説明

加熱により液状となるゲル状食品

【課題】常温や冷蔵時ではゲル状であり、加熱することにより融解して飲料となるゲル状食品を提供する。
【解決手段】常温や冷蔵時ではゲル状であり、加熱することにより融解して飲料となるゲル状食品であって、ゲル化剤として、ゼラチン単独で用いるか、もしくは、ゼラチンを必須としてネイティブ型ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム及びカラギナンから選ばれる1種以上とを併用する。更にはゲル状食品の甘味度を0〜10とする。更に上部に他の食品を配合して多構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、常温ではゲル状であり、電子レンジなどで加熱することによりゲルが融解して液状となり、好ましくは、ゲル状食品とは異なる層を加えることにより、加熱融解して多構造の飲料となり、飲料として喫食できる、全く新しいタイプの食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、電子レンジ加熱により温めて喫食するホットゼリーや、また、冷凍食品を電子レンジで解凍して喫食するデザート食品などが知られている。例えば、電子レンジ加熱により温めて喫食するホットゼリーとして、特許文献1には、ゲル化剤にカードランを含有する電子レンジ加熱調理用食品としてホットコーヒーゼリーが、特許文献2には、一度の電子レンジ加熱により、冷製ソースと温かいデザート生地とが得られる冷凍デザート食品として、冷凍ソースのBrix値を15〜35%としたフルーツソースを載せたベルギーワッフルが挙げられている。これらは、ゼリーやデザート自体を融解させるなどの物性を変えることなく、ホット状態で食べることを想定して商品設計されたものである。
【0003】
また、特許文献3には、加熱喫食用二層ゼリーとして、カラギナンとキサンタンガムを併用してなるゲルを上層部とし、ジェランガム、キサンタンガム及びローカストビーンガムとを併用してなるゲルを下層部とし、加熱し、ゼリーが喫食適温となったときに上層部のゲルが粘性を出して溶解し、溶解していない下層部のゲルに絡みつくようにこれを覆った状態となる加熱喫食用二層ゼリーが挙げられている。上層部が加熱により粘性を出してソース状となって下層部のゼリーに覆った状態のデザートとなるが、上層部の粘性のあるソース状のものは飲用には向かず、下層部のゼリーに添えるソースとして食されるものである。
【0004】
更には、ゼラチンをゲル化剤として用いたゼリーなどは従来より商品化されており、ゼラチンゼリーの上にホイップクリームなどを積層した多層デザートも知られている。しかし、これらは全て、ゼリーデザートとしてスプーンなどを用いて喫食するものが主流であり、そのようなゼリーデザートを電子レンジ加熱して溶融してみると、溶解後も粘稠性が見られ、また、50℃付近で再度ゲル化したり、また、飲用とするには甘すぎたりするため、飲用に向いていないものである。
【0005】
そもそも、一般的な飲料の甘味度は、0〜10程度であり、一般的なデザートゼリー・プリンの甘味度は10〜20程度である。その為、デザートゼリーやプリンとして作られたゲルを再融解しても、甘すぎて飲み難い。つまり、飲用目的のものをゲル化させて流通する商品は知られていない。更には、市販されている缶入りやチルド流通の飲料は、例えばコーンポタージュのようにスープの中に固形物が入っているものはあるが、飲料の上にクリームが乗ったような多層の飲料は商業的に作られていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平2−411号公報
【特許文献2】特許第4130918号公報
【特許文献3】特許第3085900号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる事情に鑑みて開発されたものであり、常温や冷蔵状態での流通時にはゲル状であり、電子レンジなどで加熱した際、ゲルが融解して液状となり、温かい間は、再ゲル化が起こることなく、ホットドリンクとして飲用が可能となる全く新規な食品を提供することを目的とする。抹茶飲料やココア飲料などの不溶性粉末を分散させた飲料などにおいては、経時的に不溶性粉末である抹茶やココアが沈降するといった問題が生じるが、ゲル化させることにより、経時的な沈降を防止するといった効果もある。更に好ましくは、ゲル化させることにより上部に別の液状やゲル状の層を作り、多構造とすることが可能となるため、加熱後に融解した際、1つの容器で多層の味わいを楽しめる飲料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねていたところ、常温や冷蔵時ではゲル状であり、加熱することにより融解して液状となるゲル状食品であって、ゲル化剤にゼラチンを必須することにより、電子レンジなどで加熱した際、ゲルが融解して液状となり、温かい間は、再ゲル化が起こることなく、ホットドリンクとして飲用が可能となることを見いだした。また、ゼラチンに、ネイティブ型ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム及びカラギナンから選ばれる1種以上を併用することにより、商品の保存時、流通時、陳列時において、ゼラチンの溶融を抑制し、また、ホイップクリームなどを上層部に載せる場合などに、表面が早くゲル化するため、冷却時間の短縮が行うことが可能であることを見いだした。
【0009】
更には、ゲル状食品の甘味度を0〜10に調整することで、飲料としてふさわしい甘さ、飲みやすさとなり、更には、ゲル化させることで上部に液状やゲル状の別の層を作ることが可能となった。例えば、ミルクコーヒーをゲル状食品とし、上層にホイップクリームを載せれば、電子レンジ加熱を行うことにより家庭で簡単にウインナーコーヒーのようなクリーム載せ飲料を味わうことが出来る。また、ゲル状食品の上層にはホイップクリームの他にもクリーム状やソース状の液状物を配合することも可能であり、上層部にゲル状食品とは異なる層を配合することで、バラエティに富むホットドリンクを家庭で簡単に楽しむことが可能となった。
【0010】
すなわち本発明は、以下の態様を有する;
項1.常温或いは冷蔵時においてはゲル状であり、加熱することにより融解して液状となるゲル状食品であって、ゲル化剤として、ゼラチン単独で用いるか、もしくは、ゼラチンと、ネイティブ型ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム及びカラギナンから選ばれる1種以上とを併用することを特徴とする、ゲル状食品。
項2.甘味度が0〜10である、項1に記載のゲル状食品。
項3.更に上部に他の食品を配合して多構造とする、項1又は2に記載のゲル状食品。
項4.他の食品が、液状層及び/又はゲル状層の食品である、項3に記載のゲル状食品。
【発明の効果】
【0011】
本発明のゲル状食品は、常温或いは冷蔵時においてはゲル状であり、電子レンジなどで加熱した際、ゲルが融解して液状となり、温かい間は、再ゲル化が起こることなく、ホットドリンクとして飲用が可能となる全く新規な食品であるという利点がある。更には、ゲル化させることにより上部に別の層を作り、多構造とすることが可能となるため、例えば、ゲル状食品の上層にホイップクリームを配合するホイップクリーム載せゲル状食品が、電子レンジ加熱を行うのみで、簡単に家庭でウインナーコーヒーのようなクリーム載せ飲料となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例1のホイップクリーム載せコーヒーゲル状食品の調製時における写真である。
【図2】実施例1のホイップクリーム載せコーヒーゲル状食品を、電子レンジで1分間加熱した後の、ホットウインナーコーヒーの写真である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のゲル状食品は、常温或いは冷蔵時においてはゲル状であり、加熱することにより融解して液状となるゲル状食品であって、ゲル化剤にゼラチンを必須成分として使用することを特徴とする。
【0014】
本発明のゲル状食品は、0〜25℃程度の常温或いは冷蔵の温度帯とされる温度ではゲル状であり、即ち、商品の保存時、流通時、陳列時においては、ゲル状を呈する一方で、家庭で電子レンジなどで加熱を行うことにより、ゲルが溶融して飲料となる。一般的なホットベンダーの温度帯は55℃であり、その温度帯といえる50〜60℃程度の間は、再ゲル化が起こることなく、ホットドリンクとして飲用が可能となり、また、35℃程度まで温度が下がっても流動性を保っていることが特徴である。なお、加熱の程度はゲル状食品の組成等に応じて適宜調整できるが、例えば、100g入りで、550ワットの電子レンジで60〜80秒程度の加熱を例示することができる。
【0015】
本発明のゲル状食品は上述の物性を付与するために、ゲル化剤にゼラチンを必須成分とすることにより、電子レンジなどで加熱すると溶融して液状となり、一般的なホットベンダーの温度帯といえる50〜60℃程度の間も、再ゲル化が起こることなく、ホットドリンクとして飲用が可能なる。ゼラチンの配合量としては、ゲル状食品全量に対して、0.5〜3.0質量%、好ましくは、0.7〜1.3質量%、更に好ましくは、0.8〜1.1質量%である。
【0016】
本発明では、ゼラチンをゲル化剤単独として使用するか、ゼラチンを必須成分として、ネイティブ型ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム及びカラギナンから選ばれる1種以上を併用し、これらの熱可逆性の性質を有するゲル化剤を組みあわせて使用する。ゼラチンを単独で使用したゲル状食品は、加熱によりゲルが溶融し、35℃程度まで下がっても流動性を保っているため、充分に本発明の加熱により飲料となるゲル状食品となりうるが、ゲル状食品を調製する際、冷却ゲル化時に時間がかかるという問題がある。ゼラチンとネイティブ型ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム及びカラギナンから選ばれる1種以上を併用することで、、商品の保存時、流通時、陳列時において、ゼラチンの溶融を抑制し、また、ホイップクリームなどを上層部に載せる場合などに、表面が早くゲル化するため、ゲル状食品調製時における冷却時間の短縮が行うことが可能となる。
【0017】
ゲル化剤の配合量としては、ネイティブ型ジェランガムを使用する場合、ゲル状食品全量に対して、0.002〜0.15質量%、好ましくは、0.01〜0.08質量%、更に好ましくは、0.01〜0.03質量%、キサンタンガムを使用する場合、ゲル状食品全量に対して、0.002〜0.15質量%、好ましくは、0.005〜0.06質量%、更に好ましくは、0.01〜0.04質量%、ローカストビーンガムを使用する場合、ゲル状食品全量に対して、0.002〜0.30質量%、好ましくは、0.01〜0.10質量%、更に好ましくは、0.01〜0.05質量%、カラギナンを使用する場合、ゲル状食品全量に対して、0.005〜0.50質量%、好ましくは、0.01〜0.10質量%、更に好ましくは、0.02〜0.05質量%である。
【0018】
これらゲル化剤の配合の組み合わせとしては、ゼラチンを必須とし、ネイティブ型ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム及びカラギナンから選ばれる1種以上を適宜組みあわせて使用することが可能である。一例として、ゼラチンとカラギナンとローカストビーンガムの組み合わせ、ゼラチンとカラギナンとネイティブ型ジェランガムの組み合わせ、ゼラチンとキサンタンガムとローカストビーンガムとネイティブ型ジェランガムの組み合わせを挙げることができる。
【0019】
その他、前述以外の増粘・ゲル化剤については、本発明の効果に影響を与えない限度で併用してもよい。その他の増粘・ゲル化剤としては、タマリンドシードガム、タラガム、カラヤガム、グァーガム、ファーセレラン、発酵セルロース、大豆多糖類等より適宜選択して使用することが出来る。なお、本発明では、熱不可逆性のゲル化剤は使用に適さない。熱不可逆性のゲル化剤の一例として、脱アシル型ジェランガム、アルギン酸ナトリウム、ペクチン(カルシウムと併用する場合)を挙げることができる。
【0020】
また、本発明のゲル状食品は甘味度を0〜10に調整することが好ましい。本範囲に糖度を調整することにより、加熱してホットドリンクとして飲用するにふさわしい甘さとなり、飲みやすくなるからである。
【0021】
なお、本発明のゲル状食品は、必要に応じて、色々な原材料を添加し、コーヒー、紅茶、抹茶、ココアなどの各種飲料に適した風味に調製することができる。中でも、コーヒーなどに好適に風味付けできる。その他の原材料としては、高甘味度甘味料、酸味料、調味料、色素、香料、果汁、カット果実、さのう、ピューレ、保存料、エキス、pH調整剤、洋酒、ビタミン、その他ミネラル類等を任意に添加することもできる。また、ゲル状食品の調製方法については、前述のゲル化剤を使用する以外は常法にて調製することができる。
【0022】
更には、本発明では、ゲル状食品の上部に他の食品を配合して多構造とすることができる。他の食品とは、液状、固形状、ゲル状などの食品を挙げることができるが、好ましくは液状層及び/又はゲル状層の食品を配合することができる。これら、ゲル状食品の上部に液状層及び/又はゲル状層の食品を配合することで、加熱後に融解した際、1つの容器で多層の味わいを楽しめる飲料となる。例えば、ゲル状食品の上部にゲル状層の食品の一例としてホイップクリームを載せた多構造ゲル状食品を調製し、電子レンジなどで加熱を行うことにより、ゲルが溶融して飲料となり、ホイップクリームは気泡を抱いたまま、溶け出して飲料の上部に層として広がる(図2の写真参照)。例えば、ゲル状食品をコーヒー味にした場合は、電子レンジ加熱を行うことで、手軽にウインナーコーヒーを調製することが可能となる。
【0023】
本発明で上部に配合する液状層及び/又はゲル状層の食品とは特に限定はなく、液状やゲル状であって、前述のゲル状食品の上部に配合可能であれば特に限定されない。例えば、液状食品であればクリーム類、ソース類が挙げられる。例えばゲル状食品であればホイップクリームやムースなどが挙げられる。また、本発明では他にも、チョコチップ、マシュマロ、ナッツ類、フルーツ類、シナモン、ココアなど各種トッピング材料を載せることも可能である。
【0024】
以下に、実験例及び実施例を用いて本発明を更に詳しく説明する。ただし、これらの例は本発明を制限するものではない。なお、実施例中の「部」「%」は、それぞれ「質量部」「質量%」、文中「*」印は、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、「※」は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標を意味する。
【実施例1】
【0025】
〔ゲル状食品の調製〕
下記表1に掲げる処方のうち、水、牛乳、コーヒー抽出液、10%炭酸水素ナトリウム溶液を撹拌しながら、グラニュー糖、ゲル化剤を添加し、80℃10分間加熱撹拌溶解した後(pH6.8)香料を添加し、蒸発水を補正後、均質機にて均質化(14700kPa=150kgf/cm)して、容器に充填して、ゲル状食品を調製した(甘味度 6)。
【0026】
【表1】

注1)ゲルアップ※PI−2151*(カラギナン4.7%、ネイティブ型ジェランガム1.4%、ゼラチン90.9%)
【0027】
〔ホイップクリームの調製〕
下記表2に掲げる安定剤処方のうち、水にゲル化剤と甘味料を入れ、80℃10分間加熱撹拌溶解後、40℃まで冷却し、安定剤を作成した。また、氷水に浸したボウルの中に生クリームと安定剤を入れ、ミキサーで泡立てホイップクリームを調製した。
【0028】
【表2】

【0029】
〔ホイップクリームコーヒーの調製〕
前述の方法により調製したゲル状食品の上部に調製したホイップクリームを絞り、ホイップクリーム載せゲル状食品を調製した(作成時5℃における写真 図1)。このホイップクリーム載せゲル状食品を550Wの電子レンジで1分間加熱して、ホットウインナーコーヒーを調製した(加熱後写真 図2)。
【実施例2】
【0030】
下記表3に掲げる処方のうち、水、牛乳を撹拌しながら、グラニュー糖、脱脂粉乳、抹茶、ゲル化剤を添加し、80℃10分間加熱撹拌溶解後、香料を添加し、蒸発水を補正後、均質機にて均質化(14700kPa=150kgf/cm)した。均質化後、容器に充填し冷却後、上部にクリームを流し入れ、クリーム載せ抹茶プリン状食品を調製した。このクリーム載せ抹茶プリンを550Wの電子レンジで1分間加熱して、ホットクリーム抹茶ミルク飲料を調製した(甘味度 5)。
【0031】
【表3】

【0032】
注2)ゲルアップ※PI−2152*(ゼラチン83.3%、カラギナン3.4%、キサンタンガム2.0%、ネイティブ型ジェランガム1.3%、ローカストビーンガム1.3%)
【0033】
実験例1
下記表4に掲げる処方のうち、水に10%重曹溶液を加えて撹拌しながら、グラニュー糖、インスタントコーヒー、全脂粉乳、表5に記載のゲル化剤を添加し80℃10分間加熱撹拌溶解した(pH6.8)。60℃で容器に充填し、5℃の冷蔵庫で30分冷却した時ゲル状食品の表面の状態(表5に示す*1)、60分冷却した時のゲル状食品の表面の状態(表5に示す*2)を観察した。また、一度冷却してゲル化させたものをレンジで再融解し、40℃に温度を下げたときの状態を観察した(表5に示す*3)。結果を表5に併せて示す。
【0034】
【表4】

【0035】
【表5】

【0036】
表5の結果の説明
*1:60℃充填後、5℃の冷蔵庫で30分冷却後の表面
*2:60℃充填後、5℃の冷蔵庫で60分冷却後の表面
*1,*2について、○はゲル化している状態、×はゲル化していない状態を示す。
*3:レンジで溶解後、35℃まで冷却した時の状態
*3について、○はゲルが流動性を保ったままの状態、×は再度ゲル状態になったことを示す。
【0037】
ゲル化剤としてゼラチン単独使用の実施例1−1品はレンジで溶解した後、35℃まで冷却した時の状態はゲルが溶けた状態を保っており、ホットドリンクとして飲用可能であるが、60℃充填後5℃冷蔵庫で60分間冷却ではゲル化せず、ゲル化させるのに約2時間かかった。また、実施例1−2品(ゼラチンとκカラギナン併用品)、実施例1−3品(ゼラチンとιカラギナン併用品)、実施例1−4品(ゼラチンとキサンタンガム及びローカストビーンガム併用品)、実施例1−6品(ゼラチンとカラギナン、ネイティブ型ジェランガム併用品)では、ゲル化時間の短縮ができ、また、35℃まで温度が下がっても流動性を有するという好ましい物性が得られた。
【0038】
実験例2
実施例1で調製したゲル状食品及び市販されているホイップ載せデザートを電子レンジで溶解し、溶液状として飲用可能かどうかをテストした。具体的には、各市販品を550ワットの電子レンジにて60〜100秒間加熱を行い、90℃まで加熱溶融した後、50℃まで放冷した時の粘度を測定した。更に、35℃まで放冷した際の状態(ゲルか、溶液か)を見た。表6に結果を示す。
【0039】
【表6】

【0040】
実施例1のゲル状食品は、50℃においてもゲル化が起こらず、また、35℃まで放冷後も溶液状態であり、飲用に適していた。それに対して、C社製のコーヒーゼリーは50℃において既にゲル化が起こってしまい、飲用に適さなかった。また、B社製のコーヒーゼリーは50℃で若干の増粘傾向が見られ、どろっとした状態であった。更には、35℃まで放冷した場合、A社製のコーヒーゼリーもゲル化してしまい、飲用に適さなくなった。また、比較例品はいずれもデザートとして食することを前提に作成されているため、非常に甘すぎて飲料として飲み難い。
【産業上の利用可能性】
【0041】
常温や冷蔵における流通時にはゲル状であり、電子レンジなどで加熱した際、ゲルが融解して液状となり、温かい間は、再ゲル化や増粘化が起こることなく、ホットドリンクとして飲用が可能となる全く新規な食品を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
常温或いは冷蔵時においてはゲル状であり、加熱することにより融解して飲料となるゲル状食品であって、ゲル化剤として、ゼラチン単独で用いるか、もしくは、ゼラチンと、ネイティブ型ジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム及びカラギナンから選ばれる1種以上とを併用することを特徴とする、ゲル状食品。
【請求項2】
甘味度が0〜10である、請求項1に記載のゲル状食品。
【請求項3】
更に上部に他の食品を配合して多構造とする、請求項1又は2に記載のゲル状食品。
【請求項4】
他の食品が、液状層及び/又はゲル状層の食品である、請求項3に記載のゲル状食品。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate