説明

加熱装置

【課題】加熱皿の上に調理物を置いて焼く場合、特にパンを焼く場合に、連続して焼いても良好な焼き具合が得られる加熱装置を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の加熱装置は、加熱室11内に着脱可能な加熱皿14上に載置された被加熱物15を加熱手段12によって加熱する加熱装置であって、加熱室11内の温度を検出する温度検出手段13によって検出された加熱開始時の加熱室内の温度が高いときだけでなく、計時手段22によって計測した前調理終了時からの経過時間に応じて加熱時間を決定するものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱皿の上に調理物を置いて焼く機能を備えた加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の加熱装置では、連続して加熱調理を行う場合、調理開始時点から加熱室内の温度が1回目より高くなり、調理時間を1回目と同じにすると仕上がり状態に差が出てしまう。連続回数が増えるほど、その差は大きくなる。特にパンを繰り返し焼く場合、加熱室内の温度が下がらないまま連続調理する機会が多いと考えられる。これに対して、加熱室内の温度に応じて冷却手段と発熱部材を制御し、加熱室の温度上昇の抑止を図るものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6−40708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、加熱皿の上に調理物を置いて焼く場合、加熱室内の温度だけでなく、調理物は加熱皿の温度の影響を受ける。加熱皿を使用する調理メニューを実行した後、一般的に使用者は加熱皿を洗う。しかし、パンや調理物を入れた耐熱性の皿を加熱皿上に載せて焼く場合は、加熱皿が汚れないので洗わない可能性が高い。加熱皿を洗わずに連続して調子メニューを実行すると、2回目以降の調理は、加熱皿の温度が高いままなされてしまう。使用者が時間を設定して加熱する所謂手動メニューなら、使用者が加熱時間を加減することができるが、時間設定できない所謂自動メニューにおいて、従来の方法では加熱皿の表面温度は検知できないため、加熱室内の温度が下がっても、加熱皿の温度が高いまま連続調理すると焼き色が濃くなってしまうという課題があった。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、加熱皿の上に調理物を置いて焼く場合、特にパンを焼く場合に、連続して焼いても良好な焼き具合が得られる加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する本発明の加熱装置は、被加熱物を加熱する加熱室と、前記加熱室に着脱可能な加熱皿と、前記加熱皿上に載置された被加熱物を加熱する加熱手段と、前記加熱室内の温度を検出する温度検出手段と、加熱時間を決定し、前記加熱手段を制御する制御手段と、時間を計測する計時手段を有し、前記温度検出手段によって、加熱開始時の加熱室内の温度が高いと検知された場合は、高温加熱用の加熱時間を決定し、加熱開始時の加熱室内の温度が低い場合でも、前記加熱皿を使用する調理メニュー終了時からの経過時間を計測し、繰り返し同じ調理メニューをされるときはその経過時間に応じて、加熱時間を決定する構成とした。
【0007】
また、前記加熱皿を使用する調理メニュー終了時からの経過時間を計測し、同じ加熱皿を使用する異なるメニューを続けてされるときもその経過時間に応じて、加熱時間を決定する構成としてもよい。
【0008】
これによって、加熱皿の表面温度が高い場合でも、相応の加熱時間を決定できるので、
連続調理でも良好な焼き具合が得られる。
【発明の効果】
【0009】
以上の説明から明らかなように、本発明の加熱装置によれば、連続してパンなどを焼く場合、前の調理終了から次の調理開始までの経過時間によって加熱時間を決定するので、加熱皿の温度が高い場合でも良好な焼き具合を得る効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1の加熱装置の外観図
【図2】同装置の詳細ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0011】
第1の発明は、被加熱物を加熱する加熱室と、前記加熱室に着脱可能な加熱皿と、前記加熱皿上に載置された被加熱物を加熱する加熱手段と、前記加熱室内の温度を検出する温度検出手段と、加熱時間を決定し、前記加熱手段を制御する制御手段と、時間を計測する計時手段を有し、前記温度検出手段によって、加熱開始時の加熱室内の温度が高いと検知された場合は、高温加熱用の加熱時間を決定し、加熱開始時の加熱室内の温度が低い場合でも、前記加熱皿を使用する調理メニュー終了時からの経過時間を計測し、繰り返し同じ調理メニューをされるときはその経過時間に応じて、加熱時間を決定することを特徴とする。
【0012】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0013】
(実施の形態1)
図1は本発明の加熱装置の外観図、図2は本発明の加熱装置の詳細ブロック図である。
【0014】
同図において、この加熱装置は加熱室11を有し、その中の着脱可能な加熱皿14の上にパンなどの被加熱物15を載せて、加熱手段12によって被加熱物15を加熱する。加熱手段には、高周波やヒータによるものがあり、その両方を備えていてもよい。加熱室11内にはサーミスタなどの温度検出手段13を設け、加熱室11内の温度を検出するものとする。
【0015】
本発明の加熱装置が有する調理メニューには、使用者が温度や時間などの加熱条件を設定できるもの(手動メニュー)や、あらかじめ加熱条件が用意されていて設定の必要がないもの(自動メニュー)がある。自動メニューでパンなどを焼く場合、そのメニューの調理開始時に、温度検出手段13により加熱室11内の温度を検出し、制御手段21はその温度に応じて決定し、加熱手段12を使って加熱する。加熱時間は、例えば(加熱時間)=(係数1)−(係数2)×(開始時の温度)といった計算式により決定する。これによって、加熱室11内の温度が高いときの過加熱を防止することができる。
【0016】
計時手段22は調理終了直後から次の調理開始時点までの経過時間を計測する。連続して同じメニューで焼く場合、計測した経過時間に応じて前記計算式の係数1または係数2を変えて、2回目以降の加熱時間を決定する。係数1および係数2は実験的に求められる。
【0017】
2回目以降の調理メニューが、1回目の調理メニューと異なる場合でも、同じ加熱皿14を使用するものなら、計時手段22が計測した経過時間に応じて、前記計算式の係数1または係数2を変えて、2回目以降の加熱時間を決定してもよい。パンを焼く以外には、加熱皿14の上に紙シートなどを敷き、その上にフライなど被加熱物15を並べてあたた
めるメニューや、グラタンのように、耐熱性の容器に調理物を入れて、容器ごと加熱皿14に載せて焼くメニューなどが当てはまる。当該メニューがなされたら、計時手段22は調理終了後から次の調理開始時点までの経過時間を計測し、次の調理も当該メニューであれば、経過時間に応じて前記計算式の係数1または係数2を変える。
【0018】
これによって、連続調理で加熱皿14の温度が高いときの過加熱を防止することができる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
以上のように、本発明にかかる加熱装置は、加熱皿の温度が高い場合でも良好な焼き具合を得ることができる。
【符号の説明】
【0020】
11 加熱室
12 加熱手段
13 温度検出手段
14 加熱皿
15 被加熱物
21 制御手段
22 計時手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を加熱する加熱室と、
前記加熱室に着脱可能な加熱皿と、
前記加熱皿上に載置された被加熱物を加熱する加熱手段と、
前記加熱室内の温度を検出する温度検出手段と、
加熱時間を決定し、前記加熱手段を制御する制御手段と、
時間を計測する計時手段を有し、
前記温度検出手段によって、加熱開始時の加熱室内の温度が高いと検知された場合は、高温加熱用の加熱時間を決定し、加熱開始時の加熱室内の温度が低い場合でも、前記加熱皿を使用する調理メニュー終了時からの経過時間を計測し、繰り返し同じ調理メニューをされるときはその経過時間に応じて、加熱時間を決定することを特徴とした加熱装置。
【請求項2】
前記加熱皿を使用する調理メニュー終了時からの経過時間を計測し、同じ加熱皿を使用する異なるメニューを続けてされるときもその経過時間に応じて、加熱時間を決定することを特徴とした加熱装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−247127(P2012−247127A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119051(P2011−119051)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】