説明

加湿装置

【課題】フィルター材の表面積を増加させ、加湿フィルターの通気特性が向上し、気化効率を向上させた加湿装置を提供すること。
【解決手段】本体ケース1の内部に、送風手段8と、貯水する貯水容器11と、貯水容器11から吸水する加湿フィルター12と、貯水容器11に水を供給する給水タンク13とを備え、加湿フィルター12を、柔軟性を有するフィルター材30と、フィルター材30の一端を保持する第1の保持材40と、フィルター材30の他端を保持する第2の保持材50とで構成し、フィルター材30を第1の保持材40と第2の保持材50との間に配置する加湿装置であって、フィルター材30の自然寸法を、第1の保持材40と第2の保持材50との間に配置した状態でのフィルター材30の寸法よりも大きくしたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯水容器に貯水した水に一部を浸漬した加湿フィルターに通風して加湿する気化式の加湿装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の加湿装置において、室内の空気を本体に広く形成した吸込口から吸い込み、本体内に配設した加湿フィルターに広い面から通過させて、通気特性を向上させるとともに、加湿フィルターの気化効率を向上させたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
以下、特許文献1に記載の加湿器について説明する。
【0004】
上面に吹出開口が開設された角柱状の筐体を有する加湿器の内部に、貯水した水受け水槽と、水受け水槽の水にその下端部が浸されるように配置された平面視略四角形状の加湿用吸水体と、水受け水槽に水を供給する給水タンクとを配設している。
【0005】
そして、本体には、両側面および後面に空気取入口を開設し、空気取入口から吹出開口につながる風路に吹出用送風機を設け、空気取入口から本体内に導入された室内空気が加湿用吸水体の外表面から内側の空間に導かれた後、加湿空気が吹出用送風機を介して室内に吹き出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−89895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このような特許文献1に記載の加湿器では、空気取入口は、本体の両側面および後面に開設され、広い面積で多方向の開口から加湿用吸水体に室内空気が送風される。しかし、開口する本体の側面の数が多いので騒音が増大する。また、両側面の空気取入口は本体の前方から使用者の目に入る位置に形成されているので製品の外観上好ましくない。さらに、製品を室内に置いたとき、室内の調度品や壁面に塞がれることとなり得る空気取入口の形成面が増えて、通気特性が低下する場合が多い。
【0008】
そこで、本発明は、上記従来の課題を解決して、フィルター材の表面積を増加させることにより、加湿フィルターの通気特性が向上し、気化効率を向上させた加湿装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そして、この目的を達成するために、本発明の加湿装置は、本体ケースの内部に、送風手段と、貯水する貯水容器と、前記貯水容器から吸水する加湿フィルターと、前記貯水容器に水を供給する給水タンクとを備え、前記加湿フィルターを、柔軟性を有するフィルター材と、前記フィルター材の一端を保持する第1の保持材と、前記フィルター材の他端を保持する第2の保持材とで構成し、前記フィルター材を前記第1の保持材と前記第2の保持材との間に配置する加湿装置であって、前記フィルター材の自然寸法を、前記第1の保持材と前記第2の保持材との間に配置した状態での前記フィルター材の寸法よりも大きくしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、第1の保持材と第2の保持材との間の寸法よりも大きなフィルター材を用いることで、フィルター材の表面積が増加し、加湿量を増加させることができる。
【0011】
また、本発明によれば、スムーズな空気流れを実現でき、吹出口を大きく形成できるため均一な空気流れを実現でき、加湿性能が向上するとともに空気流れの乱れによる騒音を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態1の加湿装置をケース前面側から見た斜視図
【図2】同加湿装置をケース背面側から見た斜視図
【図3】同加湿装置の縦断面図
【図4】同加湿装置の本体ケース内を示す後方から見た斜視図
【図5】同加湿装置の本体ケース内を示す前方から見た斜視図
【図6】同加湿装置の本体ケース内を示す一部破断斜視図
【図7】同加湿装置の加湿フィルターを示す斜視図
【図8】同加湿フィルターの分解斜視図
【図9】同加湿フィルターの装着時の状態を示すイメージ図
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の第1の実施の形態による加湿装置は、フィルター材の自然寸法を、第1の保持材と第2の保持材との間に配置した状態でのフィルター材の寸法よりも大きくしたものである。
【0014】
本実施の形態によれば、第1の保持材と第2の保持材との間の寸法よりも大きなフィルター材を用いることで、フィルター材の表面積が増加し、加湿量を増加させることができる。
【0015】
また本発明の第2の実施の形態による加湿装置は、第1の保持材をフィルター枠、第2の保持材をフィルターカバーとし、フィルター枠を、フィルター材の一端を当接させる底面部と、底面部に立設された柱部と、柱部の端部を連結する天面部とで構成し、柱部を、フィルター材の一方の面側に位置する第1の柱部と、フィルター材の他方の面側に位置する第2の柱部とで構成し、第1の柱部と第2の柱部との間にフィルター材を配置し、天面部にフィルターカバーを係合するものである。
【0016】
本実施の形態によれば、第1の柱部と第2の柱部とによってフィルター材の面方向が規制され、フィルター材の他端をフィルターカバーで押さえることで、フィルター材を第1の保持材と第2の保持材との間に配置するため、第1の保持材と第2の保持材との間の寸法よりも大きなフィルター材の装着を容易に行うことができる。
【0017】
また本発明の第3の実施の形態による加湿装置は、フィルター材の一端を底面部に当接させた状態では、フィルター材の他端は天面部よりも高く、天面部にフィルターカバーを係合することで、フィルター材の面を湾曲させるものである。
【0018】
本実施の形態によれば、フィルター材の装着を容易に行えるとともに、フィルター材の面を適正に湾曲させることができ、フィルター材の湾曲によって、圧力損失を増加させることなくフィルター材の表面積を増加させることができる。
【0019】
また本発明の第4の実施の形態による加湿装置は、フィルター材が、少なくとも第1のフィルター面体と第2のフィルター面体とから構成され、第1のフィルター面体を第1の柱部側に配置し、第2のフィルター面体を第2の柱部側に配置し、第1のフィルター面体の一端と第2のフィルター面体の一端とは底面部に当接し、第1のフィルター面体の他端と第2のフィルター面体の他端とはフィルターカバーによって押圧されるものである。
【0020】
本実施の形態によれば、フィルターカバーによって押圧されることで、第1のフィルター面体と第2のフィルター面体との間にも空間が形成され、圧力損失を増加させることなくフィルター材の表面積を増加させることができる。
【0021】
また本発明の第5の実施の形態による加湿装置は、送風手段を、本体ケースの一側方の空間に配置し、給水タンクを、本体ケースの他側方の空間に配置し、貯水容器を、一側方の空間下部と他側方の空間下部に配置し、本体ケースのケース背面又はケース側面の少なくとも一方に吸込口を形成し、本体ケースのケース天面に吹出口を形成し、ケース天面を、一側方の空間上部を覆う送風側天面と、他側方の空間上部を覆うタンク側天面とで構成し、送風手段を、ファン吸気口を下方としてモータ部を送風側天面に取り付け、吹出口を、平面視でモータ部の配設位置以外となる送風側天面に配置し、送風手段の下方に導風筒を設け、導風筒によって、加湿空気をファン吸気口に導く中央連通口を形成し、吸込口から中央連通口に至る風路に、加湿フィルターを配置し、一側方の空間を、仕切部によって下方空間と上方空間とに仕切り、上方空間が導風筒の外周部に形成され、上下面を開口とした枠状にフィルター材を配置して加湿フィルターを形成し、加湿フィルターを下方空間に配置するとともに貯水容器内に載置し、吸込口を、上下方向に上部吸込口と下部吸込口とに2分割し、下部吸込口を下方空間に臨んで開口し、上部吸込口を上方空間に臨んで開口し、仕切部が、本体ケースのケース前面側に前方連通口を形成し、前方連通口によって、上方空間と下方空間とを連通し、上方空間によって、上部吸込口から前方連通口に至る吸込風路が形成されるものである。
【0022】
本実施の形態によれば、加湿フィルターにおける室内空気の通風は、本体ケースの裏面側である背面に形成された下部吸込口と上部吸込口から室内空気が吸い込まれ、加湿フィルターの後方側と前方側の両方向から加湿フィルターに通風され、吸込口が裏面側のみとなることで、騒音の増大を抑えた上で、製品の外観を損なうことなく、かつ、加湿フィルターの前後方向から通風して、加湿フィルターの気化効率を向上させることができる。
【0023】
また、本実施の形態によれば、前方のフィルター材では、前方連通口から通風されるため、フィルター材の他端側からの流れとなるが、フィルター材が湾曲されているため、圧力損失を少なくし、加湿量を増加させることができる。
【0024】
また本発明の第6の実施の形態による加湿装置は、吸込口をケース背面に形成し、
仕切部が、ケース側面側に側方連通口を形成し、
側方連通口によって、上方空間と下方空間とを連通したものである。
【0025】
本実施の形態によれば、加湿フィルターには、側方からも通風されることとなり、加湿フィルターの気化効率がより向上する。
【0026】
また、本実施の形態によれば、側方のフィルター材では、側方連通口から通風されるため、フィルター材の他端側からの流れとなるが、フィルター材が湾曲されているため、圧力損失を少なくし、加湿量を増加させることができる。
【0027】
また本発明の第7の実施の形態による加湿装置は、フィルター材を不織布で構成したものである。
【0028】
本実施の形態によれば、柔軟性とともに吸水性にも優れるので、圧力損失を少なくし、加湿量を増加させることができる。
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
【0030】
図1は、本発明の実施の形態1の加湿装置をケース前面側から見た斜視図である。
【0031】
本実施の形態による加湿装置は、幅寸法Wが奥行き寸法Lより大きな本体ケース1で覆われている。本体ケース1は、ケース前面1a、一側方のケース側面1b、ケース背面1c、及び他側方のケース側面1dによって側面が覆われている。また本体ケース1の天面は、一側方の空間上部を覆う送風側天面1eと、他側方の空間上部を覆うタンク側天面1fとで覆われ、天面外形は、平面視で長円形状としている。
【0032】
送風側天面1eには、吹出口10を形成している。吹出口10は、タンク側天面1fと接する外縁以外の送風側天面1eの外縁に沿って、U字状に設けている。
【0033】
図2は、同加湿装置をケース背面側から見た斜視図である。
【0034】
同加湿装置は、ケース背面1cの全幅にわたって吸込口17を設けている。吸込口17は、上下方向に上部吸込口15と下部吸込口16とに2分割されている。
【0035】
図3は、同加湿装置の縦断面図である。
【0036】
同加湿装置は、本体ケース1の内部に、送風手段8と、貯水する貯水容器11と、貯水容器11から吸水する加湿フィルター12と、貯水容器11に水を供給する給水タンク13とを備えている。
【0037】
送風手段8は、本体ケース1の一側方の空間aに配置している。給水タンク13は、本体ケース1の他側方の空間bに配置している。他側方の空間bは、給水タンク13の収納空間を形成している。
【0038】
送風手段8は、ファン吸気口8aを構成する筒状部材8bと、複数の羽根8cを立設する回転体8dと、モータ部8eとから構成される。筒状部材8bは羽根8cと接合されている。従って、モータ部8eの駆動によって、筒状部材8bは回転体8dとともに回転する。
【0039】
送風手段8は、ファン吸気口8aを下方としてモータ部8eを送風側天面1eの下面に取り付けている。モータ部8eは、送風側天面1eの中央に配置し、図1及び図2に示す吹出口10は、平面視でモータ部8eの配設位置以外となる送風側天面1eに配置している。
【0040】
送風手段8の下方には、導風筒9を設けている。導風筒9は、加湿空気をファン吸気口8aに導く中央連通口2を形成している。中央連通口2の外周には仕切部3が形成されている。
【0041】
導風筒9は、円弧状の外周面を備えた筒状で、さらに、下方に向かうにしたがって広がる形状に形成され、送風手段8の下方の空間となる上方空間dに位置し、一側方の空間aの水平面の中央部に位置している。
【0042】
一側方の空間aは、仕切部3によって下方空間cと上方空間dとに仕切られる。上方空間dは、導風筒9の外周部に形成される。なお、下部吸込口16は下方空間cに臨んで開口し、上部吸込口15は上方空間dに臨んで開口している。
【0043】
本体ケース1の一側方の空間aと、本体ケース1の他側方の空間bとの間には、内側板6が縦方向に配設されている。内側板6は、本体ケース1の天面から仕切部3の間に設けられている。従って、内側板6は、送風手段8の風路と他側方の空間bとを仕切っている。また、内側板6は、上方空間dと他側方の空間bとを仕切っている。なお、下方空間cと他側方の空間bとは連通している。
【0044】
貯水容器11は、一側方の空間a下部と他側方の空間b下部に配置されている。貯水容器11は、下方空間cの下部から給水タンク13の収納空間となる他側方の空間bの下部にかけて、上方を開口し一定水位の水を貯水するトレーで構成されている。
【0045】
下方空間cに位置する貯水容器11には、上下方向に開口した枠状の加湿フィルター12が、その下部を水に浸漬し上端部を中央連通口2の周囲に当接させて、載置されている。
【0046】
他側方の空間bは、本体ケース1の天面に形成されたタンク側天面1fの下方に形成され、貯水容器11に給水する給水タンク13が収納される。給水タンク13は、タンク側天面1fを開いて他側方の空間bに挿入され、配設された貯水容器11の開口部に着脱自在に装着される。
【0047】
貯水容器11、加湿フィルター12、及び給水タンク13によって加湿手段14が構成される。
【0048】
図4は、同加湿装置の本体ケース内を示す後方から見た斜視図である。
【0049】
下方空間cには図2で示す下部吸込口16が位置し、上方空間dには図2で示す上部吸込口15が位置する。導風筒9の外周部に形成される上方空間dは吸込風路18を構成する。
【0050】
加湿フィルター12は、上下面を開口とした枠状にフィルター材を配置して形成される。
【0051】
枠状をなす加湿フィルター12の空気吸込面のうち、後側吸込面12aは図2で示す下部吸込口16に位置する。なお、空気吸込面のうち、後側吸込面(図示せず)及び一方の側方吸込面12bには、吸込風路18から室内空気が流入する。また、他方の側方吸込面(図示せず)には、給水タンク13が配置される他側方の空間bから室内空気が流入する。他側方の空間bには、ケース背面1cに設けた上部吸込口15及び下部吸込口16から室内空気が流入する。
【0052】
図5は、同加湿装置の本体ケース内を示す前方から見た斜視図である。
【0053】
仕切部3には、本体ケース1のケース前面1a側に前方連通口19を形成し、ケース側面1b側に側方連通口20を形成している。
【0054】
前方連通口19は、上方空間dと、下方空間cとを連通している。側方連通口20は、上方空間dと下方空間cとを連通ししている。そして、上方空間dによって、上部吸込口15から前方連通口19及び側方連通口20に至る吸込風路18が形成される。
【0055】
図6は、同加湿装置の本体ケース内を示す一部破断斜視図である。
【0056】
加湿フィルター12は、吸込口17から中央連通口2に至る風路に配置している。加湿フィルター12は、上下面を開口とした枠状にフィルター材を配置している。
【0057】
中央連通口2は、上方空間dの中央部に配置され、導風筒9は円弧状の外周面を備えて筒状に形成されている。
【0058】
導風筒9は、下方に向かうにしたがって拡大する形状としている。
【0059】
図7は、同加湿装置の加湿フィルターを示す斜視図である。
【0060】
加湿フィルター12は、柔軟性を有するフィルター材30と、フィルター材30の一端を保持する第1の保持材40と、フィルター材30の他端を保持する第2の保持材50とで構成している。
【0061】
フィルター材30は、不織布で構成し、柔軟性と吸水性を有する。
【0062】
フィルター材30は、柔軟性と吸水性を有するものであれば、不織布でなくてもよい。
【0063】
フィルター材30は第1の保持材40と第2の保持材50との間に配置される。
【0064】
第1の保持材40はフィルター枠、第2の保持材50はフィルターカバーとして構成している。
【0065】
図8は、同加湿フィルターの分解斜視図である。
【0066】
フィルター枠である第1の保持材40は、フィルター材30の一端30aを当接させる底面部41と、底面部41に立設された柱部42と、柱部42の端部を連結する天面部43とで構成している。
【0067】
柱部42は、フィルター材30の一方の面側に位置する第1の柱部42outと、フィルター材30の他方の面側に位置する第2の柱部42inとで構成している。
【0068】
フィルター材30は、第1の柱部42outと第2の柱部42inとの間に配置される。
【0069】
天面部43は、複数の第1の柱部42outの端部を連結する第1の天面部43outと、複数の第2の柱部42inの端部を連結する第2の天面部43inとで構成している。
【0070】
天面部43の第1の天面部43outには、爪44が形成されている。
【0071】
フィルターカバーである第2の保持材50は、第1の天面部43outと第2の天面部43inとの間を閉塞し、第2の天面部43inの内側に形成される空間を開放するように、リング状板材で構成されている。
【0072】
フィルターカバーである第2の保持材50には、爪44が係合する孔51が形成されている。
【0073】
フィルター材30は、少なくとも第1のフィルター面体31と第2のフィルター面体32とから構成されている。本実施例では二つのフィルター面体として説明するが、三つ以上で構成してもよい。
【0074】
第1のフィルター面体31は第1の柱部42out側に配置され、第2のフィルター面体32は第2の柱部42in側に配置される。
【0075】
第1のフィルター面体31の一端と第2のフィルター面体32の一端とは接合され、フィルター材30の一端30aを構成している。フィルター材30の一端30aは、装着時には底面部41に当接する。
【0076】
第1のフィルター面体31の他端31aと第2のフィルター面体32の他端32aとは接合していない。
【0077】
第1のフィルター面体31は、複数の開口を有する第1基材と、複数の開口を有する第2基材とを、互いの開口を複数の連結繊維にて連結して形成された三次元構造体からなる面体である。第1基材および第2基材は、例えば樹脂材料による繊維部材により形成されている、連結繊維は、第1基材および第2基材よりも高い柔軟性を有していることが好ましい。連結繊維は、吸水性及び保水性を有する。連結繊維の表面は、撥水性を有する添着材を担持させることにより凹凸が形成されている。第1基材および第2基材の開口が略円形状または多角形状に形成され、その直径または最長対角線が2mm以上であり、第1基材の開口と第2基材の開口との距離であるフィルタ基材の厚みは5mm以上で、連結繊維の直径は1mm以上である。なお、第2のフィルター面体32についても第1のフィルター面体31と同一構成である。
【0078】
フィルター材30の自然寸法Laは、フィルター枠である第1の保持材40とフィルターカバーである第2の保持材50との間に配置した状態でのフィルター材30の寸法Lbよりも大きくしている。
【0079】
ここで、寸法Lbは、天面部43にフィルターカバーである第2の保持材50を係合した状態での、底面部41からフィルターカバーである第2の保持材50までの高さ寸法である。
【0080】
従って、フィルター材30の一端30aを底面部41に当接させた状態では、第1のフィルター面体31の他端31aと第2のフィルター面体32の他端32aは天面部43よりも高くなる。
【0081】
そして、天面部43にフィルターカバーである第2の保持材50を係合することで、第1のフィルター面体31の他端31aと第2のフィルター面体32の他端32aとは、フィルターカバーである第2の保持材50によって押圧される。
【0082】
図9は、同加湿フィルターの装着時の状態を示すイメージ図である。
【0083】
図に示すように、天面部43にフィルターカバーである第2の保持材50を係合することで、フィルター材30の面は湾曲する。
【0084】
本実施の形態では、フィルター材30を枠状に形成しているので、フィルター材30の面は外周方向に湾曲する。
【0085】
すなわち、第1のフィルター面体31、及び第2のフィルター面体32は、高さ方向の中央部が外周方向に突出するように湾曲し、第1のフィルター面体31と第2のフィルター面体32との間にも空隙を生じる。
【0086】
次に、同加湿装置の運転について説明する。
【0087】
電源を入れて同加湿装置を運転すると、送風手段8が動作し、室内空気が上部吸込口15及び下部吸込口16から吸い込まれる。
【0088】
一側方の空間aを形成するケース背面1cの下部吸込口16から吸い込まれた室内空気は、加湿フィルター12の後方側の下方空間cに吸い込まれる。
【0089】
また、一側方の空間aを形成するケース背面1cの上部吸込口15から吸い込まれた室内空気は、吸込風路18から前方連通口19と側方連通口20に至る。
【0090】
前方連通口19からの室内空気は、加湿フィルター12の前方側の下方空間cに流入する。また、側方連通口20からの室内空気は、加湿フィルター12の一側方の下方空間cに流入する。
【0091】
このとき、導風筒9は上方空間dの中央部に円弧状の外周面を備えて設けているので、吸込風路18における通風流は、吸込風路18中で一方に偏ることなく円弧状の外周面に沿う滑らかな流れとなる。さらに、導風筒9は下方に向かうにしたがって広がる形状をしているので、吸込風路18における通風流は、前方連通口19と側方連通口20とに滑らかに流れるように案内される。
【0092】
また、室内空気は、他側方の空間bを形成するケース背面1cの上部吸込口15と下部吸込口16から、他側方の空間bに流入する。他側方の空間bに流入した室内空気は、加湿フィルター12の他側方の下方空間cに流入する。
【0093】
そして、加湿フィルター12の全周の下方空間cに流入した室内空気は、枠状の加湿フィルター12の内側空間21に吸い込まれる。このとき、加湿フィルター12は、全周から空気を吸い込み、かつ、上端開口部は仕切部3に当接しているので、加湿フィルター12の吸込面には全周にわたって送風手段8の吸気による負圧がほぼ均等にかかり、加湿フィルター12における通気特性が向上する。
【0094】
そして、加湿フィルター12の吸込面を通過して内側空間21に吸い込まれることで加湿された空気は、送風手段8によって吹出口10から室内に吹き出される。
【0095】
このように本実施の形態の加湿装置では、吸込口17は、平面視長円形状の本体ケース1の背面に側端部近くまで形成されるので、湾曲した形状となって平面に比べて広く開口できる。また、吸込口17は、下方空間cに臨む開口からなる下部吸込口16に加えて、下方空間cに前方および側方から連通する上部吸込口15を形成しているので、左右および上下の方向に広く形成される。
【0096】
そして、上記のように加湿フィルター12には、その前後左右の4方向から流入した空気が吸い込まれるので、通気特性が良好なものとなって気化効率が向上する。しかも、これらの4方向からの室内空気は本体ケース1の背面側のみに設けた吸込口17から吸い込まれて流入するので、本体ケース1の前方側に位置する使用者に伝播する騒音を低減させることができるとともに、吸込口17は本体ケース1の前方側から使用者の目に入らないので、製品の外観が良好なものとなる。
【0097】
なお、本実施の形態で用いた加湿フィルター12は、全周にフィルター材を配置した枠状としたが、枠状の一部がフィルター材以外の部材で閉塞されていてもよい。
【0098】
以上のように、本実施の形態によれば、第1の保持材40と第2の保持材50との間の寸法よりも大きなフィルター材30を用いることで、フィルター材30の表面積を増加させることができ、加湿量を増加させることができる。
【0099】
本実施の形態によれば、第1の保持材40と第2の保持材50との間の寸法よりも大きなフィルター材30を用いることで、フィルター材30の表面積を増加させることができ、加湿量を増加させることができる。
【0100】
本実施の形態によれば、第1の柱部42outと第2の柱部42inとによってフィルター材30の面方向が規制され、フィルター材30の他端をフィルターカバーである第2の保持材50で押さえることで、フィルター材30を第1の保持材40と第2の保持材50との間に配置するため、第1の保持材40と第2の保持材50との間の寸法よりも大きなフィルター材30の装着を容易に行うことができる。
【0101】
本実施の形態によれば、フィルター材30の装着を容易に行えるとともに、フィルター材30の面を適正に湾曲させることができ、フィルター材30の湾曲によって、圧力損失を増加させることなくフィルター材30の表面積を増加させることができる。
【0102】
本実施の形態によれば、フィルターカバーである第2の保持材50によって押圧されることで、第1のフィルター面体31と第2のフィルター面体32との間にも空間が形成され、圧力損失を増加させることなくフィルター材30の表面積を増加させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0103】
本発明に係る加湿装置は、騒音の増大を抑えた上で、製品の外観を損なうことなく、加湿フィルターの前後方向から通風して、加湿フィルターの気化効率を向上させることができる、という効果を有し、室内に置かれる加湿装置として有用である。
【符号の説明】
【0104】
1 本体ケース
2 中央連通口
3 仕切部
8 送風手段
8a ファン吸気口
9 導風筒
10 吹出口
11 貯水容器
12 加湿フィルター
13 給水タンク
14 加湿手段
15 上部吸込口
16 下部吸込口
17 吸込口
18 吸込風路
19 前方連通口
20 側方連通口
30 フィルター材
40 第1の保持材
50 第2の保持材
a 一側方の空間
b 他側方の空間
c 下方空間
d 上方空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ケースの内部に、送風手段と、貯水する貯水容器と、前記貯水容器から吸水する加湿フィルターと、前記貯水容器に水を供給する給水タンクとを備え、前記加湿フィルターを、柔軟性を有するフィルター材と、前記フィルター材の一端を保持する第1の保持材と、前記フィルター材の他端を保持する第2の保持材とで構成し、前記フィルター材を前記第1の保持材と前記第2の保持材との間に配置する加湿装置であって、前記フィルター材の自然寸法を、前記第1の保持材と前記第2の保持材との間に配置した状態での前記フィルター材の寸法よりも大きくしたことを特徴とする加湿装置。
【請求項2】
前記第1の保持材をフィルター枠、前記第2の保持材をフィルターカバーとし、前記フィルター枠を、前記フィルター材の一端を当接させる底面部と、前記底面部に立設された柱部と、前記柱部の端部を連結する天面部とで構成し、前記柱部を、前記フィルター材の一方の面側に位置する第1の柱部と、前記フィルター材の他方の面側に位置する第2の柱部とで構成し、前記第1の柱部と前記第2の柱部との間に前記フィルター材を配置し、前記天面部に前記フィルターカバーを係合することを特徴とする請求項1に記載の加湿装置。
【請求項3】
前記フィルター材の前記一端を前記底面部に当接させた状態では、前記フィルター材の前記他端は前記天面部よりも高く、前記天面部に前記フィルターカバーを係合することで、前記フィルター材の前記面を湾曲させることを特徴とする請求項2に記載の加湿装置。
【請求項4】
前記フィルター材が、少なくとも第1のフィルター面体と第2のフィルター面体とから構成され、前記第1のフィルター面体を前記第1の柱部側に配置し、前記第2のフィルター面体を前記第2の柱部側に配置し、前記第1のフィルター面体の一端と前記第2のフィルター面体の一端とは前記底面部に当接し、前記第1のフィルター面体の他端と前記第2のフィルター面体の他端とは前記フィルターカバーによって押圧されることを特徴とする請求項3に記載の加湿装置。
【請求項5】
前記送風手段を、前記本体ケースの一側方の空間に配置し、前記給水タンクを、前記本体ケースの他側方の空間に配置し、前記貯水容器を、前記一側方の空間下部と前記他側方の空間下部に配置し、前記本体ケースのケース背面又はケース側面の少なくとも一方に吸込口を形成し、前記本体ケースのケース天面に吹出口を形成し、前記ケース天面を、前記一側方の空間上部を覆う送風側天面と、前記他側方の空間上部を覆うタンク側天面とで構成し、前記送風手段を、ファン吸気口を下方としてモータ部を前記送風側天面に取り付け、前記吹出口を、平面視で前記モータ部の配設位置以外となる前記送風側天面に配置し、前記送風手段の下方に導風筒を設け、前記導風筒によって、加湿空気を前記ファン吸気口に導く中央連通口を形成し、前記吸込口から前記中央連通口に至る風路に、前記加湿フィルターを配置し、前記一側方の空間を、仕切部によって下方空間と上方空間とに仕切り、前記上方空間が前記導風筒の外周部に形成され、上下面を開口とした枠状に前記フィルター材を配置して前記加湿フィルターを形成し、前記加湿フィルターを前記下方空間に配置するとともに前記貯水容器内に載置し、前記吸込口を、上下方向に上部吸込口と下部吸込口とに2分割し、前記下部吸込口を前記下方空間に臨んで開口し、前記上部吸込口を前記上方空間に臨んで開口し、前記仕切部が、前記本体ケースのケース前面側に前方連通口を形成し、前記前方連通口によって、前記上方空間と前記下方空間とを連通し、前記上方空間によって、前記上部吸込口から前記前方連通口に至る吸込風路が形成されることを特徴とする請求項1から請求項4に記載の加湿装置。
【請求項6】
前記吸込口を前記ケース背面に形成し、前記仕切部が、前記ケース側面側に側方連通口を形成し、前記側方連通口によって、前記上方空間と前記下方空間とを連通したことを特徴とする請求項5に記載の加湿装置。
【請求項7】
前記フィルター材を不織布で構成したことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の加湿装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−11434(P2013−11434A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−105723(P2012−105723)
【出願日】平成24年5月7日(2012.5.7)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】