説明

加湿装置

【課題】騒音の増大を抑えるとともに製品の外観を損なうことなく、加湿フィルターの通気特性が向上し、気化効率を向上させた加湿装置を提供すること。
【解決手段】ケース天面を、一側方の空間a上部を覆う送風側天面1eと、他側方の空間b上部を覆うタンク側天面1fとで構成し、送風手段8を、ファン吸気口8aを下方としてモータ部8eを送風側天面1eに取り付け、吹出口10を、平面視でモータ部8eの配設位置以外となる送風側天面1eに配置し、送風手段8の下方に導風筒9を設け、導風筒9によって、加湿空気をファン吸気口8aに導く中央連通口2を形成し、吸込口17から中央連通口2に至る風路に、加湿フィルター12Pを配置したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯水容器に貯水した水に一部を浸漬した加湿フィルターに通風して加湿する気化式の加湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加湿装置において、室内の空気を本体に広く形成した吸込口から吸い込み、本体内に配設した加湿フィルターに広い面から通過させて、通気特性を向上させるとともに、加湿フィルターの気化効率を向上させたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、特許文献1に記載の加湿器について説明する。
【0004】
上面に吹出開口が開設された角柱状の筐体を有する加湿器の内部に、貯水した水受け水槽と、水受け水槽の水にその下端部が浸されるように配置された平面視略四角形状の加湿用吸水体と、水受け水槽に水を供給する給水タンクとを配設している。
【0005】
そして、本体には、両側面および後面に空気取入口を開設し、空気取入口から吹出開口につながる風路に吹出用送風機を設け、空気取入口から本体内に導入された室内空気が加湿用吸水体の外表面から内側の空間に導かれた後、加湿空気が吹出用送風機を介して室内に吹き出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−89895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような特許文献1に記載の加湿器では、空気取入口は、本体の両側面および後面に開設され、広い面積で多方向の開口から加湿用吸水体に室内空気が送風される。しかし、開口する本体の側面の数が多いので騒音が増大する。また、両側面の空気取入口は本体の前方から使用者の目に入る位置に形成されているので製品の外観上好ましくない。さらに、製品を室内に置いたとき、室内の調度品や壁面に塞がれることとなり得る空気取入口の形成面が増えて、通気特性が低下する場合が多い。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来の課題を解決して、騒音の増大を抑えるとともに製品の外観を損なうことなく、加湿フィルターの通気特性が向上し、気化効率を向上させた加湿装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、この目的を達成するために、本発明の加湿装置は、幅寸法が奥行き寸法より大きな本体ケースの内部に、送風手段と、貯水する貯水容器と、前記貯水容器から吸水する加湿フィルターと、前記貯水容器に水を供給する給水タンクとを備え、前記送風手段を、前記本体ケースの一側方の空間に配置し、前記給水タンクを、前記本体ケースの他側方の空間に配置し、前記貯水容器を、前記一側方の空間下部と前記他側方の空間下部に配置し、前記本体ケースのケース背面又はケース側面の少なくとも一方に吸込口を形成し、前記本体ケースのケース天面に吹出口を形成した加湿装置であって、前記ケース天面を、前記一側方の空間上部を覆う送風側天面と、前記他側方の空間上部を覆うタンク側天面とで構成し、前記送風手段を、ファン吸気口を下方としてモータ部を前記送風側天面に取り付け、前記吹出口を、平面視で前記モータ部の配設位置以外となる前記送風側天面に配置し、前記送風手段の下方に導風筒を設け、前記導風筒によって、加湿空気を前記ファン吸気口に導く中央連通口を形成し、前記吸込口から前記中央連通口に至る風路に、前記加湿フィルターを配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スムーズな空気流れを実現でき、吹出口を大きく形成できるため均一な空気流れを実現でき、加湿性能が向上するとともに空気流れの乱れによる騒音を低減できる。
【0011】
また本発明によれば、吸込口を本体ケースの背面側として、騒音の増大を抑えた上で、製品の外観を損なうことなく、加湿フィルターに前後方向から通風して、加湿フィルターの気化効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1の加湿装置をケース前面側から見た斜視図
【図2】同加湿装置をケース背面側から見た斜視図
【図3】同加湿装置の縦断面図
【図4】同加湿装置の本体ケース内を示す後方から見た斜視図
【図5】同加湿装置の本体ケース内を示す前方から見た斜視図
【図6】同加湿装置の本体ケース内を示す一部破断斜視図
【図7】本発明の実施の形態2の加湿装置の本体ケース内を示す一部破断斜視図
【図8】本発明の実施の形態3の加湿装置の本体ケース内を示す一部破断斜視図
【図9】本発明の実施の形態4の加湿装置の本体ケース内を示す一部破断斜視図
【図10】本発明の実施の形態5の加湿装置の本体ケース内を示す一部破断斜視図
【図11】本発明の実施の形態6の加湿装置の本体ケース内を示す一部破断斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態1による加湿装置は、ケース天面を、一側方の空間上部を覆う送風側天面と、他側方の空間上部を覆うタンク側天面とで構成し、送風手段を、ファン吸気口を下方としてモータ部を送風側天面に取り付け、吹出口を、平面視でモータ部の配設位置以外となる送風側天面に配置し、送風手段の下方に導風筒を設け、導風筒によって、加湿空気をファン吸気口に導く中央連通口を形成し、吸込口から中央連通口に至る風路に、加湿フィルターを配置したものである。
【0014】
本実施の形態によれば、送風手段を送風側天面に取り付け、吹出口を平面視でモータ部の配設位置以外となる送風側天面に配置し、送風手段の下方から吸い込んだ空気を送風側天面から吹き出すことで、スムーズな空気流れを実現でき、吹出口を大きく形成できるため、均一な空気流れを実現でき加湿性能が向上するとともに空気流れの乱れによる騒音を低減できる。
【0015】
また本実施の形態による加湿装置は、一側方の空間を、仕切部によって下方空間と上方空間とに仕切り、上方空間が導風筒の外周部に形成され、上下面を開口とした枠状にフィルター材を配置して加湿フィルターを形成し、加湿フィルターを下方空間に配置するとともに貯水容器内に載置し、吸込口を、上下方向に上部吸込口と下部吸込口とに2分割し、下部吸込口を下方空間に臨んで開口し、上部吸込口を上方空間に臨んで開口し、仕切部が、本体ケースのケース前面側に前方連通口を形成し、前方連通口によって、上方空間と下方空間とを連通し、上方空間によって、上部吸込口から前方連通口に至る吸込風路が形成されるものである。
【0016】
本実施の形態によれば、加湿フィルターにおける室内空気の通風は、本体ケースの裏面側である背面に形成された下部吸込口と上部吸込口から室内空気が吸い込まれ、加湿フィルターの後方側と前方側の両方向から加湿フィルターに通風され、吸込口が裏面側のみとなることで、騒音の増大を抑えた上で、製品の外観を損なうことなく、かつ、加湿フィルターの前後方向から通風して、加湿フィルターの気化効率を向上させることができる、という効果を奏する。
【0017】
また本実施の形態による加湿装置は、吸込口をケース背面に形成し、仕切部が、ケース側面側に側方連通口を形成し、側方連通口によって、上方空間と下方空間とを連通したものである。
【0018】
本実施の形態によれば、加湿フィルターには、側方からも通風されることとなり、加湿フィルターの気化効率がより向上する。
【0019】
また本実施の形態による加湿装置は、本体ケースを、平面視で長円形状としたものである。
【0020】
本実施の形態によれば、背面が曲面状となって、吸込口を大きく形成することができるとともに、吸込風路における通気流は、本体ケース側方の円弧面により前面側に滑らかな流れで案内され、吸込口からの通気特性が向上し、騒音をさらに抑えることができる。
【0021】
また本実施の形態による加湿装置は、吸込口を、一側方の空間を形成するケース背面と、他側方の空間を形成するケース背面とに形成したものである。
【0022】
本実施の形態によれば、本体ケースの一側方に給水タンクを収納する構成であっても、加湿フィルターに前後および両側方から通風することができ、給水タンクの収納に影響されることなく、加湿フィルターの気化効率を向上させることができる。
【0023】
また本実施の形態による加湿装置は、導風筒は、上方空間の中央部に設けられ、中央連通口を上方空間の中央部に配置し、導風筒が円弧状の外周面を備えて筒状に形成されたものである。
【0024】
本実施の形態によれば、吸込風路における通気流は、導風筒の両側を円弧状外周面に沿いながら流れ、吸込風路を偏ることなく滑らかな流れとなって下方空間に吸い込まれていき、上部吸込口からの通気特性がより向上する。
【0025】
また本実施の形態による加湿装置は、導風筒を、下方に向かうにしたがって拡大する形状としたものである。
【0026】
本実施の形態によれば、吸込風路における通気流は、下方空間にさらに滑らかな流れで案内されて吸い込まれていき、上部吸込口からの通気特性がさらに向上する。
【0027】
また本発明の実施の形態2による加湿装置は、板状にフィルター材を配置して加湿フィルターを形成したものである。
【0028】
本実施の形態によれば、加湿フィルターでの均一な空気流れを実現でき、加湿性能が向上するとともに空気流れの乱れによる騒音を低減できる。
【0029】
また本発明の実施の形態3による加湿装置は、中央連通口を加湿フィルターで覆い、貯水容器の水を加湿フィルターに供給する加湿水供給手段を設けたものである。
【0030】
本実施の形態によれば、実施の形態1に比較して、均一な空気流れを実現でき加湿性能が向上するとともに空気流れの乱れによる騒音を低減できる。
【0031】
また本発明の実施の形態4による加湿装置は、上面を開口とした有底筒状にフィルター材を配置して加湿フィルターを形成し、貯水容器の水を加湿フィルターに供給する加湿水供給手段を設けたものである。
【0032】
本実施の形態によれば、実施の形態3に比較して、フィルター材の表面積を大きくでき、均一な空気流れを実現でき加湿性能が向上するとともに空気流れの乱れによる騒音を低減できる。
【0033】
また本発明の実施の形態3又は実施の形態4による加湿装置は、加湿水供給手段を、吸水材で形成したものである。
【0034】
本実施の形態によれば、確実に安定して加湿水供給手段に給水を行うことができる。
【0035】
また本発明の実施の形態5による加湿装置は、加湿フィルターの上面開口をフィルター材で閉塞したものである。
【0036】
本実施の形態によれば、実施の形態1に比較して、フィルター材を上面にも配置することで、フィルター材を分散できるので、加湿フィルターを小型化することができる。
【0037】
また本発明の実施の形態6による加湿装置は、加湿フィルターを鉛直面に対して傾けて配置したものである。
【0038】
本実施の形態によれば、実施の形態2よりもさらに、フィルター材の表面積を大きくでき、加湿フィルターでの均一な空気流れを実現でき、加湿性能が向上するとともに空気流れの乱れによる騒音を低減できる。
【0039】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
【0040】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1の加湿装置をケース前面側から見た斜視図である。
【0041】
本実施の形態による加湿装置は、幅寸法Wが奥行き寸法Lより大きな本体ケース1で覆われている。本体ケース1は、ケース前面1a、一側方のケース側面1b、ケース背面1c、及び他側方のケース側面1dによって側面が覆われている。また本体ケース1の天面は、一側方の空間上部を覆う送風側天面1eと、他側方の空間上部を覆うタンク側天面1fとで覆われ、天面外形は、平面視で長円形状としている。
【0042】
送風側天面1eには、吹出口10を形成している。吹出口10は、タンク側天面1fと接する外縁以外の送風側天面1eの外縁に沿って、U字状に設けている。
【0043】
図2は、同加湿装置をケース背面側から見た斜視図である。
【0044】
同加湿装置は、ケース背面1cの全幅にわたって吸込口17を設けている。吸込口17は、上下方向に上部吸込口15と下部吸込口16とに2分割されている。
【0045】
図3は、同加湿装置の縦断面図である。
【0046】
同加湿装置は、本体ケース1の内部に、送風手段8と、貯水する貯水容器11と、貯水容器11から吸水する加湿フィルター12Pと、貯水容器11に水を供給する給水タンク13とを備えている。
【0047】
送風手段8は、本体ケース1の一側方の空間aに配置している。給水タンク13は、本体ケース1の他側方の空間bに配置している。他側方の空間bは、給水タンク13の収納空間を形成している。
【0048】
送風手段8は、ファン吸気口8aを構成する筒状部材8bと、複数の羽根8cを立設する回転体8dと、モータ部8eとから構成される。筒状部材8bは羽根8cと接合されている。従って、モータ部8eの駆動によって、筒状部材8bは回転体8dとともに回転する。
【0049】
送風手段8は、ファン吸気口8aを下方としてモータ部8eを送風側天面1eの下面に取り付けている。モータ部8eは、送風側天面1eの中央に配置し、図1及び図2に示す吹出口10は、平面視でモータ部8eの配設位置以外となる送風側天面1eに配置している。
【0050】
送風手段8の下方には、導風筒9を設けている。導風筒9は、加湿空気をファン吸気口8aに導く中央連通口2を形成している。中央連通口2の外周には仕切部3が形成されている。
【0051】
導風筒9は、円弧状の外周面を備えた筒状で、さらに、下方に向かうにしたがって広がる形状に形成され、送風手段8の下方の空間となる上方空間dに位置し、一側方の空間aの水平面の中央部に位置している。
【0052】
一側方の空間aは、仕切部3によって下方空間cと上方空間dとに仕切られる。上方空間dは、導風筒9の外周部に形成される。なお、下部吸込口16は下方空間cに臨んで開口し、上部吸込口15は上方空間dに臨んで開口している。
【0053】
本体ケース1の一側方の空間aと、本体ケース1の他側方の空間bとの間には、内側板6が縦方向に配設されている。内側板6は、本体ケース1の天面から仕切部3の間に設けられている。従って、内側板6は、送風手段8の風路と他側方の空間bとを仕切っている。また、内側板6は、上方空間dと他側方の空間bとを仕切っている。なお、下方空間cと他側方の空間bとは連通している。
【0054】
貯水容器11は、一側方の空間a下部と他側方の空間b下部に配置されている。貯水容器11は、下方空間cの下部から給水タンク13の収納空間となる他側方の空間bの下部にかけて、上方を開口し一定水位の水を貯水するトレーで構成されている。
【0055】
下方空間cに位置する貯水容器11には、上下方向に開口した枠状の加湿フィルター12Pが、その下部を水に浸漬し上端部を中央連通口2の周囲に当接させて、載置されている。
【0056】
他側方の空間bは、本体ケース1の天面に形成されたタンク側天面1fの下方に形成され、貯水容器11に給水する給水タンク13が収納される。給水タンク13は、タンク側天面1fを開いて他側方の空間bに挿入され、配設された貯水容器11の開口部に着脱自在に装着される。
【0057】
貯水容器11、加湿フィルター12P、及び給水タンク13によって加湿手段14が構成される。
【0058】
図4は、同加湿装置の本体ケース内を示す後方から見た斜視図である。
【0059】
下方空間cには図2で示す下部吸込口16が位置し、上方空間dには図2で示す上部吸込口15が位置する。導風筒9の外周部に形成される上方空間dは吸込風路18を構成する。
【0060】
加湿フィルター12Pは、上下面を開口とした枠状にフィルター材を配置して形成される。
【0061】
枠状をなす加湿フィルター12Pの空気吸込面のうち、後側吸込面12aは図2で示す下部吸込口16に位置する。なお、空気吸込面のうち、後側吸込面(図示せず)及び一方の側方吸込面12bには、吸込風路18から室内空気が流入する。また、他方の側方吸込面(図示せず)には、給水タンク13が配置される他側方の空間bから室内空気が流入する。他側方の空間bには、ケース背面1cに設けた上部吸込口15及び下部吸込口16から室内空気が流入する。
【0062】
図5は、同加湿装置の本体ケース内を示す前方から見た斜視図である。
【0063】
仕切部3には、本体ケース1のケース前面1a側に前方連通口19を形成し、ケース側面1b側に側方連通口20を形成している。
【0064】
前方連通口19は、上方空間dと、下方空間cとを連通している。側方連通口20は、上方空間dと下方空間cとを連通ししている。そして、上方空間dによって、上部吸込口15から前方連通口19及び側方連通口20に至る吸込風路18が形成される。
【0065】
図6は、同加湿装置の本体ケース内を示す一部破断斜視図である。
【0066】
加湿フィルター12Pは、吸込口17から中央連通口2に至る風路に配置している。加湿フィルター12Pは、上下面を開口とした枠状にフィルター材を配置している。
【0067】
中央連通口2は、上方空間dの中央部に配置され、導風筒9は円弧状の外周面を備えて筒状に形成されている。
【0068】
導風筒9は、下方に向かうにしたがって拡大する形状としている。
【0069】
次に、同加湿装置の運転について説明する。
【0070】
電源を入れて同加湿装置を運転すると、送風手段8が動作し、室内空気が上部吸込口15及び下部吸込口16から吸い込まれる。
【0071】
一側方の空間aを形成するケース背面1cの下部吸込口16から吸い込まれた室内空気は、加湿フィルター12Pの後方側の下方空間cに吸い込まれる。
【0072】
また、一側方の空間aを形成するケース背面1cの上部吸込口15から吸い込まれた室内空気は、吸込風路18から前方連通口19と側方連通口20に至る。
【0073】
前方連通口19からの室内空気は、加湿フィルター12Pの前方側の下方空間cに流入する。また、側方連通口20からの室内空気は、加湿フィルター12Pの一側方の下方空間cに流入する。
【0074】
このとき、導風筒9は上方空間dの中央部に円弧状の外周面を備えて設けているので、吸込風路18における通風流は、吸込風路18中で一方に偏ることなく円弧状の外周面に沿う滑らかな流れとなる。さらに、導風筒9は下方に向かうにしたがって広がる形状をしているので、吸込風路18における通風流は、前方連通口19と側方連通口20とに滑らかに流れるように案内される。
【0075】
また、室内空気は、他側方の空間bを形成するケース背面1cの上部吸込口15と下部吸込口16から、他側方の空間bに流入する。他側方の空間bに流入した室内空気は、加湿フィルター12Pの他側方の下方空間cに流入する。
【0076】
そして、加湿フィルター12Pの全周の下方空間cに流入した室内空気は、枠状の加湿フィルター12Pの内側空間21に吸い込まれる。このとき、加湿フィルター12Pは、全周から空気を吸い込み、かつ、上端開口部は仕切部3に当接しているので、加湿フィルター12Pの吸込面には全周にわたって送風手段8の吸気による負圧がほぼ均等にかかり、加湿フィルター12Pにおける通気特性が向上する。
【0077】
そして、加湿フィルター12Pの吸込面を通過して内側空間21に吸い込まれることで加湿された空気は、送風手段8によって吹出口10から室内に吹き出される。
【0078】
このように本実施の形態1の加湿装置では、吸込口17は、平面視長円形状の本体ケース1の背面に側端部近くまで形成されるので、湾曲した形状となって平面に比べて広く開口できる。また、吸込口17は、下方空間cに臨む開口からなる下部吸込口16に加えて、下方空間cに前方および側方から連通する上部吸込口15を形成しているので、左右および上下の方向に広く形成される。
【0079】
そして、上記のように加湿フィルター12Pには、その前後左右の4方向から流入した空気が吸い込まれるので、通気特性が良好なものとなって気化効率が向上する。しかも、これらの4方向からの室内空気は本体ケース1の背面側のみに設けた吸込口17から吸い込まれて流入するので、本体ケース1の前方側に位置する使用者に伝播する騒音を低減させることができるとともに、吸込口17は本体ケース1の前方側から使用者の目に入らないので、製品の外観が良好なものとなる。
【0080】
なお、本実施の形態で用いた加湿フィルター12Pは、全周にフィルター材を配置した枠状としたが、枠状の一部がフィルター材以外の部材で閉塞されていてもよい。
【0081】
(実施の形態2)
図7は、本発明の実施の形態2の加湿装置の本体ケース内を示す一部破断斜視図である。なお、上記実施の形態と同一部材には同一符号を付して説明を一部省略する。
【0082】
実施の形態1では、上下面を開口とした枠状にフィルター材を配置した加湿フィルター12Pを用いたが、実施の形態2では、板状にフィルター材を配置した加湿フィルター12Qを用いる。
【0083】
板状にフィルター材を配置した加湿フィルター12Qを用いる場合には、加湿フィルター12Qに対向する本体ケース1の面に吸込口(下部吸込口)16を設けることが好ましい。従って、実施の形態1で説明した上部吸込口15や吸込風路18は本実施の形態では必要としない。
【0084】
ただし、加湿フィルター12Qを下部吸込口16に対向させずに設けてもよい。例えば、加湿フィルター12Qを、本体ケース1の前面や側面に配置した場合には、実施の形態1で説明した吸込風路18によって、上部吸込口15から加湿フィルター12Qに室内空気を導くことが好ましい。
【0085】
下部吸込口16から吸い込まれるすべての室内空気は、加湿フィルター12Qを通過して中央連通口2に導かれる。
【0086】
本実施の形態によれば、加湿フィルター12Qでの均一な空気流れを実現でき、加湿性能が向上するとともに空気流れの乱れによる騒音を低減できる。そして、加湿性能の向上によって省エネ化を図れるとともに、整流効果によって送風手段の効率化を図ることができる。
【0087】
なお、加湿フィルター12Qは、一部又は全部が湾曲した板状であってもよい。
【0088】
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3の加湿装置の本体ケース内を示す一部破断斜視図である。なお、上記実施の形態と同一部材には同一符号を付して説明を一部省略する。
【0089】
実施の形態1では、上下面を開口とした枠状にフィルター材を配置した加湿フィルター12Pを用いたが、実施の形態3では、中央連通口2を覆う加湿フィルター12Rを用いている。加湿フィルター12Rは、平面視で円形又は多角形の外形からなる板状のフィルター材で形成する。加湿フィルター12Rには、加湿水供給手段22によって給水する。加湿水供給手段22は、吸水材で形成され、下端部を貯水容器11内の水に浸漬し、上端部を加湿フィルター12Rに接続している。
【0090】
なお、加湿水供給手段22は、中央連通口2の上流側と下流側との差圧を用いたものであってもよく、ポンプ機能によるものでもよい。
【0091】
本実施の形態によれば、実施の形態1に比較して、均一な空気流れを実現でき加湿性能が向上するとともに空気流れの乱れによる騒音を低減できる。そして、加湿性能の向上によって省エネ化を図れるとともに、整流効果によって送風手段の効率化を図ることができる。
【0092】
また本実施の形態によれば、加湿水供給手段を、吸水材で形成したことで確実に安定して給水を行うことができる。
【0093】
(実施の形態4)
図9は、本発明の実施の形態4の加湿装置の本体ケース内を示す一部破断斜視図である。なお、上記実施の形態と同一部材には同一符号を付して説明を一部省略する。
【0094】
実施の形態1では、上下面を開口とした枠状にフィルター材を配置した加湿フィルター12Pを用いたが、実施の形態4では、上面を開口とした有底筒状にフィルター材を配置した加湿フィルター12Sを用いている。加湿フィルター12Sは、開口とした上面を中央連通口2に配置している。加湿フィルター12Sには、加湿水供給手段22によって給水する。加湿水供給手段22は、吸水材で形成され、下端部を貯水容器11内の水に浸漬し、上端部を加湿フィルター12Sに接続している。
【0095】
なお、加湿水供給手段22は、中央連通口2の上流側と下流側との差圧を用いたものであってもよく、ポンプ機能によるものでもよい。
【0096】
本実施の形態によれば、実施の形態3に比較して、フィルター材の表面積を大きくでき、均一な空気流れを実現でき加湿性能が向上するとともに空気流れの乱れによる騒音を低減できる。そして、加湿性能の向上によって省エネ化を図れるとともに、整流効果によって送風手段の効率化を図ることができる。
【0097】
また本実施の形態によれば、加湿水供給手段を、吸水材で形成したことで確実に安定して給水を行うことができる。
【0098】
(実施の形態5)
図10は、本発明の実施の形態5の加湿装置の本体ケース内を示す一部破断斜視図である。なお、上記実施の形態と同一部材には同一符号を付して説明を一部省略する。
【0099】
実施の形態1では、上下面を開口とした枠状にフィルター材を配置した加湿フィルター12Pを用いたが、実施の形態5では、加湿フィルター12Pの上面開口をフィルター材で閉塞した加湿フィルター12Tを用いている。
【0100】
本実施の形態によれば、実施の形態1に比較して、フィルター材を上面にも配置することで、フィルター材を分散できるので、加湿フィルター12Tは加湿フィルター12Pよりも小型化することができる。
【0101】
(実施の形態6)
図11は、本発明の実施の形態6の加湿装置の本体ケース内を示す一部破断斜視図である。なお、上記実施の形態と同一部材には同一符号を付して説明を一部省略する。
【0102】
実施の形態2では、板状にフィルター材を配置した加湿フィルター12Qを用いたが、実施の形態6では、この加湿フィルター12Qを鉛直面に対して傾けて配置したものである。
【0103】
加湿フィルター12Qは、下端を中央連通口2の中心に近くなるように傾けることが好ましい。
【0104】
本実施の形態によれば、実施の形態2よりもさらに、フィルター材の表面積を大きくでき、加湿フィルター12Qでの均一な空気流れを実現でき、加湿性能が向上するとともに空気流れの乱れによる騒音を低減できる。そして、加湿性能の向上によって省エネ化を図れるとともに、整流効果によって送風手段の効率化を図ることができる。
【0105】
なお、加湿フィルター12Qは、一部又は全部が湾曲した板状であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明に係る加湿装置は、騒音の増大を抑えた上で、製品の外観を損なうことなく、加湿フィルターの前後方向から通風して、加湿フィルターの気化効率を向上させることができる、という効果を有し、室内に置かれる加湿装置として有用である。
【符号の説明】
【0107】
1 本体ケース
2 中央連通口
3 仕切部
8 送風手段
8a ファン吸気口
9 導風筒
10 吹出口
11 貯水容器
12P 加湿フィルター
12Q 加湿フィルター
12R 加湿フィルター
12S 加湿フィルター
12T 加湿フィルター
13 給水タンク
14 加湿手段
15 上部吸込口
16 下部吸込口
17 吸込口
18 吸込風路
19 前方連通口
20 側方連通口
a 一側方の空間
b 他側方の空間
c 下方空間
d 上方空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
幅寸法が奥行き寸法より大きな本体ケースの内部に、送風手段と、貯水する貯水容器と、前記貯水容器から吸水する加湿フィルターと、前記貯水容器に水を供給する給水タンクとを備え、前記送風手段を、前記本体ケースの一側方の空間に配置し、前記給水タンクを、前記本体ケースの他側方の空間に配置し、前記貯水容器を、前記一側方の空間下部と前記他側方の空間下部に配置し、前記本体ケースのケース背面又はケース側面の少なくとも一方に吸込口を形成し、前記本体ケースのケース天面に吹出口を形成した加湿装置であって、前記ケース天面を、前記一側方の空間上部を覆う送風側天面と、前記他側方の空間上部を覆うタンク側天面とで構成し、前記送風手段を、ファン吸気口を下方としてモータ部を前記送風側天面に取り付け、前記吹出口を、平面視で前記モータ部の配設位置以外となる前記送風側天面に配置し、前記送風手段の下方に導風筒を設け、前記導風筒によって、加湿空気を前記ファン吸気口に導く中央連通口を形成し、前記吸込口から前記中央連通口に至る風路に、前記加湿フィルターを配置したことを特徴とする加湿装置。
【請求項2】
前記一側方の空間を、仕切部によって下方空間と上方空間とに仕切り、前記上方空間が前記導風筒の外周部に形成され、上下面を開口とした枠状にフィルター材を配置して前記加湿フィルターを形成し、前記加湿フィルターを前記下方空間に配置するとともに前記貯水容器内に載置し、前記吸込口を、上下方向に上部吸込口と下部吸込口とに2分割し、前記下部吸込口を前記下方空間に臨んで開口し、前記上部吸込口を前記上方空間に臨んで開口し、前記仕切部が、前記本体ケースのケース前面側に前方連通口を形成し、前記前方連通口によって、前記上方空間と前記下方空間とを連通し、前記上方空間によって、前記上部吸込口から前記前方連通口に至る吸込風路が形成されることを特徴とする請求項1に記載の加湿装置。
【請求項3】
前記吸込口を前記ケース背面に形成し、前記仕切部が、前記ケース側面側に側方連通口を形成し、前記側方連通口によって、前記上方空間と前記下方空間とを連通したことを特徴とする請求項2に記載の加湿装置。
【請求項4】
前記本体ケースを、平面視で長円形状としたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項5】
前記吸込口を、前記一側方の空間を形成する前記ケース背面と、前記他側方の空間を形成する前記ケース背面とに形成したことを特徴とする請求項2から請求項4に記載の加湿装置。
【請求項6】
前記中央連通口を前記上方空間の中央部に配置し、前記導風筒が円弧状の外周面を備えて筒状に形成されたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の加湿装置。
【請求項7】
前記導風筒を、下方に向かうにしたがって拡大する形状としたことを特徴とする請求項6に記載の加湿装置。
【請求項8】
板状にフィルター材を配置して前記加湿フィルターを形成したことを特徴とする請求項1に記載の加湿装置。
【請求項9】
前記中央連通口を前記加湿フィルターで覆い、前記貯水容器の前記水を前記加湿フィルターに供給する加湿水供給手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の加湿装置。
【請求項10】
上面を開口とした有底筒状にフィルター材を配置して前記加湿フィルターを形成し、
前記貯水容器の前記水を前記加湿フィルターに供給する加湿水供給手段を設けたことを特徴とする請求項1に記載の加湿装置。
【請求項11】
前記加湿水供給手段を、吸水材で形成したことを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の加湿装置。
【請求項12】
前記加湿フィルターの上面の前記開口を前記フィルター材で閉塞したことを特徴とする請求項2に記載の加湿装置。
【請求項13】
前記加湿フィルターを鉛直面に対して傾けて配置したことを特徴とする請求項8に記載の加湿装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−11433(P2013−11433A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−105722(P2012−105722)
【出願日】平成24年5月7日(2012.5.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】