加熱調理器
【課題】立ち消え検出用の炎口の加工を容易にする。
【解決手段】内部に形成されたガス通路P1を通じて供給されるガスを燃焼させることにより加熱対象物を加熱するガスバーナ本体30と、前記ガスバーナ本体30の立ち消えを検出するためのサーモカップル70と、前記ガスバーナ本体30に取り付けられると共に、立ち消え検出用の炎口63から前記ガスバーナ本体側から分岐したガスを噴出して前記サーモカップル70を加熱する補助ガスバーナ61と、前記サーモカップル70の非加熱状態に対応して前記ガスバーナ本体30に対するガスの供給を遮断する電磁式の安全弁を備えたガスコック装置80とを備え、前記補助ガスバーナ61を前記ガスバーナ本体30とは別部材とした。
【解決手段】内部に形成されたガス通路P1を通じて供給されるガスを燃焼させることにより加熱対象物を加熱するガスバーナ本体30と、前記ガスバーナ本体30の立ち消えを検出するためのサーモカップル70と、前記ガスバーナ本体30に取り付けられると共に、立ち消え検出用の炎口63から前記ガスバーナ本体側から分岐したガスを噴出して前記サーモカップル70を加熱する補助ガスバーナ61と、前記サーモカップル70の非加熱状態に対応して前記ガスバーナ本体30に対するガスの供給を遮断する電磁式の安全弁を備えたガスコック装置80とを備え、前記補助ガスバーナ61を前記ガスバーナ本体30とは別部材とした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスコンロなど加熱調整器の安全機能に立ち消え安全装置がある。立ち消え安全装置はバーナ本体から噴出される火炎を炎検知器で検出し、火炎の立ち消えに応答してガス供給を遮断するものである。係る立ち消え安全装置の炎検知器には、サーモカップル方式がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−28428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サーモカップル(熱電対)は温度が高くなり過ぎると寿命が短くなることから、火力を強火にしたときに、火炎に深く入り過ぎないように、火炎からある程度距離を空けて配置する必要がある。しかしサーモカップルを火炎から遠ざけすぎると、弱火にしたときに火炎から離れてしまい、検出精度が低下する。
【0005】
検出精度の低下を防止するには、火力の強弱に拘わらず、サーモカップルに当たる火炎が一定になればよい。これを果たすには、バーナ本体に対して、立ち消え検出を目的とした専用の炎口を形成することが考えられる。しかし、そうした炎口は、通常の炎口のような円形状ではないことから、これをバーナ本体に形成することは、加工性が極めて悪く、現実的でなかった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、立ち消え検出用の炎口の加工を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内部に形成されたガス通路を通じて供給される燃焼ガスを燃焼させることにより加熱対象物を加熱するガスバーナ本体と、前記ガスバーナ本体の立ち消えを検出するためのサーモカップルと、前記ガスバーナ本体に取り付けられると共に、立ち消え検出用の炎口から前記ガスバーナ本体側から分岐した燃焼ガスを噴出して前記サーモカップルを加熱する補助ガスバーナと、前記サーモカップルの非加熱状態に対応して前記ガスバーナ本体に対する燃焼ガスの供給を遮断する電磁式の安全弁を備えたガスコック装置とを備え、前記補助ガスバーナを前記ガスバーナ本体とは別部材とした。尚、「立ち消え」とは、燃焼ガスを供給する主弁が開放しているにもかかわらず、火炎が消えている状態を意味する。
【0007】
この発明では、補助ガスバーナを、ガスバーナ本体に対して別部材にしたことから、立ち消え検出用の炎口をガスバーナ本体に直接形成する場合に比べて、加工が容易でありかつ、精度よく加工が可能である。尚、補助ガスバーナと同じ機能を満足させるにバーナ本体を加工するには、入り組んだ構造上特殊な加工機械(マシニングセンターなど)の必要性があり、また、ベースが鉄鋳物のため製造精度が悪く安定した炎口深さがコントロールできないため安定した炎が得られ難い。
【0008】
この発明の実施対応として次の構成にすることが好ましい。
・前記立ち消え検出用の炎口をスリット形状とする。スリット形状であれば、ガスバーナ本体側の火力が強弱しても、それほど火力が強弱しない。そのため、ガスバーナ本体側の火力が強弱しても、サーモカップルに当たる火炎をほぼ一定にできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、立ち消え検出用の炎口を容易に加工できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態1において、ガスコンロの内部構造を示す断面図
【図2】ガスコンロの斜視図(二重バーナなどの主要部品のみ示す)
【図3】図2の平面図
【図4】補助ガスバーナの斜視図
【図5】図2のB部を拡大した図
【図6】図1のA部を拡大した図
【図7】安全弁の断面図(作動原理を示す図)
【図8】ガスコンロのブロック図
【図9】効果を説明する図
【図10】本発明の実施形態2において、ガスコンロの斜視図
【図11】ガスコンロの正面図
【図12】補助ガスバーナの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図9によって説明する。
1.構造説明
図1はガスコンロ10の断面図、図2はガスコンロ10の斜視図、図3はガスコンロ10の平面図である。ガスコンロ(本発明の「加熱調理器」の一例)10は、ガスバーナ本体30と、混合管37、47と、点火バーナ50と、サーモカップル70と、ガスコック装置80と、これらを収容するコンロ本体20とを備えてなる。尚、以下の説明において、正面とは、ユーザの操作面側(ガスコック装置80の設置側(図1の左側))を指すものとする。
【0012】
コンロ本体20は例えばステンレス製であって、図1に示すように概ね箱型をしている。コンロ本体20の中央は開口しており、そこにガスバーナ本体30を収めている。
【0013】
ガスバーナ本体30は鉄鋳物であり、内側ガスバーナ31と、内側ガスバーナ31の外側に配置され内側ガスバーナ31より一回り大きな外側ガスバーナ41とを備えた二重ガスバーナ30となっている。内側ガスバーナ31と外側ガスバーナ41は共に中空状であり、内部は中空のガス通路P1となっている。内側ガスバーナ31と外側ガスバーナ41の上部には、全周に渡って炎口Hが一定の間隔で複数個形成されている。これら各炎口Hは各ガスバーナの壁面を貫通しており、ガス通路P1に連通している。
【0014】
また、図2に示すように内側ガスバーナ31は、全体が閉じた円環形状をしているのに対して、外側ガスバーナ41は、全体がC字型をしていて、正面側を大きく切り欠いた形状をしている。これは、内側ガスバーナ31の前側にサーモカップル(詳細は後述する)70を配置していて、サーモカップル70やそれを固定するブラケットBK2を逃がす必要があるからである。
【0015】
また、外側ガスバーナ41の上面部であって、外側ガスバーナ41の正面寄りの位置には、ガスバーナ下方に切れ込むようにして線状のスリット43が形成されている。このスリット43は、内側ガスバーナ31の正面に取り付けられた補助ガスバーナ(詳細は後述する)61に向かって斜めに延びている。スリット43は、補助ガスバーナ61を中継しつつ、外側ガスバーナ41から内側ガスバーナ31へ口火を火移りさせるものである。
【0016】
ガスバーナ本体30の下方には、コンロ本体20の奥行方向に、混合管37、47が一対平行に配置されている。混合管37、47は燃料ガス及び一次空気の混合気体を、内側ガスバーナ31、外側ガスバーナ41に対して導入するものである。この実施形態では、図3に示す左側の混合管47が外側ガスバーナ41用、右側の混合管37が内側ガスバーナ31用となっており、各管の終端が各ガスバーナの底面に対して連結されている。
【0017】
また、コンロ本体20の内部には、金属ベース25が取り付けられている。金属ベース25は図2、図3に示すように断面コ字型をしており、混合管37、47の前側と後側に一対設けられている。金属ベース25F、25Rは混合管37、47に交差しつつ平行に延びており、コンロ本体20内に収容された混合管37、47及びその上側に配置されたガスバーナ本体30を支持している。
【0018】
点火バーナ50は、図2に示すように、前側の金属ベース25F上において混合管47の脇にあたる位置にブラケットBK1を介して取り付けられている。点火バーナ50は、ガスバーナ先端に形成されたガス噴射口を外側ガスバーナ41に向けつつ斜め横向きに固定してある。また、ブラケットBK1には、点火バーナ50と共に点火プラグ53が固定してある。点火プラグ53はイグナイタ55(昇圧装置)から高電圧を受けてスパークし、点火バーナ50を着火させる機能を果たす。
【0019】
次に補助ガスバーナ61について説明する。補助ガスバーナ61は例えば真鍮製であって、内側ガスバーナ31とは別部材(すなわち、別部品)からなり、概ねブロック型をなす。補助ガスバーナ61の内部にはガス通路P2が形成されると共に、外周壁にはガス通路P2に連通する複数の炎口が形成されている。具体的に説明すると、図4に示すように、補助ガスバーナ61の正面壁には、炎口63と炎口64の2つの炎口が上下に形成されている。炎口63は水平方向に延びるスリット型をしており、正面壁を左右に貫通していている。また、炎口64は円形をしている。正面壁に形成されたこれら2つの炎口63、64は、後に説明するサーモカップル70を炙ることを目的とした立ち消え検出用の炎口である。尚、「立ち消え」とは燃焼ガスを供給する主弁87が開放しているにもかからず、ガスバーナ本体30の火炎が消えている状態を意味する。
【0020】
また、補助ガスバーナ61の左右の側面壁には、炎口65A、65Bが形成されている。側面壁に形成された炎口65A、65Bは、いずれも円形をしている。これら2つの炎口65A、65Bは、外側ガスバーナ41から内側ガスバーナ31への火移り用である。
【0021】
そして、補助ガスバーナ61の後面壁側には筒型の取り付け部68が形成されている。一方、内側ガスバーナ31の外周壁の正面側には取り付け孔が開口している。この取り付け孔は、内側ガスバーナ31の外周壁を貫通している。取り付け部65の外周と取り付け孔の内周にはそれぞれ螺子が切ってあり、取り付け部65を取り付け孔に螺合させることで、図5に示すように、内側ガスバーナの外周壁の正面側に補助ガスバーナ61が取り付けられている。
【0022】
そして、取り付け部65の内部は空洞状になっていて、図6に示すように、補助ガスバーナ61の内部に形成されたガス通路P2に連通していることから、内側ガスバーナ31側から補助ガスバーナ61側に燃焼ガスを供給して、各炎口63、64、65A、65Bに火炎を灯すことが出来る。
【0023】
尚、補助ガスバーナ61は、内部にガス通路P2を上下に形成していることから、図6に示すように、底面壁69を別部材としており、2部品の構成となっている。
【0024】
サーモカップル(熱電対)70は補助ガスバーナ61の灯す火炎(具体的には、立ち消え検出用の火炎U)を検出するものであり、図2、図5に示すように、補助ガスバーナ61の正面となる位置に、ブラケットBK2を介して縦向きに取り付けられている。具体的には、正面側の金属ベース25Fに対して取り付けられている。係るサーモカップル70は、先端の検出部73を補助ガスバーナ61の正面壁に形成された炎口63の先に臨ませている。以上のことから、補助ガスバーナ61の炎口63、64に火炎Uが灯ると、その火炎Uが検出部73を加熱し、サーモカップル70に熱起電力を発生させる。一方、補助ガスバーナ61の火炎Uが消えた状態では、検出部73は加熱されず、サーモカップル70は熱起電力を発生させない。
【0025】
ガスコック装置80はコック本体81、操作手段(以下、操作つまみ)85、安全弁90、主弁87を主体に構成されており、ガスバーナ本体30の正面側(図2、図3の下側)に配置されている。コック本体81は概ねボックス型をしている。そして、コック本体81の上面壁にはガス源に連なるガス取り込み口82が形成してあり、そこを通じて燃料ガスを内部に取り込む構成となっている。
【0026】
ガスコック本体81内には、燃料ガスの供給路が形成してあり安全弁90と主弁87が内蔵されている。安全弁90は主弁87に対して、その上流側に設けられている。安全弁90は、図7に示すように、ガイド板91と、弁軸93を固定した弁体92と、電磁石98と備えている。弁体92の弁軸93は、ガイド板91に形成されたガイド孔をスライド可能に貫通しており、弁体92は図中の左右方向に移動可能となっている。また、弁軸93にはコイルばね94が巻回されると共に、弁軸93の後端には鉄片95が固定されている。そして、鉄片95には、これに向かい合うようにして電磁石98が配置してある。
【0027】
係る電磁石98のコイル線99は、サーモカップル70に結線してある。以上のことから、サーモカップル70が補助ガスバーナ61の火炎を検出して熱起電力を発生させると、電磁石98が励磁される結果、鉄片95を吸引して弁体92を図中の左側に引き込む。これにより、図中左側に弁体92が後退して、燃料ガスの供給路Uを開放(「開動作」)する構成となっている。その一方、補助ガスバーナ61が立ち消えした状態では、サーモカップル70に熱起電力が発生せず、この場合、弁体92はコイルばね94の付勢力により図中の右側に押し込まれ、燃料ガスの供給路Uを閉止する(「閉動作」)。これにて、次に説明する主弁87及びその下流側にある各ガスバーナ30、50に対する燃料ガスの供給が一斉にストップする構成となっている。
【0028】
また、図7に示す符号86はプッシュロッド86である。プッシュロッド86は操作つまみ85と連動しており、点火作業を行うべく操作つまみ85を押すと、プッシュロッド86を通じて後退方向に弁体92が押されて燃料ガスの供給路Uを開放させる仕組みになっている。
【0029】
主弁87は安全弁90の下流側に設けられている。この主弁87の下流側で燃料ガスの供給路Uは2分岐しており、各ガス出口がガス配管100を介してガスバーナ本体30に連なり、又ガスチューブ110を介して点火バーナ50に連なっている。尚、ガス管100は内部で2分岐しており、分岐先の一方端103を内側ガスバーナ31の混合管37に接続し、他方端105を外側ガスバーナ41の混合管47に接続させている(図3参照)。そして、操作つまみ85を回すと、主弁87が開いて燃料ガスがガスバーナ本体30、点火バーナ50に取り込まれる構成となっている。
【0030】
そして、上記のように構成されたガスコンロ10のコンロ本体20にはガスバーナ本体30の上側に位置して五徳27が載せてあり、その上に鍋などの調理器具を置いて加熱調理を行うことができるようになっている。また、五徳27の下方には、汁受け28が設置してあり、ガスコック装置80などに吹きこぼれなどが掛からないような構成になっている。
【0031】
2.ガスコンロ10の点火動作
ガスコンロ10を点火するには、操作つまみ85を操作(押しながら回転)してやればよい。すると、プッシュロッド86に押されて安全弁90が開く。また安全弁90と共に主弁87が開く。そのため、ガスバーナ本体30、点火バーナ50に対してガス源を通じて燃料ガスが取り込まれ、ガスバーナ本体30に形成された各炎口H及びパイロットガスバーナ50のガス噴出口から混合気体(燃料ガスと一次空気を混合させたもの)が噴出される。
【0032】
一方、操作つまみ85が操作されると、イグナイタ55(昇圧装置)が作動して点火プラグ53をスパークさせる。これにより、点火バーナ50は着火する。その後は、点火バーナ50の火炎が、図3に示すように、外側ガスバーナ41の一部の炎口Hに火移りする。
【0033】
すると、その火は、外側ガスバーナ41の外周に沿って順々に火移りして、各炎口Hに火炎を付けてゆく。また、スリット43を介して内側ガスバーナ31の正面に取り付けられた補助ガスバーナ61の炎口65へも火移りする。
【0034】
補助ガスバーナ61に火移りすると、補助ガスバーナ61を経由して内側ガスバーナ31側に火移りする。そのため、以降、内側ガスバーナ31の外周に形成された各炎口Hに順々に火移りしてゆく。そして、外側ガスバーナ41と内側ガスバーナ31の双方とも火移りが一周して、全ての炎口Hに火が付くと一連の点火動作は完了する。
【0035】
また、補助ガスバーナ61に火移りすると、正面に設けられた炎口63、64に形成された火炎が、サーモカップル70の検出部73を加熱するので、サーモカップル70は熱起電力を発生させる。従って、その後、電磁石98は励磁された状態を維持する。そのため、弁体92は図7の左方向に引き込まれた状態を維持し、安全弁90は燃料ガスの供給路Uを開放し続ける。
【0036】
3.補助ガスバーナ61とサーモカップル70の働き
加熱調理中にガスコンロ10の立ち消えが発生した場合(例えば、鍋からの吹きこぼれによりガスバーナ本体30と補助ガスバーナ61の火炎が消えた場合)、サーモカップル70は非加熱状態となり、熱起電力を発生させない。そのため、安全弁90が働いて、図7の(a)に示すように弁体92が燃料ガスの供給路Uを閉じる。以上のことから、ガスコンロ10が立ち消えを起こしたときには、ガスバーナ本体30に対する燃料ガスの供給を自動的にストップできる。
【0037】
4.効果説明
本ガスコンロ10では、立ち消え検出用の炎口63をスリット形状にした。スリット形状の炎口63からは燃焼ガスが放射状に広がりながら噴出することから、図9に示すように、立ち消え検出用の火炎Uは、放射状に広がった形状となる。放射状に広がる火炎Uは、ガスバーナ本体30側の火力を強弱するべく燃焼ガスの供給量を増減させても、広がりが変わるだけで火力がそれほど変化しない。そのため、ガスバーナ本体30側の火力の強弱に拘わらず、サーモカップル70に当たる火炎(火力の強さ)を一定にすることが出来る。
【0038】
そのため、サーモカップル70が過度の加熱を受けないので、サーモカップル70の寿命を長くすることが可能となる。また、サーモカップル70に当たる火炎を一定(火力の強さ)にすることができ、更に、サーモカップル70と補助ガスバーナ61の相対的な位置関係が図9の左右方向や上下方向で多少ずれたとしても、火炎Uからサーモカップル70が外れない。そのため、ガスコンロ10の立ち消えを高精度に検出することが可能となる。
【0039】
尚、本実施形態では、立ち消え検出用の炎口に、スリット型の炎口63に加えて、その下方に円形の炎口64を設けているが、これは、スリット型炎口に加えて燃焼を安定させる補助炎を形成するための補助炎口であり、お互いに重なりあい燃焼することより炎の浮きなどを防止できる。
【0040】
また、本ガスコンロ10では、補助ガスバーナ61を内側ガスバーナ31に対して別部材にしたことから、立ち消え検出用の炎口63を内側ガスバーナ31に直接形成する場合に比べて、加工性がよい。
【0041】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図10ないし図12によって説明する。
実施形態1では、ガスコンロ10の一例として、ガスバーナを二重に設けた二重タイプのガスコンロを例示した。実施形態2のガスコンロ200は、ガスバーナをシングルタイプにしたものである。ガスコンロ200の構成は、ガスバーナが1重である点を除いて基本構成は実施形態1のガスコンロ10と同じであり、ガスバーナ本体210と、混合管237と、点火バーナ(図略)と、次に説明する補助ガスバーナ261と、サーモカップル70と、ガスコック装置(図略)と、これらを収容するコンロ本体(図略)とを備えてなる。
【0042】
補助ガスバーナ261は、実施形態1の補助ガスバーナ61と同様に、立ち消え検出用のものであり、ガスバーナ本体210とは別部材から構成されている。
【0043】
補助ガスバーナ261は、例えば真鍮製であって、図12に示すように、概ねブロック型をなす。補助ガスバーナ261は、正面壁にスリット型の炎口263を形成している。スリット型の炎口263は、水平方向に延びており、正面壁を左右に貫通している。そして、補助ガスバーナ261の内部には、炎口263が連通するガス通路(図略)が形成されている。また、補助ガスバーナ261の側面壁には筒型の取り付け部268が形成されている。尚、補助ガスバーナ261の奥壁(正面壁の逆側の壁)269は、ガス通路を加工する関係から別部材とっている。
【0044】
図10、図11に示すように、補助ガスバーナ261は、取り付け部268を介して、ガスバーナ本体210の外周壁の側面側に取り付けられていて、ガスバーナ本体210側から燃焼ガスの供給を受けて炎口263に火炎を灯す構成となっている。そして、補助ガスバーナ261の正面には、ブラケットBK2を介してサーモカップル70が縦向き取り付けられていて、炎口263からの火炎Uにより、サーモカップル先端の検出部73を加熱する。
【0045】
このようにガスコンロ200は、実施形態1と同様に、立ち消え検出用の炎口263をスリット形状にした。スリット形状の炎口263からは燃焼ガスが放射状に噴出することから、図10に示すように火炎Uは、放射状に広がった形状となる。放射状に広がる火炎Uは、ガスバーナ本体210側の火力を強弱するべく燃焼ガスの供給量を増減させても、広がりが変わるだけで火力がそれほど変化しない。そのため、ガスバーナ本体210側の火力の強弱に拘わらず、サーモカップル70に当たる火炎(火力の強さ)を一定にすることが出来る。
【0046】
そのため、サーモカップル70が過度の加熱を受けないので、サーモカップル70の寿命を長くすることが可能となる。また、サーモカップル70に当たる火炎を一定(火力の強さ)にすることができ、更に、サーモカップル70と補助ガスバーナ261の相対的な位置関係が図中の左右方向や上下方向で多少ずれたとしても、火炎からサーモカップル70が外れない。そのため、ガスコンロ200の立ち消えを高精度に検出することが可能となる。
【0047】
また、補助ガスバーナ261をガスバーナ本体210に対して別部材にしたことから、立ち消え検出用の炎口263をガスバーナ本体210に直接形成する場合に比べて、加工性がよい。
【0048】
尚、実施形態2の補助ガスバーナ261には、火移り用の炎口を形成していないが、これは、ガスバーナ本体210がシングルタイプであるため、2つのバーナ間で火移させる必要がないからである。
【0049】
また、実施形態1の補助ガスバーナ61では、スリット型の炎口63の下方に、補助炎口64を形成したが、実施形態2の補助ガスバーナ261では、補助炎口を廃止している。これは、実施形態2の補助ガスバーナ261では火移り用の炎口を形成していないことや、スリット型の炎口263のスリット幅が広いため噴出する燃焼ガスの勢いが異なり、そのため、補助炎口がなくても、スリット型の炎口263に灯る火炎Uが安定するからである。
【0050】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0051】
(1)上記実施形態1、2では加熱調理器の一例としてガスコンロを例示した。本発明の適用範囲は、ガスコンロに限定されるものではなく、肉などの食材を、ガスバーナで直接加熱調理する焼き物調理器などにも適用することが可能である。
【0052】
(2)上記実施形態1、2では、ガスバーナ本体に対する補助ガスバーナの取り付け構造として螺子締めを例示したが、それ以外にも、例えばろう付けにより取り付けることが可能である。
【符号の説明】
【0053】
10…ガスコンロ(本発明の「加熱調理器」の一例)
20…コンロ本体
30…ガスバーナ本体
31…内側ガスバーナ
41…外側ガスバーナ
61…補助ガスバーナ
63…立ち消え検出用の炎口
70…サーモカップル
80…ガスコック装置
90…安全弁
P1、P2…ガス通路
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスコンロなど加熱調整器の安全機能に立ち消え安全装置がある。立ち消え安全装置はバーナ本体から噴出される火炎を炎検知器で検出し、火炎の立ち消えに応答してガス供給を遮断するものである。係る立ち消え安全装置の炎検知器には、サーモカップル方式がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−28428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
サーモカップル(熱電対)は温度が高くなり過ぎると寿命が短くなることから、火力を強火にしたときに、火炎に深く入り過ぎないように、火炎からある程度距離を空けて配置する必要がある。しかしサーモカップルを火炎から遠ざけすぎると、弱火にしたときに火炎から離れてしまい、検出精度が低下する。
【0005】
検出精度の低下を防止するには、火力の強弱に拘わらず、サーモカップルに当たる火炎が一定になればよい。これを果たすには、バーナ本体に対して、立ち消え検出を目的とした専用の炎口を形成することが考えられる。しかし、そうした炎口は、通常の炎口のような円形状ではないことから、これをバーナ本体に形成することは、加工性が極めて悪く、現実的でなかった。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、立ち消え検出用の炎口の加工を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、内部に形成されたガス通路を通じて供給される燃焼ガスを燃焼させることにより加熱対象物を加熱するガスバーナ本体と、前記ガスバーナ本体の立ち消えを検出するためのサーモカップルと、前記ガスバーナ本体に取り付けられると共に、立ち消え検出用の炎口から前記ガスバーナ本体側から分岐した燃焼ガスを噴出して前記サーモカップルを加熱する補助ガスバーナと、前記サーモカップルの非加熱状態に対応して前記ガスバーナ本体に対する燃焼ガスの供給を遮断する電磁式の安全弁を備えたガスコック装置とを備え、前記補助ガスバーナを前記ガスバーナ本体とは別部材とした。尚、「立ち消え」とは、燃焼ガスを供給する主弁が開放しているにもかかわらず、火炎が消えている状態を意味する。
【0007】
この発明では、補助ガスバーナを、ガスバーナ本体に対して別部材にしたことから、立ち消え検出用の炎口をガスバーナ本体に直接形成する場合に比べて、加工が容易でありかつ、精度よく加工が可能である。尚、補助ガスバーナと同じ機能を満足させるにバーナ本体を加工するには、入り組んだ構造上特殊な加工機械(マシニングセンターなど)の必要性があり、また、ベースが鉄鋳物のため製造精度が悪く安定した炎口深さがコントロールできないため安定した炎が得られ難い。
【0008】
この発明の実施対応として次の構成にすることが好ましい。
・前記立ち消え検出用の炎口をスリット形状とする。スリット形状であれば、ガスバーナ本体側の火力が強弱しても、それほど火力が強弱しない。そのため、ガスバーナ本体側の火力が強弱しても、サーモカップルに当たる火炎をほぼ一定にできる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、立ち消え検出用の炎口を容易に加工できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態1において、ガスコンロの内部構造を示す断面図
【図2】ガスコンロの斜視図(二重バーナなどの主要部品のみ示す)
【図3】図2の平面図
【図4】補助ガスバーナの斜視図
【図5】図2のB部を拡大した図
【図6】図1のA部を拡大した図
【図7】安全弁の断面図(作動原理を示す図)
【図8】ガスコンロのブロック図
【図9】効果を説明する図
【図10】本発明の実施形態2において、ガスコンロの斜視図
【図11】ガスコンロの正面図
【図12】補助ガスバーナの斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図9によって説明する。
1.構造説明
図1はガスコンロ10の断面図、図2はガスコンロ10の斜視図、図3はガスコンロ10の平面図である。ガスコンロ(本発明の「加熱調理器」の一例)10は、ガスバーナ本体30と、混合管37、47と、点火バーナ50と、サーモカップル70と、ガスコック装置80と、これらを収容するコンロ本体20とを備えてなる。尚、以下の説明において、正面とは、ユーザの操作面側(ガスコック装置80の設置側(図1の左側))を指すものとする。
【0012】
コンロ本体20は例えばステンレス製であって、図1に示すように概ね箱型をしている。コンロ本体20の中央は開口しており、そこにガスバーナ本体30を収めている。
【0013】
ガスバーナ本体30は鉄鋳物であり、内側ガスバーナ31と、内側ガスバーナ31の外側に配置され内側ガスバーナ31より一回り大きな外側ガスバーナ41とを備えた二重ガスバーナ30となっている。内側ガスバーナ31と外側ガスバーナ41は共に中空状であり、内部は中空のガス通路P1となっている。内側ガスバーナ31と外側ガスバーナ41の上部には、全周に渡って炎口Hが一定の間隔で複数個形成されている。これら各炎口Hは各ガスバーナの壁面を貫通しており、ガス通路P1に連通している。
【0014】
また、図2に示すように内側ガスバーナ31は、全体が閉じた円環形状をしているのに対して、外側ガスバーナ41は、全体がC字型をしていて、正面側を大きく切り欠いた形状をしている。これは、内側ガスバーナ31の前側にサーモカップル(詳細は後述する)70を配置していて、サーモカップル70やそれを固定するブラケットBK2を逃がす必要があるからである。
【0015】
また、外側ガスバーナ41の上面部であって、外側ガスバーナ41の正面寄りの位置には、ガスバーナ下方に切れ込むようにして線状のスリット43が形成されている。このスリット43は、内側ガスバーナ31の正面に取り付けられた補助ガスバーナ(詳細は後述する)61に向かって斜めに延びている。スリット43は、補助ガスバーナ61を中継しつつ、外側ガスバーナ41から内側ガスバーナ31へ口火を火移りさせるものである。
【0016】
ガスバーナ本体30の下方には、コンロ本体20の奥行方向に、混合管37、47が一対平行に配置されている。混合管37、47は燃料ガス及び一次空気の混合気体を、内側ガスバーナ31、外側ガスバーナ41に対して導入するものである。この実施形態では、図3に示す左側の混合管47が外側ガスバーナ41用、右側の混合管37が内側ガスバーナ31用となっており、各管の終端が各ガスバーナの底面に対して連結されている。
【0017】
また、コンロ本体20の内部には、金属ベース25が取り付けられている。金属ベース25は図2、図3に示すように断面コ字型をしており、混合管37、47の前側と後側に一対設けられている。金属ベース25F、25Rは混合管37、47に交差しつつ平行に延びており、コンロ本体20内に収容された混合管37、47及びその上側に配置されたガスバーナ本体30を支持している。
【0018】
点火バーナ50は、図2に示すように、前側の金属ベース25F上において混合管47の脇にあたる位置にブラケットBK1を介して取り付けられている。点火バーナ50は、ガスバーナ先端に形成されたガス噴射口を外側ガスバーナ41に向けつつ斜め横向きに固定してある。また、ブラケットBK1には、点火バーナ50と共に点火プラグ53が固定してある。点火プラグ53はイグナイタ55(昇圧装置)から高電圧を受けてスパークし、点火バーナ50を着火させる機能を果たす。
【0019】
次に補助ガスバーナ61について説明する。補助ガスバーナ61は例えば真鍮製であって、内側ガスバーナ31とは別部材(すなわち、別部品)からなり、概ねブロック型をなす。補助ガスバーナ61の内部にはガス通路P2が形成されると共に、外周壁にはガス通路P2に連通する複数の炎口が形成されている。具体的に説明すると、図4に示すように、補助ガスバーナ61の正面壁には、炎口63と炎口64の2つの炎口が上下に形成されている。炎口63は水平方向に延びるスリット型をしており、正面壁を左右に貫通していている。また、炎口64は円形をしている。正面壁に形成されたこれら2つの炎口63、64は、後に説明するサーモカップル70を炙ることを目的とした立ち消え検出用の炎口である。尚、「立ち消え」とは燃焼ガスを供給する主弁87が開放しているにもかからず、ガスバーナ本体30の火炎が消えている状態を意味する。
【0020】
また、補助ガスバーナ61の左右の側面壁には、炎口65A、65Bが形成されている。側面壁に形成された炎口65A、65Bは、いずれも円形をしている。これら2つの炎口65A、65Bは、外側ガスバーナ41から内側ガスバーナ31への火移り用である。
【0021】
そして、補助ガスバーナ61の後面壁側には筒型の取り付け部68が形成されている。一方、内側ガスバーナ31の外周壁の正面側には取り付け孔が開口している。この取り付け孔は、内側ガスバーナ31の外周壁を貫通している。取り付け部65の外周と取り付け孔の内周にはそれぞれ螺子が切ってあり、取り付け部65を取り付け孔に螺合させることで、図5に示すように、内側ガスバーナの外周壁の正面側に補助ガスバーナ61が取り付けられている。
【0022】
そして、取り付け部65の内部は空洞状になっていて、図6に示すように、補助ガスバーナ61の内部に形成されたガス通路P2に連通していることから、内側ガスバーナ31側から補助ガスバーナ61側に燃焼ガスを供給して、各炎口63、64、65A、65Bに火炎を灯すことが出来る。
【0023】
尚、補助ガスバーナ61は、内部にガス通路P2を上下に形成していることから、図6に示すように、底面壁69を別部材としており、2部品の構成となっている。
【0024】
サーモカップル(熱電対)70は補助ガスバーナ61の灯す火炎(具体的には、立ち消え検出用の火炎U)を検出するものであり、図2、図5に示すように、補助ガスバーナ61の正面となる位置に、ブラケットBK2を介して縦向きに取り付けられている。具体的には、正面側の金属ベース25Fに対して取り付けられている。係るサーモカップル70は、先端の検出部73を補助ガスバーナ61の正面壁に形成された炎口63の先に臨ませている。以上のことから、補助ガスバーナ61の炎口63、64に火炎Uが灯ると、その火炎Uが検出部73を加熱し、サーモカップル70に熱起電力を発生させる。一方、補助ガスバーナ61の火炎Uが消えた状態では、検出部73は加熱されず、サーモカップル70は熱起電力を発生させない。
【0025】
ガスコック装置80はコック本体81、操作手段(以下、操作つまみ)85、安全弁90、主弁87を主体に構成されており、ガスバーナ本体30の正面側(図2、図3の下側)に配置されている。コック本体81は概ねボックス型をしている。そして、コック本体81の上面壁にはガス源に連なるガス取り込み口82が形成してあり、そこを通じて燃料ガスを内部に取り込む構成となっている。
【0026】
ガスコック本体81内には、燃料ガスの供給路が形成してあり安全弁90と主弁87が内蔵されている。安全弁90は主弁87に対して、その上流側に設けられている。安全弁90は、図7に示すように、ガイド板91と、弁軸93を固定した弁体92と、電磁石98と備えている。弁体92の弁軸93は、ガイド板91に形成されたガイド孔をスライド可能に貫通しており、弁体92は図中の左右方向に移動可能となっている。また、弁軸93にはコイルばね94が巻回されると共に、弁軸93の後端には鉄片95が固定されている。そして、鉄片95には、これに向かい合うようにして電磁石98が配置してある。
【0027】
係る電磁石98のコイル線99は、サーモカップル70に結線してある。以上のことから、サーモカップル70が補助ガスバーナ61の火炎を検出して熱起電力を発生させると、電磁石98が励磁される結果、鉄片95を吸引して弁体92を図中の左側に引き込む。これにより、図中左側に弁体92が後退して、燃料ガスの供給路Uを開放(「開動作」)する構成となっている。その一方、補助ガスバーナ61が立ち消えした状態では、サーモカップル70に熱起電力が発生せず、この場合、弁体92はコイルばね94の付勢力により図中の右側に押し込まれ、燃料ガスの供給路Uを閉止する(「閉動作」)。これにて、次に説明する主弁87及びその下流側にある各ガスバーナ30、50に対する燃料ガスの供給が一斉にストップする構成となっている。
【0028】
また、図7に示す符号86はプッシュロッド86である。プッシュロッド86は操作つまみ85と連動しており、点火作業を行うべく操作つまみ85を押すと、プッシュロッド86を通じて後退方向に弁体92が押されて燃料ガスの供給路Uを開放させる仕組みになっている。
【0029】
主弁87は安全弁90の下流側に設けられている。この主弁87の下流側で燃料ガスの供給路Uは2分岐しており、各ガス出口がガス配管100を介してガスバーナ本体30に連なり、又ガスチューブ110を介して点火バーナ50に連なっている。尚、ガス管100は内部で2分岐しており、分岐先の一方端103を内側ガスバーナ31の混合管37に接続し、他方端105を外側ガスバーナ41の混合管47に接続させている(図3参照)。そして、操作つまみ85を回すと、主弁87が開いて燃料ガスがガスバーナ本体30、点火バーナ50に取り込まれる構成となっている。
【0030】
そして、上記のように構成されたガスコンロ10のコンロ本体20にはガスバーナ本体30の上側に位置して五徳27が載せてあり、その上に鍋などの調理器具を置いて加熱調理を行うことができるようになっている。また、五徳27の下方には、汁受け28が設置してあり、ガスコック装置80などに吹きこぼれなどが掛からないような構成になっている。
【0031】
2.ガスコンロ10の点火動作
ガスコンロ10を点火するには、操作つまみ85を操作(押しながら回転)してやればよい。すると、プッシュロッド86に押されて安全弁90が開く。また安全弁90と共に主弁87が開く。そのため、ガスバーナ本体30、点火バーナ50に対してガス源を通じて燃料ガスが取り込まれ、ガスバーナ本体30に形成された各炎口H及びパイロットガスバーナ50のガス噴出口から混合気体(燃料ガスと一次空気を混合させたもの)が噴出される。
【0032】
一方、操作つまみ85が操作されると、イグナイタ55(昇圧装置)が作動して点火プラグ53をスパークさせる。これにより、点火バーナ50は着火する。その後は、点火バーナ50の火炎が、図3に示すように、外側ガスバーナ41の一部の炎口Hに火移りする。
【0033】
すると、その火は、外側ガスバーナ41の外周に沿って順々に火移りして、各炎口Hに火炎を付けてゆく。また、スリット43を介して内側ガスバーナ31の正面に取り付けられた補助ガスバーナ61の炎口65へも火移りする。
【0034】
補助ガスバーナ61に火移りすると、補助ガスバーナ61を経由して内側ガスバーナ31側に火移りする。そのため、以降、内側ガスバーナ31の外周に形成された各炎口Hに順々に火移りしてゆく。そして、外側ガスバーナ41と内側ガスバーナ31の双方とも火移りが一周して、全ての炎口Hに火が付くと一連の点火動作は完了する。
【0035】
また、補助ガスバーナ61に火移りすると、正面に設けられた炎口63、64に形成された火炎が、サーモカップル70の検出部73を加熱するので、サーモカップル70は熱起電力を発生させる。従って、その後、電磁石98は励磁された状態を維持する。そのため、弁体92は図7の左方向に引き込まれた状態を維持し、安全弁90は燃料ガスの供給路Uを開放し続ける。
【0036】
3.補助ガスバーナ61とサーモカップル70の働き
加熱調理中にガスコンロ10の立ち消えが発生した場合(例えば、鍋からの吹きこぼれによりガスバーナ本体30と補助ガスバーナ61の火炎が消えた場合)、サーモカップル70は非加熱状態となり、熱起電力を発生させない。そのため、安全弁90が働いて、図7の(a)に示すように弁体92が燃料ガスの供給路Uを閉じる。以上のことから、ガスコンロ10が立ち消えを起こしたときには、ガスバーナ本体30に対する燃料ガスの供給を自動的にストップできる。
【0037】
4.効果説明
本ガスコンロ10では、立ち消え検出用の炎口63をスリット形状にした。スリット形状の炎口63からは燃焼ガスが放射状に広がりながら噴出することから、図9に示すように、立ち消え検出用の火炎Uは、放射状に広がった形状となる。放射状に広がる火炎Uは、ガスバーナ本体30側の火力を強弱するべく燃焼ガスの供給量を増減させても、広がりが変わるだけで火力がそれほど変化しない。そのため、ガスバーナ本体30側の火力の強弱に拘わらず、サーモカップル70に当たる火炎(火力の強さ)を一定にすることが出来る。
【0038】
そのため、サーモカップル70が過度の加熱を受けないので、サーモカップル70の寿命を長くすることが可能となる。また、サーモカップル70に当たる火炎を一定(火力の強さ)にすることができ、更に、サーモカップル70と補助ガスバーナ61の相対的な位置関係が図9の左右方向や上下方向で多少ずれたとしても、火炎Uからサーモカップル70が外れない。そのため、ガスコンロ10の立ち消えを高精度に検出することが可能となる。
【0039】
尚、本実施形態では、立ち消え検出用の炎口に、スリット型の炎口63に加えて、その下方に円形の炎口64を設けているが、これは、スリット型炎口に加えて燃焼を安定させる補助炎を形成するための補助炎口であり、お互いに重なりあい燃焼することより炎の浮きなどを防止できる。
【0040】
また、本ガスコンロ10では、補助ガスバーナ61を内側ガスバーナ31に対して別部材にしたことから、立ち消え検出用の炎口63を内側ガスバーナ31に直接形成する場合に比べて、加工性がよい。
【0041】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図10ないし図12によって説明する。
実施形態1では、ガスコンロ10の一例として、ガスバーナを二重に設けた二重タイプのガスコンロを例示した。実施形態2のガスコンロ200は、ガスバーナをシングルタイプにしたものである。ガスコンロ200の構成は、ガスバーナが1重である点を除いて基本構成は実施形態1のガスコンロ10と同じであり、ガスバーナ本体210と、混合管237と、点火バーナ(図略)と、次に説明する補助ガスバーナ261と、サーモカップル70と、ガスコック装置(図略)と、これらを収容するコンロ本体(図略)とを備えてなる。
【0042】
補助ガスバーナ261は、実施形態1の補助ガスバーナ61と同様に、立ち消え検出用のものであり、ガスバーナ本体210とは別部材から構成されている。
【0043】
補助ガスバーナ261は、例えば真鍮製であって、図12に示すように、概ねブロック型をなす。補助ガスバーナ261は、正面壁にスリット型の炎口263を形成している。スリット型の炎口263は、水平方向に延びており、正面壁を左右に貫通している。そして、補助ガスバーナ261の内部には、炎口263が連通するガス通路(図略)が形成されている。また、補助ガスバーナ261の側面壁には筒型の取り付け部268が形成されている。尚、補助ガスバーナ261の奥壁(正面壁の逆側の壁)269は、ガス通路を加工する関係から別部材とっている。
【0044】
図10、図11に示すように、補助ガスバーナ261は、取り付け部268を介して、ガスバーナ本体210の外周壁の側面側に取り付けられていて、ガスバーナ本体210側から燃焼ガスの供給を受けて炎口263に火炎を灯す構成となっている。そして、補助ガスバーナ261の正面には、ブラケットBK2を介してサーモカップル70が縦向き取り付けられていて、炎口263からの火炎Uにより、サーモカップル先端の検出部73を加熱する。
【0045】
このようにガスコンロ200は、実施形態1と同様に、立ち消え検出用の炎口263をスリット形状にした。スリット形状の炎口263からは燃焼ガスが放射状に噴出することから、図10に示すように火炎Uは、放射状に広がった形状となる。放射状に広がる火炎Uは、ガスバーナ本体210側の火力を強弱するべく燃焼ガスの供給量を増減させても、広がりが変わるだけで火力がそれほど変化しない。そのため、ガスバーナ本体210側の火力の強弱に拘わらず、サーモカップル70に当たる火炎(火力の強さ)を一定にすることが出来る。
【0046】
そのため、サーモカップル70が過度の加熱を受けないので、サーモカップル70の寿命を長くすることが可能となる。また、サーモカップル70に当たる火炎を一定(火力の強さ)にすることができ、更に、サーモカップル70と補助ガスバーナ261の相対的な位置関係が図中の左右方向や上下方向で多少ずれたとしても、火炎からサーモカップル70が外れない。そのため、ガスコンロ200の立ち消えを高精度に検出することが可能となる。
【0047】
また、補助ガスバーナ261をガスバーナ本体210に対して別部材にしたことから、立ち消え検出用の炎口263をガスバーナ本体210に直接形成する場合に比べて、加工性がよい。
【0048】
尚、実施形態2の補助ガスバーナ261には、火移り用の炎口を形成していないが、これは、ガスバーナ本体210がシングルタイプであるため、2つのバーナ間で火移させる必要がないからである。
【0049】
また、実施形態1の補助ガスバーナ61では、スリット型の炎口63の下方に、補助炎口64を形成したが、実施形態2の補助ガスバーナ261では、補助炎口を廃止している。これは、実施形態2の補助ガスバーナ261では火移り用の炎口を形成していないことや、スリット型の炎口263のスリット幅が広いため噴出する燃焼ガスの勢いが異なり、そのため、補助炎口がなくても、スリット型の炎口263に灯る火炎Uが安定するからである。
【0050】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0051】
(1)上記実施形態1、2では加熱調理器の一例としてガスコンロを例示した。本発明の適用範囲は、ガスコンロに限定されるものではなく、肉などの食材を、ガスバーナで直接加熱調理する焼き物調理器などにも適用することが可能である。
【0052】
(2)上記実施形態1、2では、ガスバーナ本体に対する補助ガスバーナの取り付け構造として螺子締めを例示したが、それ以外にも、例えばろう付けにより取り付けることが可能である。
【符号の説明】
【0053】
10…ガスコンロ(本発明の「加熱調理器」の一例)
20…コンロ本体
30…ガスバーナ本体
31…内側ガスバーナ
41…外側ガスバーナ
61…補助ガスバーナ
63…立ち消え検出用の炎口
70…サーモカップル
80…ガスコック装置
90…安全弁
P1、P2…ガス通路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に形成されたガス通路を通じて供給される燃焼ガスを燃焼させることにより加熱対象物を加熱するガスバーナ本体と、
前記ガスバーナ本体の立ち消えを検出するためのサーモカップルと、
前記ガスバーナ本体に取り付けられると共に、立ち消え検出用の炎口から前記ガスバーナ本体側から分岐した燃焼ガスを噴出して前記サーモカップルを加熱する補助ガスバーナと、
前記サーモカップルの非加熱状態に対応して前記ガスバーナ本体に対する燃焼ガスの供給を遮断する電磁式の安全弁を備えたガスコック装置とを備え、
前記補助ガスバーナを前記ガスバーナ本体とは別部材としたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記補助ガスバーナに形成される前記立ち消え検出用の炎口は、スリット形状であることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項1】
内部に形成されたガス通路を通じて供給される燃焼ガスを燃焼させることにより加熱対象物を加熱するガスバーナ本体と、
前記ガスバーナ本体の立ち消えを検出するためのサーモカップルと、
前記ガスバーナ本体に取り付けられると共に、立ち消え検出用の炎口から前記ガスバーナ本体側から分岐した燃焼ガスを噴出して前記サーモカップルを加熱する補助ガスバーナと、
前記サーモカップルの非加熱状態に対応して前記ガスバーナ本体に対する燃焼ガスの供給を遮断する電磁式の安全弁を備えたガスコック装置とを備え、
前記補助ガスバーナを前記ガスバーナ本体とは別部材としたことを特徴とする加熱調理器。
【請求項2】
前記補助ガスバーナに形成される前記立ち消え検出用の炎口は、スリット形状であることを特徴とする請求項1に記載の加熱調理器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2013−79750(P2013−79750A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−219311(P2011−219311)
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000130307)株式会社コメットカトウ (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月3日(2011.10.3)
【出願人】(000130307)株式会社コメットカトウ (9)
【Fターム(参考)】
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