説明

動いている標的の容積部を放射線照射するための方法並びに装置

ある動いている標的の容積部の、実際の本当の放射線量の分布、特には実際の本当の有効放射線量の分布を決定するための方法は、該動いている標的の容積部の第一の動いている状態にある体積の要素の第一の位置及び該動いている標的の容積部の少なくとも一つのさらなる動いている状態にある体積の要素のさらなる位置を検出する処理、当該第一の位置を当該さらなる位置に変換することにより変換パラメーターを決定する処理、放射線照射を受けるべき複数のラスタ点を有している照射計画に従って該動いている標的の容積部を照射する処理(そこでは、あるラスタ点を照射している間、該動いている状態の何れが該動いている標的の容積部(102)によって占められているかを検出せしめている)、ラスタ点をサブ照射計画に割り当てる処理及び該サブ照射計画のラスタ点からの寄与分からそれぞれの場合について、該変換パラメーターを使用して、複数の体積の要素のうちのそれぞれについて実際の本当の線量を決定する処理を含むものである。動きにより生ずる変化を補償する訂正パラメーターを計算し、それをブラッグマキシマムの位置に適用し、適用された生物学的有効放射線量に適用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、実際の本当の放射線量の分布を決定するための方法及び装置、放射線照射計画を設定するための方法及び装置、放射線量の補償分を決定するための方法及び装置、そして、さらに、放射線照射するための装置に関し、そのそれぞれは、動いている標的の容積部を放射線照射することに関連して使用されることのできるものである。
【背景技術】
【0002】
粒子ビームを使用する腫瘍治療、特にはプロトン(陽子)、α粒子、炭素の原子核を使用する腫瘍治療の重要性が高まりつつある。こうした状況において、ラスタ走査法は、他の方法と比較して数多くの利点を有している。該ラスタ走査法においては、三次元のラスタを当該腫瘍の容積を覆うようにあるいはそれを横断して配置せしめる。該粒子ビームは、互いに垂直な二つの方向に置かれている偏向磁石によって曲げられる。その粒子のエネルギーを能動的に変えることにより、放射線線量の多くの部分が当たるといったブラッグピーク(Bragg peak)の位置を、組織の異なる深さに設定する。公知の走査方法は、例えば、スポットスキャン法、連続スキャン法及びユニフォームスキャン法がある。
【0003】
走査せしめられる粒子ビームを使用する粒子線治療において、標的の場所が移動してしまうと、一般的には、計画した線量の分布を悪化せしめることになる。該標的の領域の動きが走査する動き(スキャニング動作)でもって重ね合わされる場合には、これは、本発明の内容からして高すぎる放射線量、いわゆる、線量過剰とか、当該標的の領域に何らかの部分において少なすぎる放射線量、いわゆる、線量過少という結果になる。
【0004】
特許文献1は、静止状態におけるラスタ走査法による放射線照射に関わるものである。
【0005】
特許文献2は、イオンビームを照射している間に標的の容積部の三次元的な動きを補償することに関わるものである。
【0006】
非特許文献1は、動きがある中での放射線量を計算することの可能性、そして、また、補償のためのベクター及び動きを補償して放射線照射するための前以っての照射の補正処理を計算することの可能性を示している。
【0007】
非特許文献2は、患者が呼吸して動く結果動くこととなる腫瘍をビームで処理することを提起している。
【0008】
特許文献3は、動いている間に吸収せしめられた放射線量を計算すること及び吸収された放射線量を考慮しながらビームの位置を修正することを扱っている。吸収された放射線量の場合、粒子数に関して総計した線量は線形であると推測される。各動きのフェーズにおける部分的な放射線量を計算し、そして、それに引き続いて参照の状態において積算する。
【0009】
その吸収せしめられた放射線量とその線量による効果、すなわち、その作用との間に線形でない性質を示す物質の場合には、関連しているのは、その吸収せしめられた放射線量ではなくて、むしろその実際の本当の有効放射線量である。
【0010】
生物のサンプル(試料)の場合には、例えば、患者を放射線照射処理するという内容意味では、これは、特には実際の本当の生物学的に有効な線量、要するに、生物学的有効線量である。他方において、検出器、例えば、シンチレーターあるいはフィルムの場合には、特には、その物質又は材料の有効性あるいは効率性に言及せしめられる。
【0011】
その実際の本当の線量とは、動きを考慮しながら、物質、すなわち、組織又はその他の物質・材料、例えば、検出器の物質又はフィルム材料中に付与された放射線量をいう(決定法については下記参照)。その実際の本当の線量は、その動きを考慮しながら、物質材料中に付与された総線量に相当する。その実際の本当の有効線量は、動きを考慮して付与された線量による効果をいっている。その効果は、付与された放射線量に依存することができ、特には、また、非線形の形態でそれに依存することができる(決定法については下記参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】独国特許公開第100 31 074号明細書
【特許文献2】独国特許公開第10 2004 028 035号明細書
【特許文献3】独国特許公開第10 2005 063 220号明細書
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】“Bestrahlung fur bewegte Zielvolumen in der Tumortherapie mit gescanntem Kohlenstoffstrahl”; C. Bert; Technische Universitat Darmstadt; 1st February 2006
【非特許文献2】“4D treatment planning for scanned ion beams”; Christoph Bert, Eike Rietzel; 3rd July 2007; http://www.ro-journal.com/content/2/1/24
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明の目的は、実際の本当の放射線量の分布を決定するための方法及び装置、放射線照射計画を設定するための方法及び装置、放射線量の補償分を決定するための方法及び装置、そして、さらに、放射線照射するための装置を提供することであって、それらは放射線照射された標的の容積部の動きを考慮することのできるものを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の課題は、特許請求の範囲の請求項1、10及び16に記載された方法並びに同請求項8、14、20及び22に記載された装置により解決される。
【0016】
本発明の好ましいさらなる態様は、特許請求の範囲の上記請求項の従属請求項に規定されている。
【0017】
本発明は、動いている標的の容積部を粒子線(粒子ビーム)でもって放射線照射処理する過程において、その実際の本当の放射線量と補償パラメーターとを計算しようとの思想に基づいたものである。その結果、その標的の容積部が動いても、静止している参照例に関して最適化せしめられた実際の本当の放射線量を、該動いている標的の容積部に与えることができる。該実際の本当の放射線量、特には本当の有効線量とは、例えば、生物学的に有効な本当の線量、又は、物質としての効果または物質としての効率である。
【0018】
粒子ビームとしては、荷電粒子ビーム又は非荷電粒子ビームを使用することができる。荷電粒子ビームとしては、例えば、プロトン(陽子)、ヘリウムイオン、又は、炭素イオンなどが使用できる。
【0019】
該生物学的に有効な線量は、当該標的の容積部により吸収せしめられた物理的な線量、特には実際の本当の線量により、生物学的効果比(相対的な生物学的効果)でもって形成されることになる。動いている標的の容積部に与えられた該吸収せしめられた線量とその補償パラメーターは、特許文献3に開示の方法により計算することができる。
【0020】
該放射線量の物質としての効果または物質としての効率は、当該標的の容積部により吸収せしめられた物理的な放射線量、特には実際の本当の放射線量に重み付けすることより、効率比(相対的な効率)でもって形成されることになる(ある場合には、検出器の場合、これは検出器の収量又は収率と呼ばれることもある)。
【0021】
それ故に、該実際の本当の有効線量は、例えば、該生物学的に有効な本当の線量を指すかあるいは該物質としての効果または物質としての効率をも指している。簡潔に言うと、時には有効線量をも指しているものである。該生物学的効果比及び該効率比が、より理解しうる用語「効果比」として本明細書中で包含される。
【0022】
優れていることに、本発明に従った手法(装置)は、当該標的の容積部が動いている間でさえ、その実際の本当の有効線量、特にその生物学的に有効な線量あるいはその物質的な有効性または物質的効力を計算することを可能にせしめるものである。この場合において、全く新しい放射線照射システム(機器装置)は必要とされない。というのは、本発明に従った手法(装置)は、現在存在している放射線照射システム(機器装置)にアドオン(機能や動作の追加)として実施せしめることができるからである。加えて、本発明に従った手法(装置)は、走査される粒子ビームの場合にその動いている標的の容積部をその実際の本当の放射線線量でもって補償された処置をすることを可能にするものである。これは、例えば、腫瘍を処置する場合に、その動いている標的の容積内での治療用の作用に損失をもたらすことなく、その健康な組織に最小限のビームを載荷せしめることをなしうるというポジティブな効果を持つものである
【0023】
本発明を記述するにあたり使用されている数多くの用語は、下記の本明細書中で説明されよう。
【0024】
「標的の容積部」とは、粒子ビームにより照射を受ける部位又は本体部である。当該標的の容積部は、放射線の照射により、探査されるべきであるもの、あるいは処置されることのできるもの、の如何なるものからなっているものであることもできる。当該標的の容積部は、特には、与えられる粒子の数とその放射線量による効果(放射線量による作用)との間に線形の関係が存在していないもの(フィルム類、シンチレーター類、生物の組織)からなっているものであることもできる。当該標的の容積部は、放射線を照射している間、動くことができる。そうした動きは、如何なる方向での動き(移動・運動)であることもできるし、また回転の動き(移動・運動)であることもできる。また、その動きは、当該標的の容積部の形状形態に関してそれを変えるものであることもできる。
【0025】
「ボクセル」(voxel)、又は「体積の要素」(volume element)とは、特には、おおよそ(1 x 1 x 2) mm3の縁辺の長さを典型的には有している細分化された立方体の容積データのセットに相当するものである。該容積データのセットは放射線照射を受けるべき当該標的の容積部のパラメーターを含有するものである。該容積データのセットは、例えば、コンピューター処理されたトモグラフィー、又は放射線量の計算から結果として得られた、例えば、患部の容積のデータのセットであることができる。
【0026】
「ラスタ点」(又はラスタポイント)、又は「グリッドポジション」(x, y, E, N, F)とは、ある照射計画の一部としてビームの焦点Fに粒子の数Nでもって適用されている、あるブラッグマキシマム(Bragg maximum)の、スキャナーシステムの座標系における、3D 座標(x, y, E)である。横方向の座標x, yは、当該ビームの方向に対して直交するものである;エネルギーEは、等エネルギー層、すなわち、該ビームの方向において浸透する等しい深さを有している層を記述するものである。動きを補償する目的のため、ラスタ点の配置を該照射計画の過程の間に修正せしめることができる。この修正をすることは、パラメーターΔx, Δy, ΔE, ΔN と、また、可能であれば、ΔFにより記述されることができる。その状況では、例えば、一つの動いている状態を別の動いている状態に変換せしめる場合の第一の処理では、あるラスタ点の座標x, y, Eの空間的な配置のみが変換せしめられる。また、そのブラッグマキシマムの位置(x, y, E)は、ある容積のデータのセットの内の3D座標により記述されることができる。例えば、該ラスタ点座標をコンピューター処理されたトモグラフィー(CT)の座標系に変換すると、該容積のデータのセットにおいて該ラスタ点を空間的に配置する結果となる。
【0027】
「照射計画」(又は照射プラン)とは、一つあるいはそれ以上の規定された一覧表(テーブル)及びある特定の一次の粒子、例えば、12C, pを使用してのビーム入射角で患者に適用されるラスタ点のセットである。例えば、照射計画は、104 個のラスタ点を有するものであることができる。動いている間、ラスタ点を適用する順序が、役割を果たす。という訳は、例えば、腫瘍の動きとの相互作用があるからである。
【0028】
「動きの軌跡」又は「動きの代替変数」を使用して当該標的の容積部の動きを記述することができる。例えば、腫瘍の3Dの軌跡は、体内に埋め込まれた金のビーズ+蛍光透視法、すなわち、X-線ビデオ、又はラジオトランスポンダーにより追跡することができる。別の手法としては、あるいは、それに加えた手法としては、代替変数を測定することができて、その動きから、一般的には、例えば、該標的の領域の動きのフェーズ及び/又は動いている状態、又はその周囲の組織、特にはそのエントリー領域にある組織の動きのフェーズ及び/又は動いている状態のみが明らかになる。これは、存在している標的領域の動きに関連して、四次元のコンピューター処理されたトモグラフィー(4DCT)のイメージ及び呼吸と同調せしめられている放射線照射に対して十分なものである。代替変数としては、例えば、腹部の壁の動き、呼吸の流れ、又は、呼吸の温度などを使用できる。
【0029】
「動きのフェーズ」又は「動いている状態」とは、当該標的の容積部の動きの一部分である。当該標的の容積部の動きは、複数の動きのフェーズ又は動いている状態に分割されることができる。該動きのフェーズ又は動いている状態のうちの一つは、頻繁に参照として規定される。例えば、ある動きのフェーズは、該動きの軌跡のフェーズ又は振幅により循環される呼吸期の一部を規定することができる。こうした状況において、ある動きのフェーズは、4DCTのある特定の時間での部分、すなわち、その4DCTのフェーズに相当するものである。したがって、該動きのフェーズとその相当する4DCTのフェーズとの間にある特定の時間での相互関係が存在することになる。
【0030】
「混合フィールド」とは、該放射線照射された領域の特定の位置/ボクセルの部位でのその粒子とエネルギースペクトルであると理解されるものである。該粒子とエネルギースペクトルは、そこの位置でのいろいろな粒子の量とエネルギーに関連する情報を提供し、該第一次ビームは細分化せしめられることから、その後者の初期エネルギーと位置の深さに依存したものである。ある特定の混合フィールドの生物学的効果は、「アルファ」値又は「ベータ」値により記述せしめることができ、その値は、線形の二次方程式モデルに従って、該吸収された放射線量を、計算により、生存率値S(参照、例えば、Kanai T et al, 1997, Irradiation of mixed beam and design of spread-out Bragg peak for heavy-ion radiotherapy, Radiat Res 147:78-85, and Zaider M, Rossi HH, 1980, The synergistic effects of different radiations, Radiat Res 83:732-739): S=exp(-alpha*D+beta*D*D)に変換することを可能にする。本発明に関しては、そのアルファ値やベータ値は、特には、Kramer M, Scholz M, 2006, Rapid calculation of biological effects in ion radiotherapy, Phys Med Biol 51: 1959-1970に従って決定されることができる。検出器の場合には、その性能は吸収せしめられた放射線量と検出器の信号との間の関係を確立し、そして、該検出器及びモデルに依存して、一個またはそれ以上のパラメーターにより記述せしめられることができる。
【0031】
一つの具体的な態様に従えば、本発明は、複数の体積の要素を有しており且つ動いている標的の容積部を放射線照射する場合に実際の本当の放射線量の分布、特には実際の本当の有効放射線量の分布を決定するための方法であって、該方法は次なる処理:
当該動いている標的の容積部の第一の動いている状態にある複数の体積の要素の第一の位置を検出する処理;
当該動いている標的の容積部の少なくとも一つのさらなる動いている状態にある複数の体積の要素のさらなる位置を検出する処理;
当該第一の位置を当該さらなる位置に変換することにより変換パラメーターを決定する処理;
放射線照射を受けるべき複数のラスタ点を有している照射計画に従って該動いている標的の容積部を照射する処理であって、そこでは、あるラスタ点を照射している間、該動いている状態の何れが該動いている標的の容積部(102)によって占められているかを検出せしめている処理;
ラスタ点を、該動いている標的の容積部が占めている該第一の動いている状態の部分を照射している間、第一のサブ照射計画に割り当てる処理;
ラスタ点を、該動いている標的の容積部が占めている該少なくとも一つのさらなる動いている状態の部分を照射している間、少なくとも一つのさらなるサブ照射計画に割り当てる処理;
そして
該第一のサブ照射計画のラスタ点及び該少なくとも一つのさらなるサブ照射計画のラスタ点からの寄与分からそれぞれの場合について、該変換パラメーターを使用して、複数の体積の要素のうちの少なくとも一つについて実際の本当の線量を決定する処理
を有していることを特徴とする方法を提供する。
【0032】
もちろん、本方法は、実際の本当の放射線照射の過程で使用できるが、原則として、シミュレーションされた放射線照射の過程、例えば、実際の本当の放射線照射の準備行為としてのシミュレーションされた放射線照射の過程でも使用できる。また、実際の本当の放射線量及び/又は実際の本当の有効放射線量の分布は、シミュレーションで決定されることができる。それからその後に行う放射線照射につきどのように行うかについての情報を得ることが可能である。適切な場合には、所望の実際の本当の放射線量及び/又は実際の本当の有効放射線量の分布のために放射線の照射を修正するように、該照射計画を修正することを決めることができる。
【0033】
そこにおいて当該標的の容積部の体積の要素のいくつかあるいはその大多数であってもよいは、必ずしも、あるラスタ点に実際に相当するものであるといった体積の要素のみというものであることは必要とはされない。また、該体積の要素は、例えば、放射線照射を受けるべき体積の要素を取り囲んでいるといった体積の要素、例えば、照射しないでおかれるべき組織あるいはエントリーの通路に位置する体積の要素などの体積の要素のような、放射線照射に関して重要であるその他の体積の要素を包含することができる。
【0034】
該変換パラメーターは、例えば、該第一の動いている状態を該さらなる動いている状態に対応させて登録することにより決定されることができる。これは、例えば、4DCTでは該第一の動いている状態に相当するそのフェーズは、該さらなる動いている状態に相当するそのフェーズに対応させて登録されるということを意味する。この状況において該登録は固定的な登録処理であることができるし、また固定的でない登録処理であることもできる。どちらの登録処理が本明細書において使用されるかは、コンピュータ処理にかかる経費によって及び所望される正確度によって決められることになる。
【0035】
二つの動きのフェーズの間での変換を、例えば、反復して決定を行うこと/最適化をすることができる。その基礎は、4DCTのデータのセット、すなわち、動きのフェーズあたり一つの3D CTである。該変換後の二つのCTの立方体の座標を記述する比較計測値が最小となるまで該変換の明細書を最適化する。典型的な比較計測値は、ボクセル値/グレー値(grey value)の差異の二乗の和又はそのNMI(正規化相互情報量、normalized mutual information)、すなわち、エントロピーの尺度である。可能性のある変換の明細書のためのいくつかの知られている/刊行されている手法(アプローチ)が存在する。
【0036】
本明細書中でサブ照射計画とは、ある照射計画の、ある特定の動いている状態に割り当てられているその部分である。例えば、ある動いている状態にある間の放射線照射されるそうしたラスタ点は、その動いている状態に割り当てられたサブ照射計画の部分である。また、該サブ照射計画のラスタ点は、特には、該割り当てられた動いている状態に関して修正されることができる。例えば、ある照射計画は、ある第一の動いている状態で、すなわち、参照の動いている状態で規定されることができる。その次に、もし別の動いている状態の間にラスタ点を放射線照射するなら−もしそうしたラスタ点を、それ故に、該サブ照射計画に適用するなら−そうしたラスタ点の座標、例えば、x, y そしてEは、当該参照用の動いている状態を当該さらなる動いている状態に変換するというその変換処理をそうしたラスタ点の座標に適用することにより変換せしめることができる。その結果として、該ラスタ点が適用されている間のその動いている状態と一致するようにそのラスタ点を修正することがなされる。
【0037】
要するに、言い換えれば、放射線照射の間に発生する動いている状態のすべてが、その実際の本当の線量を決定するために考慮されることができるのであり、そしてそれぞれの場合において、必要とされる変換処理を考慮に入れながらそれに引き続いて合計せしめるためにその吸収せしめられた線量が計算せしめられるということが言えるのである。次に、実際の本当の有効放射線量を計算するためのパラメーターは、パラメーターのすべてを含め、該放射線量の効果を計算するために、それぞれの場合において相当する変換処理を考慮しながら(下記を参照)合計せしめられることができる。
【0038】
さらなる具体的な態様に従えば、本発明は、
複数の体積の要素を有しており且つ動いている標的の容積部を放射線照射するための照射計画であり且つ訂正用の数値を有している該照射計画を設定するための方法であって、該方法は次なる処理:
該動いている標的の容積部の第一の動いている状態にある複数の体積の要素の第一の位置を検出する処理;
当該動いている標的の容積部の少なくとも一つのさらなる動いている状態にある複数の体積の要素のさらなる位置を検出する処理;
当該第一の位置を当該さらなる位置に変換することにより変換パラメーターを決定する処理;
当該第一の位置に基づいて該動いている標的の容積部を放射線照射するための照射計画であって、当該照射計画は放射線照射を受けるべき複数のラスタ点を有しているという照射計画を設定する処理;
各ラスタ点と動いている状態についての訂正パラメーターであって、当該訂正パラメーターは該少なくとも一つのさらなる動いている状態と一致するように該照射計画を修正することを可能にするもので、且つ、当該訂正パラメーターは、コンピューターユニットのストレージ領域に保存することのできるものであるという訂正パラメーターを決定する処理;
該第一の動いている状態にあり且つ後で放射線照射を受けるべきラスタ点の実際の本当の放射線量、特には実際の本当の有効放射線量を計算するのに使用することに適しているラスタ点による第一の寄与分を決定する処理;
該訂正パラメーターを考慮しながら、該少なくとも一つのさらなる動いている状態にあり且つ後で放射線照射を受けるべきラスタ点の実際の本当の放射線量、特には実際の本当の有効放射線量を計算するのに使用することに適しているラスタ点による第二の寄与分を決定する処理;及び
該第一の寄与分と該第二の寄与分からの訂正用の寄与分、特には相違点の寄与分であって、該訂正用の寄与分はコンピューターユニットのストレージ領域に保存することのできるものであるという訂正用の寄与分を設定する処理
を有していることを特徴とする方法を提供する。
【0039】
該決定された訂正パラメーターは、特にはその後での使用のため、コンピューターユニットのメモリーの中で、例えば、そこの中に保持されている訂正一覧表(訂正テーブル)において、成就せしめられることができる。類似した方法で、該決定された訂正用の寄与分は、コンピューターユニットのメモリーの中で、例えば、その訂正パラメーターとして同じ一覧表(テーブル)の中で、又は、更なる訂正用の一覧表(テーブル)において、成就せしめられることができる。
【0040】
該訂正用の寄与分に加えて、あるいは、それと一緒に、更なる情報をも、おそらく、保存せしめること、例えば、共同する一覧表(テーブル)において保存せしめることが可能である。そうした情報は、例えば、粒子スペクトルに関係することができるし、実際の本当の有効放射線量をより広範囲にわたって計算するということに使用することができる。
【0041】
さらなる具体的な態様に従えば、本発明は、
動いている標的の容積部を放射線照射する場合に放射線量を補償することを決定する方法であって、該方法は次なる処理:
本発明の方法に従って訂正パラメーターと訂正用の寄与分を有している照射計画を提供する処理;
該照射計画に従って該動いている標的の容積部を放射線照射している間、現在の動いている状態と現在のラスタ点(222)を決定する処理;
現在処理されている訂正パラメーターであって、該現在処理されている訂正パラメーターは、該現在の動いている状態と該現在のラスタ点に割り当てられているものである該現在処理されている訂正パラメーターを、そのストレージ領域から読み出す処理;
該訂正用の寄与分を使用しながら、該現在のラスタ点に既に適用された放射線量を、その前に放射線照射されたラスタ点によって、決定する処理;及び
該現在処理されている訂正パラメーター及び該既に適用された放射線量を考慮しながら、該照射計画に従って該現在のラスタ点に提供された該放射線量を修正する処理
を有していることを特徴とする方法を提供する。
【0042】
本発明は、添付の図面を参照しながら実施例を使用して、以下により詳しく説明される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】放射線照射装置(システム)を、ブロック図を含む概略図として示す。
【図2】放射線照射計画(スキーム)のラスタ点を、線図として示す。
【図3】走査するプロセスと当該標的の容積部の動きとのその時点での関係を示すものである。
【図4】当該標的の容積部の二つの動いている状態を、概略図として示す。
【図5】実際の本当の有効放射線量の分布を決定する方法のフローチャート図を示す。
【図6】放射線量の補償を決定する方法のフローチャート図を示す。
【図7】放射線量の補償を決定する方法のフローチャート図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
放射線照射の間中の当該標的の容積部の動きによる混乱を生じさせるような影響に対抗するために、当該標的の容積部の特定の現在の位置と一致するようにそのビームの位置及びビームの強度を修正することができる。その目的のため、横方向のビームの位置、深さ方向の到達度、そして、また、適切な場合にはその粒子の数を、当該標的の容積部の動きの道筋と一致するように修正することができる。特には、粒子の数を修正する場合には、関連の実際の本当の有効線量を考慮に入れることが必要である。当該標的の容積部が、例えば、腫瘍である場合、その粒子の数は、患者に関して生物学的に有効な放射線量を考慮しながら決定されるべきである; 当該標的の容積部が、例えば、検出器の物質である場合、その粒子の数は、その物質に関して効率比を考慮しながら決定されるべきである。
【0045】
該吸収された放射線量からその生物学的効果比を掛け算することによりその生物学的に有効な放射線量を得ることができる。その生物学的効果比は、その粒子の数に依存するだけでなく、粒子の種類や粒子のエネルギー、標的の組織の性質、そして適用され吸収せしめられる放射線量に依存するものである。その生物学的効果比の計算には、通常、細胞の生存率が含まれ、その細胞の生存率はここで記載のパラメーターに依存しているものである。同様にして、該吸収せしめられる放射線量から、その効率比を考慮しながらそれの物質としての効果を得ることができる。その効率比もまた、その粒子の数に依存するだけでなく、粒子の種類や粒子のエネルギー、標的の物質の性質、そして適用され吸収せしめられる放射線量に依存するものである。その物質としての効果の計算には、通常、その作用の結果が含まれ、その効果はここで記載のパラメーターに依存しているものである。また、この場合において、最初にその作用を決定し、そして、それを使用して、その効率比を計算することができる。
【0046】
一般には、その生物学的効果比は、場所毎にそれぞれ異なる。当該標的の容積部における特定の位置で、該吸収せしめられた放射線量、粒子スペクトルやエネルギースペクトル、そして、ヒットせしめられた物質の種類により、その生物学的効果比を決定する。その粒子スペクトルに関し、プロトン(陽子)よりも重い粒子に関しては、その第一次ビームは物質及び/又は組織と相互作用して断片となり、例えば、H, He又はLiなどのより軽い粒子を生ずることとなるという場合がある。ヒットせしめられた物質の種類としては、例えば、腫瘍組織、例えば、肺や皮膚の腫瘍組織であることができる。
【0047】
本発明に従えば、該生物学的に有効な放射線量を計算するためには、その生物学的効果比を、すべてのその依存性とともに十分に考慮することができる−また、もちろん同様に、これは、それに相当する効率比をもって物質としての効果に適用される。該参照する動いている状態のある点での生物学的に有効な放射線量を計算するために、そこの点での解剖学的な位置を、最初に、当該標的の容積部のほかの動いている状態のそれぞれに変換する。その手法では、放射線照射の過程で依存性にある参照する状態に関し、該生物学的効果比を決定するパラメーターを、他の状態から移動することにより、生成することができる。これは、該参照する状態のそれぞれの解剖学的な位置に対して可能である。第一に、個々の動いている状態で適用される部分的なビームのすべてから結果として生ずる該粒子とエネルギーのスペクトルが決定される。これは加算されて、粒子の種類及び粒子のエネルギーに関して全体的にスペクトルを形成する。次に、その全体にわたるスペクトルから、その結果得られる生物学的に有効な放射線量、その生物学的効果比及び/又はその細胞の生存率が計算される−あるいは、同様な相当する手法で、その結果得られる物質としての効果及び効率比が計算される。
【0048】
当該標的の容積部の動きと一致するように粒子の数を修正するために、コントロールシステム(装置)は、所望の放射線量を達成するのに必要な粒子の数を訂正する処理を決定することができる。このことは、該計算された粒子及びエネルギースペクトルを基礎に達成可能である。具体的な態様の一つの例に従えば、必須である訂正パラメーターを予め計算することができ、例えば、一覧表(テーブル)の形態で、当該コントロールシステムに利用可能にすることができる。したがって、該コントロールシステムは、該放射線照射の過程をたどる間に、該訂正パラメーターの助けでもって、所望される線量を達成するためにその現在の放射線照射地点と一致するように粒子の数を修正するべきか否か、どこを適切にするよう修正するのか、どのように修正するのかを決定することができる。
【0049】
図1は、放射線照射装置(システム)を、ブロック図を含む概略図として示すものである。該放射線照射システムは、本発明の具体的態様にある実施例に従った装置を有しているものであることができ、本発明の具体的態様にある実施例に従った方法を実施するように構成せしめることができる。
【0050】
具体的な態様の本実施例に従えば、該放射線照射システムは、標的の容積部102を照射するように構成せしめられる。当該標的の容積部102は、動いている標的の容積部であることができる。このことは、当該標的の容積部102の周囲にある矢印を使用して図1において示してある。さらに、そこには当該標的の容積部102の個々の層が示してある。特定のエネルギーの粒子ビーム、例えば、12C のビームでもって当該標的の容積部の等エネルギーの層を放射線照射する。当該標的の容積部102は、例えば、腫瘍であることができる。
【0051】
該放射線照射システムは、粒子ビーム105を送達せしめるためのシンクロトロン(粒子加速器)またはいかなるその他の加速器104をも備えている。静止している標的の容積部を放射線照射するために既に必要とされているような粒子ビーム105の横方向への偏位(タスタ走査法)及び当該標的の容積部の動きを横方向で補償処理することは、走査用磁石(スキャニングマグネット)106を使用して行うことができる。該走査用磁石106は、例えば、双極磁石であることができ、その場合には、横方向の補償処理は、双極磁石の設定配置を修正することにより行うことができる。当該ビームの軸に沿った縦方向の補償処理のためには、該放射線照射システムは、エネルギーを変化させる装置を備えることになる。例えば、エネルギーを変化させる装置は、受動型のエネルギー変調処理のためのウェッジシステム108の形態のものを備えている。該ウェッジシステム108は、例えば、プラスチック材料から構成されたウェッジを備えていることができ、該ウェッジは、線形モーターを使用して動かすことができる。本明細書中に記載の本発明は、いかなるタイプのエネルギーを変化させる装置を使用することができ、また、例えば、適切に装着された加速器により能動的にエネルギーを変化させるように、それを構成することができる。該放射線照射処理は、複数のラスタ点を備えている照射処理スキームに従って行うことができる。
【0052】
さらに、該放射線照射システムは、検出装置110、コントロール装置112、ラスタ走査ユニット114及び粒子カウンター116を備えることができる。該検出装置110は、例えば、当該標的の容積部102の動きを検出するように、そして、該コントロール装置112のために該検出された動きが利用できるように構成できる。該粒子カウンター116は、粒子ビーム105中の粒子の数をコントロール装置112に提供するように構成できる。該粒子カウンター116は、イオン化チャンバーであることができる。該コントロール装置112は、該加速器104、該走査用磁石106及びエネルギー変調システム108をコントロールするように構成できる。その目的のため、該コントロール装置112は、検出装置110及び粒子カウンター116から受け取ったデータから相当するコントロールパラメーターを決定するように構成できる。
【0053】
図2は、放射線照射計画(スキーム)に従ってのグリッド上に配置せしめられたラスタ点を、線図として示すものである。その放射線照射スキームに従うと、該ラスタ点は、矢印で示されているように、時間的に連続して照射処理せしめられる。もし当該標的の容積部が異なるところの動いている状態であるなら、そのラスタ点の位置も変化する。図2の左側の線図は、当該標的の容積部の参照となる動いている状態にあるラスタ点を示すものである。例を挙げて説明すると、参照する点の一つに参照番号222が与えられている。図2の右側の線図は、当該標的の容積部のあるさらなる動いている状態にあるラスタ点を示すものである。例を挙げて説明すると、そのさらなる動いている状態にある点222には、参照番号222aが与えられている。
【0054】
図の左側の線図に示されている参照となる動いている状態の場合には、各グリッドポジション(x, y, E, N)からそれに引き続いて放射線照射されるグリッドポジション(x', y', E', N')までの線量への寄与分を計算できる。その計算処理は、横方向の距離又は深さz'に基づいている。
【0055】
図の右側の線図に示されている該さらなる動いている状態の場合には、実際の本当の有効線量への寄与分ΔDの変化が計算される。その計算処理は、現在の4DCTフェーズに基づいており、ブラッグマキシマムのΔ(x, y, z)とΔ(x', y', z')の位置を適合せしめることを含むものである。これは、深さ−線量の分布d(E, z+Δz)の置き換え、z'からΔz'だけ偏位させる、そして、横方向の距離(r')の変化という結果となる。
【0056】
図3は、走査するプロセスと当該標的の容積部の動きとの時間に関する関係を示すものである。該計算処理は、その走査するプロセスをシミュレーションした場合に必要とされる実際の本当の有効放射線量を計算するために使用されることができるか、又は、放射線照射後に適用された放射線量を計算するために行われた。
【0057】
その上側のグラフは、当該標的の容積部の動き又は運動を示すものである。その垂直の軸には、当該標的の容積部の動いている状態がその絶対的な位置352として及び動きのフェーズ354としてプロットされている。その水平の軸には、その時間が秒単位でプロットされている。動きの軌跡352に基づいて当該標的の容積部のその現在の動いている状態354を決定することができる。具体的な態様の本例では、10個の動いている状態が使用された。当該軌跡352は、当該標的の容積部の動きを示すものである。そのトレース354は、当該標的の容積部の関連した動いている状態を示すものである。
【0058】
その下側のグラフは、該放射線照射システムの加速器を示すものである。その垂直の軸には、グリッドポジション358及びビーム強度356がプロットされている。該グリッドポジション358は、該ラスタ点に相当するものである。その水平の軸には、その時間が秒単位でプロットされている。走査処理の道筋は、抽出された放射線照射強度356及びグリッドポジションあたりの粒子の数Nによって決定される。その走査処理の道筋、いわゆる、それぞれの各グリッドポジションに対する送達の時間は、線形のものではない。というのは、Nは一般には異なっているラスタ点に対して同じでないからである。該トレース356は、該粒子ビームの強度を示している。該トレース358は、放射線照射されたグリッドポジションを示している。
【0059】
例を挙げて説明すると、図4は、当該標的の容積部102の二つの動いている状態を、概略図として示すものである。当該標的の容積部は、複数のボクセルを有しており、そのボクセルの各々は、図4において、小さな正方形により示されている。その左側の線図は、第一の動いている状態にある当該標的の容積部を示しており、それは、参照部として働くものである。該粒子ビーム105は、当該標的の容積部の中に入っていき、当該標的の容積部のポイントに到達する。放射線の照射処理は、該標的のボクセルのみならす、該粒子ビーム105のエントリーのチャンネル(通路)に位置しているボクセルによっても影響を受ける。該エントリーのチャンネルに位置しているこれらのボクセルは、該標的のボクセルが照射されると、その結果として、既にその前に放射線照射に曝されることになる。当該標的の容積部の動いている状態に依存して、異なったボクセルがその前に起こる放射線照射により影響を受けることとなる。その前に放射線照射された所の当該標的の容積部が回転することによる影響は、右側の図に示されている。当該標的の容積部が回転する結果として、該粒子ビーム105のエントリー側のチャンネルにおける線量は、左側に示された参照の場合と比較して変わることとなる。比較できるほどの効果が、形状が変わった場合にそして該標的の領域が一般的に硬直しているのでなくて動く場合に発生することとなる。
【0060】
図5は、本発明の具体的な態様のうちの実施例に従っての、ある動いている標的の容積部を放射線照射する場合の実際の本当の有効放射線量の分布を決定する方法のフローチャート図を示す。該動いている標的の容積部は、図1に示された当該標的の容積部102であることができる。図4に示されているように、当該標的の容積部は、複数の体積の要素を持っている。具体的態様の本実施例に従えば、当該標的の容積部には、図4に示されているように第一の動いている状態と第二の動いている状態とが想定される。該第一の動いている状態は、参照用の動いている状態と設定される。
【0061】
最初に、その方法に従うと、該体積の要素の位置が検出される。該体積の要素のそうした位置は、該動いている標的の容積部102がその第一の動いている状態を占めている場合にその体積の要素により占められている。同様な手法で、該体積の要素の位置が検出される。該体積の要素のそうした位置は、該動いている標的の容積部102がその第二の動いている状態を占めている場合にその体積の要素により占められている。もし該動いている標的の容積部102に関して二つ以上の動いている状態を設定するなら、該さらなる動いている状態に関しても、また、この方法の処理及びその後に行う方法の処理が同様な手法で行われる。
【0062】
その位置を検出処理した後、当該第一の位置は、変換パラメーターを決定するために該第二の位置に変換せしめられる。その変換処理は、予め決定された変換の明細書に従って行われることができる。例えば、変換パラメーターを決定する処理は、該動いている状態を登録することにより行うことができる。
【0063】
該動いている標的の容積部102は、照射計画に従って照射処理せしめられる。その照射計画は、放射線照射を受けるべき複数のラスタ点222を持っている。その照射計画は、参照用の動いている状態に基づいて、すなわち、第一の位置のセットに従って設定される。当該標的の容積部102の動き又は運動を考慮に入れるために、各種様々な放射線照射技術が使用できる。中断型放射線照射技術の場合には、放射線照射の過程において割り込みが行われる。該割り込みは、当該標的の容積部の動きと一致するように修正される(ゲーティング)。別の手法では、その放射線照射技術は、その照射計画を一回以上適用すること(再スキャン処理)又は補償パラメーターにより動きを補償処理することを含んでいることができる。該照射計画を適切に構成すると共に、その照射処理も、特別な放射線照射技術なしに、すなわち、静止している標的の容積部に関しては、特別な放射線照射技術なしに行われることができる。
【0064】
放射線照射処理をしている間、照射せしめられている個々それぞれのラスタ点に関しては、該動いている状態のうちのどれが、その動いている標的の容積部102により現在占められているものであるのかを検出することが可能である。あるいは、また、検出処理は、それぞれの場合に照射せしめられているラスタ点のグループに関して行うことができる。
【0065】
その特定の動いている状態を検知することにより、照射せしめられているラスタ点をその特定の動いている状態に割り当てることを可能にする。したがって、ラスタ点222は、該動いている標的の容積部102が本当に該第一の動いている状態を占めていたところを照射している間、第一のサブ照射計画に割り当てられることができる。同様にして、ラスタ点222aは、該動いている標的の容積部102が本当に該さらなる、第二の動いている状態を占めていたところを照射している間、第二のサブ照射計画に割り当てられることができる。該動いている標的の容積部102が依然としてさらなる動いている状態であると仮定されることができる限りでは、さらなるサブ照射計画が同様にして設定されることができる。
【0066】
該設定されたサブ照射計画に基づいて、その実際の本当の有効放射線量が決定されることができる。特には、実際の本当の有効線量は該第一のサブ照射計画及び該第二のサブ照射計画のラスタ点222, 222aからの寄与分を使用してそれぞれの場合における各体積の要素に関して決定されることができる。該決定処理は、該変換パラメーターを使用して行うことができる。したがって、該さらなるサブ照射計画のラスタ点222aからの寄与分は、当該第一の位置を該第二に位置に変換することにより決定されることができる。
【0067】
例えば、該体積の要素のうちの一つに本当に与えられた実際の本当の有効線量が計算せしめられるべき場合には、該ラスタ点222を照射している間に存在している粒子とエネルギースペクトルが、例えば、それに寄与貢献することが可能である。該寄与貢献というものは、一般的には、該ラスタ点222が、第一の動いている状態の間、すなわち、該第一のサブ照射計画の一部として、照射せしめられていた場合、該ラスタ点222aが第二の動いている状態の間に照射せしめられていた場合と比較すると、異なっている寄与貢献である。また、その方法のおかげで、今や、実際の本当の有効線量が各種様々な動いている状態に応じて計算せしめられる。
【0068】
実際の本当の有効線量を決定するのに使用されるラスタ点222, 222aからの寄与分(寄与貢献)は、各々の場合において、吸収せしめられた放射線量及び相対的な効果(効果比)、特には、生物学的効果比又はまた効率比を計算するためのパラメーターを包含する。その効果比は、該体積の要素により吸収せしめられた放射線量、照射放射線の粒子エネルギー、照射放射線の粒子スペクトル、及び/又は、該体積の要素の物質の種類によって影響を受けることが可能である。該体積の要素の位置を検出すると共に該パラメーターを決定することができる。
【0069】
具体的態様の本実施例の方法は、例えば、図1に示された該放射線照射システムにより行うことができる。
【0070】
その目的のためには、例を挙げて説明すると、該放射線照射システムの検知装置110は、該動いている標的の容積部102の第一の動いている状態にある複数の体積の要素の第一の位置を検知する装置、及び、該動いている標的の容積部102の少なくとも一つのさらなる動いている状態にある複数の体積の要素のさらなる位置を検知する装置を備えている。更にその上、該検出器110 は、あるラスタ点を放射線照射処理している間に、該動いている状態の何れが該動いている標的の容積部102によって現在のところ占められているかを検知するように構成されることができる。
【0071】
該放射線照射システムのコントロール装置112は、例えば、当該第一の位置を当該さらなる位置に変換することにより変換パラメーターを決定する装置及びサブ照射計画を設定するため該指定された動いている状態に割り当てることをするための装置を備えていることができる。該コントロール装置112は、さらには、該サブ照射計画のラスタ点222, 222aからの寄与分から、実際の本当の有効放射線量を決定するための装置を備えていることができる。
【0072】
具体的な態様のさらなる実施例に従えば、当該標的の容積部が動いているかあるいは運動をしている間の実際の本当の生物学的な有効線量の分布を計算する方法としては、次なる処理が挙げられる:
【0073】
最初の処理においては、記録処理は、時間に関し分解された体積のデータのセットから作り出される。そのデータのセットからは当該標的の容積部の3Dの動き又は運動、例えば、腫瘍やその周囲の組織の3Dの動き又は運動が明らかなものとなり、そしてそのデータのセットは該粒子の到達範囲を計算するのに適したものである。当該組織の動きを勘案することは、特にビームの通路では重要である。該体積のデータのセットを記録することに関して、該腫瘍の動き又は運動のサイクル、例えば、呼吸のサイクルを、まるで静止しているような10個の3DCT、すなわち、4DCTフェーズに細分化するCTでもって、4DCTを使用することが可能である。該4DCT フェーズのうちの一つは、参照用フェーズとして規定される。呼吸サイクルの例に関して、息を吐き出す場合の該4DCT フェーズが、典型的には、参照用フェーズとして使用される。
【0074】
該腫瘍の容積部の輪郭を描くことは、そして、適切な場合には、リスクのある臓器の輪郭を描くことは、参照の動き又は運動のフェーズにおいて少なくとも行われるが、適切な場合には、残りの4DCTフェーズにおいても行われる。
【0075】
次に、変換明細書を決定することを行う。その変換明細書を使用して、例えば、当該選択された参照用フェーズのすべてのボクセル中心点をそのほかのもの、この場合には、例えば、9個の4DCTフェーズに変換することができる。その目的のためには、その関連している変換のアルゴリズム及び、例えば、相関関係の測定、標準化された相互の情報又は2乗された差異の和などの比較測定を使用する柔軟性を持った登録処理方法が使用される。
【0076】
準静的な参照用の照射計画を最適化することは、参照用フェーズ及びそれに相当する輪郭を基礎にして行われる。その参照用の照射計画を適用し且つ線量を計算すると、該参照用フェーズの座標系での静的な参照用の線量の分布となる。例えば、実際の本当の有効線量の分布、特には生物学的な有効線量又は物質としての効果は、最適化せしめることができる。次に、該参照用照射計画を使用して患者に放射線照射処理を施す。該照射処理は、該参照用の照射計画になんら変更を加えることなく行うことが可能である。それは、例えば、該照射の進路の割り込み(ゲーティング)、該照射計画を一回以上適用すること(再スキャン処理)、あるいは、補償パラメーター(Δx, Δy, ΔE, ΔN, ΔF)を適用することにより動きを補償処理することを用いて、結果として得られるものである。すべての場合において、該患者の幾何的な配置状態は、臓器が動く結果として放射線照射の間に変化する。該臓器の動きをモデル化することを、例えば、放射線照射の前に4DCTを使用して行うことができる。好ましい具体的な態様では、放射線照射の直前に、適切な方法(適している場合には蛍光透視法)によって、依然としてモデル化処理が有効であるものか否かをチェックされることができる。
【0077】
放射線照射している間、サイクロトロンからの粒子を取り出す処理が時間分割型で測定せしめられる。あるいは、そして、一般的には同等の方法で、各ラスタ点の照射のタイムポイントを測定するのを行うことができる。加えて、該腫瘍の動きの軌跡あるいは適当な代替変数の動きの軌跡を測定することを行う。それに関連しては、すべての測定処理は時間と相関関係化せしめられることが必要である。
【0078】
次に、該ラスタ点を、該動きのフェーズに割り当て、そして結果として該4DCTに割り当てる。結果として、各動きのフェーズに関しては、サブ照射計画が形成される。該指定された4DCTフェーズへの適用に際しては、サブ線量の分布が生じることとなり、そのサブ線量の分布は、変換用明細書の助けにより該参照用の動きのフェーズに変換せしめられることができる。該サブ線量の分布は、その吸収せしめられた物理的な線量だけを包含する。該参照用の動きのフェーズにおいては、線量の分布のすべてを加え合わせる処理が行われて、吸収せしめられた物理的な放射線量の全体となる。しかしながら、実際の本当の有効線量に関しては、サブ線量の分布をその手法では依然としてまだ計算できていない。というのは、その効果比、特にはその生物学的効果比あるいはその効率比は、その他のサブ照射計画のパラメーターにより影響されるからである。
【0079】
動いている間の、実際の本当の有効線量の計算、特にはその生物学的に有効な線量あるいはその物質としての効果の計算は、該参照座標系で計算することにより行われる。あるボクセルの線量を決定するためには、すべてのサブ照射計画のすべてのラスタ点からの寄与分を計算し、全体にわたっての粒子とエネルギーのスペクトルを形成する。その目的のためには、そのボクセルの中心点を、その対応する動きのフェーズの座標系に変換せしめ、そして、そこにおいて適用できる4DCTフェーズを考慮しながら、吸収せしめられた線量を計算するためのパラメーター、特には該ボクセルに関連しての横方向の空間的な間隔及び/又は水に等価である深さ、そしてその相対的な活性、特には粒子とエネルギーのスペクトルが、収集せしめられる。各ボクセルについての完全なパラメーターから、その相対的な活性及びその吸収せしめられた線量を計算することができるし、その結果、実際の本当の有効線量、特には生物学的に有効な線量又は物質としての効果を計算することができる(その活性による実際の本当の有効線量及び相対的な活性を決定することに関しては上記を参照)。
【0080】
図5を参照して記載されている方法は、当該標的の容積部が動いている間の、その実際の本当の有効線量の分布、特にはその生物学的効果及びその物質としての効果を計算するのに適したものであり、そして、動くことによる影響を最小限とするために各種様々な技術に適用せしめることができる。
【0081】
図6は、訂正値を備えている照射計画を設定する方法のフローチャート図を示す。それは、本発明の具体的な態様である実施例に従って、動いている標的の容積部を放射線照射するのに適したものである。該動いている標的の容積部は、再度、図1に示された該標的の容積部102であることができる。それは、図4に示されているように、複数の体積の要素を有しており、第一及び第二の動いている状態と推定されることができ、そして該第一の動いている状態は、参照用の動いている状態と規定される。
【0082】
最初に、図5を参照して既に記載されているように、第一の方法の処理においては、該動いている標的の容積部102の第一の動いている状態又は第二の動いている状態において複数の体積の要素の第一の位置及びさらなる位置が検知される。それに引き続いて、該第一の位置を該さらなる位置に変換する結果、変換パラメーターが決定される。
【0083】
次なる処理において、該動いている標的の容積部102を放射線照射するための照射計画を設定することができる。その照射計画は、当該第一の位置に基づいて設定され、そして、再び、放射線照射を受けるべき複数のラスタ点222を有している。
【0084】
該変換パラメーターに基づき、各ラスタ点及び動いている状態に対する訂正パラメーターが決定せしめられる。該訂正パラメーターは、その照射計画が該さらなる動いている状態と一致するように修正されることを可能にする。そうした修正をすることは必要性がある。というのは、その体積の要素の位置は、異なっている動いている状態においては違うものである可能性があるからである。該訂正パラメーターは、例えば、訂正一覧表(訂正テーブル)中に保存せしめることができる。
【0085】
該第一の動いている状態の各ラスタ点222に関して、第一の寄与分が決定されることができる。該第一の寄与分は、それに引き続いて放射線照射を受けるべきラスタ点の実際の本当の放射線量を計算するために使用されることができる。この意味ではそれに引き続いてのラスタ点は、時間で言えば、そのラスタ点222の後に該第一の動いている状態において放射線照射せしめられるラスタ点である。該第一の寄与分は、まさしくその時間に該ラスタ点222に関し決定せしめられる。
【0086】
同様な方法で、該第二の動いている状態の各ラスタ点222aに関して、第二の寄与分を決定することができる。該第二の寄与分は、それに引き続いて放射線照射を受けるべきラスタ点の実際の本当の有効放射線量を計算するのに使用することができる。この意味ではそれに引き続いてのラスタ点は、時間で言えば、そのラスタ点222aの後に該さらなる動いている状態において放射線照射されるラスタ点である。該第二の寄与分は、まさしくその時間に該ラスタ点222aに関し決定せしめられる。もし該動いている標的の容積部が、さらなら動いている状態であると推測されるなら、該相当するラスタ点に関するさらなる寄与分は、相当する同様の方法でそれらのさらなる状態に関しその手法で決定されることができる。
【0087】
第一及び第二の寄与分を決定した後に、それから訂正用の寄与分、特には、違いのある寄与分を形成せしめる。その訂正用の寄与分は、また、訂正一覧表に保存させておくことができる; その一覧表は、該訂正パラメーターに関する訂正一覧表と同じであることができるが、それと同じである必要は必ずしもない。
【0088】
具体的な態様の本実施例に従えば、該ラスタ点は、それぞれの場合において、該第一の動いている状態のブラッグマキシマムの位置を決定する。あるラスタ点に割り当てられる訂正パラメーターは、該第二の動いている状態のブラッグマキシマムの位置への変化を規定している。例を挙げて説明すると、該訂正パラメーターは、そのブラッグマキシマムへの横方向の変化及び縦方向の変化を規定している。
【0089】
具体的な態様の本実施例に従った方法は、例えば、図1に示された放射線照射システムにより実施されることができる。
【0090】
その目的のために、該放射線照射システムの検出装置110は、第一の動いている状態にある複数の体積の要素の第一の位置を検出する装置及び該動いている標的の容積部102の少なくとも一つのさらなる動いている状態にある複数の体積の要素の第二の位置を検出する装置を備えていることができる。
【0091】
該放射線照射システムのコントロール装置112は、例えば、当該第一の位置を該第二の位置に変換することにより変換パラメーターを決定する装置及び該動いている標的の容積部102を放射線照射するための照射計画を設定する装置を備えていることができる。該コントロール装置112は、さらに、各ラスタ点及び動いている状態についての訂正パラメーターを決定する装置、該訂正パラメーターを、例えば、第一の訂正一覧表中に保存しておく装置、あるラスタ点222からの第一の寄与分を決定する装置、あるラスタ点222aからの第二の寄与分を決定する装置、該第一及び第二の寄与分から訂正寄与分、特には相違のある寄与分を形成する装置、及び該訂正寄与分を、例えば、第二の訂正一覧表中に保存しておく装置を備えていることができる。
【0092】
具体的な態様のさらなる実施例に従えば、動き又は運動を補償するようにされた放射線照射に関する補償パラメーターを計算する方法は、次なる処理を包含しているものである。
【0093】
第一の処理においては、図5を参照しながら記載してあるように、最初に、4DCT、変換パラメーター及び参照の照射計画が設定される。
【0094】
次に、各ラスタ点及び動きのフェーズに関してパラメーターΔx, Δy, ΔE、そして適切な場合、ΔFが計算処理され、そして該パラメーターが、例えば、第一の訂正一覧表中に保存処理される。その計算処理のためには公知の方法を使用することができる。
【0095】
同様に、該吸収せしめられた線量を決定するためには公知の方法を使用することができる。
【0096】
参照の動きのフェーズに関しては、あるラスタ点からの寄与分を決定し、それを保存することがなされる。該寄与分は、それに引き続いて放射線照射せしめられたCTでのすべてのラスタ点(all raster-points-in-the-CT)について実際の本当の有効線量を計算するために必要とされるものである。
【0097】
さらなる動きのフェーズのすべてに関して、4DCT上でありそして該ラスタ点及びCTでのラスタ点のそのΔx, Δy, ΔE、そして適切な場合、ΔFを考慮しながらではあるが、該参照の動きのフェーズに関して同じ計算処理を行う。
【0098】
次に、該パラメーターから、訂正の寄与分、特には相違がある寄与分を形成し、そして、例えば、さらなる訂正一覧表の中に保存を行う。その訂正一覧表は、該訂正パラメーターを有している訂正一覧表に相当するものであることができるが、それに相当するものである必要は必ずしもない。
【0099】
図6を参照しながら記載されている方法は、訂正パラメーター及び訂正寄与分、それらは任意には訂正一覧表に保存せしめられているもので、それに基づいて照射計画を設定することを可能にする。該照射計画を適用することは、動きを訂正することを含むもので、プロセスにおいては、生物学的な有効線量を考慮する。
【0100】
図7は、本発明の具体的態様における実施例に従っての、ある動いている標的の容積部が放射線照射せしめられている場合の放射線量を補償することを決定する方法のフローチャート図を示す。その動いている標的の容積部は、再度、図1に示した標的の容積部102であることができる。
【0101】
第一の方法の処理においては、照射計画が提供され、訂正パラメーター、任意には第一の訂正の一覧表にある訂正パラメーターが提供され、そして訂正の寄与分、任意には第二の訂正の一覧表にある訂正の寄与分が提供される。その照射計画及びその訂正パラメーターと訂正の寄与分は、図6を参照しながら説明されている方法により設定されることができる。
【0102】
その照射計画に従って該動いている標的の容積部102を放射線照射している間、当該標的の容積部102の現在の動いている状態は検出せしめられる。その目的のため、その照射計画に従って現在放射線照射を受けるべきラスタ点222を検出する。
【0103】
その現在の動いている状態及びその現在のラスタ点が、例えば、その第一の訂正の一覧表から、現在の訂正パラメーターを読み出すのに使用される。その現在の訂正パラメーターは、その現在の動いている状態とその現在のラスタ点に割り当てられるものである。
【0104】
先立つラスタ点の照射により、図4を参照しながら示されているようにその現在のラスタ点にはある種の放射線の量が適用されているであろう。その訂正寄与分、例えば、第二の訂正の一覧表からの訂正寄与分を使用すると、その現在のラスタ点に既に適用されたこの放射線量を決定することができる。
【0105】
該照射計画に従って提供される放射線量でもってその現在のラスタ点を照射するために、該ラスタ点に対して提供される放射線量を修正することができる。この修正処理は、その現在の訂正パラメーター及び既に適用された放射線量に基づいて行うことができる。
【0106】
該修正する処理は、その照射計画に従って与えられた放射線量を既に適用された放射線量と比較することによって行うことができる。その比較により得られた結果に従って、その現在のラスタ点を放射線照射するため提供された粒子の数を修正することができる。例を挙げて説明すると、先立つラスタ点から生まれる放射線照射を考慮するためにその粒子の数を減らすことができる。
【0107】
既に適用された放射線量を決定するためには、各ラスタ点222に関して偏差量をログ記録していくことができる。その目的のために、その前に放射線照射されたラスタ点によりその現在のラスタ点に既に適用されていることになった放射線照射を検出する。粒子数の相違を計算するためにその偏差の量を使用することができる。それは、その照射計画に従って適用されるべき粒子数を修正するのに使用されることができる。
【0108】
具体的な態様のうちの本実施例に従った方法は、例えば、図1に示された該放射線照射システムによって実施できる。
【0109】
その目的のために、該放射線照射システムの検出装置110は、さらに、図6を参照して既に説明されている装置に加えて、その照射計画に従ってその動いている標的の容積部102を放射線照射する間、現在の動いている状態及び現在のラスタ点222を決定する装置
を備えていることができる。該コントロール装置112 は、さらに、現在の訂正パラメーターを、例えば、その第一の訂正の一覧表から、読み出す装置、その現在のラスタ点に既に適用された放射線量を決定する装置及びその放射線量を修正する装置を備えていることができる。
【0110】
具体的態様のうちのさらなる実施例に従えば、放射線照射の間にその補償パラメーターを適用する方法は、次なる処理を包含するものである。
【0111】
最初の処理においては、基本として、図6を参照しながら説明されているように、訂正パラメーターと訂正の寄与分そしてまた参照用の照射計画を構築する。また、その動きのフェーズを決定するための当該動きの検出処理、それは探索用参照表にアクセスするために必要とされるが、実施される。そして現在のところ放射線照射処理せしめられているラスタ点、それもまた探索用参照表にアクセスするために必要とされるが、そのラスタ点が検出せしめられる。
【0112】
当該値Δx, Δy, ΔEを決定し、任意に構築された第一の訂正の一覧表から読み出すことができる; それらを、その現在の動きのフェーズとその現在のラスタ点によってパラメーター化することができる。
【0113】
当該粒子の数を修正処理することは、すべてのそれより前のラスタ点が放射線照射処理された結果として、その参照する計画において意図されたよりも実際の本当の放射線量が多いかあるいは少ないかに依存するようにして実施される。それに応じて粒子の数は多くされたりあるいは減らされたりする。そのプロセスにおいては、任意に構築された訂正の一覧表からΔDを読み出すことができる。その目的のために、、その訂正の寄与分を適用することによりそれより前のラスタ点を放射線照射処理する中で、ログ記録処理及び、相当するカウンターの結果として、その後に照射せしめられたラスタ点の場合には、実際の本当の有効線量を考慮しながら、偏差の量を考慮することを行う。あるラスタ点を放射線照射する直前に、その対応するカウンターを評価処理し、そして該カウンターで加えられている偏差の量に基づいて、Nに基づいて及び/又は該参照用の照射計画の線量に基づいてΔNを計算することがなされる。両方の処理はオンラインで行うことができる。それらを、前もって計算することはできない。というのは、ラスタ点までの動きのフェーズの連続して起こる順序は、その動きの軌跡及び走査プロセスによりそれは影響されるし、その結果、一般的には、各処理においてそれは異なるから、それを計画しておくことができないからである。
【0114】
粒子数を修正するために該訂正パラメーターを計算する処理は、本明細書の下記のところでより詳細に扱ってある; 二つのアプローチが示されている。該ラスタ点は、1からMまでの放射線照射処理の順番で連続して番号が付されている。
【0115】
アプローチ1(「オンライン生存率」):
放射線照射の前に、各ラスタ点及び動き又は運動の各フェーズ(動き又は運動のフェーズと言われる)の所で、アルファ、ベータ及びその他の線量の重み、すなわち、実際の本当の有効線量を計算するために必要とされるパラメーターを、前もって放射線照射を受けるべきすべてのラスタ点に関して予め計算し、コントロールユニットに保存せしめる。その関連するラスタ点の粒子の数により乗算せしめた場合、これらの重みは、そのラスタ点から、その混合フィールドの生存率、アルファ、ベータ及び吸収せしめられた線量を計算するのに重要であるパラメーターへの寄与分を与える。その放射線照射の始まりにおいては、リストを作成する。該リストでは、粒子数が導入せしめられており、そのタイムポイントで適用できる動き又は運動のフェーズが、各ラスタ点に関して書き留められている。ある点(ポイント)の放射線照射の前に、そのリストからの粒子数を、その相当する動き又は運動のフェーズに属している重みにより乗算せしめ、前にあったポイントのすべてに関し積算せしめる。これから、オンラインのアルファの線量、ベータの線量、そして混合フィールドの吸収された放射線量を決定することをなし、その結果として、その前に適用された実際の本当の有効線量を決定することをなす。実際の本当の有効線量の所望の値に対しての差異から、現在のポイントの粒子数を、その実際の本当の有効線量が所望されるものに相当するように決定される。その訂正処理及び、また、その結果、前もっての計算処理は、必ずしも、ラスタ点の位置に限定されなければならないことはないが、また、体積の要素及び/又はその他の位置に関連付けられることができる。
【0116】
また、その個々の寄与分(粒子数により乗ずることのされた重み)を積算処理することは、あるポイントを放射線照射した後直ぐに及び/又はその抽出ポーズ(抽出用の休止)において、それぞれのポイントに対して行われることができる。そのためには、ポイントあたり一つのエントリーを有しているさらなるオンラインのリストを備えていることが、次に必要となろう。
【0117】
アプローチ2(「スペクトル法」):
その放射線照射の前に、各ラスタ点に及び各動きのフェーズ又は各運動のフェーズに標準化されたエネルギー及び粒子スペクトルを、それに引き続いて放射線照射を受けるべきすべてのラスタ点に関し、適切なエネルギービンニング(binning)を使用して予め計算せしめ、一覧表(テーブル)でコントロールユニットに対して利用可能にせしめる。これは、放射線照射を受けるべき該第一のラスタ点では、ラスタ点2からMまでに対して各動きのフェーズに関し、標準化されたスペクトルを計算すること; 該第二のラスタ点では、そのラスタ点3からMまでに対して各動きのフェーズに関し、スペクトルを計算することなどということを意味する。そのプロセスにおいて、その現在のラスタ点からの距離に依存して、また、もし、いかなる寄与もない、あるいは、無視できるような寄与があるだけなら、そのさらなるラスタ点に関して計算処理及び保存処理なしに済ませることができる。
【0118】
さらには、その望まれるスペクトルは、該参照用計画から生ずる結果として、すべてのポイント(第一のポイント以外)に関しその放射線照射の開始のところで創り出され、そこでは、それに引き続いてオンラインで、あるポイントの実際の本当の寄与分からの差異を保存せしめるようにされる。あるポイントのその放射線照射の間は、その動き又は運動のフェーズを測定し、すべてのその後に続くポイントに関して、その現在の動きのフェーズの標準化されたスペクトルを、その現在のポイントに関しその導入された粒子の数と計画された粒子の数との差異により乗ずる処理をし、最初に創られたスペクトルに付加される。その次なるポイントを照射線照射する前に、その手法でオンラインで計算せしめられたそのエネルギーと粒子スペクトルから、その前に適用された実際の本当の有効線量が決定され、その現在のポイントの粒子数が、同様にして、修正されて、全体としての所望の実際の本当の有効線量が得られる。この目的のため、その生物学的な標的/検出用物質のdE/dx表及びその固有の効率性及び/又はRBA/RBE表が、また、必要である。その訂正処理及び、また、その結果、前もっての計算処理は、必ずしも、ラスタ点の位置に限定されなければならないことはないが、また、体積の要素及び/又はその他の参照用位置に関連付けられることができる。
【0119】
図7を参照して記載されている方法を実施するように構成されている装置は、任意にその訂正一覧表にその訂正パラメーターと訂正の寄与分を含んでいることができ、ΔNを計算するためのパラメーターをログ記録処理するのを実施し、且つ、あるラスタ点を放射線照射する前に、ある生物学的な有効線量の補償処理に必要なΔNを計算するように構成されている。
【0120】
本発明の方法の上記したような処理(ステップ)は、複数の別々になっている方法の中で及び時間的に異なっているポイントにおいて行うことができる。また、個々の方法の処理(ステップ)は、互いに平行して、あるいは、もし適するなら、異なっている順序で行うことができる。加えて、例を挙げて説明されているその方法並びに装置は、互いにそれを組み合わせることもできる。
【0121】
その方法の一つについての説明の中で開示されている特徴は、また、装置の一つについてそれを参照しているものとすることができ、更にその逆でもあってよい。
【0122】
本発明の具体的な態様の記載されている例は、物質を放射線照射処理するためのシステム(装置)においても、特に、もしその物質が動くものであったり、装備装置の参照システムに対して動かされるものであるなら、及び、もし該物質において得られるべき効果が吸収せしめられた線量に非線形に依存するものであるなら、一般的に適用されることができる。
【符号の説明】
【0123】
102 標的の容積部 s
104 加速器
105 粒子ビーム
106 走査用磁石
108 ウェッジシステム
110 検出装置
112 コントロール装置
114 ラスタ走査ユニット
116 粒子カウンター
222 参照点(参照ポイント)
222a 参照点(参照ポイント)
352 標的の容積部の動き又は運動
354 動いている状態
356 ビーム強度
358 グリッドポジション生成時間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の体積の要素を有しており且つ動いている標的の容積部(102)を放射線照射する場合に実際の本当の放射線量の分布を決定するための方法であって、該方法は次なる処理:
当該動いている標的の容積部(102)の第一の動いている状態にある複数の体積の要素の第一の位置を検出する処理;
当該動いている標的の容積部(102)の少なくとも一つのさらなる動いている状態にある複数の体積の要素のさらなる位置を検出する処理;
当該第一の位置を当該さらなる位置に変換することにより変換パラメーターを決定する処理;
放射線照射を受けるべき複数のラスタ点(222)を有している照射計画に従って該動いている標的の容積部(102)を照射する処理であって、そこでは、あるラスタ点を照射している間、該動いている状態の何れが該動いている標的の容積部(102)によって占められているかを検出せしめている処理;
ラスタ点(222)を、該動いている標的の容積部(102)が占めている該第一の動いている状態の部分を照射している間、第一のサブ照射計画に割り当てる処理;
ラスタ点(222a)を、該動いている標的の容積部(102)が占めている該少なくとも一つのさらなる動いている状態の部分を照射している間、少なくとも一つのさらなるサブ照射計画に割り当てる処理;そして
該第一のサブ照射計画及び該少なくとも一つのさらなるサブ照射計画のラスタ点(222, 222a)からの寄与分からそれぞれの場合について、該変換パラメーターを使用して、複数の体積の要素のうちの少なくとも一つについて実際の本当の線量を決定する処理
を有していることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記実際の本当の線量を決定する処理は、該少なくとも一つのさらなるサブ照射計画のラスタ点(222a)からの寄与分を決定するために当該第一の位置を当該さらなる位置に変換することを含んでいるものであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
それぞれの場合について該ラスタ点(222, 222a)からの寄与分が、吸収せしめられた放射線量並びに効果比を計算するためのパラメーターを含んでいるものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
ある体積の要素における該効果比は、該体積の要素により吸収される放射線量、放射線の粒子とエネルギースペクトル及び/又は該体積の要素の物質の種類により影響を受けることのできるものであることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
該実際の本当の線量が決定されるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一に記載の方法。
【請求項6】
前記照射処理が、当該第一の位置に基づいて該照射計画を設定する処理を含むものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一に記載の方法。
【請求項7】
前記照射処理が、該動いている標的の容積部(102)の動きを考慮するために、放射線照射の進路への割り込み、一回より多くの照射計画を適用すること、又は、補償パラメーターを用いて動かすこと又は動きを補償することを含むものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一に記載の方法。
【請求項8】
複数の体積の要素を有しており且つ動いている標的の容積部(102)を放射線照射する場合に実際の本当の放射線量の分布を決定するための装置であって、該装置は次なる構成:
当該動いている標的の容積部(102)の第一の動いている状態にある複数の体積の要素の第一の位置を検出するための装置;
当該動いている標的の容積部(102)の少なくとも一つのさらなる動いている状態にある複数の体積の要素のさらなる位置を検出するための装置;
当該第一の位置を当該さらなる位置に変換することにより変換パラメーターを決定するための装置;
放射線照射を受けるべき複数のラスタ点(222)を有している照射計画に従って該動いている標的の容積部(102)を照射するための装置であって、当該放射線照射装置は、あるラスタ点を照射している間、該動いている状態の何れが該動いている標的の容積部(102)によって占められているかを検出するように、さらに、構成せしめられている装置;
ラスタ点(222)を、該動いている標的の容積部(102)が占めている該第一の動いている状態の部分を照射している間、第一のサブ照射計画に割り当てるための装置;
ラスタ点(222a)を、該動いている標的の容積部(102)が占めている該少なくとも一つのさらなる動いている状態の部分を照射している間、少なくとも一つのさらなるサブ照射計画に割り当てるための装置; 及び
該第一のサブ照射計画及び該少なくとも一つのさらなるサブ照射計画のラスタ点(222, 222a)からの寄与分からそれぞれの場合について、該変換パラメーターを使用して、複数の体積の要素のうちの少なくとも一つについて実際の本当の線量を決定するための装置
を有していることを特徴とする装置。
【請求項9】
請求項1〜7のいずれか一に記載の方法を実施するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の装置。
【請求項10】
複数の体積の要素を有しており且つ動いている標的の容積部(102)を放射線照射するための照射計画であり且つ訂正用の数値を有している該照射計画を設定するための方法であって、該方法は次なる処理:
該動いている標的の容積部(102)の第一の動いている状態にある複数の体積の要素の第一の位置を検出する処理;
当該動いている標的の容積部(102)の少なくとも一つのさらなる動いている状態にある複数の体積の要素のさらなる位置を検出する処理;
当該第一の位置を当該さらなる位置に変換することにより変換パラメーターを決定する処理;
当該第一の位置に基づいて該動いている標的の容積部(102)を放射線照射するための照射計画であって、当該照射計画は放射線照射を受けるべき複数のラスタ点(222)を有しているという照射計画を設定する処理;
各ラスタ点と動いている状態についての訂正パラメーターであって、当該訂正パラメーターは該少なくとも一つのさらなる動いている状態と一致するように該照射計画を修正することを可能にするもので、且つ、当該訂正パラメーターは、コンピューターユニットのストレージ領域に保存することのできるものであるという訂正パラメーターを決定する処理;
該第一の動いている状態にあり且つ後で放射線照射を受けるべきラスタ点の実際の本当の放射線量を計算するのに使用することに適しているラスタ点(222)による第一の寄与分を決定する処理;
該訂正パラメーターを考慮しながら、該少なくとも一つのさらなる動いている状態にあり且つ後で放射線照射を受けるべきラスタ点の実際の本当の放射線量を計算するのに使用することに適しているラスタ点(222a)による第二の寄与分を決定する処理;及び
該第一の寄与分と該第二の寄与分からの訂正用の寄与分であって、該訂正用の寄与分はコンピューターユニットのストレージ領域に保存することのできるものであるという訂正用の寄与分を設定する処理
を有していることを特徴とする方法。
【請求項11】
ラスタ点は該第一の動いている状態のブラッグマキシマムの位置を規定するもので、割り当てられた訂正パラメーターは該少なくとも一つのさらなる動いている状態のブラッグマキシマムの位置への変化を規定するものであることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
ラスタ点に割り当てられた訂正パラメーターはブラッグマキシマム位への横への変化又は縦への変化を規定するものであることを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
該実際の本当の放射線量は請求項1〜7のいずれか一に従って決定されることを特徴とする請求項10〜12のいずれか一に記載の方法。
【請求項14】
複数の体積の要素を有しており且つ動いている標的の容積部(102)を放射線照射するための、訂正値を有している照射計画を設定するための装置であって、該装置は次なる構成:
該動いている標的の容積部(102)の第一の動いている状態にある複数の体積の要素の第一の位置を検出するための装置;
該動いている標的の容積部(102)の少なくとも一つのさらなる動いている状態にある複数の体積の要素のさらなる位置を検出するための装置;
当該第一の位置を当該さらなる位置に変換することにより変換パラメーターを決定するための装置;
当該第一の位置に基づいて該動いている標的の容積部(102)を放射線照射するための照射計画であって、該照射計画は放射線照射を受けるべき複数のラスタ点(222)を有しているものである照射計画を設定するための装置;
該変換パラメーターに基づいて各ラスタ点と各動いている状態に関する訂正パラメーターであって、該訂正パラメーターは、該少なくとも一つのさらなる動いている状態と一致するように該照射計画を修正することを可能にするものであり、そして、該訂正パラメーターはコンピューターユニットのストレージ領域中に保存することのできるものであるという訂正パラメーターを決定するための装置;
該第一の動いている状態にあり且つ後で放射線照射を受けるべきラスタ点の実際の本当の放射線量を計算するのに使用することに適しているラスタ点(222)による第一の寄与分を決定するための装置;
該訂正パラメーターを考慮しながら、該少なくとも一つのさらなる動いている状態にあり且つ後で放射線照射を受けるべきラスタ点の実際の本当の放射線量を計算するのに使用することに適しているラスタ点(222a)による第二の寄与分を決定する装置;そして
該第一の寄与分及び該第二の寄与分からの訂正用の寄与分であって、該訂正用の寄与分はコンピューターユニットのストレージ領域中に保存することのできるものであるという訂正用の寄与分を形成するための装置
を有していることを特徴とする装置。
【請求項15】
請求項10〜13のいずれか一に記載の方法を実施するように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の装置。
【請求項16】
動いている標的の容積部(102)を放射線照射する場合に放射線量を補償することを決定する方法であって、該方法は次なる処理:
請求項10〜13のいずれか一に従って訂正パラメーターと訂正用の寄与分を有している照射計画を提供する処理;
該照射計画に従って該動いている標的の容積部(102)を放射線照射している間、現在の動いている状態と現在のラスタ点(222)を決定する処理;
現在処理されている訂正パラメーターであって、該現在処理されている訂正パラメーターは、該現在の動いている状態と該現在のラスタ点に割り当てられているものである該現在処理されている訂正パラメーターを、そのストレージ領域から読み出す処理;
該訂正用の寄与分を使用しながら、該現在のラスタ点に既に適用された放射線量を、その前に放射線照射されたラスタ点によって、決定する処理;及び
該現在処理されている訂正パラメーター及び該既に適用された放射線量を考慮しながら、該照射計画に従って該現在のラスタ点に提供された該放射線量を修正する処理
を有していることを特徴とする方法。
【請求項17】
該修正する処理は、該照射計画に従って提供された当該放射線量を、該既に適用された放射線量と比較することを含むものであり、該現在のラスタ点を放射線照射するため提供される粒子の数を、当該比較の結果に従って修正できるものであることを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
該既に適用された放射線量を決定する処理は、その前のラスタ点を放射線照射することを原因とする、各ラスタ点(222)に関する偏差量をログ記録処理することを含んでおり、そして、該現在のラスタ点を放射線照射する前に、当該偏差量と該照射計画に従って適用されるべき粒子数に基づいて粒子数の違いを計算することをさらに含んでいるものであることを特徴とする請求項16又は17に記載の方法。
【請求項19】
該実際の本当の放射線量の決定が、請求項1〜7のいずれか一に従って実施されるものであることを特徴とする請求項16〜18のいずれか一に記載の方法。
【請求項20】
動いている標的の容積部(102)を放射線照射する場合に放射線量の補償分を決定するための装置であって、該装置は次なる構成:
請求項10〜13のいずれか一に従って、照射計画、訂正パラメーター及び訂正用の寄与分を提供するための装置;
該照射計画に従って該動いている標的の容積部(102)を放射線照射する間、現在の動いている状態と現在のラスタ点(222)とを決定するための装置;及び
現在処理されている訂正パラメーターであって、該現在処理されている訂正パラメーターは、該現在の動いている状態と該現在のラスタ点に割り当てられているものである該現在処理されている訂正パラメーターを読み出すための装置;
該訂正用の寄与分を使用しながら、該現在のラスタ点に既に適用された放射線量を、その前に放射線照射されたラスタ点によって、決定するための装置;及び
該現在処理されている訂正パラメーター及び該既に適用された放射線量を考慮しながら、該照射計画に従って該現在のラスタ点に提供された該放射線量を修正するための装置
を有していることを特徴とする装置。
【請求項21】
請求項16〜19のいずれか一に記載の方法を実施するように構成されていることを特徴とする請求項20に記載の装置。
【請求項22】
動いている標的の容積部(102)を放射線照射するための装置であって、当該装置は、請求項20又は21に記載の放射線量の補償分を決定するための装置を含んでおり、該放射線照射する装置は請求項16〜19のいずれか一に記載の放射線量を補償することを決定する方法を実施するように構成されていることを特徴としている装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2010−540050(P2010−540050A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−526208(P2010−526208)
【出願日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際出願番号】PCT/EP2008/008169
【国際公開番号】WO2009/040117
【国際公開日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【出願人】(509255749)ジーエスアイ ヘルムホルツツェントゥルム フュア シュヴェリオーネンフォルシュング ゲーエムベーハー (7)
【氏名又は名称原語表記】GSI Helmholtzzentrum fur Schwerionenforschung GmbH
【住所又は居所原語表記】Planckstrasse 1 64291 Darmstadt GERMANY
【出願人】(390039413)シーメンス アクチエンゲゼルシヤフト (2,104)
【氏名又は名称原語表記】Siemens Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Wittelsbacherplatz 2, D−80333 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】