説明

加飾二重容器

【課題】本発明は、装飾性・意匠性に優れた加飾二重容器を提供する。
【解決手段】本発明は、内容器2と外容器1とを溶着或いは嵌合によって二重構造とした二重容器において、前記外容器1の側壁面には外方へ突出した半円柱状の凸レンズが複数並んだレンチキュラーレンズ1cを形成しており、前記レンチキュラーレンズ1cの1スリットあたりの幅は前記側壁面の傾斜に従って開放1e側から底部1b側に向うにつれて幅狭となる凸レンズを有し、前記外容器2の側壁内に前記レンチキュラーレンズ1cの特性に応じた線状画像を形成した加飾二重容器Aである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品等を収納する容器であり、容器側壁部に加飾を施した加飾二重容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から食品等を収容する容器本体に、その被内容物を表示する為、容器本体に直接印刷を施したり、印刷を施したラベルシール等の加飾用ラベルを使用したりして、識別や加飾の効果を得る事がある。そして、前記加飾用ラベルは、紙、合成紙、プラスチックフイルム等の非熱収縮性基材に粘着剤、接着剤を塗布したラベル、又は、熱収縮性フイルムを基材とした熱収縮ラベルが使用されている。しかし、容器に凹凸のある形状があれば、容器に直接印刷する事は出来ない。また、前記熱収縮性フイルムを外嵌装着した場合、シワや弛みが生じ、外観を損ねる為、形状に制約が出来てしまう。
【0003】
更に、両眼視差に基づく立体画像を表示したり、絵柄を変化させたりする方式として、レンチキュラーレンズを用いたレンチキュラー方式などがあるが、容器の側壁面に同じような表現をしようとした場合、レンチキュラーシートをカットしてラベルをつくり、前記ラベルを容器の側壁面へ直接貼りつけることで識別や加飾の効果を得る方法を行うことが考えられるが、貼りつける製法上で効率が悪く、コストアップとなる問題がある。
【0004】
また、レンチキュラーレンズの構造を有するためには、ある程度シート自体に厚みを形成する必要があり、容器などの曲面にレンチキュラーシートを貼り付けた場合、剥離など耐久性に問題が生じる場合がある。
【0005】
更に、容器の側壁面にテーパーがついて傾斜しているような容器に貼り付けた場合に、レンチキュラーレンズの縦筋が容器底面に対して垂直になっている箇所付近は、立体画像や絵柄が変化しているように見えるが、レンチキュラーレンズの垂直付近から外方へ遠ざかっていく箇所は、レンチキュラーレンズの貼り付けが徐々に斜めに傾斜した状態で貼り付けられてしまうので、立体画像や絵柄が変化しているように見えない問題がある。
【0006】
そこで、剥離などの耐久性を解決する方法としては、半円柱状の凸レンズが並設されてなるレンチキュラーレンズを容器の表面に一体成形し、対向する容器の部位に容器成形と同時にレンチキュラーレンズ対応の特性に応じた線状画素が形成された合成画像を配置した容器として、特許文献1に記載のレンチキュラー表示体を形成した容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−49175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載のレンチキュラー表示体を形成した容器は、剥離などの耐久性については解決するが、例えば、容器の側壁面にテーパーがつき傾斜しているような、容器同士がスタック可能な容器にレンチキュラーレンズを形成したものではなく、テーパーがついていない円柱状のものや箱型のもので、底面とレンチキュラーレンズのスリット部分が垂直になる箇所に限られるものである。また、1つの容器の側壁面の一部分にレンチキュラーレンズを形成し、対向する反対側の側壁面へレンチキュラー構造に対応した線状画像を施しているので、例えば、半透明や不透明内容物が入っている状態では、立体画像や絵柄が変化する装飾はみることができず、使い終わった後や食べ終わった後など、内容物がなくなった状態からでなければ楽しむことができないものである。
【0009】
本発明の目的は、上記課題を解決し、容器の側壁面にテーパーがついて傾斜しているような容器同士がスタックできる容器の側壁面全周に立体画像や絵柄が変化して見えるような構造を持たせた加飾二重容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上端面が開放している合成樹脂製の内容器同士がスタッキング可能な内容器と、上端面が開放しており前記内容器の外径より内径が大きい合成樹脂製の外容器同士がスタッキング可能な透明な外容器とを溶着或いは嵌合によって二重構造とした二重容器において、前記外容器の側壁面には外方へ突出した半円柱状の凸レンズが複数並んだレンチキュラーレンズを形成しており、前記レンチキュラーレンズの1スリットあたりの幅は前記側壁面の傾斜に従って開放側から底部側に向うにつれて幅狭となる凸レンズを有し、前記外容器の側壁内に前記レンチキュラーレンズの特性に応じた線状画像を形成した加飾二重容器である。
【0011】
本発明は、前記レンチキュラーレンズが前記外容器の側壁面全面に形成した加飾二重容器である。
【0012】
本発明は、前記レンチキュラーレンズと前記外容器は同一合成樹脂を使用して一体成形した加飾二重容器である。
【0013】
本発明は、前記レンズキュラーレンズの特性に応じた線状画像をシートラベルに施し、前記内容器と前記外容器の間に前記シートラベルを挟み込んだ加飾二重容器である。
【0014】
本発明は、前記線状画像を前記内容器の側壁面に印刷した加飾二重容器である。
【0015】
本発明は、前記シートラベルを前記内容器の側壁面に熱溶着させた加飾二重容器である。
【0016】
本発明は、前記シートラベルを差し替え自在とした加飾二重容器である。
【0017】
本発明は、前記シートラベルに配置された画像は所定の位置で撮影された右目用画像と左目用画像を使用した加飾二重容器である。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、上端面が開放している合成樹脂製の内容器同士がスタッキング可能な内容器と、上端面が開放しており前記内容器の外径より内径が大きい合成樹脂製の外容器同士がスタッキング可能な透明な外容器とを溶着或いは嵌合によって二重構造とした二重容器において、前記外容器の側壁面には外方へ突出した半円柱状の凸レンズが複数並んだレンチキュラーレンズを形成しており、前記レンチキュラーレンズの1スリットあたりの幅は前記側壁面の傾斜に従って開放側から底部側に向うにつれて幅狭となる凸レンズを有し、前記外容器の側壁内に前記レンチキュラーレンズの特性に応じた線状画像を形成した加飾二重容器であるので、側壁面の位置からみても、立体画像や絵柄が変化する装飾をみることができ、装飾性・意匠性に優れた加飾二重容器を提供することができる。
【0019】
また、本発明は、前記レンチキュラーレンズが前記外容器の側壁面全面に形成した加飾二重容器であるので、容器側壁面の全周を利用して、立体画像や絵柄が変化する装飾を楽しむことができ、装飾性・意匠性に優れた加飾二重容器を提供することができる。
【0020】
更に、本発明は、前記レンチキュラーレンズと前記外容器は同一合成樹脂を使用して一体成形した加飾二重容器であるので、比較的簡単に立体画像や絵柄が変化してみえる装飾性・意匠性に優れた加飾二重容器を提供することができる。
【0021】
また、本発明は、前記レンズキュラーレンズの特性に応じた線状画像をシートラベルに施し、前記内容器と前記外容器の間に前記シートラベルを挟み込んだ加飾二重容器であるので、比較的簡単に立体画像や絵柄が変化してみえる装飾性・意匠性に優れた加飾二重容器を提供することができる。
【0022】
更に、本発明は、前記線状画像を前記内容器の側壁面に印刷した加飾二重容器であるので、比較的簡単に立体画像や絵柄が変化してみえる装飾性・意匠性に優れた加飾二重容器を提供することができる。
【0023】
また、本発明は、前記シートラベルを前記内容器の側壁面に熱溶着させた加飾二重容器であるので、比較的簡単に立体画像や絵柄が変化してみえる装飾性・意匠性に優れた加飾二重容器を提供することができる。
【0024】
更に、本発明は、前記シートラベルを差し替え自在とした加飾二重容器であるので、本発明品の用途に合致した線状画像を、好みによって差し替えることができるので、さまざまなバリエーションを楽しむことができる装飾性・意匠性に優れた加飾二重容器を提供することができる。
【0025】
また、本発明は、前記シートラベルに配置された画像は所定の位置で撮影された右目用画像と左目用画像を使用した加飾二重容器であるので、比較的簡単に立体画像や絵柄が変化してみえる装飾性・意匠性に優れた加飾二重容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の加飾二重容器の断面図と正面図である。
【図2】図1のVに示す脚付近の拡大図である。
【図3】内容器の断面図と正面図である。
【図4】外容器の断面図と正面図である。
【図5】外容器の正面図である。
【図6】図5をa−a方向に切断した断面図である。
【図7】図6のWに示す断面の一部を拡大した拡大図である。
【図8】立体的に観察される本発明の加飾二重容器を正面からみた原理を示す説明図である。
【図9】図8を斜めからみた原理を示す説明図である。
【図10】図9に示す方向と反対側の斜めからみた原理を示す説明図である。
【図11】内容器同士を重ね合わせた状態を示す断面図と正面図である。
【図12】図11のXに示すスタック状態を示す拡大図である。
【図13】外容器同士を重ね合わせた状態を示す断面図と正面図である。
【図14】図13のYに示すスタック状態を示す拡大図である。
【図15】本発明の加飾二重容器を重ね合わせた状態を示す断面図と正面図である。
【図16】図15のZに示すスタック状態を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図1乃至図7において、加飾二重容器Aは、上端面が開放2eしている合成樹脂性の有底容器であって、上端面が開放しているポリプロピレンやポリスチレン等の合成樹脂で成形した内容器2と、片面若しくは両面に印刷されたラベル3と、上端面が開放1eしており前記内容器2外径より内径が大きくポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニール樹脂等の合成樹脂で成形した外容器1からなり、前記内容器2と前記外容器1とを溶着或いは嵌合によって二重構造とした二重容器である。図2に示すように、前記内容器2と前記外容器1の隙間には前記ラベル3を挟み、前記内容器2の底部2bに外容器1側に突出した脚2aを設けて前記脚2aで底ラベル4の浮き上がりを阻止させるとともに前記外容器1の底部1bと内容器2の底部2bで前記底ラベル4を保持させている。
【0028】
また、図4乃至図7に示すように、前記外容器1の側壁面には前記外容器1と同樹脂を使用して外方へ突出した半円柱状の凸レンズが複数並んだレンチキュラーレンズ1cを一体成形にて形成している。更に、前記レンチキュラーレンズ1cの1スリットあたりの幅は前記側壁面の傾斜に従って開放1e側から底部1b側に向うにつれて幅狭となる半円柱状の凸レンズを形成している。
【0029】
また、前記ラベル3の表面は、前記レンチキュラーレンズ1cが開放1e側から底部1b側に向うにつれて幅狭となるように、前記レンチキュラーレンズ1cの特性に応じた線状画像が、前記ラベル3の上端から下端に向うにつれて幅狭となる扇状の線状画像が複数並んで印刷されている。更に前記ラベル3の裏面にも好みの意匠に合わせて写真や印刷物若しくはイラストなどの画像を印刷したり、前記内容器2の底部2bと前記外容器1の底部1bで底ラベル4を挟みこむことができるので、内容物を食べ終わった後に容器の内側に画像が現れるため、装飾性に優れた容器を提供することができる。
【0030】
また、内容物が光を嫌う場合やバリア性能が必要な内容物を容器内に充填する時は、遮光性能や各種バリア性能等を有する機能ラベルを用いて、容器全面に前記ラベル3と前記底部ラベル4を用いて覆う事が可能であり、前記ラベル3や前記底部ラベル4の組み合わせによって、さまざまな効果をもたらす容器を提供する事が可能となる。
【0031】
更に、前記ラベル3を使用せず、前記内容器2の側壁面に直接、前記レンチキュラーレンズ1cの特性に応じた線状画像が、前記ラベル3の上端から下端に向うにつれて幅狭となる扇状の線状画像が複数並んで印刷されたインモールドラベルを熱溶着したり、前記内容器2用の側壁面に直接印刷したりする方法をとっても良い。
【0032】
図8乃至図10において、レンチキュラーレンズを使用した画像の見え方について説明をする。レンチキュラーとは、カマボコ型の連なったレンズの事を指す。前記レンチキュラーレンズには、一つ一つの凸レンズ上で、像を圧縮する働きがあり、画像の上に並んだカマボコ型の極細レンズを通して画像を見る事によって、印刷された画像が立体に見えたり動いて見える現象を引き起こす。例えば図8に示すように、前記レンチキュラーレンズの1スロットあたりに異なる画像が3種類配列されている状態をみた場合に、立ち位置正面から見える画像はb画像であり、図9に示すように立ち位置向って右側から見える画像はa画像であり、図10に示すように立ち位置向って左側から見える画像はc画像である。
【0033】
また、左右の目から入ってくる微妙にズレた画像を脳内で処理することで立体を認識できる両眼視差の原理を活用することで、例えば、図8に示すようにレンチキュラーレンズを通すことで左目でb1画像をみて右目でb2画像をみることになるので、立体的に画像をみることができる。更に、本発明の加飾二重容器を横に移動させて斜めからみた場合、図9に示す位置では、レンチキュラーレンズを通すことで左目でa1画像をみて右目でa2画像をみることができる。また、図10に示した位置では、レンチキュラーレンズを通すことで左目でc1画像をみて右目でc2画像をみることができる。以上のように、見る角度によって異なった画像が次々に現れ、それがパラパラアニメのように異なった画像が立体的にみえる画像としてうつし出す効果を有するものである。
【0034】
更に、例えば、左目用a1、b1、c1画像と右目用a2、b2、c2画像の撮影方法として、撮影しようとする物、または風景の1箇所にねらいを定め、画面の中央にもっていき、これを右目でのぞいてシャッターを切る。続いて、そのままの状態でカメラのファインダーを左目にもってゆき、1枚目のときと同じ目標物が画面の中央にくるようにしてシャッターを切る。この2枚の左目用a1、b1、c1画像と右目用a2、b2、c2画像を前記レンチキュラーレンズ対応用のスリット状画像へ交互に配置することで、立体的にみえる画像を表現することができ、3種類の異なる画像が立体的に見えるようになる。
【0035】
更に、図11及び図12において、前記内容器2同士をスタッキングした状態の詳細図である。内容器2のスタック棚2cと内容器2の脚2aとを重ね合わせることで、内容器2同士をスタッキングする事ができる。また、図13及び図14は、前記外容器1同士をスタッキングした状態の詳細図であるが、外容器1のスタックリブ1dと外容器1の前記底部1bとを重ね合わせることで、外容器1同士をスタッキングする事ができる。
【0036】
更に、図15及び図16は、前記内容器2と前記外容器1がセットされて加飾二重容器A同士をスタッキングした状態の詳細図であるが、前記内容器2の脚2aと底部2bとが交わる付近に設けられたスタック棚2cに、外容器1の脚1aが重なる事によって、スタッキングを可能にした。これにより加飾二重容器Aを構成する前の前記内容器2の単体または外容器1単体での保管や輸送及び加飾二重容器Aとなった完成品同士をスタッキングする事が出来る為、梱包形態を小さくすることが可能であり、輸送コストの削減が可能である。
【符号の説明】
【0037】
1 外容器
1a 脚
1b 底部
1c レンチキュラーレンズ
1d スタックリブ
1e 開放
2 内容器
2a 脚
2b 底部
2c スタック棚
2e 開放
3 ラベル
4 底ラベル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上端面が開放している合成樹脂製の内容器同士がスタッキング可能な内容器と、上端面が開放しており前記内容器の外径より内径が大きい合成樹脂製の外容器同士がスタッキング可能な透明な外容器とを溶着或いは嵌合によって二重構造とした二重容器において、前記外容器の側壁面には外方へ突出した半円柱状の凸レンズが複数並んだレンチキュラーレンズを形成しており、前記レンチキュラーレンズの1スリットあたりの幅は前記側壁面の傾斜に従って開放側から底部側に向うにつれて幅狭となる凸レンズを有し、前記外容器の側壁内に前記レンチキュラーレンズの特性に応じた線状画像を形成したことを特徴とする加飾二重容器。
【請求項2】
前記レンチキュラーレンズが前記外容器の側壁面全面に形成したことを特徴とする請求項1に記載の加飾二重容器。
【請求項3】
前記レンチキュラーレンズと前記外容器は同一合成樹脂を使用して一体成形したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の加飾二重容器。
【請求項4】
前記レンズキュラーレンズの特性に応じた線状画像をシートラベルに施し、前記内容器と前記外容器の間に前記シートラベルを挟み込んだことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の加飾二重容器。
【請求項5】
前記線状画像を前記内容器の側壁面に印刷したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の加飾二重容器。
【請求項6】
前記シートラベルを前記内容器の側壁面に熱溶着させたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の加飾二重容器。
【請求項7】
前記シートラベルを差し替え自在としたことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の加飾二重容器。
【請求項8】
前記シートラベルに配置された画像は所定の位置で撮影された右目用画像と左目用画像を使用したことを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の加飾二重容器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate