説明

加熱モード切換装置

【課題】第2加熱熱交換器としてエンジン排熱加熱式熱交換器を採用するか燃料電池排熱加熱式熱交換器を採用するか太陽熱加熱式熱交換器を採用するかの選択に対して、コストアップを招くことなく、柔軟に且つ容易に対応することができ、熱電併給装置や熱交換器の変更にも柔軟に且つ容易に対応することができ、装置としてエネルギー効率の向上を図ること。
【解決手段】第1接続部15に接続される給湯タンクと暖房負荷熱交換器と追焚負荷熱交換器の少なくとも何れかを通過する循環水を第1加熱熱交換器2と第2接続部16に接続される第2加熱熱交換器とに並列に経由させて加熱する並列加熱モードで水を通流させる水路と、循環水を第1加熱熱交換器2、第2接続部16に接続される第2加熱熱交換器の順に直列に経由させて加熱する直列加熱モードで水を通流させる水路とに切換自在なモード切換手段が備えられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒートポンプ装置により水を加熱する第1加熱熱交換器を備えている加熱モード切換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、給湯利用箇所に供給する水を貯留する給湯タンクと、ヒートポンプ装置により水を加熱する第1加熱熱交換器と、熱と電力とを発生する熱電併給装置(ガスエンジンや燃料電池)にて発生した排熱により水を加熱する排熱加熱式熱交換器とを設けたコージェンレーションシステムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
この特許文献1に記載のシステムでは、水を通流させる水路が、給湯タンクを通過する循環水を第1加熱熱交換器、排熱加熱式熱交換器の順に直列に経由させて加熱し、その加熱された水を給湯タンクに戻すように構成されている。これにより、まずは、給湯タンクから取り出した水を第1加熱熱交換器にて加熱し、更に、その第1加熱熱交換器にて加熱された水を排熱加熱式熱交換器にて加熱して、ヒートポンプ装置にて取得される熱及び熱電併給装置の排熱の双方を有効に活用して、給湯タンクに温水を貯留させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−185245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱電併給装置としては、エンジンや燃料電池が適応可能であるので、排熱加熱式熱交換器として、エンジンの排熱により水を加熱するエンジン排熱加熱式熱交換器を採用する場合と、燃料電池の排熱により水を加熱する燃料電池排熱加熱式熱交換器を採用する場合とがある。エンジン排熱加熱式熱交換器を採用する場合には、例えば、エンジンとエンジン排熱加熱式熱交換器の間で冷却水を循環させ、エンジンの排熱を回収した冷却水をエンジン排熱加熱式熱交換器に循環供給して、エンジン排熱加熱式熱交換器にて水を加熱するように構成することができる。燃料電池排熱加熱式熱交換器を採用する場合には、例えば、燃料電池排熱加熱式熱交換器において燃料電池の排気と直接熱交換して、水を加熱するように構成することができる。
【0005】
ここで、燃料電池については、燃料電池の損傷を防止する等の理由から、燃料電池排熱加熱式熱交換器に供給される水の温度について上限温度(例えば、40℃)が設定されている。したがって、排熱加熱式熱交換器として燃料電池排熱加熱式熱交換器を採用する場合には、燃料電池排熱加熱式熱交換器に供給される水の温度を上限温度(例えば、40℃)以下にする必要がある。
【0006】
しかしながら、上記特許文献1に記載のシステムでは、水を通流させる水路が、給湯タンクを通過する循環水を第1加熱熱交換器、燃料電池排熱加熱式熱交換器の順に直列に経由させて加熱しているので、燃料電池排熱加熱式熱交換器には、第1加熱熱交換器にて加熱された水が供給される。したがって、装置の運転条件によっては、第1加熱熱交換器にて上限温度(例えば、40℃)よりも高い温度まで水を加熱してしまい、燃料電池排熱加熱式熱交換器に供給される水の温度が上限温度(例えば、40℃)よりも高くなる場合がある。
【0007】
具体的に説明すると、装置の運転条件として、例えば、給湯タンクに貯留する水の目標温度を70℃とし、第1加熱熱交換器に供給される水の温度を、冬期では10℃、夏期では30℃とする。そして、各熱交換器での加熱量を、第1加熱熱交換器では1kWh、燃料電池排熱加熱式熱交換器では0.6kWh、エンジン排熱加熱式熱交換器では2.8kWhとする。
給湯タンクを通過する循環水を第1加熱熱交換器、燃料電池排熱加熱式熱交換器の順に直列に経由させて加熱する場合には、加熱量の比率が第1加熱熱交換器:燃料電池排熱加熱式熱交換器=1:0.6程度となる。したがって、冬期では、第1加熱熱交換器に10℃で供給された水が48℃まで加熱され、夏期では、第1加熱熱交換器に30℃で供給された水が55℃まで加熱される。これにより、燃料電池排熱加熱式熱交換器に供給される水の温度は、冬期では48℃となり、夏期では55℃となり、冬期及び夏期の何れの時期も、上限温度(例えば、40℃)よりも高くなってしまう。
【0008】
そこで、排熱加熱式熱交換器として燃料電池排熱加熱式熱交換器を採用する場合には、給湯タンクを通過する循環水を第1加熱熱交換器と燃料電池排熱加熱式熱交換器とに並列に経由させて加熱することが考えられる。この場合には、冬期では第1加熱熱交換器及び燃料電池加熱式熱交換器の双方に10℃の水が供給され、夏期では第1加熱熱交換器及び燃料電池加熱式熱交換器の双方に30℃の水が供給されることになる。したがって、燃料電池排熱加熱式熱交換器に供給される水の温度は、冬期でも夏期でも上限温度(例えば、40℃)以下となる。これにより、排熱加熱式熱交換器として燃料電池排熱加熱式熱交換器を採用する場合には、給湯タンクを通過する循環水を第1加熱熱交換器と燃料電池排熱加熱式熱交換器とに並列に経由させることで、燃料電池排熱加熱式熱交換器に供給される水の温度を上限温度(例えば、40℃)以下としながら、ヒートポンプ装置にて取得される熱及び熱電併給装置の排熱の双方を有効に活用して、給湯タンクに温水を貯留させることができる。
【0009】
上記特許文献1に記載のシステムでは、水を加熱するための熱交換器として、第1加熱熱交換器と排熱加熱式熱交換器を設けた場合を示しているが、例えば、排熱加熱式熱交換器に代えて、太陽熱にて水を加熱する太陽熱加熱式熱交換器を設けることも可能である。太陽熱加熱式熱交換器にて水を加熱する場合には、太陽熱加熱式熱交換器に供給される水の温度を極力低くすることで、太陽熱と水との温度差を大きくとることができ、太陽熱にて水を効率よく加熱することができる。しかしながら、上記特許文献1に記載のシステムと同様に、水を通流させる水路を、給湯タンクを通過する循環水を第1加熱熱交換器、太陽熱加熱式熱交換器の順に直列に経由させるように構成した場合には、第1加熱熱交換器にて加熱された水が太陽熱加熱式熱交換器に供給される。これにより、太陽熱加熱式熱交換器に供給される水の温度が高温になるので、太陽熱加熱式熱交換器での加熱を効率よく行うことができず、装置としてエネルギー効率の低下を招くことになる。
そこで、排熱加熱式熱交換器に代えて、太陽熱加熱式熱交換器を採用する場合には、給湯タンクを通過する循環水を第1加熱熱交換器と太陽熱加熱式熱交換器とに並列に経由させて加熱することが考えられる。この場合には、給湯タンクを通過する循環水が、第1加熱熱交換器にて加熱されることなく、太陽熱加熱式熱交換器に供給される。したがって、太陽熱加熱式熱交換器に供給される水の温度を極力低くすることができ、太陽熱加熱式熱交換器での加熱を効率よく行うことができ、装置としてエネルギー効率の向上を図ることができる。
【0010】
以上のことから、排熱加熱式熱交換器としてエンジン排熱加熱式熱交換器を採用する場合には、水を通流させる水路として、給湯タンクを通過する循環水を第1加熱熱交換器、エンジン排熱加熱式熱交換器の順に直列に経由させる直列専用の水路を設ける。一方、排熱加熱式熱交換器として燃料電池排熱加熱式熱交換器を採用する場合、又は、排熱加熱式熱交換器に代えて、太陽熱加熱式熱交換器を採用する場合には、水を通流させる水路として、給湯タンクを通過する循環水を第1加熱熱交換器と燃料電池排熱加熱式熱交換器又は太陽熱加熱式熱交換器とに並列に経由させる並列専用の水路を設けることが考えられる。しかしながら、各場合について専用の水路を設けると、エンジン排熱加熱式熱交換器を採用するか燃料電池排熱加熱式熱交換器を採用するか太陽熱加熱式熱交換器を採用するかは使用者によって選択されるので、その使用者の選択に対応するためには、エンジン排熱加熱式熱交換器を採用する場合の直列専用の水路と燃料電池排熱加熱式熱交換器又は太陽熱加熱式熱交換器を採用する場合の並列専用の水路との双方を予め準備しておかなければならない。したがって、エンジン排熱加熱式熱交換器を採用するか燃料電池排熱加熱式熱交換器を採用するか太陽熱加熱式熱交換器を採用するかの選択に対応し難いものとなっており、コストアップを招くものとなる。
また、例えば、熱電併給装置をエンジンから燃料電池に変更する場合や、水を加熱するための熱交換器をエンジン排熱加熱式熱交換器から太陽熱加熱式熱交換器に変更する場合も考えられる。この場合には、熱電併給装置や熱交換器の交換だけでなく、水を通流させる水路をも直列専用の水路から並列専用の水路に交換しなければならない。したがって、その交換作業が大変手間のかかるものとなって、熱電併給装置や熱交換器の変更にも対応することが難しい。
【0011】
本発明は、かかる点に着目してなされたものであり、その目的は、第1加熱熱交換器とは別の熱交換器として、エンジン排熱加熱式熱交換器を採用するか燃料電池排熱加熱式熱交換器を採用するか太陽熱加熱式熱交換器を採用するかの選択に対して、コストアップを招くことなく、柔軟に且つ容易に対応することができ、熱電併給装置や熱交換器の変更にも柔軟に且つ容易に対応することができ、装置としてエネルギー効率の向上を図ることができる加熱モード切換装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的を達成するために、本発明に係る加熱モード切換装置の特徴構成は、給湯利用箇所に供給する水を貯留する給湯タンクと暖房負荷で熱を消費する暖房負荷熱交換器と追焚負荷で熱を消費する追焚負荷熱交換器の少なくとも何れかを接続する第1接続部と、ヒートポンプ装置により水を加熱する第1加熱熱交換器と、熱と電力とを発生する熱電併給装置にて発生した排熱により水を加熱する排熱加熱式熱交換器もしくは太陽熱にて水を加熱する太陽熱加熱式熱交換器の何れかの第2加熱熱交換器を接続する第2接続部とが備えられ、前記第1接続部に接続される前記給湯タンクと前記暖房負荷熱交換器と前記追焚負荷熱交換器の少なくとも何れかを通過する循環水を前記第1加熱熱交換器と前記第2接続部に接続される前記第2加熱熱交換器とに並列に経由させて加熱する並列加熱モードで水を通流させる水路と、前記循環水を前記第1加熱熱交換器、前記第2接続部に接続される前記第2加熱熱交換器の順に直列に経由させて加熱する直列加熱モードで水を通流させる水路とに切換自在なモード切換手段が備えられている点にある。
【0013】
本特徴構成によれば、第1接続部には、給湯タンクと暖房負荷熱交換器と追焚負荷熱交換器の少なくとも何れかを接続することができる。したがって、第1加熱熱交換器及び第2加熱熱交換器にて加熱された水の供給対象として、給湯タンクだけでなく、暖房負荷熱交換器や追焚負荷熱交換器を適応することもできる。その結果、第1加熱熱交換器及び第2加熱熱交換器にて加熱された水によって、給湯タンクへの貯湯だけでなく、暖房負荷熱交換器や追焚負荷熱交換器への熱供給をも行うことができる。
【0014】
そして、本特徴構成によれば、第2接続部に接続される第2加熱熱交換器として、エンジン排熱加熱式熱交換器を採用するか燃料電池排熱加熱式熱交換器を採用するか太陽熱加熱式熱交換器を採用するかの使用者の選択に応じて、モード切換手段が、水を通流させる水路を並列加熱モードと直列加熱モードに切り換えることができる。
【0015】
例えば、第2接続部に接続される第2加熱熱交換器としてエンジン排熱加熱式熱交換器を採用する場合には、モード切換手段が直列加熱モードに切り換えることができる。これにより、給湯タンク、暖房負荷熱交換器や追焚負荷熱交換器を通過する循環水を第1加熱熱交換器、エンジン排熱加熱式熱交換器の順に直列に経由させて加熱し、その加熱された水を給湯タンク、暖房負荷熱交換器や追焚負荷熱交換器に戻すことができる。したがって、第1加熱熱交換器の出口での水の出口温度を目標温度よりも低い温度としても、第1加熱熱交換器にて加熱された水が更にエンジン排熱加熱式熱交換器にて加熱されることから、給湯タンク、暖房負荷熱交換器や追焚負荷熱交換器に供給される水の温度を目標温度とすることができる。
ここで、図9に示すように、第1加熱熱交換器の出口温度とヒートポンプ装置の成績係数(COP)とは、出口温度が高くなるほど成績係数(COP)が低下するという傾向がある。そこで、第1加熱熱交換器の出口温度を極力低くすることで、ヒートポンプ装置の成績係数(COP)を向上させることができ、装置としてエネルギー効率の向上を図ることができる。
【0016】
また、第2接続部に接続される第2加熱熱交換器として燃料電池排熱加熱式熱交換器又は太陽熱加熱式熱交換器を採用する場合には、例えば、モード切換手段が並列加熱モードに切り換えることができる。これにより、給湯タンク、暖房負荷熱交換器や追焚負荷熱交換器を通過する循環水を第1加熱熱交換器と燃料電池排熱加熱式熱交換器又は太陽熱加熱式熱交換器とに並列に経由させて加熱し、第1加熱熱交換器にて加熱された水と燃料電池排熱加熱式熱交換器又は太陽熱加熱式熱交換器にて加熱された水を合流させて給湯タンク、暖房負荷熱交換器や追焚負荷熱交換器に戻すことができる。したがって、燃料電池排熱加熱式熱交換器には、循環水が加熱されることなく供給されるので、燃料電池排熱加熱式熱交換器に供給される水の温度を上限温度(例えば、40℃)以下に抑えることができる。その結果、燃料電池排熱加熱式熱交換器に供給される水の温度を上限温度(例えば、40℃)以下としながら、ヒートポンプ装置にて取得される熱に加えて、熱電併給装置の排熱を有効に活用して、給湯タンクへの貯湯、暖房負荷熱交換器や追焚負荷熱交換器への熱供給を行うことができる。また、第2加熱熱交換器として太陽熱加熱式熱交換器を採用する場合にも、太陽熱加熱式熱交換器には、循環水が加熱されることなく供給されるので、太陽熱加熱式熱交換器に供給される水の温度を極力低くすることができ、太陽熱と水との温度差を大きくとることができる。その結果、太陽熱加熱式熱交換器での加熱を効率よく行うことができ、装置としてエネルギー効率の向上を図ることができる。
【0017】
そして、第2加熱熱交換器として、エンジン排熱加熱式熱交換器を採用するか燃料電池排熱加熱式熱交換器を採用するか太陽熱加熱式熱交換器を採用するかの使用者の選択に応じて、水を通流させる共通の水路をモード切換手段が並列加熱モードと直列加熱モードに切り換えるだけでよい。したがって、第2加熱熱交換器として、エンジン排熱加熱式熱交換器を採用するか燃料電池排熱加熱式熱交換器を採用するか太陽熱加熱式熱交換器を採用するかの選択に対して、コストアップを招くことなく、柔軟に且つ容易に対応することができる。しかも、第2加熱熱交換器を変更する場合でも、水を通流させる共通の水路をモード切換手段が並列加熱モードと直列加熱モードの間でモード切換を行うだけでよく、第2加熱熱交換器の変更にも柔軟に且つ容易に対応することができる。
【0018】
本発明に係る加熱モード切換装置の更なる特徴構成は、前記第2接続部に接続される前記第2加熱熱交換器として、前記太陽熱加熱式熱交換器を採用する場合には、前記モード切換手段が前記並列加熱モードに切り換え、前記第2接続部に接続される前記第2加熱熱交換器として、前記排熱加熱式熱交換器の1つであるエンジンの排熱により水を加熱するエンジン排熱加熱式熱交換器を採用する場合には、前記モード切換手段が前記直列加熱モードに切り換え、前記第2接続部に接続される前記第2加熱熱交換器として、前記排熱加熱式熱交換器の1つである燃料電池の排熱により水を加熱する燃料電池排熱加熱式熱交換器を採用する場合には、前記モード切換手段が前記直列加熱モード及び前記並列加熱モードの何れかに切り換えるように構成されている点にある。
【0019】
本特徴構成によれば、第2接続部に接続される第2加熱熱交換器として、太陽熱加熱式熱交換器を採用する場合には、モード切換手段が並列加熱モードに切り換えるので、上述の如く、太陽熱加熱式熱交換器での加熱を効率よく行うことができ、装置としてエネルギー効率の向上を図ることができる。
第2接続部に接続される第2加熱熱交換器として、エンジン排熱加熱式熱交換器を採用する場合には、モード切換手段が直列加熱モードに切り換えるので、上述の如く、ヒートポンプ装置の成績係数(COP)を向上させて、装置としてエネルギー効率の向上を図ることができる。
第2接続部に接続される第2加熱熱交換器として、燃料電池排熱加熱式熱交換器を採用する場合には、モード切換手段が直列加熱モード及び並列加熱モードの何れかに切り換えるように構成されているので、装置の運転条件等によって、直列加熱モードと並列加熱モードとの間で適切なモード切換を行うことができる。そして、直列加熱モードに切り換えた場合には、装置としてエネルギー効率の向上を図ることができ、並列加熱モードに切り換えた場合には、燃料電池排熱加熱式熱交換器に供給される水の温度を上限温度(例えば、40℃)以下としながら、ヒートポンプ装置にて取得される熱に加えて、熱電併給装置の排熱を有効に活用して、給湯タンクへの貯湯、暖房負荷熱交換器や追焚負荷熱交換器への熱供給を行うことができる。
【0020】
本発明に係る加熱モード切換装置の更なる特徴構成は、前記燃料電池が固体酸化物形燃料電池である場合には、前記モード切換手段が前記並列加熱モードに切り換える点にある。
【0021】
本特徴構成によれば、燃料電池が固体酸化物形燃料電池である場合には、モード切換手段が並列加熱モードに切り換えるので、燃料電池排熱加熱式熱交換器に供給される水の温度を確実に上限温度(例えば、40℃)以下とすることができる。したがって、燃料電池の損傷等の問題が生じることがない状態で、ヒートポンプ装置にて取得される熱に加えて、燃料電池の排熱を有効に活用して、給湯タンクへの貯湯、暖房負荷熱交換器や追焚負荷熱交換器への熱供給を行うことができる。
【0022】
本発明に係る加熱モード切換装置の更なる特徴構成は、前記燃料電池が固体高分子形燃料電池である場合には、前記モード切換手段が、前記循環水を前記第1加熱熱交換器、前記第2接続部に接続される前記燃料電池排熱加熱式熱交換器の順に直列に経由させても良好な運転を確保できる直列条件が満たされると、前記直列加熱モードに切り換え、前記直列条件が満たされなければ、前記並列加熱モードに切り換えるように構成されている
【0023】
本特徴構成によれば、燃料電池が固体高分子形燃料電池である場合には、直列条件が満たされているか否かによって、直列加熱モードと並列加熱モードとの間でモード切換を適切に行うことができる。したがって、固体高分子形燃料電池に対して最適なモードにて、ヒートポンプ装置にて取得される熱に加えて、燃料電池の排熱を有効に活用して、給湯タンクへの貯湯、暖房負荷熱交換器や追焚負荷熱交換器への熱供給を行うことができる。
ここで、直列条件は、給湯タンクを通過する循環水を第1加熱熱交換器、第2接続部に接続される燃料電池排熱加熱式熱交換器の順に直列に経由させても、燃料電池排熱加熱式熱交換器に供給される水の温度を上限温度(例えば、40℃)以下としながら、ヒートポンプ装置にて取得される熱及び燃料電池の排熱の双方を有効に活用して、給湯タンクへの貯湯、暖房負荷熱交換器や追焚負荷熱交換器への熱供給を行うことができる良好な運転を確保できる条件として設定されている。そして、直列条件は、例えば、季節が冬期であるという条件や、第1加熱熱交換器に供給される水の入口温度が直列加熱切換設定温度以下であるという条件に設定することができる。
【0024】
本発明に係る加熱モード切換装置の更なる特徴構成は、前記モード切換手段は、前記直列加熱モード及び前記並列加熱モードに加えて、前記循環水を前記第1加熱熱交換器に経由させて加熱し、前記第1加熱熱交換器にて加熱された水の一部を前記第2加熱熱交換器に経由させて加熱する部分直列加熱モードにも切換自在に構成されている点にある。
【0025】
本特徴構成によれば、部分直列加熱モードでは、循環水が第1加熱熱交換器にて加熱され、その第1加熱熱交換器にて加熱された水の一部だけが更に第2加熱熱交換器にて加熱される。第1加熱熱交換器にて加熱された水と第2加熱熱交換器にて加熱された水とが合流されるので、ヒートポンプ装置にて取得される熱に加えて、熱電併給装置の排熱又は太陽熱を有効に活用しながら水を加熱することができる。そして、モード切換手段は、直列加熱モード及び並列加熱モードに加えて、部分直列加熱モードにも切り換えることができるので、装置の運転条件等によって、最適なモードにて、ヒートポンプ装置にて取得される熱に加えて、熱電併給装置の排熱又は太陽熱を有効に活用して、給湯タンクへの貯湯、暖房負荷熱交換器や追焚負荷熱交換器への熱供給を行うことができる。
【0026】
本発明に係る加熱モード切換装置の更なる特徴構成は、前記第2接続部に接続される前記第2加熱熱交換器として、前記排熱加熱式熱交換器の1つである燃料電池の排熱により水を加熱する前記燃料電池排熱加熱式熱交換器を採用する場合には、前記モード切換手段が、前記第1加熱熱交換器にて加熱された水の一部を前記燃料電池排熱加熱式熱交換器に経由させても良好な運転を確保できる部分直列条件が満たされると、前記部分直列加熱モードに切り換える点にある。
【0027】
本特徴構成によれば、第2接続部に接続される第2加熱熱交換器として、燃料電池排熱加熱式熱交換器を採用する場合には、モード切換手段が、部分直列条件が満たされると部分直列加熱モードに切り換えることができるので、部分直列加熱モードへのモード切換を適切に行うことができる。
ここで、部分直列条件は、第1加熱熱交換器にて加熱された水の一部を燃料電池排熱加熱式熱交換器に経由させても、燃料電池排熱加熱式熱交換器に供給される水の温度を上限温度(例えば、40℃)以下としながら、ヒートポンプ装置にて取得される熱及び燃料電池の排熱の双方を有効に活用して、給湯タンクへの貯湯、暖房負荷熱交換器や追焚負荷熱交換器への熱供給を行うことができる良好な運転を確保できる条件として設定されている。そして、部分直列条件は、例えば、季節が冬期であるという条件や、第1加熱熱交換器に供給される水の入口温度が部分直列加熱切換設定温度以下であるという条件に設定することができる。
【0028】
本発明に係る加熱モード切換装置の更なる特徴構成は、前記第1接続部の一方と前記第1加熱熱交換器を接続する第1流路部位と、前記第1加熱熱交換器と前記第2接続部の一方を接続する第2流路部位と、前記第2接続部の他方と前記第1接続部の他方を接続する第3流路部位と、前記第2流路部位の途中部位と前記第3流路部位の途中部位とを接続する第4流路部位と、前記第1流路部位の途中部位と前記第2流路部位における前記第4流路部位への接続箇所と前記第2接続部の一方までの間の部位を接続する第5流路部位とが備えられ、前記第1流路部位と前記第2流路部位の一部と前記第4流路部位と前記第3流路部位の一部とから第1加熱熱交換器の単独加熱水路が構成され、前記第1流路部位の一部と前記第5流路部位と前記第2流路部位の一部と前記第3流路部位とから第2加熱熱交換器の単独加熱水路が構成され、前記第1流路部位と前記第2流路部位と前記第3流路部位とから第1加熱熱交換器及び第2加熱熱交換器の兼用加熱水路が構成され、前記モード切換手段は、前記第1加熱熱交換器の単独加熱水路と前記第2加熱熱交換器の単独加熱水路にて水を通流させることで前記並列加熱モードに切り換え、前記第1加熱熱交換器及び第2加熱熱交換器の兼用加熱水路にて水を通流させることで前記直列加熱モードに切り換えている点にある。
【0029】
本特徴構成によれば、第1〜第5流路部位が備えられ、それら第1〜第5流路部位を組み合わせることで、第1加熱熱交換器の単独加熱水路、第2加熱熱交換器の単独加熱水路、及び、第1加熱熱交換器及び第2加熱熱交換器の兼用加熱水路を適切に構成することができる。そして、モード切換手段は、第1加熱熱交換器の単独加熱水路と第2加熱熱交換器の単独加熱水路にて水を通流させることで並列加熱モードに切り換え、第1加熱熱交換器及び第2加熱熱交換器の兼用加熱水路にて水を通流させることで直列加熱モードに切り換えているので、複数の加熱水路のうち、どの加熱水路にて水を通流させるかを制御するだけで、モードの切換を容易に且つ適切に行うことができる。
【0030】
本発明に係る加熱モード切換装置の更なる特徴構成は、前記第2接続部に前記第2加熱熱交換器を接続しない非接続状態として前記第2接続部の末端を閉止自在に構成され、前記第2接続部の末端を閉止する場合には、前記モード切換手段が、前記循環水を前記第1加熱熱交換器のみに経由させて加熱する第1加熱熱交換器の単独加熱モードに切り換える点にある。
【0031】
本特徴構成によれば、第2接続部に第2加熱熱交換器を接続しない非接続状態として接続部の末端を閉止する場合には、モード切換手段が、循環水を第1加熱熱交換器のみに経由させて加熱する第1加熱熱交換器の単独加熱モードに切り換えるので、第2加熱熱交換器を接続せずに、循環水を第1加熱熱交換器のみにて水を加熱して給湯タンクへの貯湯、暖房負荷熱交換器や追焚負荷熱交換器への熱供給を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】第1接続部及び第2接続部の両方を非接続状態とした場合の加熱モード切換装置を示す図
【図2】第1接続部を接続状態とし且つ第2接続部を非接続状態とした場合の加熱モード切換装置を示す図
【図3】第1接続部及び第2接続部の両方を接続状態とし、第2加熱熱交換器としてエンジン排熱加熱式熱交換器を採用した場合の加熱モード切換装置を示す図
【図4】第1接続部及び第2接続部の両方を接続状態とし、第2加熱熱交換器として燃料電池排熱加熱式熱交換器を採用した場合の加熱モード切換装置を示す図
【図5】第1接続部及び第2接続部の両方を接続状態とし、第2加熱熱交換器として燃料電池排熱加熱式熱交換器を採用した場合の加熱モード切換装置を示す図
【図6】第1接続部及び第2接続部の両方を接続状態とし、第2加熱熱交換器としてエンジン排熱加熱式熱交換器を採用して暖房負荷熱交換器への熱供給を行う場合の加熱モード切換装置を示す図
【図7】第2実施形態における加熱モード切換装置を示す図
【図8】第4実施形態における加熱モード切換装置を示す図
【図9】第1加熱熱交換器の出口での水の出口温度とヒートポンプ装置の成績係数(COP)との関係を示すグラフ
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明に係る加熱モード切換装置の実施形態について図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
この加熱モード切換装置100は、図1〜図4に示すように、給湯利用箇所に供給する水を貯留する給湯タンク6及び暖房負荷で熱を消費する暖房負荷熱交換器14を接続する第1接続部15と、ヒートポンプ装置1により水を加熱する第1加熱熱交換器2と、熱と電力とを発生する熱電併給装置3にて発生した排熱により水を加熱する排熱加熱式熱交換器4a,4bである第2加熱熱交換器4を接続する第2接続部16とが備えられている。
【0034】
図1は、第1接続部15に給湯タンク6及び暖房負荷熱交換器14を接続していない非接続状態とし、且つ、第2接続部16に第2加熱熱交換器4を接続していない非接続状態とした場合を示している。図2は、第1接続部15に給湯タンク6及び暖房負荷熱交換器14を接続している接続状態とし、且つ、第2接続部16に第2加熱熱交換器4を接続していない非接続状態とした場合を示している。図3及び図4は、第1接続部15に給湯タンク6及び暖房負荷熱交換器14を接続している接続状態とし、且つ、第2接続部16に第2加熱熱交換器4を接続している接続状態とした場合を示している。図1〜図4では、水や媒体が通流する部位を太線にて示している。
【0035】
ヒートポンプ装置1は、圧縮機7、凝縮器としての第1加熱熱交換器2、膨張弁8、蒸発器9の順に媒体(冷媒)を循環させる媒体回路10を備えた圧縮式ヒートポンプ装置にて構成されている。これにより、ヒートポンプ装置1の媒体(冷媒)は、蒸発器9において外気等から熱を取得し、第1加熱熱交換器2は、ヒートポンプ装置1の媒体(冷媒)が外気等から取得した熱により水を加熱自在に構成されている。
【0036】
第1接続部15は、図2〜4に示すように、水を通流させる水路に対して、給湯タンク6及び暖房負荷熱交換器14を接続自在に構成されている。第1接続部15に給湯タンク6及び暖房負荷熱交換器14を接続した場合には、給湯タンク6及び暖房負荷熱交換器14に水を供給自在で、給湯タンク6や暖房負荷熱交換器14を通過した循環水を接続する水路に通流自在に構成されている。給湯タンク6は、例えば、密閉型のタンクにて構成されており、温度が高い水(温水)は上方側に且つ温度が低い水は下方側に温度成層を形成する状態で水を貯留自在に構成されている。図示は省略するが、暖房負荷熱交換器14と暖房負荷(例えば、床暖房装置や浴室暖房乾燥装置)との間で熱媒体を循環させる循環路が備えられており、暖房負荷熱交換器14は、第1加熱熱交換器2や第2加熱熱交換器4にて加熱されて供給される水と循環路の熱媒体とを熱交換させて水にて熱媒体を加熱するように構成されている。
第2接続部16は、図3及び図4に示すように、水を通流させる水路に対して、第2加熱熱交換器4を接続自在に構成されている。第2接続部16に第2加熱熱交換器4を接続した場合には、第2加熱熱交換器4に水を供給自在で、且つ、第2加熱熱交換器4を通過した水を接続する水路に通流自在に構成されている。
【0037】
この加熱モード切換装置100では、水を通流させる水路が複数の流路部位から構成されている。加熱モード切換装置100は、流路部位として、第1接続部15の一方と第1加熱熱交換器2を接続する第1流路部位R1と、第1加熱熱交換器2と第2接続部16の一方を接続する第2流路部位R2と、第2接続部16の他方と第1接続部15の他方を接続する第3流路部位R3と、第2流路部位R2の途中部位と第3流路部位R3の途中部位とを接続する第4流路部位R4と、第1流路部位R1の途中部位と第2流路部位R2における第4流路部位R4への接続箇所と第2接続部16の一方までの間の部位を接続する第5流路部位R5とが備えられている。
【0038】
第1流路部位R1と第5流路部位R5との接続箇所には、第1三方弁S1が設けられ、第2流路部位R2と第4流路部位R4との接続箇所には、第2三方弁S2が設けられている。図1に示すように、第1接続部15の一方は、第1流路部位R1の一方側(第1加熱熱交換器2を接続する側とは反対側)の末端にて構成され、第1接続部15の他方は、第3流路部位R3の一方側の末端にて構成されている。第2接続部16の一方は、第2流路部位R2の一方側(第1加熱熱交換器2を接続する側とは反対側)の末端にて構成され、第2接続部16の他方は、第3流路部位R3の他方側の末端にて構成されている。
【0039】
図2〜図4では、第1接続部15に対して、複数の接続流路部位T1〜T4を用いて、給湯タンク6及び暖房負荷熱交換器14が接続されている。このときの接続流路部位として、第1接続部15の他方(第3流路部位R3の一方側の末端)と給湯タンク6の上部とを接続する第1接続流路部位T1と、給湯タンク6の下部と第1接続部15の一方(第1流路部位R1の一方側(第1加熱熱交換器2を接続する側とは反対側)の末端)とを接続する第2接続流路部位T2と、第1接続流路部位T1の2箇所の途中部位を接続する第3接続流路部位T3と、第3接続流路部位T3の途中部位と第2接続流路部位T2の途中部位とを接続する第4接続流路部位T4とが備えられている。
【0040】
第1接続流路部位T1には、水の通流方向の順に、循環ポンプP1、第1開閉弁K1が備えられている。第3接続流路部位T3は、第1接続流路部位T1において循環ポンプP1と第1開閉弁K1の間の部位と第1開閉弁K1と給湯タンク6への接続箇所との間の部位とを接続するように構成されている。第3接続流路部位T3の途中部位には暖房負荷熱交換器14が備えられている。第3接続流路部位T3と第4接続流路部位T4との接続箇所には、第1切換弁L1が備えられており、この第1切換弁L1が、暖房負荷熱交換器14を通過した水をそのまま第3接続流路部位T3に供給する状態と暖房負荷熱交換器14を通過した水を第4接続流路部位T4に供給する状態とに切換自在に構成されている。
【0041】
図3及び図4では、第2接続部16に対して、複数の接続流路部位T5、T6を用いて、第2加熱熱交換器4が接続されている。このときの接続流路部位として、第2接続部16の一方(第2流路部位R2の一方側(第1加熱熱交換器2を接続する側とは反対側)の末端)と第2加熱熱交換器4の入口側とを接続する第5接続流路部位T5と、第2加熱熱交換器4の出口側と第2接続部16の他方(第3流路部位R3の他方側の末端)とを接続する第6接続流路部位T6とが備えられている。そして、図4に示すように、第5接続流路部位T5の途中部位にはラジエータM1が備えられている。これにより、後述するように、第2加熱熱交換器4として燃料電池排熱加熱式熱交換器4bを採用した場合に、給湯タンク6における蓄熱量が満杯状態(給湯タンク6に貯留されている水の温度が目標温度(例えば70℃)以上となっている状態)となっても、ラジエータM1を作動させて、燃料電池排熱加熱式熱交換器4bに供給される水の温度を上限温度(例えば、40℃)以下とすることができる。
【0042】
上述の第1〜第5流路部位R1〜R5を組み合わせて、給湯タンク6や暖房負荷熱交換器14を通過する循環水を加熱して給湯タンク6や暖房負荷熱交換器14に戻す加熱水路が構成されている。加熱水路としては、給湯タンク6や暖房負荷熱交換器14を通過する循環水を第1加熱熱交換器2のみに経由させて加熱して給湯タンク6や暖房負荷熱交換器14に戻す第1加熱熱交換器の単独加熱水路W1(図4参照)と、給湯タンク6や暖房負荷熱交換器14を通過する循環水を第2接続部16に接続される第2加熱熱交換器4のみに経由させて加熱して給湯タンク6や暖房負荷熱交換器14に戻す第2加熱熱交換器の単独加熱水路W2(図4参照)と、給湯タンク6や暖房負荷熱交換器14を通過する循環水を第1加熱熱交換器2、第2接続部16に接続される第2加熱熱交換器4との順に直列に経由させて加熱して給湯タンク6や暖房負荷熱交換器14に戻す第1加熱熱交換器及び第2加熱熱交換器の兼用加熱水路W3(図3参照)とが備えられている。
【0043】
第1加熱熱交換器の単独加熱水路W1は、図4に示すように、第1流路部位R1と第2流路部位R2の一部と第4流路部位R4と第3流路部位R3の一部とから構成されている。第2加熱熱交換器の単独加熱水路W2は、図4に示すように、第1流路部位R1の一部と第5流路部位R5と第2流路部位R2の一部と第3流路部位R3とから構成されている。第1加熱熱交換器及び第2加熱熱交換器の兼用加熱水路W3は、図3に示すように、第1流路部位R1と第2流路部位R2と第3流路部位R3とから構成されている。
【0044】
熱電併給装置3としては、エンジン(図3にてGEと示す)や燃料電池(図4にてSOFCと示す)が適応可能である。エンジンは、天然ガス等の都市ガスを燃料とするガスエンジンGEを適応することができる。燃料電池は、固体酸化物形燃料電池SOFCを適応することができる。
【0045】
図3に示すように、熱電併給装置3としてエンジンGEを適応する場合には、第2加熱熱交換器4として、エンジンGEの排熱により水を加熱するエンジン排熱加熱式熱交換器4aを採用することになる。
一方、図4に示すように、熱電併給装置3として固体酸化物形燃料電池SOFCを適応する場合には、第2加熱熱交換器4として、固体酸化物形燃料電池SOFCの排熱により水を加熱する燃料電池排熱加熱式熱交換器4bを採用することになる。
【0046】
熱電併給装置3としてエンジンGEを用いるか固体酸化物形燃料電池SOFCを用いるかは使用者により選択される。そこで、本発明に係る加熱モード切換装置100では、その使用者の選択に対して、コストアップを招くことなく、柔軟に且つ容易に対応するために、水を通流させる水路を複数のモードに切換自在なモード切換手段12が備えられている。このモード切換手段12は、加熱モード切換装置100の運転を制御する制御部13に備えられており、第1三方弁S1及び第2三方弁S2の状態を切り換えることで、モードの切換を行うように構成されている。ここで、本発明に係る加熱モード切換装置100では、第1接続部15に給湯タンク6や暖房負荷熱交換器14等を備えた負荷側装置を接続し、第2接続部16に第2加熱熱交換器4等を備えた第2加熱熱交換器側装置を接続する。そこで、本発明に係る加熱モード切換装置100は、負荷側装置や第2加熱熱交換器側装置に内蔵させる、或いは、負荷側装置や第2加熱熱交換器側装置とは別に本発明に係る加熱モード切換装置100を設けることができる。
【0047】
図3に示すように、第2接続部16に接続される第2加熱熱交換器4として、エンジン排熱加熱式熱交換器4aを採用する場合には、モード切換手段12が直列加熱モードに切り換えている。図3では、第2接続部16に接続される第2加熱熱交換器4として、エンジン排熱加熱式熱交換器4aを採用して、給湯タンク6への貯湯を行う場合を示している。
モード切換手段12は、第1三方弁S1を第1流路部位R1の水をそのまま第1流路部位R1に供給する状態とし、且つ、第2三方弁S2を第2流路部位R2の水をそのまま第2流路部位R2に供給する状態とし、第1加熱熱交換器及び第2加熱熱交換器の兼用加熱水路W3にて水を通流させることで直列加熱モードに切り換えている。
そして、エンジン排熱加熱式熱交換器4aを採用する場合には、制御部13が、エンジンGE、ヒートポンプ装置1、及び、循環ポンプP1を作動させて、給湯タンク6を通過する循環水を第1加熱熱交換器2にて加熱し、その加熱された水を更にエンジン排熱加熱式熱交換器4aにて加熱して給湯タンク6に戻すようにしている。また、制御部13は、給湯タンク6に戻す水の温度が目標温度(例えば、70℃)となるように、循環ポンプP1の回転速度を制御するようにしている。
【0048】
図4に示すように、第2接続部16に接続される第2加熱熱交換器4として、燃料電池排熱加熱式熱交換器4bを採用する場合には、モード切換手段12が並列加熱モードに切り換えている。図4では、第2接続部16に接続される第2加熱熱交換器4として、燃料電池排熱加熱式熱交換器4bを採用して、給湯タンク6への貯湯を行う場合を示している。
モード切換手段12は、第1三方弁S1を第1流路部位R1の水を第1流路部位R1と第5流路部位R5とに分流させる状態とし、且つ、第2三方弁S2を第2流路部位R2の水を第4流路部位R4に供給する状態とし、第1加熱熱交換器の単独加熱水路W1と第2加熱熱交換器の単独加熱水路W2にて水を通流させることで並列加熱モードに切り換えている。
そして、燃料電池排熱加熱式熱交換器4bを採用する場合には、制御部13が、固体酸化物形燃料電池SOFC、ヒートポンプ装置1、及び、循環ポンプP1を作動させて、給湯タンク6や暖房負荷熱交換器14を通過する循環水の一部を第1加熱熱交換器2にて加熱するとともに、残りの一部を燃料電池排熱加熱式熱交換器4bにて加熱し、第1加熱熱交換器2にて加熱された水と燃料電池排熱加熱式熱交換器4bにて加熱された水とを合流させて給湯タンク6や暖房負荷熱交換器14に戻すようにしている。また、制御部13は、循環ポンプP1の回転速度や第1三方弁S1の開閉状態を制御することで、例えば、第1加熱熱交換器2にて目標温度(例えば、70℃)よりも設定温度だけ低い温度(例えば、60℃)まで水を加熱するとともに、燃料電池排熱加熱式熱交換器4bにて目標温度(例えば、70℃)まで加熱するようにしている。
【0049】
また、モード切換手段12は、上述の直列加熱モード(図3参照)及び並列加熱モード(図4参照)に加えて、給湯タンク6や暖房負荷熱交換器14を通過する循環水を第1加熱熱交換器2を経由させて加熱し、第1加熱熱交換器2にて加熱された水の一部を第2加熱熱交換器4に経由させて加熱する部分直列加熱モードにも切換自在に構成されている。
【0050】
図5に示すように、第2接続部16に接続される第2加熱熱交換器4として、燃料電池排熱加熱式熱交換器4bを採用する場合には、モード切換手段12が、部分直列条件が満たされると部分直列加熱モードに切り換えている。部分直列条件は、第1加熱熱交換器2にて加熱された水の一部を燃料電池排熱加熱式熱交換器4bに経由させても、燃料電池排熱加熱式熱交換器4bに供給される水の温度を上限温度(例えば、40℃)以下としながら、ヒートポンプ装置1にて取得される熱及び固体酸化物形燃料電池SOFCの排熱の双方を有効に活用して、給湯タンク6への貯湯や暖房負荷熱交換器14への熱供給を行うことができる良好な運転を確保できる条件として設定されている。そして、部分直列条件は、例えば、季節が冬期であるという条件や、第1加熱熱交換器2に供給される水の入口温度が部分直列加熱切換設定温度以下であるという条件に設定することができる。
例えば、季節が冬期であると、モード切換手段12は、部分直列条件が満たされたとして、第1三方弁S1を第1流路部位R1の水をそのまま第1流路部位R1に供給する状態とし、且つ、第2三方弁S2を第2流路部位R2の水を第4流路部位R4と第2流路部位R2に分流させる状態とし、部分直列加熱水路W4にて水を通流させることで部分直列加熱モードに切り換えている。部分直列加熱水路W4は、第1流路部位R1と第2流路部位R2と第3流路部位R3と第4流路部位R4とから構成されている。
【0051】
このように、モード切換手段12が部分直列加熱モードに切り換える場合にも、制御部13は、固体酸化物形燃料電池SOFC、ヒートポンプ装置1、及び、循環ポンプP1を作動させて、給湯タンク6を通過する循環水を第1加熱熱交換器2にて加熱し、第1加熱熱交換器2にて加熱した水の一部を更に燃料電池排熱加熱式熱交換器4bにて加熱し、第1加熱熱交換器2にて加熱された水と燃料電池排熱加熱式熱交換器4bにて加熱された水とを合流させて給湯タンク6に戻すようにしている。このとき、制御部13は、循環ポンプP1の回転速度や第2三方弁S2の開閉状態を制御することで、例えば、第1加熱熱交換器2にて40℃まで加熱し、第1加熱熱交換器2にて加熱された水の6割を更に燃料電池排熱加熱式熱交換器4bにて目標温度(例えば、70℃)まで加熱して、40℃の4割の水と70℃の6割の水とを混合して58℃の水を給湯タンク6に供給するようにしている。
【0052】
図3及び図4では、第2接続部16に第2加熱熱交換器4を接続する接続状態として使用する例を示しているが、本発明に係る加熱モード切換装置100は、図2に示すように、第2接続部16に第2加熱熱交換器4を接続しない非接続状態としても使用することもできるように構成されている。図2では、第2接続部16に第2加熱熱交換器4を接続しない非接続状態として、給湯タンク6への貯湯を行う場合を示している。
【0053】
第2接続部16に第2加熱熱交換器4を接続しない非接続状態として、第2接続部16の末端である第2流路部位R2及び第3流路部位R3の末端を閉止自在に構成されている。これにより、第2接続部16には、水を通流させないようにすることができる。このように、第2接続部16の末端を閉止する場合には、モード切換手段12が、第1加熱熱交換器の単独加熱水路W1にて水を通流させることで、給湯タンク6や暖房負荷熱交換器14を通過する循環水を第1加熱熱交換器2のみに経由させて加熱する第1加熱熱交換器の単独加熱モードに切り換えている。
図2に示すように、第2接続部16の末端を閉止する場合には、制御部13は、ヒートポンプ装置1及び循環ポンプP1を作動させて、給湯タンク6を通過する循環水を第1加熱熱交換器2にて加熱して給湯タンク6に戻すようにしている。そして、制御部13は、循環ポンプP1の回転速度を制御することで、例えば、第1加熱熱交換器2にて60℃まで加熱するようにしている。
【0054】
図2〜図5では、第1接続部15に接続された給湯タンク6と暖房負荷熱交換器14のうち、給湯タンク6への貯湯を行う場合を示しているが、暖房負荷熱交換器14への熱供給を行うこともできる。そこで、暖房負荷熱交換器14への熱供給を行う場合について、図6に基づいて説明する。図6では、第2接続部16に接続される第2加熱熱交換器4としてエンジン排熱加熱式熱交換器4aを採用した場合を例示しているが、第2接続部16に接続される第2加熱熱交換器4として燃料電池排熱加熱式熱交換器4bを採用した場合も同様である。
図6に示すように、制御部13が、第1開閉弁K1を閉状態に維持することで、第1加熱熱交換器2及び第2加熱熱交換器4にて加熱された水を暖房負荷熱交換器14に供給し、暖房負荷熱交換器14において水にて熱媒体を加熱するように構成されている。暖房負荷熱交換器14にて加熱された熱媒体は、暖房負荷(例えば、床暖房装置や浴室暖房乾燥装置)に供給されて暖房等に熱が消費される。
図6(a)に示すように、暖房負荷にて要求されている熱量が小さい場合には、制御部13が、暖房負荷熱交換器14を通過した水をそのまま第3接続流路部位T3に供給する状態に第1切換弁L1を切り換え、暖房負荷を賄った後の余りの熱を給湯タンク6に蓄熱するように構成されている。
図6(b)に示すように、暖房負荷にて要求されている熱量が大きい場合には、制御部13が、暖房負荷熱交換器14を通過した水を第4接続流路部位T4に供給する状態に第1切換弁L1を切り換えるように構成されている。このとき、第1加熱熱交換器2及び第2加熱熱交換器4にて加熱された水を暖房負荷熱交換器14に供給しても、暖房負荷にて要求されている熱量に不足する場合には、暖房負荷熱交換器にて加熱された熱媒体を更に図外の燃焼式加熱熱交換器にて加熱し、その加熱された熱媒体を暖房負荷に供給しており、暖房負荷にて要求されている熱量に不足する不足分を図外の燃焼式加熱熱交換器にて賄うようにしている。
【0055】
〔第2実施形態〕
上記第1実施形態では、燃料電池として、固体酸化物形燃料電池(図4にてSOFCと示す)を適応した例を示したが、この第2実施形態では、図7に示すように、燃料電池として、固体高分子形燃料電池(図7にてPEFCと示す)を適応した場合に、モード切換手段12がどのようにモード切換を行うかを示すものである。その他の構成については、上記第1実施形態と同様であるので、その他の構成については説明を省略し、固体高分子形燃料電池(図7にてPEFCと示す)を適応した場合のモード切換手段12のモード切換について説明する。
【0056】
燃料電池が固体高分子形燃料電池PEFCである場合には、モード切換手段12が、図7(a)に示すように、直列条件が満たされると直列加熱モードに切り換え、図7(b)に示すように、直列条件が満たされなければ並列加熱モードに切り換えるように構成されている。
直列条件は、給湯タンク6を通過する循環水を第1加熱熱交換器2、第2接続部16に接続される燃料電池排熱加熱式熱交換器4bの順に直列に経由させても良好な運転を確保できる条件である。そして、直列条件は、給湯タンク6や暖房負荷熱交換器14を通過する循環水を第1加熱熱交換器2、燃料電池排熱加熱式熱交換器4bの順に直列に経由させても、燃料電池排熱加熱式熱交換器4bに供給される水の温度を上限温度(例えば、40℃)以下としながら、ヒートポンプ装置1にて取得される熱及び固体高分子形燃料電池PEFCの排熱の双方を有効に活用して、給湯タンク6への貯湯や暖房負荷熱交換器14への熱供給を行うことができる良好な運転を確保できる条件として設定されている。直列条件は、例えば、季節が冬期であるという条件や、第1加熱熱交換器2に供給される水の入口温度が直列加熱切換設定温度以下であるという条件に設定することができる。
【0057】
上記第1実施形態では、燃料電池として固体酸化物形燃料電池SOFCを適応すると、モード切換手段12は並列加熱モードに切り換えるだけであった。この第2実施形態では、燃料電池として固体高分子形燃料電池PEFCを適応しており、モード切換手段12は、直列条件が満たされるか否かによって、直列加熱モードと並列加熱モードとの間でモード切換を行うように構成されている。これは、固体高分子形燃料電池PEFCの方が、固体酸化物形燃料電池SOFCに比べて、燃料電池排熱加熱式熱交換器4bでの加熱量が大きくなる。したがって、給湯タンク6や暖房負荷熱交換器14を通過する循環水を第1加熱熱交換器2、燃料電池排熱加熱式熱交換器4bの順に直列に経由させても、固体高分子形燃料電池PEFCの方が、固体酸化物形燃料電池SOFCに比べて、燃料電池排熱加熱式熱交換器4bに供給される水の温度を低くすることができる。それにより、例えば、冬期等、装置の運転条件によっては、給湯タンク6や暖房負荷熱交換器14を通過する循環水を第1加熱熱交換器2、燃料電池排熱加熱式熱交換器4bの順に直列に経由させても、良好な運転を確保できる。そのために、上述の如く、燃料電池として固体高分子形燃料電池PEFCを適応したものでは、モード切換手段12は、直列条件が満たされるか否かによって、直列加熱モードと並列加熱モードとの間でモード切換を行うことで、最適なモード切換を行うことができる。
【0058】
〔第3実施形態〕
上記第1及び第2実施形態では、第2加熱熱交換器4として、エンジン排熱加熱式熱交換器4aを採用する場合及び燃料電池排熱加熱式熱交換器4bを採用する場合について例示しているが、第2加熱熱交換器4として、太陽熱にて水を加熱する太陽熱加熱式熱交換器を採用することもできる。この第3実施形態では、第2加熱熱交換器4として、エンジン排熱加熱式熱交換器4aや燃料電池排熱加熱式熱交換器4bの排熱加熱式熱交換器に代えて、太陽熱加熱式熱交換器を採用した場合について説明する。
第2接続部16に接続される第2加熱熱交換器4として、太陽熱加熱式熱交換器を採用した場合には、上記第1実施形態において燃料電池として固体酸化物形燃料電池SOFCを用いた場合と同様に、図4に示すように、モード切換手段12が並列加熱モードに切り換えている。このようにして、太陽熱加熱式熱交換器には、給湯タンク6や暖房負荷熱交換器14を通過する循環水が加熱されることなく供給されるので、太陽熱加熱式熱交換器に供給される水の温度を極力低くすることができ、太陽熱と水との温度差を大きくとることができる。その結果、太陽熱加熱式熱交換器での加熱を効率よく行うことができ、装置としてエネルギー効率の向上を図ることができる。したがって、第2加熱熱交換器4として、エンジン排熱加熱式熱交換器を採用するか燃料電池排熱加熱式熱交換器を採用するかだけでなく、太陽熱加熱式熱交換器を採用するかの選択もできながら、その選択に対して、コストアップを招くことなく、柔軟に且つ容易に対応することができ、第2加熱熱交換器4の変更にも柔軟に且つ容易に対応することができ、装置としてエネルギー効率の向上を図ることができる。
【0059】
〔第4実施形態〕
この第4実施形態は、上記第1〜第3実施形態において、循環ポンプP1の配設位置の別実施形態である。その他の構成については、上記第1〜第3実施形態と同様であるので、その他の構成については説明を省略し、循環ポンプP1の配設位置を中心に説明する。
【0060】
上記第1〜第3実施形態では、図2〜7に示すように、循環ポンプP1が第1接続部15の他方に接続される第1接続流路部位T1に配置されていたが、図8中実線にて示すように、循環ポンプP1を第3流路部位R3に配置することができる。また、図8中点線にて示すように、循環ポンプP1を第2接続流路部位T2において第4接続流路部位T4との接続部位よりも水の通流方向で下流側部位に配置することもできる。更に、図8中一点鎖線にて示すように、循環ポンプP1を第1流路部位R1において第1三方弁S1よりも水の通流方向で上流側部位に配置することもできる。図8では、第2加熱熱交換器4としてエンジン排熱加熱式熱交換器4aを採用した場合を示しているが、燃料電池排熱加熱式熱交換器4bや太陽熱加熱式熱交換器を採用した場合も同様である。
【0061】
〔別実施形態〕
(1)上記第1〜第4実施形態では、第1三方弁S1及び第2三方弁S2を設けているが、この三方弁に代えて、2つの開閉弁や比例弁を設けて実施することもできる。例えば、第1三方弁S1に代えて、第1流路部位R1において第5流路部位R5の接続箇所と第1加熱熱交換器2との間の部位に開閉弁又は比例弁を設けるとともに、第5流路部位R5に開閉弁又は比例弁を設けることができる。
【0062】
(2)上記第1〜第4実施形態では、第1接続部15に給湯タンク6及び暖房負荷熱交換器14を接続した場合を例示しているが、第1接続部15には、給湯タンク6、暖房負荷熱交換器、追焚負荷で熱を消費する追焚負荷熱交換器の少なくとも何れかを接続することができる。例えば、給湯タンク6及び追焚負荷熱交換器を第1接続部15に接続したり、給湯タンク6のみを第1接続部15に接続することができる。
【0063】
(3)上記第1〜第4実施形態では、ヒートポンプ装置1として、圧縮機7、凝縮器としての第1加熱熱交換器2、膨張弁8、蒸発器9を備えた圧縮式ヒートポンプ装置を例示しているが、例えば、吸収器、再生器、凝縮器としての第1加熱熱交換器、蒸発器を備えた吸収式ヒートポンプ装置をヒートポンプ装置として適応することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明は、給湯利用箇所に供給する水を貯留する給湯タンクと暖房負荷で熱を消費する暖房負荷熱交換器と追焚負荷で熱を消費する追焚負荷熱交換器の少なくとも何れかを接続する第1接続部と、ヒートポンプ装置により水を加熱する第1加熱熱交換器と、熱と電力とを発生する熱電併給装置にて発生した排熱により水を加熱する排熱加熱式熱交換器もしくは太陽熱にて水を加熱する太陽熱加熱式熱交換器の何れかの第2加熱熱交換器を接続する第2接続部とが備えられ、第2加熱熱交換器として、エンジン排熱加熱式熱交換器を採用するか燃料電池排熱加熱式熱交換器を採用するか太陽熱加熱式熱交換器を採用するかの選択に対して、コストアップを招くことなく、柔軟に且つ容易に対応することができ、熱電併給装置や熱交換器の変更にも柔軟に且つ容易に対応することができ、装置としてエネルギー効率の向上を図ることができる各種の加熱モード切換装置に適応可能である。
【符号の説明】
【0065】
1 ヒートポンプ装置
2 第1加熱熱交換器
3 熱電併給装置
4 第2加熱熱交換器
6 給湯タンク
12 モード切換手段
14 暖房負荷熱交換器
15 第1接続部
16 第2接続部
100 加熱モード切換装置
P1 循環ポンプ
R1 第1流路部位
R2 第2流路部位
R3 第3流路部位
R4 第4流路部位
R5 第5流路部位
W1 第1加熱熱交換器の単独加熱水路
W2 第2加熱熱交換器の単独加熱水路
W3 第1加熱熱交換器及び第2加熱熱交換器の兼用加熱水路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯利用箇所に供給する水を貯留する給湯タンクと暖房負荷で熱を消費する暖房負荷熱交換器と追焚負荷で熱を消費する追焚負荷熱交換器の少なくとも何れかを接続する第1接続部と、ヒートポンプ装置により水を加熱する第1加熱熱交換器と、熱と電力とを発生する熱電併給装置にて発生した排熱により水を加熱する排熱加熱式熱交換器もしくは太陽熱にて水を加熱する太陽熱加熱式熱交換器の何れかの第2加熱熱交換器を接続する第2接続部とが備えられ、前記第1接続部に接続される前記給湯タンクと前記暖房負荷熱交換器と前記追焚負荷熱交換器の少なくとも何れかを通過する循環水を前記第1加熱熱交換器と前記第2接続部に接続される前記第2加熱熱交換器とに並列に経由させて加熱する並列加熱モードで水を通流させる水路と、前記循環水を前記第1加熱熱交換器、前記第2接続部に接続される前記第2加熱熱交換器の順に直列に経由させて加熱する直列加熱モードで水を通流させる水路とに切換自在なモード切換手段が備えられている加熱モード切換装置。
【請求項2】
前記第2接続部に接続される前記第2加熱熱交換器として、前記太陽熱加熱式熱交換器を採用する場合には、前記モード切換手段が前記並列加熱モードに切り換え、前記第2接続部に接続される前記第2加熱熱交換器として、前記排熱加熱式熱交換器の1つであるエンジンの排熱により水を加熱するエンジン排熱加熱式熱交換器を採用する場合には、前記モード切換手段が前記直列加熱モードに切り換え、前記第2接続部に接続される前記第2加熱熱交換器として、前記排熱加熱式熱交換器の1つである燃料電池の排熱により水を加熱する燃料電池排熱加熱式熱交換器を採用する場合には、前記モード切換手段が前記直列加熱モード及び前記並列加熱モードの何れかに切り換えるように構成されている請求項1に記載の加熱モード切換装置。
【請求項3】
前記燃料電池が固体酸化物形燃料電池である場合には、前記モード切換手段が前記並列加熱モードに切り換える請求項2に記載の加熱モード切換装置。
【請求項4】
前記燃料電池が固体高分子形燃料電池である場合には、前記モード切換手段が、前記循環水を前記第1加熱熱交換器、前記第2接続部に接続される前記燃料電池排熱加熱式熱交換器の順に直列に経由させても良好な運転を確保できる直列条件が満たされると、前記直列加熱モードに切り換え、前記直列条件が満たされなければ、前記並列加熱モードに切り換えるように構成されている請求項2に記載の加熱モード切換装置。
【請求項5】
前記モード切換手段は、前記直列加熱モード及び前記並列加熱モードに加えて、前記循環水を前記第1加熱熱交換器に経由させて加熱し、前記第1加熱熱交換器にて加熱された水の一部を前記第2加熱熱交換器に経由させて加熱する部分直列加熱モードにも切換自在に構成されている請求項1〜4の何れか1項に記載の加熱モード切換装置。
【請求項6】
前記第2接続部に接続される前記第2加熱熱交換器として、前記排熱加熱式熱交換器の1つである燃料電池の排熱により水を加熱する前記燃料電池排熱加熱式熱交換器を採用する場合には、前記モード切換手段が、前記第1加熱熱交換器にて加熱された水の一部を前記燃料電池排熱加熱式熱交換器に経由させても良好な運転を確保できる部分直列条件が満たされると、前記部分直列加熱モードに切り換える請求項5に記載の加熱モード切換装置。
【請求項7】
前記第1接続部の一方と前記第1加熱熱交換器を接続する第1流路部位と、前記第1加熱熱交換器と前記第2接続部の一方を接続する第2流路部位と、前記第2接続部の他方と前記第1接続部の他方を接続する第3流路部位と、前記第2流路部位の途中部位と前記第3流路部位の途中部位とを接続する第4流路部位と、前記第1流路部位の途中部位と前記第2流路部位における前記第4流路部位への接続箇所と前記第2接続部の一方までの間の部位を接続する第5流路部位とが備えられ、前記第1流路部位と前記第2流路部位の一部と前記第4流路部位と前記第3流路部位の一部とから第1加熱熱交換器の単独加熱水路が構成され、前記第1流路部位の一部と前記第5流路部位と前記第2流路部位の一部と前記第3流路部位とから第2加熱熱交換器の単独加熱水路が構成され、前記第1流路部位と前記第2流路部位と前記第3流路部位とから第1加熱熱交換器及び第2加熱熱交換器の兼用加熱水路が構成され、前記モード切換手段は、前記第1加熱熱交換器の単独加熱水路と前記第2加熱熱交換器の単独加熱水路にて水を通流させることで前記並列加熱モードに切り換え、前記第1加熱熱交換器及び第2加熱熱交換器の兼用加熱水路にて水を通流させることで前記直列加熱モードに切り換えている請求項1〜6の何れか1項に記載の加熱モード切換装置。
【請求項8】
前記第2接続部に前記第2加熱熱交換器を接続しない非接続状態として前記第2接続部の末端を閉止自在に構成され、前記第2接続部の末端を閉止する場合には、前記モード切換手段が、前記循環水を前記第1加熱熱交換器のみに経由させて加熱する第1加熱熱交換器の単独加熱モードに切り換える請求項1〜7の何れか1項に記載の加熱モード切換装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−77961(P2012−77961A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−221696(P2010−221696)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000000284)大阪瓦斯株式会社 (2,453)
【Fターム(参考)】