説明

加熱炉内のスラブ蛇行修正方法

【課題】スラブの蛇行修正を短時間で容易に実施できる加熱炉内のスラブ蛇行修正方法を提供する。
【解決手段】ウォーキングビーム型の加熱炉15内でスラブ12を搬送する際のスラブ蛇行修正方法であり、スラブ12の蛇行原因となる偏心輪群47を構成する各偏心輪45、46の上面高さ位置の差を、偏心輪群47ごとに実測して求め、この差を基にスラブ12の蛇行軌跡をシミュレーションし、この蛇行軌跡が許容範囲外であれば、少なくとも1箇所の偏心輪群47を構成する偏心輪45、46の上面高さ位置を修正し、その修正した上面高さ位置に応じた各偏心輪45、46の上面高さ位置の差を再度求めてスラブ12の蛇行軌跡をシミュレーションし直す工程を、スラブ12の蛇行軌跡が許容範囲内になるまで繰返し行い、このシミュレーション結果に基づいて、偏心輪45、46の上面高さ位置を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウォーキングビーム型の加熱炉内を搬送されるスラブの蛇行を修正する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スラブを加熱する炉として、ウォーキングビーム型の加熱炉が使用されている。この加熱炉は、複数の可動ビームと固定ビームを、その長手方向を加熱炉の炉内長手方向に配置し、しかも炉内幅方向に間隔を有して並べて配置したものであり、加熱炉の炉外幅方向に配置された複数の偏心輪(偏芯輪ともいう)からなる偏心輪群を、各可動ビームの炉外長手方向に所定間隔で複数設けたものである。これにより、各偏心輪を同期駆動することで、各可動ビームが、上昇、前進、下降、及び後退する動作を繰返して、加熱炉内のスラブを炉内長手方向に搬送できる。
このような加熱炉でスラブを搬送する場合、スラブが蛇行して、例えば、スラブが固定ビーム又は可動ビームから落下したり、また加熱炉の炉壁に接触して炉壁を損傷させる恐れがあり、製品の生産性の低下を招いたり、また設備的に被害が大きくなる可能性があった。
そこで、加熱炉内のスラブの蛇行状況を確認する方法として、加熱炉内を直接ビデオ撮影し、加熱炉内のスラブ蛇行状況を確認する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−254789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、加熱炉内でのスラブの蛇行状況が分かったとしても、各可動ビームをどのように調整すれば、加熱炉内でのスラブの蛇行状況がどのように変わるかを、定量的に予測することができず、正確なスラブの蛇行修正が困難であった。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、スラブの蛇行修正を短時間で容易に実施できる加熱炉内のスラブ蛇行修正方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するためになされた本発明の要旨は、以下の通りである。
(1)スラブを加熱するウォーキングビーム型の加熱炉の炉内幅方向に間隔を有して並べて配置された複数の可動ビームに設けられ、前記加熱炉の炉外幅方向に配置された複数の偏心輪からなる偏心輪群を、前記各可動ビームの炉外長手方向に所定間隔で複数設け、前記各偏心輪を同期駆動することにより、前記各可動ビームが、上昇、前進、下降、及び後退する動作を繰返して、前記加熱炉内の前記スラブを炉内長手方向に搬送するに際し、発生する前記スラブの蛇行を修正する方法であって、
前記スラブの蛇行原因となる前記偏心輪群を構成する前記各偏心輪の上面高さ位置の差を、前記偏心輪群ごとに実測して求め、該差を基にして前記加熱炉内における前記スラブの蛇行軌跡をシミュレーションし、該スラブの蛇行軌跡が予め設定した許容範囲外であれば、少なくとも1箇所の前記偏心輪群を構成する前記偏心輪の上面高さ位置を修正し、その修正した上面高さ位置に応じた前記各偏心輪の上面高さ位置の差を再度求め、該差を基に前記スラブの蛇行軌跡をシミュレーションし直す工程を、前記スラブの蛇行軌跡が前記許容範囲内になるまで繰返し行い、該シミュレーション結果に基づいて、前記偏心輪の上面高さ位置を調整することを特徴とする加熱炉内のスラブ蛇行修正方法。
【0007】
(2)前記偏心輪群を構成する前記各偏心輪の上面高さ位置の差は、前記各可動ビームの上昇途中で該可動ビームが前記スラブの下面と接触した際の前記各偏心輪の上面高さ位置Aと、該可動ビームの降下途中で該可動ビームが前記スラブの下面より離れた際の前記各偏心輪の上面高さ位置Bを各々測定し、この測定値を基にして求めることを特徴とする(1)記載の加熱炉内のスラブ蛇行修正方法。
【0008】
(3)前記可動ビームの前記スラブの下面への接触、及び該可動ビームの前記スラブの下面からの離脱は、前記各偏心輪の予め設定した回転角度位置、又は前記可動ビームに設けた前記スラブの荷重検出器の検出情報を基にして検知することを特徴とする(1)又は(2)記載の加熱炉内のスラブ蛇行修正方法。
ここで、各偏心輪の予め設定した回転角度位置とは、例えば、(a)可動ビームの上昇途中でこの可動ビームがスラブの下面と接触した際の各偏心輪の上面高さ位置と、可動ビームの降下途中でこの可動ビームがスラブの下面から離れた際の各偏心輪の上面高さ位置での角度位置、(b)可動ビームがスラブの下面と接触する又は離れるタイミングに近いタイミング(近傍のタイミング)での角度位置である。
また、荷重検出器には、ロードセル等を使用でき、これを用いて可動ビームがスラブの下面に接触した検出情報(即ち、荷重負荷が発生)、又はスラブの下面から離れた検出情報(即ち、荷重負荷が無い)を基にして、各偏心輪の上面高さ位置の差を求めることもできる。
【0009】
(4)修正した前記偏心輪の上面高さ位置に基づく該偏心輪の上面高さ位置の調整は、該偏心輪の位相を調整して行うことを特徴とする(1)〜(3)記載の加熱炉内のスラブ蛇行修正方法。
(5)前記偏心輪群を構成する前記偏心輪の上面高さ位置の修正は、前記スラブの蛇行軌跡をシミュレーションした際に、該スラブの蛇行量が最も大きくなった前記偏心輪群の上流側で、しかも前記スラブを最も大きく蛇行させる前記偏心輪群を構成する前記偏心輪に対して行うことを特徴とする(1)〜(4)記載の加熱炉内のスラブ蛇行修正方法。
(6)前記各偏心輪群を構成する前記各偏心輪の上面高さ位置の差を、前記各可動ビームが設けられ、その下面が前記各偏心輪に接触する昇降フレームの炉幅方向の片側に設けたレーザー変位計により測定することを特徴とする(1)〜(5)記載の加熱炉内のスラブ蛇行修正方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る加熱炉内のスラブ蛇行修正方法は、スラブの蛇行原因となる偏心輪群を構成する各偏心輪の上面高さ位置の差を、偏心輪群ごとに実測して求めるので、この差から、可動ビームの傾き状況を推測でき、各偏心輪群の設置箇所ごとにスラブのずれ量を求めることができる。これにより、隣り合う偏心輪群間で、例えば、上記したずれ量を積算して、加熱炉内におけるスラブの蛇行軌跡をシミュレーションできるので、加熱炉内のスラブの搬送状況を直接確認することなく、スラブの蛇行状況を予測できる。
ここで、スラブの蛇行軌跡が許容範囲外であれば、少なくとも1箇所の偏心輪群を構成する偏心輪の上面高さ位置を修正し、その修正した上面高さ位置に応じた新たに求め直した各偏心輪の上面高さ位置の差を基に、スラブの蛇行軌跡を再度シミュレーションし直す工程を、スラブの蛇行軌跡が許容範囲内になるまで繰返し行うので、スラブの正確な蛇行修正を容易に実施できる。
【0011】
また、偏心輪群を構成する各偏心輪の上面高さ位置の差を、各可動ビームの上昇途中でこの可動ビームがスラブの下面と接触した際の各偏心輪の上面高さ位置Aと、可動ビームの降下途中でこの可動ビームがスラブの下面より離れた際の各偏心輪の上面高さ位置Bを各々測定し、この測定値を基にして求める場合、スラブの蛇行原因となる各偏心輪の上面高さ位置の差を正確に求めることができる。
なお、可動ビームのスラブの下面への接触とスラブの下面からの離脱を、各偏心輪の予め設定した回転角度位置、又は可動ビームに設けたスラブの荷重検出器の検出情報を基にして検知する場合、スラブの蛇行原因となる各偏心輪の上面高さ位置の差を、容易に検知できる。
【0012】
そして、修正した偏心輪の上面高さ位置に基づく偏心輪の上面高さ位置の調整を、偏心輪の位相を調整して行う場合、スラブの蛇行修正を容易にできる。
また、偏心輪群を構成する偏心輪の上面高さ位置の修正を、スラブの蛇行軌跡をシミュレーションした際に、スラブの蛇行量が最も大きくなった偏心輪群の上流側で、しかもスラブを最も大きく蛇行させる偏心輪群を構成する偏心輪に対して行う場合、偏心輪の上面高さ位置の修正を行う効果が大きくなる箇所でスラブの蛇行修正を行うので、修正効果が顕著に現れ、短時間での修正が可能となる。
更に、各偏心輪群を構成する各偏心輪の上面高さ位置の差を、各可動ビームが設けられ、その下面が各偏心輪に接触する昇降フレームの炉幅方向の片側に設けたレーザー変位計により測定する場合、簡単な構成で、高精度の測定を容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施の形態に係る加熱炉内のスラブ蛇行修正方法を適用するウォーキングビーム型の加熱設備の正断面図である。
【図2】同ウォーキングビーム型の加熱設備の側断面図である。
【図3】(A)、(B)はそれぞれ同ウォーキングビーム型の加熱設備の可動ビームの駆動機構の平面図、側面図である。
【図4】(A)、(B)はそれぞれ同駆動機構の部分拡大図、同駆動機構のギヤカップリング部分の部分拡大図である。
【図5】(A)〜(D)はスラブの蛇行の発生過程を示す説明図である。
【図6】スラブの蛇行軌跡のシミュレーション内容の説明図である。
【図7】修正前のスラブの蛇行軌跡のシミュレーション結果を示す説明図である。
【図8】修正後のスラブの蛇行軌跡のシミュレーション結果を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
まず、本発明の一実施の形態に係る加熱炉内のスラブ蛇行修正方法を適用するウォーキングビーム型の加熱設備10について説明した後、本発明の一実施の形態に係る加熱炉内のスラブ蛇行修正方法について説明する。
図1、図2に示すように、ウォーキングビーム型の加熱設備(以下、単に加熱設備ともいう)10は、耐火物11が内張りされ、スラブ12を搬入する搬入口13と、加熱されたスラブ12を搬出する搬出口14が設けられた加熱炉(即ち、加熱炉本体)15を有している。このスラブ12の加熱は、加熱炉15内に配置されたバーナ(図示しない)により行われる。
なお、加熱炉15の長手方向は、スラブ12の搬送方向と一致し、加熱炉15の幅方向は、スラブ12の搬送方向に直交する方向と一致している。また、スラブ12は、その長手方向を加熱炉15の幅方向に向けて搬入される。
【0015】
加熱炉15内には、スラブ12を載置して支持する複数(ここでは、2つ)の固定ビーム16、17が、その長手方向を炉内長手方向に合わせて(スラブ12の搬送方向に沿って)、しかも炉内幅方向に間隔を有して平行に並べて立設されている。なお、固定ビーム16、17は、加熱炉15の炉内長手方向に沿って配置される長尺の固定載置部18と、この固定載置部18を支持する複数の固定支持部19とを有している。
この固定ビーム16、17の間には、スラブ12を載置する複数(ここでは、2つ)の可動ビーム20、21が、固定ビーム16、17とは間隔を有して平行に並べて配置されている。この可動ビーム20、21も、加熱炉15の炉内長手方向に沿って配置される長尺の可動載置部22と、この可動載置部22を支持する複数の可動支持部23とを有している。
各可動ビーム20、21の各可動支持部23の下部は、加熱炉15の下部に形成された貫通孔24を介して、加熱炉15の下方(炉外)の空洞部25内に配置された昇降フレーム26の幅方向両側に立設している。
【0016】
昇降フレーム26は、加熱炉10の炉外長手方向に渡って一体構造となっており、空洞部25内に配置された複数の駆動機構(カム機構)27により昇降する。
図1〜図4に示すように、各駆動機構27は、駆動モータ28からの動力を、動力伝達軸29を介して昇降フレーム26へ送る動力伝達ギヤ30、31を有している。この動力伝達ギヤ30、31の両側には、中間軸32、33が軸心(軸芯ともいう)を合わせて配置され、この中間軸32、33と、ピニオン34、35が取付けられた回転軸36、37とが、その軸心を合わせ、ギヤカップリング38、39を介して取付け固定されている。なお、図4(A)、(B)に示すように、ギヤカップリング38、39は、中間軸32、33側にギヤが設けられ、回転軸36、37側にはボスのみが設けられ、複数のボルト40で固定する構成となっている。
【0017】
各ピニオン34、35には、それぞれ大ギヤ41、42が螺合し、この大ギヤ41、42が取付けられた回転軸43、44に、偏心輪45、46が取付けられている。なお、回転軸43、44は、その軸心を、偏心輪45、46の回転中心からずらして取付けている。
この各偏心輪45、46には、昇降フレーム26の炉幅方向両側の下面が接触している。
各偏心輪45、46は、加熱炉15の下方の炉外幅方向両側に、間隔を有して配置されており、この偏心輪45、46で構成される偏心輪群47を、各可動ビーム20、21の長手方向に所定間隔(例えば、5〜10m程度)で複数設けている。
これにより、各可動ビーム20、21には、昇降フレーム26を介して複数の偏心輪45、46が設けられるため、駆動モータ28からの動力で、各偏心輪45、46を同期駆動させて昇降フレーム26を昇降できると共に、シリンダー48により前後進できる。従って、各可動ビーム20、21が、上昇、前進、下降、及び後退する動作を繰返すので、スラブ12を固定ビーム16、17と可動ビーム20、21に交互に載せて、加熱炉15の搬出口14まで搬送できる。
【0018】
続いて、本発明の一実施の形態に係る加熱炉内のスラブ蛇行修正方法について、ウォーキングビーム型の加熱設備10を参照しながら説明する。
各偏心輪45、46を同期駆動することにより、各可動ビーム20、21が、上昇、前進、下降、及び後退する動作を繰返す。
このとき、各偏心輪群47を構成する偏心輪45、46の上面高さ位置が、常に同じレベルであれば、各可動ビーム20、21はスラブの下面に対して直角に接触するため、2つの固定ビーム16、17の炉内幅方向の中心位置(以下、固定ビーム中心ともいう)と、可動ビーム20、21の炉内幅方向の中心位置(以下、可動ビーム中心ともいう)とが常に一致する。従って、スラブは、蛇行することなく加熱炉15内を搬送される。
【0019】
しかし、現実的には、加熱設備10の使用に伴って、各偏心輪群47を構成する偏心輪45、46の上面高さ位置が異なるレベルになる。この原因としては、例えば、偏心輪45、46の摩耗や、2つの偏心輪45、46の位相のずれがある。
このように、各偏心輪45、46の上面高さ位置が異なるレベルになった場合、2つの可動ビーム20、21の炉内幅方向の中心位置と、2つの固定ビーム16、17の炉内幅方向の中心位置とがずれて、スラブが蛇行しながら加熱炉15内を搬送される。この現象について、図5(A)〜(D)を参照しながら説明する。なお、図5(A)〜(D)では、説明の便宜上、2つの可動ビーム20、21の間に2つの固定ビーム16、17を配置しているが、発生する現象は同じである。
各可動ビーム20、21の上昇途中(例えば、各偏心輪45、46の回転角度90度)で、各可動ビーム20、21がスラブの下面と接触した際、図5(A)に示すように、各可動ビーム20、21がスラブ12の下面に対して傾斜して接触する。この場合、一方の可動ビーム20は固定ビーム中心から離れる側へ、また他方の可動ビーム21は固定ビーム中心に近づく側へ、即ちスラブの下面に本来接触する場所(即ち、可動ビーム20、21が垂直に上昇して、スラブの下面と直角に接触する場所)から炉内幅方向の一方側へ、ΔC1だけ炉内幅方向にずれて接触する。
【0020】
そして、各可動ビーム20、21にスラブを載置した状態で、スラブを最も上昇させた場合(例えば、各偏心輪45、46の回転角度180度)、各偏心輪45、46の上面高さ位置が同じレベルであれば、図5(B)に示すように、固定ビーム中心と可動ビーム中心とが一致する。しかし、図5(A)に示したように、各可動ビーム20、21が、スラブの下面に炉内幅方向の一方側へΔC1だけ炉内幅方向にずれて接触しているため、スラブは炉内幅方向の他方側へずれる。
次に、各可動ビーム20、21の降下途中(例えば、各偏心輪45、46の回転角度270度)で、各可動ビーム20、21がスラブの下面から離れる直前では、図5(C)に示すように、各可動ビーム20、21がスラブ12の下面に対して傾斜して接触している。この場合、一方の可動ビーム20は固定ビーム中心に近づく側へ、また他方の可動ビーム21は固定ビーム中心から離れる側へ、即ちスラブの下面に本来接触する場所から炉内幅方向の他方側へ、ΔC2だけ炉内幅方向にずれて接触する。
【0021】
そして、スラブは、固定ビーム中心と可動ビーム中心とがずれた状態で、図5(D)に示すように、各可動ビーム20、21から各固定ビーム16、17に載せ替えられ、各可動ビーム20、21が最下端位置(例えば、各偏心輪45、46の回転角度360度)まで下降する。
以上に示した操作が繰返されることで、各偏心輪45、46の上面高さ位置のずれに起因したスラブの蛇行が発生する。
そこで、このずれを以下に示す方法で求め、スラブの蛇行軌跡をシミュレーションする。
まず、偏心輪群47ごとに、偏心輪群47を構成する各偏心輪45、46の上面高さ位置の差を求める。この差を求めるに際しては、図1に示すように、可動ビーム20、21の昇降フレーム26の炉幅方向の偏心輪45側(片側)に設けたレーザー墨出器(レーザー変位計の一例)49を使用する。なお、レーザー墨出器49は、一方側の偏心輪45の直上(偏心輪45の上面位置から上方へ10cmまでの範囲内)の昇降フレーム26に取付けられ、他方側の偏心輪46の直上の昇降フレーム26に取付けられた目盛り(図示しない)を読むことで、各偏心輪45、46の上面高さ位置の差が得られる。
【0022】
次に、レーザー墨出器49により、スラブの蛇行原因となる各可動ビーム20、21の上昇途中で、可動ビーム20、21がスラブの下面と接触した際、即ち図5(A)に示す状態での各偏心輪45、46の上面高さ位置Aの差σ1を求める。なお、この差σ1は、必ずしも可動ビーム20、21がスラブの下面と接触した位置で求めるのではなく、偏心輪の回転角度位置を予め設定した値(可動ビームがスラブの下面と接触するタイミングに近いタイミングでの角度位置)、例えば、90度に設定し、偏心輪がこの回転角度位置まで回転したことを検知して求めてもよい。また、差σ1を、ロードセル(荷重検出器の一例)を用い、可動ビームがスラブの下面に接触したことを検出して求めることもできる。
なお、この差σ1は、各偏心輪45、46の上面高さ位置Aを、それぞれ測定して求めてもよい。
【0023】
図5(A)に示すように、実測して各偏心輪45、46の上面高さ位置Aでの差σ1が分かれば、各偏心輪45、46の上面高さ位置Aを同一レベルと仮定した場合の各偏心輪45、46の上面高さ位置を結ぶ直線L1と、各偏心輪45、46の上面高さ位置Aで差σ1が発生した際の各偏心輪45、46の上面高さ位置を結ぶ直線L2とのなす角α1度が得られる。このとき、可動ビーム20も、垂直状態の可動ビーム20に対して、上記なす角α1度で傾斜することとなるため、相似関係により、ずれる量(以下、単にずれ量とも称す)ΔC1が(1)式から得られる。
ΔC1=H÷L×σ1 ・・・(1)
ここで、Hは偏心輪45の上面位置からスラブの下面位置までの高さ(mm)、Lは左右の偏心輪45、46間の距離(mm)である。
【0024】
同様に、レーザー墨出器49により、可動ビーム20、21の降下途中で、可動ビーム20、21がスラブの下面から離れた際、即ち図5(C)に示す状態での各偏心輪45、46の上面高さ位置Bの差σ2を、実測して求める。この差σ2も、上記した差σ1と同様の方法で求めることができる。なお、差σ2は、各偏心輪45、46の上面高さ位置Bを、それぞれ測定して求めてもよい。
この差σ2が分かることで、上記した差σ1と同様の考え方により、ずれ量ΔC2が(2)式から得られる。
ΔC2=H÷L×σ2 ・・・(2)
従って、各偏心輪45、46が1回転(1サイクル)して発生する全ずれ量ΔCは、ずれ量ΔC1とずれ量ΔC2との和となる(以上、ずれ量演算工程)。
【0025】
この全ずれ量ΔCを、全偏心輪群47についてそれぞれ求め、この差を基にして加熱炉15内におけるスラブの蛇行軌跡をシミュレーションする。
このシミュレーションの方法としては、図6に示すように、まず、隣り合う偏心輪群の上流側に位置する偏心輪群(即ち、#1偏心輪)での全ずれ量ΔCと、下流側に位置する偏心輪群(即ち、#2偏心輪)での全ずれ量ΔCを基に、偏心輪群間の複数のポイントごとのずれ量を、線形補間にて算出する(図6中の棒グラフ)。なお、各ポイントは、スラブの蛇行軌跡が明確に分かるように、例えば、偏心輪群間の距離を5〜30等分した位置とするのがよい。
次に、各ポイントでのスラブのずれ量を累積し、偏心輪群間の蛇行軌跡を求める(図6中の◆を結んだ線)。
これにより、加熱炉15のスラブ12の搬入口13から搬出口14まで、スラブの蛇行軌跡をシミュレーションできる。
そして、得られたスラブの蛇行軌跡が、予め設定した許容範囲内か否かを判定する。
ここで、許容範囲とは、例えば、スラブが可動ビーム20、21から落下することなく、しかも加熱炉15の炉壁に接触しない範囲を意味する(以上、蛇行軌跡推測工程)。
【0026】
従って、スラブの蛇行軌跡が許容範囲外であれば、少なくとも1箇所の偏心輪群47を構成する偏心輪45、46の上面高さ位置A、Bを求めた後、再度スラブの蛇行軌跡をシミュレーションし直す。
ここで、各偏心輪45、46の上面高さ位置A、Bを修正する偏心輪群47は、シミュレーションしたスラブ12の蛇行軌跡上において、スラブ12の蛇行量が最も大きくなった偏心輪群47の上流側で、しかもスラブ12を最も大きく蛇行させる全ずれ量ΔCが発生する偏心輪群47が好ましい。このとき、修正する偏心輪群47は、1箇所でもよく、また複数箇所(2〜5箇所程度)でもよいが、上記したスラブ12の全ずれ量ΔCを最も大きくする偏心輪群47が最も好ましく、多くとも、全ずれ量ΔCが次に大きい偏心輪群47まで含めるのがよい。これは、修正する偏心輪群47が多くなれば、スラブ12の搬送経路が複雑に変化する可能性があり、以降の蛇行量を修正する際のシミュレーションが難しくなり、蛇行軌跡が許容範囲内に収まるまでに長時間を要するためである。
【0027】
偏心輪群47を構成する各偏心輪45、46の上面高さ位置A、Bの修正方法としては、例えば、偏心輪45又は偏心輪46の位相を調整する方法や、ピニオン34(又はピニオン35)と大ギヤ41(又は大ギヤ42)との噛み合わせをずらす方法がある。
以上の操作を、スラブの蛇行軌跡が許容範囲内になるまで繰返し行う(以上、蛇行軌跡修正工程)。
その結果、スラブの蛇行軌跡が許容範囲内になれば、この修正情報、即ちシミュレーション結果に基づいて、偏心輪群47を構成する偏心輪45、46の上面高さ位置A、Bを、実際に調整して、スラブの搬送を行う。なお、上記したずれ量演算工程、蛇行軌跡推測工程、及び蛇行軌跡修正工程の各工程は、コンピュータ(演算手段)への入力情報に基づき、プログラムにより算出される。
従って、各偏心輪群47を構成する各偏心輪45、46のレベル差と、スラブの蛇行状況との関係性を定量化でき、どの偏心輪群47の偏心輪45、46の上面高さ位置A、Bをどのように修正すれば、スラブがどのように蛇行するかといったことが定量的に把握できるようになり、最適な改善方法を導ける。
【実施例】
【0028】
次に、本発明の作用効果を確認するために行った実施例について説明する。
ここでは、6つの偏心輪群(図7、図8に示す四角で囲んだ斜線部)が、上流側から下流側へかけて、ストローク番号5、20、35、50、65、80にそれぞれ設置された加熱炉を使用して、スラブの蛇行修正を行った結果について説明する。なお、ストロークとは、各偏心輪の1回転を意味しており、1ストロークあたりのスラブの搬送距離は600mm程度である。また、偏心輪の上面位置からスラブの下面位置までの高さHは5765(mm)、左右の偏心輪間の距離Lは3200(mm)である。
【0029】
まず、各可動ビームの上昇途中で、可動ビームがスラブの下面と接触した際の偏心輪群ごとの各偏心輪の上面高さ位置Aの差σ1をレーザー墨出器49で求めた結果、加熱炉の上流側から下流側へかけて、0mm、−2mm、1.5mm、−0.5mm、0.5mm、及び−2mmであった。
また、可動ビームの降下途中で、可動ビームがスラブの下面から離れた際の偏心輪群ごとの各偏心輪の上面高さ位置Bの差σ2をレーザー墨出器49で求めた結果、加熱炉の上流側から下流側へかけて、−1mm、−0.5mm、3mm、0.5mm、−0.5mm、及び−2mmであった。
【0030】
この結果に基づき、各偏心輪群ごとに、ずれ量ΔC1とずれ量ΔC2を求めた。なお、ずれ量ΔC1は、可動ビームがスラブ下面に接触した際の角度、即ち各偏心輪の回転角度90度のときの値であり、またずれ量ΔC2は、可動ビームがスラブ下面から離脱した際の角度、即ち各偏心輪の回転角度270度のときの値である。
ここで、ずれ量ΔC1は、加熱炉の上流側から下流側へかけて、0mm、−3.60mm、2.70mm、−0.90mm、0.90mm、及び−3.60mmであった。
また、ずれ量ΔC2は、加熱炉の上流側から下流側へかけて、1.80mm、0.90mm、−5.40mm、−0.90mm、0.90mm、及び3.60mmであった。
このずれ量ΔC1とずれ量ΔC2から、全ずれ量ΔC(即ち、ずれ量ΔC1とずれ量ΔC2の和)を求めた結果、加熱炉の上流側から下流側へかけて、1.80mm、−2.70mm、−2.70mm、−1.80mm、1.80mm、及び0mmであった。
【0031】
次に、求めた全ずれ量ΔCを基にして、スラブの蛇行軌跡をシミュレーションした結果を、図7に示す。
図7から明らかなように、スラブが大きく蛇行し、その蛇行軌跡が予め設定した許容範囲(例えば、±40mm)外となっていることが分かった。
そこで、以下の手順を行う。
1)図7から、スラブの蛇行量が最も大きい場所(即ち、ストローク番号57:蛇行量73mm程度)を求める。
2)上記した1)の結果に基づき、図7から蛇行量が最も大きい場所の上流側(即ち、ストローク番号:1〜56)の偏心輪で、かつずれ量ΔCが最も大きい偏心輪を判定する。
【0032】
3)上記ずれ量の最も大きい偏心輪のずれ量の修正量ΔC0を決定する。
なお、この修正量は、ステップ制御で、全ずれ量ΔCの値に関わらず一定でもよく、また全ずれ量ΔCの値に対応した値(例えば、全ずれ量ΔCの50%程度)でもよい。
4)全ずれ量ΔCからずれ量の修正量ΔC0を減算して残存ΔC1を求める。
5)全ずれ量ΔCを、上記した手順4)で求めた残存ΔC1に変更して、再度シミュレーションを行う。
6)スラブの蛇行軌跡が許容範囲内になるまで、上記した手順1)〜5)を繰返し行う。
【0033】
7)許容範囲内になった段階における全ずれ量ΔCを基にして、表1からギヤ(ギヤ歯、ボルト取付け孔)の修正量を求め、これを基にして、実際のギヤの調節を行って、偏心輪の上面高さ位置を調整する。
なお、表1は、ギヤ(ギヤ歯、ボルト取付け孔)の修正量と変化するずれ量ΔC0の関係を、予め実機で求めた換算表であり、H2に対応する部分を除いてA1〜K5は数値を省略している。なお、ギヤ歯の逆転39以下かつ正転11以上、ボルト取付け孔の逆転8以下かつ正転6以上についても、それぞれ数値があるが、ここでは省略する。
【0034】
【表1】

【0035】
ここで、クラッチのギヤ(ギヤ歯、ボルト取付け孔)を調整する方法について、偏心輪45又は偏心輪46の位相の調整方法を用いて、具体的に説明する。
ギヤカップリング38(ギヤカップリング39)には、その軸心を中心として等角度に、14個のボルト取付け孔が設けられている。また、中間軸32(中間軸33)には、その軸心を中心として等角度に、50枚のギヤ歯が設けられている。このため、ボルト取付け孔は、ギヤカップリング38に25.71度(=360度/14)の角度で設けられ、ギヤ歯は、中間軸32に7.20度(=360度/50)の角度で設けられている。
ここで、例えば、偏心輪45と偏心輪46の間に、1.02度の位相のずれが発生したとすると、図4(B)に示すように、中間軸32を正転(又は逆転)方向にギヤ歯7枚分(回転角度:7.20×7=50.40度)回し、ボルト取付け孔を逆転(又は正転)方向に2個(回転角度:25.71×2=51.42度)回すという修正を行う。
従って、1.02度(=51.42−50.40)の位相のずれをなくすことができる。
このときの変化するずれ量の修正量ΔC0は、2.70となる。
【0036】
これにより、修正対象となる偏心輪群の各偏心輪の上面高さ位置を修正し、偏心輪群ごとの各偏心輪の上面高さ位置Aを再度レーザー墨出器49で実測した結果、各偏心輪の上面高さ位置の差σ1が、加熱炉の上流側から下流側へかけて、0mm、1mm、3mm、0.5mm、1mm、及び−1.5mmとなった。
また、偏心輪群ごとの各偏心輪の上面高さ位置Bを再度、上記と同様にレーザー墨出器49で実測した結果、各偏心輪の上面高さ位置の差σ2が、加熱炉の上流側から下流側へかけて、0.5mm、1mm、3mm、1mm、0mm、及び−1mmとなった。
【0037】
この結果に基づき、各偏心輪群ごとに、再度ずれ量ΔC1(90度でのずれ量)とずれ量ΔC2(270度でのずれ量)を求めた。
ずれ量ΔC1は、加熱炉の上流側から下流側へかけて、0mm、1.80mm、5.40mm、0.90mm、1.80mm、及び−2.70mmであった。
また、ずれ量ΔC2は、加熱炉の上流側から下流側へかけて、−0.90mm、−1.80mm、−5.40mm、−1.80mm、0mm、及び1.80mmであった。
このずれ量ΔC1とずれ量ΔC2から、全ずれ量ΔCを求めた結果、加熱炉の上流側から下流側へかけて、−0.90mm、0mm、0mm、−0.90mm、1.80mm、及び−0.90mmであった。
【0038】
次に、求めた全ずれ量ΔCを基にして、スラブの蛇行軌跡をシミュレーションした結果を、図8に示す。
図8から明らかなように、スラブの蛇行量が大幅に低減され、その蛇行軌跡が許容範囲内となっていることが分かった。
更に、スラブを搬送し、その搬送軌跡を測定器で測定したところ、スラブは、許容範囲内を大きく外れることなく搬送できた。
以上のことから、加熱炉内のスラブの搬送状況を確認することなく、スラブの蛇行状況の予測と正確な蛇行修正を短時間で容易に実施できることを確認できた。
【0039】
以上、本発明を、実施の形態を参照して説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施の形態や変形例も含むものである。例えば、前記したそれぞれの実施の形態や変形例の一部又は全部を組合せて本発明の加熱炉内のスラブ蛇行修正方法を構成する場合も本発明の権利範囲に含まれる。
例えば、駆動機構の構成は、偏心輪を使用して、複数の可動ビームを、上昇、前進、下降、及び後退する動作を繰返すことができれば、前記した構成に限定されるものではない。
また、前記実施の形態においては、加熱炉の炉内を正面視した場合に、その幅方向において、可動ビームの両側に固定ビームを配置した場合について説明したが、固定ビームの両側に可動ビームを配置してもよい。
【0040】
そして、前記実施の形態においては、1つの偏心輪群を構成する偏心輪の数を、2個とした場合について説明したが、加熱炉の規模に応じて3個以上(例えば、4個)としてもよい。この場合、例えば、昇降フレームの炉幅方向の片側に設けたレーザ変位計により、他の昇降フレームの高さ位置をそれぞれ測定することで、偏心輪の上面高さ位置を測定できる。
更に、前記実施の形態においては、偏心輪群を構成する各偏心輪の上面高さ位置の差を求めるに際し、レーザー墨出器を用いた場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、昇降フレームの炉幅方向両側に、それぞれレーザー距離計を取付け、床面からの距離を測定してもよく、またメジャー等を用いて実測してもよい。
【符号の説明】
【0041】
10:ウォーキングビーム型の加熱設備、11:耐火物、12:スラブ、13:搬入口、14:搬出口、15:加熱炉、16、17:固定ビーム、18:固定載置部、19:固定支持部、20、21:可動ビーム、22:可動載置部、23:可動支持部、24:貫通孔、25:空洞部、26:昇降フレーム、27:駆動機構、28:駆動モータ、29:動力伝達軸、30、31:動力伝達ギヤ、32、33:中間軸、34、35:ピニオン、36、37:回転軸、38、39:ギヤカップリング、40:ボルト、41、42:大ギヤ、43、44:回転軸、45、46:偏心輪、47:偏心輪群、48:シリンダー、49:レーザー墨出器(レーザー変位計)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラブを加熱するウォーキングビーム型の加熱炉の炉内幅方向に間隔を有して並べて配置された複数の可動ビームに設けられ、前記加熱炉の炉外幅方向に配置された複数の偏心輪からなる偏心輪群を、前記各可動ビームの炉外長手方向に所定間隔で複数設け、前記各偏心輪を同期駆動することにより、前記各可動ビームが、上昇、前進、下降、及び後退する動作を繰返して、前記加熱炉内の前記スラブを炉内長手方向に搬送するに際し、発生する前記スラブの蛇行を修正する方法であって、
前記スラブの蛇行原因となる前記偏心輪群を構成する前記各偏心輪の上面高さ位置の差を、前記偏心輪群ごとに実測して求め、該差を基にして前記加熱炉内における前記スラブの蛇行軌跡をシミュレーションし、該スラブの蛇行軌跡が予め設定した許容範囲外であれば、少なくとも1箇所の前記偏心輪群を構成する前記偏心輪の上面高さ位置を修正し、その修正した上面高さ位置に応じた前記各偏心輪の上面高さ位置の差を再度求め、該差を基に前記スラブの蛇行軌跡をシミュレーションし直す工程を、前記スラブの蛇行軌跡が前記許容範囲内になるまで繰返し行い、該シミュレーション結果に基づいて、前記偏心輪の上面高さ位置を調整することを特徴とする加熱炉内のスラブ蛇行修正方法。
【請求項2】
請求項1記載の加熱炉内のスラブ蛇行修正方法において、前記偏心輪群を構成する前記各偏心輪の上面高さ位置の差は、前記各可動ビームの上昇途中で該可動ビームが前記スラブの下面と接触した際の前記各偏心輪の上面高さ位置Aと、該可動ビームの降下途中で該可動ビームが前記スラブの下面より離れた際の前記各偏心輪の上面高さ位置Bを各々測定し、この測定値を基にして求めることを特徴とする加熱炉内のスラブ蛇行修正方法。
【請求項3】
請求項1及び2のいずれか1項に記載の加熱炉内のスラブ蛇行修正方法において、前記可動ビームの前記スラブの下面への接触、及び該可動ビームの前記スラブの下面からの離脱は、前記各偏心輪の予め設定した回転角度位置、又は前記可動ビームに設けた前記スラブの荷重検出器の検出情報を基にして検知することを特徴とする加熱炉内のスラブ蛇行修正方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の加熱炉内のスラブ蛇行修正方法において、修正した前記偏心輪の上面高さ位置に基づく該偏心輪の上面高さ位置の調整は、該偏心輪の位相を調整して行うことを特徴とする加熱炉内のスラブ蛇行修正方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の加熱炉内のスラブ蛇行修正方法において、前記偏心輪群を構成する前記偏心輪の上面高さ位置の修正は、前記スラブの蛇行軌跡をシミュレーションした際に、該スラブの蛇行量が最も大きくなった前記偏心輪群の上流側で、しかも前記スラブを最も大きく蛇行させる前記偏心輪群を構成する前記偏心輪に対して行うことを特徴とする加熱炉内のスラブ蛇行修正方法。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の加熱炉内のスラブ蛇行修正方法において、前記各偏心輪群を構成する前記各偏心輪の上面高さ位置の差を、前記各可動ビームが設けられ、その下面が前記各偏心輪に接触する昇降フレームの炉幅方向の片側に設けたレーザー変位計により測定することを特徴とする加熱炉内のスラブ蛇行修正方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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