説明

加湿機能付き浴室暖房装置

【課題】暖房機能運転を行う場合に、簡易な構造で、浴室内の温度の低下を抑えつつ、乾燥を防ぐことができる加湿機能付き浴室暖房装置を提供する。
【解決手段】機器本体3内には、気液熱交換器4と、送風ファン5とが配設され、気液熱交換器4に熱媒を循環する往き管8aは、気液熱交換器4の空気の搬送路Rの下流側に位置する配管40と接続されており、給水源からの水が供給される供給管10は、空気の搬送路Rの下流側に位置する配管40と送風ファン5との間を通って加湿部9に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室内を暖房するための暖房機能運転が行われる際に、浴室内を加湿可能な加湿機能付き浴室暖房装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室内に温風のみを送風する暖房機能運転が行われる浴室暖房装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この種の浴室暖房装置は、浴室の天井あるいは壁などに設置された機器本体のケーシング内に、浴室内の空気を循環する送風ファンと、気液熱交換器とを備えている。そして、暖房機能運転を行うにあたっては、送風ファンを回転させて、浴室内の空気を吸い込み口から吸い込み、吸い込み口から吹き出し口へ空気の搬送路を形成するとともに、該空気の搬送路の途中に配設された気液熱交換器と、浴室外に配設された給湯器などの熱源機との間で熱媒を循環させることにより、空気を加熱し、加熱された空気を浴室内に吹き出させているが、上記の浴室暖房装置で暖房機能運転を行う場合、浴室内の空気を気液熱交換器で加熱して循環させているため、浴室内が乾燥しやすい。
【0004】
一方、暖房機能運転だけでなく、浴室内にミストを噴霧させるミスト機能運転も行われるミスト機能付き浴室暖房装置が提案されている(例えば、特許文献2)。このミスト機能付き浴室暖房装置によれば、浴室内をサウナ状態にすることができるため、浴室内を加温しつつ、乾燥を防ぐことができる。
【0005】
しかしながら、ミスト機能付き浴室暖房装置で浴室内がサウナ状態となるようにミストを噴霧させるためには、80℃程度のミストを毎分1リットル以上噴霧する必要がある。そのため、給水源からの水を機器本体外に設置された液々熱交換器などの加熱手段で加熱する必要があり、設備費用が嵩むという問題がある。また、ミスト機能運転では、使用者がサウナ状態を望んでいないにも関わらず、多量のミストが噴霧されるため、非経済となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001―132966号公報
【特許文献2】特開2006−296749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、暖房機能運転を行う場合に、簡易な構造で、浴室内の温度の低下を抑えつつ、乾燥を防ぐことができる加湿機能付き浴室暖房装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、浴室の天井または壁に設置され、吸い込み口及び吹き出し口を有する機器本体と、暖房機能運転中に浴室内を加湿するための加湿部と、浴室外に設置される熱源機と、浴室内を暖房するための暖房機能運転を制御する制御部とを備える加湿機能付き浴室暖房装置であって、
前記機器本体内に、
前記吸い込み口から前記吹き出し口に向かって空気の搬送路を形成する送風ファンと、
前記空気を加熱する配管が配列された気液熱交換器と、
前記熱源機と前記気液熱交換器との間で熱媒を循環する往き管及び戻り管と、
前記加湿部に給水源から水を供給する供給管とを有し、
前記気液熱交換器は、前記送風ファンよりも前記空気の搬送路の上流側に配設されているとともに、前記往き管は、前記気液熱交換器の前記空気の搬送路の下流側に位置する配管と接続されており、
前記供給管は、前記空気の搬送路の下流側に位置する配管と前記送風ファンとの間を通って前記加湿部と接続されている加湿機能付き浴室暖房装置である。
【0009】
上記加湿機能付き浴室暖房装置によれば、給水源からの水を加湿部に供給する供給管が、暖房機能運転時に高温の熱媒で加熱される気液熱交換器と、気液熱交換器によって加熱された空気が搬送される下流側の送風ファンとの間を通って、加湿部と接続されているから、供給管内の水を暖めることができる。
【0010】
上記加湿機能付き浴室暖房装置において、
前記制御部は、
前記暖房機能運転を行う場合、前記熱源機を作動させて、前記熱源機と前記気液熱交換器との間で前記熱媒を循環させる一方、前記加湿部に前記機器本体内で暖められた湯水を供給し、浴室内に湯水を噴霧する。
【0011】
上記加湿機能付き浴室暖房装置によれば、暖房機能運転により気液熱交換器が熱源機からの熱媒によって加熱され、それによって供給管内の水が暖められるから、浴室内の温度の低下を抑えつつ、浴室内の乾燥を防止することができる。
【0012】
好ましくは、上記加湿機能付き浴室暖房装置において、
前記供給管は、前記加湿部からの湯水の噴霧及び停止をするための開閉弁と、前記空気の搬送路に位置する供給管内の湯水の温度を検知する温度検知部とを有しており、
前記制御部は、
前記暖房機能運転を行う場合、前記温度検知部により検知される前記供給管内の湯水の温度に基づき前記開閉弁を開閉して、間欠的に浴室内に湯水を噴霧する。
【0013】
上記加湿機能付き浴室暖房装置によれば、暖房機能運転によって機器本体内で暖められた供給管内の湯水の温度に基づき、湯水を間欠的に浴室内に噴霧することができる。
【0014】
上記加湿機能付き浴室暖房装置は、
前記空気の搬送路の途中に、前記空気の湿度を検知する湿度検知部を有し、
前記制御部は、
前記湿度検知部で検知される湿度に基づき、前記機器本体内で暖められた湯水を加湿部に供給してもよい。
【0015】
上記加湿機能付き浴室暖房装置によれば、浴室内の空気の乾燥の程度に応じて、湯水を浴室内に噴霧することができる。
【0016】
上記加湿機能付き浴室暖房装置において、
前記供給管は、前記気液熱交換器近傍で前記配管と略平行に配設されていてもよい。
【0017】
上記加湿機能付き浴室暖房装置によれば、暖房機能運転時に気液熱交換器により効率的に空気を加熱することができる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように、本発明によれば、暖房機能運転が行われる際に、供給管に加熱手段を設けることなく加湿部に供給される供給管内の水を暖めることができるから、簡易な構造でありながら、浴室内の温度の低下を抑えつつ、浴室内の乾燥を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る加湿機能付き浴室暖房装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態に係る加湿機能付き浴室暖房装置において暖房機能運転を行う場合の制御動作を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら本実施の形態の加湿機能付き浴室暖房装置を具体的に説明する。
【0021】
図1は、本実施の形態の加湿機能付き浴室暖房装置を示す概略断面図である。図1に示すように、この加湿機能付き浴室暖房装置1は、浴室外に設置される給湯器などの熱源機2と、浴室内に設置される機器本体3と、制御部Cとを備えている。
【0022】
機器本体3内には、気液熱交換器4と、空気を一定方向に搬送するための送風ファン5等が設けられている。また、本実施の形態の機器本体3は、浴室の天井Eに設置されるタイプのものであり、機器本体3の下面には、吸い込み口6と、可変ルーバ7a付きの吹き出し口7とが設けられている。従って、送風ファン5を回転させると、機器本体3内に、図中の一点鎖線で示すように、吸い込み口6から吹き出し口7を連通する空気の搬送路Rが形成される。
【0023】
気液熱交換器4は、機器本体3内で、送風ファン5よりも空気の搬送路Rの上流側に配設されており、断面くの字状の構造を有している。また、この気液熱交換器4では、横方向(紙面に垂直な方向)に蛇行して配管40が延設されており、配管40は側方端部で下方に折り返されて、空気の搬送方向に対して下流側に位置する第1配管列40a及び上流側に位置する第2配管列40bの2列の配管列から構成されている。これにより、空気との接触面積を増大させることができ、搬送される空気を効率的に加熱することができる。なお、配管40は縦方向に蛇行して延設されてもよく、また浴室の大きさ等に合わせて3列以上の配管列としてもよい。
【0024】
気液熱交換器4は、浴室外に配置された熱源機2と循環管路である往き管8a及び戻り管8bで接続されており、往き管8aは、上記した空気の搬送路Rの下流側に位置する第1配管列40aの配管と接続され、戻り管8bは、空気の搬送路Rの上流側に位置する第2配管列40bの配管と接続されている。従って、熱源機2を作動させると、熱媒が往き管8aを介して、気液熱交換器4に流れ、気液熱交換器4内で、第1配管列40a、第2配管列40bの順に通って、戻り管8bを介して熱源機2に戻される。これにより、暖房機能運転においては、送風ファン5が回転されて浴室の空気が循環されると、空気が気液熱交換器4で加熱され、温風となって吹き出し口7から浴室に送風される。
【0025】
また、機器本体3には、加湿部として、ノズル9が吹き出し口7に隣接して配設されている。このノズル9には、加熱手段を介することなく給水源と接続された供給管10から水が供給される。ノズル9は、浴室内の機器本体3と離れた位置に設けてもよいし、浴室内に複数設けてもよい。
【0026】
図1に示すように、本実施の形態のノズル9と接続された供給管10は、機器本体3の側壁から引き込まれており、既述した気液熱交換器4の配管40のうち、空気の搬送路Rの下流側に位置する第1配管列40aの配管と送風ファン5との間を通ってノズル9に接続されている。これにより、暖房機能運転が行われると、気液熱交換器4が加熱され、循環する空気が気液熱交換器4で加熱されるに伴って、供給管10内の水が暖められる。しかも、上記供給管10の配設態様によれば、気液熱交換器4の配管40のうち、熱源機2から高温の熱媒が供給される往き管8aが接続されている空気の搬送路Rの下流側の第1配管列40aに近接して供給管10が配設されているため、加熱された配管40からの輻射熱によっても供給管10内の水を暖めることができる。
【0027】
また、供給管10は、図1に示すように、気液熱交換器4と隣接して、気液熱交換器4の配管40が延びる方向と略平行に配設されている。これにより、空気の搬送が妨げられないから、効率的に暖房機能運転を行うことができる。
【0028】
供給管10には、空気の搬送路Rに位置する部分に、供給管10内の湯水の温度を検知するための温度検知部として温度センサ11と、温度センサ11よりもノズル9側に湯水の噴霧及び停止を行う開閉弁として電磁弁12とが設けられている。この温度センサ11で検知された温度は制御部Cに出力され、電磁弁12は制御部Cからの信号に基づき開閉される。
【0029】
また、機器本体3内の空気の搬送路Rには、送風ファン5を回転させたときに循環される空気の湿度を検知するための湿度検知部として湿度センサ13が設けられている。この湿度センサ13で検知された湿度は制御部Cに出力される。
【0030】
暖房機能運転を行う制御部Cは機器本体3外に設けられており、この制御部Cは、既述した熱源機2、送風ファン5、供給管10に設けられた温度センサ11、電磁弁12、湿度センサ13や、図示しない浴室内に設けられたリモコンなどと接続されている。
【0031】
次に、本実施の形態の加湿機能付き浴室暖房装置で暖房機能運転を行う場合の制御動作を図2の制御フロー図に基づいて説明する。
【0032】
使用者がリモコンの暖房運転スイッチをオン操作すると、暖房機能運転が開始される(S1)。この暖房機能運転開始ステップでは、制御部Cは、熱源機2を作動させて、熱媒を加熱し、加熱した熱媒を気液熱交換器4との間で循環させる。そして、気液熱交換器4の温度が所定温度になると、制御部Cは、送風ファン5を回転させ、吸い込み口6から浴室内の空気を吸い込み、気液熱交換器4で加熱して、加熱した空気を吹き出し口7から浴室内へ送風する。
【0033】
上記暖房機能運転が開始されると、循環される空気の湿度が湿度センサ13で検知され、制御部Cは所定開始湿度Ma以下の空気が循環しているかどうかを監視する(S2)。湿度センサ13で検知される空気の湿度Mが所定開始湿度Ma以下であり、浴室内の空気が乾燥していると判断された場合(S2でYES)、制御部Cは、温度センサ11からの出力に基づき、供給管10内に滞留している湯水の温度Tが所定開始温度Ta以上となっているかどうかを判断する(S3)。そして、暖房機能運転によって機器本体3内で暖められた供給管10内の湯水の温度Tが所定開始温度Ta以上(例えば、40℃以上)となっていれば(S3でYES)、制御部Cは、電磁弁12を開弁する(S4)。すると、供給管10内に滞留し、暖房機能運転によって暖められた湯水がノズル9から浴室内に噴霧される。湯水が噴霧されると、制御部Cは供給管10内の湯水の温度Tが所定停止温度Tb以下(例えば、20℃以下)となるかどうかを監視する(S5)。供給管10内の湯水の温度Tが所定停止温度Tb以下(S5でYES)となると、制御部Cは電磁弁12を閉弁する(S6)。これにより、所定温度まで暖められた湯水を浴室内に噴霧することができるから、浴室内の温度の低下を抑えつつ、暖房機能運転中の浴室内の乾燥を防止できる。
【0034】
なお、電磁弁12が閉弁されると、再度、制御部Cは、湿度センサ13で浴室内の湿度を監視し(S2)、空気の湿度Mが所定開始湿度Ma以下となり(S2でYES)、供給管10内の湯水の温度Tが所定開始温度Ta以上であれば(S3でYES)、上記と同様に湯水を間欠的に噴霧する。これにより、暖房機能運転の間、浴室内が過剰に乾燥することを防止できる。
【0035】
(その他の実施の形態)
(1)上記実施の形態では、機器本体3内に湿度センサ13を設け、該湿度センサ13により検知される循環する空気の湿度が所定開始湿度以下となった場合に、間欠的に湯水を噴霧させているが、空気中の湿度によらず、暖房機能運転が開始されると、間欠的に湯水を噴霧させてもよい。
【0036】
(2)上記実施の形態では、供給管10に温度センサ11を設け、該温度センサ11により検知される供給管10内の湯水の温度が所定開始温度以上である場合に、間欠的に湯水を噴霧させているが、供給管10内の湯水の温度によらず、暖房機能運転が開始されると、間欠的に湯水を噴霧させてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 加湿機能付き浴室暖房装置
2 熱源機
3 機器本体
4 気液熱交換器
5 送風ファン
6 吸い込み口
7 吹き出し口
8a 往き管
8b 戻り管
9 ノズル(加湿部)
10 供給管
11 温度センサ(温度検知部)
12 電磁弁(開閉弁)
13 湿度センサ(湿度検知部)
40 配管
C 制御部
R 空気の搬送路


【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室の天井または壁に設置され、吸い込み口及び吹き出し口を有する機器本体と、暖房機能運転中に浴室内を加湿するための加湿部と、浴室外に設置される熱源機と、浴室内を暖房するための暖房機能運転を制御する制御部とを備える加湿機能付き浴室暖房装置であって、
前記機器本体内に、
前記吸い込み口から前記吹き出し口に向かって空気の搬送路を形成する送風ファンと、
前記空気を加熱する配管が配列された気液熱交換器と、
前記熱源機と前記気液熱交換器との間で熱媒を循環する往き管及び戻り管と、
前記加湿部に給水源からの水を供給する供給管とを有し、
前記気液熱交換器は、前記送風ファンよりも前記空気の搬送路の上流側に配設されているとともに、前記往き管は、前記気液熱交換器の前記空気の搬送路の下流側に位置する配管と接続されており、
前記供給管は、前記気液熱交換器の前記空気の搬送路の下流側に位置する配管と前記送風ファンとの間を通って前記加湿部と接続されている加湿機能付き浴室暖房装置。
【請求項2】
請求項1に記載の加湿機能付き浴室暖房装置であって、
前記制御部は、
前記暖房機能運転を行う場合、前記熱源機を作動させて、前記熱源機と前記気液熱交換器との間で前記熱媒を循環させる一方、前記加湿部に前記機器本体内で暖められた湯水を供給し、浴室内に湯水を噴霧する加湿機能付き浴室暖房装置。
【請求項3】
請求項2に記載の加湿機能付き浴室暖房装置であって、
前記供給管は、前記加湿部からの湯水の噴霧及び停止をするための開閉弁と、前記空気の搬送路に位置する供給管内の湯水の温度を検知する温度検知部とを有しており、
前記制御部は、
前記暖房機能運転を行う場合、前記温度検知部により検知される前記供給管内の湯水の温度に基づき前記開閉弁を開閉して、間欠的に浴室内に湯水を噴霧する加湿機能付き浴室暖房装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載の加湿機能付き浴室暖房装置であって、
前記空気の搬送路の途中に、前記空気の湿度を検知する湿度検知部を有し、
前記制御部は、
前記湿度検知部で検知される湿度に基づき、前記機器本体内で暖められた湯水を加湿部に供給する加湿機能付き浴室暖房装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の加湿機能付き浴室暖房装置であって、
前記供給管は、前記気液熱交換器近傍で前記配管と略平行に配設されている加湿機能付き浴室暖房装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−220150(P2012−220150A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−88778(P2011−88778)
【出願日】平成23年4月13日(2011.4.13)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【Fターム(参考)】