説明

動きを根拠にデバイスを目覚めさせる方法及びシステム

本方法は、アイドル状態のデバイスの優位軸についてアイドル時サンプル値を求める段階を含んでいる。本方法は、デバイスの動きを登録する段階と、当該動きを評価する段階を更に含んでいる。本方法は、動きの分析が、デバイスの優位軸の変化及び/又は加速度のレベルが閾値を超えていることを表しているときデバイスを目覚めさせる段階を更に含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デバイスをアイドル状態から目覚めさせるための方法とシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
技術の進歩は、携帯式コンピュータ、ゲームコントローラ、GPSデバイス、デジタルカメラ、セルラー電話、及びパーソナルメディアプレーヤーの様な商業用電子デバイスの激増をもたらした。絶え間ない改良により、ユーザーは、たった1つのモバイルデバイスから数多くの機能及び潜在的用途を享受できるようになった。しかしながら、一般には、モバイルデバイスが所有するアプリケーションが多くなるほど、モバイルデバイスのバッテリーの消耗は速まる。従って、バッテリー寿命を最大化し、且つ同時に優れたユーザー体験を提供することは難しくなる。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、動きを根拠にデバイスを目覚めさせる方法とシステムを提供している。本システムは、デバイスの優位軸を確定する。デバイスは、一定の非アクティブ又は動きの無い期間の後、アイドル状態に置かれる。加速度計の様なセンサが、デバイスの動きを登録する。演算論理が、動きデータを分析し、動きデータが現実の動きを表しているかどうかを判定する。そうであったなら、デバイスは目覚めさせられる。
【0004】
本発明は、一例として、但し限定を目的とせずに、添付図面の各図に示されており、図中、同様の符号は類似要素を指している。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】デバイスを目覚めさせることを要求している、デバイスの動かし方の1つの実施形態の説明図である。
【図2】システムの1つの実施形態のブロック線図である。
【図3】デバイスを目覚めさせるかどうかを、動きデータに基づいて判定する段階の1つの実施形態のフローチャートである。
【図4】加速度の長期平均を作成するプロセスの1つの実施形態のフローチャートである。
【図5】デバイスをアイドル状態から目覚めさせるべきかどうかを判定するためのプロセスの1つの実施形態のフローチャートである。
【図6】動きデータのグリッチを検知し訂正するプロセスの1つの実施形態のフローチャートである。
【図7】本発明と共に使用することのできるコンピュータシステムの1つの実施形態のブロック線図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
デバイスを当該デバイスの動きを根拠に目覚めさせるための方法とシステムが記載されている。本発明の実施形態は、デバイスをアイドル状態から目覚めさせるべきかどうかを、動きデータの分析に基づいて判定するように設計されている。1つの実施形態では、優位軸についての動きデータが分析され、当該動きに対する動きデータ分析点が、単なる押しのけ又はグリッチとは反対に「現実の」動きであったなら、当該デバイスはアイドル状態から目覚めさせられる。
【0007】
次に続く本発明の実施形態の詳細な説明では、本発明を実践する場合の特定の実施形態を例示的に示している添付図面を参照しており、図面中、同様の符号は類似要素を指している。これらの実施形態の説明は、当業者が本発明を実践できるようにするのに十分な詳細さである。当業者には、他の実施形態を利用することもできること、及び論理的、機械的、電気的、機能的、及び他の変更を、本発明の範囲から逸脱することなく加えることもできることが理解される。以下の詳細な説明は、従って、限定を課す意味で受け取られるべきではなく、本発明の範囲は、付随の特許請求の範囲によってのみ定義される。
【0008】
図1は、結果的にアイドル中のデバイスを目覚めさせることになる動かし方の1つの実施形態の説明図である。アイドル状態は、1つの実施形態では、デバイスが動いていないことと定義されており、ユーザー対話/表示を含め、アクティブなアプリケーションが何もない状態である。1つの実施形態では、複数のレベルのアイドル状態があってもよいとされ、例えば、各種サブシステムが電力削減状態に置かれている場合もあれば、そうでない場合もある。デバイスが、アイドル状態にあるとき、デバイスは低電力モードに置かれている。この状態では、少なくとも1つのセンサを監視するのに足る電力は維持されている。しかしながら、他の要素及びアプリケーションは、デバイスのバッテリー寿命を延ばすためにオフにされている。1つの実施形態では、幾つかのアプリケーションはアクティブなままであってもよい。例えば、デバイスはアイドル状態にあるといっても、ネットワーク及びメモリ記憶を利用しながらダウンロードを継続している。1つの実施形態では、少なくとも1つのサブシステムが、デバイスの動きが無いことを根拠にオフにされているなら、これを「アイドル状態」と見なすことができる。
【0009】
1つの実施形態では、デバイス110が、机又は椅子のような水平な面115の上に置かれた後、一定の非アクティブの期間が経過すると、デバイス110はバッテリーを節約するためにアイドル状態に進む。1つの実施形態では、デバイスは、ポケット、小物入れ、バッグ、又は何らかの他の非可動場所に入れられると、アイドル状態に入る。
【0010】
システムは、1つの実施形態では、デバイスがユーザーに取り上げられたとき、デバイスがアイドル状態からアクティブ状態へ速やかに移されることが確実になるように設計されている。ユーザー入力を求めることなく、アイドル状態からアクティブ状態への移行が開始されることにより、ユーザーの待ち時間は短縮する。例えば、ユーザー100がデバイス110を水平な面115の上のその位置から取り上げたとき、デバイスは目覚めるように設計されている。1つの実施形態では、デバイス110がアイドル状態から目覚めさせられると、ユーザーにはデバイスの直近のアクティブ状態が提示される。1つの実施形態では、これは、前の状態がデバイスがユーザーに見られるまでに復元されているほどに速やかである。対照的に、デバイスが載せられている台が揺すられたり小物入れが押しのけられたりした場合は、デバイスは目覚めないはずである。これにより、誰かが台の近くで歩いたり、座ったり、或いは同様に些細な動きを引き起こしたりしたときに起こる、些細な動きでデバイスがひっきりなしに目覚めさせられるということがなくなるため、電力使用が減少する。
【0011】
図2は、本発明のシステム200の1つの実施形態を示しているブロック線図である。1つの実施形態では、システム200は、携帯式電子デバイスである。システム200は、1つの実施形態では、動きセンサ論理210、サンプリング期間論理230、グリッチ訂正論理235、長期平均論理240、優位軸論理245、メモリ250、演算論理255、及び構成論理260を備えている。
【0012】
1つの実施形態では、動きセンサ論理210は、加速度計220を備えている。1つの実施形態では、動きセンサ論理210は、更に、方位センサ215の様な1つ又はそれ以上の追加のセンサを含んでいる。
【0013】
1つの実施形態では、加速度計220は、デバイスの方位を求めるのに使用することができる。方位は、加速度計の長期平均を使用して求めることができる。サンプリング期間論理230は、動きセンサ210がどれほど頻繁にデータを取得するかを判定する。1つの実施形態では、サンプリング期間は事前構成されている。1つの実施形態では、サンプリング期間は、センサデータを使用する(単数又は複数の)アプリケーションに基づいて調節される。
【0014】
加速度計220は、周期的に動きデータをサンプリングする。長期平均論理240は、サンプリング期間に亘る加速度データの平均を計算する。1つの実施形態では、長期平均論理240は、一期間に亘るのではなく複数回の測定に亘る加速度の平均を計算する。1つの実施形態では、長期平均論理240は、5分間に亘る加速度を計算する。1つの実施形態では、長期平均論理240は、20回の測定に亘る加速度を計算する。
【0015】
1つの実施形態では、加速度データはグリッチ訂正論理235に送られ、そこでデータは分析されて、それが、グリッチを、即ち許容され得るデータの事前に規定されている範囲を外れたデータを表現しているかどうか判定される。例えば、一度の計測で動きデータが加速度ゼロから加速度10m/sに進むことは、あり得ないことはないにしても極めて可能性が低い。1つの実施形態では、データの事前に規定されている範囲は、加速度における現在加速度からの事前規定変化である。例えば、デバイスがアイドルになっている−例えば動いていない−場合、当該デバイスについて起こり得る加速度の範囲はかなり限定される。1つの実施形態では、グリッチ訂正論理235は、更に、非人間的な動きを捨てるのに使用することができる。例えば、デバイスが、使用されてはいないが動いている車両の中にある場合、1つの実施形態では、車両の動きは、人間の動きのシグネチャに一致しないため捨てられてしまう。
【0016】
1つの実施形態では、グリッチ訂正論理235は、(単数又は複数の)異常な加速度計測値はどれも捨てる。1つの実施形態では、次いで、非グリッチデータが長期平均論理240に回される。別の実施形態では、グリッチデータが、グリッチ訂正論理235による長期平均からもたらされる。1つの実施形態では、或る特定の数のグリッチデータ点が捨てられてしまった場合、グリッチ通知部論理237がユーザーに通知する。1つの実施形態では、グリッチ通知部論理237は、製造者にも通知する。グリッチは、概して、加速度計又はセンサが誤作動を起こしていることを表している。
【0017】
長期平均論理240は、受信された動きデータに基づき、加速度の1つ又はそれ以上の長期平均を計算する。1つの実施形態では、長期平均論理240は、新データが長期平均に追加されると旧データが捨てられるリングバッファメモリ250を利用している。1つの実施形態では、長期平均論理240は、単一軸に沿った加速度の長期平均を作成する。1つの実施形態では、重力による影響を最も強く受ける軸と定義されている優位軸が、長期平均論理240によって使用されている。1つの実施形態では、当該軸は、加速度計の軸の1つに対応している。1つの実施形態では、当該軸は、重力による最も強い引っぱりを受けている方位と定義されている。1つの実施形態では、長期平均論理240は、複数軸に沿った加速度の長期平均を作成する。
【0018】
電子デバイスの方位を判定する段階は、重力の影響を識別する段階を含む。絶対長期平均が最も大きい軸は、重力による影響を最も強く受ける軸ということになり、それは時間の経過と共に(例えば、電子デバイスが回転すると)変化し得る。従って、電子デバイス及び/又は電子デバイスに取り付け又は内蔵されている(単数又は複数の)内部センサの方位が変化すると、新たな優位軸が指定される。
【0019】
1つの実施形態では、一定のサンプリング期間に亘る絶対長期平均が最も大きい実際の軸が、優位軸として指定される。代わりの実施形態では、優位軸は、現在方位の(単数又は複数の)内部センサの実際の軸の1つには対応しておらず、むしろ、重力に大凡整列していると定義されている軸に対応している。1つの実施形態では、優位軸は、仮想座標系の成分である仮想軸に対応している。1つの実施形態では、方位を求めるのに、実際の軸に重力の影響に基づいて三角測量計算を行うなどして真の重力評定が行われる。
【0020】
1つの実施形態では、デバイスが一定の非アクティブの期間の後アイドル状態に入ると、加速度の長期平均が、長期平均論理240によって計算される。1つの実施形態では、長期平均及びそれが計算される対象の優位軸は、演算論理255によって受信される。演算論理255は、更に、動きデータの新たなサンプルに基づき、現在の優位軸と、当該の現在の優位軸について更新された現在の長期平均を受信する。
【0021】
前の優位軸と現在の優位軸が同じであれば、演算論理255は、長期平均が事前規定閾値より大きく変化したかどうかを判定する。1つの実施形態では、優位軸の変化が閾値より大きいとき、演算論理255は、電力論理265及びデバイス状態論理270に、デバイスの電力供給を上げ、直近のアクティブデバイス状態を復元するように連絡する。優位軸の変化が閾値より大きくないなら、デバイスはアイドル状態に維持される。
【0022】
1つの実施形態では、新たな優位軸が前の優位軸と異なっていれば、演算論理255は、電力論理265及び構成論理260に、デバイスを直近のアクティブデバイス状態に復元するように連絡する。
【0023】
図3は、デバイスを目覚めさせるべきかどうかを、動きデータに基づいて判定する段階の1つの実施形態のフローチャートである。ブロック305で、プロセスが開始する。1つの実施形態では、プロセスは継続的に実行される。1つの実施形態では、ユーザーは、自動目覚ましシステムを起動させてもよいし、又は自動目覚ましシステムをオンにさせるように選択を設定してもよい。
【0024】
ブロック310で、処理は、動きデータをサンプリングする時期かどうかを判定する。1つの実施形態では、動きデータは、周期的にサンプリングされる。動きデータをサンプリングする時期である場合、プロセスは、ブロック315に進む。そうでなければ、プロセスはブロック310に戻る。
【0025】
ブロック315で、プロセスは、サンプル動きデータを入手する。1つの実施形態では、サンプル動きデータに基づき、加速度の少なくとも1つの現在の/更新された長期平均が計算される。1つの実施形態では、長期平均は、事前設定された測定回数又は事前設定された時間に基づいている。プロセスはブロック320に進む。
【0026】
ブロック320で、プロセスは、デバイスがアイドル状態にあるかどうかを判定する。1つの実施形態では、デバイスは、一定の期間に亘り非アクティブであった後、アイドル状態に置かれる。非アクティブとは、1つの実施形態では、デバイスが動いていないこと、及びデバイスでアクティブなユーザー対話型アプリケーションが何もないことを意味する。1つの実施形態では、デバイスがアイドル状態に置かれると、長期平均が起動される。デバイスがアイドル状態にないなら、プロセスはブロック310に戻る。プロセスは、デバイスがアイドル状態にあると判定すれば、ブロック325に進む。
【0027】
ブロック325で、プロセスは、デバイスが何らかの動きを経験したかどうか、即ち、加速度計の計測値の間の差異が最小閾値より大きいかどうかを判定する。1つの実施形態では、この判定は、フィルタを使って最小閾値より下の加速度計の動きを除去することによってなされる。プロセスは、動きは何も検知されていないと判定すれば、ブロック310に戻る。プロセスは、加速度計データがデバイスの運動を表していると判定すれば、ブロック330に進む。
【0028】
ブロック330で、プロセスは、運動が「現実の」動きであり、単なる押しのけやぶつかりではないかどうかを判定する。デバイスは、例えば、それが横たえられている机や台が軽く押しのけられたり、付近を激しく歩かれたり、何か他のことで非常に些細な動きが引き起こされた結果、動くことがあるかもしれないが、しかしそれはデバイスを目覚めさせる正当な根拠とはならない。対照的に、デバイスは、ユーザーがデバイスを使用することを意図して取り上げた結果として動くこともある。この場合は、当該運動は、デバイスを目覚めさせる正当な根拠となる「現実の」動きである。
【0029】
動きが「現実の」動きではなかった場合、プロセスはブロック310に戻る。運動が「現実の」動きであった場合、プロセスはブロック335に進む。ブロック335で、プロセスはデバイスを目覚めさせる。プロセスはブロック340に進む。
【0030】
ブロック340で、プロセスは、1つの実施形態では、デバイスを、アクティブであったときの直近のデバイス状態を復元するように構成する。1つの実施形態では、システムは、ユーザーがデバイスの目覚まし復元をカスタマイズできるようにしている。例えば、ユーザーは、以前アクティブであったアプリケーションを開始させずにホーム画面を提示するようにシステムをカスタマイズしてもよい。プロセスはこれで終了する。
【0031】
図4は、加速度の長期平均を作成するプロセスの1つの実施形態である。プロセス400は、ブロック405で開始する。1つの実施形態では、このプロセスは、デバイスが電力供給されているとき、継続的に実行されている。
【0032】
ブロック410で、長期平均論理は、1つの実施形態では、加速度計から動きデータを受信する。1つの実施形態では、長期平均論理は、グリッチ訂正論理から動きデータを受信しており、グリッチ訂正論理は動きデータが長期平均論理に回される前に動きデータから異常なデータを除去する。プロセスはブロック415に進む。
【0033】
ブロック415で、長期平均論理は、サンプリングされた動きデータを長期平均に加えて、加速度の更新された長期平均を作成する。1つの実施形態では、長期平均論理は、優位軸(例えば、重力効果が検知される軸)についてのみ長期平均を維持する。別の実施形態では、長期平均論理は、1つ又はそれ以上の軸について平均を維持する。プロセスはブロック420に進む。
【0034】
ブロック420で、長期平均論理は、1つの実施形態では、随意的に、優位軸を求める上で複数の軸について加速度の長期平均を優位軸論理に送る。或る代わりの実施形態では、優位軸論理は、複数の軸について加速度の長期平均をメモリから取り出して優位軸を求める。プロセスはブロック410に戻って、動きデータの受信を継続する。
【0035】
図5は、デバイスをアイドル状態から目覚めさせるべきかどうかを判定するためのプロセス500の1つの実施形態のフローチャートである。プロセスはブロック505で開始する。1つの実施形態では、プロセスは、動きの無いままに事前設定期間が検知されたときにアクティブにされる。
【0036】
ブロック510で、プロセスは、デバイスが一定の期間に亘り非アクティブであった後、デバイスをアイドル状態に置く。プロセスはブロック515に進む。
【0037】
ブロック515で、演算論理は、アイドル中のデバイスの優位軸DA1についてのデータと、デバイスがアイドル状態になった後に長期平均論理によって演算されたサンプリング期間に亘るDA1に沿った加速度を受信する。プロセスはブロック520に進む。
【0038】
ブロック520で、演算論理は、一定の期間に亘るDA1に沿った加速度の長期平均をアイドル時サンプル(IS)に指定する。1つの実施形態では、ISはメモリに保存される。プロセスはブロック525に進む。
【0039】
ブロック525で、プロセスは新たな優位軸データDA2とDA2に沿った新たな加速度データを受信する。プロセスはブロック530に進む。
【0040】
ブロック530で、演算論理は、新たなデータを、DA2に沿った加速度の長期平均に加えて現在サンプル(CS)を生成する。同様にブロック530で、1つの実施形態では、演算論理はCSをメモリに保存する。プロセスはブロック535に進む。
【0041】
ブロック535で、演算論理は、アイドル時優位軸DA1を、現在優位軸DA2と比較する。現在優位軸DA2がアイドル時優位軸DA1と異なっていたなら、プロセスはブロック545に進む。1つの実施形態では、比較は一定範囲内であり、例えば、DA2がDA1と異なっていると識別されるには1度の最小変化が起こらなくてはならない。1つの実施形態では、優位軸が変化していたなら、ひいてはデバイスの方位は変化しており、そうすると、それがデバイスを目覚めさせる根拠となる。DA2が実質的にDA1と同じであれば、演算論理は次にブロック540に進む。
【0042】
ブロック540で、演算論理は、優位軸に沿った長期平均が閾値より大きく変化しているかどうか、即ち現在サンプル値とアイドル時サンプル値の差が閾値より大きいかどうかを判定する。1つの実施形態では、閾値は、1gの大凡10分の1である30に設定されている。ISとCSの間の差が閾値より小さい場合、プロセスはブロック510に戻って、アイドル状態の監視を継続する。次の計算ではCSがISとなる。
【0043】
演算論理は、優位軸に沿った加速度の長期平均の変化が閾値よりも大きいと判定すれば、次にブロック545に進む。ブロック545で、演算論理は、構成論理の電力論理に、デバイスを立ち上げるように連絡する。プロセスはこれで終了する。
【0044】
図6は、動きデータのグリッチを検知し訂正するプロセス600の或る実施形態のフローチャートである。1つの実施形態では、このプロセスは常時アクティブである。1つの実施形態では、このプロセスは、デバイスがアイドル状態にあるときアクティブである。1つの実施形態では、グリッチ訂正は、動きデータが長期平均に加えられる前に行われる。プロセスはブロック605で開始する。
【0045】
ブロック610で、グリッチ訂正論理は、動きデータを加速度計から受信する。
【0046】
ブロック615で、グリッチ訂正論理は、受信された動きデータがグリッチを含んでいるかどうかを判定する。1つの実施形態では、グリッチは、許容され得る範囲を外れた動きを表しているデータである。例えば、デバイスがアイドル状態(例えば、動き無し)から64フィート毎秒毎秒(2gに匹敵)で動いている状態に進むなどということはまず起こり得ない。訂正論理は、それぞれのデータを許容され得るデータの範囲に照らして調べ、データが、この範囲内に収まっているかどうか、ひいては加速度の長期平均の計算に使用されるべきであるかどうかを判定する。1つの実施形態では、グリッチ訂正論理は、2つの計測値の間の加速度の変化を利用して、グリッチが存在するかどうかを判定する。
【0047】
グリッチ訂正論理は、動きデータはグリッチではないと判定すれば、ブロック625に進む。
【0048】
ブロック625で、グリッチ訂正論理は、動きデータを長期平均論理に送る。プロセスは、次いで、ブロック610に戻って、加速度の監視を継続する。
【0049】
ブロック615で、グリッチ訂正論理は、動きデータは許容可能範囲を外れていると判定すれば、ブロック635に進む。
【0050】
ブロック635で、グリッチ訂正論理は、許容され得ない動きデータを捨てる。ブロック640で、プロセスは、過剰な数のグリッチがあったかどうかを判定する。1つの実施形態では、グリッチ訂正論理は、動きデータを使用して、加速度計に係わる起こり得る問題を検知する。1つの実施形態では、過剰な数のグリッチは、加速度計に問題があることを表していることになる。プロセスは、過剰な数のグリッチがあったと判定すれば、ブロック645で、当該問題に関して警報を生成する。1つの実施形態では、警報は、デバイスのユーザーに注意を喚起するメッセージであってもよい。1つの実施形態では、警報は、1人又はそれ以上の受信者に対する、ネットワーク接続を介した通知であってもよい。例えば、システムは、サービスプロバイダ、製造者、又は他の該当する通知対象者に通知することができる。
【0051】
プロセスは、次に、ブロック610に戻って、加速度データの監視を継続する。
【0052】
図7は、本発明と共に使用することのできるコンピュータシステムの1つの実施形態のブロック線図である。しかしながら、当業者には、様々なシステムアーキテクチャのうちの他の代わりのシステムを使用してもよいことは自明であろう。本コンピュータシステムは、バス又は情報を連絡するための他の内部通信手段715と、バス715に連結されている、情報を処理するためのプロセッサ710とを含むことができる。システムは、バス715に連結されている、情報及びプロセッサ710によって実行されるべき命令を記憶するためのランダムアクセスメモリ(RAM)又は他の揮発性記憶デバイス750(メモリと呼ぶ)を更に含んでいる。主メモリ750は、更に、プロセッサ710による命令実行中の一時的変数又は他の中間的情報を記憶するのに使用することができる。1つの実施形態では、システムは、更に、バス715に連結されている、プロセッサ710のための静的情報及び命令を記憶するための読み出し専用メモリ(ROM)及び/又は静的記憶デバイス720と、フラッシュメモリ、磁気ディスク、光学ディスク、及びそれぞれの対応するディスクドライブ、の様なデータ記憶デバイス725とを備えている。データ記憶デバイス725は、情報及び命令記憶用のバス715に連結されている。
【0053】
システムは、画面、音声出力、キーボード、ボタン、マウスなどの様な各種入力/出力デバイスを含むことができる。これらのI/Oデバイスも、情報とコマンド選択をプロセッサ710に連絡するために、バス765を通してバス715に連結することができる。随意的にコンピュータシステム700に連結することのできるもう1つのデバイスは、分散システムの他のノードにネットワークを介してアクセスするための通信デバイス790である。通信デバイス790は、イーサネット、トークンリング、インターネット、又は広域ネットワークに連結するために使用されているものの様な、多数の市販のネットワーク化周辺デバイスの何れを含んでいてもよい。通信デバイス790は、更には、ヌルモデム接続、ワイヤレス接続機構、又はコンピュータシステム700と外界との間に接続を提供するその他の機構であってもよい。本システム及び関連付けられているハードウェアの構成要素は、何れかを、又は全てを、本発明の様々な実施形態で使用することができることに留意されたい。当業者には、特定の実施例に従った様々な目的のために本システムの如何なる構成を使用してもよいことが理解されるであろう。本発明を実施している制御論理又はソフトウェアは、主メモリ750、大容量記憶デバイス725、又は局所的に又は遠隔的にプロセッサ710にアクセス可能な他の記憶媒体に記憶させることができる。
【0054】
当業者には、ここに記載されているシステム、方法、及びプロセスは、主メモリ750又は読み取り専用メモリ720に記憶させたソフトウェアとして実施され、プロセッサ710によって実行させることができるのは自明であろう。この制御論理又はソフトウェアは、更に、コンピュータ可読プログラムコードが埋め込まれていて、大容量記憶デバイス725によって、プロセッサ710をここに記載の方法と教示に従って動作させるために、読み出すことのできるコンピュータ可読媒体を備えている製造者の商品に常駐されていてもよい。
【0055】
本発明は、更に、以上に説明されているコンピュータハードウェア構成要素のサブセットを含んでいる手持ち式又は携帯式デバイスに具現化することもできる。例えば、当該手持ち式デバイスは、バス715、プロセッサ710、及びメモリ750及び/又は725のみを含む構成であってもよい。本発明は、更に、以上に説明されているコンピュータハードウェア構成要素のサブセットを含んでいる特定用途家電に具現化することもできる。例えば、当該家電は、プロセッサ710、データ記憶デバイス725、バス715、及びメモリ750、そしてユーザーが簡易方式でデバイスと通信できるようにしている小型のタッチスクリーンの様なごく初歩的な通信機構を含んでいてもよい。一般に、デバイスの用途が特化されるほど、デバイスを機能させるのに必要な要素の数は少なくなる。幾つかのデバイスでは、ユーザーとの通信は、タッチベースの画面又は類似機構を通してであってもよい。
【0056】
当業者には、本システムの構成は、様々な用途で特定の実施例に従って如何なる構成が使用されてもよいことが理解されるであろう。本発明を実施している制御論理又はソフトウェアは、局所的又は遠隔的にプロセッサ710にアクセス可能な如何なる機械可読媒体に記憶させることもできる。機械可読媒体は、情報を機械(例えば、コンピュータ)が読み取ることのできる形式で記憶又は伝送する如何なる機構をも含む。例えば、機械可読媒体は、読み出し専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、磁気ディスク記憶媒体、光学記憶媒体、フラッシュメモリデバイスを含む。1つの実施形態では、システムは、電気、光、音響、又は他の形態の伝播信号(例えば、搬送波、赤外線信号、デジタル信号など)に具現化することができる。
【0057】
以上、明細書において、本発明をその特定の例示となる実施形態に関連付けて説明してきた。しかしながら、本発明には、付随の特許請求の範囲に記載されている本発明のより広範な精神及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更がなされ得ることは明白であろう。本明細書及び図面は、従って、限定を課すのではなく説明目的であるという意味で考えられるべきである。
【符号の説明】
【0058】
100 ユーザー
110 デバイス
115 水平な面
200 本発明のシステム
210 動きセンサ論理
215 方位センサ
220 加速度計
230 サンプリング期間論理
235 グリッチ訂正論理
237 グリッチ通知部論理
240 長期平均論理
245 優位軸論理
250 メモリ
255 演算論理
260 構成論理
265 電力論理
270 デバイス状態論理
700 コンピュータシステム
710 プロセッサ
715 バス
720 静的記憶デバイス
725 データ記憶デバイス
750 揮発性記憶デバイス
765 バス
790 通信デバイス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスの優位軸についてアイドル時サンプル値を求める段階と、
前記デバイスの動きを登録する段階と、
前記デバイスの前記動きが、前記デバイスの前記優位軸の変化を表しているとき、前記デバイスを目覚めさせる段階と、から成る方法。
【請求項2】
前記優位軸について前記アイドル時サンプル値を求める段階は、
動きデータを動きセンサから受信する段階と、
前記動きデータを処理して、アイドル時サンプル値を定める段階と、
前記アイドル時サンプル値を処理して、前記優位軸を定める段階と、を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記動きセンサは、加速度計を備えている、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記アイドル時サンプル値は、前記デバイスが一定の非アクティブの期間の後、アイドルモードに移ったときに記録された、前記優位軸に沿った一定のサンプリング期間に亘る加速度の長期平均を備えている、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記デバイスのその他の軸のそれぞれについて前記アイドル時サンプル値を求める段階を更に含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記デバイスの前記動きを登録する段階は、
動きデータを動きセンサから受信する段階と、
前記動きデータを処理して、前記デバイスの前記優位軸の現在サンプル値を求める段階と、を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記デバイスの前記動きに基づいて求められた前記優位軸に沿った現在サンプル値と前記優位軸の前記アイドル時サンプル値の間の差を、閾値に照らして比較する段階を更に含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記優位軸の前記変化は、前記優位軸に沿った加速度の変化を備えている、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記デバイスを目覚めさせる段階は、前記デバイスを、直近のアクティブなデバイス状態に復帰するように構成する段階を更に含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記現在サンプル値は、加速度の長期平均である、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記デバイスのその他の軸のそれぞれについて前記現在サンプル値を求める段階を更に含んでいる、請求項6に記載の方法。
【請求項12】
前記動きセンサは加速度計を備えている、請求項6に記載の方法。
【請求項13】
前記動きデータを処理する段階は、
前記動きデータが1つ又はそれ以上のグリッチを備えているかどうかを検査する段階と、
前記長期平均を計算する前に、前記動きデータの前記1つ又はそれ以上のグリッチを、前記動きデータから除去する段階と、を更に含んでいる、請求項6に記載の方法。
【請求項14】
前記現在サンプル値と前記アイドル時サンプル値の間の差が閾値より大きいことに基づいて、前記デバイスを目覚めさせるべきであると判定する段階を更に含んでいる、請求項6に記載の方法。
【請求項15】
前記動きセンサから受信された前記動きデータに基づいて新たな優位軸を求める段階と、
前記新たな優位軸に沿った前記現在サンプル値と、前記デバイスが一定の非アクティブの期間の後、アイドルモードに移ったときに求められた前記新たな優位軸に沿ったアイドル時サンプル値の間の差を計算する段階と、
前記差を、前記デバイスを目覚めさせるべきかどうかを定めるべく閾値に照らして比較する段階と、を更に含んでいる、請求項8に記載の方法。
【請求項16】
一定の期間に亘って動きセンサによって測定された加速度の1つ又はそれ以上の長期平均を作成する長期平均論理と、
前記デバイスの優位軸を、動きデータに基づいて求める優位軸論理と、
前記加速度の長期平均が前記デバイスの真の動きを表しているかどうかを判定する演算論理と、を備えているシステム。
【請求項17】
動きデータを検知する動きセンサ論理を更に備えている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記動きセンサ論理は、1つ又はそれ以上の軸に沿った加速度を検知する加速度計を備えている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記加速度の1つ又はそれ以上の長期平均を計算するのに動きデータを収集する期間を設定するサンプリング期間論理を更に備えている、請求項16に記載のシステム。
【請求項20】
前記動きデータが前記デバイスを目覚めさせるべきであることを表しているとき、前記デバイスをアクティブにする電力論理を更に備えている、請求項16に記載のシステム。
【請求項21】
前記デバイスを直近のアクティブ状態に復元するデバイス状態論理を更に備えている、請求項16に記載のシステム。
【請求項22】
前記デバイス状態論理は、ユーザー対話が、アプリケーションを、前記デバイスが目覚めさせられたときに表示されるようにカスタマイズできるようにしている、請求項21に記載のシステム。
【請求項23】
前記動きデータの1つ又はそれ以上のグリッチを訂正するグリッチ訂正部論理を更に備えている、請求項16に記載のシステム。
【請求項24】
前記グリッチ訂正部は、前記1つ又はそれ以上の長期平均が計算される前に、前記1つ又はそれ以上のグリッチを除去する、請求項23に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−505478(P2012−505478A)
【公表日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−531156(P2011−531156)
【出願日】平成21年10月7日(2009.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2009/059900
【国際公開番号】WO2010/042661
【国際公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(509112291)ディーピー テクノロジーズ インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】