湿機の必須の構成要素ではない。
【0034】
<2>静電霧化部の構成
図2に示すように、静電霧化部180は、送風機160とヒータ170との間の風路150から分岐した静電霧化風路151内に静電霧化ユニット181が設置されている。
【0035】
静電霧化ユニット181は、送風機160で送風された空気中の水分を結露させて水を生成する結露水生成部と、生成された水に電圧を印加する霧化電極と、霧化電極に対向して設けられた対向電極とで構成されている。
【0036】
結露水生成部は、冷却基板と放熱基板とを有するペルチェ素子を主構成部材とし、ペルチェ素子の冷却基板には尖鋭形状の霧化電極が設置されており、ペルチェ素子の冷却基板に結露した水が霧化電極に搬送される構成となっている。
【0037】
尖鋭形状の霧化電極と対向する位置に、霧化電極を包囲するように略ドーム状の対向電極が配置されており、霧化電極と対向電極の間に約3500Vの直流電流が印加することにより、霧化電極に搬送された結露水にレイリー分裂を生じさせ、ナノメートルサイズの帯電微粒子水が発生する。
【0038】
すなわち、静電霧化ユニット181を通過後の空気は、ナノメートルサイズの帯電微粒子水が含まれたものであり、吹出口140から帯電微粒子水が放出される。ナノメータサイズの帯電微粒子水は、アンモニア、アセトアルデヒド、酢酸、メタン、一酸化炭素、一酸化窒素、ホルムアルデヒド等の臭気成分の分解除去と各種菌類への殺菌効果を備えており、室内に浮遊および壁面や床面に付着した臭気成分や菌類に対して脱臭と除菌および殺菌の効果を発揮することができる。
【0039】
<3>加湿部の構成
図2および図3に示すように、加湿部190は、加湿に使用する水を貯水する給水タンク210と、給水タンク210から流出した水を貯溜する加湿トレー220と、水を気化させる加湿フィルタ230と、加湿フィルタ230を加湿トレー220に取り付けるフィルタトレー240を主構成部材として構成されている。
【0040】
給水タンク210は半透明の樹脂材料で成型されており容量約3リットルのボトル形状であり、給水タンク210の蓋211には、ばねの付勢力により自動的に閉止される閉止栓212が設けられており、給水タンク210が加湿トレー220の所定位置にセットされた場合に閉止栓212が自動的に開放され、給水タンク210の水が加湿トレー220に供給される。給水タンク210は本体110の背面に設けられたタンク扉250を開いて、本体110の背面に設けられたタンク開口111から本体110内に収容および取り出しを行うことができる。
【0041】
図3に示すように、加湿トレー220は給水タンク210からの水を受ける水受部221と加湿フィルタ230に供給する水を貯水する貯水部222で構成されている。水受部221は略円形の凹陥形状であり、その中央には円柱状の突起部223が形成されており、給水タンク210の閉止栓212が突起部223に当接することにより、閉止栓212が開放される構成となっている。
【0042】
貯水部222は平面略長方形の箱状に形成されており、加湿トレー220の水受部221と貯水部222は連通溝で連通されており、水受部221で給水タンク210より給水された水は連通溝を介して貯水部222に供給され、一定の水位で貯水される。
【0043】
また、貯水部222の内部には貯水部222と略相似形のフィルタトレー240が設置されている。フィルタトレー240は加湿トレー220より耐熱性の高い樹脂材料で成型されており、加湿部190に送風される温風で加湿トレー220が変形することを防止する目的と、加湿フィルタ230を加湿トレー220に固定する機能を備えている。
【0044】
また、加湿トレー220の水受部221の後方には、加湿トレー220を本体110にロックする規制機構260が設置されており、規制機構260の詳細は後述する。
【0045】
加湿フィルタ230は樹脂材料で成型した略直方体のフィルタケース231と、フィルタケース231に内装されたフィルタ材232で構成されている。フィルタケース231は網目状に形成されており、その内外が通風可能な構成となっている。フィルタ材232は樹脂繊維の不織布を蛇行形状に折り曲げて形成した吸水性能および耐熱性の優れたものである。
【0046】
図6に示すように、加湿トレー220は本体110背面の下部に設けられたトレー開口112より収容および取り出しを行うことができる。また、本実施の形態におけるタンク開口111とトレー開口112とは中間部に仕切等を配設せず連続して一体的に形成された開口となっている。
【0047】
<4>加湿トレーの規制機構の構成
図7は加湿温風機の本体から給水タンクを取り外した状態を示す断面図であり、図8は加湿温風機の本体に給水タンクを設置した状態を示す断面図である。
【0048】
本実施の形態における加湿温風機は加湿トレー220を本体110に収容した状態で、加湿トレー220の取り出しを規制する規制機構260を備えている。
【0049】
図7および図8に示すように、規制機構260は加湿トレー220に設置され上下に摺動する規制棒261と、規制棒261を上方に付勢するばね262と、本体110の底部に設けられ規制棒261が挿入される保持孔263が主な構成部材として構成されている。規制棒261は横方向に延出した支持片261aを介してばね262で常時上方向に付勢されている。
【0050】
図7に示すように加湿トレー220を本体110内に収容して給水タンク210が収容されていない状態においては、規制棒261はばね262の付勢力により上方の開放位置に配置される。この状態では規制棒261の下端が加湿トレー220の底面より上方に配置され、規制棒261は保持孔263から抜け出た状態となる。
【0051】
この状態で、加湿トレー220は本体110からの着脱を自由に行うことが可能となっている。
【0052】
一方、図8に示すように加湿トレー220を本体110内に収容し、かつ給水タンク210を収容した状態においては、給水タンク210の自重がばね262の付勢力に抗して規制棒261を下方に移動させ、加湿トレー220の底面から突出した規制棒261の下端部は本体110の底部に設けられた保持孔263に挿入される。
【0053】
この状態においては、規制棒261が保持孔263により移動が規制されているため、加湿トレー220を本体110から取り外すことができない。
【0054】
すなわち、タンク開口111とトレー開口112は中間部に仕切等を配設せず連続して一体的に形成された開口であるが、本体110内に設置した加湿トレー220に給水タンク210を設置した状態では、加湿トレー220を取り外すことはできず、またこれら2個の部材を同時に取り外することもできない。すなわち、これらの部材を取り外す場合は給水タンク210を最初に取り出して、次に加湿トレー220を取り外すという2段階の作業が必要であり、取り外し作業時に給水タンク210や加湿トレー220を転倒させて漏水させる危険性を抑制することができる。また、本体110に加湿トレー220に給水
タンク210を取り付ける場合も、最初に加湿トレー220を取り付け、次に給水タンク210を取り付ける2段階の作業手順が必須であり、給水タンク210と加湿トレー220の取り付けおよび取り外し作業時における漏水の危険性を抑制することができる。
【0055】
<5>加湿温風機の動作、作用
加湿温風機100を使用する場合、準備作業として加湿フィルタ230とフィルタトレー240を加湿トレーの貯水部222にセットし、トレー開口112から本体110内に収容する。次に水を充填した給水タンク210を本体110背面のタンク扉250を開放して本体110内に収容し、タンク扉250を閉塞する。
【0056】
準備作業完了状態において、給水タンク210の水は加湿トレー220の水受部221に流出し、連通溝を介して貯水部222に流入し、所定の水位に達したら停止する。この状態で加湿フィルタ230の下側の約1/3は水没した状態になり、毛細管現象によりフィルタ材232全体が吸水状態となる。
【0057】
加湿温風機100の運転を開始する場合、まず操作部120の電源スイッチ121を「入」にし、次に好みの運転モードを選択する。運転モードとしては、「温風」、「加湿」、「静電霧化」3つの基本的な運転モードがあるが、これに加え「温風」と「加湿」を同時に行う「加湿温風」の運転モードがある。また、「静電霧化」の運転モードは単独の運転モードに加え、他の「温風」、「加湿」、「加湿温風」の運転モードとの同時運転が可能な構成となっている。
【0058】
温風モードの運転を行う場合は、温風連続スイッチ122か温風室温スイッチ123のどちらかを選択操作する。温風連続スイッチ122を選択した場合には、加湿温風機100はヒータ170が「強」または「弱」の容量で室温に関係なく温風を吹き出す。また、温風室温スイッチ123を選択した場合、室温に連動してヒータ170の容量を切り換えて室温を所定温度に保つように運転する。
【0059】
温風モードの運転を行う場合は、ダンパ200は加湿風路153を閉じる位置Dに配置され、温風は温風風路152のみに供給され吹出口140から吹き出す。この場合、吹き出す温風は高温で乾燥した状態のものであり、このモードは短時間の部屋の暖房や、乾燥を目的とした使用に適している。
【0060】
加湿モードの運転を行う場合は加湿スイッチ124を操作する。加湿モードの運転の場合、ヒータ170の容量は低容量(約600W)に設定される。ダンパ200は温風を主に加湿風路153に送風する位置Cに配置され、低温の温風は温風風路152と加湿風路153の両方に送風され、温風風路152を通過した乾燥状態の温風と、加湿風路153を通過し加湿部190で加湿された加湿空気が吹出口140の手前で混合され、吹出口140から吹き出す。
【0061】
このモードの場合、温風の一部を温風風路152を介して直接吹き出させることにより、流速の早い温風が吹出口140の手前で加湿空気を吸引して加湿空気を遠くまで吹き出す効果を得ることができる。
【0062】
温風モードの運転と加湿モードの運転を同時に行う加湿温風モードの運転を行う場合を、上記のように温風連続スイッチ122か温風室温スイッチ123のどちらかと加湿スイッチを操作する。
【0063】
加湿温風モードの運転の場合、ダンパ200の位置および送風状態は加湿運転の場合と同じであるが、ヒータ170の容量が1200Wの最大容量で運転される。そのため、適
度に加湿された温風が吹き出し、長時間に亘り部屋を快適に暖房する場合に最も適したモードである。
【0064】
静電霧化モードの運転を行う場合は静電霧化スイッチ125を操作する。静電霧化スイッチ125を操作することにより、静電霧化ユニット181に通電され、静電霧化ユニット181は送風機160から送風された空気に含まれる水分からナノメートルサイズの帯電微粒子を発生し、帯電微粒子を含む空気を吹出口140から吹き出す。
【0065】
静電霧化モードの運転は、単独運転で実施することに加え、温風運転、加湿運転、加湿温風運転の各運転モードと同時に運転することが可能であり、いずれの運転モードにおいても室内に浮遊および壁面や床面に付着した臭気成分や菌類に対して脱臭と除菌および殺菌の効果を発揮することができる。
【0066】
運転を停止する場合は、電源スイッチ121を「切」操作することにより、加湿温風機100の運転が停止する。
【0067】
運転停止の状態で、給水タンク210の水の補充や加湿フィルタ230のメンテナンス等を実施することができる。加湿フィルタ230のメンテナンスを行う場合は、まず給水タンク210を本体110から取り外し、加湿トレー220の規制機構260を開放してから加湿トレー220を本体110から引き出して取り外すことが必須である。加湿フィルタ230とフィルタトレー240を加湿トレー220から取り外して水洗いをすることによりフィルタ材の中に堆積したスケールやごみを取り除ことができる。
【0068】
以上のように、本実施に形態の加湿温風機100は、加湿トレー220と給水タンク210は本体110の背面に連続して設けられた開口部より着脱可能な構成としたことにより、給水タンク210の着脱作業には給水タンク210を高い位置まで持ち上げる必要がなく、本体110の低い位置のタンク開口111から着脱可能となり安全かつ容易に着脱作業を行うことができる。
【0069】
また、タンク開口111とトレー開口112を本体110の背面に一体の連続した開口部として設けたことにより、本体110の前面と上面および側面に発生する接合部を少なくすることができ、特に本体110上面には広いスペースの操作部120を設置することが可能となり、デザイン性が高くかつ操作性の高い使い勝手のより加湿温風機を提供することができる。
【0070】
また、加湿トレー220が本体110に収容された状態において、給水タンク210が装着された場合には加湿トレー220が本体110から離脱することが規制され、給水タンク210が装着されない場合は加湿トレー220の離脱を可能とする規制機構260を備えたことにより、給水タンク210が加湿トレー220に装着された状態においては、加湿トレー220が本体110から離脱することがなく、不用意に漏水等の異常が発生することを抑制することができ安全性が高い。
【産業上の利用可能性】
【0071】
以上のように、本発明にかかる加湿機は、給水タンクの操作性と漏水を抑制することが可能となるので、水および他の液体を使用する他の民生用機器等の用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0072】
100 加湿温風機
110 本体
111 タンク開口(開口部)
112 トレー開口(開口部)
120 操作部(操作手段)
130 吸気口
140 吹出口
150 風路
152 温風風路
153 加湿風路
160 送風機
170 ヒータ
200 ダンパ
210 給水タンク
220 加湿トレー
230 加湿フィルタ
260 規制機構(規制手段)
261 規制棒(可動部)
263 保持孔(保持部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体の外面に開口された吸気口と吹出口とを連通する風路と、
前記風路の途中に配置され空気を送風する送風機と、
前記送風機で送風された空気を加湿する加湿フィルタと、
前記加湿フィルタに給水する加湿トレーと、
前記加湿トレーに装着され、前記加湿トレーに給水する水を貯水する給水タンクと、を含み、
前記加湿トレーと前記給水タンクは、前記本体の同一の立面に連続して設けられた開口部より着脱可能な構成とし、
前記加湿トレーが前記本体に収容された状態において、前記給水タンクが装着された場合に前記加湿トレーの前記本体からの離脱を規制し、前記給水タンクが装着されない場合は前記加湿トレーの前記本体からの離脱を可能とする規制手段を備えた、
加湿機。
【請求項2】
前記規制手段は、前記加湿トレーに前記給水タンクの着脱により可動する可動部を備え、前記本体に前記可動部を保持する保持部を備えた構成の、
請求項1に記載の加湿機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の加湿機と、
前記風路の前記送風機と前記加湿フィルタとの間に空気を加熱するヒータと、を備え、
前記吹出口より加湿された温風を吹き出すことを特徴とする、
加湿温風機。
【請求項4】
前記風路は前記ヒータの下流側で、前記加湿フィルタに連通する加湿風路と、前記加湿フィルタを通過させずに前記吹出口に直接連通する温風風路とに分岐し、
前記風路の分岐点に、前記加湿風路および前記温風風路のいずれか一方または両方に温風を選択的に送風するダンパと、
前記ダンパの操作を行う操作手段を備え、
前記、ダンパの操作により、温風と加湿温風の吹き出しが選択可能な、
請求項3に記載の加湿温風機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−255619(P2012−255619A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−129885(P2011−129885)
【出願日】平成23年6月10日(2011.6.10)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】