説明

加熱調理器

【課題】タッチパネルを使用した場合にでもヒータ、電子レンジに対する安全回路を実現させる。
【解決手段】加熱手段1と、主制御回路2と、マイクロコンピュータA3と、入力手段6と、マイクロコンピュータB4と、WATCH DOG IC5とを備え、マイクロコンピュータB4より通信ラインを使用しマイクロコンピュータA3とWATCH DOG IC5に調理スタート開始のデータが送信されると、WATCH DOG IC5より出力されるアクティブ信号とマイクロコンピュータA3より出力されるアクティブ信号の論理積により主制御回路2をONさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロコンピュータを用いた加熱調理器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般にオーブン付き高周波加熱器としては、ヒータ、電子レンジという様に複数の加熱熱源を制御している。
【0003】
この場合、電子レンジでは、図3に示すように、入力手段の一部であるSTARTキーと主制御回路を接続し、STARTキーが押されている間だけ、アクティブ信号を送るようになっている。また、マイクロコンピュータAと主制御回路を接続し、ヒータや電子レンジをONしたい時には、マイクロコンピュータAより、アクティブ信号を送信する。
【0004】
マイクロコンピュータAより、アクティブ信号を送信している時に、STARTキーが押されアクティブ信号が送信されると、主制御回路の一部を構成しているラッチ回路がONし、STARTキーが離されて信号がノンアクティブになっても、マイクロコンピュータAのアクティブ信号がONしている限りは、このラッチ回路はONし続ける。
【0005】
さらに、ヒータをONしたい時には、このラッチ回路がONしている状態で、マイクロコンピュータAより、ヒータのリレーをONすれば、ヒータがONする構成となっている。
【0006】
この構成では、ヒータを上記の様な制御をすると入力手段の故障により、キーボードショート状態やノイズにより、STARTキーが押されたという入力がされたとしても、ラッチ回路がONしていないのでヒータや電子レンジはONせずに危険な状態にならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭63−189715号公報
【特許文献2】特開昭60−264088号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記従来の構成では、入力手段がタッチパネルの場合、物理的にSTARTキーが存在しないので信号線を接続することができず、STARTキーから信号を発信できないという課題を有していた。
【0009】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、STARTキーから信号を発信する代わりに、WATCH DOG ICを用意し、調理をスタートできる状態になったときにタッチパネルに表示されたSTARTキーを押されたという情報を通信で送信し、WATCH DOG ICがその情報を受け取った場合に、アクティブ信号を送信する構成とした加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記従来の課題を解決するために、本発明の加熱調理器は、被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室に設けられた開閉ドアと、前記加熱室内の被加熱物を加熱する加熱手段と、前記加熱手段を制御する主制御回路と、前記主制御回路にアクティブ信号を供給するためのマイクロコンピュータAと、調理設定等を行うための入力手段と、前記入力手段のデ
ータを取り込むためのマイクロコンピュータBと、前記マイクロコンピュータAと前記マイクロコンピュータBを接続し通信するための通信ラインと、前記通信ラインに接続されたWATCH DOG ICとを備え、前記マイクロコンピュータBより前記通信ラインを使用し前記マイクロコンピュータAと前記WATCH DOG ICに調理スタート開始のデータが送信されると、前記WATCH DOG ICより出力されるアクティブ信号と前記マイクロコンピュータAより出力されるアクティブ信号の論理積により前記主制御回路をONさせるとしたものである。
【0011】
これによって、操作部と表示部にタッチパネルを使用した場合にでも1部品だけのWATCH DOG ICの故障またはマイクロコンピュータAの故障により、アクティブ信号が出力されたとしても、ラッチ回路がONしないのでヒータや電子レンジはONせずに危険な状態にならない。
【発明の効果】
【0012】
本発明の加熱調理器は、入力手段としてタッチパネルを使用した場合にでも1部品だけのWATCH DOG ICかマイクロコンピュータAの故障により、アクティブ信号が出力されたとしても、ラッチ回路がONしないのでヒータや電子レンジはONせずに危険な状態にならない安全回路が実現できる。また、マイクロコンピュータAのアクティブ信号に依存せずに、独立して調理をスタートしたという情報をWATCH DOG ICが判断してからアクティブ信号を出力するため、調理スタートできない状態でユーザーがスタートキーを押したときにもアクティブ信号を出力しないのでより安全な回路が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態1における加熱調理器の構成図
【図2】本発明の実施の形態2における加熱調理器のフローチャート
【図3】従来における加熱調理器の構成図
【発明を実施するための形態】
【0014】
第1の発明は、前記従来の課題を解決するために、被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室に設けられた開閉ドアと、前記加熱室内の被加熱物を加熱する加熱手段と、前記加熱手段を制御する主制御回路と、前記主制御回路にアクティブ信号を供給するためのマイクロコンピュータAと、調理設定等を行うための入力手段と、前記入力手段のデータを取り込むためのマイクロコンピュータBと、前記マイクロコンピュータAと前記マイクロコンピュータBを接続し通信するための通信ラインと、前記通信ラインに接続されたWATCH DOG ICとを備え、前記マイクロコンピュータBより前記通信ラインを使用し前記マイクロコンピュータAと前記WATCH DOG ICに調理スタート開始のデータが送信されると、前記WATCH DOG ICより出力されるアクティブ信号と前記マイクロコンピュータAより出力されるアクティブ信号の論理積により前記主制御回路をONさせるとしたものである。
【0015】
これによって、入力手段としてタッチパネルを使用した場合にでも1部品だけのWATCH DOG ICかマイクロコンピュータAの故障により、アクティブ信号が出力されたとしても、ラッチ回路がONしないのでヒータや電子レンジはONせずに危険な状態にならない。
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0017】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における加熱調理器の図を示すものである。
【0018】
図1において、マイクロコンピュータA3(以下、マイコンAと称す)は主制御回路を用いて加熱手段を制御し、マイクロコンピュータB4(以下、マイコンBと称す)はタッチパネルにより入力された情報により調理内容の設定等を行い、マイコンB4より通信ラインを使用し、マイコンA3に調理スタート情報や調理の種類の情報を送信する構成になっている。またマイコンB4より通信ラインを使用し、WATCH DOG I5Cに調理スタート情報を送信する構成になっている。
【0019】
以上のように構成された加熱調理器について、以下にその動作、作用を説明する。
【0020】
まず、入力手段6からユーザーが調理設定を行い、タッチパネルに表示されたスタートキーを押下すると、マイコンB4は特定フォーマットに従った情報を通信ラインを使用し、マイコンA3とWATCH DOG IC5に送信する。
【0021】
このとき、調理をスタートするという情報をマイコンB4より受け取ったとすると、マイコンA3はスタートOK信号として方形波の信号を出力する。またWATCH DOGIC5からスタートOK信号としてHIGHの信号を出力する。
【0022】
これにより、主制御回路2の一部で構成されているラッチ回路はONする。次にマイコンB4より調理の種類の情報(例えばコンベクション調理)を受け取り、マイコンA3はその情報を元に各リレーをONする。
【0023】
このときヒータをONするシーケンスであればマイコンA3はヒータリレーをONする信号を出力し、主制御回路2のラッチ回路がONしているのでヒータはONする。
【0024】
次に、調理が終了した場合、マイコンB4より調理の種類が、No cookingという情報を送信する。マイコンA3はその情報を元に各リレーをOFFする。このときヒータリレーもOFFする。そしてマイコンA3はスタートOK信号としての方形波をOFFさせ、WATCH DOG IC5からのHIGH信号をLOW信号に変更する。これにより主制御回路2のラッチ回路はOFFする。
【0025】
以上のように、本実施の形態において操作部と表示部にタッチパネルを使用した場合にでも1部品だけのWATCH DOG ICの故障またはマイクロコンピュータAの故障により、アクティブ信号が出力されたとしても、ラッチ回路がONしないのでヒータや電子レンジはONせずに危険な状態にならない。
【0026】
(実施の形態2)
図2は、本発明の第2の実施の形態の加熱調理器のフローチャートである。なお、実施の形態1と同一符号のものは同一構造を有し、説明は省略する。
【0027】
まず、マイコンB4はステップS1にて、調理スタート情報を通信ラインを使用し、マイコンA3とWATCH DOG IC5に送信する。
【0028】
次に、ステップS2では、マイコンA3がその情報を受け取り、ステップS3でマイコンAはその情報が調理スタート情報かどうか判断し、もし調理スタート情報であるなら、ステップS4にてマイコンA3より主制御回路2に4kHzの方形波のアクティブ信号を送信する。この方形波のアクティブ信号とWATCH DOG IC5からのHIGHのアクティブ信号が入力されて初めて主制御回路2のラッチ回路がONする構成となっており、マイコンA3よりHIGHまたはLOW信号の出力だけではラッチ回路はONしない
。これはマイコンA3が暴走した場合に、信号がHIGHまたはLOW信号を出力するため、ラッチ回路をONしないようにしているためである。
【0029】
ステップS5では、ステップS1で、マイコンB4が送信した調理スタート情報を、WATCH DOG IC5が受け取り、ステップS6でWATCH DOG IC5はその情報が調理スタート情報かどうか判断し、もし調理スタート情報であるなら、ステップS7でWATCH DOG IC5より主制御回路にHIGHのアクティブ信号を送信する。ステップS4のアクティブ信号が出力されていれば、主制御回路2のラッチ回路がONする。もし調理スタート情報でなければ、ステップS8に移行する。
【0030】
ステップS8にて、マイコンB4より調理の種類の情報を送信する。ステップS9にて、その情報をマイコンA3が受け取り、その情報をもとに各リレーのON/OFFを行う。ステップS10で、受け取った調理の種類のシーケンスがヒータリレーをONさせるシーケンスかどうか判断し、もしONさせるシーケンスならステップS11でヒータリレーにアクティブ信号を送信する。このとき、主制御回路2のラッチ回路がONしていれば、ヒータがONする。
【産業上の利用可能性】
【0031】
以上のように、本発明の加熱調理器は、入力手段としてタッチパネルを使用した場合にでも1部品だけのWATCH DOG ICかマイクロコンピュータAの故障により、アクティブ信号が出力されたとしても、ラッチ回路がONしないのでヒータや電子レンジはONせずに危険な状態にならないため、容易に加熱調理器のみならず他の家電機器への用途にも適用できる。
【符号の説明】
【0032】
1 加熱手段
2 主制御回路
3 マイクロコンピュータA
4 マイクロコンピュータB
5 WATCH DOG IC
6 入力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加熱物を収容する加熱室と、前記加熱室に設けられた開閉ドアと、前記加熱室内の被加熱物を加熱する加熱手段と、前記加熱手段を制御する主制御回路と、前記主制御回路にアクティブ信号を供給するためのマイクロコンピュータAと、調理設定等を行うための入力手段と、前記入力手段のデータを取り込むためのマイクロコンピュータBと、前記マイクロコンピュータAと前記マイクロコンピュータBを接続し通信するための通信ラインと、前記通信ラインに接続されたWATCH DOG ICとを備え、前記マイクロコンピュータBより前記通信ラインを使用し前記マイクロコンピュータAと前記WATCH DOG ICに調理スタート開始のデータが送信されると、前記WATCH DOG ICより出力されるアクティブ信号と前記マイクロコンピュータAより出力されるアクティブ信号の論理積により前記主制御回路をONさせる加熱調理器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−87963(P2013−87963A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225582(P2011−225582)
【出願日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】