説明

加熱室の残留物を除去するための装置

本発明は、加熱室内に挿入されてその内部で移動することが可能なように設計されている、スクレーパフレーム(20)と、スクレーパフレームが移動するときに、スクレーパ要素によって、残留物が加熱室の少なくとも側壁および/または天井において除去され得るようにスクレーパフレーム上に配置された、少なくとも1つのスクレーパ要素(30、31、32)とを含む、炉の、特に焼結炉の加熱室の残留物を除去するための装置(10)に関する。この装置を用いると、実質的に製造の過程を害することなく、単純で効果的なやり方で、加熱室内の堆積物を除去することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、炉の、特に焼結炉の加熱室または充填室の残留物を、除去するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
成形部品の焼結は、具体的には連続生産のため、好ましくは、たとえば加熱室の炭素ライニングを備える抵抗加熱または誘導加熱炉などの連続炉内で、行われる。このため、たとえば再結晶炭化ケイ素(RSiC)ベースのディーゼル粒子フィルタは、このような炉内でおよそ1900℃から2400℃で焼結される。焼結されるべき製品は、いわゆる押し板に載せられて炉内を押し進められることが可能である。
【0003】
材料と共に導入される焼結助剤および不純物は、焼結プロセスの間に蒸発する。典型的な蒸発生成物は、アルカリおよび二酸化ケイ素(SiO)である。炉内のガス配管に応じて、蒸発生成物は、炉から排出されるか、または連続炉の場合のように、加熱または冷却ゾーンの方向に押し流される。
【0004】
連続焼結炉において、一貫した温度プロファイルが炉の長さ全体にわたって展開される。結果的に、新しい相の凝結および形成が、凝結温度または反応温度の領域内で、1つのゾーン内に集中して発生する。それぞれの凝結温度が超過されると、不純物の堆積が発生する。加えて、たとえばSiOなどの蒸発生成物は、炉の黒鉛ライニングと反応して炭化ケイ素を形成する可能性があり、結果的に黒鉛ライニング上で新しい相の形成を通じて外皮を形成する。
【0005】
堆積物の形成は、炉の自由断面を著しく減少させ、炉内における充填物、すなわち製品のスムーズな搬送は、もはや保証されなくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
現在まで、堆積物は、加熱室または充填室から手動で掻き取られており、長時間にわたる炉の停止時間が許容されなければならない。このため、炉の温度を下げて炉を空にすることが、不可欠である。
【0007】
本発明の目的は、実質的に製造の過程を害することなく、単純で効果的なやり方で、加熱室または充填室内の堆積物が除去されることが可能な装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、請求項1による装置を通じて達成される。
【0009】
具体的には、目的は、加熱室内に挿入されてその内部で移動することが可能なように設計されている、スクレーパフレームと、スクレーパフレームまたは装置が移動するときに、スクレーパ要素によって、残留物が加熱室の少なくとも側壁および/または天井において除去され得るようにスクレーパフレーム上に配置された、少なくとも1つのスクレーパ要素とを含む、炉の、特に焼結炉の加熱室または充填室の残留物を除去するための装置を通じて、達成される。
【0010】
本発明の本質的な態様は、焼結すべき製品、すなわち実際の充填物と同様に、装置(スクレーパ)は、装置が多額の費用をかけずに加熱室内を押し進められることが可能なように、移動可能であることからなる。これは個別の経路において行われるが、しかし場合により、焼結プロセスまたはそのような処理の間、充填物と一緒であってもよい。
【0011】
スクレーパ要素を備える装置(すなわちスクレーパ)は、処理されるべき加熱室表面に沿ってスクレーパ要素が通過するという点において、望ましくない堆積物を確実に除去する。このため、困難で時間のかかる洗浄手順は回避され得る。装置によって、必要なクリアランスゾーンは定期的に一掃され、結果的に炉内を通る充填物のスムーズな搬送となる。さらに、装置は、加熱室内の雰囲気を浄化するための物質で満たされることが可能である。このため、黒鉛フェルト廃棄物は炉内に導入される可能性があり、二酸化ケイ素に含まれる酸素を結合および変換して、一酸化炭素(CO)を形成する。
【0012】
第一の好適な実施形態においてスクレーパフレームは、炉の運搬要素による装置の運搬のために押し板上に取り付けられることが可能なように設計されており、したがって加熱室内において移動可能である。押し板は好ましくは、炉内を通じて充填物を押し進めるために使用されるものに対応する。このため、炉の運搬手段も装置上で使用されることが可能であり、洗浄費用が最低限に抑えられる。通例、運搬手段として案内路が設けられる。
【0013】
別の好適な実施形態において、スクレーパフレームは、2つの側壁要素、後壁要素、および上部要素を含む、箱要素として設計される。従来の充填物の搬送にも使用される上述の押し板は、ここではスクレーパフレームの床要素の役割を果たす。スクレーパフレームの寸法は好ましくは、押し板の寸法にほぼ対応するように選択される。こうして、一種の「灰器」が提供される。
【0014】
原理的には、当然ながら、自身の床要素を備える箱要素を設計し、その後配置全体を押し板上に取り付けることも、可能である。
【0015】
箱要素は、箱要素の使用時に提供される前側に、箱要素の内部に残留物を取り込むための開口部を有しており、この開口部は好ましくは前側全体にわたって延在する。言い換えると、箱要素は好ましくは、掻き落とされた残留物が箱要素内に落ちることが可能なように、その前側が開口している。
【0016】
一実施形態は、加熱室の側壁および/または天井の方向にこれを超えて突き出している、箱要素の前側のスクレーパ要素が、少なくとも1つの側壁要素および/または上部要素上に配置される(簡単に言うと:スクレーパ要素が外向きに突き出している)ことを、規定する。ここで、「前側」という用語は、押し方向における前方側を意味する。そこに配置されたスクレーパ要素はこうして、単純なやり方で加熱室の内壁と接触させられることが可能である。
【0017】
スクレーパ要素は、加熱室または充填室の内壁の方向に、スクレーパフレームを超えて、または箱要素を超えて(すなわちその断面を超えて)、好ましくはおよそ5mmだけ突き出している。言い換えると、スクレーパ要素を有する装置の領域は、加熱室の内壁の方向に湾曲しているか、または領域が側壁要素または上部要素に対してこの方向にずれている。
【0018】
堆積物におけるスクレーパ要素の確実な係合を保証するために、スクレーパ要素は、たとえば側壁要素および/または上部要素を超えて、好ましくは0°から20°の角度で、特に好ましくは5°から15°の角度で、このように突き出している。このため、箱要素自体は、炉の壁と接触して歪曲することが防止されている。
【0019】
好ましくは、スクレーパ要素は、側壁要素および/または上部要素の前面の斜角として設計され、斜角は、開口部の開口断面が拡大されるように続いている。斜角は、たとえば、スクレーパ要素が配置される側壁要素または上部要素に対して、5°から50°の角度、好ましくは30°または45°の角度を有する。
【0020】
本発明によれば、スクレーパ要素は好ましくは、側壁要素および/または上部要素上の切刃としてその全長にわたって延在することが、規定される。このため、壁の比較的大きい領域が対象となり得る。
【0021】
炉の壁が1つの経路において可能な限り完璧に望ましくない堆積物を含まないようにするために、スクレーパ要素または切刃は、いずれの場合も各側壁要素上および上部要素上に有利に配置される。
【0022】
装置の特に単純な製造方法のため、スクレーパ要素は、側壁要素および/または上部要素と一体に形成され、好ましくはスクレーパフレームまたは箱要素と同じ材料で作られる。
【0023】
あるいは、箱要素上に実装可能な独立した部品としてスクレーパ要素を提供することも、可能である。スクレーパ要素はこのように、交換可能であって、様々な材料を用いて提供されることが可能である。
【0024】
一実施形態において、箱要素の安定のため、側壁要素の間に、これらに対して実質的に平行に、分割要素が配置される。箱要素はこのように、たとえば2つの部屋に分割される。箱要素の寸法に応じて、複数の安定壁が設けられてもよい。
【0025】
側壁要素は、少なくとも箱要素の前側で、押し板から上部要素に向かう方向にテーパ状となるように設計されることが可能である。言い換えると、上部要素は、押し板を部分的にのみ覆う(後退する)。このように設計された箱要素の開口部は、掻き取られた残留物が箱要素内の床要素(押し板)上に落ちる際の、取り込みを可能にする。
【0026】
箱要素の内容物排出を容易にするために、一実施形態において、少なくとも1つの引き出し要素が、開口部を通じて箱要素内に挿入されることが可能である。引き出し要素はその後、押し板上に収まり、こうして残留物の箱要素内への取り込みを可能にする。箱要素からの残留物の除去のため、引き出し要素は好ましくは、スクレーパフレームまたは箱要素から完全に取り出され、空にされることが可能である。
【0027】
箱要素が分割要素を備えて構成されている場合、引き出し要素は、いずれの場合も側壁と分割要素との間に配置されることが可能である。複数の分割要素については、複数の引き出し要素が相応に提供される。
【0028】
上部要素もまた上側に、残留物の箱要素内への取り込みのため、少なくとも1つの開口部を有することができる。洗浄プロセスの間に装置上に落下する堆積物粒子はこのように、箱要素内に直接取り込まれることが可能である。
【0029】
好ましくは、箱要素の個別の要素、すなわち側壁要素、後壁要素、上部要素、および分割要素は、ボルト、リベット、もしくは差し込み接続によって、または接着もしくは溶接接続などによって、互いに接続される。箱要素自体もその後同様に、これらの接続タイプのうちの1つによって、押し板上に取り付けられることが可能である。これにより、装置の高い安定性を保証する。
【0030】
好ましくは、箱要素は、その外部形状において少なくとも部分的に加熱室の内部形状と実質的に対応するように、設計される。箱要素はこのように、実質的に立方体の形状で、通常充填物よりも幾分大きい寸法で、設計されることが可能である。1つまたは複数のスクレーパ要素は、加熱室の内壁まで正確に案内されることが可能である。
【0031】
あるいは、箱要素は、前側から後壁要素に向かう方向にテーパ状となって、すなわち漏斗または台形の形状で、設計されることが可能である。この構成を用いて、スクレーパフレーム自体の歪曲が、確実に防止されることが可能である。
【0032】
押し板は、箱要素の反対側に向いている下側に、炉の運搬要素の案内要素上に装置を載置するための溝を有する。装置は充填物のように炉内を案内されるように意図されているので、このために炉内に配置された運搬要素、すなわち、たとえば案内路またはコンベヤベルトが、使用されることが可能である。運搬要素上の装置の適切な位置決めは、溝に係合する案内要素によって実現される。
【0033】
有利なことに、箱要素およびスクレーパ要素は黒鉛で作られている。スクレーパ要素が独立した部品として提供される場合には、これは異なる材料(たとえば、黒鉛よりも硬い材料)で作られてもよい。このため、スクレーパ要素(切断要素または切刃も)は、たとえば鋼などで作られて提供されることが可能であり、これはその後箱要素に取り付けられる。このために、ボルト接続(上述のタイプの接続参照)もまた、考えられるであろう。
【0034】
好適な実施形態において、スクレーパフレームは、残留物の除去中に加熱室内で詰まりが発生した場合に装置が破壊されることが可能なように、側壁要素のうちの1つに、後壁要素上に、分割要素上に、および/または上部要素上に、少なくとも1つの所定の破壊点を有する。言い換えると、(1つまたは複数のスクレーパ要素が炉内残留物と係合している間に)特定の所定応力がスクレーパフレームまたは装置上に作用するかまたはこれが超過されるとすぐに、スクレーパフレームが崩壊し、炉内のフレームの詰まりが防止される。あるいは、洗浄プロセスまたは焼成プロセスが中断するか、または少なくとも妨害される。所定の破壊点は、たとえば、壁要素の壁厚を減少させる溝として、設けられることが可能である。
【0035】
適切に、所定の破壊点を備えるスクレーパフレームを用いて、スクレーパフレームの破損部品の除去のための装置が使用される。言い換えると、破壊された「スクレーパ」が排除され得るように、残留物を除去するための装置の後ろで、いわゆる「エンプティプッシャ(empty pusher)」が、加熱室を通じて案内されなければならない。
【0036】
本発明のその他の実施形態は、従属請求項に現れる。
【0037】
以下において、本発明の例示的実施形態が、図面を参照して詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明による装置の実施形態の斜視図である。
【図2】図1の環境の、別の斜視図である。
【図3】図2の実施形態の前面図である。
【図4】図1の実施形態の平面図である。
【図5】図2の線V−Vに沿った断面において示される、図1の実施形態の側面図である。
【図6】本発明による装置の別の実施形態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下の記載において、同一の、および同様に機能する部分には、同じ参照符号が使用される。
【0040】
図1は、炉の、特に焼結炉の加熱室または充填室の残留物を除去するための、本発明による装置10を斜視図にて示す。しかしながら装置は、その加熱室が定期的に洗浄されて処理工程から堆積物および残留物が排除されなければならない、全てのタイプの炉に適している。
【0041】
装置は、炉を通じて案内され、その際に、加熱室の内壁、特に側壁および/または天井の堆積物を除去するために、提供される。(掻き取り)装置10は、必要なクリアランスゾーンを定期的に一掃し、こうして炉内を通る充填物のスムーズな搬送を可能にする。この洗浄プロセスを可能な限り簡単にするために、「通常の」充填物のように炉内を通じて装置を駆動させ、このために炉内に位置する運搬手段(運搬要素、たとえば案内路、コンベヤベルトなど)を使用することが、規定されている。充填物は、たとえばその上に充填物が載置される、いわゆる押し板によって、炉内を通じて運搬または押し進められる。このために、押し板は一般的に、運搬要素の案内要素が係合する、充填物の反対側に向いている下側に、溝を有する。このため、案内路上の装置の位置は事前に決められている。
【0042】
装置は、スクレーパフレーム20、およびその上に配置されたスクレーパ要素30、31、32を含む。スクレーパフレーム20は、2つの側壁要素21、22、後壁要素23、および上部要素24から作られている。床要素26がさらに設けられている。装置はこのように、前側(使用時の視線で定義される)が開口しているか、または開口部40を有する、箱要素として設計されている。
【0043】
上部要素24は、部分的にのみ床要素26と重複しており、すなわち床要素よりも幅が狭く設計されている。したがって、側壁要素21、22は、少なくとも装置の前側28において、上部要素24の方向に床要素26から見たときに、テーパ状となっている。上部要素24は、開口部40が前側28において拡大するように、床要素26に対してこのように後退している。上部要素24はまた、上側に(この場合は2つの)開口部41、42も有している。
【0044】
床要素はここでは、実際の充填物に関して上述されたように、装置10全体が単純な手段によって加熱室を通じて案内され得るように、押し板26として提供される。
【0045】
加熱室の内壁上の残留物を徹底的に掻き取る、すなわち除去する、箱要素20上のスクレーパ要素30、31、32は、側壁要素21、22および上部要素24の両方に配置されている。スクレーパ要素30、31、32はここでは、スクレーパフレームの側壁要素21、22の、または上部要素24の延伸部として設計されており、(使用中に)加熱室の内壁の方向に、壁要素または上部要素を超えて突き出している。このために、スクレーパ要素を備える領域は(またはスクレーパ要素は)、壁要素21、22の側面に対しておよび上部要素24に対して内壁の方向にずれており、または上部要素から認識できるように、この方向で上向きに湾曲もしくは傾斜して突き出している。この例示的実施形態において、箱要素20の前側28にある、壁要素21、22の、または上部要素24の前面21’、22’、24’は、すぐ上で記載されたように、外縁が、側壁要素21、22の側壁表面を超えて、または上部要素24を超えてある程度(およそ5mm)突き出して、開口部40の開口断面が拡大されるように、傾斜している。このため、加熱室内の箱要素自体の歪曲は、防止されることが可能である。
【0046】
図1によって示される配置において、前面斜角は、およそ45°の角度で(好ましくは5°から30°の範囲でも)設計されており、原則的に、側壁要素21、22および上部要素24の全長にわたって延在する切刃として、提供されている。
【0047】
ここで示される実施形態において、スクレーパ要素30、31、32は、側壁要素21、22と、または上部要素24と一体に、形成されている。あるいは、その材料が堆積物のタイプに適合する別の切刃に取り付けられることが、可能であろう。切刃が交換可能なように装置を設計することも、可能であろう。このために、スクレーパ要素のための特殊解放可能取り付け手段が提供される必要があるであろう。
【0048】
側壁要素21、22の間には、装置または箱要素20を安定させるために、分割要素25が側壁要素21、22と平行に配置されている。掻き取り装置10のサイズに応じて、複数の分割部が設けられてもよいであろう。
【0049】
すでに上記で記載されたように、床要素は、運搬中に加熱室内の堆積物が除去された状態で、箱要素20の運搬のための押し板26によって、形成される。箱要素20の形状および対応するように設計された(前側の、上部要素内の)開口部40、41、42に基づいて、堆積物は、箱要素20内に落下し、それによって炉外に搬送されることが可能である。掻き取られた堆積物は、押し板26上に蓄積することになる。
【0050】
図2は、図1による装置10の実施形態を示す。しかしながら、ここで、更なる詳細、すなわち引き出し要素50、51が示されている。箱要素20の内容物排出を容易にするために、堆積物の収集器の役割を果たして押し板26上に収まっている引き出し要素50、51は、箱要素内に挿入または押し入れられることが可能である。内容物排出のために、引き出し要素は箱要素20から取り出されることが可能である。分割要素25のため、2つの引き出し要素50、51がこの実施形態に設けられている。
【0051】
箱要素20は、スクレーパ要素30、31、32が加熱室の側壁および天井と接触させられることが可能なように、その外部形状において少なくとも部分的に加熱室の内部形状と実質的に対応している。
【0052】
装置10は、(炉の洗浄中に)加熱室内で可能性のある詰まりが発生した場合に、スクレーパフレームまたは箱要素を破壊するのに役立つ、たとえば溝の形状の、所定の破壊点43を、さらに有することができる。明確さのため、所定の破壊点は図1にのみ描かれており、所定の破壊点(たとえば溝)の可能な配置を示すために、破線として設けられている。
【0053】
加熱室内の残留物における押し要素の係合の間に特定の応力が超過されるとすぐに、箱要素はこのために設けられた点において崩壊する。
【0054】
炉から破損部品を除去するために、箱要素または装置10の後ろで、いわゆる「エンプティプッシャ(empty pusher)」が、炉を通じて案内されることが可能である。これは破片を拾い上げるか、またはこれらを炉の前面から押し出すことができる。たとえば別の押し板が、エンプティプッシャの役割を果たすことも可能である。
【0055】
図3は、図1による装置10を前面図にて示す。ここで、2つの引き出し要素50、51を認識することが可能である。加えて、運搬手段の案内要素が係合する押し板26の溝27も、示されている。
【0056】
図4は、配置10を平面図にて示す。後退した上部要素24上に、掻き取られた堆積物粒子の取り込みに役立つ2つの開口部41、42が、認識され得る。
【0057】
図5は、図1による配置10の側面図を示す。図3の線V−Vに沿った断面が示されている。箱要素20の個別の部品は、ボルト接続60によって互いに接続されている。箱要素20もまた、押し板26にボルト留めされている。接着接続、差し込み接続、リベット接続なども、考えられるであろう。
【0058】
スクレーパ要素32は、上部要素24を超えて角度αで突き出しており、こうして堆積物を掻き取るために加熱室の天井と係合することができる。同時に、スクレーパ要素は、斜角βを有する。
【0059】
図6は、本発明による装置10の別の実施形態を示す。ここで、箱要素20は、漏斗の形状で設計されており、前側28から後壁要素23に向かう方向にテーパ状となっている。好ましくは、上部要素24が後壁要素23の方向で(すなわち後ろに向かって)下方に傾斜するように、側壁要素21、22もまた後壁要素23の方向にテーパ状となるように設計される。この構成を用いると、前面28の切断または掻き取り刃30、31、32は装置10の最大断面を形成するので、加熱室内の箱要素20の歪曲が防止されることが可能である。漏斗状の設計により、側壁要素21、22およびスクレーパ要素30、31または上部要素24およびスクレーパ要素32(ここでは互いに一体に設計されている)は、外部表面がいずれの場合も1つの平面を形成するように、箱要素20の外部表面上で互いに同一平面となるように配置されることが可能である。スクレーパ要素30、31、32は、斜角を付けることによって内側表面にのみ形成される。しかしながら、上述のように、スクレーパ要素は、壁要素または上部要素とある角度をなして配置され、壁および天井を超えて突き出ることが可能である。
【0060】
本発明による装置10を用いると、この場合には装置10が、処理されるべき製品と同様に炉内を案内、特に押し進められることで、特に工業用炉の、炉のクリアランスゾーンまたは充填室は、高額の費用をかけずにきれいに保たれるかまたは一掃されることが可能である。洗浄費用はこうして効果的に低く抑えられることが可能である。スクレーパ要素は、スクレーパフレームから突き出ることが可能である(ずらされる、傾斜する、湾曲する、および/または単なる側壁の伸長部として設けられる)。さらに、スクレーパ要素は斜角を有することができ、および/またはスクレーパフレームの側壁は、押し方向で漏斗状に開口している。全ての組み合わせが可能である。
【符号の説明】
【0061】
10 炉の加熱室の残留物を除去するための装置
20 スクレーパフレーム、箱要素
21、22 側壁要素
21’、22’、24’ 前面
23 後壁要素
24 上部要素
25 分割要素
26 押し板、床要素
27 溝
28 前側
30,31,32 スクレーパ要素
40,41,42 開口箱要素
43 所定の破壊点
50、51 引き出し要素
60 ボルト接続
α、β 角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炉の、特に焼結炉の加熱室の残留物を除去するための装置であって、加熱室内に挿入され、内部で移動させられることが可能な、スクレーパフレーム(20)と、スクレーパフレーム(20)が移動させられるときに、スクレーパ要素(30、31、32)によって、少なくとも加熱室の側壁および/または天井において残留物が除去されるように、スクレーパフレーム(20)上に配置された、少なくとも1つのスクレーパ要素(30、31、32)と、を含む装置。
【請求項2】
スクレーパフレーム(20)は、炉の運搬要素による装置(10)の運搬のために押し板(26)上に取り付けられることが可能なように設計されており、したがって加熱室内で移動可能であることを特徴とする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
スクレーパフレーム(20)が、2つの側壁要素(21、22)、後壁要素(23)、および上部要素(24)を含む箱要素として設計され、押し板(26)が床要素を形成することを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
箱要素(20)が、箱要素の使用時に提供される前側(28)に、箱要素(20)内に残留物を取り込むための開口部(40)を有し、開口部が好ましくは前側(28)全体にわたって延在することを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
箱要素(20)の前側(28)にあり、これを超えて加熱室の側壁および/または天井の方向に突き出しているスクレーパ要素(30、31、32)が、少なくとも1つの側壁要素(21、22)および/または上部要素(24)上に配置されていることを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
スクレーパ要素(30、31、32)が、角度(α)で、好ましくは0°から20°の角度(α)で、特に好ましくは5°から15°の角度で、側壁要素(21、22)および/または上部要素(24)を超えて突き出ることを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
スクレーパ要素(30、31、32)が、側壁要素(21、22)および/または上部要素(24)の前面(21’、22’、24’)の斜角として設計され、斜角は開口部(40)の開口断面が拡大されるように続いていることを特徴とする、請求項1から6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
斜角が5°から50°の角度(β)、好ましくは30°または45°の角度を有することを特徴とする、請求項1から7のいずれか一項、特に請求項7に記載の装置。
【請求項9】
スクレーパ要素(30、31、32)が、側壁要素(21、22)および/または上部要素(24)上の切刃としてその全長にわたって延在することを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
側壁要素(21、22)が、少なくとも箱要素(20)の前側(28)で、押し板(26)から上部要素(24)に向かう方向にテーパ状となるように設計されることを特徴とする、請求項1から9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
上部要素(24)が、残留物の箱要素(20)内への取り込みのため、少なくとも1つの開口部(41、42)を上側に有することを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
箱要素(20)が、スクレーパ要素(30、31、32)が加熱室の側壁および/または天井と接触させられることが可能なように、その外部形状において少なくとも部分的に加熱室の内部形状と実質的に対応していることを特徴とする、請求項1から11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
押し板(26)が、箱要素(20)の反対側を向いている下側に、炉の運搬要素の案内要素上に装置(10)を載置するための溝(27)を有することを特徴とする、請求項1から12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
箱要素(20)およびスクレーパ要素(30、31、32)が黒鉛で作られていることを特徴とする、請求項1から13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
スクレーパフレーム(20)は、残留物の除去中に加熱室内で詰まりが発生した場合に装置(10)が破壊されることが可能なように、側壁要素(21、22)のうちの1つに、後壁要素(23)上に、分割要素(25)上に、および/または上部要素(24)に、少なくとも1つの所定の破壊点を有することを特徴とする、請求項1から14のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−504742(P2013−504742A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−529179(P2012−529179)
【出願日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際出願番号】PCT/EP2010/061034
【国際公開番号】WO2011/032771
【国際公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(511255731)サン−ゴバン・インダストリエ・ケラミク・レーデンタール・ゲー・エム・ベー・ハー (4)
【Fターム(参考)】