加湿装置、および加湿機能を有する空気調和機
【課題】吸着剤を担持した水分吸着手段を固定し、その両側に設置された2組のダンパを切り換えるという簡単な動作により、密閉性が高く、空気漏洩の少ない風路を実現でき、室内へ連続的に加湿空気を供給することのできる加湿装置、および加湿機能を有する空気調和機を提供する。
【解決手段】水分吸着手段2を挟んで片側に2層ずつ設置され、風路をそれぞれ2分割する風路仕切板10〜13を有する、第1及び第2の風路分割手段6、7と、第3及び第4の風路分割手段8、9と、第1及び第2の風路分割手段の間、並びに第3及び第4の風路分割手段の間にそれぞれ設置され、対角状に設けられた1対のダンパと1対の開口部とを有する第1及び第2の風路切換手段14、15とを備え、水分吸着手段は風路内に固定して設置され、第2及び第3の風路分割手段の風路仕切板11、12は、水分吸着手段2の表面に密着する。
【解決手段】水分吸着手段2を挟んで片側に2層ずつ設置され、風路をそれぞれ2分割する風路仕切板10〜13を有する、第1及び第2の風路分割手段6、7と、第3及び第4の風路分割手段8、9と、第1及び第2の風路分割手段の間、並びに第3及び第4の風路分割手段の間にそれぞれ設置され、対角状に設けられた1対のダンパと1対の開口部とを有する第1及び第2の風路切換手段14、15とを備え、水分吸着手段は風路内に固定して設置され、第2及び第3の風路分割手段の風路仕切板11、12は、水分吸着手段2の表面に密着する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着剤を利用した加湿装置、および加湿機能を有する空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加湿装置及び加湿装置を具備する空気調和機として、以下のようなものがある。
第1の従来技術は、外気中の水分を加湿水として利用する無給水加湿手段を、2台の無給水加湿ユニットとして室外機に具備し、吸湿モードと加湿モードとを交互に切換えることにより、室内を加湿するものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
第2の従来技術は、円柱形状に成形された吸着材と、吸着材を通過する2つの空気流通路と、それぞれの空気流通路に設置された2つの送風装置と、およびヒータとからなる加湿装置を室外に設置し、駆動モータにより吸着材を回転させ、一方の空気流通路を通り、吸着材に水分を吸着された乾燥空気を室外に排気し、もう一方の空気流通路を通り、吸着材に吸着された水分が蒸発した加湿空気を室内へ送って加湿するものである(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
第3の従来技術は、加湿ユニットは空調機の室外機と一体に構成され、加湿ユニット内部に、ハニカム状に形成された基材に、吸着剤を担持させた円板状の回転ロータを、除湿側通路と再生側通路の両方を横断する姿勢で設置し、加湿ユニットと室内機を空気ダクトで接続し、加湿空気はこの空気ダクトを介して室内に搬送する構造とし、また回転ロータに担持する吸着剤として、吸着エネルギの小さい疎水性ゼオライトを使用し、SiO2のモル分率がAl2O3のモル分率よりも大きいもの、すなわちSiO2/Al2O3が1より大きいものを使用するというものである(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平6−257805号公報(第3頁−第4頁、図1、図4)
【特許文献2】特開平10−267331号公報(第3頁−第4頁、図1)
【特許文献3】特開2001−96126号公報(第3頁−第4頁、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、第1の従来技術では、2台の無給水加湿ユニットにおいて、吸湿モードと加湿モードとを交互に切換えるので、常に室内に加湿空気を供給することができるが、ユニットが2台あるため装置が大型化してコストもかかり、またモードの切換の際には、四方向電磁弁、2つの二方向電磁弁、2つのポンプを切換え、さらに2つのヒータをON/OFFする必要があるため、制御対象が多く複雑であるという課題があった。また、ヒータをON/OFFするので、吸湿モードに切換わった際には、ヒータが冷めるまでは高温空気が送られるため吸湿が行われず、一方加湿モードに切換わった際には、ヒータの温度が立ち上がるまでは加湿が行われないため、モード切換時の時間的ロスが大きいという課題があった。
【0007】
第2の従来技術では、吸着材を回転させ、一方の空気流通路で吸着させた外気中の水分を、もう一方の空気流通路で蒸発させて室内へ送っているので、風路を切換えることなく、連続的に加湿空気を室内へ供給することができるが、2つの空気流通路に跨って設置された吸着材を回転させるために、吸着材近傍には隙間を設置せざるをえず、2つの空気流通路間で空気漏洩が発生するという課題があった。また、送風装置を室外に設置しているので、室内への送風装置から発生する騒音の影響を低減できるが、2つの送風装置による空気流の方向が同一であるため、吸着材における吸着と脱着とが並列方向で行われることになるため、吸脱着効率が低下し、充分な加湿量を得られないという課題があった。
【0008】
第3の従来技術では、加湿ユニットを室外機と一体に設置して、室外の高湿空気を吸着剤に吸着させるため、吸着量としては室内空気を使用するより確保しやすいが、加湿運転が行われる外気が低温の際、常に低温空気が流れる除湿側通路と、常に高湿空気が流れる加湿側通路が隣り合って設置されているため、加湿側通路において結露が発生し、さらに、加湿空気を室内に搬送する空気ダクト内においても、外気に冷却されるため結露してしまうという課題があった。また、吸着剤として吸着エネルギの小さい疎水性ゼオライトを用いているため、ゼオライトはシリカゲルや活性炭などの吸着剤に比べて吸着量が少なく、特に疎水性ゼオライトは吸着エネルギが小さい反面吸着量も少ないため、充分な加湿量を得られないという課題があった。
【0009】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、吸着剤を担持した水分吸着手段を固定し、その両側に設置された2組のダンパを切り換えるという簡単な動作により、密閉性が高く、空気漏洩の少ない風路を実現でき、室内へ連続的に加湿空気を供給することのできる加湿装置、および加湿機能を有する空気調和機を提供するものである。また、水分吸着手段における吸着工程と再生工程が常に対向流となるようにすることにより、水分の吸着、再生を効率的に行うことができ、また吸着風路と再生風路が切り換わり、特定の風路が冷却されることがなく、加湿装置の内部において結露が発生しにくいという特徴を有する加湿装置、および加湿機能を有する空気調和機を提供するものである。また、吸着量が多く且つ吸着エネルギの小さい吸着剤を使用する、あるいは異なった吸着特性を有する複数の吸着剤を、それらの特性を活かして組み合わせることにより、絶対的な加湿量の多い加湿装置、および加湿機能を有する空気調和機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る加湿装置は、空気中の水分を吸着及び再生する吸着剤が担持された水分吸着手段と、前記水分吸着手段に流入させる空気を加熱する加熱手段と、外気を吸入し、前記水分吸着手段を通り室外へ排気する第1の送風手段と、外気を吸入し、前記加熱手段及び前記水分吸着手段を通り室内へ送風する第2の送風手段とを備えた加湿装置であって、
前記水分吸着手段を挟んで片側に2層ずつ設置され、風路をそれぞれ2分割する風路仕切板を有する、第1及び第2の風路分割手段と、第3及び第4の風路分割手段と、
前記第1及び第2の風路分割手段の間、並びに前記第3及び第4の風路分割手段の間にそれぞれ設置され、対角状に設けられた1対のダンパと1対の開口部とを有する第1及び第2の風路切換手段とを備え、
前記水分吸着手段は風路内に固定して設置され、
前記第2及び第3の風路分割手段の風路仕切板は、前記水分吸着手段の表面に密着しているものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の加湿装置は、吸着剤を担持した水分吸着手段を風路内に固定し、その片側に2層ずつの第1及び第2の風路分割手段と、第3及び第4の風路分割手段とを設置し、第2及び第3の風路分割手段の風路仕切板を水分吸着手段の表面に密着させ、さらに第1の風路分割手段と第2の風路分割手段の間、及び、第3の風路分割手段と第4の風路分割手段の間に設置された2組の風路切換手段のダンパを切り換えるという簡単な動作により、密閉性が高く、空気漏洩の少ない風路を実現でき、室内へ連続的に加湿空気を供給することのできる加湿装置が得られるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る加湿装置の概略構成図である。
加湿装置である加湿ユニット1は、その内部に、基本的な構成要素として、水分吸着手段2と、第1の送風手段3、第2の送風手段4、および加熱手段5とが配置された構成となっている。水分吸着手段2は、円柱形状で風路内に固定して設置されており、また水分吸着手段2に担持させる吸着剤として、たとえばゼオライト、シリカゲル、活性炭等からなる多孔質基材に塗布あるいは表面処理あるいは含浸されたものであり、通気性を有する構成となっている。
【0013】
図2は、水分吸着手段2を通る風路の構成を示す詳細図であり、各部品を分解してわかりやすく示してあるが、実際には隣り合う部品は密着されている。
水分吸着手段2を通る風路は、水分吸着手段2を挟んで片側に2層ずつ風路分割手段が配置された構造である。すなわち、この例では、上部2層(第1層6、第2層7)、下部2層(第3層8、第4層9)の計4層の構造になっている。ここで、第1層6は第1の風路分割手段70、第2層7は第2の風路分割手段71、第3層8は第3の風路分割手段72、第4層9は第4の風路分割手段73を構成するものである。以下においては、第1から第4の風路分割手段70〜73を、それぞれ第1層6、第2層7、第3層8、第4層9として説明する。
【0014】
第1層6は第1の風路仕切板10、第2層7は第2の風路仕切板11、第3層8は第3の風路仕切板12、第4層9は第4の風路仕切板13を有し、第1から第4の風路仕切板10〜13によって、それぞれ風路が2分割されている。このとき、第2の風路仕切板11および第3の風路仕切板12は平行に配置されており、それぞれ水分吸着手段2の表面に密着して設置されている。一方、水分吸着手段2から離れた位置に配置される第1層6の第1の風路仕切板10および第4層9の第4の風路仕切板13は、第2の風路仕切板11および第3の風路仕切板12に対してそれぞれ垂直に設置されている。したがって、第2層7、水分吸着手段2、第3層8は同方向に風路が2分割され、第1層6および第4層9はこれらに対して垂直方向に風路が2分割されていることになる。つまり、風路は円形断面を4分割されることになる。
【0015】
また、第1層6と第2層7との間、および第3層8と第4層9との間には、第1の風路切換ダンパ14(第1の風路切換手段)および第2の風路切換ダンパ15(第2の風路切換手段)が設置されている。第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15は、それぞれ対角状に設けられた1対のダンパと1対の開口部とを有し、かつ、第1の風路切換ダンパ14と第2の風路切換ダンパ15とは90゜異なる角度で対角方向に設置されている。すなわち、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15は、それぞれ図示のように、2つの中心角90°の扇形(1/4円)の平板が中心にて対角方向に接続された形態のダンパからなるものであり、扇形部分が互い違いになるように設置されている。別言すれば、第1の風路切換ダンパ14は、円形の2つの象限、例えば第1象限と第3象限を平板が閉鎖する(占める)ように中心にて接続された形態であり、これに対して、第2の風路切換ダンパ15は、第2象限と第4象限を平板が閉鎖する(占める)ように中心にて接続された形態である。これにより、第1の風路仕切板10および第2の風路仕切板11によって形成される、上部風路側の1/4円ずつの4領域のうち、対角2領域を第1の風路切換ダンパ14が閉塞し、第3の風路仕切板12および第4の風路仕切板13によって形成される、下部風路側の1/4円ずつの4領域のうち、上部とは90°異なる対角2領域を第2の風路切換ダンパ15が閉塞することになる。また第1層6において、第1の風路仕切板10によって分割された2風路のうち、第1の送風手段3と連通する風路側には第1の吸気口16、第2の送風手段4と連通する風路側には第2の排気口19が設置され、同様に第4層9において、第4の風路仕切板13によって分割された2風路のうち、第1の送風手段3と連通する風路側には第1の排気口18、第2の送風手段4と連通する風路側には、加熱手段5および第2の吸気口17が設置されている。なお、第1層6の上面および第4層9の下面(底面)は、実際には図示しない蓋等で閉鎖されており、この蓋に、第1層6では上記の第1の吸気口16、第2の排気口19を設けるか、あるいは図示のように円筒の側面に第1の吸気口16、第2の排気口19を設ける。また第4層9では、同様に底面の蓋に、第1の排気口18、第2の吸気口17を設けるか、あるいは図示のように円筒の側面に第1の排気口18、第2の吸気口17を設ける。
【0016】
次に動作の一例について説明する。説明のため、図3に図2に示した各風路構成部品の平面図を示す。図3中左側のダンパ位置<A>が図2のダンパ位置と同じである。
ダンパ位置<A>のとき、吸着入口空気20として、第1の吸気口16より吸い込まれた外気は、第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6bに入り、第1の風路切換ダンパ14により領域14cが閉塞されているため、開口部14dより第2層7へ流入する。第2層7は第2の風路仕切板11により、第3層8は第3の風路仕切板12によって半円に仕切られており、またそれら2層に挟まれている水分吸着手段2も同様に半円に分割されているため、開口部14dから流入した外気は、領域7b、2b、8bの順で下方向に流れ、領域2b通過時に外気中の水分を吸着されて乾燥空気となる。乾燥空気となった外気は、第2の風路切換ダンパ15により領域15dが閉塞されているため、開口部15bより第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9aへ流入し、その後第1の排気口18より吸着出口空気22として流出し、第1の送風手段3を経由して室外へ排気される。
【0017】
一方、再生入口空気21として、第2の吸気口17より吸い込まれた外気は、第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9bへ流入し、加熱手段5によって昇温されて高温低湿空気となったのち、第2の風路切換ダンパ15により領域15dが閉塞されているため、開口部15cより第3層8へ流入する。第3層8は第3の風路仕切板12により、第2層7は第2の風路仕切板11によって半円に仕切られており、またそれら2層に挟まれている水分吸着手段2も同様に半円に分割されているため、開口部15cから流入した高温低湿空気は、領域8a、2a、7aの順で上方向に流れ、領域2a通過時に吸着されている水分が再生されて高湿空気となる。高湿空気となった外気は、第1の風路切換ダンパ14により領域14cが閉塞されているため、開口部14aより第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6aへ流入し、その後第2の排気口19より再生出口空気23として流出し、第2の送風手段4を経由して室内へ搬送されて、室内を加湿する。
【0018】
次に、水分吸着手段2の領域2bにおける吸着工程、領域2aにおける再生工程が完了する程度の時間が経過した後、図3に示すダンパ位置を<A>から<B>へと切り換える。このとき、吸着入口空気20として、第1の吸気口16より吸い込まれた外気は、第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6bに入り、第1の風路切換ダンパ14により領域14dが閉塞されているため、開口部14cより第2層7へ流入する。第2層7は第2の風路仕切板11により、第3層8は第3の風路仕切板12によって半円に仕切られており、またそれら2層に挟まれている水分吸着手段2も同様に半円に分割されているため、開口部14cから流入した外気は、領域7a、2a、8aの順で下方向に流れ、領域2aがダンパ位置<A>のときに水分を再生され乾燥しているため、領域2a通過時に外気中の水分を吸着されて乾燥空気となる。乾燥空気となった外気は、第2の風路切換ダンパ15により領域15cが閉塞されているため、開口部15aより第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9aへ流入し、その後第1の排気口18より吸着出口空気22として流出し、第1の送風手段3を経由して室外へ排気される。
【0019】
一方、再生入口空気21として、第2の吸気口17より吸い込まれた外気は、第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の9bへ流入し、加熱手段5によって昇温されて高温低湿空気となったのち、第2の風路切換ダンパ15により15cが閉塞されているため、15dより第3層8へ流入する。第3層8は第3の風路仕切板12により、第2層7は第2の風路仕切板11によって半円に仕切られており、またそれら2層に挟まれている水分吸着手段2も同様に半円に分割されているため、15dから流入した高温低湿空気は、8b、2b、7bの順で上方向に流れ、2b通過時にダンパ位置<A>のときに吸着された水分が再生されて高湿空気となる。高湿空気となった外気は、第1の風路切換ダンパ14により14dが閉塞されているため、14bより第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の6aへ流入し、その後第2の排気口19より再生出口空気23として流出し、第2の送風手段4を経由して室内へ搬送されて、室内を加湿する。
【0020】
このように、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15を回転させ風路を切り換えるという簡単な動作により、室内へ連続的に加湿空気を供給することが可能となり、また水分吸着手段2の領域2aと領域2bにおける風向が逆、すなわち吸着工程と再生工程が対向流となるため、水分吸着手段2の厚みが大きくなっても水分の吸着、再生を効率的に行うことができる。またこの風路を切り換える時間の最適値は水分吸着手段2に担持されている吸着剤の種類によって異なるので、例えばゼオライトのように比較的吸着速度の大きい材料の場合は短く(約45〜90秒)、シリカゲルのように比較的吸着速度の小さい材料の場合は長く(約90〜180秒)設定することにより、様々な特性を持った吸着剤に対して最適な運転が可能となる。また水分吸着手段2を回転させる従来のローター方式と比較して、本実施の形態では、最も空気漏洩の大きい水分吸着手段2を風路内に固定するとともに、水分吸着手段2近傍をその表面に第2の風路仕切板11および第3の風路仕切板12を密着させることにより完全に密閉しているため、空気漏洩を最小限に抑えることが可能となる。また、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15の端面に、例えばウレタンなどの柔軟性に優れた材料を付加すれば、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15を低トルクで回転でき、空気漏洩もより少なく抑えることが可能となる。さらに、低温空気が流れる吸着風路と高温高湿空気が流れる再生風路が常に固定され、両風路の境界面の再生風路側で結露を発生しやすいローター方式に対し、本実施の形態では、吸着風路と再生風路が切り換わり、特定の風路が冷却されることがないため、結露を発生しにくいという特徴もある。
【0021】
また、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15は、同一方向に90°の回転角で連続回転させて風路を切り換えても、90°の回転角で正逆回転を繰り返してもよい。同一方向の場合は、ダンパに中心軸を設置して軸を回転させても、外周部分にギア等を設置して回転させてもモータは1つで回転可能であり、コストを削減できる。正逆回転の場合は、例えば図4に示すように、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15において、扇形平板の両端側半径部分全体に、それぞれ第2の風路仕切板11および第3の風路仕切板12に当接する突起141、151を設けることができる。これにより、第1の風路切換ダンパ14では第2の風路仕切板11が、第2の風路切換ダンパ15では第3の風路仕切板12がストッパーとなるため、回転誤差が発生しないとともに、突起部分と仕切板がより広い面積で密着するため、空気漏洩を防ぐことが可能となる。なお図4では、突起部分は水分吸着手段2側に向かって設置されているが、水分吸着手段2の反対側に向かって設置し、第1の風路切換ダンパ14は第1の風路仕切板10と、第2の風路切換ダンパ15は第4の風路仕切板13と密着させてもよい。
【0022】
また、第1層6と第2層7、および第3層8と第4層9の厚みについては、空気の吸込口や吹出口が設置されている第1層6や第4層9のほうを厚くしても、水分吸着手段2に近接している第2層7や第3層8のほうを厚くしてもどちらでもよい。第1層6や第4層9を厚くした場合には、吸込口や吹出口が大きくなり、風路圧損が小さくなるため送風手段を小型化でき、一方、第2層7や第3層8を厚くした場合には、水分吸着手段2全体に空気が流れやすくなるため、風速分布が均一化され、水分吸着手段2の全体に担持された吸着剤を有効に使用することができるという効果がある。
【0023】
図1では、送風手段を水分吸着手段2の風下側に設置し、第1の送風手段3は第1の排気口18から乾燥空気を、第2の送風手段4は第2の排気口19から加湿空気を吸い出す構成となっているが、水分吸着手段2の風上側に設置して、第1の送風手段3は第1の吸気口16に、第2の送風手段4は第2の吸気口17にそれぞれ外気を押し込む構成としてもよい。風下側から吸い出す場合には、風路圧損が小さくなるため送風手段を小型化でき、風上側から押し込む場合には、水分吸着手段2における風速分布が均一化され、水分吸着手段2の全体に担持された吸着剤を有効に使用することができるという効果がある。
【0024】
また図1〜3では、水分吸着手段2における吸着工程と再生工程の空気の流れ方向が対向となるように、第1層6の領域6bに第1の吸気口16、領域6aに第2の排気口19、および第4層9の領域9bに第2の吸気口17、領域9aに第1の排気口18を設置しているが、同じ対向流であって、第1層6と第4層9の上下位置を逆転させてもよい。この場合、加熱手段5が最上層に配置されるため、仮に水分吸着手段2に担持されている吸着剤の粉落ちが発生しても、加熱手段5に到達する可能性が低くなり、安全性を高めることができる。また、例えば第1層6の領域6aに第2の吸気口17および加熱手段5を、第4層9の領域9bに第2の排気口19を設置し、水分吸着手段2における吸着工程と再生工程が並行流で行われるようにしてもよい。この場合、2つの吸込口が第1層6、2つの吹出口が第4層9というように、それぞれ同じ層に位置することになるので、送風手段を第1層6に設置し、第1の吸気口16および第2の吸気口17双方に押し込む構成が可能となり、1つの送風手段で加湿空気を連続的に生成することができる。
【0025】
以上のように、2つの回転型ダンパを切り換えるという簡単な動作により、密閉性が高く空気漏洩の少ない風路を実現でき、室内へ連続的に加湿空気を供給する加湿装置を得ることができる。このとき、吸着剤を担持された水分吸着手段における吸着工程と再生工程が対向流となるため、水分の吸着、再生を効率的に行うことができ、高効率な加湿装置となる。また、吸着風路と再生風路が切り換わり、特定の風路が冷却されることがないため、加湿装置内部において結露を発生しにくいという効果も得られる。
【0026】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2に係る水分吸着手段2を通る風路の構成を示す詳細図であり、図1に示した加湿装置の内部に配置されるものである。図5では、図2と同様に各部品を分解してわかりやすく示してあるが、実際には隣り合う部品は密着されている。実施の形態1と同一の箇所、部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
第1層6における第1の風路仕切板10によって分割された2風路、および第2層7における第2の風路仕切板11によって分割された2風路のうち、それぞれ第1の送風手段3と連通する一方の風路側の第1の吸気口16は、第1の風路切換ダンパ14によって閉塞されていない1/4円領域すなわち一方の開口部に、並びに、第1層6と第2層7の2層に跨って設置され、同様に第2の送風手段4と連通する他方の風路側の第2の排気口19は、第1の風路切換ダンパ14によって閉塞されていない1/4円領域すなわち他方の開口部に、並びに、第1層6と第2層7の2層に跨って設置されている。また、第3層8における第3の風路仕切板12によって分割された2風路、および第4層9における第4の風路仕切板13によって分割された2風路のうち、それぞれ第1の送風手段3と連通する一方の風路側の第1の排気口18は、第2の風路切換ダンパ15によって閉塞されていない1/4円領域すなわち一方の開口部に、並びに、第3層8と第4層9の2層に跨って設置され、同様に第2の送風手段4と連通する他方の風路側の第2の吸気口17は、第2の風路切換ダンパ15によって閉塞されていない1/4円領域すなわち他方の開口部に、並びに、第3層8と第4層9の2層に跨って設置されている。また、第4層9において、第4の風路仕切板13によって分割された2風路のうち、第2の送風手段4と連通する風路側には、加熱手段5が設置されている。
【0027】
次に動作の一例について説明する。説明のため、図6に図5に示した各風路構成部品の平面図を示す。図6中左側のダンパ位置<A>が図5のダンパ位置と同じである。
ダンパ位置<A>のとき、第1層6、第1の風路切換ダンパ14の開口部14d、および第2層7に跨って設置された第1の吸気口16より、吸着入口空気20として吸い込まれた外気は、第1層6では第1の風路仕切板10によって仕切られているため領域6bに、第1の風路切換ダンパ14では領域14cが閉塞しているため開口部14dに流入し、それらが第2の風路仕切板11によって仕切られている第2層7の領域7bに集約される。第2層7と同様に、第3層8は第3の風路仕切板12によって半円に仕切られており、またそれら2層に挟まれている水分吸着手段2も同様に半円に分割されているため、領域7bに集約された外気は、領域2b、8bの順で下方向に流れ、領域2b通過時に外気中の水分を吸着されて乾燥空気となる。乾燥空気となった外気は、領域8bから、第2の風路切換ダンパ15により領域15dが閉塞されているため、開口部15bより第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9aへ流入するとともに、第3層8、第2の風路切換ダンパ15の開口部15b、および第4層9に跨って設置された第1の排気口18より、吸着出口空気22として流出し、第1の送風手段3を経由して室外へ排気される。
【0028】
一方、第3層8、第2の風路切換ダンパ15の開口部15c、および第4層9に跨って設置された第2の吸気口17より、再生入口空気21として吸い込まれた外気は、第4層9では第4の風路仕切板13によって仕切られているため領域9bに、第2の風路切換ダンパ15では領域15dが閉塞しているため開口部15cに流入し、それらが第3の風路仕切板12によって仕切られている第3層8の領域8aに集約される。このとき、領域9bには加熱手段5が設置されているため、領域8aに集約される外気は昇温されて高温低湿空気となる。第3層8と同様に、第2層7は第2の風路仕切板11によって半円に仕切られており、またそれら2層に挟まれている水分吸着手段2も同様に半円に分割されているため、領域8aに集約された高温低湿空気は、領域2a、7aの順で上方向に流れ、領域2a通過時に吸着されている水分が再生されて高湿空気となる。高湿空気となった外気は、領域7aから、第1の風路切換ダンパ14により領域14cが閉塞されているため、開口部14aより第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6aへ流入するとともに、第1層6、第1の風路切換ダンパ14の開口部14a、および第2層7に跨って設置された第2の排気口19より再生出口空気23として流出し、第2の送風手段4を経由して室内へ搬送されて、室内を加湿する。
【0029】
次に、水分吸着手段2の領域2bにおける吸着工程、領域2aにおける再生工程が完了する程度の時間が経過した後、図6に示すダンパ位置を<A>から<B>へと切り換える。このとき、第1層6、第1の風路切換ダンパ14の開口部14c、および第2層7に跨って設置された第1の吸気口16より、吸着入口空気20として吸い込まれた外気は、第1層6では第1の風路仕切板10によって仕切られているため領域6bに、第1の風路切換ダンパ14では領域14dが閉塞しているため開口部14cに流入し、それらが第2の風路仕切板11によって仕切られている第2層7の領域7aに集約される。第2層7と同様に、第3層8は第3の風路仕切板12によって半円に仕切られており、またそれら2層に挟まれている水分吸着手段2も同様に半円に分割されているため、領域7aに集約された外気は、領域2a、8aの順で下方向に流れ、領域2aがダンパ位置<A>のときに水分を再生され乾燥しているため、領域2a通過時に外気中の水分を吸着されて乾燥空気となる。乾燥空気となった外気は、領域8aから、第2の風路切換ダンパ15により領域15cが閉塞されているため、開口部15aより第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9aへ流入するとともに、第3層8、第2の風路切換ダンパ15の開口部15a、および第4層9に跨って設置された第1の排気口18より、吸着出口空気22として流出し、第1の送風手段3を経由して室外へ排気される。
【0030】
一方、第3層8、第2の風路切換ダンパ15の開口部15d、および第4層9に跨って設置された第2の吸気口17より、再生入口空気21として吸い込まれた外気は、第4層9では第4の風路仕切板13によって仕切られているため領域9bに、第2の風路切換ダンパ15では領域15cが閉塞しているため開口部15dに流入し、それらが第3の風路仕切板12によって仕切られている第3層8の領域8bに集約される。このとき、領域9bには加熱手段5が設置されているため、領域8bに集約される外気は昇温されて高温低湿空気となる。第3層8と同様に、第2層7は第2の風路仕切板11によって半円に仕切られており、またそれら2層に挟まれている水分吸着手段2も同様に半円に分割されているため、領域8bに集約された高温低湿空気は、領域2b、7bの順で上方向に流れ、領域2b通過時にダンパ位置<A>のときに吸着された外気中の水分が再生されて高湿空気となる。高湿空気となった外気は、領域7bから、第1の風路切換ダンパ14により領域14dが閉塞されているため、開口部14bより第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6aへ流入するとともに、第1層6、第1の風路切換ダンパ14の開口部14b、および第2層7に跨って設置された第2の排気口19より再生出口空気23として流出し、第2の送風手段4を経由して室内へ搬送されて、室内を加湿する。
【0031】
このように、第1の吸気口16および第2の排気口19を、第1層6および第2層7に跨って設置し、第2の吸気口17および第1の排気口18を、第3層8および第4層9に跨って設置して、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15とともに回転させ風路を切り換えることにより、実施の形態1と同様の効果が得られるだけでなく、風路への空気の出入口が大きいために、風路圧損が小さく送風手段を小型化でき、また水分吸着手段2における風速分布が均一化され、水分吸着手段2の全体に担持された吸着剤を有効に使用することができるという効果がある。
【0032】
また、実施の形態1と同様に、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15は、同一方向に90°の回転角で連続回転させて風路を切り換えても、90°の回転角で正逆回転を繰り返してもよい。同一方向の場合は、ダンパに中心軸を設置して軸を回転させても、外周部分にギア等を設置して回転させてもモータは1つで回転可能であり、コストを削減できる。正逆回転の場合は、例えば図4に示すように、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15において、扇形平板の両端側半径部分全体に、それぞれ第2の風路仕切板11および第3の風路仕切板12に当接する突起141、151を設けることができる。これにより、第1の風路切換ダンパ14では第2の風路仕切板11が、第2の風路切換ダンパ15では第3の風路仕切板12がストッパーとなるため、回転誤差が発生しないとともに、突起部分と仕切板がより広い面積で密着するため、空気漏洩を防ぐことが可能となる。なお図4では、突起部分は水分吸着手段2側に向かって設置されているが、水分吸着手段2の反対側に向かって設置し、第1の風路切換ダンパ14は第1の風路仕切板10と、第2の風路切換ダンパ15は第4の風路仕切板13と当接させ密着させてもよい。
【0033】
図6では、第1の吸気口16、第2の吸気口17、第1の排気口18、第2の排気口19と、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15を、連動して90°回転させて風路を切り換えているが、図7に示すように、第1の風路切換ダンパ14は第1の風路仕切板10および第2の風路仕切板11に、第2の風路切換ダンパ15は第3の風路仕切板12および第4の風路仕切板13にそれぞれ固定して設置し、第1の吸気口16、第2の吸気口17、第1の排気口18、第2の排気口19を、同一方向に180°連続回転させて風路を切り換えても、角度180°の正逆回転を繰り返してもよい。この場合、風路内部の仕切板とダンパが完全に密着されるので、ダンパに図4のような突起などを設けることなく空気漏洩を防ぐことが可能となる。
【0034】
また図6、7では、水分吸着手段2における吸着工程と再生工程の空気の流れ方向が対向となるように、第1の吸気口16および第2の排気口19を第1層6と第2層7に跨って設置し、第2の吸気口17および第1の排気口18を第3層8と第4層9に跨って設置しているが、同じ対向流であって、第1層6と第2層7、第3層8と第4層9の上下位置を逆転させてもよい。この場合、加熱手段5が最上層に配置されるため、仮に水分吸着手段2に担持されている吸着剤の粉落ちが発生しても、加熱手段5に到達する可能性が低くなり、安全性を高めることができる。また、例えば図6、7のダンパ位置<A>において、第1層6の領域6a、第1の風路切換ダンパ14の開口部14a、第2層7の領域7aに第2の吸気口17を、第1層6の領域6aに加熱手段5を、第3層8の領域8a、第2の風路切換ダンパ15の開口部15c、第4層9の領域9bに第2の排気口19を設置し、水分吸着手段2における吸着工程と再生工程が並行流で行われるようにしてもよい。この場合、2つの吸込口が上層(第1層6〜第2層7)、2つの吹出口が下層(第3層8〜第4層9)というように、それぞれ同じ層に位置することになるので、送風手段を上層に設置し、第1の吸気口16および第2の吸気口17双方に押し込む構成が可能となり、1つの送風手段で加湿空気を連続的に生成することができる。
【0035】
以上のように、吸込口、吹出口を2層に跨って設置し、2つの回転型ダンパとともに回転させて風路を切り換えるという簡単な動作により、密閉性が高く空気漏洩および圧損の小さい風路を実現でき、室内へ連続的に加湿空気を供給する加湿装置を得ることができる。このとき、水分吸着手段における風速分布が均一化され、水分吸着手段2の全体に担持された吸着剤を有効に使用することができるだけでなく、吸着工程と再生工程が対向流となるため、水分の吸着、再生を効率的に行うことができ、高効率な加湿装置となる。また、吸着風路と再生風路が切り換わり、特定の風路が冷却されることがないため、加湿装置内部において結露を発生しにくいという効果も得られる。
【0036】
実施の形態3.
図8は、本発明の実施の形態に係る加湿装置の概略構成図である。
加湿装置である加湿ユニット1は、その内部に、基本的な構成要素として、水分吸着手段2と、第1の送風手段3、第2の送風手段4、および加熱手段5とが配置された構成となっている。水分吸着手段2は、直方体形状で風路内に固定して設置されており、また水分吸着手段2に担持させる吸着剤として、たとえばゼオライト、シリカゲル、活性炭等からなる多孔質基材に塗布あるいは表面処理あるいは含浸されたものであり、通気性を有する構成となっている。
【0037】
図9は、水分吸着手段2を通る風路の構成を示す詳細図であり、図8を上から見て、奥側を上にして順に並べたものであり、各部品を分解してわかりやすく示してあるが、実際には隣り合う部品は密着されている。
水分吸着手段2を通る風路は、水分吸着手段2を挟んで奥側と手前側に2層ずつ風路分割手段が配置された構造である。すなわち、この例では、奥側2層(第1層6、第2層7)、手前側2層(第3層8、第4層9)の計4層の構造になっている。ここで、第1層6は第1の風路分割手段70、第2層7は第2の風路分割手段71、第3層8は第3の風路分割手段72、第4層9は第4の風路分割手段73を構成するものである。以下においては、第1から第4の風路分割手段70〜73を、それぞれ第1層6、第2層7、第3層8、第4層9として説明する。
【0038】
第1層6は第1の風路仕切板10、第2層7は第2の風路仕切板11、第3層8は第3の風路仕切板12、第4層9は第4の風路仕切板13を有し、第1から第4の風路仕切板10〜13によって、それぞれ風路が2分割されている。このとき、第2の風路仕切板11および第3の風路仕切板12は平行に配置されており、それぞれ水分吸着手段2の表面に密着して設置されている。一方、水分吸着手段2から離れた位置に配置される第1層6の第1の風路仕切板10および第4層9の第4の風路仕切板13は、第2の風路仕切板11および第3の風路仕切板12に対してそれぞれ垂直に設置されている。したがって、第2層7、水分吸着手段2、第3層8は同方向に風路が2分割され、第1層6および第4層9はこれらに対して垂直方向に風路が2分割されていることになる。つまり、風路は方形断面を4分割されることになる。
【0039】
また、第1層6と第2層7との間には、第1の4風路仕切板24と、第1の風路切換ダンパ14(第1の風路切換手段)が設置されている。同様に、第3層8と第4層9との間には、第2の4風路仕切板25と、第2の風路切換ダンパ15(第2の風路切換手段)が設置されている。ここで、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15は、それぞれL字型の板で構成されており、対角状に設けられた1対のダンパと1対の開口部とを有し、かつ、第1の風路切換ダンパ14と第2の風路切換ダンパ15とは90゜異なる角度で対角方向に設置されている。すなわち、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15は、それぞれ第2層7の第2の風路仕切板11および第3層8の第3の風路仕切板12と一体に構成されており、図示のように、2つのL字型の板がL字の角部にて対角方向に接続され、その一辺の板が第2の風路仕切板11および第3の風路仕切板12を形成するように直線状に連続した形態であり、90°の角度差で隣り合って設置されている。これにより、L字型の一辺の板が第1の風路仕切板11および第2の風路仕切板12の役割をも兼ねている。別言すれば、第1の風路切換ダンパ14は、方形の2つの象限、例えば第1象限と第3象限をL型板が閉鎖する(占める)ように中心にて接続され、風路を2分割する仕切板を有する形態であり、これに対して、第2の風路切換ダンパ15は、第2象限と第4象限をL型板が閉鎖する(占める)ように中心にて接続され、風路を2分割する仕切板を有する形態である。これにより、第1の風路仕切板10、第1の4風路仕切板24および第2の風路仕切板11によって形成される、奥側風路の4領域のうち、対角2領域を第1の風路切換ダンパ14が閉塞し、第3の風路仕切板12、第2の4風路仕切板25および第4の風路仕切板13によって形成される、手前側風路の4領域のうち、奥側とは90°異なる対角2領域を第2の風路切換ダンパ15が閉塞することになる。また第1層6において、第1の風路仕切板10によって分割された2風路のうち、一方には第2の送風手段4および第2の排気口19が、もう一方の第1の送風手段3と連通する風路側には第1の吸気口16が設置され、同様に第4層9において、第4の風路仕切板13によって分割された2風路のうち、一方には第1の送風手段3および第1の排気口18が、もう一方の第2の送風手段4と連通する風路側には、加熱手段5および第2の吸気口17が設置されている。
【0040】
次に動作の一例について説明する。説明のために示した図10は、図9に示した各部品の平面図であり、図8の断面図を、奥側を上にして順に並べたものに相当する。図10中左側のダンパ位置<A>が図9のダンパ位置と同じである。ダンパ位置<A>のとき、吸着入口空気20として、第1の吸気口16より吸い込まれた外気は、第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6aに入り、第1の風路切換ダンパ14により領域14cが閉塞されているため、第1の4風路仕切板24が設置されている領域24aを経由して、開口部14aより第2層7へ流入する。第2層7は第2の風路仕切板11により、第3層8は第3の風路仕切板12によって上下半分に仕切られており、またそれら2層に挟まれている水分吸着手段2も同様に上下半分に分割されているため、開口部14aから流入した外気は、領域7a、2a、8aの順で手前側(図10の下方向)へと流れ、領域2a通過時に外気中の水分を吸着されて乾燥空気となる。乾燥空気となった外気は、第2の風路切換ダンパ15により領域15aが閉塞されているため、開口部15bより、第2の4風路仕切板25が設置されている領域25bを経由して、第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9bへ流入し、その後第1の送風手段3により、第1の排気口18から吸着出口空気22として室外へ排気される。
【0041】
一方、再生入口空気21として、第2の吸気口17より吸い込まれた外気は、第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9aへ流入し、加熱手段5によって昇温されて高温低湿空気となったのち、第2の風路切換ダンパ15により領域15aが閉塞されているため、第2の4風路仕切板25が設置されている領域25cを経由して、開口部15cより第3層8へ流入する。第3層8は第3の風路仕切板12により、第2層7は第2の風路仕切板11によって上下半分に仕切られており、またそれら2層に挟まれている水分吸着手段2も同様に上下半分に分割されているため、開口部15cから流入した高温低湿空気は、領域8b、2b、7bの順で奥側(図10の上方向)へと流れ、領域2b通過時に吸着されている水分が再生されて高湿空気となる。高湿空気となった外気は、第1の風路切換ダンパ14により領域14cが閉塞されているため、開口部14dより、第1の4風路仕切板24が設置されている領域24dを経由して、第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6bへ流入し、その後第2の送風手段4により、第2の排気口19から再生出口空気23として流出し、室内へ搬送されて、室内を加湿する。
【0042】
次に、水分吸着手段2の領域2aにおける吸着工程、領域2bにおける再生工程が完了する程度の時間が経過した後、図10に示すダンパ位置を<A>から<B>へと切り換える。このとき、吸着入口空気20として、第1の吸気口16より吸い込まれた外気は、第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6aに入り、第1の風路切換ダンパ14により領域14aが閉塞されているため、第1の4風路仕切板24が設置されている領域24cを経由して、開口部14cより第2層7へ流入する。第2層7は第2の風路仕切板11により、第3層8は第3の風路仕切板12によって上下半分に仕切られており、またそれら2層に挟まれている水分吸着手段2も同様に上下半分に分割されているため、開口部14cから流入した外気は、領域7b、2b、8bの順で手前側(図10の下方向)へと流れ、領域2bがダンパ位置<A>のときに水分を再生され乾燥しているため、領域2b通過時に外気中の水分を吸着されて乾燥空気となる。乾燥空気となった外気は、第2の風路切換ダンパ15により領域15cが閉塞されているため、開口部15dより、第2の4風路仕切板25が設置されている領域25dを経由して、第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9bへ流入し、その後第1の送風手段3により、第1の排気口18から吸着出口空気22として室外へ排気される。
【0043】
一方、再生入口空気21として、第2の吸気口17より吸い込まれた外気は、第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9aへ流入し、加熱手段5によって昇温されて高温低湿空気となったのち、第2の風路切換ダンパ15により領域15cが閉塞されているため、第2の4風路仕切板25が設置されている領域25aを経由して、開口部15aより第3層8へ流入する。第3層8は第3の風路仕切板12により、第2層7は第2の風路仕切板11によって上下半分に仕切られており、またそれら2層に挟まれている水分吸着手段2も同様に上下半分に分割されているため、開口部15aから流入した高温低湿空気は、領域8a、2a、7aの順で奥側(図10の上方向)へと流れ、領域2a通過時にダンパ位置<A>のときに吸着された水分が再生されて高湿空気となる。高湿空気となった外気は、第1の風路切換ダンパ14により領域14aが閉塞されているため、開口部14bより、第1の4風路仕切板24が設置されている領域24bを経由して、第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6bへ流入し、その後第2の送風手段4により、第2の排気口19から再生出口空気23として流出し、室内へ搬送されて、室内を加湿する。
【0044】
このように、水分吸着手段2を直方体形状とし、また第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15をL字型形状とすることにより、実施の形態1と同様の効果が得られるだけでなく、全ての部品が直線で構成されるため、製造コストを削減できるという効果がある。さらに第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15のL字部分の一辺が、第2の風路仕切板11および第3の風路仕切板12の役割を兼ねているため、部品点数が減少し材料コストを削減できる。また90°の回転角で正転、反転を繰り返すという簡単な動作で風路を切り換えることができるので、L字の端面に、例えばウレタンなどの柔軟性に優れた材料を付加しておけば、その付加材料が風路と密着して、切換動作のストッパーとなり運転誤差が発生しないとともに、空気漏洩を最小限に抑えることが可能となる。
【0045】
また、第1層6と第2層7、および第3層8と第4層9の厚みについては、空気の吸込口や吹出口が設置されている第1層6や第4層9のほうを厚くしても、水分吸着手段2に近接している第2層7や第3層8のほうを厚くしてもどちらでもよい。第1層6や第4層9を厚くした場合には、空気の出入りのある層が大きくなり、風路圧損が小さくなるため送風手段を小型化でき、一方、第2層7や第3層8を厚くした場合には、水分吸着手段2全体に空気が流れやすくなるため、風速分布が均一化され、水分吸着手段2の全体に担持された吸着剤を有効に使用することができるという効果がある。
【0046】
図8〜10では、送風手段を水分吸着手段2の風下側に設置し、第1の送風手段3により第1の排気口18から乾燥空気を、第2の送風手段4により第2の排気口19から加湿空気を吸い出す構成となっているが、水分吸着手段2の風上側に設置して、第1の送風手段3は第1の吸気口16に、第2の送風手段4は第2の吸気口17にそれぞれ外気を押し込む構成としてもよい。風下側から吸い出す場合には、風路圧損が小さくなるため送風手段を小型化でき、風上側から押し込む場合には、水分吸着手段2における風速分布が均一化され、水分吸着手段2の全体に担持された吸着剤を有効に使用することができるという効果がある。
【0047】
また図8〜10では、水分吸着手段2における吸着工程と再生工程の空気の流れ方向が対向となるように、第1層6の領域6aに第1の吸気口16を、領域6bに第2の排気口19および第2の送風手段4を、第4層9の領域9aに第2の吸気口17および加熱手段5を、領域9bに第1の排気口18および第1の送風手段3を設置しているが、例えば第1層6の領域6bに第2の吸気口17および加熱手段5を、第4層9の領域9aに第2の排気口19を設置し、水分吸着手段2における吸着工程と再生工程が並行流で行われるようにしてもよい。この場合、2つの吸込口が第1層6、2つの吹出口が第4層9というように、それぞれ同じ層に位置することになるので、送風手段を第1層6に設置し、第1の吸気口16および第2の吸気口17双方に押し込む構成が可能となり、1つの送風手段で加湿空気を連続的に生成することができる。
【0048】
以上のように、水分吸着手段を直方体形状とし、風路切換ダンパをL字型形状とすることにより、全ての部品が直線で構成され、またダンパが風路仕切板の役割を兼ねるため、密閉性が高く空気漏洩の小さい風路にて、室内へ連続的に加湿空気を供給する、低コストの加湿装置を得ることができる。このとき、吸着剤を担持された水分吸着手段における吸着工程と再生工程が対向流となるため、水分の吸着、再生を効率的に行うことができ、高効率な加湿装置となる。また、吸着風路と再生風路が切り換わり、特定の風路が冷却されることがないため、加湿装置内部において結露を発生しにくいという効果も得られる。
【0049】
実施の形態4.
図11は、本発明の実施の形態4に係る加湿機能を有する空気調和機における室外側の概略構成図であり、実施の形態1で説明した加湿ユニット1を、空気調和機の室外機26の上部に一体化して設置したものである。室外機26の内部には、周知のとおり、圧縮機27、室外機熱交換器28、室外機送風機29、および膨張弁30などが設置され、図示しない室内機の熱交換器と接続されて、ヒートポンプサイクルを形成している。加湿ユニット1については、実施の形態1と同一であるため説明を省略する。
【0050】
次に動作の一例について説明する。動作についても、加湿ユニット1内部については、実施の形態1と同一であるため説明を省略する。ヒートポンプサイクルが暖房運転を行っているとき、実施の形態1にて説明したように、図3のダンパ位置<A>および<B>となるように、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15を繰り返し切り換えることにより、乾燥空気である吸着出口空気22、および高温高湿空気である再生出口空気23が、連続的に加湿ユニット1から排出される。このとき、加湿ユニット1を室外機26の上部に一体化して設置しているので、吸着出口空気22は室外機熱交換器28の空気吸込口付近に排気されることになる。一方、再生出口空気23は、室内と室外を接続するダクトなどを経由して、第2の送風手段4により室内へと搬送され、室内機から排出される高温空気とともに室内へ供給され、室内を暖房加湿する。
【0051】
このように、加湿ユニット1を空気調和機の室外機26の上部に一体化して設置することにより、新たに加湿ユニット1を設置するための床スペースを確保することなく、加湿機能を有する空気調和機を得ることができる。また、ヒートポンプサイクルの暖房運転と同時に、連続的に加湿空気を室内に供給することが可能となるため、暖房時の乾燥を防ぐことができるという効果が得られる。また、乾燥空気であり、かつ吸着熱により外気よりも若干温度が上昇した吸着出口空気22が、ヒートポンプサイクルの暖房運転時に蒸発器である室外機熱交換器28に吸い込まれることになるので、室外機熱交換器28における着霜を抑制し、暖房運転効率を向上させるという効果も期待できる。
【0052】
図11では、加湿ユニット1を空気調和機の室外機26の上部に一体化して設置しているが、室外機送風機29の送風を阻害しない位置であれば、室外機26の側面、あるいは底面に一体化して設置してもよい。どちらの場合でも、再生出口空気23を室内に、吸着出口空気22を室外機熱交換器28の空気吸込口付近に導くことが可能であり、底面に設置した場合は設置床スペースも変わらないため、加湿ユニット1を上部に一体化して設置した場合と同様の効果が得られる。
【0053】
また図11では、吸着出口空気22の排気専用として、第1の送風手段3を設置しているが、加湿ユニット1を空気調和機の室外機26に一体化して設置しているので、図3において、第1の排気口18を第4層9の領域9a下面に設置して、室外機26の上面に連通口を設けることにより、第1の送風手段3として室外機送風機29を兼用してもよい。この場合、加湿ユニット1に設置する送風機は第2の送風手段4だけでよいので、送風機の数を削減でき低コストとなる。
【0054】
また図11では、実施の形態1で説明した加湿ユニット1を、空気調和機の室外機26に一体化して設置しているが、吸込口(吸気口)、吹出口(排気口)を2層に跨って設置し、2つの回転型ダンパとともに回転させて風路を切り換える実施の形態2や、水分吸着手段2を直方体形状とし、風路切換ダンパをL字型形状とした実施の形態3で説明した加湿ユニット1を設置してもよい。どちらの場合でも、再生出口空気23を室内に、吸着出口空気22を室外機熱交換器28の空気吸込口付近に導くことが可能であるため、実施の形態1で説明した加湿ユニット1を設置した場合と同様の効果が得られる。
【0055】
以上のように、加湿ユニットを空気調和機の室外機に一体化して設置して、ヒートポンプサイクルの暖房運転と同時に加湿運転させることにより、省スペースで、暖房時の乾燥を防ぐことが可能な加湿機能を有する空気調和機を得ることができる。このとき、水分吸着手段において吸着除湿され、吸着熱により外気よりも若干温度が上昇した空気が、蒸発器である室外機熱交換器に吸い込まれることになるため、室外機熱交換器における着霜を抑制し、暖房運転効率を向上させるという効果も期待できる。
【0056】
実施の形態5.
図12は、本発明の実施の形態5に係る加湿機能を有する空気調和機における加湿装置の概略設置図であり、実施の形態1で説明した加湿ユニット1を、建物の外壁31に設置したものである。空気調和機のヒートポンプサイクルにおける各部品については図示していないが、室外機と室内機を接続する冷媒配管は壁穴32を介して設置され、また加湿ユニット1の、第1の排気口18と連通する室外排気口33は室外に開放され、第2の排気口19と連通する室内接続口34は、壁穴32と対面し密着されている。加湿ユニット1については、実施の形態1と同一であるため説明を省略する。
【0057】
次に動作の一例について説明する。動作についても、加湿ユニット1内部については、実施の形態1と同一であるため説明を省略する。ヒートポンプサイクルが暖房運転を行っているとき、実施の形態1にて説明したように、図3のダンパ位置<A>および<B>となるように、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15を繰り返し切り換えることにより、乾燥空気である吸着出口空気22、および高温高湿空気である再生出口空気23が、連続的に加湿ユニット1から排出される。このとき、加湿ユニット1を建物の外壁31に直接設置し、室内接続口34が壁穴32と密着しているので、再生出口空気23は、ダクトなどを経由せずに、第2の送風手段4により最短距離で室内へと搬送され、室内機から排出される高温空気とともに室内へ供給され、室内を暖房加湿する。
【0058】
このように、加湿ユニット1を建物の外壁31に直接設置して、室内接続口34を壁穴32と密着させることにより、再生出口空気23を室内へ搬送するためのダクトが不要となり、低コスト化が図れるだけでなく、搬送距離が最短となるため、風路圧損および騒音が小さくなり、第2の送風手段4を小型化することも可能となり、信頼性が高くコンパクトな加湿機能を有する空気調和機を得ることができる。また、高湿である再生出口空気23をダクトで搬送する場合、特に冬場ではダクトが外気により冷却されるため、内部で結露する危険性が高いが、ダクトが不要であるために、加湿ユニット1で生成した加湿空気を、ロスなく有効に室内に供給することが可能となる。また、ヒートポンプサイクルの暖房運転と同時に、連続的に加湿空気を室内に供給することが可能となるため、暖房時の乾燥を防ぐことができるという効果が得られる。
【0059】
図12では、室外排気口33を加湿ユニット1の側面に設置し、吸着出口空気22を外気に開放しているが、室外排気口33から空気調和機の室外機熱交換器の空気吸込口付近へと導くような風路を設け、吸着出口空気22を室外機に吸い込ませてもよい。この場合、吸着出口空気22は乾燥し、かつ吸着熱により外気よりも若干温度が上昇しているため、暖房運転時に蒸発器である室外機熱交換器における着霜を抑制し、暖房運転効率を向上させるという効果も期待できる。
【0060】
また図12では、実施の形態1で説明した加湿ユニット1を、建物の外壁31に設置しているが、吸込口(第1の吸気口および第2の吸気口)、吹出口(第1の排気口および第2の排気口)を2層に跨って設置し、2つの回転型ダンパとともに回転させて風路を切り換える実施の形態2や、水分吸着手段2を直方体形状とし、風路切換ダンパをL字型形状とした実施の形態3で説明した加湿ユニット1を設置してもよい。どちらの場合でも、室内接続口34を壁穴32と密着させ、再生出口空気23を最短距離で室内に供給すれば、実施の形態1で説明した加湿ユニット1を設置した場合と同様の効果が得られる。
【0061】
以上のように、加湿ユニットを建物の外壁に直接設置して、ヒートポンプサイクルの暖房運転と同時に、壁穴から加湿空気を最短距離で室内に供給することにより、低コストで、暖房時の乾燥を防ぐことのできる、高効率加湿機能を有する空気調和機を得ることが可能となる。このとき、加湿空気を室外から室内へ搬送するためのダクトが不要であるため、風路圧損が小さく送風手段を小型化できるだけでなく、ダクト騒音やダクト内結露などの問題も回避することも可能となり、信頼性を確保できるという効果も得られる。
【0062】
実施の形態6.
図13は、本発明の実施の形態6に係る加湿機能を有する空気調和機における加湿装置の概略設置図であり、実施の形態1で説明した加湿ユニット1を、建物の内壁35に設置したものである。空気調和機のヒートポンプサイクルにおける各部品については図示していないが、室外機と室内機を接続する冷媒配管は壁穴32を介して設置され、また加湿ユニット1の、第1の排気口18と連通する室外排気口33は、壁穴32と対面し密着されており、第2の排気口19と連通する室内接続口34は室内に開放されている。加湿ユニット1については、実施の形態1と同一であるため説明を省略する。
【0063】
次に動作の一例について説明する。動作についても、加湿ユニット1内部については、基本的に実施の形態1と同一であるため説明を省略するが、第1の吸気口16から吸い込まれる吸着入口空気20、および第2の吸気口17から吸い込まれる再生入口空気21は、外気ではなく室内空気となる。ヒートポンプサイクルが暖房運転を行っているとき、実施の形態1にて説明したように、図3のダンパ位置<A>および<B>となるように、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15を繰り返し切り換えることにより、乾燥空気である吸着出口空気22、および高温高湿空気である再生出口空気23が、連続的に加湿ユニット1から排出される。このとき、加湿ユニット1を建物の内壁35に直接設置し、室内接続口34は室内に開放されているので、再生出口空気23は、ダクトなどを経由せずに、第2の送風手段4により直接室内へ供給され、室内機から排出される高温空気とともに室内を暖房加湿する。
【0064】
このように、加湿ユニット1を建物の内壁35に直接設置して、室内接続口34を室内に開放することにより、実施の形態5と同様に、再生出口空気23を室内へ搬送するためのダクトが不要となり、低コストで、第2の送風手段4を小型化することによりコンパクトな加湿機能を有する空気調和機を得ることができるだけでなく、ダクト騒音やダクト内結露などの問題を回避することも可能となり、信頼性を確保できる効果が得られる。また、吸着入口空気20として室内空気を使用するので、加湿ユニット1の内部に室温以下の空気が流れることはなく、吸着風路を外気が流れる場合よりも、ユニット内部において結露が発生する問題を解決することができるという効果が得られる。さらに、再生入口空気21として暖房された室内空気を使用するので、水分吸着手段2において水分の再生に必要な空気温度を得るために、加熱手段5にて昇温に必要な熱量が軽減されるという省エネルギ効果も得られる。また、ヒートポンプサイクルの暖房運転と同時に、連続的に加湿空気を室内に供給することが可能となるため、暖房時の乾燥を防ぐことができるという効果が得られる。
【0065】
図13では、第1の吸気口16を室内に開放し、吸着入口空気20として暖房された室内空気を吸い込ませているが、例えば、壁穴32を2分割して一方を第1の吸気口16と接続し、あるいは別の壁穴を設けて第1の吸気口16と接続することにより、吸着入口空気20として外気を吸い込ませてもよい。この場合、水分吸着手段2に担持された吸着剤は、相対湿度の高い外気中の水分を吸着することになるので、吸着剤が吸着できる水分量が増加し、室内空気を吸着させるよりも室内に供給される加湿量としては増加するという効果が得られる。
【0066】
また図13では、実施の形態1で説明した加湿ユニット1を、建物の内壁35に設置しているが、吸込口、吹出口を2層に跨って設置し、2つの回転型ダンパとともに回転させて風路を切り換える実施の形態2や、水分吸着手段2を直方体形状とし、風路切換ダンパをL字型形状とした実施の形態3で説明した加湿ユニット1を設置してもよい。どちらの場合でも、室内接続口34を室内に開放し、再生出口空気23を直接室内に供給すれば、実施の形態1で説明した加湿ユニット1を設置した場合と同様の効果が得られる。
【0067】
以上のように、加湿ユニットを建物の内壁に直接設置して、ヒートポンプサイクルの暖房運転と同時に、加湿空気を直接室内に供給することにより、低コストでコンパクトな、暖房時の乾燥を防ぐことのできる加湿機能を有する空気調和機を得ることができるだけでなく、ダクト騒音やダクト内結露などの問題を回避することも可能となり、信頼性を確保できる効果が得られる。このとき、吸着入口空気および再生入口空気として、暖房された室内空気を使用するので、加湿ユニット内部における結露を回避でき、また、再生空気生成に必要な加熱手段における投入熱量を軽減できるという省エネルギ効果も得られる。
【0068】
実施の形態7.
図14は、本発明の実施の形態7に係る水分吸着手段に担持される各種吸着剤の等温吸着線の概念図であり、36は一般的なゼオライト、37は1.5〜2.5nm(ナノメートル)程度の細孔が多数設けられた多孔質ケイ素材料である第1の吸着剤、38は0.7nm程度の細孔が多数設けられたゼオライト系材料である第2の吸着剤の等温吸着線を示す。図14において、横軸は対象空気の相対湿度、縦軸は水分の平衡吸着量である。図14において、一般的なゼオライトの等温吸着線36に示されているように、空気の相対湿度が第0の相対湿度39(Φ0)以下の範囲における相対湿度に対する水分の平衡吸着量の変化率である傾斜が、第0の相対湿度39を超える範囲における傾斜よりも大きく、第0の相対湿度39は一般的に10%未満である。また第1の吸着剤の等温吸着線37に示されているように、本実施の形態で用いる第1の吸着剤は、空気の相対湿度が第0の相対湿度39より大きい第1の相対湿度40(Φ1)から第2の相対湿度41(Φ2)の範囲における相対湿度に対する水分の平衡吸着量の変化率である傾斜が、第1の相対湿度40未満または第2の相対湿度41を超える範囲における傾斜よりも大きい。なお、第1の吸着剤である多孔質ケイ素材料の細孔径を増加または減少することにより、第1の相対湿度40および第2の相対湿度41を30%から60%の範囲で増加または減少することができ、このとき、第1の相対湿度における平衡吸着量44(q1)は、第0の相対湿度における平衡吸着量43(q0)より小さく、かつ第2の相対湿度における平衡吸着量45(q2)は、第0の相対湿度における平衡吸着量43(q0)より大きい。
【0069】
同様に、第2の吸着剤の等温吸着線38に示されているように、本実施の形態で用いる第2の吸着剤は、空気の相対湿度が第3の相対湿度42(Φ3)以下の範囲における相対湿度に対する水分の平衡吸着量の変化率である傾斜が、第3の相対湿度42を超える範囲における傾斜よりも大きい。このとき、第3の相対湿度42は第0の相対湿度39より大きく、かつ第1の相対湿度40より小さい値であり、また第3の相対湿度における平衡吸着量46(q3)は、第0の相対湿度における平衡吸着量43(q0)より大きい。
【0070】
また図15は、図14と同様に水分吸着手段に担持される、シリカゲルとゼオライトを混合し、それらの配合比を変化させた吸着剤の等温吸着線の概念図であり、47はシリカゲル100%、48はゼオライト100%、49はゼオライトとシリカゲルを混合し、ゼオライトの配合比を多くして合成した第3の吸着剤の等温吸着線を示す。図15において、横軸は対象空気の相対湿度、縦軸は水分の平衡吸着量である。シリカゲル100%の等温吸着線47とゼオライト100%の等温吸着線48は、一般的に60%程度である第4の相対湿度50(Φ4)で重なり、第3の吸着剤の等温吸着線49に示されているように、第3の吸着剤の平衡吸着量は、第4の相対湿度50より低い相対湿度範囲ではシリカゲル100%より多くなり、第4の相対湿度50より高い相対湿度範囲ではゼオライト100%より多くなる。
【0071】
また図16は、本実施の形態におけるゼオライトの各終端カチオン種による吸着エネルギ分布の解析結果を示す概略図で、(a)は終端カチオンがNa(ナトリウム)、(b)は終端カチオンがK(カリウム)のときの分布である。図16において、横軸は吸着エネルギ、縦軸は吸着水分量の積算値であり、各吸着エネルギで吸着している水分量を吸着エネルギの小さい方から積算して示している。図中の各線は、それぞれ51はSiO2/Al2O3小(≒2.5)、52はSiO2/Al2O3中(≒3.5)、53はSiO2/Al2O3大(≒5.0)における分布であり、SiO2/Al2O3が小さい方が、低い吸着エネルギでより多くの水分が吸着していることを示している。なお、SiO2/Al2O3は、SiO2のモル分率とAl2O3のモル分率との比率をあらわしている。
【0072】
次に動作の一例について説明する。図14に示されるような等温吸着線を有する吸着剤を、実施の形態4で説明した、図11の水分吸着手段2に担持した場合を想定して説明する。加湿ユニット1内部の動作については、実施の形態1と同一であるため詳細な説明は省略する。
加湿ユニット1の運転は、一般的に冬場の暖房時に室内が乾燥した際に必要となるため、室外空気は低温となる(例えば、暖房標準条件では7℃/87%RH)。ヒートポンプサイクルが暖房運転を行っているとき、実施の形態1にて説明したように、図3のダンパ位置<A>および<B>となるように、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15を繰り返し切り換えることにより、乾燥空気である吸着出口空気22、および高温高湿空気である再生出口空気23が、連続的に加湿ユニット1から排出される。このとき、加湿ユニット1を室外機26の上部に一体化して設置しているので、吸着出口空気22は室外機熱交換器28の空気吸込口付近に排気されることになる。一方の再生出口空気23は、室内と室外を接続するダクトなどを経由して、第2の送風手段4により室内へと搬送され、室内機から排出される高温空気とともに室内へ供給され、室内を暖房加湿する。
【0073】
このとき、水分吸着手段2に等温吸着線37を有する第1の吸着剤を担持した場合、吸着工程となるダンパ位置<A>のときの領域2b、およびダンパ位置<B>のときの領域2aにおいて、入口空気の相対湿度87%からΦ2(41)の範囲にて、平衡吸着量q2(45)まで吸着するので、平衡吸着量q0(43)しか吸着しない一般的なゼオライト(等温吸着線36)と比較すると、大幅に吸着量が増加する。一方、再生工程となるダンパ位置<A>のときの領域2a、およびダンパ位置<B>のときの領域2bにおいては、再生入口空気の相対湿度をΦ1(40)以下にすれば充分再生できるので、Φ1(40)が40%程度になるように第1の吸着剤である多孔質ケイ素材料の細孔径を調整することにより、低温再生、例えば加熱手段5により20℃程度まで昇温した空気を再生空気として使用すれば、q2−q1という大きな吸着量差に応じた加湿量を得ることができ、また加熱手段5にて昇温に必要な熱量が軽減されるという省エネルギ効果も得られる。同様に、水分吸着手段2に等温吸着線38を有する第2の吸着剤を担持した場合、吸着工程となるダンパ位置<A>のときの領域2b、およびダンパ位置<B>のときの領域2aにおいて、相対湿度87%からΦ3(42)の広範囲にて、平衡吸着量q3(46)まで吸着するので、平衡吸着量q0(43)程度しか吸着しない一般的なゼオライトと比較すると、大幅に吸着量が増加する。一方、再生工程となるダンパ位置<A>のときの領域2a、およびダンパ位置<B>のときの領域2bにおいては、再生入口空気の相対湿度をΦ3(42)以下にすれば充分再生できるので、Φ0(39)以下まで再生温度を上げなければならない一般的なゼオライトに比べ低温で再生が可能となるため省エネルギ効果が得られ、かつq3−q0の吸着量差に応じて加湿量を増加させることができる。
【0074】
また、水分吸着手段2に、図15に示した等温吸着線49を有する第3の吸着剤を担持した場合、シリカゲルとゼオライト双方の吸着特性が活かされる。吸着剤の一般的な性質として、シリカゲルは等温吸着線47に示されるように高湿度において吸着量が多く、ゼオライトは等温吸着線48に示されるように広い湿度範囲でほぼ一定の吸着量を有し、かつ吸着、再生の反応速度が速いという特性を持っている。従って、吸着工程となるダンパ位置<A>のときの領域2b、およびダンパ位置<B>のときの領域2aにおいては、入口空気の相対湿度からΦ4(50)の範囲にて、シリカゲルの吸着特性によりゼオライトよりも吸着量が多くなり、Φ4(50)より低い相対湿度範囲ではゼオライトの吸着特性によりシリカゲルほど吸着量が低下せず、より広い湿度範囲への対応が可能となる。一方、再生工程となるダンパ位置<A>のときの領域2a、およびダンパ位置<B>のときの領域2bにおいては、シリカゲルの吸着特性によりゼオライトよりも吸着量が少なくなるため、ゼオライトよりも低温での再生が可能となり、省エネルギ効果が得られる。ここで、用途に応じてゼオライトとシリカゲルを合成する配合比を変えることが可能であり、例えばゼオライトとシリカゲルの配合比を8:2、あるいは7:3程度にすることにより、吸着、再生の速度が2割程度向上し、より高い加湿性能を確保することができる。
【0075】
また、図16の吸着エネルギ分布は、図中左側の吸着エネルギの小さい方から吸着量を積算したものであるが、(a)の終端カチオンがNaのときは、水分の吸着している吸着エネルギが40kcal/mol以上までの広い範囲にわたっているのに対し、(b)の終端カチオンがKのときには、20kcal/mol以下の範囲でしか吸着していない。これは水分子がゼオライトへ吸着する位置などが起因すると考えられる。すなわち、Kカチオンの場合は、ポアフィーリングと呼ばれる吸着エネルギの小さい酸素の六員環への吸着だけであるが、Naカチオンの場合は、吸着エネルギの大きいカチオン種静電場への吸着する水分子も存在するためである。ここで、例えば加湿量1L/hを確保するために、加熱容量1kWの加熱手段によって脱離し得る吸着エネルギは約13kcal/molと試算され、これ以上のエネルギで吸着している水分については、1kWの加熱手段では脱離しないことになる。従って、図16(a)のNaカチオンの吸着エネルギ分布において、20kcal/mol以上のエネルギで吸着している水分は加湿に寄与することはなく、一方、(b)のKカチオンの場合は、吸着しているほとんど全ての水分が加湿に寄与し、その量はどのSiO2/Al2O3においてもNaカチオンの倍程度となる。特に10〜20kcal/molにおいて吸着量の多い、SiO2/Al2O3が2.5〜3.0のY型ゼオライトが望ましい。
【0076】
さらに、ここでは例として1kWという一定の加熱量に対する脱離水分量について述べたが、吸着エネルギの小さいKカチオンのゼオライトを用いることにより、同じ水分量を脱離するのに必要な加熱量が少なくなる、すなわち低温再生が可能となるという省エネルギ効果もある。なおカオチンとは、ゼオライトの分子構造でイオン結合した陽イオンのことで、このカオチンを様々な物質でイオン交換することにより吸着特性が変化するので、目的に応じて終端カチオンを交換して吸着特性を改善することが可能となる。またここで、上記のようなKカチオンのゼオライトを生成する際、比較的安価なNaカチオンのゼオライトを用い、NaイオンをKイオンに交換するのが一般的である。この際、なるべくKイオンを多く、例えばKイオン:Naイオンを90%:10%とすれば、先述のように吸着エネルギが小さくなるので、一定の加熱量に対する水分脱離量の増加、あるいは一定の水分脱離量に必要な加熱容量の削減などの効果がある。また、Kイオンへの交換量を減らし、例えばKイオン:Naイオンを50%:50%程度とすれば、イオン交換にかかるコストを削減しつつ、吸着エネルギ低下の効果も期待できる。
【0077】
以上のように、水分吸着手段に担持する吸着剤として、1.5〜2.5nm程度の細孔が多数設けられた多孔質ケイ素材料や、0.7nm程度の細孔が多数設けられたゼオライト系材料を使用することにより、一般的なゼオライトを使用するよりも吸着量が大幅に増加し、また再生空気生成に必要な加熱手段における投入熱量を軽減できるという省エネルギ効果も得られ、高性能な加湿運転のできる加湿装置、および加湿機能を有する空気調和機を得ることができる。また、ゼオライトとシリカゲルを混合し、ゼオライトの配合比を多くした材料を使用することにより、広い湿度範囲への対応が可能で、また吸着、再生の速度が向上するため、より高い加湿能力を確保することができ、また、ゼオライトの終端カチオンを、吸着エネルギの小さいKカチオンとすることにより、一定の加熱量に対する加湿量が増加、あるいは一定の水分脱離量に必要な加熱容量の削減、すなわち低温再生が可能となり、加湿効率の高い加湿装置、および加湿機能を有する空気調和機を得ることができる。
【0078】
実施の形態8.
図17は、本発明の実施の形態8に係る水分吸着手段の概略設置図であり、54は高湿空気用水分吸着手段、55は低湿空気用水分吸着手段を示している。高湿空気用水分吸着手段54と低湿空気用水分吸着手段55の間には、両者に密着して水分吸着手段仕切板56が設置されており、それぞれ領域54aと領域54b、および領域55aと領域55bに分割されている。高湿空気用水分吸着手段54に担持する吸着剤としては、例えば図14に等温吸着線37で示される第1の吸着剤、低湿空気用水分吸着手段55に担持する吸着剤としては、例えば図14に等温吸着線38で示される第2の吸着剤がある。
図18はこのときの空気相対湿度変化の概念図であり、(a)の57は吸着時の空気相対湿度変化、(b)の58は再生時の空気相対湿度変化を示している。また、59は吸着時の空気相対湿度(Φadin)、60は再生時の空気相対湿度(Φdein)を示し、Φ1、Φ2、Φ3は、それぞれ図14に示す第1の相対湿度40、第2の相対湿度41、第3の相対湿度42に対応する。
【0079】
次に動作の一例について説明する。図17に示されるような高湿空気用水分吸着手段54、低湿空気用水分吸着手段55、および水分吸着手段仕切板56を、実施の形態1で説明した、図1〜図3の水分吸着手段2の位置に、高湿空気用水分吸着手段54が、第1の送風手段3に対して上流側にくるように設置した場合を想定して説明する。このとき、図17の<A>および<B>は、図3のダンパ位置<A>および<B>に対応する。加湿ユニット1の運転は、一般的に冬場の暖房時に室内が乾燥した際に必要となるため、室外空気は低温となる(例えば、暖房標準条件では7℃/87%RH)。ダンパ位置<A>のとき、吸着入口空気20として、第1の吸気口16より吸い込まれたこの低温外気は、第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6bに入り、第1の風路切換ダンパ14により領域14cが閉塞されているため、開口部14dより第2層7へ流入する。第2層7は第2の風路仕切板11により、第3層8は第3の風路仕切板12によって半円に仕切られており、またそれら2層に挟まれている高湿空気用水分吸着手段54および低湿空気用水分吸着手段55も、水分吸着手段仕切板56によって同様に半円に分割されているため、開口部14dから流入した外気は、領域7b、54b、55b、8bの順で下方向に流れ、領域54bおよび55b通過時に外気中の水分を吸着されて乾燥空気となる。乾燥空気となった外気は、第2の風路切換ダンパ15により領域15dが閉塞されているため、開口部15bより第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9aへ流入し、その後第1の排気口18より吸着出口空気22として流出し、第1の送風手段3を経由して室外へ排気される。
【0080】
一方、再生入口空気21として、第2の吸気口17より吸い込まれた低温外気は、第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9bへ流入し、加熱手段5によって昇温されて高温低湿空気となったのち、第2の風路切換ダンパ15により領域15dが閉塞されているため、開口部15cより第3層8へ流入する。第3層8は第3の風路仕切板12により、第2層7は第2の風路仕切板11によって半円に仕切られており、またそれら2層に挟まれている低湿空気用水分吸着手段55および高湿空気用水分吸着手段54も、水分吸着手段仕切板56によって同様に半円に分割されているため、開口部15cから流入した高温低湿空気は、領域8a、55a、54a、7aの順で上方向に流れ、領域55aおよび54a通過時に吸着されている水分が再生されて高湿空気となる。高湿空気となった外気は、第1の風路切換ダンパ14により領域14cが閉塞されているため、開口部14aより第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6aへ流入し、その後第2の排気口19より再生出口空気23として流出し、第2の送風手段4を経由して室内へ搬送されて、室内を加湿する。
【0081】
次に、高湿空気用水分吸着手段54および低湿空気用水分吸着手段55の、領域54bおよび55bにおける吸着工程、領域54aおよび55aにおける再生工程が完了する程度の時間が経過した後、図3および図17に示すダンパ位置を<A>から<B>へと切り換える。このとき、吸着入口空気20として、第1の吸気口16より吸い込まれた低温外気は、第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6bに入り、第1の風路切換ダンパ14により領域14dが閉塞されているため、開口部14cより第2層7へ流入する。第2層7は第2の風路仕切板11により、第3層8は第3の風路仕切板12によって半円に仕切られており、またそれら2層に挟まれている高湿空気用水分吸着手段54および低湿空気用水分吸着手段55も、水分吸着手段仕切板56によって同様に半円に分割されているため、開口部14cから流入した外気は、領域7a、54a、55a、8aの順で下方向に流れ、領域54aおよび55aがダンパ位置<A>のときに水分を再生され乾燥しているため、領域54aおよび55a通過時に外気中の水分を吸着されて乾燥空気となる。乾燥空気となった外気は、第2の風路切換ダンパ15により領域15cが閉塞されているため、開口部15aより第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9aへ流入し、その後第1の排気口18より吸着出口空気22として流出し、第1の送風手段3を経由して室外へ排気される。
【0082】
一方、再生入口空気21として、第2の吸気口17より吸い込まれた低温外気は、第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9bへ流入し、加熱手段5によって昇温されて高温低湿空気となったのち、第2の風路切換ダンパ15により領域15cが閉塞されているため、開口部15dより第3層8へ流入する。第3層8は第3の風路仕切板12により、第2層7は第2の風路仕切板11によって半円に仕切られており、またそれら2層に挟まれている低湿空気用水分吸着手段55および高湿空気用水分吸着手段54も、水分吸着手段仕切板56によって同様に半円に分割されているため、開口部15dから流入した高温低湿空気は、領域8b、55b、54b、7bの順で上方向に流れ、領域55bおよび54b通過時にダンパ位置<A>のときに吸着された水分が再生されて高湿空気となる。高湿空気となった外気は、第1の風路切換ダンパ14により領域14dが閉塞されているため、開口部14bより第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6aへ流入し、その後第2の排気口19より再生出口空気23として流出し、第2の送風手段4を経由して室内へ搬送されて、室内を加湿する。
【0083】
このとき、吸着工程となるダンパ位置<A>のときの領域54bと55b、およびダンパ位置<B>のときの領域54aと55aにおいて、図18(a)の吸着時の空気相対湿度変化57に示されるように、高湿空気用水分吸着手段54に担持されている第1の吸着剤の平衡吸着量が多い相対湿度Φadin(59)からΦ2(41)の範囲では、多くの水分を吸着されるため、相対湿度は厚み方向に対して急激に低下していくが、相対湿度Φ2(41)以下になるとほとんど変化しなくなる。これに対し、低湿空気用水分吸着手段55に担持されている第2の吸着剤の平衡吸着量は、低湿度であるΦ3(42)まで低下せず、かつ相対湿度Φ1(40)からΦ3(42)の範囲では第1の吸着剤より多いので、高湿空気用水分吸着手段54から流出した相対湿度Φ1(40)程度の低湿空気の水分は、低湿空気用水分吸着手段55において、相対湿度がΦ3(42)となる程度まで吸着されるため、高湿空気用水分吸着手段54のみを使用する場合に対して、q3−q1だけ吸着量を増加させることができる。
【0084】
一方、再生工程となるダンパ位置<A>のときの領域55aと54a、およびダンパ位置<B>のときの領域55bと54bにおいては、図18(b)の再生時の空気相対湿度変化58に示されるように、再生入口空気21である外気が加熱手段5により昇温されるため、相対湿度Φdein(60)がΦ3(42)より小さくなり、低湿空気用水分吸着手段55に担持されている第2の吸着剤の平衡吸着量が少ない相対湿度Φdein(60)からΦ3(42)の範囲では、多くの水分が再生されるため、相対湿度は厚み方向に対して急激に増加していくが、相対湿度Φ3(42)以上になるとほとんど変化しなくなる。これに対し、高湿空気用水分吸着手段54に担持されている第1の吸着剤の平衡吸着量は、比較的高湿度であるΦ1(40)まで上昇せず、かつ相対湿度Φ3(42)からΦ1(40)の範囲では第2の吸着剤より非常に少ないので、低湿空気用水分吸着手段55から流出した相対湿度Φ3(42)程度の低湿空気の水分は、高湿空気用水分吸着手段54において、相対湿度がΦ2(41)となる程度まで再生されるため、低湿空気用水分吸着手段55のみを使用する場合に対して、q2−q3の吸着量差に相当する分の加湿量を増加させることができる。
【0085】
このように、吸着工程における低湿空気の吸着に対しては、第2の吸着剤が担持されている低湿空気用水分吸着手段55が、再生工程における高湿空気による再生に対しては、第1の吸着剤が担持されている高湿空気用水分吸着手段54が互いに補うため、第1の吸着剤である多孔質ケイ素材料の細孔径はなるべく大きくし、第1の相対湿度Φ1(40)および第2の相対湿度Φ2(41)を大きくしたほうが望ましい。例えば細孔径を2.5nmとすることにより、Φ1(40)は45%、Φ2(41)は60%となり、図18(b)に示される再生時において、高湿空気用水分吸着手段54は、相対湿度60%まで再生可能となるため、加湿量が大幅に増加するだけでなく、低温再生も可能となり、加熱手段5にて昇温に必要な熱量が軽減されるという省エネルギ効果も得られる。
【0086】
図17では、高湿空気用水分吸着手段54と低湿空気用水分吸着手段55を分離し、両者の間に水分吸着手段仕切板56を密着して設置しているが、水分吸着手段仕切板56は設置せず、高湿空気用水分吸着手段54と低湿空気用水分吸着手段55を接触させて設置してもよく、また一体型とし、表裏に別々の吸着剤を担持させてもよい。どちらの場合も空気漏洩を完全に防ぐことができるという効果があるが、接触させて設置する場合には、圧力損失が発生しないように、両者のハニカム基材のセル位置を合わせる必要がある。
【0087】
また図17、図18では、低湿空気用水分吸着手段55に担持する吸着剤を第2の吸着剤として説明したが、実施の形態7で説明した、図15の等温吸着線49を有し、終端カチオンを吸着エネルギの小さいK(カリウム)カチオンにしたゼオライトである第3の吸着剤を用いてもよい。この場合、比較的高湿度である相対湿度Φ4(50)までの吸着量が少ないため、図18(b)に示される再生時において、Φdein(60)がΦ4(50)より小さければ低湿空気用水分吸着手段55において再生が可能となり、また一定の加熱量に対する再生量を増加、あるいは一定の水分脱離量に必要な加熱容量を削減できるので、加湿効率を向上することができる。
【0088】
以上のように、水分吸着手段として、相対湿度に対する平衡吸着量の変化率が、比較的高湿度の範囲で急激に変化する第1の吸着剤を担持した高湿用水分吸着手段と、低湿度で急激に変化する第2の吸着剤を担持した低湿用水分吸着手段とを直列に配置し、吸着空気を高湿用水分吸着手段側から、再生空気を低湿用水分吸着手段側から供給することにより、それぞれの吸着剤に適した相対湿度範囲で吸着、再生が行われ、かつ相互に吸着量を補うため、1種類の吸着剤を使用するよりも加湿能力が向上し、また比較的高湿度の空気で再生できるため、一定の加熱量に対する加湿量が増加、あるいは一定の水分脱離量に必要な加熱容量の削減、すなわち低温再生が可能となり、加湿効率の高い加湿装置、および加湿機能を有する空気調和機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の形態1に係る加湿装置の概略構成図。
【図2】本発明の実施の形態1に係る加湿装置の水分吸着手段を通る風路の構成を示す詳細図。
【図3】本発明の実施の形態1に係る加湿装置の動作を説明するために示した図2の各風路構成部品の平面図。
【図4】本発明の実施の形態1に係る加湿装置における風路切換ダンパの変形例を示す構成図。
【図5】本発明の実施の形態2に係る加湿装置の水分吸着手段を通る風路の構成を示す詳細図。
【図6】本発明の実施の形態2に係る加湿装置の動作を説明するために示した図5の各風路構成部品の平面図。
【図7】本発明の実施の形態2に係る加湿装置の別の動作を説明するために示した図5の各風路構成部品の平面図。
【図8】本発明の実施の形態3に係る加湿装置の概略構成図。
【図9】本発明の実施の形態3に係る加湿装置の水分吸着手段を通る風路の構成を示す詳細図。
【図10】本発明の実施の形態3に係る加湿装置の動作を説明するために示した図9の各風路構成部品の平面図。
【図11】本発明の実施の形態4に係る加湿機能を有する空気調和機における室外側の概略構成図。
【図12】本発明の実施の形態5に係る加湿機能を有する空気調和機における加湿装置の概略設置図。
【図13】本発明の実施の形態6に係る加湿機能を有する空気調和機における加湿装置の概略設置図。
【図14】本発明の実施の形態7に係る水分吸着手段に担持される各種吸着剤(第1の吸着剤、第2の吸着剤)の等温吸着線の概念図。
【図15】本発明の実施の形態7に係る水分吸着手段に担持される、シリカゲルとゼオライトを混合し、それらの配合比を変化させた吸着剤の等温吸着線の概念図。
【図16】本発明の実施の形態7に係るゼオライトの各終端カチオン種による吸着エネルギ分布の解析結果の概略図。
【図17】本発明の実施の形態8に係る水分吸着手段の概略設置図。
【図18】本発明の実施の形態8に係る水分吸着手段における空気相対湿度変化の概念図。
【符号の説明】
【0090】
1 加湿ユニット、2 水分吸着手段、3 第1の送風手段、4 第2の送風手段、
5 加熱手段、6 第1層、7 第2層、8 第3層、9 第4層、10 第1の風路仕切板、11 第2の風路仕切板、12 第3の風路仕切板、13 第4の風路仕切板、14 第1の風路切換ダンパ(第1の風路切換手段)、15 第2の風路切換ダンパ(第2の風路切換手段)、16 第1の吸気口、17 第2の吸気口、18 第1の排気口、19 第2の排気口、20 吸着入口空気、21 再生入口空気、22 吸着出口空気、23 再生出口空気、24 第1の4風路仕切板、25 第2の4風路仕切板、26 室外機、27 圧縮機、28 室外機熱交換器、29 室外機送風機、30 膨張弁、31 建物の外壁、32 壁穴、33 室外排気口、34 室内接続口、35 建物の内壁、36 一般的なゼオライトの等温吸着線、37 第1の吸着剤の等温吸着線、38 第2の吸着剤の等温吸着線、39 第0の相対湿度、40 第1の相対湿度、41 第2の相対湿度、42 第3の相対湿度、43 第0の相対湿度における平衡吸着量、44 第1の相対湿度における平衡吸着量、45 第2の相対湿度における平衡吸着量、46 第3の相対湿度における平衡吸着量、47 シリカゲル100%の等温吸着線、48 ゼオライト100%の等温吸着線、49 第3の吸着剤の等温吸着線、50 第4の相対湿度、51 SiO2/Al2O3小のときの吸着水分量積分値、52 SiO2/Al2O3中のときの吸着水分量積分値、53 SiO2/Al2O3大のときの吸着水分量積分値、54 高湿空気用水分吸着手段、55 低湿空気用水分吸着手段、56 水分吸着手段仕切板、57 吸着時の空気相対湿度変化、58 再生時の空気相対湿度変化、59 吸着時の入口空気相対湿度、60 再生時の入口空気相対湿度、70 第1の風路分割手段、71 第2の風路分割手段、72 第3の風路分割手段、73 第4の風路分割手段。
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸着剤を利用した加湿装置、および加湿機能を有する空気調和機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
加湿装置及び加湿装置を具備する空気調和機として、以下のようなものがある。
第1の従来技術は、外気中の水分を加湿水として利用する無給水加湿手段を、2台の無給水加湿ユニットとして室外機に具備し、吸湿モードと加湿モードとを交互に切換えることにより、室内を加湿するものである(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
第2の従来技術は、円柱形状に成形された吸着材と、吸着材を通過する2つの空気流通路と、それぞれの空気流通路に設置された2つの送風装置と、およびヒータとからなる加湿装置を室外に設置し、駆動モータにより吸着材を回転させ、一方の空気流通路を通り、吸着材に水分を吸着された乾燥空気を室外に排気し、もう一方の空気流通路を通り、吸着材に吸着された水分が蒸発した加湿空気を室内へ送って加湿するものである(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
第3の従来技術は、加湿ユニットは空調機の室外機と一体に構成され、加湿ユニット内部に、ハニカム状に形成された基材に、吸着剤を担持させた円板状の回転ロータを、除湿側通路と再生側通路の両方を横断する姿勢で設置し、加湿ユニットと室内機を空気ダクトで接続し、加湿空気はこの空気ダクトを介して室内に搬送する構造とし、また回転ロータに担持する吸着剤として、吸着エネルギの小さい疎水性ゼオライトを使用し、SiO2のモル分率がAl2O3のモル分率よりも大きいもの、すなわちSiO2/Al2O3が1より大きいものを使用するというものである(例えば、特許文献3参照)。
【0005】
【特許文献1】特開平6−257805号公報(第3頁−第4頁、図1、図4)
【特許文献2】特開平10−267331号公報(第3頁−第4頁、図1)
【特許文献3】特開2001−96126号公報(第3頁−第4頁、図1、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、第1の従来技術では、2台の無給水加湿ユニットにおいて、吸湿モードと加湿モードとを交互に切換えるので、常に室内に加湿空気を供給することができるが、ユニットが2台あるため装置が大型化してコストもかかり、またモードの切換の際には、四方向電磁弁、2つの二方向電磁弁、2つのポンプを切換え、さらに2つのヒータをON/OFFする必要があるため、制御対象が多く複雑であるという課題があった。また、ヒータをON/OFFするので、吸湿モードに切換わった際には、ヒータが冷めるまでは高温空気が送られるため吸湿が行われず、一方加湿モードに切換わった際には、ヒータの温度が立ち上がるまでは加湿が行われないため、モード切換時の時間的ロスが大きいという課題があった。
【0007】
第2の従来技術では、吸着材を回転させ、一方の空気流通路で吸着させた外気中の水分を、もう一方の空気流通路で蒸発させて室内へ送っているので、風路を切換えることなく、連続的に加湿空気を室内へ供給することができるが、2つの空気流通路に跨って設置された吸着材を回転させるために、吸着材近傍には隙間を設置せざるをえず、2つの空気流通路間で空気漏洩が発生するという課題があった。また、送風装置を室外に設置しているので、室内への送風装置から発生する騒音の影響を低減できるが、2つの送風装置による空気流の方向が同一であるため、吸着材における吸着と脱着とが並列方向で行われることになるため、吸脱着効率が低下し、充分な加湿量を得られないという課題があった。
【0008】
第3の従来技術では、加湿ユニットを室外機と一体に設置して、室外の高湿空気を吸着剤に吸着させるため、吸着量としては室内空気を使用するより確保しやすいが、加湿運転が行われる外気が低温の際、常に低温空気が流れる除湿側通路と、常に高湿空気が流れる加湿側通路が隣り合って設置されているため、加湿側通路において結露が発生し、さらに、加湿空気を室内に搬送する空気ダクト内においても、外気に冷却されるため結露してしまうという課題があった。また、吸着剤として吸着エネルギの小さい疎水性ゼオライトを用いているため、ゼオライトはシリカゲルや活性炭などの吸着剤に比べて吸着量が少なく、特に疎水性ゼオライトは吸着エネルギが小さい反面吸着量も少ないため、充分な加湿量を得られないという課題があった。
【0009】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、吸着剤を担持した水分吸着手段を固定し、その両側に設置された2組のダンパを切り換えるという簡単な動作により、密閉性が高く、空気漏洩の少ない風路を実現でき、室内へ連続的に加湿空気を供給することのできる加湿装置、および加湿機能を有する空気調和機を提供するものである。また、水分吸着手段における吸着工程と再生工程が常に対向流となるようにすることにより、水分の吸着、再生を効率的に行うことができ、また吸着風路と再生風路が切り換わり、特定の風路が冷却されることがなく、加湿装置の内部において結露が発生しにくいという特徴を有する加湿装置、および加湿機能を有する空気調和機を提供するものである。また、吸着量が多く且つ吸着エネルギの小さい吸着剤を使用する、あるいは異なった吸着特性を有する複数の吸着剤を、それらの特性を活かして組み合わせることにより、絶対的な加湿量の多い加湿装置、および加湿機能を有する空気調和機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る加湿装置は、空気中の水分を吸着及び再生する吸着剤が担持された水分吸着手段と、前記水分吸着手段に流入させる空気を加熱する加熱手段と、外気を吸入し、前記水分吸着手段を通り室外へ排気する第1の送風手段と、外気を吸入し、前記加熱手段及び前記水分吸着手段を通り室内へ送風する第2の送風手段とを備えた加湿装置であって、
前記水分吸着手段を挟んで片側に2層ずつ設置され、風路をそれぞれ2分割する風路仕切板を有する、第1及び第2の風路分割手段と、第3及び第4の風路分割手段と、
前記第1及び第2の風路分割手段の間、並びに前記第3及び第4の風路分割手段の間にそれぞれ設置され、対角状に設けられた1対のダンパと1対の開口部とを有する第1及び第2の風路切換手段とを備え、
前記水分吸着手段は風路内に固定して設置され、
前記第2及び第3の風路分割手段の風路仕切板は、前記水分吸着手段の表面に密着しているものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の加湿装置は、吸着剤を担持した水分吸着手段を風路内に固定し、その片側に2層ずつの第1及び第2の風路分割手段と、第3及び第4の風路分割手段とを設置し、第2及び第3の風路分割手段の風路仕切板を水分吸着手段の表面に密着させ、さらに第1の風路分割手段と第2の風路分割手段の間、及び、第3の風路分割手段と第4の風路分割手段の間に設置された2組の風路切換手段のダンパを切り換えるという簡単な動作により、密閉性が高く、空気漏洩の少ない風路を実現でき、室内へ連続的に加湿空気を供給することのできる加湿装置が得られるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る加湿装置の概略構成図である。
加湿装置である加湿ユニット1は、その内部に、基本的な構成要素として、水分吸着手段2と、第1の送風手段3、第2の送風手段4、および加熱手段5とが配置された構成となっている。水分吸着手段2は、円柱形状で風路内に固定して設置されており、また水分吸着手段2に担持させる吸着剤として、たとえばゼオライト、シリカゲル、活性炭等からなる多孔質基材に塗布あるいは表面処理あるいは含浸されたものであり、通気性を有する構成となっている。
【0013】
図2は、水分吸着手段2を通る風路の構成を示す詳細図であり、各部品を分解してわかりやすく示してあるが、実際には隣り合う部品は密着されている。
水分吸着手段2を通る風路は、水分吸着手段2を挟んで片側に2層ずつ風路分割手段が配置された構造である。すなわち、この例では、上部2層(第1層6、第2層7)、下部2層(第3層8、第4層9)の計4層の構造になっている。ここで、第1層6は第1の風路分割手段70、第2層7は第2の風路分割手段71、第3層8は第3の風路分割手段72、第4層9は第4の風路分割手段73を構成するものである。以下においては、第1から第4の風路分割手段70〜73を、それぞれ第1層6、第2層7、第3層8、第4層9として説明する。
【0014】
第1層6は第1の風路仕切板10、第2層7は第2の風路仕切板11、第3層8は第3の風路仕切板12、第4層9は第4の風路仕切板13を有し、第1から第4の風路仕切板10〜13によって、それぞれ風路が2分割されている。このとき、第2の風路仕切板11および第3の風路仕切板12は平行に配置されており、それぞれ水分吸着手段2の表面に密着して設置されている。一方、水分吸着手段2から離れた位置に配置される第1層6の第1の風路仕切板10および第4層9の第4の風路仕切板13は、第2の風路仕切板11および第3の風路仕切板12に対してそれぞれ垂直に設置されている。したがって、第2層7、水分吸着手段2、第3層8は同方向に風路が2分割され、第1層6および第4層9はこれらに対して垂直方向に風路が2分割されていることになる。つまり、風路は円形断面を4分割されることになる。
【0015】
また、第1層6と第2層7との間、および第3層8と第4層9との間には、第1の風路切換ダンパ14(第1の風路切換手段)および第2の風路切換ダンパ15(第2の風路切換手段)が設置されている。第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15は、それぞれ対角状に設けられた1対のダンパと1対の開口部とを有し、かつ、第1の風路切換ダンパ14と第2の風路切換ダンパ15とは90゜異なる角度で対角方向に設置されている。すなわち、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15は、それぞれ図示のように、2つの中心角90°の扇形(1/4円)の平板が中心にて対角方向に接続された形態のダンパからなるものであり、扇形部分が互い違いになるように設置されている。別言すれば、第1の風路切換ダンパ14は、円形の2つの象限、例えば第1象限と第3象限を平板が閉鎖する(占める)ように中心にて接続された形態であり、これに対して、第2の風路切換ダンパ15は、第2象限と第4象限を平板が閉鎖する(占める)ように中心にて接続された形態である。これにより、第1の風路仕切板10および第2の風路仕切板11によって形成される、上部風路側の1/4円ずつの4領域のうち、対角2領域を第1の風路切換ダンパ14が閉塞し、第3の風路仕切板12および第4の風路仕切板13によって形成される、下部風路側の1/4円ずつの4領域のうち、上部とは90°異なる対角2領域を第2の風路切換ダンパ15が閉塞することになる。また第1層6において、第1の風路仕切板10によって分割された2風路のうち、第1の送風手段3と連通する風路側には第1の吸気口16、第2の送風手段4と連通する風路側には第2の排気口19が設置され、同様に第4層9において、第4の風路仕切板13によって分割された2風路のうち、第1の送風手段3と連通する風路側には第1の排気口18、第2の送風手段4と連通する風路側には、加熱手段5および第2の吸気口17が設置されている。なお、第1層6の上面および第4層9の下面(底面)は、実際には図示しない蓋等で閉鎖されており、この蓋に、第1層6では上記の第1の吸気口16、第2の排気口19を設けるか、あるいは図示のように円筒の側面に第1の吸気口16、第2の排気口19を設ける。また第4層9では、同様に底面の蓋に、第1の排気口18、第2の吸気口17を設けるか、あるいは図示のように円筒の側面に第1の排気口18、第2の吸気口17を設ける。
【0016】
次に動作の一例について説明する。説明のため、図3に図2に示した各風路構成部品の平面図を示す。図3中左側のダンパ位置<A>が図2のダンパ位置と同じである。
ダンパ位置<A>のとき、吸着入口空気20として、第1の吸気口16より吸い込まれた外気は、第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6bに入り、第1の風路切換ダンパ14により領域14cが閉塞されているため、開口部14dより第2層7へ流入する。第2層7は第2の風路仕切板11により、第3層8は第3の風路仕切板12によって半円に仕切られており、またそれら2層に挟まれている水分吸着手段2も同様に半円に分割されているため、開口部14dから流入した外気は、領域7b、2b、8bの順で下方向に流れ、領域2b通過時に外気中の水分を吸着されて乾燥空気となる。乾燥空気となった外気は、第2の風路切換ダンパ15により領域15dが閉塞されているため、開口部15bより第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9aへ流入し、その後第1の排気口18より吸着出口空気22として流出し、第1の送風手段3を経由して室外へ排気される。
【0017】
一方、再生入口空気21として、第2の吸気口17より吸い込まれた外気は、第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9bへ流入し、加熱手段5によって昇温されて高温低湿空気となったのち、第2の風路切換ダンパ15により領域15dが閉塞されているため、開口部15cより第3層8へ流入する。第3層8は第3の風路仕切板12により、第2層7は第2の風路仕切板11によって半円に仕切られており、またそれら2層に挟まれている水分吸着手段2も同様に半円に分割されているため、開口部15cから流入した高温低湿空気は、領域8a、2a、7aの順で上方向に流れ、領域2a通過時に吸着されている水分が再生されて高湿空気となる。高湿空気となった外気は、第1の風路切換ダンパ14により領域14cが閉塞されているため、開口部14aより第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6aへ流入し、その後第2の排気口19より再生出口空気23として流出し、第2の送風手段4を経由して室内へ搬送されて、室内を加湿する。
【0018】
次に、水分吸着手段2の領域2bにおける吸着工程、領域2aにおける再生工程が完了する程度の時間が経過した後、図3に示すダンパ位置を<A>から<B>へと切り換える。このとき、吸着入口空気20として、第1の吸気口16より吸い込まれた外気は、第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6bに入り、第1の風路切換ダンパ14により領域14dが閉塞されているため、開口部14cより第2層7へ流入する。第2層7は第2の風路仕切板11により、第3層8は第3の風路仕切板12によって半円に仕切られており、またそれら2層に挟まれている水分吸着手段2も同様に半円に分割されているため、開口部14cから流入した外気は、領域7a、2a、8aの順で下方向に流れ、領域2aがダンパ位置<A>のときに水分を再生され乾燥しているため、領域2a通過時に外気中の水分を吸着されて乾燥空気となる。乾燥空気となった外気は、第2の風路切換ダンパ15により領域15cが閉塞されているため、開口部15aより第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9aへ流入し、その後第1の排気口18より吸着出口空気22として流出し、第1の送風手段3を経由して室外へ排気される。
【0019】
一方、再生入口空気21として、第2の吸気口17より吸い込まれた外気は、第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の9bへ流入し、加熱手段5によって昇温されて高温低湿空気となったのち、第2の風路切換ダンパ15により15cが閉塞されているため、15dより第3層8へ流入する。第3層8は第3の風路仕切板12により、第2層7は第2の風路仕切板11によって半円に仕切られており、またそれら2層に挟まれている水分吸着手段2も同様に半円に分割されているため、15dから流入した高温低湿空気は、8b、2b、7bの順で上方向に流れ、2b通過時にダンパ位置<A>のときに吸着された水分が再生されて高湿空気となる。高湿空気となった外気は、第1の風路切換ダンパ14により14dが閉塞されているため、14bより第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の6aへ流入し、その後第2の排気口19より再生出口空気23として流出し、第2の送風手段4を経由して室内へ搬送されて、室内を加湿する。
【0020】
このように、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15を回転させ風路を切り換えるという簡単な動作により、室内へ連続的に加湿空気を供給することが可能となり、また水分吸着手段2の領域2aと領域2bにおける風向が逆、すなわち吸着工程と再生工程が対向流となるため、水分吸着手段2の厚みが大きくなっても水分の吸着、再生を効率的に行うことができる。またこの風路を切り換える時間の最適値は水分吸着手段2に担持されている吸着剤の種類によって異なるので、例えばゼオライトのように比較的吸着速度の大きい材料の場合は短く(約45〜90秒)、シリカゲルのように比較的吸着速度の小さい材料の場合は長く(約90〜180秒)設定することにより、様々な特性を持った吸着剤に対して最適な運転が可能となる。また水分吸着手段2を回転させる従来のローター方式と比較して、本実施の形態では、最も空気漏洩の大きい水分吸着手段2を風路内に固定するとともに、水分吸着手段2近傍をその表面に第2の風路仕切板11および第3の風路仕切板12を密着させることにより完全に密閉しているため、空気漏洩を最小限に抑えることが可能となる。また、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15の端面に、例えばウレタンなどの柔軟性に優れた材料を付加すれば、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15を低トルクで回転でき、空気漏洩もより少なく抑えることが可能となる。さらに、低温空気が流れる吸着風路と高温高湿空気が流れる再生風路が常に固定され、両風路の境界面の再生風路側で結露を発生しやすいローター方式に対し、本実施の形態では、吸着風路と再生風路が切り換わり、特定の風路が冷却されることがないため、結露を発生しにくいという特徴もある。
【0021】
また、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15は、同一方向に90°の回転角で連続回転させて風路を切り換えても、90°の回転角で正逆回転を繰り返してもよい。同一方向の場合は、ダンパに中心軸を設置して軸を回転させても、外周部分にギア等を設置して回転させてもモータは1つで回転可能であり、コストを削減できる。正逆回転の場合は、例えば図4に示すように、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15において、扇形平板の両端側半径部分全体に、それぞれ第2の風路仕切板11および第3の風路仕切板12に当接する突起141、151を設けることができる。これにより、第1の風路切換ダンパ14では第2の風路仕切板11が、第2の風路切換ダンパ15では第3の風路仕切板12がストッパーとなるため、回転誤差が発生しないとともに、突起部分と仕切板がより広い面積で密着するため、空気漏洩を防ぐことが可能となる。なお図4では、突起部分は水分吸着手段2側に向かって設置されているが、水分吸着手段2の反対側に向かって設置し、第1の風路切換ダンパ14は第1の風路仕切板10と、第2の風路切換ダンパ15は第4の風路仕切板13と密着させてもよい。
【0022】
また、第1層6と第2層7、および第3層8と第4層9の厚みについては、空気の吸込口や吹出口が設置されている第1層6や第4層9のほうを厚くしても、水分吸着手段2に近接している第2層7や第3層8のほうを厚くしてもどちらでもよい。第1層6や第4層9を厚くした場合には、吸込口や吹出口が大きくなり、風路圧損が小さくなるため送風手段を小型化でき、一方、第2層7や第3層8を厚くした場合には、水分吸着手段2全体に空気が流れやすくなるため、風速分布が均一化され、水分吸着手段2の全体に担持された吸着剤を有効に使用することができるという効果がある。
【0023】
図1では、送風手段を水分吸着手段2の風下側に設置し、第1の送風手段3は第1の排気口18から乾燥空気を、第2の送風手段4は第2の排気口19から加湿空気を吸い出す構成となっているが、水分吸着手段2の風上側に設置して、第1の送風手段3は第1の吸気口16に、第2の送風手段4は第2の吸気口17にそれぞれ外気を押し込む構成としてもよい。風下側から吸い出す場合には、風路圧損が小さくなるため送風手段を小型化でき、風上側から押し込む場合には、水分吸着手段2における風速分布が均一化され、水分吸着手段2の全体に担持された吸着剤を有効に使用することができるという効果がある。
【0024】
また図1〜3では、水分吸着手段2における吸着工程と再生工程の空気の流れ方向が対向となるように、第1層6の領域6bに第1の吸気口16、領域6aに第2の排気口19、および第4層9の領域9bに第2の吸気口17、領域9aに第1の排気口18を設置しているが、同じ対向流であって、第1層6と第4層9の上下位置を逆転させてもよい。この場合、加熱手段5が最上層に配置されるため、仮に水分吸着手段2に担持されている吸着剤の粉落ちが発生しても、加熱手段5に到達する可能性が低くなり、安全性を高めることができる。また、例えば第1層6の領域6aに第2の吸気口17および加熱手段5を、第4層9の領域9bに第2の排気口19を設置し、水分吸着手段2における吸着工程と再生工程が並行流で行われるようにしてもよい。この場合、2つの吸込口が第1層6、2つの吹出口が第4層9というように、それぞれ同じ層に位置することになるので、送風手段を第1層6に設置し、第1の吸気口16および第2の吸気口17双方に押し込む構成が可能となり、1つの送風手段で加湿空気を連続的に生成することができる。
【0025】
以上のように、2つの回転型ダンパを切り換えるという簡単な動作により、密閉性が高く空気漏洩の少ない風路を実現でき、室内へ連続的に加湿空気を供給する加湿装置を得ることができる。このとき、吸着剤を担持された水分吸着手段における吸着工程と再生工程が対向流となるため、水分の吸着、再生を効率的に行うことができ、高効率な加湿装置となる。また、吸着風路と再生風路が切り換わり、特定の風路が冷却されることがないため、加湿装置内部において結露を発生しにくいという効果も得られる。
【0026】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2に係る水分吸着手段2を通る風路の構成を示す詳細図であり、図1に示した加湿装置の内部に配置されるものである。図5では、図2と同様に各部品を分解してわかりやすく示してあるが、実際には隣り合う部品は密着されている。実施の形態1と同一の箇所、部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
第1層6における第1の風路仕切板10によって分割された2風路、および第2層7における第2の風路仕切板11によって分割された2風路のうち、それぞれ第1の送風手段3と連通する一方の風路側の第1の吸気口16は、第1の風路切換ダンパ14によって閉塞されていない1/4円領域すなわち一方の開口部に、並びに、第1層6と第2層7の2層に跨って設置され、同様に第2の送風手段4と連通する他方の風路側の第2の排気口19は、第1の風路切換ダンパ14によって閉塞されていない1/4円領域すなわち他方の開口部に、並びに、第1層6と第2層7の2層に跨って設置されている。また、第3層8における第3の風路仕切板12によって分割された2風路、および第4層9における第4の風路仕切板13によって分割された2風路のうち、それぞれ第1の送風手段3と連通する一方の風路側の第1の排気口18は、第2の風路切換ダンパ15によって閉塞されていない1/4円領域すなわち一方の開口部に、並びに、第3層8と第4層9の2層に跨って設置され、同様に第2の送風手段4と連通する他方の風路側の第2の吸気口17は、第2の風路切換ダンパ15によって閉塞されていない1/4円領域すなわち他方の開口部に、並びに、第3層8と第4層9の2層に跨って設置されている。また、第4層9において、第4の風路仕切板13によって分割された2風路のうち、第2の送風手段4と連通する風路側には、加熱手段5が設置されている。
【0027】
次に動作の一例について説明する。説明のため、図6に図5に示した各風路構成部品の平面図を示す。図6中左側のダンパ位置<A>が図5のダンパ位置と同じである。
ダンパ位置<A>のとき、第1層6、第1の風路切換ダンパ14の開口部14d、および第2層7に跨って設置された第1の吸気口16より、吸着入口空気20として吸い込まれた外気は、第1層6では第1の風路仕切板10によって仕切られているため領域6bに、第1の風路切換ダンパ14では領域14cが閉塞しているため開口部14dに流入し、それらが第2の風路仕切板11によって仕切られている第2層7の領域7bに集約される。第2層7と同様に、第3層8は第3の風路仕切板12によって半円に仕切られており、またそれら2層に挟まれている水分吸着手段2も同様に半円に分割されているため、領域7bに集約された外気は、領域2b、8bの順で下方向に流れ、領域2b通過時に外気中の水分を吸着されて乾燥空気となる。乾燥空気となった外気は、領域8bから、第2の風路切換ダンパ15により領域15dが閉塞されているため、開口部15bより第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9aへ流入するとともに、第3層8、第2の風路切換ダンパ15の開口部15b、および第4層9に跨って設置された第1の排気口18より、吸着出口空気22として流出し、第1の送風手段3を経由して室外へ排気される。
【0028】
一方、第3層8、第2の風路切換ダンパ15の開口部15c、および第4層9に跨って設置された第2の吸気口17より、再生入口空気21として吸い込まれた外気は、第4層9では第4の風路仕切板13によって仕切られているため領域9bに、第2の風路切換ダンパ15では領域15dが閉塞しているため開口部15cに流入し、それらが第3の風路仕切板12によって仕切られている第3層8の領域8aに集約される。このとき、領域9bには加熱手段5が設置されているため、領域8aに集約される外気は昇温されて高温低湿空気となる。第3層8と同様に、第2層7は第2の風路仕切板11によって半円に仕切られており、またそれら2層に挟まれている水分吸着手段2も同様に半円に分割されているため、領域8aに集約された高温低湿空気は、領域2a、7aの順で上方向に流れ、領域2a通過時に吸着されている水分が再生されて高湿空気となる。高湿空気となった外気は、領域7aから、第1の風路切換ダンパ14により領域14cが閉塞されているため、開口部14aより第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6aへ流入するとともに、第1層6、第1の風路切換ダンパ14の開口部14a、および第2層7に跨って設置された第2の排気口19より再生出口空気23として流出し、第2の送風手段4を経由して室内へ搬送されて、室内を加湿する。
【0029】
次に、水分吸着手段2の領域2bにおける吸着工程、領域2aにおける再生工程が完了する程度の時間が経過した後、図6に示すダンパ位置を<A>から<B>へと切り換える。このとき、第1層6、第1の風路切換ダンパ14の開口部14c、および第2層7に跨って設置された第1の吸気口16より、吸着入口空気20として吸い込まれた外気は、第1層6では第1の風路仕切板10によって仕切られているため領域6bに、第1の風路切換ダンパ14では領域14dが閉塞しているため開口部14cに流入し、それらが第2の風路仕切板11によって仕切られている第2層7の領域7aに集約される。第2層7と同様に、第3層8は第3の風路仕切板12によって半円に仕切られており、またそれら2層に挟まれている水分吸着手段2も同様に半円に分割されているため、領域7aに集約された外気は、領域2a、8aの順で下方向に流れ、領域2aがダンパ位置<A>のときに水分を再生され乾燥しているため、領域2a通過時に外気中の水分を吸着されて乾燥空気となる。乾燥空気となった外気は、領域8aから、第2の風路切換ダンパ15により領域15cが閉塞されているため、開口部15aより第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9aへ流入するとともに、第3層8、第2の風路切換ダンパ15の開口部15a、および第4層9に跨って設置された第1の排気口18より、吸着出口空気22として流出し、第1の送風手段3を経由して室外へ排気される。
【0030】
一方、第3層8、第2の風路切換ダンパ15の開口部15d、および第4層9に跨って設置された第2の吸気口17より、再生入口空気21として吸い込まれた外気は、第4層9では第4の風路仕切板13によって仕切られているため領域9bに、第2の風路切換ダンパ15では領域15cが閉塞しているため開口部15dに流入し、それらが第3の風路仕切板12によって仕切られている第3層8の領域8bに集約される。このとき、領域9bには加熱手段5が設置されているため、領域8bに集約される外気は昇温されて高温低湿空気となる。第3層8と同様に、第2層7は第2の風路仕切板11によって半円に仕切られており、またそれら2層に挟まれている水分吸着手段2も同様に半円に分割されているため、領域8bに集約された高温低湿空気は、領域2b、7bの順で上方向に流れ、領域2b通過時にダンパ位置<A>のときに吸着された外気中の水分が再生されて高湿空気となる。高湿空気となった外気は、領域7bから、第1の風路切換ダンパ14により領域14dが閉塞されているため、開口部14bより第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6aへ流入するとともに、第1層6、第1の風路切換ダンパ14の開口部14b、および第2層7に跨って設置された第2の排気口19より再生出口空気23として流出し、第2の送風手段4を経由して室内へ搬送されて、室内を加湿する。
【0031】
このように、第1の吸気口16および第2の排気口19を、第1層6および第2層7に跨って設置し、第2の吸気口17および第1の排気口18を、第3層8および第4層9に跨って設置して、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15とともに回転させ風路を切り換えることにより、実施の形態1と同様の効果が得られるだけでなく、風路への空気の出入口が大きいために、風路圧損が小さく送風手段を小型化でき、また水分吸着手段2における風速分布が均一化され、水分吸着手段2の全体に担持された吸着剤を有効に使用することができるという効果がある。
【0032】
また、実施の形態1と同様に、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15は、同一方向に90°の回転角で連続回転させて風路を切り換えても、90°の回転角で正逆回転を繰り返してもよい。同一方向の場合は、ダンパに中心軸を設置して軸を回転させても、外周部分にギア等を設置して回転させてもモータは1つで回転可能であり、コストを削減できる。正逆回転の場合は、例えば図4に示すように、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15において、扇形平板の両端側半径部分全体に、それぞれ第2の風路仕切板11および第3の風路仕切板12に当接する突起141、151を設けることができる。これにより、第1の風路切換ダンパ14では第2の風路仕切板11が、第2の風路切換ダンパ15では第3の風路仕切板12がストッパーとなるため、回転誤差が発生しないとともに、突起部分と仕切板がより広い面積で密着するため、空気漏洩を防ぐことが可能となる。なお図4では、突起部分は水分吸着手段2側に向かって設置されているが、水分吸着手段2の反対側に向かって設置し、第1の風路切換ダンパ14は第1の風路仕切板10と、第2の風路切換ダンパ15は第4の風路仕切板13と当接させ密着させてもよい。
【0033】
図6では、第1の吸気口16、第2の吸気口17、第1の排気口18、第2の排気口19と、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15を、連動して90°回転させて風路を切り換えているが、図7に示すように、第1の風路切換ダンパ14は第1の風路仕切板10および第2の風路仕切板11に、第2の風路切換ダンパ15は第3の風路仕切板12および第4の風路仕切板13にそれぞれ固定して設置し、第1の吸気口16、第2の吸気口17、第1の排気口18、第2の排気口19を、同一方向に180°連続回転させて風路を切り換えても、角度180°の正逆回転を繰り返してもよい。この場合、風路内部の仕切板とダンパが完全に密着されるので、ダンパに図4のような突起などを設けることなく空気漏洩を防ぐことが可能となる。
【0034】
また図6、7では、水分吸着手段2における吸着工程と再生工程の空気の流れ方向が対向となるように、第1の吸気口16および第2の排気口19を第1層6と第2層7に跨って設置し、第2の吸気口17および第1の排気口18を第3層8と第4層9に跨って設置しているが、同じ対向流であって、第1層6と第2層7、第3層8と第4層9の上下位置を逆転させてもよい。この場合、加熱手段5が最上層に配置されるため、仮に水分吸着手段2に担持されている吸着剤の粉落ちが発生しても、加熱手段5に到達する可能性が低くなり、安全性を高めることができる。また、例えば図6、7のダンパ位置<A>において、第1層6の領域6a、第1の風路切換ダンパ14の開口部14a、第2層7の領域7aに第2の吸気口17を、第1層6の領域6aに加熱手段5を、第3層8の領域8a、第2の風路切換ダンパ15の開口部15c、第4層9の領域9bに第2の排気口19を設置し、水分吸着手段2における吸着工程と再生工程が並行流で行われるようにしてもよい。この場合、2つの吸込口が上層(第1層6〜第2層7)、2つの吹出口が下層(第3層8〜第4層9)というように、それぞれ同じ層に位置することになるので、送風手段を上層に設置し、第1の吸気口16および第2の吸気口17双方に押し込む構成が可能となり、1つの送風手段で加湿空気を連続的に生成することができる。
【0035】
以上のように、吸込口、吹出口を2層に跨って設置し、2つの回転型ダンパとともに回転させて風路を切り換えるという簡単な動作により、密閉性が高く空気漏洩および圧損の小さい風路を実現でき、室内へ連続的に加湿空気を供給する加湿装置を得ることができる。このとき、水分吸着手段における風速分布が均一化され、水分吸着手段2の全体に担持された吸着剤を有効に使用することができるだけでなく、吸着工程と再生工程が対向流となるため、水分の吸着、再生を効率的に行うことができ、高効率な加湿装置となる。また、吸着風路と再生風路が切り換わり、特定の風路が冷却されることがないため、加湿装置内部において結露を発生しにくいという効果も得られる。
【0036】
実施の形態3.
図8は、本発明の実施の形態に係る加湿装置の概略構成図である。
加湿装置である加湿ユニット1は、その内部に、基本的な構成要素として、水分吸着手段2と、第1の送風手段3、第2の送風手段4、および加熱手段5とが配置された構成となっている。水分吸着手段2は、直方体形状で風路内に固定して設置されており、また水分吸着手段2に担持させる吸着剤として、たとえばゼオライト、シリカゲル、活性炭等からなる多孔質基材に塗布あるいは表面処理あるいは含浸されたものであり、通気性を有する構成となっている。
【0037】
図9は、水分吸着手段2を通る風路の構成を示す詳細図であり、図8を上から見て、奥側を上にして順に並べたものであり、各部品を分解してわかりやすく示してあるが、実際には隣り合う部品は密着されている。
水分吸着手段2を通る風路は、水分吸着手段2を挟んで奥側と手前側に2層ずつ風路分割手段が配置された構造である。すなわち、この例では、奥側2層(第1層6、第2層7)、手前側2層(第3層8、第4層9)の計4層の構造になっている。ここで、第1層6は第1の風路分割手段70、第2層7は第2の風路分割手段71、第3層8は第3の風路分割手段72、第4層9は第4の風路分割手段73を構成するものである。以下においては、第1から第4の風路分割手段70〜73を、それぞれ第1層6、第2層7、第3層8、第4層9として説明する。
【0038】
第1層6は第1の風路仕切板10、第2層7は第2の風路仕切板11、第3層8は第3の風路仕切板12、第4層9は第4の風路仕切板13を有し、第1から第4の風路仕切板10〜13によって、それぞれ風路が2分割されている。このとき、第2の風路仕切板11および第3の風路仕切板12は平行に配置されており、それぞれ水分吸着手段2の表面に密着して設置されている。一方、水分吸着手段2から離れた位置に配置される第1層6の第1の風路仕切板10および第4層9の第4の風路仕切板13は、第2の風路仕切板11および第3の風路仕切板12に対してそれぞれ垂直に設置されている。したがって、第2層7、水分吸着手段2、第3層8は同方向に風路が2分割され、第1層6および第4層9はこれらに対して垂直方向に風路が2分割されていることになる。つまり、風路は方形断面を4分割されることになる。
【0039】
また、第1層6と第2層7との間には、第1の4風路仕切板24と、第1の風路切換ダンパ14(第1の風路切換手段)が設置されている。同様に、第3層8と第4層9との間には、第2の4風路仕切板25と、第2の風路切換ダンパ15(第2の風路切換手段)が設置されている。ここで、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15は、それぞれL字型の板で構成されており、対角状に設けられた1対のダンパと1対の開口部とを有し、かつ、第1の風路切換ダンパ14と第2の風路切換ダンパ15とは90゜異なる角度で対角方向に設置されている。すなわち、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15は、それぞれ第2層7の第2の風路仕切板11および第3層8の第3の風路仕切板12と一体に構成されており、図示のように、2つのL字型の板がL字の角部にて対角方向に接続され、その一辺の板が第2の風路仕切板11および第3の風路仕切板12を形成するように直線状に連続した形態であり、90°の角度差で隣り合って設置されている。これにより、L字型の一辺の板が第1の風路仕切板11および第2の風路仕切板12の役割をも兼ねている。別言すれば、第1の風路切換ダンパ14は、方形の2つの象限、例えば第1象限と第3象限をL型板が閉鎖する(占める)ように中心にて接続され、風路を2分割する仕切板を有する形態であり、これに対して、第2の風路切換ダンパ15は、第2象限と第4象限をL型板が閉鎖する(占める)ように中心にて接続され、風路を2分割する仕切板を有する形態である。これにより、第1の風路仕切板10、第1の4風路仕切板24および第2の風路仕切板11によって形成される、奥側風路の4領域のうち、対角2領域を第1の風路切換ダンパ14が閉塞し、第3の風路仕切板12、第2の4風路仕切板25および第4の風路仕切板13によって形成される、手前側風路の4領域のうち、奥側とは90°異なる対角2領域を第2の風路切換ダンパ15が閉塞することになる。また第1層6において、第1の風路仕切板10によって分割された2風路のうち、一方には第2の送風手段4および第2の排気口19が、もう一方の第1の送風手段3と連通する風路側には第1の吸気口16が設置され、同様に第4層9において、第4の風路仕切板13によって分割された2風路のうち、一方には第1の送風手段3および第1の排気口18が、もう一方の第2の送風手段4と連通する風路側には、加熱手段5および第2の吸気口17が設置されている。
【0040】
次に動作の一例について説明する。説明のために示した図10は、図9に示した各部品の平面図であり、図8の断面図を、奥側を上にして順に並べたものに相当する。図10中左側のダンパ位置<A>が図9のダンパ位置と同じである。ダンパ位置<A>のとき、吸着入口空気20として、第1の吸気口16より吸い込まれた外気は、第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6aに入り、第1の風路切換ダンパ14により領域14cが閉塞されているため、第1の4風路仕切板24が設置されている領域24aを経由して、開口部14aより第2層7へ流入する。第2層7は第2の風路仕切板11により、第3層8は第3の風路仕切板12によって上下半分に仕切られており、またそれら2層に挟まれている水分吸着手段2も同様に上下半分に分割されているため、開口部14aから流入した外気は、領域7a、2a、8aの順で手前側(図10の下方向)へと流れ、領域2a通過時に外気中の水分を吸着されて乾燥空気となる。乾燥空気となった外気は、第2の風路切換ダンパ15により領域15aが閉塞されているため、開口部15bより、第2の4風路仕切板25が設置されている領域25bを経由して、第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9bへ流入し、その後第1の送風手段3により、第1の排気口18から吸着出口空気22として室外へ排気される。
【0041】
一方、再生入口空気21として、第2の吸気口17より吸い込まれた外気は、第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9aへ流入し、加熱手段5によって昇温されて高温低湿空気となったのち、第2の風路切換ダンパ15により領域15aが閉塞されているため、第2の4風路仕切板25が設置されている領域25cを経由して、開口部15cより第3層8へ流入する。第3層8は第3の風路仕切板12により、第2層7は第2の風路仕切板11によって上下半分に仕切られており、またそれら2層に挟まれている水分吸着手段2も同様に上下半分に分割されているため、開口部15cから流入した高温低湿空気は、領域8b、2b、7bの順で奥側(図10の上方向)へと流れ、領域2b通過時に吸着されている水分が再生されて高湿空気となる。高湿空気となった外気は、第1の風路切換ダンパ14により領域14cが閉塞されているため、開口部14dより、第1の4風路仕切板24が設置されている領域24dを経由して、第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6bへ流入し、その後第2の送風手段4により、第2の排気口19から再生出口空気23として流出し、室内へ搬送されて、室内を加湿する。
【0042】
次に、水分吸着手段2の領域2aにおける吸着工程、領域2bにおける再生工程が完了する程度の時間が経過した後、図10に示すダンパ位置を<A>から<B>へと切り換える。このとき、吸着入口空気20として、第1の吸気口16より吸い込まれた外気は、第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6aに入り、第1の風路切換ダンパ14により領域14aが閉塞されているため、第1の4風路仕切板24が設置されている領域24cを経由して、開口部14cより第2層7へ流入する。第2層7は第2の風路仕切板11により、第3層8は第3の風路仕切板12によって上下半分に仕切られており、またそれら2層に挟まれている水分吸着手段2も同様に上下半分に分割されているため、開口部14cから流入した外気は、領域7b、2b、8bの順で手前側(図10の下方向)へと流れ、領域2bがダンパ位置<A>のときに水分を再生され乾燥しているため、領域2b通過時に外気中の水分を吸着されて乾燥空気となる。乾燥空気となった外気は、第2の風路切換ダンパ15により領域15cが閉塞されているため、開口部15dより、第2の4風路仕切板25が設置されている領域25dを経由して、第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9bへ流入し、その後第1の送風手段3により、第1の排気口18から吸着出口空気22として室外へ排気される。
【0043】
一方、再生入口空気21として、第2の吸気口17より吸い込まれた外気は、第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9aへ流入し、加熱手段5によって昇温されて高温低湿空気となったのち、第2の風路切換ダンパ15により領域15cが閉塞されているため、第2の4風路仕切板25が設置されている領域25aを経由して、開口部15aより第3層8へ流入する。第3層8は第3の風路仕切板12により、第2層7は第2の風路仕切板11によって上下半分に仕切られており、またそれら2層に挟まれている水分吸着手段2も同様に上下半分に分割されているため、開口部15aから流入した高温低湿空気は、領域8a、2a、7aの順で奥側(図10の上方向)へと流れ、領域2a通過時にダンパ位置<A>のときに吸着された水分が再生されて高湿空気となる。高湿空気となった外気は、第1の風路切換ダンパ14により領域14aが閉塞されているため、開口部14bより、第1の4風路仕切板24が設置されている領域24bを経由して、第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6bへ流入し、その後第2の送風手段4により、第2の排気口19から再生出口空気23として流出し、室内へ搬送されて、室内を加湿する。
【0044】
このように、水分吸着手段2を直方体形状とし、また第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15をL字型形状とすることにより、実施の形態1と同様の効果が得られるだけでなく、全ての部品が直線で構成されるため、製造コストを削減できるという効果がある。さらに第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15のL字部分の一辺が、第2の風路仕切板11および第3の風路仕切板12の役割を兼ねているため、部品点数が減少し材料コストを削減できる。また90°の回転角で正転、反転を繰り返すという簡単な動作で風路を切り換えることができるので、L字の端面に、例えばウレタンなどの柔軟性に優れた材料を付加しておけば、その付加材料が風路と密着して、切換動作のストッパーとなり運転誤差が発生しないとともに、空気漏洩を最小限に抑えることが可能となる。
【0045】
また、第1層6と第2層7、および第3層8と第4層9の厚みについては、空気の吸込口や吹出口が設置されている第1層6や第4層9のほうを厚くしても、水分吸着手段2に近接している第2層7や第3層8のほうを厚くしてもどちらでもよい。第1層6や第4層9を厚くした場合には、空気の出入りのある層が大きくなり、風路圧損が小さくなるため送風手段を小型化でき、一方、第2層7や第3層8を厚くした場合には、水分吸着手段2全体に空気が流れやすくなるため、風速分布が均一化され、水分吸着手段2の全体に担持された吸着剤を有効に使用することができるという効果がある。
【0046】
図8〜10では、送風手段を水分吸着手段2の風下側に設置し、第1の送風手段3により第1の排気口18から乾燥空気を、第2の送風手段4により第2の排気口19から加湿空気を吸い出す構成となっているが、水分吸着手段2の風上側に設置して、第1の送風手段3は第1の吸気口16に、第2の送風手段4は第2の吸気口17にそれぞれ外気を押し込む構成としてもよい。風下側から吸い出す場合には、風路圧損が小さくなるため送風手段を小型化でき、風上側から押し込む場合には、水分吸着手段2における風速分布が均一化され、水分吸着手段2の全体に担持された吸着剤を有効に使用することができるという効果がある。
【0047】
また図8〜10では、水分吸着手段2における吸着工程と再生工程の空気の流れ方向が対向となるように、第1層6の領域6aに第1の吸気口16を、領域6bに第2の排気口19および第2の送風手段4を、第4層9の領域9aに第2の吸気口17および加熱手段5を、領域9bに第1の排気口18および第1の送風手段3を設置しているが、例えば第1層6の領域6bに第2の吸気口17および加熱手段5を、第4層9の領域9aに第2の排気口19を設置し、水分吸着手段2における吸着工程と再生工程が並行流で行われるようにしてもよい。この場合、2つの吸込口が第1層6、2つの吹出口が第4層9というように、それぞれ同じ層に位置することになるので、送風手段を第1層6に設置し、第1の吸気口16および第2の吸気口17双方に押し込む構成が可能となり、1つの送風手段で加湿空気を連続的に生成することができる。
【0048】
以上のように、水分吸着手段を直方体形状とし、風路切換ダンパをL字型形状とすることにより、全ての部品が直線で構成され、またダンパが風路仕切板の役割を兼ねるため、密閉性が高く空気漏洩の小さい風路にて、室内へ連続的に加湿空気を供給する、低コストの加湿装置を得ることができる。このとき、吸着剤を担持された水分吸着手段における吸着工程と再生工程が対向流となるため、水分の吸着、再生を効率的に行うことができ、高効率な加湿装置となる。また、吸着風路と再生風路が切り換わり、特定の風路が冷却されることがないため、加湿装置内部において結露を発生しにくいという効果も得られる。
【0049】
実施の形態4.
図11は、本発明の実施の形態4に係る加湿機能を有する空気調和機における室外側の概略構成図であり、実施の形態1で説明した加湿ユニット1を、空気調和機の室外機26の上部に一体化して設置したものである。室外機26の内部には、周知のとおり、圧縮機27、室外機熱交換器28、室外機送風機29、および膨張弁30などが設置され、図示しない室内機の熱交換器と接続されて、ヒートポンプサイクルを形成している。加湿ユニット1については、実施の形態1と同一であるため説明を省略する。
【0050】
次に動作の一例について説明する。動作についても、加湿ユニット1内部については、実施の形態1と同一であるため説明を省略する。ヒートポンプサイクルが暖房運転を行っているとき、実施の形態1にて説明したように、図3のダンパ位置<A>および<B>となるように、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15を繰り返し切り換えることにより、乾燥空気である吸着出口空気22、および高温高湿空気である再生出口空気23が、連続的に加湿ユニット1から排出される。このとき、加湿ユニット1を室外機26の上部に一体化して設置しているので、吸着出口空気22は室外機熱交換器28の空気吸込口付近に排気されることになる。一方、再生出口空気23は、室内と室外を接続するダクトなどを経由して、第2の送風手段4により室内へと搬送され、室内機から排出される高温空気とともに室内へ供給され、室内を暖房加湿する。
【0051】
このように、加湿ユニット1を空気調和機の室外機26の上部に一体化して設置することにより、新たに加湿ユニット1を設置するための床スペースを確保することなく、加湿機能を有する空気調和機を得ることができる。また、ヒートポンプサイクルの暖房運転と同時に、連続的に加湿空気を室内に供給することが可能となるため、暖房時の乾燥を防ぐことができるという効果が得られる。また、乾燥空気であり、かつ吸着熱により外気よりも若干温度が上昇した吸着出口空気22が、ヒートポンプサイクルの暖房運転時に蒸発器である室外機熱交換器28に吸い込まれることになるので、室外機熱交換器28における着霜を抑制し、暖房運転効率を向上させるという効果も期待できる。
【0052】
図11では、加湿ユニット1を空気調和機の室外機26の上部に一体化して設置しているが、室外機送風機29の送風を阻害しない位置であれば、室外機26の側面、あるいは底面に一体化して設置してもよい。どちらの場合でも、再生出口空気23を室内に、吸着出口空気22を室外機熱交換器28の空気吸込口付近に導くことが可能であり、底面に設置した場合は設置床スペースも変わらないため、加湿ユニット1を上部に一体化して設置した場合と同様の効果が得られる。
【0053】
また図11では、吸着出口空気22の排気専用として、第1の送風手段3を設置しているが、加湿ユニット1を空気調和機の室外機26に一体化して設置しているので、図3において、第1の排気口18を第4層9の領域9a下面に設置して、室外機26の上面に連通口を設けることにより、第1の送風手段3として室外機送風機29を兼用してもよい。この場合、加湿ユニット1に設置する送風機は第2の送風手段4だけでよいので、送風機の数を削減でき低コストとなる。
【0054】
また図11では、実施の形態1で説明した加湿ユニット1を、空気調和機の室外機26に一体化して設置しているが、吸込口(吸気口)、吹出口(排気口)を2層に跨って設置し、2つの回転型ダンパとともに回転させて風路を切り換える実施の形態2や、水分吸着手段2を直方体形状とし、風路切換ダンパをL字型形状とした実施の形態3で説明した加湿ユニット1を設置してもよい。どちらの場合でも、再生出口空気23を室内に、吸着出口空気22を室外機熱交換器28の空気吸込口付近に導くことが可能であるため、実施の形態1で説明した加湿ユニット1を設置した場合と同様の効果が得られる。
【0055】
以上のように、加湿ユニットを空気調和機の室外機に一体化して設置して、ヒートポンプサイクルの暖房運転と同時に加湿運転させることにより、省スペースで、暖房時の乾燥を防ぐことが可能な加湿機能を有する空気調和機を得ることができる。このとき、水分吸着手段において吸着除湿され、吸着熱により外気よりも若干温度が上昇した空気が、蒸発器である室外機熱交換器に吸い込まれることになるため、室外機熱交換器における着霜を抑制し、暖房運転効率を向上させるという効果も期待できる。
【0056】
実施の形態5.
図12は、本発明の実施の形態5に係る加湿機能を有する空気調和機における加湿装置の概略設置図であり、実施の形態1で説明した加湿ユニット1を、建物の外壁31に設置したものである。空気調和機のヒートポンプサイクルにおける各部品については図示していないが、室外機と室内機を接続する冷媒配管は壁穴32を介して設置され、また加湿ユニット1の、第1の排気口18と連通する室外排気口33は室外に開放され、第2の排気口19と連通する室内接続口34は、壁穴32と対面し密着されている。加湿ユニット1については、実施の形態1と同一であるため説明を省略する。
【0057】
次に動作の一例について説明する。動作についても、加湿ユニット1内部については、実施の形態1と同一であるため説明を省略する。ヒートポンプサイクルが暖房運転を行っているとき、実施の形態1にて説明したように、図3のダンパ位置<A>および<B>となるように、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15を繰り返し切り換えることにより、乾燥空気である吸着出口空気22、および高温高湿空気である再生出口空気23が、連続的に加湿ユニット1から排出される。このとき、加湿ユニット1を建物の外壁31に直接設置し、室内接続口34が壁穴32と密着しているので、再生出口空気23は、ダクトなどを経由せずに、第2の送風手段4により最短距離で室内へと搬送され、室内機から排出される高温空気とともに室内へ供給され、室内を暖房加湿する。
【0058】
このように、加湿ユニット1を建物の外壁31に直接設置して、室内接続口34を壁穴32と密着させることにより、再生出口空気23を室内へ搬送するためのダクトが不要となり、低コスト化が図れるだけでなく、搬送距離が最短となるため、風路圧損および騒音が小さくなり、第2の送風手段4を小型化することも可能となり、信頼性が高くコンパクトな加湿機能を有する空気調和機を得ることができる。また、高湿である再生出口空気23をダクトで搬送する場合、特に冬場ではダクトが外気により冷却されるため、内部で結露する危険性が高いが、ダクトが不要であるために、加湿ユニット1で生成した加湿空気を、ロスなく有効に室内に供給することが可能となる。また、ヒートポンプサイクルの暖房運転と同時に、連続的に加湿空気を室内に供給することが可能となるため、暖房時の乾燥を防ぐことができるという効果が得られる。
【0059】
図12では、室外排気口33を加湿ユニット1の側面に設置し、吸着出口空気22を外気に開放しているが、室外排気口33から空気調和機の室外機熱交換器の空気吸込口付近へと導くような風路を設け、吸着出口空気22を室外機に吸い込ませてもよい。この場合、吸着出口空気22は乾燥し、かつ吸着熱により外気よりも若干温度が上昇しているため、暖房運転時に蒸発器である室外機熱交換器における着霜を抑制し、暖房運転効率を向上させるという効果も期待できる。
【0060】
また図12では、実施の形態1で説明した加湿ユニット1を、建物の外壁31に設置しているが、吸込口(第1の吸気口および第2の吸気口)、吹出口(第1の排気口および第2の排気口)を2層に跨って設置し、2つの回転型ダンパとともに回転させて風路を切り換える実施の形態2や、水分吸着手段2を直方体形状とし、風路切換ダンパをL字型形状とした実施の形態3で説明した加湿ユニット1を設置してもよい。どちらの場合でも、室内接続口34を壁穴32と密着させ、再生出口空気23を最短距離で室内に供給すれば、実施の形態1で説明した加湿ユニット1を設置した場合と同様の効果が得られる。
【0061】
以上のように、加湿ユニットを建物の外壁に直接設置して、ヒートポンプサイクルの暖房運転と同時に、壁穴から加湿空気を最短距離で室内に供給することにより、低コストで、暖房時の乾燥を防ぐことのできる、高効率加湿機能を有する空気調和機を得ることが可能となる。このとき、加湿空気を室外から室内へ搬送するためのダクトが不要であるため、風路圧損が小さく送風手段を小型化できるだけでなく、ダクト騒音やダクト内結露などの問題も回避することも可能となり、信頼性を確保できるという効果も得られる。
【0062】
実施の形態6.
図13は、本発明の実施の形態6に係る加湿機能を有する空気調和機における加湿装置の概略設置図であり、実施の形態1で説明した加湿ユニット1を、建物の内壁35に設置したものである。空気調和機のヒートポンプサイクルにおける各部品については図示していないが、室外機と室内機を接続する冷媒配管は壁穴32を介して設置され、また加湿ユニット1の、第1の排気口18と連通する室外排気口33は、壁穴32と対面し密着されており、第2の排気口19と連通する室内接続口34は室内に開放されている。加湿ユニット1については、実施の形態1と同一であるため説明を省略する。
【0063】
次に動作の一例について説明する。動作についても、加湿ユニット1内部については、基本的に実施の形態1と同一であるため説明を省略するが、第1の吸気口16から吸い込まれる吸着入口空気20、および第2の吸気口17から吸い込まれる再生入口空気21は、外気ではなく室内空気となる。ヒートポンプサイクルが暖房運転を行っているとき、実施の形態1にて説明したように、図3のダンパ位置<A>および<B>となるように、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15を繰り返し切り換えることにより、乾燥空気である吸着出口空気22、および高温高湿空気である再生出口空気23が、連続的に加湿ユニット1から排出される。このとき、加湿ユニット1を建物の内壁35に直接設置し、室内接続口34は室内に開放されているので、再生出口空気23は、ダクトなどを経由せずに、第2の送風手段4により直接室内へ供給され、室内機から排出される高温空気とともに室内を暖房加湿する。
【0064】
このように、加湿ユニット1を建物の内壁35に直接設置して、室内接続口34を室内に開放することにより、実施の形態5と同様に、再生出口空気23を室内へ搬送するためのダクトが不要となり、低コストで、第2の送風手段4を小型化することによりコンパクトな加湿機能を有する空気調和機を得ることができるだけでなく、ダクト騒音やダクト内結露などの問題を回避することも可能となり、信頼性を確保できる効果が得られる。また、吸着入口空気20として室内空気を使用するので、加湿ユニット1の内部に室温以下の空気が流れることはなく、吸着風路を外気が流れる場合よりも、ユニット内部において結露が発生する問題を解決することができるという効果が得られる。さらに、再生入口空気21として暖房された室内空気を使用するので、水分吸着手段2において水分の再生に必要な空気温度を得るために、加熱手段5にて昇温に必要な熱量が軽減されるという省エネルギ効果も得られる。また、ヒートポンプサイクルの暖房運転と同時に、連続的に加湿空気を室内に供給することが可能となるため、暖房時の乾燥を防ぐことができるという効果が得られる。
【0065】
図13では、第1の吸気口16を室内に開放し、吸着入口空気20として暖房された室内空気を吸い込ませているが、例えば、壁穴32を2分割して一方を第1の吸気口16と接続し、あるいは別の壁穴を設けて第1の吸気口16と接続することにより、吸着入口空気20として外気を吸い込ませてもよい。この場合、水分吸着手段2に担持された吸着剤は、相対湿度の高い外気中の水分を吸着することになるので、吸着剤が吸着できる水分量が増加し、室内空気を吸着させるよりも室内に供給される加湿量としては増加するという効果が得られる。
【0066】
また図13では、実施の形態1で説明した加湿ユニット1を、建物の内壁35に設置しているが、吸込口、吹出口を2層に跨って設置し、2つの回転型ダンパとともに回転させて風路を切り換える実施の形態2や、水分吸着手段2を直方体形状とし、風路切換ダンパをL字型形状とした実施の形態3で説明した加湿ユニット1を設置してもよい。どちらの場合でも、室内接続口34を室内に開放し、再生出口空気23を直接室内に供給すれば、実施の形態1で説明した加湿ユニット1を設置した場合と同様の効果が得られる。
【0067】
以上のように、加湿ユニットを建物の内壁に直接設置して、ヒートポンプサイクルの暖房運転と同時に、加湿空気を直接室内に供給することにより、低コストでコンパクトな、暖房時の乾燥を防ぐことのできる加湿機能を有する空気調和機を得ることができるだけでなく、ダクト騒音やダクト内結露などの問題を回避することも可能となり、信頼性を確保できる効果が得られる。このとき、吸着入口空気および再生入口空気として、暖房された室内空気を使用するので、加湿ユニット内部における結露を回避でき、また、再生空気生成に必要な加熱手段における投入熱量を軽減できるという省エネルギ効果も得られる。
【0068】
実施の形態7.
図14は、本発明の実施の形態7に係る水分吸着手段に担持される各種吸着剤の等温吸着線の概念図であり、36は一般的なゼオライト、37は1.5〜2.5nm(ナノメートル)程度の細孔が多数設けられた多孔質ケイ素材料である第1の吸着剤、38は0.7nm程度の細孔が多数設けられたゼオライト系材料である第2の吸着剤の等温吸着線を示す。図14において、横軸は対象空気の相対湿度、縦軸は水分の平衡吸着量である。図14において、一般的なゼオライトの等温吸着線36に示されているように、空気の相対湿度が第0の相対湿度39(Φ0)以下の範囲における相対湿度に対する水分の平衡吸着量の変化率である傾斜が、第0の相対湿度39を超える範囲における傾斜よりも大きく、第0の相対湿度39は一般的に10%未満である。また第1の吸着剤の等温吸着線37に示されているように、本実施の形態で用いる第1の吸着剤は、空気の相対湿度が第0の相対湿度39より大きい第1の相対湿度40(Φ1)から第2の相対湿度41(Φ2)の範囲における相対湿度に対する水分の平衡吸着量の変化率である傾斜が、第1の相対湿度40未満または第2の相対湿度41を超える範囲における傾斜よりも大きい。なお、第1の吸着剤である多孔質ケイ素材料の細孔径を増加または減少することにより、第1の相対湿度40および第2の相対湿度41を30%から60%の範囲で増加または減少することができ、このとき、第1の相対湿度における平衡吸着量44(q1)は、第0の相対湿度における平衡吸着量43(q0)より小さく、かつ第2の相対湿度における平衡吸着量45(q2)は、第0の相対湿度における平衡吸着量43(q0)より大きい。
【0069】
同様に、第2の吸着剤の等温吸着線38に示されているように、本実施の形態で用いる第2の吸着剤は、空気の相対湿度が第3の相対湿度42(Φ3)以下の範囲における相対湿度に対する水分の平衡吸着量の変化率である傾斜が、第3の相対湿度42を超える範囲における傾斜よりも大きい。このとき、第3の相対湿度42は第0の相対湿度39より大きく、かつ第1の相対湿度40より小さい値であり、また第3の相対湿度における平衡吸着量46(q3)は、第0の相対湿度における平衡吸着量43(q0)より大きい。
【0070】
また図15は、図14と同様に水分吸着手段に担持される、シリカゲルとゼオライトを混合し、それらの配合比を変化させた吸着剤の等温吸着線の概念図であり、47はシリカゲル100%、48はゼオライト100%、49はゼオライトとシリカゲルを混合し、ゼオライトの配合比を多くして合成した第3の吸着剤の等温吸着線を示す。図15において、横軸は対象空気の相対湿度、縦軸は水分の平衡吸着量である。シリカゲル100%の等温吸着線47とゼオライト100%の等温吸着線48は、一般的に60%程度である第4の相対湿度50(Φ4)で重なり、第3の吸着剤の等温吸着線49に示されているように、第3の吸着剤の平衡吸着量は、第4の相対湿度50より低い相対湿度範囲ではシリカゲル100%より多くなり、第4の相対湿度50より高い相対湿度範囲ではゼオライト100%より多くなる。
【0071】
また図16は、本実施の形態におけるゼオライトの各終端カチオン種による吸着エネルギ分布の解析結果を示す概略図で、(a)は終端カチオンがNa(ナトリウム)、(b)は終端カチオンがK(カリウム)のときの分布である。図16において、横軸は吸着エネルギ、縦軸は吸着水分量の積算値であり、各吸着エネルギで吸着している水分量を吸着エネルギの小さい方から積算して示している。図中の各線は、それぞれ51はSiO2/Al2O3小(≒2.5)、52はSiO2/Al2O3中(≒3.5)、53はSiO2/Al2O3大(≒5.0)における分布であり、SiO2/Al2O3が小さい方が、低い吸着エネルギでより多くの水分が吸着していることを示している。なお、SiO2/Al2O3は、SiO2のモル分率とAl2O3のモル分率との比率をあらわしている。
【0072】
次に動作の一例について説明する。図14に示されるような等温吸着線を有する吸着剤を、実施の形態4で説明した、図11の水分吸着手段2に担持した場合を想定して説明する。加湿ユニット1内部の動作については、実施の形態1と同一であるため詳細な説明は省略する。
加湿ユニット1の運転は、一般的に冬場の暖房時に室内が乾燥した際に必要となるため、室外空気は低温となる(例えば、暖房標準条件では7℃/87%RH)。ヒートポンプサイクルが暖房運転を行っているとき、実施の形態1にて説明したように、図3のダンパ位置<A>および<B>となるように、第1の風路切換ダンパ14および第2の風路切換ダンパ15を繰り返し切り換えることにより、乾燥空気である吸着出口空気22、および高温高湿空気である再生出口空気23が、連続的に加湿ユニット1から排出される。このとき、加湿ユニット1を室外機26の上部に一体化して設置しているので、吸着出口空気22は室外機熱交換器28の空気吸込口付近に排気されることになる。一方の再生出口空気23は、室内と室外を接続するダクトなどを経由して、第2の送風手段4により室内へと搬送され、室内機から排出される高温空気とともに室内へ供給され、室内を暖房加湿する。
【0073】
このとき、水分吸着手段2に等温吸着線37を有する第1の吸着剤を担持した場合、吸着工程となるダンパ位置<A>のときの領域2b、およびダンパ位置<B>のときの領域2aにおいて、入口空気の相対湿度87%からΦ2(41)の範囲にて、平衡吸着量q2(45)まで吸着するので、平衡吸着量q0(43)しか吸着しない一般的なゼオライト(等温吸着線36)と比較すると、大幅に吸着量が増加する。一方、再生工程となるダンパ位置<A>のときの領域2a、およびダンパ位置<B>のときの領域2bにおいては、再生入口空気の相対湿度をΦ1(40)以下にすれば充分再生できるので、Φ1(40)が40%程度になるように第1の吸着剤である多孔質ケイ素材料の細孔径を調整することにより、低温再生、例えば加熱手段5により20℃程度まで昇温した空気を再生空気として使用すれば、q2−q1という大きな吸着量差に応じた加湿量を得ることができ、また加熱手段5にて昇温に必要な熱量が軽減されるという省エネルギ効果も得られる。同様に、水分吸着手段2に等温吸着線38を有する第2の吸着剤を担持した場合、吸着工程となるダンパ位置<A>のときの領域2b、およびダンパ位置<B>のときの領域2aにおいて、相対湿度87%からΦ3(42)の広範囲にて、平衡吸着量q3(46)まで吸着するので、平衡吸着量q0(43)程度しか吸着しない一般的なゼオライトと比較すると、大幅に吸着量が増加する。一方、再生工程となるダンパ位置<A>のときの領域2a、およびダンパ位置<B>のときの領域2bにおいては、再生入口空気の相対湿度をΦ3(42)以下にすれば充分再生できるので、Φ0(39)以下まで再生温度を上げなければならない一般的なゼオライトに比べ低温で再生が可能となるため省エネルギ効果が得られ、かつq3−q0の吸着量差に応じて加湿量を増加させることができる。
【0074】
また、水分吸着手段2に、図15に示した等温吸着線49を有する第3の吸着剤を担持した場合、シリカゲルとゼオライト双方の吸着特性が活かされる。吸着剤の一般的な性質として、シリカゲルは等温吸着線47に示されるように高湿度において吸着量が多く、ゼオライトは等温吸着線48に示されるように広い湿度範囲でほぼ一定の吸着量を有し、かつ吸着、再生の反応速度が速いという特性を持っている。従って、吸着工程となるダンパ位置<A>のときの領域2b、およびダンパ位置<B>のときの領域2aにおいては、入口空気の相対湿度からΦ4(50)の範囲にて、シリカゲルの吸着特性によりゼオライトよりも吸着量が多くなり、Φ4(50)より低い相対湿度範囲ではゼオライトの吸着特性によりシリカゲルほど吸着量が低下せず、より広い湿度範囲への対応が可能となる。一方、再生工程となるダンパ位置<A>のときの領域2a、およびダンパ位置<B>のときの領域2bにおいては、シリカゲルの吸着特性によりゼオライトよりも吸着量が少なくなるため、ゼオライトよりも低温での再生が可能となり、省エネルギ効果が得られる。ここで、用途に応じてゼオライトとシリカゲルを合成する配合比を変えることが可能であり、例えばゼオライトとシリカゲルの配合比を8:2、あるいは7:3程度にすることにより、吸着、再生の速度が2割程度向上し、より高い加湿性能を確保することができる。
【0075】
また、図16の吸着エネルギ分布は、図中左側の吸着エネルギの小さい方から吸着量を積算したものであるが、(a)の終端カチオンがNaのときは、水分の吸着している吸着エネルギが40kcal/mol以上までの広い範囲にわたっているのに対し、(b)の終端カチオンがKのときには、20kcal/mol以下の範囲でしか吸着していない。これは水分子がゼオライトへ吸着する位置などが起因すると考えられる。すなわち、Kカチオンの場合は、ポアフィーリングと呼ばれる吸着エネルギの小さい酸素の六員環への吸着だけであるが、Naカチオンの場合は、吸着エネルギの大きいカチオン種静電場への吸着する水分子も存在するためである。ここで、例えば加湿量1L/hを確保するために、加熱容量1kWの加熱手段によって脱離し得る吸着エネルギは約13kcal/molと試算され、これ以上のエネルギで吸着している水分については、1kWの加熱手段では脱離しないことになる。従って、図16(a)のNaカチオンの吸着エネルギ分布において、20kcal/mol以上のエネルギで吸着している水分は加湿に寄与することはなく、一方、(b)のKカチオンの場合は、吸着しているほとんど全ての水分が加湿に寄与し、その量はどのSiO2/Al2O3においてもNaカチオンの倍程度となる。特に10〜20kcal/molにおいて吸着量の多い、SiO2/Al2O3が2.5〜3.0のY型ゼオライトが望ましい。
【0076】
さらに、ここでは例として1kWという一定の加熱量に対する脱離水分量について述べたが、吸着エネルギの小さいKカチオンのゼオライトを用いることにより、同じ水分量を脱離するのに必要な加熱量が少なくなる、すなわち低温再生が可能となるという省エネルギ効果もある。なおカオチンとは、ゼオライトの分子構造でイオン結合した陽イオンのことで、このカオチンを様々な物質でイオン交換することにより吸着特性が変化するので、目的に応じて終端カチオンを交換して吸着特性を改善することが可能となる。またここで、上記のようなKカチオンのゼオライトを生成する際、比較的安価なNaカチオンのゼオライトを用い、NaイオンをKイオンに交換するのが一般的である。この際、なるべくKイオンを多く、例えばKイオン:Naイオンを90%:10%とすれば、先述のように吸着エネルギが小さくなるので、一定の加熱量に対する水分脱離量の増加、あるいは一定の水分脱離量に必要な加熱容量の削減などの効果がある。また、Kイオンへの交換量を減らし、例えばKイオン:Naイオンを50%:50%程度とすれば、イオン交換にかかるコストを削減しつつ、吸着エネルギ低下の効果も期待できる。
【0077】
以上のように、水分吸着手段に担持する吸着剤として、1.5〜2.5nm程度の細孔が多数設けられた多孔質ケイ素材料や、0.7nm程度の細孔が多数設けられたゼオライト系材料を使用することにより、一般的なゼオライトを使用するよりも吸着量が大幅に増加し、また再生空気生成に必要な加熱手段における投入熱量を軽減できるという省エネルギ効果も得られ、高性能な加湿運転のできる加湿装置、および加湿機能を有する空気調和機を得ることができる。また、ゼオライトとシリカゲルを混合し、ゼオライトの配合比を多くした材料を使用することにより、広い湿度範囲への対応が可能で、また吸着、再生の速度が向上するため、より高い加湿能力を確保することができ、また、ゼオライトの終端カチオンを、吸着エネルギの小さいKカチオンとすることにより、一定の加熱量に対する加湿量が増加、あるいは一定の水分脱離量に必要な加熱容量の削減、すなわち低温再生が可能となり、加湿効率の高い加湿装置、および加湿機能を有する空気調和機を得ることができる。
【0078】
実施の形態8.
図17は、本発明の実施の形態8に係る水分吸着手段の概略設置図であり、54は高湿空気用水分吸着手段、55は低湿空気用水分吸着手段を示している。高湿空気用水分吸着手段54と低湿空気用水分吸着手段55の間には、両者に密着して水分吸着手段仕切板56が設置されており、それぞれ領域54aと領域54b、および領域55aと領域55bに分割されている。高湿空気用水分吸着手段54に担持する吸着剤としては、例えば図14に等温吸着線37で示される第1の吸着剤、低湿空気用水分吸着手段55に担持する吸着剤としては、例えば図14に等温吸着線38で示される第2の吸着剤がある。
図18はこのときの空気相対湿度変化の概念図であり、(a)の57は吸着時の空気相対湿度変化、(b)の58は再生時の空気相対湿度変化を示している。また、59は吸着時の空気相対湿度(Φadin)、60は再生時の空気相対湿度(Φdein)を示し、Φ1、Φ2、Φ3は、それぞれ図14に示す第1の相対湿度40、第2の相対湿度41、第3の相対湿度42に対応する。
【0079】
次に動作の一例について説明する。図17に示されるような高湿空気用水分吸着手段54、低湿空気用水分吸着手段55、および水分吸着手段仕切板56を、実施の形態1で説明した、図1〜図3の水分吸着手段2の位置に、高湿空気用水分吸着手段54が、第1の送風手段3に対して上流側にくるように設置した場合を想定して説明する。このとき、図17の<A>および<B>は、図3のダンパ位置<A>および<B>に対応する。加湿ユニット1の運転は、一般的に冬場の暖房時に室内が乾燥した際に必要となるため、室外空気は低温となる(例えば、暖房標準条件では7℃/87%RH)。ダンパ位置<A>のとき、吸着入口空気20として、第1の吸気口16より吸い込まれたこの低温外気は、第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6bに入り、第1の風路切換ダンパ14により領域14cが閉塞されているため、開口部14dより第2層7へ流入する。第2層7は第2の風路仕切板11により、第3層8は第3の風路仕切板12によって半円に仕切られており、またそれら2層に挟まれている高湿空気用水分吸着手段54および低湿空気用水分吸着手段55も、水分吸着手段仕切板56によって同様に半円に分割されているため、開口部14dから流入した外気は、領域7b、54b、55b、8bの順で下方向に流れ、領域54bおよび55b通過時に外気中の水分を吸着されて乾燥空気となる。乾燥空気となった外気は、第2の風路切換ダンパ15により領域15dが閉塞されているため、開口部15bより第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9aへ流入し、その後第1の排気口18より吸着出口空気22として流出し、第1の送風手段3を経由して室外へ排気される。
【0080】
一方、再生入口空気21として、第2の吸気口17より吸い込まれた低温外気は、第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9bへ流入し、加熱手段5によって昇温されて高温低湿空気となったのち、第2の風路切換ダンパ15により領域15dが閉塞されているため、開口部15cより第3層8へ流入する。第3層8は第3の風路仕切板12により、第2層7は第2の風路仕切板11によって半円に仕切られており、またそれら2層に挟まれている低湿空気用水分吸着手段55および高湿空気用水分吸着手段54も、水分吸着手段仕切板56によって同様に半円に分割されているため、開口部15cから流入した高温低湿空気は、領域8a、55a、54a、7aの順で上方向に流れ、領域55aおよび54a通過時に吸着されている水分が再生されて高湿空気となる。高湿空気となった外気は、第1の風路切換ダンパ14により領域14cが閉塞されているため、開口部14aより第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6aへ流入し、その後第2の排気口19より再生出口空気23として流出し、第2の送風手段4を経由して室内へ搬送されて、室内を加湿する。
【0081】
次に、高湿空気用水分吸着手段54および低湿空気用水分吸着手段55の、領域54bおよび55bにおける吸着工程、領域54aおよび55aにおける再生工程が完了する程度の時間が経過した後、図3および図17に示すダンパ位置を<A>から<B>へと切り換える。このとき、吸着入口空気20として、第1の吸気口16より吸い込まれた低温外気は、第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6bに入り、第1の風路切換ダンパ14により領域14dが閉塞されているため、開口部14cより第2層7へ流入する。第2層7は第2の風路仕切板11により、第3層8は第3の風路仕切板12によって半円に仕切られており、またそれら2層に挟まれている高湿空気用水分吸着手段54および低湿空気用水分吸着手段55も、水分吸着手段仕切板56によって同様に半円に分割されているため、開口部14cから流入した外気は、領域7a、54a、55a、8aの順で下方向に流れ、領域54aおよび55aがダンパ位置<A>のときに水分を再生され乾燥しているため、領域54aおよび55a通過時に外気中の水分を吸着されて乾燥空気となる。乾燥空気となった外気は、第2の風路切換ダンパ15により領域15cが閉塞されているため、開口部15aより第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9aへ流入し、その後第1の排気口18より吸着出口空気22として流出し、第1の送風手段3を経由して室外へ排気される。
【0082】
一方、再生入口空気21として、第2の吸気口17より吸い込まれた低温外気は、第4の風路仕切板13によって仕切られた第4層9の領域9bへ流入し、加熱手段5によって昇温されて高温低湿空気となったのち、第2の風路切換ダンパ15により領域15cが閉塞されているため、開口部15dより第3層8へ流入する。第3層8は第3の風路仕切板12により、第2層7は第2の風路仕切板11によって半円に仕切られており、またそれら2層に挟まれている低湿空気用水分吸着手段55および高湿空気用水分吸着手段54も、水分吸着手段仕切板56によって同様に半円に分割されているため、開口部15dから流入した高温低湿空気は、領域8b、55b、54b、7bの順で上方向に流れ、領域55bおよび54b通過時にダンパ位置<A>のときに吸着された水分が再生されて高湿空気となる。高湿空気となった外気は、第1の風路切換ダンパ14により領域14dが閉塞されているため、開口部14bより第1の風路仕切板10によって仕切られた第1層6の領域6aへ流入し、その後第2の排気口19より再生出口空気23として流出し、第2の送風手段4を経由して室内へ搬送されて、室内を加湿する。
【0083】
このとき、吸着工程となるダンパ位置<A>のときの領域54bと55b、およびダンパ位置<B>のときの領域54aと55aにおいて、図18(a)の吸着時の空気相対湿度変化57に示されるように、高湿空気用水分吸着手段54に担持されている第1の吸着剤の平衡吸着量が多い相対湿度Φadin(59)からΦ2(41)の範囲では、多くの水分を吸着されるため、相対湿度は厚み方向に対して急激に低下していくが、相対湿度Φ2(41)以下になるとほとんど変化しなくなる。これに対し、低湿空気用水分吸着手段55に担持されている第2の吸着剤の平衡吸着量は、低湿度であるΦ3(42)まで低下せず、かつ相対湿度Φ1(40)からΦ3(42)の範囲では第1の吸着剤より多いので、高湿空気用水分吸着手段54から流出した相対湿度Φ1(40)程度の低湿空気の水分は、低湿空気用水分吸着手段55において、相対湿度がΦ3(42)となる程度まで吸着されるため、高湿空気用水分吸着手段54のみを使用する場合に対して、q3−q1だけ吸着量を増加させることができる。
【0084】
一方、再生工程となるダンパ位置<A>のときの領域55aと54a、およびダンパ位置<B>のときの領域55bと54bにおいては、図18(b)の再生時の空気相対湿度変化58に示されるように、再生入口空気21である外気が加熱手段5により昇温されるため、相対湿度Φdein(60)がΦ3(42)より小さくなり、低湿空気用水分吸着手段55に担持されている第2の吸着剤の平衡吸着量が少ない相対湿度Φdein(60)からΦ3(42)の範囲では、多くの水分が再生されるため、相対湿度は厚み方向に対して急激に増加していくが、相対湿度Φ3(42)以上になるとほとんど変化しなくなる。これに対し、高湿空気用水分吸着手段54に担持されている第1の吸着剤の平衡吸着量は、比較的高湿度であるΦ1(40)まで上昇せず、かつ相対湿度Φ3(42)からΦ1(40)の範囲では第2の吸着剤より非常に少ないので、低湿空気用水分吸着手段55から流出した相対湿度Φ3(42)程度の低湿空気の水分は、高湿空気用水分吸着手段54において、相対湿度がΦ2(41)となる程度まで再生されるため、低湿空気用水分吸着手段55のみを使用する場合に対して、q2−q3の吸着量差に相当する分の加湿量を増加させることができる。
【0085】
このように、吸着工程における低湿空気の吸着に対しては、第2の吸着剤が担持されている低湿空気用水分吸着手段55が、再生工程における高湿空気による再生に対しては、第1の吸着剤が担持されている高湿空気用水分吸着手段54が互いに補うため、第1の吸着剤である多孔質ケイ素材料の細孔径はなるべく大きくし、第1の相対湿度Φ1(40)および第2の相対湿度Φ2(41)を大きくしたほうが望ましい。例えば細孔径を2.5nmとすることにより、Φ1(40)は45%、Φ2(41)は60%となり、図18(b)に示される再生時において、高湿空気用水分吸着手段54は、相対湿度60%まで再生可能となるため、加湿量が大幅に増加するだけでなく、低温再生も可能となり、加熱手段5にて昇温に必要な熱量が軽減されるという省エネルギ効果も得られる。
【0086】
図17では、高湿空気用水分吸着手段54と低湿空気用水分吸着手段55を分離し、両者の間に水分吸着手段仕切板56を密着して設置しているが、水分吸着手段仕切板56は設置せず、高湿空気用水分吸着手段54と低湿空気用水分吸着手段55を接触させて設置してもよく、また一体型とし、表裏に別々の吸着剤を担持させてもよい。どちらの場合も空気漏洩を完全に防ぐことができるという効果があるが、接触させて設置する場合には、圧力損失が発生しないように、両者のハニカム基材のセル位置を合わせる必要がある。
【0087】
また図17、図18では、低湿空気用水分吸着手段55に担持する吸着剤を第2の吸着剤として説明したが、実施の形態7で説明した、図15の等温吸着線49を有し、終端カチオンを吸着エネルギの小さいK(カリウム)カチオンにしたゼオライトである第3の吸着剤を用いてもよい。この場合、比較的高湿度である相対湿度Φ4(50)までの吸着量が少ないため、図18(b)に示される再生時において、Φdein(60)がΦ4(50)より小さければ低湿空気用水分吸着手段55において再生が可能となり、また一定の加熱量に対する再生量を増加、あるいは一定の水分脱離量に必要な加熱容量を削減できるので、加湿効率を向上することができる。
【0088】
以上のように、水分吸着手段として、相対湿度に対する平衡吸着量の変化率が、比較的高湿度の範囲で急激に変化する第1の吸着剤を担持した高湿用水分吸着手段と、低湿度で急激に変化する第2の吸着剤を担持した低湿用水分吸着手段とを直列に配置し、吸着空気を高湿用水分吸着手段側から、再生空気を低湿用水分吸着手段側から供給することにより、それぞれの吸着剤に適した相対湿度範囲で吸着、再生が行われ、かつ相互に吸着量を補うため、1種類の吸着剤を使用するよりも加湿能力が向上し、また比較的高湿度の空気で再生できるため、一定の加熱量に対する加湿量が増加、あるいは一定の水分脱離量に必要な加熱容量の削減、すなわち低温再生が可能となり、加湿効率の高い加湿装置、および加湿機能を有する空気調和機を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の実施の形態1に係る加湿装置の概略構成図。
【図2】本発明の実施の形態1に係る加湿装置の水分吸着手段を通る風路の構成を示す詳細図。
【図3】本発明の実施の形態1に係る加湿装置の動作を説明するために示した図2の各風路構成部品の平面図。
【図4】本発明の実施の形態1に係る加湿装置における風路切換ダンパの変形例を示す構成図。
【図5】本発明の実施の形態2に係る加湿装置の水分吸着手段を通る風路の構成を示す詳細図。
【図6】本発明の実施の形態2に係る加湿装置の動作を説明するために示した図5の各風路構成部品の平面図。
【図7】本発明の実施の形態2に係る加湿装置の別の動作を説明するために示した図5の各風路構成部品の平面図。
【図8】本発明の実施の形態3に係る加湿装置の概略構成図。
【図9】本発明の実施の形態3に係る加湿装置の水分吸着手段を通る風路の構成を示す詳細図。
【図10】本発明の実施の形態3に係る加湿装置の動作を説明するために示した図9の各風路構成部品の平面図。
【図11】本発明の実施の形態4に係る加湿機能を有する空気調和機における室外側の概略構成図。
【図12】本発明の実施の形態5に係る加湿機能を有する空気調和機における加湿装置の概略設置図。
【図13】本発明の実施の形態6に係る加湿機能を有する空気調和機における加湿装置の概略設置図。
【図14】本発明の実施の形態7に係る水分吸着手段に担持される各種吸着剤(第1の吸着剤、第2の吸着剤)の等温吸着線の概念図。
【図15】本発明の実施の形態7に係る水分吸着手段に担持される、シリカゲルとゼオライトを混合し、それらの配合比を変化させた吸着剤の等温吸着線の概念図。
【図16】本発明の実施の形態7に係るゼオライトの各終端カチオン種による吸着エネルギ分布の解析結果の概略図。
【図17】本発明の実施の形態8に係る水分吸着手段の概略設置図。
【図18】本発明の実施の形態8に係る水分吸着手段における空気相対湿度変化の概念図。
【符号の説明】
【0090】
1 加湿ユニット、2 水分吸着手段、3 第1の送風手段、4 第2の送風手段、
5 加熱手段、6 第1層、7 第2層、8 第3層、9 第4層、10 第1の風路仕切板、11 第2の風路仕切板、12 第3の風路仕切板、13 第4の風路仕切板、14 第1の風路切換ダンパ(第1の風路切換手段)、15 第2の風路切換ダンパ(第2の風路切換手段)、16 第1の吸気口、17 第2の吸気口、18 第1の排気口、19 第2の排気口、20 吸着入口空気、21 再生入口空気、22 吸着出口空気、23 再生出口空気、24 第1の4風路仕切板、25 第2の4風路仕切板、26 室外機、27 圧縮機、28 室外機熱交換器、29 室外機送風機、30 膨張弁、31 建物の外壁、32 壁穴、33 室外排気口、34 室内接続口、35 建物の内壁、36 一般的なゼオライトの等温吸着線、37 第1の吸着剤の等温吸着線、38 第2の吸着剤の等温吸着線、39 第0の相対湿度、40 第1の相対湿度、41 第2の相対湿度、42 第3の相対湿度、43 第0の相対湿度における平衡吸着量、44 第1の相対湿度における平衡吸着量、45 第2の相対湿度における平衡吸着量、46 第3の相対湿度における平衡吸着量、47 シリカゲル100%の等温吸着線、48 ゼオライト100%の等温吸着線、49 第3の吸着剤の等温吸着線、50 第4の相対湿度、51 SiO2/Al2O3小のときの吸着水分量積分値、52 SiO2/Al2O3中のときの吸着水分量積分値、53 SiO2/Al2O3大のときの吸着水分量積分値、54 高湿空気用水分吸着手段、55 低湿空気用水分吸着手段、56 水分吸着手段仕切板、57 吸着時の空気相対湿度変化、58 再生時の空気相対湿度変化、59 吸着時の入口空気相対湿度、60 再生時の入口空気相対湿度、70 第1の風路分割手段、71 第2の風路分割手段、72 第3の風路分割手段、73 第4の風路分割手段。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気中の水分を吸着及び再生する吸着剤が担持された水分吸着手段と、前記水分吸着手段に流入させる空気を加熱する加熱手段と、外気を吸入し、前記水分吸着手段を通り室外へ排気する第1の送風手段と、外気を吸入し、前記加熱手段及び前記水分吸着手段を通り室内へ送風する第2の送風手段とを備えた加湿装置であって、
前記水分吸着手段を挟んで片側に2層ずつ設置され、風路をそれぞれ2分割する風路仕切板を有する、第1及び第2の風路分割手段と、第3及び第4の風路分割手段と、
前記第1及び第2の風路分割手段の間、並びに前記第3及び第4の風路分割手段の間にそれぞれ設置され、対角状に設けられた1対のダンパと1対の開口部とを有する第1及び第2の風路切換手段とを備え、
前記水分吸着手段は風路内に固定して設置され、
前記第2及び第3の風路分割手段の風路仕切板は、前記水分吸着手段の表面に密着していることを特徴とする加湿装置。
【請求項2】
前記第2及び第3の風路分割手段の風路仕切板は、平行に設置され、
前記第1及び第4の風路分割手段の風路仕切板は、前記第2及び第3の風路分割手段の風路仕切板に対して垂直に設置されていることを特徴とする請求項1記載の加湿装置。
【請求項3】
前記水分吸着手段は円柱形状を有し、前記第1及び第2の風路切換手段のダンパは、2つの中心角90゜の扇形の平板が中心にて対角方向に接続された形態であり、かつ、90゜異なる角度で対角方向に設置されていることを特徴とする請求項1または2記載の加湿装置。
【請求項4】
前記第1の風路分割手段の風路仕切板によって分割された2風路のうち、前記第1の送風手段と連通する一方の風路側に外気を吸入する第1の吸気口、前記第2の送風手段と連通する他方の風路側に室内へ通風する室内接続口を設け、
前記第4の風路分割手段の風路仕切板によって分割された2風路のうち、前記第2の送風手段と連通する一方の風路側に前記加熱手段及び外気を吸入する第2の吸気口、前記第1の送風手段と連通する他方の風路側に室外へ排気する排気口を設け、
前記第1の送風手段により、前記第1の吸気口から外気を吸入し、前記水分吸着手段を通り、前記排気口から室外へ排気する空気流の方向と、前記第2の送風手段により、前記第2の吸気口から外気を吸入し、前記加熱手段および前記水分吸着手段を通り、前記室内接続口から室内へ通風する空気流の方向が、前記水分吸着手段を通過する際に逆方向となることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の風路切換手段を、同一方向または正逆方向に90°の回転角で連動して回転させることにより風路切換を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項6】
前記第1及び第2の風路切換手段のダンパは、扇形平板の両端側半径部分全体に、前記第1及び第3の風路分割手段の風路仕切板または前記第2及び第4の風路分割手段の風路仕切板に当接する突起を備え、前記第1及び第2の風路切換手段が連動して90°の正逆回転を繰り返すことにより風路切換を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項7】
前記第1の吸気口は、前記第1の風路切換手段の一方の開口部に、及び、前記第1及び第2の風路分割手段の風路仕切板によって分割された一方の領域に跨って設置され、前記室内接続口は、前記第1の風路切換手段の他方の開口部に、及び、前記第1及び第2の風路分割手段の風路仕切板によって分割された他方の領域に跨って設置され、前記第2の吸気口は、前記第2の風路切換手段の一方の開口部に、及び、前記第3及び第4の風路分割手段の風路仕切板によって分割された一方の領域に跨って設置され、前記排気口は、前記第2の風路切換手段の他方の開口部に、及び、前記第3及び第4の風路分割手段の風路仕切板によって分割された他方の領域に跨って設置されたことを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項8】
前記第1及び第2の風路切換手段、前記第1の吸気口、前記室内接続口、前記第2の吸気口、及び前記排気口が、連動して同一方向に90°回転することにより風路切換を行うことを特徴とする請求項7記載の加湿装置。
【請求項9】
前記第1及び第2の風路切換手段のダンパは、それぞれ前記第1及び第2の風路分割手段の風路仕切板と、前記第3及び第4の風路分割手段の風路仕切板とに固定して設置され、前記第1の吸気口、前記室内接続口、前記第2の吸気口、及び前記排気口が、連動して180°回転することにより風路切換を行うことを特徴とする請求項7記載の加湿装置。
【請求項10】
前記水分吸着手段は直方体形状を有し、前記第1及び第2の風路切換手段のダンパは、2つのL字型の板がL字の角部にて対角方向に接続され、かつ、90゜異なる対角方向に設置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項11】
前記第1及び第2の風路切換手段のダンパは、それぞれ前記第2及び第3の風路分割手段の風路仕切板を形成するように一体に構成されたことを特徴とする請求項10記載の加湿装置。
【請求項12】
空気中の水分を吸着及び再生する吸着剤が担持された水分吸着手段と、前記水分吸着手段に流入させる空気を加熱する加熱手段と、外気を吸入し、前記水分吸着手段を通り室外へ排気する第1の送風手段と、外気を吸入し、前記加熱手段及び前記水分吸着手段を通り室内へ送風する第2の送風手段とを備えた加湿装置であって、
前記水分吸着手段を挟んで片側に2層ずつ設置され、風路をそれぞれ2分割する風路仕切板を有する、第1及び第2の風路分割手段と、第3及び第4の風路分割手段と、
前記第1及び第2の風路分割手段の間、並びに前記第3及び第4の風路分割手段の間にそれぞれ設置され、対角状に設けられた1対のダンパと1対の開口部とを有する第1及び第2の風路切換手段とを備え、
前記水分吸着手段は風路内に固定して設置され、
前記第2及び第3の風路分割手段の風路仕切板は、前記水分吸着手段の表面に密着している前記水分吸着手段は直方体形状を有し、前記第1及び第2の風路切換手段のダンパは、2つのL字型の板がL字の角部にて対角方向に接続され、かつ、90゜異なる対角方向に設置されていることを特徴とする加湿装置。
【請求項13】
前記第1及び第2の風路切換手段のダンパは、それぞれ前記第2及び第3の風路分割手段の風路仕切板を形成するように一体に構成されたことを特徴とする請求項12記載の加湿装置。
【請求項14】
前記水分吸着手段に担持される吸着剤として、1.5〜2.5ナノメートルの孔径の細孔が多数設けられたケイ素材料で構成され、低湿度である第1の相対湿度と該第1の相対湿度よりも高湿度である第2の相対湿度との範囲における相対湿度に対する水分の平衡吸着量の変化率が前記相対湿度の範囲外における相対湿度に対する前記平衡吸着量の前記変化率よりも大きく、かつ、前記第1の相対湿度および前記第2の相対湿度が30%から60%の範囲であるような吸着特性を有する第1の吸着剤を使用したことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項15】
前記水分吸着手段に担持される吸着剤として、0.7ナノメートルの孔径の細孔が多数設けられたゼオライト系の材料で構成され、前記第1の相対湿度よりも低湿度である第3の相対湿度以下の範囲における相対湿度に対する水分の平衡吸着量の変化率が、前記第3の相対湿度以上の範囲における相対湿度に対する前記平衡吸着量の前記変化率よりも大きい吸着特性を有する第2の吸着剤を使用したことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項16】
前記水分吸着手段に担持される吸着剤として、ゼオライトとシリカゲルを混合したものであって、ゼオライトの配合比を多くして合成したものとし、前記ゼオライトの終端カチオン種を、カリウムが50%以上の比率とした第3の吸着剤を使用したことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項17】
前記水分吸着手段として、異なる吸着剤が担持された第1の水分吸着手段、第2の水分吸着手段が直列に配置され、前記第1の送風手段に対して上流側に、前記第1の水分吸着手段が配置されることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項18】
前記第1の水分吸着手段に担持される吸着剤として、前記第1の吸着剤を使用したことを特徴とする請求項17記載の加湿装置。
【請求項19】
前記第2の水分吸着手段に担持される吸着剤として、前記第2の吸着剤を使用したことを特徴とする請求項17記載の加湿装置。
【請求項20】
前記第2の水分吸着手段に担持される吸着剤として、前記第3の吸着剤を使用したことを特徴とする請求項17記載の加湿装置。
【請求項21】
圧縮機、室内側熱交換器、室外側熱交換器、膨張弁からなるヒートポンプサイクルを有し、前記圧縮機、前記室外側熱交換器、前記膨張弁を内蔵した室外機と、前記室内側熱交換器を内蔵した室内機とを冷媒配管にて接続してなる空気調和機において、
請求項1乃至20のいずれかに記載の前記加湿装置を、前記室外機と一体化して設置することを特徴とする加湿機能を有する空気調和機。
【請求項22】
圧縮機、室内側熱交換器、室外側熱交換器、膨張弁からなるヒートポンプサイクルを有し、前記圧縮機、前記室外側熱交換器、前記膨張弁を内蔵した室外機と、前記室内側熱交換器を内蔵した室内機とを冷媒配管にて接続してなる空気調和機において、
請求項1乃至20のいずれかに記載の前記加湿装置を、前記冷媒配管を貫通させる壁穴付近の室外側に設置し、前記加湿装置の前記第2の送風手段により室内へ送風するための室内接続口を前記壁穴に対面させることを特徴とする加湿機能を有する空気調和機。
【請求項23】
圧縮機、室内側熱交換器、室外側熱交換器、膨張弁からなるヒートポンプサイクルを有し、前記圧縮機、前記室外側熱交換器、前記膨張弁を内蔵した室外機と、前記室内側熱交換器を内蔵した室内機とを冷媒配管にて接続してなる空気調和機において、
請求項1乃至20のいずれかに記載の前記加湿装置を、前記冷媒配管を貫通させる壁穴付近の室内側に設置し、前記加湿装置の前記第1の送風手段及び前記第2の送風手段は室内空気を吸入するとともに、前記第1の送風手段により室外へ排気する排気口を前記壁穴に対面させることを特徴とする加湿機能を有する空気調和機。
【請求項24】
前記水分吸着手段に担持される吸着剤として、1.5〜2.5ナノメートルの孔径の細孔が多数設けられたケイ素材料で構成され、低湿度である第1の相対湿度と該第1の相対湿度よりも高湿度である第2の相対湿度との範囲における相対湿度に対する水分の平衡吸着量の変化率が前記相対湿度の範囲外における相対湿度に対する前記平衡吸着量の前記変化率よりも大きく、かつ、前記第1の相対湿度および前記第2の相対湿度が30%から60%の範囲であるような吸着特性を有する第1の吸着剤を使用したことを特徴とする請求項21乃至23のいずれかに記載の加湿機能を有する空気調和機。
【請求項25】
前記水分吸着手段に担持される吸着剤として、0.7ナノメートルの孔径の細孔が多数設けられたゼオライト系の材料で構成され、前記第1の相対湿度よりも低湿度である第3の相対湿度以下の範囲における相対湿度に対する水分の平衡吸着量の変化率が、前記第3の相対湿度以上の範囲における相対湿度に対する前記平衡吸着量の前記変化率よりも大きい吸着特性を有する第2の吸着剤を使用したことを特徴とする請求項21乃至23のいずれかに記載の加湿機能を有する空気調和機。
【請求項26】
前記水分吸着手段に担持される吸着剤として、ゼオライトとシリカゲルを混合したものであって、ゼオライトの配合比を多くして合成したものとし、前記ゼオライトの終端カチオン種を、カリウムが50%以上の比率とした第3の吸着剤を使用したことを特徴とする請求項21乃至23のいずれかに記載の加湿機能を有する空気調和機。
【請求項27】
前記水分吸着手段として、異なる吸着剤が担持された第1の水分吸着手段、第2の水分吸着手段が直列に配置され、前記第1の送風手段に対して上流側に、前記第1の水分吸着手段が配置されることを特徴とする請求項21乃至23のいずれかに記載の加湿機能を有する空気調和機。
【請求項1】
空気中の水分を吸着及び再生する吸着剤が担持された水分吸着手段と、前記水分吸着手段に流入させる空気を加熱する加熱手段と、外気を吸入し、前記水分吸着手段を通り室外へ排気する第1の送風手段と、外気を吸入し、前記加熱手段及び前記水分吸着手段を通り室内へ送風する第2の送風手段とを備えた加湿装置であって、
前記水分吸着手段を挟んで片側に2層ずつ設置され、風路をそれぞれ2分割する風路仕切板を有する、第1及び第2の風路分割手段と、第3及び第4の風路分割手段と、
前記第1及び第2の風路分割手段の間、並びに前記第3及び第4の風路分割手段の間にそれぞれ設置され、対角状に設けられた1対のダンパと1対の開口部とを有する第1及び第2の風路切換手段とを備え、
前記水分吸着手段は風路内に固定して設置され、
前記第2及び第3の風路分割手段の風路仕切板は、前記水分吸着手段の表面に密着していることを特徴とする加湿装置。
【請求項2】
前記第2及び第3の風路分割手段の風路仕切板は、平行に設置され、
前記第1及び第4の風路分割手段の風路仕切板は、前記第2及び第3の風路分割手段の風路仕切板に対して垂直に設置されていることを特徴とする請求項1記載の加湿装置。
【請求項3】
前記水分吸着手段は円柱形状を有し、前記第1及び第2の風路切換手段のダンパは、2つの中心角90゜の扇形の平板が中心にて対角方向に接続された形態であり、かつ、90゜異なる角度で対角方向に設置されていることを特徴とする請求項1または2記載の加湿装置。
【請求項4】
前記第1の風路分割手段の風路仕切板によって分割された2風路のうち、前記第1の送風手段と連通する一方の風路側に外気を吸入する第1の吸気口、前記第2の送風手段と連通する他方の風路側に室内へ通風する室内接続口を設け、
前記第4の風路分割手段の風路仕切板によって分割された2風路のうち、前記第2の送風手段と連通する一方の風路側に前記加熱手段及び外気を吸入する第2の吸気口、前記第1の送風手段と連通する他方の風路側に室外へ排気する排気口を設け、
前記第1の送風手段により、前記第1の吸気口から外気を吸入し、前記水分吸着手段を通り、前記排気口から室外へ排気する空気流の方向と、前記第2の送風手段により、前記第2の吸気口から外気を吸入し、前記加熱手段および前記水分吸着手段を通り、前記室内接続口から室内へ通風する空気流の方向が、前記水分吸着手段を通過する際に逆方向となることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項5】
前記第1及び第2の風路切換手段を、同一方向または正逆方向に90°の回転角で連動して回転させることにより風路切換を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項6】
前記第1及び第2の風路切換手段のダンパは、扇形平板の両端側半径部分全体に、前記第1及び第3の風路分割手段の風路仕切板または前記第2及び第4の風路分割手段の風路仕切板に当接する突起を備え、前記第1及び第2の風路切換手段が連動して90°の正逆回転を繰り返すことにより風路切換を行うことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項7】
前記第1の吸気口は、前記第1の風路切換手段の一方の開口部に、及び、前記第1及び第2の風路分割手段の風路仕切板によって分割された一方の領域に跨って設置され、前記室内接続口は、前記第1の風路切換手段の他方の開口部に、及び、前記第1及び第2の風路分割手段の風路仕切板によって分割された他方の領域に跨って設置され、前記第2の吸気口は、前記第2の風路切換手段の一方の開口部に、及び、前記第3及び第4の風路分割手段の風路仕切板によって分割された一方の領域に跨って設置され、前記排気口は、前記第2の風路切換手段の他方の開口部に、及び、前記第3及び第4の風路分割手段の風路仕切板によって分割された他方の領域に跨って設置されたことを特徴とする請求項4乃至6のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項8】
前記第1及び第2の風路切換手段、前記第1の吸気口、前記室内接続口、前記第2の吸気口、及び前記排気口が、連動して同一方向に90°回転することにより風路切換を行うことを特徴とする請求項7記載の加湿装置。
【請求項9】
前記第1及び第2の風路切換手段のダンパは、それぞれ前記第1及び第2の風路分割手段の風路仕切板と、前記第3及び第4の風路分割手段の風路仕切板とに固定して設置され、前記第1の吸気口、前記室内接続口、前記第2の吸気口、及び前記排気口が、連動して180°回転することにより風路切換を行うことを特徴とする請求項7記載の加湿装置。
【請求項10】
前記水分吸着手段は直方体形状を有し、前記第1及び第2の風路切換手段のダンパは、2つのL字型の板がL字の角部にて対角方向に接続され、かつ、90゜異なる対角方向に設置されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項11】
前記第1及び第2の風路切換手段のダンパは、それぞれ前記第2及び第3の風路分割手段の風路仕切板を形成するように一体に構成されたことを特徴とする請求項10記載の加湿装置。
【請求項12】
空気中の水分を吸着及び再生する吸着剤が担持された水分吸着手段と、前記水分吸着手段に流入させる空気を加熱する加熱手段と、外気を吸入し、前記水分吸着手段を通り室外へ排気する第1の送風手段と、外気を吸入し、前記加熱手段及び前記水分吸着手段を通り室内へ送風する第2の送風手段とを備えた加湿装置であって、
前記水分吸着手段を挟んで片側に2層ずつ設置され、風路をそれぞれ2分割する風路仕切板を有する、第1及び第2の風路分割手段と、第3及び第4の風路分割手段と、
前記第1及び第2の風路分割手段の間、並びに前記第3及び第4の風路分割手段の間にそれぞれ設置され、対角状に設けられた1対のダンパと1対の開口部とを有する第1及び第2の風路切換手段とを備え、
前記水分吸着手段は風路内に固定して設置され、
前記第2及び第3の風路分割手段の風路仕切板は、前記水分吸着手段の表面に密着している前記水分吸着手段は直方体形状を有し、前記第1及び第2の風路切換手段のダンパは、2つのL字型の板がL字の角部にて対角方向に接続され、かつ、90゜異なる対角方向に設置されていることを特徴とする加湿装置。
【請求項13】
前記第1及び第2の風路切換手段のダンパは、それぞれ前記第2及び第3の風路分割手段の風路仕切板を形成するように一体に構成されたことを特徴とする請求項12記載の加湿装置。
【請求項14】
前記水分吸着手段に担持される吸着剤として、1.5〜2.5ナノメートルの孔径の細孔が多数設けられたケイ素材料で構成され、低湿度である第1の相対湿度と該第1の相対湿度よりも高湿度である第2の相対湿度との範囲における相対湿度に対する水分の平衡吸着量の変化率が前記相対湿度の範囲外における相対湿度に対する前記平衡吸着量の前記変化率よりも大きく、かつ、前記第1の相対湿度および前記第2の相対湿度が30%から60%の範囲であるような吸着特性を有する第1の吸着剤を使用したことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項15】
前記水分吸着手段に担持される吸着剤として、0.7ナノメートルの孔径の細孔が多数設けられたゼオライト系の材料で構成され、前記第1の相対湿度よりも低湿度である第3の相対湿度以下の範囲における相対湿度に対する水分の平衡吸着量の変化率が、前記第3の相対湿度以上の範囲における相対湿度に対する前記平衡吸着量の前記変化率よりも大きい吸着特性を有する第2の吸着剤を使用したことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項16】
前記水分吸着手段に担持される吸着剤として、ゼオライトとシリカゲルを混合したものであって、ゼオライトの配合比を多くして合成したものとし、前記ゼオライトの終端カチオン種を、カリウムが50%以上の比率とした第3の吸着剤を使用したことを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項17】
前記水分吸着手段として、異なる吸着剤が担持された第1の水分吸着手段、第2の水分吸着手段が直列に配置され、前記第1の送風手段に対して上流側に、前記第1の水分吸着手段が配置されることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項18】
前記第1の水分吸着手段に担持される吸着剤として、前記第1の吸着剤を使用したことを特徴とする請求項17記載の加湿装置。
【請求項19】
前記第2の水分吸着手段に担持される吸着剤として、前記第2の吸着剤を使用したことを特徴とする請求項17記載の加湿装置。
【請求項20】
前記第2の水分吸着手段に担持される吸着剤として、前記第3の吸着剤を使用したことを特徴とする請求項17記載の加湿装置。
【請求項21】
圧縮機、室内側熱交換器、室外側熱交換器、膨張弁からなるヒートポンプサイクルを有し、前記圧縮機、前記室外側熱交換器、前記膨張弁を内蔵した室外機と、前記室内側熱交換器を内蔵した室内機とを冷媒配管にて接続してなる空気調和機において、
請求項1乃至20のいずれかに記載の前記加湿装置を、前記室外機と一体化して設置することを特徴とする加湿機能を有する空気調和機。
【請求項22】
圧縮機、室内側熱交換器、室外側熱交換器、膨張弁からなるヒートポンプサイクルを有し、前記圧縮機、前記室外側熱交換器、前記膨張弁を内蔵した室外機と、前記室内側熱交換器を内蔵した室内機とを冷媒配管にて接続してなる空気調和機において、
請求項1乃至20のいずれかに記載の前記加湿装置を、前記冷媒配管を貫通させる壁穴付近の室外側に設置し、前記加湿装置の前記第2の送風手段により室内へ送風するための室内接続口を前記壁穴に対面させることを特徴とする加湿機能を有する空気調和機。
【請求項23】
圧縮機、室内側熱交換器、室外側熱交換器、膨張弁からなるヒートポンプサイクルを有し、前記圧縮機、前記室外側熱交換器、前記膨張弁を内蔵した室外機と、前記室内側熱交換器を内蔵した室内機とを冷媒配管にて接続してなる空気調和機において、
請求項1乃至20のいずれかに記載の前記加湿装置を、前記冷媒配管を貫通させる壁穴付近の室内側に設置し、前記加湿装置の前記第1の送風手段及び前記第2の送風手段は室内空気を吸入するとともに、前記第1の送風手段により室外へ排気する排気口を前記壁穴に対面させることを特徴とする加湿機能を有する空気調和機。
【請求項24】
前記水分吸着手段に担持される吸着剤として、1.5〜2.5ナノメートルの孔径の細孔が多数設けられたケイ素材料で構成され、低湿度である第1の相対湿度と該第1の相対湿度よりも高湿度である第2の相対湿度との範囲における相対湿度に対する水分の平衡吸着量の変化率が前記相対湿度の範囲外における相対湿度に対する前記平衡吸着量の前記変化率よりも大きく、かつ、前記第1の相対湿度および前記第2の相対湿度が30%から60%の範囲であるような吸着特性を有する第1の吸着剤を使用したことを特徴とする請求項21乃至23のいずれかに記載の加湿機能を有する空気調和機。
【請求項25】
前記水分吸着手段に担持される吸着剤として、0.7ナノメートルの孔径の細孔が多数設けられたゼオライト系の材料で構成され、前記第1の相対湿度よりも低湿度である第3の相対湿度以下の範囲における相対湿度に対する水分の平衡吸着量の変化率が、前記第3の相対湿度以上の範囲における相対湿度に対する前記平衡吸着量の前記変化率よりも大きい吸着特性を有する第2の吸着剤を使用したことを特徴とする請求項21乃至23のいずれかに記載の加湿機能を有する空気調和機。
【請求項26】
前記水分吸着手段に担持される吸着剤として、ゼオライトとシリカゲルを混合したものであって、ゼオライトの配合比を多くして合成したものとし、前記ゼオライトの終端カチオン種を、カリウムが50%以上の比率とした第3の吸着剤を使用したことを特徴とする請求項21乃至23のいずれかに記載の加湿機能を有する空気調和機。
【請求項27】
前記水分吸着手段として、異なる吸着剤が担持された第1の水分吸着手段、第2の水分吸着手段が直列に配置され、前記第1の送風手段に対して上流側に、前記第1の水分吸着手段が配置されることを特徴とする請求項21乃至23のいずれかに記載の加湿機能を有する空気調和機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2009−198028(P2009−198028A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−37763(P2008−37763)
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年2月19日(2008.2.19)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]